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超特急地獄ノ道行

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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●奔レ奔レ、鉄ノ道
 巨大な鉄の塊が、走る。
 塊の正体は、列車……鉄道だ。
 そして帝都行の特急に、1人の令嬢が乗っていた。キャメラを片手に。
 シベリア旅行の帰途であるが、まるで疲れを感じさせない。これが若さか。
「カナヱお嬢様、少しは落ち着いてくださいませ」
 侍女が、ツインテールの令嬢をなだめる。
「何言ってんのよ、車窓からの景色を撮りまくって、後々出版する旅行記の挿画にするんだからっ! あ、この巻のタイトルは『お嬢様とシベ鉄』で決まりねっ!」
「ですが、そこは他のお客様の席ですので……」
「え? ……おほほ、御免あそばせ?」
 外行きの笑顔を振りまいて、カナヱ嬢が自分の席に戻ろうとしたその時。
 車両のドアが開き、車掌が入って来た。……3人も。
「切符を拝見します」
「何よ、さっきも拝見しに来なかった? ……って」
 カナヱ嬢が、侍女に切符を見せるよう促した時だった。
 ぱたり。侍女が倒れた。
「え」
 気絶している。何故? とカナヱ嬢が疑問した時。
 ばっ、と、車掌服が宙を舞った。その下から現れたのは、怪しげな出で立ちの3人組。
「ほーっほっほ! まんまと騙されたわねえ、お嬢様! アタシ達はワルイカー一味! アンタを誘拐してたんまり身代金ゲットだぜ! って寸法なのよー!」
「うぇー……ステロタイプな悪いヤツきたー……」
 カナヱ嬢の口が、横に広がった。
「何それ今からさらわれる人間のする顔? 命乞いの1つでもしなさいな!」
「いやだって、なんかいかにも失敗しそうだし……」
「この小娘、イカにも失礼だわ……!」
 首魁らしき女は、モノクルをつけた紳士に命じ、カナヱ嬢を抱きかかえさせる。
「ちょっ、降ろしなさいよ! ってかどこ触ってんのよこの破廉恥ジジイ!」
「いたっ、随分と足癖の悪いお嬢様のようで、イカんですなァ」
 麗しの御令嬢、危機一髪! ……多分!

●集ヱ集ヱ、救世ノ勇士
「大変だよ~! サクラミラージュの女の子が、悪いヤツらにさらわれちゃうんだ!」
 タビタビ・マタタビ(若き猫黒騎士・f10770)が、小さな手をわたわたと振って、猟兵に訴えかけた。
 シベリア鉄道を利用して旅行に出ていた良家の令嬢が、三人組の悪党にさらわれてしまうのだ。
 悪党の正体は、もちろん影朧である。
「女の子、助けないと、だよ! これからみんなを特急に送り出すね!」
 しかし、である。
 令嬢をさらった悪党三人組は、なんと鉄道の行く先に爆弾を仕掛けた。
「まずはこの爆弾を処理しないと、他のお客さんも大変な事になっちゃう!」
 やむをえないので、ここは、ささっ、となんとかしてしまおう。
 三人組は、爆破が失敗した場合、そのまま鉄道をジャックして、帝都に向かうつもりらしい。運転士を脅して、速度を更に上げて。
「爆弾を処理できたら、三人組の逃げ込んだ先頭車両を目指して! でも、悪党の下っ端が、みんなの邪魔をしてくるはず」
 これを蹴散らして、三人組の元にたどり着き、令嬢を奪還してほしい。
「折角の楽しい鉄道旅行が台無しなんてひどい! 頑張って悪党を懲らしめて!」
 ぐぐっ。タビタビは、小さな拳を振り上げ、猟兵達を鼓舞したのである。


七尾マサムネ
 700年続く大正世界サクラミラージュのこと、鉄道の車内販売には、駅弁やかたーいアイスもちゃんとあったりするのかもしれません。

●一章
 レールの上とかに設置された爆弾を何とかします。
 爆弾は1つではないようなので、たくさん猟兵さんがいらしても大丈夫、振るってご参加ください。(何人かで連携して1つの大きな爆弾を処理することもできます)

●二章
 爆弾処理に成功したら、三人組と令嬢のいる先頭車両に向かいます。
 三人組のけしかけた下っ端影朧の襲撃がありますので、これを蹴散らしてください。(基本的には車内での戦闘となります)

●三章
 なんやかんやで車両の屋根の上に舞台を移し、三人組との決戦に臨みます。
 令嬢も一緒ですので、そちらに被害が及ばないよう気を付けてあげるといいかもしれません。

●囚われの令嬢
 渡来・カナヱ(わたらい・かなえ)。
 花も恥じらう十六才。ちょっと口が達者でわがままですが、根は素直です。
 世界を巡って旅行記を出版するのが夢らしいです。

 それでは、皆様のご参加をお待ちしておりますよ!
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第1章 冒険 『レヱルの上に腹腹時計が!』

POW   :    力ずくで列車を止める!

SPD   :    爆弾を迫りくる鉄道から遠ざける!

WIZ   :    爆弾を解除すれば、もう大丈夫!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 事件を聞きつけ、駆け付けて来た猟兵にも、三人組はまるで動じる事はなかった。
「ほーっほっほ! 何やら現れたわねぇ! けれどもう遅いのだわ」
「そういう事っす!」
 リーダーのイカ女……イカージョが高笑いする横では、悪ガキっぽいヤツが、へっへー、と軽薄な笑みを浮かべている。
「この先のレヱルに爆弾を仕掛けたっす。列車がそこを通過した途端……ドカン! って寸法っす。……まあ自分らは逃げるっすけどフヒヒ!」
「この腐れ外道……! 故郷のお母さんも泣いてるっつーの!」
 人質の自覚があるのか否か。ツッコミの主はカナヱ嬢である。
「威勢のいいお嬢様っすね。でもそれも今のうちっす」
「ひっ」
 じゃきっ。
 大振りのナイフをぷにぷにほっぺに突きつけられ、さしものカナヱ嬢も押し黙った。
「さーあ、死へのカウントダウンを始めておくのだわ! おーっほっほ!」
 このままでは、鉄道は爆発四散、そして三人組がまんまと逃げおおせてしまう。速やかに爆弾を処理し、追撃するのだ!
 仕掛けられた爆弾をどうにか出来るのは、猟兵だけなのである!
ロート・カニーンヒェン
「気合いでなんとかー!やるぞ、ガルムレックスー!!」(POW)列車を正面から受け止めて止めるぞ!一人でダメなら、相棒の恐竜ガジェット、ガルムレックスと一緒に押し止めるよ。更にユーベルコードでもう一人私を呼んで三人!これで止まる・・・と良いなぁ!(アドリブ歓迎です)


八月・九木
探偵をお呼びかな?事件とあればこのボクが雑に滅茶苦茶に解決してみせよう。と言う訳で推理のお時間だ、まあ寛いで聞いてくれたまえ。

爆弾は無力化するか範囲から逃げればいい。ボクに爆弾解体の技術はないから後者になる。どちらも当然。
列車より爆弾を動かす方が簡単、ではボクのUCで掴んで投げられるか?

