3
それでも最期は優しい夢を

#ダークセイヴァー

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#ダークセイヴァー


0




●どこにも救いは無いのなら
 暗い森にいる己自身に気が付いたのは何時頃だったか。
 夜と闇が支配する世界の中で、ある日唐突に『それ』は己を自覚した。

 そうして暫く森の中を彷徨っていると、ある日ボロボロに傷ついた子供を見つけた。
 光を失った少年は、目の前の存在が言葉も形も失った異形であると、自らを襲ったオブリビオンと同じ存在であると気づかぬまま、痛い、苦しい、助けて『それ』と縋りつく。
 その姿があまりにも哀れだったから、『それ』は自らの力で子供を救ってやった。

 一人、また一人と同じような人間に出会い、そのすべてを救ってやる。

 きっとこれが自分の使命なのだと、『それ』が考えるようになるのに、時間はかからなかった。
 さあ、きっと救いを求める者はまだまだいる。次の救済を為しに行こう。

●救いの手を伸ばしに行こう
「皆様、お集りいただきありがとうございます。世界コードネーム:ダークセイヴァーにて、オブリビオンの出現が確認されました」
 シスター服に身を包んだグリモア猟兵が、自分の呼びかけに応じてグリモアベースに集った猟兵達へ語りだす。

「ご存知の方も多いでしょうが、ダークセイヴァーは既にオブリビオンに敗北した世界。人々は恐怖に怯え、日のあたらない世界で諦観と共に生きています」
 とはいえ、オブリビオン達も世界のすべてを常に監視しているわけでもない。辺境の荒野や森林に寄り添いながら、息をひそめてどうにか生きながらえてきた村も存在する。
 ただでさえ太陽の恵みを受けられないダークセイヴァーの中で、決して楽な暮らしではないけれど、人々は懸命に支え合って生きているのだ。

「皆様に向かってもらう街も、そのようにオブリビオンから隠れてきた場所の一つです。ええ、お察しのとおり、今回その平穏も終わりを告げたわけですが」
 子供が、消える。
 いつの頃からか、その街には奇妙な笛の音が響くようになった。そうして、その笛の音が途絶える時に、子供も一人、街から姿を消してしまうのだという。

「ええ、ええ。犠牲が出る前に予知することができなかったのは、此方としても悔やむばかりです。しかし、街にはまだ子供が残っている。ならば皆様のお力が必要でしょう」
 それに、分かっていることもあるのですと、グリモア猟兵は己の見た情報を猟兵達に伝える。

 幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』。
 夢幻へ誘う蝶を操り、人々に醒めない眠りを与える不定形のオブリビオンが、今回の騒動を引き起こした原因そのものである。

「まあこの名前も、本人が名乗ったわけじゃありませんけどね。情報を整理するのに、無名では不便だったものですから」
 能力の説明を終えた彼女は、訝しげに言葉を吐き捨てる。

「そもそも、何がしたいのかもよく分からない奴でして。どうも予知を見る限り、攫った子供を寝かせて、後はなんにもしてないんですよね、コイツ」
 それでも相手はオブリビオンであり、子供を攫われた家族は今も嘆き悲しんでいる。
 ならば、敵を打ち倒し、攫われた者達を救い出すのが猟兵の務めだろう。

「まあ、なんにせよ、奴の居場所までたどり着けばハッキリすることです。まずは街で情報を集めることとしましょう。誘拐の実行犯と出くわすこともあるでしょうから、戦闘の準備はお忘れなく」
 そう言った彼女の背後で、グリモアがひときわ強く輝きだす。
 猟兵達を別世界へ送る、転送の準備が完了した合図だ。

「では準備も整いました。皆様、どうかお気をつけて」
 そう締めくくりの言葉が発せられると同時に、猟兵達の姿はグリモアベースから消え去った。


北辰
 はじめまして。今回よりシナリオを執筆いたします、北辰と申します。

 今回の舞台はダークセイヴァー、連続児童失踪事件を追っていただきます。
 とはいえ、事件自体はごく単純な構造。猟兵達は1章で情報を集め、2章で取り巻きを薙ぎ払い、3章でボスと対峙いたします。
 是非とも、猟兵の皆様の『やりたいこと』を押し出したプレイングをお待ちしております。

 1章においては、街での情報収集です。
 地道に住民から情報を集め、敵を待ち伏せるもよし、さっさと目星をつけて、こっちから誘拐犯を殴るのを狙ってもよし。
 ダークセイヴァーにおいて猟兵達の存在は知られていませんが、街の住民たちもこの事態に恐怖を抱き、一刻も早い解決を望んでいます。協力を得るのは、難しくは無いでしょう。
 もちろん、北辰が思いつかない冴えたやり方で敵を見つけるのも大歓迎です。

 2章以降も、戦闘の難易度は高くありません。
 プレイングに自信のある方はもちろん、まだまだ自分の動き方を見つけてない猟兵の方も、お気軽にお越しくださいませ。

 それでは、よろしくお願いいたします。
133




第1章 冒険 『誘う音色』

POW   :    街を歩き回る、笛の音がする方角を調べる

SPD   :    住民から話を聞く、子どもを尾行する

WIZ   :    これまでの事件を調べる、アイテムなどを活用する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ジゼル・フレーズ
オブリビオンは細やかな平穏すら許してくれないのね…分かっていたことですけど
終わりが見えない戦いだとしても、せめて手が届く範囲だけでも…

まずは情報収集
この事件を調べてる者です、と丁寧な態度で街の人に接触
姿を消した子供のご両親や、親しかった子の紹介を依頼する

子供の失踪事件ですから、子供がいる人は神経質になっているでしょう
子供から話を聞くときは、まずその子のご両親から話を聞いて警戒心を解いてからにする

私も家族を失ってるので…と子供を奪われた悲しみに共感しつつ、助けられる可能性があることを伝え、情報を引き出す話に持っていく

姿を消す前に何か変わった言動はなかったか…といった情報が得られるとよいのですが



どこか活気を失った街を歩く黒づくめの女性。
 元々豊かな暮らしなどできない辺境であれど、それだけが理由では無いのは一目瞭然だ。
 大人たちは原因不明の神隠しに憔悴し、友を失った子供は、次は自分の番かもしれないと、怯えた表情を隠さない。

「オブリビオンは細やかな平穏すら許してくれないのね…分かっていたことですけど」
 誰に聞かせるわけでもない、ふと口から洩れた言葉。
 黒衣の女性、予知に応えてこの世界を訪れた猟兵の一人である、ジゼル・フレーズ(人間の人形遣い・f00044)は、一瞬だけ浮かんだ憂いの表情を穏やかな笑顔で覆い隠し、街の人間に事件解決への協力を申し出る。
 せめて手が届く範囲だけでも、と。

 ジゼルの申し出は、意外なほどにすんなりと受け入れられた。
 不安がる住民を思い、努めて丁寧に振舞った彼女の気遣いも響いたのだろう。けれど、それ以上に街は追い詰められ、藁にも縋る思いだったのかもしれない。

 そうして、紹介された被害者の両親や、幸運にも被害を免れている子供たちを訪ねて回る。
 決して子供を不安がらせないように、根気強くその両親に事件解決への熱意を訴え、子供を失った両親には、その悲しみに寄り添う。
 彼女も、彼らと同じ痛みを知っていた。

 そんな彼女だからだろうか、ぽつりぽつりと集まる証言の中に、共通点を見出せたのは。

 ――ウチの息子は、消える前日に今年は一段と冷えると寒がっていた。
――あの娘が消えてしまったのは、食べ物のつまみ食いを叱りつけた直後だった。

 消えたすべての子供が、全員日々の暮らしに不満を持っていたかはわからない。
 けれど、この共通点が偶然の物だとは、ジゼルにはどうしても思えなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

芥辺・有
子供を拐って寝かせるだけってのも可笑しな話だね。何がしたいんだか。

適当に旅人のフリでもして住民に話でも聞いてみようか。
子供が消えるって話を噂に聞いたけど、旅の途中にでもどこかで見かけるかもしれないからって感じかな。消えた子供の共通点みたいなのとか、そういう話を尋ねてみる。

もし共通点がありそうなら街ん中を歩き回ってそれらしい子供に目星をつけようか。特にないようならふらっと街の外に出ていきそうだったり足取りのおかしな子供を探してみる。
街を出そうな子供があれば無明でひっそり追跡させてみるよ。その先で居所でも掴めればいいんだけど。



「子供を拐って寝かせるだけってのも可笑しな話だね。何がしたいんだか」

 髪に花が、背中には天使の羽。
 見る人によっては、猫のそれを思わせる金の瞳で街行く人々を眺めるオラトリオ。
 芥辺・有(ストレイキャット・f00133)は、仲間から伝えられた失踪者の共通点を頭に入れて、街を歩き回って該当する子供がいないか探し回っていた。
 だが。

「……いないな、子供」
 有自身、想定していた事態ではある。
 失踪事件が起こる街、子供をほったらかしにしておきたい親など、そうそうは居ないだろう。

 けれど、余裕の無い街において、重要な働き手である親が、何時までも子供を見張れるわけはなく。
 たとえ危険が間近に迫っていたとしても、退屈な家の中で、言いつけ通りに閉じこもっていられる程、思慮が深い子供ばかりなわけもなく。
 表通りには大人しかいなくても、路地の裏、街の隅。こっそりと、無根拠な安心感と共に遊びに繰り出した子供の気配は確かに感じられる。

 言うまでもなく、大変に危険な行為である。
 けれど、この時において重要なのは、大人から隠れた子供たちは、オブリビオンにとって格好の獲物であろうことと。

 かちゃり。

 無骨なヘッドホンを耳から外し、首にかけた有が、オブリビオンへと立ち向かう為に知覚能力を鍛え上げた、優秀な猟兵であることだけだ。

「ひとり……ふたり、さんにん……結構いるね」
 耳をすませば、幼く、高い声でのないしょ話が。よく目を凝らせば、路地裏へと消えていく小さな影が確かにある。
 子供がやんちゃで元気なのは良い事だ。子供を攫うオブリビオンなんてものがいなければ。

 さて、どうするか。
 これだけの人数、仲間の猟兵にも伝えて、手分けして見張るべきだろうか。
 それでも、呼んだ猟兵が集まるにも時間はかかる。重ねて言うが、有は確かな経験を積んだ、優秀な猟兵である。

「『おいで』、無明」
 何もない空間に有が呼びかける。
 その次の瞬間には、一切の光を飲み込んでしまいそうな、黒の狼が静かに命令を待っていた。

 有が静かに、手で路地裏を走る少年の一人を指し示す。
 優秀な追跡者への指示は、これで十分だ。

 追跡を始める狼が姿を消すのを見届けないうちに、有は猟兵達に連絡を取り始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティノ・ミラーリア
似たようなの…ハーメルンの笛吹き男、だっけ?
子どもがどうなってるかはその時として…早い所見つけて処理しよう…

【SPD】追跡、迷彩
『眷属』でコウモリを出して街の中に配置。
もし戦闘になっても良いように武器は携行しておく。
笛の音が聞こえたら外にいる子どもを見つけて後を尾行しよう。
あんまり近くを飛ばせるとバレるかもしれないから、
夜闇に紛れさせるように遠巻きにして。
眷属を中継にして僕自身もなるべく姿を隠すけど、
眷属が見失えばすぐ追いに行けるくらいの距離は保つように。

どこに、いくのかな…


篁・綾
SPD分野にて。
まずは【コミュ力】【優しさ】【情報収集】【礼儀作法】を駆使しつつ、
丁寧に住民の人に話を聞くわ。
…少しでも力になりたいものね。
不明な部分は【第六感】辺りを頼りに考えることになるでしょうけど。

また、もし小動物が見つかるようなら、【動物と話す】を使って、そちらにも話を聞いてみるわ。
空を行く鳥達なら、何か知っているかしら…?

