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星籠のパール

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●星を渡る
 きらきらと星が瞬く。
 ゆらゆらと夜空を揺蕩う。
 手を伸ばせば触れられるほど近いのに、触れようものなら壊れてしまうくらい小さな瞬きが、まるで共鳴するように響き合う。
 掲げた星灯りのランプに応えるように微かに、けれど確かに。
 ──彼処においきなさい。
 ──此方においでなさい。
 小さな瞬きが、ぱちぱちと燃えるような音を立てて消えていく。
 ひとつ、ふたつと、少しずつ。
 いま、思えば。夜空に瞬く星のように見えていたその輝きは、静かに一生を終えていく屑石たちの悲鳴だったのかもしれない。

 ──あの子が、待っている。

 ぱちり、と。
 星がまたひとつ、弾けて消えた。

●星の架け橋
 それは夏の匂いも遠く、秋に染まりゆく日のこと。
 グリモアベースへと訪れた猟兵を見上げて帽子のつばを傾けたクリス・ホワイト(妖精の運び手・f01880)は、穏やかな声音で話しかけた。やあ、親愛なる君。
「宝石人形をね、倒してきてほしいんだ」
 アルダワ魔法学園の地下に眠る、蒸気機械と魔法で創造された究極の地下迷宮。いくつも点在する迷宮の中で、しかし同時に幾つもの予見が開示されたのだと語るクリスは、難しげな表情で長い髭をなぞる。
「僕が案内するのはその中のひとつさ。──彼女の名前は、富のパール」
 7つの宝石から改修された人形たちは、それぞれの場所でフロアボスの座につき、迷宮内を変化させている。
 刻一刻と姿を変えていく迷宮の中で、着実に増えていく災魔は既に学生の手に負えるものではなく、猟兵はその魔の手が学園に及ぶよりも早く迷宮を踏破する必要があった。
「彼女の迷宮は、鍾乳洞のような形をしているようだ。夜道の如く暗い中を歩くことになるだろうから、ランプを持っていかなくてはね」
 広く大きなその洞窟には、よくよく見るといくつもの宝石が埋もれている。どれも装飾品にもならないような小さく不揃いな宝石のようだったけれど、たくさんの宝石が煌めく様はきっと壮観だろう。それこそ天井や壁から、足元まで。
 ランプが照らし出す光によってより強く瞬いた宝石たちは良き道標にもなるはずだと、クリスは備品のランプをそっと手渡してから猟兵の目をまっすぐと見上げた。
「星の光のように、彼女たちもまた過去の集積体だ。明確な脅威となる前に、骸の海に還さなければいけないよ」
 星が瞬く光が何百年、何万年、場合によってはそれよりも更にずっと昔から放たれた過去の輝きだとするなら、骸の海のような夜空で輝き続ける星屑たちとその宝石たちはよく似ている。けれど。
 だからこそ、その輝きが眠るべき場所はきっとこんな洞窟の奥深くなどではない。
 ──どうか、気を付けて。
 ゆらゆらと揺らめく光が、ぼんやりと瞳を照らす。
 僅かに細まった瞳孔の先で、線を描くようにして現れた花のグリモアは既にくるりくるりと静かに回りだしていた。その花の光が一際強く輝いたのなら、やがて世界を繋げる道は拓かれるだろう。
「いってらっしゃい、親愛なる君」
 そうして光の中へ消えていく背中を見送って、クリスは健闘を祈るようにそっと目を伏せるのだった。


atten
お目に留めていただき、ありがとうございます。
attenと申します。

▼ご案内
こちらのシナリオは、同一フラグメント+共通シリーズボスで構成された総勢7名による合わせシナリオになります。
事件の日時などは別々となっていますので、各シナリオへの参加はご自由にどうぞ。

★第一章:冒険
星灯りのランプをお手に、迷宮を進みましょう。
★第二章:集団戦
フロアボスの元に辿り着くために、オブリビオンたちを倒しましょう。
★第三章:ラスボス戦
共通シリーズのラスボス戦になります。心して掛かりましょう。

▼プレイング受付
10月21日(月):8時31分~

皆さまのプレイングをお待ちしております。
よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『星巡りの夜道』

POW   :    星明かりの導きに誘われて、まっすぐに歩む。

SPD   :    星の瞬きを見落とさぬように、前を見据えて歩む。

WIZ   :    星の位置を確かめて、行く先を定めて歩む。

イラスト:葎

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

旭・まどか
夜で生きる僕には必要ないのだけれど……
まぁ、世話焼きのグリモア遣いが寄越したんだ
仕方ない。遣ってやろうか
そうじゃないと、このランプも報われないだろうからね

ゆらめく灯りを見つめ、ランプで足先を照らす
呼応するかの様に瞬く星々を眺め
宝石の輝きも、中々悪くは無いものだと

ひとりで歩んでも良いのだけれど
執拗に連れていけと煩かったものだから
お共の灰狼の後を追い、迷路の中を進んで征く

手下は何か言いたげに時折四つ足の歩みを止めるけれど
お生憎様。僕にお前の言葉は解らない

かつての――、……嗚呼、何でも無いよ
さぁ、早く道を教えて

言いかけた言葉を飲み込んで
星々が照らす途を、征く
お前と共に
これまでも、これからも



●星を灯す
 その迷宮は、鍾乳洞にもよく似た作りをしていた。
 無骨なまでの白色を呈する石灰岩が地下水によって溶食され、やがて鍾乳石となって無秩序に垂れ下がる様はまさに鍾乳洞を思わせる一端であり、宛ら自然に育まれた洞窟のようだ。けれど、この場所は決してただの洞窟ではないのだろう。
 この洞窟が其れと違うと分かったのは、そこら中に埋め込まれた屑石の存在だった。あらかじめ手渡されていたランプで足元を照らした旭・まどか(MementoMori・f18469)は、ゆらめく灯りを見つめて花のようなピンク色の双眸を僅かに細める。
「夜で生きる僕には必要ないのだけれど……」
 寄越されたものであれば、致し方なく。遣わなければ手渡されたランプも報われないと思えば道行きを照らす光とするのも吝かではないと、灯りを揺らす。その視線の先では、まるでランプの灯りに呼応するかのように星々が──屑石たちが、瞬いていた。
「まぁ、悪くないんじゃない?」
 例え不揃いな宝石であっても、その輝きは中々どうして悪くはない。
 そうして唇の端を釣り上げて、星々が瞬いて知らせる先へと歩きはじめたまどかのすぐ傍らには灰色の狼が控えていた。
 本当は、別にひとりで歩んでも良かったのだ。例えどれだけ暗くても、夜を生きるまどかにとっては何の支障もなかった。けれど執拗に連れていけと訴えてはまどかから離れようとしなかった灰狼は、見事に満足気な様子でお共として、歩き出したまどかを追いかけてはやがてその背を追い越して迷路の中を進んで征く。それはまるで夜道を先導するかのように。

 たしり、たしりと。
 星々の道を渡る灰狼は時折、四足の歩みを止めては何かを訴えるように地面を叩く。けれど、その訴えにまどかが足を止めることはなかった。
「お生憎様。僕にお前の言葉は解らない」
 何を知らせたいのか、何を伝えたいのか。見上げる灰狼の鋭い瞳を見返したところで、まどかがそれに応えることはない。ゆらゆらと揺れるランプの灯りに視線を落としたまどかはそうして、そっと目を伏せる。
「かつての──、……嗚呼、何でも無いよ。さぁ、早く道を教えて」
 言いかけた言葉を飲み込んで、瞼の裏に浮かぶいつかを振り払って。
 俯くことなく前を見据えたまどかは、星々が照らす途を征くのだろう。傍らの灰狼と共に、これまでも、そしてきっと──これからも。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリアドール・シュシュ
【泡沫】
アドリブ多め◎
華水晶故に興味津々
星灯を持つ
最近の霞架の異変に気付いてる

トラヴィントの街で作った唄う小舟見て嬉しそうに微笑
慎重に奥へ(情報収集・追跡
足元注意

霞架、見て頂戴!
宝石がきらきら沢山よ(一回転しはしゃぐ

マリアが霞架と行きたかったから
今まで過ごした霞架との思い出はかけがえのない宝物
もっとあなたと物語を紡ぎたい
そう願ったからよ
(本当は…知りたいの
何が霞架を苦しめてるのか
救いたいのよ)

霞架は強いわ
いつもマリアを護ってくれるもの
…霞架が求む強さは、まるで常に死と隣り合わせのよう
(其れは他者の為でなく己との戦い

理想の自分へと高みを目指す事は大事だわ
でも
張り詰めた糸は
容易に切れてしまうのよ


斬崎・霞架
【泡沫】
※アドリブ歓迎

宝石人形に、夜道のような迷宮ですか。
…こちらでも灯りは用意しましょうか。
(マリアと共に作った『唄う小舟』片手に)

……。マリアさん、一つ聞きたい事があるのですが。
何故、僕を誘ったのでしょうか。
僕より強い者はいるでしょう。護衛ならば、そういった人の方がいい。
……僕は、まだまだです。
もっと強くならなければ。
誰にも、何者にも敗けてはならない。…でなければ、僕は…
(キマイラフューチャー戦争のドラゴンテイマーなどへの敗北を経て、今まで以上に強さに執着)

貴女は、真っ直ぐ過ぎますよ。
…本当に、眩しすぎるくらいだ。
(自分には過剰と思える程だが、せめてその輝きが失われぬよう、守らなければ…)



 くるり、くるりと。澄んだ菫色の裾を翻しては楽しげに星灯りのランプを揺らして、瞬く星々の煌めきにも負けないほど瞳を輝かせたマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)は肩越しに振り返って微笑む。
「霞架、見て頂戴! 宝石がきらきら沢山よ!」
 甘やかに細められた星芒の雫の瞳が見つめるのは、共に夜道を歩く斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)だ。かつて訪れたトラヴィントの街で作った唄う小舟を片手に立つ彼を見ては、それは嬉しそうに笑みを深める。
 けれど、そんな彼女とは裏腹に霞架の表情にはどこか翳りがあるよう見えた。
「......、マリアさん。ひとつ聞きたい事があるのですが」
 いつの間にか、星の道を渡る足は止まっていた。穏やかで友好的な微笑みも、今だけはどこか違ったように見える。
 その様子にきょとりと目を瞑って足を止めたマリアドールに、霞架は間もなく問いかけた。
「──何故、僕を誘ったのでしょうか」
 自分より強いひとなど、いくらでもいるはずだった。もし護衛にと考えているならば、自分よりもそういったひとたちの方が相応しいのではないかと。マリアドールを静かに見据えた黄金の瞳には、己の未熟さを理解しているからこその疑問が浮かんでいる。
 思い返すのは、ここではない世界でのことだ。花の舞う地での敗北は霞架に苦い痕を残して、今でも忘れずにいるのだろう。端正な眉を顰めながら苦しげな声色で霞架は話し続ける。
「……僕は、まだまだです。もっと強くならなければ。誰にも、何者にも敗けてはならない」
 でなければ、僕は。
 それはまるで自分自身に言い聞かせるような、小さな声だ。そうして瞬く星も見えないほどに目を強く瞑った霞架に、しかしふと柔らかな温かさが触れる。
 ──気が付けば、目の前には小舟を持つ手を包み込むように触れるマリアドールがいた。

「今まで過ごした霞架との思い出はかけがえのない宝物。もっとあなたと物語を紡ぎたい、そう願ったからよ」
 マリアドールが霞架を誘ったのは、他ならぬマリアドール自身が霞架と行きたいと思ったからだと。そう告げたマリアドールのきらきらと輝くような瞳は、まっすぐと霞架を見上げている。
 本当は、何が彼を苦しめているのかを知りたかったけれど。いまはそれよりも、と素直な気持ちを言葉に乗せてマリアドールはもう一度微笑みかけた。
「──霞架は強いわ。いつもマリアを護ってくれるもの」
 いつだって、護っていてくれたのだと。どうか覚えていてほしい。
 理想の自分へと、高みを目指すことは確かに大事なことだけれど。その行為が他者の為ではなく己との戦いなのだと分かってしまったからこそ、マリアドールはそれがまるで常に死と隣り合わせのようで心配になってしまう。張り詰めた糸は容易に切れるということを知っているが故に、マリアドールはそんな彼を救いたいのだと願ってしまう。
 逸らすことなく一心に見つめる瞳は、どんな星より眩いものだ。ふ、と胸に詰めていた息を吐くように漸くと微笑み返して、霞架は肩を竦める。
「貴女は、真っ直ぐ過ぎますよ。......本当に、眩しすぎるくらいだ」
 ああ、けれど。
 そんな貴女だからこそ、せめてその輝きが失われぬよう守らなければと思ってしまうのだろうと。確かな決意を胸に、そしてふたりはその温もりを話さずに再び星の道を進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミラリア・レリクストゥラ
故郷からは遠いですが…同じ世界の、宝石人形。奇縁を感じますね…

【WIZ】

…迷宮と言っても、様々と聞きましたけれど…ここは、かなり自然に近い洞窟なんですね?
音の反響も、地形の特徴も。なんだか本当に帰ってきたみたい。
まぁ…ここまで石で煌びやかではなかったですけど。

ただ、鍾乳石は…戦闘になったら危ないかもしれませんね。
私はどうしても唄わないと役に立てませんし、その振動で落ちないといいんですが…
激しい曲ではない『地母の恵み』で、回復に専念する事も考えないと。

…不整地なのに足取りがしっかりしてる?当然です。旅人ですから。


ユェン・ウェイ
アドリブ連携歓迎

ランプを片手に洞窟を進んでいこう
宝石がキラキラ瞬く様は本当に夜空のようで感動しちゃうなぁ
特に床がキラキラしてるのが凄い、星空の上を歩いてるみたいで
ランプの明かりだけだと不安だったけど、こんなにキラキラしてるなら大丈夫だね

キマイラフューチャーの夜空も好きだけど、やっぱり星の瞬く本物の星空ってのは他の世界じゃないとなかなか体験出来なくて
この洞窟の中は「本物の夜空」に似ていて好きだな
忘れないように目に焼き付けて行こう

でも夢中になりすぎてもいけないや
星の瞬きをしっかり見つつ、前を向いて進んでいこう
この奥には災魔がいて、放っておく訳にはいかなくて
富のパール……どんな災魔なんだろうなぁ



 どこからか、雨垂れる雫の音が聞こえていた。
 硬質な足音が反響すれば静けさが耳に痛いほどで、辺りをゆっくりと見渡したミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)はことりと首を傾ぐ。
「......迷宮と言っても、様々と聞きましたけれど。ここは、かなり自然に近い洞窟なんですね?」
 迷宮と言うからには、やはり自然に生まれた洞窟ではないのだろうけれど。反響する音はもちろん、無秩序に垂れ下がる鍾乳石は正しく鍾乳洞を思わせるような形をしていて、不思議と故郷に帰ってきたようだとミラリアは感嘆の息を吐いた。
 強いて違うとすれば、光に反応するように瞬く煌びやかな屑石たちだろうか。夜空に瞬く星のようなその色を、手にした星灯りのランプを掲げて見上げたミラリアは静かに目を細める。
「故郷からは遠いですが…...同じ世界の、宝石人形。奇縁を感じますね。......、おや?」
 こつりと、自分のものではない足音がひとつ。
 視線の先で揺らめいたランプの明かりに気付いたのはミラリアだけはなかったらしい。誘うように煌めく星の道を歩いて、やがて明かりに照らされた影が顔を出したところで、まず先に声を掛けたのはユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)だった。
「やあ、こんばんは!」
 ユェンがにこやかに星灯りのランプを揺らしてみせれば、ミラリアもランプを揺らして会釈を返す。互いにこの迷宮を踏破しに来た猟兵であることは、すぐに分かった。安心したように胸をなで下ろしたユェンは、本当の夜空のようにきらきらと瞬く宝石たちを横目に小さく頬を掻く。
「此処は特に床がきらきらしてるのがすごいね。星空の上を歩いているみたいで──ああでも、夢中になりすぎてもいけないや」
 ここで自分以外の人に出会えたのは僥倖だったと、ユェンは笑う。ふたりであれば、瞬く星々に夢中になりすぎてしまうことも防げるだろう。そんなユェンの様子にミラリアも薄い笑みを乗せて、屑石たちが埋められた床を見下ろしてみた。確かに、ランプの光に呼応するように煌めく様は天の川のように眩い。
「星空がお好きなのですか?」
「うん、好きだよ。キマイラフューチャーの夜空も好きだけど、やっぱり星の瞬く本物の星空ってのは他の世界じゃないとなかなか体験出来なくて」
 本物の夜空によく似ているからだろうか。この洞窟の中はどこもかしこも目を惹かれるようで、どうにも夢中になりすぎてしまう。けれどずっとここにいる訳にもいかないのだからと、ふたりはランプを揺らしながらゆっくりと歩き出した。星の瞬きをしっかりと見つつ、前を向いて星が知らせる確かな道をまっすぐに。
「そういえば君、この洞窟も結構歩きづらいのに足取りがしっかりしているんだね」
「当然です。私は旅人ですから」
 なんて、先の見えない洞窟の中でも和やかさは失うことなく。
 この先で待つといわれている、まだ見ぬその災魔に思いを馳せては星々の導かれるままに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

こうしてお姉様と一緒にダンジョンを探索するのは久しぶりですね
宝石人形……いったい、どのような敵なんでしょうか?
綺麗な世界を見るためにも、世界の平和を脅かすオブリビオンさんは絶対に倒さなければいけません
綺麗といえば、このダンジョンも宝石が散りばめられていて凄く綺麗ですね
アルダワ魔法学園にしか存在しないこのダンジョンという場所……いったいどうして存在しているのでしょうか?
「大丈夫です。お姉様の背中を見て歩いているので、絶対に迷いません」
「だけど、私たちの故郷の星空のほうがずっと綺麗です。私たちの故郷の景色が、こんな人工物に負けてるだなんて思いたくありません」


エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
チーム【獣人同盟】で参加するのじゃ。
(【巨狼マニトゥ】に『星灯りのランプ』を咥えさせて、【騎乗】し【野生の勘】を頼りに先にすすむ)
これは絶景じゃな。宝石達がキラキラ光ってきれいなのじゃ。
故郷の星空もよいがたまにはこういう物もよいのう。
おっと、スピレイル足元に気をつけるのじゃぞ。(妹を心配し、光の精霊を呼び出して足元を照らす)
考え事はよいが、前をしっかり向いて星の瞬きを見落とさぬようにの。
この先に何が待っておるか進んでみたら分かるのじゃ。
(マニトゥの背を撫でながら)
大丈夫じゃ、何が来ようとマニトゥが守ってくれるわい。
今はこの景色を楽しむのがよいであろうよ。



