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輝くあなたが眩しくて

#サクラミラージュ

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#サクラミラージュ


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 ――どうして貴女は笑っているの?
 ぼんやりとした微睡みの中で言葉を投げかける。だがそれは深い闇へと溶けて消えていく。
 ――私はこんなにも辛いのに。涙が止まらないのに。どうして?
 遠い遠い暗闇の底から問いかける。それもただの空気の振動となって虚ろに霧散していく。
 ――お前ばかり幸せになりやがって。何がスタアだ。許せないゆるせないユルセナイ。
 悲哀は憤怒に、泪は焰に、憧れは嫉妬に。霞んでいた心は激情とともにハッキリと形を取り始めていく。

「その身体を引き裂いて、中身を全てぶち撒けて……ああ、それでも足りない! 抉って千切って掻き混ぜたってまだ満たされない!」

 二度と輝けないように、暗くて何からも相手にされない惨めな姿に変えてやる。影朧の心は復讐という騎手に手綱を握られ、獲物へ向けてゆらりゆらりと歩いていくのだった。


「はいちゅーもぉーく! 猟兵界のスウパアスタアことパルルちゃんでぇーっす!」
 喧しい声でパルル・ブラックベリー(腹黒フェアリー・f10498)は語る。
「こほん。話を戻して……サクラミラージュで影朧、詰まる所のオブリビオンが出現するみたいだよ」
 具体的な内容としては影朧がとある女性スタアを狙うというものである。予知によれば影朧は強い恨みを持っているようだが、スタアとの因果関係は現時点では不明。
「放っとくと殺されちゃうからその前に現場に急行して欲しいの! 時間帯としては丁度舞台を終えて次の現場に行く所らしいから移動も兼ねて彼女と話をしてみてもいいかもネ!」
 ただ……とパルルは少し疲れ気味に言葉を続ける。
 このスタアは少し我儘らしく図に乗ってるきらいがあるようだ。鼻が天狗になってるという奴である。猟兵に対してもその態度は例外ではないだろう。
「ムカつくから狙われるのも当然……いや、きっと狙われるのには何か理由があるんだよ! だからその理由をちょっと探って欲しいんだ」
 参考までに、とパルルは汚い字で書かれたメモ書きを渡す。どうも今回狙われるスタアについての情報が簡単にだが記されていた。

 ・名前は天音 チヨ。種族は人間。
 ・幼い頃に夢を語り合った幼馴染がいる。
 ・甘いものに目がない。特に羊羹とチヨコレイトが好きだとか。
 ・かなり厳格な家庭で育てられてきたらしい。
 ・恋愛話も好きだとか。しかし浮いた話やスキャンダルは確認できなかった。

「この情報は使っても使わなくてもいいからね! 口下手な人用にパルルちゃんが勝手に用意しただけなんで! それと今回の敵は影朧だから頑張れば転生出来るかもね! ガンバ!」
 小さな妖精は急かすように締めくくると猟兵たちを送り出すのであった。


ぷっさん
 ぷっさんです。遅れましたサクラミラージュの依頼です。今回は影朧に命を狙われている知る人ぞ知るスタアを守り、影朧を退治してください。
 1章は日常です。次の現場に向かうスタアと同行してください。ここで集めた情報は後述の3章役に立つかもしれません。
 2章は集団戦です。影朧の配下との戦闘です。こちらは知性が低いので説得は不可能です。倒してください。
 3章は犯行の黒幕との対決です。説得の内容次第では転生できるかもしれません。勿論普通に抹殺してもシナリオとしてはクリアとなります。

 それでは素敵なプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『我儘なスタア』

POW   :    これを向こうに持っていって下さる?(山のように届いた差し入れを運ぶ)

SPD   :    ああ、あれとあれとあれが欲しい……。(大量に頼まれたものを買ってくる)

WIZ   :    ――何か面白い話はありますか?(滑らない話)

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

九十九・静香
※連携・アドリブOK

スタアの方の護衛ですか…ふふ、とても新鮮な心持です
何せ護られたりする立場ばかりでしたから

これでも社交場は経験していますので、礼儀作法を気を付けつつ
車椅子姿で失礼して、ご挨拶に羊羹をお持ちします
高級な所、というだけではなくわたくし自身も賞味して美味しいと思った物をお持ちします

山のような差し入れならば、わたくしの出番ですわね
驚かれるとは思いますが、筋肉令嬢に変身し、【怪力】でできるだけ多く差し入れを持ち、UCで予め『物を運ぶには無敵のバランスを施す鎧』、を付けて幅広くなった肩に担ぎ運搬します
『ふふ、この事は御内密にお願いしますわね? まだ何か力仕事が要るならお手伝いしますが』




「この度はお会いできて光栄ですわ、天音様」
「知ってるとは思うけど天音チヨよ。よろしく頼むわね」
 車椅子に座った九十九・静香(怪奇!筋肉令嬢・f22751)が上品かつ丁寧に挨拶をする。令嬢である静香にとっては要人との交流という経験は日常的であったが故に実に手慣れたものであった。
 ただ一つ今までと違うことがあるとすれば今まではチヨと同じように護られる立場にあった自分が誰かを護るためにこの場にいる、という事実だった。些細な違いが静香に非日常を感じさせ、新鮮な心持ちと冒険心をくすぐる。
「お近付きの印にささやかではありますが、こちらをお持ちしましたの。受け取ってくださいますでしょうか」
 静香は予め用意しておいた羊羹を取り出すとチヨに手渡しをする。味もブランドも一級であることはチヨも見抜いたようで、特に好きなものを貰えたことに満足したのか上機嫌な様子であった。
「あら、とても気が利くじゃない。目利きは確かな所は流石貴女もこちら側の人ってワケね。ただ一つ気になることがあるのよね」
「どうしました?」
「いや、貴女アタシの護衛だって聞いたのだけど……華族で、それも車椅子の貴女にそれが務まるのかしら。それに持っていかなければいけない差し入れも沢山あるのよ?」
 確かにチヨの背後には山と許容するのが手っ取り早い程の量の差し入れが荷台に積まれていた。警護をしながら荷物にまで気を使うのが無理なのではと考えているのか、訝しげな視線を向ける。
「ふふ、それについてはお任せください」
 静香は柔らかく笑うと車椅子を荷物の山へと動かすのであった。