万一、不自然な動きをする子供を見つけたり、そういう子供の情報を得たら、狐の姿になって【忍び足】と【第六感】を駆使して警戒しながらあとを追うわ。
…鬼が出るか蛇が出るか、ね。



猟兵達が、有からの連絡を受ける少し前。
 別の場所でも、子供たちの行方を掴むべく、地道な聞き込みを続ける者たちがいた。

「空を行く鳥達なら、何か知っているかしら……?」
 住民たちへ真摯に語りかけ、洗練された礼儀作法を持って話を引き出す。情報収集は得意分野だ。
 それでも、住民たちとの対話から得られる情報だけでは、どうしても限界が出てくる。
 ならば、聞く相手を変えようと篁・綾(幽世の門に咲く桜・f02755)が思いついたのは、そんな時だった。

「鳥を、探しているの? 確か、一つ向こうの通りに、何羽かいた筈だよ」
 綾の呟きに答えたのは、ティノ・ミラーリア(ダンピールの咎人殺し・f01828)。
 少女のような出で立ちではあるがれっきとした男性、その整った顔は、ダンピールに多く見られる特徴の一つだ。
 そして、彼のダンピールとしての力は、その美貌だけではない。
 ふらりふらりと、彼の肩へ一匹のコウモリが飛んでくる。

 随分と人に慣れている。そう綾が考えた直後に、コウモリは黒いもやとなり、ティノの影へと溶けていった。
 眷属。影で作られた忠実な獣は、主の指示通りに空から、次の犠牲者になるかもしれない子供たちを探していた。
 空中からの視界を得たティノにとって、ただの鳥を見つけることは非常に簡単なことだった。


 最近、変な音が聞こえるようになった。
 街が、静かだ。
 人が、減った。

 ティノの導きによって首尾良く小鳥たちを見つけたまではよかった。
 言葉を持たない彼らの意思を聞き取るのも、猟兵たる綾であれば不可能ではなかった。
 しかし、所詮は自然の獣であり、人間の騒ぎなど彼らには関係が無い。
 有益な情報は持っていないか、そう綾が見切りをつけようとしたその時に。

 森に、誰かいる。

「森!?」
「森?」

 鳥の言葉がわからないティノへの通訳も忘れ、綾が問いただす。

 森に誰かいる。
 いっぱい。
 うるさい。
 寝てたよ。
 変なのもいる。

 鳥たちの語る情報に、綾の口角が思わず吊り上がる。
 街の人間も、狩りや山菜取りの為に森に入ることはあるだろう。
 だけど、その数は決して多くない。
 それ以上に、寝ていた人間がいたという言葉。
 攫った人間を眠らせるという予知に、無関係であると考える方が不自然だ。

 こうしてはいられない、一刻も早く子供たちを救いに行かなければ!

「待ってよ、僕らだけで、オブリビオンと戦うの?」
 湧き上がる使命感と共に駆けだそうとした綾を、ティノが引き留める。
 今回において彼のマイペースさは、感情の起伏が激しい綾にとって良いブレーキとなる。

「早い所見つけて処理したいのは同じだよ……だからこそ、ちゃんと皆で向かうべきだ」
 いつかどこかで聞いた、笛吹き男の伝説を思い出す。
 彼に連れていかれた子供たちは、とうとう家族の下へ帰る事は無かったのだ。
 今回の事件の結末が同じにならないと、誰が保障できようか?

 子供たちがどうなっているかという不安が晴れる事は無い。
 それでも、この街を救いに来た猟兵である以上、持てるすべての力で、オブリビオンに立ち向かうべきだ。
 ティノは、冷静さを取り戻した綾と共に仲間たちを集める為に、グリモア猟兵の下へ駆け出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


猟兵は語る。
 視る。
 聞く。
 駆ける。

 怯える民を守るため。
 無辜の命を救うため。



 そのすべてが関係ないとでも言うように。
 街に笛の音が鳴り響いた。
メア・ソゥムヌュクスス
私は街を歩くよー。うつら、うつらと笛の音に誘われるように、フラフラと。

そうしたら誘拐犯に会えるかもー?

私とおんなじ、同じ救いを与えるダレかに。どんな姿だろうか、ちょっと、楽しみかもねー。

私は、人造の聖者。睡夢と安息で人を救う者だから、似たチカラで子供を誘拐してる人って、とても気になっちゃうんだ。

あぁ、でも眠ちゃったらダメだからー、もし眠くなったら手持ちの眠気覚ましを飲むよー。

※アドリブ大歓迎です。


仇死原・アンナ
(大事な人を失うのはとても悲しい。ましてそれが子供なら…)

他の同行者と協力する。
住民から話を聞きまわり、この街に何人の子供がいるのか確認。
子供がいる親の許可を得て、子供たちを尾行する。

「笛の音に誘われた子供を見つけた時の合図を決めたらどう?例えば…口笛とか…」

動向が怪しい子供を見つけたら口笛等の合図を送って同行者に報告し、子供を追跡。

もし誘拐の実行犯に遭遇したら【絶望の福音】を使用。
攻撃を回避する予定。
無事回避出来たら[怪力]を使用。鉄塊剣を振るって実行犯を攻撃し撃退。

「子供には…手を出させない…!」
静かに怒りながら武器を振るう。


マリス・ザントマン
奇妙な眠り病ね…
ボクが身体を借りてる
別人格のマリカちゃんも同じ症状なんだけど

ここが別世界なのね、マリス
UDCアースじゃなく、この世界で見つかるなんて
邪神と異端の神に関係が?
ま、どっちもオブリビオンでしょうけど

ボクは子供たちと話をするよ
眠り病の治療法を探す旅人ってことで
コミュ力を活かしてね

笛の音に誘われる子供がいたら、後を尾行するけど

危険な世界だから、他の猟兵さんとの連携は意識
危ないと思ったら逃げ足を活かして
すぐ助けを求められるように言っておくよ


子供を眠らせるだけで、何もしない?
それは外側から見ただけの話
マリカちゃんみたいに、夢の世界に囚われてるなら
助けてあげないと


シュクルリ・シュクルグラッセ
【WIZ】
まずはこれまでの事件を調べましょう
失踪した子供の特徴や、失踪時期、笛の音の聞こえている範囲など関連を調べて、誘拐犯が出現している時間、狙う条件を絞っていきますです

失踪した子供の様子、服装など、住民からの話や、仲間の情報を元に、誘拐犯が狙う子供が、自身の年齢・身長と似通っているなら、囮作戦を実行するです。
失踪した子供の特徴や、共通点に合わせた行動、衣装にし、失踪場所付近で待機
現場を抑えて、無駄に失踪者を増やすよりも、此方のほうが効率的です

当機はミレナリィドール。家族も姉妹機も存在しませんです
ですが、攫われた家族をみると、胸部機関が不調になりますです
この解決のためにも、早期打開を図るです


オリオ・イェラキ
夜は明けますわ、夢も覚めなくては
例え辛い朝でも
その先にある光を迎える為に

先ずは街を見て回って
村人さまにお話を聞きましょう
丁寧に挨拶ひとつ、ご機嫌よう
礼を尽くしてお伺いを
皆様の夜が優しいものであるように
お力になれると幸いですわと

そう、音色が何時頃聴こえて
どの方角から聞こえるか、とか
何人かに聞き、判断した音色が聴こえる方の村外れで待機
誘い出された子供を静かに尾行致しますわ
黒いわたくし、暗がりに隠れるのは得意ですの

もし獲物が出るならば
子に危害が行かぬ様、メテオリオで先制を
その間に保護し、大剣で蹴散らしますわ

これで更に目標への方向が見えて来たかしら
保護した子は親元へ
猟兵の皆さまと情報共有致しましょう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
救い…か
死が救いになる事もあるだろうが…な
だが、家族の嘆きを思えば、倒さねばならんだろう

先ずは居なくなった子供の親にその時の状況を聞きたい故、街の人々に話を聞いてみたい
旅の司祭という旨を伝え『礼儀作法』で力になれる事があるか
最近様子のおかしな子供はいないかと聞いてみる
…事前に狙われそうな子供が居れば、その子供を中心に見張っておきたいが…どうだろうな

後は街を歩き『第六感』と『聞き耳』を頼りに笛の音がしないか、様子のおかしな子供がおらんか見て回ってみよう
笛の音がしたならばそちらへ向かい先に何があるか調べよう
もし街を出る子供が居たら『追跡』し尾行、本拠地の場所を確認後皆に知らせに行こうと思う



「今の音って……!」
「拙いかもしれん……な」
 笛の音が響いたその時、マリス・ザントマン(夢渡りの民・f09415)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、大人たちの行き交う街の大通りに居た。
 オブリビオンの居場所が分かったとの報せを受けて、一度他の猟兵達と合流すべく、自分たちが転移してきた場所に帰ろうとしていたのだ。

 つまり、猟兵達の監視の目が子供たちから離れる、最悪のタイミングであった。

 合流を優先すべきか、オブリビオンに狙われる誰かの下へ急ぐべきか。
 一瞬の逡巡。
 けれど決断の後は疾風のように、2人は笛の音の方向へと走り出す。

 聴覚に優れ、一瞬だけ響いた笛の音の方向を正確に把握できたザッフィーロと、猟兵同士の連携を意識し、自分が探していた部分以外の街の構造も調べていたマリスが偶然合流できたのは運が良かった。
 笛の音に恐れおののき、一刻も早く我が子の無事を確認しようと自らの家へ急ぐ街の住民をすり抜けながら、オブリビオンが現れるであろう笛の音の下へと急ぐ。

