●
UDCアースの陰には、様々なUDC……アンディファインド・クリーチャー達が潜む。
それらは、偶発的に。邪悪な教団の暗躍によって。都市伝説が具現化したことで。意味不明なオブジェクトからきっかけを伴って。
様々な要因によって、UDC怪物が出現し、それらを束ねる邪神が復活している。
これまで、猟兵達は多数の邪神復活を阻止してきた。
だが、猟兵達の予知が及ばぬところで、これまでに何体もの邪神がすでに復活していたらしい。
「それがわかっただけでも、私達としては進歩ではあると思うのだけれど……」
グリモアベースにて、金髪エルフのグリモア猟兵、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)が猟兵達へとそう話す。
ただ、「完全なる邪神」は、UDCアース上のどこにも存在しないことも判明している。
どうやら、邪神よりも遥かにおぞましき存在が邪神どもを自らの領域にしまい込んだのだという。星辰揃いしときに始まるという「大いなる戦い」の為に……。
「ここで、猟兵の儀式魔術【Q】によって、その領域に至る鍵の存在を暴き出すことができたの」
鍵の形は多種多様であるらしく、様々な形状と大きさとなっている。
セレインが見たのは、住宅地にある何の変哲もないマンホールなのだそうだ。
「そこに飛びこむことで、完全なる邪神が棲まう『超次元の渦』へ私が皆を転送するわ」
『超次元の渦』とは、光り輝くエネルギーに満ちた、UDCアースのどこにあるのかは分からない超空間だ。
光り輝く銀河の中心のような場所で、重力も働かぬ場所。
そこで、邪神との戦いを繰り広げることとなる。
「完全なる邪神は3つの形態を持っているわ」
まずは、多数の羽根の生えた女性を思わせる姿を取り、一度に襲い掛かってくる。
個々の敵がボス格の強さを持っており、一度に複数を相手にすれば、さすがの猟兵も勝つのは難しい。
多数の敵を同時に相手にせぬように、かつなるべく多くの敵を倒せるような工夫があると、敵のダメージを与えられるはずだ。
「ある程度ダメージを与えると、その敵全てが融合して、1体の邪神へと変身するわ」
こちらも、女性を思わせる全く別の姿をした邪神の姿をしている。
非常に強大な敵だが、先の戦いで多くの敵を倒していれば、その分この邪神の戦闘力は弱体化するので、覚えておくといいだろう。
さらにダメージを与えれば、2形態目の邪神の中から脱皮する形で第3形態となって現れる。
現状、詳細は不明だが、ユーベルコードによる先制攻撃を行ってくる為、何らかの対処を行う必要があるだろう。
一通り説明を行ったセレインは、UDCアース某所の住宅地へと猟兵達を呼び寄せる。
「それでは、皆の健闘を祈っているわ」
彼女はさらに、そのマンホール内へと飛び込む猟兵達を戦いの場へと転送していくのだった。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
こちらのシナリオは、「【Q】UDCアースにて『完全』に復活した邪神討伐」から予見されたシナリオです。
完全なる邪神のうちの1体を、ここで討伐願います。
第1章は、『レクシア・『ナインズ』』とのボス戦であり、集団戦。
第2章は、『『処女卿』ヴァーゴ』とのボス戦。
第3章は、『かみさま』の討伐を願います。
まずは、無数の個体に分裂した完全なる邪神、レクシア・『ナインズ』の集団の討伐を願います。
一度に複数を相手にするとまず勝てないので、大量のボスと同時に相手せぬよう、かつ、なるべく多くの邪神が討伐できるよう戦っていただきますよう願います。
第1章は14日からの執筆を予定しています。14日朝8時半までにプレイングを頂けますと幸いです。その後はできる範囲で採用させていただきます。
章間はプレイングの幅を広げる為の情報を加筆します。
その最後に、次の締め切りに関しまして記述させていただきますので、ご確認の上でプレイングを頂けますと幸いです。
なお、第1章も公開後、加筆を致します。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 ボス戦
『レクシア・『ナインズ』』
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POW : 制限解除
【光の剣を無数に生成して操り、膨大な魔力】に覚醒して【高圧電流を纏う。そして対象と同じ姿】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD : ZⅨ-「ソラの呼び声」
【対象を洗脳・催眠し、思い通りに行動させて】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : ZⅨ-「ソラ駆け」
レベル分の1秒で【相手の死角に転移して回避し、無数の光の刃】を発射できる。
イラスト:透人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「レクシア・ノーレッド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
依頼を受け、マンホールへと飛び込んだ猟兵達。
そこは、光の渦が集まるような空間。
UDCアースにいたはずなのに、まるで宇宙空間にでもいるような感じを抱く猟兵達はそこで、多数の敵影を確認することとなる。
「こんなところまでやってくるとは……」
「猟兵、やはり侮れぬ存在……」
それらは緑色の長い髪で顔を隠し、背には多数の光の刃を持っていた。
彼女達は……いや、こう見えて男性のようなのだが、彼らはレクシア・『ナインズ』と呼ばれる元・実験体だ。
洗脳、催眠、転移を得意としており、個々の能力ですらもボス格並みだという。
「だが、わざわざ我らの領域に飛び込んでくるとは」
「返り討ちにしてくれよう」
集団で現れているこの状況は、非常に危険だと言わざるを得ない。
逃げ場もない敵の領域へと突入してきているのだから、やむを得ない状況なのだが……。
身を隠す物もない空間だが、一度に集団を相手にせぬよう上手く立ち回りたい。
その上で、なるべく多くの敵を倒せる手段があれば、この後の戦いが楽になるとのことだが……。
「逃がしはしない」
「我らの光の刃で、その体を貫いてくれよう」
ただ、この敵の状態は第1形態でしかない。この戦いですら前哨戦でしかないのだ。
猟兵達はまず、分裂した状態となった邪神達へと戦いを挑む……。
(※プレイング受付は、10月14日8時30分までの予定です。その後に受付分は間に合う分のみの対応となります)
カタリナ・エスペランサ
大軍相手に真っ向勝負、上等だね!
アタシも自分の強みを最大限に活かすとしようか
UC【天災輪舞】を発動して加速、自慢の翼で縦横無尽に《空中戦》を展開するよ
催眠には《催眠術+精神攻撃+オーラ防御+気合い》の技術を応用して対抗、直接攻撃には《戦闘知識+見切り+早業》で対処かな
《目立たない》よう《存在感》を制御しつつ高速移動で無数に生み出す《残像》の中に紛れ、雷羽の《属性攻撃+マヒ攻撃+生命力吸収+範囲攻撃+乱れ撃ち+制圧射撃》をばら撒いていく
命中と同時に拡散する炎と雷で燃え尽きるまでその身を焼き続け、更に痺れさせて動きを封じるよ
敵が反撃しようとした時には既に遠く駆け抜けた後、そんな立ち回りを意識しよう
ユーフィ・バウム
※アドリブ・連携歓迎
神でも邪悪ならば、滅ぼすまでです
蛮人らしく、蹂躙して
培った【戦闘知識】、天性の【野生の勘】を駆使し
敵の動きを把握
【空中戦】【ダッシュ】を生かしての
鋭く移動しつつのヒットアンドアウェイ戦法で
敵を1体1体攻撃し、集団から引き離し確固撃破
【属性攻撃】で風の属性を武器に付与しつつ、
【鎧砕き】の力強い一撃を捩じ込む
孤立や突出を避け多くの敵から狙われないように戦う
敵の攻撃は致命的な一撃を避けた上で
【オーラ防御】で受け凌ぐ
しのいで、お返し!
