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思い描いた世界を作ろう！

作者：ゆうきつかさ

●アリスラビリンス
　そこは、まだ手付かずの、まっさらな『不思議の国』。
　ウサギ穴を通ってやってきた愉快な仲間達は、オウガが来ても大丈夫な国を作るため、せっせと作業ッ！
　そこには擬人化したネコさんもいれば、喋るヌイグルミ、陽気なワラの人形など様々。
　みんな楽しい世界を作るため、想像力を膨らませ、その世界にないモノを作っていた。
　だが、愉快な仲間達は、気づいた。
　不思議の国がある森の奥に行くほど、思い描いたモノが形になりやすいという事を……！

●ガジルからの依頼
「不思議な楽園、パラダイス～なんだよ♪」
　ガジル・コリアンダー（キマイラのスカイダンサー・f00907）が能天気な笑みを浮かべ、今回の依頼を説明し始めた。
　今回の目的は、まっさらの不思議の国を、愉快な仲間達と協力し合って、オウガが来ても大丈夫な国に作り上げる事。
　故に、必要なのは、想像力ッ！
　思い描いたモノが形になるため、のんびり、ほのぼの、ふわふわな感じで、作ってほしいという事だ。
　ちなみに、愉快な仲間達は猟兵達に対して、協力的。
　猟兵達のイメージを形にしてくれる御手伝いをしてくれるため、一緒になって想像力を膨らませ、アリスラビリンスらしい国を作るといいだろう。
　その代わり、愉快な仲間達は戦う事が苦手で、出来ることと言えば、逃げる事くらい。
　そう言った意味で、戦力的な期待は出来ないようである。
　ただし、愉快な仲間達は好奇心旺盛。
　放っておくと、未知なる刺激を求めて、森の奥へ行ってしまう。
　例え、そこにどんな危険が待っていようとも、好奇心を抑える事が出来ないようだ。
　そのため、愉快な仲間達が暴走しないように注意しながら、国を作る必要があるようである。

第1章 日常 『不思議の森の探険隊』

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●まっさらな世界
「……ここが不思議の国ですか」
　ローズ・ベルシュタイン（夕焼けの薔薇騎士・f04715）は、不思議の国を作るため、愉快な仲間達と合流した。
　そこにいたのは、カラフルな花の精達。
　花の精達はローズを歓迎するようにしてまわりを飛び、杖を振るって花のアーチを作り出した。
　そのアーチを潜った先に、ローズが担当する区域があった。
「まずは飾り付けですね」
　ローズが花の精達を引き連れ、薔薇の花で辺りを飾りつけた。
　花の精達が住んでいる種状の家も、様々な色の薔薇で飾り付けられ、一気にオシャレな感じになった。
「わぁ、凄い♪」
「とっても可愛い♪」
「見違えるほど、良くなったね」
　花の精達がゴキゲンな様子で、ローズのまわりを飛び回った。
　ローズによって、不思議の国の一角が、カラフルに仕上がった。
　そのため、不花の精達は上機嫌。
　さっそく、庭や公園を作っていき、花の精達の王国が完成した。
「ここはローズの国だね♪」
「そうだね。でも、他のところが寂しいな～」
　花の精達が心配した様子で、他の区域を見回した。
　擬人化したネコさんも、喋るヌイグルミも、陽気なワラの人形も、不思議の国作りに苦戦中。
　そんな中、森の奥に行こうとしている愉快な仲間達の姿があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●不思議の国の不思議な出来事
「何だか面白そうな場所なんだよ」
　鞠丘・麻陽（豊饒の使徒・陽・f13598）は、鞠丘・月麻（豊饒の使徒・月・f13599）と一緒に、愉快な仲間（2足歩行する動物）達を引き連れ、自分達の国を作っていた。
「ふたりとも、いらっしゃい♪　まずは、どうする？　何でもするよ？」
　そんな中、ウサギのキャロルがハイテンションで、ふたりのまわりを飛び跳ねた。
　キャロルは、ふたりに興味津々。
　何をするのか、とても楽しみにしているのか、ドキドキとワクワクが止まらないようである。