 走りながら、マリスは思考する。
「(子供を眠らせるだけで、何もしない? それは外側から見ただけの話だよ)」

 眠りに落ちて、目覚めないという子供たちの話が、マリスには他人事には思えなかった。
 なにせ、この走る身体の本来の持ち主である、自分の友人も同じなのだ。
 オブリビオンが、予知では見抜けぬ悪意を持って子供たちに接していないと、安心しきるわけにはいかない。

 もっと早く。早くたどり着かないと。
 真剣な表情のマリスと、それを気づかわしげに見やるザッフィーロは、徐々に人が少なくなっていく街を駆け抜けていった。



 素早く駆け出す猟兵達が居る一方で、笛の音の下へすぐにはたどり着けない状況の者も居た。

 仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)とオリオ・イェラキ(緋鷹の星夜・f00428)。
 2人の猟兵は、家族を失った住民を心から案じ、真摯に行動してきた。
 子を失った者には礼を尽くして話を聞き、我が子を連れ攫われることに怯える住民には誠心誠意熱意を伝え、見守る許可を得る。

 子供に対するアンナの尾行は、決して相手を怖がらせてしまわぬように。
万一子供が誘い出されてしまった時の為に街はずれで待機していたオリオも、強くなってきた寒さをこらえて気を張っていた。
 どちらも、ただオブリビオンを倒すだけという動機に留まらない情熱があってこその行動だった。

 そんな2人だったからだろうか。
 攫われた子供たちの居場所が分かったという報せを聞いた者の中でも、もっとも早く街はずれにいたグリモア猟兵の下へ戻ってきてしまっていた。

「グリモアの力でわたくし達を送ることは……ええ、不可能ですのよね」
 オリオの問いかけに、グリモア猟兵が悔し気に首を振る。
 世界を渡るグリモアの力も、そこまでの小回りが利くものではない。
 そもそも、街はずれに来てしまっていた彼女たちにとっては、笛の音が街のどこから響いたのかも分からない。

 彼女たちに、仲間がいなかったらの話であるが。

 ぴい、と。明らかに先ほどの笛とは違う、涼やかな音が響く。

「! これって……!」
『笛の音に誘われた子供を見つけた時の合図を決めたらどう? 例えば……口笛とか……』

 グリモアベースから転送されてきた猟兵達が街へ向かう前に、アンナが提案したことだった。
 単独で敵に立ち向かうことが如何に無謀か。処刑執行人として生きてきた彼女はよく知っていた。
 だからこそ考えた、皆で協力してこの街を救うための小さな工夫。

ぴい、ぴい。口笛は続く。

「なるほど。これなら街に入った後も、口笛を目指せばたどり着けますわね」
「ええ、彼女たちが襲われる前に、急ごう」

 大事な人を失うのはとても悲しい。ましてそれが子供なら。

 アンナを突き動かすその思いは、果たして彼女だけの物なのか。
 その問いに答えるように響く口笛を頼りに、2人の猟兵は走り出した。



 響き続ける口笛の音。
 その中心では、2人の少女が、複数の黒い影に追われていた。

「誘拐犯に会えたのはよかったけどー。ちょっとピンチかもねー」
「ちょっとどころではありません。大ピンチです、数が多すぎます」

 子供であれば、とうに力尽き、攫われているであろう時間を、その2人は逃げ続けている。
 2人は影たちがいつものように連れ去る子供たちとは違う。

 メア・ソゥムヌュクスス(夢見の羊・f00334)とシュクルリ・シュクルグラッセ(ガーディアンドール・f10278)、魔導蒸気文明の高度な技術によって作られた2人のミレナリィドールに息切れなどという不具合は起こりえない。

 元々は、シュクルリの提案だった。
 知らぬ者であれば少女にしか見えない2人の容姿を利用して、オブリビオン達を誘い出してやろうと。
 無力な子供を危険に晒すよりも、ずっと効率的な策であると。

 そう、すべては効率だ。
 シュクルリには、家族と呼べるものも、姉妹機も存在しない。
 家族を失う嘆きが、シュクルリには理解できない。それは、彼女には最初から与えられなかったものだ。
 他の猟兵達は子供たちを救おうと奮起しているが、そのような思いもシュクルリにはピンと来ないものである。

 それよりも、この街を訪れてから、子供を思い悲しむ親たちを見てから発生している胸部の不調の方が、彼女にはよっぽど問題だ。
 なにせ原因不明である。なにか魔導蒸気に悪影響を与えるものがこの街にあるのかもと考えたが、どう見ても普通の街でしかない。
 そもそも、悲しむ人々を見ただけで起こる不調など、シュクルリの知識には無いものだ。
 ならば一刻も早く自分の世界に戻り、この名称不明のエラーを調べる必要がある。

 他の者がそれを何と呼ぶのかを知らないまま、シュクルリは危険を覚悟で、事件の早期解決に挑んだのだ。

 それに付き合うメアにもまた、そうするだけの理由がある。
 彼女は人造の聖者。睡夢と安息をもって人を救うことを願われて生まれた存在だ。
 だからこそ、自分に似た力を持つというオブリビオンがとても気になった。

 どんな姿をしているのだろうか。何を思って、その力を振るうのだろうか。
 それが知りたくて、シュクルリと共に囮作戦を決行した、のだが。

「(……違うねー。この子達が誘拐犯かもしれないけど、眠らせるのは、きっと別の人)」
 対策として、ちょっと常人には飲ませられない眠気覚ましも用意した。
 けれど、彼女たちを追うオブリビオンは、炎の術は使えど、眠らせる、催眠の類は一切使ってこなかった。
 そして、気になる点はもう一つ。

「これ、気を使われてますね、私たち」
「シュクルリさんも、そう思うー? なんだか、優しいよねー」
 負けず嫌いなシュクルリがしかめっ面で呟けば、隣を走るメアがおっとりと答える。
 彼女たちが察した通り、オブリビオン達の攻撃は穏やかな物だ。

 最初は攻撃ですらなかった。オブリビオンは2人を取り囲みゆっくりと手を伸ばしてきただけなのだ。
 シュクルリが折り畳み、隠し持ってたガジェットにより包囲を突破された後は、炎を飛ばしてくるようになったが、それすらも腕や足、致命傷にならない箇所を狙ってきている。

 オブリビオン達が2人の生け捕りを狙っていることは、明白であった。

 とはいえ多勢に無勢、駆け、跳び、時には行く手を阻むオブリビオンを薙ぎ払い。
 それでも2人は、ゆっくりと追い詰められていく。



 今回の子供はやたら時間がかかったなと、オブリビオンが思考する。
 いや、それは思考と呼べるものでは無かったのだろう。
 混ざり、融け合い、ぐちゃぐちゃになってしまった『彼女たち』の誰かが、一瞬だけ表層に浮かんできただけだ。

 既に結末を迎えてしまった過去の残骸。
 とうにすべてを忘れたオブリビオンは、それでも世界に優しい夢をと、人を『あの人』の下へ連れていく。

 この子供たちを連れて行ったら、そろそろ大人も連れて行ってあげようか。

 そんな考えを、また一瞬だけ浮かべながら、街の外まで追い立てた2人の子供に手を伸ばし。


その手は、割り込んできた男の巨躯に阻まれた。



 狂った思考で殺到したオブリビオン達の手が、祭服に包まれた男の身体を打ち据える。
 武器で受け、薙ぎ払い、身にまとう聖職者としてのオーラを防御に回しても、その身体はボロボロに傷ついていく。

 そうして作られた一瞬に、『2人の』マリスがメアとシュクルリを庇うように駆け付ける。
【オルタナティブ・ダブル】。マリスの猟兵としての真価である、ユーベルコードそのものだ。

「「2人とも、大丈夫だった!?」」
「そろそろ危なかったかなー。駆動部が熱持っちゃってるよー」
「こっちは大丈夫ですけど、あの、彼が……」
 マリスの問いかけに答えながら、シュクルリが盾となった男に目を向ける。
 けれど。

「問題は無い、それよりも。こいつ等で、間違いないな?」
 巨躯の男、ザッフィーロはヤドリガミである。
 人の姿を借りた肉体はかりそめの物であり、魂の宿る指輪が無事であるならば、彼の肉体もまた、倒れることを知らない。

 じろりと、彼はオブリビオンの群れを睨みつける。
 司祭の指輪として、病み、悩み苦しんできた人間を見つめてきた彼は、『そういう救い』があることも知っている。
 それでも、彼は嘆き悲しむこの街の人々に出会った。
 このオブリビオン達は、倒さねばならない敵である。

 だからこそ、仲間の盾となることも。
 オブリビオンの背後に迫る仲間たちの為に囮となることにも、躊躇は無い。

「もう、子供には……手を出させない……!」
 地獄の炎を纏った処刑執行人が、怒りと共にオブリビオン達に切り込んでいく。
 完全に不意を打たれ、オブリビオン達が切り裂かれる。
 それでも数の優位は圧倒的だ、執行人――アンナは、すぐにオブリビオン達に取り囲まれ、報復とばかりに炎を向けられる。

 目の前の炎は、彼女の怪力によって振るわれる鉄塊剣で打ち払われる。
 けれど、背後から、彼女にとって完全に死角となる方向からも炎は迫り。

 その場で軽やかに飛び上がった彼女には当たらず、味方のオブリビオンを焼くことになった。
 闇の世界を生きてきた彼女を導く【絶望の福音】。
 それを知るはずもないオブリビオンは、またその数を減らす。

 そうして飛び上がったアンナに、空を舞う翼は無いけれど。

「さぁ……お往きなさい、わたくしの星達」
 それならばと、着地の瞬間を狙ったオブリビオンに、黒い星が襲い掛かる。
 【夜彩と流星花(メテオリオ)】と呼ばれた、輝く星たち。
 骸の海へと還る、その今際。自分たちを引き裂いた煌めく星が、美しき黒薔薇だと気づけた者は、どれほどいたのだろうか。

「夜は明けますわ、夢も覚めなくては」
 待っているのが、辛い朝であったとしても。

「その先にある光を迎える為に、わたくし達は目覚めなければならないのです」
 黒薔薇が、主の下へ帰っていく。
 そうやって元の姿を取り戻した大剣を携える黒衣の貴婦人、オリオは、静かにオブリビオン達を睨みつけた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


痛い、痛い。
 酷い、なんでこんなことを。

 苦痛と混乱の中でオブリビオンの思考が澄みきっていく。
 どうしようもなく混ざり合った彼女たちは、元には戻らない。
 それでも、今この時、その意思は一つに合わさっていく。

