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輝きの陰には暗き焔が灯る

#UDCアース

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#UDCアース


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「あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくお願いします」
「いやーもう仕事始めですねぇ、正月もあっという間でしたよ」
 ホテルのパーティ会場で大規模な新年会が開かれている。立食形式のテーブルには多くの色鮮やかな食事が並び、そこで仕事の関係者が集まって新年の挨拶を交わし、そろそろ休み気分から仕事へと気持ちをシフトしていく。美味い食事を味わい、お偉方の話しを聴く、それだけで済むはずだった。これが普通の新年会ならば――。
 楽しそうに挨拶や食事をしている人々に混じり、虚ろな目の者達が居た。その者達はどこか異様な雰囲気を纏い、新しい一年を祝う新年会とは真逆の様相だった。だが人が多いせいか、大して気に留められずにいた。
「くっくっくっ……これから何が起こるかも知らずに呑気なものだ」
「贄だ、神に捧げるのだ。一人でも多くの贄を……」
「おお、神ヨ、もうすぐ御身ヲこの世界に――」
「いあ、いあ……」
 虚ろな人々がぶつぶつと呟きながら動き出す。不穏な空気が強くなり、煌びやかな会場全体が異界の如く感じられた。

「集まったな、今回の任務はUDCアース世界の邪神に関するものだ」
 地球のビル群を映し出すグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が猟兵達に向かってこれから起こる事件の情報を伝える。
「都心にあるホテルのパーティ会場で大きな会社の新年会が開かれる。人の集まる場を利用し、邪神を呼び出す儀式を行おうとしているようだ」
 多くの人が集まれば、多くの悪意も集まってしまう。UDCについて何も知らない一般人には考えも及ばない事だろう。
「現状解かっているのは、狂信者どもが集まった人々を生贄にしようとしているということだけだ。皆にはその方法を探り、阻止してもらいたい」
 それを防ぐには儀式を行おうとしている者達を見つけ出さなくてはならない。犠牲を減らす事が出来れば、召喚される邪神の力も弱まる。
「それぞれの得意とする力で狂信者の儀式を妨害し、これを倒してもらいたい。もし不完全な邪神が召喚されることになれば、これも討伐してもらうことになる」
 どのような状況になっても対処できるよう、戦いの準備を怠るなと告げる。
「新年の始まりから惨劇など起こさせる訳にはいかない。早急に現場に向かい陰に潜む者どもの企みを炙り出したまえ」
 説明を終えたバルモアが世界を移動する道を繋げた。


天木一
 今回は現代地球を舞台にした、邪神を祀る狂信者達が相手です。
 新年会で起きる儀式を阻止し、人々を守り邪神とその配下を倒しましょう!

 ホテルのパーティ会場には300人以上の人が集まっています。ホテルの従業員も食事や飲み物の補充で多く出入りしています。UDC組織のバックアップでホテル内をフリーパスで動く事が出来ます。
 人々に混じった狂信者をそれぞれの考える方法で探すことになります。
 一章で一般人に紛れた敵を探し企みを阻止し、二章で狂信者の群れと戦い、三章で邪神と対峙することになります。
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第1章 冒険 『光輝の下にある闇』

POW   :    会場のバックヤードを捜索する

SPD   :    招待客や従業員の話を立ち聞きする

WIZ   :    会話・交渉し情報を聞き出す

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティオレンシア・シーディア
まったくもう、相も変わらず傍迷惑ねぇ。
随分と人も多いし、ほっといたら洒落にならないわよねぇ、これ。
なんとかして止めないとねぇ。

あたしのカッコならパーティー会場にいても違和感ないだろうし、スタッフに紛れて会場内で仕事してるわぁ。
〈コミュ力〉で回りに溶け込んで〈情報収集〉するわねぇ。
スタッフなら会場内うろうろしてても問題ないし、変な動きしてる連中がいないか注意するわぁ。
世間話に何かヒントがあるかもしれないし、噂ってけっこーバカにできないのよねぇ。



●煌びやかなパーティ
 ホテルの中でも一番広いパーティ会場には多くの人々が集まっている。会社関係者が新年の挨拶を交わし、わいわいと立食で食事を楽しんでいる。
「まったくもう、相も変わらず傍迷惑ねぇ」
 騒ぎしか起こさない邪神とその信者にティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は眉を寄せた。
「随分と人も多いし、ほっといたら洒落にならないわよねぇ、これ。なんとかして止めないとねぇ」
 こんな場所で何か事件が起きては大惨事になってしまうと、敵の企みを阻止する為の行動を開始する。
「あたしのカッコならパーティー会場でも違和感ないわよねぇ」
 バーテンダー姿のティオレンシアは自然な振る舞いで、トレイに酒を乗せて会場に入り込む。
「お酒のお代わりはいかがかしらぁ」
 ティオレンシアは空になったグラスと交換しながら、アルコールで口の軽くなった人々の話に耳を傾ける。
「なあ、あいつ大丈夫か?」
「あいつ? ああ、江本の事か。去年の暮れから顔色ヤバイよな」
 男達の視線の先にティオレンシアもチラリと目をやると、そこには酒のグラスを手に持ってじーっと見つめている男がいた。
「何か年末から体調ヤバそうな奴多くないか?」
「まあこの正月休みでちょっとは良くなってるんじゃない。そうでないと仕事が大変だ」
 そこから他愛の無い雑談が続く。そこでティオレンシアはさりげなく距離を取る。
「これだから噂話もバカにできないのよねぇ」
 ティオレンシアはその人物に心の中でチェックを入れ、長く目を離さぬようにしながら、新たなグラスをトレイに乗せる。
「お酒はお喋りの潤滑油よねぇ」
 微笑んだティオレンシアは次の客人に向かって情報収集を続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八上・玖寂
砂喰さん(f00866)に随伴して。
身に余る光栄です。勿論、エスコートさせて頂きます。
お嬢様とその付き人、を演じつつ情報収集しましょうか。
企業の新年会って、実質仕事始めですよね。大変だなー。

基本的には従者らしく砂喰さんの後ろに控えながら
周囲の話に耳を澄ませて立ち聞きしますが、
困った様子の女性など、話しかけても不自然でない人がいれば
【情報収集】【コミュ力】【礼儀作法】で
僕からも情報収集したりなど。
使用価値があれば【誘惑】【言いくるめ】も合わせて。
「お困りのようですが、如何なさいましたか?」
どのような返答であっても、礼を尽くしてから砂喰さんのところへ戻りましょう。


砂喰・ネイン
八上さん(f00033)と一緒に。エスコートしてくださる?