「これは絶景じゃな。宝石達がキラキラ光ってきれいなのじゃ」
 歩くたびに揺れる星灯りのランプに呼応するように、床や壁に埋め込まれた星屑たちはきらきらと瞬く。白い毛並みの巨躯をものともせず、しなやかに星の道を渡る巨狼マニトゥに咥えさせたランプをどこか満足気な表情で見下ろしたエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は、マニトゥの背の上で伸びやかな仕草で空を見上げる。
 鍾乳洞にもよく似たこの洞窟には数多の鍾乳石は垂れ下がるばかりで、本来であれば空を望むことなどできなかったのだろう。けれど、天井にさえ屑石たちが眠っているおかげだろうか。エウトティアの視線の先では、まるで満点の夜空のように星々が煌めいていた。
「故郷の星空もよいが、たまにはこういう物もよいのう」
「だけど、私たちの故郷の星空のほうがずっと綺麗です。私たちの故郷の景色が、こんな人工物に負けてるだなんて思いたくありません」
 中々どうして悪くはないものだと笑ったエウトティアの隣で、頬を膨らませたのは彼女の妹であるスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)だ。
 確かに、散りばめられた宝石たちはそれは美しいものだけれど。見上げた夜空に浮かぶのは本物の星ではないのだ。どれほど美しくともそれが故郷の景色に勝ることはないと断じたスピレイルに、エウトティアはそれを否定することはせず光の精霊に足元を照らさせる。
「おっと、スピレイル足元に気をつけるのじゃぞ」
 作られた迷宮といえども、鍾乳洞によく似たこの道はごつごつとしていて些か歩きづらい。そんな姉の心配もよそに、しっかりと前を見据えたスピレイルは小さく頭を振った。
「大丈夫です。お姉様の背中を見て歩いているので、絶対に迷いません」
 こうして姉妹で道を共に探索するのは、久しいことだった。またとない機会を不意にしないようにと、スピレイルは迷いのない足取り巨狼の後に続く。きらきらと星が瞬いて知らせるその道に気遅れることもなく、まっすぐに。
 けれど、はたしてこの道の先に待つ敵とはどのようなものなのか。歩けば歩くほど、美しいばかりの静かな鍾乳洞には蝙蝠などの生物の存在も見受けられず、スピレイルは首を傾げる。
「宝石人形......いったい、どのような敵なんでしょうか?」
 綺麗な世界を見るためにも、世界の平和を脅かすオビリオンは猟兵にとって必ず倒さなくてはならない敵だった。何を考えこのような迷宮を作り出したのか、何を思いこの先にいるのか。未だ見えない存在に思いを馳せるスピレイルに、エウトティアは自らを運ぶ巨狼の背中を優しく撫ぜて、うっそりと笑む。
「この先に何が待っておるか、進んでみたら分かるのじゃ」
 何が来ようと、何があろうとも。巨狼マニトゥやスピレイルが傍にいてくれるのならば、エウトティアに不安はない。応えるように小さく吠えたマニトゥに笑みを深めて、エウトティアはもう一度空を見上げてその景色を目に焼きつける。
「──今はこの景色を楽しむのがよいであろうよ」
 きっともうすぐ相見えるだろう、その敵と出会うときまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ディフ・クライン
友のヒャーリス(f12117)と

災魔の迷宮とのことだけど
綺麗だね

ランプはオレが持とう
ヒャーリスの足元に気を付けつつ
あまり宝石は詳しくなくて
自分の目の宝石くらいしか知らないんだ

ヒャーリスが宝石の本を持ってきてくれたから
あれは何だろう?
あの石は?
色々、聞いてみたくなってしまった
星々のように瞬き導く宝石たちに誘われるまま

誕生石なんてものがあるんだ
明晰?ありがとう、そんな風に見てもらってたんだね

ヒャーリスの好きな宝石は、なにかな
モルダバイトか
なら、それを身に着けていたら、ヒャーリスは安心する?
覚えておくよ

オレの目はベニトアイトだよ
希望…
そう、だね
きっと、そうなんだろう
だってオレの姿は…

…いや、行こうか


ヒャーリス・ノイベルト
ディフさん(f05200)と
宝石の本を持参

宝石がたくさん…ええとても綺麗ですね
ディフさんの質問に答えつつ
時折本を開いて共に覗き込み

パールは私の誕生石です
ディフさんのお誕生日はいつですか?
5月は…エメラルドですね
石言葉を見て
明晰とか、ディフさんにぴったりだと思います

私の好きな宝石ですか?
モルダバイト…でしょうか
綺麗な緑で…石言葉は色々あるのですが
理想を現実に引き寄せるという
無力な私に力を貸してくれそうなところ、が

ディフさんの瞳の石、聞いてもいいですか?
ベニトアイト…

本の写真を見て
ディフさんの瞳をじっと見つめて
とてもとても綺麗な青…
ディフさんを作った方はあなたに
『希望』を見いだしていたのでしょうね



「災魔の迷宮とのことだけど......綺麗だね」
「宝石がたくさん…...ええ、とても綺麗ですね」
 手にした星灯りのランプを揺らしてみれば、きらきらとその光に合わせて星が瞬く。鍾乳洞に埋められた屑石たちだ。どこか物珍しげな様子でその輝きを見つめるディフ・クライン(灰色の雪・f05200)が小さく感嘆の息を零せば、隣を歩くヒャーリス・ノイベルト(囚われの月花・f12117)もまた強く頷く。
 きらきらと、ゆらゆらと。瞬いては揺らめく星の色は、まるで本物の夜空のように美しかった。ぱちりと音を立てて強く瞬いた屑石を見上げて、星灯りのランプを掲げたディフは首を傾げる。
「あれは何だろう? あの石は?」
 ひとつが気になり出すと、ふたつみっつと気になって仕方ない。あれもこれもと聞いてみたくなったディフの問いにひとつずつ丁寧に答えながら、ヒャーリスは時折手にしている宝石の本を覗き込む。
 屑石と呼ばれていても、それは人にとって値段の付かない石であると言うだけで天然石と何ら遜色ない。ただほんの少し小さかったり、欠けてしまっていたり、傷がついてしまっていたり。ただそれだけの差で見向きもされなかった石たちは、けれど星灯りのランプに呼応するように懸命に輝いでいた。
 そのひとつひとつの色を確認しながら、ディフは共に覗き込んだ宝石の本のとある頁で目を留める。
「誕生石なんてものがあるんだ」
「ええ、例えばパールは私の誕生石です。ディフさんの誕生日はいつですか?」
 生まれた月に当てて定められた宝石たちは多種多様な輝きを持っており、元々は宝石商によって考案されたものだ。場所や出典によって多少の差はあれど、今となっては広く認知されており、こうして書物にも堂々と記されているのだろう。
 ディフの誕生月を聞きながら、ヒャーリスは指先を滑らせて一覧を指し示す。
「5月は......エメラルドですね。明晰とか、ディフさんぴったりだと思います」
 石にも色んな意味があるけれど、その中でも特に合っていると思える単語を見ては微笑むヒャーリスに、ディフも柔く目を細めて答える。そんな風には見てもらっていたのかと、どこか新鮮な気持ちを抱えた彼の表情もまた穏やかなものだった。
「ヒャーリスの好きな宝石は、何かな」
「私の好きな宝石ですか? モルダバイト......でしょうか」
 それは、モルダウ石とも呼ばれる深い緑色をした天然石だ。
 かつては隕石とも信じられていたという宇宙の叡智を秘めた石には様々な逸話や石言葉があったが、ヒャーリスはその中でも理想を現実に引き寄せるという一面が好きなのだと言葉を零しながらモルダバイトの頁を捲る。
「......なら、それを身に着けていたら、ヒャーリスは安心する?」
 ふと、覗き込んだ深い青色の瞳と目が合う。
 覚えておくよ、と呟いた彼の声もどこか遠く。星灯りに照らされたその瞳をじっと見つめてヒャーリスは思わずと問いかけた。
「──ディフさんの瞳の石、聞いてもいいですか?」

 星の瞬く夜空よりも濃い青色が、目を惹いていた。
 見る角度によっては青紫のようにも見える、不思議な色だ。
 じっと見つめるようなヒャーリスの視線に目を瞑ったディフは、少しの間を置いてから手元に視線を落としてゆっくりと頁を捲る。
「......オレの目はベニトアイトだよ」
 ダイヤモンドにも匹敵する分散率を持つベニトアイトは、光に当たるときらきらと煌めいてそれは美しい。鮮やかなロイヤルブルーからカラーレスまでの神秘的なカラーグラデーションを持っている宝石としても有名な宝石だ。
 ディフの手によって開かれた頁を見下ろして、ベニトアイトの写真をじっくりと見つめたヒャーリスはその綺麗な色にそっと目を細める。
「とてもとても綺麗な青......。ディフさんを作った方は、あなたに希望を見いだしていたのでしょうね」
「希望......そう、だね。きっと、そうなんだろう」
 ──だって、オレの姿は......、
 ヒャーリスの様子とは裏腹に小さく言い淀んだディフは、少しだけ口を噤む。その先を言葉にすることは、できなかった。
 やがて、ぱちりと星が弾ける音にはっとしたように星灯りのランプを握り直したディフは、静かに頭を振って星が示す道の先を照らす。
「──いや、行こうか」
 今は、ただ。この道を共に歩ければそれで良いと。
 その目はまっすぐに先を見据えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
迷子になりそうだなと、入口でうろうろしていたらリタさん(f22166)に出会いご一緒して貰う事に(優しいお姉さんデス…(ほっこり)
勿論喜んでご一緒して欲しい気持ち!

お空、あまりちゃんと見た事がないのですガ…
ホンモノとどう違うのでショ?
お姉さん、わかりますカ?

お星様のお話をお姉さんに聞きつつ、少し忘れかけてた自己紹介もして、迷子にならないように付いて行きマス

あ、これはお仕事なノデ警戒もしないとですネ?
ダイジョブです!ちゃんと警戒できマス!

右手の法則?何ですかソレは!楽しそうな気持ち!(真似する気満々。そして教えて貰ったら拍手した後実践デス!)


リタ・キャバリエーレ
入り口で出会ったモーヴェマーレさん(f00299)と
あらあら、可愛い迷子さん。良かったらご一緒しませんか?
なんてナンパしちゃったわ

さてさて、すごく綺麗だけれど…
本物の星空の方が私は好きかしら
羽根は畳んでランプを手に
蓄えた知識を元に星を標に

道すがら自己紹介とかもしつつきちんと警戒は怠らないつもりよ

この迷宮を作った人はどんな気持ちだったのかしら
なんてすこしばかり想いを馳せつつ
一応迷子にならない様に気をつけないとね。
星の位置などに不信な点などあればここは!左手の法則の出番ね!
ふふふ、迷路は片方の壁に手を当てて壁沿いに進んでいけば必ずゴールにたどり着ける様になっているのよ!



 あらあら、可愛い迷子さん。良かったらご一緒しませんか、なんて。そんな軽妙な語り口で、迷宮の前をうろうろとしていたリヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)に声を掛けたのはリタ・キャバリエーレ(空を夢見た翼・f22166)だ。空を映したような青色の瞳を細めて柔い笑みを浮かべたリタは、差し出した手のひらに喜んで手を乗せたリヴェンティアと共に、ゆっくりと鍾乳洞にもよく似た迷宮の中へ踏み込んでいく。
 迷宮の中は、まだ明るい時刻であろうと関わらず、ひたすらに深い夜の如く暗い道が続いている。それは本来であれば道なりに歩くこともままならないような夜道だけれど、しかし手にしていた星灯りのランプをゆらゆらと揺らしてみれば、不思議とその光の軌道に応えるように鍾乳洞の至るところに埋め込まれた屑石たちが瞬いた。きらきら、ゆらゆらと。煌めくその色は、まるで夜空のように途端に眩く輝きはじめる。
「さてさて、すごく綺麗だけれど…...本物の星空の方が私は好きかしら」
 例えどれほど美しい景色であっても、作られた夜空ではリタの心の中に描かれた星空に遠く及ばない。ランプを揺らしながら空を見上げるリタに、その隣を歩くリヴェンティアは不思議そうに首を傾げて見上げた。
「お空、あまりちゃんと見た事がないのですガ…...ホンモノとどう違うのでショ? リタさん、わかりますカ?」
 和やかに自己紹介を済ませたふたりは、生まれも育ちも異なれば見てきた世界だって異なる。本物の空に思いを馳せても、ランプの灯りに呼応して瞬いた屑石が織り成す夜空へと視線を移しても、リタにはその違いはまだ分からなかった。
「本物の星空はね、もっと透き通っていて──星ひとつにも、いろんな物語があるのよ」
 もちろん、天文学的には恒星同士の見かけの並びに特段の意味はないのだけれど。それでもひとは遠い昔からその空に動物や人物、そして神などさまざまな事物を思い描いては、そこに多くの伝説や神話を映して語り継いできた。
 無秩序に垂れ下がってる鍾乳石に埋められた屑石たちにはない、ひとの歴史が本物の星空にはある。だからこそ、星の輝きは何より美しく見えるのだろうと。
「......この迷宮を作った人は、どんな気持ちだったのかしら」
 屑石たちの並びにも、おそらく意味はない。ここに眠る宝石たちはすべて人にとっては値段の付かない石であると見下げられ見向きもされないような、不揃いなものばかりだ。
 リタが蓄えてきた星の知識を元にして分かるのは、どれだけ美しく見せたところで、やはり本物の星空には程遠い場所であるということだけだった。
「そうですネ......見たところ、動物なんかも此処にはあまりいないようデス」
「ええ、蝙蝠やネズミくらいはいてもおかしくなのに......」
「あ、とはいえこれ仕事なノデ警戒もしないとですネ? ダイジョブです、ちゃんと警戒できマス!」
 見たところ危険はないようでも、いつ敵と出会うかも分からない。ぴしっと小さく敬礼して見せたリヴェンティアにリタはそっと微笑むと、ひとつ頷いて星灯りのランプを握り直した。
「そうね、一応迷子にならない様に気をつけないと。──こういうときは、そうね。左手の法則の出番ね!」
「左手の法則? 何ですかソレは! 楽しそうな気持ち!」
 左手の法則とは。迷路の解法のひとつであり、簡単に言ってしまえば一方の壁に手を付いてひたすらに壁沿いに進むというものだ。そうすることで、迷路には壁の切れ目が入口と出口にしかないため最終的にいずれかに辿り着ける。その解法はもしかすれば、この迷宮でも応用が聴くかもしれないというのがリタの言だ。
 すごいすごい、と手放しに感動を表して目を輝かせたリヴェンティアもまた、リタに倣って壁沿いに手を付けてみる。さっそく実践である。
「さあ、行きまショウ!」
 もちろん、この方法だけで必ず目的地に辿り着けるというわけではないけれど。それでも星灯りのランプをによって道行きを照らすように煌めく星々の輝きと合わせれば、きっと迷うことなく迷宮の奥へと辿り着けることだろう。
 まるで内緒話をするように顔を見合わせて微笑んだふたりは、そうして迷いのない足取りで星の道を進んでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

芥辺・有
花世(f11024)と

手に持つ灯りをふらふら揺らしながら何とはなしに辺りを見やる
照らす先がどの方向も星のように光るもんだから、眩しくて目を細めて
地面すら夜空めいて、変な感じだ、どうも

ふと視線を感じて横を見て
ぱっとあった目線に不審げに首を傾げるけど
上機嫌な理由は知る由もない

言葉もなく歩けば聞こえるのは足音か息遣いくらいで
ここは夜に似てるし、静かなのも悪くない
……悪くはないけど
ねえ、さっきからこっち見てさ。どうかしたかい
静かな分気配には敏感になるし、目は口ほどにってやつ
呟きめいた声が存外響く中、呆れたように肘で小突く
本当、何考えてんだかわかんないけど
まあ、それで花世が楽しいんなら、好きにしたらいい


境・花世
有(f00133)と

隣に有のいるかすかな温度が
なんだかすこし不思議な気がして
時折灯を掲げてはたしかめる、
きんいろの猫目石ふたつ

瞬けばそれはきみの眸である証
ぱちりと目が合ったなら
なんにも言わずに笑ってみせる、
弾む足取りは隠せないままで

そうして無言でふたり並び歩けば、
煌く宝石の星はまばゆく闇を照らすけれど
くちびるを開けば毀れてしまう静寂や
いつか塵芥になって消える黄金の眸の方が、
わたしにはうんときれいに映るから

あは、星見てないの、ばれた?

脇腹をつつかれて堪えきれずにくすくすと
だけどやっぱり見るのは許してよ
時経た星でなく――過去の光でなく
今ひととき隣にいる、気紛れなきみのこと



 揺らめく光が、きらきらと瞬いている。
 手にした星灯りのランプを揺らしてみれば、その光の軌道に合わせるようにぱちりと星がまたひとつ弾けて消えていく。
 それはとても美しい光景なのだろう。星のように見える煌きはその実、この鍾乳洞にもよく似た迷宮に埋め込まれた屑石に過ぎないのだとしても。
 照らす先を問わずどの方向に向けても光るのだから、何とはなしに辺りを見渡してみれば地面すら夜空めいているようで、芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は小さく肩を竦める。
「......変な感じだ、どうも」
 そんな呟きを零せば、目の端で揺れた灯りと共に強い視線を感じるようで、有は隣を横目で見る。ぱっと合った視線の先にいるのは境・花世(*葬・f11024)だ。何も言わずに花のように鮮やかな色合いをした瞳を弓形に細めた彼女は見るからに上機嫌そうで、有は胡乱げに首を傾げた。
「ふふ、」
 しかしそんな不審そうに見やる視線も、どこ吹く風というもので。
 きんいろの猫目石ふたつが瞬くのを見ては弾む足取りも隠せないまま、花世はまたひとつ笑みを零してしまった。

 ふたりで並んで渡る星の道は、静かなものだ。
 静寂をはらむ空気を震わせるのは小さな息遣いと地を蹴る足音くらいなもので、時折聞こえる星の弾ける音の方がよほど大きく聞こえてしまう。それは有のよく知る夜にも似ていて、悪くない静けさだった。そう、決して悪くはない。けれど。
「──ねえ、さっきからこっち見てさ。どうかしたかい」
 どうしたって、静かな分より気配には敏感になってしまうのだろう。
 目には口ほどにとでも言うべきか、もとより隠す気もないのか。呆れたように肘で小突いた有に、花世は悪びれなく笑みを深めてみせた。
「あは、星見てないの、ばれた?」
 堪えきれないというように、脇腹をつつかれる花世の唇からはくすくすと笑みが零れていく。どれほど歩いても変わらず上機嫌なその様子も、しかし有からしてみれば見当が付くはずもなく。溜息を吐いた有はもう一度、今度は大きく肩を竦めてから道を照らすように星灯りのランプを揺らして呟いた。
「本当、何考えてんだかわかんないけど」
 まあ、それで花世が楽しいんなら、好きにしたらいい。

 ──なんて、また前を向いてしまった横顔を眺めながら。
 花世はやっぱり、煌めく星よりも目の前の黄金の眸を覗いてしまうのだ。なぜなら、煌く宝石の星はまばゆく闇を照らすけれど、くちびるを開けば毀れてしまう静寂やいつか塵芥になって消える黄金の眸の方が、花世には何より綺麗に映るのだから。
 だから、どうか見るのは許してと囁いて。花世は懲りもせずにその瞬きを見つめては、そっと微笑む。時経た星でなく──過去の光でなく。今ひととき隣にいる、気紛れなきみのことが一等美しいと、思うから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
ふわぁ、すごーい!綺麗…!

