4

都のブン屋とイェイガァ

作者：県　鼎

●ブン屋が憎くてたまらない
　私の家業は新聞が書き立てた嘘八百につぶされた。
　私の夢は新聞が嗅ぎ付けた恋人との逢瀬の記事でこわされた。
　私の作品は新聞の批評にけなされて売れなかった。

　あぁ憎い、憎い、憎い。
　新聞屋が憎い、新聞が憎い。
　こんなに憎けりゃ、いっそ殺してしまおうか。

●ブン屋は恨みを買いやすい
「サクラミラージュのオブリビオン“影朧”は、UDC怪物やヴァンパイアみたいな連中に比べると絶対悪というわけでも無いらしいが……」
　少し複雑そうな表情で君津・輪太郎（悪滅の旅客・f22070）が話を始める。彼はオブリビオンの討滅を目的としているので、相手に同情の余地があるとやりにくいのだろう。
　が、その点は割り切ることにしたようだ。
「……すまんな、これは俺個人の感情の問題だ。アンタ達はアンタ達なりにやってくれ」

　閑話休題。
　今回君津が語るところによると、新聞屋を積極的に狙う影朧の存在を察知したのだという。
　その新聞屋は清廉潔白な方であり、彼が影朧に襲われるのは筋違いのようだが、それは影朧がらみの事件では割とよくあるすれ違いらしい。
　影朧自体は新聞に恨みを持つ怨念の寄せ集めであり、そこまで脅威的な存在ではない。油断をしなければ負ける事は無いだろう。
「で、まずターゲットになっている新聞屋に近づくために、最初は彼に記事のネタを提供してやってくれ。
　んで、そうやって新聞屋がネタに目を輝かせている所に、件の影朧が食いつくってわけだ。そこを撃退してやるってのが今回の依頼だな。
　新聞屋はいい記事のネタを捕まえられるし、俺達はオブリビオンをぶっ飛ばせる。ぶっ飛ばされた先で、良くすれば真人間に生まれ変われるかもしれねぇ。誰もがハッピーになれるいい仕事だぜ、いいだろ？」

第1章 日常 『君、ちよつと聞かせてくれたまゑ。』

POW   :    敵を倒して活躍したときの話をする。 SPD   :    類稀なる技量で窮地を脱したときの話をする。 WIZ   :    閃きや機転で困難を突破したときの話をする。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●驚嘆！帝都を守るイェイガァの活躍
　はじめまして、君が話に聞く猟兵なんだね？
　あぁ、ここのカフィとパフェは僕がごちそうするから、話しながらでも好きに口にしてくれ。ここの喫茶店のはうまいぞ。
　おっと、改めて自己紹介すると、私は帝都の某新聞社の記者をやっている某というものだ。
　猟兵やユーベルコヲド使いの記事は、大衆にもウケがいいし活躍の宣伝にもなる。だから、こうやってネタを提供してくれるのはありがたい。
　早速だが、君の活躍を聞かせてもらってもいいかい？君の活躍を記事にしたいんだ。


【風月を愛ずイェイガァ　詩歌に通ず】
　猟兵とは只いくさに明け暮れる者であるといふ認識の読者諸君も多いのではあるまいか。小生も其の様な認識が些かなれどあつたことは否めぬ所である。
　然し、いくさ人なれど猟兵も人と感性を同じくし、時に風月を愛でる事もあらば詩歌を吟ずる思ひを生ずる事もあるといふものだ。
　小生が会つた松月・撫子（詠桜・f22875）は桜の精の猟兵であり、故に桜に対する情の深き者である。故に桜の歌を詠む事よく、その感性は我々新聞記者をもハツとさせるものであつた。
　今回は彼女の達ての希望もあり、彼女の詠みたる二句を紹介致す。

　花は八重 心九重 君とおし

　この句は八重桜を無心の序詞とし、人想ふ心を九重に重ねんとするも現実には中々に心遠きものであるといふ憂ひを詠んだ句という事である。
　八重と九重、更に十（とお）と遠くなりゆく数を掛け、距離が縮まる事むつかしきといふ様相を好く表したる物であるやうに感ず。思ひ通づ事ままならぬ恋の憂ひをよく表したる一句である。

　散りてなほ 美しきもの 花想い

　花と想ひの美しさたるや、散りて後もなほ美しく輝ける様ありやという一句である。
　撫子嬢が語るに、散りて美しき桜がある故に、悲恋も又美しきものとして世に伝わるものであるといふ。
　平安時代には人々は桜の散りたるを憂ひ、その物思いをこそ詠み後世に残せり。さのような感性は現代にもなほ通じるという事であろう。

