#サクラミラージュ
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桜の花弁が、吹雪のように舞っている。
音もなく、遥か青い蒼穹へと浮かび上がるように。散る事のない桜の花は、サクラミラージュの世界ではありふれた物。
故に、夏が過ぎ暑さも落ち着いてきたこの季節となっても、秋桜よりも余程雄弁にその姿を現している。
この光景に眩暈を覚えるのは、界を渡り来る者達だけ。この世で生まれ、死んでいく者達には有り触れたそれ。
ワイワイと、今度の連休をどう過ごそうかと話す二人の書生達にも当然、それを異常と思う事は無く。
そして、向こうから歩いてくる女学生がいるとしても、それもまた当然のことで。
すれ違った瞬間に、自身の視界が桜の花弁の舞う空しか見えないことに、数秒経ってやっと気づくことが出来た。
「―――え?」
何もわからずに、呟いた言葉。それが彼らの今際の言葉と化して。
全てを見ていた桜の樹は、ただ鮮やかにその花弁で赤い血を彩っていた。
「新たに俺達猟兵が行くことが出来るようになった世界、サクラミラージュは聞いたことがあるか?」
初耳であるなら、その世界の情報はある程度知っておいた方がいい、と。叢雲・秋星(悪を削ぐ太刀・f02120)は集まった猟兵達に資料を配る。
A4用紙にはカラーの写真と、飾り気のない黒い文字が躍る。散らない桜の咲く世界、大正700年を数える、UDCアースやサムライエンパイアとはまた異なる時間を辿った地球の姿。
そしてオブリビオンの固有種として、『影朧』と呼称される存在がある。
「影朧と呼ばれるオブリビオンの特徴として、倒した後に桜の精と呼ばれる者に癒しを受けることで転生することが可能らしい。まぁ、俺達の仕事としてはやる事は変わらない。」
起きる事件のあらましは、いわゆる連続殺人事件だ。既に数人が犠牲となっており、それらは覆しようがないという。
逆に言えば、死人が出ていて帝都桜學府による調査も行われていることから、ある程度の情報は既に得られているということだ。
「倒すべき影朧は、刀を携えた女学生の姿を取っている。嘗て起こった殺人事件で死亡した女学生のようだ。」
恐らくは、自身を殺した相手への復讐を動機としているのだろうが、既にその対象はこの世に無い。更に言えば、彼女自身も復讐という動機すら覚えていないのだろう、只の辻斬りへと堕ちているようだ。
「出会えば見境なく斬るような手合いだ、境遇は同情の余地があるが、それとこれは別件でしかない。」
パタン、と資料を閉じる。幸い、彼女の情報は新聞等でも調べられる。勿論、彼女の知人に聞くもいいだろう。出現しやすい場所もあるようだし、それらを調べ上げて貰えれば対処もしやすいはずだ。
その身に起きた不運も不遇も、それを他人に撒き散らしていい免罪符にはならない。そう締めくくり、秋星は猟兵達を送り出した。
宗嗣
いつもお世話になっております。マスターをさせていただいております宗嗣です。
今回、なんと、初めてUDCアース以外でのシナリオを書かせて頂こうと思い、新世界のサクラミラージュでの依頼となりました。大正ロマンな世界観ですが、頑張っていこうと思います。
勿論、いつも通りに重症描写や流血などは多くあるかと思いますので、苦手な方はご注意ください。また、近接戦闘描写を好んで描かせて頂いています。その点もご了承下さい。
第1章 日常
『真実の探求:影朧の軌跡』
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POW : 影朧を知る人を探しに行く。
SPD : 新聞や書籍に影朧の情報が無いか調べる。
WIZ : 影朧が執着するものについて調べる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アサノ・ゲッフェンルーク
「情報集めといえば新聞や雑誌が並ぶミルクホール!水鞠さん、情報集め頑張ろうね!」
泡沫ノ長杖の気まぐれな水精霊の『水鞠さん』に声をかけて一緒にミルクホールで新聞から情報を集めようかな、かな!
水鞠さんと一緒に
辻斬りが現れた地点の情報がのってる新聞紙を見ながら
その周辺一帯の地図を照らし合わせて印をつけていく。
印の位置が密集していたり何かの軌跡が見えるようならいいんだけど…
ミルクホールは情報の集まりやすい場所って聞いたことがるから
店員さんにもお話を聞いてみようかな。
何かの情報がもらえたらコーヒー牛乳の御代わりと
おひねりチップも忘れない。
ん?
水鞠さんどうしたの?