星は好き
僕にとっての人生の起点
大切な記憶
あの日見た大きくて美しい星空を思い出すから

ランプの明かりに照らされて煌めく宝石達に目を奪われながらも
目的の場所を目指して歩みを進める
本当は光を出せばもっと進みやすいだろうけど
その分この煌めきを楽しめなくなるから、今は我慢

翼にも頼らず
自分の足でしっかりと地を踏みしめながら
目指すべき輝きを見つけたら
見失わないように、真っすぐに

もしもこの輝きに少しでも魔力が宿っているなら
魔力共鳴も感じられるかもしれないし
輝き方の些細な変化も見逃さない

ところで…凄く綺麗な場所ではあるけれど
もしも人形さんがここに1人で居るのなら
寂しく、ないのかな



「ふわぁ、すごーい!」
 蜜で甘く煮詰めたような琥珀色の瞳をきらきらと輝かせて、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は満点の夜空に似た屑石の煌めきを見上げていた。手にしていた星灯りのランプをゆらゆらと揺らせば、まるで呼応するように宝石たちも瞬いては夜空に揺蕩うようで、その景色はまさしく澪が好きな星たちを思い起こさせる。
 脳裏に思い浮かべるのは、あの日に見たそれは大きく美しい夜空だった。胸の奥に大切にしまわれたその記憶は澪にとっては人生の起点に等しく、それ故に夜空のような鍾乳洞の中で強く瞬くその煌めきに澪は目を奪われてしまうのだろう。
 ほう、と零れた感嘆の吐息は小さいものだったけれど、静かなばかりの鍾乳洞には大きく響く。その音にはっとしたように星灯りのランプを握り直した澪は、そうしてゆっくりと星の道を進みはじめた。

「綺麗......」
 本当は、光を出せばもっと進みやすいのだろうけれど。
 その分この煌めきを楽しめなくなってしまうなら、今は我慢と澪は今回に限っては翼に頼ることもしなかった。
 自分の足でしっかり大地を踏みしめながら、澪はランプを揺らしては呼応するように煌めく屑石たちを注意深く眺めていく。
 ──彼方にお行きなさい。
 囁くような光が道の先を照らせば、そんな声を残してぱちりと弾けて消えてしまう。その今際の輝きを見失わないようにまっすぐと歩きながら、そこに僅かな魔力の残滓を感じ取った澪は、光を失くした屑石を拾い上げてランプで照らし出した。けれど。
 光を失くした不揃いな屑石は、ランプの光で照らそうともう応えることはなかった。それどころか、僅かな魔力の残滓さえ空気に溶けて消えていくようで。その冷たさを手のひらに、澪はそっと目を伏せる。
 ここは、すごく綺麗な場所ではあるけれど。もしも人形さんがここに1人で居るのなら──、
「寂しく、ないのかな......」
 きらきらと眩い煌きの中で。ぽつりと、小さな疑問が反響していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クーナ・セラフィン
鍾乳洞か、足元が滑りやすいだろうから気を付けないとね。
普通ならとても長い時間をかけて生み出される自然の芸術、その奥に潜む宝石人形はさてさて、どれほど美しいんだろうね。
美しくてもまあ、壊さなきゃなんだけどもね。

ランプを借りて洞窟を往こう。ゆっくりのんびり、着実に。
少々冷える気がするけども、歩いていれば気にならない?
足元だけは注意注意。
話には聞いてたけど実際に見ると流石に圧倒されちゃうにゃー。
鍾乳石の所々で光り輝く宝石はまるで夜空を散歩してる気分にしてくれる。
夜の闇に輝く星々が大昔の輝きなら、ここの輝きは今の光。
この先には未来の輝きがあればうってつけなんだろうけどもね、残念。

※アドリブ絡み等お任せ



 つるりとした岩肌の鍾乳洞は、思うより滑りやすい。洞窟であれば舗装されているわけでもなく、足元によく注意しながら歩くクーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)の視界には自然と星灯りのランプが照らす光に呼応して瞬く星の道がよく見えていた。
 それはまるで、夜空を歩いているような美しさだ。歩く床も、壁も、そして天井さえも。見上げれば無秩序に垂れ下がっている鍾乳石にさえ屑石は埋め込まれているのか、ランプを掲げればきらきらと瞬いている。それは普通であれば、とても長い時間をかけて生み出される自然の芸術なのだろう。けれど。
「この奥に潜む宝石人形はさてさて、どれほど美しいんだろうね」
 ──美しくてもまあ、壊さなきゃなんだけどもね。
 ゆっくりのんびりと歩む足取りにも、着実に進んでいくクーナに迷いはない。星灯りのランプが照らし出す星々の光を道標としながら、クーナはそっと息を吐く。
「話には聞いてたけど、実際に見ると流石に圧倒されちゃうにゃー」
 鍾乳石の所々で光り輝く宝石は、まるで夜空を散歩しているような気分を味わえるほどに美しい。例えこの煌めきが本物の星などではないのだとしても、その輝きは屑石たちが懸命に生きている証といえるだろう。それ故に。
 夜の闇に輝く星々が大昔の輝きなら、ここの輝きは今の光なのだと、クーナは星の道を見つめる。此方においでなさいと誘うような光は、けれど永遠の光には遠く及ばずぱちりと弾けるような音を立てて消えてしまった。
 ひとつ、またひとつと。奥へ奥へと誘う星の道を、薄ら寒い空気を感じ取ったクーナが振り返れば──そこにはもう、暗闇が広がるばかり。
「この先には未来の輝きがあればうってつけなんだろうけどもね、残念」
 行きは良い良い、帰りは怖いというべきか。どうやらこの星々が導く光の道はいつまでも続くものではなく、その終わりはもうすぐそこまで来ているらしい。
 そうして不穏さを増すような道の先に小さく肩を竦めたクーナは、それでも先を急ぐべく星の道を往くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャリファ・スィーナー
ふうん
綺麗なものなら、そのまま残しておくか
手元にもっておきたいけど
今回はそのままほっとく訳にもいかないし
……面倒くさい
綺麗だった記憶が嫌な記憶に変わるよりは
ずっといいけど

この世界は初めてだけど
星空みたいに標のない迷宮を歩くのは大変そう
北極星がある訳でもないし
せめてもってくランプだけは
気に入ったものに

頼りになるものがランプ以外に何もないなら
あとは一番綺麗な、気に入った光をたよりに
それを見失わないように
壁に触れながら、位置を覚えるように
そこに歩くだけ

迷子になったら誰かに助けて貰うしかないけど
きっと、辿り着ける



「──ふうん、」
 小さく鼻を鳴らして、星灯りのランプを掲げたシャリファ・スィーナー(桜の精の聖者・f23242)はぐるりと辺り一帯を見渡す。
 ランプの光がシャリファの手によって揺らめけば、その軌道に応えるように屑石が瞬いていた。その瞬きは、まるで夜空で煌めく星々のように美しい。
「綺麗なものなら、そのまま残しておくか」
 どこか吟味するような眼差しを送るけれど、双つ枝に咲く花の色のような双眸を瞑れば瞬く間にその視線は星の示す道の先へと移る。小さく零れる吐息は、どこか気だるげに反響していた。
「手元にもっておきたいけど、今回はそのままほっとく訳にもいかないし……面倒くさい」
 それでも綺麗だった記憶が嫌な記憶に変わるよりは、ずっといいけれど。
 溜息をもうひとつ、やがて星灯りのランプを揺らして星の鼓動を標として歩き出した澪は、注意深くその輝きを見ていく。
 初めての世界を歩くことに不安はないけれど、無秩序に垂れ下がっている鍾乳石に埋め込まれた屑石の並びには何の意味もなく、本当の星空のように標のない迷宮を歩くのは中々に難しい。
 北極星があるわけでもなければ、浮かぶ月でさえないのだから。頼りにできるものが手にしたランプと、ランプの照らし出す光に呼応してまるで誘うように煌めいていく屑石くらいしかないと思うと、シャリファには少し心許なく感じられたのだろう。
 それでも、頼れるものがそれしかないというならば。ランプを持ち直したシャリファは、煌めいた光の中でも一番綺麗な、気に入った光を頼りにその先へと進んでいく。
「──あっち、かな」
 おいで、おいでと誘うよう光を見失わないように。やがてぱちりと弾けるような音を残して消えてしまう屑石の位置を覚えるように、壁に触れて。静かな洞窟の中では、硬質な足音と小さな息遣いが響くばかりで先も見えないけれど──それでも、しっかりと前を見据えたシャリファの足取りに迷いはなく、そうして自分の審美眼と光の瞬きを信じて歩き続けたなら。その果てに、きっと辿り着けるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨糸・咲
綾さん/f01786

闇の中でも見えなくはないけれど
掲げた燈火を弾いた石がきらり瞬くから
それでは勿体なくて

何だか、夜空をお散歩している気分です

隣を見上げ微笑んで

のんびり星座を探して
…とはいかないのが残念ですね

裾を摘まみ段差を跨ぐ
その拍子に揺れた光が壁を照らして
頼りなく明滅する様に目を奪われ苦笑

つい見惚れてしまって…
気を付けないと、ですね

掌に転がる標はそれをくれた手と同じくあたたかで
彷徨う心を導くよう
蕩ける翡翠に似た瞳を見返し破顔


方向に気を付けつつ奥へ
先に待つのは
暗い海へ還してあげなければいけない真珠だけれど

星空の果てに月の雫…なんて
ちょっと素敵ですよね
はい
叶うなら、穏やかな旅路になりますように


都槻・綾
f01982/咲さん

傍らで揺れる藍髪は夜の帳
清らに燈る琥珀めいた瞳は星の欠片の如し

えぇ、誠
夢に揺蕩うかの心地

宵の海を航る船首にいただく女神とは
斯くあるものに違いない、と
眼差しに応えて笑み綻ぶ

靴先に当たる、地に零れ落ちた玉石を拾い上げ
手のひらに転がせば
洋灯のひかりを受けて
あたたかな色に燈るから

見惚れぬ方がいっそ罪深いかもしれません
然れど
惑わぬように――あなたに道標を

どうぞ、と片目を瞑って
彼女へ星の子を渡す

物語の頁を捲るみたいで素敵ですねぇ
真珠が月から零れた雫なら
最後は月の船へと還しましょう

逝く道を違えた魂も
咲さんの――航海の守護を司る女神の導きのままに
骸の海までの澪を
きっと惑わず辿れるに違いない



「何だか、夜空をお散歩している気分です」
 揺らめく燈火はゆらゆらと、空に瞬く煌めきはきらきらと。
 闇の中でも見えなくはないけれど、掲げた星灯りのランプの光を弾いた石がきらりと瞬くから、それでは勿体ないと。隣を見上げた雨糸・咲(希旻・f01982)は、青磁の瞳と視線が重なると静かに微笑む。
 その清ら燈る琥珀めいた瞳もまた、都槻・綾(夜宵の森・f01786)には星の欠片のように見えて。重なる視線に、綾は穏やかな表情で相槌を打つ。瞬く星の道は夢に揺蕩うかの心地で、どこか心が擽られるような光景だった。
 そうして、きっと宵の海を航る船首にいただく女神とは斯くあるものに違いない、と琥珀の眼差しに応えて笑み綻ばせた綾は、星空に目を奪われがちな彼女が転ばぬようにとそっと囁く。
「段差に気を付けてくださいね」
 瞬く星の道に紛れて分かりづらいものの、やはり洞窟と言うべきか足場はあまり良くないのだろう。乗り越えた段差を照らした綾に続いて、裾を摘み段差を跨いだ咲は、その拍子に揺れた光が壁を照らして頼りなく明滅する様に目を奪われていたことに気付くと、苦笑を滲ませた。
「つい見惚れてしまって…...気を付けないと、ですね」
 どうやらのんびり星座を探して、というわけにもいかないらしい。
 少し残念そうな様子の咲の隣で足を止めた綾は、やがて足元に手を伸ばすと何かを拾い上げる。──地に零れ落ちた玉石だ。靴先に当たった玉石を拾い上げて手のひらに転がせば、洋灯のひかりを受けてあたたかな色が灯っていくのが分かった。
「見惚れぬ方がいっそ罪深いかもしれません。然れど、惑わぬように──あなたに道標を」
 どうぞ、と片目を瞑って差し出す玉石は、宛ら星の子だろうか。
 咲の掌に転がる標は、それをくれた手と同じくあたたかで、彷徨う心を導くように懸命に煌めいている。やがてはその光も消えてしまうのだとしても、その光は強く星の道を照らしていた。
 その煌めきをじっくりと見つめてから蕩ける翡翠にも似た綾の瞳を見返した咲は、そうして花が綻ぶように破顔するのだった。

「星空の果てに月の雫......なんて、ちょっと素敵ですよね」
 星が導くまま奥へ進むふたりの先に待つのが、暗い海ヘ還してあげなければいけない真珠だとしても。ここが彼女が作り出した迷宮だとすれば、この星空にも何らかの意味があるのかもしれないと咲はまだ見ぬ先へと思いを馳せる。
 そんな咲の隣を歩む綾もまた、星の子を横目に頷いては、まるで物語の頁を捲るようだと小さく微笑みかけた。
「真珠が月から零れた雫なら、最後は月の船へと還しましょう」
 逝く道を違えた魂も、咲さんの──航海の守護を司る女神の導きのままに。
 そして叶うなら、その旅路が穏やかなものになりますようにと、願いを込めたなら。ひとつ、またひとつと灯しては消えていく星の標を共に、骸の海までの澪を──きっと惑わず辿れるに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルバ・アルフライラ
星の灯りを湛えたランプを手に
…さあ、星を探す旅に出よう

仲間の放つ光に呼応するよう
四方で瞬くそれ等を眺める
先を急ぐ身ではあるが、多少見蕩れても罰は…おっと、
洞窟の凹凸に足を取られぬよう注意せねば
幾ら星に惹かれたからと
戦の前から砕けていては嗤うに嗤えんな

宝石の煌きを読む事で迷わぬよう足を進める
ふふん、私に掛れば暗記なぞ造作もない
分かれ道に辿り着いた際は
聞き耳にて気になる音がないか確認したり
ランプを翳す事でより強い輝きがないか調べてみたり
どうしても分からぬ場合は第六感を頼ったり
後は…そうさな
四方を調べる際、不自然に瞬きが消えた箇所がないだろうか
使える手段の全てを用いて人形の元へ向おう

*敵以外には敬語



 星の灯りを湛えたランプを手にして、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は静寂が耳を鳴らす鍾乳洞の奥へとゆっくりと歩き出す。
「......さあ、星を探す旅に出よう」
 ゆらりゆらりとランプを揺らせば、その光に呼応するように星が瞬きはじめる。暗いばかりの夜道を導く星の煌めきは、いつの間のやら満点の星空にも似た景色を作り出していた。
 けれど、その煌めきは決して本物の星ではない。床や壁、そして天井から無秩序に垂れ下がっている鍾乳石に至るまでに埋め込まれた宝石たちが、揺れるランプの光に呼応しているが故に作り出される景色なのだということは、アルバにもすぐ分かった。
 そうして仲間の放つ光を然と感じられるように四方で瞬く星の道を眺めたアルバは、ほんの少しだけその揺蕩う星の色に見蕩れかけたところで、つるりとした岩肌とごつごつと不揃いな洞窟の道を思い返して姿勢を正す。
「──おっと、」
 爪先に当たる段差が、険しい道を知らせていた。
 瞬く星空のような道は、それは美しい景色ではあるけれど。幾ら星に惹かれたからと、戦の前から砕けていては嗤うに嗤えないと足元を照らしたアルバはそして、気を引き締めるように星灯りのランプを握り直す。
 足元にさえ気を付けてしまえば、アルバにとって宝石の煌めきを読み星の道を渡ることはそう難しくはないだろう。
「ふふん、私に掛れば暗記なぞ造作もない」
 ぱちりと弾けては消えてしまう、微かな光も。強く揺らめいて誘うような光も。
 耳を澄ませながらランプを翳すことで、宝石たちの懸命な声を聞き取ったアルバはそれらすべてを記憶して迷わずに奥へと奥へと進んでいく。
 ──此方においでなさい。
 分かれ道に出たとして、それも同じことだ。導き声を聞き分けて、アルバは正しい道を向く。
 ──あなたの進む道は、この先に。
 煌めいては瞬く間に消えていくその声に、嘘はなかった。今際の光を最期に、ぱちりと弾けて消えてしまった屑石の欠片を拾い上げて、アルバは光を失くしたその温度に触れる。
 それは先程までのあたたかな光など幻のようにとても冷たく、不揃いに欠けて傷付いた屑石だったものだ。一度光を失ったなら、どれだけ星灯りのランプをを揺らしたところで応える声もない。
「......そうしてまで、会わせたい者がいるのか」
 眠りについた屑石を手に。ふと気付けば、星の道を抜けていたアルバの目の前には開けた場所があった。先程までの夜道のような暗さとは裏腹に、高い天井にはぽっかりとした穴が空いており、そこから僅かな陽射しが差している。
 その明暗差に思わずと目を細めたアルバは──その先で、こちらを見つめる幾つもの赤色と目が合った気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『宝石人形』

POW   :    【ダブルUC】ジャムバレット+テレポアタック
【宝石弾で対象を攻撃する。また、敵意】を向けた対象に、【瞬間移動で任意の場所に転移し、両手の剣】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    【ダブルUC】テレポアタック+彼岸の投剣
【敵意を向けた対象に、瞬間移動で任意の場所】【に転移し、両手の剣でダメージを与える。】【また、複数人で投擲する様に剣】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    【ダブルUC】ジャムバレット+スーサイド・ドール
【宝石弾で対象を攻撃する。また、中枢の宝石】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【瞬間移動後、対象に自爆攻撃を行う状態】に変化させ、殺傷力を増す。

イラスト:せつ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●interval
 ぱちりと、最後の星が弾けて消えた。
 星灯りのランプも役目を果たしたように消灯してしまえば、振り返った先には先程までの美しい夜空はどこにもなく、標を失った道を戻ることは叶わない。
 ならば、今はただ前に進むべきだと。猟兵たちが決意を胸に星の道を抜ければ、しかし瞬く間に目の前に広がる景色は様変わりしていた。
 そこに先程までの夜道のような暗さはなかった。高い天井にぽっかりと空いた穴から薄らと差し込む陽射しのおかげか、洞窟の奥に聳えたつ遺跡までよく見える。そうして、古びれた遺跡を視認したところで──猟兵たちは、そこに佇む存在に気付いた。

 その存在は、驚くほど気薄なものだ。まるで道端に転がる石ころのように、目の前にいるのにも関わらず認識しづらい。
 ようやくとその存在に気付いたところで、かしゃりと囀ったのは彼女たちの身体だろうか。ぐるりと傾いた首が不気味に猟兵を見つめて、口を開く。
「排除せよ」
 その言葉を合図として、一斉に動き出した彼女たちには意思などなかった。統一され規律の取れた動きに一切の乱れはないけれど、同時にそこにはただひとつの個も見いだせない。
「排除せよ」
 まるで輪唱のように広がっていく声音にさえ熱はなく、無数の紅玉にも似た眼差しが鈍く輝く。それは星の道で懸命に輝いていた屑石たちと近いようで──それでいて、きっと何よりも遠い輝きだった。
「──排除せよ!」
 侵入者を排除するために動き続ける彼女たちは、おそらく遺跡を守ろうと稼働している。迷宮の更なる奥へ、遺跡へと向かうためには彼女たちと戦うしかないだろう。
 屑石を核として生まれた宝石人形は、目的を果たすまで壊れるまで、止まりはしない。
 次々と彼岸の花にも似た対の剣が構えられ──そうして、戦いの火蓋は切って落とされた。
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
チーム【獣人同盟】で参加するのじゃ。
妹のスピレイル(f06014)と【巨狼マニトゥ】に相乗りし、攻防分担。わしは防御担当じゃな。
スピレイル、わしの前の乗るのじゃ。防御はわしが担うでな攻撃は任せたぞ?
マニトゥに近接戦闘を任せ攻撃と回避は一任、被弾しそうな攻撃は風の障壁で防ぎ【手製の短弓】で逆撃を見舞うとするかの。
『ジャムバレット+スーサイド・ドール』に対しては、宝石弾は障壁で弾き、自爆攻撃は【野生の勘】を研ぎ澄まし転移場所を【見切って】敵の転移地点を半球状の風の障壁で覆い自爆攻撃の圧力を反対側へ逃がすのじゃ。
秒間58枚の風の盾じゃ、貫けるものなら貫いてみるがよい。


スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

お姉様のマニトゥに騎乗して戦います
いくらお姉様の風の盾があるって言っても、自爆させないで済むのなら自爆させないで済ましたいところです
ここは、発射から着弾までの間隔が短い雷の矢を使って攻撃するとしましょう
敵が自爆攻撃をしてこようとした場合でも、雷の速度で敵を攻撃するこの矢なら相手が自爆する前に倒せるかもしれません
ついでに、みんなの機械を強化したり、みんなを【援護射撃】してみたりもするとしましょう
お姉様を見習って、私の【第六感】も全開です!
お姉様と私のコンビネーションは無敵なのですよ!

