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南瓜の祭りに魔物はいかがか

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●期待膨らむ南瓜祭り
「ねえねえ、村のお祭りって何するのかな?」
「いっぱい飾り付けて遊ぶんでしょ?」
「その後の夜はお楽しみが待ってるのよね」
 暗い洞窟の中で魔女たちが嗤う。
 その足元には、近隣の村からさらってきた村人たちの姿が。彼らは縄で縛られ、転がされている。
「あら、ウフフ。お楽しみ。それって、私たちの儀式よりも楽しいの?」
「そんなことはないんじゃない? だって儀式こそ素敵なお祭りじゃない」
 その時、洞窟内に低い重低音が響いた。
 ――ヴ、ォオオオオ!
「あらあら、竜様から催促だわ」
「速く儀式を成功させなくちゃ。トロトロ溶かして命を吸いましょう」
「あはは。人間のとろける表情ってたまらないよね」
 捕らわれた村人たちはぼんやりとその会話を聞いていた。魔女の術中にはまり、自分で考えることを放棄しているようにも見える。
 魔女たちは、村人たちを生贄に怪しの儀式を行おうとしていた。

●南瓜の祭りに魔物はいかがか
「みんな、ハロウィンの準備は進んでいるかな? 仮装とか楽しみだよねー! きっと、いろんな場所でお祭りがあるよね!」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)は、そう言ってから一つ咳払いをした。
「お祭りと言えば、アックス&ウィザーズ世界での事件を予知したんだよ。ある村で、村人が何人も魔女にさらわれちゃったみたいなの」
 その村は南瓜の祭り準備でにぎわっていたと言う。この時期は、大人も子どもも総出で飾り付けを行い、村中が祭りへの期待で大いに盛り上がるのだとか。
 そんな中、魔女たちは集団で村に押し入った。視界におさめた村人の正気を奪い攫っていったと言うのだ。
「お祭りの準備中でね、村の入り口は開いていたんだって。せっかくの楽しいお祭りが台無しだよね。それに、さらわれた人たちも気がかりだよ」
 魔女たちが拠点にしている洞窟の位置は判明している。
 その洞窟へ向かい、村人たちを助けて欲しいと言うのが依頼の内容だ。
「魔女たちは、火の魔法を使ったり、下級の悪魔を召喚したりするみたいなの。可愛い容姿に騙されないよう気を付けてね」
 さらった村人は、魔女たちの儀式の生贄に使われるとか。
 一刻も早く魔女を打倒し、さらわれた村人を救い出してほしい。
「洞窟の中で、村人さんたちは縛られているみたいだよ。魔女と戦いながら、うまく逃がしてあげてね。とにかく魔女と引き離せば正気を取り戻せるみたい」
 それから、とルビナが付け加える。
「この事件を解決できたら、村のお祭り準備を手伝ってあげようよ。楽しく飾り付けをしたり、自分のハロウィンの仮装の案を考えたり、きっと楽しいよ!」
 魔女に狙われ、村では祭りの準備も進んでいない様子だ。
 一緒に祭りの準備をして、村に元気を取り戻してあげたいのだと言うこと。
「まずは、さらわれた村人さんたちを助けないとね! 魔女との集団戦、気を付けて頑張って!」
 そう言って、ルビナは説明を終えた。


陵かなめ
 こんにちは、よろしくお願いします。
 ハロウィンの準備は進んでいますか? とっても楽しみです!
 今回は、お祭りの準備中に魔女たちに目をつけられた村を助けてください。まずは、さらわれた村人を助けに洞窟に向かいましょう。事件を無事解決できたら、その後は村の祭りの準備手伝いとかもある予定です。
 1章は魔女たちとの集団戦です。余力がありそうなら、捕まっている村人を逃がすアクションもお願いします。魔女たちの術中にはまり意志が弱まっている村人たちですが、魔女たちから引き離せばきっと正気を取り戻します。
 2章では、洞窟内に居るボスとの戦闘予定です。詳細は2章が始まる前に。
 3章では、無事事件が解決しましたら、村での祭り準備などを予定しております。
 各章のみの参戦もお気軽にどうぞ♪

 オープニング公開されましたらプレイング受付ます。プレイングをお待ちしておりますので、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『エビルウィッチ』

POW   :    ファイアー・ボール
単純で重い【威力を持つ、火球の魔法】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    デモン・フュージョン
【肉体を持たない下級の悪魔】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    クリエイト・アンデッド
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【術者の命令に従い動く、不死の魔物】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:相馬

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)

せっかくの楽しいお祭りなのに…村人さん達もかわいそう
辛いのはイヤだもの
うん、助けてあげなきゃね

【過剰成長・生物超過】を発動
感情を爆発させて肉体を成長、真正面から敵に向かっていくよ!
火球はオーラを纏って受け止めながら、けれど止まらずに進んで近づいて…
後は簡単!
爪を振るって、掴んで、投げて、踏んづけて
生命力を奪って回復もしながら、魔女たちを蹴散らしていくよ

知ってる?生きている草木って、水分が多いから意外と燃えにくいのよ
さあ、さあ!もっと楽しみましょう
簡単に終わるなんてつまらないからね


鳶沢・成美
せっかくのお祭りなのに、村の人たちも災難な事ですね

”目立たない”様にそっと潜入し”全力魔法”で”範囲攻撃”の【氷雪竜巻】で『エビルウィッチ』達を攻撃
僕の”戦闘知識”をもってすれば”誘導弾”の様に敵だけを叩けるはず
それに強めの冷気でかじかんで”マヒ攻撃”になる事も期待できますね
”火炎耐性”や”呪詛耐性”を持つ僕にとって敵の魔法はそんなに怖くない……と思いたい

可能なら隙をついて村人達を〔フック付きワイヤー〕で引っ掛けてこちら側へ引っ張って救出したいですね

アドリブ・絡み・可 ””内技能



●走る、舞う
 祭りの準備も滞り、村には悲壮感が漂っていた。
 そんな村の様子に、アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)と鳶沢・成美(探索者の陰陽師・f03142)は顔を見合わせた。
「せっかくのお祭りなのに、村の人たちも災難な事ですね」
 成美がそう言うと、アウルが頷く。
「……村人さん達かわいそう、辛いのはイヤだもの。うん、助けてあげなきゃね」
 このままではとても祭りと言う雰囲気ではない。
 二人はさっそく村人が捕らえられていると言う洞窟へと向かった。

 入り口からそっと侵入した成美が中の様子をうかがう。
 魔女たちは楽しそうにはしゃぎながら儀式の準備を進めているようだ。村人は、魔女たちよりも奥に転がされている。
「隙をついて引っ張ることができると良いと思ったのですが」
「なら、まずわたしが行くよ」
 状況を聞いたアウルが立ち上がった。
「真正面から行くから、できるなら隙をついて!」
「わかりました」
 承知したと成美は一歩下がる。
 洞窟の奥までひとっ走りだ。
 アウルは勢いをつけて地面を蹴り、洞窟内を一気に駆け抜けた。

