星の海にて蠢く巨怪
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「船長! レーダーに異常な生体反応を検知!」
「現れたか――モニターに出せ!」
広大なる宇宙の深淵、未踏宙域の探索を行う一隻の勇敢なる宇宙船のデッキにて。
どこまでも広がる暗黒と星の海を映し出すモニターに現れた異形に、クルー一同は騒然となった。
「これが――『マインドミナBVA』か!」
絶えず変形し姿を変える、奇怪な外殻に覆われた球状の怪生物。未踏宙域の支配者、クエーサービースト。
まだ彼我の間には途方も無い距離があるにも関わらず、その姿を正確に確認できるのは、それが余りにも巨大であるからに他ならない。
まるで一個の星が生きて動いているかのような偉容に、クルー達が固唾を呑んでいる間にも、事態は既に動きはじめていた。
「――!! 目標の外殻分離を確認!」
「気付かれたか……! 猟兵に救援を要請しろ! 我々では、あの化物には敵わん……!」
己の無力さを噛み締めながらも、船長は素早く指示を飛ばす。
マインドミナBVAから切り離された外殻は、その形を無数の人型へと変化させながら、一直線に宇宙船へ迫りつつあった。
●
「未踏宙域の探索に進展がありました。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「現在スペースシップワールドでは、居住可能惑星発見の可能性を求めて、かつての銀河帝国の版図の外にある『未踏宙域』の調査が行われています」
何事も未知の航路の開拓において危険はつきものだが、目下最大の脅威となっているのは未踏宙域に生息する超巨大宇宙生物群『クエーサービースト』の存在である。
一体一体が小惑星クラスの巨躯を誇り、会話や意思の疎通は不可能。ある種の災害にも等しいこの怪物に現状で対抗できるのは、ユーベルコードを操る猟兵をおいて他にない。
「皆様には未知宙域への挑戦を名乗り出た宇宙船のひとつに同乗し、探索への協力をお願いします」
現状のあらましを話し終えると、リミティアはより詳細な依頼内容を語りはじめた。
「今回探索を行うのは、クエーサービーストの『小さな尖兵』キエリビウムJOXとの戦いを経て到達可能となった、未踏宙域のさらなる深部です」
この領域で調査船と猟兵達を待ち受けているのは、キエリビウムJOXにかわる新種のクエーサービースト。そのサイズは「尖兵」をさらに凌ぎ、人の理解を超えた異形を誇る。
「『マインドミナBVA』と命名されたこの種は、『状況に応じて無限に変化する外殻』を操る能力を持ちます。武器としての利用だけでなく、切り離して『オブリビオンの姿』に変化させることで、配下を量産することさえ可能です」
非常に応用性の高い能力に加えてその巨体から、容易ならざる相手であることは確かだが、こちらの力が通用しないわけではない。苦戦するかもしれないが、撃破は可能だ。
「今回の敵はこちらの宇宙船と猟兵を認識すれば、切り離した外殻を紅いウォーマシンの姿に変化させて襲ってきます。この機体はかつて銀河帝国で製造された大型標的砲撃用の機種に酷似しているようです」
単に姿を模しているだけでなく、能力も、そしてオブリビオンとしての歪んだ意思さえも再現した、この「変身外殻」を打ち砕かないことには、マインドミナBVA本体を攻撃することはできない。
「搭載された極大エネルギーチャージキャノン『ホウセンカ』の威力は絶大で、量産機と言えども直撃を受ければただでは済まないでしょう」
何よりも憂慮すべきはそのエネルギーキャノンの砲撃が、護衛対象である宇宙船に向けられることだ。敵が船に近付く前に倒すか、あるいは猟兵に注意を引きつけるか――何かしらの方策がなければ、宇宙船とその乗員に大きな被害が出てしまうだろう。
そして本命であるマインドミナBVAは、無限に変化する外殻を様々な形態や兵器に変形させ攻撃を仕掛けてくる。重ねてになるがその巨体も合わせて、容易ならざる強敵だ。
「なお宇宙空間での戦闘については、銀河帝国との戦いでも使用された高性能宇宙服が利用可能です。極薄かつ透明で、防具の上から着用できるので、普段とそれほど変わらない感覚で戦えるでしょう」
変身外殻とマインドミナBVA、これらの脅威を排除し、調査船の安全を守ることが今回の目標となる。
「そして無事に戦闘が終了した後に、もうひとつ皆様に要請があります。撃破したマインドミナBVAの外殻の回収をお願いしたいのです」
これは今後の未踏宙域にて出現するであろう、さらなるクエーサービーストとの交戦を想定しての依頼である。
規格外に巨大な敵との戦いにおいて、猟兵のユーベルコードは十分な威力を発揮するが、やはり根本的な不利を強いられる。大きさの違いとは即ち「間合い」の違いである。
「マインドミナBVAの外殻には、手にした者の思念によって形を変え、ユーベルコードを伝達する性質があるようです。これを素材として利用すれば、これからの調査や戦闘において有益な何かを作れるかもしれません」
非常に巨大かつ強靭なクエーサービーストの外殻を剥ぎ取って持ち帰るのには相当な労苦が必要になるだろうが、それを行うだけの価値はある、との判断である。
「まずはクエーサービーストとの戦闘に全力を。あれだけ大きければ少々外殻を破壊したところで、幾らでも素材は手に入るでしょう」
そう言ってリミティアは説明を締めくくると、手のひらにグリモアを浮かべてスペースシップワールドへの道を開く。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回の依頼はスペースシップワールドの未踏宙域にて、探索を阻むクエーサービーストの撃破と調査が目的となります。
第一章はボスの外殻が変形した『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』との集団戦です。
敵のエネルギーキャノンの脅威から、味方の宇宙船を守りながらの戦闘となります。
第二章はクエーサービースト『マインドミナBVA』とのボス戦です。
意思疎通や会話は不可能なため、とにかく撃破に全力を尽くしてください。
無事にボスを撃破した後は、第三章にて素材回収ミッションがあります。
マインドミナBVAの外殻をたくさん剥ぎ取れば、なにか良いものが作れるかもしれません。
久しぶりとなるスペースシップワールドでの依頼、全力で臨ませていただきます。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『大型標的砲撃用銀河帝国製ウォーマシン』
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POW : 極大エネルギーチャージキャノン「ホウセンカ」
【数と充填時間次第で惑星すら破壊可能な大砲】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【一秒の充填時間で消滅に必要十分以上な出力】で攻撃する。
SPD : 報復の砲華
レベル分の1秒で【対象の攻撃を剣で凌ぎ反撃の「ホウセンカ」】を発射できる。
WIZ : その真紅に触れてはいけない
自身に【装備された背中の頑丈な放熱板に超高温】をまとい、高速移動と【すれ違いざまの溶断、追撃の「ホウセンカ」】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:エンシロウ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
華都・早紗
【WIZ】(アレンジ絡み歓迎です。)
でっっっっっっか・・・。。
うそやろ?あれと戦うん?
外界の猟兵やばない?私あんなん無理やねんけど。
思てたんとちゃう。
て言うか、宇宙出るの?ほんまに?死なん??
透明な服来てたらいける言うたけど
絶対死ぬ奴やんこれ。
あかんドキドキしてきた。
こっっわ。
いや、まぁ行くで。
猟兵やし。
何事も体験や~(びゅーん)
▼戦闘
「案外平気。ほな、宇宙空間に桜を咲かせましょ。」
ペンを宇宙空間へと放り投げ
幻朧桜曼荼羅を発動し桜の花びらを召喚
自身の周囲を桜の花びらでバリアを張りつつ
敵に向かって桜を射出。
敵が高速で突撃してきたら
帯のように連なる桜を連続で打ち続け
敵の攻撃をいなして回避します
国栖ヶ谷・鈴鹿
【宇宙デビュウ】
わーわー!すごーい!浮く!
あーあ、これが戦闘じゃなかったらもっと楽しいのに。
え?ボスを倒したら外殻を採取する??ぼく頑張るよ!!
(やる気はMAX、愛用の機械に乗って出撃します)
【戦闘】
剣で捌いて反撃してくる?
剣で防げないものなら、通るってことでいいよね。
今日の秘密兵器はコレ!『制御分捕回路』!
生きてる機械は乗っ取れる部品は1つ2つだけど、ぼくが乗っ取るのはエミッター、ホウセンカの電子源の極を変化させて、発射を阻止して船への攻撃を阻止しよう。
それに、どの攻撃にもホウセンカが絡むなら、パワーダウンも狙えるよね!
猟兵のみんなと協力してやっつけようね!
「でっっっっっっか……」
モニターに映し出された「マインドミナBVA」の超巨体を目にした華都・早紗(幻朧桜を見送る者・f22938)は、桜色の瞳をまんまるく見開き、呆然と呟いた。
一面の闇と星々の光に占められた視界に、たったひとつ浮かぶ明らかな異物。比較対象すら見当たらない圧倒的スケールは、彼女の想像を遥かに上回るものだった。
「うそやろ? あれと戦うん?」
嘘でも冗談でもなんでもない。宇宙船のクルー達からの期待の視線が突き刺さる。
猟兵ならあの怪物もきっと何とかしてくれるはず、と彼らは信じて疑っていない。
「外界の猟兵やばない? 私あんなん無理やねんけど。思てたんとちゃう」
自分の世界と異世界との強烈なカルチャーショックに打ちのめされている早紗であったが、そうしている内にも敵は刻一刻と宇宙船に近付いてきていた。
「て言うか、宇宙出るの? ほんまに? 死なん??」
とにかく出撃準備を、と言われて宇宙船後部にあるハッチの前までやって来た早紗は、渡された透明な宇宙服をじぃっと見る。
「これ着てたらいける言うたけど、絶対死ぬ奴やんこれ。あかんドキドキしてきた。こっっわ」
彼女の故郷、サクラミラージュにおいて宇宙とはまだまだ未知の領域。こんな薄衣一枚を頼りにしてそこに飛び込めと言われて青ざめるのも、無理はないことだろう。
その一方で、物怖じせずに未知の世界に飛び出していく、好奇心旺盛な者もいた。
「わーわー! すごーい! 浮く!」
自らが発明した愛用のフロヲトバイ「百弐拾伍式・紅路夢」に跨って、宇宙空間をスイスイ飛び回っているのは、国栖ヶ谷・鈴鹿(超科学技術機械技師兼天才パテシエイル・f23254)。
早紗より一足はやく宇宙デビュウを果たした彼女は、初めて体感する宇宙遊泳にテンションはうなぎ登り、目は無数の星を映してキラキラと輝いている。
「あーあ、これが戦闘じゃなかったらもっと楽しいのに」
どうせなら何の憂いもなくこの体験を味わいたかったと、少し残念そうではあるものの。出撃前にもう一度改めて依頼内容を説明されると、目の色が変わる。
「え? ボスを倒したら外殻を採取する?? ぼく頑張るよ!!」
サクラミラージュにて今をときめく超技術機械技師とは彼女のこと。発明家の性として、もの作りに役立ちそうな未知の素材があると聞いては放っておけない。
一気にやる気MAXになった鈴鹿は意気揚々と「紅路夢」を駆り、外殻が変形した敵集団に突撃していく。
――そんな鈴鹿の様子を眺めるうちに、早紗のほうも踏ん切りがついたようで。
「いや、まぁ行くで。猟兵やし。何事も体験や~」
宇宙服を着込むと、意を決してびゅーん、と宇宙空間に飛び出していく。
感じたのは水の中に飛び込んだ時に似た浮遊感。ぎゅっと瞑っていた目を開けると、そこには上下も左右もない、無数の煌めく星々と闇が広がっていた。
いつもは見上げていた夜空の中に吸い込まれたような、不思議な光景――これが、宇宙なのだ。
「案外平気。ほな、宇宙空間に桜を咲かせましょ」
無事に宇宙デビュウを果たした早紗は気持ちも落ち着いた様子で、愛用する古びた万年筆をひょいと宇宙空間に放り投げると【幻朧桜曼荼羅】を発動する。
咲き乱れるのはオーラの桜吹雪。宇宙に舞う無数の花弁を自らの周囲に展開すれば、戦いの準備は万事整った。
「――敵影確認。殲滅する」
マインドミナBVAの外殻が変化した真紅のウォーマシン部隊は、進路上に立ちはだかる猟兵達の姿を捉えると、背中の放熱板を翼のように広げ、剣と大砲を構える。
「ほな、一筆書きましょか」
早紗がペンを走らせるように指先を動かすと、桜の花弁が矢のように射出される。
対するウォーマシン隊はその巨体に見合わぬ素早い剣捌きで花弁を切り払い、反撃のエネルギーキャノン「ホウセンカ」のトリガーを引く。
星の輝きさえもかき消すほどの眩いビームの奔流。しかし展開されていた桜吹雪がオーラのバリアとなって、早紗と宇宙船に襲いかかる光線を彼方へと逸らす。
「こっわ。けどこれなら防げるみたいやな」
早紗はそのまま桜の花弁を操り、正面の守りを厚く。そして継続して花弁の射出を行い、敵の接近を牽制する。
「剣で捌いて反撃してくる? 剣で防げないものなら、通るってことでいいよね」
敵の攻略法を導き出すために、その戦いの様子をじっと観察していたのは鈴鹿。
こんなこともあろうかと、彼女は剣で攻撃を防ぎながら高速移動しつつ、高威力なエネルギーキャノンを撃ち込んでくる敵に有効な装備を用意していた。
やけにピンポイントな備えではあるが、それこそが彼女のユーベルコード【超高精度近未来観測機構・甲】の力である。
「今日の秘密兵器はコレ! 『制御分捕回路』!」
超科学技術電気操作卓に接続したそれを、ぽちぽちと動かしはじめる鈴鹿。
その天才的な頭脳によって作り出された超機械の数々は、世界の垣根すら超えて凡そあらゆるものの理解を凌駕する、脅威の産物であった。
「システムに異常発生」
鈴鹿の秘密兵器による異変を察知したウォーマシン部隊は、早急に決着をつけるために全身のスラスターからエネルギーを放出し、放熱板を広げて突撃してくる。
紅い流星のように加速するその重装機体と、超高温を纏った刃のような放熱板に触れれば、猟兵と言えどもただでは済むまい。
「鈴鹿はん、私の後ろに」
「うん!」
回路を操作中の鈴鹿をかばえる位置に立って、早紗は桜の花弁を帯のように連ねて撃ち続ける。一点に集中された射撃は敵機を押し返し、突撃の軌道を逸らす。
突撃をいなされた真紅の機体は、桜吹雪のバリアをすれ違い様に焼き切ったものの、早紗と鈴鹿の身には紙一重の差で届かなかった。
「攻撃失敗。追撃を―――」
2人を仕留め損なったと見るや、ウォーマシン部隊は即座に「ホウセンカ」のトリガーを引く。だが、彼らの大砲からビームが放たれることはなかった。
鈴鹿のテクノロジヰの粋を結集した超機械が、「ホウセンカ」の部品の中でも重要なエミッターの制御を分捕り、電子源の極を変化させて発射を阻止したのだ。
「ふう、間に合ったよ!」
異世界の技術の産物、それも生きている機械とあって乗っ取りには少々手こずったようだが、一度勝手を掴んでしまえばあとはこちらのものである。
ウォーマシン部隊のユーベルコードには全て「ホウセンカ」が絡んでいる。ゆえに要である「ホウセンカ」を封じてしまえば、敵の戦力は大幅にパワーダウンする。