「では参りますわね……フゥウウン!」
 見る人が見たら幻覚だと疑うだろう。荷物を前にした静香が【アリスナイト・イマジネイション】で用意した鎧を身に纏い、全身を筋肉質の身体に変貌させ、片手で担ぎ始めたのだ。
「え、え……えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
 あまりの光景に絶句するチヨ。さっきの車椅子令嬢はなんだったのか、そもそも身体の体積が変化してるではないか、色々とツッコミを入れたいことが荷台の差し入れ以上に積み上がっていたようだが言葉が出てこない。
「うんうん、今日もわたくしの筋繊維は絶好調ですわ。この事はご内密にお願いしますわね?」
「いや、多分話したとしてもアタシが頭おかしい奴って思われるだけだと思うわコレ……」
 さも当たり前の事のようにチヨの隣に並んで歩く静香。二人の女性が歩く姿は気品を感じさせる、片方は見る人が見れば納得する肉体美的な意味での気品ではあるが。
「ああ、やっぱり筋肉は素晴らしいですわ! 生きてるって感じがしますの」
「どんなことすればそんな筋肉が付けられるのよ……」
 チヨの言葉を聞いて静香は教えてさしあげますわと得意げになると筋肉の素晴らしさ、鍛え方、得たことによる世界の見え方の変化に至るまで柔らかい物腰の中で熱く語るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・クロセ
我儘だとかムカつきを覚えさせる人だからといって殺される理由にはなりません。守りにいきます。
わたしはちょっと変わってるのかな。
所謂「良い人」より、こういう性格に問題があるとか皮肉が多いとかすぐ否定的になるとか、そんな人の方が好意的に感じます。

【SPD】
パシりましょう。礼儀正しく接して付き人のつもりでいます。
お買い物にはダッシュダッシュ!
ご機嫌を取りたいのでこっそり買ってきた物の中に羊羹混ぜておきましょう。

唐突にならないように幼馴染について聞いてみます。
どんな人?今は何してるのです?剣術とか得意なのですか?
チヨさんはその人をどう思ってます?とか…

※アドリブや他の方との連携等は、お任せします。




 チヨの護衛に名乗りを上げたのは一人だけではない。中には自分の得意分野を活かして奮闘する者もいた。
「チヨさん、頼まれたものを買ってきましたー!」
 ステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)が駆け寄り踵で急ブレーキを掛けながら彗星の如く現れる。
 頼まれたものを買って来るために街中をぐるぐると走り回ることにはなったがやりがいはあった。
 自分が見捨ててしまえば彼女は殺されてしまう。そんな事実が正義感の強いステラには許せなかった。それに加えて完全な良い人よりかはチヨのような人間を好意的に捉えていた彼女は殊更チヨを護りたいと思っていた。
「それにしても流石の人気ですね!」
「当然よ。アタシはスタアなんだからコレくらいは当たり前なの」
 ステラの褒め言葉に調子に乗って応える。渡された購入リストになかった羊羹が忍び込まれてるのを見てやや機嫌を良くしている。
「誰からも慕われてますけど逆にチヨさんが慕っている人ってどんな人ですか?」
「……仕方ないわね、特別に教えてあげるわ」
 そしてチヨは自分の幼馴染について語り始めるのであった。


「へぇー、夢を語り合った友達がいたんですね! 今は何をしてるんですか?」
「さぁ、アタシと同じように夢を追いかけたか、それとも慎ましやかに生きていたか。彼女に今があれば……ね」
 何とも歯切れの悪い言葉にステラは考える。『今があれば』即ちその幼馴染は既に故人となっているのだろう、少しだけ苦い気持ちになりながらも、得られた情報を元に深掘りを進めていく。
「ごめんなさい、もしよかったらその友達のこと教えてくれませんか? 私、チヨさんのこともっと知りたいんです」
「アンタ面白いこと言うわね、良いわよ」
 チヨはゆっくり幼馴染のことについて語り出す。サチという友達と幼い頃に夢を語り合ったこと、共に舞台を目指したこと、その半ばで殺されてしまったこと、感受性が豊かな人だったこと……その話は尽きることなくチヨの口から溢れる。
「アタシがここにいるのはサチのためでもあるのよ。サチが見られなかった分までアタシが見て伝えていくの」
「そうだったんですね……」
 チヨの意外な一面を受け止め、ステラは言葉を詰まらせる。チヨがここにいるのは自分の夢を叶え、また叶える事の出来なかった友の無念を慰めるためであった。
 それは奇しくも弱き者の力になろうとするステラの心と通ずるものがあったのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

河合・秀次郎
チヨ......古風で傳統的な素敵なお名前ですね。(ふふふ)
氣が強い女性も嫌いではないですよ。寧ろ、その氣高き心で一心に私を罵つてそして魅了して頂きたいッ。ああ、日が差し込んだ硝子の樣に透き通つてしまいそうな白く美しい肌、紅を塗つた艷やかな唇、朝露に濡れた絹のような黒髮......全てが尊く感じられます。
ええ、彼女の云うことならなんでも聽いて差し上げましよう。ですがその代はりに、私を彼女の近くに置いておいて頂きたいのです。私はただ、彼女の妖美な香りに少しでも長く、滲つていたいのです......。


