アルパカ'sブーストキャンプ
●チャンネル登録してね
ディスプレイには、アルパカの頭部を持つ筋骨隆々の男が一人。その左右には、マグロの頭部を持つ同じく筋肉もりもりの男が数人並んでいた。これらは紛れもなく怪人――即ちオブリビオンなのだ。
「今度はラットプルダウンだ! 天井から下がるロープについたハンドルを握り、広背筋を意識しながら、引く! 引く! バルクアップ! セイ、バルクアップ!!」
いつの間にか搭乗していた筋肉トレーニング用機材を、その身で利用しながら使い方を説明してゆく怪人達。
頭と体のアンバランス加減に寒気を覚える者もあるだろうが、それはそれ。だって怪人だもの。怪しい人だもの。
その後も次々と機材を使い、彼らは嬉しそうにトレーニングしてゆく。
迸る汗、盛り上がる筋肉、弾ける笑顔。
この動画チャンネルは、「アルパカ'sブーストキャンプ」と名付けられ、今、キマイラフューチャーの一部では筋トレが流行しようとしていた。
「さぁ、これでキミもバルクアップ! 今なら希望者に集まってもらい、ボディビルショーを開催するぞ! ジャンジャン参加してくれよな! エックセレェェエエンッ!!」
●グリモアベースにて
「……ちゅう、予知をしたがじゃ」
猟兵向けに事件を説明する時は標準語で、と決めていた景久も、思わず方言を使ってしまうほど、突拍子もない事件だ。
だってキマイラフューチャーだもの。敵は怪人だもの。怪しい人だもの。
そもそも、あの頭は何とかならなかったのだろうか。いや、それは問題ではないのだが。
「コホンっ。ともかく、これは恐ろしい事件なんだよ!」
一つ咳払いをして言葉遣いを直し、説明を続ける。
しかし疑問が浮かぶ。筋トレは決して悪いことではないはずだ。誰もが運動に目覚め、体を鍛えたところで何が問題だというのだろうか。
バン、と景久はテーブルを叩いて力説する。
「いい? こういう鍛錬は、初心者ほど、指導者が必要なの。一人でいきなり始めると、その人の限界が分からない。加減を知らずに鍛錬したら、逆に腰をやったり体を壊したりするものなの。これでキマイラフューチャーの住民が立てなくなったらどうするの!」
なるほど、それは問題だ。
こういった、怪人が動画配信をしている場合は、自分らでも動画配信をしてチャンネル登録者数や視聴回数で怪人の動画を上回り、オブリビオンを消沈させるところから始まる場合が多いだろうか。だが、今回はそうではない。
「おあつらえ向きに、怪人の方からお誘いが来てるよ。動画の最後で言ってたでしょ、ボディビルショーを開催する、って」
まさか。
それはつまり、そのショーに参加しろということだろうか。
「まず、猟兵の肉体を披露して、周囲を魅了する。そして怪人の誇りを引き裂く。それから叩く。分かった?」
そうすることには、ちゃんと意味がある。このショーには、一般の住民も参加しているはずだ。だから、何もせず、ただ怪人を倒してしまっては非難を浴びる可能性もあるのだ。
猟兵の方がすごいんだぞ、ということを、示さなくてはならない。
数巴トオイ
なんだか面白そうなオブリビオンがおりましたのでつい……。
筋トレ、お好きな方は本当に夢中でやりますよね。私も一時的にジムへ通ったことがありますが、通っている間はそれが何だか楽しくて。
やめてしまうと、全然やらなくなってしまうのですけれど。
ともかく、まずはボディビルショーです。
皆様の美しい肉体をお待ちしております。
第1章 冒険
『次のスターは私だぁ!』
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POW : 熱い思いを伝えろ!パッションな選択肢だ!
SPD : 卓越した技を見せつけろ!テクニシャンよ集まれ!
WIZ : 溢れる知性で返り討ちにしてやれ!イーンテリジェンス!
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
九龍・輝羅
鍛え上げた肉体を披露するだァ?
上等じゃねーか!
このアタシの力を見せつけるいいチャンスだ!
【コーデチェンジ】で肉体を見せつける事に特化したスポーティな衣装に切り替えるぜ。
「コーデチェンジ!スポーティドラゴンスケイルコーデ!オラァ!!」
アタシが見せつけるのは腕から肩、背中にかけて鍛えに鍛え上げたマギブレードをシュートする為の筋肉……すなわち『マギ筋』!!
腰を落とし、マギブレードをシュートする素振りをたっぷり時間をかけて行う事により連動している筋肉の動きを流れるように見せつけてやる。
当たり前のポーズに当たり前の筋肉……
そんなんで計れねぇモンだってある!
覚えておけ!アタシは『喰い殺し怒羅魂』輝羅様だ!
黒鐡・十郎太カイ
健全な肉体は健全な精神カラ!
マズは競技を楽しむコトにしマショウ!
「ナイスバルクゥ!キレてマース!ナイスカットデース!」
他の参加者の応援も忘れずニ☆
ボクーの番デースネ
マズは形のいいでんぐり返しで入場、すかさずフロントリラックス!
ドウデース?シンメトリーには自身アリデース
ポージング毎にバッツンバッツン光を跳ばしてギャラリーを魅了シマース!
一通りポーズをキメたら、ラストはもう一度シンメトリーアピールのオリバー!
「アリガトーウ!!」
リリィ・オディビエント
なんだあのアルパカの化け物は…!こちらの腹筋が無駄に鍛えられてしまうではないか!
騎士として常に重厚な装備を身に纏い、鍛えることも忘れてはいない。
あまり人に肌を見せてはいけないと言われているが、"筋肉"ならば問題あるまい!
もう一押し必要とあらば、秘密兵器を出すしかあるまい。
ブーツを脱ぎ、脚を見せる。
兎の特徴を持つ脚は、鍛え抜かれた筋肉と美しさを秘めている。アルパカ程度の筋肉に遅れは取らん!