「さあ、今のうちにやっつけちゃって!」
「ほな、まとめて始末しましょか」
メインウェポンがお荷物と化したウォーマシン隊の周りを、桜の花弁が覆う。
「ホウセンカ」の反撃がなければ、全ての花弁を攻撃に回せる。いかに高性能な兵器でも、宇宙に吹き荒れる桜吹雪を剣一本で凌ぎきることはできまい。
「桜満開百花繚乱や」
早紗が締めの言葉を綴ると同時に、無数の花弁が真紅の機体を桜色に覆い尽くし、宇宙の藻屑へと変えていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フレミア・レイブラッド
即座発射が可能な砲撃、というのは厄介ね…。
使われると厄介なら使わせなければ良いわね
念の為、【念動力】で宇宙船に防御壁を張りつつ、最前線で接敵。
【ブラッディ・フォール】で「雷鳴響き渡り、裁きは下る」の「ユピティー」の杖と服装に変化。
敵を引きつける為に【千雷の裁き】で敵集団を一気に攻撃。
更に【落雷審判】で範囲内の敵全てに「ホウセンカの使用禁止」を指定して敵の攻撃を制限。
後は雷撃や凍結の魔力弾【属性攻撃、誘導弾、早業、高速詠唱、全力魔法】や【千雷の裁き】で引き続き敵を落としつつ、接近戦を仕掛けて来た敵を魔力を込めた魔槍や変幻自在の念動魔剣の光刃で切断・迎撃【怪力、早業】して撃破していくわ。
「即座発射が可能な砲撃、というのは厄介ね……」
宇宙船の側面に念動力による防御壁を張りながら、フレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)は敵の武装と戦法を彼方から観察する。
敵ウォーマシン部隊の主要武装である極大エネルギーチャージキャノン「ホウセンカ」は、彼女の目から見ても脅威に映ったが、対策のしようが無いわけではない。
「使われると厄介なら使わせなければ良いわね」
ふわりと金髪をなびかせて、最前線へと飛び立っていく彼女の身体は稲光に包まれ、身にまとう服装は神々しいものへと変化していく。
「骸の海で眠るその異形、その能力……我が肉体にてその力を顕現せよ!」
かつて別世界で討滅した異端の神『ユピティー』の力を【ブラッディ・フォール】によってその身に宿したフレミアは、鳴神の杖を高々と掲げる。
その先端より放たれるのは【千雷の裁き】。星々の輝きにも劣らぬ千の雷が暗黒の宇宙に閃き、真紅のウォーマシン部隊に襲いかかる。
「前方より高エネルギー反応―――!」
高圧の電流によって機体がショートし、煙を上げて破損していく機械人形達。
その広域破壊能力とエネルギー量を脅威と捉えたか、彼らは宇宙船よりもフレミアを優先攻撃目標として、一斉に「ホウセンカ」の照準を合わせた。
「ここが貴方達の裁きの場よ」
幾つもの砲口を向けられながら、フレミアは優雅な振る舞いで審判の言葉を放つ。
それに続けて口にするのは、対象の行動を規制する【落雷審判】の宣告だ。
「貴方達には以後『ホウセンカ』の使用を禁止する」
その瞬間、大砲のトリガーを引こうとしたウォーマシンの身体が稲妻に包まれる。
ルールを指定し破った者に罰を与える、それが裁きの神であるユピティーの権能。鳴神の怒りに触れた愚か者は、「ホウセンカ」を構えた姿勢のまま機能停止した。
「『ホウセンカ』の使用困難。接近戦モードに移行」
主武装を禁じられたウォーマシン部隊は、大砲から腰にマウントした剣へと武装を持ち替え、背部の放熱板を展開すると、巨躯に見合わぬ速度で宇宙を翔けだした。
それは機械らしい、一糸乱れぬ連携突撃。その手にした大剣は勿論のこと、高温となった放熱板も、触れた相手を溶断するほどの威力を秘めている。
「大した再現度ね」
いち生物の外殻が変形したものとは思えない多機能ぶりを見せる敵集団に対し、フレミアは再び【千雷の裁き】を放ちながら、接近戦に備えて槍と剣を構える。
降り注ぐ落雷の嵐。加えてフレミア自身の魔力を込めた雷撃や氷結の弾丸が同時にウォーマシン部隊に襲いかかり、次々と敵機を撃墜していく。
「目標、殲滅―――」
前衛の僚機を犠牲にして、何とか接近を果たしたウォーマシンを待ち受けていたのは、真紅の魔槍「ドラグ・グングニル」の一撃だった。
吸血姫の魔力を込めた魔槍の穂先は、敵の重装甲をやすやすと刺し貫き、心臓部にあたるユニットを破壊して機能を停止させる。
「近付ければどうにかなるとでも思った?」
フレミアは微笑みながらもう一方の手で念動魔剣「クラウ・ソラス」を操り、次なる敵を迎え撃つ。使い手の意に応じて変幻自在に変化するその光刃は、装甲の隙間にするりと滑り込み、敵をバラバラに切断した。
遠距離でも近距離でも隙のない戦いぶりを見せる吸血姫によって、真紅のウォーマシン部隊は次第に数を減らしていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ペイン・フィン
ファン(f07547)と
……厄介な相手、だね
でも、どうにもできないわけじゃない
一人では無理でも、ファンと一緒なら、ね
コードを使用
スマホのバベルの力を借りて、機械の翼を背中に
強化する技能は、空中戦、早業、武器受け
右手にファンを、左に、スタンガン“ニコラ・ライト”を装備
……ん
任せたし、任されたよ
まだまだ、死ぬ気は無いけど
まあ、やるだけやってみようか
機械の翼と靴の補助で、味方艦を背に宙を飛びながら接敵し、“ニコラ”を振るって攻撃
……無論、カウンターされるけど、想定済み
第六感と視力を全開にして、カウンターを見切り
早業でファンを振るって攻撃を受けて、そのカウンターを更に返すよ
……これを、越えられるかな?
ファン・ティンタン
【SPD】今時、刀からビームなんて当たり前
ペイン(f04450)と
惑星も破壊する威力とは、大きく出たね
……精々、行き過ぎた力で身を滅ぼしてもらおうか
さて、ペイン
私はUC発動に全集中するから、他の事は任せるよ
あなたは私が守る
失敗したって、私と一緒に死ぬだけだし、気楽に行こうか?
肉体形成をも解除し、自らが器物たる【天華】に全てを集約し、ペインの手に
明鏡止水にて虚心坦懐
心身をペインに全て委ね、泰然自若
迫るあらゆる攻撃を我が刀身にて返してみせよう
何なら、他の敵も巻き込んで【範囲攻撃】しようか
敵の反応速度が1/100秒だろうと1/1000秒だろうと、エネルギー波の速度を超えられるものなら、超えてみせなよ
「……厄介な相手、だね」
星と桜と雷とビームの輝きが照らす宇宙の戦場で、ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)は敵である真紅のウォーマシンの能力を確認する。
脅威となるのはやはり、情報にもあったエネルギーキャノン「ホウセンカ」。その威力は猟兵や宇宙船は無論のこと、集中運用すれば惑星さえ砕くだろう。
「でも、どうにもできないわけじゃない。一人では無理でも、ファンと一緒なら、ね」
そう言った彼の傍らにいるのは、ファン・ティンタン(天津華・f07547)。
暗黒の宇宙に映える白一色の装いをした彼女は、心繋いだ相棒の言葉に頷き。
「惑星も破壊する威力とは、大きく出たね……精々、行き過ぎた力で身を滅ぼしてもらおうか」
静かな自信に満ちた声音で、そう呟いたのだった。
「さて、ペイン。私はユーベルコード発動に全集中するから、他の事は任せるよ」
紅い敵機の姿を片目で捉えながら、ファンは自らの肉体の形成を解く。
少女の姿が消えた後に残されたのは、柄から刀身まで真っ白な一振りの護刀――「天華」。ヤドリガミたるファンの本体にして、魂のよすが。
「あなたは私が守る。失敗したって、私と一緒に死ぬだけだし、気楽に行こうか?」
「……ん。任せたし、任されたよ」
余計な気負いをまるで感じさせない声音に応じて、ペインはその刀を手に取る。
空いたもう一方の手には警棒型スタンガン"ニコラ・ライト"を。背中には変身するスマートフォン、鋼の燕"バベル"の力を現出させた機械の翼を。
「まだまだ、死ぬ気は無いけど。まあ、やるだけやってみようか」
絆を結んだ道具たち――【自分が変わってきた、その証拠】の力を携えて、少年は宇宙船を背に宙へ飛び立った。
「――敵影接近。迎撃準備」
近付いてくる新手の姿を捉えたウォーマシンは、腰の剣を抜いて構えを取る。
ペインは待ち構えられていることを承知の上で、あえて正面から攻撃を仕掛けた。
「……えい」
接敵と共に突き出した"ニコラ・ライト"は、拷問用の特別製。生物的な痛覚を持たない機械や電脳体にすら、"苦痛"というデータを電流と共に流し込む。
だがどんな代物だろうとも、当たらなければ意味はない。電光を纏った警棒は機械兵士の驚くべき反応速度によって弾かれ、直後に【報復の砲華】が実行される。
「――チャージ完了」
至近距離から向けられる「ホウセンカ」の砲口。この距離からの直撃を受ければ、彼がヤドリガミであるかなど関係なく、本体の器物ごと吹き飛ばされるだろう。
「――――」
そんな窮地にありながら、ペインの手に収まったファンの心は穏やかだった。
その境地は明鏡止水にて虚心坦懐。己の全てを集約した一振りを預ける、それは心身の全てを彼に委ねたということに他ならない。
自分が成すべきことはただ一つ。他のことは全てペインを信じて任せればいい。
(さぁ……おいで。私の型はもう、出来ているから)
泰然自若の心持ちのまま、ファンはその一瞬のみに意識を集中させていく。
「……そのカウンターは、想定済み」
時間にすれば刹那の間隙。ファンの信頼を受け取ったペインは「ホウセンカ」の砲撃が放たれるその瞬間に「天華」を振るった。
刀によるビームの迎撃。尋常であれば決して成し得なかったことを、彼は"バベル"から借り受けた技能と身体能力の強化によって成立させた――この瞬間に、彼らの勝利は確定したと言ってもいい。
(迫るあらゆる攻撃を、我が刀身にて返してみせよう)
純白の刃が閃光を受け止めた時、ファンのユーベルコード【後の先】が発動する。
その効果は攻撃の無効化と反射。鏡写しのように跳ね返された「ホウセンカ」の砲撃は、そのまま射手たるウォーマシン本人へ襲い掛かる。
「―――!」
再度の迎撃は間に合わない。ウォーマシンの反応速度が100分の1秒だろうと1000分の1秒だろうと、至近距離でビームを剣で迎撃するなど"尋常であれば"成し得ない。
「……これを、越えられるかな?」
「超えられるものなら、超えてみせなよ」
ペインとファン、二人の技と絆が成し遂げたカウンターは射手のボディを蒸発させ、さらに周囲にいた他のウォーマシンまで巻き込んでいく。
「ホウセンカ」が誇る絶大な威力は、当然、その使い手でさえ耐えられるものではなかった。
――やがて「天華」の刀身の煌めきが収まった時、二人の周辺にいた敵機は、一機残らず一掃されていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルクレイフェ・アニェージ
宇宙空間での戦いなんて…とか思っていたけど。
なるほど、良く考えれば周囲に巻き込む物が無いのは
私にとって有難い話しだったわ。
普段は使えないスケールの大きい魔法が使えるものね。
試したいものがあれこれあったのよ。
…でも、あの化け物より先にまずはあの外殻かしら?
いいわ、お相手してあげます。
五指に魔力を宿し、混血魔杖『リヨンラッゼ』を起動
宝玉から生まれた5つの力を混ぜて溶かし1つの魔法を形成
トーラスルーチェを発動させるわ。
形成された炎のリングを自身の周囲に周回させ
高速移動をする敵の進行ルートを誘導する様に
1つずつ敵に対して発射
敵の行動を見切った時に残りの全弾を一斉斉射するわ。
アレンジ歓迎
絡み歓迎です。
「宇宙空間での戦いなんて……とか思っていたけど。なるほど、良く考えれば周囲に巻き込む物が無いのは私にとって有難い話しだったわ」
遮るものが何もない、広大無辺な宇宙空間にふわりと浮かびながら、魔術師ルクレイフェ・アニェージ(キメラレイド・f01367)はそう呟いた。
「普段は使えないスケールの大きい魔法が使えるものね。試したいものがあれこれあったのよ」
被害の心配をする必要のない環境。そして実験台としてはうってつけな巨大さを誇るマインドミナBVAを彼方に眺め、さて何から使ってやろうかと思案する。そんな彼女のもとに急接近してくるのは、本体から新たに分離された変身外殻であった。
「……でも、あの化け物より先にまずはあの外殻かしら? いいわ、お相手してあげます」
急速に形を変化させ、真紅のウォーマシン部隊の姿を取る外殻を前に、混血魔導の使い手はすっと構えを取った。
「遊んであげるわ、さぁ……」
五指に魔力を宿し、装着した混血魔杖『リヨンラッゼ』を起動する。
5つの指輪にはめ込まれた宝玉が輝き、生じた5つの力を混ぜて溶かし、1つの魔法を形成する。多様なる力の混成こそが、ルクレイフェの操る混血魔導の本質。
「この炎の試練、見事掻い潜りなさい」
形成したのは赫々と燃え盛る49の炎のリング【トーラスルーチェ】。
術者を中心として惑星のように周回するそれは、接近するウォーマシンを標的と定めると、勢いよく回転しながら飛んでいった。
「高熱の飛翔体を感知。回避行動を行う」
飛来する炎のリングに対して、ウォーマシン部隊は背中の放熱板から熱量を放出しながら高速機動を開始。機体出力にものを言わせた巨体に見合わぬスピードで、次々とリングを躱していく。
「あら、なかなかやるわね」
微笑みを浮かべながらルクレイフェは動じない。周回するリングの中から1つずつ炎を発射しながら、個々のリングを別々に操って、敵の動きを誘導していく。
確かに敵は速いが、それほど複雑な機動ができる訳ではないようだ。彼女の頭脳を以ってすれば進行ルートを先読みして、進路を変更させるのも不可能ではない。
――やがて、バラバラに回避行動を行っていたはずのウォーマシン部隊は、炎のリングを躱しているうちに宙域の一箇所へと集まっていく。
「残念、逃げ切れなかったわね」
彼らがまんまとルクレイフェの狙い通りに誘導されたと悟った時にはもう遅く。
追い込んだ敵を一網打尽にすべく、残っていた全弾による一斉射撃が放たれる。
「回避を―――」
逃げ道はすべて、事前に放たれた炎のリングによって塞がれている。
混ざって溶けて、1つの巨大な炎環となった【トーラスルーチェ】は、密集したウォーマシン達のボディを超高熱で溶断し、薙ぎ払っていく。
「―――!!!!」
輪切りにされた機械兵士らは、驚きの声を上げる間もなく、爆発四散したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ヘスティア・イクテュス
クエーサービーストの外殻…
今後より強大なあれ等と戦うためにも入手は必須でしょうね…
そのためにも、まずは外殻の変化したあれを片付けましょうか
ヘスティア・イクテュス出るわよ!
外殻が変化した存在だけど【ハッキング】は効くのかしら?
アベルに相手の動きを【情報収集】し行動予測
ティターニアをブースト、機動戦に持ち込むわ!
あのでっかい大砲を狙えば、こっちに気を向けなわけにはいかないわよね!
ミスティルテインで牽制と武器狙いを兼ねて攻撃!
途中ダミーバルーンを放出して囮に…高速移動中は人型の物に気をとられやすいでしょ!
その隙にマイクロミサイルとミスティルテインを合わせて【一斉発射】!
