雲の帳を振り払い、永き時に終幕を
●主の居ない城と騎士
古びた巨城、最奥の広間の石床に右腕に握った槍を突き立て、瞼を閉じる。
どれほどの間、こうして時を過ごしたか。どれほどの朝と夜を、あの天窓から仰いだか。
ひび割れた玉座は寂しげに埃を積もらせ、騎士たる自身が仕える王もここにはいない。
外に蔓延るのは、同胞の姿形を成しているだけの紫毒の手先。内に蔓延するのは、槍が、剣が、心身すら錆びつきそうな無為な時間。
ゆっくりと瞼を開いて見据えた先にあるのは、外へと続く道が一つだけの代わり映えのしない光景のみ。
しかし理由も分からぬままに湧き上がる敵愾心と、それ以上に自身の戦士の勘が齎す闘争心が何か変化の予兆のようなものをを確かに訴えかけてきていた。
今すぐにでも駆け出したい程の焦燥にも似た感情を抑え込み……今は待とう。どんな形であれ、この永く退屈な時に終止符が打たれるならばこの場所がいい。
何度かも分からぬままに見上げた空は、憎らしいほどに蒼かった。
●グリモアベース
今日も様々な風景を映すグリモアベースに、予知の報せを聞いた猟兵達が集う。
十人十色の様子で続報を待つ彼らを、小柄な人形の少女、アリス・レヴェリーが出迎えた。
「みんな、まずは集まってくれてありがとう! 今回皆に集まって貰った理由はね……」
楽しげな声色を隠さず弾むように周囲に語りかけるアリスの様子からは緊急事態特有の焦燥は感じられず、むしろわくわくしているように見える。
彼女はそのままがさがさと大きな紙を取り出すと、猟兵達に見えるように大きく広げていく。
そこには浮遊する島に聳え立つ巨大な城の絵。彼女はその絵を何故か得意げな顔で何度かぺしぺしと叩くと、意気揚々と口を開いた。
「天空城……そう!空に浮かぶお城よ!絵本や物語とかで、一度は聞いたことがある人はいるかもしれないわね。それが、アックス&ウィザーズの世界のあちこちに幾つも現れたの!」
絵に描かれた、天空城とその城を中心として囲むように浮遊する巨岩群。
ある日を境にアックス&ウィザーズ各地で発見されるようになったこれらは、今も世界各地に伝わる「かつて戦乱に明け暮れていた古代帝国が、魔力の暴走により天空に放逐された」というおとぎ話を裏付けるようなものらしい。
そして今の今まで発見されることのなかったこれらが突如現れたのは偶然ではなく、しっかりとした理由があるようだとアリスは語る。
「んーっと、覚えているかしら。以前、皆が世界各地で発見された『クラウドオベリスク』を破壊してくれたでしょう? どうもあれが沢山破壊された事で、帝竜……『ヴァルギリオス』が世界に掛けていた幻術『クラウドヴェール』が弱まって、今回天空城が姿を現したようなの。これらもまた『クラウドヴェール』を維持している一因みたいで、群龍大陸の場所はまだ掴めていないようだけどね」
そこで、とアリスが先程広げた天空城の絵を再び指差し、ようやく今回の本題に入った。
「皆には、今回発見された天空城の一つに乗り込んで、その最奥に主として居座っているオブリビオンをやっつけてほしいの! そうすればもっと幻術を壊すことができるし……ついでに天空城に遺された宝物なんかも見つけられるかもしれないわ!」
そこまで話したところでアリスは一度沈黙し、先程より幾分か真面目な表情で周囲を見回してから再び口を開いた。
「……でも、問題は最奥で待つオブリビオンだけじゃないみたいなの」
どうやら今回の標的であるオブリビオンは最奥にて動かないようだが、まずそこまで辿り着くまでに幾つか乗り越えなければいけない障害があるらしい。
「まず天空城に辿り着く前に立ち塞がるのは周囲を漂う巨岩群。そこには魔法の気流が渦巻いていて、例え空を飛んでも厄介な場所みたい」
もちろん岩を飛び移って行くよりは安全だろうが、不意に気流に呑まれないとも限らない。そしてなにより、
「……その巨岩群に纏わりつく紫色の毒々しい蔦の持ち主達。正確な姿までは確認できなかったけれど、まるで竜みたいな影も見えたわ。単純な植物だと思うと危ないかも」
それらを乗り越えてようやく城に辿り着けば、遂に天空城の主との決戦となる。
「城の内部に突入してしまえば、恐らくもう主のいる場所まで妨害はないみたいよ。お城の状態もいいみたいだし、勝った後は何か宝物がないか探すのも面白いかもしれないわね!」
そこまで話したところで一息つき、アリスはそっと己のグリモアを出現させた。
真鍮色の輝きを放つそれは内部を不規則に漂っていた歯車を急速に噛み合わせると、数瞬の軋みの後に回転数を上げながら輝きを次第に強める。
「それじゃあ……天空城がある場所までまで送るわね。天空城の主はきっと強力なオブリビオンが待ち構えているでしょうけど、皆ならやっつけられるって信じてるわ!……あと、もし素敵な宝物を見つけたら、後でわたしにも教えてね! さぁ、いってらっしゃい!」
猟兵達を真鍮色の光が覆い尽くしていく。この光が晴れた時、猟兵達は天空に座す城をその目で捉えることだろう。
蒼い空に浮かぶ、大きく孤独な古びた城を。
真鍮時計
ごきげんよう、真鍮時計です!
今回の舞台はA&Wの天空城。空に浮かぶお城って素敵ですよね!
構成は冒険、集団戦、ボス戦のスタンダードな感じです。
まず一章はお城に突入……の前に、城の周りをふわふわ浮かぶ巨岩群を各々の手段で乗り越えていってもらうことになります。
飛べる人も飛べない人も……それぞれの手段で一気に踏破しちゃってください!
転移後の開始点は巨岩群に近い上空からでも、天空城を仰ぎ見ることができる地上からでも大丈夫です。
二章は城付近に近づいた猟兵達を追い払うために牙をむくオブリビオンとの集団戦。
三章は城の最奥で待ち構えるオブリビオンとの決戦です。彼にはなにやら強い拘りがあるとか……?
三章では戦闘後、望む場合は宝物を探すことも出来そうです。こんな古代の財宝を見つけたい!という方は、プレイングに含んでいただければもしかしたら見つかるかもしれません。
今回は天空城での戦いのため、周囲に巻き込んでしまう家屋や一般人はいません、思いっきり戦っちゃってください!
それでは、皆様のプレイング、お待ちしています!
●断章について
シナリオ公開後、各章公開後には断章が挟まる予定ですので、プレイングの送信はそれ以降にお願いできますと幸いです。
第1章 冒険
『天空城をめざして』
|
POW : 気合や体力で気流に耐え、巨岩を足場に進む
SPD : 素早く気流を切り抜け、巨岩を足場に進む
WIZ : 気流を見極め、回避したり利用したりしながら巨岩を足場に進む
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達を包んだ転移の光が晴れる直前、世界を移動したことを示すように彼らを魔力を含んだ風が撫ぜながら吹き抜ける。
数瞬後、光が収まったそこには空を狭めるような巨岩の群れが視界に広がっていた。
先程の風の比ではない程の魔力に満ちた気流により辺りを漂うその巨岩達の狭間からは、遠く豆粒のような大きさながらも猟兵達が目指すべき城の姿が窺える。
猟兵達は各々準備を整えると、その力を、技術を、叡智を以て立ち塞がる障害を踏破するため最初の一歩を踏み出した。
ヴィサラ・ヴァイン
んー、久しぶりの猟兵のお仕事だね
勘を取り戻すのにちょっと時間がかかるかな…?
リム(f08099)に少し待ってもらって、【冥王への嘆願】を使って空駆ける天馬…ペガサスを復活させるね
『時間』という代償を払えば払うほど、強力な仲間が手に入るはず…じっくり時間をかけて攻略させてもらうよ
ペガサスにリムと2人乗りして天空のお城を目指すよ…乗馬した事?
無いけど[第六感]で何とかなるなる
[動物と話す]事でペガサスとしっかり意思疎通しながら進むよ
…それにしても空飛ぶお城ってファンタジーだよね
魔女とゴルゴン(あとペガサス)の組み合わせが何言ってるんだって話だけど、こんな壮大な景色を見るとちょっとワクワクするよね
リミティア・スカイクラッド
なかなか幻想的な光景ですね
行きましょうか、ヴィサラ(f00702)
城までの移動手段はヴィサラに相乗りさせてもらって、リムは気流に対処しましょう
浮いている巨岩をUCで宝石の塊に変えて、操作可能にします
気流の変化を「情報収集」して、流れの強いところに宝石を風除けとして移動させれば、少しは飛びやすくなるでしょう
道中は長そうですし、戦いも待っています
疲れたら宝石の塊を足場にして休憩を入れましょう
せっかくの良い景色ですし、「料理」してきたサンドイッチでも食べながら
もちろんヴィサラの分もありますよ
この美しい空の頂に、オブリビオンが潜んでいるというのなら……
リムは誇りにかけてそれを討ち果たしましょう
天空城を取り巻く巨岩群。それらの様子を窺える小高い丘に、二人の少女が佇んでいた。
髪の一部である生きた蛇と共に空を見上げる少女、ヴィサラ・ヴァイン(魔女噛みのゴルゴン・f00702)とその身に宿した魔力を活性化させながら天空城の方角を真っ直ぐに見つめる少女、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)
彼女たちはどちらからともなく視線を交わすと一つ頷き、天空城を目指すべく行動を始める。
まずヴィサラはリミティアに見守られながら一息間を置くと意を決し、自身の力を以てしてその身体と精神を冥府へと沈めた。
それは彼女のユーベルコードである【冥王への嘆願】。死者を一時喚び戻し彼らの助力を得るこの力は、とても繊細なバランスの下に成り立っている。
臆せば冥府に触れられず、恐れを忘れれば沈みきってしまう。それでいて短時間では上澄みしか掬い取れず、大きな助力は期待できない。
故に彼女はゆっくりと時間を費やすことでそれを代償とし……かつて冥府に沈んだモノへとついに触れた。
「リム、おまたせ! さぁ、いこっか」
暫くして彼女が冥府から掴み取り連れ立って来たのは、翼を持ち、空を翔ける天馬。ペガサスとも呼ばれる彼に跨り舞い戻ったヴィサラは、そのままリミティアへと手を差し出す。
「はい。行きましょうか、ヴィサラ。気流はリムが対処しましょう」
リミティアもまた迷うことなくその手を取ると共に天馬に跨り、相乗りの姿勢をとる。
二人の少女を背に乗せた彼は丘の上の大地を駆けると、ヴィサラの合図とともに翼を広げて大空へと翔け出した。
天馬は二人の少女を背負っていることをまるで感じさせない速度で樹々の背丈を瞬く間に抜き去り、大地を置き去りにしていく。
天馬に指示を出すヴィサラに乗馬の経験は無かったが、落下せず、動きの妨げにならない身体運びをなんとなくでも感じ取る第六感と、天馬と言葉を交わし直接的に意思の疎通を行うことで彼女たちは安定した様子で巨岩群へと近づいていった。
しかし岩石群が目前という所まで来た時、不意に天馬の身体が嘶きとともに揺らぐ。魔力に満ち幾つもの大岩を浮遊させる気流、ついにその領域に突入したことでその流れが彼の翼を乱したのだ。
その様子に気が付いたリミティアはヴィサラの背面から少し身を乗り出し、気流を見据えながらその腕を伸ばす。
『この不滅の輝きに、願いを込めて。』
リミティアは小舟から腕を伸ばして水面を撫ぜるように、空を駆ける天馬の背中からふわりと指先を踊らせた。
すると周囲に漂う巨岩の一つが気流に乗っていたその動きを止め、一点から広がる波紋のように宝石に変じていく。
無骨な褐色の巨岩から、透き通った蒼の宝石塊へ。
空色よりも明るく深い蒼にその身を染めた大岩は、共に気流に乗り漂っていた大岩達に別れを告げるように一度軋むと、二人が騎乗する天馬に追従し始めた。
「こうすれば、少しは飛びやすくなるでしょう」
その言の通りに、時には強い気流をその巨大さを以て防ぎ、時には気流の薄い箇所を突破する為の天馬の足場となる宝石塊の存在により、彼女達は順調に岩石群地帯を攻略していく。
その最中、非常に気流の穏やかな地帯を見つけた彼女達は、そこで一度休息をとることにした。
距離で言えば丁度目的地までは半ばほど、そしてこれから戦闘が必要になる可能性。
それらを考慮した際、休める時に休んでおいた方が良いと考え、二人と一頭はここまで連れてきた宝石塊の上に降り立つと、各々休息をとり始めた。
天馬はその翼を労るように繕った後に身体を休め、彼女達は縁へと腰かけ景色を見やる。
「せっかくの良い景色です。ほら、ヴィサラの分もありますよ」
そう言ってリミティアはあらかじめ用意しておいた手製のサンドイッチをヴィサラにも手渡すと、自身もまた口に運ぶ。
ヴィサラは礼とともにそれを受け取ると、楽しげな表情でリミティアへと語りかけた。
「それにしても、空飛ぶお城ってファンタジーだよね。わたし達の組み合わせが何言ってるんだって話だけど……こんな壮大な景色を見るとちょっとワクワクするよね」
それを聞いたリミティアもまた一つ頷き、答えを返す。