「これは実戦を経て鍛えられた、戦う筋肉だ!」
●筋肉自慢の猟兵達
ステージの特別席には、主催者らが座っていた。即ち、鮪頭の怪人と、アルパカ頭の怪人だ。今すぐ遠距離射撃で狙ってみたくもなるが、防弾ガラスのようなものに遮られているため、そう簡単にはいかないだろう。
まずはショーに参加し、敵を誘い出す必要があるのだが。
「なんだあのアルパカの化け物は……! こちらの腹筋が無駄に鍛えられてしまうではないか!」
怪人の姿を確認すると同時に、リリィ・オディビエント(f03512)が笑い転げる。
それは、アルパカの頭に筋骨隆々な人間の体を持つその姿を見れば、笑いの一つも起きよう。
そんなリリィの肩を、九龍・輝羅(f10346)がチョンチョンと突いた。
「おい、あっちも見てみろよ」
彼女の指さした先。そこでは、鍛え上げられた桃色の肉塊が、ショーに向けてポージングをしている。黒鐡・十郎太カイ(ギトギトに輝く・f03304)だ。
シャーマンズゴーストでありながら、本物のボディビルダーも真っ青の肉体を誇る彼。にこやかな表情、桃色の肌、ライオンのような鬣。
そのあまりのインパクトに、リリィは思わず、
「ぶ――っ」
耐えられなかった。
ちょっと離れたところから、「この美しい肉体のどこがおかしいのデースカー!?」といった声が聞こえてくる。
ひとしきり笑ったリリィが、先発としてその肉体美を披露することになった。
派手な音楽と、薄暗いステージ。そこへゆっくりと登場するリリィ。
普段は重厚な鎧に包まれたその身体。戦士として、肌を晒すことには抵抗がある。だが、これは肌を競うのではない。その肉体を、筋肉を力の限り表現するのだ。
しかし年若い彼女は、周囲の筋肉自慢達に比べると細身である。果たしてショーになるのだろうか。
スポットライトがリリィを照らす。
会場にどよめきが溢れた。ボディビルにしては、彼女は華奢すぎる。
だが。リリィは不敵な笑みを浮かべていた。すっと左足を引き、右足を膝九十度の角度で持ち上げ、サイドから見せるようなポーズを取る。規定ポーズでいえば、サイドトライセップスが近いだろうか。後ろに手を組み、上腕二頭筋を強調するそのポーズから、足だけを持ち上げる恰好。
兎の足を持つ彼女。それは引き締まり、強さを兼ね備え、しなやかさも垣間見せる、大殿筋の美しきライン。
「これは実戦を経て鍛えられた、戦う筋肉だ!」
リリィの絶叫が会場に響いた。
途端に、盛大な拍手が会場に溢れる。
「ナイスカットデース! 筋肉のナイアガラデース!」
ボディビルの声援は、なかなかに独特のようだ。
続いて、輝羅の番。
【コーデチェンジ】で布面積の少ない、筋肉を魅せることに特化したスポーティーな衣装に着替えた彼女は、ニタリと笑みを浮かべながらステージへ向かう。
「上等じゃねーか! このアタシの力を見せつけるいいチャンスだ!」
見せつけるのは、力ではなく筋肉なのだが、そこはそれ。
激しく戦う様を動画配信してきた彼女。見られることに、見せることには慣れている。もしもこの世界で配信していたら、もしかしたら今頃名のある配信者になっていたかもしれない。
そんな彼女。ステージ中央に到達するとゆっくりと腰を落とし、両手を前へ。内の片方をゆっくりと引っ張るように見せてゆく。さらに引いた手を大きくサイドから振るような動き。
平素、彼女が愛用している武器、ブレードのついた独楽、マギブレードを射出する動作だ。肩から背中にかけて、鍛えに鍛えたマギブレード射出用の筋肉、名付けてマギ筋。
キマイラフューチャーよ、これが『喰い殺し怒羅魂』輝羅様だ!
「キレてマース! 背中にダンプ乗ってマース!」
やっぱりボディビルの声援は独特だ。
いよいよ、十郎太カイの番だ。
「ボクーの番デースネ」
と、気合十分。
まずは非常に美しいフォルムでのでんぐり返しで入場、そのまますかさずフロントリラックス。直立で腕をぶらりと下げる、全身の筋肉を隈なく見せる姿勢だ。
左右のバランスが取れ、非常に整った綺麗なシンメトリーが会場を湧き立たせる。
ここまで鍛え上げられた肉体ならば、フリーポーズなど不要。所謂規定ポーズを一通りこなし、その身体を披露してゆく。
ポージングの度に光る汗が飛び散り、輝く笑顔が振りまかれる。
ひとしきりポーズを取ると、最後は両拳を高々と上げるオリバーポーズ。シンメトリーをばっちりアピールした。
「アリガトーウ!」
確かな手応えを感じ、十郎太カイは退場してゆく。
これもまた、割れんばかりの盛大な拍手が巻き起こった。
「アルパカ様、ヤツら、なかなか強者ですぞ!」
「ふっ、思っていたより素晴らしい肉体ではないか!」
特別席の怪人達は、猟兵のショーを目に、笑んでいた。それは純粋な賞賛を現す、裏のない笑顔。
そう、鍛え抜かれた肉体の前には、策も言葉も不要なのだ。
大成功
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エコリアチ・ヤエ
おうおう、俺の熱く滾る筋肉を見せつけてやるぜ。
喧嘩は不慣れど見せびらかす筋肉についてはバッチリだ。ここぞとばかりに見せつけてやろうじゃねぇか。
もともと地黒のすべやかな肌に筋肉をより際立たせるタトゥー。
あとは筋肉を見せつけるポーズで決まりだ。むろん服装はポージングトランクで臨んでやろう。俺の美しい(見せるだけの)筋肉に見惚れるが良い。
もしこっそり[生命力吸収]できそうなら心見ようか。それにより多少なりとも朦朧として俺の筋肉がよりたくましそうに見えるかもしれん。あくまでできそうならでチャレンジだ。
●黒光りの筋肉
続いて登場したのは、エコリアチ・ヤエ(f00287)だ。
褐色の肌を持ち、戦場で培った機能的な筋肉。見上げるほどの長身も相まって、そのシルエットだけでも思わず感嘆が漏れる。
「喧嘩は不慣れだが、見せびらかす筋肉はバッチリだ。ここぞとばかりに見せつけてやろうじゃねぇか」
そんな意気込みでステージに登るエコリアチ。すべやかな肌に刻まれたタトゥーがより筋肉の存在感を引き立たせる。
衣装は、必要以上に筋肉を隠さないポージングトランク。
緩慢かつドッシリとした足取りでステージ中央へ向かう姿は何とも凛々しく、安定感も抜群。フロントリラックスの姿勢でスポットライトを浴びると、その輝きが一層筋肉を際立たせた。
ただ大きいだけではない。引き締まり、無駄を排除したその肉体は、躍動感に溢れていた。
ダブルパイセップスで前面の筋肉全てを披露し、そのままサイドへ向かってのチェスト。大胸筋をたっぷりと見せ付けてゆく。
会場からは割れんばかりの歓声。
「そうだ、見ろ。もっと見ろ。この、見せ付けるための筋肉を、もっとだ!!」
ショーの大成功は間違いない。
動画配信をしていたというオブリビオンなど、目ではないだろう。
エコリアチはニタリと笑んで、モストマスキュラーで力強さをアピールした。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『マグロ怪人ツーナー』
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POW : 止められない止まれない
【食べられるという恐怖心から無限のスタミナ】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : そんなことより助けて欲しい
レベル分の1秒で【腕を振り払うことで自らに噛み付いてる猫】を発射できる。
WIZ : 水を得たお魚
【水鉄砲】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を水浸しにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ショーを終えて
「おのれ、猟兵め! 我々の筋肉が、奴らに劣るなどと、そんなことがあってたまるか!」
特別席では、アルパカ怪人が苦虫を噛んだ表情でステージを睨みつけていた。
その背後には、鮪怪人がずらりと立ち並ぶ。そうだそうだと頷く彼らの背後に、キラリと光る目があった。
いつの間にか会場に侵入していたらしい、猫の群。そう、鮪怪人の頭部は、猫らにとってはこの上ない御馳走に見えたに違いないのだ。
「こうなったら、ショーごと破壊して――ん、お前達、何を?」
「ギャァァアアアッ!! 猫だ!」
控えていたはずの鮪怪人達は、猫に追われて席を飛び出した。向かう先を見るに、ステージだろう。
「ふ、ふん。まあいい。その勢いのまま猟兵を潰してくれれば文句はない。さぁ、アルパカ'sブーストキャンプの第二幕だ!」
リリィエル・ロックウェル
「そんな筋肉の輝きでは星の輝きの前には無力なのです」
クレヨンソード黄色、キラキラシューティングスターで攻撃、走るマグロ怪人をお星さまで正面衝突なのです。
マグロ怪人に轢かれたりしないように空中戦で空から攻撃しますし、間に合わないといけないので早業とアートで素早くお絵かきをするのです。
九龍・輝羅
おっ?