「クエーサービーストの外殻……今後より強大なあれ等と戦うためにも入手は必須でしょうね……」
遠方からでもはっきりと視認できるマインドミナBVAと、その外殻が変身した敵の姿を確認して、ヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長・f04572)は思案する。
これから激しさを増すであろう敵との戦いにおいて、オブリビオンの性質すら再現するあの外殻は、素材として無限の可能性を秘めていると言っていい。
「そのためにも、まずは外殻の変化したあれを片付けましょうか。ヘスティア・イクテュス出るわよ!」
ジェットパック「ティターニア」を妖精の羽のように展開し、威勢のよい掛け声と共に、少女は宇宙船から飛び立っていった。
「敵影補足。『ホウセンカ』チャージ開始」
戦場に現れた新手を認識したウォーマシン部隊は、搭載した巨大なエネルギーキャノンの砲口をそちらに向ける。その充填と照準が完了する前に、ヘスティアはティターニアの出力をブーストし高速での機動戦へと持ち込んだ。
「外殻が変化した存在だけど、ハッキングは効くのかしら?」
ここまで機能を再現した相手ならば、電子戦も有効かもしれない。
彼女はすぐさま【サポートAI端末 ティンク・アベル】を起動する。
「アベル、状況把握。指示、お願いするわ」
『かしこまりました、お嬢様』
執事のような穏やかな口ぶりのAIが応え、敵の情報解析と行動予測を開始する。
解析が完了するまで、ヘスティアにできることは敵に砲撃の的を絞らせないよう、戦場を飛び回って撹乱することだ。
「そのでっかい大砲を狙えば、こっちに気を向けないわけにはいかないわよね!」
可変型ビームライフル「ティターニア」から閃光を放ち、ウォーマシン部隊のメイン武装である「ホウセンカ」を執拗に狙うヘスティア。敵も黙ってそれを放置しているわけにもいかず高速移動モードを起動し、飛び回る彼女の後を追う。
ヘスティアからすれば、こうして自分が注目を集めたぶんだけ宇宙船への脅威が薄れるのだから、狙い通りだ。
「こっちよ、こっち!」
追ってくる敵をビームライフルの連射で牽制しながら、ジェットパックで縦横無尽に戦場を翔ける彼女の姿は、まさに宇宙を舞う妖精であった。
『解析完了しました。バルーンをお使いください』
「わかったわ」
"アベル"からの合図と同時に、ヘスティアは偽装用のダミーバルーンを放出する。
宇宙空間に投棄されたバルーンは、一瞬のうちにヘスティアのサイズと姿を大まかに模した形へと膨らんで、敵の攻撃を誘導する囮となる。
「高速移動中は人型の物に気をとられやすいでしょ!」
これまで散々相手を引っ張りまわしてきたのは、全てこの作戦のため。
さらに"アベル"がウォーマシン部隊のセンサーにハッキングを行い、僅かな間ではあるが、バルーンをより本物と見紛うように錯覚させる。
「照準完了――」
漂うバルーンを本物だと誤認した敵は、一斉に「ホウセンカ」を発射する。
大量のビームの直撃を浴びて蒸発するターゲット。しかし言わずもがな、その射線上に本物のヘスティアはいない。
「引っかかったわね。さあ、これでも食らいなさい!」
敵がビームを撃ちきった直後の隙を逃さず、ヘスティアは即座に反撃へと転じる。
ティターニアに内蔵されたマイクロミサイルの一斉発射と、ミスティルテインのビーム弾幕が、無防備なウォーマシン部隊に降り注ぐ。
爆発と閃光が戦場に巻き起こり――視界が晴れた時、そこに残っていたのは粉々に破壊された機械人形の残骸だけであった。
「やったわ!」
『お見事です、お嬢様』
AIからの賛辞を受け、満足げに微笑んだヘスティアは、次なる標的を探して宇宙を翔けるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
敵の手の内が判ってるなら、やりようはある…。
わたしは敵が前線を突破してきたり、狙撃してきた時に備えて船の外壁で待機するよ…。
【九尾化・魔剣の巫女媛】の封印解放…。
九尾化の呪力と【呪詛、オーラ防御、高速詠唱、全力魔法】で宇宙船に防御術式を展開…。
更に敵の砲撃に合わせて、巫女媛により強化したアンサラーの力【呪詛、カウンター、オーラ防御、武器受け、早業】を解放し、ホウセンカを反射…。
その力、逆に利用させて貰うよ…。
後は適宜アンサラーで砲撃を反射しつつ、そのまま船に接近してくる敵を無限の魔剣による一斉斉射や黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】で迎撃し、船を防衛するよ…。
この船は落とさせない…
前線で多くの猟兵が戦う一方で、あえて護衛として宇宙船の付近に残る者もいる。
船の外壁を背にして宇宙に浮かぶ、巫女装束を纏った妖狐の少女――雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、前線を突破してきた敵を迎撃するために待機していた。
「敵の手の内が判ってるなら、やりようはある……」
紅いウォーマシン部隊の主な武装は、長距離狙撃も可能なエネルギーキャノン「ホウセンカ」。その射程と威力は凄まじいものだが、既に対抗する手段は考えてある。
【九尾化・魔剣の巫女媛】を発動した璃奈は、封印より解き放たれた自らの莫大な呪力を使って呪文を唱えると、宇宙船の外壁を覆う大規模な防御術式を展開する。
「来た……」
彼女が視界に捉えたのは、前線から抜け出してこちらにに迫ってくる紅い機影。
猟兵達の迎撃網から漏れたウォーマシンが、「ホウセンカ」の砲口を向けている。
「――目標補足。撃墜する」
宇宙船を射程内に収めたウォーマシンは、躊躇うことなくトリガーを引いた。
発射されたのは、船内にいる人々の命を一瞬で消滅させる威力を秘めた滅びの光。
――その射線上に、璃奈は臆することなく立ちはだかる。
来ると分かっている狙撃であれば、タイミングを合わせることも可能。宇宙船を貫くはずのビームを受け止めたのは、璃奈が抜いた魔剣アンサラーの刀身だった。
「その力、逆に利用させて貰うよ……」
アンサラーには敵から受けた攻撃を相手に跳ね返す、報復の魔力が宿っている。さらに巫女媛の封印を解いた今の璃奈には、魔剣・妖刀の力を増幅させる能力がある。
結果――まるで鏡に反射するレーザーのように「ホウセンカ」の砲撃は跳ね返される。跡形もなく蒸発したのは、射手であるウォーマシンの方だった。
――その後も散発的にではあるが、前線を突破するウォーマシンは何度も現れた。
彼らは放熱板を広げ、スラスターを全力で噴射して宇宙船へ高速接近してくる。
そのたびに璃奈は、宇宙船を守るために自らが祀る魔剣の数々を振るった。
「この船は落とさせない……」
魔剣の巫女媛の力によって顕現した、凄まじい呪力を帯びた無限の魔剣。
その一斉斉射が、接近するウォーマシンを次々に撃墜する。
それでもなお肉迫してきた機体を迎え撃つのは、呪槍・黒桜の一閃。
宇宙空間に舞い散る桜吹雪のような呪力の嵐は、紅いウォーマシンのボディを漆黒で塗りつぶしながら、宇宙の彼方へと吹き飛ばしていった。
「何度やっても、同じこと……絶対に、落とさせない……」
接近は困難とみて、再び「ホウセンカ」の狙撃を試みるウォーマシンがいても、璃奈の振るうアンサラーは全ての砲撃を反射して、愚かな射手に報復する。
戦いが激しさを増す中で、彼女が守護する宇宙船は今だに傷一つない。
戦闘の余波や流れ弾すら、展開された防御術式が全て防ぎきっていた。
――やがて、璃奈の前にまでやって来る敵は一機もいなくなる。
それは、前線での戦いが終息に向かいつつあることも示していた。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
あの機体群…細部に差異がありますが基礎設計は間違いなく私と同一
被造物である以上当然ではありますが…
いえ、宇宙船に近づけさせる訳にはいきません
早急に排除しなくては
機械馬に●騎乗しUCで宇宙船から急速先行
敵集団に突入し惹きつけ撹乱することで●かばいます
センサーでの●情報収集で周囲の敵配置や充填時熱量から攻撃タイミングを●見切り包囲攻撃を掻い潜って回避
●怪力によるランスの一撃で防御の剣ごと粉砕
敵そのものを●踏みつけ三次元的機動での急速方向転換と攻撃の回避、同士討ちも狙い敵群を混乱させましょう
しかし用途と外観に「歪さ」を感じる機体です
そして、なぜ私はその違和感よりも「哀しみ」を覚えているのでしょうか…
「あの機体群……細部に差異がありますが基礎設計は間違いなく私と同一」
真紅に塗られた大筒持ちのウォーマシン部隊の姿を分析し、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は確信を抱く。
銀河帝国の式典・要人警護機体として開発されたトリテレイアと、大型標的砲撃用として運用された彼らとでは特に武装面での違いが大きいが、その「騎士」を思わせる機体のフォルムは強く共通性を感じさせるものだ。
「被造物である以上当然ではありますが……いえ、宇宙船に近づけさせる訳にはいきません。早急に排除しなくては」
ある種、袂を分かった兄弟と言えるかもしれない相手との思わぬ対峙に思考を揺さぶられながらも、彼はランスを手に取ると機械白馬「ロシナンテⅡ」に跨る。
宇宙船に乗る大勢の命を思えば、騎士に逡巡の余地など残されていなかった。
「――敵機確認。急速接近」
スラスターから流星の尾のようにジェットを噴射しながら、機械馬を駆り猛然と突撃してくるトリテレイアの姿に、敵ウォーマシン部隊の注目は釘付けとなる。
愚直なまでに一直線な【機械騎士の突撃】は、自らを囮として護るべき宇宙船から注意をそらすための作戦。そのまま敵集団のど真ん中に突入した彼は、敵を撹乱すべく力任せにランスを振るう。
「貴方達の相手は私です」
「脅威判定・大。早急な排除を――」
飛び込んできたトリテレイアに「ホウセンカ」を向ける真紅のウォーマシン達。
だが、四方八方から砲口を向けられようとも白き騎士は動じない。この状況で迂闊に砲撃を行えば、壮絶な同士討ちが起こると分かっているからだ。
「条件次第で惑星すら破壊可能な大砲。その過剰な威力が仇となりましたね」
トリテレイアは各種センサーで敵の配置と砲身の向きを見極める。自分の向こう側に他の機体がいれば、相手はチャージが完了していても撃つことはできない。
さらに、彼らの背部に搭載された巨大な放熱板。それと「ホウセンカ」の砲身に溜まっている熱量を観測すれば、充填状況もおおむね把握できる。
「この間合いであれば、武装の差で私が有利です」
冷静な判断と情報収集によって砲撃のタイミングを見切ったトリテレイアは、包囲下にありながら縦横無尽に攻撃を掻い潜り、そのまま反撃へと転じる。
無重力の世界においても、質量は正義だ。駆ける馬上より繰り出されるランスの一撃は、彼自身の膂力も加わって大きな威力を発揮する。
「迎撃を―――」
咄嗟に紅の機械兵士が抜き放った剣は、白の機械騎士の槍により粉砕され。
その穂先は勢いを止めることなく中枢を貫き、目標の機能を停止させた。
「――目標補足」
だが、敵を仕留めるために騎馬が動きを止めるその瞬間を見計らったように。
既にチャージを完了させていた一機のウォーマシンが、砲撃体制に入る。
「破壊する―――」
「いいえ、まだです」
トリテレイアはたった今倒した機体を踏みつけて、慣性の支配する宇宙空間で三次元的な急速方向転換を成し遂げる。同時に踏みつけられた機体は反作用によって弾き飛ばされ、今まさにトリガーを引こうとしていたウォーマシンに衝突する。
「―――!!」
衝撃により「ホウセンカ」の砲身の向きが変わる。直後に発射された光線はトリテレイアではなく、新たな射線上にいた運の悪い同型機達を消し飛ばす。
誘発された同士討ちはたちまち部隊の混乱を引き起こし、規律だった連携には大きな乱れが生じ始めた。
――こうなれば、もはや彼らはトリテレイアの敵ではない。
群としての強みを喪失した敵を、白の機械騎士は一機ずつ確実に破壊していく。
(しかし用途と外観に「歪さ」を感じる機体です)
馬上槍で紅いウォーマシンを貫きながら、ふと思うのは彼らの設計への疑問。
惑星などの大規模な目標を破壊するためなら、何故彼らは「騎士」の姿をしているのか。彼らの基礎設計がトリテレイアと同一であるのならば、それは決して砲撃戦に最適化された設計とは言い難いだろう。
(そして、なぜ私はその違和感よりも「哀しみ」を覚えているのでしょうか……)
剣よりも砲を持つことを、一騎打ちではなく破壊と蹂躙を求められる機械兵士達。
なぜ、彼らにそんな感情を抱くのか――トリテレイアのメモリーに刻まれた空白は、何も答えてはくれなかった。
大成功
🔵🔵🔵
トルメンタ・アンゲルス
※『』はベルトの音声
大型キャノンを無数に用意する。
成程、それは実に脅威になりますねぇ。
ならば、近づく前に悉く蹴り穿ち、デブリにするまで!
行くぞ相棒!
変身!アクセルユニゾン!
『MaximumEngine――Mode:Formula』
相棒の宇宙バイクを攻撃力重視の装甲として変身合体!
全速力で宇宙空間に飛び出します!
全力のダッシュで突撃!
見切りや第六感、残像を駆使し、物理法則を無視した軌道で駆け回り撹乱します!
如何に攻撃を捌こうとも、俺にとっては隙だらけ!
お前らには、速さが足りない!!
次から次へ光が反射するように、その装甲を砕き、蹴り穿つ!
路を開けやがれェ!
追撃のォ!
ブリッツランツェエエエ!!!!