答えはイエスだ。爆弾は実は生物で、導火線が尻尾だから投げられる。
根拠としてはいつ通過するか分からない列車に合わせて爆発するのだから五感に準ずるものが必須。
また、敵は三人組だが人外の構成員が存在していても三人組を名乗れる。ボク目掛け爆発しようとも列車は無事。
以上がボクの推理だ、爆弾はどうにでもなる。QED



 騒然とする、特急の車内。
 無理もない。この先に待っているのは駅ではなく、爆弾なのだ。
 列車は絶賛走行中、しかも密室空間で、逃げ場はない。
 ブレーキをかければあるいは……と誰もが思うが、ワルイカー一味によって運転士の身柄も押さえられているだろう。
 事此処に至って、暴走特急と化したこの列車を止めるすべは……。
 ……いや。
「あれは……!」
 車窓から行く手を見つめていた乗客が、『あるもの』を指差した。
 列車の前に立ちはだかる影……その正体は、ロート・カニーンヒェン(グリーディー・ファントム・f00141)である。
「まさか、爆弾をどうにかするんじゃなく、列車を止めるつもりじゃない?」
 囚われのカナヱ嬢の推測通り。
 ロートは、決意の眼差しで、迫りくる列車を凝視する。
「気合いでなんとかー! やるぞ、ガルムレックスー!!」
 ロートがその名を呼ぶと、メカニカルな音を響かせ、相棒の恐竜型ガジェットが傍らに着地した。そして、舞い上がる砂埃を掻き消すように、咆哮。
 次の瞬間。
 がきぃん!!
 ロートとガルムレックスが、列車と正面衝突した。
「おーっほっほ! ぺしゃんこになったわねえコレ!」
「バカじゃないのおばさん! 老眼?」
 イカリーダーの高笑いに水を差したのは、カナヱ嬢である。
「老眼言うな! おばさん言うな! ……って!?」
 リーダーが括目した。みるみる列車が減速していくではないか。
 そう、ロート達は健在であった。勇ましい形相で、列車を押しとどめている。
「気張っていくよガルムレックス!」
 前進せんとする列車の車輪、そして其れを阻もうとするロートとガジェット恐竜の足が、レヱルと火花を散らす。
「シベリアが誇る超特急! 其の速力を止められると思って?」
 リーダーの言う通り。
 スピードは徐々に殺されてきてはいるものの、まだ停車するには至らない。
「嗚呼、お終いだあ!」
 乗客の誰かが悲嘆する。
 だが、人々の諦念を切り裂いて、ふう、とため息が響き渡った。
「やれやれ、この世界は厄介な事件に溢れている」
 客の視線が、1人の女子に殺到した。
 名を、八月・九木(ロマンの紐解く安楽椅子探偵・f22542)という。
「探偵をお呼びかな? 事件とあればこのボクが雑に滅茶苦茶に解決してみせよう。と言う訳で推理のお時間だ、まあ寛いで聞いてくれたまえ」
 腰を上げた九木は、通路を歩く。
 乗客はもちろん、三人組とカナヱ嬢の注目を一身に浴びているのを確かめながら。
「爆弾の対処法は大きく分けて2つ。無力化するか範囲から逃げるか、だ。ボクに爆弾解体の技術はないから後者になる。どちらも当然。列車より爆弾を動かす方が簡単、ではボクのユーべルコヲドで掴んで投げられるか?」
 九木は其処で、ぴた、と足を止め、
「答えはイエスだ。爆弾は実は生物で、導火線が尻尾だから投げられる」
「いやそれ無茶でしょ……」
 カナヱ嬢が半目で言った。
 しかし九木は、首を横に振って、
「根拠としてはいつ通過するか分からない列車に合わせて爆発するのだから、五感に準ずるものが必須」
「えー……」
「また、敵は三人組だが人外の構成員が存在していても三人組を名乗れる。ボク目掛け爆発しようとも列車は無事。以上がボクの推理だ、爆弾はどうにでもなる。QED」
 証明終了。
「所詮は、探偵お得意の机上の空論だわ! さーあ観念しなさ……んんっ!?」
 ボスが疑問した。一気に減速していく車両をいぶかしんで。
 見れば、ロートが2人になっていた。
「あれは……ユーベルコヲド!?」
 正解である。
 2人と1体となったロート達が、全力を注いだ。
 3人寄ればなんとやら……あれは頭脳労働方面の例えであったか……ともあれ、その懸命の努力は、実を結んだ。
「列車が、止まって……」
 カナヱ嬢が目を見張った。
 ロート達によって、列車の速力が限りなく零に近づいていく。
「けど、爆弾はどうするのかしら? 無理に外せば爆発するわよ?」
「なら、爆発する前に何とかしてしまえばいい、それだけの事だよ」
 レヱル上の爆弾を視認した九木は、ここぞとばかり、ユーベルコヲドを起動させた。
 拡張された腕力で、行く手にたたずむ爆弾をひっつかむと、
「さらば」
 空へと放り投げた。
「ほら、どうにかなっただろう」
 現実が探偵を規定するのではない。探偵が現実を規定するのだ。
 そんな九木の言葉の直後、遥か頭上で、爆発の花が咲く音が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リック・ランドルフ
電車に爆弾、そして誘拐。……まさか猟兵でもやる事になるとはな。俺の仕事ってのは何でこう…いや、愚痴を言っても仕方ないな、とりあえず目の前の事に集中するか。ふー…解体するか。

とりあえず先ずは爆弾のタイプを確認する。レールから外すと爆発するタイプか、それとも外しても問題ないか。そしてコードを切れば止まるタイプかを。

前者のレールから外すと爆発するタイプなら、外装を外して【熱先銃】で止まるコードを切り、解除出来たらそれを持ってレールから離れよう。……何回か爆弾解除はやった事あるし大丈夫だろう。

後者の場合だったら爆弾を掴んでUCで複製した縄で爆弾をくるんでそして念力で空高くまで移動させて爆発させる。



「電車に爆弾、そして誘拐。……まさか猟兵でもやる事になるとはな」
 見事揃った三拍子。
 リック・ランドルフ(刑事で猟兵・f00168)は、レエル上に仕掛けられた爆弾と対面を果たした。
 一度は停止した特急だったが、再び動き出したようだ。
 幸い、リックのいる場所にたどり着くまでは、若干の猶予がある。先ほど空に花火が上がったようだが、まあ、十中八九爆弾だろう。
 まこと、物騒である。
「俺の仕事ってのは何でこう……いや、愚痴を言っても仕方ないな、とりあえず目の前の事に集中するか。ふー……解体するか」
 リックも、爆弾の解除は何度かやった事がある。何事も経験だ。こういう仕事をしている以上、無駄な事はない。それが猟兵というものだ。
 さて、リックがまず確認したのは、爆弾のタイプだ。
 レヱルから外すと爆発するタイプか、それとも外しても問題ないか。そして、コードを切れば止まるタイプか否か。
「先刻爆発したのは、外した直後に爆発するタイプのようだったが」
 リックと相対したコイツも同型なのだろうか……。
「手を変え品を変え、か」
 どうやらこれは、レールから外しても問題は無いタイプらしい。
 それならとリックは、イカのマークがプリントされた……イカ何がしという例の一味のマークだろう……爆弾をレヱルから取り外すと、ユーベルコヲドで複製した縄でくるむ。
 そして、念力でもって、空高くエスコヲト。
 ドォン!!!
 再び、空に炎の花が咲く。
「仕事はスマートに、だな」
 リックが呟いたしばし後。
 轟音を立てて、駆け抜けていく特急列車。その車窓からは、3人組の悔しそうな顔が見えた。はっきりと。
「ええい、やってくれたわねぇぇぇぇ……!!」
「グッドラック。良い旅を……には少し早いか」
 リックは肩をすくめ、続く猟兵達に後を託した。

成功 🔵​🔵​🔴​

フクス・クルーガー
【SPD】 アドリブ・共闘歓迎

むむむ、まさかこんなステレオなタイプの悪役とは、流石はサクラミラージュ。悪役までもが大正時代とは……

流石に流通の要である鉄道を爆破するのは運び屋としても許せません! 止めに行きますよ。

今回は爆弾処理とのことなのでアタシのトラックの荷台にはカスタマイズして起爆装置の解体用に液体窒素とか解体用の器具(カッター)を沢山積んでおくよ。 一つじゃないってことなので作業はすぐに次へ向かうのと安全も兼ねて作業用アームで行いますよ。