【力溜め】つつ【怪力】を
活かしての《トランスバスター》
めいっぱい力強く叩き込む
UC使用後は【ダッシュ】で離れ、敵から
集中攻撃を受けないように注意します
紗咲・亜闇
完全復活した邪神……いずれ戦うことになる闇の神との前哨戦に相応しい敵だ!こっちの邪神の方が強そうだけど!
光のヨーヨーを【クイックドロウ】で早撃ちして【衝撃波】で1体だけ吹き飛ばす!【2回攻撃】で同じことして更に吹き飛ばす!これだけやれば孤立させられるだろ!
無数の光の剣は【誘導弾】の特性を持ったヨーヨーで【なぎ払い】、【武器落とし】で叩き落としてこっちまで来させない!
本体も【鎧砕き】もできる威力のヨーヨーで砕いてやるさ!
高圧電流は【覚悟】を持って自分を【鼓舞】すれば【激痛体制】もつくはず!お前もその技、かなり無理してんだろ?我慢比べだ、邪神様!私はUDCアース最強のスケバン(自称)だぁーっ!!!
メンカル・プルモーサ
……複数相手取ると危険……と来れば……
まずは【愚者の黄金】や【面影映す虚構の宴】により実態と幻覚の壁を幾つも作成…分断と時間稼ぎをするよ…
…そして分断した一体に向けて意図的に死角をつくって【空より降りたる静謐の魔剣】を発射…
…意図的に作った死角には遅発連動術式【クロノス】により拘束術式を仕込んだ印を予め設置…●ZⅨ-「ソラ駆け」で死角に移動した敵を拘束するよ…
…あとは拘束した敵に【連鎖する戒めの雷】を全力魔法で叩き込む…
…同じ性質の対象に伝播するから他のレクシアにも雷が伝播して動きを封じることが出来るはず…
…動きが止まったレクシアを【煌めき踊る銀の月】で切り刻むよ…
アノルルイ・ブラエニオン
「完全なる邪神だと! それは歌の題材だ!」
この事件に対して興奮が押さえ切れぬ!
まずは弓を射て回避させ、敵にUCを使わせる!
死角を突く、とあらかじめ解っているのだな
ならば転移する場所は絞れる
そして死角は無くすことが出来るのだ
矢を放った直後、横向に転がって前に移動するぞ
こうすることで360度が見渡せる
そして一瞬でも転移後の敵の姿を認めたなら防御の姿勢を取り
被弾面積を最小限にして凌ぐ
私に防御させたな?
では語ろう!
「おお ソラを駆けるもの 不可視にして迅速なる死の手!」
語ることで敵のUCを再現
同じ事をしてやるのだ
我が歌の種となれ!
秋月・信子
・WIZ
マンホールの中にこんな空間が…いえ、ここが『超次元の渦』
そして…出迎えたのは無数の邪神達ですか
事前に補給品も一緒に落として突入しましたが、いつ回収できるかも分かりませんしここで弾を浪費するわけにも行きませんから、攻撃を躱しつつ生じた隙を【見切り】、的確に一体ずつ眉間をハンドガンで撃ち抜いていきます
(来たわよ、正面を12時として5時と7時の方向。これで勝ったような顔をしてるから、傲慢な邪神の鼻をへし折ってやんなさい)
頭に語るは影に身を隠す【影の助言者】
瓜二つだから『姉さん』と呼んでいる私の二重身からの忠告通りに振り向きざまの【カウンター】で【破魔】の魔弾を撃ち当てます
※アドリブ&連携歓迎
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UDCアース某所のマンホールへと飛び込んだ猟兵達。
そこから転送された先は、光が渦巻く不思議な空間だった。
「マンホールの中にこんな空間が……。いえ、ここが『超次元の渦』」
清楚な身なりをした秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は、やってきた不思議な空間を見回す。
重力はなく、メンバー達はふわふわと体が浮かび上がび上がらせて前方へと移動して。
「そして……、出迎えたのは無数の邪神達ですか」
信子の前には、無数の光の剣を羽根の様に背にしたレクシア・『ナインズ』達が待ち構えていた。
「こんなところまでやってくるとは……」
「猟兵、やはり侮れぬ存在……」
緑色の髪の中からこちらを見てくる少女達。……いや、実験体だった過去を持つそれらは、男性体であるらしい。
膨大な魔力を持ってオブリビオン化した彼らは、完全なる邪神の分裂体となっていた。
「完全なる邪神だと! それは歌の題材だ!」
浮世離れした風貌をしたエルフの吟遊詩人、アノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)は今回の1件に興奮が抑えられないのか、『詩人のリュート』を響かせる。
「完全復活した邪神……いずれ戦うことになる闇の神との前哨戦に相応しい敵だ!」
セーラー服を纏う漆黒の髪を揺らし、紗咲・亜闇(相克のスケバン・f21822)も灰色の相貌で倒すべき敵を見据え、笑みを浮かべる。
もっとも、亜闇は目の前の邪神達の見た目だけでも、その強さを肌で実感してもいた。
「大軍相手に真っ向勝負、上等だね!」
前方に見える沢山の敵に、翼を持つ人狼少女、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)も気合十分。
「アタシも自分の強みを最大限に活かすとしようか」
翼を広げたカタリナが空間の中で飛翔すると、敵は一斉に構えを見せて。
「逃がしはしない」
「我らの光の刃で、その体を貫いてくれよう」
そんな集団に、ツインテールとした銀髪に日焼けした肌のユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)が言い放つ。
「神でも邪悪ならば、滅ぼすまでです」
蛮人らしく蹂躙すべく、ユーフィもまた邪神の分身達との戦いに挑むのである。
●
UDC怪物、レクシア・『ナインズ』。
それらは、洗脳・催眠・転移を得意としているという。
単体であれば、より多くの対処法を講じたことができたかもしれないが、今回はそれが多数。迂闊な攻撃では、あっさり返り討ちにされてしまいかねない。
「……複数相手取ると危険……と来れば……」
向かい来るレクシア達の群れに、ガジェット研究者の一族である眼鏡少女、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が言葉を紡ぎ始める。
「世に漂う魔素よ、変われ、転じよ。汝は財貨、汝は宝物、魔女が望むは王が呪いし愚かなる黄金」
それだけで、メンカルの詠唱は終わることなく。
「我が記憶よ、戯れ、演じよ。汝は役者、汝は舞台。魔女が望むは想いより出でし虚ろ影」
【愚者の黄金】、【面影映す虚構の宴】と2種のユーベルコードによって、実体と幻覚の壁をいくつも作成していくことで、メンカルは敵の集団を分断し、時間を稼ぐ。
見える壁と見えない壁に遮られるレクシア達へと、メンバー達は仕掛ける。
それでも接近しようとしてくる敵を迎え撃つべく、カタリナは【神殺しの蒼雷】を纏って。
「ふ、ふふ、あはははははっ!」
笑いながら加速するカタリナは自慢の翼を羽ばたかせて加速し、縦横無尽にこの『超次元の渦』を高速で飛び回っていく。
「させはしない」
「我らの呼び声、受けるがいい」
レクシアはすぐさま得意の呼び声で彼女を洗脳し、催眠状態にしようとしてくる。
敵数体が発するそのユーベルコードに対抗すべく、カタリナも催眠術と精神攻撃の技術を応用しつつ、オーラ防御を展開した上から気合で防いでいた。
多数展開する敵に、猟兵達はそれぞれ対処に当たって。
アノルルイは迫りくる敵へと『イチイの弓』を射て、敵に敢えて攻撃を避けさせた。