「誰?! 誰か来た!!」
 儀式の準備をしていたエビルウィッチが一人、振り返る。
「さあ行くよ! たーのしー!」
 敵の動きを待たず、アウルは過剰成長・生物超過を発動させた。楽しみの感情を爆発させ、肉体を大きく成長させる。
「なによ、コイツ!!」
 慌てたようにエビルウィッチがファイアー・ボールを放った。
 火の球が勢いよく飛ぶ。それを見てもアウルは走る速度を落とさなかった。
「え? え、どうして?!」
 困惑したエビルウィッチがさらに重ねて魔法を飛ばすが、それもすべてオーラを纏い防いでみせる。
「知ってる? 生きている草木って、水分が多いから意外と燃えにくいのよ」
 大きく一歩踏み込んで、腕を振り上げた。
 この距離まで近づけばあとは簡単だ。
 アウルは一番近くに居た魔女の身体をいとも容易く掴んで投げ飛ばした。
「ぎゃっ」
 魔女の身体が壁に激突し、ずるずると地に落ちる。
 それを見ていた敵たちは、弾かれたように散らばった。
「一人じゃダメ、皆で一斉によ!」
 そう言って杖をかざし、タイミングを合わせて火の球を撃ち出してくる。
 敵の関心が全てアウルに向けられた。

 目立たないよう戦闘を見守っていた成美が、その一瞬を見て動く。
 使用するのはフック付きワイヤーだ。
 ぼんやりとした表情で転がされている村人たちを見る。
「一括りにされているなら、これでいけるはず」
 村人を括っている縄目掛けてフックを投げ、一気に引いた。
「ええ、ちょっと、せっかくの生贄が……!」
 それに気づいた魔女が手を伸ばす。
 だが、それよりも前に、村人をまとめて手元に引き寄せた。
「大丈夫ですね」
 村人たちに向けた成美の声。
 一括りにされた彼らは、瞼をぱちぱちと何度か開け閉じし、首を傾げる。
「ええと、あれ? どうして、僕たちは……」
「返せ! 生贄がないと、きちんと儀式が完了しないじゃないの!」
 言葉を遮るように、エビルウィッチが火の球を飛ばしてきた。

「さあ、さあ! もっと楽しみましょう」
 アウルは自分に向かって来た火の球をその身で受け止め、魔女に向かって爪を振るう。
「どうして! 魔法は当たっているはずなのに」
「言ったでしょ、草木って意外と燃えにくいって」
 混乱して叫ぶ魔女の身体を裂き、アウルは自分を取り囲んでいる敵の数を数えた。
 簡単に終わるなんてつまらないから、と、更にもう一人、魔女を捕まえる。
 どうやら背後では成美が村人を引き寄せるのに成功したようだ。
「それなら後は、やっつけるだけよ」
 そう言って、アウルは手元の魔女を倒した。

「ふう、耐性があってよかった」
 火の粉を払いながら成美が魔女の前に立った。その足元は、敵の攻撃でヒビが入り窪みができている。だが、成美自身に傷はない。向かって来た火の球に耐えたのだ。
「な――。火の球が効かない?! ううん、火が足りなかっただけよね!」
 魔女が再び杖を構えた。
 今度は成美も攻撃の姿勢を取る。
「舞え、氷の竜よ。アイストルネード……なんちゃって」
 煌めくは無数の氷粒。
 成美は氷雪竜巻を発動させ、周辺の魔女たちを一気に狙った。
 もちろん、仲間の猟兵も村人も、ターゲットからは外している。
 一斉に舞った氷の粒は、魔女だけを狙い撃ち抜いた。
「つ、冷たい……なにこれ、凍る」
 撃ち抜かれた個所から凍り付き、魔女たちの動きが鈍る。
「さあ、仕上げと行きましょう」
「うん、一気に蹴散らすよ」
 成美が声をかけ、アウルが頷いた。一気に畳みかけるよう、攻撃を繰り返す。動きの鈍った魔女たちを、二人は蹴散らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
他の人と共闘NG
グロ描写NG
WIZ

美味しそうな魔女さん達ね♪
お祭りや儀式よりも楽しいコトしましょ❤

(相手のUCで蘇生した魔女達に囲まれ)

貴女達も死霊術を使えるのね!
私の愛しい死霊達も見せてアゲル❤

『挽歌・二重水鏡』でアイリスとナルを召喚。
二人は私と同じ強さ。技能も使える。
魔女達の攻撃は【オーラ防御・激痛耐性・火炎耐性】で無効化!
3人がかりの【誘惑・催眠術】で魅了するわ

アイリス「アンデッド化した魔女は術者の命令に従う。
命令している魔女を魅了すれば攻撃を止めさせられるわ」

ナル「後はメロメロになった彼女達とお楽しみタイムだね♪」

濃厚なキスとボディタッチで【生命力吸収】
さあ、楽しい愛の宴を始めましょ❤



●愛しい死霊達
 洞窟内部には、まだ力を残し襲撃に備えるエビルウィッチの姿があった。
 それを見たドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)が微笑む。
「美味しそうな魔女さん達ね♪」
 言いながら、魔女たちの前へ歩み出た。
「……また敵ね!」
「やっつけてやるんだから!」
 エビルウィッチ達が杖を構える。
「クリエイト・アンデッド……、さあ起き上がって一緒に戦って!」
 魔女たちがそう命じると、すでに猟兵たちに倒されていた魔女の死骸が起き上がった。その瞳は空虚。操られるがまま不死の魔物となった者たちがドゥルールを取り囲んだ。
「貴女達も死霊術を使えるのね!」
 けれど、慌てない。
「私の愛しい死霊達も見せてアゲル❤」
 そう言って、ドゥルールは挽歌・二重水鏡を発動させた。
「鏡よ鏡、貴方は誰?」
「私はアナタ」
「キミはボク」
 召喚したのは金属生命体の姉弟『アイリス』と『ナル』だ。ドゥルールと同等の力を持った二人は、頷き合って周辺を見回した。
 と、その瞬間。
「――、ッア、あ、あああ」
 不死の魔物たちが襲い掛かって来る。
 多少鈍い動きだが、反動を考えずに蹴りや殴打を繰り出してきたのだ。
 ドゥルールたちも一斉に動く。
 一つ二つと攻撃を捌きながらアイリスが言った。
「アンデッド化した魔女は術者の命令に従う。命令している魔女を魅了すれば攻撃を止めさせられるわ」
 攻撃をオーラで防御して凌ぎ、ドゥルールは頷く。
 そうと決まれば、と、三人は一斉にアンデッドを操る魔女へと駆けた。
「な、なに?!」
「後はメロメロになった彼女達とお楽しみタイムだね♪」
 戸惑う魔女を優しく抱きしめナルが甘い声を出す。
 アイリスは触れるかどうかの柔らかなタッチでエビルウィッチの身体を撫で始めた。
 そしてドゥルールは、戸惑う魔女の唇にそっと口付けを落とす。
 これは、三人がかりの誘惑と催眠術。
 ちゅ、と軽いリップ音が洞窟に響いた。
「な――」
 小さく抗議の声を上げるエビルウィッチ。
 その口を塞ぐように、さらに深く口付ける。
「んん、そ……ふぁ」
 徐々に抵抗する力を無くし、魔女がだらりと腕を下げる。
 ぴちゃぴちゃと水音を響かせながら、ドゥルールたちは魔女の生命力を吸収し続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレリア・ミズヌシ
かぼちゃ……えへへ、美味しそう。「にっころがし」っていうの、お爺ちゃんがたまに作ってくれたっけ。
――人型相手なら、斬りやすいし――ちょっとお手伝いでもしようかな。