「絶妙に知識がおかしいかな?」
アドリブ歓迎
鞍馬・景正
新世界の刀法、如何なるものか拝見しに参りましょう。
◆調査
まずは女学生の素性や事件の概要、下手人は捕まったのか否かは把握しておかねばなりますまい。
そして既に犠牲となった骸が如何様に斬られているか。
また女学生が、生前に於いても剣術の遣い手だったかの二点も調べておきましょう。
行き違いに人を斬るなど、修練を重ねても難しいもの。
剣を学んでいたならば、その流儀の特徴も予め知っておきたい所。
必要ならば当時の女学生を知る方にお話を伺いに参りましょう。
――如何なる剣の遣い手かと、好奇心に突き動かされているのは否定できませぬが。
それが見事な業であるならば、猶更その凶刃を納めて頂きたいとも思うのですよ。
「情報集めといえば新聞や雑誌が並ぶミルクホール!水鞠さん、情報集め頑張ろうね!」
『泡沫ノ長杖』に宿る精霊に声を掛け、アサノ・ゲッフェンルーク(白耀の魔筆士・f00499)はミルクホールの扉を開く。
LEDとは違う、橙色の柔らかな光が備え付けられた明かりから室内を照らす。
独特の陰影は、懐かしくも妖しい、異世界へと迷い込んだような錯覚をアサノに与えた。
「ここで新聞などを見ることが出来る、と。図書館のような場所とは違うのですね。」
初めて見る光景に、物珍し気に周囲を見回すのは長身の侍。大正の世からすれば些か時代錯誤に見えるも、その美丈夫にはやはり袴と刀が良く似合う。
敵が刀使いであることに興味を惹かれた鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)だが、やはりまずは影朧の情報を得るが先決。
アサノがコーヒー牛乳を頼むと、閲覧の許可された新聞を手に丸椅子に座る。追うのは辻斬り事件。
真似て景正も、酒、と言いたいところだがミルクを頼む。どうやらここでは提供していないらしい。
さて、その辻斬り。影朧によるものとすれば、市民への注意喚起も兼ねた紙面が目に留まる。
簡単に纏められたこれまでの出現場所から、自前の地図に書き込んでいく。
「この独特の雰囲気はとっても可愛いけど、コピー機とかが無さそうっていうのはちょっと不便だよねぇ。」
「誰もが一瞬で、簡単に瓦版を作れる絡繰りですね。サムライエンパイアにもありませんでしたが、確かに便利です。」
二人が苦笑と共にそう漏らす。界渡りとして様々な世界に触れれば、どうしてもその世界の便利なところ、不便なところが目に付く。
その不便も含めて、その世界の魅力なのだろう。
「さて、なにか記号とか見えるかな?単に密集してる場所とかがあるのかな?」
赤いペン先が滑る。ペンの天冠の先を顎に当て、考え込む。
一人で考え込んでいるように見えるが、彼女の感覚としては二人の間違いだ。常にともにある水鞠さんは、杖の先から滴る水滴となり彼女の手助けをしている。
すっと離れた景正に気付かず、紙面を視線が滑る。
記号や図形などにはならない。これがUDCアースの対邪神であったなら、冒涜的な魔方陣を描くこともざらにあるが、そうでないことを察し胸をなでおろす。
その中でピックアップ出来たのは、一つの大通り。
襲撃のなかでも特に多い場所を見つけ、破顔した。
活字との戦いをアサノに任せ、景正は直接の聞き込みに回る。
幸いと言っていいかは解からないが、同じ街で起きた悲劇。当時の女学生を知る人もまた、いるかもしれない。
彼の気に掛ける事柄は、女学生が果たして生前からの剣士であったか否か。擦れ違いに人を斬る困難は、彼も良く知っている。
「もし、少し伺いたいのですが…。」
声を掛けた店員に、この近辺で殺人事件に巻き込まれた女学生など知らないかと問う。
少し考え込むような仕草を見せ、店員はお盆を脇に挟み声を潜めた。
「少し前にね。近くの娘さんが亡くなったんだ。」
この店にも、偶に来ていたから覚えていると。剣術家の道場の娘だったらしく、腕に覚えもあったらしい。
「血気に逸る娘さんだった、んだがね。」
それが裏目に出たのだろうか。今や知る由は無い。下手人もまた、何らかの形で既に世を去っているという。
店員の知る情報を受け、僅かに景正が瞑目する。
(――如何なる剣の遣い手かと、好奇心に突き動かされているのは否定できませぬが。それが見事な業であるならば、猶更その凶刃を納めて頂きたいとも思うのですよ。)
剣士としての性と人としての性の狭間で、その思いを研ぎ澄ませた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天野・白蓮
(アドリブ連携絡み歓迎)
何…この帝都で嫋やかな乙女剣士が辻斬り騒動とは、聞捨てならんな
帝都の学徒兵たる俺がそのお嬢を拝見…もとい成敗と参りましょうか
(WIZ)
『帝都桜學府』の動いてる学徒兵に交じって俺も現地捜索と行きたいが
重要なのは『過ぎた事の調査』よりも『次に起きる可能性』じゃねぇか?
幾度かの事象で、お亡くなりの人達に共通するものがあるかも知れねぇ
其れこそ『そこそこの使い手だった』とか、『男ばかりだった』とか
本当に些細でも良い、僅かな共通点でも良いから洗い出す
これらをつなぎ合わせりゃあ、次に奴らが狙いそうな連中が洗い出せる
何なら、その次に俺らが狙われやすい様に体裁整えるでも良いのさ。
桜の花の舞い散る中、ハイカラな学生服に身を包んだ集団が道を歩く。
ただの学生、というには些か剣呑な雰囲気を纏ったその集団の中で、一歩。頭一つ抜けた雰囲気を持つ青年が別れる。
「では、我々はこちらへ。何か情報を得れば連絡します。超弩級戦力の力、期待しています。」
「ああ、悪いが頼んだぜ。その期待には応えられるようにするさ。」
そう答え、手にしたレポート用紙にある情報を流し見ながら青年が道を歩く。
天野・白蓮(『帝都』を守護する一振りの金剛・f22771)が帝都桜學府の学徒兵から譲り受けたそれには、これまでの襲撃情報…特に被害者の情報が集まっている。
気にするのは、その中の共通点。どんな些細なものでもいい。それを探し出すことが、今ここにいる自分のやるべきことだと認識している。
学徒兵と別れたのも、その為。『過ぎた事の調査』よりも『次に起きる可能性』を重視したためだ。
無論、過ぎた事の調査で得られる情報を軽視しているわけではない。それがあるからこそ、次に起きる事を防げるのだ。
故に、彼らには過去を探って貰い、自分はそれを得て次を求める。その役割分担でしかない。
「…この帝都で嫋やかな乙女剣士が辻斬り騒動とは、な。」
声音に曇りが宿る。華やかな乙女は、人斬りよりも蝶よ花よと踊っていてもらう方が良い。それが、帝都の闇に触れぬような身分の者ならば尚更だ。
ぺらり、ぺらり。
人の道行きに注意しつつ、頁をめくる。
気付いたのは、襲撃されている人数。一人から二人、つまるところ少人数でいたところばかりを狙われているらしい。
辻斬りならば、当然ではあるだろう。
だが、どれ程些細でもいい。情報を集めるのは、自分だけでも、学徒兵だけでもないのだから。
猟兵として与えられた通信端末に、連絡が入る。他の猟兵達が手に入れた、貴重な情報。それと繋ぎ合わせ、次の行動を模索する。
―――何なら、次に俺らが狙われやすい様に体裁整えるでも良いのさ。
二っと、小さく笑った。
大成功
🔵🔵🔵
伊能・為虎
(アドリブ大歓迎!だよ!)