アドリブ歡迎




「チヨ……古風で傳統的な素敵なお名前ですね」
 ふふふ、とまた自身も儚く笑う男が一人。整った面立ちの男、河合・秀次郎(耽美を謳う文豪・f22445)はチヨを見るや否や静かに、それでいて興奮した様子を見せた。
「氣が強い女性も嫌いではない。いい、実にいいですよ」
「開口一番に何を言ってるの……まぁ見る目はあるわね」
 初っ端からドン引きである。それでもまだ自分を褒め称えていることには素直に受け止めていたのだが。
「あぁ……氣高き心で一心に私を罵つてそして魅了して頂きたいッ!」
「ぎゃあああああ!! 変態、変態よ!」
「変態ではありません。あなたのその日が差し込んだ硝子の樣に透き通つてしまいそうな白く美しい肌、紅を塗つた艷やかな唇、朝露に濡れた絹のような黒髮......全てが尊いのです」
「どうしてそっちを先に言わなかったのよ!?」
 実に文豪らしい言葉回しでチヨを口説く秀次郎。その声は美しく、整った面立ちも合わさって普通の女性ならばメロメロであっただろう……被虐心を最初に出さなければ。
 しかしチヨも褒められたこと自体、悪い気はしていなかった。
「まぁ、いいわ。そこまでアタシを求めるのなら私の言うことは何でも聞いてもらおうじゃない」
 あくまで高圧的に、飲めないであろう条件を突きつけて来るチヨ。
「ええ、あなたの云うことならなんでも聽いて差し上げましよう。ですがその代はりに……」
「えっ」
 しかし甘かった。秀次郎の愛はこの程度では止まらない。むしろ火のついた爆弾にライターを投げ込むかの如く、彼の心を更に燃やし滾らせる結果となったのだ。
「私をあなたの近くに置いておいて頂きたいのです。私はただ、あなたの妖美な香りに少しでも長く、滲つていたいのです......!」
「イヤァァァァァ!! コイツ匂いフェチだぁぁぁぁ!」
 心なしか微妙に息の荒い秀次郎。その鼻腔に彼女の面影を残そうと近づく。代わりに悲鳴を投げ返されるがその程度で彼は怯まない。
「そうです。こことは異なる世界にはムチという道具があるそうで。このロウソクと合はせて私を罵つていただければ……」
「オマケにマゾじゃないのよコイツ! 誰か助けて!!」
 暴走機関車は止まらない。サクラミラージュを走る列車が如く。ほとほとあきれ果てたチヨであったが、彼の紡ぐ言葉の一つ一つに不思議な魅力を感じていたのもまた、事実なのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

疋田・菊月
いやはや、新進気鋭のスタアと名高い天音さんとご一緒できるなんて光栄ですねー
きっとお食事もゆっくりとれないほどの忙しさなのでは?
ほんのひと時の護衛を仰せつかっているとはいえ、必要なものがあれば可能な限りご用意しますよ

とまぁ、オールワークス!を用いた奉仕精神で、天音さんのわがままさんに付き合います
なに、接客をしていればこれしきのわがままさんはよくいます
鋼の笑顔でお話をしましょう
厳格なご家庭から夢の為にスタアダムへとのし上がるのには、並々ならぬ努力をなされたはずです
その辺りのお話を聞ければ、なにかわかるかもしれません
ただ、恋愛のことは、私も子供なのでよくわからないのですが……




「一体なんだったのよあれは……」
「お疲れ様です。もしよろしければお水でもお持ち致しますが」
「お願いしてもいいかしら……」
 手慣れた様子で疋田・菊月(人造術士九号・f22519)は水を取ってきてチヨへと手渡す。相手がどのような人物であれ接客を生業としてきている菊月にとってはいつもの仕事と変わらないことであった。
「それにしても新進気鋭のスタアと名高い天音さんとご一緒できるなんて光栄ですねー」
「まぁアタシのことは知ってて当然よね。だって大人気スタアなのは間違いないわけだし?」
 内心ではやれやれと思いつつも笑顔を崩さない菊月。あれこれとわがままを聞きつつ何か取っ掛かりがないかと思案する。
「しかし、夢を叶える為には並々ならぬ努力があったのではないでしょうか。この世界、決して生易しいものでないことはその手の素人の私でもわかります」
「えぇ、まぁね。あまり人前で見せたりなんてしないのだけど当然努力を重ねてきたつもりよ」
「それはそれは……ご両親もさぞ後押ししてくれていたのでは?」
「いいえ、寧ろ逆よ。反対され続けてたもの」
 だからこそトップにならなければならなかった。とチヨは強調する。自分を縛るものから抜け出すためには才を示す必要があったと彼女は語る。
 聞けばサチが殺害されたのはまだ二人が歳を10数える前でその時までぼんやりとした夢であったものを明確な未来として意識したのもサチの死がきっかけだったという。こうしてスタアとして活躍している裏では常人には想像も出来ない努力があったであろう。
「あの子がいなければアタシはここにいなかった。ただ……一人勝ちしたみたいになってるのは申し訳ないと思ってるわ」
「そんなことはないと思いますよ。天音さんがいなければサチさんの夢もまた泡沫となっていたでしょう。ここにいるということは彼女の生きた足跡と変わりありません」
 そう真剣に話す菊月の顔を見てチヨはふっと笑う。サチと共に生き、サチの安寧を願い続けることがチヨにとっての救いである。
 菊月はそんな彼女を見てどんなに気高い人気者であろうと、彼女もまた等身大の人間に違いないことを感じたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エルザ・メレディウス
*他の方と矛盾しない様に気を付けます

【POW】
あまり演技は得意ではないので、差し入れを運びながら単刀直入にお話を伺ってみましょう
私も家庭もやや厳格だったので、どこか通じるものがあるかもしれません

