4
宇宙海賊異臭談

#スペースシップワールド

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド


0




●異臭談
 宇宙船には、いくつもの触手が蠢いていた。
 漂う異臭。それこそ筆舌に尽くしがたく、一度その香りを嗅げば、向こう三日は食事が喉を通らなくなるだろう。
 そんな触手の一団が、今まさに人類の宇宙船を襲おうとしていた。

●グリモアベースでは
 新納・景久(f02698)は会議室でしかめっ面をしていた。既に猟兵は集まり、後は状況を説明して彼らを現地へ送るだけなのだが、景久は積極的に説明しようとしない。
 何か拙いことでもあるのかといえば、そうではない。ただ、この状況をどう伝えたものかと、悩んでいるのだ。
「……えっと、うん。ともかくね、その、スペースシップワールドなんだけど、さ。人類の船が、オブリビオンに占拠されたの。船員は居住区に避難しているみたいだけど、逃げ遅れた人は殺されてる。ここまでは、いいよね」
 状況自体は実にシンプルだ。
 言い淀んだのは、この先。どう表現すべきか、景久は思いつく限りの言葉を並べるより他にないと考えたか、ようやく言葉を続けた。
「とにかく、今度の敵は、臭いの。どう臭いって、ナマコを納豆に十年漬けて、炎天下に三年放置した生肉と、新鮮な馬糞を和えて、樽ごと酒を飲んだ人の吐瀉物に放り込んだような臭い。えーっと、いや、ちょっと違うんだけど、何だろう、うーん。それでいて、ちょっと甘い臭い。匂いじゃなくて、臭い」
 ともかく、想像を絶する異臭らしいということだけは伝わってくる。
 そんなものと戦わなくてはならないというのは、気が滅入る話だ。
 ただ、問題はもう一つある。それだけの異臭を放っておきながら、敵はどこにいるのかが全く分からないというのだ。いや、あまりに臭すぎて、どこから臭っているのか、一般の人間には捉えられないのだろう。
「通気口とかを通して、臭いは宇宙船全体に広がっているみたい。一つだけ幸いなことがあるとすれば、敵は一か所に集中しているってこと。少なくとも、居住区ではないよ。だから、まずは、探してね」


数巴トオイ
お世話になっております。
異臭系宇宙生物、これももちろんオブリビオンです。
敵の居場所を調査することからスタートですが、当然、後にはこのオブリビオンと戦っていただくこととなるでしょう。

今回も、と言いますか。どちらかというとコメディタッチになるかと思います。
が、プレイング次第といったところですね。
皆様のご参加をお待ちしております。
27




第1章 冒険 『甘く漂う未知の香り』

POW   :    通気口の中に直接入って探す。

SPD   :    五感を駆使して風の強さや臭いの強さで探す

WIZ   :    艦の図面を確認して普段利用されない部屋を特定して探す。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

トレイシー・ライト
説明しよう。狼はイヌ科の生き物である。よって人狼である俺も多少は鼻が利いたりする……はずだ、人よりは、ちょっとくらい。つまり異臭の強い方へと辿っていけば目的のオブリビオンを見つけられるはず。
なんだが、聞いたところひどい臭いらしいからなぁ。正直帰りたい……いや行くけどさ。探すのは頑張るけどさ……。
特に意味はないかもしれないけど壁を背にして潜入らしくしていこう。敵にいた遭遇しても良いように。できれば会いたくないけどな。


ルビーノ・マーレ
【WIZ】船の図面を確認して、ユーベルコードを使って物音を立てないように部屋を探し回る。でもユーベルコードを使い続けていたらいずれバテてしまう...だから、ユーベルコードを発動するのは〈物音がした時〉と〈ドアを開ける時〉だけ。とんでもない異臭...?...大丈夫...2、3日ご飯が食べられなくなるくらい平気だから...。


ジージー・ミルダール
●GGの意気込み
 逃げ遅れたヒトが、死んでる。僕には逆に実感がわきません。だって、どうしてそこまで?
 とはいえまだ助かるヒトがいるなら、挑む価値はある。場所を探るくらいなら、僕にも。排水処理場で遊んだこともあるし、臭いくらい我慢できるはず!

●行動
 【SPD】!
 (もしいれば)他の猟兵さんと一緒に行動しつつ、鼻を利かせて場所を探ります。でも恃みは結局【野生の勘】かも…
 あと、もし“障害物はないけど歩いていける足場もない”様なルートを見つけることができたら、【ジャンプ】【クライミング】【地形の利用】を活かして偵察したいです。

●補足
アドリブ、協働、割を食う描写歓迎
彼は異臭の恐ろしさを分っていません。



●異臭船探査の一
 ひとまず居住区へ転移した猟兵達。敵の位置を探りたいところだが、現状の手がかりはその異臭のみ。
 住民が避難してきているほどだから、この居住区には敵はいないだろう。しかし、それでも漂うこの臭い。
 最初に反応を示したのは、トレイシー・ライト(f05807)だ。人狼である彼は、人間やスペースノイドに比べると嗅覚に優れる。その特性が、今回はいかんなく発揮される、はずなのだが。
「げっ、何だ、この臭い……うぇっ」
 人間ですら食事が喉を通らなくなるほどの臭いだ。人狼である彼にとって、この環境は地獄にも等しいだろう。
 ジージー・ミルダール(f11185)は、そんなトレイシーを気遣った。
「大丈夫ですよ。僕は排水処理場で遊んだこともありますけれど、それに比べればこれくらい、何てこと……何て、ことは……うっ」
 喋る内に湧き上がる、何とも言えない不快感。敢えて例えるならば、胃を鷲掴みにされ、不規則なリズムで揉まれ、捻じられるような。
 内臓の動きが全て反転する感触を覚えた彼は、口元を押さえて蹲る。
「何日かご飯が食べられなくなるだけ……。それくらい、平気だから……」
「平気じゃ、ないです……」
 ポツリと漏らすように声をかけたルビーノ・マーレ(f11400)だが、対するジージーは既に顔面蒼白。
 やれやれと嘆息し、ルビーノはトレイシーへと向き直る。
「この人、私が連れてく。君は、頑張って……」
「しょうがねぇ。まぁ、こっちはこっちで上手いことやっとく」
 ひとまずは、この臭いを辿らないことには始まらない。
 人狼であるトレイシーなら、一人でも探索を進められるだろう。
 ジージーも臭いを辿ることはできるだろうが、この様子ではかなり苦労しそうだ。面倒を見るついでに役に立ってもらおうと、ルビーノはジージーを立たせ、探索へと乗り出した。