オブリビオン……ここだと影朧さん、が辻斬りかぁ。元は殺されちゃったお姉さんで、もう殺した人にも会うことも出来なくて……。なんだか悲しいなぁ。
(《追従する狗霊》……目立たないよう、黒い紀州犬似の犬が尻尾をぱたぱた)
わんちゃんは、辻斬りさんに……遊んでもらえる?って言いたいのかな。お気楽そうでいいなー。
襲撃情報と出てきた場所を教えてもらって、わんちゃんと一緒に現地に行ってみるよ。
同じお姉さんだってことは、目撃情報もだけど痕跡もそっくりなのかな?通行人に聞いてみたり、痕跡をよーく見たりしてみるね。どこに現れたのか、どこに現れやすいかっていうのを辿って(《追跡》)いこうかー。
「オブリビオン……ここだと影朧さん、が辻斬りかぁ。元は殺されちゃったお姉さんで、もう殺した人にも会うことも出来なくて……。なんだか悲しいなぁ。」
ぽつりと小さく、呟いた言葉は桜の雪に消えた。やるせない、という言葉が一番正しいのだろう。最早不可逆の結末を覆すことは、いかな猟兵であろうとも可能な事ではない。
影朧と化した女学生はもはや人へと戻る事は叶わない。せめて、討つ事で桜の精によって癒され、次の生を全うすることを祈るしかない。
他に調査を行った猟兵達の得てくれた情報を元に、少女のような恰好をした少年、伊能・為虎(天翼・f01479)が大通りを歩く。
広い通りだが、思っていたほどの人は無い。恐らくは、辻斬り事件の影響なのだろう。致し方ないのだろうが、矢張り寂しい光景だ。
「お手伝い、お願いね。」
そう口にして、視線を下げる。黒い紀州犬に似た犬が尾を振る。為虎に遊んでもらえるのを期待しているのだろうか。或いは、辻斬りの女学生に遊んでもらえると思っているのだろうか。
その気楽そうな視線に、少し笑みが浮かぶ。今は、それが羨ましい。
クンクン、と狗霊が匂いを嗅ぐように桜の根元を嗅ぎまわる。実際の女学生の匂いを知っているわけではない。
何らかのオブリビオンの痕跡、その匂いを探しているのだ。『追跡』に長けた犬の霊、その能力は頼りになる。
自分もまた、何か痕跡が残されていないだろうかと思い探索を行い、一人と一匹で周囲を探し回る。
少し、没頭し過ぎただろうか。そう思い、為虎が視線を上げる。
低く、唸り声を上げる狗霊の姿が、目に入った。
影が、朧のように霞む。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ヒヨリミ』
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POW : ヒヨリミ台風
予め【二本の刀を掲げて空中でくるくると回転する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : ヒヨリミボディ
自身の肉体を【刃のように触れるものを切り裂く布】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ : 無縁火
レベル×1個の【血のように赤い色】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
イラスト:RAW
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アサノ・ゲッフェンルーク
「てるてる坊主は首を落とさないといけないんだっけ? 首は落とせないけど、せめて撃ち落してあげようかな!」
泡沫ノ長杖の気ままな水精霊『水鞠さん』に声をかけながら
「さぁて、押し通る、かな!!」
高速詠唱した水属性の攻撃(UC)を全力魔法と範囲攻撃で補助強化
敵の攻撃は装束の火炎耐性で耐えながら、確実に敵を水刃でスナイプしていくよ
遊び心とは言えないけど
アートで戦場を敵の炎とこちらの水刃で彩るように攻撃!!
「水鞠さん、楽しいかな、かな?」
UCの威力や出来栄えは水鞠さんの気分次第かな!
もし敵が接近戦をお望みなら朱守鴇月丸で迎えうつよ
「術士が刀を扱うなって?」
そんなの知らないよ!!
アドリブ、連携、大歓迎かな!