「死角を突く、とあらかじめ解っているのだな」
それによって、敵の転移場所を絞るアノルルイは横向きに転がってから、前に移動していく。
アノルルイはすぐ自らの周囲を見回し、転移したレクシア達の位置を把握する。
「これで、死角はなくすことができるのだ」
その後、アノルルイは敵の飛ばす【無数の光の刃】を凌ぐべく防御姿勢をとることで、被弾面積を最小限にしていた。
こちらは、補給品と合わせて『超次元の渦』へとやってきた信子。
ただ、それをいつ回収できるか分からない為、弾丸を浪費するわけにもいかない。
空間の中、レクシア『ナインズ』は散開して猟兵達へと襲撃してきており、信子にも向かって来ている。
こちらにも数体が死角からの攻撃を仕掛けてこようとしており、無数の光の刃を展開していた。
襲い来る刃を何とか見切りながら躱しつつ、1体ずつ『ハンドガン』で狙い撃っていくのだが、何せ相手はボス格が数体。
さすがに、全ての刃を見極めるには限界がある。
(ったく、なにしてるのよ)
そこで、ユーベルコード【影の助言者】が発動して、影に身を隠す存在が信子へと語り掛ける。
「姉さん」
自分と瓜二つとあって信子は姉と呼んでいるが、正しくは彼女の二重身で本当の姉というわけではない。
(ほら来たわよ。正面を12時として、5時と7時の方向)
飛んでくる刃を見ずに、信子は左に身を反らしてそれらの刃を避けてみせる。
「なに……?」
驚くレクシアが呆けていたのを受け、彼女の二重身がさらに語り掛ける。
(これで勝ったような顔をしてるから、傲慢な邪神の鼻をへし折ってやんなさい)
敵が後方にいることを察した信子は、カウンターとして破魔の魔弾をレクシアの頭へと命中させていた。
亜闇もやはり数体の敵に絡まれており、どう逃れるかと考えて。
「光あれ! このヨーヨーに!」
彼女が具現化したのは、視覚可能な光のヨーヨー。
それを前方へと早撃ちすることで衝撃波を放ち、レクシアを1体だけ大きく突き飛ばす。
連続して衝撃波を放つことで、亜闇は直接相手する敵の数を減らしていく。
「これだけやれば、孤立させられるだろ!」
とはいえ、それは一時的な処置に過ぎない。
無数の光の剣が飛んでくるのは変わらず、亜闇はそれらをヨーヨーに【誘導弾】の特性を持たせて片っ端から薙ぎ払い、【武器落とし】の技能も生かして叩き落とす。
その合間に隙を見て、彼女はレクシア本体目がけて鎧すら砕く威力のヨーヨーをぶつけ、レクシアの胸や胴に打撃を与えていく。
強力な一撃を与えることで、それだけ敵の光の剣の操作が鈍っていたようである。
亜闇はしばらく丁寧な立ち回りを続け、相手にする敵を減らしていた。
ユーフィも複数のレクシア『ナインズ』と相手をしていたが、培った戦闘知識と天性の【野生の勘】を駆使して敵の動きの把握に努める。
とにかく、一度に相手をしないよう、ユーフィは装備の力でこの空間を鋭く動き、ヒットアンドアウェイで敵を個別に攻め立てる。
1体1体をつり出しながらも、ユーフィは狙った敵目掛けて大剣『ディアボロス』に風を纏わせて刀身を力強く叩きつけていく。
そのままでは、敵の的。
飛んでくる光の刃を【オーラ防御】で堪えて距離を取り、ユーフィは次なる攻撃のタイミングをはかっていた。
そうして、他の仲間達が敵集団を相手にしている間、メンカルは自らが分断した敵の内の1体へと向け、意図的に死角をつくる。
「停滞せしの雫よ、集え、降れ。汝は氷雨、汝は凍刃。魔女が望むは数多の牙なる蒼の剣……」
発射していく300弱の氷の剣は攻撃ではあるが、メンカルにとっては囮でしかない。
それを避けたレクシアがメンカルの死角へと悠然と転移してきて。
「おろかな、もらうぞ……な、何?」
だが、メンカルはそこに遅発連動術式【クロノス】によってすでに拘束術式を仕込んだ印を設置していた。
さらに、メンカルは新たな魔法陣を無数に展開して。
「紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷」
彼女は全力で電の鎖を伸ばし、それをレクシアの体へと絡みつかして全身に電撃を与えていく。
「ぐおおおおおおっ!」
まだ、それで倒れる敵ではない。
メンカルは更なる一撃を与えようと、愛用の杖『シルバームーン』を手にして別のユーベルコードの詠唱を始めるのである。
●
レクシア『ナインズ』の数が多いこともあり、猟兵達もほぼ個別で応戦する状況が続く。
ただ、それぞれが効果的な対処をしていることは大きく、結果的には各メンバーの相手取る敵が減っていたのは間違いない。
それもあって、個々のメンバー達は少しずつ敵を叩いて。
仲間達が立ち回る間、カタリナは【目立たない】よう【存在感】を制御し、高速で移動しつつ【残像】を生み出していく。
「さぁ、最っ高のパフォーマンスで魅せてあげるよ!」
それらの【残像】をデコイとして身を隠すカタリナは、雷を纏わせた羽を広範囲へとばら撒いていく。
乱れ撃つ羽は刺さって雷撃を与えるだけではなく、命中と同時に拡散する炎と雷は相手が燃え尽きるまで焼き続けようとする。
その間に羽は体力を奪い取り、さらに相手を麻痺させ、動きを押さえつける。
「そろそろ動けるようになる頃かな」
敵の動きを封じる間に、カタリナは反撃を受けぬようその場から飛び去っていく。
「ぐ……」
「おのれ、姑息な真似を……」
敵がカタリナの姿を捉えた時には彼女は遠くまで駆け抜けており、光の剣による射程から逃れてしまっていた。
敵の光の刃に耐えていたユーフィは力を溜めつつ、攻撃が途切れるタイミングを待ちに待って。
「しのいで、お返し!」
力の限り、ユーフィは至近距離から目いっぱい拳を叩き込む。
「ぐおおおおっ……!」
後方へと崩れ落ちるレクシア。
しかし、1体倒したところでまだ敵はいる為、ユーフィは【ダッシュ】でその場から距離をとっていく。
その近場では、亜闇の姿をとったレクシアが高圧電流を纏い、亜闇本人へと襲ってきていて。
「大丈夫だ、私ならやれる……!」
覚悟を持って自らを鼓舞する亜闇は、迫ってきた敵が繰り出す光の刃に切りつけられてなお、その激痛に耐えて。
「お前もその技、かなり無理してんだろ?」
「……だから、どうした」
多少の威嚇にも怯まぬ敵。
「我慢比べだ、邪神様!」
刃の痛みを堪える亜闇はなおも、レクシアへと叫びかけて。
「私はUDCアース最強のスケバン(自称)だぁーっ!!!」
光のヨーヨーで、彼女は自らの姿をとったレクシアの体を粉砕していった。
アノルルイもまた敵の光の剣を防いでいて。
「私に防御させたな? では、語ろう!」
それを言葉にすることで、アノルルイはそのまま相手のユーベルコードを返すことができるのだ。
「おお ソラを駆けるもの 不可視にして迅速なる死の手!」
高らかに語った直後、アノルルイは相手の死角へと転移して敵の光の刃を避けてみせ、逆に敵のユーベルコード『ソラ駆け』を再現して。
「我が歌の種となれ!」
光の刃を展開仕返すことで、アノルルイは敵の体を切り裂いてしまう。
敵の動きが止まれば、信子がハンドガンで1人ずつレクシアの眉間に弾丸を撃ち抜き、完全に仕留めてしまっていた。
こちらは相手を拘束していたメンカル。
彼女のユーベルコード【連鎖する戒めの雷】は、同じ性質の対象に伝播する。
つまり、他のレクシアにも雷が伝播していくということだ。
「時間はかかったけれど、今なら」
仲間達へと呼び掛けたメンカルは、敵が集まる場所で自らの愛杖を単分子の花びらへと変えて。