 一人で探索するトレイシー。情報は臭いだけだ。しかも、これが強烈になる方へ向かう必要があるのだから、
「正直帰りたい……」
 そんな呟きが漏れた。
 先ほど見たジージーの様子も、他人事ではない。この先へ進めば、より凶悪な臭気に晒されることだろう。自分もいつ動けなくなるのか分かったものではないのだ。
 それに、オブリビオンそのものがどの程度の臭いを発するのかも分かっていない。いつ遭遇してもおかしくないのだから、彼は常に壁を背にし、接敵に備えていた。
「これは……下層へ向かっているのか」
 壁面に貼り出された管内図に目をやり、自分がどこへ向かっているのかを確認。
 オブリビオンに遭遇するまでは、まだ時間がかかりそうだ。

 一方で、ジージーとルビーノは静かに通路を進んでいた。
 居住区を離れると金属壁で覆われた通路に入り、迷路のような道を進んでいく。
「臭いはこっちからしますね。こっちの角を曲がっ――」
「シッ」
 ルビーノが、ジージーの口元を押さえて抱きしめた。
 途端に、二人の姿が周囲の景色に溶け込む。【クリスタライズ】による力だ。
 そのまま角を曲がった先に敵がいないことを確認すると、ユーベルコードを解除。二人はそのまま進んでいく。
「どう……?」
「下層から臭っている感じがします。少なくとも、このフロアにはいないです、が」
 が?
 その先の言葉を促そうと、ルビーノはジージーの顔を横目に見た。
 全身から冷や汗を吹き出し、ワナワナと震え、しきりに口元を押さえている様子。
「トイレ、そっち……」
「ありがとうございますっ」
 指さした方へと、ジージーがかけていく。よほど我慢できなかったのだろう。
 やれやれと嘆息しながら、ルビーノは、ジージーが胃の中を空にして戻ってくるのを待った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ルビーノ・マーレ
僕は戦闘嫌いだから速く敵を見つける。引き続き探索を続行...。異臭が強く臭う方に向かって進もう。他の子が大変そうだったら手を貸してあげる...。僕は大丈夫...きっと上手くやってみせるから...。
あ、逃げ遅れてしまった人がいたら...その時はその人達優先で救出...頑張るよ。


天都狐・華夜
【WIZ】&【POW】艦の図面を確認し普段利用されない部屋を特定し、そこに至る通気口を外部から隔壁ごと破壊して臭い除去&侵入口とする。

「臭いのは嫌い」

宇宙空間活動用の酸素ユニットを携行した私はスティレット01の群れを先行させながら捜索を開始します。

スティレット01:魔術的に化学エネルギー弾(APFSDS等)の効果を載せた剣を至近距離で超音速射出する半自立機動型のパイルバンカーのような物



●異臭船探査の二
 敵の捜索を続行するルビーノ・マーレ(f11400)は、船の下層へと向かっていた。
 徐々にキツくなる異臭。クリスタリアンである彼にとっても、この臭いは応える。敵に遭遇しないということはこの臭気により長く晒されることに他ならない。
 念のため、通りがかった部屋の内部もチェックして回る。【クリスタライズ】で透明になり、部屋を覗き、必要があれば戸を開けて内部を確認、ユーベルコードを解除する。この繰り返しだ。
 不毛。そう感じた頃に彼が見つけたものがあった。
「ひしゃげてる……」
 大きく形の歪んだ戸があった。ここにオブリビオンがいるのだろうか。
 すぐ脇に、内部を映すためのモニターがある。これを操作するも、電源が落ちているのか反応がない。
「誰か……いる?」
 仕方なしに戸を叩き、内部からの音を探った。
 だが、返ってくるものはない。しかし放置しておくわけにもいかず、どうしたものかと彼は逡巡する。

 船内図を頼りに進む天都狐・華夜(01491)は、出会いがしらの接敵に備えて半自立軌道型ユニット、スティレット01を先行させていた。
 それから、スティレット01の用途はもう一つ。閉ざされた部屋があった場合に、その障壁を破壊して進入口とするためのものだ。
 まだ居住区から一区画しか離れていないこともあり、普段使用されていない部屋はそうそう見当たらない。
 その内に角を曲がると、彼女はひしゃげた扉の前で立ち往生するルビーノに出くわした。
「あの、どうしましたか?」
「この部屋……きっと、何かあると思って」
 これまでに、損傷を受けた部屋は見られなかった。ここだけ破壊されかかった扉はなく、何か手がかりが残されている可能性は非常に高い。
 しかしルビーノは、扉を破壊するのに向いた武器を持ち合わせていなかった。
「分かりました。下がっててください」
 ならばと、華夜がスティレット01を操作する。
 このユニット、いわばパイルバンカーのようなもので、魔力的エネルギー弾の効果を備えた剣を超音速で射出する能力を持つ。
 これならばひしゃげた扉も一撃で吹き飛ばすことができるだろう。
「何があるか分からない……から、ちょっと、こっちへ」
 ルビーノが手招きし、寄って来た華夜をそっと抱く。男と女ではあるものの、これも仕事の内。そう割り切って【クリスタライズ】で透明になる。
 スティレット01の攻撃が炸裂した。扉が吹き飛ぶ。
 中を覗き込むと、白衣を着た男が一人、部屋の隅でガタガタと震えていた。
「大丈夫……ですか?」
 ユーベルコードを解除し、ルビーノが声をかける。
 それでようやく安心したのか、男は猟兵達の顔を見てのそのそと立ち上がった。

 話を聞くと、男は居住区で医者をしていたが、薬品を補充しに下層へ行く途中、オブリビオン襲来を告げる警報を聞いたらしい。
 ともかく手近な部屋に隠れて救助を待とうとしたのだが、誰にも気づかれず、その内に大きな音と共に扉がひしゃげ、出られなくなってしまったのだという。
 また、その時に、男の悲鳴が聞こえたとも語った。

「つまり、オブリビオンはこの区画にもいた、ということでしょうか」
「多分……誰か、捕まった。それで、えさ場に連れていかれた……」
 男の話から、状況を推測する。
 いずれにしてもオブリビオンの居場所がそう遠くないことが分かった。
「この人……僕が、避難させる」
「分かりました。オブリビオンの捜索は私が続けます。何か分かったら――」
 船内図を取り出す華夜。
 この区画から下層へ降りるに当たり、階段の手前に給湯室があった。華夜はそこに印をつける。
「ここで落ち合いましょう」
「うん……。じゃあ、無理はしないでね」
 二人はここで分かれた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳥渡・璃瑠
【POW】
ほんとにひっどい匂いなのだわー!?
通気口ならましかと思って潜り込んだけど、よく考えたらここ通って広がってるからマシもなにもなかったのだわ!!
ま、まぁでも空気の流れてくる方へ行けば…行けば、きっと…きっと、触手達がいるのだわ!風上だから広がってるのでしょうし!…うぅ、行きたくないのだわ…
埃もつくし臭いもつくし…ふぇぇん同居人達に怒られるやつなのだわこれー!(ずりずりと通気口を通りながら嘆く)