何だオイ、お次は実戦形式でアピールって事か!
面白ェ!にゃんこ要素で動画映えもしそうじゃねーかよ!!
アタシが高みに上るための糧にさせて貰うぜ!
猫飛ばし攻撃を観客に見せつけるように避けてアタシのしなやかな筋肉を見せつけると同時に、画的に映える「にゃんこと少女」感を出すぜ。
猫飛ばしの隙をついて【アクセルジェットシュート】でマグロ野郎の顔面にドデカイ一発をくれてやる。
「行けッ!リンドヴルム!アクセルジェットシューーーーーーート!!」
水鉄砲を食らったら観客に筋肉を見せつけるようなポーズを取って水も滴るいいオンナ感を出してやるぜ。
転んでもタダじゃあ起きねえ。それがアタシだ。
●怪奇鮪男
クレヨンの勇者リリィエル・ロックウェル(f01438)はフェアリーである。
23.4cmのゴッドペインターである彼女は、色とりどりのクレヨンソードを手に悪の一員オブリビオンと戦うのだ。
「そんな筋肉の輝きでは星の輝きの前には無力なのです」
つい先ほどまでボディビルショーの行われていたステージに突如として現れた鮪頭の怪人達。名づけてツーナー。
リリィエルは毅然と言い放つ、が。
「ギャァァアアアッ!!」
当のツーナーは何かに追われるようにしてステージ狭しと走り回っていた。
赤い褌、汗に煌く筋肉、焦りに血走る目。
よくよく見れば、彼らの背後を高速で動き回る物がある。鳥か、鼠か? いや、猫だ!
頭だけ見れば鮪そのもの。猫にとってはご馳走が歩き回っているように感じられても仕方がないのだろう。
「面白ェ! にゃんこ要素にフェアリー要素で動画映えもしそうじゃねーかよ!!」
動画配信番組『キル☆パラ』の主である九龍・輝羅(f10346)は、両拳をつき合わせてニヤリと笑む。
「えっ、私も!?」
「当然だ! もうカメラも回してるぜ!」
まさか己も動画のファクターに取り入れられていることに驚愕するリリィエル。
鮪に猫にフェアリー。闇鍋感が溢れ出るようだ。
「うぉぉおおおおっ!! そんなことより助けてくれぇっ!」
その時。ツーナーの一体が追いすがってきた猫に噛み付かれた。パニックに陥った怪人は、その猫を引っ掴み、輝羅へとぶん投げる。
爪をむき出しにしたまま宙を舞う猫。
「来やがったな!」
飛来する猫をヒラリと避け、すれ違う瞬間にくるりと振り向き、猫と並ぶ位置取りを意識しながら、輝羅は胸元でのサムズアップ。
猫と筋肉。異色のコラボレーションが動画に収められる。サムネイルは決まった!
そのままさらに反転。このコンマ一秒の間にマギシュートを取り出した彼女は、
「行けッ! リンドヴルム! アクセルジェットシューーーーーーート!!」
ストライクリンドヴルムを射出した。ブレードのついた独楽がツーナーに襲い掛かる。
むき出しの筋肉に独楽が突き刺さった。
これを好機と見たリリィエルは、小さな羽根を精一杯に羽ばたかせ、怪人の頭上を取る。
「黄色は星の色、流れ星のようにきらめく色なのです!」
取り出すクレヨンソードの色は、黄。合計七十五に及ぶ星を一瞬の内に描き上げてしまった彼女。傍目には、ただクレヨンを十字に振ったようにしか見えない。とんでもない早業だ。
その先端を、肉を裂かれて悶える怪人に向けると。
「いっけぇーっ! キラキラシューティングスター!!」
その星々が、流れ星のようにツーナーに降りかかった。
「ギャーッ! り、猟兵どもめェェッ!!」
二人の攻撃を受けた鮪怪人は、両手を広げて背中からゆっくり倒れる。
ドォォオオオンッ!!
途端に爆発四散。
この爆風に乗って、三匹の猫が二人の猟兵へと飛ばされた。
リリィエルはとっさに猫の額に掴まって衝撃を和らげ、輝羅は残る二匹を両手に抱えた。
これがまた抜群の角度でカメラに収まる。
サムネイルの候補が増え、再生回数は鰻上り間違いなしだろう。
だが、鮪怪人は一体だけではない。残る怪人討伐に向け、他の猟兵達もまさに動き出さんとしていた。
成功
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黒鐡・十郎太カイ
オオー、愉快な乱痴気ステージデースネー!ボクーも目立たなくてハ!
「ニャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」
ポーズと共に全身から放つ光をサイコキネシスでネコ型に成形し、マグロを追い立てマース!食べられるという恐怖心を更に抉りマース。楽しんでクダサーイ
もちろん、直撃すれば光まみれのアッタマテカテーカ。美味しそうなオイルツナの出来上がりデース!
ネコだけでなくギャラリーたちの食欲も刺激すること請け合い☆
「キミーこそは食卓のオリンピアデース!」
エコリアチ・ヤエ
おっと、俺には寄るなよ(筋肉は見せかけであり喧嘩をするものではない)
リザレクトオブリビオンを発動させ自分は攻撃を受けないようにする。
猫ちゃんは爪を立てられようが何しようがこの身を挺して必ず助けるぞ。必ずだ。
ツナ怪人は、違うか鮪怪人の頭は死霊騎士の剣で捌いてやろうか。
決めポーズもバッチリ決めるぞ。黒い肌に白い歯。そして猫。画面映えするだろう?