「はい。だからこそ、この美しい空の頂に、オブリビオンが潜んでいるというのなら……」
リムの誇りにかけてそれを討ち果たしましょう。
その言葉と共に送られた視線の先には、先程までに乗り越えてきた巨岩群とは打って変わって紫色に侵された妖しい光景が広がっていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
龍牙崎・黒斗
【POWで判定】アドリブOK
転移したのは、巨岩群から少し離れた空中。ドラゴニアンの翼を広げ、周囲を警戒しながら制止する。
「ほぉ、コイツは中々に厄介そうだな」
遠く微かに見える目的の城と、そこまでの道中を実際に目にして思わずつぶやく。巨岩自体は大した障害ではない。が、事前情報にあった紫の蔦と不可思議な気流。これは≪覚悟≫して臨まねば、ならないと気を引き締める。
「とりあえず、巨岩群の外側から攻めてみるか……!」
なるべく危険を回避するために、岩が密集していない端の方から城を目指す。危機にすぐ対処できるよう両腕は自由に、戦いの経験で得た≪見切り≫の技も応用し、気流や敵を警戒しつつ空の道を飛んで行く。
巨岩に取り巻かれた天空城。その外周部から更に少し離れた空が一瞬輝き、紅髪の青年が落下していく。
その青年、龍牙崎・黒斗(紅きドラゴニアンの剣豪・f17935)が身に纏うのは黒染めの和装と腰に佩いた刃のみ。
このままでは為す術もなく大地に衝突してしまうと思われたが、少々落下した所で彼が大きく広げた竜の翼によりその身体は空中で静止した。
この世界とは異なる竜、ドラゴニアンである彼は空中で周囲を警戒しながら天空城とその近域を観察すると一つ呟く。
「ほぉ、コイツは中々に厄介そうだな」
天空城自体は現在の位置からは遠く微かにしか見えないが、まず周囲の巨岩群に幾つかの問題があった。
まずこれらは天空城を中心に円状ではなく球状に広がっており、例え飛行したとしても中心までの大幅なショートカットは困難なこと。
次に密度。基本的には外周から中心にかけて徐々に密度が濃くなっているのだが、同じ最外周部でも気流により岩石の数に幾分か違いがあること。
そしてなによりその不可思議な気流と、中心に見える紫の蔦の全貌を進んでみなければ把握できないこと。
それらを踏まえ暫く天空城の周囲を旋回するように飛行していた黒斗だったが、ついに覚悟を決めると翼を畳んで急降下していく。
「とりあえず、巨岩群の外側から攻めてみるか……!」
黒斗はそのまま外周部の中でも特に岩石の密度が薄い箇所に身を滑り込ませた。
勢いを殺さず進んでみると、今は数が少ないというのもあるが漂う岩石達の動きは予想通り速くない。
ならば警戒するべきなのは不可視の気流と隠れ潜む敵。そう考えた彼は武器を持たず両手を空け、不測の事態への対処を優先していた。
時に岩と岩の狭間をくぐり抜け、時に気流を逆手に取り翼を用いず岩石を駆け上がり、時に警戒はしながらも強引に突破する。
暫く岩石群を掻い潜り、丁度中程まで進んだ頃。それまでのように一つの岩石を避けた瞬間に自身の経験に基づいた勘が警鐘を鳴らした。
その正体は先程の岩石による死角に巧妙に隠れていた、岩石同士を繋ぐ毒々しい蔦。
彼は咄嗟に翼を畳むと身を捩り、眼前の岩石を蹴り飛ばす。そしてその反動で下方を漂っていた岩石に着地すると、目を凝らして天空城までの道を見つめる。
「……さぁて、問題はこっからだな」
迫る岩石に対処していた先程までは目視できなかったが、一度距離をとってみると所々紫色の蔦が岩石同士を繋いでいるのが窺える。
目的地への接近を身を持って感じながら、黒斗は再び気を引き締めた。
成功
🔵🔵🔴
アレックス・エイト
天空の城。よもやこのような物が隠されていようとは
…と、驚いてばかりではいけませんね
人々の安寧のために邪を討つのが騎士の役目
かの群龍大陸、ひいては帝竜への手掛かりになるのであれば協力は惜しみません
さて、まずは城への侵入ですが…なるほど、こうも気流が渦巻いていては渡るのも一苦労ですね
少しだけ、慎重に行きましょうか
まずは一番距離が近い巨岩の位置を確認
自分の位置から巨岩までの間の空間にサンダーストームを放つ事で、一時的に気流を乱し無風の状態を作り出します
すぐに気流が戻ってくるでしょうから、その前に魔導スラスターで飛び巨岩の上へ
これを繰り返し城へと近づいていきましょう
本来あるはずのない物が陽を遮り影を落とす大地、そこに青く鋭い輝きを放つ瞳を一点に向ける黒き魔道士が居た。
彼はアレックス・エイト(Geisterritter・f22485)。
異なる世界で生まれ、しかしこの世界で騎士となったアレックスは、人々の安寧のために空を見上げる。
「よもやこのような物が隠されていようとは」
その視線の先には、天空城とそれを取り巻く岩石群。
彼は群龍大陸を隠す一因でもあるこの天空城に侵入を試みるため、まずは状態を探ることにした。
岩石群の位置を確認し、気流の流れや含む魔力を計測していく。
暫しそうして観察した後、彼は少し悩ましい様子で声を発した。
「……なるほど、こうも気流が渦巻いていては渡るのも一苦労ですね」
少しだけ、慎重に。今回の行動の方針を定めた彼は、先程観察して確かめた球状に広がる岩石群の中から最も大地に近づく巨岩に目をつけると、行動を開始した。
自身と目標の巨岩との間に遮るものが無い位置まで移動すると、杖をかざして全身に魔力を巡らせる。
魔力に満ちた気流に阻まれるのならばどうしたらいいのか?それに対する彼の答えは至極簡潔だった。
『荒れ狂う光の奔流は神秘の傷痕を描く』
唱えた言葉と共に杖の先から放たれる風と雷の刃から成る暴力的な嵐。本来天から地へと落ちる物である雷がまるで叛逆するかのように、大地に立つアレックスの元から天へと昇っていく
……そう、吹き飛ばしてしまえば良いのだ。魔力と風を以て阻もうというのならばこちらもそれ以上の力をぶつければいい。
実際、彼のユーベルコードである【サンダーストーム】は彼の望みを十分に果たして気流を食い千切り、一時的に無風状態を作り出していく。
そして彼は全身に巡らせた魔力を一点、魔導スラスターへと集中させると弾かれるように空へと飛び出した。
一時的に退けられた気流が戻ってくるよりも疾く、目的の巨岩の上へ。そして到着すればまた新たな巨岩へ嵐を放ち飛び移っていく。
気流だけでなく、中心に進むにつれて群生している紫の蔦をも吹き散らし、アレックスは着実に天空城へと歩みを進めていった。
大成功
🔵🔵🔵
花開院・月下
うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
唸れぇえ!!私の筋肉ぅ!!忍べぇぇ私の気力ぅぅ!!!忍ぶなぁぁ!!!踏ん張れやぁぁぁ!!!!!
スクワッド・パレなんとかの突進で勢いを付けながらぁぁぁぁ!!!!岩にしがみつきぃぃぃぃ!!!!!!そのままジャンプしまぁぁぁぁぁす!!!!!!
努力!!根性!!!月下ちゃん!!!!全ての力を振り絞りぃぃぃぃぃ!!!!!!!大声でぇぇぇぇ!!!!!!!気合いを入れまァァァァす!!!!
忍者ですけどぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!大声だしまぁぁぁぁす!!!がんばりまぁぁぁぁぁす!!!!!!
気力でジャンプして登る事を試みます
アドリブ歓迎
「うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
空高くに在る天空城の更に上空。そこから尋常ではない声量の少女が落ちてくる。
これが街ならばそこに住まうすべての人々に声を届けられるのではないかとすら思える叫びと、常人ならば恐怖に臆するであろう高度でなお笑顔。
彼女、花開院・月下(致命的な弱点は忍べない事・f23321)はそのまま急速に落下してくると、一つの巨岩の前を通る瞬間、その巨岩を鷲掴みにした。
「唸れぇえ!!私の筋肉ぅ!!」
空から落下して来た勢いを岩石にしがみつくことで強引に殺してぶら下がると、巨岩の上に登るために足をかける。
「忍べぇぇ私の気力ぅぅ!!!忍ぶなぁぁ!!!踏ん張れやぁぁぁ!!!!!」
どちらなのか。いや、そもそも気力とは忍ぶものなのか。……不可思議ではあるが、十分すぎるほどに気合を感じる掛け声とともに彼女は巨岩を登り切ると今度は闘気を纏い、その上で助走をつけて再び跳ねた。
彼女が発動したユーベルコード、【スクワッド・パレヱド】。突進が命中した対象への後退を強いる猛烈な勢いを跳躍力に活用し、彼女は新たな巨岩へとしがみつく。
「努力!!」
そしてその姿勢のまま、また別の巨岩に足をつけると、
「根性!!」
ゆっくりと力を込めながら深く膝を曲げ、
「月下ちゃん!!!!」
気流に乗って漂う巨岩にしがみついたまま、凄まじい勢いで思い切り跳躍した。
その力により足場となった巨岩は逆方向に流れていき、彼女はしがみついた巨岩とともに天空城へと飛んでいく。
「忍者ですけどぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!大声だしまぁぁぁぁす!!!がんばりまぁぁぁぁぁす!!!!!!」
僅かな間に一連の激しい動作をしながらも一切衰えることを知らない彼女の声は、彼女が他の巨岩によって外部から姿を窺えなくなっても尚、暫くの間響いていた。
成功
🔵🔵🔴
フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎でーす。
好きな人は好きそうな場所ですね。…それにしても、あの岩達は何で浮かんでるんだろう。
不思議ですね。
まず【聞き耳、野生の勘】で周囲の気流の状態を【情報収集】。
猫の【視力】で遠くの様子を見て、ルートを決めてから移動を開始です。
指定UCを使用、飛行ステージに乗りつつ、出来る範囲で速度を抑えめにしながら飛びます。
スピーカーのボリュームを上げ、【楽器演奏、歌唱、パフォーマンス、鼓舞、範囲攻撃、援護射撃】を駆使して付近の人に飛行能力をくっつけます。
一応、落下事故防止ということで。
それにしてもうーん。こういうところの人は自給自足とかで生活しているんでしょうか…
風の吹き荒ぶ音と、時折岩石の擦れる音が響くのみのA&Wの空に、歌声が響き渡る。
その歌声の主は前頭部の角と背の翼、風に靡くしなやかな尻尾が特徴的な少年、フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)。
『ああ荒れ狂う西風に吹かれ 遠くへお前は羽ばたくよ ああそのまま振り向きもせずに 駆け出す背中を押す風 【Zephyr's Gale】』
フローライトのユーベルコードである歌声に呼応して周囲の空間が変質していく。 何もなかった筈の虚空が、確かな形へと。程なくして、彼の足元には飛行するステージが現れた。
彼の生み出したステージは小回りや汎用性は効かないものの、戦闘に耐えるほどの頑強さを持ち、最高速もかなりのものである。
しかし、全ての岩石を体当たりで蹴散らしていくわけにも行かず、極力速度を落としながら岩石群へと向かっていった。
次第に近づくそれらをステージから見下ろすと、彼はふと呟きを漏らす。
「好きな人は好きそうな場所ですね。…それにしても」
あの岩達は何で浮かんでるんだろう。という最もな疑問。あれ程の巨岩を気流が持ち上げ続け、漂わせている光景は不思議の一言に尽きる。
やはりあれらの中心に座す天空城に何か秘密があるのだろう。
彼は近づくにつれて大きくなる風の音をその耳で拾い上げて周囲の気流の状態を把握しながら、自身を構成する猫の視力を以て岩石群の動きを見極め始めた。
どこならば気流は穏やかか、どこならば岩石の通り道を避けられるか。
そうして暫し観察を続けてからフローライトは一つ頷いてスピーカーのボリュームを上げてから、思考に描いたルートをなぞるようにステージを動かし始めた。
岩石を乗せた気流に逆らい、ステージは進んでいく。振りまく音色は聞くものを楽しませるだけではなく、一時的に飛行能力を与えるというもの。
周囲の猟兵達が万が一落下した際の対策として歌い続けるフローライトはその最中、もう一つ疑問に思っていたことがふと脳裏に蘇る。
「うーん、こういうところの人は自給自足とかで生活しているんでしょうか…」
空の孤島と化した天空城。もしもかつて浮上したこの城で生きて暮らしていた者が居たならば……もしかしたら、その痕跡は残っているかも知れない。
成功
🔵🔵🔴
カマル・アザリー
わぁー、岩を跳んで進んでいくとかニンジャみたいですねぇ。私も跳んでみましょう!
私は空は飛べないので落ちないように気を付けつつ気流の流れを読みましょう。炎、煙、気流を目視出来る様にする要素は私には沢山ありますしね。
風の上流から下流に流れるように乗っていけばそうそう落ちることは無いと思いますけど!