●異臭船探査の三
「ほんとにひっどい臭いなのだわー!?」
 鳥渡・璃瑠(f00142)の声が通気口内に響き渡る。
 異臭はこの通気口を通って船内に漏れ出していると考えた彼女は、ここを通ればその大元に辿り着けるのではないかと考えた。
 だがそれは、このルートこそが最も強烈な臭いに満ちていることを意味する。ついでに普段からそう手入れはされていないのか、埃やら汚れやらで、とても清潔とは言えない。
 四つんばいになり、着飾った衣装を汚しながらズリズリと進む璃瑠。もう既に泣きそうだ。
「空気の流れてくる方へ行けば……行けば、きっと……きっと、触手達がいるのだわ!」
 そう信じて狭く暗い通気口を通る。一生懸命にセットした縦ロールの髪には多量の埃が絡み、その様子はよく例えられるドリルというよりも、モップに近くなっていた。
「ふぇぇん同居人達に怒られるやつなのだわこれー!」
 泣き言を言っていても仕方がない。いずれにせよ、もう引き返すには進みすぎているのだ。
 それでも前進する璃瑠だが、ここで大きな障害にぶつかった。
「う、嘘なのだわ。これを、飛び降りるなんて、怪我しちゃうのだわ」
 九十度の角度で、通気口は真下を向いていた。暗くてどれほど続いているのかよく分からない。
「そうだわ、足を引っ掛けて、ゆっくり降りるのだわ」
 幸い、この空間は狭い。手足を伸ばして壁面を伝うように下降すれば良い。
 しかし。
「だわーーーーっ!?」
 滑った。ブーツは壁面に付着した埃を踏んでつるり。
 悲鳴を上げながら、璃瑠は落ちてゆく。
 そして、強い衝撃を受けて落下は止まった。
 お尻を擦って立ち上がる彼女。どうやらどこかの部屋に辿り着いたらしい。
「い、痛いのだわ……。もう帰りた――」
 ぞわり。
 嫌な気配が蠢いている。
 冷や汗が背を伝う感触を覚えながら、ゆっくりと振り向いた。
 そこにいたのは……。
「だ、だ、だわーーーーっ!!」
 触手の群。
 突然の事に仰天した彼女は、扉を蹴破って一目散に逃げ出した。
 気持ちを落ち着かせるまでには少し時間がかかることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『醜き嫉妬の生命体』

POW   :    妬心の暴虐
【対象の優れた部位を狙う触手】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    精巧贋物
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【喉から手が出るほど欲しい他者の所持品】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ   :    縋る腕
【醜い羨望】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【粘着性の高いぶよぶよした黒い塊】から、高命中力の【対象の所持品を奪おうとする触手】を飛ばす。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●異臭の正体見たり
 各々の手段でオブリビオンの蠢く部屋を特定した猟兵達は、まずその異臭に鼻を押さえた。あまりの刺激に、自然と涙が浮かんでくる。
 それは、黒く、ぶよぶよとした、触手のような生命体。
 一体一体を識別するには部屋が少々暗く、数えるのも億劫になる。
 異臭の正体はこれだ。
 武器を構える猟兵の中には、部屋の隅で溶けかかった衣服の残骸を見た者もあった。逃げ遅れた住民は、ここで溶かされ、捕食されてしまったのだろう。
 今の所、部屋に人の姿はない。つまり、これからまた餌を求めて動き出そうとしていたに違いないのだ。
 幸いにして、出口は扉が一つのみ。天井の通気口は高さがあるために気にする必要はないだろう。
 一触即発の睨み合い。最初に動いたのは――。
鳥渡・璃瑠
いやあああああああっ!!
なんですのあれなんですのー!!いえ敵なのは分かっていてよ!そういう意味じゃないのだわ!
気持ち悪すぎるのにもほどがあるのだわ!
と、とにかく勇気を振り絞って攻撃を…あああ気持ち悪いのだわー!
我慢してメテオドリルをするのだわ!燃やせばきっと少しはマシになるはずって事で炎属性もつけるのだわ!
服が多少燃えてもほらさっき落ちた時についたあいつの汚れとかも燃えると考えればいけるのだわ!また作れば良いのだし!
きっとぱぁんっていい感じに破裂を…いえ、密室で燃やすって危ないのでは?あれ?


シル・ウィンディア
…うぅ、なんかすごく気持ち悪いよぉ~
そして、なんか変な匂いするし…

でも、人死にが出てるのなら…
ここで、何としても仕留めるっ!

ヒット&アウェイで二刀流の光刃剣で攻撃
【二回攻撃】【属性攻撃】【薙ぎ払い】で
出来る限り纏めて攻撃が出来るようにしていくね

攻撃後は、深追いせずに退いて、回避を行うよ
【第六感】と【見切り】で回避、【オーラ防御】と光刃剣を回転させて
防御を行うね

回避や攻撃時は、敵が半径20m以内に収まるような位置取りをして行動
纏めて入った後は
【高速詠唱】【全力魔法】のヘキサドライブ・エレメンタル・ブラストで
一気に畳みかけますっ!
わたしの全力魔法、受けてみてっ!!


天都狐・華夜
出口の扉をこじ開けて侵入してくる巨大な影、それは私の反応を追ってやって来た戦術重機動兵器【FUJI】。
素早く乗り込み、ハッチを閉鎖。
臭いの心配が限定的に無くなり、気が晴れるとともに、

「いっきまーす!」

なぎなたで切り込んだ。

ユーベルコード
撃てる時には全力で



●触手討伐の一
「いやあああああああっ!! なんですのあれなんですのー!!」
 モップ――もとい、埃まみれの縦ロールを振り乱す勢いで、触手蠢く部屋を飛び出し鳥渡・璃瑠(f00142)。あまりの生理的嫌悪感から、目の端いっぱいに涙が浮かんでいた。
「……うぅ、なんかすごく気持ち悪いよぉ~」
 その一方で、オブリビオン所在特定の報を受けたシル・ウィンディア(f03964)が反対側から駆けてくる。
 汚れに異臭。話によると敵は触手のようなオブリビオン。吐き気を催すような存在だ。
 だが。「人死にが出てるのなら……」と猟兵の使命を胸に、懸命に足を動かした。
 そんな二人は、角での出会い頭に正面衝突。シルの頭が、璃瑠の決して豊かとは形容し難い胸部に弾かれた。
「いっ、たた……。あの、大丈夫、ですか?」
 床に打ち付けた尻を擦りながら、ぶつかった相手が人であるらしいことを確認する。声をかけてみると、「大丈夫ですわ」という返事。
 それから二人は情報を共有する。
 この先の部屋にオブリビオンがいること。その形状や、とにかくたくさんいるということ。一人で挑むには分が悪い。
 ならば二人で挑むのが良いだろう。
 いくらか落ち着きを取り戻した璃瑠も、早くこの異臭から解放されたい一心で、逃げて来た部屋の方を向き直る。
 一斉に飛び込もう、と互いに頷き合ったその時だった。
「あら、まだ突入していなかったのですね。丁度良かった、私にも協力させてください」
 いつの間に合流していたのか、重々しい鎧のようなものが声をかけてきた。
 半永久機関を搭載した戦術重機動兵器【FUJI】に搭乗する天都狐・華夜(f01491)その人だ。
 とりあえずは目的を共にする猟兵であるらしいとそれぞれが確認しあうと、三人は改めてオブリビオンのいる部屋へ向けて走り出した。
「いっきまーす!」
 華夜のそんな叫びと共に。