【POW】
パーティ客のフリをして会場で情報収集。
300人以上もいる中から探るのは大変そうだけれど、気力勝負ね。

狂信者は虚ろな目つきをしているようだから
注意していれば顔つきで見分けられるかしら。
判断は【野生の勘】も使ってより確実に。

見当をつけた後は会話の中で粘り強く情報を聞き出しましょう。
聞き役になりつつも、不審がられないようにこちらの事も話すようにするわ。
パーティ客としての偽の話だけれど。
好色そうな相手なら距離を詰めて【誘惑】するのもいいかも。
「興味深いお話ね。もっと聞かせてくださらない?」

気になる事があればすぐに八上さんと情報共有を。



「エスコートしてくださる?」
「身に余る光栄です。勿論、エスコートさせて頂きます」
 微笑んだ砂喰・ネイン(奴隷売り・f00866)が蛇の長い舌を口からチロリとして手を伸ばすと、微笑み返した八上・玖寂(遮光・f00033)は一礼してその手を取った。
 2人はお嬢様と付き人といった風体で、パーティ客のフリをして会場に乗り込む。
「この中から探るのは大変そうだけれど、気力勝負ね」
 気合を入れていこうと、ネインは人混みの中から虚ろな目の相手を探す。人々と軽い挨拶を交わしながらも、ときおり鋭い視線で会場を見渡していると、目の端に一瞬映った暗い顔に野生の勘で気付く。
「表情は聞いていたものに近いけど、まずは話をしてみようかしら……あけましておめでとう。ご機嫌いかが?」
 警戒されぬようにネインが玖寂を残し1人で男性に喋り掛ける。
「……ああ、どうも」
 すると相手は鈍い反応で小さな返事をした。
「お仕事の方は順調かしら?」
「仕事? 仕事なんてどうでもいい……どうせすぐに意味はなくなる……」
 ネインが会話を続けると、心底どうでもいいといった気力の無い声が男から漏れ出た。
「興味深いお話ね。もっと聞かせてくださらない?」
 ネインが魅力的な笑みで話を引き出そうとする。
「はは……この世界にとって人間なんてちっぽけなモノだということですよ。すぐに解ります」
 渇いた笑いと共に男は去っていく。
「どうやら一人は見つけられたようだわ」
 それを見失わぬようにネインは獲物を狙う蛇の如く視線を向けた。
「企業の新年会って、実質仕事始めですよね。大変だなー」
 だがそんな仕事の大変が、命の大変になっては一大事だと、玖寂は少し離れた場所に控えながら周囲の会話に耳を澄ませていると、おろおろと困っている女性を見つけ声を掛ける。
「お困りのようですが、如何なさいましたか?」
「あ、実はあの人とぶつかってお酒を零してしまって、服を汚してしまったんですが……その、怒ってるのか話かけても無視されちゃって……」
 玖寂が尋ねると、女性が一人の男性を指し示す。そこにはスーツの腕が濡れた男性が居た。
「それは大変でしたね。私の方からお話しを聞いておきますので大丈夫ですよ」
 優しく玖寂は微笑んで女性を安心させて別れ、その男の方へと注意を向ける。すると濡れた服を拭くこともなく、暗い眼で何か他の事に意識を奪われている男の姿があった。
「もし、大丈夫ですか?」
 玖寂が話しかけても全く反応が無い。顔は暗く虚ろにどこを見ているかも分からない。これはどうしようもないと玖寂は距離を取る。
「これは当たりのようですね。やはり女性には優しくしておくものです」
 情報を共有しようと玖寂は踵を返しネインの元に戻る。
「お待たせしました。こっちは一人見つけましたよ」
「こちらも一人ね。他の方々とも連絡を取っておいたほうがいいわね」
 玖寂とネインが合流すると互いの情報を交換し、仲間達にも連絡を入れる。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グロリア・グルッグ
「ここは初心に帰って物理ハックで行ってみますか」

WIZ行動。
都心のホテルで大人数が集まる会場なら監視カメラがあるはずです。
それを電脳魔術で【ハッキング】して入手した映像を、【戦闘知識】【視力】【スナイパー】【情報収集】にかけて分析しましょう。

注目するのは人々の顔つきで、表情認識から狂信者を絞り込む。
集団から浮いていたり、挙動不審だったり、食事もせずにじっとパーティを眺めている者などがいればマークします。
大きな新年会で壁の花になるのは【世界知識】的にも社会的にも下策なので、普通はしないと思うのですよねー。

マークした人物がクロだと判断すれば他の猟兵へも電脳魔術を介して情報を共有しましょう。


ナハト・ダァト
猟兵は便利だネ…こんな外見でも、会場には入れるのだかラ

とはいえ私モ見た目が見た目なのデ、…うん何もしなくても彼らがやってきそうだヨ

[情報収集]【バウンドボディ】で細く細かく触手を伸ばして聞き耳を立てて情報収集を行うヨ
液状の体の振動から、音の周波数で言葉も聞けるだろウ

交渉でハ[世界知識][医術]から興味を引けるような話題を持ちだそウ

もし、敵の方から私ヲ外見から判断して話しかけてきた様であれバ
話に乗るフリをしてもいいかもネ

人数、配置場所、儀式を上手く成功させる方法ナド聞いてみようカ

あア。こう見えて、医者だから体には詳しいんダ


神宮時・蒼
…嫌悪。…年が、あけた、ばかり、ですのに、事件は、待って、くれない、のです、ね。

会話や交渉が苦手なので
【SPD】で、周りの話を聞いてみましょう。
幸い、虚ろな目をしている者が信者であるようですので、そっと周囲を観察して対象を探します。
従業員が話している様子があれば、忍び足でそっと近づいて話を盗み聞き。
あまり、きょろきょろしていると目を付けられそうなので、悪魔でも目立たず、自然体を装って行動します



「ここは初心に帰って物理ハックで行ってみますか」
 人の居ない場所で超高度コンピューター内臓のゴーグルを装着したグロリア・グルッグ(電脳ハッカー・f00603)は、ホテル内の監視カメラを電脳魔術でハッキングし、幾つもの画面を同時に展開して異変の一つも逃さぬように目を凝らす。
「まずは人々の顔つきを並べて、笑顔でない者に絞り込みましょう」
 数百人程度のデータならあっという間に選別され、画面に顔がずらっと表示される。
「これだけではまだ人数が多いですね……ならここから行動でさらに絞っていくことにしましょう」
 表情が暗く、さらに集団から外れたり、挙動不審であったり、食事もせずにパーティを眺めている者を選別していく。
「この条件でヒットしたのは10名ですね。ではまずはこのリストアップした人達を監視することにしましょうか」
 監視カメラを動かし、その人物達が常に映るようにセットする。
「大きな新年会で壁の花になるのは『世界知識』的にも社会的にも下策なので、普通はしないと思うのですよねー」
 新年会は基本的に会社の人々がコミュニケーションを取る場所のはずだと、この世界の常識に照らし合わせたグロリアが怪しい人物の動きを追い続けると、その人物の内2人が片隅に置かれていた紙袋を手にするのが確認できた。帰る訳でもないのに明らかに怪しい動きだった。
「ビンゴのようですね、データを上げて他の方とも情報を共有しておきましょう」
 すぐさまグロリアはその2人を黒として顔と居場所を仲間達に伝え、残りの人物の監視に戻る。

「……嫌悪。……年が、あけた、ばかり、ですのに、事件は、待って、くれない、のです、ね」
 目に映る煌びやかで明るい世界を前に、神宮時・蒼(終わらぬ雨・f03681)は足を止める。
「……ボクには、明るすぎる、場所、です……。観察して、探します、ね……」
 人から離れるように蒼はパーティ会場を見て回り、一段落して手を休めて話している従業員に忍び足でそっと近づく。
「この会社って前も新年会してましたよね。儲かってんですね」
「そうそう、来年もウチでしてもらえるようにってマネージャーがすっごい張り切ってるよ」
「でもなんか活気ない人いません? お酒渡そうとしたのに無視されたし」
「あーあの壁際の人でしょ? まあどこにでもパーティーとか嫌いな人もいるわよ。ほら、そろそろ仕事に戻らないとマネージャーに怒られちゃうわよ」
 従業員達が短い休息を終えて仕事に戻る。それを聞いていた蒼は壁際へと視線を向けた。
「……壁際で、お酒を、飲んでいない、人……」
 蒼はそれらのヒントから探せば場から浮いている男を見つけることが出来た。陰気な空気を纏った男が壁にもたれ、食事もせずに人々を見ていた。
「……怪しい、です。……監視が、必要、です、ね」
 気付かれぬように蒼は、自然体を装って周囲に溶け込み男が動くのを待つ。すると他の男がやってきて、その男に紙袋を渡して立ち去った。その行動からほぼ間違いないと蒼は確信する。
「紙袋……です、か。何かある、のでしょう、か……」
 あの紙袋に何かありそうだと、蒼は念のため情報を共有しようと仲間に伝える。