「大型キャノンを無数に用意する。成程、それは実に脅威になりますねぇ」
明快ながら侮れない戦法だと、モニターに映る敵を確認しながら感心したように呟くのはトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)。彼女は今、宇宙船内のカタパルトにて愛機「NoChaser」に跨り、発進準備を整えたところだった。
「ならば、近づく前に悉く蹴り穿ち、デブリにするまで! 行くぞ相棒!」
エンジンが唸り、ブースターに光が灯り、蒼き車体が駆動する。
標的を正面に捉えた彼女は、全速力で宇宙へ飛び出しながら、叫んだ。
「変身! アクセルユニゾン!」
『MaximumEngine――Mode:Formula』
トルメンタの腰の変身ベルト「MaximumEngine=Neo」から音声が流れ、「NoChaser」が変形していく。蒼い宇宙バイクから、使い手の全身を覆う強化装甲へと。
一瞬のうちに彼女の姿は、スマートなフォルムの機械鎧を纏った戦士へと変わる。
これこそが流星ライダー・トルメンタの変身合体。文字通りの人機一体を果たした戦闘形態である。
「俺に走れぬ場所はない!」
変身完了したトルメンタは、背部からジェットを噴射しながら真空の宙を疾駆する。発進時の初速からさらに速く、なおも速く。その姿はさながら蒼き流星。
そのスピードに驚いたのは「ホウセンカ」を構えた敵のウォーマシン部隊である。
「敵機、急速接近。接触まであと2びょ―――」
「遅いっ!」
マシンの予測さえも上回る速さ。流星の尾のように残像を引きながら、物理法則を超越した軌道で縦横無尽に駆け回るトルメンタを、誰も捉えることはできない。
「こいつを食らえ!」
超スピードで敵集団を撹乱しながら、飛び蹴りを放つトルメンタ。
敵のウォーマシン部隊は剣を抜いて迎撃の構えを取るが――蒼い流星のスピードは彼らの反応速度すらも凌駕していた。
「如何に攻撃を捌こうとも、俺にとっては隙だらけ!」
紅い装甲を蹴り穿つ瞬速のキック。
それは一発限りではなく次から次へ光が反射するように四方八方から突き刺さる。
「迎撃、失敗」
「反撃、不可能」
まるで為す術なく、一方的に圧倒されるウォーマシン部隊の敗因は、たった一つ。
「お前らには、速さが足りない!!」
機体の俊敏性。反応速度。思考速度。それら全てを含めた"速さ"の差。
どんな大砲も当たらなければ――否、そもそも撃つ猶予さえ与えられなければ、ただの筒に過ぎないのだ。
――もっと速く。さらに速く。どこまでも果てしないスピードの向こう側へ。
加速を続けるトルメンタにとって、敵はもはや路を塞ぐ障害物に過ぎない。
「路を開けやがれェ!」
烈帛の気合いと共に咆哮し、蹴り穿った敵の機体を踏み台にして、さらに加速。
自身の脚力と「NoChaser」の動力、全ての推進力を活用して、星の海を駆ける。
その瞬間、彼女は閃光となる――
「追撃のォ! ブリッツランツェエエエ!!!!」
恒星よりも激しい流星の輝きが、鈍重なウォーマシン部隊を貫く。
人機一体となり、ひたすらに"速さ"を追求してきた彼女が放つ光速の一撃。
その余りの速さに、敵は自らが破壊されたことにも気付かないまま、爆散した。
トルメンタは振り返らない。
蹴り穿った連中の残骸になど一瞥もくれず、ただ前だけを見て走り続ける。
その前方には、星にも匹敵するクエーサービーストの偉容が待ち受けていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『クエーサービースト・マインドミナBVA』
|
POW : BVAジェノビック
【無限に変化する外殻が超殺戮形態 】に変形し、自身の【防御力】を代償に、自身の【攻撃力と攻撃速度】を強化する。
SPD : BVAエクスタリ
いま戦っている対象に有効な【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : BVAリモーフ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【無限に変化する外殻によって再現し 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
イラスト:はるまき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紅いウォーマシン部隊に変身した外殻群を撃破し、宇宙船を守り抜いた猟兵達。
しかし息を吐く間もなく、戦闘宙域を離脱した宇宙船から通信が入る。
『猟兵達よ、聞こえるか? 来るぞ、連中の"本体"が―――!』
"それ"は、あまりにも異様で、あまりにも奇怪で、そしてあまりにも巨大だった。
およそ人類が知るあらゆる生物種とも類似しない、星に匹敵する超巨大宇宙生物。
クエーサービースト『マインドミナBVA』が、猟兵達の眼前に立ちはだかる。
"それ"は言葉を発しない。知性の有無さえ定かではなく、意思疎通は不可能だ。
だが、それが人類にとって友好的な存在では無いことは明白だった。
猟兵が"間合い"に入った瞬間、マインドミナBVAは全身を覆う外殻を変形させ始める。
それは意志に感応し、目的に応じて無限に変化する、万能の矛にして盾。
これを手に入れるのが今回の猟兵の目的のひとつでもある――だが、そのためにはまずこれを撃破しなければならないという、まさに矛盾。
だが、矛盾も理不尽も法則も超越するユーベルコードの力が、猟兵達にはある。
『我々には、見ていることしか出来ないが――せめて武運を祈る!』
宇宙船はすでに安全圏へと退避している。ここからは護衛を気にする必要もない。
各々が持てる全力を以って、猟兵達は未踏宙域の支配者に立ち向かう。
フレミア・レイブラッド
過去に倒したキエリビウムといい、本当に馬鹿げた大きさよね…良いわ、どんな相手にもやりようはあるしね
【ブラッディ・フォール】で「魔女と悪魔と雪見風呂」の「アークデーモン」の力を使用(体が灰色になり、悪魔の角と翼、尻尾が生えた姿)。【妖星招来】による巨大隕石を敵本体に次々と叩き込み、更に【攻性魔法・多重発動】【属性攻撃】による各属性の攻撃魔法や呪縛魔法を大量に発動・放って次々と外殻を迎撃し、殲滅していくわ。
敵の攻撃は呪縛魔法で抑えつつ【見切り、第六感】と【残像】残る程の速度で回避。
相手が星程大きいなら、こちらも星を叩き込めば良い…簡単な答えよね♪さぁ、砕け散りなさい!
雛菊・璃奈
どんなに大きくても、生物である以上、倒せない事はない…。
今、それを見せてあげる…。
【九尾化・魔剣の媛神】封印解放…。
神速化と凶太刀による二重加速の超神速で一気に接近…。
外殻を黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い】で吹き飛ばしつつ、【呪詛】で強化した無限の終焉の魔剣を各所(特に核となる本体)に叩き込み、【呪詛】と終焉の力で中枢まで侵食して停止に追い込むよ…。
敵の攻撃は外殻が無限に変化する以上、その都度形状等に応じて逐次対応…。敵の動きを【見切り】、【第六感】等も駆使して回避するよ…。
わたしが顕現させるのは万物を停止させ、終わらせる終焉の魔剣…貴方の全てをここに終わらせてあげる…。
「過去に倒したキエリビウムといい、本当に馬鹿げた大きさよね……良いわ、どんな相手にもやりようはあるしね」
規格外に巨大な敵を前にしても、フレミアは怯むどころか優雅に微笑んでみせる。
そして鳴神との【ブラッディ・フォール】を解除すると、新たなオブリビオンの力を骸の海から呼び覚まし、その身に纏っていく。
「どんなに大きくても、生物である以上、倒せない事はない……」
これがクエーサービーストとの初遭遇となる璃奈にも、動じた様子はまるでなく。
巫女媛に続いて【九尾化・魔剣の媛神】の封印解放――その身に莫大な呪力を纏ったまま妖刀・九尾乃凶太刀を構えると、神速の歩法で虚空を蹴った。
――対するマインドミナBVAにこれといった動きは見られない。
あまりにも大きすぎるために、動きの全体像を把握しづらいと言ったほうが正確か。それはただ悠然と猟兵達を押し潰さんばかりに迫り、その攻撃を待ち受ける。
「我が眼前に立ち塞がる全ての敵に悉く滅びと終焉を……!」
媛神の封印解放によって得た神速の力と、妖刀がもたらす高速化の呪力。
その二重加速により神速を超えたスピードを得た璃奈は、閃光のごとく目標の表面まで到達すると、呪槍・黒桜を一閃する。
先の戦いではウォーマシン化した変身外殻を蹴散らした呪力の花吹雪。それは彼女の攻撃がマインドミナBVAの外殻に有効打を与えられることを示している。
宇宙に吹き荒れる漆黒の花弁が、ガリガリと凄まじい勢いで装甲を削っていく。
「あなたに相応しいスケールの攻撃を用意したわ」
その後方では、悪魔のような角と翼と尻尾を生やし、肌が灰色に変化したフレミアが、凄まじい魔力を周囲に放ちながら呪文を詠唱している。
アックス&ウィザーズで交戦した魔神「アークデーモン」の力を宿した彼女が、虚空に描いた大きな魔法陣から招来するのは、幾つもの巨大な隕石だった。
「相手が星程大きいなら、こちらも星を叩き込めば良い……簡単な答えよね♪」
シンプルゆえに有効な、しかし誰にでも出来るわけではない対抗策。
それを楽しげに微笑みながら実現してみせた吸血姫の【妖星招来】が、マインドミナBVAに降り注ぐ。
璃奈が削った装甲部分へと、吸い込まれるように着弾するフレミアの妖星。
巨大なふたつの質量の激突は凄まじい衝撃を起こし、砕けた星と外殻の破片が宙に散らばっていく。マインドミナBVAに悲鳴を上げるような機能はなかったが、その星のごとき体躯は大きく横に傾き、全身を覆う外殻には大きな破損が生じていた。
「外殻が砕けた……今なら……」
露出したマインドミナBVAの本体へと、璃奈はすかさず追撃の魔剣を叩き込む。
媛神の呪力によって強化された、無限に放たれる終焉の魔剣達は、流星雨のように次々とクエーサービーストへ突き刺さり、その肉体を徐々に侵食していく。
いかに規格外だろうともコレが生物であるからには、どこかに心臓や中枢と呼べる場所があるはず。そこに呪詛と終焉の力を届かせれば、機能を停止させられる筈だ。
外殻を破壊され、本体にまで攻撃を受けたことで、敵も危機感を覚えたのだろう。
妖星との衝突で吹き飛んだ外殻の破片が【BVAリモーフ】によって変化していく。
大きな破片は隕石に。細かな破片は無数の魔剣と黒い桜の花弁に。
クエーサービーストの力により再現されたフレミアと璃奈の攻撃が、今度は彼女達自身に牙を剥いた。
「仕返しってことかしら? でもわたしはあなたほど大きくもノロマでもないのよ」
フレミアは詠唱も動作もなく呪縛魔法を発動し、飛来する攻撃の勢いを抑える。
そして悪魔の翼を広げると、灰色の残像を宇宙空間に描きながら、目にも留まらぬ速さで妖星や魔剣の雨を躱していく。
同時にその指先には魔神の力と吸血姫の力を練り上げた火球や雷光が。【攻性魔法・多重発動】によってこれらの魔法を一瞬で発動できるフレミアは、無限に変化する外殻を適切な魔法で迎撃し、次々とこれを殲滅していく。
「おうむ返しだね……魔剣の力なら、わたしが一番よく知ってる……」
璃奈もまた、巫女としての経験と研ぎ澄まされた第六感、そして媛神の神速を以って再現された自らの攻撃を見切り、魔剣と呪詛の嵐の中を駆け抜けていく。
その白い肌には傷一つなく、怜悧な銀の瞳は敵の姿をまっすぐに見据えている。
妖星が飛来すれば凶太刀の加速で回避。呪力の花吹雪は同じ黒桜の呪力で相殺。
変化する外殻の攻撃に合わせて適切な対応を取りながら、本体への攻撃の手も緩めない。無限に顕現する魔剣の呪詛は、猛毒となって着実にマインドミナBVAの総身を侵してゆく。
「わたしが顕現させるのは万物を停止させ、終わらせる終焉の魔剣……貴方の全てをここに終わらせてあげる……」
果たしてクエーサービーストが、その言葉を理解していたかは定かではない。
だが、解らずとも悟るだろう。この魔剣は脅威だと。外殻の一部を砕かれたマインドミナBVAの身体は、そこを起点としてじわじわと崩壊が広がっているのだから。
さらに璃奈の魔剣の侵食が進むことで脆くなった本体へと叩き込まれるのは、巨大魔法陣から次々と招来される妖星の流星群。流石にひとつひとつのサイズは小惑星クラスのマインドミナBVAには敵わないが、それでも十二分に過ぎる。
「さぁ、砕け散りなさい!」
フレミアの号令と共に叩きつけられる流星群。真空の宇宙空間ゆえに激突音や衝撃は響かないが、マインドミナBVAの体表に刻まれたクレーターのような傷が、そのダメージの大きさを物語っていた。
魔剣と妖星の豪雨によって打ち砕かれ、侵食されていくマインドミナBVA。
いかに規格外のスケールを誇る敵であろうとも、猟兵達の力は通用する――ふたりの攻撃はその事実を確かに証明していた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニニニナ・ロイガー(サポート)
ど〜も~
要請を受けて参りました、UDC職員のニニニナとドビーちゃんっす。
よろしくっすよ〜
そんなわけで、どんな触手がご入用っすか?
長い触手に太い触手、幅広触手に細触手。
鋸歯つきのゴリゴリ削れる触手にヒトデみたいな手裏剣触手、
ドリル触手に粘着触手に電撃触手その他色々行けるっすよ。
あるいは溶解液を吐く触手とかご所望っすかね?
麻痺触手に毒触手に石化触手になんなら自白用の催眠触手とか…
後は耐熱耐冷耐衝撃触手に再生触手なんかもOKっす。
マニアックな所だと按摩触手に美肌ローション触手、電脳アクセス触手とかも便利っすね。
あ、触手本体は見えないようになってるので、
一般人が狂気にとか気にしないで大丈夫っすよ~。
佐倉・理仁(サポート)
死霊使い、手ェ貸しに来たぜ……ところでココはドコだ?