「我が愛杖よ、舞え、踊れ。汝は銀閃、汝は飛刃。魔女が望むは月の舞い散る花嵐」
動きが止まったレクシアを、彼女は纏めてその花びらで切り刻んでいくのだった。
多数のレクシア『ナインズ』を相手にしていた猟兵達だったが、傷つきながらもそのほとんどの敵を倒してみせたのである。
大成功
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第2章 ボス戦
『『処女卿』ヴァーゴ』
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POW : 輝き教えてーポリマちゃんー
【光り輝く女神を召喚。自分と女神の観察眼で】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD : 輝き教えてースピカちゃんー
対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【周りが見えなくなる程輝く星の光】が出現してそれを180秒封じる。
WIZ : 輝き教えてー銀華豊穣のお庭ちゃーん
自身の【召喚した、光輝く小麦畑の守護】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
イラスト:安子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アルム・サフィレット」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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完全なる邪神が棲まうという『超次元の渦』。
UDCアースのマンホールへと飛び込んで転送されてきた猟兵達は、重力もなく体が浮かび上がるこの空間にいたレクシア・『ナインズ』の集団……邪神の分裂体をほとんど討伐することができた。
態勢を整えつつ、メンバー達は推移を見守っていると……。
「そうか、これでは勝てないか」
猟兵達が倒したその遺体がゆっくりと動き出す。
倒したと思った分裂体は何かに操られるように集まっていって。
「なら、これでどうかな?」
レクシア達は次々に一つの塊となるよう吸収されていく。
まるで、大きな粘土がこねられるように、それらは大きく変形して。
やがて、それはまた人型をとっていくが、レクシアとは全く違った姿でまたも女性を思わせる姿をとっていた。
「これで、今度は相手するよー」
先程は男性だったのに、今度は正真正銘女性らしい上、性格までも変化しているように思える。
この邪神の名は、『処女卿』ヴァーゴ。
処女卿という呼び名を嫌う彼女は楽しげに笑い、現代情報を求めて社交的に振舞うと言われている。
「さっき、だいぶ分裂体がやられちゃったからねー。ちょっと力が出ないよー」
だが、自らの力を高めて攻撃してくるヴァーゴは、こちらの攻撃を見定めて避けてきたり、見定めたユーベルコードの弱点を指摘することで封じたりして攻め立ててくる。
先程の戦いによって弱体化しているとはいえ、油断ならぬ相手だ。
「輝き教えてー」
ヴァーゴは頭上に星々の瞬きを出現させてから、攻撃を行う。
彼女がその輝きから何か情報を得る前に、一気に倒してしまいたい。
(※プレイング受付は、10月18日8時30分までの予定です。その後に受付分は間に合う分のみの対応となります)
カタリナ・エスペランサ
ん、さっきよりはだいぶ倒しやすくなったね
一息に殲滅できないなら集団より個人の方が都合は良い
まぁあのまま続けてたところで結果は見えてたけどさ!
さっき同様に翼を活かした《空中戦》を展開、《高速詠唱+全力魔法》で《属性攻撃+範囲攻撃+先制攻撃》。光を飲み込む闇の炎をばら撒いて先手を取るよ
尤もこれは目くらましも兼ねた《時間稼ぎ》。
敵の動きは《第六感+戦闘知識+見切り》で警戒しつつ、《目立たない》ように《ダッシュ》で接近してUC【閃紅散華】を発動しよう
この技の弱点は間合い。でも一度射程圏に捉えられた状態からそれを実証する余裕があるかな!
《生命力吸収+怪力+早業》を発揮、斬撃蹴撃羽弾の連続攻撃を叩き込むよ
ユーフィ・バウム
※アドリブ・連携歓迎
形態を変化し、さらに強く……
まさに邪神。けれど、皆さんと一緒ならば、勝つ!
――《戦士の手》と共に!
基本は格闘戦でを狙い、組んでの打撃でダメージを与える
仲間が与えたダメージを更に抉るように打ち込み
【鎧砕き】の一撃としてダメージを与えますよ
相手は邪神。油断なく――
培った【戦闘知識】天性の【野生の勘】を働かせ敵の動きを
出来る限り察知
敵の攻撃は【見切り】で致命打を避けつつ、避けきれないものは
【オーラ防御】【激痛耐性】で耐え抜くスタイル
野生が鍛え上げた体は屈しませんとも!
《戦士の手》を封じられても、ならば【力溜め】つつの
【属性攻撃】に切り替えます。
さぁディアボロス!邪なる神を、砕け!
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞー
輝き教えてー自爆する
輝く前に自爆する
教える前に自爆する
見定められる前に自爆する
敵が口を開く前に自爆する
何よりも速く、速攻で自爆すれば
心配することは何もないよ
登場即自爆
開幕の爆発エフェクトかオチの爆発か
そんな感じのことを担うよ
重要なのはだね台詞よりも自爆することなのですよ
何か喋る前に自爆ですよ自爆
歩くくらいなら自爆ですよ自爆
技能:捨て身の一撃を用いてのオウサツモードによる広範囲自爆
対象は範囲内の敵
強化は攻撃力重視
範囲内に敵がいれば問答無用で即自爆
いなければいないでやっぱり自爆
目眩ましくらいにはなるかな
自爆は1回のみ
自爆後はボロボロの消し炭さ
メンカル・プルモーサ
……む、変身した……長引かせると厄介だから早めに決着を付けないとね……
…星々に攻撃…はちょっとやめた方が良いか……どうなるか判った物じゃ無い……
…ひとまずは牽制から…ふむ…小麦畑の守護の邪魔をするためにも【鳴り止まぬ万雷の拍手】で動きを封じるよ……
…さて、後は…【尽きる事なき暴食の大火】を重奏強化術式【エコー】で威力を高めてぶっ放す……小麦に着弾すればそこから延焼してヴァーゴへとぶつける…
…ヴァーゴの身体能力が上がってきたら方針転換……普通の攻撃では避けられそうだから【縋り弾ける幽か影】を用いてステルス自爆ガジェットによる強襲を狙うよ……
紗咲・亜闇
※アドリブ・連携歓迎
攻撃を観察眼で予想して回避する?なら【目潰し】だ。光のヨーヨーはその名の通り光【属性攻撃】ができる。閃光弾みたいに強烈な光を発生させて目晦ましだ!私が輝きを教えてやるよ!目潰し自体も回避されないよう、完全に女神が召喚される前に【クイックドロウ】で先手を取って目潰しだ。そこまで綺麗にいかなかったとしてもヨーヨーの【誘導弾】の性質でどこまでも【追跡】して必ず光で目を潰す。とにかくまずは目を潰す。1回目を潰したら回復される前にヨーヨーの糸、ライトストリングを鉢巻ぐらいの幅にして、そのまま【ロープワーク】で邪神と女神に目隠しをする。ついでに体も拘束できれば御の字。後はタコ殴りよぉ!
秋月・信子
・SPD
倒した分裂体が集まって…それに性格も別のものに…
でも、その隙に補給品を回収できましたので私達も仕切り直しです
…私の、飛び道具使いと影使いの弱点…?
っ!?