●猫が筋肉より可愛くないわけがない
既にステージ上は異様な熱気に包まれ、筋肉を称賛する者、猫に心奪われる者、繰り広げられる戦闘に熱狂する者とそれぞれの盛り上がりを見せていた。
一つ一つはてんで繋がりが見えない混沌とした状況。
「オオー、愉快な乱痴気ステージデースネー!」
黒鐡・十郎太カイ(f03304)が手を叩いて歓声を上げる。
ある意味では、愉快なのかもしれない。だがこれは仕事なのだ。猟兵として送り込まれた以上、見ているだけではよろしくない。
「ボクーも目立たなくてハ!」
かといって、見られれば良いかというと、そうではないのだが……。本人がやる気を出したのだから良しとしよう。
十郎太カイは肩幅に足を開き、軽く腰を落として、両拳を握る。己の筋肉一本一本に意識を集中させ、力を溜めているようだ。
その鍛え上げられた肉体を持ちながら、シャーマンズゴーストである彼。その姿こそは異様だが、彼は猟兵。オブリビオンを殲滅する使命を帯びた戦士なのだ。
一体、ここからどんな大技が――?
「ニャァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!」
くねっと体を捩って左足がお尻に着くかのように持ち上げ、両手は壁をひっかくような姿勢。にゃんこのポーズだ!
そうだ、そうであった。彼はついさっきまで、その肉体を様々なポージングで披露するボディビルショーに出ていたのだった。
しかしギトギトに脂ぎったその体にスポットライトが反射して、会場を眩いばかりの光が包む。まさかこれを計算していたとでもいうのか、彼は【サイコキネシス】で光を操り、猫の形に整えた。
そして猫光(ルビ:にゃんこう)はステージ狭しと駆けずり回る鮪怪人へと襲い掛かる。
「ギャアアアアアッ!!」
仇敵が増えたと、我を見失った鮪怪人がステージを飛び出した。
最早奴らが何をしでかすか分かったものではない。そのオブリビオンが駆けた先にいたのは、一人の猟兵だった。
「おっと、俺には寄るなよ」
エコリアチ・ヤエ(f00287)だ。クールに言い放ちながら華麗に怪人の突撃を避けたが、その心は、筋肉はあっても喧嘩に自信がないので、避けることで精一杯なだけだった。
しかし、彼とて猟兵。今の鮪を追っていた本物の猫をその懐に抱き込み、何らかの形で被害が出ることを未然に防いだ。
「オラッ、行ってこい!」
そのまま【リザレクト・オブリビオン】で死霊騎士と死霊蛇竜を召喚。走っていった怪人への攻撃を命じた。
騎士の剣と蛇竜の爪が閃き、一瞬の内に怪人の首と胴が今生の別れを告げる。
「食べられるという恐怖の果てデース。楽しめマシタカー?」
十郎太カイが嬉しそうに言うが、どう考えても楽しめたはずがない。
首だけとなった怪人の目が血走り、口がパクパクと動いている。この期に及んでまだ息があるようだ。
そこで十郎太カイは操っていた光を収束させ、その熱で以て鮪の頭を焼き、トドメを刺す。
「アッタマテカテーカ。美味しそうなオイルツナの出来上がりデース!」
「ニャー!」
その直後。
エコリアチの抱えていた猫がもだもだと動きだす。
「おい、大人しくしてろって。危ねぇから、ちょ、痛ッ!」
必死に押さえようとする彼だが、猫が爪を立てたものだからしょうがない。
うっかり猫を放してしまったエコリアチ。
自由になった猫は、完成したばかりのオイルツナ(原材料:鮪怪人ツーナー)へ駆け寄り、あろうことか貪り食い始めた。
「何だ、腹が減ってたのか。……そりゃそうか、あんな気持ち悪い怪人を追いかけ回してたくらいだもんな。よしよし、いっぱい食えよ。死体を残しておくより、こうやって食っちまった方がエコだエコ」
エコリアチがそう言うのだから妙な説得力がある。
そんな彼にカメラが向けられた。
その気配を察したエコリアチは、猫の傍に寄って胸を拳で叩くような力強いポーズをとる。筋肉と猫、きっと良く映えることだろう。
後日。動画を確認したエコリアチは驚愕の真実を知ることになる。
猫と共にポーズを取った背後に、己も画に収まろうとサイドチェストで見切れる十郎太カイの姿があったのだ。
大成功
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ウルフシャ・オーゲツ
「さぁショーも仕舞いで退場の時間じゃな。お帰りはこっちじゃ!」
猫にはマタタビでよっておいてもらうとして、マグロ怪人にはちょっとついてきてもらおうかのう?
挑発しながら宇宙バイク『ステラドラグーン』に乗ってゴッドスピードライドで追いかけっこしてみるんじゃ。
「どれだけ鍛え上げられた筋肉でも、文明の利器を使われたらか弱い女子にもかてんのじゃのう、あっはっは」
もちろん相手をぶっちぎらない程度の速度を調節しながら誘導しておくぞ!
最後はあれじゃな。
「マグロ、(骸の)海にお帰り。地上はキミらの世界じゃないんじゃよ」
と声をかけながら人気の無いところで思いっきり人には見せられない状態にしてご退場願おうかのう。
●あーっ! お客様困ります! あーっ困りますお客様!