んで俺自身、トクベツ出来る事っつったら死霊召喚【呪詛】くらいだ。亡霊や死の記憶、気配の感知や情報収集。
戦闘でもUCとして呼び出す死者達に頼る。火力がある方じゃねぇが、奴らは過去のモノ、滅びざる者共。ロクでもねぇ術だが戦いの役には立つ。【第六感】
機械部位もこの『機械喉』【高速詠唱】だけだし、飛んで跳ねて切った張ってなんてのも他に任せて後ろからサポートするよ。
手数を増やす役くらいにゃなるべ。
ま、なんの偶然かわからんが、事件に紛れ込んだからには出来る限りの事はしていくぜ。
「死霊使い、手ェ貸しに来たぜ……ところでココはドコだ?」
星の海を舞台にして、超巨大宇宙生物との激しい戦いを繰り広げる猟兵達。
そのサポートとしてやって来た佐倉・理仁(死霊使い・f14517)は、いきなり宇宙空間に転移されたことに戸惑うものの、すぐに状況を把握して戦闘態勢を取る。
「ど~も~。要請を受けて参りました、UDC職員のニニニナとドビーちゃんっす。よろしくっすよ~」
彼に続いて現れたのは、ニニニナ・ロイガー(一般UDC職員・f17135)。
普段はUDC組織で備品や危険物の維持・管理を行っている彼女も、要請があったなら無視もできまいと、寝不足をおしてやって来たのだ。
「そんなわけで、どんな触手がご入用っすか?」
その体内に棲まう異形なるモノ、本人曰くソウルフレンドの「ドビーちゃん」の不可視の触手をうごめかせながら、さも当然のようにニニニナは問う。
もともと一般職員ゆえにそこまで武闘派というわけではない彼女だが、操れる触手のレパートリーに関してはとかく群を抜いていた。
「長い触手に太い触手、幅広触手に細触手。鋸歯つきのゴリゴリ削れる触手にヒトデみたいな手裏剣触手、ドリル触手に粘着触手に電撃触手その他色々行けるっすよ」
「触手限定かよ。まあ俺も、トクベツ出来る事っつったら死霊召喚くらいだが……」
召喚を行うための魔本『あなたのための道標』を広げながら応じる理仁。
彼もまた、自ら飛んで跳ねて切った張ったを行うタイプではない。戦闘はもっぱら呼び出す死霊に頼り、後ろからサポートするのが彼の戦い方である。
強化人間とサイボーグ。ともに一芸に秀でた改造を施され、直接戦闘には向かないという点において、この二人は不思議と似通っていた。
「ま、なんの偶然かわからんが、事件に紛れ込んだからには出来る限りの事はしていくぜ」
気を取り直して魔本のページを捲り、標的のマインドミナBVAを見据える理仁。
ここからはまだかなりの距離があるにも関わらず、遠近感の狂うような巨大さだ。
だが大きいということは、それだけ攻撃を当てやすいということ。そしてここは宇宙、周囲に巻き込むようなものも無い。ならば遠慮なく死霊達を暴れさせられる。
「死が、お前を攫いに来る。そいつが奴らと、お前の最期の光景だ」
機械化された唯一の部位、魔術詠唱能力を強化した機械喉を震わせて唱える呪文は【死霊召喚・災厄の日】。骸の香りを漂わせながら現れた無数の死霊達が、炎の嵐や水の大渦、雷の雨や土石流を伴って一斉にマインドミナBVAに襲い掛かった。
「今日は好きに暴れていいぞ」
理仁は召喚した死霊達に呼びかけながら、その制御の手綱をあえて緩める。
半ば暴走状態となった死霊達は天災と共に荒れ狂い、まさに災厄の日としか言いようのない天変地異を宇宙空間に現出させる。
雷光が閃き、業火が吹き荒れ、濁流が渦巻き、汚泥が押し潰す。その範囲内に敵しかいないと分かっていなければ、とても実行出来ないであろう惨劇だった。
当然、その災厄の中心に巻き込まれたマインドミナBVAはタダでは済まない。
その外殻はボロボロと引き剥がされ、剥き出しになった本体が引き裂かれていく。
だがマインドミナの【BVAリモーフ】は外敵から受けた攻撃を瞬時に分析、再現し、剥がれ落ちた外殻は召喚された死霊の姿となって猟兵達に襲い掛かった。
「死霊にすら化けるのかよ、あの外殻は」
驚く理仁だったが、先の戦いであの外殻はオブリビオン――すなわち過去の亡霊にも変化している。無限に変化続けるあれに再現不可能なものは無いのかもしれない。
そして死霊とは過去のモノ、滅びざる者共。その"性質"さえ再現されているのだとすれば、これを迎撃するのは非常に困難になるが――。
「ここはアタシに任せてくださいっす」
立ちはだかったのはニニニナ。押し寄せる死霊化外殻を前にした彼女は、クマの目立つ顔でじっと相手と目を合わせながら、静かに呼びかけはじめる。
「アタシの心、聞こえてますか?」
邪神の細胞を植え付けられたニニニナにはUDC、すなわちオブリビオンと心を通わせる不思議な力がある。その能力を籠めた思念波を死霊にぶつけることで、彼らの内に潜む狂気を消し去る。それが彼女のユーベルコード【伝染する正気】。
強制的に正気に戻された死霊達は、現世への未練や執着を失って成仏していき、あとには元に戻った外殻だけが虚空を漂っていた。
だが再現死霊の攻撃を無効化して間もなく、今度はマインドミナBVA本体を覆う外殻が、より鋭角的で攻撃的な形状に変化していく。
装甲としての強度と引き換えに外殻を超殺戮形態に変形させる【BVAジェノビック】。その規格外の巨体そのものを武器として、猟兵達を殲滅するつもりだ。
――だが、この状況で攻撃よりも防御を優先したのは悪手だった。
「どんなに火力が上がっても、死霊には関係ないな」
先にも述べたとおり、理仁が召喚するのは過去のモノ、滅びざる者共。殺戮外殻にすり潰され、引き裂かれ、粉微塵にされようとも、妄執ある限り何度でも黄泉還る。
死霊の群れが壁となってマインドミナBVAの攻撃を引き受けているうちは、猟兵達に危害が及ぶことはない。その間にニニニナが不可視の触手をうねうねと伸ばす。
「おいでおいで~」
目標に合わせて最適化された触手は、溶解液を撒き散らしながらドリルのように尖った先端を回転させて、厄介な外殻をゴリゴリと削り取っていく。そして穴が開けばすかさず死霊が入り込み、巨大なクエーサービーストを体内から破壊する。
まるで岩が雨だれに打たれて穴が開くように、損壊していくマインドミナBVA。
猟兵達の打ちこむ一撃一撃は、星にさえ匹敵する大岩すら穿っていく。
いかに大いなるものであろうとも、この世に滅びと無縁のものはないのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ペイン・フィン
ファン(f07547)と
……さて
独りでは、厳しかっただろうけども
頼れる人が、居るからね
さあ、孤独な星を落としに行こうか
敵は、自分に有効な兵器を作ってくるみたい、だね
……巨体故に、攻撃範囲も大きいだろうし
避けられるとは、思わない
……なら、やることは、1つだね
コードを使用
向こうの兵器が、怨念でできた自分を浄化するものだと当たりを付けて
その攻撃を、身体の属性を一時的に反転して、無効化するよ
……いつもなら、身体の一部が精一杯だけど
この歌がある限り、全身でもどうにかなる
攻撃を無効化したら、反撃開始
任されたよ、ファン
毒湯“煉獄夜叉”で、外殻を融かす酸を作り、攻撃
鎧無視の強酸毒、無事で済む、かな?
ファン・ティンタン
【WIZ】兵器に声を解せるものか!
ペイン(f04450)と
アドリブ共闘も可
改めて、大きい相手だね
けれど、アレは独り
規模が大きかろうと、個は脆いと教えてあげるよ
【天声魂歌】
今ここに、私は歌う
宇宙に空気はないって?
知るかそんなこと、心で歌えば届くんだよ!
私は古きオラトリオが謹製の刃、歌に関して不可能は無いよ!……多分
※【コミュ力】【歌唱】【鼓舞】技能の昇華によるテレパシー的なうんぬんかんぬん
戦線一歩後方からの応援で味方のテンションアップ
同時に、広い視界を生かして敵の挙動を観察し【情報収集】
味方が敵の攻撃を【見切り】易いよう情報提供を怠らない
デカブツだからこそ利かない小回りもある
やっちゃえ、ペイン!
「改めて、大きい相手だね」
視界を覆い尽くさんばかりに巨大な敵の姿を見上げながら、ぽつりと呟くファン。
これまで戦ってきた数々の敵の中でも、規格外のスケールを誇るクエーサービースト。単独で宇宙すら自在に征くそれは、確かに強敵には違いないだろう。
「けれど、アレは独り。規模が大きかろうと、個は脆いと教えてあげるよ」
そうだろう――と、彼女が向けた眼差しの先には、相棒たるペインがいる。
「……さて。独りでは、厳しかっただろうけども。頼れる人が、居るからね」
ペインもまた、ファンに深い信頼のこもった眼差しと言葉で応える。
そして倒すべき敵と対峙すれば、気負うことなく静かに宣言する。
「さあ、孤独な星を落としに行こうか」
自分たちは一人じゃない。何処でだって、心で繋がっている。
ならばあんなデカブツごときに、恐れることなどありはしない。
「敵は、自分に有効な兵器を作ってくるみたい、だね……巨体故に、攻撃範囲も大きいだろうし」
これまでの戦いからマインドミナBVAの戦闘能力を分析したペイン。
彼は真空の宇宙を翔ぶように駆けながら、まっすぐ敵との距離を詰めていく。
「避けられるとは、思わない……なら、やることは、1つだね」
あえて無防備に近付くことで敵の攻撃を誘い、迎撃からの反撃に繋げる。
蟻と象を遥かに超えるこのサイズ差では無謀な賭けのように思えるが、彼には勝算があった。
――そしてファンは、巨大な敵に向かっていくペインの背を見守りながら、戦線より一歩下がった後方からユーベルコードを発動させる。
「今ここに、私は歌う」
【天声魂歌】。それは想いを乗せた歌や言葉――言霊の力で仲間を強化する御業。
しかし本来、音とは空気の振動である。震わすものが存在しない真空の宇宙では、その歌声はけして響かない筈だが――。
(知るかそんなこと、心で歌えば届くんだよ!)
物理の常識を超えた奇跡の力こそがユーベルコード。そこが海だろうと宇宙だろうと次元の果だろうと、想いを込めた歌声は必ず届く。ファンがそれを疑わない限り。
(私は古きオラトリオが謹製の刃、歌に関して不可能は無いよ! ……多分)
その唇から紡がれる清らかな音色は、確かな歌唱技術に裏打ちされた天使の調べ。
大事な仲間を鼓舞する想いを込められたそれは、物理的な障害を超えてコミュニケーションを可能とする、一種のテレパシー的な能力へと昇華された。
(聞こえてるよ、ファン)
歌声に耳を澄ませるペインの胸の奥から、熱いものと一緒に力が湧き上がる。
マインドミナBVAの姿は目前に。そしてその前には変化した外殻が立ちはだかる。
目標に対して最も有効な殺戮兵器を創造する【BVAエクスタリ】は、清らかな光を砲口から発するビーム砲台を作りあげた。
「やっぱりか」
当たりを付けておいて正解だったと呟くペイン。彼は人々の苦痛と悲鳴を受けてきた拷問具"指潰し"のヤドリガミ。怨念で構成された彼の身体は、清浄なる力に弱い。
まさしくペインを殺戮するためだけに最適化された兵器群が、一斉に光を放った。
「……今こそ、使いどき……、かな」
浄化の光に貫かれる寸前、ペインは【陰の中にありて尚照らされる】を発動する。
それは自身の肉体の性質を一時的に反転――すなわち怨念を破魔の力に変転させるユーベルコード。外殻兵器の"浄化"攻撃は、属性を変えてしまえば何の効果もない。
(……いつもなら、身体の一部が精一杯だけど)
降り注ぐ光線の豪雨から身を守るために、彼は全身にこの力を作用させる。
本来ならばあり得ないような能力の拡張使用。しかし今のペインには、離れていてもすぐ傍から聞こえてくる、大切なひとの歌声がある。
(この歌がある限り、全身でもどうにかなる)
共鳴するように湧き上がる胸の想いを力にして、その身を完全なる破魔に変えて。
光の嵐の中を無傷で突破したペインは、ついにマインドミナBVA本体に肉迫する。
「やっちゃえ、ペイン!」
「任されたよ、ファン」
ファンの声援を背に受けて、ここからが反撃開始だとペインは竹筒を取り出す。
栓を抜いて撒き散らしたのは毒湯"煉獄夜叉"。概念すら毒するその毒は、目標に合わせて自在に調合、変更が可能という、敵の外殻とある種似た性質を持っていた。
「デカブツだからこそ利かない小回りもある」
「鎧無視の強酸毒、無事で済む、かな?」
至近距離からの攻撃に避けようもなく、煮え立つ毒をばしゃりと浴びせられたマインドミナBVA。その外殻がしゅうしゅうを煙を上げながら融解していく。
クエーサービーストが悲鳴を上げることは無いが、震えるように揺れたその巨体が、受けたダメージと苦痛を如実に物語っていた。
「……ペイン、後ろだ!」
その時、ふいに後方から戦場を俯瞰していたファンが警告を発する。
広い視界を活かして敵の挙動を観察していた彼女は、外殻の一部がまた変形を始めたのに気付いたのだ。
ペインが即座に身を躱した直後、極太のレーザーが彼のいた場所を貫いていく。
マインドミナBVAの外殻は無限に変化を続け攻撃を進化させる。あと少し警告が遅れていれば、彼がどうなっていたかは分からない。
「助かったよ、ファン」
あわや窮地を救われたペインは毒湯をさらに撒き散らし、兵器化した外殻を破壊していく。対するファンは静かに微笑むと、また清らかなる歌声を戦場に響かせる。
マインドミナBVAも、その歌が敵に力を与えていることに気付いたのだろう。【BVAリモーフ】で溶け残った外殻を振動させ、天声魂歌を再現しようとするが――。
(兵器に声を解せるものか!)
ファンの能力は相手の"共感"あってこそのもの。コミュニケーション能力の欠落したマインドミナBVAや、その身体の一部でしかない外殻兵器には何の効果もない。
外殻の響かせる音はただのノイズにしかならず、聞くに耐えないとばかりにペインが浴びせる毒湯が、それらをすぐに沈黙させていく。
「彼女の、歌の邪魔を、しないでね」
大切なひとの歌声に支えられ戦うペイン。大切なひとのために歌い続けるファン。
固く結ばれた二人の絆は、孤独な宇宙のバケモノを着実に追い詰めていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヘスティア・イクテュス
さて、ようやっとお出ましね
さっさと倒して外殻を入手、更なる未踏宙域進出の一助とさせてもらいましょう
アベル、準備は良いわね?
スモークミサイルを発射し、一時的に見えないように【迷彩】
その間にダミーバルーンを展開し自身は光学迷彩で姿を…
バルーン周辺にはフェアリーを展開
アベルの遠隔操作で動かして本物の様に見せかけ
わたしは接敵、外殻のない部分、中身が見えてる部分にミスティルテインとマイクロミサイルの【一斉発射】でダメージを!
「さて、ようやっとお出ましね」
待ちくたびれたわと言わんばかりに、ジェットパックで宇宙を翔けるヘスティア。
その視線の先には今回の依頼のメインターゲット、マインドミナBVAがいる。
「さっさと倒して外殻を入手、更なる未踏宙域進出の一助とさせてもらいましょう。アベル、準備は良いわね?」
『問題ありません、お嬢様』
いつもと変わらない穏やかな口ぶりのAIの返答に、少女は小さく笑みを浮かべると、目標との交戦距離に突入する。
『目標の外殻分離を確認しました』
新たな猟兵の接近を感知したマインドミナBVAは、分離した外殻を盾のように並べて進路を阻まんとする。それはさながら、宇宙にそびえ立つ異形の長城だ。
『防壁を排除するために攻撃を行えば、目標は【BVAリモーフ】を発動し此方の攻撃を再現してくるでしょう。どうなさいますか、お嬢様』
「作戦に変更はないわ。スモークミサイル発射よ!」
ヘスティアが掛け声を放つと、搭載したマイクロミサイルが次々と発射される。
その目的は攻撃ではない。外殻の防壁に着弾する前に虚空で破裂したミサイルは、弾頭から真っ白な煙を吹き出して、戦場に煙幕を張った。
(今のうちに……光学迷彩を展開するわ)
一時的に煙幕の中に身を隠したヘスティアは、この隙に【オプティカル・カモフラージュ】を起動して透明化すると、気付かれないよう慎重に敵に接近していく。
(アベル、ダミーを)
『心得ております』
本人の移動に先駆けて展開されるのは、先の戦闘でも使用されたダミーバルーン。
今回はその周辺に無線誘導端末兵器フェアリーを漂わせ、AIのアベルに遠隔操作を行わせることで、いかにもそれが本物のように見せかける作戦だ。
『目標がダミーに反応しました』
果たしてマインドミナBVAは、端末を率いて煙の中から飛び出したそれをヘスティア本人と誤認し、すぐさま妨害のための外殻を差し向ける。
そうなれば当然、身を潜めている本物のヘスティアの進路上はクリアとなる。
この機を逃さず、彼女は「ティターニア」のジェットを最大出力で噴射すると、透明になったまま宇宙空間を翔け抜け、マインドミナBVAの体表まで接近する。
(攻撃に適したポイントは……)
間近で見ればほんとうに星の表面と区別がつかない、クエーサービーストの巨体。
だが本来なら大部分が外殻に覆われていたはずのその肉体は、度重なる猟兵の攻撃によって破壊され、無防備な中身を露出させている。ヘスティアが狙うのはそこだ。
「食らいなさい!」
避けようのないレンジから放たれる「ミスティルテイン」とマイクロミサイルの一斉発射。爆発と衝撃が目標の血肉を吹き飛ばし、ビームが体内を貫いていく。
『作戦成功です。お嬢様、離脱を』
ダミーの操作で外殻を引きつけていたアベルが、穏やかに主人に呼びかける。
敵からすれば、それは焼けた串で傷口を抉られたようなものだったろう。不意打ちで深刻なダメージを負ったマインドミナBVAは、悶えるように身体を震わせている。
戦果ありと判断したヘスティアは、敵の反撃が来る前にジェットパックを翼のように広げ、急速離脱するのだった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
SSW戦争の対艦戦に間に合わせる為とはいえ
重力下の使用に難、稼働時間問題と完成度は低め…
ですが何の因果かUCの属性を帯びたこの装備の出番ですね
維持費を取り返す程度には役立てねば…
普段と変わらずセンサーでの●情報収集で外殻の位置と攻撃を●見切り格納銃器の●スナイパー●武器落としと●武器受け●盾受けで防ぎ、外殻を●怪力の剣と銃器で撃墜し本体に接近
外殻が剥がれ防御力が落ちた箇所を攻撃すれば…目前でエネルギー切れ間近!?