鞍馬・景正
血の匂いに釣られてきた別の影朧か、配下のようなものか。
何にせよ、害を為すなら斬るまで。
◆戦闘
二刀というのは間合が広く、先手を取るにも適した攻防自在の術技。
これをどう攻略するかは兵法者の智慧の見せ所と言えますが。
相手が刀を掲げた瞬間に踏み込み、側面に回り込んで片手の刀に【怪力】を乗せた一太刀を浴びせましょう。
そうして剣を拉ぐ事で、対の刀の打ち筋ごと塞ぎ、返す太刀の【早業】による【鞍切】で仕留めさせて頂く。
数が多ければ【破魔】の念を籠めた斬撃の【衝撃波】で周囲の敵ごと一掃。
斬り返されれば刀による【武器受け】で受け流しましょう。
さて、この剣戟の音が女学生への呼び水となれば手っ取り早いのですが。
ゆらり、ゆらり。辻斬りの良く現れると出た通りへと向かった猟兵。桜の雨の中、彼らを出迎えたモノがある。
血に濡れたような赤。対のような二振りの刀。そして、ふわふわと宙に浮かぶ、足のないその体。
赤いてるてる坊主のような其れ、『ヒヨリミ』と呼称される影朧は、その可愛らしい外見とは裏腹な殺意を持って猟兵を迎える。
「血の匂いに釣られてきた別の影朧か、配下のようなものか。何にせよ、害を為すなら斬るまで。」
キン。鞍馬・景正(天雷无妄・f02972)が腰に据えた『濤景一文字』の鯉口を切る。腰を沈め、如何なる敵の動きにも対応せんと構える。
ゆらり。
「ッ!」
先に動いたのはヒヨリミだ。宙を滑るように動き、景正へと接敵すると振るうのは両の刀。左右から襲う刀は敢えて刹那の間をずらし、受ける景正のタイミングを狂わせる。
右を受け流した景正がそれに気づいた時には、受けるには遅い。咄嗟、肩の甲冑で受ける。
ぎゃりぎゃりと耳障りな音と共に鎧が削れ、その下の肉が裂ける。それに舌打ち一つ。返す刀、横薙ぎに払う。
『怪力』の乗った『早業』の剛剣、二刀の上からヒヨリミを吹き飛ばすが、相手も深手には及ばなかった。
「成程、見た目以上にやるようだ。」
剣士同士の斬り合いの様相、ではあるものの。一つ、景正は見誤った事がある。二刀をどう攻略するかが兵法者の智慧の見せ所と挑んだが、ヒヨリミに思わぬ苦戦を強いられた。
それは、腕も足もなく感情も見えないその姿故。その挙動には、一切の予備動作が無いという異常。
「全ての動作が無拍子とは…。」
臓腑には至らぬとはいえ、脇腹からの出血を抑え、呟く。それは、ある種の武芸者の極みへと天然として至っているという、インチキにも似た敵への文句でもあり賞賛でもある。
だが、勝敗は別だ。これは倒すべき手合いであり、競う相手ではないのだから。
ぐっと力を込め、後ろへ跳ぶ。
「!」
それを好機と見たか、ヒヨリミが外見に見合わぬ瞬足で間合いを詰める、その瞬間。
幾多の水の刃がヒヨリミを襲った。
「水鞠さん、楽しいかな、かな?」
その大半を叩き落とした影朧に、相棒が喜悦を抱いたのを察して。アサノ・ゲッフェンルーク(白耀の魔筆士・f00499)が、水鞠さんの変じた水の刃を羽衣のように纏う。
「女学生の前に、貴女への呼び水となったようですね。」
文字通りに、と景正が再び前に出る。一刀、大上段より振り下ろしたそれを、両の剣を重ねて受け止める。がりがりと、鋼の噛み合う心地良い響き。
「私というか、水鞠さんの、かな?」
そう言いながら、【蒼硝子との遭遇】で水鞠さんを自在に操る。右と左、左右から鋏のように別れた水刃。景正の刃を受け止めていたヒヨリミが対処を遅らせざるを得ず、左の刀と引き換えに迎撃する。
だが、だ。すぅ、とその視線がアサノを見据えたのを、凍る背筋で彼女は察した。
瞬間、放たれたのは血のような色の炎の刃。豪、と通り過ぎる刃を水鞠さんを盾状にして、咄嗟に防ぐ。
「い…ったぁ…っ。」
その守りを、炎刃は貫いてきた。三日月状の其れは、アサノの右肩から左わき腹までをバッサリと。斬って焼く、二重の苦痛を与える。
水鞠さんによって最悪は防いだものの、予想以上の深手に片膝を付く。
「貴様…っ。」
追撃を試みたヒヨリミに、景正が割り込む。蒼い瞳が赤い影朧を射抜く。一刀同士となった互い、弾けるように仕切り直した。
人同士であれば、呼吸の音が聞こえるような異様な集中。互いに、次の一刀で相手を斬るという不退転の意志が、刃を通して理解出来ていて。ヒヨリミの刀が炎を纏い、景正の刃に意志が灯る。
「―――斬る。」
「―――――。」
口にする言葉があるなら、同じだっただろう。
刹那、二つの影が交錯した。
朧は桜となって散る。炎の残滓を纏った切り傷が、それの居た事を確かに証明していた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
美国・翠華
【アドリブOK/ダメージOK】
随分と可愛らしいけど…
でもアレも強い敵であることには変わらないみたい…
【戦闘】
こちらに攻撃を仕掛けてくるなら
相手の動きをよく見て攻撃すればなんとかなる…
離れた場所からナイフの衝撃波で攻撃し
更に接近してきた相手は動きをよく見て急所を狙うわ
敵の数次第では自分のダメージが蓄積して
瀕死になるかもしれないけど
そうなったらユーベルコードを使って
全力で叩きのめすことにするわ。
きっと喜ぶだろうから…
伊能・為虎
(アドリブだいかんげーい!)
わんちゃん、知らせてくれてありがとうね……!目的のお姉さんに会うのを邪魔されるわけにはいかないし、退けるしかなさそうだ!
妖刀を使って〈なぎ払い〉や〈串刺し〉、一気に広い範囲を攻撃していくよ!伸びてくる布は触れないように、〈ダッシュ〉で避けて刀を振った〈衝撃波〉で迎撃していきたいな!
(咆哮が傍を通り過ぎて、ぱっと見るとまた狗霊が尻尾振っている)
わんちゃん、ありがとー!たすかる!次もよろしくね!