屋内だというのにエンジン音が響く。ブルンブルンとアクセルが吹かされ、空気を震わす感覚が伝播した。
「さぁショーも仕舞いで退場の時間じゃな」
褐色の和服美人、ウルフシャ・オーゲツ(f00046)の跨る宇宙バイク「ステラドラグーン」によるものだ。
袖がエンジン部分に絡まないのだろうか、そんな薄着で転んだ時に大怪我しないだろうか。そもそもノーヘルで良いのだろうか。否、良いのだ! だってキマイラフューチャーだもの。
オブリビオンの数も減り、いよいよ佳境に差し掛かった頃、颯爽と現れたウルフシャ。エンジンの回転もよく、軽くアクセルを開ければすぐに暖気を吐き出す。脹脛にその熱風を受け、今日は絶好調だと口角を持ち上げた。
「ほれ、おやつじゃ!」
いつの間に、いや何故持っていたというのか。彼女は懐からマタタビを取り出すと、それを放った。
怪人を追っていた猫達が一斉に群がる。
これで、猫の避難は完了。戦いに巻き込むこともない。
「たっ、助か……」
「黙らっしゃい! お帰りはこっちじゃ!」
安堵の表情を浮かべる鮪怪人を一喝したウルフシャは、クラッチを切り、ギアを踏み、次いで蹴り上げる。そのまま目一杯アクセルを開けるとクラッチを繋いだ。
二速発進。後輪が床を抉るように回転し、そのままステージに向けて走り出す。
「ははっ、ステージは一段高いのだ! そのままぶつかってクラッシュしてしまえ!」
そう、客席から見えやすいように、ステージは人の背丈ほどの高さがあった。ジャンプ台でもない限り、これに乗り上げることは困難。
しかしステラドラグーンにとって、これは障害になり得ない。
「先刻承知じゃ、たわけ!」
ステージにぶつかる寸前。ステラドラグーンはその形を変え、胴の長い東洋風の龍へその姿を変貌させる。【ゴッドスピードライド】によるものだ。
その変形時における僅かな浮力を利用し、バイクは難なくステージに上がった。
「さぁ、どれだけ鍛えとるか、見せてもらおうかの!」
「ギャァァァッ!!」
宇宙バイクが駆ける。怪人が逃げる。
だがどう足掻いても、怪人の脚力だけでドラグーンの追随を振り切ることなど不可能だ。
「どれだけ鍛え上げられた筋肉でも、文明の利器を使われたらか弱い女子にもかてんのじゃのう、あっはっは」
高笑いと共に追い回すウルフシャ。
と、その時。怪人の足がもつれて倒れ込んだ。
これぞチャンス!
アクセルを開けたまま前輪ブレーキを握り、右足を着く。その足を始点にその場でターン。ジャックナイフだ。
転んだ鮪怪人の頭部に、切り返すステラドラグーンの後輪が、高速回転しながら迫る。
「マグロ、(骸の)海にお帰り。地上はキミらの世界じゃないんじゃよ」
「や、やめ、た、助け――おごごごごごごごっ」
これが決め手となり、端的に例えるならば、脱穀機に頭から落ちたような状態、つまり鮪怪人はそのままミンチとなった。
●次回予告
こうして、最早主旨を見失ったボディビルショーは、猟兵によって破壊された。
だが、まだ片づけねばならない敵がいる。
このボディビルショーを企画し、キマイラフューチャーに無茶な筋トレブームを巻き起こさんとしたアルパカ怪人。
その実力や如何に。
次回、死闘アルパカ怪人。ご期待ください。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『怪人アルパカマッスル』
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POW : ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ : つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑17
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ニィ・ハンブルビー」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●怪人アルパカマッスルの恐怖
「フハハハハ! 猟兵共め、よくぞ鮪怪人ツーナーを倒した。だが所詮奴らは前座。それくらいでいい気になるんじゃないぞ」
会場に設置されたスピーカーから、渋い声が響いた。
直後、設けられた様々な電飾から色とりどりの光線が放たれ、ステージを眩しく彩る。
天井から、何かがゆっくりと下降してくるのが見えた。ゴンドラか。シルバーの籠にネオンライトで「アルパカ」と記されたそれに乗っていたシルエット。それは……。
「この私、怪人アルパカマッスルが引導を渡してくれよう!」
事件の黒幕、アルパカ頭の怪人だ。
籠を軽く跨いでステージに降り立った彼は、そのまま光を浴びながら小さく屈み、その反動を利用して美しいサイドチェストのポージング。
「見よ、この肉体をォォッ!!」
叫び声と同時に、ステージ両端から特大クラッカーが鳴った。
派手な演出と共に現れた、恐怖の怪人アルパカマッスル。
どうしてもこれと戦わなくてはいけない。気乗りする者しない者、各々が各々の思惑を抱え、武器を取る。
今まさに、最後の決着がつこうとしていた。
エコリアチ・ヤエ
「俺の筋肉美ももっと近くで見ていいんだからなっ!!」
頑張って低い良い声を出そうとしつつマッスルポーズでアルパカ怪人に詰め寄っていく。
派手な演出など不要。この筋肉さえあれば不可能はない!あ、近づくのはちょっと、あ、ダメだっつってんだろ!!(怒)
怪人に攻撃されて瀕死になったら「戦場の亡霊」を使用し復活(擬似)
攻撃はアイテム「ファイブエレメンツソード」を死角に忍ばせタイミングを見計らい攻撃だ。
「ふぅ、いい汗かいたぜ」(別にさして動いてない)
●アルパカ'sブーストキャンプ開幕
ステージで猟兵を挑発するアルパカ怪人に一番乗りで名乗りを上げたのは、エコリアチ・ヤエ(f00287)だった。
筋肉と筋肉。鍛え上げられたボディとボディ。両者の間に最早言葉は不要。これぞ互いの尊厳をかけた死闘。目と目で通じる肉体言語。
より完成された、より美しい身体を誇るのはどちらか。
互いに小麦色に焼けた肌を持ち、塗りたくられたオイルが光を浴びて反射する。
輝かしい肉体は限界まで露出された筋肉を強調し、両者一歩も譲らぬ視線と視線のバトルとなった。
「俺の筋肉美をもっと近くで見ていいんだからなっ!!」
低く声を発したエコリアチが、後背筋を広げて大きく見せるラットスプレッドの姿勢を取った。両こぶしは腹横筋のくびれに当て、圧倒的な存在感をプレッシャーとして浴びせながらゆっくりと怪人へ接近する。
「フン、良い筋肉だ。だが、この私に勝てるかな?」
対する怪人はサイドチェストのポーズで、同じくエコリアチににじり寄る。
だがこれは、エコリアチにとって誤算だった。己の肉体美に絶対の自信を持っていただけに、相手はこれに対して怯み、むしろ後ずさるだろうと考えていたのだ。しかしこうして正面から受けて立ってくる。喧嘩が不得手なエコリアチには、恐怖でしかなかった。
後悔しても遅い。
互いにすぐ動ける姿勢ではないものの、男同士の尊厳を賭けた熱い戦いがそこにある。
(おい、近づいてくるなよ。やめ、ダメだっつってんだろ!)
内心冷や汗をかいたエコリアチ。これが表面に出てしまったのだろうか。
アルパカ怪人がニタリと口角を吊り上げた。
「いざッ!!」
ポーズを解き、怪人はエコリアチに組み付いた。
とっさにエコリアチも怪人のパンツを取る。
ぶつかり合う大胸筋。光るボディ。弾け飛ぶ汗。むわりとした男のスメルがいっせいに充満し、これがフェロモンの分泌を促す。
むせ返るほどの男臭さ。密着した肌に互いの汗が溶け合って、敵同士とはいえ不思議な合体感を醸した。
そう、この時、この瞬間。俺達は一つなのだと。
それぞれにパンツを握り合ったまま、しばし時は止まった。しかし。
「っ、ふぅぅううんっ!!」
怪人はその恐るべき怪力で、エコリアチをぶん投げた。
ステージに叩き付けられる彼。組み合いには敗北だ。
だが、ただ負けて終わるほど、諦めの良い性質ではない。
「まだだ、まだ終わらないぜ!」
【戦場の亡霊】を召喚し、ステージ脇に忍ばせておいたファイブエレメンツソードを拾い上げる。
「よくもやってくれたよなぁ。だが、ここからが俺達猟兵の本領発揮だ!」
亡霊も剣を装備し、そして怪人へと斬りかかっていった。
これぞ決戦の合図とばかりに、様子を見ていた他の猟兵達も動き出す。
勝負はまだ始まったばかりだ。
苦戦
🔵🔴🔴
オラクル・エーデルライト
こ、これが……アルパカマッスル!手強そうな気がする!