万が一落ちた時はユーベルコードで対応しましょう。炎の手が風で流されなければ大丈夫です!……多分
「わぁー、岩を跳んで進んでいくとかニンジャみたいですねぇ」
猟兵達が各々の手段で岩石群を攻略していく中、その光景を最外周部を漂う巨岩の上から眺め明るい声を上げる少女が一人。
波打つ金糸のような髪を風に靡かせる彼女、カマル・アザリー(永遠の月・f16590)は暫くの間突入していく猟兵達の背中を興味深そうな眼差しで見送ると、遂に自身も歩みを進めるべく動き始めた。
まずはゆっくりと今自身が立つ巨岩の端へと移動し、次の巨岩までどう飛び移るかを彼女は考えていく。
彼女に空を飛行する力はなく、その力を持つ騎獣のあてもない。暫し考えた末に、彼女は一つ頷いた。
「私も跳んでみましょう!……っと、落ちないように気をつけないといけませんね」
飛ぶのではなく跳べばいい。そう結論づけたカマルは意気込みつつも警戒を忘れず、岩の端から手を伸ばす。
その手に感じるのは魔力に満ちた巡る風。周囲をかき乱す不可視の気流に対し、彼女はその指先に小さな炎を灯した。
赤々と燃える輝きは瞬く間に風に揉まれて姿を歪ませ、ふっと消えると煙の帯と化して巨岩群の奥へと気流に乗って去っていく。
「なるほど、こちらが下流ですか」
これでいい。先程の炎は気流に対抗するためのものではなく、その流れを可視化するためのもの。
煙が示した下流に位置する巨岩へ向けて、彼女は迷いなく跳び出した。風に煽られ大きくはためく衣と髪をそのままに目的の巨岩へと着地すると、すぐさま指先に再び炎を灯し、気流の流れを確かめてからまた跳んでいく。
そのまま暫く順調に進んでいき、幾分慣れた様子で新たな巨岩へ跳んだその直後。
不意に彼女の眼前で、煙が急激に落ちていった。
巨岩の死角、気流の変化。あと僅か届かぬ目的地に対し、落下を始めた彼女はその腕を伸ばす。
「――【黄蘗色の炎色反応】!」
咄嗟の声と共に、カマルの腕から黄蘗色の火の手が上がる。
それは巨大な手の形をとると、先程までの指先の炎との違いを主張するように気流を魔力ごと焼き散らし、巨岩を鷲掴みにした。
彼女はその姿勢のまま思い切り腕を引き、掴んだ巨岩の上空へと躍り出ると予定よりも少し先の巨岩へと着地する。
「ふぅ……うん!大丈夫です!……多分!」
腕に纏わりつく黄蘗色の炎を散らすと、少々不安な言葉とともに笑みを浮かべるカマル。
しかし実際に炎の手で気流に対抗できることが分かった以上、そうそう落ちることはないだろう。……多分!
成功
🔵🔵🔴
ミルク・ティー
あれが天空城……
まるで、昔に教えてもらった……あのお話、みたい
【選択UC】で現れたユニコに乗り天空城を目指す
ドラゴンランスのララは、ユニコの鞄の中に
気流ではぐれてしまうといけない、から
あまり悪条件下でユニコに乗ったことはないけど、気流を「見切り」「学習」する
……ユニコなら、きっとどんな場所にだっていける
だから、私も頑張る、ね
万が一、気流に呑まれて巨岩に接触しそうになったら【彼女は既にそこに居る】を使わざるを得ない、かも
呑まれるほどの気流の中で岩を砕いたら……厄介なことになりそうな気もするけど、背に腹は……
なるべく邪魔な岩は糸の「敵を盾にする」技術で岩同士をぶつけたり、「踏みつけ」たりして進もう
天空城を取り巻く巨岩群。
そこから少し離れた上空では翼を羽ばたかせ滞空する有翼のユニコーンと、その背に跨る人形の少女が天空城の方角を眺めていた。
「まるで、昔に教えてもらった……あのお話、みたい」
ぽつりと呟く少女、ミルク・ティー(ヒトガタ操るメイド人形・f00378)。
彼女が乗っている有翼のユニコーン、ユニコは彼女のユーベルコードにより召喚された者であり、あらゆる場所を駆けるという能力を備えている。
故にその翼で以て飛行するというより、虚空を踏み宙を歩くといった方が正確な様子で、彼女達は天空城の周囲を翔け回っていた。
暫く様子を窺い、いざ巨岩群へと突入を図ろうとした時、ミルクはあることに気付きユニコが身につけた鞄へと腕を伸ばす。
「……ララ。はぐれてしまうといけない、から」
そう語りかけると共に、鞄から身を乗り出していた小さな竜、ドラゴンランスのララの頭を指先で優しく突いて鞄の中へと押し戻す。
小さな竜が鞄の奥へと引っ込んだのを確認した彼女は気を取り直して準備を整え、ユニコへと合図を送った。
途端、ユニコは先程までの穏やかな歩行から打って変わって、巨岩群へと風のように駆けていく。
極力上の空間に空きを確保しながら、右へ左へ、時に回って、次第に密度が濃くなっていく巨岩達をすり抜けて瞬く間に進んでいく彼女達。
このままのペースならばそうかからずに天空城へとたどり着けるのではないか。
そう思えるほどに順調に進んでいた時、彼女達の意識の間を縫って気流の影響で加速した巨岩が襲いかかってきた。
今からでは回避は不可能。そう判断したミルクは咄嗟にユーベルコードを発動する。
瞬間、彼女達の周囲に不可視の魔法の糸が、まるで既にそこにあったかのように張り巡らせられ、視界を覆うような巨岩を何の抵抗も無いままに賽のようなブロック状に分解した。
当然、気流が健在な以上それらもまた襲いかかってくるのだが……
「……ユニコなら、きっとどんな場所にだっていける」
彼女は小さな呟きと共に身体を前に倒してユニコに重心を預けると、少しでも岩を逸らす為に先ほどとは違う実体を持った糸で対処を始める。
とはいえ如何せん数が数。全てを対処するのは困難なのだが……ユニコの方は速度を緩めようとはしない。
そのまま構わず進むユニコにブロック状の岩石がぶつかろうとした瞬間、まるで階段に足をかけるように彼は岩石を踏みつけると、跳ねるように高度を上げた。
その実、“あらゆる場所を駆ける”というのは何も空や海などに限った話ではない。
悪路、悪環境、危機的状況、それらにも対応できなくてどうするのだとでも言うように彼女達はむしろ速度を上げていった。
大成功
🔵🔵🔵
アルバ・アルフライラ
やれ、折角整えた髪もぼさぼさだ
魔力の風とは厄介この上ない物よな
一刻も早く、この忌々しい巨岩群を踏破するぞ
――貴様の出番ぞ、ジャバウォック
召喚した【夢より這い出し混沌】を駆り、上空へ
髪を弄ぶ風を肌で読み、極力気流の薄い場所から天空城を目指す
可能ならば巨岩群を壁にして風をやり過ごしつつ移動
その際、岩に纏わりつくという蔦に叩き落とされては敵わぬ
死角に注意しつつ、常に周囲へ警戒を怠らぬよう行動
眼前に巨石が迫ろうものならば
第六感や見切りを用いて回避に努める
城へ近付けば近付くほど敵の警戒は強い物となろう
他の猟兵が傍にいるならば支援を怠らず
互いに死角を補いつつ、危険が迫っているならば声掛けを
*敵以外には敬語
天空城とその周囲の巨岩が影を落とす大地。
そこに乱れた風に揺れる草原をかき分け歩きながら、蒼く美しい髪を靡かせる年若い青年が居た……正確に言うのならば容姿は、だが。
「やれ、折角整えた髪もぼさぼさですね」
彼、アルバ・アルフライラ(双星の魔術師・f00123)は自身の髪を好き放題に乱す風と、その源であろう天空城を忌々しげに見つめる。
その瞳には老練な光が宿っており、彼がその容姿から考えられる以上の時を生きてきたことを感じさせていた。
一刻も早く巨岩群を突破しなければ。言葉にせずともありありとその感情を表情として浮かべ、彼はある存在へと喚びかける。
「其は『災厄』――あなたの出番ですよ、ジャバウォック」
彼の声に呼応して姿を現したものを形容するのならば……まずは黒。次に翼竜だろうか。
それ以外に名状し難いジャバウォックと呼ばれた竜は、アルバを背に乗せると瞬く間に上空へと舞い上がっていく。
彼は高度を上げ続けるジャバウォックの背で魔力に満ちた風をその肌で受け、付近の最も気流が薄い場所を見つけ出すと、ジャバウォックに指示を出し岩石群へと突入した。
巨岩が疎らに散らばる外周部から、密に集まる中心部へと。
時に巨岩の狭間をくぐり抜け、時に気流に対する盾としてそれらを活用し、奥へ奥へと急速に進んでいく。
そしていよいよ巨岩の密度が濃くなってくると、強く感じるようになった今までと違う不穏な気配に対し、彼は速度を維持しながらも警戒を強めた。
その正体は毒々しい色をした蔦。
死角から襲い来る岩も脅威ではあるが、それらに纏わりつく蔦達もまた油断ならない。
アルバは、中心部に近づくにつれて繁茂している意思があるかのように蠢くそれらの動きを見切り、お互いが絡み合うように誘導しながら掻い潜っていく。
思惑通りに絡まった蔦が巨岩を巻き込み、身動きが取れなくなっているのを確認すると、これならば他の猟兵達に害を為すことは不可能だろうと彼は一つ頷き次第に狭まる空を翔けていった。
大成功
🔵🔵🔵
橘・尊
鬼灯原・孤檻と一緒(f18243)
天空城…小さっ
とりあえず目指せ、だな
魔力が孕む気流なら風の精霊の力を借り気流を読み、岩を足場にして天空城へ
巨岩群にいる危ない蔦は、孤檻の動きを邪魔しないように様子を伺いつつ
霊符で動きを止め、攻撃してくるようならソードで対応
孤檻が話してくれるこの世界の話しは俺が知らないモノばかりでとても楽しい
夢中になりすぎて少し体勢を崩してしまった
おっ、と話しに夢中になってた
気をつけないとな
無事天空城に着くまでは
気を抜かず頑張ろうな
鬼灯原・孤檻
橘・尊(f13751)と同行している。
空を見上げ、遥かな目的地にしばし呆ける。
「…これは、骨が折れそうだな。敵と戦う前に体力を消耗するのはいただけないし、確実にいこう」
巨岩群を跳躍しつつ、尊のサポートを受けながら蔦は刀で斬っていく。
気流が乱れるなら、刀を岩に打ち付けたり、天秤の神の御鎖を利用し持ちこたえる。
そういえば…クラウドヴェールや群龍大陸など、気になる話があったな。
この世界は大地だけでなく、空にも世界が続いているのだな。
とりとめのない話をしつつ、長い道のりの気を紛らわせつつ。
ふと岩々の間から見た景色に小さく息をのむ。
世界の広さが、胸の奥を震わせた。
天空城を取り巻く巨岩群を仰ぎ見るのに適した丘。
そこに、この世界とは異なる趣の衣服に身を包んだ二人の青年が佇んでいた。
「天空城…小さっ」
灰色の髪を風に揺らしながら声を上げた青年、橘・尊(浮雲・f13751)はその光景に笑みを浮かべ、漆黒の長髪を風に靡かせる青年、鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)は暫し呆けたようにその光景を仰ぎ見る。
「…これは、骨が折れそうだな。敵と戦う前に体力を消耗するのはいただけないし、確実にいこう」
遥か遠くの天空城へと送っていた意識を取り戻した孤檻は、隣に立つ尊へと声をかける。
それを受けた尊は暫く気流に意識を集中させると、孤檻に朗らかに笑いかけた。
「とりあえず目指せ、だな」
尊がそう言葉を発した直後、気流に満ちるものとはまた別の力……精霊の力に満ちた風が彼ら二人の身体を巨岩群まで押し上げる。
風の精霊の力により最端の巨岩にふわりと着地した二人は、精霊の力の恩恵で気流を読むことが出来る尊が先導する形で、巨岩を飛び移り進み始めた。
巨岩同士の間隔が疎らな序盤は勢いよく、気流の乱れや蔦が繁茂し始める中域に差し掛かる辺りは慎重に、ペースを崩さず彼らは飛び跳ねていく。
その道中において、道を示すのが尊の役割ならば、道を拓くのは孤檻の役割だった。
巨岩と巨岩のその狭間、跳んでみねば分からないような狡猾な変化をする気流に乗って急襲してくる岩を、孤檻は神たる彼の【権能・千刃顕現】によって生み出した超硬度の刀で打ち弾き、また彼の持つ罪の重さに比例し強度を増す拘束具、天秤の神の御鎖を利用することで道を作り出す。