 許してはならない。こいつ等は救う相手じゃない。
 私たちの、『あの人』の救いを阻むこいつ等は、越えなければならない。

 この世界の夜は明けないじゃないか。
 朝を迎えても、光は私たちを照らしてはくれないじゃないか。

 痛くて、寒くて、ひもじくて。
 怖くて、惨めで、さびしくて。

 辛い事しかないこの世界の、どこにも救いなんてありはしない。
 だからこそ、この『救済』を終わらせるわけにはいかないのだ。



 かつて救われなかった誰かの残骸が。
 悲しい記憶だけが焼き付いた残像が。

 怒りに震える残骸たちが、猟兵たちへと襲い掛かる。
神城・澪
その「救い」は本当に救いなの?
貴方達がして欲しかった事が同じように相手もして欲しい事とは限らない。
「私たちのあの人の救い」と思うならば、無理に押し付ける事はしないで。

まずは数を減らす事を考えましょうか。
とはいっても私の能力では確実に一体ずつ倒す事には向かない気がするけど…。

だから燃やしましょう、フォックスファイアで。
浄化の炎だとは驕らないけれど、何もかも燃やし尽くす。
恨みも悲しみも何もかも。
せめてその明るさが熱が届けばいいのだけれど。


芥辺・有
戦闘している場所に辿り着いたなら、さっさと加勢しよう。

……怒ってるってか?そんな気色だね。何かに怒ってるのか、知らないけど。子供達をこれ以上拐わせるわけにはいかないから。

出来れば一体ずつ処理したいとこだけど、こう数が多いと難しいか。
蚦蛇を手に、繋がれた愛無を振り回して範囲攻撃を。
属性攻撃で強化した厳つ霊を使用して白蛇を喚び出したなら、まとめて尾で薙ぎ払わせようか。
取り敢えず、一体ずつ仕留められなくても少しは他の奴らが倒しやすくはなるだろ。

敵の攻撃は見切りで避けられるよう心掛ける。もしくは蚦蛇で絡めとって敵を盾にするよ。



「その『救い』は、本当に救いなの?」
 オブリビオン達の放つ炎塊を避けながら、神城・澪(妖狐の戦巫女・f06764)は問いかける。
 襲い掛かってくる直前に聞こえた、彼女たちの叫び。
 この騒動の背景に存在するのが、悪意だけではないことは察しが付く。
 けれど。

「『私たちのあの人の救い』と思うならば、無理に押し付ける事はしないで」
 たとえ、かつて同じ世界を生きてきた存在だとしても、同じ願いを抱くとは限らない。
 どんな過去から生まれた存在であろうと、それを理解できなくなってしまったオブリビオンならば、討たねばならない。
 決意と共に、戦巫女はその手の薙刀を振るい、オブリビオンの絶叫を引き裂き、戦場を駆ける。

「……怒ってるってか? そんな気色だね。何かに怒ってるのか、知らないけど」
 少し遅れて戦場に駆けつけた有は、けだるげに吐き捨てる。
 オブリビオン達の叫びは殆どが意味を持たないものに成り果てている。
 残影と呼ばれた、複数人の魂から生まれるこのオブリビオンは、その経緯から特に行動が不安定だ。澪のように、多少なりともその意思を察せられる方が珍しい。

 もっとも、目の前の存在にどんな意図があろうと、有がこれからすることは変わらない。
 子供達を、これ以上拐わせるわけにはいかないのだ。蚦蛇と愛無。自身の武器である、黒で統一された杭と鎖を握る手にも、自然と力が入っていく。

 集団を相手にする場合、確実に一体ずつ減らしていくのが定石である。
 しかし、それを行うにしても敵の数が多すぎる。
 2人の女猟兵の思考は、言葉を交わすこともできない乱戦の中でも、同一の結論に達していた。

「だから、燃やしましょう」
 先に札を切ったのは澪だった。
 ユーベルコードにより呼び出される十二の狐火。
 バラバラにオブリビオン達に襲い掛かり、追い立てた獲物がひと固まりになれば、炎もまた合わさり、一気にそれを焼き尽くす。
 オブリビオン達が叫ぶその悲嘆。恨みも苦しみも、遠い過去に終わったものである。
 人知を超えた力を持つ猟兵であろうとも、その嘆きを覆すことはできない。
 だからこそ、その何もかもを燃やし尽くすのだ。
 光など無いと、寒さに震えるその魂に、せめてこの明るさと熱が届くようにと。

 この場に存在する者の中で、オブリビオン達だけがその姿を例える言葉を知らない。
 夜と闇の世界で『太陽』など、見たことが無いのだから。

 澪の炎により、オブリビオンの注意が自身から逸れたその一瞬に、有も勝負をかける。

「さあ、動くなよ」
 【厳つ霊(イカツチ)】の名を与えられた、白蛇の姿を模る巨大霊。
 オブリビオン達がその姿に気づいた時にはもう遅い。
 主の力を借り、紫電を纏った巨大な尾が、哀れな残影を薙ぎ払う。
 まさしく落雷のような轟音を響かせながら、有自身も愛撫を振り回し、敵の数を減らしていく。
 迅速に、容赦なく。次々とオブリビオンを屠る有の姿は、澪とは対照的だ。

 だが、これもまたオブリビオン達にとって、一つの救いの形である。
 嘆きだけを連れて、この世界に帰ってきてしまった彼女たちの安らぎは、討たれ再び還るであろう、骸の海にしかないのだから。

 既に倒した数など数えていない。怒りに我を忘れるオブリビオン達は、まだまだ多く存在する。
 それでも、戦場に現れた火輪と迅雷は、戦況を確実に猟兵達の側へと傾けていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

仇死原・アンナ
(オブリビオンは叩き潰す、ただそれだけ…!)

同行者と共闘
残影たちを屠るべく感情を殺し[力溜め]して鉄塊剣を[怪力]で振るって攻撃
怨恨の炎を使ってくるなら【ブレイズフレイム】を使用
残影たちだけを地獄の炎で包みこむ予定
毒ではなく炎を以て炎を制すという無茶な戦法
「私の地獄の炎でお前達を焼き尽くす…!」
出来る限り残影たちの体力を地獄の炎で削り、そして攻撃を加え倒す

攻撃されたら
念のため[呪詛耐性]を使用して[武器受け]による鉄塊剣での防御

無事残影たちを倒しても気は抜かないつもりで
「あとは…眠りを与えるモノだけか…」


ジゼル・フレーズ
あぁ…貴方たちも犠牲者なのですね
ごめんなさい、貴方たちを倒すことで進むしかないの

子供を救っても、その親には悲しみを与えてる
周囲の人には不安を与えてる
オブリビオンによる支配…夜が明けないという現状は変わっていない
それが本当に救いと言えるのでしょうか

支援を目的とした攻撃が中心
からくり人形を使った【フェイント】を入れた攻撃で、敵の隙を作り他の猟兵への攻撃へと繋げる
敵の攻撃は【絶望の福音】で回避を、他の人へ向かった攻撃は人形での妨害を試みる

せめて今度こそ安らかな眠りを


シュクルリ・シュクルグラッセ
【WIZ】

アストラル体……いえ、もはやその定義すら当て嵌まりませんですね

学園の迷宮に住まう災魔と異なり、根幹を為すものは悪ではないと推定します
例え、それが善からなる衝動だとしても、私には関係ありません
オブリビオンである以上、それは過去の残滓。マスターの言葉を借りれば、壊れたレコードです

今回は支援を主体として行動
数が多く、影響されやすいコードを持つようです

ならば、音には音を

体内のデバイスを起動
ユーベルコード【シンフォニック・キュア】発動準備

選択するのは、マスターが口ずさんでいた、子守唄を
味方を癒やし、支えるため、全力を尽くしましょう

それから過去の残滓達へ
貴方達はもう、ここで眠っていいのです



「(あぁ……貴方たちも犠牲者なのですね)」
 ごめんなさいと、心の中でだけ呟く。
 オブリビオン達がどれだけ動こうと、この世界の夜が明ける事は無い。
 それに、今の彼女たちが語る『救い』も、我が子を思い、涙を流す親の嘆きを無視したものだ。
 このオブリビオンは、ここで、自分たちが討たねばならない相手だ。
 それでも、あの叫びを聞いてしまったジゼルは、どうしても目の前の存在を憐れまずにはいられない。

 そして。
 このオブリビオン達は、そのような相手こそを取り込んで、ここまで膨れ上がった存在だった。

 悲しんでくれるんだ。
 憐れんでくれるんだ。
 なら。

 一緒に行こうよ。

「っ!?」
 突如としてオブリビオン達の周りに呼び出された、悍ましき肉塊から現れた腕が、一斉にジゼルへと伸ばされる。
 大丈夫だ、軌道の予想は出来ている。
 落ち着いて回避行動さえ取れれば、切り抜けられる窮地だ。
 回避行動さえ、できれば。

「そん、な!」
 逃がさないとオブリビオン達から放たれる、絶叫の衝撃波。
 味方ごと巻き込んで襲い掛かるそれを、ジゼルは辛くも躱してみせる。
 だが無傷とはいかない。負傷した身で、さきほど【絶望の福音】が教えてくれた逃走経路は使えない。
 既に時間は無い。すぐにでもこの場から逃げ出さなければ、この傷だらけの腕に押しつぶされるだけなのに!

「体内のデバイスを起動。ユーベルコード【シンフォニック・キュア】発動準備」
 選ぶのは、主が口ずさんでいた子守歌。
 ジゼルの下に、戦場には似合わない、穏やかな歌が聞こえる。
 誰がと考えるより先に、傷の癒えたジゼルが飛びのいたその直後、道連れを求める亡霊の腕が殺到する。

「貴方達の根幹を為すものは、悪ではないと推定します」
「ですが、例え、それが善からなる衝動だとしても、私には関係ありません」
 オブリビオンである以上、それは過去の残滓。
 その語る言葉も、壊れたレコードのように、そこに焼き付いた音以上のものでは無い。

 揺らぐことのない思考と共に、シュクルリの眼光がオブリビオン達を射貫く。
 獲物を逃した異形の手が一瞬シュクルリへと向けられるが、すぐに力を失い、灰となって消えていく。
 普段の、表情豊かな少女人形はそこにはいない。
 ただ、決意を秘めた猟兵だけが立っていた。

 そして、オブリビオン達が思わずシュクルリに目を向けた瞬間に。
 振るわれた錆色の大剣が、オブリビオン達を一気に薙ぎ払う。

「(オブリビオンは叩き潰す、ただそれだけ…!)」
 武器を振るう、アンナの表情は固い。
 敵の過去など、思いなど考えるな。
 自分がすべきことは、処刑執行人として、目の前の敵を屠ること、それだけだ。

 アンナの突撃から数瞬遅れて、オブリビオン達も反撃に転じる。
 自分たちと共に来てくれないのなら、容赦をする理由も無い。
 オブリビオン達が呼び出す怨恨に満ちた炎が、黒衣の剣士に襲い掛かる。

 アンナに奇襲を許したその訳を、オブリビオンの混濁した思考はすぐに忘れてしまっていたのだろうか。
 また、背後からの衝撃。
 驚くオブリビオンがとっさに腕を振るい反撃しても、伝わってくる感触は、明らかに生物のそれではない。

 ごめんなさいと、心の中で。
 けれど、先ほどとは異なる覚悟を込めて、もう一度。

「私たちは、貴方たちを倒すことで進むしかないの!」
 ジゼルの操る、からくり人形。
 巧みなフェイントを織り交ぜたその動きは、アンナを焼き尽くしてしまえと構えていたオブリビオン達の体勢を、見事に崩してみせる。

 そうして、オブリビオン達が目の前の怨敵に一矢報いる機会は永遠に失われる。

「私の地獄の炎でお前達を焼き尽くす…!」
 自分の負担など一切考えないアンナの、全力の【ブレイズフレイム】が哀れな残影たちを一飲みに焼き尽くす。
 傍には、自分たちの為に全力で歌い続ける、小さなミレナリィドールだってついている。
 ならば、この身のすべての炎をぶつけない理由が、どこにあろうか!