 到着と同時、真っ先に切り込んだのは華夜だった。
【FUJI】の巨体に対してはいささか小さく見えるナギナタを振るい、触手の群へと突っ込んでいく。
 黒くぶよぶよとした触手の何体かが、ブンと音を立てて一閃される刃に両断された。
 べちゃり。
 ぬめぬめとした異臭を放つそれが、璃瑠の目の前に飛散した。
「あああああああ気持ち悪いのだわー!」
 またもパニックになりかける彼女。
 その横ではシルが攻撃の姿勢を取っていた。
「ここで一気に仕留めるっ!」
 光刃剣『エレメンティア』、精霊剣・六源和導といった二振りの光剣を構えた彼女は、トンと軽く床を蹴って手近なオブリビオンに斬りかかる。一瞬で二匹を切り伏せたと共に、また床を蹴って群から離れる。
 可能な限りまとめて倒したいところだが、己の安全を確保しながら継続銭湯する方が優先。ヒット&アウェイによる確実な戦力削りだ。
「と、とにかく勇気を振り絞って攻撃を……」
 狼狽えている場合ではないと、璃瑠は腰を低く落とし、オブリビオンの群を見据えた。少しでも数を減らさなくてはならない。その上で少しでも異臭を和らげたい。
 そこで彼女が考えた策とは。
「お嬢様アターック! なのだわ!!!」
 高く跳躍したかと思うと高速できりもみし、己の身体をドリルに見立てて群の中心へと突っ込んでゆく。伸ばした足の先端からは炎が噴き出し、それは暴力的な螺旋となってオブリビオンを襲った。
 ユーベルコード【メテオドリル】だ。
 しかし。
「あっ、あつっ、や、あっついのだわーーー!?」
 炎はオブリビオンの群に燃え広がる。彼女はその中心にいるのだから、それも当然だろう。
「チャンスっ!」
「いいですね、やりましょう!」
 敵は怯んでいるはずだ。一気に数を減らすにはまたとない好機。
 シルはあらゆる自然に対する祈りを唱え、華夜は乗り込んだ機動兵器の全砲門を開放した。
 そして。
「わたしの全力魔法、受けてみてっ!!」
「撃てーぃっ!」
 シルの【ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト】による魔力砲が、華夜の【全兵装照準】による砲撃が、オブリビオンの群を一気に散らしていく。
 オブリビオンの断末魔が響く。その中に璃瑠の悲鳴も混じっていたことは言うまでもない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

トレイシー・ライト
俺今人生で一番心の底から窓開けて換気したいと思ってるのに、なんでここ宇宙なんだよ……。
文句言ってもしょうが無いか。正直やっぱり逃げたい気持ちは山々なんだけど、せっかくここまで来たんだし。袖で鼻と口を押さえながら、魔導書を開き、部屋の入り口からのぞき込むようにウィザード・ミサイルを撃ち込む。【2回攻撃】や【範囲攻撃】を駆使して可及的速やかに殲滅してやる。
……というわけでできる限りは頑張るけど、我慢の限界になったら全力で離脱する。俺もうむり。後は頼んだ!


シル・ウィンディア
あ、巻き込んじゃったかなぁ…。
でも、ま、いっか。

気を取り直して…
しかし、このうにうに達、結構厄介だね。
何せ、数だけはいるから…。

とりあえず、近くにいる敵は
光刃剣を両刃剣モード(前後に光刃を出す、所謂ビームナギナタ状態)にして
【薙ぎ払い】と【二回攻撃】で纏めて薙ぎ払っていくね
攻撃は最大の防御で、今回は行くよっ!
でも、引き際には注意して、深入りしすぎないようにするね

敵の攻撃が早くなったら、それよりも早く…
【高速詠唱】と【全力魔法】で
新魔法、ソニック・ブラストを撃ち込むよっ!

速射型の魔法だから、大型魔法より派手さや範囲は無いけど
スピード勝負にはもってこいなのっ!



●触手討伐の二
「あ……ま、いっか」
 何かとんでもないことをしでかしたような気がするシル・ウィンディア(f03964)だが、気にしていても仕方がない。とりあえずはこの敵を減らすことが最優先だ。
 敵の数は減っている。攻めかかるなら、今がチャンスだ。
「俺、今、人生で一番心の底から窓開けて換気したいと思ってるのに、なんでここ宇宙なんだよ……」
 それでも、臭い。とんでもなく臭い。今すぐに逃げだしたいくらいには臭い。まして、人狼の鼻には毒でしかない。
 臭いを辿って部屋の前に到着したトレイシー・ライト(f05807)は、そんな泣き言を言いながらも鼻と口を押さえながら魔導書を開いた。
 できれば部屋の中には入りたくない。換気もできないとなれば、せめて少しでも敵から離れた位置から攻撃できないかと隙を伺うことにした。