　以上の二句をここに記す。
　猟兵は日々いくさに身を投じるがゆえに、世の物事への感性を鋭く持ちうるのではないかと小生に考察せしむる、素晴らしき歌曲であつた。

成功 🔵​🔵​🔴​

【銀河戦争、誓ひの猟兵の機転みごと】
　読者諸君は遠大なる宇宙の果てを夢想した事はあるだらうか。
　多彩なる世界を廻る猟兵の中には無際限なる銀河の果てに戦ひし者も多く、エレクトゥス・レヴィン（誓兵・f11060）も復たその内の一人である。
　銀河帝国なる大勢力が二大巨頭、未来を操る白騎士ディアブロ。エレクトゥス氏はかくも強大なる将に立ち向かふ。
　エレクトゥス氏は当初バイクによる弾幕を張りつつの突撃を試み乍らも、誓約を強ひる事にて致命傷を与へる白騎士のユーベルコヲドの一撃を受く。
　然しながら、エレクトゥス氏は己の行動に制約を附する事により力を増すユーベルコヲド【乙型略式履行】を有しており、その発動の為に敵の誓約に従ひて武装を解き、三分もの間白騎士のビイムを躱し抜く。
　三分の誓約が達せられると共にエレクトゥス氏は最大の能力を獲得し、F型衝撃波弾頭弾なる銀河兵器にてビイム砲の格納部を撃破。自身は敵の反撃を受け継戦の不可となるも、多大なる戦果を得るに至る。
　今回の話を聞き、小生はエレクトゥス氏の機転と胆力に賞賛の意を表す。絶対先制にして威力最大、其の上に対手の攻撃は絶対回避。其の様な無理難題たる相手を前に武器を解く事、作戦の内と云へども想像に難き胆力なり。
　復た己の制約を要するユーベルコヲドと敵の制約を強いるユーベルコヲドを逆手に取り、無双たる武勇を得る機転も流石なり。かのやうな戦術と能力に、猟兵の歴戦たるを感じ只〃驚嘆するのみである。
　処で、遠き銀河の果てのいくさとは、これまた想像に難き事なれど、実にロマンチズムを感じる光景なりや。

成功 🔵​🔵​🔴​

【鮮やか七変化　邪神もおのゝく変わり身術】
　鈴木・志乃（ブラック・f12101）は、我々の世界から見てやゝ未来に近き世界にて、邪なる神が人に描か使むる絵画を追ふ。
　その絵画は展覧会に飾られしその時、不浄なる儀式の一端を担い邪神を降ろしたるというおぞましき呪具となりぬる。
　鈴木女史は重ねゞの調査にてか細き糸を手繰り寄せるかの如く気配を追い、その絵画の飾らるゝ展覧会を突き止めるまでに至れる。
　然れども飾る絵画ぢつに多く、目的たる絵画の場所を突き止めるは至難のわざ。そこで彼女はある作戦に出る。
　絵画の場所を知る警邏に場所を尋ね、目的の場所を突き止めむとした。それでも猶警邏は口固く、我々の世界と違ひ猟兵の存在を知らず只教えを乞う事は難しき事なめり。
　そこで鈴木女史は作者の叔母を装ひ、身内として絵画の場所を伝えるよう警邏の者に乞ふ。
　小生はその時に鈴木女史が化けたる老婦の姿を見せてもらつた。鈴木女史は元来うら若き女子の姿にあるが、我々にユーベルコヲドにて変化せし姿を見せた時は、まるで七十八十の齢を重ねし老婦の如き姿と声色にあつた。まさに見事、七変化と呼ぶべき変化なり。
　彼女の姿と粘り強き交渉を通じ、警邏はとうゝ彼女に絵画の場所を伝へるに至る。其の情報を元に彼女ら猟兵は見事儀式を阻止し、不完全なる邪神を打ち破ること能へり。
　鈴木女史の演技は見事なれば、小生も是非ともこの世界にてスタアの如く華々しく演ずる姿を見てしがなと思ふ所である。

成功 🔵​🔵​🔴​

【世界多く廻る英雄　人の笑顔を守る決意のほど】
　草野・千秋（断罪戦士ダムナーティオー・f01504）は時としてraduなる名で歌謡を歌ひ、時としてダムナーティオーなる名でスタァ的英雄行為を決行し、時として駄菓子屋を営むマルチな活動を行ふ猟兵である。
　猟兵としての経験豊かにして数々の世界で冒険を行ってきた彼は、小生に想像さへ及ばぬ数多の冒険譚を語りき。その多彩なる活躍に小生は眩暈すら覚ふほどであった。
　例へば彼は宇宙に出た。我々が住む惑星の外には無限の星々が輝ひているが、その星の元へと赴き、時には天に浮かぶ月すら至ると云ふ。
　他にもサムライ道の世界にて、第六天魔王・織田信長と刃を交へたりと彼は云ふ。我々の世界でも織田信長は古の時代に天下を戴く大名として名が知れるが、驚く事に彼もまた影朧の如くにユーベルコヲドを使ふ魑魅魍魎であり、猟兵と干戈を交えたと云ふ。
　彼曰く、他にも御伽噺の世界にてアリスと呼ばれ、記憶も無く放浪したる少女を人喰らふ花やオウガと呼ばれる化物のチェシャ猫より守り、元の世界へと帰したると云ふ。
　多彩なる世界を廻りし草野氏であるが、彼曰くその時その時のいくさの勝ち負けよりも、いくさに猟兵が挑む事により人々を救ひ、笑顔を取り戻す事こそが大事であると語る。
　この世界は僥倖にして人々の暮らし営みは平穏たるものであるが、他の世界も同じであるとは限らず。故に彼ら猟兵は人々を脅かすものに立ち向かふ所存である。