布には触らないように、よろしく!(〈動物使い〉と〈二回攻撃〉)
ぐるるる、と低い声でヒヨリミに対し唸りを上げる狗霊の背を撫でる。大丈夫、一緒に行こう、と。
「わんちゃん、知らせてくれてありがとうね……!目的のお姉さんに会うのを邪魔されるわけにはいかないし、退けるしかなさそうだ!」
快活な言葉と共に、伊能・為虎(天翼・f01479)が妖刀を抜き放つ。正眼に構えた傍らに、狗霊が自然と並び立つ。
それに双剣を構えたヒヨリミが、不意に視線を逸らす。同時、伸びたのはマフラーのような布。槍のように鋭く、まるで肉を穿つ銛のように奔り―――。
上を取って飛び掛かろうとしていた少女のナイフを迎撃する。
ぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃっ。
耳障りな刃軋り。伸びたマフラーを受け流すも、態勢の整わない空中では万全とはいかず。右腕の手首から肩まで、裂けるような傷痕を残す。
「くぅ…、随分と可愛らしいけど…でもアレも強い敵であることには変わらないみたい…。」
何とか着地に成功した美国・翠華(生かされる屍・f15133)が呟く。
「っ、いくよわんちゃん!」
翠華の様子こそ気になるが、この時を逃すわけにはいかない。【追従する狗霊】によって自由を与えた狗霊と為虎が挟撃する。
狗霊の牙と為虎の刺突。それを台風のように回転し、弾き飛ばす。追撃に伸ばされたマフラーが、為虎の肩を抉った。
止めを刺さんと刀を振り上げたヒヨリミ。その身を、衝撃が襲う。バチンと弾かれるように吹き飛んだ赤いてるてる坊主。翠華のナイフから放たれた衝撃波。
その間に、為虎が態勢を立て直した。
「大丈夫ですか?」
「うん、僕もわんちゃんもいけるよっ。」
仕切り直しとばかり、狗霊が咆哮を上げた。
「私に…協力して…少しだけ…自由を上げる…。」
【名状しがたき被虐の代償】により、翠華はナイフに宿るUDCの力を解く。ナイフと刀、得物こそ違えども二刀使い同士、流れるような連撃が打ち合う。素面では届かない相手であろうと、異形の力を借りれば届き得る筈だ、と。
立て、横、薙ぎに刺突。互角へと至り連続する剣戟に、為虎と狗霊が横槍を入れる。
「わんちゃん!」
主に先んじた狗霊。だが、不意を突いたはずのそれがヒヨリミに届かない。膂力を上げたヒヨリミが翠華を一歩下がらせると狗霊に一太刀を浴びせる。
甲高い悲鳴。それに僅か、悲痛な表情を為虎は浮かべる。しかし、その時を逃すわけにはいかない。
妖刀を下から跳ね上げる。ひらひらしたヒヨリミが、胴から右眼まで、縦一文字に傷が刻まれる。
「くっ!?」
しかし、代償は安くはない。狗霊の迎撃と翠華に割いた刀の間隙を縫ったが、マフラーが更に二振りの刃のように蠢く。
薙ぎ払われたそのマフラーが、為虎を斬り裂く。桜の花弁に混じり、深紅の花弁が舞う。
深く腹部を抉られた為虎が膝を付く。臓腑に届き得る深手に、唯一視線だけは逸らさないとヒヨリミを睨む。
「させない!」
片目を赤く染めた翠華が、割り込んだ。刃が二刀にマフラー二刀、偶然にもそれは、翠華も同じだった。
マフラーのように擬態したUDCが、ヒヨリミに迫る。両の腕を伸ばす様に奔る腕は、一本がばっさりと斬り裂かれ一刀が翠華を貫く。翠華の悲鳴の叫び、UDCの怨嗟の叫び。それは失ったヒヨリミの視界から、その体を貫いた。
胴を穿った五指、ごきりと握りしめたソレは、影朧の核たる物を砕く。
桜の癒しの中、次の命へと影朧は廻って逝った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
天野・白蓮
(アドリブ連携絡み歓迎)
…嘗ては相応の剣道場の娘さんで血気盛ん、腕に覚えあり。
それが仇となって下手人に殺され、下手人無き今…振るうは目的なき狂人の刃…か。
おっと…、こいつらは影朧の手先かね。とすれば…目的のお嬢さんの到来も近いかね?
まぁ…まずは(二本の木刀を構えて)、仕合う前の準備運動と行くか。
(POW)
台風の様にぐるぐる回って威力を高める気か?その動きを絶えず
『見切り』弱点を見破る、そして回避した後に『カウンター』で
『選択UC』を発動し、布っぽい体をちょいと斬らせてもらうよ!
「おっと…、こいつらは影朧の手先かね。とすれば…目的のお嬢さんの到来も近いかね?」
真剣の二刀を操るヒヨリミと、木刀の二刀を操る天野・白蓮(『帝都』を守護する一振りの金剛・f22771)。木刀とはいえ、嘗ての歴史でならば実戦で使われたこともある代物、猟兵の操るそれは十分に武器足り得る。
ぐるぐると回って威力を高める。言葉だけならば些か間抜けにも思えるそれだが、白蓮に油断は無い。
当然だ、嵐のように舞うヒヨリミに不意に触れれば、五体の何れかを奪われても不思議などない。
豪、と風を裂いて迫る双剣。それを、静かに見据える。剣士が戦場において、己の全てを見せねばならない事はそうは無い。自身の一撃を最高へと昇華すれば、それで事は足りる筈だ。
正面から受けるは言語道断、鋼すら断ちかねない刃だ、いかなこの神霊木刀とはいえ只では済まないのは見えている。幸いこちらも二刀、手数での負けは無い。
一足、こちらも敵へと踏み込む。肩口に走った熱は、避けきれなかった己の甘さか。流れる赤と共にそれを清算、更に迫る一刀を見据える。
「ふっ…!」
呼気と共に、木刀を振るう。刀身ではなく、柄の石突を下から跳ねるように。コンマ単位でタイミングを見切り、ヒヨリミの刀身に当てる。
ゴッという衝撃。見た目以上に重い刃だが、剣筋を逸らすには十分すぎる。巻き込まれた黒い髪が数条舞うが、問題なし。
返す刀、もう片割れの木刀を薙ぐ。その名の如く、修羅(おに)と成れと。
神霊木刀・『修羅刃』が刎ねる。鈍器である筈のそれが、真剣そのものの鋭さを以て。
斬ッッッ!!!