邪魔をしてくるんだったら手持ちのP90で応戦するよ。

処理しても危険そうならばトラックを走らせて爆破しても問題ない場所へと運ぶよ。



「おおっと、まだまだ爆弾は仕掛けてあるのよ~! 全部解除できるかしら~!」
 余裕のリーダーと、その左右でリーダーを賑やかす2人の手下。
 絵に描いたような悪人3人組を、双眼鏡の向こうに確かめて、フクス・クルーガー(何処でもお届け! 安心のクルーガー運送!・f22299)は眉間にしわを寄せた。
「むむむ、まさかこんなステレオなタイプの悪役とは、流石はサクラミラージュ。悪役までもが大正時代とは……」
 この世界ではこれが『スタンダアド』なのだろう。郷に入っては郷に従えとも言う。
 しかし今は、其れどころではない。
 鉄道とは、人のみを運ぶものにあらず。同時に流通の要でもある鉄道を爆破するのは、フクスの運び屋としての誇りが許さない。
 鉄道に先行しているのは、フクスの大型トラックだ。
 荷台は今回の任務用にカスタマイズされ、爆弾解体用の液体窒素や、解体器具が積載されている。さすが、全環境対応型。
 フクスの操作により、作業用アームがレヱルの上へと伸び、設置された爆弾に取り付く。別のアームがそれを補助し、爆弾を処理していく。
「ふうっ、まず1つ、作業終了っと」
「あーっ! 勝手に何してくれちゃってんのよ其処の箱型!」
 遠眼鏡でフクスを確認したリーダーの抗議……拡声器を使っているのでよく聞こえる……を吹き飛ばすように、フクスはアクセルを踏み、トラックを次の爆弾の元へと加速させた。
「邪魔するんだったら、こっちも黙っちゃいないよ!」
 リーダーの声は、しかし銃声に掻き消された。フクスの短機関銃P90が火を噴いたのだ。
「ひっ!? 危ないじゃない!! こっちには乗客がいるのよー!?」
「邪魔してるのはそっちでしょう!」
 にっくき敵の抗議を一蹴し。
 フクスはトラックの機動力を生かし、次々と爆弾を解除していったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御桜・八重
誘拐犯は許さない。
もしかしたら、わたしの親友の行方も
知っているかもしれないし!

遠くから迫る列車を一瞥。
線路上にはタイマーが点滅する爆弾が点々と。
残された時間が少ないのなら…、これしかないよね!

丈の短いの巫女服から足をスラリと覗かせて、
クラウチングスタート、どんっ!

【スクワッド・パレヱド】、発動!

線路上を全力疾走。
突進が生んだ強力な風圧で薙ぎ払い、
爆弾を線路外に『後退』させる。
大丈夫、他の猟兵さんが頑張ってくれたから、
残りはもうこれだけ。一気に行っくよーっ!

列車を見送るように、線路脇で花火の様に爆煙が上がる。
わたしの初パレヱド、どうだったかな?

列車が無事なら、さあ乗り込もう!

アドリブ・連携可。


吾喜内・来世(サポート)
「情けは人の為ならず! 困ったときはお互い様だ!」
女性的な身体に男性的な言動、陰鬱な外見に陽気な性質を持った桜の精です。
善意と正義感に従い、世の不条理や他人の不幸を掃う為に行動します。
心根が素直な為、敵の言葉に迷ってしまうこともありますが、事件解決という目的は忘れずに遂行しようとします。

「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る」
ユーベルコードは状況に応じて使い分け、攻撃と防御はそれ任せです。
本人は援護や救助の役割を主に担当します。装備の薬からその場面で最適なものを選び、自分や味方、敵にすらも服用させます。

アドリブや他者との絡みは大歓迎です。
やりやすいように、自由に動かしてください。



「情けは人の為ならず! 困ったときはお互い様だ! そして今こそその時!」
 桜の花びらを舞い散らせ、吾喜内・来世(サクラキメラ・f22572)が、線路に駆け付けた。
 悪党が為すことを許してはおけぬ、その意志は人一倍。溢れる正義感が、来世を突き動かす。
 此度の悪は、爆弾の形をしていた。しかも、複数。
 囚われのカナヱ嬢はもとより、此のままでは特急の乗客の命も危うい。此れを救う事は正義。そして正義を為す事こそが、来世の使命!
 特急が来世のいる場所に到達するまで、然程猶予はない。来世はまとめて爆弾を取り去る方法を実行した。
「祖なる桜が一柱。請いて願いて奉る。援け給へ」
 来世は、両手を広げた。
 すると、其の力に招来され、樹木の従者がゆっくりと立ち上がった。戦闘は不得手だが、其れ以外ならば万能。
「今は、其の力が必要だ」
 ユーベルコヲド【咲耶姫】……気高き樹木の従者は、来世の指示に従い、爆弾と同じ数だけ増殖した。
 そして、出来うる限りの速さで爆弾の元に向かうと、その手先の器用さを存分に披露した。
 1つ、また1つと爆弾が解体され、無力化されていく。
 彼の三人組も、よもや樹木によって爆弾が処理されるとは、夢にも思うまい。
「凄い……器用な木の精さんだね!」
 其の光景を眺めていた御桜・八重(桜巫女・f23090)もまた、強い意志の光を瞳に宿していた。
 誘拐犯は許さない、という確固たる決意。それともう1つ。
 帝都はおろか超特急まで使い、世界を飛び回る悪人達の事だ。もしかしたら、八重の親友の行方も知っているかもしれない……そんな淡い期待を抱きながら。
 まだ遠く、力強く線路の上を疾走する列車を、八重は、遠目に一瞥した。
 そして視線を移せば、線路上に、タイマーが点滅する爆弾が、まだいくつも点在している。
「残された時間が少ないのなら……これしかないよね!」
 八重は、丈の短い巫女服から足をスラリと覗かせて。
「他の猟兵さんが頑張ってくれたから、残りはもうこれだけ。一気に行っくよーっ!」
 クラウチングスタート!
 八重の小柄が、砲弾の如き加速を持って飛び出した。衝撃波が周囲の木々を揺らし、大気を打ち据える。
 これぞ八重のユーベルコヲド、【スクワッド・パレヱド】!
 八重の気合の声が、あっという間に後ろに流れていく。
 突進が生んだ強力な風圧は、しっかと線路にしがみついていた爆弾さえも薙ぎ払った。イカ印の爆弾達は、たまらず線路の外へと吹き飛ばされていく。
 八重と列車が、高速ですれ違う。
 刹那、ちらりと列車に目をやれば、八重の活躍に瞳を輝かせたカナヱ嬢と、ハンカチらしき布を、きーっ、と噛みしめた三悪のリーダーの涙目が見えた。
「わたしの初パレヱド、どうだったかな?」
「またしてもぉぉぉ……やってくれたわねぇぇぇ……!」
 八重のウインクから遅れる事一瞬、線路脇で爆煙が上がる。あたかも夜空に咲き誇る花火が如く。
 生じた爆風を、来世の従者達が並んで防いだ。正に防風林、という奴である。
 期せずして連携を披露した来世と八重は、合流して特急へと向かった。樹木の従者が2人を掌に載せて、一気に特急を追走。
 2人をはじめとした猟兵達の奮闘により、爆弾は全て排除された。次はカナヱ嬢を救出する時間だ。
 八重と共に、無事、列車内へと乗り込んだ来世は、役目を立派に果たした従僕たちを送還すると、三悪を睨んだ。
「さあ、そのお嬢さんをこちらに渡してもらおうか!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ヒヨリミ』