「……無茶をさせる為に、歌っているわけではないのですが」
 若干の呆れを顔に滲ませながら、それでもシュクルリは子守歌を歌い続ける。
 すべては仲間を支える為。
 街の人々の憂いを晴らし、我がエラーを止める為。

 もう、ここで眠っていいのだと。
 過去の残滓達へ伝える為に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

篁・綾
…そう。でも、駄目。
お前たちは、最早涅槃へ消え失せたもの。
…今のお前たちは、道連れが欲しいだけの、悪意の虚!

【マヒ攻撃】【目潰し】【属性攻撃】【範囲攻撃】【見切り】を駆使し、目の前の悲しみの残骸を討つ【覚悟】を決めて
ユーベルコード【雷桜封神】で攻撃。
敵からの攻撃は【残像】【見切り】【呪詛耐性】【オーラ防御】【フェイント】【第六感】を駆使して対応する。

…たとえその祈りが真のものであったとしても、お前たちは既に死によって世界より分かたれし、悲しみの残骸。…生あるものを脅かすことは赦されない。
…在るべき場所へ、還れ!


メア・ソゥムヌュクスス
声が聞こえた気がした。嘆き悲しむ声が。

嗚呼、それならば私は救おう。この者たちに安らかな眠りを届けよう。

さあ、夢を見よう、幸せな夢を願おう。
優しくて、温かくて、安らかな夢の中で。

ヒトは夢(絵空事)に生きる訳じゃないけども、貴女達は違う。
私が貴女を照らす光と成ろう。
だから、どうか安らかな夢を…。もう醒める事の無い幸福なユメを…。

(【耐性】【覚悟】とUCの自己回復で近づき、【優しさ】【祈り】【歌唱】【催眠術】【手を繋ぐ】で相手の手を取り、眠り誘う歌を歌い沈静化、傷だらけの手を、悲哀に満ちた心を、溶け合った魂をUCにて、癒し、浄化します。)


ティノ・ミラーリア
騒がしい、と思ったら…敵が出て来たんだ…
早い所倒して…元凶までいかないとね

【SPD】スナイパー2、鎧砕き5、破魔4、かばう2、鎧無視攻撃5
『咎力封じ』で敵のユーベルコード封印を狙うよ。
ずっと眠っていたいそうだけど、コレはもう終わってるし子どもには生きてもらわないとね。
ボス戦まで消耗は抑えたいからここでは「狩猟銃」での遠距離戦主体。
残像…幽霊的な存在なら弾丸は塩が効いたりするのかな。
「眷属」を展開して周囲、特に死角の把握をして隙を減らす。
自分や味方に攻撃が命中しそうな時は「眷属」でかばうように動かし盾にしよう。



「早い所倒して……元凶までいかないとね」
 既に大勢は決している。
 そして、目の前のオブリビオン達が予知に映った首魁でないことが明確である以上、消耗は最低限に抑えるべきだ。
 飛来する炎を、影より生まれし眷属に防がせつつ、ティノは静かに考える。

 ならば、遠距離から削っていくべきか。手にした狩猟銃に、塩を仕込んだ弾丸を装填しながら、狙うべき相手を見定める。
 相手が幽霊のような存在ならば、魔除けの塩が有効なのかもしれない。

 もちろん、ティノの推測が正しいという保証はどこにもない。
 だが、消耗を避ける為に無駄を省くことと、手を抜くことは明確に異なる行為だ。
 無理はせずに、けれど、できることはキチンと行う。
 悲嘆と怒りをむき出しにするオブリビオンを前にしてなお、ティノは冷静な猟兵であった。

 そして、オブリビオンに向き合ってなお、揺るがぬ覚悟を固めた猟兵がもう一人。

 暗い、寒い、救いが欲しい。
 その嘆きは確かに聞こえた。

「でも、駄目」
 彼女たちは、最早涅槃へ消え失せたもの。
 道連れが欲しいだけの、悪意の虚に他ならない!

 彼岸桜の意匠が入った古刀を握りしめ、綾が果敢に切り込んでいく。
 迎え撃たんとするオブリビオンが放つ衝撃波。そのすべてが綾には当たらず、地面を砕く。
 残像すら残す剣豪の姿。その神速の足運びこそが、彼女の強さなのだろうか。
 否。それだけではない。
 一挙手一投足、目線すら用いて行われる高度なフェイント。
 攻撃が放たれるその前に、軌道すら見切ってみせる第六感。

 これまで、そしてこれからも戦いの中で磨かれていくであろう綾のすべてが、その華麗ですらある戦闘を可能にしていた。
 刀が、鉄傘が、オブリビオン達を引き裂いていく。

 背後にも気配を感じるが、特に対処する必要は無い。

 後方より響く銃声。
 ほら、大丈夫だった。

 オブリビオンを蹂躙する綾の刃。
 わずかな隙も、後方より放たれるティノの弾丸により、付け入ることは許されない。
 そうして実力差を見せつけられたオブリビオン達が、別の者を狙うべきかと、綾から距離を取り始める。

 これが、オブリビオンの敗北が決まった瞬間であった。

「奔れ、奔れ 輝きの縛鎖」
「ずっと眠っていたいそうだけど」
 迂闊に距離を取ったオブリビオンに対して、2人の猟兵が、己を猟兵たらしめる、その力の象徴を突きつける。

「雷火の轍を宙へと刻み」
「キミ達はもう終わってる」
 手をこまねいて見ていていいのか。
 それでも、2人に敵わないことをすでに思い知らされたオブリビオンは、迂闊に動くことができない。

「傲れる悪しき荒神を 幽世の果てへ封滅せよ!」
「子どもにも、生きてもらわないといけないんだ」
 雄々しく、静かに。対照的な2人から放たれるユーベルコード。
 【雷桜封神(ライオウホウシン)】によって作られた紫電と桜の結界はオブリビオン達の身動きを止め。
 続けて放たれた【咎力封じ】が、オブリビオンの一切の戦闘能力を封じ、無力化した。

 無力化である。
 その出自ゆえに、ユーベルコード以外の力を持たない残影たちは、既に戦う力を失った。
 しかし、骸の海に還ったわけではない。

 もちろん、2人もこのオブリビオンを見逃す気など毛頭ない。
 自分たちは、この哀れな残影を越え、子供たちの下へたどり着き、この事件の元凶を討たねばならない。
 そもそも、既に死によって世界より分かたれしこの残骸たちの在るべき場所は、骸の海以外には存在しない。

 だけど、還し方は、選んでもいいのではないか。

「ありがとう、手伝ってくれて」
「別に。わざと痛めつける趣味もないもの」
「メアの言う終わらせ方も……ちょっと、気になったしね」
 自分の考えに協力してくれた2人に礼を言いながらオブリビオンに向かうのは、ユーベルコードによる回復でサポートしてきたメアだ。

 せめて、穏やかな最期を迎えてほしい。
 我ながら、オブリビオンに対して、なんともおかしな話だ。
 それでも、声が聞こえた気がした。嘆き悲しむ声が。

 ならば救おう。この者たちに安らかな眠りを届けよう。
 私は、もとよりそれを望まれて生まれてきたのだから。

 今なお此方を睨みつけるオブリビオンに近づき、手を取る。
 途端に、理由の無い恐怖と寒さがメアを襲う。
 作り物のこの身体すら蝕む『コレ』と、彼女たちは死してなお共に在ったのか。

 それでも優しさか、覚悟か、その両方か。
 手を固く握りしめた聖者は、【生まれながらの光】で彼女たちを照らしながら、優しい歌を歌いあげる。
 彼女たちが、二度と悲嘆の中で目覚めることのないように。
 優しくて、温かくて、安らかな夢の中で微睡むことのできるように。

 一つ、補足する。

 メアの持つ癒しの光は、一般的な聖者が使うものとは、いささか背景が異なる。
 彼女はあくまで人造の聖者であり、その聖痕も、癒しの光も、創造者の目的の下に作られ、与えられたものである。
 彼女がどんな行動をしようと、それを構成するのは、他者から与えられた作り物である。
 けれど。


 けれど、オブリビオンが、この世界から消えゆく寸前に見せた顔が。
 母の腕で眠る子供のような、穏やかに微笑むあの顔が見間違いでは無いのなら。

 それは、メア自身が育ててきた、彼女の意思が与えたものだったのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『幻想術師『パラノロイド・トロイメナイト』』

POW   :    記録■■番:対象は言語能力を失った。
【夢幻の眠りを齎す蝶の幻影 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    記録■■番:対象の肉体は既に原型を留めていない。
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【数多の幻想が囚われた鳥籠 】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    記録〓編集済〓番:〓編集済〓
対象のユーベルコードに対し【幻惑し迷いを齎す蝶の群れ 】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鶴飼・百六です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●もりのなか
 あの子たちが、眠りゆく気配を感じた。
 『私』の力では救ってやれなかったけど、彼女たちにも救いがあったのなら、本当によかった。

 思えば、あの子たちはよく頑張ってくれた。
 連れてくる子はみんな恐怖に震えていて、『私』の知らぬところにもこんなに救わねばならない者がいたのだと、己の無知を恥じたものだ。

 けれど、そんな彼らに穏やかな救いを与えられるのは『私』だけなのだ。
 あの子たちの作ってくれた寝床で、穏やかな寝息を立てる子供たち。
 彼らの姿こそが、私の使命であり、誇りそのものなのだろう。

 これから、どうしようか。
 なんにせよ、この子たちの救いが終わるまで、まだまだかかるだろう。
 『私』が離れて、この子たちを危険に晒すわけにもいかない。
 少しの間、ここで時間が流れるのを、待つべきだろうか。


 森の中に、誰かが入ってきた。
 丁度いい。このまま誰も救わないまま待つだけというのも、少しばつが悪かった。
 さあ、この救いの無い世界に生きる誰かに、せめてもの救いとなる、優しい夢を見せに行こう。