【帝都式抜刀術・無骨一閃】。文字通りの、一閃。それ以上もそれ以下もない、只一つ故の極致。
首と胴が別れたヒヨリミから、血のように桜の花弁が舞う。その流麗に酔うよりも、白蓮は相対した相手の業を賞賛する。
「俺の返し技に、更に重ねてくるとは、な。」
ぽたりと、雫が落ちる。最期に放たれたのは、刃と化したマフラー。目算すら付けられず本能で放ったのだろうそれは、過たず白蓮の首を削ごうとして。掲げた金剛刃によって、その本懐を成せずに終えた。
想像以上の鉄火場。その悦に、その熱に、刃の音が応えた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『辻斬り少女』
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POW : 【先制攻撃型UC】血桜開花~満開~
【対象のあらゆる行動より早く急接近し、斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD : 【先制攻撃型UC】絶対殺人刀
【対象のあらゆる行動より早く急接近し、殺意】を籠めた【斬撃】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【急所、又はそれに類する部位】のみを攻撃する。
WIZ : 【先制攻撃型UC】ガール・ザ・リッパー
【対象のあらゆる行動より早く急接近し、斬撃】が命中した対象を切断する。
イラスト:久蒼穹
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アサノ・ゲッフェンルーク
※真の姿:古き文字の羅列。動作は全て水鞠さんが行う。
よーし、水鞠さんと一緒に頑張ろうかな…って、え?
「僕も遊ばせて」
泡沫ノ長杖から人の姿になって、魔筆士と交代するよ
先制攻撃?
特に興味はないけど、命中したモノを何でも斬るんだね
じゃぁ、水属性攻撃の水刃を極限まで圧縮だね
鋼を砕ける強度まで圧縮した水刃を敵に目掛けて撃ち放つよ
避けるなら、面白いね
楽しいコトも面白いコトも好きだよ
スナイパーの技術と2回攻撃の速さで当たるまで撃ち続けるよ
「当たらないと意味がないけどね」
当たればいいよ、当たればね
…なに?作戦も無くて子供っぽいって?
別にオトナとかコドモとかどうでもいいよ
楽しければね
(アドリブ、連携、歓迎です)
伊能・為虎
(アドリブだいかんげいだよ!)影朧のお姉さんだ……
悲しい事件の被害者さんだけど、無差別に危ないことをしていい理由にはなんないよね……!
(狗霊の本質は霊であり呪詛。ほろほろと紀州犬の形が変わり、頭だけの姿に)(動きやすくなって嬉しそう)
さぁ、わんちゃんもうひと頑張りだよ!
めっちゃくちゃ早いね、接近に合わせて距離を取るヒマ無さそうだ
斬って離れる前に、こっちも攻撃できたら《二回攻撃》
場合によっては《串刺し》でちょっとでも動きを止められたらいいかな……
僕とわんちゃん、対象に入らなかった方がすぐ攻撃できるようにしたら、隙も減らせるかな。やってみるよ!
ゆらりと、桜色の陽炎が揺らいだような気がした。
桜の花吹雪が舞い散ると、そこに猟兵と相対するように、一人の女学生が立っている。
腰に据えた一振りの刀が、彼女が猟兵達の倒すべき影朧であることを示していた。
「よーし、水鞠さんと一緒に頑張ろうかな…『僕も遊ばせて。』…って、え?」
アサノ・ゲッフェンルーク(白耀の魔筆士・f00499)が泡沫ノ長杖を構える。と同時、そこから不思議な声が響く。
女性のような、ヒトでないような、そんな声。
その主が、杖から人のカタチをとって顕現する。
水そのもののような青い髪、否、水そのものの髪だ。水鞠さんがその姿を現した事に、アサノは納得を示し一歩下がる。
両手で宙に浮く水を操る彼女もまた、少し遊んでみたいのだ、と。
その存在、それそのものを、敵と認識したか。女学生が、動く。
「っ!?」
正しくは、動いた、というべきか。
あらゆる先の先で閃いた切っ先は、アサノはおろか水鞠さんですら反応しきれない程の一太刀。
気付けば全てを切断しているような、異様な刃。
それが、寸でのところで防がれていた。
ぎゃり、ぎゃり。
嫌な音を立て、女学生の刀と伊能・為虎(天翼・f01479)の妖刀が鬩ぎ合う。
「悲しい事件の被害者さんだけど、無差別に危ないことをしていい理由にはなんないよね……!お姉さん…!」
「ありがとう…!」
水鞠さんが弄んでいた水へと命じる。
空中で途端に形を変えたソレは、一つ一つ独立した刃となり、一斉に女学生に殺到した。
【蒼硝子との遭遇】、百を超える水の刃は、脆い硝子のように見えてその実、鋼にも匹敵する程の圧を得た凶器だ。
内包する危険を察知した女学生が咄嗟に引く。無論、その程度でどうにかなるようなユーベルコードではない。追尾する水刃。
静かに、女学生が刀を抜く。刹那、響いたのは鈴のなるような涼やかな音。
自身に迫りくる水刃全てを斬り払った、その偉業。宙に散った水滴と、桜の花弁が混ざり合い、幻想的な空間を作り出した。
そこに、異物が挟まる。
「当たらないと、僕の水刃も意味がないけど…当たるのは、僕のじゃなくてもいいよね?」
「うん、わんちゃん!もうひと頑張りだよ!」
獣の咆哮が響く。水滴と桜のカーテンを突き破り、狗霊の首が女学生にその牙を突き立てる。【疾駆する狗霊】、為虎の相棒たる狗霊の全霊。
刀を盾に受けるも、勢いを殺すにはとても届かない。左肩を引き裂いた狗霊は、満足気に主を見やる。
次の瞬間、その首は無情にも両断される。悲痛に顔を歪めるも、その向こうから姿を見せた女学生を見れば自然顔が引き締まる。
一足、女学生が地を蹴った。反応したのは水鞠さんだ。咄嗟に打ち出した水刃は放射状に広がり、女学生の動きを少しでも封じるのを狙いに矢鱈滅多と放つ。
「…っ。」
だが、面が広いということは点は脆いということだ。僅かに足を留めようと、易々と斬り払うような手合いには時間稼ぎにしかならない。
再びと間に割って入った為虎が妖刀を振るう。上段からの袈裟懸け、一太刀で相手を仕留める気概は、外見不相応ですらある。