「このうにうに達、結構厄介だね。何せ、数だけはいるから……。攻撃は最大の防御で、行くよっ!」
 光刃剣を、柄の両端から光の刃を出す形状へと変化させたシルは、先ほどとは打って変わって一気に接近戦を挑んだ。
 一方でオブリビオンの群は、その体から黒くぶよぶよとした物体を射出してくる。
 回避は間に合わない。
 輝く剣の一閃で塊を裂く。つもりだった。
「わぷ……っ! く、くっさぁ~いっ!」
 しかし、それは綺麗に両断できるものではなく、刃が触れた瞬間に弾け、まるで水をひっかぶったかのようにシルの全身を黒く染め上げた。
 当然、強烈な悪臭が彼女を襲う。
 先ほどは煮え湯を飲まされたオブリビオン共。これぞ反撃の狼煙だとばかりにシルへと距離を詰めていく。
「うぇっ、目が、目がぁ~」
 その異臭は刺激が強く、まともにこれを被ったシルは目を開けることもままならない。
 滅茶苦茶に光刃剣を振り回せば、偶然触れたオブリビオンを少しずつ切断してはいるようだ。が、このままでは危険だ。
「チッ、さっさと顔拭け! 床にでも擦り付けろ!」
 この状況を見過ごせなかったか、トレイシーが【ウィザード・ミサイル】を発動。
 複製され七十五本となった炎属性の矢が、オブリビオン目がけて一斉に放たれる。
 とにかく声を頼りにシルが伏せたのが良かった。矢は彼女の頭上を通り抜け、次々にオブリビオンを捉えてゆく。
 炎が広がる。今回の戦闘が終わった後に、この部屋を再利用するにはかなりの時間を要するだろう。
 しかし、それでもやらねばならない。そうでなければ、それ以上の被害が出るだけだ。
「よし、少しは汚れが落ちたな? じゃあ頑張れ。俺もうむり。後は頼んだ!」
 シルが床に液体を擦り付けたことで少し回復したのを確認すると、オブリビオンの異臭と炎で焦げた臭いが混じり合って一層キツくなった臭いに我慢の限界を迎えたトレイシーが離脱する。
 礼を言い、オブリビオンに向き直るシル。
 今度はこちらの番だとばかりに、地水火風四元素に祈りを唱え、それぞれの属性を持つ魔力砲を次々に放った。
 火矢に射貫かれ、砲撃に晒され、オブリビオンが散り散りになっていく。
「もう怒ったからねっ! 絶対に許さないんだから!」
 再び光刃剣を構えたシルが、残り僅かとなったオブリビオンへと切り込んでゆく。
 決着の時が間もなく訪れようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソニア・ハイレイン
やーん、すっごい臭いがするのー⭐️
いつもニコニコ笑顔のバーチャル美少女天才画家🌟ソニアちゃんもこれにはしかめっ面なのぉ〜(><)
でも大丈夫❗️ソニアちゃんの超天才スケッチ❤️に掛かれば、こんな臭いなんかに負けないのだ👊

いっくよー、ミラクル💫ソニアちゃんスプラッシュ☆
いーっぱいスケッチしちゃうね💖
お絵かきが外れちゃっても、ソニアちゃんのかっこいいスケッチが匂いまでかき消しちゃうぞ💮

今日のソニアちゃんスケッチ✨も💯なのだ☆



●触手討伐の三
 異臭溢れる部屋に踏み込む少女が一人。ソニア・ハイレイン(f09819)だ。この悪臭に際して、常に笑顔を絶やさぬ彼女も流石にしかめっ面。
 バーチャル美少女天才画家を自称する彼女は、その力を存分に振るうべくここへ来たのだが、説明を受けていたとはいえこの異臭は想定していた以上だ。
「でも! ソニアちゃんの超天才スケッチに掛かれば、こんな臭いなんかに負けないのだ!」
 かなり数の減った触手の群。殲滅まであと一歩。
 一気にケリをつけるべく、ペイントブキを取り出したソニア。
 先ほどまでは炎属性による攻撃が飛び交っていた反面、彼女が宙に描いたのは巨大なバケツのイラストだった。
「いっくよー、ミラクルっソニアちゃんスプラッシュ☆」
 それは彼女のユーベルコード。描いたイラストを敵にぶつける彼女の最も得意とする技だ。
 絵を描くから強いのではない。強い気持ちと自信があるから描けるのだ。
「洗い流しちゃえーっ!」
 描かれたバケツが反転し、中からこれまたイラストの水が流される。
 燃え広がらんとしていた炎も、飛び散った汚れも、そしてオブリビオンすらも、この水流に流されていった。
「ふふんっ、ソニアちゃん大勝利~☆」
 弱った敵にこの攻撃は強烈だ。

 これで依頼は達成だろうか?
 ……いや、そうではない。その予感を、彼ら猟兵達はひしひしと感じていた。
 そしてその感覚を裏付けるように、低い声が部屋に響く。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●現れた黒幕
「よくも私の可愛いペットを滅ぼしてくれたな。奴らは貴重な生物だったのだ。腹が減ったというから、この宇宙船を利用させてもらった。ただそれだけだ。それを……」
 天井にある通気口から降りて来た一人の男。
 仮面で顔を隠し、マントを羽織り、禍々しく光る剣を携えた彼は、間違いなくオブリビオンだ。事件を裏で指揮していたのはこの男だろう。
 それ以前に、奴はペット、と言っていた。つまり、その、それなりに可愛がっていたということになる。
 何故あんなにも臭いのキツいオブリビオンをペットにしていたのか。
 誰かがそんな疑問を口にする。
「愚問だ。あのように芳しい匂いは、他には決してありえない。貴様らにはそれが分からんのか? 悲しい生き物だな、猟兵というのは」
 まさかだった。世界は広いのだ。
 この仮面のオブリビオンにとっては、あの異臭を好ましいものと感じられたのか。
 にわかには信じがたいが、それが真実なのだろう。
「構えろ、猟兵。我がペットの仇、ここで取らせてもらう!」
シル・ウィンディア
…か、かわいい?
あ、あれの、どこが??

宇宙というか、世界って、広いんだね…
あんな変なのが可愛いペットって…
ペットがした不始末は、飼い主さんの責任だよねっ!

それじゃ、しっかり責任取ってもらうからねっ!
わたしを汚した(物理)ことをねっ!

二刀流の光刃剣でヒット&アウェイを仕掛けて
深入りせずに攻撃
攻撃時は【鎧砕き】【二回攻撃】を使用
防御崩れてくれたらいいんだけど…。

敵の攻撃は【第六感】と【見切り】で回避を優先

インペリアルブレイドが当たったら、引っ張られまいと踏ん張るけど
その時には【高速詠唱】を行って

魔法の準備ができれば、わざと鎖に引っ張られて接近して
エレメンタル・ファランクスを全力魔法でお見舞いっ!


トレイシー・ライト
 こんなとこ、早く帰ろうと思ったけど、飼い主が見つかったんなら一言言わないと気がすまないな。
 いや、別にどんなペットがかわいいとか、臭いがいいとか悪いとかは横に置いとく、主観だし。けど人に危害を加えた時点で、そいつはただの害獣になっちまうんだよ! で、残念だけど人間食い物にする時点で、愛玩動物になる道はほとんど無理。案の定駆除されたのも、運命だと思って諦めるんだな。
 一発かましたら気が済んだから、今度こそ帰る。……服に臭いついてるだろうなぁ、絶対。