私は魔女たちを、撹乱してみよう。 ちくちくつつきながら飛び回ってみたりなんかして。
お爺ちゃんの教え――「侮られているほうがやりやすい」らしいから、きゃーきゃー言いながら当たりそうで当たらない動きをしてみようっと。
熱くなって、同士討ちとかしてくれると、楽でいいなー。

でも、そんな動きしてたら、村人さんに魔女の狙いが向くことがあるかも。
その時は――魔女の首筋を斬って防ぐくらいはしようかな。 あ、偶然ってごまかすのも忘れないようにしなきゃね!



●空中に舞う
 洞窟には、まだ生き残っている魔女と村人たち。
 魔女の数は減ってきているけれど、全てを仕留めたわけではない。
「かぼちゃ……えへへ、美味しそう」
 アレリア・ミズヌシ(フェアリーのおしごと人・f22985)は、南瓜と聞いてある料理を思い出した。それは『にっころがし』と言って、たまにお爺ちゃんが作ってくれたものだ。
 洞窟内の敵は人型。それなら斬りやすいと思う。
 ちょっとお手伝いをしようかなと、ひらり魔女たちがいる場所へ飛んだ。
「今度は何? 何なの?」
 アレリアの接近を感じ取った魔女たちが杖を構える。
 その間を、ひゅんひゅんと飛び回り、叫び声をあげるアレリア。
「きゃー!」
 魔女の杖が身体を掠めそうになる。
 そこを間一髪避けて飛び、近くの魔女の身体をつついた。
「ちょ、何か、飛んでる!!」
 魔女たちは杖をぶんぶんと振り、アレリアを追い払おうとする。
「きゃー! きゃー! 怖いです~!」
 アレリアは叫び声をあげながら、当たらず離れず飛び回った。
 やがて魔女たちの杖同士がぶつかり合い、ガツンガツンと音を立てる。
「ちょっと、当たってるし!」
「もう! そっちが先にぶつかってきたんでしょ!」
 魔女たちは言い争いをしながら、ムキになって杖を振り回した。
 これは、お爺ちゃんの教え。すなわち『侮られているほうがやりやすい』を実践したアレリアの作戦だ。実際、特に大きな攻撃を仕掛けてこないアレリアを侮った魔女たちは、緊張感を無くし騒いでいる。
「今度はここから、と――」
 空中で器用に旋回し、アレリアは目についた魔女の背後に回った。その手に、しっかりと刀を握り締め――。
「こら、待てっ」
 追って振り返った魔女の首元に刃をすっと通す。
「痛っ」
 首を斬られ、切り傷を作った魔女が顔をしかめた。
「わあ、そんな急に振り返ったら、偶然当たっちゃっいました」
 アレリアは慌てたように振舞いながら、また飛んで逃げる。
 あくまで偶然を装い魔女たちを撹乱する、と言う思惑は成功したようだ。
 飛び回るアレリアを追いかける魔女たちは、一時、村人のことなど忘れたかのよう。
「お手伝いもしましたし、後はお任せしますね」
 アレリアは、自分の役目を十分果たしたと、後続の猟兵に魔女たちを託した。

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
可愛い顔して生贄なんて頂けねーな。
おしおきだ(舌なめずり)

符術『百鬼夜行』行使。
闇に紛れながら洞窟内を進む。
魔女と村人の間に現れ実体化

神鳴抜刀。
殺気をぶつけ恐怖を与えて奥に退かせるぜ。
本当は刃物で殺す気はない。マヒ攻撃を乗せた峰打ちが関の山

魔法を武器受けで切り払い、悪魔憑きには四王稲荷符をおでこにペタリ。
破魔を持って憑依を破る

稲荷符ばら撒いて範囲攻撃。精神攻撃と気絶攻撃で意識を刈るぜ。
吸血で生命力吸収し苦痛なく逝かせてやる

ただし好みの魔女は意識のあるまま蹂躙、口づけで精気も魂も吸い尽くす。
「とろける表情ってたまらねーな。お前の魂は躯の海ではなくアタシと共に現世を歩むんだ…悪魔より良い契約だろ」



●消える意識
 さて、洞窟内で夢中になって杖を振り回す魔女たちを見て、四王天・燦(月夜の翼・f04448)は舌なめずりをした。
「可愛い顔して生贄なんて頂けねーな。おしおきだ」
 魔女たちに気取られぬよう、符術『百鬼夜行』を発動させる。自身の肉体を影と化し、闇に紛れ魔女と村人の間へするりと入り込んだ。
 魔女たちは、燦の接近に気づかない。
 その一瞬の間に、燦は神鳴を素早く抜刀した。
「え?!」
 魔女たちの驚愕の声。
 燦は刀身をちらつかせ、殺気を叩きつける。
 本当は刃物で殺す気持ちはないのだが、鋭く研ぎ澄まされた殺気は魔女たちへのデモンストレーションになったようだ。
「ヤバい! 退いて立て直すわよ!」
 魔女たちは一斉に退き、列を作った。
「うん! デモン・フュージョン!」
 肉体を持たない下級悪魔を身に宿した魔女が突撃してくる。その動きは、確かに今まで見た魔女の誰よりも速い。
「悪魔憑きか。それなら、これだ」
 燦が取り出したのは四王稲荷符。
 敵の攻撃を武器で払い、おでこにペタリと符を張り付けてやる。
「な……?」
「破魔を封じた符だ」
 きょとんとする魔女に、にやりと笑いを漏らす燦。
「ちょっと、止まらないで!」
「魔法で援護するのよ!」
 後方から叫ぶ魔女たちへも、次々に稲荷符を投擲した。
 稲荷符の精神攻撃により、魔女が一人、また一人と意識を失い地に伏せていく。
 更に気絶攻撃も重ねて掛ければ、魔女たちは深いところへと意識を落とした。勢いの良い魔女の掛け声は、今はもうない。
「苦痛なく逝かせてやるよ」
 燦は意識を失った魔女たちの首元に噛みつき、血を吸い上げて生命力を吸収した。
「ちょ……、何を……、私たちが、やられるなんて信じられない!」
 次々と命を吸い上げられ消えていく魔女を見て、おでこに符を貼られた魔女が声を漏らす。
「ああ、お前で最後だ」
 魔女の声を聞き振り向いた燦は、ゆっくりと魔女へ近づいた。
「そ――」
 後退る魔女の顎を片手で固定し、深く口付ける。この魔女だけは、意識あるまま全てを吸い上げようとしているのだ。
「とろける表情ってたまらねーな」
「あ……」
 精気を吸われた魔女は、ただとろとろと瞳を揺らす。
「お前の魂は躯の海ではなくアタシと共に現世を歩むんだ……悪魔より良い契約だろ」
 燦の声が洞窟に響く。
 その意味を理解しているのかどうか。最後の魔女は、訪れる消滅の時をうっとりと甘受した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『崩竜・ヴァッフェントレーガー』