「猟兵は便利だネ……こんな外見でも、会場には入れるのだかラ」
 ブラックタールの体をしたナハト・ダァト(聖泥・f01760)が、普通の人々に交じって会場に入る。
「とはいえ私モ見た目が見た目なのデ、……うん何もしなくても彼らがやってきそうだヨ」
 怪しい雰囲気を放つナハトが細く細かな触手を気付かれぬように伸ばし、あちこちの会話に聞き耳を立てる。殆どがただの雑談や仕事の話だったが、その中で不穏な単語を聞き取った。
「用意はできているな?」
「準備は万端だ。赤いマークの入った紙袋だ、間違えるなよ……」
 コソコソと陰気な顔をした男達が隣り合い、周囲を窺いながら密談していた。
「おい、準備はいいのか?」
 そこへ見知らぬ男がナハトに話かけてきた。
「儀式は上手くいきそうですカ」
 その勘違いを利用してナハトは話に乗って問い掛ける。
「ああ、出入り口を塞いでしまえばどうにでもなる。紙袋を忘れるなよ……」
 そう告げて男は立ち去った。
「紙袋ですカ。他の方からもそんな情報が挙がっていましたシ、怪しいですネ」
 まずはその現物を手に入れようと、出入口付近にお土産に用意されている紙袋をチェックする。
「確か赤い印と言ってましたネ」
 探せば、紙袋の片隅に赤い点が付いていた。その中には紙箱が入っている。それを開けて隙間から覗いてみると、簡易の発火装置が入っていた。
「なるほど、火事を起こす作戦のようですネ」
 調べれば扉付近に紙袋が置かれている。火で扉を塞ぎ、焼き殺すつもりであると看破し、その事を仲間に伝え阻止する為に動き出した。

●阻止
「おい、印のついた紙袋がないぞ」
「なに? 確かにここに用意していたはずだ」
 覇気のない男達が数名、ロビーに置かれた土産の紙袋の前で集まり慌てている。
「おい、出入り口を塞ぐ為に置いた紙袋も無くなってるっ」
 そこへ駆けつけた他の男達も同じように慌てて混乱していた。
「バカな……これでは降臨の為の火の儀式が行えんぞ」
「どうする……どうすればいい?」
 狼狽えた男達は絶望したような顔を見せる。
「こうなったら、全滅は無理でも、我らの手でやるしかあるまい!」
 そう言い放った男が白い布を被ると、自らの胸にナイフを突き立てた。
「おお、神よ! 我らの命を受け取り給え!」
 それに続くように他の男達も次々と布を被ってナイフで自害していく。一瞬にして二十体ほどの死体が出来上がる。
「神ヨ……神ノ救いを我らが人々に与え給う」
 すると苦悶の顔で死んだはずなのに、ゆらりと起き上がり、顔に仮面をつけて動き出す。その手には人々に苦痛と死を与える為の武器、星球をぶら下げたモーニングスターを持っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黄昏の信徒』

POW   :    堕ちる星の一撃
単純で重い【モーニングスター】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    神による救済の歌声
自身に【邪神の寵愛による耳障りな歌声】をまとい、高速移動と【聞いた者の精神を掻き毟る甲高い悲鳴】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    黄昏への導き
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自身と全く同じ『黄昏の信徒』】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂信者
 猟兵によって火計を阻止され、狂信者達は自らを邪神の眷属と化して殺戮を始めようとする。
 パーティ会場にはまだ大勢の人が残っている。そこへ向けて狂信者達の殺意が向けられた。この暴挙を止める為、猟兵達は人々を守り逃しながら、狂信者を倒さなくてはならない。気の抜けぬ厳しい戦いが始まる。
フレデリカ・グレーデン
……ん、時間か
仕事熱心結構、狂信者共
それじゃ、こっちも仕事にしよ、「おじさん」

オーラ防御を纏う【魔王】を一般人の盾に
信徒と距離があればWitness me、【魔王】が守ってアタシが撃つ
攻撃が止めば2回攻撃、アタシと魔王でそれぞれの敵を殺す
黄昏への導きを使うヤツは、使われる前に
【魔王】が殴り、アタシは銃を
おじさん、ご苦労

日陰者が日向に出ちゃダメじゃん
大人しく日陰に引きこもってなよ、でなきゃ翼が焼け落ちるだけ
……まあ落ちても、【魔王】の焔に消されるんだけどね



「死ね! 死んで我らが神の慈愛を受けるがいい!」
 自ら命を絶ち眷属と化した狂信者達が人々に襲い掛かる。
「……ん、時間か、仕事熱心結構、狂信者共。それじゃ、こっちも仕事にしよ、『おじさん』」
 軽い調子でフレデリカ・グレーデン(蝋の翼・f09190)が呼びかけると、背後に立っていた燃え盛る炎のような赤髪の【魔王】が動き出す。その身にオーラを鎧のように纏い狂信者達の前に出て、一般人を護るように立ち塞がる。
「なんだ貴様から死にたいのか!」
「ならば神への捧げものとなれ!」
 狂信者がモーニングスターを振り下ろすと、魔王が上げた右腕で受け止める。そこへさらにもう一体の敵が回り込んでモーニングスターをフルスイングすると、魔王は左腕で防いだ。
「おじさん、ナイス」
 敵の動きが止まったところへフレデリカが大型自動拳銃の引き金を引く。放たれた銃弾が敵の胴に風穴を空けた。そしてもう一体に魔王が拳を腹にぶち込み、敵の体を軽々とくの字に吹き飛ばし壁にぶつけた。
『ィイイイイイイッ!』
 奇声のような歌声が狂信者の口から漏れ出る。それは聴いた者の心を削る狂った歌声だった。
「うるさいな。おじさん近所迷惑だから黙らせて」
 フレデリカが己が耳を塞ぐと、魔王が動き敵の顔に拳を叩き込んで仮面を砕き、中の顔をぐしゃっと潰して殴り倒した。
「この神の眷属である我々に逆らうとは! 神罰を与えてくれる!」
 狂信者達が歌い出し、その悲鳴の如き歌声が聴く者の心を蝕む。
「日陰者が日向に出ちゃダメじゃん。大人しく日陰に引きこもってなよ、でなきゃ翼が焼け落ちるだけ……まあ落ちても、【魔王】の焔に消されるんだけどね 」
 フレデリカが次の敵に素早く銃弾を撃ち込み、脚を獣が食い千切ったように抉ると、倒れたところに魔王が拳を打ち下ろし頭を砕いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナハト・ダァト
成程、彼等が私ヲ仲間と勘違いした理由に納得がいったヨ
…外見が似ているからだネ

一般人の保護に回ろウ

◆一般人
先程の調査で触手を伸ばしていただろウ
ナニ、その時に作っていただけだヨ

[地形の利用][情報収集][救助活動]によって
この場にいる人間の性格の特徴、逃げようとする方向、避難通路ハ把握しておいたヨ
後はそこに七ノ叡智の入り口を置いておくだけサ
彼らは気付かず、また、気付いた者も全員私の永遠の中
絶対の安全圏にネ