POW   :    ヒヨリミ台風
予め【二本の刀を掲げて空中でくるくると回転する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ヒヨリミボディ
自身の肉体を【刃のように触れるものを切り裂く布】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    無縁火
レベル×1個の【血のように赤い色】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「お~の~れ~! 全く以て余計な事をしてくれたじゃなイカ!」
 特急の車内で、ワルイカー一味は、酷く悔しがっていた。
 無理もない。折角たんまり設置した爆弾の全てを、猟兵に解除されたのだ。
 そして、今また、車内に乗り込んだ猟兵達に追い詰められている。
 カナヱ嬢は、まるで自分の手柄のように得意げである。
「ほら見なさい。悪が栄えたためしはないのよ!」
「だまらっしゃい! この超特急は私達の支配下にあるのよ~!」
 ぼむん。
 特殊な煙幕を使った隙に、カナヱ嬢を捕まえた車両を飛び出し、前方車両へと移動する三人組。もちろん、カナヱ嬢を連れて。
「さようなら~」
 三人組が手を振るのが、煙の合間から見えた。
 この調子で車両を乗り継いで先頭車両へたどりつき、運転席を占拠。其のまま、カナヱ嬢ごととんずらする算段であろう。
 猟兵達は、すかさず敵を追った。扉をくぐり、1つ前の車両へ。
 だが、その車内では、影朧が待ち構えていた。
 赤いテルテル坊主を想起させる姿で、ここからは先に通さないぞ、と剣を構えて迫って来る。
 どうやら三人組は、ここから先、先頭車両に至るまでの三両すべてにコイツを配置したらしい。
 この敵を窓から放り出すもよし、屋根に戦場を移して丁々発止のやり取りをするもよし。
 ともかく敵を派手に突破して、先頭車両に向かった三人組の元を目指すのだ!
吾喜内・来世
「これ以上悪いことを重ねちゃだめだよ! 善いところに生まれ変われなくなっちゃう!」

相手の良心に期待して、声掛けは行います
戦闘が避けられぬものと悟れば、【衣通姫】を使用
武力衝突は任せ、自分は説得の続き、援護、救助活動で動ける体制を整えます

「貴人を護ることこそが、将が率いし軍の本懐なり」

乗客が居るならば、その安全確保を攻撃より優先させます
パニックを起こす者が居るならば、落ち着かせる為に秘薬『白秋』を処方します
列車内での状況の把握。走行の音と振動、先の爆発の火薬臭があるから有効なのは視覚の強化。自身は劇薬『木行』を服用します
また、味方にも状況に応じて、有効な薬を渡します

アドリブ、絡み歓迎


フクス・クルーガー
【SPD】 アドリブ・共闘大歓迎

アタシは列車には乗り込まずにトラックに乗って猟兵たちに合わせるように並走するよ。アタシの【運転】なら出来るから。

並走しながらP90で猟兵たちへ【援護射撃】してサポートするよ。並走しながらなら屋根や室内なら窓から射線は通るからね。

窓から放り出されたのはキッチリとトラックで潰していく。流石のテルテル坊主だろうとこの重さのトラックに轢かれたのならお陀仏だろうだしね。

敵がこっちに向かってくるなら【錬成カミヤドリ】でトラックの一部の装甲板を複製して蝿叩きの様に地面に押し付けるように叩きつける

「列車とのカーチェイス、映画みたいでワクワクするね!」



 赤に燃ゆるテルテル坊主……影朧ヒヨリミと対峙した吾喜内・来世は、必死に訴えかけていた。
「これ以上悪いことを重ねちゃだめだよ! 善いところに生まれ変われなくなっちゃう!」
 負の念が凝り固まって、影朧に堕ちた身なれども、心魂には転生の可能性を秘めている。血塗られることのない道も、また。
 けれども。
 知った事かー、とヒヨリミは、空中を滑るようにして、来世を襲う。
 やむを得ない。来世は、剣や盾を持つ樹木の巨人達と、其れを指揮する樹木将を招来した。
「貴人を護ることこそが、将が率いし軍の本懐なり」
 樹木将の最初の命令は、乗客の保護であった。
 或る者はヒヨリミの攻撃から乗客をかばい、また或る者は乗客を後続の車両に避難させる。
 対するヒヨリミは、二刀を打ち鳴らす。こぼれた火花は瞬く間に、炎を生み出した。
 樹木にとっては天敵。だが、神秘の存在足る彼らは、身を挺して乗客の盾となるのである。
「きゃああ!」
 乗客のご婦人が、悲鳴を上げた。飛び散る炎に、思わずおののいたようだ。
 ふわり、虚空を泳ぐようにして、乗客へ迫らんとするヒヨリミ。だが、
「伏せて!」
 飛んで来た声に、乗客が従った直後。
 車外からの銃撃が、ヒヨリミの体を蜂の巣にした。
 射手は、フクス・クルーガー。トラックに乗ったフクスは、特急と並走。外からヒヨリミの駆逐を試みたのである。無論、フクスの運転技術があってこそ為せる業。
 其の時である。
 来世らによって今また、手負いのヒヨリミが車外に放り出された。フクスはハンドルを切って、あえて、落下ヒヨリミへと進路を変える。
「!!!?」
 トラックの巨体に轢き潰されたヒヨリミは、見事ぺしゃんこになって、骸の海へ還っていく。
 只のトラックならいざ知らず、猟兵の操るトラックの前には、影朧とて形無し。お陀仏である。
「列車とのカーチェイス、映画みたいでワクワクするね!」
 この調子だね、とフクスの双眸には活力がみなぎっていた。
 さて、爆弾の恐怖から逃れたのも束の間、新たな脅威に襲われた乗客の心は、穏やかならざるものであった。
 だが、恐慌をきたすものがあれば来世が駆け寄り、秘薬を処方した。腰が抜けて動けぬものあれば、言葉をかけてなだめると、樹木達に客の身柄を任せた。
 トラックからの援護射撃に感謝しつつ、状況の把握に努める来世。
 列車の速度は、未だ衰えぬ。故に、生じる走行音と振動、其処に来て先ほど炸裂した爆弾の火薬臭も残っている。
 ならば、強化を行う上で有効なのは。
「これだよ!」
 劇薬『木行』を服用し、視覚を強化した来世は、味方にも的確な強化を施していく。フクスへも合図を送ると、トラックを出来るだけ近づけてもらう。
 投じられた薬を飲んだフクスは、思考が冴え渡り、ドライブテクニックが研ぎ澄まされていくのを感じた。
 座席に隠れて攻撃をかわしながら、来世は、ヒヨリミへと説得を続けた。倒れゆく彼らが、輪廻の後、正しい生を得られるようにと。
 来世の真っ直ぐな瞳によって剣閃を鈍らせるものがいる一方で、荒ぶるものもいる。
 別のヒヨリミ達の視線が、車外のフクスをとらえた。しゅるりと布のように体をほどく。
 来る、とフクスが感じた直後、ヒヨリミの伸ばした体が、鋭利な刃となり、トラックへと迫る。
「おっと危ない! なら、これでどうかな!」
 とっさにトラックを駆って傷が付くのを避けたフクスは、ユーベルコヲドを発動。
 トラックの装甲板の一部分、しかもとびきり硬度の高いものを高速複製。其れをヒヨリミに振り下ろした。蠅叩きの要領で。
「!?!?」
 べしん。ヒヨリミが目を白黒させたまま、潰された。フクスを攻撃しようと、車窓から身を乗り出していたのが運の尽き。
 装甲板蠅叩きによって、地面に押し付けられたヒヨリミは、目を回し、消滅していく。
 あっという間にトラックや特急の速度に引き離され、最期まで見届ける事は叶わなかったのであるが。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロート・カニーンヒェン
「なんか特撮で見たようなデザインだな~。」(POW)ワルイカー達に逃げられても困るし、ここはパワーで最短距離を突破するよ。相棒の恐竜ガジェット、ガルムレックスと合体して正面からパワーで押しとおる!人質救出最優先よ!!(アドリブ歓迎です)


御桜・八重
【POW】

「あっ、待てこらーっ!」
わたしたちの前に立ち塞がるテルテル坊主。
車両の狭い通路に陣取られたんじゃ通るに通れない。
脇を擦り抜けようにも刀持って回られちゃ危険この上無い。
「うーっ、どっか通れるところがあれば…あ」
ヒヨリミは空中で回ってる。

足元、空いてる。

思いついたら即行動。
通路を思いっきりダッシュし、
ヒヨリミの目の前で一気に身を沈めてスライディング。
敵の真下を潜り抜けながら【スクワッド・パレヱド】を発動し、
次々後方や窓の外へ跳ね飛ばす!