　そのせいか、他の動物達もテンションが上がっていき、輪を作るようにして意味もなく飛び跳ねた。
「うーん、優先順位が高いのは『衣食住』かな、だよ？　『衣』の方は大丈夫そうだから、『食』かな」
　麻陽がキャロル達の恰好を見た後、自分なりの考えを述べた。
　どうやら、手先が器用な者がいるらしく、動物達はみんなオシャレ。
　一体、何処から材料を調達しているのか、謎ではあるものの、みんなバッチリ決まっていた。
「麻陽ちゃんが『食』を考えてくれるみたいだから、私は『住』について考えましょう。併せて、防衛のことも意識した方がいいですね」
　その途端、月麻が違和感を覚え、ハッとした表情を浮かべた。
　先程まで何もなかったところに、何時の間にか砦が出来上がっていた。
　それが何時できたのか分からない。
　ほんの一瞬……瞬きした隙に、砦が出来上がっていた。
「……んっ？　どうしたの？」
　そこで見張りをしていたハリネズミのハリボーが、不思議そうに首を傾げた。
　ハリボーが何時からそこにいたのか分からないが、本人は全く気にしていない様子であった。
　それどころか、ずっと見張りをしていたような感じで、遠眼鏡を覗き込んでいた。
「いえ、何でもありません」
　月麻が目をパチクリさせ、愛想笑いをうかべて、ハリボーに答えを返した。
　おそらく、此処はそう言う場所。
　思い描いたモノが、形になる世界。
　この時点で何やら嫌な予感がするものの、動物達はまったく気にしていなかった。
「まず、色々と使える『綺麗な水場』は必須かな、だよ……ん？」
　一方、麻陽は何時の間にか現れた井戸の中を、愉快な動物達と一緒に覗き込んだ。
　ほんの一瞬、目を逸らした隙に、井戸が現れた。
　その近くにはミルクの川が流れており、ほんのり甘いニオイが漂っていた。
　この時点で違和感しかないのだが、愉快な仲間達は、それを当然の如く受け入れていた。
「ねぇねぇ、これって使えるかな？」
　そんな中、リスのクルミが、いくつか実を持ってきた。
　それは見た事がない不思議な実。
　試しにニオイを嗅いでみると、様々な紅茶の香りがした。
　つまり、これは紅茶の実。
　しかも、微妙な色の違いによって、味が違うようである。
「まあ……気にしたら負けですね」
　月麻がサクッと気持ちを切り替え、何時の間にかできていた茸の家を覗き込んだ。
　その中には茸で出来た机と椅子があり、オウムのフクロウがマッタリとした様子で本を読んでいた。
　しかも、茸の家の傍には家具の生る木が生えており、動物達が楽しそうに色取り取りの実をもいでいた。
「こっちはお菓子、こっちはお料理の実なんだよ」
　麻陽も幾つか実を手に取り、パカッと割って中身を確認し始めた。
　その中にはタップリお菓子が詰まったものや、カレーに、チャーハン、スパゲティなどが入ったモノがあった。
「後は、防衛の為の設備が欲しいですね。巨大な『茸の壁』と胞子による攪乱、加えて『鳳仙花の砲台』等如何でしょう？」
　そう言って月麻が自らの思いを具現化させ、不思議の国の守りを固めていくのであった。

●みんなで作ろう不思議の国
「不思議の国を作ればいいのですね。オウガに襲われても大丈夫な様に、頑張って作りましょう」
　一方、スピネル・クローバルド（家族想いな女の子・f07667）は、愉快な仲間（喋るヌイグルミ）達と一緒に不思議の国を作っていた。
　ヌイグルミ達は、みんな仕事熱心。
　『それこそ、生き甲斐！』と言わんばかりに、ヤル気満々であった。
「ねえねえ、どうする？　ボク達は何を作ろうか？」
　クマのヌイグルミが、可愛らしい首を傾げた。
　他のヌイグルミ達も、一緒になって首を傾げた。
　多少あざとい感じもするが、演技ではなく、本気のようだ。
「そうですねー、私もお菓子とか好きですから、お菓子の家とかどうでしょう？」
　スピネルが自分の考えを述べたのと同時に、お菓子の家がドーンと建った。
　それに合わせて、遠くにあったはずの森が、何となく近くなったような錯覚に襲われた。
　この時点で、頭の上に大きなハテナマークが浮かんだものの、それはヌイグルミ達も同じようだった。