POW   :    ネーベルヴェルファー
【自身の周囲に生じた魔法陣】から【何もかもを“崩壊させる”火球】を放ち、【超遠距離からの面制圧爆撃】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ヴィルベルヴィント
【顎】を向けた対象に、【消失や崩壊を与える速射のブレス】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    ホルニッセ
【自身の“崩壊”すらも省みない状態】に変形し、自身の【射程距離】を代償に、自身の【巨体による攻撃力や機動力】を強化する。

イラスト:降矢 青

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フォルティナ・シエロです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●崩竜・ヴァッフェントレーガー
「本当にありがとうございます!」
 正気を取り戻した村人たちは、猟兵に頭を下げて礼を言った。
 少し遅れたが祭りの準備もできそうだと、喜ぶ姿もある。
 ところが。
 ――ヴ、ォオオオオ!
 何かが地を這う音が聞こえてくる。
 ――ヴ、ォオオオオ! ォオオオオッ!
 何かの叫びが響いている。
「破壊、セヨ」
 次に、はっきりとした恐ろしい声。
 魔女たちが拠点にしていた洞窟のさらに奥から、崩竜・ヴァッフェントレーガーが姿を現した。
「ひっ、ひぃいいい」
 村人たちがその竜の姿を見てすくみ上がる。
「破壊ノ儀式、失敗。ナラバ、力で、破壊スル」
 口元からは破壊の息が漏れている。
 周辺に浮かぶ魔法陣は炎の力を感じる。
 この崩竜こそ、魔女を使役し村を襲った元凶なのだと、一瞬で理解する猟兵たち。
「破壊、スル」
 今ここで戦わなければ、周辺は火の海と化すであろうことも感じ取った。
 幸い、村人たちは洞窟から脱出している。
 洞窟内を戦場にすれば、彼らを気にせず戦いに全力を注げるはず。
 猟兵たちは襲い来る崩竜へと向かって行った。
鳶沢・成美
さてさて首謀者のお出ましですか、しかし竜種とは……
でも村の破壊が目的とか、やる事がちっさくないですかね
ま、どうでもいいんですが

洞窟の中ですが”暗視”があるのでまあどうにかなるでしょう
”全力魔法”の”早業”【風神旋風縛】で動きを封じましょう
洞窟が崩落したら面倒くさいですからね

ついでに小石とかロープとかポイポイ投げ込んでおきましょう
”第六感”で上手く誘導できれば敵に上手く当たって
ちょっとした嫌がらせになるかもしれませんからね

アドリブ・絡み・可


アレリア・ミズヌシ
わああ……大きなドラゴン。 明らかに魔女たちより強そう。
これが本命なら、報酬ももらってるし――おしごとといきましょうか。

制圧爆撃は事前動作を【見切り】することで 回避しようかな。この小さな体なら、余波の煙を幕にして、懐に潜ることができるはず。
お爺ちゃん曰く――『大体の生き物には継ぎ目ってやつがある』。もし潜り込めたなら、一当て二当てしつつ飛び回りながら私の【学習力】で【情報収集】、刃の届きそうな脈や腱を探ってみよう。
見つけられたら、【暗殺】のようにすかさず飛び込んで【uc】で斬って落とそう。致命傷にはならないかもしれないけど、腕の一本でも動きが鈍って――私や他の人が、やりやすくなるといいな。


アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)

ドラゴンだ!典型的なドラゴンだ!
でもあの”炎”はちょっと激しすぎるかも
…イヤだなぁ、すごくイヤだけど…
だからって引くのは、もっとヤダ!だったらわたしも本気を出すよ!

【深緑、底知れぬ恐怖を育め】を発動
より巨大な『高き森の怪物』に変身して戦う

崩壊の火球には、呼び出した龍脈の槍で切り払い直撃を避けながら、それを上回る『怪物』の再生能力で対処。それでも限界があるのは分かっている
だから最優先は魔法陣。破魔の属性を乗せた衝撃波を放って、展開されている魔法陣を消滅させる

魔法陣が消えている間に、一気に詰め寄って攻撃。せめて一撃でも、全力の一撃を叩きつけるよ


四王天・燦
精気120%
竜が牙や爪を提供する獲物に映るぜ

ダッシュと逃げ足で駆けブレスから逃げ回る。
直撃は真っ平御免。掠めた分もオーラ防御で凌ぎ、顎を向ける予備動作を理解してから反撃だ

(一緒に生き残ろうぜ)
誰かがやることとはいえ、不自由と仲間を逝かせたことを謝り妖魔解放。
エビルウィッチの魂を霊着。性格も混ざり合う。
攻撃衝動を竜に向けるよ

杖を拾い手始めに火炎属性衝撃波で牽制。
顎が向けば高速移動で残像を残し無駄撃ち狙い。
(いい身体能力と妖力だろ?)