次車両のドアを閉めて一息。
巫女服についた埃を払って、視線を前に。
次々現れるヒヨリミに向かい、
「さあ、カナヱさんまでもう一息!」
地を蹴る!

アドリブ・連携可。



「待てこらーっ!」
 ワルイカー一味を追う御桜・八重の行く手にもまた、炎色のテルテル坊主は立ちはだかる。
 車両の通路は、決して広くない。其の線上に陣取られては、思うように先を急ぐことができない。
 脇を擦り抜けようとすれば、ヒヨリミの二振りの刀が閃く。
 対する八重もまた二刀の使い手。しかしヒヨリミの方は、自在に空中を飛び回る能力の持ち主。小回りを生かして、猟兵達を翻弄せしめる。
 邪魔ものに通せんぼされ、攻めあぐねる八重。不幸中の幸いは、先行した猟兵達の手引きによって、乗客達は後続車両に退避を済ませている事。
 行く手を阻む赤の影朧を見て、恐竜ガジェット、ガルムレックスとロート・カニーンヒェンのコンビは、思っていた。「なんか特撮で見たようなデザインだな~」と。
 何処か愛らしさすら感じる姿、しかして、其の手に握る刀に大人げなし。なら、ロートも手心を加える必要はあるまい。
「このままワルイカー達に逃げられても困るし」
 ボスの元にはいかせん!
 ヒヨリミは巧みな浮遊術を披露し、ロート達に攻撃を仕掛けた。
「うーっ、どっか通れるところがあれば……あ」
 不規則に浮遊する敵群を凝視していた八重は、ふと、気づきを得た。
 ヒヨリミは、空中で回っている。それすなわち、
「足元、空いてる」
 天啓にも似た思い付きを、八重はためらう事なく実行した。
 通路を、迷う事なく疾走。当然の如く、ヒヨリミ達が殺到するが、
「!?!?」
 ヒヨリミと衝突する直前、八重は一気に身を沈めた。そのまま、床を滑る。スライディングだ。
 想定外の挙動に、文字通り浮足立つ敵の真下を潜り抜けながら、八重は闘気をまとった。
「てやぁーーっ!!」
 其れに弾き飛ばされたヒヨリミ達は、次々後方や窓の外へ跳ね飛ばされていく。
 一方ロートも、斬りかかって来るヒヨリミ達をかわし、時に体術でいなしている。
「行くぞ相棒、合体だ!!」
 ロートの力強い呼びかけに、同様にヒヨリミの相手をしていたガルムレックスは、咆哮で応えた。
 空気はおろか列車をも揺るがす其れに、ヒヨリミがひるんだ今が、好機。
 ロートが、前方に疾走。追走してきたガルムレックスが、其の背に重なるように跳び上がる。
 ガルムレックスの機械の四肢が、ロートを覆っていく。
 雄々しく強化された脚に力を籠め、ガルムレックスの頭部が装着された腕を突き出す。
 そして、装着された装甲が、鋼の輝きを放つ。
「完成、ガルムレックスナイト!!」
 機械恐竜騎士の全身から漲るパワーが、ヒヨリミを吹き飛ばす。
「人質の救出が最優先! ここはパワーで押し通らせてもらうよ!」
 がきん、と、腕に備えられたガルムレックスの頭部が開き、向かってきたヒヨリミを噛みちぎった。
 爆発、散華するヒヨリミ。
「さあ、行って!」
 ヒヨリミの残滓を振り払ったロートが、八重を促した。強固なる外装を足場として提供する。
「ありがとう!」
 厚意に甘えた八重は、其れを蹴って前進。
 速力と勢いを増した突撃が、車内を一瞬にして駆け抜けた。八重の進路上にいたヒヨリミはことごとく弾き飛ばされ、一掃されていく。
 其のまま速力を殺さず、次の車両へ滑り込んだ八重は、ロートを迎えたところで、ドアを閉めて一息。
 巫女服についた埃を払って、視線を前に向ければ、そこにも新たなヒヨリミ達が。
 しかし、八重の瞳に、うんざりの色は微塵もなく。
「さあ、カナヱさんまでもう一息!」
 勢いよく、床を蹴った。
 ロート目がけ、コマの如く体を回転させたヒヨリミが襲来する。赤色の小型竜巻と機械恐竜騎士が、激突する。
 だが、二振りの刀による高速回転ですら、ロートの装甲には傷一つ付けられない。
 其れどころか、強大なりょ力によって回転力を殺しきると、ヒヨリミの体を車外に放り投げてしまったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リック・ランドルフ
さて、何とか中に乗り込めたが、やっぱ休む暇はないよな。…それじゃゆっくり休むためにもささっと倒して追い掛けるか。……車内の物壊したりしても請求とか…大丈夫だよな?

とりあえず車内の座席を遮蔽物にして【オートマチック拳銃】で攻撃だ。(スナイパー、地形利用、戦闘知識)そして影朧達がUCを発動しようするタイミングで撃ちながら影朧達に突っ込む(激痛耐性、武器落とし)そして相手の一人をを掴んでUCを発動!影朧を振り回して他の影朧達にぶつけて最後は外に放り投げるぞ。


ティル・ライハ(サポート)
『シゴトで何が出来るか楽しみだな!』
人間のシーフ × 探索者
年齢 14歳 男
外見 156cm 青い瞳 ピンクの髪 普通の肌
特徴 夜が好き アクティブ 甘党 世間知らず 金目の物が好き
口調 気楽(俺、呼び捨て、ぜ、だぜ、じゃん、じゃねぇの? )
怒った時は 荒くれ(俺、おめぇ、だ、だぜ、だな、だよな?)

探索 → シーフとして罠を探知・開錠する等して、仲間達が安心して進めるように努める。
敵への足止めなら、罠使いとして行動。
情報収集するなら、子供をターゲットにして遊ぶように話し掛ける。