突然現れた周りが見えなくなる程輝く星の光で目が眩み、私の影も払われてしまいました
先ほど倒した分裂体の記憶を持っているのなら…先に情報を得られていましたか
それなら…瞳を蒼く輝かせ【目潰し】された眼のチャンネルを変更
【第六感】の心眼…サードアイ展開
本来は魔弾の力を増幅させる魔眼ですが、それを神性を視る力に代え…サーモグラフィーで見てるように朧げですが【咄嗟の一撃】の【カウンター】で【時間稼ぎ】をします
そして視力が戻れば【早撃ち】で反撃です
●
『超次元の渦』での一戦を終え、態勢を整え直していた猟兵達。
この空間に展開していた邪神の分身体が集まっていき、まるで粘土がこねられるように大きく形を変えていく。
それを注視していたメンバー達も、あの一戦で終わるとは思っていない。ここからが本番だと、皆呼吸を整えて状況の推移を見守る。
やがて、それは人の形を象り、変形を終えた邪神はまたも女性を思わせる姿をとっていた。
その姿は、『処女卿』ヴァーゴと呼ばれる。
「これで、今度は相手するよー」
先程まで相手にしていたレクシア・『ナインズ』達は男性体だったようだが、今度は本当に女性らしい。
邪神にとっては性別など、意味をなさぬものなのかもしれない。
「……む、変身した」
眠たげな表情をした眼鏡の少女、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)が目の前の目標をじっと見据える。
「倒した分裂体が集まって……それに性格も別のものに……」
とある世界の女学園の制服を着用した秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は自らと同時に空間へと持ち込んだ補給品を回収し、仕切り直しに動く。
「ん、さっきよりはだいぶ倒しやすくなったね」
次なる形態が単体相手とあって、旅芸人の人狼少女、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は思ったままを口に出す。
一息に殲滅できぬ相手であれば、集団よりも個人の方が都合はいい。
「まぁ、あのまま続けてたところで結果は見えてたけどさ!」
自信ありげに語るカタリナ。
実際、目の前の邪神はその力にしっくりいっていない様子。
「さっき、だいぶ分裂体がやられちゃったからねー。ちょっと力が出ないよー」
先程の戦いでかなりの分裂体を倒しており、猟兵達が相手の力を削いだのは間違いない。
しかしながら、目の前の敵はそれでもなお有り余る強大な力を放っている。
「形態を変化し、さらに強く……まさに邪神」
長い銀髪をツインテールとした褐色肌の少女、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は邪神の力を肌で実感して。
「けれど、皆さんと一緒ならば、勝つ!」
それでもなお、目の前の難敵に立ち向かう姿勢を見せる。
傍にいたセーラー服着用の紗咲・亜闇(相克のスケバン・f21822)も引く様子なく、出現させた光のヨーヨーで仕掛けるタイミングをはかっていた。
「輝き教えてー」
対するヴァーゴは頭上に星々の瞬きを出現させ、何か情報を得ようとする。
猟兵達はそれを受け、それぞれ攻撃に出ていった。
そこへ、新たにこの空間へと現れる1人の猟兵。
ブラックタールらしき猟兵は素早く、敵へと接近していく。
●
『超次元の渦』の頭上に出現した星々はあちらこちらで瞬き、何かを示す。
「ふむふむー」
第2形態『処女卿』ヴァーゴの姿をとった邪神は、光から情報を得ている様子。
このヴァーゴが得意としているのは相手の力を封じ、自らの力を高めて身体技能で相手を攻め崩す戦法だ。
「……長引かせると厄介だから、早めに決着を付けないとね……」
そう判断したメンカルはまず、ヴァーゴが情報を得ている星々を見上げる。
あちらこちらで煌めく星々はどのように語り掛けているかはわからないが、確実にヴァーゴへとこちらが不利になる情報を与えているはずだ。
(「……星々に攻撃……はちょっとやめた方が良いか……」)
下手に藪をつつくと、蛇が出かねない。
どうなるものか判ったものではないと考えたメンカルがひとまず牽制をと思い立った直後、ヴァーゴはすでに動き出していて。
「あんたの弱点はー、強い光ならどうかなー?」
「……私の、飛び道具使いと影使いの弱点……?」
そこで、星々が急激に輝き始め、信子を中心に目を眩ませようとする。
「……っ!?」
信子は得意とする射撃、そして姉と呼ぶ二重身が潜む影を使う。
邪神は強烈な光によって、それらを同時に封じようとしてきたのだ。
光によって目が眩んでしまった信子。影も払われ、姉の声は聞こえてこない。
(「先ほど倒した分裂体の記憶を持っているのなら……先に情報を得られていましたか」)
それならと、信子は別の策を講じ始めていた。
「攻撃を観察眼で予想して回避する? なら、【目潰し】だ」
一方で、亜闇は逆にヴァーゴの目を潰そうと動く。
彼女が素早く【クイックドロウ】で放つ光のヨーヨーは、その名の通りに光の【属性攻撃】が可能だ。
「私が輝きを教えてやるよ!」
回転しながら宙を飛ぶ光はまるで閃光弾のごとき光を発して、邪神の目を眩ませようとする。
「おっと、輝き教えてー。ポリマちゃんー」
ヴァーゴは光り輝く女神を呼び出し、その亜闇の攻撃を避けてしまう。
亜闇もそう簡単に命中するとは思っていない。
ヨーヨーに【誘導弾】の性質を付与することで、彼女は逃げるヴァーゴの目を光で潰そうとどこまでも【追跡】していく。
そこで、相手が不利を装って光輝く小麦畑の守護を呼び出さぬようにと、メンカルが詠唱を始めて。
「観測せし虚像よ、沸け、轟け。汝は観客、汝は賞賛。魔女が望むは舞台を止めし大喝采」
すると、空間を移動するヴァーゴを照らす閃光、そして、轟音の幻覚を放つ。
「おおっとー」
光で目が眩んだヴァーゴは、呼び出した女神へと攻撃の予測手段を問う。
確かに、邪神は次なるメンカルの攻撃は避けられるだろう。
「視覚を潰すって考えは、皆一緒だったようね」
その時、頭上から翼を羽ばたかせてきたカタリナが強襲してくる。
亜闇の光の一撃を邪魔せぬようタイミングをはかっていたカタリナは、自らの技能を駆使して高速詠唱していた。
完成された魔法はヴァーゴが呼び出した光り輝く女神すら飲み込む闇の炎となり、周囲へとばら撒かれていく。
「まだまだー、この程度ならやれるよー」
闇に飲まれて女神が姿を消してしまうが、一時的に視界を奪われて瞳を閉じたヴァーゴは微笑を浮かべ、余裕を崩す素振りは見せない。
「輝きを教えてー」
再度、星々の瞬きへと呼び掛けるヴァーゴ。
――輝き教えてー、自爆する。
――輝く前に自爆する。
――教える前に自爆する。
そんな邪神へと、何かが接近してきた。
猟兵達も、それにしばし注目して。
――見定められる前に自爆する。
――敵が口を開く前に自爆する。
名状しやすきもの。体は名を表す『うつろぎ』の体現者。
虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)は次の光が煌めく前にと、敵へと突撃する。
「何よりも速く、速攻で自爆すれば、心配することは何もないよ」
ヴァーゴの注意は他メンバー達に向いており、接近してくるうつろぎには向いていない。
「重要なのはだね、台詞よりも自爆することなのですよ」
自爆前にユーベルコードによって興奮し、うつろぎは自らの力を最高潮にまで高めていく。
そんな彼の態度に、元からいた猟兵達は唖然としてしまって。
最初から、うつろぎには戦略も減ったくれもない。
技能『捨て身の一撃』×自爆。これあるのみ。
「鏖殺領域展開 一爆鏖殺執行」
彼は目が眩んだヴァーゴ目がけて特攻し、問答無用で大きな爆発を巻き起こす。