それにしても、あの人形さんたち
足を出し過ぎだと思いませんか?
あれじゃ、まるで露出狂ですよ


ユェン・ウェイ
アドリブ連携歓迎

よし、無事に奥まで進めたね
今度は……宝石人形か
この子達、ずっとここにいたのかな
ごめんね、先には進ませてもらうよ

相手は瞬間移動が出来るんだね
それに対応するには……空中戦に持ち込んでみようか
幸いここの天井は高い
UCで上を飛び回りつつ戦おう

瞬間移動してきても上空なら動きはボクの方が機敏なはず
上手く【フェイント】もかけて相手を戦いやすい位置に誘導していこう
複数の剣が飛んでくるなら【野生の勘】で躱しつつ
囲まれない事も意識しようか

チャンスが生まれたらすかさず槍で【串刺し】にしに行ったり、【なぎ払い】をしていこう
あんまり複数体を同時に相手取りたくはないからね
敵はサクサク倒していこう



●星を砕く
 開けた天井から差し込む薄日に反射して、紅玉の屑石が鈍く煌めく。
 その陽射しは太陽の光のような暖かさを持っているように見えて、しかしここが迷宮の奥地であることを考えれば決して自然光などではないことが分かった。
 本物には程遠い星空に、太陽の輝き。その石の煌めきさえも宝石としては劣るとするならば、その美しさとは裏腹に何ひとつ確かなものなどないこの場所はあまりにも寂しいところだと、ユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)は静かに眉を顰める。
「......この子達、ずっとここにいたのかな」
 遺跡を守るように立つ宝石人形たちを相手取るように、ユェンは手によく馴染んだドラゴンランスを構えて前を見据える。例え彼女たちが侵入者から遺跡を守るためだけに在るのだとしても──、
「ごめんね、先には進ませてもらうよ」
 こんな場所で、立ち止まってなどいられないと。
 高い天井を利用し空中戦に持ち込むべく、大地を強く蹴って上空へと翔んだユェンに続いて、その下を素早い影が駆けていく。エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)が駆る巨狼マニトゥだ。
「風の精よ、全ての悪意から彼の者を護れ!」
 相乗したスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)を守るように、エウトティアの手によって風の障壁が展開されていく。風の精霊が起こす薄い膜状のような障壁が築かれたなら、その風の流れによって宝石人形たちが一斉に放つ宝石弾と剣の軌道も逸らすことができるだろう。
「防御はわしが担うでな。スピレイルは攻撃に集中するのじゃ!」
「ええ、お姉様! 雷の精霊さん、任せました!」
 風の障壁をもって宝石の弾丸と剣を退けたのなら、次に危惧するものは瞬間移動、そして自身の核となる宝石を代償とした自爆攻撃だった。瞬く間に眼前に迫る宝石人形の赤い瞳とスピレイルの精霊の瞳が交わったとき、宝石が罅割れるよりも早く雷鳴が駆け抜ける。
 それは、雷の精霊が穿つ稲妻の矢だった。眩い光を纏い、爆発を抑えるように中枢を貫いた矢によって、宝石人形は崩れ落ちていく。
「お姉様と私のコンビネーションは無敵なのですよ!」
 エウトティアの守護と、スピレイルの攻撃。そして巨狼マニトゥの自在に駆け抜ける瞬足のどれも欠けてはならない大切なものだ。そのすべてが噛み合ったからこそ、彼女たちは宝石人形の自爆を抑えて中枢である屑石を一心に貫くことが出来たのだろう。
 戦いにおいて、連携とは時よりそれは強い力となる。姉妹が証明してみせたその強大な力は──けれど、それは敵にとっても同じだった。
 集団戦というものの脅威は、何よりその数にある。戦うにつれて前に後ろに、更には両脇に。統率の取れた連携でエウトティアとスピレイルを囲もうと動いた宝石人形たちの動きに乱れは少しもない。
 それでも、その包囲網が結ばれることはなかった。
「──援護するよ、ふたりとも!」
 風を切るような音を立てて、上空から影が迫る。山羊の耳を風に揺らして現れたのは、上空へと飛び出して宝石人形たちを撹乱していたユェンだ。
 高く広い上空から滑空するようにして、勘を頼りに投擲された剣の合間を掻い潜ったユェンは、ドラゴンランスで宝石人形を薙ぎ払ってはその統率を乱して巨狼マニトゥが駆け抜ける道を作り出していく。
 そして。
「行くぞ、狼の狩りを見せてやるのじゃ!」
 エウトティアの喚び出す風の精霊が、スピレイルの喚び出す雷の精霊が、そしてユェンの操る竜騎士の槍が。迫り来る宝石人形の猛攻を退け、その体を穿ち──すべてを薙ぎ払い。
 彼女たちは力を合わせることで戦場の渦中を縦横無尽に駆け抜けて、きっと何者にもなれない星の煌めきを砕いていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルネ・プロスト
ここは特に変な仕掛けはないんだね
後追いしやすくて大変ありがたいことだけど
君達とは何度も戦いすぎてもう特に言うこともないかな
あぁ、でもこれだけは言っとかないと

――君達を壊し(弔い)に来たよ
それがここに来た目的だしね

人形達は死霊憑依&自律行動
森の友達は敵の行動監視、転移を警戒

キングは2回攻撃やカウンターで攻撃重視
ポーン8体は援護射撃で味方の行動支援
ルネも必要なら『悪意』で応戦

UCは森の友達と連携して都度使用
敵の攻撃はUCで軌道を逸らして対処
あとは味方の攻撃が直撃するようUCで敵を動かして攻撃支援も

パールはまだ戦ったことない相手だね
他の宝石人形達も大概面倒な能力持ちばかりだったけど
さて、どうなるかな



「──君たちを壊しに来たよ」
 弔いの意も含む宣言と共に、差し込む薄日の中にルネ・プロスト(人形王国・f21741)は降り立った。
 もはや見慣れたと言ってもいい宝石人形たちの姿は幾度の戦いを経ても変わることなく、現れた迷宮やその在り方を変えたとしても存在そのものが変わることはない。骸の海で眠りにつくにはまだ遠いというのか、再び見えた宝石人形たちへとルネは黄金の眼差しを向ける。彼女たちを壊し、弔う。それがルネがここに来た目的である。
「まずは盤上を整えようか」
 向けられた彼岸花にも似た対の剣に怯むことなく手を掲げれば、その手に応えるように人形たちが現れる。指揮者のように振られた手のひらの前に、まず整列して見せたのは8体のポーンたちだ。
 短剣と革鎧を装備した等身大の歩兵人形にはよくよくと見れば十の糸が繋がれており、彼らはルネの指先に合わせて盤上を踊る。
「遅いよ!」
 既にその戦場は、ルネの手のひらの上にあった。
 先鋒の如く、眼前に迫るような速さで瞬く間に移動した宝石人形が剣を振り抜く動作さえ、ルネには──森の友達には、透けるように見えている。
 剣を振り抜く動作を相殺するように動かされた指先に合わせて、ポーンが盤上を進んで宝石人形の行く手を遮って切り結んだのもまた、瞬く間のことだった。
 しかし、それだけでは終わらない。
 更にその後ろから現れた影が勢いよく斧槍を振るえば、宝石の中枢は柔くも打ち砕かれていく。ドールズナイト・キングと呼ばれたポーンとは異なる人形だ。
 豪華絢爛な鎧に、無骨ながらも立派な斧槍を構えた皇帝人形。ルネを守るように前線へと躍り出たキングはそうして、投擲された剣さえ薙ぎ払うように斧槍を繰り出して宝石人形を狩るべく盤上を駆けていく。
 死霊が憑依した人形たちの蛮勇は、すべての宝石人形が崩れ落ちるまで──この駒盤遊戯が終わるまで、止まりはしないだろう。油断なく細められた黄金の瞳は、十の糸を操りながらも次なる戦場へ思い馳せるように遺跡を見つめていた。
「......さて、どうなるかな」
 新たな敵と見えるそのときは、きっともうすぐそこまで来ている。

成功 🔵​🔵​🔴​

旭・まどか
ひとつのことのはしか持たないの?
全く。これだから人形――傀儡と、いうやつは
目障りだ。早く消えてくれ

物言いたげな灰狼には討伐を命じて
僕は僕で、歪ないきものに、いのちを与えようか

おいで
お前たちに仕事をあげる
あれを、壊してきて
なるたけ僕の目の前から
速やかに

駆動部となる屑石を中心に狙うよう指示をしようか
あとは――……、そうだね
あまりに流し過ぎるのも良くないだろうから
流す血潮は世界が回らない程度に止めておくよ

空で瞬かない星なんて、価値は無い
屑は芥らしく、散り行く様がお似合いだよ

たとえ屑星だったとしても
燦然と地に落ちてくれたのなら、少しはマシだったのかもしれないね


ミラリア・レリクストゥラ
…匂いが変わって…別の層、でしょうか?

【WIZ】

明るい…というか、自然光ですかこれ?この深さで届くなんて…
道中みたいに、反射でも起きてるんでしょうか?
…それに、あの建物、も……かしゃん?

――はい!?敵、敵ですか!?あわわ!
旅慣れてはいますけど直接戦闘は不得手なんです!後ろに下がりますね!?

えーとえーと、排除排除と連呼されるだけですし感情は無さそうです、洞窟が崩れるといけないので捕縛も無理、
つまり私では妨害できなさそうですから…援護の唄になりますね!
でもあまり激しく唄うと変に共振しちゃって崩れる危険が出ますから…

ええ、当初の通り!【地母の恵み】で皆さんの回復に回ります!



 排除せよと、熱を持たない言葉が反響する。
 それ以外に語る言葉も持たないのだと分かってしまうのは、繰り返される言葉の意味さえも彼女たちは理解していないからだろう。彼女たちにとって言葉はただの合図でしかなく、侵入者を排除するための舞台装置に過ぎないとすれば尚更言葉などは必要もなく。両手の剣を一斉に構えた宝石人形たちに隠すことなく溜息を吐いた旭・まどか(MementoMori・f18469)は、盛大に顔を顰めていた。
「......全く、これだから人形──傀儡と、いうやつは」
 目障りだと告げる声は、傍らに控えた物言いたげな灰狼を振り返ることなく討伐を命じる。どうか早く目の前から消えてくれと、願う声は残酷なまでに真っ直ぐに宝石人形へ向けられていた。
「おいで、お前たちに仕事をあげる」
 ──あれを、壊してきて。
 放たれた宝石の弾丸を退けるべく、いの一番に戦場を駆け抜けた灰狼の背中を追うように、まどかもまた己の体に傷を付ける。滴る血液を代償としてまどかが喚ぶものは常闇から出ずるひとりのヴァンパイアだった。
 宝石弾を灰狼が噛み砕き、瞬く間に迫り来る宝石人形の剣をヴァンパイアがいなして討ち下す。鋭い爪を突き立てられた屑石がひび割れれば、連動するように宝石人形の陶器のような肌にもひびが入り、ガラガラと音を立てて崩れていくのが分かる。
 その目にも止まらぬ速さで移り変わっていく戦場に慌てた声を上げたのは、妨げにならないようにと急いで後ろに下がったミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)だった。
「あわわ! 敵が、敵が崩れました! わ、私は旅慣れてはいますけどっ、直接戦闘は不得手なんです......!」
 ええと、ええと、と身振り手振りで自分に出来ることを考えるミラリアの視界に、鮮やかな赤色が映る。それは先程まどかがヴァンパイアを召喚し、また維持するために流し続けた血の色だ。
 捕縛も出来なければ、妨害も難しい。それでも、自分にもできることはあるのだと、鮮やかな赤色に目を見開いたミラリアはそおっと唇を震わせる。けれど。
「──待って、」
 その傷を治そうと、歌を紡ごうとしたミラリアを手で制したまどかが、ミラリアを庇うように後退する。その眼前には、瞬間移動してきたのだろう宝石人形が放つ宝石弾が迫っていた。

 ──その凶弾が猟兵を撃ち貫くことは、終ぞなかった。
「空で瞬かない星なんて、価値は無い。屑は芥らしく、散り行く様がお似合いだよ」
 まどかを守るべく大地を駆けたヴァンパイアの腕が、差し迫る宝石人形の胸を背後から貫いたのだ。自爆することさえ許さないというように握り潰された屑石が粉々になっていく様を見て、まどかは漸くと息を吐いて、ミラリアへと傷付いた腕を差し出す。
「......はいっ。いま、回復します!」
 例え屑星だったとしても燦然と地に落ちてくれたのなら、もしかすれば。
 なんて、黎明のように鮮やかなピンク色の瞳が伏せられ、長い睫毛がまろい頬に影を落としても。まどかは仕様のない思いを胸の内に抱えながら、いまだけはミラリアが紡ぐ大地のように暖かな音色に耳を傾けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

栗花落・澪
なるほど…さしづめ遺跡の守り人ってところかな
人というには、可哀想な命かもしれないけど

天井が高いなら好都合
★Venti Alaに風魔法を宿し
跳躍と同時に風を放出する事で速度を上乗せ
敵の攻撃を回避しながら
関節部を狙っての氷の【高速詠唱、属性攻撃】で
凍結による行動力低下、足止め狙い

瞬間移動は防げないかもしれないけど
反応速度さえ遅れさせられたら、充分だよ

万一のために【激痛耐性+オーラ防御】を纏い
敵の動作を注視し僅かな仕草も【見切り】ながら
【ダンス】を踊るかのように攻撃回避
集団に突っ込みながら【指定UC】

瞬間移動も投擲も無意味な程に
【破魔】の【範囲攻撃】で一掃してあげる
仕事はもう、終わりだよ



「......なるほど。さしづめ遺跡の守り人ってところかな」
 それは人というには、可哀想な命かもしれないけれど。
 遺跡、そしておそらくはフロアボスたるものを守りためだけに稼働している量産型の宝石人形たちには、もしかすれば守っているという意識さえないのかもしれない。
 両の手に剣を構えた宝石人形たちを見据えた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、
爪先で何度か地面を蹴って『Venti Ala』の調子を確認すると、ぐっと上を見上げる。
 高く、広い空だ。ぽっかりと空いた天井から覗く薄日は、たとえそれが本物の輝きではないのだとしても太陽の光のように暖かく眩い。ここでなら、風の魔法を効率よく使うことで敵が多い中であっても自由に駆け回ることができるだろう。
「行くよ!」
 排除せよと響く声を抑えるように、澪は風魔法を宿したエナジークロークで強く大地を蹴って跳躍する。同時に風を放出することで限界まで高められた速度は目にも止まらない速さで投擲された剣の合間を掻い潜り、宝石人形の目の前まで迫った澪はその赤い瞳を見て微笑んだ。
「僕の舞台へようこそ!」
 くるり、くるりと。琥珀の髪を風に躍らせて蝶のように舞う澪は、しかしその可愛らしい微笑みとは裏腹に宝石人形の関節部という僅かな隙間を狙って次々と凍結させていく。
 それは、とどめを刺すには至らないけれど。澪の狙いは彼女たちの行動力を低下させることにあるのだから、いまはそれで良いと正確に凍らしていく。
「──おっと、」
 もちろん、瞬間移動が防げるわけではない。
 瞬く間に現れた宝石人形が振り下ろした剣を避けた澪は、僅かに切っ先が頬を掠めても止まらずにその舞台を踊り続けた。
 あと少し、もう少し。そうして。
 やがて自らを囲むように包囲網を敷いた宝石人形たちを見ても、怯むことはなく。むしろこの瞬間を待っていたのだと笑みを深めた澪は、カーテンコールのように優雅なお辞儀をひとつ送って彼女たちに告げる。
「仕事はもう、終わりだよ」
 振り上げられた数多の剣ごと吹き飛ばすような、眩い光が澪を中心として戦場を包み込んでいく。宝石人形が待避しようとしても、もう遅かった。
 凍り付いた関節部が鈍い音を立てたその瞬間には、もはや魔を浄化する光を放つフィーアト・ルクスを防ぐ術もない。
 ──眩いほどの光が静かに消えた頃。そこには、砕けた屑石だけが転がっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディフ・クライン
友のヒャーリス(f12117)と

からっぽの人形、か
じゃあオレと同じだね
そうは言えども思うところなど何もない
友を守る方が大事なことだ

灰のオコジョ姿の雪精neigeを雪華の杖に
放たれる宝石弾は氷の壁で防ごう
ヒャーリスの方の壁は厚めにして、彼女に攻撃は通さない
彼女が援護してくれている間に、魔力を編もう
大丈夫、自爆はさせないよ
ただ……毒はきついだろう
無理はしすぎないでね、オレも居るから

neige.極寒の雪精
樹氷を作ろう、爆発してしまう前に宝石人形を閉じ込めて、冷たい棺を

氷に人形を閉ざしたら、ヒャーリスの下へ
手を?
うん、構わないよ
人形のオレの手に温かさはないけれど
貴女が安心するのなら、そっと手を握ろう


ヒャーリス・ノイベルト
ディフさん(f05200)と

彼女たちを壊さないと先には進めないようですね…

オブリビオンとはいえ相手は人形…
ディフさんがどんな思いをいだいているのか気になる
先ほど様子が変だったので、余計に

UC使用
代償は毒
菫と木蓮の花弁を放ち
攻撃しやすくなるように援護を
ディフさんが傷を負ったら百合の花弁を纏わせて回復を
自身が攻撃する場合は武器で傷口をえぐるように

代償の毒で体を蝕まれても
顔色にはでるかもしれないが表情には出さず
大丈夫ですと
でも…ディフさんがいてくれるから
苦しくてもなんだか安心します

人形が氷の棺に閉じ込められたら遠慮がちに
もし嫌でなかったら
少しだけ、手を握っていてもらえませんか
何だか楽になる気がして…



 空っぽの人形。
 それはとても、自分に近しいものにディフ・クライン(灰色の雪・f05200)には見えていた。
 言葉少なに意思も持たず、意義を持つことさえないまま、そう在れと願われるままに立っている宝石人形たち。その熱を持たない瞳を見返しながら、ディフは静かに目を伏せる。
 自分と同じと言えども、思うところなど何もない。何故ならば。
「──友を守る方が、大事なことだ」
 ゆっくりと開かれた青い瞳が、傍らに寄り添う灰色の雪精に触れる。オコジョの姿をした精霊の背を撫ぜれば瞬く間に雪華の杖に変化し、ディフは放たれた宝石弾を防ぐように杖を振って氷の壁を築きあげた。
 その姿から読み取れる思いは、決して多くはないけれど。それでも、自分の方だけ集めに築かれた壁を見れば少しでも察せられるものはあるだろう。隣立つディフの横顔を心配げに見つめながらも、ヒャーリス・ノイベルト(囚われの月花・f12117)は彼の手助けとなるように小さな声で囁く。
「我が身に宿れ、花々の神秘」
 その力の代償は、身の内を駆け巡る毒だ。
 強力であるが故にその代償も極めて大きく、きっと使えば使うほどにその体を毒は蝕んでいくだろう。それでも、菫と木蓮の花弁を放って瞬間移動してきた宝石人形を搦めとったヒャーリスがそれを表情に出すことはない。
「......無理はしすぎないでね、オレも居るから」
「大丈夫ですよ、ディフさん」
 ちらりと寄越された青い瞳に、頭を振って。
 けれどすぐに方の力を抜いて、ヒャーリスはそっと微笑む。
「ディフさんがいてくれるから、苦しくてもなんだか安心します」
 だから、どうか彼女たちを眠らせてあげてほしいと。
 搦めとられて身動きも出来なくなった宝石人形たちが自爆しようとその中枢の宝石に手を伸ばしたとき、ヒャーリスの声に応えるようにディフは雪精の杖を掲げて、編み込んだ魔力を紡ぐ。
「──Neige.」
 樹氷を作ろうと、彼は口ずさむ。
 ふわりと瞬くような雪華を纏わせて、極寒の世界に色を添えよう。体の熱を奪うような冷たさを送ろう。
 そうして編み上げて、爆発するよりもはやくひび割れ掛けた宝石人形を閉じ込めたのは、透き通るほど美しく冷たい棺だった。

 それから、程なく。
 蝕む毒にふらついたヒャーリスへ寄り添ったディフに、ヒャーリスは小さな願いを告げる。
「......少しだけ、手を握ってもらえませんか」
 差し伸ばされた白くしなやかな指先にも、僅かに震えが見えるようで。間もなくその手を握り締めたディフは、小さくその瞳を和らげた。
 きっと、人形の自分の手には温かさはないけれど。それでも。
「うん、構わないよ。貴女が安心するのなら、」
 その痛みが和らぐまで。──貴方の熱が、冷めるまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
引き続きリタさん(f22166)と一緒に行動デス

凄いです、リタさん!迷わないで辿り着きましたネ!?とっても凄い気持ち!(嬉しそうにリタさんに拍手)

お人形さん…ですネ…?
私もドールですガ…分かり合えなさそうな気持ち…?
少し残念ですガ、仕方がないですネ…

囮になってくれてるリタさんへのダメージが少しでも減るようにとオーラ防御を展開
ありがとうの気持ちを込めて

それから全力魔法で思いっきり攻撃するための準備を
スナイピングで的を絞って外さないように頑張りマス!
リタさんの相棒さんの活躍を見てうちの子もやる気満々みたいですネ!
さぁ、全力でいっきますよー!(青と紫の薔薇が咲き誇るマスケット銃を構える)


リタ・キャバリエーレ
モーヴェマーレさん(f00299)と一緒に左手の法則を使ってたどり着いた先には宝石人形さん達のお出迎え
とはいえ、あまり友好的でもなさそうね
なんてほんわかしつつも油断せず
(左手の法則でなんだか遠回りしてしまった気もするけれどきっと気のせいよね。うん。)

呼び出した相棒と共にハンマー状に変化させた武器で【怪力】による【吹き飛ばし】(ぶん殴って)等攻撃、撹乱するわ

悪いけど、奥に用事があるの
通してもらうわよ!