機体を●ハッキングし操作をトレースから遠隔●操縦に切り替え
盾を前面に構えた●シールドバッシュ質量弾として機体を突っ込ませ、直前に機械馬に●騎乗し脱出
原型を保って回収できるといいですね…
猟兵達の激しい猛攻を受けて、次第に傷つき、破壊されていくマインドミナBVA。
しかし遠目に見れば満身創痍と呼べるほどにボロボロになっても、それはまだ活動を続けている。あまりにも巨大な生物は、生命力もまた尋常ではないのだろう。
そんなマインドミナBVAに接近する一体の機影があった。
全高約17m、総重量不明。超大型儀礼用長剣、超重質量大型シールド、その他各種内蔵武装、並びに高出力スラスター及び高感度マルチセンサー搭載。
その機体の名は航宙戦対応型合体ロボット『ブローディア』。機械騎士トリテレイア・ゼロナインに召喚され、彼と一体になって宇宙を駆ける、大いなる騎士である。
「空間転移に『ブローディア』全エネルギーの9割を消費……」
騎士型ロボの内部で合体したトリテレイアは、召喚にかかったコストと残存エネルギー量を確認して憂鬱に呟く。彼が人間だったら苦い顔をしていたかもしれない。
「スペースシップワールド戦争の対艦戦に間に合わせる為とはいえ、重力下の使用に難、稼働時間問題と完成度は低め……」
外観の勇壮さとは反して問題点も多いが、何の因果かこの機体はユーベルコードの属性を帯びている。規格外の大型目標を相手にする今こそ、この装備の出番だろう。
「維持費を取り返す程度には役立てねば……」
若干後ろ向きな決意を秘めながら、目標に接近するトリテレイアとブローディア。
小惑星サイズのクエーサービーストから見れば、2m未満の人間も17mのロボットも同じようなものかもしれない。だが、その火力と戦闘力は決して侮れない。
マインドミナBVAは残された外殻を変化させて【BVAジェノビック】を起動。
超殺戮形態と化した超巨大宇宙生物が、宇宙を駆ける騎士に牙を剥く。
「こうして近付くと、本当に星を相手に戦っているようです」
襲いかかる敵の猛攻を迎え撃つべく、ブローディアを操縦するトリテレイア。
この機体の基本的な戦い方は、操縦者の普段のそれをスケールアップしたものだ。各種センサーで敵の動きを探り、外殻の位置と攻撃のタイミングを見極め対処する。
「目標ロックオン。全門発射」
大砲のサイズに拡大された全身の格納銃器が火を噴き、襲来する外殻を撃墜する。それで落とし切れなかった外殻は長城のごとき盾で受け止め、剣で斬り払う。
17mの巨体を駆動させるのに相応しい怪力は、剣呑な形状をした巨大外殻を真っ二つに両断し、敵本体への道を切り開いていく。
「外殻が剥がれ防御力が落ちた箇所を攻撃すれば……目前でエネルギー切れ間近!?」
あと少しでマインドミナBVAを間合いに捉えられるという段階になって、突如として鳴り響いた警告音にトリテレイアは愕然とする。
表示されたエネルギー残量はあと1分動けるかどうか。白兵戦や機動戦のような複雑な動作を行えば、残り時間はさらに少なくなる。
何としてもそれまでに有効打を与えなければ、敵の目前で機能停止したブローディアは無数の外殻によって蹂躙され、跡形もなく破壊されるだろう。
「機体操作システムにアクセス。制御をトレースから遠隔操縦に変更」
トリテレイアの判断は迅速だった。機体の制御系にハッキングで強引に割り込みをかけて操作システムを切り替えると、残された出力の全てをスラスターに送る。
大盾を全面に構え、膨大な量のエネルギーを噴出しながら、一直線にマインドミナBVAに突っ込んでいくブローディア。その様は誰がどう見ても――特攻であった。
進路上にある外殻にも、もはや構わない。シールドバッシュの体制のまま加速を続ける騎士型ロボは、行く手にある全てを弾き飛ばしながら直進を続ける。
「脱出です!」
機体内の操縦ブロックから、トリテレイアが機械馬に乗って離脱した直後。
巨大な鋼鉄の質量弾と化したブローディアが、マインドミナBVAに着弾した。
衝撃、破壊、そして爆発。隕石衝突さながらの一撃を受けた肉体はごっそりと抉り飛ばされ、遠目からもはっきりと分かる巨大なクレーターがそこに出来上がる。
甚大なダメージを負ったマインドミナBVAの全身には亀裂が走り、血かどうかも分からない体液が河のように溢れ出す。
戦果としては上々だろう――そのために犠牲となった一機のロボをさておけば。
「原型を保って回収できるといいですね……」
機械馬の鞍上で戦果確認を行うトリテレイアは、濛々と煙を上げているクレーターの中心部をじっと見つめながら、被害予想と修理費のシミュレートを行うのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ルクレイフェ・アニェージ
星に匹敵する大きさ
つまりコレを破壊出来れば
私達は星を潰せる存在という事になるのかしら?
面白いわねそれ、だったら気合を入れて星砕きしてみせましょうか。
五指に魔力を宿し、混血魔杖『リヨンラッゼ』を起動
宝玉から生まれた5つの力を混ぜて溶かし1つの魔法を形成
使用出来る【全力魔法】【属性攻撃】【高速詠唱】【範囲攻撃】
等の技能もすべて総動員して魔力を高めるわ
生み出された魔法それは私の一族の究極魔法ジャルダレオン
まぁ、贋物だけど。
その顔面、穴だらけにして差し上げますわ。
アレンジや絡み歓迎です。
国栖ヶ谷・鈴鹿
●
おっっっっっっきい!
スケールが違うねコレ!
(内心、これを素材に出来たら、すっっっっっっごいことが出来そうなのでワクワクしてる)
【戦闘】
そういえば、『制御分捕回路』あれの説明で「生きている機械の制御を1つだけ奪う」って言ってたけど、「生きている」なら抵抗されるから精々1つだけしか奪えないんだ。
もし「死んでいる抵抗出来ない機械」なら?答えは「全ての制御を奪える」
戦場で大破したウォーマシン群をレストア、使用可能な砲台をかき集めて、一斉照射の陣形を形成。
ぼくはね、新品の機械を作ることも得意だけど、壊れた機械を使うことも得意分野なのさ。
「おっっっっっっきい! スケールが違うねコレ!」
改めて近くでマインドミナBVAを見て、驚きと感動の混ざった叫びを上げる鈴鹿。
その内心では(これを素材に出来たら、すっっっっっっごいことが出来そう)と、発明家としての好奇心と期待とワクワクが止まらない様子である。
「星に匹敵する大きさ。つまりコレを破壊出来れば、私達は星を潰せる存在という事になるのかしら?」
時を同じくしてルクレイフェもまた、興味深そうな視線を敵に向けている。
一体一体が小惑星サイズのクエーサービースト。それを撃破することができれば、確かに猟兵は星にも勝る力を有するという証明にもなろう。
「面白いわねそれ、だったら気合を入れて星砕きしてみせましょうか」
楽しげに笑った女魔導師は、魔杖リヨンラッゼに嵌めた宝玉を再び輝かせながら、魔法の形成を始める。混血魔導の秘奥、叡智の深淵をここに示すために。
彼方より放たれる魔力に反応したか、マインドミナBVAの方にも動きがあった。
大きく傷ついた星の獣は、残された外殻をかき集めて新たな殺戮兵器を生成する。
己に仇なすものを纏めて消し飛ばさんとしてか、その体表面に構築されたのは数百メートルはあろうかという大砲。真紅のウォーマシンに搭載されていた『ホウセンカ』をさらに巨大にしたような、規格外のエネルギー砲台だ。
「うっわぁ、あんなものまで作れちゃうんだね!」
【BVAエクスタリ】を見て、いっそう目をキラキラと輝かせる鈴鹿。その照準はまっすぐこちらを向いているというのに、恐怖を感じている様子は微塵もない。
そう、恐れる必要がないのだ。こんなこともあろうかと、マインドミナBVAの攻撃に対抗する手段は、もう用意してあるのだから。
『そういえば、『制御分捕回路』あれの説明で「生きている機械の制御を1つだけ奪う」って言ってたけど』
時は少し遡り、マインドミナBVAとの交戦が始まる直前のこと。
ウォーマシン部隊との戦いがあった宙域で、鈴鹿は楽しげに装置を操っていた。
『「生きている」なら抵抗されるから精々1つだけしか奪えないんだ』
彼女が回収しているのは破壊されたウォーマシンの残骸。虚空を漂うパーツの中から再利用可能なものを回収し、もう一度動かせるように修復していく。
搭載されていた『ホウセンカ』も、同様に破損が少ないものをかき集めておく。
『もし「死んでいる抵抗出来ない機械」なら? 答えは「全ての制御を奪える」』
"死んだ"ウォーマシンを復元し、制御分捕回路でコントロールする。
敵の一部だったものをこちらの武器にする、それが鈴鹿の考えついた奇策だった。
「ぼくはね、新品の機械を作ることも得意だけど、壊れた機械を使うことも得意分野なのさ」
そして今、鈴鹿の後ろにはレストアされた真紅のウォーマシン部隊が、改修された『ホウセンカ』を構えて砲撃陣形を形成していた。
その中に五体満足なものは一機もなく、修理にかけられる時間が少なかったこともあって今にも再び壊れてしまいそうなものばかりだが、それで問題ない。
とにかく一発でも撃てれば、惑星すら破壊可能と謳われた『ホウセンカ』の一斉砲撃は、クエーサービーストにも有効打を与えうるはずだから。
「我が一族究極の叡智を見せよう」
マインドミナBVAと鈴鹿のウォーマシン部隊、それぞれの砲身にエネルギーが溜まっていく中、ルクレイフェもまた自らの魔力を高めていく。
宝玉より生まれた5つの力を混ぜ合わせ、生じる混沌とした魔導のエネルギーに、意思の力で"魔法"というカタチを与える。魔術師として持てる全ての技術を総動員して、今にも暴れだしそうな魔力を制御し、増幅し、形成する。
「次元の彼方を往く数多の星よ、その身を劫火に包み敵を灰燼と帰せ」
【混血魔導・イッルジオーネ・ジャルダレオン】。それはルクレイフェの一族に伝わる究極魔法。瞬く星々のような無数の魔法陣から隕石の雨を降り注がせる、恐るべき破壊の御業。
「まぁ、贋物だけど」
そう本人が嘯くとおり、これは一族が修めるべき本来の魔術ではなく、他のあらゆる分野の魔術を取り込み、混ぜ合わせることで再現された、外法の業に過ぎない。
だが、たとえ贋物であろうとも、威力までもがオリジナルに劣るとは限らない。
彼女は混沌魔導の魔術師。落第の烙印を押され、外法と忌み嫌われようとも、己の実力をもって数々の功績を成し遂げてきた、紛れもない達人なのだから。
「その顔面、穴だらけにして差し上げますわ」
揺らがぬ自信に満ちた宣告と同時、輝ける魔法陣から無数の隕石が放たれる。
一石一石はクエーサービーストと比較すれば小石のようなサイズでも、劫火を纏い、音速を超えて飛来するそれを何十何百と同時に叩きつけられれば、どうなるか。
「充填完了! 全砲門、放てー! なんてね!」
そして鈴鹿の楽しげな号令と共に、全てのウォーマシンの大砲が閃光を放つ。
極大エネルギーチャージキャノン『ホウセンカ』。それは十分な数と充填時間があれば惑星すらも砕く、いにしえの銀河帝国が遺した負の遺産。
しかしそれは今、猟兵の手によって銀河の未来を阻むものを穿つ光の槍となった。
幾閃もの光線はひとつに束ねられ、無数の隕石は破壊の豪雨となる。
迫りくる破滅に対抗せんと、マインドミナBVAもまた殺戮兵器から砲撃を放つが――2人の猟兵達による渾身の一撃を前にしては、その威力は余りに儚かった。
敵の砲撃ごと目標を貫いた『ホウセンカ』の一斉砲撃は、星のごときその巨体を深々と穿ち、中核まで届くほどの傷を刻みつける。
ぐらり、とよろめいたマインドミナBVAの顔面らしき部位に、さらに無数の隕石が降り注ぎ、残された外殻を粉々に破壊し尽くしていく。
悶絶するように身を震わせ、砕けた外殻と血肉を撒き散らすマインドミナBVA。
星と共に永きを生きてきたその生命が尽きる時は、もはや間近に迫っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トルメンタ・アンゲルス
やっとその面拝めましたよ、マインドミナBVA。
お前が無限に変化しようと、無限に戦力を生み出そうと、
それを踏み越え、その先へと進ませてもらう!
行くぞ、ArmsExtend!
『Buildup――Eruption』
両腕に、拳による攻撃に特化した強化装甲に変化!
無論、これだけじゃない。
お前がどんな攻撃を用意しようと、どんな外殻を用意しようと――
――全て、捻じ伏せる!
『――Code:Rage』
攻撃特化の金色装甲を更に展開!
この拳は、絶対に、負けない!
見切り・第六感・残像を生かし、物理法則を無視した光速のダッシュで、攻撃を回避しつつ肉薄します!
この拳で、打ち砕く!
排撃のォ!!
ブリッツハンマアアアアア!!!
――そして、その滅びは、蒼き流星となって訪れた。
「やっとその面拝めましたよ、マインドミナBVA」
目前に迫りし異形を見据えながら、宇宙を駆ける流星ライダー・トルメンタ。
ウォーマシンの防衛網を突破してからここまで、一瞬も立ち止まることなく加速してきたその身体は、一本の光の矢のように目標に向けて突き進む。
「お前が無限に変化しようと、無限に戦力を生み出そうと、それを踏み越え、その先へと進ませてもらう!」
この大いなる驚異を超えた先にある未踏の領域に、この世界の希望と未来がある。
そのために彼女は駆けるのだ。信念を胸に、最短で、最速で、全速力で。
「行くぞ、ArmsExtend!」
『Buildup――Eruption』
一体となった愛機の応答と共に、トルメンタの両腕に装甲が追加され、拳打に特化したガントレットのような強化装甲に変化する。
そのまま一直線に迫ってくる彼女に対し、満身創痍のマインドミナBVAは全身の外殻の全てを【BVAジェノビック】で超殺戮形態に変形させる。
防御を捨てた完全攻撃体勢。敵もどうやら己の窮地を悟り、残された総力を驚異たる猟兵の排除に尽くすつもりのようだ。
―――!!!!!!!