すでに、他の猟兵が目晦ましをしていたこともあって、うつろぎ本人が思うような効果は出せなかったが、何が起こったのかすらも理解できていないヴァーゴは全身をぼろぼろにしてしまって。
「な、何があったか教えてー」
なお、特攻自爆したうつろぎはボロボロの消し炭に。ヴァーゴが彼に気づくことはないだろう。
ただ、ヴァーゴは少しずつ目を開き、視覚が戻りかけてきている。
刹那、いきなり現れて特攻自爆した猟兵に唖然としていたユーフィも我を取り戻し、さらにヴァーゴを攻め立てていく。
「――【戦士の手】と共に!」
彼女の戦闘スタイルは格闘戦。
至近で自爆を受けたヴァーゴへと組みつき、ユーフィは力強く殴りつけていく。
鎧砕きの技能も生かし、彼女は痛烈な一打をヴァーゴへと見舞う。
(「相手は邪神。油断なく――」)
大ダメージを受けているのは間違いないが、相手は不利になることで強化するユーベルコードがある。最後まで油断はできない。
先程、敵の強烈な光に目を灼かれていた信子は瞳を青く輝かせ、【目潰し】された眼のチャンネルを変更していた。
――【第六感】の心眼……サードアイ展開。
本来、そのユーベルコードは魔弾の力を増幅させるものだが、神性を視る力に代えて。
(「……サーモグラフィーで見てるように朧げですが」)
信子は【咄嗟の一撃】で、ヴァーゴへと銃弾を撃ち込んでいく。
敵は何もしてはこないが、信子は【カウンター】の構えも崩さず、狙撃を続けて視界が戻るまで【時間稼ぎ】する。
カタリナも好機とみて、仲間達が注意を引きつける間に【目立たない】よう【ダッシュ】で接敵していく。
「この技の弱点は間合い。……でも」
まだ、ヴァーゴの視覚が完全に戻っていないことを察したカタリナが言い放ち、『ダガー』から伸ばした紅雷の刃を輝かせて。
「一度、射程圏に捉えられた状態から、それを実証する余裕があるかな!」
【早業】で攻める彼女は【怪力】で、斬撃蹴撃羽弾の連続攻撃を叩き込む。
それぞれの一撃に【生命力吸収】の力を籠め、カタリナは止むことなくヴァーゴを攻め立てていたのだが……。
「……! 皆さん、逃げてください!」
そこで、ユーフィがこれまで培った【戦闘知識】と天性の【野生の勘】を働かせて危機を悟り、仲間達へと注意を促す。
一斉にメンバー達が距離をとると、両目を開けたヴァーゴが呼びかける。
「輝き教えてー、銀華豊穣のお庭ちゃーん」
ヴァーゴはこの場に、光り輝く小麦畑を出現させた。
敢えてボロボロになった自身がこの畑を護るよう動けば、条件は整う。
「さてー、ここからだよー」
息は荒くしていたが、邪神にこれまでにない力を感じ、猟兵達は警戒を強めるのである。
●
邪神第2形態、『処女卿』ヴァーゴ。
その体はすでにボロボロになり、息をかなり荒くはしている。
この形態を追い詰めてきているのは間違いないが、ここにきてヴァーゴは自らの力を高めていた。
「輝き教えてー」
再び、そいつは女神を出現させようとするが、猟兵達がそれを許さない。
飛び込むユーフィが本気で肉弾戦を仕掛けてきたヴァーゴの攻撃を【見切り】で避け、仲間の壁となり始める。
「野生が鍛え上げた体は屈しませんとも!」
邪神の拳や蹴りに対抗し、ユーフィは【オーラ防御】と【激痛耐性】でなんとか耐え凌ぐ。
その間に、他のメンバー達が一気にヴァーゴを仕留めにかかる。
再度、飛び込むカタリナが斬撃蹴撃羽弾の連続攻撃を浴びせかけていき、信子も『ハンドガン』で邪神を【早撃ち】して傷を増やす。
「ちょっとマズイねー」
そんな言葉にすら、まだ余裕を感じさせるヴァーゴ。
そいつへと亜闇が光のヨーヨーの糸『ライトストリング』をハチマキぐらいの幅にして。
「これならどうだ!」
亜闇はそれをヴァーゴの目の部分へと目隠しさせる。
さらに糸の余剰分を使い、彼女は敵の体を拘束していく。
「おおっとー」
「後はタコ殴りよぉ!」
『闇の木刀』へと持ち替えた亜闇も攻撃に加わる中、メンカルは詠唱を始めて。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
巻き起こる60弱の炎は『重奏強化術式【エコー】』によって威力を高め、ヴァーゴだけでなく、彼女が召喚した小麦畑にまで着弾して燃え広がっていく。
交戦の最中でも、ヴァーゴはにやりと口元を吊り上げる。
「輝き教えてー」
メンカルだけでなく、ユーフィのユーベルコードに対し、ヴァーゴは弱点を指摘しようとするが、その前に大剣『ディアボロス』を抜いた彼女が力を溜めて。
「さぁ、ディアボロス! 邪なる神を、砕け!」
その刀身にメンカルの炎を纏わせ、ユーフィはありったけの力で叩きつけていく。
「っと、これは、さすがにー……」
そこで、ヴァーゴの体がどろりと溶けてしまった。
【自爆機能付きガジェット】の準備もしていたメンカルだったが、それには及ばず。
まだ討伐には至らぬ完全なる邪神の更なる動きに、一行は注視するのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『かみさま』
|
POW : ここにいようよ
全身を【対象にとって最も傷つけたくないものの姿】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : やくそくしよう
【指切りげんまん。絡める小指】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
WIZ : きみがだいすきだ
【対象が望む『理想のかみさま』の姿と思想を】【己に投影する。対象が神に望むあらゆる感情】【を受信し、敵愾心を失わせる数多の言葉】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
イラスト:透人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠メドラ・メメポルド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
邪神第2形態『処女卿』ヴァーゴを倒して。
猟兵達はなおも変形する邪神を注視する。
大きく変形していくその中から脱皮するようにして姿を現したのは、もはや男性や女性といった性別すらも感じさせぬモノだった。
「これがさいごだ」
邪神はまさに、かみを思わせる偶像といった姿をとる。
変形直後は、柱のような黒い塊に、瞳がついた頭部がついた形をしていた。
ただ、一度ユーベルコードを使えば、邪神は自らを猟兵が思い描く姿へと変えることができる。
この邪神『かみさま』はさらに、ユーベルコードによる先制攻撃を行ってくる。
例えば、差し出す指を相手に絡めて「うごくな」などと一方的にルール宣告し、それを相手が破ることで壊滅的なダメージを与えてくる。
また、皆が傷つけたくないと思う誰かの姿をとったり、または理想のかみの姿をとって敵愾心を失わせる言葉を放ったりする。
相手が怯む隙を見たかみさまは瞬時に元の姿へと戻り、頭部から放たれる光を思わせる刃で相手を切り裂き、貫いてくるのだ。
かみさまの先制攻撃を防ぐすべは必須。それがないと、あっさりと返り討ちに遭ってしまうだろう。
邪神はこちらの思考を読んでくる。だからこそ、こちらは相手の裏をかく必要がある。
「きみはなにをおもいうかべたのかな」
無垢な子供のような声で笑った敵は姿を変え、猟兵達へと襲い来る。
この『超次元の渦』での最後の戦い。
猟兵達は邪神の先制攻撃を凌ぎつつ、その撃破を目指す……!
(※プレイング受付は、10月22日8時30分までの予定です。その後に受付分は間に合う分のみの対応となります)
カタリナ・エスペランサ
先手後手、至近遠距離に物理から魔法まで
どんなルールでも相手になるよ
ま、あまり理不尽なら踏み倒すけどね?