届かなかった者、触れられなかった者がいた場合は
[バウンドボディ]を使って、体を伸ばして七ノ叡智の空間に逃がすヨ

見逃していた者は[かばう]ダ
[激痛耐性]はあるからネ


グロリア・グルッグ
旅団【鬼神軍】の仲間、ナハトさんと連携します。
大勢いる民間人の避難をサポートしましょう。

「パニックになると言葉では制御できないんですよね。でも目は見えるし逃げたい心理は強いので、視覚的に誘導すれば意外とスムーズだったりするんですよ」

高速詠唱で電脳魔術を使い、広範囲に電脳空間を展開。
時間稼ぎの応用で民間人の避難ルートを矢印等で表示します。
ナハトさんが避難場所を用意してくださるので、そちらへ流れるよう誘導しましょう。
世界知識や地形の利用で民間人達が『安全そうだ』と認識しやすい色彩を用い、無意識にでもそれに沿ってしまう心理を活用します。

召喚した騎士は敵の元へ向かわせ避難の時間稼ぎをさせます。



「なんだ?」
「テロか何かか!?」
 その戦闘の騒ぎに人々は慌てて逃げ出そうとするが、多くの人が集まり過ぎてすぐには動き出せない。
「成程、彼等が私ヲ仲間と勘違いした理由に納得がいったヨ。……外見が似ているからだネ」
 フードで体をすっぽり隠した姿は周りから見れば同じように見えるかもしれないと、ナハトは己が服装を見下ろす。
「言われてみれば似てるような……」
 その様子を隣で見ていたグロリアが、思わず頷いてしまいそうになった頭を横に振って誤魔化す。
「このままでは被害が出てしまいそうダ。私は保護に回るとするヨ」
 捜索の為に伸ばしたままの触手を使い、ナハトは出入口に小さな光のゲートを作り出す。そこを通る一般人を吸い込み、絶対安全圏に保護していく。
「パニックになると言葉では制御できないんですよね。でも目は見えるし逃げたい心理は強いので、視覚的に誘導すれば意外とスムーズだったりするんですよ」
 人々の逃走心理を予測したグロリアは、高速詠唱で一瞬にして電脳魔術を行使し、会場全体に電脳空間を展開した。
「ナハトさんの用意してくださった避難場所に誘導します」
 グロリアは逃げ惑う人々の周囲に矢印や、緑の非常口のピクトグラムを浮ばせて視覚的に誘導を行う。
「こっちじゃない!」
「非常口があるみたいだぞ!」
 パニックで思考力の衰えている人々はそれに従い、光のゲートを潜って絶対安全圏に入っていく。
「何だこの光は!?」
 それを狂信者が追い駆けるが、ゲートの中に入れずにキョロキョロと見渡す。
「残念だったネ。彼らはもう手の届かないところに居るヨ」
 そんな敵を見てナハトは愉快そうに肩を揺らす。
「生贄を何処へやった!?」
 怒りの矛先をナハトに向けて狂信者がモーニングスターを振るう。
「彼らは気付かず、また、気付いた者も全員私の永遠の中。絶対の安全圏にネ」
 ナハトはテーブルを持ち上げて盾にして躱し、料理を引っくり返して敵の顔にぶつけて目晦ましにした。
「敵には妨害するように壁を展開します。少しでも足が止まればいいのですが……」
 グロリアは敵の前に壁の映像を浮ばせて視界を遮る。
「くっ何だこれは!」
 振り下ろすモーニングスターが何もない空を切る。
「ただのまやかしか!」
 無視して壁の映像を突破した狂信者の前にナハトが立ち塞がる。
「私ヲ倒さなければ、彼らを生贄にはできないヨ」
「なら貴様から神の愛を受け取れ!」
 狂信者がモーニングスターを振り回すと、ナハトは残像を生み出しながら動き回り、料理を投げつけて翻弄する。
「注意が逸れている内に、保護を進めるヨ」
 敵の攻撃を引きつけながら、伸びた触手の先でゲートを作り人々を絶対安全圏に入れてゆく。
「しかし数が多いネ、敵も集まって来たヨ」
 人が減って来ると視界が通り、こちらに気付いた敵の増援がやって来る。だがナハトは敢えてその場に留まり、多少のダメージ覚悟で敵を釘付けにして人々の避難を優先する。
「召喚を終えました。敵はこちらで引き受けます」
 その間にグロリアが召喚した銀河帝国の騎士の霊が赤黒い雷を放つ。閃光は狂信者を貫き吹き飛ばした。
「死こそ救いなり!」
 もう1体の狂信者が横から騎士にモーニングスターを叩き込むと、騎士は真紅の剣で受け止め弾き返す。
「この調子で時間を稼げれば被害を抑えられるはずです」
 騎士が敵の相手をしている間も、グロリアは人々を誘導する為に矢印や道を描いてゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

八上・玖寂
引き続き砂喰さん(f00866)と。
次は狂信者のエスコートとは……華がない。
まあそれはそれとして、お仕事です。

【目立たない】で隠密行動しつつ、咎力封じで順番に縛っていきましょうか。
【先制攻撃】【2回攻撃】も合わせて。
余裕があれば、縛った相手に服の下の暗器類(夜守)で急所に【暗殺】や【傷口をえぐる】など。
時限発火など回りくどい方法より、こうやって直接手を下す方が確実だと思いません?
まあ、作業効率は悪いかもしれませんが。

敵の攻撃は出来るだけ【見切り】出来るように、行動には気を払います。
囲まれたり背後を取られたりしたら【クイックドロウ】で一発撃ちましょうか。
あまり弾数に余裕がないんですよね、この子。


砂喰・ネイン
引き続き、八上さん(f00033)と。

人の居ないほうへ敵を引き付けながら、
【ブラッド・ガイスト】で『隷属の鉄鎖』を殺戮捕食態に変化。
手近な敵を絡めとって【生命力吸収】で弱らせるわ。
少しでも反撃を防げるよう腕ごと縛り上げたいわね。
【ロープワーク】で素早くしっかりと。

……奴隷になる気はないでしょう?
強く絞めて終わらせてもいいし、
他の敵がモーニングスターを振るってくるなら
縛っている【敵を盾にする】わ。
力は結構強いの。鉄鎖を思い切り引き寄せて、
さあ、私の代わりに潰れてちょうだい。

敵の身体だけでは防ぎきれないと思ったら【ジャンプ】で後ろに回避。
崩れた地形に足を取られないよう気をつけるわ。


ティオレンシア・シーディア
仕掛けが見事に不発したわけだし、そりゃやっぱ直接来るわよねぇ。
ま、遠慮も容赦もしてあげる義理なんて、こっちにはないのよねぇ。お生憎様。

ココ、ホテルってことは階数あるわよねぇ。
あんなモノ振り回されて、床が抜けでもしたら…一般人はタダじゃ済まないわよねぇ。
と、なると。声はともかく、攻撃させない方向で動いたほうがいいかしらぁ。

相手の攻撃の起こりを〈見切〉って〈クイックドロウ〉の〈先制攻撃〉を
撃ち込んで●封殺するわぁ。
〈カウンター〉の〈鎧無視攻撃〉を〈スナイパー〉で足に撃ち込んだら高速移動封じられたりしないかしらねぇ。
他の人に〈援護射撃〉飛ばす余裕があれば最上ねぇ。