なるべく大きく動いて敵の注意を引きつけて
私はあくまで露払い
本命はモーヴェマーレさんの一撃
悟られないように気をつけないとね

どかんとやっちゃいましょう!



 少し遠回りしてしまったような気もする、と首を傾げつつ。屑石たちの標と左手の法則を頼りに星の道を抜けたリタ・キャバリエーレ(空を夢見た翼・f22166)は、リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)の拍手と尊敬の眼差しを身に受けながら、目の前の開けた場所をまっすぐと見た。
 既に戦いの火蓋は切って下ろされている。ぽっかりと空いた天井からは薄日が差し込んでおり、リタには戦場がよく見えていた。猟兵たちの手によって半数ほどに減っている宝石人形たちも、しかし依然として数も多く戦意も失っていないらしい。
 宝石人形たちの両の手に構えられた剣を視界に収めながら、リタは小さく息を吐く。
「......あまり、友好的でもなさそうね」
「私もドールですガ......分かり合えなさそうな気持ち......?」
 排除せよ、と冷たい声が響く。
 ただ侵入者を排除すべく動く彼女たちに個という意識はなく、分かり合えることもないだろう。であれば、リタたちもまた彼女たちに相対するべく武器を手に取るしかなかった。
 互いに顔を見合わせたリタとリヴェンティアはどちらともなく頷くと、それぞれの武器を握り締める。
「──悪いけど、奥に用事があるの。通してもらうわよ!」

 まず先に駆け出したのは、リタだった。
 手にしていたオカリナを巨大なハンマーへと変化させたリタは、ぶわりと巻き起こる風に銀の髪を躍らせながら呼び出した黄金のライオンへと飛び乗ると、あっという間に大地を駆け抜ける。
 その大胆な立ち回りは、敵の注意を自分に引きつけるという狙いもあった。次々と放たれる剣をハンマーで吹き飛ばし、瞬間移動してきた宝石人形が振り下ろす剣ごと持ち前の怪力を以て打ち落とす。
 けれど、敵の数は依然として多く、ひとりでの遊撃には限界があるだろう。打ち漏らした剣がリタを傷付けることがないようにと、オーラを練り上げて防御壁を築いたリヴェンティアは声を張り上げる。
「もう少し、耐えてくださいネ......ッ!」
「ええ、任せて!」
 互いに感謝するように、信頼を寄せるように。
 遊撃を担うリタが戦場を縦横無尽に駆け回る、そのすべては全力の魔法をぶつけるために魔力を編むリヴェンティアのためだ。たとえすべてを打ち砕くことができなくても、魔力を編むための時間稼ぎと、狙いを逸らし露払いをすることができればリタの目的は叶ったと言っていいだろう。
 そうして。自らも消耗しながらそれでも止まらず宝石人形たちを翻弄し続けた末に、ふたりの目論見が叶うそのときは来る。
「光無き燈火。円環の理。小さくも大きな刃を持つ我が子よ」
 ──うちの子は皆賢いノデ、一筋縄ではいきませんよ?
 青と紫で彩られた薔薇の咲き誇るマスケット銃が鋭い音を立てて火を噴くのと同じくして、彼女の力となるべく喚び出された小動物たちもまた宝石人形たちへと襲いかかる。
 それはリタが時間を稼ぎ、リヴェンティアが力を蓄えた分たけ全力が込められた強力な力となって宝石人形の中枢となる宝石を撃ち貫き──ひとつ、またひとつと星は砕けていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

斬崎・霞架
【泡沫】
アドリブ◎

人形たちが相手ですか
立ちはだかるならば、倒すだけです
…マリアさんは、僕が守らなければ

手甲を展開、前に出ます
敵の攻撃は見切り回避
カウンターで攻撃します
隙があれば呪詛、二回攻撃で畳み掛けましょう

UCを発動すれば更に有利に立ち回れるはずです
命を削ってでも、僕がやらなければ

…そう思っていた
なのに、マリアさんの力はどうだ
1人でも戦えている
それどころか、こちらがフォローされている始末だ

……これでは、僕は
もっと強くならなければ
僕の、価値は…


マリアドール・シュシュ
【泡沫】
アドリブ◎

眩しいのは、霞架も同じよ
マリアにとっては…

(霞架に巣食う闇をマリアが払うわ
マリアも強くなればきっと心配をかけずに済む筈
早くいつもの霞架の笑顔が、見たいから)

UC使用
50体の一角獣
3体合体させ背に乗り移動
30体で挟撃し派手に動き撹乱
10体合体させ角で強烈な攻撃
残りは二人の盾用

一角獣に隠れ霞架の支援
鋭敏な音の誘導弾で複数の敵誘導
竪琴で麻痺絡む旋律を高らかに奏で攻撃(楽器演奏・マヒ攻撃
敵の両手剣の攻撃は回避
霞架への攻撃は盾用の一角獣でオーラ防御

マリアだって霞架を守りたい
守れるもの
大丈夫?
霞架ほどではなくとも強くなっている筈なの

光が強いほど闇も濃ゆく深まる
まるで対
すれ違う想い
拗れる絲



「立ちはだかるならば、倒すだけです」
 それが人形であれ、何であれ。
 守らなければと、強い思いを胸に宝石人形たちを見据えた斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)は即座に手甲を展開して前線へと踏み込んでいく。
 力を増してより禍々しく凶悪になった呪われし黒い手甲は、けれど霞架の手にはよく馴染んでいた。投擲された剣を振り払い、斬り掛かる剣筋をも見切るように宝石人形の懐へと差し迫った霞架は、呪詛を纏う一撃で屑石を貫いてまずはひとりめの宝石人形を打ち捨てる。けれど。
 足りないと、心の裡で何かが叫んでいるようだった。満たされない渇きと追い立てられるような焦燥感を押し込めるように胸元を握り締めて、霞架は唸るように呟く。
「......命を削ってでも、僕がやらなければ」
 その胸に巣食う闇を払いたいと思うのは、高慢だろうか。
 眩しいのは霞架も同じなのだと心配げにその背中を見つめて、マリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)は黄金の瞳を伏せる。
 もっと強くなれば、心配をかけずに済むかもしれない。
 自分は大丈夫なのだと証明できれば、彼はまた笑ってくれるかもしれない。
 竪琴を強く握りしめて、マリアドールは願う。
 ──早くいつもの霞架の笑顔が、見たいから。
 その闇を払おうと、開かれた黄金の瞳にはひとつの決意が灯っていた。
「可愛い可愛い一角獣さん、いらっしゃい?」
 手甲から赤い雷を溢れさせた霞架の前に、マリアドールが喚び出した一角獣の群れが現れる。それぞれに役割を持たせたマリアドールはそのうちの3体を合体させた巨大な一角獣の背に飛び乗ると、霞架の支援をするようにと前線へと駆けていく。
 それは宝石人形たちの統率が取れた動きを撹乱し、霞架がより動きやすいよう場を整えるためだ。溢れ出した赤雷を振り返って、マリアドールは優しく微笑みかける。
「マリアだって霞架を守りたい。ううん、守れるもの!」
 だから、一緒に戦うわと笑って華水晶は戦場を駆けていく。
 その姿の、なんて眩しいことか。
「──嗚呼、」
 命を削ってでも、彼女を守りたいと思っていた。願っていた。
 けれど、戦場を駆けるその背中はあまりにも眩しくて。
 彼女は自分の力などなくても立っていられるのだと、思い知らされるようで。
 嘆息が零れた自分の声を掻き消すほどの赤雷を唸らせた手甲を、霞架は強く握り締める。
 そして。
 マリアドールが奏でる旋律によってその足を鈍らせた宝石人形へ向けて、心の裡の激情を打ちつけるように荒れ狂う赤雷を放ち、宝石人形の中枢を砕いて──霞架は、その場に立ち尽くしていた。

 駆け寄る彼女の姿は眩しく、その声はどこか遠く。
 呆然とした表情で自らの手を見下ろした霞架は、やがて祈るように目を伏せた。
「......これでは、僕は」
 もっと強くならなければ、僕の価値は──、
 その闇を救う光は、霞架にはまだ見えない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アルバ・アルフライラ
ふん、木偶が図に乗るでないわ
斯様に壊れたくば…掛ってくるが良い

魔方陣を描き、召喚するは【暴虐たる贋槍】
範囲攻撃にて、複数の敵を串刺しにしてくれよう
狙うは人形共の胸元に輝く宝石
自爆なぞされては敵わんでな
手を打たれる前に、不安の芽は摘んでおかねば
――さあ、砕け果てよ

確実に狙う為ならば、敢えて足を狙い牽制も視野に入れる
魔法弾は見切りにて回避、受け流しに徹しつつ
逸らしきれなかった弾はオーラの守りで威力を削ぐ
襲い来る人形共の数は多けれど
決して死角を作らぬよう
決してこの身を砕かれぬよう注意を怠らず行動

他の猟兵達への支援も任せよ
死角を狙われんとする者が居たならば
その狼藉者の排除へ向うとしよう

*敵以外には敬語



 例え幾つの星が砕けても、宝石人形たちが止まる由もない。
 まだその身が動くのならば、その身が砕けるまで宝石人形たちはただ動き続ける。ただひたすらに、侵入者を排除するためだけに。
「ふん、木偶が図に乗るでないわ」
 同じ言葉を繰り返すばかりで意思もない有り様では、木偶の坊と変わらない。憮然とした表情で鼻を鳴らしたアルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は、しかし次の瞬間には強気な笑みを浮かべて星追いの杖を構えてみせた。
「斯様に壊れたくば…...掛ってくるが良い」

 すばやく慣れた所作で魔法陣を描いて、宝石弾が放たれるよりも早く召喚されたのは
暴れ荒ぶ風を纏う魔法の槍たちだ。暴虐たる贋槍と名付けられたその力に相応しく荒れ狂う風の力は、放たれた宝石弾ごとねじ伏せて宝石人形たちの中枢である宝石を撃ち貫く。その間にも。
 瞬く間に眼前へと迫り来る宝石人形に自らを砕かれることがないように、踊るような軽い仕草で交わしたアルバは更に杖を動かして風の槍を振るい彼女たちの足を縫い止める。
 その切っ先から逃れられないと断じた宝石人形の向かうところは、ただひとつだ。
 中枢である胸元を彩る宝石に、ぴしりと鋭い音を立てて亀裂が走る。おそらくはそれが自爆の合図となるのだろう。しかしアルバとしても自爆などされては叶わない。こんなところで木偶と心中する気など更々ないのだから──不安の芽が花開く前に、摘んでおかなければ。
「運の悪い奴等め」
 こんな墓場のような場所で、朽ちることも叶わずに駆り立てられ。その果てに自分の意思さえ持てずに砕けていくのかと、嘆息したところでその意味もきっと宝石人形たちが理解することはないのだろう。
 そうして 、軋んだ紅玉の瞳を見つめて燃ゆる星を秘した瞳が細められれば。ぶわりと吹き荒れる風が新たな槍となってより鋭い穂が作り出していく。もっと強く、もっと鋭くと練り上げられた風の槍はそして宝石を狙いすまして、
「──さあ、砕け果てよ」
 宝石がひび割れるよりも先に風の槍が疾風のように宙を駆けてその中枢を撃ち貫けば、かしゃんと軽い音を立てて、そこには砕けた屑石だけが散らばっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
f01982/咲さん

ねぇ
なんて「人形」らしい人形でしょう

胸の石が核ならば
急所さえも覆い隠さず
心も持たず
使命のみに殉じる操り人形

物はいつか毀れる
道理や摂理、必然の事で
器物である己もまた例外では無いけれども

だからこそ――
いっそ何も感じないままの方が
ずっと楽なのかもしれない

憂いも痛みも覚えることなく
消えることが叶うなら――

小さく息を吐いて
淡く笑み零す

緑のオーラは森林に佇む心地で清か
彼女が纏う草葉の香りもぬくもりも
まさしく「いのち」の証ゆえに

既に心ある身としては
無為に傷つけられるのは怖いですねぇ

咲さんの緊張を解くよう
戯れめいた口調で
肩を竦めてみせる

白花の嵐と共に
馨遙で誘眠

あたたかで優しい夢に眠りなさい


雨糸・咲
綾さん/f01786

人の姿で言葉を発したとしても
目の前の娘らに生き物らしい気配は無く
何となく落ち着かない気持ちになる

私たちも、元はモノだったはずなのですけれど
不思議ですね

命のぬくもりを感じる傍らのひとへ一歩近付けば、安堵する

動きと剣の間合いを注視し見切りで躱し
フェイントに飛ばす鎌鼬は風の属性攻撃
胸の宝石や剣に封印解除らしき変化があればすかさず綾さんの傍へ
自爆に備え、柔らかな緑のオーラで防御

…そんな方法で、このひとを傷付けないで

抑えた呟きは人形の娘へ

あなたは、もっとご自分を大事にしてください

少し拗ねた声は肩を竦めるひとへ

舞わせた白の花弁は柔らかな香に添い
斬撃と共に舞う赤い花を覆い隠す



 どれだけ人の姿で言葉を発したとしても、彼女たちに生き物らしい気配は感じられなかった。その熱を持たない声音も空虚に聞こえてしまって、雨糸・咲(希旻・f01982)はどこか落ち着かないような気持ちに身をよじる。
 命のぬくもりを感じる傍らのひとへ一歩近付けば漸くと安堵できるようで、咲はそっと目を瞬かせた。
「私たちも、元はモノだったはずなのですけれど......不思議ですね」
 どうして、こんなにも違うのだろう。何が違うのだろうと、首を傾ぐ咲の傍らでは都槻・綾(夜宵の森・f01786)もまた宝石人形たちの出で立ちを見ていた。
 その胸元で鈍い輝きを灯した紅玉の石が核だとすれば、彼女たちは自らの心臓さえ晒していることになる。
 急所さえ覆い隠さず、心も持たず、使命のみに殉じる操り人形の思いはどこへ往くのかと、思案の先で見つめたあまりにも人形らしい人形である彼女たちの在り方は、どこか哀しいものに思えた。けれど。
「......そう、ですね」
 物はいつか毀れるものだ。道理や摂理、必然の事であれば器物である綾や咲にとってもそれは例外ではない。
 だからこそ、いっそ何も感じないままの方がずっと楽なのかもしれないと、思ってしまう自分もいた。
 憂いも痛みも覚えることなく、消えることが叶うのなら──いっそのこと。
 思考を紛らわすように小さく息を吐いて、綾は淡く笑みを零す。
 そんな、折のこと。
「──ッ綾さん!」
 瞬く間に眼前へと迫った宝石人形の剣筋を既のところで交わした咲は、鎌鼬の風で宝石人形の目をくらまして綾を庇うように柔らかな緑のオーラを編んで防御壁を築き上げる。その、次の瞬間には。
 耳鳴りのような酷い音を立てて、ひび割れた宝石を中心に宝石人形が自爆した後に残るのは、砕け散らばった屑石だけだった。
「......そんな方法で、このひとを傷付けないで」
 輝きを失くした破片を見下ろして抑えた呟きを零した咲は、肩を竦めた綾を振り返って拗ねたような眼差しを送る。
「既に心ある身としては、無為に傷つけられるのは怖いですねぇ」
「あなたは、もっとご自分を大事にしてください......!」
 咲の緊張を解すための戯れめいた言葉も、どうやら形無しのようで。
 もう一度肩を竦めてみせた綾は、森林に佇む心地のように清らかな緑のオーラに触れて、咲が纏う草葉の香りもぬくもりも、そのいのちの証を思うように目を伏せる。
 そうして。気が付けば、幾多の戦闘を越えてもうひとりしか残っていない宝石人形へ向けて、優しく囁きかけた。

「そろそろ、終わりにしましょう」
 痛みも、苦しみも、そこにはないのだとしても。
 ぼろぼろの体で尚も遺跡を守ろうとする姿は、あまりにも哀しい。だからこそ、もう良いのだと語りかけるように囁いて、綾は手向けの花を贈るのだ。
「──あたたかで優しい夢に眠りなさい」
 例え、星が見えなくても。
 白花の嵐はきっと、その眠りの道標になるだろうから。
 そして舞い散る赤い花さえも白菊が覆い隠して──柔らかな香りが、その眠りの揺籠となるだろうから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『宝石人形』富のパール』

POW   :    ラビッシュドールズ~屑石人形~
戦闘力のない、レベル×1体の【屑石で作られた人形】を召喚する。応援や助言、技能「【反射(敵の攻撃を任意の対象に変更する)】」を使った支援をしてくれる。
SPD   :    愛欲のコブラ
自身の身長の2倍の【強力な即死毒(非生物も効果あり)を持つ蛇】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    パール・ザ・ナイル
【1秒間にレベル×10発で連射される真珠弾】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【や世界を書き換え、広大な砂漠に変化させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:にゃにゃも

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●interval
 ずっと誰かに呼ばれているような気がしていた。
 暗い海の底で揺蕩うような眠りを妨げる、誰かの声が聞こえていた。
 けれど、それが誰だったかを思い出せない。
 わたしを揺籠から取り上げた腕は冷たくて、温もりなどは遠い昔に消えてしまった。
 ──あなたもきっと、寂しかったのね。
 身も凍りそうな冷たさが、わたしに絡みついて離れない。
 それならば。
 思い出せない誰かの代わりに、わたしはあなたに与えましょう。

 がらがらと大きな音を立てて、黄金の遺跡が崩れていく。
 戦闘による影響か、もともと外壁が劣化していたのか。多くの宝石人形たちが砕け散ったことで取り戻した静けさを裂いて、がらがらと崩れた遺跡は1度壊れてしまえばただの瓦礫と変わらない。無常にも瓦礫の山を成したその場所は、瞬く間に荒れ果ててしまった。
 一瞬にして変わってしまった戦場に、警戒するように辺りを見渡す猟兵だったが──そのとき。瓦礫の広場に響いたのは、鈴を転がすような澄んだ声だった。
「星の眠る場所へようこそ、可愛い子」
 ここは行き場のない人形たちの揺籠。輝きを忘れた星の墓場。
 澄んだ声の後ろで、ずるりと這う音が響いている。瓦礫の山の這いずる長く大きな胴体に気が付けば、毒々しい色合いの鱗は天井から差し込む薄日にてらてらと反射するようで、次第にその姿の全貌が見えてきた。
「そして──はじめまして、愛しい子」
 崩れた瓦礫の下から、長い舌が見える。細い息を吐くような音まで聞こえたなら、もう分かるだろう。がらがらと瓦礫の山を退かすように蜷局を巻いた大蛇が、そこにはいた。そして。
 鋭く猟兵を睨みつける大蛇の下で、長い身体に守られるようにして玉座に腰を据えた少女がひとり、蛇の白い腹を撫ぜていた。
 その褐色の腕には、隠すことのない球体関節。そして先程まで相対してきた宝石人形たちと同じように晒し出された胸元には、滑らかな色彩を見せる大きな真珠が見て取れる。彼女こそが、この迷宮のフロアボスと見て間違いないだろう。
 ゆっくりと立ち上がった少女は、武器を構えた猟兵にも怯える様子はなく大蛇に寄り添って、月のような金色の眼差しを弓なりに細めて微笑んだ。
「わたしは富のパール。あなたはわたしに、何を求めるのかしら?」
 その声を合図として、乾いた風が砂を巻き上げて視界を攫っていく。
 猟兵たちが次に目を開いたとき──そこには、広大な砂漠が広がっていた。
鴛海・エチカ
富のパールよ
我がお主に求めるものは、ない