それが、柔らかく受け止められた。妖刀を絡め取り、衝撃を感じさせず柔らかく受け流すなど一体どういう業か。
流れるように、為虎の胴に灼熱の痛みが走る。
斬られた。そう認識した時には、喀血が口を満たす。
繋ぎ止める間すら与えられず消える意識の最後に。水刃で女学生を引き剥がし自身を助ける水鞠さんとアサノが視界の端に映った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
紬雁・紅葉
『地国』で参陣
この世界の刀技、如何程の物か…楽しみです♪
羅刹紋を顕わに戦笑み
宴様に合わせ移動
敵の攻撃の機兆を見切り十握刃顕現
残像カウンター破魔空属性衝撃波UCにて範囲ごと薙ぎ払う
敵初撃(自UC発動)時
ほぉ…速く、鋭く、強い…良き斬撃
返せない攻撃は破魔衝撃波オーラ防御武器受けUC等で受ける
窮地の仲間は(特に宴様)積極的にかばいそれすら機としてカウンター破魔空属性衝撃波UCを以て薙ぎ払う
宴様の攻撃に援護射撃(攻撃)で合わせ破魔空属性衝撃波UCを合わせて放つ
良き技!良き刃です!
"剣神"布都主が、貴女をお召しです…
鍛刀を見つつ
妖刀、転生、神成…ご随意に♪
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
宴・段三郎
『地国』
紅葉殿と行動
【目的】 敵を鍛刀し、禍々しい姿の妖刀へと変える 転生させるには惜しい故
【行動】
敵の先制攻撃に対し、【カウンター】、【見切り】を使用
もし相方紅葉が庇ってカウンターを仕掛けるならそれに合わせて攻撃
使用妖刀は
号 『無声慟哭』
号 『木枯丸』
号『化生炉』
まずは壱の太刀、『無声慟哭』 カウンター用に使用する妖刀。できるだけ相手の刀身に刃を重ね、破壊を試みる
次いで弐の太刀『木枯丸』 周囲の幻朧桜を依り代に、桜を紅葉へと変え、刃となりし紅葉を散らして攻撃。【串刺し】、【2回攻撃】使用
参の太刀、『化生炉』 専用U C使用。弱った所を炉の炎と共に【怪力】で何度も打つ
「この世界の刀技、如何程の物か…楽しみです。」
着崩した巫女装束を纏い、猟兵を一刀で地に伏せさせた手合いを見据えて。紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)はふわりと、好戦的な笑みを浮かべる。
その横に立つのは、幾多の刀を携えた少年だ。
「相当の手合いだぞ、紅葉殿。転生させるには惜しい、打てばさぞかし良く斬れる刀となろうよ。」
チリチリと、魂魄を鍛えた妖刀が哭く。敵を、命を欲しているのか。それとも…。
それにこそ、鋼ではなく魂を打つ鍛冶師、宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)としては好ましいのだが。
ふらりと、女学生が二人へと向き直る。一拍、幕が上がった。
ゆるりとした足捌きの癖に一足で懐に飛び込むという異常。羅刹がそれを受けて嗤う。
横薙ぎに払われた刀を、一瞬で顕現した『天羽々斬・十握刃』で受け止める。
「ほぉ…速く、鋭く、強い…良き斬撃。」
痺れるような衝撃。そして何より、カウンターを狙った紅葉がそれを差し込む余裕を与えない速さに、笑みが深まる。
「宴様!」
「応よッ!」
紅葉の影から段三郎が飛び出す。手にするは、刀を砕き破砕する妖刀『無声慟哭』。下から跳ねた切っ先が、女学生の首を狙う。
刹那、ゆるりと弧を描いた女学生の刀が『無声慟哭』を払う。刃を重ねるだけでも剣士に致命を与えかねんその妖刀。しかし、打ち合った瞬間主たる段三郎は僅かに笑みを浮かべた。
返す袈裟斬りを割り込んだ紅葉が受ける。重い攻撃に、口元が美しく歪む。
「いかがです!」
敢えて一足下がる。緩んだ力の隙に自由を奪い取ると、横薙ぎに放った衝撃波。範囲事薙ぎ払えば足止めには有効であろう。
それが、次の瞬間破られる。只一閃、桜色の燐光を覚えるような斬撃。斜めに走った斬線に従い、衝撃波が二つと裂ける。
「『無声慟哭』は刃を重ねてこそ意味がある。刃ではなく腹を打たれては妖刀も形無しか。」
波を潜り抜ける女学生が狙ったのは段三郎。彼方から伸びるような斬撃はその距離を惑わし、『無声慟哭』を持つ段三郎の腕を斬り裂く。
握力を無くし、手から離れる妖刀。代わり、逆の手に持った次の妖刀を振り下ろした。
「吹け、『木枯丸』!」
打ち合う両者。途端、周囲に散っていた桜の花弁が落葉の刃と化し、女学生へと襲い掛かる。
静かに下がり、降り注ぐ無数の落葉刃を斬り払う。雨霰と降るそれすらも容易く払う手合いに、笑みを浮かべ修羅が迫る。
「良き技!良き刃です!"剣神"布都主が、貴女をお召しです…。」
一挙手一投足に衝撃波を纏い、紅葉が落葉の中肉薄する。全ての斬撃が嵐となり、直撃こそ凌ぎつつも女学生を苛んでいく。
だがそれは、紅葉も同じだ。只でさえ負荷の大きい【巫覡載霊の舞・八威刃】だが、手合いの業は神霊体となった紅葉ですら未だ届かぬところにある。
先の先を衝く斬撃、刺突は十重二十重と剣戟を重ねる内、紅葉の腕を、腹を、足を裂く。
血で染まる衝撃波に、先に屈したのは紅葉の方だった。
刺突が深々と彼女の腹を貫く。貫かれた臓腑は、一つではなさそうだ。血の味を噛みしめ、一つ、嗤う。
「宴様ッ!」
「鍛刀、『化生炉』。火造りの時だ…!」
豪炎を呼び、参の妖刀を手にした段三郎がその刃を叩き付ける。
爆炎と共に、二度、三度と重ねる剣戟。次の一太刀をと翳した時、紅葉の体が段三郎に投げ付けられた。
斬る訳にもいかない相手、咄嗟に受け止める。刻み込まれた傷と血で見る影もない彼女の様。
思うところがない訳ではない。【地国炉開闢】の炎が、更に猛る。
瞬間、それが二つに別れた。
「ッ…。」
袈裟懸けに走る灼熱の痛み。妖刀を支えに、膝を付く屈辱。
斬撃と炎でぼろぼろになり、しかしその思いを何も見せることなく。女学生が二人を見下ろしていた。
成功
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天野・白蓮
こらこらお嬢様、そんな危ない物振り回してちゃいけませんよ
其れよりあそこで「くりーむそーだ」でも一杯…って問答無用かよ?!