※アドリブ掛け合い絡み大歓迎



「仕掛けが見事に不発したわけだし、そりゃやっぱ直接来るわよねぇ。ま、遠慮も容赦もしてあげる義理なんて、こっちにはないのよねぇ。お生憎様」
 仲間と敵が交戦する中、周囲を見渡したティオレンシアは冷静に状況を把握して何をするべきかを考える。
「ココ、下にも部屋があったわよねぇ」
 ホテルの構造を思い出し、下にも空間がある事を考え最悪の事態を想定する。
「あんなモノ振り回されて、床が抜けでもしたら……一般人はタダじゃ済まないわよねぇ」
 この階に居る人も、下の階に居る人にも大きな被害が出てしまうと、その惨状を思い描く。
「と、なると。声はともかく、攻撃させない方向で動いたほうがいいかしらぁ」
 これ以上好き勝手にモーニングスターを振り回させるのは危険だと、ティオレンシアは目にも留まらぬ速度でシングルアクション式6連装リボルバーを抜き撃ち、一般人を攻撃しようとした敵の腕を撃ち抜いた。
「貴様ぁがべっ」
 攻撃を受けこちらに気付いて振り向いた敵の顔にもう一発の弾丸を撃ち込んだ。狂信者は血を仮面の穴から垂れ流しながら仰向けに倒れた。
「この愚か者め! 神の偉大なる愛を知れ!」
 高速で駆け出した敵が歌声を発して突っ込んで来る。気の狂うような声がその身から響き渡る。
「パーティには合わない歌ねぇ。ちょっと落ち着いたらどうかしらぁ」
 その脚に弾丸を撃ち込み、敵の脚をもつれさせて転倒させた。
「人もだけど、ホテルにも出来るだけ傷をつけさせないわぁ」
 敵に止めを刺すよりも、一体でも多く戦闘力を奪おうと、ティオレンシアは次々と敵の手足を狙っていく。だが6発の弾を使い切り、薬莢を吐き出しリロードする隙に敵が迫る。
「死ネ! その顔を苦悶に満たして神へ捧げてくれる!」
 狂信者がティオレンシアにモーニングスターを振り上げた、だが振り下ろされる前に鉄鎖が腕に巻き付いた。
「避難が全て終わるまで、被害が出ないよう私達で止めるわよ」
「お任せを」
 鉄鎖を伸ばしたネインが声をかけると玖寂が畏まって一礼した。
「次は狂信者のエスコートとは……華がない。まあそれはそれとして、お仕事です」
 不本意そうにしながらも、玖寂は存在感を消すように人々に紛れ込む。
「助かったわぁ」
 リロードを終えたティオレンシアは、目の前の敵に弾丸を叩き込んで胸に穴を開けた。
「歯向かうか! だが一人も逃さんぞ! 全員捧げものになれ!」
 テーブルを薙ぎ倒しながら狂信者が迫る。
「逃がさないのはこちらの台詞よ」
 ネインは手枷付きの鉄鎖を蛇のように操り敵の首に巻き付ける。
「なっ!?」
 苦しむ狂信者はそれを手で引き剥がそうと、首を掻きむしるように指を肉に食い込ませる。
「……奴隷になる気はないでしょう? なら強く絞めて終わらせてあげるわ」
 鉄鎖を思い切り引き寄せ敵を引き摺り倒すと、そのまま首を圧迫して骨を折ってしまう。ガクンと弛緩して敵は息絶えた。
「た、助けて!」
 逃げていた女性が落ちていた食べ物を踏んで足を滑らせ転んでしまう。
「苦しみを与えよう。死を与えよう。さすれば貴様も我らと同じ眷属となれるのだ!」
 そこへ狂信者がモーニングスターを振り上げた。
「折角の美し女性の顔に、そんな悪趣味な仮面を被せるなんて美に対する冒涜です」
 その背後に音も無く立っていた玖寂が、服の下に忍ばせていた匕首を首筋に突き立てた。ひゅっと空気の漏れる音がして敵は絶命する。
「大丈夫ですかお嬢さん? この矢印の通りに進めば安全な場所に行けます。暴漢の相手は僕がしますので安心して進んでください」
「は、はいっ」
 玖寂は女性に手を伸ばして助け起こし、背中を優しく押して矢印の方へと向かわせる。
「という訳で、そちらには行かせませんよ」
 逃げる女性を追いかけようとした狂信者に、玖寂は艶消しされた回転式拳銃の銃口を向け脚を撃ち抜いた。
「あまり弾数に余裕がないんですよね、この子」
 足を取られ倒れ込んだ敵の背を踏みつけ、玖寂は匕首で首を切り裂いた。
『神ヨ! 神ヨ! 我らに祝福を! イイィィエエアアアアァァッ!』
 高速で迫る狂信者が甲高い悲鳴を放つ。その歌声は周囲の者の魂を傷つける。
「耳障りね。そんな歌声で喜ぶ神なんてろくでもない存在に決まってるわ」
 歌う敵の顔にネインは鉄鎖を巻き付けて歌を阻害し、鎖を引いて頭を締め付け全身を拘束しながら引き寄せる。
「神への冒涜許すまじ!!」
 そこへ新たな狂信者が突っ込んで来るとモーニングスターを振り下ろす。
「さあ、私の代わりに潰れてちょうだい」
 先ほど縛って引き寄せた狂信者を盾にして、自分の代わりに頭でモーニングスターを受けさせた。ぐちゃりと頭部が砕けて血が噴き出す。
「貴様らか! 我らの火の儀式を邪魔した神敵は!」
 仲間の血でモーニングスターを染めた狂信者が叫ぶ。するとそれを聞きつけた白い布を纏う敵達がぞろぞろと集まってくる。
「その命を神に捧げて懺悔せよ!」
 狂信者達がモーニングスターを構える。
「時限発火など回りくどい方法より、こうやって直接手を下す方が確実だと思いません? まあ、作業効率は悪いかもしれませんが」
 玖寂は敵が武器を振るう前に手を手枷で封じ、叫ぼうとする口に猿轡を嵌める。そしてロープで全身を拘束して放り出す。その玖寂に向けて横からモーニングスターが振り抜かれた。
「どんな方法だろうと、私達が邪魔するのだけどね」
 そこへネインが鉄鎖を伸ばして手枷を掛け、引っ張って攻撃を空振りさせ、勢い余った星球が近くの狂信者に当たって吹っ飛ばした。
「援護するわねぇ」
 敵の注意が逸れている間に回り込んだティオレンシアが敵の脚を次々に撃ち抜いて動きを鈍らせ、そこをネインと玖寂が仕留めていく。

●邪神召喚
「そろそろ終わりかしらね?」
 ネインが周囲を見渡すと、一般人は全て避難を終え、床には息絶えた狂信者達が転がっている。パーティ会場に立っているのは猟兵だけだった。
「ええ、そのようです。これで終わりならばですが……」
 玖寂は警戒を怠らずに周囲を見渡す。まだ何かあるような嫌な予感がしていた。
「まだ生きてるのがいるみたいだわぁ」
 這うように動いている敵に向け、ティオレンシアが止めの弾丸を背中に撃ち込んだ。
「ごふっ……神ヨ……どうか我らの命を供物に、この世に救いを……!」
 そう残して虫の息だった狂信者が息絶える。全ての眷属が死んだ瞬間、会場に霧とも霞とも見える灰塵の炎が放たれる。眷属達が焼け落ち灰となって消え去った。
 代わりにそこに現れたのは形容しがたき灰塵の集合体のようなモノ。狂信者の命の炎が何処かとこの場所を繋げ、邪神が姿を現したのだ。
 恐るべき脅威を前に、猟兵達はその手に武器を構える。ここで倒さねば街に大きな被害が出てしまうのだ。猟兵は覚悟を決め邪神に立ち向かう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『灰霞の剣』ヴォル・ヴァ・ドーズ』