ムキムキマッチョとはこの体の事をいうのかな?
脳筋ってやつなんだろうね。(アルパカの頭を見ながら)
いや、でも筋トレやりすぎは良くないと思う。うんうん。
というわけで勝負だ!
【鈴蘭の嵐】を【属性攻撃】と【全力魔法】で強化。
マッスルな筋肉を切り裂くよ。
筋肉が無敵なわけないってことを思い知らせてあげる。
アルパカ怪人の攻撃は【オーラ防御】で軽減していくよ。
世はスレンダーなんだよ。スレンダー。
それを覚えておいてね。
九龍・輝羅
いいねいいねェ!
ついに親玉のお出ましだな!
喰うか喰われるか、シンプルに行こうぜ!!
観客に改めてマギ筋を魅せつけながら、今度は実戦なので全力でストリングを引いてマギブレードをシュートする。
更に【輝龍覚醒】を使ってストライクリンドヴルムをドラゴンウィング展開形態(刃が更に展開し、あたかも巨大な龍の翼のような刃になる)に変型させ、全力全開の一撃をアルパカ野郎にブチ込む。
確かにてめェの筋肉はすげェよ。
そこまで鍛えるのは並大抵の努力じゃなかったハズだ。
アタシはてめェをリスペクトするぜ。
だが!アタシはそれを乗り越えさせてもらう!
行けッ!リンドヴルム!流星の如く!
ブ チ 砕 け ェェェェェェェェェ!!!
●筋肉とは
猟兵を歯牙にもかけない自信に溢れた姿勢のアルパカ怪人。
これに挑むのは九龍・輝羅(f10346)だ。鍛え上げられた広背筋、名付けてマギ筋をまざまざと見せつけてきた彼女。相手に不足はない。
「いいねいいねェ! ついに親玉のお出ましだな! 喰うか喰われるか、シンプルに行こうぜ!!」
マギランチャーを構え、怪人を見据える。
ふざけた頭部をしているが、その肉体には目を見張るものがあった。決してナメてかかるような相手ではない。
そもそもこの事件の黒幕。そう簡単にやられてはくれないだろう。
だからこそ。全力でぶつからねばならない。
「行けェッ! マギブレードだッ!!」
ストリングを引き、ありったけの気魄を込めてマギブレードを射出する。
これに気づいた怪人が、胸の前で腕を交差させ、防御の姿勢を取った。
「フンッ、その技、見飽きたわ!」
「だったらコイツでどうだよッ」
ボディビルショーの時から何度となく披露してきたこの技。当然、怪人はその様子を見ていたはずだ。
その肉体で受け止める。あるいは別の……何らかの対策がされていることは、容易に想像できた。
だからこそ。輝羅は奥の手を残していたのだ。
ユーベルコード【輝龍覚醒】とは、射出したマギブレードの封印を解き、刃の翼をさらに展開、その破壊力を増すという、彼女の秘儀だ。
この巨大なブレードが、高速回転しながら怪人の腕に食い込んでいく。
「ぐぬぉぉおおおっ」
筋肉が裂かれる音が漏れだす。
それでも尚耐える怪人に、オラクル・エーデルライト(f05684)は舌を巻いた。
「凄い筋肉……。ムキムキマッチョとはこの体の事をいうのかな?」
そんな感想を呟き、オラクルは考える。
敵が防戦に努めている今、チャンスなのではと。
「というわけで勝負だ!」
取り出したルーンソードとエレメンタルロッドを鈴蘭の花弁に変え、ステージいっぱいに舞わせる。
清純な、それでいて甘い香りが広がる。そしてそれは鋭い無数の刃となり、アルパカ怪人へと襲い掛かった。
「世はスレンダーなんだよ。スレンダー。それを覚えておいてね」
「ぬぉぉおおおっ! 認めん、認めんぞ! 筋肉こそが至高! 筋肉こそが、マッスルこそが!!」
全身を無数の傷に覆われながら、それでもアルパカマッスルは抵抗する。
ため息をついたのはオラクルだ。
「そういうの、脳筋っていうんだよ。諦めなよ」
「ハッ、分かってねーな!」
しかし、輝羅が否定する。
互いに猟兵でありながら、考え方は合わない模様。
筋肉を肯定する輝羅。スレンダーを是とするオラクル。
「確かにこいつの筋肉はすげェよ。そこまで鍛えるのは並大抵の努力じゃなかったハズだ。アタシはこいつをリスペクトするぜ」
「分からずやだねー」
この話を繰り返しても、決着はつかない。
しかし筋肉を賛美する時間は終わったのだ。猟兵として、今すべきことは他にある。
「だが! アタシはそれを乗り越えさせてもらう!」
「しょうがないなぁ。後でスレンダーの良さをたっぷり教えてあげるから」
すなわち、オブリビオンの討伐。
高速回転するマギブレード。
舞い散る鈴蘭。
いずれも未だ怪人へと突き立っている。
「好き勝手にできると思うな!」
叫んだ怪人の目から光線が放たれた。
猟兵の二人はこの攻撃に身を晒しながら、それでも攻める。
「ブ チ 砕 けェェェエエエエエ!!!」
「切 り 裂 けェェェエエエエエ!!!」
ブチリ。
何かが切れるような音がした。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
エルデラント・ズィーマ
わぁ、見れば見るほど立派な筋肉ですね。敵ながら天晴れです。
なのでワタシも力任せでいきましょう。これでも半分鉄の腕なので力には自信があるのです。組み合って両手で掴んで投げ飛ばしましょう。力比べに負けそうならワタシのお尻に生えてる三本目のアームを使いましょう
上手くいったらユーベルコードで爆砕です。目には目を拳には拳を……です
リリィエル・ロックウェル
パワーにはパワーなのです。
マジカルキャンディメロン味:メロンストライクのメロン100万個分の重さのキャンディの投げつけるのです。
1個は受け止められるかもしれないけどその時は【2回攻撃】でもう一つ投げつけるのです、キャンディ2つで200万個分なのです。
●肉と鉄とフェアリーと
怪人アルパカマッスル。
その鍛え上げられた肉体が揺らぐ。だらりと下がった腕には血の川が流れた。
「グッ、猟兵め……!」
オブリビオンにはしっかりダメージが入っている。
そこに、勝ち誇ったようにふんぞり返るフェアリーがいた。
「筋肉筋肉って言うけど、大したことないのです!」
リリィエル・ロックウェル(f01438)だ。自慢のクレヨンソードを取り出し、アルパカを挑発する。
敵はこれに対して即座に反応するものと思っていた。しかし、ぐぬと呻きを漏らすだけだ。
「とはいえ、見れば見るほど立派な筋肉ですね。敵ながら天晴れです」
「えー? そうかなぁ」