戦闘 → 攻撃よりデバフ要員として行動。おびき寄せてからの、薬品によるマヒ・毒攻撃。



「よっし、俺も一仕事するぜ!」
 新たに車内に飛び込んできた人影に、一瞬、ヒヨリミ達の注意が逸れた。
 ティル・ライハ(好奇心の末・f04613)は、其の瞬間を逃さない。懐から抜いたナイフを投擲すると、とととっ、ヒヨリミ達の額に突き立てた。さながら曲芸ショウのように。
 新たな敵の襲来に、ヒヨリミ達の防衛本能が働いた。ティルを囲むように、ヒヨリミ達の群れが迫る。
 マフラァの如く巻いた布を伸ばし、ティルを刈り取ろうと試みる。
 だが、ヒヨリミ達が実際に切り裂いたのは、ティルの残像に過ぎない。
「うん、そんな攻撃、当たらないぜ」
 偽物の影が、虚空に溶ける。
 ヒヨリミが攻撃の空振りに気づいた時には、本物のティルは、ワイヤー付きフックで天井に移動している。
 ユーベルコヲドの力で、ヒヨリミの攻撃を先読みし、回避していくティル。前髪一本だって譲るつもりはない。断じて。
「もう始まってるな」
 リック・ランドルフも、先行する猟兵に後れを取るまいと、車内を駆ける。
「さて、何とか中に乗り込めたが、やっぱ休む暇はないよな」
 ヒヨリミ達がひっきりなしに攻めてきて、リックに労働を与えてくれるのだ。
 リックは、溜め息を1つ吐いて、
「……ゆっくり休むためにもささっと倒してお嬢さんを追い掛けるか」
 二刀を振り回して接近するヒヨリミの攻撃を、座席を遮蔽としてしのぐ。
「……車内の物壊したりしても請求とか……大丈夫だよな?」
 斬られ、幾分小さくなった座席を見たリックは、思わずそうつぶやいた。無茶前提のリックにとっては、死活問題と言えた。
 ともあれ、相手が刀を振り切ったのを見計らい、オートマチック拳銃をぶっ放す。
「ひゅう」
 リックの腕前に、ティルが感嘆の口笛を鳴らす。
 一発も外すことなく、全ての弾丸がヒヨリミを撃ち抜いている。
 ヒヨリミとて、ただただ的になるつもりはないはずだが、リックの正確な射撃には為すすべなく、一体、二体と、撃ち落されていく。
 程よく敵を引きつけた所で、ティルはいよいよ本領を発揮する事にした。
「さあ、俺からの差し入れだよ。せいぜい味わってくれよな」
 しゅしゅっ、とヒヨリミ達の間をすり抜けていくティル。
 すれ違いざま、腰の袋から取り出した薬品の数々を、ヒヨリミの口に放り込んでいく。
「!?」
 反射的に其れを飲み込んでしまったヒヨリミの顔色が、一転、青に変わった。
 ティルの毒が、効果をすぐさま発揮したようだ。苦しみ悶えて床に落下していくものや、麻痺毒によって体の自由を奪われ、身動きのとれぬものなど。
 ティルの素早い『処方』によって、被害が拡大していく。
「あとはサクっととどめだ。悪く思わないでくれよな!」
 非投擲用ナイフを抜くと、ティルは確実にヒヨリミを各個撃破していくのであった。
 ティルの毒により標的が狙いやすくなったリックも、撃破速度を上げていく。
 射撃でくるならば、弾丸ごと跳ね返せばよい。然う思考したかは定かではないが、ヒヨリミ達は自らを小型竜巻に変えて、突進を敢行せんとした。
「させるかよ」
 リックが、座席の陰から飛び出した。走射しつつ前進。相手の手元を狙い、刀を落下させる。
 そして、武器を失った一体のヒヨリミをわっしとつかむと、ヒヨリミの群れに叩きつけた。
「!?!?」
 まさか味方に攻撃されるとは。
 リックの豪快な攻撃に困惑しながら、弾き飛ばされていくヒヨリミ達。
 車内からヒヨリミが一掃されたのを確かめると、リックは近くの窓を開け、
「世話になったな」
「!?」
 つかんでいたヒヨリミを放り投げた。
 涙目のヒヨリミの姿は、刹那の間に豆粒のように小さくなって、見えなくなった。
 其れが、最後のヒヨリミだったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『三悪ワルイカー一味』

POW   :    実行犯:イカさま手品師のスクイラー
【シルクハット型ワームホールによる窃盗】が命中した対象に対し、高威力高命中の【武器や服を剥ぎ取り相手を無力化する攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    リーダー:イカがわしい美貌のイカージョ
【知覚した者を洗脳し意のままに操る色仕掛け】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    参謀:イカれた発明家のゲソッキー
自身からレベルm半径内の無機物を【リモコンで、黒煙噴き出す無敵蒸気機関メカ】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠明石・真多子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 遂に、ワルイカー一味は、先頭車へと追いつめられた。
 此処はどん詰まり。逃れようにも隠れようにも、場所はない。
「ざまあないわねほら! 頼みの下っ端もやられて、観念してお縄に就くのね!」
「ぐぬぬ……!」
 一味を煽るカナヱ嬢。人質のプレッシャーも何処吹く風。
「どうやら、ワルイカー一味がイカに恐ろしいか、実力で教えてあげなくてはならないようねぇ!」
「やるっす!」
「やりますかな」
「「「とうっ!!!」」」
 カナヱ嬢を捕らえたまま、三人がジャンプした。
 しゅたっ!
 一瞬にして、列車の屋根の上に移動した三人+カナヱ嬢。
 景色流れる此処こそが、決戦場。
 風になびく長髪も其のままに、リーダーによるメンバー紹介が始まる。
「さあ、イカさま手品師のスクイラー!」
「イカにも。手玉にとってくれましょうぞ」
「続いて、イカれた発明家、ゲソッキー!」
「ふへへ、お前をイカ……じゃなく、メカに変えてやろうか、っす!」
「そしてこの私、リーダーのイカージョ! 猟兵だかなんだか知らないけれど、私達が出張ったからには、命はないと思いなさいな! おーっほっほ!!」
 名乗りを上げてご満悦の三人。カナヱ嬢は手品師スクイラーの背中にくくりつけられていて、うかつに攻撃すれば命が危ない。
 だが、猟兵の技量ならば、標的のみを攻撃する事も容易いはず。
 いざ、決戦。三悪を打ち砕き、カナヱ嬢を奪還するのだ!
リック・ランドルフ
普段ならもう逃げ場もないし大人しく人質を解放して自首しろって言うところだが、影朧に言っても仕方ないか。さっさと倒してお嬢様には旅に戻って貰うか。

屋根の上って事は…真っ向勝負するしかないな。とりあえず拳銃でアイツらの足元撃ちながら距離を取って戦うとしよう。…

そして奴等に気づかれないようにUCを発動【スーパーロープ】を列車を左右の外側から念力で飛ばしてイカージョがUCを発動しようとしたらスクイラーを除く二人を背後から縄で手足顔を縄で拘束する。(ロープワーク、目潰し)そして…列車の屋根と言えば…看板や鉄塔もあるだろう。あれに二人をぶつける。

そして二人がやれてるその隙にスクイラーに接近してお嬢様を奪う


ロート・カニーンヒェン
「脛だ!脛を狙うのだ!!」(POW)カナヱ嬢を背中にくくりつけているのなら、下を狙えばいいのだ!ハザードイグニッションで強化されたローキックを脛に受けるがいい!たまにフェイント入れつつも本命は脛!たまに小指!悶絶する一撃を受けるのだ、ワルイカー一味!!(アドリブ歓迎です)



 目に焼き付ける暇さえ与えず。
 一瞬で過ぎ去っていく景色をバックに、リック・ランドルフが敵と対峙する。
 普段なら、「もう逃げ場もないし大人しく人質を解放して自首しろ」などと言うところだが、相手は影朧。しかも、話の通じなさそうな悪人トリオ。
 リックはカナヱ嬢が旅に戻れるよう、三悪を始末する事に決めた。
 戦場は屋根の上。刑事、そして猟兵のリックにとっては苦にならぬ場所だが、遮蔽物が何もないのはややネックか。
 真っ向勝負の覚悟を決めたリックは、拳銃を抜くなり、相手の足元を射撃した。
「あーら、いいのかしら~? お嬢様に当たっても知らないわよ?」
「当てたりしないから安心しろ」
 イカージョの挑発もどこ吹く風。リックの射撃は止まらない。
「人の話を聞かない、そんなあなたも。ス・テ・キ」
 イカージョが、リックにウインクをプレゼントした。色仕掛けでリックの心を奪った隙に始末という、実に悪人らしいやり口である。
「あいにく、イカと悪人には興味ないんでな」
 だがリックは、あっさりと誘惑を跳ねのけると、『仕込み』を起動させた。
 列車の左右から回り込んできたリック特製のスーパーロープが、イカージョ達を拘束したのだ。
「ちょっ、乙女になんてことしてくれるの!?」
「み、身動き取れないっす~!」
 四肢どころか顔までを縛られたイカージョとゲソッキーが、情けない声を上げる。「誰が乙女なの、おばさん?」というカナヱ嬢の嘲笑が聞こえる。
 ちょうどそこに飛び込んできたのは、ロート・カニーンヒェンである。
「さあ、殲滅タイムだ!!」
 其の金色の瞳は、既に狂戦士の闘志に漲っていた。ハザードモードを発動したロートは、暴走特急の如く止まらない。止められない。
 狙いは、カナヱ嬢を捕らえているスクイラー。
 しかし、相手もさる者。三人組の中では老練である上、手品師。一筋縄ではいかぬ。
「ほっほっほ、そう簡単にはお返しできませんなあ。こちらの『商品』ですゆえ」
 イカージョよりは上品な笑いをこぼすと、スクイラーはハットをひっくり返した。
「うおー! 触手なのだ!」
 ロートが括目する。にょろりにょろりと名状しがたきうねうねが異空間より招来され、ロートへと迫りくる。一本一本が独特な動きを見せる。怪しい。いや妖しい。
「体が武器なら、その衣服、装備、剥ぎ取ってくれましょうぞ」
 物腰柔らかだが、流石は悪人。スクイラーがロートに向けるまなざしには、無粋の色が見え隠れする。
「おおっと、そんなものは効かないのだ!」
 超攻撃力。
 ロートは迫りくる触手のことごとくを超強化された腕力でもって、ちぎっては投げ、ちぎっては投げ。
 触手の動きが、無駄に素早いのが裏目に出た。今のロートは動くものに反応する。積極的に殲滅してくれと自分からアピィルしているようなものなのだ。
 一方、他の二悪も、指をくわえて見ているわけではなかった。
「きーっ! こんな縄、すぐに外して……」
「リーダー! あれ!」
「何ようっさいわねゲソッキー。今縄抜けで忙し……」
「それどころじゃないっす!」
 ゲソッキーの指差した先、巨大看板が迫ってきていた。リックがロープで引っ張って来た奴である。
 かわそうにも、手遅れだ。
「「あー!?」」
 企業名がでかでかと書かれた金属板が、イカージョとゲソッキーを直撃した。
「ああっ、お2人!」
「お仲間の心配をしてる場合じゃないぜ」
 スクイラーは、リックの声を直近で聞いた。
 イカージョ達が派手にやられている間に、リック達が近づいていたのだ。
 ゲソ触手を撃退、突破したロートが、スクイラーに肉薄する。
「脛だ! 脛を狙うのだ!!」
 カナヱ嬢を背中にくくりつけているのなら、下を狙えばいいのだ。
 ワイルドな理論を駆使したロートが狙いを定めて、攻撃を仕掛ける。
 脛目がけ、ローキック! ローキック! たまに小指! そしてローキック!
「喰らえ! 喰らうのだ!」
「ぐはーっ!! そこはイカんです!」
 ロートの執拗としか言いようのない脛狙いに、たまらず悶絶するスクイラー。
 其の隙にリックが、スクイラーからカナヱ嬢の奪還を試みた。
 そうしてカナヱ嬢が離れたところで、ロートが全力のパンチをお見舞いした。スクイラーの顔面に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