厳しい家庭で育った人間の芯の部分はきっと一緒だと思います
努力すること。他人のために尽くすこと。恐らく、小さいころから両親からそれらを教育されている気がします

チヨ様も芯の部分ではきっと一緒。

良かったらチヨ様のご家庭のお話、過去のお話も聞かせて下さりませんか
大スタアに恐れ多いですが、チヨ様とは他人の様な気がしないので。







ただ・・・
仮面の下の泣き顔は誰にも見せたくありませんもの
必要以上に無理な質問は致しません




 差し入れを両手に持ち、チヨと共に道を歩きながらエルザ・メレディウス(復讐者・f19492)は考える。事前に入手した情報から何を引き出せそうか、ただ口が上手なわけでもなしに気を使った言い回しができるわけでもない。それならいっそ正直に訊いてしまえばいい、そう頭の中で整理をしていた。
「チヨ様はご家庭が厳格であると伺いました」
「それがどうかしたのかしら」
 あいも変わらず刺々しい態度を表にするチヨ。相手の乏しくない反応にも焦る事なく言葉を続ける。
「いえ、私も家庭が厳しかったので。ですがその芯の強さはご両親が育んでくれたものなのかと思いまして」
「どうかしらね。結局アタシの夢は反対され続けていたわけだし」
「ですがそれを跳ね除けて弛まぬ努力を続けられたのは? 強くあり続けられたのはそうした家庭があったからではないでしょうか」
 チヨは押し黙る。スタアになった彼女にとって両親は夢を阻むだけだと思っていた。だがエルザの別の角度からの指摘に裏に隠れていた思いの一端を感じ取る。
「それでも……それでもアタシは」
「分かっています。差し出がましい質問でした」
 エルザはそれだけ言うと再び視線を前に向ける。エルザもまた親近感を感じていた。両親がいなければ今の自分はいなかっただろう。
 それがチヨのものとは異なる復讐の炎に身を焦がす果てへと昇華されようとも――
「……確かに感謝はしてるわ。育てて貰ってはいるのだから」
「はい、その言葉を耳にできただけでも意味はありました」
 エルザは深入りすることはしなかった。スタアとして気丈に振る舞うチヨの本当の顔は見るべきではないとその焼き付く心が告げていた。
 しばしの間沈黙が続く。それはこれから先に起こる動乱が身を潜めるかの如くただ静かに過ぎていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ヒヨリミ』

POW   :    ヒヨリミ台風
予め【二本の刀を掲げて空中でくるくると回転する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ヒヨリミボディ
自身の肉体を【刃のように触れるものを切り裂く布】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    無縁火
レベル×1個の【血のように赤い色】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ピヨピヨピヨーッ! というけたたましい鳴き声と共に空から降ってくる炎の音。護衛のため先行していた猟兵達の前に現れたのは二本の刀を携えた真っ赤なてるてる坊主の様な影朧であった。
 言葉も話さず、明確な知性も有していないがそれは明らかにこちらへと敵意を向けている。
 パチ、パチと弾ける音と焼き付く熱気が次々と増え猟兵達を取り囲む。ヒヨリミと呼ばれるこの影朧を退けなければ周囲に被害が出てしまうだろう。

 猟兵達の影朧迎撃戦が始まる。
疋田・菊月
おやおや、とんだお邪魔虫がやってきましたね
お話の通じる相手でしたら、なんとか言いくるめることも考えるべきなのでしょうけど、この様子では徒労に終わりそうな予感がします
そして、影朧の事情よりも、今は護衛が最優先! 直ちに排除しなければ

クロックアップ・スピードを用いて、護衛対象に近づかせないよう足回りでかく乱しつつ、九九式の制圧射で押し込めてみましょう
狙い撃つには向かない軽機関銃ではありますが、縦横無尽に伸びる敵の布も蜂の巣にしてしまえば用無しとなりましょう
間合いに近すぎる場合は、銃剣で切り裂くことも辞さない構えですが
とはいえ、撃ち漏らしてチヨさんに害が及ぶようなら、この身で受ける他ないですね




 ヒヨリミと呼ばれる影朧がふわふわと飛び回り、数に物を言わせて疋田・菊月を取り囲もうとする。
「おやおや? お邪魔虫がやって来ましたね。直ちに排除しなければ」
 圧倒的不利な状況にも関わらず、あっけからんとした態度を取っている。護衛対象たる人物が目の前にいる以上、余計な態度は見せないことが守る者の矜恃なのだろう。
 一方のヒヨリミは菊月を見るなり本能的に排除するべき存在と察したのか、身体を伸縮自在に伸ばして襲い掛かる。二本の刀と自身も刃となることで触れる物を全て裂く凶器と化す。
「伸縮自在の刃、まともに取り合えば厄介ですが」
 指を鳴らし口にした時には既に身体は動いていた。【クロックアップ・スピード】による高速動作によって機関銃を取り出す。無骨な武器から放たれる鉛の弾幕が次々とヒヨリミの身体を穴だらけにしていく。
 当たらなかったヒヨリミの数を確認しながらすぐに位置を変えるために右側へと走り出す。
 その直後にヒヨリミの身体が菊月のいた場所へ激しく着弾し、地面を小さく抉る。ヒヨリミの伸縮よりも素早い動きは衣服を斬ることさえ許さない。
「こうして遠くから無力化してしまえば折角のボディも形無しとなりましょう!」
 再びの機関銃から激しい音が断続的に響き渡る。発砲しながら小さく左右に身体を捻るだけで無数に湧いてくるヒヨリミには狙いを付けずともいずれかの個体には風穴が空いては落ちていく様は蚊取りに捕われた蚊のように儚くその身を散らしていく。
 自分たちよりも素早い動きに翻弄されたヒヨリミは悔しそうにピヨピヨと鳴き立てるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