暫くして、危なげなく巨岩群を進んでいる余裕からか孤檻がふと思い出した話を尊に向けた。
「そういえば、クラウドヴェールや群龍大陸など、気になる話があったな」
思い出したこと。それはとりとめはないが、興味が惹かれる世界の話。
初めて見るもの、自身の世界とも共通しているもの、知りもしなかったもの。
尊も馴染みのないこの世界の話を楽しんでいる様子で、半ば夢中で孤檻の話に耳を傾ける。
「この世界にはそんなものもあるのか……おっ、そっち止めるぜ」
「あぁ、助かる……この世界は大地だけでなく、空にも世界が続いているのだな」
紫毒の蔦が先行きを阻もうと現れても余裕は変わらず、尊が霊符で動きを止めて孤檻が微塵に切り飛ばしていく。
そのまま進んだ少し先に彼らは気流が穏やかな空白地帯を見つけ、一息つこうと立ち止まった時、
「おっ、と……話しに夢中になってた。気をつけないとな」
尊が不意に片足を滑らせかけ、咄嗟に小さく声を上げた。
その声に足を止めて振り向いた孤檻は、大事無いことをその目で確認すると再び前を向き……その途中である一点、巨岩同士の隙間で生じた天然の窓のような空間に視線を奪われる。
その瞳に映っていたのはあまりに広大なこの世界の景色。
孤檻は小さく息をのみ、立ち尽くしたまま世界を見渡す。
「よし、気を抜かず頑張ろうな」
「……あぁ、行こうか」
そうしていたのは何分か、何秒か……気を取り直した尊の声を受けた孤檻は幾度が瞬きをすると、目的地の方角に向き直った。
二人の眼前には、一転して邪悪な気配を醸し出す蔦が生い茂る道のりが広がっている。
それは来訪者を誘うように、それでいて拒むように絶えず蠢いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『シュヴァルト』
|
POW : プラント・イクリプス
肉体の一部もしくは全部を【植物】に変異させ、植物の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
SPD : ダルウィテッド・バース
自身の【切断されると増殖する体質】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
WIZ : フォール・リユニオン
【花】から【花粉】を放ち、【死者と再会する幻覚】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:水島
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達が続々と巨岩群を攻略していき、彼らがその中域へと足を踏み入れたその時、今まではその身を振り乱し絡みつくことで妨害を図ってきた蔦達が突如変容する。
ある蔦同士は絡み合い、ある蔦は果実が実るように各所が変質し、またある蔦は水を吸ったように膨張していく。
猟兵達が警戒しつつ様子を窺っていると、蔦達は多種多様な過程を経て、一様に同じ姿に収束していった。
その姿は竜。しかし理性の感じられない瞳に誇りは宿っておらず、身体の各所に根を張り咲いた毒花を揺らしながら、形相を狡猾に歪めている。
暫しの睨み合いの末、彼らは猟兵達が先に進むべく足を踏み出したのを皮切りに、悍ましい咆哮を上げると一斉に襲いかかってきた。
リミティア・スカイクラッド
植物が竜に変身するとは、興味深いですね
引き続きヴィサラ(f00702)のペガサスに相乗りして「空中戦」を挑みます
自分達の周りに魔力の障壁を張る「オーラ防御」で攻撃に備えましょう
気流の変化や敵の動きを「情報収集」してヴィサラにアドバイス
どうやらあの竜に斬撃は逆効果のようですね
宝石剣による白兵戦は避けて、リムはサポートに徹します
空中に【魔女の裏門】の魔法陣を設置
ヴィサラと一緒に瞬間移動で攻撃を回避したり、敵の死角に回り込んだり
敵の進路上に「高速詠唱」で魔法陣を出して、ヴィサラの召喚した蝗の群れの中に移動させたり
味方の支援と敵集団の撹乱に活用します
天空城まであと一息です
一気に突破しましょう、ヴィサラ
ヴィサラ・ヴァイン
リム(f08099)と一緒にこのまま順風満帆…とは行かないみたいだね
邪魔な蔦をどうにかしないと…植物への対策と言ったら、やっぱりあれだよね
「蝗害。…急にファンタジーから現実に戻された気もするけど、まあいいや」
引き続きペガサスに騎乗したまま【血生まれの群れ】を使用
[毒使い]で植物を枯らす毒と[毒耐性]を持たせた蝗の大群を創り出し、敵を襲わせてモグモグしてもらうよ
後は蝗たちが勝手に攻撃してくれるから私はペガサスの操縦に集中
[第六感]で敵の攻撃を感じ取り、リムの魔女の裏門を利用して回避するよ
アドリブ歓迎
外周域よりも巨岩の割合が増加し遥かに狭くなった深域の空。
その空を翔ける白き天馬を執拗な紫毒の竜が追尾する。
無数に広がり、一極に集中し、一つの生き物のように襲い来るそれらを天馬は巧みな機動で躱していた。
翔ける天馬の背には少女が二人。
周囲に魔力の障壁を展開しつつ、気流の流れを読むことで道を示すリミティア・スカイクラッドと、天馬と言葉を交わすことで進むべき道を伝えるヴィサラ・ヴァイン。
彼女達は巨岩を用いて紫竜との距離を離そうとするが如何せん数が多く、大きく距離を取ることが出来ずにいた。
そして暫くの攻防の後、巨岩の後ろから突如飛び出し喰らいつかんと顎を開いた紫竜の首を、防戦中に観察を続けた事で竜達の動きを理解したリミティアが、想定通りと言わんばかりに手にした赤い宝石の刀身を持つ剣『宝石剣エリクシル』を以て首を撫でるように斬り飛ばす。
力なく倒れた竜の体と、くるくると回転しながら落ちていく竜の頭をリミティアは油断なく見つめ、遂に確信を得た。
――増殖している。
倒れた体の首から先はみるみる内に再生して頭を取り戻し、落ちていく頭は種から出た芽が成長するように竜の姿になると、狡猾な形相を再び浮かべて天馬へ再び追い始める。
「……ヴィサラ。どうやらあの竜達に斬撃は逆効果のようです」
その一部始終を見ていた彼女は、自身の前方、天馬へと指示を出し続けるヴィサラへ助言を送りながら『宝石剣エリクシル』を仕舞い込んだ。
するとヴィサラは一つ頷き、周囲を見回す。
視界に映るのは巨岩に張り巡らせられた毒々しい蔦に、自分たちを常に付け狙う紫竜ばかり。
彼女はそれらに一つの共通点と打開策を見出した。
「植物……蔦も邪魔だし、植物への対策といったらやっぱりあれだよね」
彼女の言う『あれ』。
それは彼女が天馬に騎乗したまま力を込め、ユーベルコードを発動したことで程なくしてその姿を現す。
翔ける天馬から追う紫竜へ向けて放たれる蠢く黒い靄。
……否。それは靄ではなく、無数の生物の群れである。
時に黒い悪魔と呼ばれ、災害と忌み恐れられる『あれら』。それは、
「蝗害。…急にファンタジーから現実に戻された気もするけど、まあいいや」
そう、蝗である。
自己の理念か、気まぐれか、理不尽かつ暴虐に人々の営みを破壊する竜を幻想的な災害とするのならば、増えて溢れた無数の蝗達が只純粋に食欲のため、生きるために全てを食らいつくしていくそれはどこまでも現実的な災害。
ヴィサラのユーベルコード【血生まれの群れ】により生み出された彼らの姿は群生相。故にその身は黒く、空を大きな闇の塊のように蠢き侵食する。
ヴィサラによって生み出された際、植物に対する強い毒と、毒への耐性を持たされた彼らは紫毒の蔦を根本から喰らい、次々と千切り落とす……だけでは飽き足らず、千切れ落ちていく蔦を瞬く間に空中で喰らい尽くす。
紫竜達も応戦するものの、あまりにも多勢に無勢。彼らがブレスを吐ける『竜』であれば結果は違ったかも知れないが、潰すよりも群がられる方が早く、咄嗟に噛み潰せば毒が体に回る。
絶対の捕食者である筈の自身達が捕食されていく光景を見て。蝗の群れを振り切って天馬へと向かう知恵のある個体もいたが、突如眼前に現れた魔法陣により突如彼の見ていた景色は入れ替わった。
「『旧き神よ、古の妖精よ、盟約に従いて次元の扉を開け』……天空城まであと一息です。一気に突破しましょう、ヴィサラ」
リミティアの高速詠唱により空中に展開された幾つもの魔法陣、【魔女の裏門】。
触れた相手を瞬間移動させるゲートは彼女達の身体を安全圏へと運び、紫竜達の身体を蝗達の群れの中へと引き摺り込む。
彼女達のこの場においての目的は天空城への到達。故に彼女達は眼下で喰らい合う黒と紫の群れの情勢を確認するとゲートを辿り、天空城へと翔け抜けた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アレックス・エイト
あれは植物を司る竜…いや、それとも竜の姿を模す植物か…
いずれにしても、行く手を遮るのであれば切り抜けるのみ
ここで立ち止まるわけにはいきません
城の主との戦いも控えている以上、無用な消耗は避けるべきです
連携を取られて手こずる前に、こちらから連携を乱しましょう
バレットの【誘導弾】と直射弾を組み合わせた弾幕で竜達を牽制し、
各個撃破しやすいように隊列を分断させつつ、竜達の戦い方を観察
…ふむ、切断をするとそこから増殖するようですね
ならば増殖できぬよう焼き払うまで
牽制で生み出した隙にジャッジメントブレイズを連続(【2回攻撃】)で放ち、一気に畳みかけます
天空城の周囲を取り巻く巨岩群深域。雷を放つ暴力的な嵐とともに、黒い魔道士が飛翔する。
彼、アレックス・エイトは漂う巨岩の内の一つに着地すると、眼前に広がる光景に蒼く輝く視線を巡らせた。
その瞳に映るのは辺り一帯に点在する無数の紫。植物と竜の二つの要素を兼ね備える不可思議な存在達に向けて、アレックスは油断なく杖を構える。
「あれは植物を司る竜…いや、それとも竜の姿を模す植物か…」
彼は尾を蔦に変え、足に根を張り、じりじりと自身を狙う紫竜達を観察しながら方針を纏めていった。
まず、本命の存在。天空城本丸に突入を果たせば確実に待ち構えているであろう主との決戦を思えば、ここで無用な消耗をするわけには行かない。
しかし完全に無視をして強行突破するのも、万全な彼らに背面を晒すこととなり不安が残る。
出来ることなら群れが瓦解する程度には殲滅するのが好ましいが……正面から順当に当たったのでは群れとしての連携に思いもよらぬ手間をかけさせられる……可能性がある。
それならば、と行動を定めたアレックスは杖をくるりと回すと紫竜が存在する全方位へと魔力の弾丸を放射した。
『クイックスペル:バレット』。詠唱を必要とせず全方位に広がった直射弾は、紫竜を仕留めることは叶わずとも彼らの連携を掻き回す。
次いで、喧しく咆哮を上げながら不揃いなタイミングで飛び出した紫竜達を襲ったのは誘導弾として生み出されたバレット。
初動を潰された紫竜は鼻先で炸裂した魔力弾にもんどりを打って引き下がり、再びアレックスと睨み合う。
「…ふむ、切断をするとそこから増殖するようですね」
先程の一瞬の攻防においてアレックスが確認した事実。
そこでは魔力弾により砕けた巨岩の欠片、その中でも特別鋭利な物の下に自身から身を投げ出す紫竜の姿が散見されていた
切断面から瞬く間に成長、復元し元の姿を取り戻した彼らを見たアレックスは再び杖を構え、今度は飛び込んでくる紫竜を出来るだけ引き付けてから魔力弾を放つ。
再びの攻撃に足を止める者と、先程の事で学習したのか強引に駆け抜けてくる者。紫竜達の中でも反応が二つに分かれ、それにより隊列が乱れた結果彼らのグループは二つに分断された。
「『"罪人を清めし聖なる炎は抗う者に更なる苦難を与える"』……切断により増殖するならば、増殖できぬよう焼き払うまでです」
次の瞬間、アレックスは詠唱とともに先程までとは比べ物にならない輝きを湛えた杖を向け、無数の紫竜それぞれに向けて、無数の火球を放つ。