POW   :    焔を焚く者
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【灰色の焔 】で覆われる。
SPD   :    灰霞の剣
【灰霞の剣 】が命中した対象を燃やす。放たれた【霧とも霞とも見える灰塵の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    焔・灰・剣(BLAZE ASH BLADE)
【焔か灰か剣】が命中した対象を切断する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は吾唐木・貫二です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ティオレンシア・シーディア
うっわあ…これ、非実体系…よねぇ?
撃って当たるんならいくらでもやりようはあるんだけど…よりにもよってこいつ、あたしの天敵じゃないのぉ。

灰と炎の集合体じゃ、普通に撃っても効きゃしないわよねぇ。
まずはコアみたいな物とか弱点っぽいものを〈情報収集〉しながら〈援護射撃〉で攻撃を凌ぐわぁ。
炎はムリでも、軌道を〈見切〉って剣を逸らすくらいはなんとかなる…かしらねぇ?

狙い目が分かったら、そこに全ツッパ。
〈鎧無視攻撃〉の●封殺を〈スナイパー〉で〈一斉発射〉するわぁ。
炎の塊相手に長期戦なんてやってらんないもの。一か八か全弾叩き込むわよぉ。
スカだったら…笑って誤魔化すしかないわねぇ。

※アドリブ掛け合い絡み大歓迎


砂喰・ネイン
引き続き八上さん(f00033)と。
パーティーよりも面白そうね?

どこまでが実体か判断が難しいけれど「眼」は狙えそう。
【野生の勘】【地形の利用】で安全なところを通って、
敵に近い位置のテーブルまで移動。
ナイフやフォークがあれば引っ掴み。
テーブルの上から【ジャンプ】して、敵の眼にナイフを複数投擲。
攻撃後は速やかに距離をとるわ。暗器を借りた方が早かったかしら?

ただの食器じゃ効果が薄いなら、次の攻撃時は
【ブラッド・ガイスト】で強化したナイフ(グルメツール)を投げるか、
命中に不安がある場合は【ロープワーク】で投げた『隷属の鉄鎖』を、
敵に当たる寸前のタイミングで黒剣状態に戻して刺せないか試しましょう。


八上・玖寂
引き続き砂喰さん(f00866)と。
文字通り霞を捕らえるようなものですね、これは。
しかし、捕らえられないなら斬り捨てるのみ。

まず咎力封じは試みますが、手応えがなければ執着せずに
【第六感】【戦闘知識】【情報収集】も合わせて
観察しつつ、弱点でも探りましょうか。

弱点の目星がついたら、懐中時計(落照)に自分の血を擦り付けて
『万天を断つ無明の星』を使用。
【2回攻撃】【傷口をえぐる】【暗殺】も合わせて。
邪神も目に頼るんですかね?
だとしたら、とても助かるのですが。

砂喰さんが攻撃する際には咎力封じで敵を妨害して支援したりなど。
投げるものがなければ僕の暗器をいくつかお貸ししましょうか。お気に召せば、ですが。


フレデリカ・グレーデン
背後に立つ【魔王】が吼える
貴様の生に立ち塞がる者、今こそ障害を砕き進めと
貴様の生きる世界を汚す神、醜き者を滅せよと

……言われるまでも無いよ、おじさん
日陰も日陰、底の底、アイツを元いた場所に叩き落としてあげるから

【魔王】に恐怖を与えるような突撃をさせ、自分は安全に後ろから銃撃
武器受け、オーラ防御、【魔王】があらゆる力で防ぎ
お返しは倍、2回攻撃。【魔王】の拳と彼女の銃弾、互いの隙を埋めるように

技には技を。Quick order
灰も焔も、更に黒く塗りつぶして
無茶でもお願い
アタシの為に神を殺して、おじさん
ダメ?


ナハト・ダァト
【鬼神軍】で同行するヨ
さテ、陽動が上手くいっている内に近づこウ

【バウンドボディ】[残像][地形の利用][オーラ防御]
会場にある物、持ちうる技能を全て使っテ攻撃があたる距離まで接近ダ

被弾しても[激痛耐性]で凌ぐヨ
火や煙に関は[残像]で対応ダ
幸い身を隠せるテーブルがあるからネ

近づく間に敵の弱点、攻撃が集中して弱った部位を探っておこウ
見つけたらその部位に[鎧無視攻撃]の[傷口をえぐる]だヨ

随分庇っていたようダそこが弱点だったのかナ?
陽動に気づけなかった時点で君の負けサ
信者を生贄にして出てた時点で、数の差はついていたんだヨ
残念だったネ

事後
一般人を元の空間に返すヨ
怪我人がいたら治療もしておかないとネ


神宮時・蒼
…これが、邪神、ですか…。…実体、あるの、でしょうか…。
…疑問。…攻撃、あたる、のでしょうか。…やるだけ、やって、みましょう…。

靄、というよりは、燃焼性のガスみたいなものでしょうか。
極力触れたくも、触れられたくもないですね。
ちょっと距離を取りましょう。
あの目玉を攻撃すれば、ダメージ入るでしょうか。こちらの姿も見失ってくれれば幸いです。
灰すらも凶器になるのなら、振り払って対処します。


オン・スロート
「今だ!行け!」
両腕のハッチが開き、内部から内蔵兵器、マルチプルランチャーが飛び出す。
多目的射撃武器であるマルチプルランチャーから榴弾を連続発射し、ヴォル・ヴァ・ドーズの動きを制限する。

【行動指針】
マルチプルランチャーを攻撃回数重視で発動し、ボスの行動を制限する。
戦闘知識2と援護射撃1を活用して、続く味方が動きやすいように制圧射撃を行う。


グロリア・グルッグ
旅団【鬼神軍】でナハトさんと連携します。

目的は速度と手数を活かしたボスのかく乱で、ナハトさんの近接攻撃を援護射撃します。

存在感を見せつけるために武装から一斉発射を行い、ボスに対して印象付けを計ります。
その後、騎兵走法とジャンプやダッシュ、スライディングを合わせながらボスの周りを飛び回り、空中戦を仕掛けます。
マヒ攻撃の可能性がある雷の属性攻撃を高速詠唱で行いながら、誘導弾や鎧無視攻撃の砲撃でも攻めていきましょう。
また地形の利用や情報収集で上手く立ち回り、騎兵の本領を発揮します。