九十九・静香
※連携アドリブ可

亡くなったサチ様、ですか…
やはりその方が…?
おっと、まずは目の前の敵から対処致しましょう

筋肉令嬢姿に変身し
刃亜部流を【怪力】で振り回し戦闘

UCで空中を疾走し【ジャンプ】で頭上を取り一気に突き刺しましょう

炎に関しては想像力で【武器改造】した【水属性】の刃亜部流による【衝撃波】で消火しておきましょう

『わたくしも夢の為、邁進し続ける日々。親から反対されても夢に頑張る天音様の姿はとても素晴らしく思います。ですから、例え敵の正体が予想通りの方だったとしても、彼女の夢を潰させる訳にはいかないのです』

最後は【力溜め】から超脚力ダッシュからの【ランスチャージ】で複数攻撃を致します




 その身は、筋肉で出来ていた――
「フンッ! ハッ! ヌウゥゥゥン!」
 言の葉を発するたびに筋肉が呼応し、九十九・静香の持つ長棒の武器【刃亜部流(ばあべる)】が鈍い唸りをあげてヒヨリミを殴り飛ばしていく。
 体躯の小さなヒヨリミはゴルフボールの様に最も簡単に吹き飛んでは周囲の建物の壁や遥か空の彼方へと姿を消していった。
 入れ替わる様に奥から現れたヒヨリミが口から火を吹き出すと地面を円を描く蛇の様に這わせ、静香の動きを拘束させようとする。更に周囲を抑え込もうとヒヨリミで作られた天井や壁が熱と共にジワリジワリと静香を追い詰める。
「その炎、その影朧の壁、私の筋肉で沈めてみせますわ! 筋肉の前では全ての理が覆りますのよ!」
 次の瞬間、筋肉は空を舞った――
 静香の脚力が幾度も強化され、その身の重量をものともしない跳躍がヒヨリミの身体をも突き破って一点の穴を作り出し、その身は天へと昇る。
 冷たい空気を肌で感じ取り、赤いドーム状の集合体が下に小さく動いているのを確認すると、刃亜部流を下に突き立て流星の如く地面へと落下していく。
「わたくしも夢の為、邁進し続ける日々。親から反対されても夢に頑張る天音様の姿はとても素晴らしく思います」
 筋肉は再び大地に降臨する――
 津波にも似た水の力を纏った衝撃波が唸り、火を消してはヒヨリミの壁を倒壊させては彼方へと攫っていく。静香は再び刃亜部流を構え直すと猛烈な突進をかます。
「ですから、例え敵の正体が予想通りの方だったとしても、彼女の夢を潰させる訳にはいかないのです!」
 バラバラに崩れたヒヨリミへの追撃。真っ直ぐ突き立てた刃亜部流の連続突きがヒヨリミの顔を腹を何度も殴打する。可愛らしい顔は醜く歪み、周囲の仲間を巻き込んでビリヤードの如くなぎ倒されていく。
 筋肉とそれに匹敵する静香の決意の前には影朧の群れの相手など筋トレするよりも容易いことなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ステラ・クロセ
敵の攻撃は事前動作をよく見て【見切り】つつ攻撃の手前で【スライディング】して避けていきましょう。

(回転するさまを見てインスパイアを得る)
なるほど、武器でバランスを取りながら回転し、勢いで戦闘力を増す…これはすごいアイデア!!
弱いオブリビオンだと思っていた影朧を油断ならぬ相手と再認識します。

攻撃に転じるときはいつもよりもっと高く【ジャンプ】し、ヒヨリミ台風と同じように二本の武器を空中でくるくると回転させて
UC【焔轟熱風剣】を叩きこみにいきます。
「『炎』に『勇気』の回転が加われば1200%だから!!いくよ!」


エルザ・メレディウス
*アドリブ・他の方との絡み大歓迎です

・・・
知能がないからこそ、厄介かもしれませんね。
仲間と連携しながら、私は皆様のサポートを担当させて頂きます。

●ヒヨミリボディがこちらを襲ってきたら、剣で斬りはらいます

●無縁炎に対しては、残像を使い、相手の目を惑わしながら戦います

私は守りに徹して敵の攻撃をこちらへ向けさせます。
敵に隙が出来たら、仲間に合図を。
攻撃は皆様にお任せします

多少のダメージは覚悟の上です。
心の中を揺さぶる激情と虚しさ。
それと比べれば苦痛はさほど気にはなりません。

敵の猛攻は・・・私が防いでみせます




 刀を持つ者達の演舞は続く。一体につき二本の刀を持つヒヨリミ、その集団とくれば武器の数はそれだけで圧倒的な量である。
 その物量差をステラ・クロセは二本の刀のみで捌き切る。ヒヨリミの攻撃を見切り、的確に刀を置いて弾き、あるいは一閃を捻じ込むことで一度に降りかかる攻撃を完全にコントロールしていた。
「頭上に一匹残ってますよ」
「助かりました!」
 ヒヨリミの一体がステラの頭上で真っ二つになる。エルザ・メレディウスが反射速度の限界による僅かな隙をカバーする。
「ピピピピヨピヨ!」
 一匹のヒヨリミが鳴くと刀の雨が一瞬止まる。しかし、二本の刀を真っ直ぐ伸ばすと大量のヒヨリミが一斉に空中で大回転を始めた。
 まるで赤い小さなプロペラが幾つも発生し、特攻する爆撃機の如く何度も何度も上空から落ちてくる。
「ここは私が!」
 エルザがステラを庇うように前に出ると飛来する回転ヒヨリミの斬撃を刀で受け止める。ギリギリと唸る金属音。
 しかし抑えている傍から別のヒヨリミが降ってくる。その幾つかがエルザの身体を掠めていく。
 傷を負い、腕から血を流しながらも彼女の抉り刻まれた復讐と空虚な心が肉体的な痛みを誤魔化し続ける。それ程までにエルザの精神は苦痛に満ちていた。