「ねえねえ、ボクの家も作って！」
　ライオンのヌイグルミが、瞳をランランと輝かせ、スピネルに駆け寄った。
「それでは、こちらの建物には、沢山のぬいぐるみを飾ればメルヘンチックになりますよ」
　その気持ちに応えるようにして、スピネルがシマウマやガゼルやヌーの飾られた建物を想像した。
「わぁ、凄い、凄い♪　ありがとう」
　それに機嫌を良くしたのか、ライオンのヌイグルミがニコッと笑った。
　そのため、他のヌイグルミ達も、自分の家をおねだり。
（「……とは言え、何か嫌な予感がしますね」）
　そんな中、スピネルが警戒した様子で、森をジロリと睨みつけた。
　先程と比べて、森が大きくなっているのか、今にもスピネル達を飲み込みそうな勢いで広がっていた。
「ねえねえ、あそこに不思議な卵があるよ！　ちょっと調べてみようよ！」
　そう言ってクマのヌイグルミが興味津々な様子で、水鏡の卵を指さした。
　その途端、水鏡の卵がヌイグルミ達の興味を引くようにして、怪しく不気味に輝くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 日常 『水鏡の卵』

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●不思議なタマゴ
「何のタマゴかな、だよ？」
　鞠丘・麻陽（豊饒の使徒・陽・f13598）は森の中で見つけた水鏡の卵を前にして、カツサンドを頬張りながら、不思議そうに首を傾げた。
　まわりにいた動物達も、一緒になって首を傾げ、頭の上にハテナマークを浮かべた。
「ひょっとして、ニワトリ？」
　ニワトリのコッコが、水鏡の卵に視線を送る。
　水鏡の卵は、透明で卵型。
　まるで氷のような感じもするが、それよりも透明度が高く、美しかった。
　いまのところ、あるのは、これだけ。
　そのためか、動物達が興味津々。
　みんな触りたくて仕方がなくなっているのか、両手をワシャワシャさせていた。
「とりあえず、調べるのは色々と完成してからの方が良いでしょうし、一旦横に置いておきましょうか」
　そんな空気を察した鞠丘・月麻（豊饒の使徒・月・f13599）が、動物達に対して釘を刺した。
　それでも、動物達はウズウズ、ソワソワ。
　その間に、月麻がスカイステッパーを使い、空中を飛ぶようにして森の中を調べてみたが、水鏡の卵は他になかった。
　そういった意味で、水鏡の卵は、正体不明。
　出来る事なら、触れずに済ませておきたいが、動物達の好奇心がピークに達しているため、抑えが効かなくなるのも、時間の問題であった。
「もしかして『動物を作り出す触媒』みたいなものかな、だよ？　ここまで『花』以外の生物は出来てないし、作るのに準備が居る、っていうことなら可能性は有りそうなんだよ」
　そんな中、麻陽が興味津々な様子で水鏡の卵を見つめ、頭の中で可愛らしい子犬を思い描いた。
「わん♪」
　その気持ちに応えるようにして、水鏡の中から可愛らしい番犬がピョーンと飛び出した。
「わわ、凄い♪」
　それを目の当たりにした動物達が、驚きと興奮が隠せない様子で、可愛らしい番犬のまわりで飛び跳ねた。
「わん、わん♪」
　可愛らしい番犬も上機嫌な様子で、一緒になってピョンピョンと飛び跳ねた。
「……おや？　いつの間にか『おもちゃの兵隊』さんが増えている様な？」
　月麻も、おもちゃの兵隊と目を合わせ、不思議そうに首を傾げた。
「……？」
　その視線に気づいた、おもちゃの兵隊も、同じように首を傾げた。
「何だか嫌な予感がするんだよ。おそらく、此処で『ネガティブな思考』をしたら、妙なモノが出てくる可能性もあるし、暮らすのには微妙かな？　此処で出来たものを外に運んで、少し離れた位置に集落を移しても良さそうなんだよ」
　その途端、麻陽がゾクッと寒気を感じ、可愛らしい番犬の頭を撫でた。
　おそらく、この場所は何らかの力によって、頭に思い浮かべたモノが具現化するのだろう。
　それ故に、悪い事を考えれば、動物達にとって、脅威の存在となる何かが生まれてしまう可能性も高かった。
「確かに此処は危ない気がしますね」