●宇宙海賊討伐の一
 此度の異臭騒ぎ。やはりというべきか、原因はオブリビオンにあった。
 これの討伐に成功した矢先に現れた、仮面の帝国騎士。いや、あのオブリビオンを連れ、人類の宇宙船を襲ったのだ。最早騎士などではなく、宇宙海賊とでも呼ぶべきではないだろうか。その行為は決して許されるべきものではない。
「宇宙というか、世界って、広いんだね……。あんな変なのが可愛いペットって……」
 彼の発言にドン引きするシル・ウィンディア(f03964)。
 先ほど、異臭に満ちたオブリビオンの液体を引っかぶった恨みは、当然忘れていない。そんな傍迷惑な生物をペットと言いきる宇宙海賊。彼女にはその感覚が理解できなかった。
「いや、別にどんなペットがかわいいとか、臭いがいいとか悪いとかは横に置いとくとしようぜ、主観だし」
 シルの横に立ち、トレイシー・ライト(f05807)は呟いた。
 少しムッとした表情を浮かべるシル。あの強烈な悪臭を全身に浴びた経験をしなければ、その苦しみは到底理解できないだろう。トレイシーの言葉は、あまりに無責任で、無関心に思えた。
 だが、それは違う。
 トレイシーはふっと笑みを漏らした。
「けど人に危害を加えた時点で、そいつはただの害獣になっちまうんだよ。で、残念だけど人間食い物にする時点で、愛玩動物になる道はほとんど無理」
「つまり……何?」
 この人狼は何を言いたいのだろう。
 頭に疑問符を浮かべたシルをちらりと横目に見たトレイシーは続ける。
「飼い主に責任取ってもらおうってことさ!」
 なるほど!
 ようやくシルは合点がいった。彼は、悪臭がどうの、恨みがどうので動いているわけではない。猟兵として、エージェントとして、人類を守り、オブリビオンを撃滅せんと、その使命を果たすべく、ここにいるのだ。
 でも。それでも。
「わたしを汚した不始末は、しっかり責任とってもらうからねっ!」
「そうだ、それでいい」
 己のあり方は、それぞれだ。
 だから、自分が納得できる答えを見つけられたら、それでいい。多様な視点はもちろん大事だが、己の感覚を、答えを、別の視点を得たからこそ強く信じることができる。
 数多くいる猟兵達は、きっと、こうして繋がっていくのだろう。
「ええい、ゴチャゴチャと! ならばこちらから行くぞ」
 その間に。
 宇宙海賊は念動力を用いて帝国旗を作り出し、床に突き立てた。
 このフラッグは、帝国領土の証。この部屋は帝国の領地。まさに敵地となったのだ。
「チッ、まずいな」
「急いで片づけなきゃっ!」
 舌打ちするトレイシーをよそに、シルが光刃剣を手に飛び出してゆく。
 その動きは目にもとまらぬ素早さ。
 音速にも達する速度で光が舞う。
「捉え――」
「遅いな」
 刃がオブリビオンを貫いた。……かに思えた。
 鮮血のオーラを纏った宇宙海賊は残像と共に消え、シルの背後に回る。
「いかん、伏せろ!」
 トレイシーが叫ぶが、間に合わない。
 ブンと唸りを上げて、オブリビオンの蹴りがシルの背を打つ。
 声を上げることもできず、彼女の身体が沈む。
「耳塞いどけ!」
 彼の声は、聞こえたのだろうか。
 すっと大きく息を吸い込んだトレイシーは、その身の限りに。

 オォォオオオン――ッ!

 吼えた。
 空気を震わす大声量。【人狼咆哮】だ。
 これにはたまらずオブリビオンも怯む。
「よ、よくも、やってくれたね……っ!」
 辛うじて耳を塞ぐことに間に合ったシルは、拘束詠唱でユーベルコード【エレメンタル・ファランクス】を放つ。
 地水火風あらゆる属性が融合した魔力砲が、オブリビオンに直撃。
 部屋中に轟音が響いた。
 ……しかし。
「ふぅ……。なかなかやるな。そうでなくては、相手のし甲斐がない」
 まだ、オブリビオンは立っている。
 そう、これはまだ、決戦の序章に過ぎないのだ。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

鳥渡・璃瑠
ひ、酷い目にあったのだわ…わたくし何か悪い事した覚えないのだけど…
え?飼い主?つまりは責任者ですのね!
この匂いも!汚れも!焦げた服も貴方のせいですわね?!
わたくしの嗅覚と服の恨み、受けるといいのだわ!

相手の攻撃に注意しながら接近するのだわ
剣を手にしてるけど、なんだか素早いし!距離があったとしても、警戒にこしたことはないのだわ
もしも鎖に巻き付かれたらドリルで粉砕をするのだわ!
近づいたらディスドリルラクションを使うのだわ
手加減一切なし、全力でしてよ!
なんだか嫌な予感がするのだもの
なるべく短時間で勝負をつけるつもりでいくのだわ!



●お嬢様、翔ぶ
「ひ、酷い目にあったのだわ……」
 焼け焦げた衣装を摘まんで、鳥渡・璃瑠(f00142)はしくしくと泣いていた。
 お嬢様たらんと寝る間も惜しんで手作りしたこの衣装。そういえば、指が絆創膏だらけになったっけ。思った以上に布が足りなくて。型紙の通りに裁断したはずなのにサイズが合わなくて。頑張って作ったら、脇が開きすぎてて。それでもやっとの思いで完成させたから、嬉しくて。袖を通したらちょっとチクチクするけれど、これが理想の自分に一歩近づいた証なんだと思ったら、愛着も一入だった。
 お父さんに「また変なもの作ってんな」と呆れられても、お母さんに「早く寝なさい」と怒られても、これだけは譲れなかった。
 そんな自慢の衣装が、今はボロボロに。これを泣かずして何で泣けというのか。
 毎朝2時間(推定)かけてセットする縦ロールも、ここに至るまでで既にグシャグシャ。
 今やドリルお嬢様のアイデンティティは完全に崩壊した!
 誰のせいか? それはもちろん決まっている。
「飼い主、つまりは責任なのだわ! 責任取るのだわーっ!」
 溢れる大粒の涙を拭い、その人差し指をビシリと、オブリビオンに突きつける。
「この匂いも! 汚れも! 焦げた服も貴方のせいですわね?! わたくしの嗅覚と服の恨み、受けるといいのだわ!」
 巨大ドリルをその両手に取った璃瑠は、これまでの報復だとばかりに、武器を唸らせて宇宙海賊に肉迫してゆく。
「何のことだかサッパリ分からんが、良いだろう、相手してやる」
 オブリビオンは、まだ璃瑠と距離がある段階で、その剣を振り下ろした。
 途端、念動力で形成された衝撃波が飛ぶ。
 これを、ドリルの回転で弾こうとする璃瑠だが。
「な……っ?」
「気に入ったか? ただの攻撃じゃまいってことだ!」
 斬撃を貫いたと思った瞬間、彼女の動きが止まった。
 その攻撃は、フェイク。気づけばドリルは念動力の鎖に絡み取られ、その回転を止めてしまっていた。
「こうなったら、全力でしてよ!」
 だわっ、と気合一声。恐るべき跳躍力で天井近くまで跳んだ璃瑠は、そのままドリルの回転数を上げる。
 そう、縛られ、地に足がついた状態でドリルが回転しないのならば、足を浮かせれば良い。
 彼女自身も猛烈な勢いで回転。そう、己が身すらも一つの武器として、繋がれた鎖そ辿り、巨大な螺旋がオブリビオンへと進撃する。
「ディィィス……ッ! ドリルラクショォォオオオオオンッ!! つゥらァぬゥけェなァのォだァわァッ!!」
「く……っ!」
 これを受けたら流石に無事では済まないと判断したか。オブリビオンは回避の姿勢を取るが、完全には間に合わない。
 ドリルは宇宙海賊の手元を捕え、その剣を弾き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