ジャンプで飛び乗り頭まで駆け上がり至近距離で炎の衝撃波を撃ち込むよ。
「あはっ。竜様の脳味噌沸騰してる」
狂気の笑いをあげる

妖魔解放で魔女を選んだのは距離を縮めたいからさ



●破壊の崩竜
「さてさて首謀者のお出ましですか、しかし竜種とは……」
 成美は現れた崩竜・ヴァッフェントレーガーを見て肩をすくめた。
「わああ……大きなドラゴン。明らかに魔女たちより強そう」
 アレリアは、敵を見上げ目を大きくする。
「破壊、スル」
 崩竜の重い声。
 目の前に現れた猟兵たちを見ても慌てず、敵は悠然とその場で足を止めた。
 だが、そんなドラゴンを前に猟兵たちも引かない。
「ドラゴンだ! 典型的なドラゴンだ!」
 一目見ただけでそれと分かるドラゴンに、アウルも声を上げた。
 周辺に浮かぶ炎の魔法陣は、高威力が窺える。
 あの炎は少しばかり激しすぎる。そんな気がする。
 ――それは………イヤだなぁ、すごくイヤだけど……、
 アウルは自分の考えをまとめ胸を張った。
「だからって引くのは、もっとヤダ! だったらわたしも本気を出すよ!」
「いい考えだな。それに――」
 燦がにやりと笑う。
「竜が牙や爪を提供する獲物に映るぜ」
 先の戦闘でエビルウィッチの精気を吸い上げたので、燦は力が満ち満ちているようだ。
「なるほど、そういう考え方もありだね」
 頷きながら成美がゆっくりと動き出す。
「でも村の破壊が目的とか、やる事がちっさくないですかね」
「矮小なる者ガ、何ヲ言う」
 崩竜も上体を起こし、闘いの気を纏い始めた。
「ま、どうでもいいんですが」
 そう言うと、成美が暗い洞窟へと入っていく。
「相手もやる気みたいだよ! さあ、がんばろう!」
 アウルも後に続こうと仲間を見た。
 猟兵たちは、崩竜が待ち構える洞窟へ向かって走り出す。
「これが本命なら、報酬ももらってるし――おしごとといきましょうか」
 アレリアも仲間に続いて闇へと飛び込んでいった。

●崩竜の咆哮
「我は、破壊、スル。邪魔立てする者ハ、ユルサナイ」
 崩竜が前足を大きく踏みしめる。
 すると洞窟内が大きく揺れ、魔法陣はさらに輝きを増した。
「あの大きさ、暴れられると厄介かも」
 アウルが言う。
「動きを封じるのが先のようですね。僕が先行します。まあ、どうにかなるでしょう」
「私は何とかして懐に潜りましょうか」
 成美とアレリアは、そう言って左右に分かれ竜に向かった。
「うん! それじゃあ、わたしは正面から行くよ!」
 アウルは二人が視界から消えたことを確認し、崩竜の真正面に立つ。
「アタシは、あのブレス直撃なんて真っ平御免だぜ」
 皆の動きを見ながら、燦は更に強い力で地面を蹴った。走る速度をグンと上げ、アウルの横をすり抜けていく。
「せいぜい、かき回してやるよ」
 そう言って、敵との距離をさらに詰めた。
「全て、破壊、スル」
 轟く竜の咆哮。
 崩竜が大きく息を吸い込んだ。
「へえ、勢いだけは一人前のようだな」
 チラリと敵を見上げ、燦が口の端を上げる。
「消え去るガ、いい」
 崩竜が両の前足をしっかりと踏みしめ、ブレスを吐き出した。力を蓄えた巨大なエネルギーの塊が、荒れ狂い踊るように宙を舞って迫って来る。
 最初の一撃を逃れるため、燦は更に足に力を入れダッシュした。
 寸でのところで敵のブレスが頬を掠める。
 頬をオーラで庇いながら、逃げ足を駆使し敵の視界から逃れ走った。
 ――ヴ、ォオオオオ!
 敵が吼え、更に次々とブレスを仕掛けてくる。
 燦は走りながら、敵の動きをしっかりと観察した。

●つむじ風の束縛
 荒れ狂う竜のブレスが洞窟の壁を削り、地を抉った。粉塵が舞い、亀裂が走る様を見て成美はため息をつく。このままでは本当に洞窟が崩壊しかねない。
「洞窟が崩落したら面倒くさいですからね」
 言いながら、ユーベルコード・風神旋風縛を構えた。
 暗視が可能な成美には、洞窟内部の構造も良く見えている。幸い、仲間に気を取られ、崩竜は足元まで気にかけていない様子。
 できるだけ敵に近づいて、成美はつむじ風を呼ぶ。
「風の神様よろしくです」
 全力を込めたそれは、勢いよく敵へと飛んだ。
 ここまでの動作に余分は無く、ユーベルコードを発動するのは一瞬だった。
 ――ヴ、ォオオオオ、オオオオオオッ!
 気づいた崩竜が叫び、己の力を高めようと集中する。
「今さら遅いんですけどね」
 成美はつむじ風の飛び方を見ながら一歩引いた。
 竜が技を繰り出すよりも速く、つむじ風は竜を飲み込む。
 ――ヴォオオゥオオオッ!
 渦巻く風が竜を抑え込んだ。
 前足、後足に風が絡みつき、動きを封じていく。
「離セ、離セェ!」
 比較的自由になる上半身をくねらせ、竜がもがいた。
「これは――。確かに力の強さは半端無いようで」
 風を御する成美が、ほんのわずか眉をひそめる。
 長時間押さえておくことは難しいだろう。だが、今この瞬間は動きを封じることができている。
 成美は仲間たちに、今だと合図を送った。

●火球の断絶
「このような、モノ」
 竜が魔法陣を起動させた。
 アウルはそれを見て、敵の真正面に立ち表情を引き締める。
 出し惜しみしていたらいけない。仲間が作ってくれた時間を無駄にはできない。
「そっか……今のわたしじゃ物足りないかぁ……」
 ユーベルコード・深緑、底知れぬ恐怖を育めを発動させ、アウルは黄金の瞳に覚醒した。
 より大きく、その姿を変えていく。
 これは『高き森の怪物』への変身。
 『高き森の怪物』と化したアウルは、龍脈の槍を呼び出した。大地のマナを凝縮し、実体を持たない光の槍が手元で輝く。
「何もかもヲ、“崩壊”セヨ」
 風に縛られたままの崩竜が魔法陣に命じた。
 何もかもを“崩壊させる”火球がいくつも浮かび上がり、猛然とアウルへ迫ってくる。
「切り払うよ!」
 龍脈の槍を大きく振り、アウルは火球を斬って裂いた。
 二つに割れた火球は減速せずアウルの両頬を焼く。
 直撃は避けたが、威力は絶大だ。
「でも、『怪物』の再生能力で何とかなるよね」
 アウルは崩壊しそうになる体を再生能力で癒しながら、一歩足をすすめた。
 二つ、三つと火球が飛んでくる。
 いつまでも槍で切り裂くだけでは限界があるだろう。それはアウルも理解している。だが、火球の勢いは増すばかり、竜自体の動きは鈍いが、この遠距離攻撃は厄介だ。
 その時、アウルは、竜の背後から迫る仲間の姿を見た。