強いて云えばそうじゃのう、力競べじゃろうか
『環想帰結』にて銀瞳の魔女に姿を変えつつ人形を見据える
我とて星のドールじゃ、負けはせぬぞ

箒に跨り砂漠の上空へ
星霊杖にシリウスの炎を重ねて隕石のように落とし
真珠弾を蹴散らすように炎で焼き尽くす狙い
アルタイルの風、カノープスの水属性を魔法弾に込めて応戦
攻撃は避けはせずに其々の属性を込めた流星の魔法で対抗

お主と共に語り合えたならばどれだけ佳いか
しかし、我らは猟兵と災魔。相容れず、戦う運命にある

砂漠の星も一等綺麗じゃ
されどこの地もお主も、此処に在ってはならぬもの
さあさ、心ゆくまで遊ぼうぞ
我らが勝利する、最後の最期まで――



●星に願いを
 降り注ぐ太陽の光が、広大な砂漠を照らしていた。
 鍾乳洞にも似た様相を呈していた迷宮は瞬く間にその姿を変えて、目の前には遮るものは何もなく、どこまでも続くような砂漠がそこにある。
 そして。
 大きな口を開いて威嚇する大蛇に寄り添うように立った少女、富のパールは太陽の輝きを一心に受けた胸元の宝石を煌めかせながら、その場で身構えることなく猟兵を見ていた。
「あなたはわたしに、何を求めるのかしら?」
 美しい顏に浮かぶのは幼い子供のような微笑みで、衒いのない問い掛けにも深い意図などないことはすぐに見てとれた。それでも。
「富のパールよ。──我がお主に求めるものは、ない」
 その問い掛けには小さく頭を振って、鴛海・エチカ(ユークリッド・f02721)は答える。
 何も求めず、何も望まず。猟兵と災魔である以上は相容れず、戦う運命にあるのだか願いを託すこともない。
 天球儀を模した蒼水晶と七色の宝玉が煌めく星杖を握りしめて、きらきらと耀く疾風の中で星黄泉の魔女へと変身したエチカは、箒型のガジェットに身を任せてふわりと空へ舞い上がる。
 環想帰結による強化はエチカに更なる力を施して、光と星の魔力によって飛翔することさえ可能としたのだろう。
「強いて云えばそうじゃのう、力競べじゃろうか」
 ──我とて星のドールじゃ、負けはせぬぞ。
 あどけないフィエスタローズの彩は、いまは銀の瞳へと様変わりしていた。
 太陽の光を受けた銀の輝きがくまなく大地を見下ろせば、その間にも星杖にシリウスの炎が重なって大きな塊となり、空を駆け落ちていく。それは宛ら、隕石のように。
 墜落する炎に相対するべく、両の手にも余るほどの真珠弾を放ったパールは、その月のような黄金の目を瞬かせることなく空で輝く星を見ていた。小さな、それでいて強い輝きを持った幼き魔女の姿を。
「あなたが望むのならわたしは与えましょう、可愛い子」
 その星の輝きを目に焼きつけるように見上げて、もう一度微笑んだなら。
 きっとそのときから、ふたりの力競べははじまっていた。

「......む、届かなんだか」
 共に語り合えたならばどれだけ佳いかと、思うところもあった。
 けれど、戦う運命からは逃れられない。それならばせめて、思うままにと炎は猛る。
 その炎は強く、真珠弾すべて蹴散らす勢い炎がすべてを焼き尽くしたようにも見えた。しかし、手応えを感じられなかったエチカは星杖を強く握り直してアルタイルの風に、カノープスの水にと魔法弾に新たな力を篭める。
 地を舐めた炎の渦が晴れたとき、そこにパールの姿はなかった。
 既に寄り添っていた大蛇に騎乗することで、迫る炎からすばやく逃れたのだろうパールの気配に気付いたエチカが追い討つように魔法弾を放てば、パールも広がっていく砂漠の大地から先程よりの多くの真珠弾を放ち──、
「砂漠の星も一等綺麗じゃ。されどこの地もお主も、此処に在ってはならぬもの」
 均衡するふたりの力が、空に弾けてぶつかり合う。
「さあさ、心ゆくまで遊ぼうぞ。我らが勝利する、最後の最期まで──!」
 例えどれほど時間がかかろうと、その心が折れることはない。
 煌めく銀の瞳は星を映すように瞬いて、まっすぐに向き合っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

オブシダン・ソード
【狐剣】
欲しいものを欲しいと言うのは重要だと思うんだけどね
僕が君に望むのは、富でも栄光でもなく君の終わりだ

それはそれとして砂漠化してるのでたらめだね…すごい…

とにかく敵からの弾丸はオーラ防御を駆使して軽減しつつ、砂漠を駆けよう
弾幕って言うかこれもう壁では?ってレベルで撃ってくるけど隙はあるだろう
なければ作って
頼むよいすゞ

弾幕の薄い箇所を狙って、前進しながらウィザードミサイル
いつもなら散弾みたいにぶっ放すんだけど今回は極力一直線に
真珠弾を相殺して道を拓いて
黒耀石の剣を突き込む

敵の攻撃による被弾は避けられないものとして前進を重視
押し切られる前に一矢を

使い手の願いは僕が叶えるからね
君にはあげないよ


小日向・いすゞ
【狐剣】
あっしはね、もう富は人には求めないっス
家を栄えさせるという管狐に自らを呪わせて居るンスから
だから
あっしらがアンタに求めることは一つ
安らかに躯の海にお還りなさいな

まあ砂漠も滅茶苦茶っスけれど
滅茶苦茶な数ぶっ放すっスね!?
はぁいはい
できるだけやるっスよォ

五行相剋
――石は金、火は金を溶かすっス!
今日はもう
符を大盤振る舞いっスよォ
タダじゃないから苦しい

相剋符で防げるだけ防ぎつつ、センセの後ろを駆けるっス
痛みは後でどうにでもなるっスよ
頑張れ頑張れ

道をなんとか彼女まで繋げば、オブシダンの器物を握り

あっしの旦那はこの一撃を
願いを断つ剣、なあんて呼ぶンスよ
アンタに願われた全てを、ここで断ち切るっス!



「あっしはね、もう富は人には求めないっス」
 家を栄えさせるという管狐に自らを呪わせて尚、どうして富など求められようか。
 間も置かずに頭を振った小日向・いすゞ(妖狐の陰陽師・f09058)が静かな眼差しで手にしていた符をひらひらと揺らして見せれば、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)もまた肩を竦めて答えた。
「欲しいものを欲しいと言うのは重要だと思うんだけどね」
 けれど、だからと言ってそれを富のパールに求めるかといえば、それはまた別の話だ。
 強いて言うならばという前置きをひとつ、赤を描く指先を立てたオブシダンは目深く被ったフードの下で軽薄に笑む。僕が君に望むのは、富でも栄光でもなく君の終わりだと。
「──あっしらがアンタに求めることは一つ。安らかに躯の海にお還りなさいな」
 例えこの迷宮が星の眠る場所であったとしても。人形たちに安らぎを与える揺籠として作られた星の墓場であったとしても。災魔である以上、その身の還るべき場所は骸の海に他ならない。
 けれど。取り付く島もないふたりにも絶えず微笑みを湛えたパールは、大蛇に寄り添ったまま小さく首を傾げていた。
「......わたしの終わりを、望むの?」
 月のような黄金の瞳が、何度か瞬く。
 願われた死は、生を終えることさえ放棄してしまった過去の人形には今となっては程遠いものだ。それでも。
「あなたが望むのなら、それもよいでしょう」
 パールの記憶はとても朧気なものだった。それが本当に自分のものであるかどうかさえ、曖昧で明確でない。
 それでも僅かな記憶の中で、かつて王は自らの墓を民に築かせたという。太陽が繰り返し昇る様のように、死もまた恐れるべきものではなくそれは新たな旅立ちに過ぎないのだと、信じられていたのだ。
 ──ならば、恐れることなど何もない。ああ、けれど。
 どうやら、パールが良しとしたところで共にある大蛇はもう二度とパールの死を許すことはないらしい。鋭い牙を剥いて守るように前へ出た愛しい子の背を撫ぜて、パールは猟兵を見る。
「わたしの愛しい子は、それを望まないみたい」

 広大な砂漠は決して本物ではないはずなのに、その太陽の輝きはまるで本物のように熱を持っている。まるででたらめだと辟易とした様子でオーラの防御壁を作り、真っ先に駆け出したのはオブシダンだった。
「──頼むよいすゞ」
「はぁいはい、できるだけやるっスよォ」
 砂漠も滅茶苦茶なら、弾幕というよりはもはや壁に近い勢いで放たれる真珠弾も滅茶苦茶だ。その隙間を縫うことさえ一苦労といったところで、オブシダンの背を追うようにその後ろを駆けるいすゞが大量の符を放って隙を作っていく。
「五行相剋──石は金、火は金を溶かすっス!」
 今日は大盤振る舞いだと投げやられた符は石はもちろんのこと、彼女の資金さえ溶かしていくのだからその威力は折り紙付きだろう。符だってタダではないのだから、そうでなくては困ってしまう。
 ダメ押しとばかりに更に相克符を追加したいすゞのおかげで薄くなった弾幕を狙ってまっすぐに駆け抜けるオブシダンもまた、増える弾幕に押し切られまいと炎を纏った魔法の矢を放つことで真珠弾を退けて──、
「拓いたッ!」
 目の前の拓けた道に、黒曜石の剣を突き込んだなら。
 影から飛び出したいすゞの小さな手のひらがオブシダンの器物を握りしめて、駆け抜ける。そうして。
「あっしの旦那はこの一撃を願いを断つ剣、なあんて呼ぶンスよ」
 真珠弾の壁が消えた先、目を見開いたパールへと迷いなく剣は振り上げられる。眼前へと迫る凶器を避ける術など、懐まで入ってしまわれれば既にないに等しい。
 太陽の輝きを受けた切っ先をパールが呆然と見上げれば、コンと狐が笑ったような気がした。
「アンタに願われた全てを、ここで断ち切るっス!」
 ──使い手の願いは僕が叶えるからね、君にはあげないよ。
 小さな笑い声がもうひとつ。そして、鋭い一閃は砂漠に煌めいたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
嗚呼――、此処で眠れたのなら、……きっと、
けれど、それは叶わない
僕は――……、僕たちは、こんな所で終えることは出来ない
ねぇ、そうでしょう?

何? 気落ち、しているの?
それとも、今更事実を噛みしめて、凹んでいるの?

項垂れている暇は無いよ
お前が成すべき事はひとつ

この人形を停める
それだけだ

さぁ、爪を研いで
牙を尖らせて

純然たる“お前”の姿を、見せておやり

お前の持つ速さならば、放たれる弾丸は止まって見えるだろう?
足場が悪くとも、お前にはさほど、影響無い筈だ

だってお前は、僕の使い魔だもの

お前がいたから、僕がいる
そして僕がいたから、お前がいるんだ

僕に最高の働きを、見せてくれるよね?
応えは行動で、示して見せて



 嗚呼、思わずと小さな吐息が零れる。
 此処で眠れたのなら‪、きっと。そんな仕様のないことを考えてしまう。
 ──けれど、それは叶わない。
「僕は──僕たちは、こんな所で終えることは出来ない。ねぇ、そうでしょう?」
 誰に言うでもなく、旭・まどか(MementoMori・f18469)は目を細めて笑った。
 その間も、傍らの灰狼を振り返ることはしない。振り返らなくたって、まどかには分かる。
「何? 気落ち、しているの?」
 それとも、今更事実を噛みしめて、凹んでいるのかな。
 なんてどこか項垂れるような気配を一蹴して、まどかは空を見上げた。
 燦々と照りつける太陽の輝きは昼の空を表しているようだけれど。星が瞬くのなら、月はいつだって傍にある。目には見えない真昼の月を感じ入るように目を伏せてしばらく──そうして、黎明を映すような瞳を開いたとき。まどかと灰狼は、月光を浴びながら富のパールを迎え撃つように立っていた。
「お前が成すべき事はひとつ。この人形を停める、それだけだ」
 しゃんと背を伸ばして。胸を張って。そして獣の目が鈍く輝いたなら、まどかは僅かに唇を吊り上げる。
 そう、項垂れているような暇はない。さぁ、爪を研いで。その牙を尖らせて。
「──純然たる“お前”の姿を、見せておやり」
 その言葉を合図として、砂原を駆け抜けた灰狼へ向かってパールもまたその脅威を退けようと両の手にも余るほどの真珠弾を放っていく。けれど。
 月の光を背に受けて駆けた灰狼には、その弾丸すらまるで止まっているように見えていた。僅かな隙間を縫うように俊敏に動いたなら、例え外れた真珠弾が熱砂の砂漠をどれだけ広がろうと振り返ることなくまっすぐにパールへと向かって、その牙を剥かんと吠え哮る。
 例え、どれほどの攻撃が降り注いでも。足場が悪くても。まどかが灰狼の行く道を心配することはなかった。
 ──だってお前は、僕の使い魔だもの。
「お前がいたから、僕がいる。そして僕がいたから、お前がいるんだ」
 その絆は、富のパールにも大蛇にも引き裂けない。確かな信頼を駆けた獣の背へ預けて、まどかは鮮やかに笑って満る月の光を送る。お前なら僕に最高の働きを見せてくれるはずだと、お前ならそれが出来るはずだと、思いを力に変えて。
「応えは行動で、示して見せて」
 眼前に迫る真珠弾さえ噛み砕いた獣の咆哮が、砂漠に響き渡る。

成功 🔵​🔵​🔴​

スピレイル・ナトゥア
【獣人同盟】で参加します

なんて強力なユーベルコードの数々……!
いったい、どう対抗すれば……お姉様、なにか良い案はありませんか!
なるほど
エレメンタルファンタジアの自然の力で地形をさらに書き換えるのですね
私は普段はエレメンタルファンタジアを使えませんが、お姉様と力を同調させることで使用可能になるのです!
さあ、私たち姉妹の絆が織りなす奇跡を見せてあげましょう!
パールさんほどの強者を相手にどこまで効果があるかはわかりませんが、猛吹雪を起こしてパールさんが作った砂漠をなるべく雪原にします
ついでに、暑い地域に生息してそうなコブラさんが凍死でもしてくれると助かるのですが……

「私が望むのは、あなたの死です!」


エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
妹のスピレイルさん(f06014)と連携します。


チーム【獣人同盟】で参加するのじゃ。

これは…世界の改変かの?
個の力でこれだけの範囲を書き換えるとは本当に大したものじゃな、わしの力では太刀打ちできないじゃろう。
じゃが、こちらは一人ではないぞ?
スピレイル!合わせい!
【精霊の唄】を【歌い】、【隠蔽】の【吹雪】で砂漠を雪で閉ざすのじゃ!
砂漠も真珠も人形もすべて覆いつくしてくれようぞ。

二人の【精霊の唄】で『パール・ザ・ナイル』に対抗しつつ、【目立たない】ように吹雪に紛れた【巨狼マニトゥ】を嗾けて『宝石人形』を狼の牙で切り裂いてくれるわ。



 瞬く間に目の前に現れた広大な砂漠が、富のパールの力だとすればなんて強力な力だろう。こうして実際に相対して分かることは、まるで幼い子供のように微笑むそのあどけなさとは相反した強大な力だ。
「これは......世界の改変かの?」
 先程まで立っていたのは、確かに洞窟だったはずだ。これが同じ迷宮なのかと周囲を見渡したエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は、個の力でこれだけの範囲を書き換えるとは大したものだと、感心するように富のパールを一瞥する。
 俯瞰して見れば迷宮内という限りのある範囲であっても、周囲一帯を改変する程の力を有しているのならば、自分ひとりの力では太刀打ちできない。力の差が少なからずあることを冷静に断じたエウトティアは、けれど、慌てる様子もなく隣立ったスピレイル・ナトゥア(蒼色の螺旋の巫女姫・f06014)と巨狼マニトゥを横目に笑った。
「じゃが、こちらは一人ではないぞ?」
 どうしたものかと考えあぐねたスピレイルの肩を叩いて、エウトティアは大きく息を吸い込む。
「スピレイル! 合わせい!」
 ひとりでダメでも、ふたりであれば。
 視線を交した姉妹は心も交したようにどちらともなく頷いて──、

「精霊よ! 幻想のおもむくままに歌え!」
 その唇が紡いだのは、精霊の唄だ。
 危険を察知した富のパールが遮るように真珠弾を放っても、音の速さには届かない。折り重なるようなふたりの声が砂漠に響いて、砂漠も真珠も人形も、自分たちさえ隠すほどの吹雪で砂漠を閉ざして、エウトティアとスピレイルは視界に烟る銀世界に紛れていく。
 それは自然と精霊の力、そしてスピレイルがエウトティアと力を同調させることで可能とした絆の力と言ってもいいだろう。
 けれど。姉妹の絆が織り成す奇跡は、強すぎる同調は制御が難しいものだ。過ぎたる力が体に与える不可も大きく、スピレイルは身も軋むような痛みに顔を歪める。
「──ッ、」
 それでも、スピレイルは紡ぐ唄を止めようとはしなかった。
 もう少し、あと少しと唄い続けた祈りを聞くように、身を凍らせる吹雪をものともせず、その視界の悪さに紛れて富のパールの背後を取った巨狼マニトゥがそして鋭い牙を剥いたなら──、
「私が望むのは、あなたの死です......ッ!」
 たとえこの身が果てようと決して敵におもねることなどしないと、強い意志を秘した精霊の眼に応えるように。マニトゥの牙は富のパールの肩を鋭く貫いて、真白い吹雪の中に砕けた星の欠片は煌めくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミラリア・レリクストゥラ
建物が…!?

【WIZ】

…これは…あの方が、中からやったという事でしょうか?
それに、あの蛇…懐いているようですし、厄介かも…っ!?

砂は目に悪いので、あまり…浴び、たくは…?
さ、砂漠!?え、幻とかでは…ないですね、反響してませんし…
あっ沈む!【宝石の体】なので沈んじゃいます!?どどどどうしどうしどうすれば!!

…いえ落ち着きましょう。どんな時でも唄えばなんとかなります…
そうです、【過去は過去たる地へ沈む】で砂を土にして足場を出しましょう!
皆さんの援護にも出せれば戦いやすくなる筈!