　そう言って月麻が動く城のようなモノを思い描き、動物達を乗せるのだった。

●異変
「何時の間にか、森が大きくなってますね。ひょっとして、これも不思議な卵の影響でしょうか？」
　スピネル・クローバルド（家族想いな女の子・f07667）は、ただならぬ気配を感じ取り、喋るヌイグルミ達と一緒に水鏡の卵を調べ始めた。
　水鏡の卵は淀んだ水のような色をしており、中で何か動いていた。
　それが生物のようでもあったが、モノのようでもあった。
　とにかく、卵の中に『何か』いる。
　……それだけは間違いない事だった。
「一体、なんだろ？」
　ヒヨコのヌイグルミが、不思議そうに首を傾げた。
「なんだろうね？」
　ニワトリのヌイグルミも、同じように首を傾げ、頭の上にハテナマークを浮かべた。
「……おや？　最初に見た時は、もっと透明感があったような気もするのですが……」
　ローズ・ベルシュタイン（夕焼けの薔薇騎士・f04715）も水鏡の卵を見つめ、不思議そうに首を傾げた。
　最初は単なる気のせいだと思っていたのだが、そうであれば水鏡の卵の中で動き回っているモノの説明がつかない。
　少なくとも、最初に見た時には……いなかった。
　そんな中、陽気なワラの人形が『森が大きくなった♪』と騒ぎながら、上機嫌な様子で走り回っていた。
「もしも、これが私の内面を映し出すならば、友達になってくれる愉快な仲間が出て来ると思うのですが……」
　スピネルが第六感で周囲に注意を払いつつ、水鏡の卵に視線を送る。
　それと同時に、卵の中から飛び出してきたのは、沢山のヌイグルミ達であった。
「……？」
　みんな、どうしてこの場にいるのか分からず、キョトン顔。
　それでも、スピネルが友達である事を理解したのか、すぐに『あそぼ、あそぼ』と言って懐いてきた。
　だが、水鏡の卵は先程と比べて淀みが増しており、その中で何かが怪しく脈打っていた。
「もしかすると、願いを叶えるたび、水鏡の卵に異変が起こっているのかも知れませんね。それなら……」
　ローズが覚悟を決めた様子で、水鏡の卵を覗き込んだ。
　おそらく、このまま放っておいたとしても、状況が悪化するのは時間の問題。
　だからと言って、運び出す事が出来るほど軽いモノでもないため、最悪な状況を想定した上で戦力を整える事を優先した。
「～♪」
　それと同時に卵の中から飛び出したのは、薔薇の花を纏った綺麗な花の精達だった。
「初めまして……でしょうか？貴方も良かったら、私達の作った不思議の国に来てみませんか？」
　それに気づいたローズが親しげな様子で、薔薇の花を纏った綺麗な花の精達に声を掛けた。
「ええ、もちろん♪」
「あちらで一緒に御茶でもしませんか？」
　薔薇の花を纏った綺麗な花の精達がおしとやかな笑みを浮かべ、ローズのまわりを優雅に飛んだ。
「ちょっと待ってください。水鏡の卵にヒビが……」
　その途端、スピネルが危機感を覚え、警戒した様子で間合いを取った。
　次の瞬間、水鏡の中から飛び出したのは、ランプの魔人に抱えられた『幻創魔書』飛び出す絵本であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『『幻創魔書』飛び出す絵本』

POW   :    『赤ずきん』の物語 【レベル体の漁師】と【レベル体の人食い狼】の霊を召喚する。これは【猟銃】や【驚異的なスピードの噛み付き】で攻撃する能力を持つ。 SPD   :    『アラジンとまほうのランプ』の物語 無敵の【飛び出す絵本の願いを叶えるランプの魔人】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。 WIZ   :    『ハーメルンの笛吹き男』の物語 【幻惑に陥れる濃霧】【幻惑に陥れる笛の音色】【レベル×5体の組み付く子どもたち】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。 イラスト：鞘間ヨシキ 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