月守・咲凛
SPDで戦闘、敵の攻撃は見切りと残像で回避します。

「くさいです」
直球で言葉を投げ付けます。
「あなたもあなたで臭いです帝国騎士。騎士としてのプライドはないのですか!具体的にはマナーとかエチケットとかそういう感じの!」
ジャキンとチェーンソーを突きつけて、先ずは手始めのガトリングを斉射。
「近付かないでください!臭いです!」空中に飛んで肩と足からミサイル発射。
ひたすら臭い臭いと言葉で斬りつけながら、空中からの遠距離戦で対応を終始します。
敵がユーベルコード使用したら、こちらもユーベルコードを発動して、全弾発射で足止めします。


シル・ウィンディア
直撃だったのに平気って…。
でも、だからこそ、ここで倒さないとっ!

動きは相手のほうが上…
でも、それなら…
使う魔法は、速射性の高い、ソニック・ブラスト
これなら、予備動作も少なくて連射も効くからね
【高速詠唱】【全力魔法】で使用するよ

敵の動きに惑わされずに、【第六感】で感じ取って
残像には惑わされないよ

敵の攻撃は、【見切り】を使用して最小限の動きで回避
防御は【オーラ防御】と光刃剣を回転させてシールドとして使用
敵の斬撃は、【武器受け】で防いでみるよ

ソニック・ブラストは、隙を見つけたら、何度でも連射して
攻撃します

相手の脚が止まったら、光刃剣で攻撃を仕掛けるね
…さっきは、痛かったんだからねっ!!



●宇宙海賊討伐の三
「さっきは、痛かったんだからねっ!!」
 敵が武器を落とした今が好機。
 背を蹴られた仕返しとばかりに、シル・ウィンディア(f03964)がすっ飛んでいく。先ほど叩き込んだユーベルコードは、決定打に至らなかった。そのショックもある。
 それに、動きは相手の方が早い。
 ならば。
「ソニック・ブラストーッ!」
 連射の利くユーベルコードで、手数を稼ぐべきだろうか。
 地水火風四属性の魔力砲を恐るべき速度で連射し、敵の機動を削ぐ策だ。
「チッ、小癪な」
 またも高速移動で砲撃を回避してゆく宇宙海賊。
 だがそれでいい。隙は必ず生まれる。
 そんな時。
「臭いです」
 呟いたのは月守・咲凛(f06652)。先ほどまでこの部屋を埋め尽くしていた触手オブリビオンの悪臭は未だに抜けきっておらず、鼻を取り外してしまいたくなるほどだ。
「あなたもあなたで臭いです帝国騎士。騎士としてのプライドはないのですか! 具体的にはマナーとかエチケットとかそういう感じの!」
「何を言う、この芳しい香りを理解――」
 ビシリと指を突き付けるようにして指摘する咲凛の言葉に動揺を覚えたか、帝国騎士改め宇宙海賊は、飛び交う魔力砲に足を取られた。
 姿勢を崩したオブリビオン目がけて、シルが疾る。
「今度こそ、全力ッ!」
 光刃剣を振りかざし、宇宙海賊に斬りかかる。
 だがまたしても、その姿は残像となって消えた。
 そんなことは予測済み。
「同じ手は――」
 剣を握る手を返し、振り向きざまに一閃。
「通用しないんだからっ!」
 すると、背後に立ったオブリビオンの胸元を切っ先が掠った。
 どうやら敵は身体能力に優れているものの、戦術に於けるセンスはイマイチのようだ。
「臭いですからさっさと終わりにさせてください!」
 これを逃すまいと咲凛の腕部装甲が展開、【トマラナイアシオト】によるガトリング斉射だ。
「ぐっ、おのれッ」
 これには宇宙海賊も回避の手立てがない。
 続けて、弾丸が途切れた隙を埋めるかのようにシルが高速で詠唱を済ませる。
「炎よ、水よ、風よ、土よ……。我が手に集いて、障害を撃ち抜けっ!」
 再び【ソニック・ブラスト】による魔力砲の連射。
 さらに咲凛もただ弾を切らしたわけではない。
「武装ユニット全開放!」
 全身の外部装甲をフルオープンに、内臓されていた火器全てを露出させる。
「臭いからさっさと片づけます!」
 そして放出される弾丸、砲弾の嵐。
 魔力砲と実弾の融合。溢れかえるような爆音、飽和攻撃。
 流石のオブリビオンも、これは溜まったものではないだろう。
 攻撃が止む。猟兵の二人は肩で呼吸しながら、巻きあがった粉塵が収まるのを待った。
 やったか?
「……ぐ、おのれ、猟兵ども、めっ」
「な、なんてタフなの」
「やっぱり、臭いです」
 宇宙海賊は健在だ。恐るべき体力。
 シルも咲凛も呆然。
 だが。攻撃が無駄だったわけではない。見れば宇宙海賊の鎧はところどころ崩れている。着実にダメージは蓄積しているはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

デブラ・ヘックシュバイン
いやー、くさいのにはなれてるんす。
きたない・くさいが戦場の習いっすからねえ。

しかしこれは…きっつい!!

仕方ない、距離を取って撃ちまくりコースでいくっすよ。
敵の鎧は損傷が進んでいるようっすから、
そこを狙い撃ちにしてさらに守りを剥がしてやるっす!

まあ、削りきれなくても後に続くお仲間に託すとしましょうかねい。


シル・ウィンディア
相手は、こっちよりも早くて、回避能力が高い、か…
でも、手数が多いわけでもなければ、行動も一定パターンが見えてきたし…

…よし、ここは
魔力全開っ!ヘキサドライブ・ブーストで身体能力を強化
スピードもパワーも、さっきと同じって思ったら大間違いだよっ!

強化された身体能力を最大限に使って
【空中戦】【残像】【ダッシュ】で機動戦っ!
移動スピードは、変速で強弱をつけて立ち回り、撹乱をしていくよ

敵への攻撃は、【第六感】で感知しつつ、【二回攻撃】を行うよ
後ろをとられても、焦らずに、立ち回るよ
…残像があったって、動きは見切ったよっ!!

鎖でつながれても、速度の勢いを殺さずに
ずっと飛び回ってあげるっ!