 その怪物に声は無い。
 発する喉は、遠い昔に無くしてしまった。

 その怪物に顔は無い。
 不定のそれを、微睡む面で覆って隠す。

 貴方達の目の前に現れたその怪物に、残ったものがあるのなら。
 それでもと言うに値する、優しい何かが残っているのなら。

 すべては、貴方達が決めることである。
仇死原・アンナ
あの朦朧としたモノが今回の主犯か…
あいつに止めを刺して永遠の眠りに就かせてやる

同行者と共に共闘
敵の攻撃を[見切り]と[呪詛耐性]と[武器受け]で回避する
その隙に【咎力封じ】を使用、ユーベルコードを封じるつもり
鉄塊剣を振るって[力溜め]して[なぎ払い]、攻撃し
赤錆びた拷問器具を解き放ち、敵の[傷口をえぐる]
敵が絶命するまで鉄塊剣と拷問器具で痛め続ける
「どうした?お前が悲鳴をあげるまで、その寝惚け眼が見開くまで攻撃は止まないぞ…!」

敵を倒した後は子供たちを優しく介抱しながら街へ戻り親の元に帰す
「大丈夫よ坊やたち、あれは一夜の夢に過ぎないのだから…」


芥辺・有
(先の戦いの最中で聞こえた言葉を思い浮かべて)
救い……だっけ。
子供を拐って、眠らせて、救ってたってわけかい?……それなら眠らせてただけってのも、合点がいくね。
まあ、お前に救われた奴もいたかもしれないし、いないかもしれない。……私にはどうだっていいことだ。
私は私のエゴで、お前を仕留める。

さて、手数勝負といこうか。2回攻撃をしたり、フェイントを織り混ぜることで隙をつくれるようにしよう。
ユーベルコードを使うときは敵の死角からか、隙ができたときで。
掌に傷をつけるか、あるいは敵に傷をつけられたなら、それを利用して血液を代償として杭を創り出すよ。



●揺らがぬもの

「あの朦朧としたモノが今回の主犯か……」
 薄暗いダークセイヴァーの世界においても、ひときわ闇の深い森の中。
 黒の装備に身を包んだ2人の猟兵、アンナと有の前に、青く揺らめくオブリビオンが姿を現す。

 ゆらり、ゆらりと。
 オブリビオン、パラノロイド・トロイメナイトが、液体とも、固体とも見分けがつかないその身体を宙に漂わせる。
 ゆっくりと、手にした籠から、美しい蝶々の幻影が、救うべき侵入者へと飛び出した。

 当然、その攻撃は――当人からすれば、攻撃しているという意識すらないのだが――2人の猟兵にあっさりと躱される。
 恐怖か怪我か。どちらにしても、無抵抗の相手にしか出会ったことのないオブリビオンは、少しの疑問と共に、もう一度蝶を放つべく、鳥籠を掲げる。

 二度目が放たれる前に、アンナの鉄塊剣が、有の精霊銃の弾丸が叩き込まれた。

 大きく吹き飛ばされるトロイメナイトを前にして、2人の猟兵は追撃を行わず、その場で警戒を強める。
 隙が無い、のではなく。

「なんだコイツ……『隙だらけ』じゃないか」
 呆れと、ある種の驚愕を込めて有が呟く。
 自分たちは、子供を連れ去るオブリビオンを討つために来たはずだ。
 耳を澄ませば聞こえてくる寝息は、確かに幼い人間の物だ。
 間違いなく、目の前の異形こそが、街に恐怖をもたらした、その張本人であるはずなのだ。

 いくつもの疑問が過ぎる有の脳裏に、唐突に先ほど聞こえた亡霊のオブリビオンの言葉が過ぎる。
 救うのだ、と。

「なるほど、子供を拐って、眠らせて、救ってたってわけかい?」
 それならば、眠らせるだけだという予知にも合点がいく。
 実際に、目の前の存在を救いとする者も、いたのかもしれない。
 隙だらけなのも道理だ。
 そもそも、敵に出会ったという自覚が、このオブリビオンには存在しない。

 それでも。

「……私にはどうだっていいことだ」
 有は、有自身のエゴで、トロイメナイトを討つ。
 敵には敵の事情があるのかもしれない。話し合えば、分かり合えるのかもしれない。

 そのすべてが、知ったことか。
 芥辺有は猟兵である。芥辺有はストレイキャットである。芥辺有は芥辺有という、すべてを持っている。
 その私が、この場でコイツを倒すと決めた。戦う理由は、それで事足りる。

 決意、いや、当たり前の確認と共に、野良猫が駆け出す。
 銃の連撃、鎖の殴打。硬いブーツでの回し蹴りを、退路を鋼糸に塞がれたオブリビオンは躱せない。
 体勢を立て直したトロイメナイトの身体が、再び宙を舞う。

 トロイメナイトとて、一度攻撃を受けている以上、無策で立ち尽くしているわけではない。
 必死に攻撃の回避を試み、あるいは、自身の有するユーベルコードでの無力化を図る。
 けれど、この世界に迷い込んでから、弱者に『救い』を与えてきただけのトロイメナイトと、いくつもの戦いを経た猟兵である有では、戦闘の経験値が違いすぎた。

 そして、トロイメナイトが相手をしているのは、有だけではない。

 衝撃。痛み。
 血液を燃料にして動く赤錆びた拷問器具が、青の幻想術師に襲い掛かり、その傷口を抉る。
 有に合わせた、アンナの追撃だ。

 立ち上がることもままならないトロイメナイトがとっさに放つのは、眠りへと誘う蝶の群れ。
 しかし、焦りの中でつけた狙いでは、そのほとんどがアンナの身体には当たらず、通り過ぎていく。
 多少当てたところで、呪詛への対策を持ったアンナを眠りに落とすには、不十分だ。

「どうした? お前が悲鳴をあげるまで、その寝惚け眼が見開くまで攻撃は止まないぞ……!」
 アンナの攻撃は止まらない。
 女の細腕で扱えるはずのない大剣を片手で軽々と振り回し、もう片方の手で操作される拷問器具は、なぶるようにトロイメナイトの傷を増やしていく。

 眠らせるというのなら丁度いい。
 今度はお前が永遠に眠る番が来ただけだ!

 眠らされた子供たちは、どんな夢を見ているのだろうか。
 幸せな夢だろうか、悪夢だろうか。
 どちらにしても変わらない。彼らは今、生きるべき現実から切り離されて、夢に囚われているのだから。
 それを救う為ならば、この剣を振るう意思が揺らぐことなどありはしない!

 その意思の下に放たれるは【咎力封じ】。
 3つの拘束具が、目の前のオブリビオンを捕らえるべく飛翔する。

 流動する身体で、どうにかロープだけは躱せた。
 それでも無視できぬ喪失感が、トロイメナイトを蝕んでいく。

 瞬間。

 真っ赤な杭が、トロイメナイトの身体を貫く。
 驚愕と混乱の中でオブリビオンが見る先には、血を流す掌をこちらに向けた、金の瞳を持つ猟兵。

 ユーベルコード、【列列椿(ツラツラツバキ)】。
 鮮血から生みだされた深紅の杭は、哀れな獲物を確かに地に縫い留めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●ゆらぐもの

 何故。何故。何故。
 困惑と痛みの中で、トロイメナイトは思考する。

 彼女たちは、救われたくはないのか。
 幸せになりたくはないのか。
 私なら、それを与えてやれるんだ!

 どうでもいいだなんて、どうして言えるんだ。
 最初に出会ったあの子もそうだった。
 森で眠る子らも、よく尽くしてくれたあの子たちも、みんな救いを願ってた!

 ■だってかつては同じ……!
 同じ、同じ……?



 怪物は、既に形を失った。
 己を縫い留める杭からするりと抜けて、猟兵達へ、仮面で覆われた顔を向ける。

 それでも服は、籠は、仮面はボロボロだ。

 なによりも、驚愕か、怒りか、恐怖か。
 まったく別の感情なのか。

 波打つ水面のように、ふるふると震えるその在り方が。

 無敵の異形でも、理外の神でもない。
 骸の海から帰ってきてしまった、1人のオブリビオンであることを示していた。
オリオ・イェラキ
御機嫌よう
お優しい貴方

オブリビオンでなければ、或いは
もっと違う救いで在れたのかしら
ねぇ、
子供達に必要なのは穏やかな夜の下で眠る事
貴方が差し伸べる手は、子等の欲しい暖かさではないわ

黒風鎧装で我が身の夜を深める
幻影を掻き消さんばかりの黒を纏って大剣の剣撃を
かのモノが脱力状態に、一旦手を止め口を開く
夢が救いだと云うのなら
わたくしも何度だって夢へ逢いに行ったわ
失った片割れのあの子に
でもね、何時か気付くの
夢でしかない事に

一時の甘い夢は目覚めて希望にまた歩み始める為の糧
だから起こしましょう?

様子を見て攻撃なら一つ息を
残念ね
メテオリオの星を蝶にあえてぶつけるわ
相殺されてもしなくても、
その間に懐へ行き斬り込む


メア・ソゥムヌュクスス
ちりん、ちりん。【夢見の鐘】
「こんにちわ、はじめまして」
これは夢、瞬きの間に消える泡沫の夢。

救い無き世界に救いを齎す者、同じ救いを謳う貴方へ
私はソレを肯定するよ。私はソレが救いと信じるよ。

だから、私は『貴方』を救おう。
夢(うつつ)に彷徨い惑う『貴方』を。

その子達にはね、「それでも」明日があるの。
人は夢では生きて行けないの。夢を描いて生きるのよ。
私達が与えなきゃ行けないのは、明日を生きる為の夢(希望)なの。

決して醒める事なき夢、それを人は「死」と呼ぶの。

だから

おやすみなさい、優しい人よ。【微睡みの刃】



私もいつか、きっと、そちらへ行くから。



●最期の夜に、優しい夢を

「御機嫌よう、お優しい貴方」
「こんにちわ、はじめまして」

 戦いの中で、奇妙なほどに優しい声色。
 オリオとメア。彼女たちは、あえて武器を下ろし、トロイメナイトへと言葉をかける。

 それに対する攻撃は、無い。

 トロイメナイトも、この期に及んで、いつものように眠らせればいいだけだとは思っていない。
 目の前の猟兵達が、自分が救ってきた存在とは明確に異なる者達だとは気づいている。
 その上でなお、対峙する怪物の善性を信じた猟兵の声は、彼の攻撃を戸惑わせるには十分だった。

「貴方が差し伸べる手は、子等の欲しい暖かさではないわ」
 トロイメナイトの戦意が再び弱まってきたことに気づいたオリオが、言葉を重ねる。
 彼に囚われた子等に本当に必要なのは、穏やかな夜の下で眠る事だ。
 夢が本当に救いであるのなら。
 他ならぬ自分も、あの鳥籠の中で、何度も失った片割れとの逢瀬を望んだ。
 それでも、いつかは気づいてしまうのだ。
 たとえどんなに甘い夢であろうとも。