【ジャッジメントブレイズ】。アレックスは、逃げ抗うほどにその威力と精度を上げていく火球により気性荒く襲いかかってきた紫竜達を焼き尽くし、その光景に後方で足を止めた者達へ間髪入れずに再び火球を撃ち放った。
大地に影を落とす巨岩から、無数の灯が落ちていく。
植物の性質を持つ自身の身体が災いしたのか、力なく墜落していく紫竜達の多くは地上に辿り着く前に燃え尽きていった。
成功
🔵🔵🔴
鬼灯原・孤檻
橘・尊(f13751)と同行している。
尊を守ることを第一に動こう。
竜が攻撃してくるようなら、愛刀で応戦して目を引こう。
敵がわざと隙を見せるなら、こちらも斬ると見せかけ、敵の動きを封じよう。
このままただ斬るだけで終わるならよいのだが…植物ならば。
その植物が拡がる前に、尊の炎に燃やしてもらおう。
「―――尊、止めを!」
敵がしぶとく生き残るようなら、炎を刀身に借りて斬る。
天空の城と、毒花の竜。…なんだろう、不謹慎だが、少しワクワクするな。
橘・尊
鬼灯原・孤檻と(f18243)
【WIZ】
孤檻の戦いの邪魔にならないように彼の背後を守りつつ
サポートと攻撃を
【狐火】と霊符をいつでも放てるように
【花粉】が飛び散り影響を及ぼしそうなら風の精霊にお願いする
うわ、竜に変化した
孤檻が怪我しないように祈るばかりだ
強いのは知っているけど
やはり心配してしまう
「分かった!」
孤檻の合図とともに【狐火】を竜に放つ
それでも倒れないようなら孤檻の刃に焔を灯し、討ってもらおう
二人分の攻撃に耐えられるかな
蔦が竜とか本当に驚いたけど
どんな形であれ竜はやっぱり凄いな
天空城を取り巻く岩石群深域の一つの巨岩の上。そこでは二人の和装の青年が目まぐるしく戦闘を繰り広げていた。
刀を備えた青年、鬼灯原・孤檻と霊符を構える青年、橘・尊。
彼らは時に前衛と後衛に分かれ、時に背中を合わせ、周囲に満ちる紫竜達を仕留めていく。
しかし二人の戦いは危なげなかったが紫竜達を殲滅するには届かず、暫しの間防戦を余儀なくされていた。
その理由は前衛を担当する孤檻と紫竜達との相性、切断を得手とする彼にとっては片端から紫竜を切り裂く事など容易いが、それはむしろ相手を増殖させてしまう。
それ故彼ら二人は、有効な手段を保持している事を絶好の機までひた隠しにし、次第に密度を増す紫竜達の群れを切り裂くことなく押し留めていた。
「孤檻! 後ろから蔦が来てる……うわ、竜に変化した」
「あぁ、今だな……!『是より審理を執り行う。嘘偽りは無始暗界に至るものと知れ!』」
後ろから奇襲しようと蔦に変じて襲いかかってきた個体の、意図的に切らせようとするように無防備にさらされた首を孤檻は刀の峰で弾き逸し、【権能・強制告解】を発動する。
それにより第一に展開された結界が周囲を包み込み、次いで紫竜達を蝕む呪縛が抵抗力を奪い去り、最後に放たれる黒縄が彼らの動きを封じ込める。
彼らに切断以外の攻撃手段が無いと侮った紫竜達は瞬く間にその身を繋ぎ止められ、それを果たした孤檻は今がその時と尊へ合図を送った。
「―――尊、止めを!」
「分かった!」
好機。
周辺を囲む紫竜達がほぼ触れ合うほどに密集し、どの個体も動けない今、ここまで悟らせずに隠しておいた手段が強く輝く。
それは、尊が放つ三十を超える狐火。尊の意志に従って紫竜達を舐めるように広がっていく炎の舌は時にそれぞれ分かれ全体に広がり、時に炎を合わせ火力を増して焼き尽くす。
灼ける紫竜達は藻掻けど動けず、植物としての身体が災いして見る間に黒く変色していくが、彼らもまた必死、その身を灼かれ苦悶の咆哮を上げながらも未だ燃え尽きていない花々から不穏な花粉を放つ。
「おっと、頼むぜ!」
しかしそれも、尊が精霊の力を借りて放たれた風によって散らされた。
風によって掬われた花粉は、また風によって火勢の増した狐火に飲まれて燃えていく。
暫く周囲を炎が照らした後、彼ら二人以外に動くものがいなくなった時、尊が手元に狐火を集めながら口を開いた。
「蔦が竜とか本当に驚いたけど……どんな形であれ竜はやっぱり凄いな」
「あぁ、天空の城と、毒花の竜。なんだろう、不謹慎だが、」
尊の言葉に孤檻が応えんとしたその時、言葉を交わす二人の背後から半身を炭と化して尚強靭な生命力によってその体を動かす個体が、牙を剥いて躍り出る。
最期に一矢報いようと限界を超えて迫る紫竜に対して孤檻と尊はどちらともなく対処に動いた。
「尊! 借りるぞ!」
「あぁ! 預ける!」
役目を果たし手元に集っていた尊の狐火がその三十を超える数の熱量を一つにし、孤檻の持つ一刀へと宿る。
彼はそのまま刀を紫竜の首目掛けて滑らせると、今度は峰で弾く事なく、刃で躊躇なく焼き切った。
断面から灰をこぼし、切られた竜の頭が巨岩を避け、遥かな大地へと落ちていく。
先程孤檻が続けようとしていた言葉。
それは言葉にせずとも、目前まで迫った天空城と立ちはだかる竜達を見つめる孤檻の瞳に宿った、少し楽しげな光が物語っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎でーす。
指定UCを発動、【範囲攻撃】を駆使しつつ、範囲内のオブリビオンの時の流れを遅くし、増殖と動きを抑えます。
同時に【楽器演奏、歌唱、パフォーマンス、マヒ攻撃、催眠術、早業、精神攻撃、援護射撃】を駆使してオブリビオンを攻撃していきます。
敵からの攻撃は【野生の勘】で感知し【地形の利用、早業】、身軽な【パフォーマンス】で回避を。
終わる歴史の歌声 生まれ落ちてく未来
くるくる回る歯車 時計の針は進む
暗黒時代の嘆き 未だ見えない未来
くるくる回る時代 そう明日を夢見行くのさ
争い怒り 醜い欲望
Don't need Don't need
まとめて投げ棄てろ
(詠唱部分がサビです)
「終わる歴史の歌声 生まれ落ちてく未来 くるくる回る歯車 時計の針は進む」
風が吹き荒び、鱗が擦れ合い、竜の唸る声が響く巨岩群の深域。
そこに、高らかに少年の歌声が響き渡る。
「暗黒時代の嘆き 未だ見えない未来 くるくる回る時代 そう明日を夢見行くのさ」
彼、フローライト・ルチレイテッドは、自身の名前と同じくフローライトをイメージしたダブルネックギター『蛍灯』の音を奏でながら、周囲を取り巻く紫竜達が自身の方へ集まってくるの様に一切臆さず歌を紡ぎ続ける。
「争い怒り 醜い欲望 Don't need Don't need まとめて投げ棄てろ」
これが彼の戦いの術、そして、これこそが彼のユーベルコード。
しかし、高らかに響く音楽と少年の歌声に痺れを切らした紫竜達が彼の周囲を取り囲み、ついに一斉に飛びかかった。
……その時、同時に彼の演奏も佳境に突入する。
『進む針止まらない 現在は過去に変わる 未来がもう止まらない 羽広げ、飛んでゆけ!』
その瞬間彼の背に広がる翼が輝きを放ち、更に大きく、美しいものに変じた。
影響はそれだけに留まらず、光を受けた紫竜達の動きが緩慢に……否、彼らが歩む時の流れが非常に緩慢になる。
広がる音は彼の敵の心身を打ち据える事で痺れさせ、停滞した時は彼らの増殖を封じ込んだ。
紫竜達の爪牙を躱す時も彼は身軽に動き回りながらも演奏を絶やさず、歌もまた続いていく。
時に振るわれた腕に腰掛け、時に叩きつけられた尾の先から背に登り、時に戯れにその背に生えた花を摘む。
そして自身の袂に眠る野生の勘で迫る危険を事前に読み取り、異なる巨岩へとそのステージを変えていく。
フローライトは、この戦いをまるで一つの舞台のように振る舞っていた。
彼はそのまま暫く演奏を続け紫竜達を行動不能に追い込むと、光の翼を広げたまま、天空城へと翔けていった。
それはまるで、未来へと旅立つように。
大成功
🔵🔵🔵
花開院・月下
さぁさぁさぁさぁ……ぜぇ……はぁ……さぁさぁごほっ!!!ごふぉっ!!!……さぁさぁ!!!やってまいりましたぁ!!岩の上です!!!
……え、竜とか居るの……?なんかめっちゃ見られてる……
テカブツに負けてらんねぇ!!聞けーーい蔦の竜!!あたしの名は月下、花開院月下よ!!なんでお前がこんな所であたし達の邪魔をするのかはわからないが、そっちがそのつもりならあたし達も容赦はしなぁぁぁい!!さぁ!かかってこい!!!!あ、死んだじいちゃんが見える。小遣いちょーだい!!え?ない?偽物だなぁぁぁ!!消えろぉぉぉ!!
あたしの紅色牡丹で敵を惹き付け、皆の攻撃チャーンスを増やすよ!幻覚が見えてもまぁなんとかなるでしょ!
「さぁさぁさぁさぁ……ぜぇ……はぁ……」
天空城を取り巻く巨岩群深域。そこでは疲労を隠せない様子の少女が岩上を跳ね、掴み、よじ登っていた。
「さぁさぁごほっ!!!ごふぉっ!!!」
彼女、花開院・月下は立ち止まる事なく進んでいるものの、当初の大音量を放つ体力はないのか息を切らし、時々咳き込みながら歩みを進める。
無理もない。天空城が遥か小さく見える外周から此処まで、巨岩の上を飛び跳ねてきたのだ。相応の疲労も溜まろうというものだろう。
「……さぁさぁ!!!やってまいりましたぁ!!岩の上です!!!……え」
重く足を引く疲労を振り切り、恐らく天空城を良く見渡せるであろう巨岩の上に彼女はついに登り切る。
その達成感からか声色は活力を取り戻し、そのまま景色を見渡しながら完成をあげようとした時、彼女の眼前に予想外の光景が広がった。
それは眼下を一面に埋め尽くす、竜、竜、蔦、蔦、竜。
彼女が想像していなかった竜の存在と、それらの視線の全てが自身に集中している状況に彼女は思わず息を呑み、
「テカブツに負けてらんねぇ!!聞けーーい蔦の竜!!あたしの名は月下、花開院月下!!花開院家の大忍者であり陰陽師であるぅぅぅぅぅ!!!!!」
尋常ではない大声を張り上げた。
腕を組んで大見得を切り、放つは渾身の自己紹介。
その様に今度は竜達が思わずたじろぎ、牙を剥いて身を起こす。
多くの竜達が一斉に身じろぎしたと同時に彼らに生えた花々から花粉が辺りに舞い散るが、月下はそれを一切気に留めずに言葉を続け、
「なんでお前がこんな所であたし達の邪魔をするのかはわからないが、そっちがそのつもりなら――あ、死んだじいちゃんが見える」
当然のように花粉を吸い込んだ。
その花粉は死者と再会する幻覚を見せるというもの。それにより既に逝去したはずの祖父の姿を幻視した彼女は思わず偽りの祖父に話しかける。
すると花粉が効力を発揮した事を確認した竜達、その中の一体が嘲るように口角を上げると月下に向けて歩き出した。
「じいちゃん!!小遣いちょーだい!!……え?ない?」
現れた時は一体何事かと思ったが、こうなってしまえば後は簡単。死者に夢中の彼女を本当にその死者の元へ送ってやればいい。
彼女の直ぐ側へとたどり着いた紫竜は、虚空へと手のひらを差し出す少女を喰らおうと紫竜は顎を開いて顔を近づけ、
「偽物だなぁぁぁ!!消えろぉぉぉ!!」
虚空を見つめたままの月下が思い切り突き出した拳がその顔面にめり込み、別の巨岩まで吹き飛ばされたまま紫竜は動きを止める。
それは肉体へのダメージによってではなく……むしろ心へのダメージと言った方が正確だろうか。
あまりにも理不尽、そして理解不能。どうすれば先程まで瞳を輝かせて会話していた死者に思い切り拳を振り抜くに至るのか。
思いもよらぬ光景に紫竜達は彼女に視線を奪われ、彼女の思惑通りに他の猟兵達が待つ死地へと誘導されていった。
大成功
🔵🔵🔵
アルバ・アルフライラ
はっ、虚仮威しも良い所だ
私が怯むとでも思うたか?
引き続きジャバウォックを駆り、竜と対峙
ふふん、我が召喚獣ぞ?
貴様等如きが敵う訳がなかろう
常に四方への警戒は怠らず
攻撃を見切り、回避に努める
…然し此奴等は斬られる度に増殖するらしい
これでは碌に食い千切られんな
ならば――これは如何だ?