「騎兵の速さについてこれますか! まだまだ弾はありますよ!」

被弾しても覚悟と火炎耐性や激痛耐性で乗り切りましょう。



●邪神『灰霞の剣』
 その霧か霞のような体の中央に複数の目のようなものが浮かんでいる。それが個々に動いて猟兵達をギョロリと見つける。
『Bobouuuuu』
 炎が噴き出すような奇怪な音が響いたその瞬間、炎が全方向に向けて地面を走り、ゆらりとその体が動き出した。動く度に周囲に灰が撒き散らされる。
「パーティーよりも面白そうね?」
「パーティーはパーティーで楽しかったですが、こちらの方が気楽ですね」
 ネインは怯えるどころか微笑み、頷く玖寂も余裕のある笑みを浮かべて邪神に向き合う。
「うっわあ…これ、非実体系……よねぇ?」
 敵の姿を確認したティオレンシアは嫌そうに口元を歪める。
「撃って当たるんならいくらでもやりようはあるんだけど……よりにもよってこいつ、あたしの天敵じゃないのぉ」
 果たして銃弾が効くものだろうかと、リボルバーの先の戦いで使った分の銃弾を込めながら頭を悩ませた。
「……これが、邪神、ですか……。……実体、あるの、でしょうか……」
 そんな疑問に蒼は首を小さく傾げた。だが考えても答えは出ない。
「……やるだけ、やって、みましょう……」
 そして覚悟を決め、蒼はすっと近づくと茉莉花の花と蔦が絡んだ刃を振るう。不思議な色を放つその刃は敵を切り裂いた。だが手応えは薄く、綿飴でも切ったような感触だった。
(「……靄、というよりは、燃焼性のガス、みたいなものでしょうか」)
 手応えのなさから蒼はそう想定して次の攻撃を考える。するとそこに灰の剣が放たれ、蒼はさっと下がって回避した。
(「……距離を、とったほうが、よさそう、です……」)
 この距離は敵が有利と見て、攻撃を避けながら後退する。
 パーティ会場に轟音が響く。それはフレデリカの背後に立つ【魔王】が吼える声だった。貴様の生に立ち塞がる者、今こそ障害を砕き進めと。貴様の生きる世界を汚す神、醜き者を滅せよと。その腹に響くような咆哮は魂に訴えかける。
「……言われるまでも無いよ、おじさん。日陰も日陰、底の底、アイツを元いた場所に叩き落としてあげるから」
 任せてとフレデリカは大型自動拳銃を構える。それと同時に魔王が突進を始め、それに対して邪神から炎が放たれる。魔王はその炎を突破して邪神に拳を打ち込む。同時にフレデリカも銃弾を叩き込んだ。当たった場所が霞のような体が吹き飛ぶが、また元のように結合して体を形作る。
「ナハトさん、私がかく乱しますのでその間にお願いします」
 そう言ってグロリアは前に出て固定砲台を2門展開し、敵に向かって砲弾を放ち爆発を起こす。そうして派手な攻撃をして反撃が来る前に駆け出した。
『Bobouuubo』
 邪神から爆発する音が響くと、追うように地を這う炎がグロリアに迫る。それを跳躍して避け、壁を蹴って難を逃れる。
「さテ、陽動が上手くいっている内に近づこウ」
 敵の注意が逸れている間に、ナハトはテーブルの陰から近づく。近くから観察してみるが、攻撃を受けた体は霞のように散っては集結して不定形な体を形作る。
「霞みたいな体だネ。一先ず試してみるとしようかナ」
 実際に手応えを確かめてみようと、ナハトは腕を触手のように伸ばして殴りつけた。分厚い綿を殴ったような感覚と共に敵の体が霧散し、また元のように集まる。
「これは厄介だネ」
「下がってくださいナハトさん」
 ナハトの元に灰で生み出した剣が放たれる。それをグロリアが砲撃で迎撃し空中で爆発させた。拡散した灰が炎となって周囲に降り注ぐ。
「灰と炎の集合体じゃ、普通に撃っても効きゃしないわよねぇ」
 ならばとティオレンシアはコアのようなものを探す為に神経を集中して目を凝らし、仲間達の攻撃によって何かしら異常が起こらないか探る。
「砲撃を行う!」
 敵に姿を見せたオン・スロート(猛襲傭兵・f01587)は、両肩のハッチを開け中からマルチプルランチャーが姿を見せる。そこから榴弾が連続発射されて、敵に当たって爆発を起こし霞を散らして動きを鈍らせた。
「今だ! 行け!」
 オンの作り出した隙を狙い仲間達が邪神に攻撃を行う。
「物理攻撃が通りにくいのなら、状態異常を試してみます」
 立ち止まったグロリアは高速詠唱を行い、雷属性を与えた砲撃によって稲妻迸る砲弾が電流を敵に伝えた。衝撃に敵の動きが一瞬停止する。
「……効いているようです。このまま攻撃を――」
 砲撃を続けようとしたグロリアに向かって灰の剣が飛翔する。それを黒い鞭のようなものが弾いて天井に穴を開けた。
「イタタ……手が痛くなってしまったヨ。相手の攻撃はこっちで防いでおくヨ」
 腕を鞭のようにしならせたナハトがグロリアの前に立っていた。
「お願いします」
 すぐにグロリアが砲撃を続け、ナハトが迫る灰の剣を弾く。だが炎が地面を這うように放たれ囲まれる前に2人は飛び退く。
「まずは捕まえられる部分があるか試してみましょう」
 玖寂はロープを飛ばして敵の体に巻きつけようとする。だが手応えがなくロープは燃え上がって灰になった。
「文字通り霞を捕らえるようなものですね、これは。しかし、捕らえられないなら斬り捨てるのみ」
 手応えの無さにすぐに玖寂は切り替え、暗器の手裏剣を投げて霞を斬り裂く。
「どこまでが実体か判断が難しいけれど『眼』は狙えそう」
 ネインは乱雑に倒れたテーブルに身を隠して近づきながらナイフやフォークを引っ掴み、テーブルを足場にして跳び上がり投擲する。狙い違わず凶器となったそれは敵の青い眼と周辺に突き刺さった。それを確認する前にネインは着地と共に身を低くして距離を取る。
 ギョロギョロと動く目が攻撃相手を探しているが、ネインを捉えきれずに周囲のテーブルや絨毯を燃やす。
「邪神も目に頼るんですかね? だとしたら、とても助かるのですが」
 その間に横から玖寂が手裏剣を投げつけると、邪神の目が両断されていく。
『Bobooooou……』
 すると嫌がったように邪神の体が揺れて炎が弾け飛ぶ。
「暗器を借りた方が早かったかしら? でも効果はあったみたいね」
「そのようです。弱点が解れば後は仕留めるだけです」
 続けてダメージを与えていこうと、ネインは己のグルメツールからナイフとフォークを取り出して血液を代償に刺々しい凶悪な姿に変化させて投げつける。それを援護しようと玖寂は手枷やロープを使い敵を妨害して放たれる灰の剣を逸らした。ナイフとフォークは目に刺さると抜けぬように喰らい込んで破壊した。
「あの目みたいなのは物質みたいねぇ。ああいうのが弱点だったりするのは怪物退治のお約束よねぇ」
 手早くリロードしたティオレンシアは幾つもある目に向けて全弾を撃ち込む。すると複数の目が砕け散り、ギョロリと残った目がティオレンシアを見つめる。
「やだわぁ、目が合っちゃったぁ」
 慌ててティオレンシアが飛び退くと、そこに剣が突き刺さり炎が燃え広がる。
「……見えて、いるのか、わかりません、が、あの、目玉へは、攻撃が、通じるみたいです、ね」
 それならば自分もと、蒼は自らを神霊体である薙刀の姿に変え、衝撃波を放って目玉を狙う。己が寿命を削りながら起こる破壊の渦は炎を掻き消し目玉を押し潰した。すると霞の身体から新たな目玉がギョロリと生え蒼を凝視する。
『Boboogobo』
 奇怪な音を放ちながら燃える霞の剣が生み出され、薙刀の蒼を叩き折ろうと放たれた。
「炎はムリでも、軌道を見切って剣を逸らすくらいはなんとかなる……かしらねぇ?」
 向かって来る剣の前に立ったティオレンシアは、銃口を向けて発砲する。放たれた弾丸は剣を弾き誰も居ない地面に突き立てた。その間に蒼は人の姿に戻って移動する。
「援護する! 今のうちに体勢を立て直せ!」
 そこへオンが榴弾を叩き込んで攻撃を打ち消し、さらに爆撃して敵の思うように攻撃をさせない。
「厄介な敵であるのは確かだが、倒せない敵ではない」
 攻撃を続けていると、反撃の剣が飛び出してくる。反撃を予測していたオンは横に移動して避けた。先ほどまでいた場所に剣が突き刺さり火柱が燃え上がった。