「(武器でバランスを取りながら回転し、勢いで戦闘力を増す……なるほど! これは使える!)」
 エルザの抑え込みによってヒヨリミのユーベルコードを間近で目にしたステラは何かを閃く。相手は二本の刀、そしてステラもまた二本の刀を持っている。

 ならば、自分も同じことができるのではないか。

 そう思うや否やステラは大きく跳躍する。エルザに気を取られたヒヨリミはその周囲に集まっている。それはステラにとって好都合なものであった。
 彼女はヒヨリミと同じように二本の刀を構え空中でくるくると回転する。刀は次第に熱を帯び、竜巻の様に周囲の空気を巻き込んで巨大化していく。
「炎に回転が加われば……いくよ、焔轟熱風剣!」
 ステラのユーベルコード【焔轟熱風剣】が炸裂する。炎の旋風が流星の如く降り注ぎ、地面へと猛烈な衝撃を轟かせて落下する。
 痛烈な一撃は地面に巨大なクレーターを作り、ヒヨリミ達を跡形もなく消しとばしていた。
「……せめて攻撃の前に一言欲しかったですね」
 慌てて後ろに下がって回避をしていたエルザがほっと胸を撫で下ろす。かくして小さな暗殺集団は塵芥となって消えていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『辻斬り少女』

POW   :    【先制攻撃型UC】血桜開花~満開~
【対象のあらゆる行動より早く急接近し、斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    【先制攻撃型UC】絶対殺人刀
【対象のあらゆる行動より早く急接近し、殺意】を籠めた【斬撃】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【急所、又はそれに類する部位】のみを攻撃する。
WIZ   :    【先制攻撃型UC】ガール・ザ・リッパー
【対象のあらゆる行動より早く急接近し、斬撃】が命中した対象を切断する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「やっぱりこの程度じゃダメってことね」
 コツコツと音を立てて散ったヒヨリミの残骸の奥から一人の少女が現れる。柔らかな物腰であるが、その奥には明らかな憎悪が煮えたぎり歪んだ在り方そのものが形となったかのようだった。
「サチ……!?」
 チヨは思わず声をあげる。目の前を歩く少女はかつての親友にそっくりであったのだ。
「誰かと思えば……私を踏み台にして登った頂の景色は如何かしら?」
「アタシは、そんなつもりじゃ……!」
「うるさい! みんな殺してやる……暗がりですすり泣く私の気持ちを思い知らせてやる!」
 チヨの親友だったモノが刀を抜き迫り来る。今のサチにとって目に移るものは全てが眩い。だからこそ潰し、暗がりを取り戻し、目を開けるために……。
 猟兵たちはそれぞれの想いを胸に最後の戦いに赴くのであった。
ステラ・クロセ
チヨさんをこう言って制します。
「あれは見た目だけで本当のサチさんではありません。ですのでここはわたしに任せてください」

刀の切っ先を敵に向けて
「アタシの聞いていたサチさんはそんな事を言わない。ましてや、幼馴染の夢まで背負って走っているチヨさんに対して!
だからアンタは偽物、幼馴染を妬む気持ちも、復讐を望む怨嗟も全部まがい物!」

こちらより早く接近できても、斬撃はあらゆる行動より早いわけじゃない!
接近の挙動にこちらも接近で合わせ、身体の重心移動を【見切り】、
刀を振りだした敵の手首を狙ってアタシの刀の柄を叩きつけ、【倫敦塔】!

※アドリブ歓迎




「……あれは見た目だけで本当のサチさんではありません。ですのでここはわたしに任せてください」
 狼狽するチヨを制してステラ・クロセが言葉を刺す。かつての親友【だった】ものが今や過去の怨念となって牙を剥くという現実はもはや耐え難いものとなっていた。
「アタシの聞いていたサチさんはそんな事を言わない。ましてや、幼馴染の夢まで背負って走っているチヨさんに対して!」
 刀の切っ先を向けてきっぱりと言い放つ。ステラの中の正義が激しく燃え上がる。それは怒りか、決意か、その瞳はサチを見据えていた。
「……あなたまで私を否定するのね。許せない、許せない!あなたたち全員殺して私と同じような目に合わせてあげるわ!」
 狂乱となったサチが急接近する。人の域を超えたスピードが狂った想いを乗せてステラへと迫る。
 ステラもサチの動きに合わせて接近。両者の持つ刀がぶつかり合う――はずだった。
「だからそんな歪んだ心を持つアンタは所詮偽物なんだ!」
「なにっ!?」
 すんでの所でステラが身体を捻ってかわす。皮肉にも復讐に囚われたサチの真っ直ぐな動きは速度から重心移動までその全てを見切るのは容易いことであった。
 サチの振り出す刀が空を切る。ガラ空きとなったその手首へステラは刀の柄を叩きつけた。
 衝撃でサチの手から刀が地面を滑っていく。この接近戦の中で持ち手の武器を失うことはそれだけで敗北に等しい損害であった。
 ステラはそのまま刀を振り上げ柄を今度は顎へとぶつける。
「まがい物は全部壊す! 吹っ飛べ!」
 浮いた体に掌底撃ちによる追撃。ステラの【倫敦塔】がサチの鳩尾にヒットしそのまま遠くへと吹っ飛ばした。復讐鬼の身体は遠くの建物にぶつかると鈍い音を響かせた後、地面へと崩れ落ちるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