(先制攻撃UC発動されて)
だが先制される分には問題なし!
こちらは『急接近からの斬撃』を『見切り』に徹し、回避からの
『カウンター』狙い、所謂後の先を狙う
…理由あるにせよ、辻斬り紛いの人殺しを続けたお嬢様
放って置かぬにしても、桜に返す前に荒ぶる心は沈めるべきだ。
木刀・金剛刃に『UC』で『霊力』と『破魔』の加護を宿し
返し技のカウンター時にコレで斬る、身ではなく心をな
…次生まれるときは、刀なんて持たないお嬢様になってくれよ…。
『祝清』!
美国・翠華
【アドリブ歓迎】
私より素早く動ける?…それなら…
【戦闘】
私も先に攻撃を仕掛けるようにしようとするけど
多分こっちよりも素早く動いて攻撃を仕掛けてくるわね
きっと私自身は胸を切り裂かれて使い物にならなくなるわ
…それなら相手の攻撃を受けた後にUDCに攻撃を委ねさせるしかないわね…
その後で真の姿を発動させて攻撃を仕掛ける。
たとえ急所を破壊されたとしても、UDCが動かしているなら
もはや意味はないはず…必ず倒すわ。
「こらこらお嬢様、そんな危ない物振り回してちゃいけませんよ。其れよりあそこで「くりーむそーだ」でも一杯…って、そんな軽口叩ける様子でもない、か。」
最早死に体にも近い女学生の有様に、天野・白蓮(『帝都』を守護する一振りの金剛・f22771)が木刀、金剛刃を構える。
それに応えるように、女学生がその刀を向ける。猟兵の血に濡れた刃だが、刃毀れの目立つそれは。彼女の今の有様を現しているようだった。
「…色々あったのかもしれないけど。ここで必ず倒すわ。」
美国・翠華(生かされる屍・f15133)がその両手にナイフを構える。動くことが不思議な女学生の様子だが、それでもここで逃せばまた犠牲が生まれかねない。ならば、ここで…。そう、彼女が意思を固め一気に踏み込もうと身構えた時。
一足で踏み込んだ女学生の斬撃が、翠華の胸を引き裂いた。
「ッッ!?」
何が起きたのか解からない。返す刀で刃を振り上げた女学生の前に白蓮が割り込み、金剛刃で刀を受け止める。
「ッ、らぁ!」
そのまま蹴りで女学生を力尽くで引き離す。動きが鈍っているのは違いないだろう。だというのに、その業の冴えが変わらないのは剣士として生きたが故だろうか。
「やっぱり、私より早い…なら…うぐっ、あ…あああ!!」
体を抱きかかえるように、翠華が呻く。その声音が、少女のそれから異形のそれへと変わっていく。
マフラーへと擬態しているUDCが表層に、無数の手を背後に携えた異形へと。【UDC「名状しがたき加虐者」強制憑依】によりその様を変えた翠華が女学生へと踏み込む。
両手のナイフと背の無数の異形、それらが殺到する。
それが斬り飛ばされる痛みに、彼女の宿すUDCが咆える。押しつぶすように肥大したそれが襲い掛かり、その端から薙ぎ払われた。
「俺も忘れんなよっ。」
踏み込んだのは、白蓮だ。彼女が横溜めに振り払った刀を、金剛刃で真上から叩き落とす。
ガンッ!!
と強い衝撃。握力すら失ってきたのだろう。彼女の手から、これまで離れる事の無かった刀が地に落ちる。
その隙を突き、異形が襲う。強かに彼女を打ち据え、その動きを止めた。
ゆっくりと、動きを止めた女学生に白蓮が歩み寄る。
振り翳すのは、霊木を鍛えた金剛刃。
「桜に返す前に荒ぶる心は沈めるべきだ…。祝清ッ!!」
一閃。
袈裟懸けに叩き付けられた金剛刃は、女学生を断つ。その身ではなく、その心を。
歪まされてしまった、その心を断つ【強制改心刀】。
彼女の姿が、桜の花へと溶けていく。最期に一つ、やっと。年頃の少女らしい笑みを浮かべて。
「…次生まれるときは、刀なんて持たないお嬢様になってくれよ…。」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