懐から取り出したのは魔術の触媒たる宝石
己が魔力を込めたそれを敵陣へ放り
氷の属性魔法で一気に氷漬けにしてくれる
それ、墜ちよ墜ちよ
脅威を増やす猶予なぞ与えてやるほど私は慈悲深くない
敵の対処に梃子摺っておるか
死角を奪われんとする猟兵が居たならば
攻撃で注意を引く事によって支援を
――さて、畳み掛けると致しましょう
*他の猟兵には敬語
天空城まで目と鼻の先といえる場所、巨岩群の深域で、二種の竜が対立する。
一方はどす黒い紫の鱗を持ち、植物としての性質を兼ね備えた肉体で己が敵を取り囲む無数の紫竜。
もう一方は生きた蒼玉の青年を背に乗せ、単身で対する紫竜達全てと渡り合う名状し難き漆黒の翼竜
数に置いてはあまりに不利なこの状況において、黒き竜を駆る青年、アルバ・アルフライラは鼻で笑うように言を放った。
「はっ、虚仮威しも良い所だ。私が怯むとでも思うたか?」
それは自身への鼓舞でも威圧のための大言でもなく、確かな事実を告げているだけのような落ち着きを伴っていた。
……実際、状況は黒き竜に大きく傾いているのだ。
群がる紫竜を強靭な尾の一振りで纏めて弾き飛ばし、爪牙を振るえばそれだけで数多の紫竜が細切れとなる。
しかし、それでも尚殲滅に至っていないのは紫竜達の性質に原因があった。
「…然し、此奴等は斬られる度に増殖するらしい。ならば――」
後ろから飛び出してきた紫竜の一撃をアルバは僅かに身を傾けて躱し、返す黒竜の一撃で微塵に切り裂く。
すると裂かれた破片それぞれが紫竜に成長し、再び向かって来るのだ。
これでは碌に食い千切れたものではない。そう考えたアルバは辟易したように辺りを見回すと、懐に手を差し込んだ。
「――これは如何だ?」
抜き放たれた手に握られていたのは、魔術の触媒となる宝石。アルバが選りすぐったその宝石の内には妖精が宿り、力強い輝きを放つ。
そして彼は自身の魔力が十分に込められたその宝石を、機を窺いながら手の内に備え……
黒竜の尾が紫竜の群れを一纏めに吹き飛ばし、他の群れへと衝突させた瞬間、その群れの最中へと輝く宝石を放り投げた。
瞬間、着弾した宝石から放たれた魔法は広範囲に広がる氷の魔法。
それは一瞬にしてその冷気により周囲を凍結させ、紫龍達は凍らされた花弁のように身を縮ませると硬質な音を立てながら巨岩を転がり地に落ちていく。
目障りな紫竜達への確かな有効打を確認した彼はその結果に一つ頷くと、再び懐にその手を差し入れる。
「――さて、畳み掛けるとしよう」
再び抜き放たれた手には此度は複数、強い力を放つ宝石が握られていた。
――巨岩の浮かぶ空に、罅割れるような落下音が幾つも響き渡っていく。
最後に残った色は、黒と蒼のみ。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『騎士竜アシド』
|
POW : ネイル・ジャベリン
【右腕】から【無限に出現する槍】を放ち、【磔にする事】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : ナイツ・サンクチュアリ
【強制的に1対1の戦闘にする結界】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : ビハインド・キック
【背中】を向けた対象に、【後ろ脚からの蹴り】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:朝梟
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アルト・カントリック」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●決戦
巨岩群を乗り越え、遂にその最奥へと辿り着いた猟兵達。
彼らがその目的地、天空城の門を潜ると、まずは広大なエントランスが出迎えた。
そこからは幾つかの部屋への扉や上階への階段等が見渡せたが、何より意識を惹くのは中央。
最奥の広間に続く長い廊下が、何者かの熾烈な気配と共に猟兵達を奥へと誘う。
間違いなく、主はこの先に居るのだろう。
この天空城を『クラウドヴェール』の起点の一つとして維持している主を打倒するため、彼らは暫し暗い廊下を進んで行く。
静寂に満ち、実際以上に長く感じる一本道を抜けると、明かりとともに視界が開けた。
天空城、最奥広間。
そこには寂しげな玉座が一つと、その上の壁面に大きく開いた天窓が一つ。
しかし、そこから見える空は丁度雲が重なっており、白一色。
両側には規則正しく並んだ幾つもの石柱と小さな窓があり、そこからは曇った光が差し込んできていた。
そして、広間の中央。そこには瞼を閉じ、何かを待つように静かに佇む騎士の姿があった。
「……この時を、待ち焦がれていたぞ」
騎士。確かに騎士の装いをしているが、猟兵達を迎える彼は四足二腕、無翼の竜。
彼は大理石の床に突き立てた槍を引き抜くと、手元で数度回し構える。
「我が名はアシド! 騎士竜アシドなり!」
自身をアシドと名乗った竜は大きく喉を震わせ猟兵達へと声をかけた。
それは敵意とも歓喜ともいえる響きを含んでいる。
「大地に一時の別れを告げ、此処まで辿り着いた者よ! 我が同胞の姿を真似る、不遜な毒花を打倒した強者よ! そして今、我を滅ぼさんとする猟兵よ! さぁ、雌雄を決する闘争を!」
アシドは右手の槍と左手の剣を強く握り直し、数度後ろ足で地面を蹴ると、猟兵達の元へ弾かれるように駆け出した。
――雲の帳は、未だ厚く。
カマル・アザリー
最終決戦ですね!強そうな相手ですがやっつけてしまいましょう!
四足歩行で脚が速そうな相手ですね。まずはユーベルコードを使用して全身に炎を纏います
次に急所をもらわない程度にダメージを受けます。どうせ向こうのが速いですしね。背後に回られたら気をつけないと
ダメージを受けたら呪いのお返しです!炎があなたの生命力を奪いますよ!さあ勝負です!
あとは炎を投げ飛ばしてダメージを与えていきましょう!
天空城の最奥広間にて、青緑の炎が揺らめき、濃紺の飾り布が靡く。
炎の主は金糸の髪の少女、カマル・アザリー。
彼女は自身が生み出した青緑色の炎を身に纏いつつ、同色の炎を巧みに放つことで距離を離しながらも動きを制限していく。
対するアシドもまた、巧みにそれを凌ぎながら彼女を追っていた。
「やっぱり、四足歩行なだけあって脚が速いですね。それっ!」
「ふんっ!また炎か。術士の娘……厄介なものよ、な!」
迫る炎を足捌きにより躱し、躱せぬものは手にした槍でいなし、次第に彼我との距離を詰めていくアシド。
それを見たカマルは一度踊るように振り撒いていた炎を止めると、アシドを引き付けてから一見全方位に向けて爆ぜるように炎を投げ放つ。
突如眼前に広がる壁のような炎の幕、しかしアシドはそこに一筋の道を見出した。
全方位に見えても、純粋な巨炎で無い分発生する密度の疎らさ。強引に炎を散らしていけば、然程傷を負わずに相対する少女の背を取れるであろう道筋。
彼は迷わず炎の幕に槍を突きこむと、気合とともにその道を辿り、
「――!?」
ついに炎の幕を抜けた瞬間、青緑色の炎に照らされたカマルの瞳と視線が交差した。
その事実にアシドは一瞬の動揺を見せる。自身の行った突撃はタイミングも、速さも、先程まで戦っていた少女に咄嗟に反応できるものではなかったはず。
ならばなぜ、まるで最初から分かっていたかのように彼女はこちらを補足しているのか。
その事実に思い当たった瞬間、アシドは歯噛みしながら強引に槍を地面に突き刺し制動。後ろ足を矢を番えるように引き絞り、蹴撃の構えをとる。
「……誘われたか!」
「【花緑青の炎色反応】!」
彼が潜り抜けたのは、カマルによって意図的に用意された隙間。
速さでは劣り、背面に回られる可能性が高い相手からの強烈な一撃に彼女が抗する為に取った手段は、背後に回られることを防ぐのではなく、来る方向を一点に強制するというもの。
それは見事に功を奏し、アシドは想定外の姿勢から苦肉の行動を強いられた。
勢いを失い、苦し紛れに放たれた蹴撃をカマルは青緑色の炎を集中させた両の手で受け止める。
そして蹴撃と青緑炎が接触した瞬間、鉄を鍛う時のように同色の火花が飛び散り、アシドの身体のみを灼いた。
「いっ!……揺れる炎が、あなたの生命力を奪いますよ!さあ勝負です!」
「ぐっ……く、ははは! 本当に、厄介よな!」
蹴撃を受けたカマルは勢いよく弾き飛ばされ後退るが、その痛みと傷は本来よりも軽く、それも次第に癒えていく。
対するアシドは不意に返ってきた痛みと、不自然に奪われる体力に息を乱しながらも抑えきれず喜色を顕にした。
両者の闘志は衰えず、今再び青緑と濃紺が衝突する。
大成功
🔵🔵🔵
鬼灯原・孤檻
【POW】
橘・尊(f13751)と同行している。
荘厳な城だ。この戦いが終わったら、宝探しでもするか。
冒険の思い出を表すような、空色の宝石があったらいいな。
…等と、呑気に考えている場合ではないな。自分は真っ当な剣士ではないが、相手が名乗るのであれば、それに倣おう。
「鬼灯原孤檻。罪を斬る者だ。…参る」
剣と槍の攻撃には愛刀を以て応戦。
槍によって動きを封じられそうなら、【まつろわぬ者の影】で敵の視界を塞ぎつつ、肩に羽織っている【土蜘蛛の絃衣】を囮にして回避したい。
尊に攻撃が行くなら、【天秤の神の御鎖】を敵に巻き付け、動きを止めよう。
鮮やかな剣戟はどうにも心が躍る。
…負ける気は更々ないがな。
橘・尊
孤檻と(f18243)
【POW】
城って初めて見る
凄い、大きくて荘厳なんだな
うん、空色の宝石か
お揃いとかいいな
俺は銀色のも欲しいんだけど
あればいいな
と、敵さん参上だ
俺は剣士じゃないけど
「尊だ、いくぞ」
孤檻の気を散らす事はしたくない
後衛で機会を伺い、援護射撃
孤檻に槍の攻撃がきたら
ルーンソードの炎で燃やし尽くす
「有り難うな、孤檻っ」
俺を助けて彼に隙ができないように霊符を飛ばす
なかなか敵さんも強い
気を抜かず頑張るぞ
窓から差し込む光により仄かに明るく照らされた天空城の最奥広間で、一体の騎士姿の竜と二人の和装の猟兵が対峙する。
彼ら二人、愛刀を抜き放ち戦闘態勢を整える黒髪の青年と一歩退いた位置から霊符と魔法剣を備える灰髪の青年は、自分達の正面で大きく名乗りを上げたアシドに応え、自らもまた簡潔に名乗った。
「鬼灯原孤檻。罪を斬る者だ。…参る」
孤檻と名乗った青年は迫るアシドを見据えながら握った刀に力を込め、
「尊だ、いくぞ」
尊と名乗った青年は孤檻の援護の機を逃さぬよう、いつでも動けるように霊符を構える。
お互いの距離が瞬く間に縮まっていく数瞬の後、ついに両者は衝突した。
「その名、覚えたぞ! さぁ、受けてみよ!」
アシドは挨拶代わりとばかりに疾走してきた勢いそのまま槍を突き出し、それを孤檻は刀で受けることなく横合いから打ち据え弾き逸らす。
槍を振るうために右腕を伸ばしたまますれ違うように脇腹を晒したアシドに向け、彼は返礼のようにそこへ向けて刀を振るった。
避けられぬ姿勢に振るわれた刀はアシドの脇腹を深々と切り裂く……ことはなく、甲高い音と共に受け止められる。
孤檻が自身の振るった刃の先に視線を向けると、そこにはアシドが伸ばした左手に握った片刃剣。
彼は強引に片刃剣で刀を押し返すと、その力を利用して後退、右手の槍を投げるべく振りかぶり……強い呪力を内包した霊符により妨げられた。
「ぬぅ、中々に強かな……!」
一瞬の攻防を終え、僅かな距離を保ちながらも暫しの間睨み合い……再び動いたのは此度は孤檻。
彼は強く踏み込むと、咄嗟に槍先を揺らしたアシドに向けて身に纏った黒い布……否、布に見える黒い影『まつろわぬ者の影』を視界を遮るように投擲、次いで肩に羽織った『土蜘蛛の絃衣』をアシドの左方に放り、自身は右方へと回り込んだ。
それによりアシドは黒に覆われた視界の中で、はためく絃衣に向けて咄嗟に突きを放ち、一瞬の隙を晒す。
そして、その隙を逃すことなく回り込んできた孤檻を認識し……彼は槍を手放した。
先端に絃衣が絡み、刃先の鈍った槍を振るうのでは間に合わない。アシドは一瞬の判断で空いた右手を引き戻し、新たな槍を瞬時に出現させ突きを放つ。
深く踏み込んだ孤檻の振るう刀と、上体と四足を有する者特有の捻った姿勢から放たれるアシドの槍。それはほぼ同時に着撃し、痛み分けの結果になる。と思われたが、
「……炎!?」
「尊、助かった!」
横合いから放たれた炎の刃により、アシドの槍のみが灼き切られる。
これを成したのは、先程までは霊符による行動阻害に徹していた尊。彼は一歩離れた位置から、いずれ来る絶好の機に横槍を入れる機会を窺っていた。
中程で焼け落ちた槍は何者も貫かず、振るわれた孤檻の刃のみがアシドに決して軽くない傷を刻む。
「ぐっ、なるほど……術士! では貴様から――!?」
左肩から鮮血を散らしたまらず後退したアシドは尊を見据えると、先に打倒すべき相手を自身の中で変更し、投槍によって仕留めるべく右腕を振りかぶる。
その瞬間、距離を取ることで一時的に脅威の認識を下げていた孤檻から放たれた鎖が右腕に絡みついた。
「有り難うな、孤檻っ」
それは『天秤の神の御鎖』。罪の重さに比例して強度を増し、時に使用者すらも戒める強固な鎖に腕を取られたアシドは、意識を集中する尊への対応を許されず再び孤檻との対峙を余儀なくされる。
右腕が封じられたならば、多少の傷があろうともこの左腕で。そう考えた彼は右腕に絡みついた鎖を逆に掴み、引きながら加速して孤檻へと片刃剣で切りかかった。
直後、今度はより強く、尊の力が込められた霊符により仰け反るほどに腕を弾かれる。
同時に右腕を戒める鎖が解かれるのを感じ、視線だけを復帰させれば、そこには渾身の力を一振りの刀に込める孤檻の姿。
両の腕が戻るよりも早く、その首を目掛けて曇った光を受けて妖しく輝く刃が滑り込んでいく。
アシドは逡巡する間もなく、本能の警鐘に身を任せてそのまま限界まで身を仰け反らせた。
首を狙った刃は鼻先を通り抜け、彼の兜を切り裂いてく。
その時切り裂かれた彼の兜から、透き通るような音を立てて留め金を破壊された装飾が舞い上がり、丁度孤檻の手に落ちて収まった。
その装飾は枠こそ切り裂かれているものの、嵌め込まれた見る角度により色合いを変える二つの宝玉は健在。
孤檻の手元では晴れ渡る空のような輝きを放ち、体制を整えすぐ後ろに位置取る尊には雲の狭間のような銀色の煌きを見せる。
「――見事」
そしてその宝玉の持ち主であったアシドは、激しい攻防の後裂かれた兜を放り捨て、一筋の血が流れる額を顕にする。
その表情はどこか晴れやかであり、なおかつ闘志に満ちていた。
決着は、未だ遠く
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ミルク・ティー
【選択UC】で天空城に乗りつける
お城には宝物があるかもしれない、んだっけ……
予知をしたグリモア猟兵は、参戦が出来ない
だから当然ここにも、居ないわけで……
何か、お土産になるものがあればいい、な
でも、先ずはオブリビオンとの戦闘に集中、だよね
これだけの広さがあれば、思う存分ユニコやララと一緒に戦え……
……この結界とやら
こんなもので、本当に私をひとりにしたつもり?