●継ぎ目の切断
 アレリアは、飛び交う火球をできる限り見切って回避しながら飛んでいた。
 火球は壁にぶつかり粉塵を巻き起こしている。
 仲間が火球を捌き続けており、猟兵側にまだ被害は出ていない。
 しかし、それもいつまで続くのか分からない。
 竜が押さえつけられている今こそチャンスだと思う。
「それじゃあ、行きましょうか」
 近くの壁が破壊され、周辺で爆風が巻き起こった。ちょうどうまい具合に煙も立ったので、これを幕にして一気に敵へと近づいた。
「破壊、破壊、シナケレバ!」
 竜は興奮しているようで、魔法陣をフル稼働させて仲間を狙っているようだ。
「これなら、行ける。うん、お爺ちゃんの教え通りに狙うことができれば――」
 ひらひらとアレリアは空中を旋回し、道筋を見極めて一気に敵の懐へと潜り込んだ。
 お爺ちゃん曰く――『大体の生き物には継ぎ目ってやつがある』である。
 敵の身体に沿って飛び、一つ二つと身体を確認した。
 必ずどこかに継ぎ目があるはずだ。
 情報を集め、考える。
 できれば刃が通る場所が良い。脈や腱を見つけることができるだろうか。
「破壊、破壊ダ!」
 竜が唸り声をあげて、上半身をうねらせた。
 まだ仲間が足を抑え込んでくれているので、自由に動き回ることはできないようだ。
「見えましたよ! 足の、付け根の!」
 アレリアは興奮気味に刀を構え、すぐさま敵の足の付け根へ飛んだ。
 敵の身体は硬い。
 この一撃は致命傷までは至らないかもしれない。けれど、確実に敵の力を削ぐことができれば仲間につなげられるはず。
「ここですね、斬って、落とす!」
 気合で剣刃を一閃させる。
 ユーベルコード・剣刃一閃を発動し、見つけた敵の継ぎ目を斬り付けた。
「な、何を!!」
 竜が上半身をのけ反らせた。
 そして、バランスを崩し半身を地に打ち付け倒れ込んでいく。
 ドォンと、大きな音が洞窟に木霊した。

●魔物娘の魂
「すごい! この切っ掛けに畳みかけるよ!」
 火球を捌き続け、これまで耐えてきたアウルが初めて攻勢に出る。
 敵の身体が地に沈み、魔法陣が一瞬揺らいだのだ。
「最優先は魔法陣だよ、これで、消滅できるよね!」
 槍を薙ぎ、生み出したのは衝撃波。
 狙うは竜の周辺に展開している魔法陣だ。
 破魔の属性を乗せ、衝撃波を魔法陣にぶつけてみせた。
 ――ヴォオオゥオオオッ!
 竜が吼える。
 残った足で体を支え、どうにか上半身を持ち上げたようだ。
 その躯体を通り越し、アウルの放った衝撃波が敵の魔法陣へ到達した。
「よし、そのまま壊しちゃえ!」
 アウルの声と同時に、衝撃波が魔法陣を破壊する。
「魔法陣が消えた! 近づくなら、今しかないよ!」
 仲間に向けて叫ぶ。
 もちろん自分も、一気に敵との距離を詰め、大きく腕を振り上げて敵の体を打ち付けた。

 ――ヴォオオゥオオオッ! オオオ!
 最後の力を振り絞り、敵が破壊の息を吐き出す。
「おっと、邪魔はさせませんよ。ほら、鬼さんこちら、だ」
 成美は仲間の進路を守るため、手近な小石やロープを敵に投げつけた。第六感を頼りに、敵の嫌がる箇所を狙っていく。
 一つ足を失いうまく動くことのできない竜は、成美の投げつけた小石を避けることもできない。
 ただただ咆哮を上げ、悔しさをにじませている。
 ついにここまで敵を追い詰めた。
 その時、燦が敵へと踏み込んでいった。
「魂の奥底に宿りし魔の者よ。オブリビオンの呪縛より解かれ、この身を依り代に顕現せよ。リリース・ピュアリィハート!」
 発動させるのはユーベルコード・妖魔解放。
 かつて精気を喰らった魔物娘の魂とオーラが立ち昇る。
 燦の左目が、あの魔物娘のものに変化していった。
 自分の左目の瞼をそっと撫で、燦は静かに思う。
(「一緒に生き残ろうぜ」)
 その攻撃衝動は、全て竜に向けた。
 衝撃波で敵の動きをけん制しながら、素早い動きで敵の身体を駆けあがる。
 竜はそれを見て燦を振りほどこうと全身を震わせた。
 だが、軽やかに走る燦の身体はブレない。
「いい身体能力と妖力だろ?」
 そう言って、竜の首を蹴った。
 ジャンプして上空へ跳ぶと、敵の頭が見えた。
「敵はもううまく動けません」
「いいタイミングだね!」
 成美とアウルが声をかけた。
「やりやすくなったなら、良かったです」
 アレリアが急いで飛んで竜から離れる。
 仲間の声に後押しされ、燦が杖を振るった。
 撃ち出したのは炎の衝撃波。超至近距離から撃ち込んだ攻撃で、竜の身体が一瞬で溶け落ちる。
 ――オオ、ハ、ハカイ、ヲ……。
 弱々しい、竜の最後の言葉。
「あはっ。竜様の脳味噌沸騰してる」
 残ったのは、狂気を孕んだ燦の声だった。

 戦いで巻き上がった粉塵が落ちていく。
 洞窟の中を見回し、もはや脅威はないと猟兵たちは判断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『祭りの準備』

POW   :    大きなオブジェを運んだり設置したりします。

SPD   :    オーナメントなどを飾り付けします。

WIZ   :    祭りへの期待や楽しみな気持ちを仲間と語り合います。

イラスト:みささぎ かなめ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●いよいよ祭りの準備を
「おおーい! こっちです!」
「その様子では、あの竜を倒したんですね!!」
 洞窟から出た猟兵を待っていたのは、村人たちだ。
 遠くから、大きく手を振って猟兵に笑顔を向けている。
「ありがとうございます! あなたたちのおかげで村は救われました」
「どんなに感謝してもしきれません」
 中には涙を浮かべ喜んでいる者もいる。
「さあさあ、良ければ村へいらしてください」
「一緒に飾り付けをしませんか?」
「もうすぐ祭りですからね。オブジェを運んだり、オーナメントを飾り付けたり、やることは山ほどあります!」
 飾り付けを中断していた村は、今まさに沸いている。俄然活気が戻ってきたようだ。
 村の祭りの飾りつけを手伝い楽しむのも良いだろう。
「南瓜のスープやお菓子も用意していますよ! 作業しながら一緒につまみましょう」
「そう言えば、あなた方にもお祭りはありますか? どんなふうに楽しむんでしょうか?」
 村人や友人と、自分たちの祭りを語り合うのも楽しそうだ。
 猟兵たちは、さっそく村の中へと入っていった。
四王天・燦
魔女の帽子を被り、杖を手に凱旋。
一見悪趣味だがアタシにとっちゃ宿した娘の大事な品物さ。
…流石に服は際どいので鞄の中

「ほいお裾分け。街で売れば冬越しの足しにはなるぜ」
崩竜の牙や爪を半分プレゼント。残りは猟兵組の戦利品だよ

お手伝いは炊事を適度に。
小麦の質さえ合えば饂飩はこねられる。
後はタッパに入れて持ってる大好物の油揚げを提供…すれば…ッ。
期待の眼差しに負けて泣く泣く提供するよ