●『幻創魔書』飛び出す絵本
「これは……危ないんだよ。被害が出る前に対処するんだよ」
　すぐさま、鞠丘・麻陽（豊饒の使徒・陽・f13598）がフルバースト・マキシマムを使い、全武装の一斉発射で『幻創魔書』を狙い撃った。
　そこに可愛らしい番犬も、参戦ッ！
　愉快な仲間達を守るようにして、勢いよくワンワンと吠えた。
「ムハッハッハッハッ！」
　その攻撃を防ぐようにして、ランプの魔人がポーズを決め、全身の筋肉を隆起させものの、身体にはいくつも穴が開き、向こう側が見えていた。
　それでも、『幻創魔書』は、死守。
　『幻創魔書』であれば、自らの肉体が滅びても悔いはないと言わんばかりに、ランプの魔人は強気であった。
「なるほど、そういう事ですか。それでは、対処しましょう。まずは『愉快な仲間』の皆さんを避難させた方が良さそうですね。幸い『動く城』が有りますから、其方に集まってもらえば逃がし易いでしょうか」
　その間に、鞠丘・月麻（豊饒の使徒・月・f13599）がスカイステッパーを使い、逃げ遅れた動物達を抱きかかえ、『動く城』まで運んでいった。
　それと入れ替わるようにして、おもちゃの兵隊がランプの魔人を牽制ッ！
　だが、ランプの魔人の一吹きで、おもちゃの兵隊が宙を舞った。
「……ランプの魔人は厄介ですね」
　月麻が色々な意味で危機感を覚え、スカイステッパーを使いながら、ランプの魔人を『幻創魔書』から引き離そうとした。
　しかし、ランプの魔人は月麻の挑発には乗らず、『幻創魔書』を守る事に全力を注いでいた。
「それなら倒すだけなんだよ」
　麻陽がカトラリーセット（乳姫アレンジ）のナイフ、アームドフォート、鳳仙花の砲台を構え一斉に発射して、ランプの魔人を攻撃した。
「ムゥゥゥゥゥゥゥン！」
　次の瞬間、ランプの魔人が全身の筋肉を隆起させ、麻陽の攻撃を防いだものの、全身ボロボロ、傷だらけ。
　それでも、表情だけは、余裕な様子。
「どうやら、見掛け倒しだったようですね」
　そう言って月麻が勢いよく飛び上がり、体重をかけてランプの魔人を串刺しにした。
「ぐおおおおおおおおおおお！」
　その一撃を喰らったランプの魔人が断末魔を響かせ、跡形もなく消滅した後、『幻創魔書』が地面に落ちた。
　だが、『幻創魔書』からは禍々しい気配が漂っており、今にも何かが飛び出しそうな勢いで空間が歪んでいた。
「何か様子がおかしいんだよ！？」
　その途端、麻陽が危機感を覚え、『幻創魔書』から離れていった。
「やれやれ、どうやらボクの出番みたいだね」
　そんな中、『幻創魔書』から姿を現したのは、ハーメルンの笛吹き男であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●ハーメルンの笛吹き男
「どうやら、あの絵本から生み出されたようですね」
　スピネル・クローバルド（家族想いな女の子・f07667）が、警戒した様子で視線を落とした。
　その間も『幻創魔書』からは禍々しい気配が漂っており、それがハーメルンの笛吹き男に纏わりついていた。
「絵本は人を喜ばせるものの筈なのに、それが皆に危害を加えるなら、放ってはおけませんわ」
　ローズ・ベルシュタイン（夕焼けの薔薇騎士・f04715）も間合いを取りつつ、色々な意味で危機感を覚えた。
「さあ、君達。ボクと遊ぼう♪」
　そんな空気を察したハーメルンの笛吹き男が陽気な笑みを浮かべ、狂ったように笛を吹き鳴らした。
　その音色は、人々を幻惑に陥れる危険なモノ。
「いいでしょう、いいでしょう！　可愛くて強い、ノイジーちゃんが、お相手しますよ」
　それを迎え撃つようにして、ノイジー・ハムズ（夢の続きは羽虫に乗せて・f14307）が濃霧を掻き分け、ハーメルンの笛吹き男に近づいていった。
　だが、いくら進んでも、ハーメルンの笛吹き男は遠のくばかり。
　まるで幻惑の世界に迷い込んだような錯覚に陥りながら、濃霧の中を走っていた。
「あはは、あはは♪　いいよ、いいよ、その調子だ！　もっと速く！　全力で走らないと！　ボクに近づく事は出来ないよ」