疋田・菊月
あらあら、あなたがサチさんなんですね
古い記憶に縮こまって、前に進めずにいるのは悲しいことです
生きたいのに満足に生きられなかった。さぞ無念だったことでしょう
赤の他人の私が思うくらいですから、天音さんはもっと悲しかったはずです
きっと誰もが、忘れられない過去を持っておいでです
天音さんにとって、サチさんがそうであるように
そうでなければ、家族の反対を押し切って芸の道に入りはしないと思いますよ

カミオさん、彼女とお話がしたいのでしばらく凌いでください!
そこをなんとか~。今度また牛筋煮込み作りますから~
先制攻撃に召喚が間に合うか勝負ですが、早業と高速詠唱にはちょっと自信がありますよ

※アドリブ・連携お任せします




 土埃の中から立ち上がるサチ。その目は依然として殺意を漲らせている。
「クソ……お前達なんて、持て囃されているお前達も私は大嫌いだ!」
 素早い動きで接近しながら刀を拾うと低姿勢からの振り上げで二つに切断しようと襲い掛かる。
「カミオさん!」
「面倒だの。まぁ緊急時だし今回だけだきゃ」
 サチの刀を受け止めたのはサーベルを持つクロウタドリの悪魔。疾風を操る悪魔、カミオが空気で生み出した見えない刃を交えサチの攻撃を難なく受け流していく。
「カミオさん、彼女とお話がしたいのでもうしばらく凌いでください!」
「嫌だぎゃ。今回だけって言うたろう」
 頼み込む菊月、しかし素っ気ない相棒。
「そこをなんとか~。今度また牛筋煮込み作りますから~」
「チッ……仕方にゃーだで。やるか」
 交渉成立。舞うカラス、乱れる刃。その実力に偽りなし。
「なんだこのカラスは! つ、強い……!」
「当たり前だ。俺はそこらのカラスとは違うでの。クロウタドリっちゅーだぎゃ!」
 カラスの怒涛の連続攻撃がサチを押し返していく。
「サチさん、古い記憶に縮こまって、前に進めずにいるのは悲しいことです。生きたいのに満足に生きられなかった。さぞ無念だったことでしょう」
「うる……さい!」
 抗戦しつつ菊月の言葉に顔を歪めるサチ。彼女の在り方に少しずつ揺らぎを与える。
「赤の他人の私が思うくらいですから、天音さんはもっと悲しかったはずです。きっと誰もが、忘れられない過去を持っておいでです」
「黙れ黙れ黙れぇ!」
 チヨにとってサチはかけがえの無い親友。サチが憎しみに囚われたのと同じようにチヨもまたサチにという人物に囚われていた。家族の反対を押し切って芸の道に進んだのがその証左に他ならなかったのである。
「手を抜くのも疲れたぎゃ。そろそろ締めるで」
 サチの正面へ一際強い暴風が吹き荒ぶ。サチの身体が大きく吹き飛ばされ後ろへ後退し、膝をつく。その身体には風によって切り刻まれた傷跡が幾十にも重なっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルザ・メレディウス
*アドリブ・他の方との絡み大歓迎です

【覚悟】を使用

◆復讐者の私には、貴方の想いを言葉で否定はできない。
サチさんの小さな勘違いでも、その憎しみを和らげる言葉は私の口からは・・・
説得は皆様にお任せして、私はサチさんの怒りをこの身で受けとめるだけ。あなたの怒りがこもった刃は私が受けとめます

●戦闘:積極的な攻撃は控えて、防戦に専念します
相手の先制攻撃は強力ですが、私も日本刀の扱いには慣れているので、少しは応戦できるはず...
相手の怒りの一撃、一撃を、私は自らの刃で受け止めます
避けきれない場合もスタンスは変えず、自らの体で受け止めます






サチさん...貴方にはチヨさんの想い、そして真実を知って貰いたい




 サチの怒りが込み上がる。ただでさえ激しい憎しみをぶつけたくて堪らないにも関わらずそれを猟兵という存在に邪魔される。
 その怒りは闇雲な刀技となっていた。乱雑に何度も振り下ろされる刀。浴びせられる罵倒の数々……その全てがサチにとっての感情となって暴走する。
「サチさん、あなたは……」
 苦い表情で攻撃を受け止め続けるエルザ・メレディウス。彼女はサチを否定することが出来ないでいた。
 わかってしまうのだ。サチの狂った心が、憎悪しか映さないその瞳の奥を復讐鬼であるエルザは理解してしまう。故に言葉が喉で詰まってしまう。
「なんだその顔は! お前も似たような目をしてるじゃないか! 何故邪魔をする!」
「確かに私の口からはあなたを救う言葉は出せません。ですが、真実は……チヨさんの想いはあなたに伝わっていません!」
 ギリギリと軋む金属音。エルザは一歩大きく踏み込み、振り払う。
 サチが大きく後ろに下がり両者の間に空間が生まれ、サチが再度刀を構えようとするその僅かな隙をエルザは見逃さなかった。
「剣刃一閃!」
 一筋の白い光がサチの身体を擦り抜ける。通り抜けた後は真っ赤な鮮血が噴き上げながらその道筋を残していった。
「なぜ、お前、も……」
 サチには理解ができなかった。己と同類の筈なのに、何故否定されるのか。これまでに投げかけられた言葉がサチの中で渦巻く。
 哀れんだようにも、覚悟を決めたようにも見えるエルザの目にはうずくまり何かに怯え苦しむサチの姿があった。

成功 🔵​🔵​🔴​

雷陣・通(サポート)
『ライトニングに行くぜ! ~~だと!』
『雷陣・通。治に居て乱を鎮める武を以て、○○が野望を食い止めん』
『父ちゃんが言っていた!』
◆熱血、直情、空手バカ。難しい事は分からないけれど、父ちゃんの言葉と空手を武器に真っ正面から突っ込みます。◆戦闘スタイルは空手による徒手空拳、体格差を手数でカバーし、コンビネーションから急所を狙ったり『前羽の構え』でカバーに回ったりと戦いでは意外に頭が回ります。◆背中の刀はボス戦でユーベルコードを使う時に良く使われます。
◆小学生なのでエロはNGです。触れるのも見せるのも見るのも禁止です。