成功 🔵​🔵​🔴​

【人々に救ひあれ、猟兵の慈悲いと深し】
　第一に、桐島院・師走（シザーレッグズ・f20989）氏は御伽噺について信ずるか小生に問ふ。
　師走氏の語りし御伽噺は、人食い花木の繁茂する世界に迷ひし少女の物語。少女は心の瑕疵深く、また己の事を覚えたる物を失ひき。斯く如き物語に師走氏は足を踏み入れ、少女を守り共に進みたる。
　時には猛々しき怪物と面しながらも、覚悟一層固く前に進み、少女の盾としていくさに臨まんとす。槍を振るひ、鋏を振るひ、ともがらたる猟兵と共に怪物を打ち倒せり。
　斯くて少女は元の世界へと戻る扉に至る。元の世界は少女にとって決して安寧なる世界に非ざれど、少女は師走氏との放浪にて勇気を知る。過去と向き合ひ、未来へと前進す、そのやうな気高き勇気なり。
　師走氏は常に少女の心に寄り添ひ、彼女が道を見出したる契機を作り出せり。其れは偏に師走氏の慈悲の深さに寄るものと云へよう。
　“誰にでも何時かは救ひがあらん”……さう師走氏はパフェに舌鼓を打ち乍ら、彼の信条を語りき。

成功 🔵​🔵​🔴​

【スタァ語りき、炬燵の温もり銀河を温むる】
　国民的スタァの一面も持ちたる河原崎・修羅雪姫（プリンセス・スノーブラッド・f00298）女史は、堂々たる態度にて過去に戦ひし日について小生に語りき。
　時は遠き世界の昔が銀河帝国大戦、機械戦士集ふ『全世界サイボーグ連盟』と共に『帝国騎士』と対峙せり。
　戦況凄まじく一進一退、共に向き合ひ動じたる事なく。さて全サ連が取り出したる武装の名を聞き、小生は仰天せり。
　なんと炬燵、それを模した鋼鉄の兵器が、而も錬結合体を遂げ熱く強大なる姿と成り、帝国騎士を打ち破ったり。
　全サ連の勇士達曰く、強大なる炬燵兵器は凍えし心を包み温めるものであり、勇士達が帰りし地であり、共に入れば楽しく、共に入れば輩となり、遂には騎士どもが仕へる帝国と根源を同じくすると答へり、と修羅雪姫女史は語りき。
　偉大なりや炬燵、その熱量は帝国騎士を薙ぎ払ふのみに非ず、彼らの魂すらも温もりにて包み、さうして天へと還したる。
　アナヤ、炬燵の定義とは一体何たるものぞや。小生は目眩みて己に問い返したるも、考へども答に至らずして、ただ彼女の語る炬燵の温なるに想ひ馳せるのみである。
　只一つ云へる事は、炬燵とはげにすばらしきものであるという事なめり。

成功 🔵​🔵​🔴​

第2章 集団戦 『ヒヨリミ』

POW   :    ヒヨリミ台風 予め【二本の刀を掲げて空中でくるくると回転する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。 SPD   :    ヒヨリミボディ 自身の肉体を【刃のように触れるものを切り裂く布】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。 WIZ   :    無縁火 レベル×1個の【血のように赤い色】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●現出！群れたる影朧の姿
　いやぁ、実に聞き甲斐のある話を聞かせてもらえたよ。
　君達猟兵の経験は僕からすれば想像の遠く及ばない話だけど、それでも君達が過去に色々な戦いを生き残ったり、色々と深い事を考えて戦っているんだなぁ、って。
　ありがとうね、君達。早速この事は記事にして――――うわあぁぁ！？
　出た、出たぞ影朧！話すのに夢中で近付いている事に気が付かなかった！
　……えっ？君達の本当の目的は、この影朧を討伐する事なのかい？なんと、今この場で戦って見せるのか！？
　目の前で猟兵の戦いを見られるとは、こりゃ記者冥利に尽きるといったものだ！折角だ、この戦いも記事にしてみせようじゃないか！
　ささ、遠慮せず戦ってくれたまえ！