私はひとりじゃないんだ、って言ってくれたひとが居て
共に戦えずとも、側にはユニコやララが居て
なにより、私には……
【神樹顕現】を発動
貴方、に……叡智の力を見せてあげ、る
攻撃は「フェイント」や「だまし討ち」を中心に
回避には攻撃を「見切り」頑張る、よ
天空城の広間同士を続く薄暗い廊下、そこに軽やかな蹄の音が響く。次いで空気を含んだ羽ばたきの音が微かに漏れた。
暫しの後、窓から差し込む光により、仄明るい空間に音の主である有翼の白いユニコーンが現れる。
その背に跨るのは人形の少女、ミルク・ティー。彼女はドラゴンランスの小さな竜、ララを手元で撫でながら天空城の各所を見回していく。
「お城には宝物があるかもしれない、んだっけ……」
彼女はこちらに転移してくる前に聞いた話。天空城に眠っているかもしれない宝の事を思い出し、お土産に良いものでも見つからないかと道中にある閉ざされた扉に視線を巡らせていた。
そして幾本目かの廊下を超えた所で、正面から放たれる闘気を感じたミルクは視線を一点に定める。
向けられた視線の先には傷つきながら尚活力に溢れた騎士装の竜、アシドの姿。
アシドもまたミルクを射抜くように見つめると手の内で槍を風車のように回し、石突きを床に叩きつけた。
「友と歩むもまた力。しかしそれを奪われた時、貴様はどうする?」
石突きと床が衝突した瞬間、アシドを中心に魔法陣が広間全体へと広がっていく。
それによりミルクが騎乗していた有翼のユニコーン、ユニコと、手元に抱いていたララのみが押し出され広間の隅へと追いやられてしまう。
微かに輝きを放ち続ける魔法陣の中で、アシドとミルクのみが対峙した。
連れ立つ友と引き離され、絶対的な不利とも言える状況の中で彼女は一度振り向きユニコとララに目配せをすると、アシドへ向けて歩き出す。
「……この結界とやら。こんなもので、本当に私をひとりにしたつもり?」
脳裏に浮かぶ大切な人の姿。距離は離れども間違いなく側に感じる二体の心と希望。
淀みなく歩みを続ける彼女の姿に警戒を高めたアシドは大地を蹴って急加速し、高速の刺突を放つ。
「事実、独りであろう!」
風を貫いて迫る槍先を、ミルクはその動作を如何なる訳か見慣れたように予想し、一歩逸れることで回避。次いでアシドに向けて踏み込み腕を伸ばす。
アシドはその動作に反応し腕を弾こうとするが、彼女の肩から先を見て目を見開いた。
……ない。否、恐らくあるのだろう。しかし透明なのだ。彼が一瞬の戸惑いに陥った直後、ぽん、と軽い衝撃が胸を叩く。
視線を向ければそこには先程まで不可視であったミルクの手。すると自身の胸と彼女の手の拳一つ分にも満たない隙間からは黄色の輝きが溢れ出し、
「疑似叡智、発動」
「―ぐっ!?」
彼女の細腕からは想像できない破壊力を以て、三馬身程吹き飛ばされる。
油断なく構える彼女の身体は十の光が取り囲み、何処か不思議な力を溢れさせていた。
「貴方、に……叡智の力を見せてあげ、る」
「……はっ、望外よ!」
独りの竜と、一人の少女が、再び衝突した。
大成功
🔵🔵🔵
花開院・月下
我が名は月下!!!!忍びの王、月下なり!!!!!!!
さっきまでおじいちゃんの幻覚を見てたけどあたしは元気です!!!!ね!おじいちゃん!!(幻覚)
闘争闘争!戦うの大好きかキミィ!!その槍と剣、どの程度のものかこの月下様が見極めてやろ…いって!!!痛い!いったい!!こいつガチだ……っ!!!
短刀と忍者手裏剣で妨害しながら攻め込んでいくよ!!しゅばばばば!!!
一体一の空間とか忍び殺しじゃない????
敵の攻撃を凌いで凌いで~……大振りの一撃が来たら飛んでその背に乗る!!
「血闘千桜」
代償を払いてこの身の力と成し……
その命、その首……貰い受けるよ。
「我が名は月下!!!!忍びの王、月下なり!!!!!!!」
「ぬぅ――!?」
天空城の最奥広間に大音量が響き渡る。それは廊下の向こうの闇に吸い込まれたかと思えば、反響。彼女の名乗りは広間に暫く響き渡っていた。
対するアシドは思わず眉間に皺を寄せると、名乗りを上げた少女、花開院・月下を凝視する。
「なんだ、この娘は……!」
「さっきまでおじいちゃんの幻覚を見てたけどあたしは元気です!!!!ね!おじいちゃん!!」
「なんだこの娘は!?」
突然の身の上話を繰り出した後、虚空へと話しかける月下を見てアシドは思わず目を剥いた。
自身のもとまで辿り着いた以上、強者であることは間違いないのであろう。
そこに疑いはないし、侮るつもりも毛頭ない。
彼は憮然とした表情を浮かべながらも、力は緩めず両の手の槍と剣を振るう。
「埒が明かん! その力、証明して見せよ!」
「その槍と剣、どの程度のものかこの月下様が見極めてやろ…いって!!!痛い!いったい!!こいつガチだ……っ!!!」
迫るアシドに大見得を切った月下に槍の先端が何度も突き刺さる。
……そう、先端だけが。一見情けない声を上げながら逃げ惑っているが、その実周到。防ぎきれない物は短刀で弾き逸し、大きく踏み込もうとすれば忍者手裏剣の投擲により蹈鞴を踏ませる。
結果的にアシドは力の込められていない攻撃を繰り出すことを強いられ、苛立ちを募らせていった。
「ぐ、ぐぐ……卑怯とは、言うまい。それもまた力よ……しかし、些か」
「しゅばばばば!!!」
話を始めようとお構いなし、むしろ好機とばかりに距離を取り、月下はアシドの顔面に手裏剣をぶつけていく。
「鬱陶しいッ!」
遂に怒りが頂点に達したアシドは槍の石突きで床を打ち鳴らし、一対一を強制する結界を展開する。
結界によって動きを阻まれ、月下の動きが一時的に止まったことを確認するとアシドは全力で疾走し、思い切り引き絞った槍の一撃を放つ。
その瞬間、月下の様子が豹変した。
瞳には鋭い光が宿り、全身からは何か大きな存在の力を滲み出させる。
変化に気が付いたアシドが一瞬の逡巡の末に槍を突き出すと、彼女の姿がかき消えた。
「どこに――血? 上か!?」
月下は消えたのでなく、突き出された槍を足場に跳ねただけであったのだ。
大きな力を宿した彼女はその代償により身体の各所から血を噴出しながらも、そのまま身体を捻りながらアシドの背中へと着地する。
その際に舞い落ちていく血雫はアシドの視界ではまるで異界の花弁のようで、
「血闘千桜」
彼女が行使した力の名。それを耳にしながら、自身の首目掛けて襲い来る短刀から逃れるべく全力で首を逸らす。
「油断は……して、いなかった……恐ろしき、娘よ」
――辛うじて、重症。
背中からどうにか月下を引き離したアシドは、竜の活力で強引に傷を繋ぎ止めると再び槍と剣を構える。
見かけ上の流血こそ止まったものの、そのダメージは甚大。
空の城にて、竜と少女の血が流れていく
大成功
🔵🔵🔵
フローライト・ルチレイテッド
アドリブ連携歓迎ですー。
闘争とかには一切関心はないですが、相手にはなりましょー、まぁ一応。
…ばとるじゃんきーっていうのでしょうか。
くるっと回って真の姿を解放。
UC【SPRING~踊れ、花咲く乙女よ】を使用、自身を【鼓舞】してテンションアゲつつ、衣装を白ドレスにチェンジし飛ぶ。
【地形の利用、早業】を駆使して、自分の戦いやすい位置を動き回りつつ、
【楽器演奏、歌唱、パフォーマンス、早業、マヒ攻撃、精神攻撃、催眠術】
を駆使して指定UCを発動。
彼をどーんと虚無に還そうとします。
あちらからの攻撃は適切な距離を取りつつ、【野生の勘】で感知し【早業、地形の利用】、飛行能力等で回避を。
『冬が終わって春になって 花が開くように 心がそう 踊り出す光の中で 君の思いが 悲しみ超えて 君の祈りが 奇蹟を起こす』
天空城の最奥広間。酷く静かなその場所に、この世界ではあまり聞くことの無い音と共に歌が響き渡る。
その主はフローライト・ルチレイテッド。彼は自身と同じ名を冠するダブルネックギター『蛍灯』と、頑丈なマイク『M・A・D』を携え、くるりと足取り軽く回ってみせる。
すると、彼の衣服は奏でる歌に呼応して白いドレスへと変じ、回る動作と同時に真の姿を解放したことで、髪は艶やかに長く伸び、翼はより大きく広がる。
その様子を、アシドは鋭い視線で見つめていた。
「それが、貴様の戦装束か」
「まぁ一応。闘争とかには一切関心はないですが、相手にはなりましょー」
その言葉を聞き終えるや否や、アシドは全力の疾走から槍を突き出す。
対するフローライトはすぐ背後の柱を強く蹴ると、身体を捻って槍を躱し、翼を広げて飛翔した。
その間も絶えず音楽は鳴り響き、アシドの心身に衝撃を与え続ける。
「むぅ……!厄介なものよ」
飛翔するフローライトが放つ音は常に彼の身を苛み、彼の攻撃はフローライトへ有効打を与えられない。槍を投げても柱の影等を駆使して防がれるのでは、かくなる上はこの手で捉えるしかない。
鑢で削られていくような戦況に痺れを切らしたアシドは意を決すると、先程フローライトがやったように柱を蹴り、上空へ。翔び続けることは叶わずとも跳ぶことはできると、蹴撃を見舞うべく彼は高く身を躍らせる。
その瞬間、フローライトが奏でる音楽の曲調が急変した。
『祈れ ただ祈れ 行くぜ! 空走る 突っ込むのさ! 獣のように吼えてやれ! 例えもう壊れても 最高の歌を歌うのさ 歌うんだ!』
激しく、破壊的な旋律。
それに呼応して現れた音楽家の霊達が、逃げ場のない空中に身を晒すアシドへ向けて歌により、あらゆる物を虚無へ還元する波動を放つ。
咄嗟にアシドは身を捻るが体勢とその巨躯が災いし、避けきれずに受けた波動により脇腹の甲冑が弾け飛ぶ。
衝撃に吹き飛ばされ地を転がったアシドが視線を向けると、先程自身がいた所では粉微塵と化した甲冑の破片が虚無へと還っていった。
「なんとも、音とは斯様に凄まじきものであったか……ふむ、行くぞ!」
「……ばとるじゃんきーっていうのでしょうか」
アシドは自身の無意識の油断を咎める様に呟くと、構えを整え闘志を再燃させる。
再び迫るアシドに対し、フローライトは再びの音撃で応じた。
音楽は未だ鳴り止まず、空へと吸い込まれていく
成功
🔵🔵🔴
ヴィサラ・ヴァイン
ついにお城まで辿り着いたね
一番奥に待ってたのはドラゴンか…
旅の最後に相応しい相手だね、気合いを入れていくよ
【ゴルゴンに選ばれし者】を使用
リム(f08099)には[毒使い]で毒(アイ)を注入する事で
ペガサスさんは手綱を破壊して強化を図るよ
ここまで頑張ってくれたペガサスさんに“自由”をプレゼント、って訳だね
その後は私とペガサスさんで背中から攻めビハインド・キックを誘うよ
大地を踏みしめさせて隙を作るよ
私の[第六感]とペガサスさんの機動力で急上昇し回避を試みるよ
「リム、今がチャンスだよ!」
戦いの後はお宝探し。ペガサスさんのお土産でもあればいいなあ…黄金のにんじんとか…?