●宇宙海賊討伐の四
 臭気というものは、ある程度慣れることで対応することもできる。そういうものだ、と割り切るのだ。
 特に戦場を数多く経験すれば、嫌でも鍛えられることとなる。土の臭い、硝煙の臭い、血の臭い、死臭、腐敗臭。経験豊富な戦士となればなるほど、これらへの耐性は身に着くというもの。
「しかしこれは…きっつい!!」
 死に最も近い戦場を経験してきたデブラ・ヘックシュバイン(f03111)でさえも、この部屋に充満する臭いは耐えがたいものだった。
 そもそも、臭いのベクトルが違うのだ。これまで彼女が体感してきた悪臭が、まるで芳しいフレグランスに感じられるほど、今ここにある香りは未知のものだった。
「食い損ねたハンバーガーを捨て忘れて一か月放置してたってこんな臭いにゃならねーっす。悪いっすけど、ここは退避退避、っす」
 部屋へ踏み込むことを断念したデブラは、出入り口の扉に身を隠す。依頼を受けた以上、何もしないわけにはいかない。しかし嫌なものは嫌なのだ。嗚呼、さっき居住区の自販機で売っていた安っぽいフィッシュ&チップスの箱からも妙な臭いがしてきた。流石にこれは食べられない。
「とはいえ、敵の鎧が剥がれてきてるっすからね。こりゃひん剥くチャンスってやつっすか」
 モ式大型詠唱拳銃を構え、扉から少しだけ顔を出す。
 まだ幾人かの猟兵が、オブリビオンと対峙していた。

「こっちよりも早くて、回避能力が高い……。おまけに、すっごいタフ。でも、手数が多いわけでもなければ、行動も一定パターンが見えてきたし」
「何をごちゃごちゃと。お遊びは、ここまでだ!」
 何度も果敢に宇宙海賊へ挑む内、対峙する内の一人シル・ウィンディア(f03964)にも見えてきたものがあった。
 それは、オブリビオンの特性。その瞬発力、それから持久力。確かにこれは厄介だ。
 しかし、攻め込む隙がないわけではない。
 ならば。
「六芒星に集いし精霊達よ……」
「させんッ」
 シルが詠唱を始める。
 直後、オブリビオンがその手を振りかざし、距離を詰めた。これではユーベルコードが間に合わない。
 が。
 一発の銃声が響く。
 オブリビオンの籠手が弾けた。
「な、誰だ!」
「ふー、危なかったっす。さ、逃げるが勝ちっすね」
 デブラによる狙撃だった。まだ戦士としての勘は鈍っちゃいない。
 だが異臭の染みついたオブリビオンに標的とするのは願い下げだ。彼女はそのまま、居住区の方へと引き換えしていく。
 命あっての物種だ。後は仲間に任せよう。新鮮なジャンクフードが待っている!
「我にさらなる力を与えよ……。魔力、全開っ!」
「な、しま――」
 その間に、シルのユーベルコードは発動した。
 二対の光の翼を授かった彼女。【ヘキサドライブ・ブースト】による変身だ。
 さらにシルは、目にも止まらぬ速度で部屋の中を飛び回る。
「ふん、剣などなくともッ!」
 オブリビオンは、手刀を剣に見立てて、斬撃を繰り出した。
 だがシルは速度に変化をつけ、オブリビオンをかく乱してゆく。
 その姿は、気まぐれに飛ぶ優雅な蝶にも等しい。
「チッ、ならば!」
 念動力の鎖。シルはこれに左足を取られた。
「捕まえたぞ。観念するんだな」
「さっきまでと同じって思ったら大間違いだよっ! これが、私の本気なんだから!!」
 捕らわれたのではない。捕えたのだ。
 彼女の攻撃はこれまでに幾度も空振りしている。それは、敵の機動力によるところが大きい。
 ならば、相手の位置が正確に把握できる状況を作り出すこと。
 鎖を辿れば、必ずオブリビオンに打撃を与えることができる。
 光の翼をはばたかせ、光の刃を振りかざす。
「動きは見切ったよっ!!」
「ば、ばかな――」
 光刃一閃。
 それは、オブリビオンの右腕を切り落とした。
 デブラの狙撃で籠手が剥がれたことも幸運だっただろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アス・ブリューゲルト
姉と妹の情報を探している間に、こんな騒動に巻き込まれるとは。
どうやら、あれが親玉らしいな。さっさと終わらせて、シャワーに入るとしよう。

改造された両足の俊敏さを生かして、一気に敵の間合いに入り込み、得意の剣で2回切りつける。
「この匂いは……堪えるな」
異臭に顔をしかめながらも零距離射撃のクイックドロウを、放ち、距離を開ける。

どうして、俺のサイボーグ部分は鼻では無かったんだろうと思いつつも、剣と銃を交互に操りながら、最後にもう一度、クイックドロウで止め。

「流石にその異臭は同意しかねる」
早く風呂とシャワーに浸かりたいと思いながら、敵の最後を見届ける。



●宇宙海賊討伐の五
 最早オブリビオンは虫の息。
 トドメを刺す絶好のチャンスだ。
 生き別れた姉と妹を探し、この世界にまでやってきたアス・ブリューゲルト(f13168)。数々の宇宙船が存在するスペースシップワールドでは、探すことも困難だ。そもそもこの世界に来ているのか、その確証もない。だが、何もしないわけにはいかないのだ。
 その最中、このオブリビオンと対峙することとなったアス。
「この臭いは……堪えるな」
 何故自分がサイボーグ化されたのは足だったのだろう。こんなことなら、鼻を機械化してくれた方が良かった。
 などと考えながら。アスはフォースセイバーを握り、駆ける。
「俺の間合いだ!」
 ブンと光が唸り、オブリビオンの喉元を掠める。まだ浅い。
 だが。先ほどまでに見た俊敏さは、もうない。これまでの集中攻撃がよほど効いているのだろう。片腕も失い、鎧も剥げ、防御力も低下しているはずだ。
 敵の長所は、今や完全に潰されたのだ。
「チッ、猟兵風情がッ!」
「その猟兵に消されるんだよ、お前はッ!」
 右手には剣を、そして左手にはブラスターを。
 斬撃、銃撃。交互に織りなされる連続攻撃。
 オブリビオンが壁際に追いやられる。
「舐めるなッ!! 私の求めた香りを否定するなど――」
 残された左腕が振りかざされた。
 が。
「流石にその異臭は同意しかねる」
 一撃。
 宇宙海賊の腕が振り下ろされるより早く。
 ブラスターの光が、オブリビオンの眉間を貫いた。

●宇宙海賊討伐の終
 オブリビオンが討伐されたことで、宇宙船の住民達は元の暮らしに戻っていった。
 強烈な異臭はすぐに抜けないほどで、関連区画は封鎖。消臭作業が行われることとなった。ちなみにこの作業に従事したのは、何等かの理由で職を失った者達だったそうだ。
 いくらなんでも、消臭作業に一か月以上を要することはないだろう。区画の整備も進めば、すぐに何もかもが元通りとなるはず。
 もし。
 猟兵がオブリビオンを討伐しなければ。
 彼ら宇宙船の人々は、この臭気によって、あるいはあの触手共によって、滅ぼされていたに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日


挿絵イラスト