　それを見たハーメルンの笛吹きが上機嫌な様子で笑い声を響かせ、不気味に体を揺らしながら、何かに取り憑かれた様子で笛を吹いた。
「……残念ですが、俺達には効きませんよ！」
　すぐさま、純・ハイト（数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649）が自らの体をナイフで傷つけ、ハーメルンの笛吹き男が作り出した幻惑から抜け出した。
　ローズとスピネルも、事前にゴーグルを着用し、マスクで口を覆う事で、濃霧から身を守った。
「へぇ……。なかなか、やるじゃないか。まさか、ボクの幻惑が効かないなんて……」
　ハーメルンの笛吹き男がぎこちない笑みを浮かべ、必要以上に強がった。
「……そうです。全然、効きません！　効く訳がありません！」
　そんな中、ノイジーがハッとした表情を浮かべて我に返り、自信満々な様子でエッヘンと胸を張った。
　何となく、先程まで幻惑の世界に迷い込んでいたような気もするが、それは単なる気のせい。
　強いて言えば、綺麗な蝶々を追いかけて、森の中を走り回っていただけである。
「それでは……行きますよ！」
　次の瞬間、ハイトが妖刀村雨を握り締め、ハーメルンの笛吹き男に斬りかかった。
「嫌だよ、ボクは……。面倒臭い」
　その途端、ハーメルンの笛吹き男が、自らの身を守るようにして、子供達を召喚した。
「……クッ！」
　それに気づいたハイトが警戒した様子で、その場から飛び退いた。
　一瞬、本物の子供のように思えたため、攻撃する事を躊躇ってしまったが、みんな目が虚ろで、心ここに非ずと言った感じであった。
　おそらく、ハーメルンの笛吹き男によって、魂を抜き取られてしまった子供の抜け殻。
　その証拠に自分の意志はなく、ハーメルンの笛吹き男に言われるがまま、何の疑いもなく行動しているようだった。
「私達猟兵が居る限り、貴方たちの勝手にはさせませんよ」
　それでも、スピネルは躊躇う事なく、フォックスファイアの範囲攻撃を仕掛け、狐火の炎で子ども達を消し炭に変えた。
　ローズもプリンセス・ローズの範囲攻撃で、残った子供達を蹴散らしていった。
「ば、馬鹿なっ！」
　それを目の当たりにしたハーメルンの笛吹き男が、信じられない様子で口を開いた。
「どんなに足掻いても、駄目なモノは駄目なのです。せめて、最後の時まで楽しく遊びましょう☆」
　ノイジーが間合いを取りつつ、全力魔法と属性攻撃を駆使して、ハーメルンの笛吹き男に攻撃を仕掛けていった。
「……そうだね。それじゃ、遊ぼうか！」
　ハーメルンの笛吹き男が猟兵達の攻撃を避け、再び何処からか子供達を召喚した。
「我に付き従うフェアリー達よ、戦いの時は来た！　全軍出撃せよ！！」
　その間に、ハイトがフェアリーの世界大戦争（フェアリーノセカイダイセンソウ）を発動させ、数百を超えるフェアリーの精兵の霊を召喚し、魔改造された対物スナイパーライフルで、召喚された子供もろともハーメルンの笛吹き男に無数の風穴を開けた。
「……」
　それと同時に『幻創魔書』から、今度は赤ずきんらしきモノが召喚されそうになった。
「……薔薇よ、私を守ってくださいませ」
　それに気づいたローズが、それは儚き不壊の薔薇（インヴァルネラブル・ローズ）を発動させ、オレンジ色のバラを一輪放って、『幻創魔書』のユーベルコードを相殺した。
「これで守るモノが、いなくなりましたね」
　次の瞬間、スピネルがファイアフォックスを仕掛け、狐火の炎で『幻創魔書』を消し炭に変えた。
　その影響で『幻創魔書』から召喚されそうになっていた赤ずきんが、断末魔を上げて跡形もなく消え去った。
「わーい、やった、やった！」
　その途端、愉快な仲間達が猟兵達に駆け寄り、上機嫌な様子で飛び跳ねた。
　これで愉快な仲間達を脅かす存在はいない。
　それが本能的に分かっているせいか、愉快な仲間達はとても御機嫌な様子で猟兵達を囲み、祝いのダンスを踊るのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年10月19日 宿敵 『『幻創魔書』飛び出す絵本』 を撃破！