リミティア・スカイクラッド
大した威勢ですね、騎士竜
リム達も全力をもってお相手しましょう
ヴィサラ(f00702)からUCの毒(アイ)を受けて自身もUC発動
風神の靴の「封印を解く」と「空中戦」で城内を翔けて槍を回避
蹴られないように正面きって戦いがら、避けきれない攻撃は暴走する魔力の「オーラ防御」でガードします
永い守り人の使命も、これにて終焉です
雲の帳はリム達が晴らします
ヴィサラが隙を作れば一気に接近し「高速詠唱」で魔力を制御、宝石剣に収束させ、斬撃と同時に解き放つ
これがリムの「全力魔法」です
戦いが終われば気になるお宝はないかヴィサラと一緒に探してみましょう
ここまで頑張ってくれたペガサスを労える、魔法の櫛などあるといいですね
傷つきながらも未だに闘志を溢れさせるアシドの前に、二人の少女が現れる。
白き天馬に跨った少女、ヴィサラ・ヴァインとその隣に降り立った少女リミティア・スカイクラッド。
アシドと彼女達は、仄明るい天空城の最奥広間で向かい合った。
「……どうした。我は未だ健在である! 全てを賭して来たれよ!」
アシドは自身を見つめる二人の少女の視線を振り払うようにその場で槍を振るうと、いつでも駆け出せるように構えを取る。
その体に刻まれた傷は多いが、繰り出す動作はなお熾烈。
「大した威勢ですね、騎士竜」
「旅の最後に相応しい相手だね」
しかし肌を刺すような闘志を受けて尚、彼女達は臆することなく身構えた。
警戒を行いながらもリミティアはヴィサラへと手を伸ばし、ヴィサラもまたそれに応じる。
そしてヴィサラは自身の毒を扱う力により、その中でも特別強力なモノを、
――リミティアへと、注ぎ込んだ。
「リム達も全力をもってお相手しましょう」
注ぎ込まれたモノ、それは愛。強すぎる愛は一種の毒となりその身を蝕んでいく。
程なくして、リミティアの体から荒れ狂う魔力が噴出した。
それはゴルゴンに選ばれた魔女の狂乱。
「む、面妖な……!」
突如変貌したリミティアから感じる力に眉をひそめたアシドは、様子見の為に右手の槍を投げ放つ。
しかしリミティアは自身に迫る槍を確りと視線で追いながら、一歩踏み出した。
彼女が踏んだのは虚空、大気を足場に踊るように空に身を投げると槍を回避し、手にした宝石剣『エリクシル』を構えアシドに肉迫する。
「私達も、気合いを入れていくよ」
高速の戦闘を繰り広げるアシドとリミティアを見つめながら、ヴィサラは自身が騎乗する天馬を優しく撫でた。直後、天馬を縛っていた手綱が空へと解けて消えていく。
――“自由”。彼女が冥府から掬い取り、喚び寄せた天馬への労いと激励の込められた贈り物。
それを受け取った天馬は一度大きく嘶くと、ヴィサラを背に乗せたままアシドの元へ駆け出した。
彼女と天馬は心を通わせ、もはや手綱などなくとも激戦の最中を翔け抜ける。
「見かけに、よらぬものよな……!」
その時アシドは、自身の眼前を高速で飛翔し、輝く宝石の剣で斬撃を放ってくるリミティアに歯噛みしていた。
槍による刺突では舞い踊るように空を翔ける彼女を捉えることは出来ず、手にした剣で薙ぎ払えば、彼女が溢れさせた魔力による防壁に阻まれる。
幾度目かの攻防の末、アシドが遂に槍先にリミティアの姿を捉えたその時、突如として彼の背後から大きな衝撃が襲い来る。
咄嗟にその方向へと視線を向ければ、そこに在ったのは白き天馬とヴィサラの姿。
彼は直様後ろ足の蹴撃による返礼を繰り出そうと前足で大地を踏みしめ、自身の浅慮を悔いることとなった。
「リム、今がチャンスだよ!」
突進を終えた直後、アシドが行動を起こす前にそれを察知し回避行動に移るヴィサラの合図によって、リミティアの魔力が一点、宝石剣『エリクシル』に集中する。
彼女は高速で詠唱を行うことで溢れる魔力を制御し、後ろ足を浮かべ隙を晒したアシドに対して、エリクシルによる斬撃とともに全力で魔力を解き放った。
「雲の帳は、リム達が晴らします」
輝く魔力は刀身を離れ、斬撃として飛翔する。
対するアシドは左腕に握った片刃剣で咄嗟に応戦し、魔力の斬撃との一瞬の拮抗を生じさせる。
その一瞬にどうにか身体を倒れ込ませると、遂に片刃剣を食い破った魔力の斬撃に深く左肩を裂かれながらも間一髪命を繋いだ。
アシドを切り裂いた斬撃はそのまま直進。天空城内の一室の壁をも深々と切り裂くと、そこには多くの魔導具が保管されているのが遠目でも窺えた。
「……我が爪折れども、我が牙は未だ健在よ……!」
そして、倒れたアシドは左手に握りしめていた中程で折れた片刃剣をそっと置くと、右手の槍を支えに立ち上がる。
そのまま槍を両手で構えると、再び彼女達を目掛けて駆け出した。
戦況に呼応するように、最奥広間の左右の窓から差し込む光が強まっていく。
――雲の帳が、軋みを上げる。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アレックス・エイト
威風堂々とした佇まい…なるほど、彼はまさしく一端の騎士です
ならばこちらも名乗らねば不作法というもの
我が名はアレックス・エイト。姫様より賜りし騎士号の誇りにかけて…騎士竜アシド、貴方を討ちます
レーヴァテインに馬上槍状の魔力を纏わせ、白兵戦へ移行
本来なら飛行も可能ですが…彼のような猛者相手に小細工をした所で無意味でしょう
真っ向勝負といきましょうか
飛翔能力は地上での加速のみに使用
急所を狙った波状攻撃を放ち、相手の動きのクセを観察
そうしてから距離を離し全力を籠め、魔導スラスターを併用した最大速度の突撃で、槍ごと彼を穿ちます
…護るもの無き騎士よ。私は、僅かにでも貴方の空虚を埋める事は出来たでしょうか
天空城の最奥広間にて、裂け解れた濃紺の布を靡かせる騎士装の竜、アシドと、この世界の騎士として確かな誇りを胸にする黒装の機人が向かい合う。
彼は、傷つきながらも褪せることのない闘志を放つアシドへ向けて、騎士の作法に則り名乗りを上げた。
「我が名はアレックス・エイト。姫様より賜りし騎士号の誇りにかけて…騎士竜アシド、貴方を討ちます」
「覚えたぞ。異界よりの騎士、強き力を持つものよ。さぁ……参られよ!」
名乗りを交わしたアレックスとアシドは、ほぼ同時に大地を蹴る。
アシドは右手に出現させた槍を両手で以て振るい、アレックスは手にした機械杖、『レーヴァテイン』に馬上槍状の魔力を纏わせ、アシドの振るう槍に応じる。
アシドの竜の四足による機動力に対し、アレックスは飛行も可能な推進力を地上での加速のみに集中させることで、互角以上に真っ向から渡り合っていた。
アシドは時に距離を取り手にした槍を投げ放つことで牽制を行い、アレックスはそれらを弾いて肉迫し、彼の急所へと波状攻撃を仕掛ける。
すると彼は直様槍を出現させることでアレックスの熾烈な攻勢を凌ぐと、今度は上段からの刺突でアレックスに攻めかかる。
十か、百か、それとも――彼らは長く短い時の中で只管に槍の応酬を繰り広げる。
「その装い、その魔力、術士の類と見受けたが……何故術を放たぬ?」
「……あなた相手に小細工をした所で無意味でしょう」
激しい攻防を繰り広げた後の一瞬の空白に、短い言葉を交わした彼らは再びお互いに矛先を向けた。
突き、払い、防ぎ、返し……
一進一退の膠着状態を打ち破らんと、アシドは後ろに跳び下がり槍を投げ放つべく振りかぶる。
その瞬間、アレックスは『レーヴァテイン』を構え、今の今まで秘めていた魔導スラスターを起動すると、今までの最大の速度で突撃を仕掛けた。
アシドが取った距離は、この戦いにおいて彼が見てきたアレックスでは槍の再出現までには届かぬ距離。
故に手元から槍を失う瞬間に、突撃してきたアレックスを彼は対処できなかった。
弾丸のような速度で翔けるアレックスが構えた魔力の穂先が、投げ放たれた槍を打ち弾きそのままアシドの腹部に突き刺さる。
彼はたまらず呻きを上げると、突き刺さった魔力の穂先を引き抜いて数歩後退り、血を吐きながら口角を上げた。
「――嗚呼、見事。しかし、まだだ……! この闘争は、まだ終わらせぬぞ!」
「お相手しましょう……護るもの無き騎士よ」
否応なしに滲む敵意を遥かに超える純粋な闘志と歓喜の感情。
空虚な時を取り戻すように槍を振るうアシドに、アレックスもまた真っ向から応えた。
二人の騎士は、再び向かい合う。
大成功
🔵🔵🔵
アルバ・アルフライラ
はっ、何を高揚しておる
貴様の負けは揺るがぬよ――何があろうともな
その玉座、貰い受けるぞ
魔方陣を描く事による高速詠唱
召喚するは【女王の臣僕】
死角を取られては厄介故な
貴様の足、封じさせてもらおう
後方に構えるとは云え慢心はせぬ
多少なりとも動きを鈍らせる事が叶えば
彼奴に背を取られる機会も減るだろうよ
常に敵竜の挙動を余す所なく観察
死角を取られぬよう、時には第六感も駆使
彼奴に背を向けぬよう警戒は怠らず
逆に他の猟兵が後ろ足で蹴られんとしたならば
即座に魔術を行使、阻止に回ろう
…やれ、騎士と呼ぶには随分と粗暴よな
戦を終えた後、暫し周囲の散策を
天空の城に何が隠されているか、興味がない訳ではない故な
*猟兵にのみ敬語
天空城の最奥広間。窓から差し込む光が強まり幾本もの光の帯がかかる空間にて、濃紺を靡かせる竜と蒼玉の輝きを放つ男が対峙する。
「そうだ。これでこそだ! 闘争こそが我が誉れよ!」
竜……騎士竜アシドは刃折れ、その身に傷を負いながらも瞳に強い光を宿し、活力に満ちた雄叫びを上げた。
座す者無き玉座と、白に包まれた天窓から降りる光を背に、槍を掲げ己が敵手を迎える。
「はっ、何を高揚しておる。貴様の負けは揺るがぬよ――何があろうともな」
対する蒼玉……若々しく中性的な美貌と、老練さを宿す眼差しを持つ男性、アルバ・アルフライラは自身を中心に魔法陣を広げながら高速で呪文を詠唱し、立ちはだかるアシドを見つめる。
彼が展開した魔法陣を認識したアシドが四足を以て加速し槍の切っ先と共に迫るが、それよりも早く、彼は詠唱を完成させた。
「控えよ、女王の御前であるぞ」
「ぐっ、蝶だと……?」
今まさに槍を振り下ろそうとするアシドの眼前で、一面の蒼が爆ぜる。
それはアルバが喚び起こした無数に舞う蝶の霊体。
一体一体は小さき蝶なれど、無数に集った彼らはその翅から冱て痺れる鱗粉を振りまきながらアシドを取り囲む。
「竜たる我が身、侮るでない!」
対するアシドは痺れにより痙攣する腕を気力で無理やり抑え込むと、蝶の群れを振り払いアルバへと駆ける。
身体に降りた霜を置き去りに、槍を正面に向けながらの加速。
同時にアルバの手元では、その先端から流星の尾のような残光を残す杖が輝きと共に魔術を放ち、アシドの疾走を妨げた。
動きを止めれば後方から追ってきた蝶がアシドを取り巻き、再びその身を苛む。
アルバは常にアシドの動きを観察し、一定の距離を保ちながら最奥広間を移動していた。
槍の投擲や急な加速等に対しては時に超常的な察知力を発揮し、回避。不意を打たれぬよう彼は常にアシドを正面に捉えていく。
そして暫くの攻防の末、ついにアシドの動きが止まった。
息は荒く、身体は所々凍結し、蒼き蝶に取り囲まれ……しかし尚四つの足で身体を支え続けている。
彼はゆっくりと槍を振り上げると、
「おぉ――!!」
力を振り絞り、思い切り槍を床へ深々と叩き込んだ。
槍と石床の衝突により発生した衝撃波で蝶達が吹き散らされ、広間全体をひらひらと舞い飛ぶ。
その様子を、アルバはじっと佇みながら見つめていた。
「……やれ、騎士と呼ぶには随分と粗暴よな」
彼が動かぬのは有利による慢心ではなく、確信。
――もはやアシドに、動く力はない。
最後の最後、地に斃れることを許さない矜持を芯に立っているのを、彼は見抜いていた。
天窓と玉座を背に立つアルバと、その向かいに槍を支えに佇むアシド。
彼らの位置関係は、戦いの中でいつしか逆転していた。
●雲の帳を振り払い、永き時に終幕を
暫しの静寂の後、アシドの身体が解けるように崩れ始めた。彼の存在が、骸の海へと零れ落ちていく。
自身の様子に気付いたアシドがどこか満足そうに瞼を閉じようとした時、その眼前を一匹の蒼い蝶が横切った。
蝶はそのまま天窓から大空へ。蝶を視線で追っていたアシドは、天窓から差し込む光に目を細める。
……いつしか天窓からの景色を覆っていた雲は晴れ、そこには一面の青空が広がっていた。
「……そうか、この景色も……これが、最後か」
この広間で、数えることも出来ぬほどに眺めた景色。
無味で、無為で、無価値だと思っていた時間がどういうわけか、
「あぁ、こんなにも――」
彼の言葉は最後まで紡がれることなく風に乗り、彼の肉体と共に解けていく。
懈怠に瞼を閉ざしていた竜は、瞳に大空を映したまま空へと還った。
戦いの痕の刻まれた広間に残されたのは一人。
蒼玉の輝きを放つ彼はアシドの最期を見届けると、天空城を散策するため、高らかに踵をならしながら最奥広間を後にした。
天空城の各所では、猟兵達が宝探しに勤しんでいた。
ある者は此度の冒険を思い出しながら戦利品を空に翳し、
ある者は土産になりそうな宝を探し求め、
ある者は友と共に、新たな友への労いの品を探す。
そして猟兵達の中には宝を探さずに思い思いの時を過ごす者達も居る。
彩り豊かな灯火を風に揺らす者、
大声量を空に響かせる者、
高らかに歌を歌う者
還っていった竜へと思いを馳せる者。
天空城の散策をしていた彼が遂にその全てを巡り終え……
辿り着いた天空城の頂上から見上げた空には雲ひとつなく、
ただ、どこまでも蒼かった。
大成功
🔵🔵🔵