簡単に守れるルールなら自分に《催眠術》を掛けて破るような行動を取らないようにしよう
そうでないなら《気合い+呪詛耐性+激痛耐性+破魔+オーラ防御》を強化して無視だね
UCが使えるなら【失楽の呪姫】で自己強化。
敵の動きは《第六感+戦闘知識》で《見切り》常に先読みして対処
後手からなら《早業+カウンター》する感じかな
黒雷と劫火の《属性攻撃》を
1.《全力魔法》で直接《乱れ撃ち》して魔法戦
2.武器に付与してダガーの《投擲》と羽の《誘導弾》で遠距離戦
3.武器に付与して《早業+怪力》で近距離戦
と使い分けて戦うよ
メンカル・プルモーサ
…かみさま…と来たか…
(理想のかみさま:(メンカルが決まった姿をイメージしていないため)ぼんやりと光る不定形・人々に干渉せずに何時も見守るかみさまが理想だと思っている)
…何時も見守ってるから安心しろ、と話しかけくる、干渉する時点で理想と違う……解釈違いの偽物…
そんな奴の言葉に流されるほど…プルモーサは甘くはない…
…ぼんやりと光っているけど実態として「存在している」のも確か…
…ならば、かみさま(偽)が囁いているうちに重奏強化術式【エコー】で強化…
そして【尽きる事なき暴食の大火】で…白い炎を操って…光の刃ごとかみさまを焼き尽くす…
…他にも危機に陥ってる人が居たら援護するよ…
紗咲・亜闇
ふん、『理想のかみさま』だなんて幻に、【呪詛・狂気耐性】のある私が引っかかるわけ…あ、貴方は光の神!何故こんなところに!?(耐えられなかった分の効果を受ける)
え!?『何故お前に加護を与えた親同然の存在である私に牙を向ける。帰って穏やかな日々を過ごそう』…?
確かに…私だって貴方とは戦いたくなんてない…だけど!ここで私の前に立ちはだかるってことは、貴方が復活した邪神だったんだろ!信じていたのに!裏切ったんだ!『邪神は必ず滅ぼす』という【覚悟】を教えてくれたのは貴方なのに!
『亜闇ーーー』
言い訳なんて聞きたくない!心がちぎれそうになる自分を【鼓舞】して泣きながらも【破魔】の力を込めて根性で攻撃する!
秋月・信子
・POW
最後は黒い塊に頭と目がある姿…ですか
そして、私にとって最も傷つけたくないものの姿…クラスメイトの、親友の…ハルちゃん
でも…このハルちゃんは偽物です
何故なら私は「UDCアースの人間でない」から
でも…ごめんなさい、ハルちゃん
そう呟きながら言葉巧みに歩み寄る邪神に【覚悟】を込めた眼で睨み返し、銃弾を撃って答えます
仮にも親友を撃った事を罵るでしょう、嘲るでしょう
ですが、人の心を弄ぶ神など神ではありません…邪神です!
全てを…終わらせましょう
【破魔】の力を宿した銀の弾丸をリロード、再び瞳を輝かせ力を増幅させます
塵は塵に、灰は灰に…過去は過去に還りなさい
そう呟き【浄化の魔弾】を放ちます
※アドリブ歓迎
ユーフィ・バウム
最も傷つけたくない相手。
きっと幼き日の私と、手を携える幼き友の姿
あの頃は、夢をただ追えた
でも今は
敵UC対策
【戦闘知識】を頼りに、攻撃の際は目を瞑り、大切な者を
視認しないことでこちらの攻撃を有効化させます
【覚悟】【勇気】を持って相対
撃ち込む際は声をかけあい、仲間に当てないよう注意
敵からの攻撃は
【オーラ防御】【激痛耐性】【呪詛耐性】で
耐え、凌ぎ、機を見れば【ダッシュ】にて間合いを詰め、
《戦士の手》で組み合っての殴り合いを行います
掴んでしまえば、見ることをしなくても十分に殴れるッ
かみさま、あなたは確かに邪神といえど神ですね
私の最も大切なものを、また見れた
けれど、私は砕きます
私は蛮人の、猟兵ですからッ
●
邪神第2形態『処女卿』ヴァーゴを倒した猟兵達。
その姿が溶け、まるで粘土がこねられるように大きく変形していく。
やがて、その中から脱皮するように、新たな形態が姿を現した。
「これがさいごだ」
神を思わせる偶像の姿をとった邪神。
「最後は、黒い塊に頭と目がある姿……ですか」
その変身を注視していた黒髪セミロングの秋月・信子(魔弾の射手・f00732)は、見たままを語る。
第3形態『かみさま』。
信子が言うように、その姿は黒い柱を思わせる。
放射するような電波を思わせる塊を発した頭には、瞳だけが刻まれている。
それは一見無骨で没個性な印象だが……、この形態の邪神は相手の思い描く姿をとる力を持っているという。
例えば、【最も傷つけたくないものの姿】。
「……クラスメイトの、親友の……ハルちゃん」
信子にはそれが、親友の姿に見えていた。
また、密林に住む部族出身の銀髪少女、ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)にも、幼き日の自身と手を携える幼き友の姿に映っていたようだ。
「あの頃は、夢をただ追えた。でも、今は……」
ユーフィは小さく首を横に振っていた。
また、ある者には理想の神様の姿に見えるとのこと。
「ふん、『理想のかみさま』だなんて幻に、【呪詛・狂気耐性】のある私が引っかかるわけ……」
闇の加護を宿してしまった巫女、紗咲・亜闇(相克のスケバン・f21822)は問題ないと胸を張っていたのだが、その姿は徐々に変化して見えて。
「あ、貴方は光の神! 何故こんなところに!?」
多少の耐性は確かに持っている亜闇だが、かみさまの力はやはり強大で、完全に防ぎきるとはいかないのだろう。
「……かみさま……と来たか……」
眠たげな表情をした眼鏡少女、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)には、それがぼんやりと光る不定形に見えたらしい。
メンカルが思い描くかみさまは決まった姿のイメージがないらしい。人々に干渉せずに何時も見守るかみさま。それが彼女の理想だ。
一方で、目の前のかみさまはこちらの思考を読み、先にユーベルコードを使ってくる。
相手の思い描く姿をとることができる他、小指を絡めてルールを宣告してくることもあると言うが……。
「先手後手、至近遠距離に物理から魔法まで、どんなルールでも相手になるよ」
ふくよかなスタイルを持つ人狼の女性、カタリナ・エスペランサ(閃風の舞手(ナフティ・フェザー)・f21100)は自信ありげにそのかみと対して。
「ま、あまり理不尽なら踏み倒すけどね?」
相手の出方を窺いつつ、カタリナはじっと身構えるのである。
●
目の前の邪神『かみさま』はその見た目に似合わず、素早く襲い来る。
そして、この場の猟兵達1人1人へと攻撃を仕掛けてきた。
まずは、信子に対して、かみさまは親友の姿を見せつける。
「ここにいようよ」
【最も傷つけたくないものの姿】をとったかみさまはじっと、彼女の様子を窺う。
隙あらば、瞬時に元の姿へと戻り、頭の周りの無数の刃を飛ばして信子の体を切り裂くつもりだ。
『まこちゃん……おいでよ』
ただ、彼女はその姿にも気をしっかりと持って。
「でも……、このハルちゃんは偽物です」
――何故なら、信子はUDCアースの人間ではないから。
親友の姿をとったそれに対して、彼女は銃口を向けて。
「でも……ごめんなさい、ハルちゃん」
呟く信子は動かぬその親友を【覚悟】を込めた眼で睨み返し、引き金を引く。
動き出そうとしていた邪神はその姿を解くと同時に、彼女の弾丸を胸部に受けることとなる。
「これは……」
ひとまず、信子は保留し、ユーフィへとかみさまは視線を向ける。
幼き日の友に見えていたユーフィは瞳を閉じ、大切なものを視認しないようにして仕掛けていた。
ユーフィは【覚悟】【勇気】を持ち、己の拳を打ち込もうとする。
だが、敵が変えていたのは姿だけではない。
『さあ、おいでよ……ユーフィ』
その声は記憶に残る友のものとそっくりで、ユーフィの心を揺さぶってくる。
僅かに拳が止まった隙を突き、かみさまは素早く元の姿をとって刃を飛ばす。
「…………!」
危機を察したユーフィは【オーラ防御】を展開し、彼女はその刃で切り裂かれながらも【激痛耐性】で堪えていた。
身体に刻まれた傷は浅くはないが、決して戦えぬ程ではない。
「まあ、いい……」
まだ攻撃を加えるべき相手は残っている。
身構えていた残る3人へ、かみさまは向き直る。
亜闇、メンカルの2人は理想のかみを思い描いていた。
「きみがだいすきだ」
このユーベルコードなら、かみさまも動くことが可能だ。
『何故、お前に加護を与えた親同然の存在である私に牙を向ける』
亜闇へと語り掛ける光の神は、彼女へと光の加護を授けたUDCだ。
「え!?」
これには、亜闇も戸惑いも見せる。
『帰って、穏やかな日々を過ごそう』
「確かに……私だって、貴方とは戦いたくなんてない……だけど!」
実はこの光の神は、本物なのではないか。そして、その存在は実は……。
「ここで私の前に立ちはだかるってことは、貴方が復活した邪神だったんだろ!」
亜闇は、こうして光の神が邪神として立ち塞がっているこの状況を許せずにいる。
――信じていたのに! 裏切ったんだ!