吾喜内・来世
「なんでこんなことをしたのかな? 理由があるなら教えて欲しいよ」
戦闘は避けられずとも、対話を試みる態勢は崩しません
自分に理解できるか否かを問わず、真摯に耳を傾けることこそを大事にします
また、ことを構える前から【糸括】を招来。桜の木の枝を一本手に持ちます
空気の流れに任せつつ、自分でも緩やかに枝を奮って花びらを舞わせます
「花びら一枚、触れれば一断ち」
開戦と同時に【糸括】の力を解放
硬いも柔いも薄いも厚いも皆等しく切り離します。何層も重ねた護りでもなければ、突破できるはずです

仲間と共に戦う場合は、サポートを優先
状況に応じた薬の処方も行います、禁薬以降のものや同時服用は奥の手

アドリブ、絡み歓迎


木元・祭莉
遅れて飛び出てまつりんりーん♪
あ、変装しなきゃ♪(ヒマワリ着ぐるみ+ドミノマスク)

悪玉トリオ追っかけ、ジャーンプ!(しゅたっ)
やあやあ我こそはー!
八百野鳥のアイドル、勇者ヒマワリ仮面っ♪(ぴしっとポーズ)
花も恥じらう令嬢、とかいう人を返せーっ!

……っと、令嬢ってどの人?(猟兵の人に訊く)
ん、コダちゃん(ツンデレ幼馴染ツインテール)似のあの人だね♪
行っくよー、降臨・メカたまこー!(55体)
それ、だっしゅあんどきーっく!

色仕掛けにフラフラ寄っていったら、おいらもたまこの標的に!
クイーンたまこに追われ、スクイラーのおっちゃんに抱き付き!

イタイイタイ!
縄切れたら、ご令嬢と空中じゃーんぷ♪
あーばよー♪


御桜・八重
【POW】
「カナヱさんを放せ!」
ダンディ気取りの髭おじさんに向かって突進!
「ひゃっ!」
悪寒が走ったと思ったら白衣が脱がされてるっ。
下着姿に思わず前を隠して屈み込む。
足に力が入らない…

その時耳に届くカナヱさんの声!
立ち止まってなんていられない。
わたしは超弩級ユーベルコヲド使い、猟兵なんだ!

どこを剥かれようと構わない!
地を蹴り再び猛ダッシュ!
陽刀・桜花爛漫で狙うは一点、カナヱさんを括る紐。
断ち切って彼女と髭おじさんの間に滑り込み、
【スクワッド・パレヱド】発動!
殆ど密着状態だけど一歩踏み出せれば充分。
地を揺らす気合の一歩で弾き飛ばす!

「カナヱさん、大丈夫…ひゃあ!」
自分の格好を思い出し、真っ赤っ赤。


フクス・クルーガー
【SPD】 共闘・絡め歓迎

「あっちも本気で来るならば、アタシだって本気で相手だよ!」

そのまま列車と並走するような形でUC【変身、戦闘形態】で変形合体するよ。流石に三メートル近くだから列車分の高さも併せて目線とかもちょうどいい感じだからね。

左腕のガトリンガンを三人組に特にスクイラーに注意引かせるように突き付けるように構えておく。

相手もカナエさんを盾に使おうするからこの変身は囮。本命はスクイラーの後ろにこっそりと忍ばせている。特殊作業対応型運搬腕だよ。【グラップル】で強襲、出来るなら一撃気絶まで持っていきたいな。無理なら他の腕でカナエさんの救出するよ。三人組を倒すよりも救出の方が重要だからね