あっ…でも、砂漠の砂は死骸等の有機物も多量に含むでしょうし、そこまで上手くいくでしょうか…


ユェン・ウェイ
フロアボスの出現、だね
戦場が砂漠になったのは驚きだけどやるべき事は変わらない
ボクが望むのは学園の平和に君の討伐、だよ
……ごめんね

コブラには噛みつかれた時点で負けだね
だから絶対に噛みつかれないように縦横無尽に飛び回ろう
なるべく相手の側面や後方に位置を取るように意識もしつつ
UCや【ダッシュ・ジャンプ・スライディング】で次々に移動していくね
足元が砂だから、地上よりも空中戦に持ち込む方がいいかもしれない

隙を見て攻撃する事も忘れないよ
相手に接敵した時はできるだけ積極的に槍で【串刺し】にしたり【なぎ払い】をしていこう
でも最優先は命を守ること
下手な深追いはせずに、着実に避けて着実に当てていこうか



「フロアボス出現、だね」
 瞬く間に広大な砂漠へと変貌を遂げた戦場に目を瞑るも、しかしやるべきことは変わらないと気を取り直したユェン・ウェイ(M.Y.W・f00349)は硬骨にも竜騎士の槍を構えて富のパールを見る。
 蜷局を巻くようにしてパールに寄り添う大蛇の全長は2mをゆうに越すほどで、その大きさも間違いなく脅威ではあったものの、ユェンが勘が懸念を訴えたのは何より大蛇の俊敏さだった。砂に足を取られてしまえば踏ん張りも効かないことを思えば、戦場の形状からして猟兵側に分がないと言える。
 そして何よりその足元の悪さに動揺したのはミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)だった。
「どどどどうしどうしどうすれば!! しっ沈んじゃいます......!?」
 宝石の体は重く、ともすればずむずむと際限なく沈んでいくのだから慌ててしまうのも仕方ない。この砂漠は幻ではないのだと、実感となって襲いかかる現実に慌てたミラリアへユェンは激励を飛ばす。
「落ち着いて、最優先は命を守ることだよ」
「はいっ! ......どんなときでも唄えばなんとかなります、なるはずです!」
 沈む体に慌てず、深呼吸をひとつ。そしてその勢いのままに、ミラリアは先の戦いとはまた異なる曲調の唄を紡ぐ。ゆるやかに、のびやかに。過去は過去たる地へ沈む、あの日の幻を思い描くように。
 その唄による変化は、すぐに現れはじめた。ミラリアやユェンの立つ場所を中心として砂が固まりはじめたのだ。すべての砂を土塊とするには既に砂漠は広大すぎるようだったけれど、僅かな範囲であっても戦いの場を整えられたことは大きいだろう。
 大地が変化したことで警戒態勢に入った大蛇に、ユェンはすぐさま駆け出して上空へと跳び上がる。
「──可愛い子。あなたはわたしに、何を求めるのかしら?」
「ボクが望むのは学園の平和に君の討伐、だよ!」
 大蛇の牙は鋭く、そして致死性の毒を持つことが分かっている。ならば絶対に噛みつかれるわけにはいかないと、大蛇の注意を引き付けながらも縦横無尽に空を駆けたユェンは迫り来る牙を槍で薙ぎ払って、その場から飛び退く。
 それは下手に深追いするのは得策ではないとして、着実に避けて着実に当てていくことを考えるが故の動きだ。
「あなたも、わたしの死を望むの?」
 月のような黄金の瞳を瞬かせたパールの横で、激昴するように大蛇の動きが加速していく。
 どうやら、猟兵に望まれた死は本人であるパールよりも大蛇の逆鱗であるようだ。より加速した俊敏さの中に生まれる隙は極僅かなもので、これでは体力を消耗するばかりだとユェンが眉を顰めた──そのとき、ミラリアの紡ぐ唄が途切れる。
「ッいまです、ユェンさん!」
 唄が大地を土塊に変化させるのであれば、つまり唄が途切れれば土塊は元の状態に戻れるということ。そしてそれは、ミラリアが意識的に解除することが出来るということだ。
 唄が途切れた瞬間、大蛇の足元の土塊が砂原に戻ったことで体勢が大きく崩れていく。傾いていく巨体に生まれたその隙を、ユェンが逃すはずもない。
「......ごめんね、」
 振り下ろされた竜騎士の槍が、宙を滑空する重力を伴って威力を増して、大蛇の身を貫く。そうして危うげなく空中戦を制したユェンは、ミラリアの元まで降りて再び体勢を整えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
求めるもの…自由に伝えていいのなら
貴方ともお友達になりたいんだけどね

だけど残るわけにもいかないから
せめて悔いの無い戦いを

★Venti Alaに風魔法を宿し
翼と合わせた【空中浮遊、空中戦】で一定の距離を取り
動きに注意し【見切り】ながら
腕>足の優先順位で氷の【高速詠唱、属性攻撃】による凍結狙い

真珠弾は初めから全て避け切れるとは考えてない
距離を取る事でかわす猶予は作れても…それだけ
だから【激痛耐性+オーラ防御】で身を護り
★杖をバトンのように回す事で少しでも弾きながら【指定UC】
加速しながらランダムに飛び回り翻弄
一瞬でも隙を見せたらその瞬間に【全力魔法】で氷柱を作り出し
逃げ場すら与えない【範囲攻撃】



 もし、求めるものを自由に伝えていいのなら。
 もし、望むものを自由に言えたなら。
「貴方ともお友達になりたいんだけどね」
 けれど、ここに残るわけにもいかないから。きっとそれは過ぎた願いなのだろうと、巻き上がる砂に琥珀色の髪をなびかせて、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は小さく苦笑を浮かべる。
「......それがあなたが望みなの?」
「うん、そうなれたらいいなって。だけど、それはできないから......せめて、悔いのない戦いをしよう」
 望むという口で、望まぬと言う。せめてもと求めるのは、全力を課した戦いだと言う。その願いを聞き届けては不思議そうに首を傾げた富のパールに、緩く微笑みを向けた澪は、叶わない望みを断ち切るように目伏せて──次の瞬間には『Venti Ala』に風を纏わせて、大空へと舞い上がる。
 風の魔力によって翼が生えた靴は、澪にとってよく履き慣れたものだ。自身の立派な翼と合わせれば空中をより自由に駆け巡ることができるようになり、澪は太陽の輝きをその身に受けながらいくつもの氷柱を生み出していく。
「──あなたが望むのなら、わたしは与えましょう」
 その意図を組むこともなく、その意味を解することもなく。友達という存在さえ知らぬまま、ただ言われるがままに富のパールもまた、褐色の手のひらを澪へと向ける。
 どうあれ、戦うことを望むのならそれに応えようと。そうして間もなく放たれたのは、両の手にも余るほどの真珠弾だった。まるで弾幕を張るような勢いで飛び出していく多くの弾は隙間も少なく、すべてを避けきることはむずかしいだろう。けれど、それでいいのだ。
「全部避けようなんて、はじめから考えてないからね......っと!」
 腕を狙って放たれた氷塊がパールの片腕を凍りつかせているうちに、少しでも高く距離を取るように澪は上昇していく。真珠弾を交わすための猶予は作れても僅かなものだという判断が功を奏したのか、あらかじめ張り巡らせていたオーラによる防御壁が真珠弾を退け、取り零したものも痛みを覚悟しておけば多少は耐えられた。
 凍結した腕に真珠弾による弾幕が僅かに途切れたとき、清浄な輝きを放つバトンにもよく似た杖を回しながら、覚悟を決めたように固唾を呑む。そして。
「はっ、恥ずかしいから一瞬で終わらせるよ…...!」
 くるりくるりと踊るように、空に花開いたのは豪華絢爛なドレスだ。瞬く間にドレスを身に纏った澪は、舞い散る花びらに囲まれながら大きな氷柱を作り出していく。
 太陽を遮るほどの氷柱が大地に冷たい影を落としたとき、もはやそこに逃げ場はなかった。
「──逃がさないッ!」
 そうして。
 パールの行く手を遮るように鋭い氷柱は墜ちて、その身を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ディフ・クライン
友のヒャーリス(f12117)と

人形の墓場
かと思えば、砂漠
目まぐるしいね

UCを使用し、森の主たる巨大なヘラジカを呼ぼう

ヒャーリスが蛇を止めてくれている間に
オレはムースと共に攻撃を
はじめまして、富のパール。オレは君に何も求めないよ
オレは君を何も知らないから
逆に君は何を求めるんだい?

ヒャーリスの負荷も気になる
早めにケリをつけたいところだ
ムースの風纏う角で真珠弾を防ぎ、蹄で駆けて
砂漠から蛇ごとパールを弾き出すことを試みてみよう
難しかったとしても、ダメージを与えられるのならばいい

…ヒャーリス、後で手当てするからね
無理はせずに
信頼している、振り向きはしない
けれど、彼女への攻撃はこの身を賭しても通さないよ


ヒャーリス・ノイベルト
ディフさん(f05200)と

人形の墓場…砂漠…
なんと言い表せばいいのでしょう
この気持ちは
咎人殺しとして初めて殺めた相手の墓を作ろうとして怒られて
野ざらしにするしかなかったあの時のような

UCの木蓮と菫でパールと蛇を狙う
パールに効かずともせめて蛇だけでも止められれば…
代償は流血
その血を拷問具に吸わせ使用

いくら私の血が流れようとも
この戦闘が終わるまでは倒れません

物を隠す要領で花弁で厚めの壁を作り
ディフさんと自身を護る
壁で真珠弾の勢いを削ぎ
出来る限り武器で球を弾丸を撃ち落とす

百合の花弁はディフさんの回復優先

こうして共に戦ってくれる人が
共に過ごしてくれる人がいることが奇跡
なので貴女に望むことはありません



 その身は人形なれば、例え貫かれようと砕かれようと流れる血もなければ痛みもない。貫かれた片腕を不思議そうに見下ろした富のパールに寄り添うように、大蛇は鋭く猟兵を威嚇していた。そこには確かに、パールを守るという意思があるように見えた。
 その様を見つめながら、広がり続ける砂漠のなかでヒャーリス・ノイベルト(囚われの月花・f12117)は僅かに眉を顰める。
「なんと言い表せばいいのでしょう、この気持ちは」
 人形の墓場。輝きを忘れた星の眠る場所は、砂漠と姿を変えて。
 胸元に手を当てて、ヒャーリスは目の前の光景ににいつかの景色を振り返る。それは確か、咎人殺しとして初めて殺めた相手の墓を作ろうとして怒られて、野ざらしにするしかなかったあの時のような。
 言いようのない気持ちに胸を押えたヒャーリスの隣で、ディフ・クライン(灰色の雪・f05200)もまた静かな面持ちで周囲を見渡していた。目まぐるしく様変わりした戦場に洞窟だった跡は見る影もなく、砂を巻き上げた風にディフはそっと目を伏せる。
「森の主よ。──君の力を、貸して」
 先の戦いのこともあり、ヒャーリスを思えば長期戦は得策とはいえない。そしてこの砂漠が敵の領内であるなら、その中で渡り合うためにも新たな力がいる。そんな懸念を踏まえたうえで、ディフが喚び出したものこそ死せる深き森の主と呼ばれた巨大なヘラジカだった。そうして。
「はじめまして、富のパール。オレは君に何も求めないよ」
 望みを問うた声には、頭を振って返す。
 知らない存在に託す願いなどは持っておらず、そこに望むものもないのだ。
「逆に、君は何を求めるんだい?」
「──その答えが、あなたの求めるもの?」
 あどけなさの残る笑みを深めたパールが、ディフの深い青色を見る。
 言葉遊びのように問い返したパールに、どうやら時間の無駄のようだと肩を竦めてみせたディフは、そしてすぐさまムースと共に砂漠を駆け出した。どこか楽しげな様子のパールとは裏腹に、大蛇が鋭い眼差しを向けたことに気付いたからだ。
 もちろん、その確かな敵意に気付いて動き出したのはディフだけではない。
 ディフが駆け出すのと同じくして、ヒャーリスもまた繚乱の花園を展開していく。巻き上がる砂さえ覆うように花開いたのは、木蓮と菫の花びらだ。宝石人形であるパールには効かない可能性も考えども、それならせめて大蛇だけでも止められるように、砂原を駆けるディフとムースの背中を押すように花びらは舞い上がる。
「大丈夫、私は倒れません......ッ」
 その美しい花びらの代償は、流す血で払うものだ。拷問具に吸わせた赤色が広がれば広がるほど、鋭い痛みも増すばかり。
 けれど、いくら自分の血が流れようとこの戦闘が終わるまでは倒れまいという強い意志が、そして強かな矜持がその身体を支えていたから。ヒャーリスは自分の足でしっかりと立ち、物を隠す要領で花弁を操っることで厚めの壁を作り出して、ディフと自身の身を真珠弾から遠ざける。

「少し、急ごうか......!」
 その花が手厚くディフを守れば守るほど、ヒャーリスの負荷も見て取れた。やはり、現状を思えば早めにケリをつけなければならないだろう。速度を上げたディフはムースを駆ると、風を纏う角でその弾道を切り裂いては襲いかかる真珠弾を防ぎ、力強い蹄で砂漠から蛇ごとパールを追い出さんと猛攻を仕掛けていく。
 けれど。
 真珠弾を防げば防ぐほどに、砂漠は拡がっていく。パールの猛攻もまた留まることを知らない。そして、放たれる真珠弾の威力もまた回を増す毎に強まっていくことに気付いたディフは顔を歪めると──薫る百合の花びらを信じて、あえて退けるのではなく受け止めるがままに、真珠弾がその身を貫こうと止まらずパールの眼前へと迫る。
「ッディフさん!!」
 戦い終わったら、ふたりで手当をしよう。誰に言うでもなく、ディフは心の中で呟く。大丈夫だと言ってみせたヒャーリスを信頼しているからこそ、ディフは振り向かなければ止まることもしなかった。
 そして。目まぐるしい勢いで迫ったディフとムースからパールを守らんと動いた大蛇を、ヒャーリスの放つ木蓮と菫の花びらが搦め取ってその動きを鈍らせたとき。高らかな嘶きが砂漠へ響き渡り、力強い蹄は大蛇の牙をへし折るのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リヴェンティア・モーヴェマーレ
引き続きリタさん(f22166)と一緒に行動デス
アドリブOK

お綺麗な方です
でも…倒さなければ帰れませんし
何より他の方に迷惑を掛けるような事になるのは阻止しませんとネ

リタさんが誘導してくれている敵を捕らえるように
砂漠という地形を利用してUCで蟻地獄を作成します
リタさんは飛行されてるので巻き込むことはなさそうでス
(念のためリタさんの状態はしっかり見ておき、巻き込まないように注意デス)

リタさン!こちらです!
リタさんがわかりやすいように手を振って誘導
最初から出しているとばれやすいと思うので
蟻地獄を出すのは直前ぎりぎりを狙いたい気持ち

私もドール…同じ立場ではありますが…
求めるものは貴女と違う気がしマス…


リタ・キャバリエーレ
モーヴェマーレさん(f00299)と引き続き共闘させてもらうわ

飛行も交え相手を撹乱しつつ、巨大化させた武器でぶん殴って怪力でふき飛ばすなど、敵を用意したアリジゴクへ誘導を試みるわ
相手の足元の砂漠で強化されるならそれごと壊すのもありかしら

そうね、何を望むか……とりあえず、大人しく帰ってもらいたいわね!
オーラ防御も使い致命傷は避けつつ
味方を攻撃しそうになれば武器を花びらに変えるなどして攻撃にならないように対策させてもらうわ

たしかに寂しいはあるかもしれない
けれどそれを埋める温もりをくれるのは貴女じゃないわ

視野を広く持つよう意識
何かあれば声掛けなど連携を意識していくつもり



 綺麗だと、素直にそう思った。
 大地を思わせる肌も、黒曜の艶やかな髪も、月のような黄金の瞳も。
 けれど、どんなに綺麗でも倒さなければならない敵なのだと自分を奮い立たせて、リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)は両手を強く握り締める。
「何より、他の方に迷惑を掛けるような事になるのは阻止しませんとネ!」
「ええ、そうね。何を望むか……とりあえず、大人しく帰ってもらいたいわ!」
 富のパールが災魔である以上、還るべき場所はこの迷宮ではなく骸の海ただひとつだ。顔を見合わせたリヴェンティアとリタはそして、二手に別れて敵を撹乱するべく動きはじめる。
 リタが飛び出したのは、自身の持つ翼を最大限に活用できる上空だ。砂漠の下からぼこぼこと音を立てて増えはじめた屑石で作られた人形を見下ろしたリタは、これではパールに攻撃が届かないと判断するが否や、めいっぱいに巨大化させたハンマーを手に持ち前の怪力で人形たちをひとりふたりと絶え間なく吹き飛ばしていく。
 一見して力任せに見えるその所業の、考えあってのことだ。何処かへ誘導するように吹き飛ばしては、リタは人形たちを追い詰めていく。
 本来であれば、例え上空といえども人形が持つ反射性によって上手く動くことは出来なかっただろう。任意で反射する先を操作できる人形たちの器用さも、等しく厄介な能力だと言っていい。けれど。
「リタさン! こちらです!」
 そう、リタと共に戦っているリヴェンティアもまた、撹乱するように上空を駆け回ったリタの傍らで砂嵐を起こすことで敵の視界から逃れて、その間にも蟻地獄を展開していたのだ。砂漠という地形だからこそ活かせるものもあるのだと、蟻地獄を完成させたリヴェンティアが上空のリタへと大きく手を振ったなら──あとはきっと、追い込み漁のようなものである。
「行くわよーっ!」
 最後のひと押しと、人形を吹き飛ばして。現れた蟻地獄によって、屑石から作られた人形たちは見る見るうちに再び暗い大地の下へと消えていく。
 そうして開けた視界の向こう側にパールを見据えたリタは、持ち慣れたハンマーを向けて力強く言葉を紡ぐ。
「たしかに寂しいはあるかもしれない。けれどそれを埋める温もりをくれるのは貴女じゃないわ」
「そうデスよ! 私もドール、同じ立場ではありマスが......求めるものは貴女と違う気がしマス......!」
 パールを守る屑石の人形は、もはや砂漠の下に崩れ去った。残るのはパールと、彼女の傍らに寄り添うよう大蛇のみだ。
 ここからがもうひと頑張りだと頷きあい、そうしてふたりは再び駆け出していく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

斬崎・霞架
【泡沫】

強くならなければ。もっと強くならなければ。
…この程度の敵くらい、1人で圧倒する程でなければ…!

最初からUCを発動。
命を削ろうが関係ない。
痛みも、毒も関係ない。
そんなものでは止まらない。止まる訳にはいかない…!
(攻撃を受けても各種耐性で耐え、捨て身とも思える攻撃を繰り返す)

援護も、守りも必要ない。
1人でやれる。
独りでもやれるッ
誰の助けも必要ないッ!
それだけの強さが僕にはあるんだッ!
僕は何も間違っていないんだッ!
でなければ、強くなければッ…



……他に、僕には“価値”がないじゃないかッ…!
(失っている記憶の断片。思いだし切れないそれにより、半ば暴走。自分が倒れるまで無謀な行動を続ける)


マリアドール・シュシュ
【泡沫】
アドリブ◎

マリアが望むのは…
ただ…霞架と前のように、笑い合いたいのよ

霞架の暴走に聲届かず
UC使用で祈りの詩(こえ)を謳うも届かず
連携も崩れ
心身共に傷付く彼を見てられず
この儘では敗北が見え

何故一人で抱え込むの
何故自分の力を、強さをもっと信じてあげられないの

後ろから霞架を追い前へ回り込み霞架の頬を叩き抱擁
耳飾りが落下
怪我覚悟

霞架はわかってないわ!
あなたの価値を決めるのはマリアよ!
強さだけがあなたの価値?そんな拙い物差しで測らないで
我が身を省みない行動が本当の強さと言える?