「それは、夢でしかないの」

「そう、これは夢。瞬きの間に消える、泡沫の夢」
 オリオの言葉を、メアが引き継ぐ。
 メアは、トロイメナイトのすべてを否定しようとは思わない。
 彼が謳う『救い』は、自分に願われたソレと変わらないもののはずなのだ。
 作られた聖者として、願われた聖者として。
 自分はその『救い』を信じるのだ。
 だけど。

「貴方は、与える夢を間違えた」
 この世界に生きる人々には、夢が必要だ。
 だが、永遠に続く夢ならば、人はそれをきっとそれを『死』と呼ぶだろう。

 彼らには生きるべき明日がある。
 トロイメナイトが真に救いを望むのならば、夢に落とすのではなく、夢を見せるべきだった。
 『希望』と呼ばれる、明日を生きる為の夢を。

 ちりん、ちりんと。鐘の音が響く。
 持っていたはずの多くを失い、この世界に迷い込み。
 それでも悲嘆に暮れる誰かに救いあれと望んだ怪物の為に。
 自分の力で、誰かを救えるのだと信じた怪物の為に。

「おやすみなさい、優しい人よ」
 ただの一度も、眠ることのなかった怪物を救う為の鐘の音が響く。

 トロイメナイトが、眠気を振り払う子供のように、その頭を揺らす。

 耳を貸してはいけないはずだ。
 私はこれからも、この世界で苦しむ人々を救い続けなければいけないのだ。
 この願いが。

 私が初めて救った、あの子の願いが間違いであってはいけないのだ!

 迷いを振り切るべく、トロイメナイトの鳥籠から、夢幻の蝶が飛び立つ。
 最初に猟兵達へ向けられたそれとは違う、高速で飛翔する、拒絶のための蝶だった。

「……残念ね」
 ため息と共に吐き出された、漆黒の旋風がオリオを覆う。
 非力な蝶は、荒々しくも美しい『夜』を越えられない。

 彼がオブリビオンでなければ。この世界が、もっと優しいものだったら。
 仮定を重ねても、彼女たちは猟兵として、囚われた子供たちを救わねばならない。

「さあ、お往きなさい」
 輝く黒薔薇、【夜彩と流星花(メテオリオ)】。
 身にまとう旋風と共に放たれたユーベルコードが、トロイメナイトへと向かう。

 そして、真正面から放たれたそれは、トロイメナイトの蝶の群れと融け合い、消えていく。
 黒薔薇が、漆黒の旋風が。力を失い、輝く軌跡を残しながら姿を消していき。

 旋風に身を隠したメアが、ナイフを手に飛び出した。

 トロイメナイトがその存在を認識した時には、既に2人の距離は幾ばくも無い。

「だいじょうぶ、安心して」
 【眠り誘う月夜の魔眼(ヒュプノスノヒトミ)】。
 人造の聖者が有する魔眼、先ほどよりもはるかに強い睡魔がトロイメナイトを襲う。

 倒れるわけにはいかない。
 その一心で身体を支えるトロイメナイトに、鋭い刃が刺し込まれる。

 それでも、それでも、それでも!

 執念を燃やし、トロイメナイトがその仮面に覆われた顔を上げる。
 その視界に、聖者の姿は既になく。

「私もいつか、きっと、そちらへ行くから」
「けれど、それは、今ではない。だから、起こしましょう?」
 再び黒薔薇へと姿を変えた星空が、眼前まで迫っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●声を無くして形を無くし、■■■だけが染みついた

 纏っていたローブは、ずたずたに引き裂かれて崩れ落ちた。
 鳥籠の蝶はその数を減らし、力なく辺りを漂うばかり。
 ひび割れた仮面だけが、かろうじてその顔にへばりつく。

 誰の目から見ても、トロイメナイトは追い詰められていた。
 元々、そこまで強力な力を、他者を傷つける力を有したオブリビオンではない。

 それでもなお、怪物は立ち上がる。
 自分は間違っていないのだと、猟兵達に叫ぶように。



 私は正しい。
 私が正しい。
 私に望まれたこの願いが、正しくないはずはない。

 この世界に、生きるべき明日など待っていない。
 誰もが明日に怯えながら、ただ死んでないだけなのだ。
 明日を生きる為の希望など、見せてやるだけ、残酷でしかない。

 ああ、だけど。

 だけど。
 どうしてその言葉が、こんなにも懐かしいのだろうか。
ティノ・ミラーリア
こんな世界だ…安らかな眠りは、救いになるだろうね…
キミを斃した僕らが子ども達にできることはないけれど
それでもいつかこの世界を救った時に生きていていてもらうために…

【SPD】
スナイパー3、鎧砕き5、破魔6、傷口をえぐる2、迷彩5、先制攻撃2、かばう2、鎧無視攻撃5

マントの迷彩で森に溶けながら眷族の索敵で先制攻撃
眷族は周囲を飛んで死角のカバーし、敵の攻撃からかばうように
銀か鉄か、何が効くかはまだ分からないけど…
破魔の力を込めた「狩猟銃」の弾丸で鎧砕き・鎧無視攻撃
味方や自分の攻撃で与えた傷口をえぐる
『咎力封じ』と合わせて後方からの援護を主体に
無効化は、やっかい…僕のが決まればこれも抑えれるんだけど…


シュクルリ・シュクルグラッセ
【SPD】

遭遇したオブリビオンの対応、現状の子供たち
総合すれば、予測は可能です
貴方は、このオブリビオンに支配された世界から解放を望んだのだと、予測します
それだけが、唯一の救いだったのではと

ユーベルコード起動。【ガジェットショータイム】
ガジェット、召喚・接続・掌握を完了

自身のガジェットも合わせ、飽和攻撃により無効化できない連続攻撃を仕掛けます

当機はミレナリィドールtypeガーディアン
私の使命は、マスターの望む未来を守り通すこと

故に貴方の救済を、許容できません
貴方の救済が正しいのなら、この胸部に起こるエラーは、発生し得ないのでしょう

私は、マスターの望む未来の為に、貴方の救済を選択しますです


瑠璃光寺・未子
シャーマンの力で操る忌神に己の執事人格を与えた《ミモリ》を従えて、しずしずとやってくる

ミコ:
のう、ミモリ?
ミコはずっと寝かしつけられているのは嫌だ、嫌だぞ……(ふるふる首を横に振り
外の世界は危ないことも怖いことも多いが、それでもミコは自分の思うがままに飛び回りたいのう……(悲し気に)

ミモリ:
ああ、お可哀想なお嬢様!
お嬢様のことはミモリが守りますゆえ、ご安心くださいませ……っ!

ミコを悲しませる歪んだ存在を排除するべく、≪ミモリ≫である忌神は〈恐怖を与える〉〈衝撃派〉を放って相手を怯ませた後、【戦う執事さん】を使用し,懸命に甲斐甲斐しく戦う

なおミモリが活躍したら、ミコは童女のように無邪気に喜びます



●おやすみなさい、怪物さん

 美しい、少女のような姿の、ダンピールの少年。
 身にまとう外套は、森の闇に溶けるような漆黒で。
 ティノは、戦場であっても変わらない、ぼんやりとした目つきをオブリビオンへ向ける。

「こんな世界だ……安らかな眠りは、救いになるだろうね……」
 事実として、この場でトロイメナイトを斃したところで、この世界の何かが変わるわけではない。
 これから先も、光はオブリビオンに奪われたままで、あの街の人々も、厳しい辺境で、息をひそめて生きていく。

 それでも、いつか。
 いつか必ず、自分たちがこの世界を救ってみせる。
 その時に、光で照らされるこの世界を生きていってもらう為に、子供たちには目覚めてもらわなければならないのだ。

 決意と、矜持を込めた弾丸が、トロイメナイトへと放たれる。
 けれど、それはオブリビオンが纏う蝶の群れに阻まれ、届かない。

 トロイメナイトが立ち上がってから、ずっとそうだ。
 猟兵達との実力差は既に理解したのだろう。
 攻撃を防ぐ蝶を周りに纏い、明らかに猟兵たちの消耗を待っている。

 このような形になった以上、もはやトロイメナイトに勝利は無い。
 だが、このオブリビオンを逃すわけにもいかない猟兵としては、非常にやっかいな状態でもあった。

 この状況を打破する手段を、ティノは有している。
 咎人殺しとして身に着けた、無力化のユーベルコード【咎力封じ】。
 これを当てることさえできれば、トロイメナイトの一切の力を封じることができるはずだ。
 それには、後、一手足りない。一手だけが……

「ユーベルコード起動。【ガジェットショータイム】」
 ならそれは私が埋めようと言わんばかりに、シュクルリの声が響く。

 ここに来るまでに戦ったオブリビオン達の様子、眠らされ、けれど、決して傷つけられはしない子供たち。
 加えて、猟兵達の説得に動揺するトロイメナイトを見れば、彼の目的は予測できる。
 
「貴方は、このオブリビオンに支配された世界から解放を望んだのだと、予測します」
 それだけが、この怪物にとっても、唯一の救いだったのだろう

 それでも、シュクルリはミレナリィドールtypeガーディアンである。
 マスターの望む未来を、守り通すことこそが、己が使命なのだ。
 故に、この救済を、許容することはできない。

 この救済が正しいのなら、街で見た、人々の嘆きが正しいのなら。
 自分の胸部のエラーは起こらないはずだという、奇妙な確信がシュクルリにはあった。

 だからこそ今、このオブリビオンこそを救う為のガジェットを呼んだのだ。
 彼女は、堂々とオブリビオンに向き合いながら、手にしたガジェットへと目を向ける。

 目覚まし時計であった。
 二つのベルの中央に、小さなハンマーがついている。

 彼女は鋭い目つきでトロイメナイトを睨みつけ、またゆっくりと手の中のガジェットを見る。

 目覚まし時計であった。
 二度見しても変形などしていない。

 困惑と共に、三度オブリビオンとのにらみ合いに入る。
 ガジェットショータイムは、確かに変な形のガジェットを呼び出すユーベルコードだ。
 使い道が分からなければ事実上の不発となる難点を抱えているものの、十分にオブリビオンとの戦いで役に立つ、強力な力である。

 以前使った時には、もっとわかりやすく武器の形をした物が出てきたのだ。
 されど、今、少女人形の手にあるのは、確実な目覚めを届ける目覚まし時計。
 これを戦闘にどう利用しろというのか。
 憮然とした表情でガジェットへハッキングをかけたシュクルリは。

 使い方を理解した瞬間、にんまりと、笑みを浮かべた。
 なるほど、そういうことか。
 やはりエラーの疑念は消えないが、『使う対象』を考えれば、これほど相応しい形もないだろう。
 さあ、使い道を理解したところで、どう叩き込んでやろうか。