「痛たた、腰が……全く、厄日だわ~!!」
 看板クラッシュの衝撃から復帰したイカージョは、木元・祭莉(夕焼けわんわん・f16554)の姿を見つけていた。
 ……否、祭莉であろうか?
 疑問形の理由は、しゅたっ、と屋根に現れたのが、ヒマワリの着ぐるみに身を包み、ドミノマスクをつけた怪人だったからである。
「やあやあ我こそはー! 八百野鳥のアイドル、勇者ヒマワリ仮面っ♪」
 ぴしっ。
 三悪、猟兵、そしてカナヱ嬢の注目が、一斉にヒマワリ仮面に集まる。
「花も恥じらう令嬢、とかいう人を返せーっ!」
 手……葉っぱをびしっ、と突きつけ……ようとした祭莉だったが。
「……っと、令嬢ってどの人?」
「あの元気そうな女の子だよ」
 教えてくれたのは、吾喜内・来世だ。
 指差した先には、救出され、得意げなカナヱ嬢。しかし其の身柄は宙に浮いた状態で、一刻も早い確保が求められる。
「ん、コダちゃん似のあの人だね♪」
 ツインテールな幼馴染(ツンデレ)の顔を思い出しながら、祭莉は戦いに臨んだ。
「いっくよー♪」
「あ、待って」
 影朧ならば、転生により新たな道を歩む事も夢ではない。
 来世は祭莉に一旦待ってもらうと、三悪に説得を試みた。
「なんでこんなことをしたのかな? 理由があるなら教えて欲しいよ」
 刃を交える事は避けられずとも、対話を試みる姿勢を崩す事は、来世の本意ではない。
 するとイカージョは、其の瞳に或る感情を浮かべた。悲哀だ。
「私達、こう見えて、お金持ちにさんざん搾取されてきたのよねえ。だから今度は搾取される悲しみや憎しみを教え込んでやろうっていうことなのよー!」
「なるほど、憎しみの連鎖、だね……」
 ならば、此処で其れを断つ事こそ、猟兵として、桜の精として来世が為すべき事。
 桜の木の枝を一本携え、来世は向かってくる三悪を次なる生へと導く事を決意した。
 そして、三悪と戦う猟兵が、また1人。
 超特急の速度に肉薄するべく、フクス・クルーガーのトラックが爆走していた。
「そっちも本気で来るならば、アタシだって本気で相手だよ!」
 列車と並走していたトラックへと、フクスがユーベルコヲドを起動させた。
 地面を離れ、浮遊したトラックは複数のパーツに分離。フクスの体を包むように覆っていくと、3メートル超過の戦闘ロボが完成した。
「ちょっ、こっちにはそういうびっくりさせたりどっきりさせたりするメカは無いんですけどぉぉーーっ!?」
 イカージョが、悲鳴と不満を一気にぶちまけた。……誰に?
 フクスの雄々しき鋼の体躯に、たじろぐゲソッキー達。
「こここんなのハハハハッタリっす」
「そ、そうですとも。さあ、お嬢さん、今一度我が手に!」
 シルクハットから醜悪なるゲソを召喚し、猟兵により手を離れたカナヱ嬢を奪わんとするスクイラー。
 だが其れと同時、御桜・八重が手を伸ばした。
「カナヱさんを放せ!」
 ダンディ気取りの髭手品おじさん目がけ、突進を敢行する八重。
「おおっと!」
「ひゃっ!」
 2人が交錯した直後……八重に、悪寒が走った。
 気づけば、大事な白衣が脱がされているではないか。はからずも下着姿を露わにしてしまった八重は、思わず前を隠して屈み込んでしまう。
「足に力が入らない……」
「卑怯だと、下衆だとののしられようとも、有効ならばイカなる手も使いましょうぞ!」
 屈辱にさいなまれながら、八重は其の場から動けず、スクイラーを睨む事しか……。
「しっかりしなさい猟兵!」
 カナヱ嬢が、八重を叱咤した。
「アンタ達の実力はそんなもんじゃないはず! ずっと見て来た私が言うんだから間違いないっ!」
「そう、立ち止まってなんていられない。わたしは超弩級ユーベルコヲド使い、猟兵なんだ!」
 カナヱ嬢に鼓舞された八重は、再び立ち上がる。其の瞳から、迷いや羞恥心はぬぐいさられていた。
「頼もしいなあ。ほら、これを使って!」
 五行の劇薬を処方して、他の猟兵達をサポートする来世。
 だが、其の薬の1つを、スクイラーのゲソがかすめ取る。あまつさえ、来世の装備までも奪い取らんとする。
 来世も、黙ってはいない。此処は糸括の力で、ゲソをあまねく切断して……。
「行っけー、降臨・メカたまこー!」
 来世を救ったのは、祭莉が放ったヒマワリの種……ではなく、ニワトリの大群だった。しかもメカ。しかも55体。
 列車からこぼれんばかりのメカニワトリの大群に、三悪はたまらず怯んだ。
「ひーっ、こっち来ないで!」
「それ、だっしゅあんどきーっく!」
 どどどど!
 怒涛の蹴撃が、三悪を襲う。
「ちょっ、お前達、盾になりなさい~!」
「えっ」
「えっ」
 ぐいぐいと、他の2人を前面に押し出して、自分だけ後方に下がろうとするイカージョ。
 だが、其れでも逃れられないと知ると、次なる手を打った。
「ほうら。美人のお姉さんの言う事を聞いてくれないかしら~ん?」
 くねっ。体つきだけは無駄にセクシー。魅惑の双丘。
「うん、いいよー♪」
「いいんだ!?」
 祭莉の返事に、猟兵達は思わずツッコミを入れた。
 うっかり色仕掛けにはまり、祭莉がフラフラとイカージョに寄っていこうとすると……。
 どどど!
「ちょっ、イタイイタイ!」
 たまこのキックが、祭莉にも容赦なく炸裂した。
 加速する混戦模様。しかし天秤は猟兵の側に傾いていた。
 此の勢いに乗らぬ手はない。がきん、と鋼の音を立てて。
 戦闘形態フクスは、左腕に備えられたガトリングガンを3人組に突きつけた。
 イカージョの色仕掛けがフクスをも惑わそうとするも、鋼の装甲が跳ね返す。もっとも、フクスの精神力ならば、素の状態でも効果はなかっただろうが。
「あーら、狙われているわよスクイラー!」
「な、なぜですかな……!」
 カナヱ嬢を確保しようとしているからに他ならない。
「イカん流れですな! 渡してしまうくらいならば!」
 スクイラーは、ハットからのゲソを操って、カナヱ嬢をしばし捕まえると、
「これでも、その物騒な武器を使う事ができますかな?」
 恥ずかしげもなく、カナヱ嬢を盾にするスクイラー。痺れるほどの悪人のやり口に、フクスも閉口する。
「さあ? どうするのですかな?」
 だが、スクイラーの煽るような問いにも、フクスの返答はなかった。ロボには会話機能が付いていないのであろうか。
 否、そんなはずはない。何故ならフクスの視線は、全く別の所に向けられていたからである。
 視線の先には、クイーンたまこに追われた祭莉。そして、逃れた先のスクイラーに、祭莉は反射的に抱き付いた。
「なっ、なんですかな!?」
「あ、お嬢さん、もーらいー!」
 ドサクサ紛れにカナヱ嬢を確保した祭莉は、其のまま空中へと跳躍した。
「あーばよー♪」
「なんですと!? ではこのロボット殿は……」
「囮だよ! びっくりとかどっきりしてくれて助かったよ!」
 そしてフクスは巨腕で強襲を仕掛けると、スクイラーを吹き飛ばしたのである。
 災難続きのスクイラーに、今度は、八重が迫る。
 何処を剥かれようと構わない! 八重は、地を蹴り再び疾走する。
 敢然と立ち向かって来る八重に、スクイラーはとっさにロープを放った。
 だが。ロープがカナヱ嬢に届くより早く。八重の陽刀・桜花爛漫が、紐を絶ち斬った。
 祭莉に確保されたカナヱ嬢を背後にかばうと、八重は、みなぎる気合を闘気に変えて。
 眼前のスクイラー目がけ、踏み込んだ。助走はほぼ零。だが。
「ぐはあっ!?」
 スクイラーの体が、跳ね飛ばされた。
 カナヱ嬢を振り返る八重。
「カナヱさん、大丈夫?」
「私は大丈夫だけど。アンタが、ほら」
「え? ……ひゃあ!」
 自分の今の格好に気づき、顔を真っ赤に染める八重。
 三悪は、すっかり劣勢だ。
 来世は、空気の流れに任せつつ、時折緩やかに枝を振るって、周囲に花びらを舞わせた。
「花びら一枚、触れれば一断ち」
 ユーベルコヲドの力が、スクイラーを中心に発動した。
 硬いも柔いも薄いも厚いも、皆等しく切断する。イカージョ達の防御では、とても太刀打ちできるものではなかった。
「ひぃぃ、なんてことなの~!」
 来世の桜舞が終幕を迎えた時。イカージョ達の服の面積は、すっかり小さくなっていた。
 其処に、片腕で体を隠した八重が、刃一閃。
 更に、フクスの機械の巨腕が炸裂。躊躇を捨てた渾身の一撃が、三悪をまとめて空へと殴り飛ばした。
「ああ~お仕置きはいやぁ~っ!」
 謎の科白を残し、三悪は空の星となる。
 少し後、ひらひらと舞い降りて来た桜の花びらに、癒しの力を注ぐ来世。新たな生へと導く、桜の精の力であった。

 超特急を舞台とした誘拐劇は、こうして幕を降ろした。
 意識を取り戻した侍女は、救出されたカナヱ嬢をいたく心配したが、全くもって無事。
 とは言ったものの、口では強気ながら、本音では恐ろしかったらしい。嬉し泣きする侍女をなだめるカナヱ嬢は、少々涙目だった。
「助かったわ、猟兵のみんな! それで相談なんだけど、いつか旅行記を出す時が来たら、今回の活躍を書かせてもらってもいい? あ、もちろん名前とかは変えるから!!」
 ……全く以て、たくましい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年10月24日


挿絵イラスト