今のあなたは
脆い
退いて頂戴

声無き悲鳴すら掴めない

マヒ攻撃で霞架を地に縛る
敵の攻撃はオーラ防御で跳ね返す
敵へ曲奏でて攻撃



 熱砂の巻き上がる砂漠にて、その轟雷は絶えず鳴り響いていた。
 雨も降らない大地では照りつける太陽が燦々と輝いており、それが自然発生によるものではないということはすぐに分かる。
「霞架......ッ!」
 砂原を這う大蛇に迫り、荒れ狂う赤雷と踊る影がひとつ。
 全身を突き刺すような痛みも、滲むような毒も関係ないとばかりに何度も、何度も雷鳴が轟くのをマリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)は呆然と見つめていた。
「──あなたは、何を望むの?」
「マリアが望むのは......、」
 ただ、前のように笑い合いたかった。それだけなのに。
 それだけなのに、どうしてこの声は届かないのか。
 必死に紡ぐ祈りの詩が、斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)を癒そうと音を奏でても、暴れ狂う雷鳴に阻まれては意味を成さない。
 ──そして、その間にも。
 髪を振り乱し、流れる血さえ厭わずに霞架は赤雷と共に砂漠を駆けていた。
 普段であれば、およそ2mをゆうに越すほどの大蛇と戦うという状況を冷静に俯瞰し、死角を狙うことや隙を作ることを考える余裕もあっただろう。けれど。いまの霞架には、そんな余裕は少しもない。
「強くならなければ。もっと強くならなければ......ッ!」
 ごう、と音を立てて呪われた武具から溢れる雷は、まるで命を燃やしたようにどこまでも赤く染まっていく。その視界さえ赤く染めてしまうような命の色に、限りがあると分かっていても霞架には最早止まることなど考えられなかった。
 この程度の敵くらい、ひとりで圧倒するほどでなければ。
 援護も、守りも必要ない。誰の助けも必要ない。
 ──独りでも、やれるはずだと。
「それだけの強さが僕にはあるんだッ! 僕は、何も間違っていないッ!」
 赤雷が再び、砂漠に響き渡る。
 大蛇の牙を避けるどころか、肉を切らせて骨を断つと言わんばかりに大蛇の眼前へと迫った霞架は、そうして一撃を食らわすと同じくして、ぐらりと傾く視界に漸くと気付く。毒の耐性をもってしても、致死性を孕むほどの猛毒すべてを御することはできなかったのだ。それでも。
「......他に、僕には.......価値がないじゃないかッ......!」
 この心臓が動いているのなら、まだ戦えると。
 力を振り絞り体勢を整えようとした霞架に──ふと、暖かな温もりが触れた。

 抱きしめる腕の温もりに次いで、ぱしりと乾いた音が砂漠に響く。
 花を連ねた耳飾りがきらりと光って、砂原に落ちるの呆然と霞架は見ていた。
「霞架はわかってないわ! あなたの価値を決めるのはマリアよ!」
 差し迫る大蛇をオーラで編み上げた防御壁で弾き飛ばして、マリアドールは今にも泣きそうな表情を浮かべながらも、しっかりと目を合わせるように霞架の金の瞳を見下ろしている。そこの浮かぶのは怒りか、悲しみか。
 けれど。どれほど潤んだ瞳が揺れようと、マリアドールが涙を零すことはなかった。
「今のあなたは脆い」
 強さだけが霞架の価値だと言うなら、それを否定しよう。
 そんな拙い物差しで測ったところで、そんなものは強さとは言えないとマリアドールは知っていた。
 少なくとも。
 我が身を省みない行動が本当の強さだなんて、言わせない。
「──退いて頂戴」
 抱き留めていた腕はもう既に解かれているのに。不思議と、霞架はその場から動くことができなかった。毒に侵された体を酷使した反動というのもあったのだろう。けれど、それ以上に。自分に背を向けた彼女の、艶やかな銀の髪が靡いたその光景から目を離せない。
 そうして、自分を庇うようにマリアドールが曲を奏でて敵へと立ち向かっていく背中を最後に、体力の限界を超えた霞架は眠るようにその場に崩れ落ちるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アルバ・アルフライラ
貴様に望む事は何もない
…が、強いて挙げるとするならば
――疾く、眠れる星の一つと成るが良い

魔方陣より召喚するは【女王の臣僕】たる蝶の群れ
常に人形の動きを注視
攻撃動作を取る瞬間を、第六感で感じ取ったならば
氷の壁を生成、盾として真珠の弾丸を遣り過す
この魔術にて人形の立つ場所を凍らせてしまえば
彼奴の強化を幾分か削ぐ事も出来るやも知れぬ
その足まで凍らせ、足止め出来れば文句ないが贅沢は云わん
幾度世界を書き換えられようとも
何度だって、私は抗ってみせようぞ

一度失われた煌きはもう二度と戻りはしない
戻るとするなれば、それは未来を喰らう禍つ星に他ならぬ
――ならば如何に美しかろうと
墜とさねばなるまいよ

さあ、決別の時だ



「貴様に望む事は何もない」
 巻き上がる熱砂に踊り、頬にかかった陽に透く黎明を思わせる髪を払い除けて、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は吐き捨てる。
 それでも、強いて挙げるとするならば。
「──疾く、眠れる星の一つと成るが良い」
 星追いの杖が、尾を引く流星が五徳軌跡を描く。現れた幾何学模様が眩い色を帯びれば、瞬く間にアルバの周りには青き蝶の群れが集まり始めていた。女王の臣僕と呼ばれた蝶たちが風に揺れれば、分かたれるようにその数は増えていく。
 そうして、気付いたときには。数えきれないほどの無数の蝶が、宙を泳いでいた。風に揺らめくその様はひどく幻想的に見えるかもしれない。しかし、その喋は美しいだけのそれではなかった。
「控えよ、女王の御前であるぞ」
 危険を察知したのだろうパールが放つ真珠弾もまた、とてつもない量と威力を伴うまでに砂漠は拡がっている。空気さえ削り取るような激しい弾幕を氷の壁を生成することで一旦をやり過ごしたアルバは、壁に走る亀裂に長くは持たないことを察して静かに眉を顰めた。
 一策を講じる必要があると考えたのは、その切り替えの速さあってこそのものだろう。長い戦闘を経て拡がり続けた砂漠を止めることはむずかしい、けれど。立場によってその恩恵を得ていると言うならば、足元を崩してしまえば──あるいは、と。
 例え、僅かでもいい。数を減らしていく蝶たちの中でも、一匹でもその足元へ辿り着いたなら。
 そうして思いを風に乗せて、真珠弾による壁のような猛攻を越えて。やがてきらきらと輝く鱗粉が富のパールへと届いたなら──、
「幾度世界を書き換えられようとも......何度だって、私は抗ってみせようぞ」
 冱てる鱗粉を足掛かりに、見る見るうちに熱砂をもってしても溶けない氷がパールの足元を覆っていく。アルバに意識を向けていたパールが足元の異変に気付いたときには、既に遅かった。凍り付いた足では、砂漠から分かたれたその身では──恩恵を受けることはおろか、大蛇に騎乗することもできない。
 そして。
 星を秘した瞳でまっすぐとパールを見据えたアルバが、その星追いの杖を向けたなら。
「一度失われた煌きはもう二度と戻りはしない。戻るとするなれば、それは未来を喰らう禍つ星に他ならぬ」
 ──ならば如何に美しかろうと、墜とさねばなるまいよ。
 その声に応えるように、神鳴りの音は響いていた。秘めたる星を呆然と見上げたパールの身体を、決別を知らせる天より穿たれた雷が貫いたのはそれからすぐのことだ。
 やがて役目を果たした蝶が消えていくのと同じくして、アルバは弾けては消えていく星のように、パールの胸元に煌めいていた真珠に亀裂が走る乾いた音を聞いた気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クーナ・セラフィン
何を求めるか、か。
正直な所何もないね。
栄枯盛衰、形あるものは何れ消えてしまう。
…特に過分な富なんかは奪い合い。明日の着替えと日々の糧以上を求め過ぎたら血みどろだ。
強いて言うなら、そんな風にキミが何人惑わしてきたのかの答えかな?
あとは君が壊れてくれる事くらいだ(槍構え)

蛇の奇襲に気をつけつつ基本遠距離から攻撃。
周囲に身を隠せる大きさの瓦礫あるならそれ盾にしつつ瓦礫の山を走り真珠を回避。
真珠の弾丸は避けても厄介、ならUCの惑わしの花弁と吹雪で位置を誤認させてやろう。
外した攻撃で塗り替えられた領域もそこに来られなければ恩恵ないし。
逆に問おう、キミ自身の求めることはなんなんだい?

※アドリブ絡み等お任せ


ルネ・プロスト
君の昔語りでも、と言おうと思ったけど
どうやらそれは無理みたいだね
同じ人形として興味があったのだけど
なら、ルネはルネの成すべきことを成すだけだよ

人形達は死霊憑依&自律行動

敵の攻撃はUCで未来を観測して回避
無理そうなのはルークの盾受け

クイーンの魔法による爆炎の投射を軸に攻撃
ポーン8体は援護射撃で味方の行動支援
ポーンの銃剣は道化師団の武器改造で事前に炎の魔弾が撃てるよう改造
いつもなら冷気で大蛇の行動鈍化狙うけど
砂漠化しっ放しの可能性あるなら熱でバテさせる方が良さげかな
敵が隙見せたらクイーンの全力魔法でパール目掛けて着弾時に炸裂する魔法弾を放つ

ルネが君達に真に望むはただ1つ
どうか、永く安らかなる眠りを



 何を求めるかと、そう問われたとき。
 正直なところ、その心に浮かぶものはひとつもなかった。
 栄枯盛衰とでも言うべきか。形あるものは何れ消えてしまうと、クーナ・セラフィン(雪華の騎士猫・f10280)は知っていた。
「......特に、過分な富なんかは奪い合い。明日の着替えと日々の糧以上を求め過ぎたら血みどろだ」
「あなたも、富などいらないというの?」
 静かに頭を振ったクーナを、富のパールは不思議そうに見つめる。
 どうして、誰も求めないのか。どうして、何も望まないのか。
 富がなければ──しあわせにも、なれないのに?
 幼い子供のようなあどけなさの残る眼差しには、そんな疑問さえ見えた気がした。
「そうだね。強いて求めるとすれば、そんな風にキミが何人惑わしてきたのかの答えかな?」
 ──あとは、君が壊れてくれる事くらいだ。
 思い出せない誰かの代わりにと、与えることばかりに固執した彼女にはきっと分からないだろう。与えられた富が必ずしも幸せを呼ぶとは限らない。
 それでも、彼女にとっては富こそが幸せの象徴であり、しあわせにしたいと思う誰かがいたのかもしれないと。朧気な記憶を繋ぎ止めるように、ひたすらに与えようと動いた宝石人形を前にルネ・プロスト(人形王国・f21741)は小さく溜め息を吐いた。
「君の昔語りでも、と言おうと思ったけど......どうやらそれは無理みたいだね」
 同じ人形として、彼女には興味があった。けれど、その興味を満たすためのものは既に彼女からは欠落してしまっているらしい。それが分かった以上、ルネがするべきことはただひとつだ。
「──なら、ルネはルネの成すべきことを成すだけだよ」
 指先が十の糸を操り、死霊を憑依させた鉄の人形たちが重たげな音を立てて動きはじめたなら。隣立ったクーナもまた、藍色の猫目を細めて『ヴァン・フルール』を静かに構える。
 白雪と白百合の銀槍が太陽の光を受けて鈍く輝けば、それが戦闘を開始する合図となった。

 一面の砂漠には、視界を遮るような瓦礫は既になかった。
 けれど、遮蔽物となるものはある。ルネが味方を支援するために展開させた8体のポーンたちだ。炎の魔弾が打てるように改造を加えられたポーンたちの銃剣が、パールから放たれる真珠弾を相殺していく間をすり抜けるようにして、クーナは身軽な体躯を駆使して砂原を駈けていく。
「......当たるも良し、防がれるも良しってことか」
 戦況を冷静に俯瞰したクーナが、ぽつりと呟く。
 まるで弾幕のような勢いで放たれる真珠弾というのは中々どうして厄介なもので、例え当たらずとも砂漠を拡大して自身を強化するような仕組みをしているらしい。戦況が進めば進むほど自分たちが不利になっていくことを察したクーナは、銃撃戦を掻い潜ったその場で槍を振るうと、雪混じりの花吹雪を放つ。
 その惑わしの花びらと吹雪の力は、相手に位置を誤認させるには丁度いい目隠しとなるだろう。真白に烟る視界の中で、クーナはパールへ問い掛けた。
「逆に問おう、キミ自身の求めることはなんなんだい?」
「......わたしは、富のパール。あなたが望むなら、わたしは与えましょう」
 花びらと吹雪に惑い、一時的に動きを止めたパールではあったが──しかし、その間にも大蛇は砂漠を這い回っている。吹雪く景色の中で声を聞くように、クーナへ向けられた大蛇の鋭い牙を防いだのはルネの操るクイーンが放った爆炎の投射だった。
 花びらごと覆うような炎が砂を舐めて広がっていくその向こう側で、ルネは大蛇に守られるように立つパールを見つめる。
「君は──誰かに、望まれたかったんだね」
 けれど、それはきっとルネたちにじゃない。
 誰かに与えようとするのは、誰かに望まれたい、求められたいという気持ちの裏返しだ。
 どれだけ与えたところで、過去に戻れない以上その手には何も残らないとしても、それでもこの洞窟で待ち続けたのは──星に、焦がれ続けたのは。いつかの輝き、温もりだけが忘れられず望みを断ち切れない彼女自身の、願いに他ならない。
 昔語りは出来なくとも、僅かでもパールの心の裡に触れたルネは──はっとしたように動きを止めたパールに、大蛇の意識が逸れたその隙を逃さなかった。
「ルネが君達に真に望むはただ1つ。──どうか、永く安らかなる眠りを」
 もしかすれば、パールがしあわせにしたかった誰かを待ち続けたように、大蛇もまた彼女のしあわせを願っていたのではないかと。
 クーナが放つ惑わしの花吹雪に乗せて、クイーンの全力を課した魔法弾が轟音を立てて砂漠を呑み込む様を見届けて、ルネは静かに目を伏せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

都槻・綾
f01982/咲さん

まろい真珠の耀きは
砂の国を照らす月影みたいに柔らか

然れど
優美な微笑みにも、胸に抱く石にも
あたたかな命は燈らぬまま

――…此処は骸の海では無いのに
まるで終焉の地のようですね

涯ての海を越えて現し世に還った筈が
斯うしてまだ死を想わせる砂の海に君臨する姿は
どこか憐れも感じて

咲さんの問いへゆるり首を傾ぎ、淡く笑む
冷たい砂の王国に佇む孤独の女王へは
いらえの代わりに問い返し

――あなた御自身は、何を求めますか?

現を生きるひとびとの
命のあたたかさを差し出すこと出来ないけれど
優しい雪のひかりが
真珠の君のこころにあたたかく燈りますように
そして
澪を迷わずに辿って行けますよう
鳥葬を供につけて送り帰そう


雨糸・咲
綾さん/f01786

美しい声と優しげな言葉は
彼女の胸に柔く輝く真珠の印象に似て

求めるものを問われれば首を振り

私の欲しいものは、誰にももらえないものですから
…綾さんは何か?

好奇心を覗かせ青磁色の瞳に問いかける
彼が口にしたのは、自分も同じく気になったこと

でも、そうですね
今は――

パールの動きから真珠弾の軌道を予測し見切り
全部躱せるかは賭けだけれど…

こんな砂の海は、あなたには相応しくないのでは?

月の雫、人魚の涙と称えられ
災いを遠ざけると言われるその珠は
本当は海に帰りたがっているのではと思えて

今は、深い青の底へ
穏やかな水の世界へあなたを還したい

深海にも雪が降るというから
淡く輝く光の雪を標の灯に代えて



 まろい真珠の耀きは、砂の国を照らす月影のように柔らかなもので。
 美しい声と優しげな言葉も、その胸元に飾られた真珠の印象によく似ていた。
 然れど。どれほど優美な微笑みにも、胸に抱く石にさえ。あたたかな命は終ぞ、燈らないまま。
「......此処は骸の海では無いのに、まるで終焉の地のようですね」
 どこまでも続くような砂漠に、都槻・綾(夜宵の森・f01786)は終わりを見たような気がした。涯ての海を越えて現し世に還った筈が、斯うしてまだ死を想わせる砂の海に君臨する姿はどこか憐れにも思えば、因果を感じるようで。
「──あなたはわたしに、何を求めるのかしら?」
 けれど、富のパールにとってはこの砂の海が、その心を休める場所であったのだろうというのも、分からないではない。
 どれだけ傷付いたとして変わらない彼女はまるで幼い子供のようで、そこには尚も敵意は見えない。ただ、求めらるものを与えんがために問いかける彼女に──それでも、雨糸・咲(希旻・f01982)はそっと頭を振る。
「......私の欲しいものは、誰にももらえないものですから」
 きっと、富のパールであっても。
 それは、隣にいる綾も同じなのだろう。見上げた瞳を見返してゆるりと首を傾ぎ、淡く笑んだ綾はパールの問い掛けへ応えの代わりに問いを返す。
「あなた御自身は、何を求めますか?」
「みんな、その答えを望むのね」
 同じように淡く微笑んだパールが、その身がぼろぼろになっても守ろうと寄り添う大蛇の剥げた鱗に触れて、月のような黄金の瞳を静かに伏せる。
 富を前にして、目を眩むこともなく。心を奪われることもなく。
 皆一様にして、問いを返してくる。──あなたの、求めているものは?
「わたしは......ただ、しあわせにしたかったのよ」
 望みを問うのは、誰か望まれたかったから。誰か求められたかったから。
 けれどそれは、所詮は現在を生きるものたちに過去の面影を求める飯事のようなものだ。
 もういない誰かを、いまはもう思い出せない誰かを。かつてしあわせにしたかった、しあわせにできなかったが故の後悔をなぞる旅路に、はじめから辿り着ける場所などなかったのだと。
 ほんとうは、もう分かっているのだけれど。

「──ごめんなさい、此処を失うわけにはいかないの」
 ここは、星の眠る場所。
 輝きを忘れた星の墓場は、同時に行き場のない人形たち揺籠でもあった。
 此処を失くしては思い出せない誰かを待つことさえ、できなくなってしまう。
 そうして小さな謝罪と共に緩やかに、けれど確かに動き出したパールの片腕が真珠弾を放つのを、その動きを見切るように注視した咲は砂原を蹴って体勢を低ませる。
 そのすべてを躱すことは、弾幕のような真珠弾の連撃を目の前にしてとても難しいことだ。だからせめてもと、オーラを編み上げて防御することで致命傷を防いだ咲は、留まることなく放たれる真珠弾の向こう側を見る。
「こんな砂の海は、あなたには相応しくないのでは?」
 太陽の照りつける砂漠に佇む彼女には、どうしても違和感があった。
 例えば月の雫、または人魚の涙とも称えられ、災いを遠ざけるものとしてひとびとの愛されてきたその珠に、砂漠が似合うとは思えなかったのだ。
 ほんとうに、この砂漠が眠りに誘う揺籠といえるのだろうかと、本当は海に帰りたがっているのではないかとさえ思えて、咲は小さく息を吸い込む。
「今は、深い青の底へ。穏やかな水の世界へあなたを還したい」
 深い海の底では雪が降るというから。あなたが寂しくないように、淡く輝く光の雪を標の灯に変えて。
 熱砂の巻き上がる砂漠に優しく吹き込んだやわらかな光に合わせて、星のように白く瞬いた鳥たちもまた真珠弾ごとパールを包み込み、光に溶けていく。
「.......嗚呼、」
 そんな彼女に、最期まで寄り添う影があった。
 ずっとパールを守ろうとその身を課してきた大蛇だ。這う這うの体で蜷局を巻いた大蛇が、鱗も剥がれ落ちたぼろぼろの体を気のすることなくパールを覆っていく。ただただ、すべてのものから守るように。
 その傷付いた牙の、滴る血に触れたとき。
 ようやくあなたに気付けたと、パールは微笑んだ。
「──澪を迷わずに辿って行けますように」
 寄り添うように折り重なる影を見守って、綾も密やかに言葉を紡ぐ。
 現を生きるひとびとの命のあたたかさを差し出すことは、出来ないけれど。
 優しい雪のひかりが、真珠の君のこころにあたたかく燈りますようにと、やがて鎖される砂原からそんな小さな願いを込めて。
 ふたりの旅路を見送ろうと、月が昇り星が瞬きはじめた夜空の下で、綾と咲はいつまでも見守っていた。

●星は巡る
 きらきらと、星が瞬いている。
 ゆらゆらと揺蕩う夜空を、鳥たちが飛んでいく。
 深い眠りに誘うように、穏やかな水底へ葬るように。
 きっといつか、また目覚めてしまう時は来るだろうけれど。
 それでも、もう寂しくはなかった。なぜなら、あなたはずっと初めから傍にいてくれたのだから。
 太陽が繰り返し昇るように、何度だって──星もまた、巡るのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年11月12日


挿絵イラスト