傷ついてもなおその存在感を発揮するオブリビオンの筋肉に、エルデラント・ズィーマ(f02581)は素直に感嘆を漏らす。
己の身を鉄で補っている彼女。肉体と共に記憶すらも失っていくエルデラントにとって、肉体を誇れる者というのは羨ましくもあった。
一方でリリィエルは、肉と鉄の対比を面白そうに眺め、茶々を入れている。
それでも今はオブリビオンとの戦闘中。いつまでも遊んでいるわけにはいかない。
「例えこの身が傷ついても、美しき肉体は健在! 調子には乗らせんぞ!!」
筋肉を隆起させることで強引に止血したアルパカマッスルが、遂に動く。
怒りに火が付いたか、奴はやる気だ。
「ワタシも力任せでいきましょう」
目には目を、歯には歯を、力には力を。
距離を詰めてきた怪人に対し、エルデラントは正面から勝負を挑む。腰を低くして鉄の右腕を上げる。
力比べの挑発だ。
「面白い、乗ってやろうではないか!」
応じたオブリビオンが、彼女の手を掴む。
そのまま組み合いとなり、両者譲らぬ力の押し合いとなった。
方や磨き上げられた筋肉。方や打ち鍛えられた鉄。
「……っ、く、うぅ」
しかしその細い体ではこの怪人相手には分が悪いか。
徐々にではあるが、エルデラントが押され始めた。
「いけーっ! 頑張れー! 負けるなー! それそれ~っ!」
いつの間にかボンボンを取り出し、リリィエルはエルデラントにエールを送る。
これではまるで運動会だ。
「こう、なったら……っ」
このままでは押し負ける。猟兵として、オブリビオンに負けるわけにはいかない。
エルデラントは奥の手に出た。お尻に生えた、尾のようなアームを使い、アルパカ怪人の右腕を掴む。
「む、卑怯な!」
「勝てば良いのですよ」
怪人が抗議するが、それを受け入れるような猟兵ではない。今ならば、この力比べにも勝てるはず。だが。
「むゥんッ!!」
アルパカは、凄かった。何が凄いって、筋肉が。この土壇場でさらに筋肉を膨張させ、都合三本の腕に組みつかれながらも、負けじと押し返そうとしてくる。
しかし。エルデライトは一人ではなかった。
「じゃあ、私もいくのでーっす!」
黄緑色のクレヨンソードを構えたリリィエルが、怪人の頭上で高々と武器を振りかざす。
そして。
「ちょいやーっ!」
ユーベルコード【マジカルキャンディメロン味:メロンストライク】。長い名前だが、れっきとした彼女の技だ。
それ即ち、メロン百万個分の超圧力による打撃。
どのような兵器よりも、最も強力な武器とは質量兵器であるとの説がある。
そんなことを知ってか知らずか。最早リリィエル自身でも支えきれないほどの重みが、アルパカ怪人の右肩に落ちた。
「ぐぬォォッ!?」
「もう一回なのですーっ!」
改めてクレヨンソードを持ち上げたリリィエル。再びその武器にメロンの重みを加え、またも怪人の右肩に打ち付けた。
これには溜まらず、オブリビオンの姿勢も崩れる。
「く……っ!」
これこそが好機と、エルデライトが怪人を投げ飛ばした。
悶えるアルパカ。
この勝負。どうやら勝者は筋肉でも鉄でもなく、クレヨンであったようだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
黒鐡・十郎太カイ
ここからはジュウロウタカイクン'sキャンプデース!
「迷える子羊ちゃんに良いお知らせデース!群れの仲間たちがお迎えに来てくれマーシタヨー!」
【ゴースト・リボーン】で復活させたツーナー達(首をボクーとおそろいに挿げ替えてゴキゲンデースネ☆)が無理矢理アシストデース2回攻撃でオカワリもいけマース
「ホォラ、腕が下がってマース!ウイング、ウイング!」
動画に倣って無理したらどうなるか、身をもって体感してクダサーイ!
せっかくデースからゴンドラパクって上空からセイッ!地形の有効活用デース。目立ちマース
「バルクアップ!ワンモアセッ!」
「ン?アルパカって羊の仲間ではないのデースカ?」
リリィ・オディビエント
控えめにいってかなり気持ち悪いな……どういう造形だ?
こんなのはアルパカではない、偽アルパカよ。真のアルパカというものを思い出させてやろう、あの優雅な首の長さをな!
え?アルパカの首を出すUCが弾かれた…?そうか…そうか……
精神的に不利な状況なので多分このUCが使えると思います。上がった戦闘力を駆使して剣でその毛皮をズタズタに引き裂こうとします
多分かなり出遅れたので難しそうですが、盾を使って【かばう】もやれたらいいなって思います。
●肉 of the meat
「控えめに言ってかなり気持ち悪いな……どういう造形だ? こんなのはアルパカではない、偽アルパカよ」
ステージ上の立ち回りを見ていたリリィ・オディビエント(f03512)がそんな感想を漏らした。
確かに、頭だけがアルパカで、首から下が人間のソレというのは、偽なのかもしれない。
しかし、そんなことを言ったら、先ほど流麗な兎足を披露したリリィはどうなってしまうのだろうか。偽兎だろうか。
「おぉ、リリィさんデースネ! ボクーは感動しマシタ。筋肉のナイアガラデース!!」
「それはもういいから!」
彼女に声をかけた黒鐡・十郎太カイ(f03304)。彼らはそろって、ボディビルショーに出場した仲(?)だ。先ほどのことなので、当然、声援の内容もしっかり覚えている。
だが、ショーは終わったのだ。そのことを引っ張るわけにはいかない。今はオブリビオンを倒すことに集中しなくてはならないのだ。
「とにかく、こんな茶番はさっさと終わらせてしまおう。えーっと……アナタも、あれが本来のアルパカだと信じてしまったら可哀想だ。真のアルパカというものを思い出させてやろう、あの優雅な首の長さをな!」
名前は聞いていないものの、とりあえず猟兵仲間であることには間違いない。
グッと拳を握り、リリィは気合を入れる。
その一方で、アルパカマッスルはというと。
「この筋肉がある限り! 我が肉体は不滅なのだァ!!」
ちょっとボロボロになってきているが、元気だった。
ここは一気に攻めたい場面。だが。
「アルパカ'sブーストキャンプは終わりデース! ジュウロウタカイクン'sキャンプデース!」
「なにィ? 我が至高のトレーニングに勝てるかな?」
「望むところデース!」
……だというのに。十郎太カイが挑んだ勝負は、筋トレだった!