●燃え尽きる焔
『Bobooooobouuu』
 体が少し透け始めていた邪神の体が灰色の焔で包まれ、発する熱量が上がった。
「さっきより敵の体が薄れるかしらぁ。なるほどねぇ。手応えはないように見えても、攻撃によって少しずつ削れてるみたいねぇ」
 ならばとティオレンシアは銃弾をあちこち敵の体に撃ち込んで、霞みのような体を散らす。
 邪神が灰と炎を混ぜたように燃え上がる剣を作り出し、矢のように射出する。
「灰の剣ですか、見た目に反して切れ味の良さそうな得物ですね」
 それに対して危険を感じた玖寂はロープを巻き付けて引っ張り、軌道を逸らして壁に当てた。すると壁が切断され崩れ落ち、向こう側の部屋が丸見えになる。
「実態のないものを剣にして飛ばすなんて器用じゃない。こっちも負けてられないわね」
 ネインは鉄鎖を放つ。蛇のように敵に向かう鎖は途中で変化し、黒剣へと変化して目に突き刺さった。
『Bobooubouu』
 邪神は灰を撒き散らし、それが空中で燃え広がる。
「おじさん、焔を防いで」
 フレデリカが声をかけると魔王が前に出てオーラを纏って灰の炎を受け止める。
「すぐに元居た場所に送り返してあげる」
 その間にフレデリカは銃弾を敵が炎を出している部分に撃ち込んで火勢を弱めた。
「どれだけ強かろうと、攻撃する間を与えなければ問題ない」
 オンはパーティ会場を制圧するように榴弾を乱れ撃ち、爆発の威力で敵の体を集めさせずに無力化を狙う。
「これだけ弾幕を厚くすれば簡単には集結できんだろう」
 連続する爆撃によって散った体がなかなか集まらず、邪神の体が薄まる。
「一瞬だけど隙を作るわぁ」
 ティオレンシアは敵が炎を放った瞬間を狙い、全ての弾丸を撃ち込んで残った目を潰した。敵は全身から炎を撒き散らす。
「体が灰や霞だろうと火力で押し切る。本当の戦いを教えてやる」
 敵と対峙したオンは両肩のマルチプルランチャーから榴弾を撃ちまくり、怒涛の勢いで爆発を起こし邪神の体を吹き飛ばす。その撒き散らされた身体が燃え拡がり、近づく者を燃やす業火となる。
「もしよろしければ僕の暗器をいくつかお貸ししましょうか。お気に召せば、ですが」
「それじゃあナイフを借してもらうわね。八上さん、一気に仕掛けるわよ」
 玖寂が幾つか暗器を見せると、手持ちの武器を投げてしまったネインが投げナイフを手に取り己の血で強化する。
「こんな神様じゃあ世界を滅ぼしてしまうだけね。ここで消えてもらうわ」
 ネインはナイフを投げて目を潰し、鉄鎖に変えて引き寄せた黒剣をもう一度投げて体を貫いた。
「ここにはもうあなたに祈りを捧げる者は居りませんので、お帰り願います」
 玖寂は金の懐中時計に自分の血を擦り付け、不可視の刃を生み出し手に握ると、敵の横を駆け抜けながら一閃する。体ごと目を断ち、濃かった霞が薄れていく。
『Boboooouuu』
 だがそれでも邪神の攻撃は止まず、灰の燃え上がる剣が放たれ、壁や床に穴を開け燃え上がる。
「技には技を。Quick order。灰も焔も、更に黒く塗りつぶして、無茶でもお願い。アタシの為に神を殺して、おじさん。ダメ? 」
 フレデリカの問いかけに対する返答は震え上がるような咆哮だった。魔王は炎を拳で剣を打ち砕き間合いを詰めると、至近距離で黒い炎を放つ。燃え盛る邪神の灰の炎と黒い炎がぶつかり合い、互いの炎が消し飛んだ。消耗し体を小さくした邪神に、フレデリカは銃弾を撃ち込んだ。邪神の体が散りながら燃え、息をするもの苦しくなるような煉獄を生み出す。
「……灰すらも、凶器に、するのです、ね……」
 ならばそれを振り払おうと、蒼は薙刀の姿となって一閃。放たれる破壊の波が灰をぶちまけ、鎮火して清涼な空間を一時生み出す。すると邪神はまた霞の体を集結させて数を減らした目を生み出した。
「ここで決めてしまいましょう。集中砲火で畳みかけます」
 炎を跳んで避けたグロリアは空中に階段でもあるように跳躍を繰り返し、電撃を放つ砲弾を連続で放ち敵の動きを鈍らせる。
「騎兵の速さについてこれますか! まだまだ弾はありますよ!」
『Bobbobboo』
 砲撃に対して目のある部分だけ体を濃く集めた邪神は、炎を滾らせ剣を放って迎撃する。グロリアの派手な攻撃に邪神の意識が集中する。
「随分庇っていたようダ、そこが弱点だったのかナ?」
 その間にナハトは一足で腕の届く距離まで詰めた。それに気づいた敵が灰の剣を形作る。
「何度も陽動に引っ掛かる時点で君の負けサ。信者を生贄にして出てた時点で、数の差はついていたんだヨ。残念だったネ」
 剣が飛ぶよりも速く、ナハトは触腕を振り抜き、敵の目のあった中央を打ち抜いた。霞の中に埋まっていた目の集合体が砕け、全身を燃え上がらせると体が薄れ元々そこに居なかったかのように消え去った。

●陰は消え輝きが残る
「任務完了だ」
 オンは敵の完全なる消滅を確認して武装解除し警戒を解く。
「……大事なく、済み、ました……」
 周囲を見回した蒼が呟く。建物は半壊しているが、先の狂信者達の騒動で避難が進んでいたお蔭で、邪神による被害は最小限に抑えられたようだった。
「これで本当の事件解決ねぇ」
 ティオレンシアも肩の力を抜いて笑みを深くした。
「やったわね。でもナイフは返せなくなってしまったわ」
 ネインが敵の消えた場所に視線を向けると、そこには灰しか残っていなかった。
「構いませんよ。勝利と交換なら安いくらいです」
 元より暗器の類は消耗品ですのでお気になさらずと、玖寂は一礼して微笑んだ。
「ありがとうおじさん。やっぱりあんなヤツよりおじさんの方が強いね」
 魔王を見上げてフレデリカが目を細める。魔王は当然だという風情でただ真っ直ぐに立っていた。
「これでもう大丈夫だヨ」
 ナハトが絶対安全圏に保護していた人々を解放し、手慣れた様子で怪我をした人々を治療する。
「怪我人は出ましたが、死者は出さずに終わらせられましたね」
 その隣で手伝うグロリアが重体患者も居ない事を伝える。
「それは僥倖だネ。死んでしまったら治せないからネ」
 ナハトの本気か冗談かわからぬ言葉にグロリアは苦笑を返す。
 猟兵達は作戦を見事に成功させ、安堵する人々の顔を見て意気揚々とグリモアベースへと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月10日


挿絵イラスト