と、まあ。
うちらは油揚げを供えて祭るんだよ。
花火でもあれば最高なんだと語る

本物の花火とはいかないが、カウントダウンの火薬を弄って夜空に向けて投擲・炸裂させてみるぜ。
フォックスファイアで盛り上げれば…疑似的だけど楽しめるかな



●油揚げと花火と
 燦は魔女の帽子をかぶり、杖を手にして村の門をくぐった。
 これはあの魔女と同じデザインの帽子と杖。さすがに服はカバンの中だ。悪趣味だと感じる者もいるかもしれないけれど、燦にとっては身に宿した娘の大切な品物である。
「ほいお裾分け。街で売れば冬越しの足しにはなるぜ」
 入り口で出迎えた村人に、燦が素材を手渡した。
「こ、これは……まさか!」
 素材の入った袋を覗き込んだ村人が驚きの声を上げる。
「半分はこちらでもらっていくぜ」
 崩竜の巨体から得た素材は、半分を戦利品に。
 燦が気前よく笑うと、村人はしきりに恐縮してから袋を収めた。
 さて、燦は炊事場へ向かう。
 お菓子の仕上げや明日の仕込みなど、女性たちが忙しそうに働いているようだ。
「おっ、この小麦粉ならうどんが打てそうだな」
「ウドン? 麺でしょうか?」
 周辺の女性たちが興味深そうに燦の作業を見る。
 食塩水を回し奇麗なそぼろ上になった粉を、手際よくまとめこねていく。似たような料理があるのだろうか、女性たちはあれこれ言いながら燦のうどん作りに見入った。
「さて、後は少しねかせている間に、出汁だな」
 生地を丸めた燦が言う。
「この村では、白湯に通して食べますよ」
 女性たちは村での麺類の食べ方を詳しく説明してくれた。それによると、白湯に麺をくぐらせ、少しの薬味をつけて食べるとのこと。
 場所が違えば風習も違う。燦はそう思いながらタッパーを取り出して……一瞬躊躇した。
 この中には、油揚げが入っている。燦の大好物の油揚げが!
「くっ、これを出すのか?! いや、しかし」
「まあ、それは何ですか?」
 村人が、葛藤する燦の手元を見た。
「……これは、油揚げだ」
「美味しいものでしょうか? あ、麺に入れるとか?」
 わっと、周辺の村人が期待のまなざしを向ける。
 そんな瞳で見られたら、断ることなどできようか。
「あ、ああ。そうだぜ。ぜひ、提供させてくれ」
 と、震える手で、燦は油揚げを提供した。

「この、甘じょっぱい感じ、美味しいですね!」
 見事に仕上がったきつねうどんを皆ですすりながら、一息ついた。
「うちらは油揚げを供えて祭るんだよ」
「なるほどー!」
「これで、花火でもあれば最高だな」
 空を見上げる。祭り前と言うことで花火はない。
 ふと思いついて、燦はフォックスファイアの狐火を空に投げた。
「わあ、奇麗!」
 村人たちから歓声が上がる。飛び散る火花が、空を彩った。
 ふいと風が吹いて、魔女の帽子のリボンが揺れる。
(「ああ、一緒に生きて行こうぜ」)
 帽子に手をやり、燦は独り言ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレリア・ミズヌシ
お爺ちゃん曰く「仕事はさっさと忘れちまうに限る」。
――後、私曰く「お祭りは楽しむもの」!
というわけで、私もお祭りの準備に参加して、その後はうんと楽しもうっと!
ちっちゃいし力はないから、飾りつけとかをお手伝いしようかな?

飾り付けが終わったら、かぼちゃ料理をたくさん食べちゃいます!
「おしごと」の報酬ってあんまりもらわないから、こんなに食べられる時なんてあんまりないもんね。
「にっころがし」とかあるかなあ。えへへ。

……食べすぎて飛べなくなっちゃった。 ちょっと休もう。
……うん。 でも……おしごと人なんて「インゴーな稼業」だけど。
それでみんな、明るくなるに越したことはないよね! お爺ちゃん!



●南瓜料理
 村に入ったアレリアは、ひらひら舞いながら村を飾り付けていく。
 お爺ちゃん曰く「仕事はさっさと忘れちまうに限る」である。そして付け足すのなら、アレリア曰く「お祭りは楽しむもの」だ!
「すみません~、その木の上もお願いしていいですか?」
「分かりました! 南瓜の飾りが良いですよね」
 木を飾り、公園の通路を飾り、小さな飾りがキラキラと光を反射する。南瓜の飾りはどこか愛らしく、どこかコミカルだ。
「わあ、可愛くなったよ!」
 特に喜んだのは子どもたちだ。わあわあと沢山の飾りを見て目を輝かせた。
「ねえ、一緒に休もう!」
「おやつも、スープもたくさんあるよ!」
 子どもたちがアレリアを呼ぶ。
「はい、行きますね!」
 かぼちゃ料理の良い匂いが漂ってくる。『おしごと』の報酬はあまり貰わないので、これほど食べられるときなどないのだから。
 アレリアは子どもたちを追いかけるように料理の並ぶテントへと急いだ。
「かぼちゃのスープでしょ、あ、クッキーはこっちね」
「本当にたくさんありますね! 『にっころがし』とかあるかなあ」
 並んだ料理を眺めていると、自然に笑顔が浮かぶ。アレリアは勧められるままスープやクッキーを頬張った。
 どの料理も南瓜の甘さを活かした素朴な味わいが感じられる。
「ほんのり甘くておいしいです!」
 素朴な味だからこそ、飽きが来ずいつまでも食べ続けることができそうだ。
「ニッコロガシ……は、分かりませんけれど、南瓜を丸めて甘辛く煮たものならありますよ」
 そう言ってアレリアに手渡されたのは、南瓜を団子のように丸め煮た料理だった。
「ありがとうございます。『にっころがし』とはちょっと違う感じかな? だけど、これもとっても美味しいです」
 モチモチとした食感はお餅を思い出す。味付けは説明通り甘辛く、どこか懐かしい。
 南瓜団子に加え、パイやタルトなどなど、南瓜料理を心行くまで存分に味わうアレリアだった。

「……食べすぎて飛べなくなっちゃった。 ちょっと休もう」
 アレリアは飾り付けた木の上にちょこんと腰掛け、すっかり南瓜で詰まってしまった自分の腹を撫でた。
 村人たちは、アレリアの姿を見つけると、感謝の気持ちを伝えて頭を下げていく。
 それに答えながら思う。
(「……うん。 でも……おしごと人なんて『インゴーな稼業』だけど」)
 気に取り付けたオーナメントが、風で揺れてキラキラ光った。
(「それでみんな、明るくなるに越したことはないよね! お爺ちゃん!」)
 村人たちの笑顔を眺め、アレリアも静かに微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳶沢・成美
そういえばハロウィンというのは、日本で言うところのお盆の様なものと聞いたことがあります。
アックス&ウィザーズでもそんな感じなんですかね?