「のう、ミモリ? ミコはずっと寝かしつけられているのは嫌だ、嫌だぞ……」
 思案するシュクルリの耳に、戦場には似つかない――事実、彼女は戦う者ではない――悲し気な声が届く。

 声の主、瑠璃光寺・未子(ヒトリカゴメ・f06597)の足元から影が染み出し、それは次第に人の形をとっていく。

「ああ、お可哀想なお嬢様! お嬢様の憂いは、このわたくしめが必ずや消してみせましょうとも! どうか、ご安心くださいませ……っ!」
 しっかりと撫でつけられた頭髪。わずかな汚れもありはしない燕尾服。ユーベルコードによって生み出される、意思持つ忌神。
 未子の生みだした人格の一人でありながら、彼女に忠実に仕える執事であるミモリにとって、我が主が悲しんでいるというその事実こそが、オブリビオンと対峙する理由である。

 さあ、すぐにでもオブリビオンを討ち払わねばと決意を宿すミモリの傍に、シュクルリが近づいてきて。
 耳打ちと共に、目覚まし時計を差し出してくる。
 それを穏やかな笑みで受け取るミモリ。彼は執事であると同時に、丁寧な物腰の紳士なのである。お嬢様のご機嫌を損ねない限り。

 かくして、にらみ合いは終わり、再び戦いが始まる。

 ティノの狩猟銃と、シュクルリのキャノンガジェットでの砲撃が、トロイメナイトの蝶に阻まれる。
 その間をすり抜けて接近していくミモリの放つ衝撃波も、オブリビオンの、揺らぐ不定の身体には当たらない。
 反撃とばかりにミモリへ差し向けられる夢幻の蝶々。
 ミモリの死角からも迫るそれを、ティノの影から現れる眷属が受け止めていく。

 すべては先ほどの焼き直し。
 違いがあるとすれば、銃弾をすり抜け戦うしもべの雄姿にはしゃぐ未子くらいだろうか。

 そうした戦いの中で、ミモリが唐突に何かを振りかぶる。

「――ッ! 耳を塞いで! 早く!」
 聴覚機能を一時遮断。
 自身の手で、未子の耳を塞いだシュクルリが叫んだ、その数秒後。

 トロイメナイトに投げつけられた、シュクルリの目覚まし時計が。

 森を震わす轟音と共に、崩壊していった。

「これは、音響、爆弾?」
 とっさに耳を塞いだティノが、それでも若干のふらつきを覚えながらつぶやく。
 彼の推察通り、シュクルリの呼び出したガジェットは、轟音により相手の自由を奪う、音の爆弾であった。

 しかし、人とは根本的に異なる身体をもったトロイメナイトには通じない。
 相手の策は通じなかったと、トロイメナイトが再び蝶を身体に纏い。

「いいんですか、子供たちを放っておいて」
 シュクルリが発した言葉に、明らかにその動きを乱した。

 すべてはハッタリである。
 オブリビオンがもたらす眠りは、音という物理的な干渉が通じる浅いものでは無い。
 加えて、自分たちとそう離れてもいない場所で炸裂させる以上、その威力は森の奥まで届くものには、できはしない。

 それでも。
 それでも目の前にいるのは、子供たちの目覚めの可能性を無視できない、優しい怪物なのだというのが、シュクルリの結論だった。

 動揺するトロイメナイトに、ミモリに寄り添われた未子が問いかける。

「のう、お前? そんなに眠っていたいのかのう」
 ふるふると、首を振りながら言葉を重ねる。

「ミコは、嫌だぞ……外の世界は危ないことも、怖いことも多いが」
「それでもミコは、自分の思うがままに飛び回りたいのう……」

 トロイメナイトは未子の事情など知りはしない。
 捕らわれ、世界を知ることを許されないまま生きてきたことなど、知るはずもない。
 けれど、年不相応な幼さと共に発せられた言葉は。

 トロイメナイトが最初に救った子供を。
 この世界で、最初に得た喜びを強烈に想起させた。

 もはや、蝶は主の命を失い、バラバラに辺りを飛び続ける。
 飛来する3つの拘束具を見るトロイメナイトは、けれどそれを躱そうとはせず。

 捕らわれ、地に伏せるオブリビオン。
 ゆっくりと近づくティノを見上げたトロイメナイトは、何も語る事は無く、うなだれる様に首を下ろした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

篁・綾
たとえそれが、優しさのカタチであったとしても。救済だったとしても。
それは悲しみを振り撒くだけだわ。
…残された人達は、ただ奪われ、失くしてしまっただけだもの。

潰えなさい、優しい幻。お前はここにいてはいけなかった。


ユーベルコード【桜狐招来】を発動。
桜纏う白銀の狐を召喚、共に戦う。【動物と話す】【第六感】で意志疎通しつつ、攻撃に大しては【見切り】【フェイント】【残像】【第六感】で対応する。
【カウンター】なども必要に応じて駆使し、攻撃のタイミングを悟らせ難くする。
攻撃時は刀を振るい、【なぎ払い】【衝撃波】【目潰し】【マヒ攻撃】【二回攻撃】【見切り】等駆使し立ち回る。
狐も別途噛み付き等を行う。


ジゼル・フレーズ
誰かを救いたいという想いは否定できない
でもそれは貴方の与える形ではない
眠るだけでは前に進めない
希望も絶望もないただの停滞が救いといえるのかしらね

【フェイント】で敵の隙をつき、人形の糸で敵を拘束
ゼロ距離からでは人形の一撃は避けられないでしょう
貴方の絶望はこの子(人形)が全部受けてあげる

この世界に絶望したってことは、かつて希望を抱ていたからでは?
鎖された暗闇の世界だとしても、細やかな笑顔もある、こうして戦ってる人々がいる
未来を決めるのは今生きてる人たち、だから貴方の時間はもう終わり



●■■■■、未来

 ゆっくりと、綾とジゼルがトロイメナイトに近づいていく。
 捕らわれたオブリビオンが顔を向けるが、もはや戦う為の蝶を出そうとはしない。

「誰かを救いたいという想いを、私は否定できない」
 静かに、ジゼルがオブリビオンへと言葉を贈る。

「だけど、希望も絶望もないただの停滞を、救いと呼ぶわけにはいかないの」
 確かにここは、鎖された暗黒の世界だ。
 それでも、細やかな笑顔はある。
 こうして、希望を取り戻すために戦う者がいる。
 絶望に膝を屈し、救いのある夢を望む人たちはいるのかもしれない。
 けれども、未来を決めるのは、今を生きてる人たちなのだ。

 少なくとも、トロイメナイトに眠らされた子供たちの未来は、街で待っている家族と共に、子供たち自身が決めなければならないのだ。

 トロイメナイトは誰かを救おうとした。
 それこそが彼の優しさのカタチであり、救済であった。
 だとしても。

「それは、悲しみを振り撒くだけだわ」
 手には古刀、傍らには桜の花弁を纏う白銀の狐。
 綾が戦闘の装いを解かぬまま、トロイメナイトに語り掛ける。
 その始まりは優しさだったのだろう。
 真に救いを望んだのだろう。
 けれども、トロイメナイトは間違えた。

「……残された人達は、ただ奪われ、失くしてしまっただけだもの」
 街で、嘆きに暮れる親の姿を見た。
 友を無くし、恐怖に怯える子供の姿を見た。
 ゆえに、彼女は猟兵として、目の前のオブリビオンを切り捨てるのだ。

「なにか、言い残したい事でもある?」
 口から出た問いかけの意図はなんだろうと、綾は自分で自分に問う。
 骸の海から迷い出て、救いを望み、されども決定的に間違えてしまったオブリビオンへの、哀れみでも感じているのだろうか。

 綾の自己への問いかけの答えが出る前に、トロイメナイトが顔を上げる。
 けれど、いくら身体を揺らしたところで、既に無くした声にはならずに。

 コン、と。
 静かに主に従っていた狐が、声を上げる。
 綾とトロイメナイトの視線を集めた狐は、素知らぬ顔でまた沈黙を続ける。

「そう、わかった、伝えるわ」
 一声だけ答えた綾が、その手の古刀を振りかぶる。

 ジゼルが操るからくり人形もまた、その刃を掲げる。

「潰えなさい、優しい幻。お前は、ここにいてはいけなかった」
「だから、貴方の時間はもう終わり」

 2つの刃に切り裂かれたオブリビオンは、霧となって消えていき。
 後には、何も残らなかった。



 私は間違えた。
 私は間違えた、その後悔を連れて、骸の海へと帰っていく。

 そしてまた。
 そしてまたいつか、骸の海から舞い戻り、間違えるのだろう。

 もはや、私はそういう存在となってしまった。
 この後悔も、慙愧も、与えられた救いすらも、あの海へと融けていく。

 そうして、いつかまた私は、何もかもを忘れた怪物として、この世界に帰ってくるのだろう。

 その時に、彼女たちはまた、愚かな私を止めに来てくれるのだろうか。
 すべては分からない。分からないけれど。

 それくらいの都合の良い、優しい夢を見ながら眠ることくらいは、許されるのだろうか。



「ホラ、坊や、大丈夫?」
 森の奥深く。
 粗末な、けれど丁寧に作られた小屋の中で子供たちが眠る。
 トロイメナイトの呪縛から解放された彼らは、ジゼルの優しい呼びかけに目を覚ます。

「うーん、よく寝たぁー……」
「そうだね、ぐっすり……いけない!? お父さんに叱られちゃう!!」

 一人が目覚めれば、その声に釣られた子供たちも次々に目を覚ます。
 攫われてから日にちの経った子供もいた筈だが、皆奇妙なほどに活力に満ち溢れてる。
 周りの景色に混乱してはいるけれど、すぐに親たちの下に送ることができそうだ。

「俺さ、俺さ! 凄い夢見たんだ! ヴァンパイアたちが来るんだけど、剣を持った俺がさ!」
「僕もいい夢だったんだよ! 山みたいにごちそうがあってね!」
「つまみ食い、お母さんに謝らないと……!」
「お姉さん誰?」
「きれー!」
 今まで見ていた奇妙な夢と、見知らぬ人に興奮する子供たちに圧倒されながらも、ジゼルが苦笑する。
 都合の良い夢などなくても、この子供たちなら、案外悪くない世界を作っていけるのではないだろうか。

 子供たちが一旦落ち着いたのを見計らい、綾が呼びかける。

「じゃあ、これからお父さんとお母さんの所に帰るよ。皆、良い子にできるよね」
 はーい! と、元気に返事をする子供たちを見ながら、綾がもう一つ付け加える。

「それと、伝言があるんだ。ごめんなさいと……」

 『おはよう』、だって。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月13日


挿絵イラスト