マインドミナBVAがその身を震わせる。空間を揺るがすほどの威圧感と共に。
分離された外殻は巨大な刃物やビーム砲台、更には見たこともない異形の怪物など、ありとあらゆる殺戮のカタチを取って襲い掛かる。
トルメンタは装甲を纏った拳を振るい、迫りくる外殻を打ち砕き、踏み越える。
だが追い詰められた敵は手負いの獣さながらの猛攻で、その進撃を阻まんとする。
「なかなかやりますね」
殴っても殴っても次々と湧いてくる外殻を潜り抜けながら、装甲の中で呟くトルメンタ。やはり2つの拳だけでは、この猛攻を突破するのは困難かに見えたが――。
「無論、これだけじゃない。お前がどんな攻撃を用意しようと、どんな外殻を用意しようと――」
彼女は諦めない。立ち止まらない。その先に何が立ちはだかろうとも。
不屈にして不退転の意志が鋼の相棒と共鳴する時、更なる力がその身に顕現する。
「――全て、捻じ伏せる!」
『――Code:Rage』
その瞬間、蒼き装甲は金色に染まり、恒星もかくやとばかりに燦然と輝く。
それはいかなる防御をも打ち砕く攻撃特化の金色装甲。彼女の信念が具現化した、疑いなき絶対不屈の拳。
「この拳は、絶対に、負けない!」
黄金の輝きを帯びたトルメンタはさらに一段と加速し、光速の領域へ。物理法則を無視したその疾走は光の軌跡を描きながら、殺戮外殻を次々と打ち砕く。
もはや彼女を止められるものは何もなく、ついに全ての障害を打ち破った流星ライダーは、マインドミナBVAの巨体に肉迫した。
「この拳で、打ち砕く!」
狙うは一点。仲間達が刻みつけた無数の傷の向こう、かすかに露出した中心核。
速さを乗せ、全ての力を一点に収束させ、この怪物との戦いに終止符を打つ。
「排撃のォ!!」
閃光、流星、雷霆。
宇宙を照らす蒼金の煌めきが、大いなる星の獣を貫き。
「ブリッツハンマアアアアア!!!」
直後――全身全霊を込めた拳が、マインドミナBVAの中心核を打ち砕いた。
「砕けろぉ!!」
トルメンタの身体は、そのまま勢いを緩めずに向こう側に突き抜けていく。
肉体のど真ん中に風穴を開けられたマインドミナBVAは、痙攣するようにブルブルとその身を震わせて―――それきり、ただの岩の塊のように動かなくなった。
それが、クエーサービースト『マインドミナBVA』の終焉だった。
星にも匹敵する宇宙の驚異に、猟兵達は見事勝利を収めたのだ。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 冒険
『マインドミナBVAの外殻を剥ぎ取ろう!』
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POW : 腕力と体力を活かして大量の外殻を剥ぎ取り、運搬する
SPD : 巨大な外殻を器用に解体し、運搬効率を高める
WIZ : 思念によって形を変える外殻の特性を利用し、変形させた外殻を運搬する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
激しい戦いの末、クエーサービースト『マインドミナBVA』を撃破した猟兵達。
今、彼らの目の前では、その骸が静かに横たわり、虚空を漂っている。
『流石は猟兵……信じてはいたが、この目で見てもまだ夢のようだ……』
そう呟くのは、遠方から彼らの戦いをモニターしていた宇宙船の船長である。
規格外の大きさを誇るクエーサービーストもだが、それを真っ向から打ち破る猟兵の力もまた、一般人である彼には想像を超えたものだったのだろう。
『諸君の活躍に心からの感謝と敬意を。そして疲れているところ悪いのだが……マインドミナBVAの外殻回収任務を、続けて引き受けてほしい』
思念によって形を変え、ユーベルコードを伝達する、マインドミナBVAの外殻。
その特異性は戦闘に参加した猟兵達が身を持って理解しているだろう。
これを回収すれば、これからの未踏宙域の探索――そして更なるクエーサービーストとの戦いに役立つ装備を開発することができるかもしれない。
『残念ながら我が艦に搭載されている採掘装備では、その外殻には手も足も出そうにない……諸君の力がなければ不可能なのだ』
激闘の中でマインドミナBVAの骸は激しく損壊しているが、まだ外殻の傷ついていない部分はかなり残っている。これをどう回収、解体し、宇宙船まで運搬するか。それは猟兵達の知恵と工夫にかかっている。
スペースシップワールドの未来のために、猟兵達の最後のひと仕事が始まる。
ヘスティア・イクテュス
マインドミナBVA、流石に骨の折れる相手だったわね
さて、それじゃあ
お宝の回収と行きましょうか!
今後の未来の為にもね
あっ、少しは私的な目的の為に頂いても良いわよね?報酬ってことで
外殻中身の比較的柔らかい部分にビームセイバーを突き刺して
そこを焼き切って外殻部分を引っぺ剥がすわ
運搬はプチヘス達に押したり引いたりさせて
推力が足りなければ合体してビッグヘスにね
後は小さな欠片でもアベルのセンサーで探して
見逃さないように
使えなくても未知の生物の外殻、マニアとかそういう類に高く売れるでしょうしね
「マインドミナBVA、流石に骨の折れる相手だったわね」
手間をかけさせてくれた巨怪の骸を見下ろしながら、ヘスティアは呟く。
戦いを終えた宇宙の妖精は、ティターニアの出力を巡航モードに落とし、ミスティルテインを収納すると。
「さて、それじゃあ――お宝の回収と行きましょうか! 今後の未来の為にもね」
にっこりと微笑みながらビームセイバーを取り出し、巨大な骸に近付いていく。
黄金色に輝くマインドミナBVAの外殻。それはまさに無限大の可能性を持ったお宝であった。
「あっ、少しは私的な目的の為に頂いても良いわよね? 報酬ってことで」
『ああ。こちらは研究用に十分なサンプルを確保できれば問題ない』
「それなら安心してちょうだい、たっぷり回収してくるわ」
船長からきっちり言質を取ってから、ヘスティアは白光するビームセイバーの刀身をマインドミナBVAの中身、比較的柔らかい部分を狙って突き刺す。
外殻自体が強固でも、ようは"身"から引っぺ剥がしてしまえば良いのだから。光熱の刃が肉を焼き切り、張り付いていた外殻がまるごと本体から剥離する。
それは例えるなら、貝柱を切って貝の身と殻を分ける作業に近い。言うまでもなくそのスケールは規格外であったが。
「使っててすごい複雑なんだけど……」
外殻の切り剥がしが済めばお次は運搬。そのためにヘスティアが喚んだのは自身を模した二頭身サイズの戦闘用ロボット【プチヘス部隊】だった。
デフォルメされた少女がわらわらと何十人も現れて、剥がれた外殻を「うんしょ、うんしょ」と押したり引いたりして宇宙船に運んでいく。見ようによっては微笑ましい光景だが、モデルであるヘスティアにはあまり好評ではない模様。
「……ん、推力が足りない? なら合体してビッグヘスにね」
それでも彼女は現場監督として、外殻の運搬に手こずる部隊に指示を出す。
プチヘス達は互いに合体することで、最大2mのビッグヘスに変身し、戦闘力、出力ともに大幅向上。プラズマジェットを勢いよく吹かし、大きな外殻もすいすいと快調に運んでいく。
「アベル、小さな欠片でも見逃さないように」
『承知しております、お嬢様』
ヘスティアが外殻の切り剥がし、プチヘスが運搬を行っている間、サポートAIのアベルは搭載されたセンサーを駆使して戦闘で破壊された外殻の破片を探していた。
宇宙空間をデブリのように漂う、一般的な石ころサイズにまで粉砕された外殻は、新装備開発の資料とするには小さすぎるが、これはこれで使いみちはあるだろう。
「使えなくても未知の生物の外殻、マニアとかそういう類に高く売れるでしょうしね」
居住可能惑星を求めての未踏宙域探索は、スペースシップワールドの人々から大きな注目を寄せられるプロジェクトだ。そこで発見された生物の一部となれば興味を持つ者もいるだろう。猟兵達の武勇伝も添えて販売すればさらに効果的かもしれない。
「これは期待できそうね」
小石大にまで砕かれた黄金の殻を拾い上げたヘスティアは、期待に胸を膨らませながら、それをポケットの中に押し込んだのであった。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
思念で形を変え、UCを伝達する…
他の戦場で見た猟兵の行動を参考に試してみましょう
漂う外殻の破片を●ハッキングし●情報収集、解析
UCも併用し形状と機能を変化
「外殻を解体できるウォーマシンサイズの外殻製大剣」に
切り分けた外殻は騎乗した機械馬で牽引
懐が寂しくなる以上、例え死体漁りの誹りを受けようとも私との共通部品の塊…あの紅い機体の残骸は回収したいのですが…
外殻サンプルとして回収される以上断念する他ありませんね
原因不明の「哀しみ」に加えて金銭面での憂鬱
私の設計者に余程感情演算と外観に拘った趣味人がいたのかもしれません
あ…リミティア様にブローディアを格納庫まで転移させる労力のお詫びも考えなければ…
「思念で形を変え、ユーベルコードを伝達する……他の戦場で見た猟兵の行動を参考に試してみましょう」
本体から切り離され、宇宙空間を漂う巨大外殻の一部の前に立ったトリテレイアは、ハッキングプログラムを起動させながらその表面に手を当てる。
過去の依頼で見かけた同僚はこうやっていただろうかと、マルチセンサーをフルアクティブモードにして組成と構造を解析。自らが求める形状と機能をイメージして、回路を書き換えるようにそれを伝えていく。
「……どうやら上手くいきましたね」
ほどなくしてトリテレイアの前にあった外殻は、ウォーマシンの手に収まるのに丁度良いサイズの大剣に形を変えていた。
強固なマインドミナBVAの外殻に並大抵の刃物では歯が立たないのなら、同じ外殻で解体すればいい。ダイヤモンドの研磨にダイヤの粉末を使うのと理屈は一緒だ。
「肝心の切れ味はどうでしょうか」
自身のイメージを再現したためか、妙にしっくりと手に馴染む大剣を構えてクエーサービーストの骸に振り下ろすと、黄金色の外殻がすっぱりと切断される。
どうやら外殻が持ち主の思念を反映する再現度は、相当に高いようだ。
頼もしい道具を手に入れたトリテレイアは、そのままさくさくと外殻を運搬可能なサイズまで切り分けてから、騎乗する機械馬の後部にそれらを結びつけていく。
「懐が寂しくなる以上、例え死体漁りの誹りを受けようとも私との共通部品の塊……あの紅い機体の残骸は回収したいのですが……」
外殻を機械馬で牽引しながら、トリテレイアが見るのは破壊された紅いウォーマシン部隊の残骸。スペックからパーツまで完全に元の機体を再現されているため互換性はあるだろうが、あれもまたマインドミナBVAの外殻が変身したものである。
「外殻サンプルとして回収される以上断念する他ありませんね」
『あれがどこまで他の物体を再現できるのかという、貴重なサンプルなのでな……しかしどうしても必要という事であれば、何体か融通は効かせよう』
返答するのは外殻の運搬先である宇宙船の船長からの通信。今回の作戦において猟兵達が為した多大な功績と、自分達の危機を救ってくれた恩義は、彼も感じている。
もともと猟兵に支払われる予定だった莫大な報酬の一部だと考えれば、後で交渉する余地はありそうだ。
「ありがとうございます、では後ほど……」
通信を終えたトリテレイアは、宇宙を漂うかつての同胞らの骸をもう一度見やる。
戦いの最中に感じた、あの不可解な感情の波は、今もノイズのように彼のメモリの中で燻っている。兵器として作られた自分に、本来それは必要ないはずなのに。
必要ないと言えばそう、こうまで懐事情に頭を悩ませている件についてもそうだ。
(原因不明の「哀しみ」に加えて金銭面での憂鬱。私の設計者に余程感情演算と外観に拘った趣味人がいたのかもしれません)
その「趣味人」はなにゆえこんな機能を己に持たせたのだろう。
銀河帝国が滅びた今となっては、その答えを知ることは難しい。
「あ……リミティア様にブローディアを格納庫まで転移させる労力のお詫びも考えなければ……」
そんなことを考えているうちにも、また新たにひとつ憂鬱の種が浮かんでくる。
あの壮絶な特攻の後、どうにかブローディアの機体は回収できたが、エネルギーを使い果たして大破した状態では動かすことなど望むべくもなく。
そもそもあのロボットは転送するだけでエネルギーの大半を消費してしまうため、仮に大破していなくても、自力で帰投するだけの余力は無かったかもしれない。
――グリモア猟兵もそれが役目のうちなので、べつに文句は言うまいが。
律儀な機械騎士は何をお詫びにすればいいだろうか、そしてブローディアの修理費用は――と、積み重なったタスクに頭を悩ませながらサンプルを運ぶのであった。
大成功
🔵🔵🔵
トルメンタ・アンゲルス
強化装甲解除、放熱……。
さぁて、最後にもう一仕事と行きましょうか。
何となく、この外殻に意思を伝達するコツがわかった気がします。
とは言ったものの、他の機会で一度やったぐらいではありますが。
コアマシン、回転数上昇!
パワーライン解放!
さぁ、来い!
『Evolution union――Mode:Crossover』
金色の外殻を大型アーマーに変形させ、自分自身で装備します!
この大型装甲なら、更に外殻を運ぶのも容易になります!
怪力を生かして、大きな外殻の破片を宇宙船に運んでいきますよ。
大きすぎて乗せられそうになかったら、プラズマブレードで溶断して大きさを整えましょう。
「強化装甲解除、放熱……」
金色の追加装甲をパージし、溜まった熱を蒸気と共に排出しながら、戦いで昂ぶった心を落ち着けるトルメンタ。流星ライダーにひとときのインターバルが訪れる。
しかし休憩にはまだ早い。今回は敵を倒した後にもやるべき事が残っている。
「さぁて、最後にもう一仕事と行きましょうか」
目の前にはたった今風穴を開けてやったばかりのマインドミナBVAの骸。
その黄金色に輝く外殻に手を当てて、彼女は意識を集中させていく。
「何となく、この外殻に意思を伝達するコツがわかった気がします。とは言ったものの、他の機会で一度やったぐらいではありますが」
別件の依頼でも同様のケースに当たった時、彼女は一体どうしたのか。
あまりにも巨大なクエーサービーストの外殻――「持ち運ぶ」のが難しい代物であれば発想を回転させて、運びやすい形に変えてしまえばいい。
「コアマシン、回転数上昇! パワーライン解放!」
再び唸りを上げるトルメンタの装甲スーツ。燃え上がる意思が伝達されていく。
金色の外殻の表面が波打ち、変化を始めたところで、彼女は叫んだ。
「さぁ、来い!」
『Evolution union――Mode:Crossover』
マインドミナBVAの骸を己の新たなる装甲に。金色の大型アーマーへと変形した外殻は「NoChaser」の装甲の上から装着され、巨大な人型のシルエットを形作る。
平時の2倍ほどのサイズとなったトルメンタは、追加された各部パーツの動作具合を確かめて「いける!」と笑みを浮かべた。
「この大型装甲なら、更に外殻を運ぶのも容易になります!」
外殻を装甲化することで運搬を容易にし、さらに運搬能力の向上も図るのが彼女のアイデアだった。専用機である「LastDancer」と合体した時と比べれば最高性能には劣るが、このアーマーでも巨体と怪力があれば運搬作業では十分な性能を発揮する。
トルメンタは漂っていた大きな外殻の破片をらくらくと持ち上げると、ジェットを吹かして宇宙船に運んでいく。
「おっと、このままだと少し大きすぎますか」
宇宙船には乗せられなさそうなサイズの破片を見つければ、腕部からプラズマブレード「Aureole」の刀身を現出。追加されたアーマーに伴ってリーチ・出力ともに強化された高出力超高温の刃が、強固な外殻をバラバラに溶断する。
「こんなものですね」
『感謝する。後はこちらに任せてくれ』
均一な大きさに整えられた外殻が、宇宙船の格納庫に次々と運び込まれていく。
このペースなら案外早く終わりそうだと考えながら、トルメンタは次のサンプルを探しに駆けていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ペイン・フィン
ファン(f07547)と
さて、採掘……採掘?