何か手伝えることはありませんか?
木工はこれでもけっこういけるんです
【日曜大工ノ術】を使えば結構大きなモノでも大丈夫

そういえば、盆踊りみたいに踊ったりはするんですかね
やぐらを立てて、周りに円になって踊るみたいな……
あの世から戻ってきたご先祖様も一緒に参加できる様にお面をかぶって踊る地域もあるとか……



●木工看板
「そういえばハロウィンというのは、日本で言うところのお盆の様なものと聞いたことがあります」
 大きな板を釘で打ちつけながら、成美は村人に声をかけた。
 アックス&ウィザーズでもそのような感じなのだろうか。
「お盆とは、何でしょうか? それもお祭りですか?」
 次の釘を成美に手渡した村人が首を傾げる。
 今、成美たちは村入り口に建てる大きな看板を作っていた。土台を組み立てた後、板を固定し、飾りを打ち付けていく。
「そうですねえ。お盆と言えば、盆踊りでしょうか」
「盆、踊り?」
 手渡された南瓜の板飾りを、場所を変えて板に取り付けた。
 大きな板に派手な南瓜の飾り板がいくつも取り付けられ、祭りを知らせる看板のようになる。
 成美はそろそろ仕上がりそうな大看板を見上げて、村人にこう言った。
「やぐらを立てて、周りに円になって踊るみたいな……」
「円になって、踊るのですか。楽しそうですね!」
 盆踊りとは、皆が円になって同じ踊りを舞い進む。
 楽しいと言えば楽しい祭りなのだろう。
 成美はクスリと笑って、付け足した。
「あの世から戻ってきたご先祖様も一緒に参加できる様に、お面をかぶって踊る地域もあるとか……」
「あの世から……戻ってくると言うのですか!」
「そう言う、言い伝えですね」
 村人は成美の話に興味を引かれたのか、あれやこれと盆踊りを想像してみているようだ。
 その間にも作業を進め、ついに祭りの看板が出来上がった。
「ああ、とても良い看板が出来上がりましたね!!」
 完成した看板を見上げ、村人が手を叩く。
 南瓜の飾りをふんだんに使い、南瓜の祭りを象徴するような看板になったようだ。
「それは良かった。木工はこれでもけっこういけるんです」
 成美が頷く。
 ユーベルコード・日曜大工ノ術を使った看板だ。特に木製のこれは、極めて精巧に作られている。
「さて、他にも手伝えることはありませんか?」
「お願いしても良いですかね。実は、南瓜を飾るステージがまだ組み上がっていないんです」
「ええ、ではそちらに向かいましょう」
 頷き村人と共に歩き出す。
 次の木工もかなり大掛かりになりそうだ。
「しかし、お面をかぶって踊るとは、盛り上がるんでしょうね」
「この村は踊らないのですか?」
「ええ、踊りますよ! 子どもたちが南瓜のかぶりものなんかをかぶってね。行進と言うのかな」
 なるほど、顔を隠し、踊り、皆で祭る。
 それは成美の知っている祭りと、違うようでどこか似ていた。
「さあ、もうひと頑張り。やりましょう」
 村人たちと共に、成美は引き続き祭りの準備を続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アウル・トールフォレスト
(※自由にお任せします)

無事にお祭り出来そうでよかったね
それじゃあ、もう少しだけ手伝ってあげる

『怪物』の姿から元に戻って、また【過剰成長・生物超過】を発動。だって楽しそうだもの!
大きな荷物を運んだり、高いところの飾り付けをしたり…大きさを活かしたお手伝いをする
お菓子もあるって聞いちゃったら、わたしも張り切っちゃうよ

楽しいことは、あればあるだけ良い
わたしはずっと、こういうのは遠くから眺めているだけだったから
だから嬉しかったりもするんだ

…えへへ
楽しいお祭になればいいね!



●南瓜のステージ
「無事にお祭り出来そうでよかったね」
 『怪物』の姿から元に戻ったアウルは、賑わう村を見てにこりと笑った。
「そうなんですよ! 見てください、料理の準備も飾りつけも、看板も、仕上がりつつあるんです」
 村人たちは笑顔でアウルを迎える。
 皆の笑顔を眺めていると、楽しい気持ちがあふれてくるようだ。
「それじゃあ、もう少しだけ手伝ってあげる」
 アウルは村人たちに祭りの準備の手伝いを申し出た。
「たーのしー!」
 ユーベルコード『過剰成長・生物超過』を発動させ、自身の身体サイズを増大させる。だって、今はみんなとても楽しそう。どこを見ても笑顔があふれているのだ。
「どこをお手伝いしたらいいかな? 運ぶ荷物はない?」
「助かります! ステージに飾る南瓜を一緒に運んでいただければ」
 アウルは頷いて村人たちの指さす南瓜を見た。
 なるほどメインステージ用の南瓜は、どれも特大だ。村人たちは三人がかりで南瓜を持ち上げ、台車に乗せて必死に運んでいる。
「いいよ! これはわたしに任せてね!」
 南瓜を三つほど肩に担いだ。
「おおー!」
 どよめく村人に振り返って笑顔を見せ、ステージに向かって歩き出す。
 ステージはすでに組み上がっており、アウルは南瓜を順に配置していった。このペースなら、すぐにステージを南瓜で埋めることができるだろう。
「ステージの上の看板にもお願いできますか?」
「うん! この辺りで良いよね! たくさん飾っちゃおう」
 大きく背を伸ばし、南瓜の飾りつけを増やしていく。
 ステージを南瓜で山盛り飾り付けた頃、アウルは村人に休憩を提案された。
「南瓜のマフィンはいかが?」
「こっちは、クッキーです! どうぞ!」
「ありがとう。張り切ってよかったよ!」
 たくさんのお菓子を受け取り、アウルはステージに腰を下ろす。
「うん、美味しいね!」
 南瓜のお菓子はほのかに甘く、良い香りが鼻に抜けた。
 ステージから村を見下ろすと、村人たちが楽しそうに南瓜の飾りを抱え歩いていく姿が見える。子どもも一生懸命大人たちを手伝い、それを見守る老人たちの瞳は優しい。
 楽しいことは、あればあるだけ良い、と、アウルは思うのだ。
「どうしました?」
 一緒に座っていた村人が首を傾げる。
「わたしはずっと、こういうのは遠くから眺めているだけだったから」
 アウルは誰にも聞こえないように静かに呟いた。
「だから嬉しかったりもするんだ」
 楽しい雰囲気が村を盛り上げているようだ。猟兵の活躍により脅威も去った。
 笑顔の村人と共に飾りつけを行うのは、楽しかった。

「……えへへ、楽しいお祭になればいいね!」
「うん、きっと楽しくなる」
「南瓜のかぶりものをかぶって、踊るんだよ!」
 子どもたちがアウルに拙い踊りを披露する。その姿を、アウルは笑顔で見つめていた。
 村の祭りはもうすぐそこ。
 きっと楽しい祭りになるに違いない。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年10月20日


挿絵イラスト