途端に会場のスピーカーから一定のリズムを刻む音楽が流れだす。
両者は互いに左右へステップを踏みながら、両手を開いて、叩く、開いて、叩くを繰り返す。
「まずはウォームアップデース!」
「こんなものは序の口だ!」
「ふっふー。ホォラ、腕が下がってマース! バルクアップ! ワンモアセッ!」
「……あの、何、コレ」
知りません。
今、リリィの前では汗を迸らせながら弾ける笑顔で楽しくブーストキャンプするアルパカ頭とマンゴー頭がいる。
兎足の彼女が至極真っ当な存在に見える程度には、異常な光景だった。
とにかく。敵は油断している。攻めるならば今を置いて他にない。
はず、だった。
「迷える子羊ちゃんに良いお知らせデース! 群れの仲間たちがお迎えに来てくれマーシタヨー!」
リリィが剣を握った瞬間。
ステージ上でブーストキャンプを展開する十郎太カイの背後に並び立つ影が現れた。
それはなんと、先ほどまでこのステージ狭しと駆けまわっていた鮪怪人ツーナーではないか。彼らは、このシャーマンズゴーストの動きに合わせて動くではないか。
「ば、バカな、我が忠実な僕が!?」
だがよく見ると、ツーナー達の首にはシャーマンズゴースト特有の鬣がついているではないか。【ゴースト・リボーン】によって操られている証だ。
これは強烈だ。アルパカの精神的にも、絵面的にも、色々と強烈だ。
「そうか…そうか……。あぁ、よく分かったとも。ならば私は誓おう。騎士とは弱きを守り、決して挫けぬ黄金の精神を持つ者だと!!
こうなればヤケクソだ。【騎士の誇り】とは、敢えて不利な行動をすることによってその身体能力を向上させるユーベルコード。
こんなものを見せつけられている時点で、既に不利であると言わざるを得ない。
今度こそ剣を握り、ブーストキャンプに興じる怪人にリリィが突っ込む。
かつての部下を使われ、呆然自失となった怪人へ肉薄することは容易かった。
「はッ!」
ブンと音を立ててナイトメアソードが振るわれる。
流石の怪人も、これには反応せざるを得ず、咄嗟に身を仰け反らせる。
頭部に生えた毛が数本、宙に舞った。
「浅かったか――!」
「ナイスファイトデース! ナイアガラさんも一緒にバルクアップデース!」
「誰がナイアガラだッ!!」
怪人アルパカマッスル討伐は、あらゆる要因で、一筋縄ではいかないようだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ニコ・ベルクシュタイン
遅参にも程があるか、大変失礼。
此れより、及ばずながら尽力させて頂く。
…こう見えて、俺も筋肉にはそこそこの自信があってな
(アルパカさんに近づきながら一枚一枚上着を脱いでいくムーブ)
好きなトレーニングメニューはラットプルダウン。ニコ・ベルクシュタインがいざ参る!
攻撃は【時計の針は無慈悲に刻む】にて
双剣の切っ先をアルパカさんに向け狙いを良く定め、連撃を叩き込む
本来ならば拳で語りたかった所だが、大人の事情でこうなった事を許して欲しい
な、何だ。そんなつぶらな瞳で見つめてきても駄目だぞ。
貴様!ビームなどと、遠距離攻撃とは何たる事か!
※アドリブ歓迎です
●脱いだらヤベェ時計の人
これまでのショーから戦闘に至るまで、ずっと様子を見ていた者があった。
懐中時計のヤドリガミ、ニコ・ベルクシュタイン(f00324)だ。清潔なスーツに身を包み、姿勢も良く、どこかに仕える執事ではないか、と思わせる風貌。
しかし、捲られた袖口から覗く腕を見れば、分かる者には分かる。
張りの良い肌、メリハリのついた造形、駄肉の見当たらぬ細さでありながら芯が通って力強さを主張するその腕。この男、脱いだらヤベェ!!
「遅参にも程があるか、大変失礼。此れより、及ばずながら尽力させて頂く」
いよいよニコが動く。
一歩ステージに踏み出す間に、スーツのボタンが一つ、また一つと外されていく。そして遂にはジャケットがふぁさりと音を立てて落とされた。
「次の挑戦者はお前か! ふん、その細い身体で……い、いや! お前、まさか」
「そのまさかだ。……こう見えて、俺も筋肉にはそこそこの自信があってな」
ステージ上の怪人アルパカマッスルがニコに視線を送り、その目を見開く。
自信満々に笑んだニコは、今度はシャツを脱ぎ捨てた。
露わになった上半身。褐色の肌はスポットライトの光を反射して輝く、腹筋は形よく分かれたシックスパック、ピクピクと動く大胸筋。
いつの間にかスラックスも脱ぎ、彼を包む布はパンツだけとなった。と、同時にニコはステージへと飛び上がる。
「好きなトレーニングメニューはラットプルダウン。ニコ・ベルクシュタインがいざ参る!」
そしてアルパカに背を見せての宣戦布告。
よく鍛えられた広背筋が、その圧倒的な存在感を主張する。スマートさと力強さを兼ね備えた美しき肉体。キリリと鋭いマスクも手伝って、恐らく会場の女性はメロメロだ!
「私以上に目立つな。ここは、私の、アルパカ'sブーストキャンプなのだ!!」
怪人アルパカが、その目より光線を放つ。
しかしこれを華麗にかわし、ニコは時刻みの双剣を手に駆ける。
「お前、そのパンツ一枚でどこに持っていたのだ!」
「言わせるなッ!」
切っ先を怪人に向け、目にも止まらぬ速度で双剣を鋭く何度も突いてゆく。
これまでの戦いでダメージの蓄積していた怪人は、あっけないほど簡単に倒れた。
生身の肉体に武器をまともに突き入れれば、それもそうだろう。
●アルパカ'sブーストキャンプ終幕
怪人が倒れたことで、アルパカ'sブーストキャンプと呼ばれた筋トレ動画のブームは過ぎ去った。
これで、無理な筋トレの末に倒れる者が出ることはないだろう。
しかし。猟兵らの実践で鍛えられた筋肉を見た視聴者らの間で、ボディビルが流行ろうとしていたことはまた別の話。
大成功
🔵🔵🔵