亜闇はその光の神の姿へと、声を荒げて。
「『邪神は必ず滅ぼす』という【覚悟】を教えてくれたのは、貴方なのに!」
本心をぶちまけ、亜闇は闇の木刀を振るう。
それを軽やかに避けたかみさまは、今度はメンカルへと呼び掛ける。
『……何時も見守ってるから、安心しろ』
確かに、それは姿だけなら、メンカルが抱く理想のかみさまに近しい存在なのだろう。
だが、干渉してくる地点でそれはメンカルの理想とは違う。
彼女の言葉で言うなら、解釈違いの偽物なのだ。
「そんな奴の言葉に流されるほど……プルモーサは甘くはない……」
なおも、様々な言葉で囁いてくるかみさまの一言一言がメンカルの精神を削ってくる。
それがぼんやりと目の前で光り、実際として存在していることを確認したメンカルは眠たげな目の色を変えて。
偽物の神様が幾多の戯言を囁く間に、重奏強化術式【エコー】でメンカルは自らの強化へと当たっていく。
彼女達猟兵はまやかしの姿や言葉に捉われるほど、弱くはない。
かみさまはそう認識し始める。
――ならば、これでどうか。
「やくそくしよう」
最後に、かみさまはカタリナへと近づいていく。
それは黒い塊から腕のようなものを突き出し、いつの間にかカタリナの指に絡めて。
「そのばから、うごかないでほしい」
動かないというのは実に簡単ではある。
(「守ることのできるルールではあるけれど……」)
カタリナは催眠術を自らにかけることも考えたが、ただ動かぬだけでは、敵の的。当然のごとく、かみさまは黒い刃を煌めかせている。
ならば、ルールを無視してユーベルコードを使うべきとカタリナは結論づけた。
「――アタシの本気、ちょっとだけ見せてあげる」
【失楽の呪姫(ロスト・フラグメント)】。
魔神の魂に黒雷、劫火の欠片をカタリナは自らへと宿す。
同時に、ルールを破ったことによって駆け巡る身体の痛みを気合と様々な耐性、そしてオーラ防御で彼女は耐えようとする。
対策なしなら、一撃KOのレベルの威力。全力で対策したとて、ダメージはその身に深く残ってしまう。
それでも、カタリナは目の前の邪神を倒すべく、攻撃を開始するのだった。
●
邪神……かみさまは先制攻撃で、猟兵達の精神に揺さぶりをかけるつもりでいた。
だが、この場の女性猟兵達は皆、それぞれ対策を立ててかみさまの攻撃に耐えきり、攻撃に転じてくる。
それでも、かみさまは十分な手応えを感じており、見た目に似合わぬ俊敏な動きで、頭部周囲の刃を体力気力を削った猟兵達へと差し向けてくる。
敵の攻撃を察したカタリナが早業でカウンターを繰り出し、【あらゆる守護を貫く黒雷】に【終焉を招く劫火の欠片】を全力で敵へと乱れ撃っていく。
後は、ルール破りのダメージを体力と気力でいかに耐えきるか。
カタリナが倒れるのか先か、かみさま……邪神が滅びる方が先か……。
かみさまの黒い刃は、それぞれの猟兵達にも放たれていた。
それらの刃を受け、耐えるユーフィ。
信子は甘んじて刃に切り裂かれながらも、銃の照準をかみさまへと向け、じっとタイミングをはかっている。
そんな中、亜闇には今なお、かみさまが光の神に見えていて。
『亜闇ーーー』
「言い訳なんて聞きたくない!」
呼びかけてくる相手に、彼女は大きく首を振って叫びかける。
精神的に受けたダメージは亜闇も小さくなく、光の神に刃を向けねばならぬこの状況に心が千切れそうになってしまう。
(「戦うんだ。目の前の邪神と……!」)
自らを鼓舞する彼女は両目から何かを煌めかせながらも、破魔の力を込めて闇に染まる木刀を握り、力を込めて根性で殴り掛かっていく。
「……援護するよ……」
それにメンカルが追撃をかける。亜闇が背後から黒い刃で狙われているのを察したのだ。
「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」
メンカルは生み出した白い炎を操り、黒い刃を飲み込んでかみさまを焼き尽くそうとする。
「…………」
すると、初めてそこでかみさまの本体が揺らぐと、ユーフィが【ダッシュ】で間合いを詰めて。
「勝負っ!」
一気にかみさまへと組みかかり、ユーフィは激しく殴りつけていく。
「かみさま、あなたは確かに邪神といえど、神ですね。私の最も大切なものを、また見れた」
その間も、ユーフィは黒い刃にその身を切り裂かれているが、攻撃を留めない。
「けれど、私は砕きます。私は蛮人の、猟兵ですからッ」
渾身の力でその顔を殴りつけたユーフィだが、怪しくその瞳が光ったことで、彼女は距離をとる。
次なる攻撃に動こうとするかみさまを、先読みしたカタリナが狙う。
投げつけた『ダガー』と自らの翼の羽根を【誘導弾】に、彼女は先程の黒雷と劫火を属性として纏わせ、一気にかみさまへと仕掛けていく。
「仮にも、親友を撃った事を罵るでしょう、嘲るでしょう」
炎を燃え上がらせ、雷に灼かれた邪神へと、銃を突きつけたままの信子が呼びかける。
「ですが、人の心を弄ぶ神など神ではありません……邪神です!」
全てを終わらせる為、迷いを捨て去った信子。
すでに【破魔】の力を宿した銀の弾丸をリロードしていた彼女は、瞳を輝かせて力を増幅させていく。
再び、親友……ハルちゃんの姿を見せつけてくるかみさま。
「ここにいようよ」
信子はその姿に眉を顰めるが、オブリビオンである以上、かみさまとて過去の存在でしかない。
「塵は塵に、灰は灰に……過去は過去に還りなさい」
その顔面目掛けて引き金を引き、信子は【浄化の魔弾】を撃ち込む。
銃弾がその頭を撃ち抜くと元のかみさまの姿へと戻り、弾痕から亀裂が走る。
「これで、おわりでは、ない……」
そう言い残したかみさまの全身に亀裂が走り、粉々に砕け散っていったのだった。
完全なる邪神の討伐に成功した猟兵達。
程なく、依頼したグリモア猟兵が迎えに来てくれるはず。
それまで、メンバー達はおのおの自らの傷を自覚して脱力し、あるいは邪神に見せつけられた姿に思い悩みながらも、一時を過ごすのである……。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2019年10月22日
宿敵
『かみさま』
を撃破!
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