まあ、砕く作業、始めよう
コードを使用
武器を“黒曜牛頭鬼”のみにして、他は外す
そして、“黒曜牛頭鬼”を叩き付けて、砕いていこうか
防御も、鎧も、無視した破壊系攻撃
……余り、力には自信ないけど
“黒曜牛頭鬼”の力を借りれば、ね
あ、ファン
とりあえず、今は、そこまで疲れては……
……えと、膝枕、その、恥ずかしいから、あとで、ね………
ガツンガツンと、念動力で振り回して、採掘
…………しかし、生物のものとは思えない堅さ、だね
鎧や武器、船体、他にも色んな使い方、できそう
まあ、その辺は、しばらく研究とか、必要かも?
…………でも、自分も少し気になるね
欠片、持って帰ろうかな
ファン・ティンタン
【SPD】剥ぎ取りは二の次で
ペイン(f04450)と
アドリブ可
さて、怪物退治は終われど、お仕事はまだ続く
……とは言え、どちらかというと、ペインの様子の方が気になるかな
結構、前線で無茶させちゃったし
【千呪万華鏡】で自分の分身を増やし、解体作業はそちらに完全一任
行っておいで、私達、斬った張ったは好きでしょ?
そんなわけで、自身は終始ペインの側に寄り添いながら、その活動補助にあたる
ペイン、戦闘お疲れさま
疲れてるようなら、休んでてもいいからね
人手は、文字通り足りてるだろうし
なんなら、宇宙膝枕する?
巨獣の物言わぬ孤独な亡骸に、思うトコロはあるけれど
誰食う者は、いずれ誰かに食われるんだよ
それが、今だっただけ
「さて、怪物退治は終われど、お仕事はまだ続く」
「採掘……採掘? まあ、砕く作業、始めよう」
目の前に横たわる怪物の巨体を見やり、ファンとペインも回収作業を開始する。
星ほどの大きさもある存在から、資源を切り出し、削り取り、回収する――確かにそれは"採掘"と呼べなくもないだろう。
「……これにしようかな」
己の所持する拷問具の中から、この作業に適した得物を持ち上げるペイン。
選んだのは石抱き石“黒曜牛頭鬼”。相手の罪に応じて重さと数を変える石塊。
他の装備は一旦外しておいて、念動力で浮かばせたそれを勢いよく叩きつける。
「……余り、力には自信ないけど。“黒曜牛頭鬼”の力を借りれば、ね」
【命の数ほど痛みはあり】。重い石の塊に加速を乗せた破壊の一撃。
相手がどんなに頑丈だろうと、強固な鎧に覆われていようと関係ない。
ガツンッ! と硬い音を立てて、金色の外殻が砕け散っていく。
「行っておいで、私達、斬った張ったは好きでしょ?」
石抱き石をハンマーのようにして外殻を砕くペインに対し、ファンは【千呪万華鏡】から出現した自らの分身達を送り出す。
白い少女によく似た、しかしどこか異なる無数の分身は、やはり彼女と似て非なる白刀を抜いて、マインドミナBVAの外殻に斬りかかっていく。
砕かれた外殻をより小さな欠片へと寸断し、持ち運びやすいサイズと形状に。
切り分けた資材を宇宙船まで運ぶ運搬役も、自発的に役割分担が成されていた。
しかしファン本人にとって剥ぎ取りは二の次で、気になっているのは相棒の様子。
ファンが刀として共に戦ったり、後方から支援に回ったりしていた一方、ペインは常に敵の攻撃の矢面に立っていた。それが彼女には気掛かりだった。
(結構、前線で無茶させちゃったし)
そんなわけで白い少女は分身達に解体作業をすべて一任すると、自らはペインの側に寄り添いながら、彼の活動補助にあたることにした。
「ペイン、戦闘お疲れさま。疲れてるようなら、休んでてもいいからね」
「あ、ファン。とりあえず、今は、そこまで疲れては……」
人の姿に戻っても変わらず護刀のように傍にいる相方に、大丈夫だというペイン。
しかしファンにとっては、大事な彼のことを心配しすぎるということはない。
「人手は、文字通り足りてるだろうし。なんなら、宇宙膝枕する?」
今も外殻を斬り刻むので忙しい分身達をちらりと横目に見つつ。
少女は無重力の空間で器用に正座すると、ぽんぽんと膝を叩いてアピールする。
そんな彼女を見て、ペインは微かに頬を赤らめながらついと視線を泳がせる。
「……えと、膝枕、その、恥ずかしいから、あとで、ね………」
「そう? わかった、じゃあ後でね」
恥ずかしがるペインに対して、ファンの表情はいつものまま彼を見つめている。
目を合わせるとますます落ち着かなくなる胸の鼓動を誤魔化すように、少年はガツンガツンと石抱き石を振り回すのだった。
「…………しかし、生物のものとは思えない堅さ、だね」
しばし黙々と採掘を続けながら、砕いた外殻をこんこんと叩き、呟くペイン。
甲殻類に近い質感ながらも、その強度は並の金属を遥かに凌駕する。そして意思に感応して自在に形を変化させる柔軟性。素材としての可能性は無限大だろう。
「鎧や武器、船体、他にも色んな使い方、できそう。まあ、その辺は、しばらく研究とか、必要かも?」
よりよい活用法については、スペースシップワールドの研究者達が模索することになるだろう。一定の成果が挙がれば、いずれ猟兵達もそれを手にするはずだ。
(…………でも、自分も少し気になるね。欠片、持って帰ろうかな)
砕いて散った外殻から、さらに割れて小さくなった、金色の破片。
これくらいなら良いだろうかと、宇宙を漂うそれを手に取り、荷物に入れる。
果たしてこの欠片は、彼の意思によってどう変化していくのだろうか。
「もうだいぶ剥ぎ取れたし、そろそろ一度休んだら?」
「……そう、だね。そうしよう、かな」
解体作業が進むなか、ファンは変わらずペインの傍らで世話を焼いていた。
石抱き石を下ろしてほっと一息つく彼の汗を拭いたり、肩を叩いたり。
そんな中で、外殻を剥ぎ取られていく巨獣に、ふと視線を向ける。
「…………」
茫漠たる宇宙を漂う、巨獣の物言わぬ孤独な亡骸に、思うトコロはあった。
ヒトとは異質な存在であれ、このような死は決して望むものでは無かったろう。
けれど――。
(誰食う者は、いずれ誰かに食われるんだよ。それが、今だっただけ)
誰かを糧とし、誰かの糧となることで、世界は廻っていく。
過去を喰らい、未来へと。このマインドミナBVAから得られたものは、必ずや猟兵の、そしてこの世界の未来に繋がる糧となることだろう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
雛菊・璃奈
WIZ
あの外殻…思念によって形を変えるなら、【呪詛】の念にも十分反応しそうかな…。
【力溜め、鎧無視、鎧砕き、早業】バルムンクの剣撃で外殻を手頃な大きさに両断する等して一纏めに。
ある程度外殻を引き剥がしたら、後は【呪詛】を流し込み、自身の思念を増幅して外殻にイメージを送り、外殻の性質調査も兼ねて外殻の変形を試してみたり…。
1章で変形してたウォーマシンや自身の2章でコピーされたみたいな妖刀・魔剣の形、運搬兼ねて宇宙船の形に変える等して、変形させた外殻に乗って宇宙船まで運搬するよ…。
これ、結構面白いかも…。うまく利用すれば色々と使えそうだね…。
「この外殻……思念によって形を変えるなら、呪詛の念にも十分反応しそうかな……」
手頃な大きさにして試してみようと、璃奈は呪われし魔剣バルムンクを構えた。
上段の姿勢にて振りかぶられたかの大剣は、魔竜すらも屠った切れ味を誇る。
ぐっと力を籠めて振り下ろせば、その剣撃は衝撃波を巻き起こし、宇宙生物の強固な外殻をもベニヤ板のように両断していく。
「こんな感じでいいかな……」
ある程度外殻を引き剥がしたところで、璃奈は魔剣を下ろしてそっと手を伸ばす。
一纏めにされた金色の外殻はひんやりと冷たく、生物的な甲殻の手触りがある。
彼女はそれに呪詛を流し込み、自らの思念を増幅してイメージを外殻に伝える。
(まずは……最初の戦いで変形してたウォーマシンみたいな……)
すると、それまで歪みも撓みもしなかった外殻は粘土の塊のようにぐにゃりと形を変えはじめ、やや不格好ながらも機械的な人型を作りあげていく。
『ご命令を』
完成した機械人形は、造り手である璃奈を主と認識してすっと跪く。
あのウォーマシンと比べるとぎこちない動きだが、きちんと自律稼働もするようだ。
「出来たね……じゃあ次は……」
璃奈はそれからも外殻の性質調査を兼ねて、様々な思念を外殻に送ってみる。
マインドミナBVAとの決戦で敵が模倣した妖刀・魔剣の形――これは璃奈がイメージしやすい代物だったからだろうか、本物と寸分違わぬ見た目の物が出来上がる。
なら、その次はもっと大きい物を――外殻の運搬を兼ねた移動手段をイメージすると、金色の外殻は大きな格納スペースを備えた一人乗りの宇宙船へと姿を変えた。
「これ、結構面白いかも……。うまく利用すれば色々と使えそうだね……」
粘土細工のように思うがままに形を変える外殻に、少し楽しげな様子の璃奈。
自らの魔力から生み出した魔剣の現身と外殻の魔剣を見比べたりするうち、イメージや思念の強さが変形の精度に関わっているらしいことは分かってきた。
武器にも、道具にも、まさに"思いのまま"に変わる外殻。これからの研究如何によっては、猟兵とスペースシップワールドの人々に大きな益をもたらすだろう。
「とりあえず、今はこんなところでいいかな……」
満足して調査を終えた璃奈は、変形した外殻を使って残りの外殻を回収する。
妖刀と魔剣が外殻を斬り分け、機械人形にそれを宇宙船の格納庫に積み込ませ、積荷がいっぱいになったところで、操縦席の璃奈が宇宙船を発進させる。
回収作業に限ってもこれだけ役に立つのなら、今後はもっと新しい利用法も見つかるだろう――後方で待機している宇宙船に向かいながら、彼女はそう思うのだった。
大成功
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フレミア・レイブラッド
骸とはいえ、星クラスのモノをどうにかするのは流石に大変ね…。仕方ない…助っ人をお願いするとしましょうか。
【ブラッド・オブリビオン】で「終焉を呼ぶ黒皇竜」の「黒皇竜ディオバルス」を召喚。
黒皇竜のパワーと【黒皇竜の一撃】で骸から外殻を剥ぎ取り、わたしの【念動力】で一塊にまとめ、その巨体を活かして牽引、もしくは掴んで運搬して貰うわ。
申し訳ないわね、ディオバルス。こんな雑事で呼び出してしまって…。
相手が規格外だったので、貴方の力を少し借りさせて貰うわ。
…ところで、一つ聞かせて貰って良いかしら?貴方がこの敵と真正面から戦ったら、勝敗はどうなってたと思う…?(黒皇竜とクエーサービーストの戦いを想像して)
「骸とはいえ、星クラスのモノをどうにかするのは流石に大変ね……」
ふう、と小さくため息を吐きながら、フレミアはマインドミナBVAの亡骸を見る。
宇宙空間を漂うクエーサービーストの躰は、戦いで大きく破損し、外殻の回収も進んでいるとはいえ、今だにその圧倒的な巨体を虚空に横たえていた。
「仕方ない……助っ人をお願いするとしましょうか」
ちまちまと外殻を削ぐだけでは埒が明かないと感じた彼女は、過去に戦ったオブリビオンの中からとある相手を思い浮かべて、静かに詠唱を紡ぎ始める。
「血の隷属を用いて命ずる……。フレミア・レイブラッドの名の下に、嘗ての力を以て骸の海より戻り、わたしに力を貸しなさい」
発動するのは【ブラッド・オブリビオン】。オブリビオンの力をその身に宿す【ブラッディ・フォール】とは異なり、こちらは過去の強者を現世に召喚する業だ。
吸血姫の眼前に紅蓮の炎が燃え上がり、その中から姿を顕したのは『黒皇竜ディオバルス』。かつてアックス&ウィザーズにて暴威を奮った強大なる竜は、今再びスペースシップワールドに一時ながらも蘇った。
「申し訳ないわね、ディオバルス。こんな雑事で呼び出してしまって……」
かつて全力の死闘を演じた相手に、どこか親しみを感じるふうに呼びかけながら、フレミアは黒皇竜にマインドミナBVAの外殻の回収作業を指示する。
「相手が規格外だったので、貴方の力を少し借りさせて貰うわ」
「敗者に異を唱える資格はない。屍肉漁りは趣味ではないが」
フンと鼻を鳴らしながらも、ディオバルスは黒鱗に覆われた尻尾を鞭のようにしならせて亡骸に振り下ろす。竜種の圧倒的なパワーを秘めた【黒皇竜の一撃】は、ただ無造作に叩きつけただけで、直撃地点の外殻をバラバラに粉砕した。
「図体だけは眼を見張るが、やはり亡骸では歯ごたえも無いな」
「そうは言っても力は貸してくれるのよね。助かるわ」
つまらなさそうに呟きながらも、ディオバルスはその怪力を活かしてマインドミナBVAの亡骸から外殻を引き剥がし、適当なサイズになるまで打ち砕く。
フレミアが念動力でそれらを一塊にまとめて運びやすいようにすると、今度はそれを掴んで宇宙船まで運搬する。巨体ゆえに一度に運べる外殻の量も段違いである。
「血の盟約なれば致し方ない。かつて我を討った貴様の命令であれば傾聴もしよう」
――彼と吸血姫の間にあるのは血の隷属。かつてフレミアが黒皇竜の血を摂取したことで繋がれた、強固な縁の鎖だ。
それゆえ文句を言いつつも命令には忠実に従う彼は、何台もの重機やトラックに匹敵するだけの作業量を、何倍もの効率であっという間に成し遂げてしまった。
「お疲れ様、黒皇竜。……ところで、一つ聞かせて貰って良いかしら?」
ディオバルスの働きぶりを労いながら、フレミアはふと気になったことを尋ねる。
その視線の先には黒皇竜と、今は無惨なクエーサービーストの亡骸がある。
「貴方がこの敵と真正面から戦ったら、勝敗はどうなってたと思う……?」
終焉を呼ぶ黒皇竜と、星の海にて蠢く巨怪の激突。宇宙に響きわたる竜の咆哮と業火に、無限の変形で迎え撃つクエーサービースト――圧倒的なスケールで繰り広げられるであろう戦いの光景を想像して、吸血姫の口元がほころぶ。
「くだらぬ質問だ」
しかし問われたディオバルスは心底つまらなさそうな態度で言い捨てる。
答えなど最初から分かりきっているだろう、とでも言わんばかりに。
「我が敗北を喫したのは、後にも先にも"勇者"のみ。このような図体ばかり大きいだけの輩に、我を討ち破るほどの信念が、意志が、矜持が宿っているとは思えぬ」
故に、我が負けることなどあり得ぬと、誇り高き黒皇竜は断言した。
骸の海へと還ってなお、かの竜にとってフレミアを含む"勇者"とは、愛とも憎しみともつかぬ複雑な執着の対象であり、己を討ち滅ぼした特別な存在であった。
「願わくば次の機会には、貴様のような"勇者"との闘争を命じて欲しいものだな」
最後にそう皮肉まじりに告げ、役目を終えたディオバルスは骸の海に還っていく。
善処するわ、と微笑みながらそれを見送ったフレミアは、綺麗に外殻を剥ぎ取られたクエーサービーストの骸に背を向けて、宇宙船に帰還するのだった。
―――かくして、未踏宙域の探索を阻むマインドミナBVAとの戦いは決着する。
だが、これはまだ長い戦いの途上に過ぎない。次なるクエーサービーストの襲来に備える猟兵達の働きがどんな実を結ぶのか――それはまだ、誰にも分からなかった。
大成功
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