 空気を割く音と振り下ろされる刀。サチの憎しみが唸りをあげて雷陣・通(ライトニングキッド・f03680)へと襲い掛かる。
「そこだッ!」
 通は刀を右にステップして避け、隙だらけになった脇腹に廻し蹴りを叩き込こむ。
 素早くも重い一撃にサチは小さく呻き声を漏らし身体を横によろめかせ、そこに休む事なく右拳がサチの身体に打ち込まれる。
 圧倒的な手数をもって相手に武器を振らせないことで得物を持つ相手に接近戦という厳しい状況の中でも優位に立つ事が出来ていた。
「私はずっと影だった、チヨが、あいつが光になってからずっとずっと、私はその裏に燻り続けていたのよ……!」
 サチの声が細く弱々しく漏れる。口に付いた血を拭い、刀を握る手に殺意を込める。例え相手が誰であろうと邪魔をするなら斬り捨てるという邪悪な決意が止め処なく溢れていく。
「光と影とか俺にはよく分からねえ! でもな……」
 難しいことは分からない、それでもドス黒い殺意が世界を乱す悪である事を感じ取っていた。
「お前のしていることが間違ってるって事だけは分かるぜ!」
 殺意に一歩も臆する事なく、通の熱意が爆発する。しかし、その心は冷静に限界まで研ぎ澄まされていく。電撃が迸るが如くの速度で縦拳の一撃が鳩尾へと放たれる。
「うっ……ぐっ、あぁぁぁぁっ!!」
 その一撃は鈍い痛みと共に身体を浮かせながら吹っ飛ばす。
 サチは足を付いて滑りながら勢いを殺そうとするもそのダメージは重くバランスを崩して倒れ、制御できなくなった身体が投げ出されるように転がっていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

エコリアチ・ヤエ
応援を受けて駆けつけてみりゃあ、血生臭いことになってやがるな。
しかし近接戦か、あまり得意じゃねぇんだが。
攻撃は受ける前提でいくしかねぇな。
集え死者共よ。俺に力を貸しな。
ユーベルコードを使用し攻撃を受ければ受けるだけ自分の強化を行い、生命力吸収で攻撃を受けた以上の力を吸い取っていく。
更に手があくようならファイブエレメンツソードでも攻撃してくぜ。
こっちに攻撃しても意味ねぇってチヨってのが狙われそうだし、そっちも気をつけてねぇとな。
しかし影だの光だの、自分で動かなきゃいつまで立っても光のもとになんて出れるわけねぇのに馬鹿なこといってんじゃねぇよ。
失せろ。お門違いも甚だしいぜ。
[アドリブ・連携可]




「この気持ちは間違っているとでも言うの……?」
 滴る血滴。言葉と混じり溶け合う白い吐息。サチの身体は既に限界を超えていた。ただ一つの感情だけで動いている。
「応援があったもんで駆け付けてみりゃ、血生臭いことになってやがるな」
 褐色肌の大男であるエコリアチ・ヤエ(悪魔の呼び声・f00287)が眉を潜めながら言葉にする。そこには息も絶え絶えなサチが震える身体を内側へ必死に押し込みながら刀を構えて真っ直ぐ突っ込んでくる。
「黙れぇ! その余裕そうな顔が一番腹立つんだ!」
「だいぶ暖まってるようだな。死者共よ、俺に力を貸しな」
 どこか黒く禍々しさを感じさせる空気の淀みがエコリアチを包み込む。死者や怨念といった呪いの類を見に纏い、腕を交差させて防御の姿勢を取る。
 サチの技【ガール・ザ・リッパー】による斬撃がエコリアチの正面を斜めから強引に切り裂きにかかる。鋭い痛みが彼の腕中を駆け巡る。だが、本来なら真っ赤に染まるはずのものが現れない。
「お、お前……何をした……」
 サチは膝から崩れわなわな震えていた。
 鮮血の代わりに染み出したのは真っ黒な呪詛。表面を包んだ【呪膜】の呪いが今度はサチの身体へと伝搬し残り僅かな生命を奪い取って終わりへのカウントを早めていく。
「答えるつもりはない。ただ一つだけ伝えてやる。影だの光だの、自分で動かなきゃいつまで立っても光のもとになんて出れるわけねぇのに馬鹿なこといってんじゃねぇよ」
 上から冷めた口調で詰め寄るエコリアチ。自分を変えられるのは自分だけ、それを他人のせいにしてただ当たるだけでは救われるものも救われない。当たり前のことに目を逸らし続けた結果が、朧楼としてサチを縛り付けている。
 満身創痍のサチは刀を落とし、憑物が落ちた様な面持ちでエコリアチに語りかける。その声は細く、だが穏やかなものであった。
「さっきの猟兵達も私に声を掛けてたわ……結局馬鹿なのは私だったということね」
「目の前のくだらねえことに気をとられて本当に大切なものを見失ってたんだよ。全てはお前のお門違いだったってことだ」
 一本のナイフが首を掻っ攫う。呪詛によって強化された一撃は脆い枝をへし折るように容易く身体から引き離されていった。

 チヨ、ごめんね。あなたと一緒に過ごせて本当に――

 頭部と身体が桜吹雪となって消えていく。一枚の花びらが巻き込まれないよう遠くで身を潜めていたチヨの足下に舞い落ちる。
 落ちた花弁を拾い上げたチヨは誰にも気づかれぬよう声を押し殺してただ泣き続けていた。次の人生では彼女に本当の『幸(サチ)』が訪れる事を祈りながら。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年11月21日


挿絵イラスト