　先刻絵画の怪について語りたる鈴木・志乃（ブラック・f12101）女史、影朧を見るや否やユーベルコヲドを発動。神聖なる光輝にて其の身を覆ひ、臨戦態勢を整ふ。
　空中にて刀を掲げクルゝと廻るヒヨリミに対し、さのやうな隙は与へじと砂粒を巻き上げて視野を塞ぎ、神速にて疾走し迫る。
　ファンシィな小槌を手に持ちたる志乃女史、空中より振り下ろす一撃！可愛らしき見た目から想像できぬ、二頓にも及ぶと云ふ重き一撃が、フワゝと舞ふヒヨリミの身を見事砕きたる。
　数に勝れるヒヨリミに対し、志乃女史は着実なる戦ひを繰り広げる。数を減らす事を焦らず、素早き飛翔にて攪乱し乍らも一体ゝを着実に打ち砕きたる。
　ヒヨリミが包囲せんとする時は魔力の波濤にて敵陣を崩し、常に安全なる位置を心掛けたり。刀にて仕掛けるヒヨリミに対しては光の鎖にて振り回す刀を受け、鮮やかなる手捌きにてその身を縛れる。
　ヒヨリミの相手は苦手なれどと語る志乃女史ではあつたが、見事なる戦ひぶりに小生もオオと唸る。己の技能を堅実に活かし戦ふ様は、一線にて活躍したる猟兵の様を感じられた。

成功 🔵​🔵​🔴​

　かざぐるま　我台風と　名乗りけり

　松月・撫子（詠桜・f22875）女史、影朧ヒヨリミを見るや否や一句。台風を名乗るには可愛らしき風車とヒヨリミを評しつつ、彼女もユーベルコヲドを詠唱す。
　ヒヨリミは紅き無縁火を多く放ち機先を制せんとするも、ユーベルコヲドにて紡がれし桜吹雪が彼女を包み、小さな無数のほむらはたちどころに掻き消される。
　無縁火が止みて後、撫子女史の召喚せし銃持つ男女が花吹雪の内より現る。二者はリボルバーを手に握り、息のピタリと合った連携にて次々とヒヨリミを狙ひ撃つ。
　ヒヨリミの布の身体に次々と風穴が空き、蜂巣の如くに撃ち抜かれた者から次々と倒れ伏す。近寄りて刀にて斬らんとする者あらば、男女も刀にて応じ二刀を受け止め銃弾にて返礼す。
　“花の下にて春死なむ”なる撫子女史のユーベルコヲドは、撫子女史自身は戦へず己が傷付く事も避けねばならぬため、なるべく遠き所に立ちて遠間を保ちつつ戦つていた。
　故に大きくヒヨリミの数を減らす所は無くとも、状況を確かに保ちつつ着々と駆逐せり。

成功 🔵​🔵​🔴​

　全世界サイボーグ連盟、帝都の此の地に集結せり！
　常人には最早持ち上げる事すら能わざる程に巨大なリボルバーの拳銃を静かにピタと構えるは、連盟が長たる河原崎・修羅雪姫（プリンセス・スノーブラッド・f00298）女史。
　その隣に立つは無数の武装を構えし草野・千秋（断罪戦士ダムナーティオー・f01504）氏。輝かしきヒーローの姿は堂々として、その威光に小生もヤヤ気圧されたる所ありき。
　一対の槍「極月・氷月」、更に脚として備えし「春待月」、計四刀を同時に構えるは、慈悲深き御使いたる桐島院・師走（シザーレッグズ・f20989）氏。戦いを前に小生をオーラにて守る慈悲深さを見せ乍らも、最前線にて堂々と立つ。
　エレクトゥス・レヴィン（誓兵・f11060）氏はその身に雷光眩きほどに纏わせ、今かゝとその機を待ちたる。
　鋼の旗の元に集へる4名は威風堂々にも立ち並び、今にも決戦の火蓋切つて落とさんとす。小生も話に聞くサイボーグ連盟の集結！最早小生の心身も此れより開かれる戦端への興奮にフツフツと沸き立ち、今か今かと激突の瞬間を待ち望む様相であつた。

　先ず動くはエレクトゥス氏。機先を制せんと放つユーベルコヲドの雷撃が走り、的確にヒヨリミを撃ち抜く。同時にブンと疾駆せる身が躍り、ヒヨリミの布の一撃を雷撃にて射ち落とし乍らも雷撃が如き速度で肉薄、鋼の脚が砕けむばかりの勢いでヒヨリミ達を踏み付け、ヒヨリミのユーベルコヲドを封じたる。
　続き動くは師走氏、両腕の槍と両脚の鋏を翻して一気呵成！エレクトゥス氏の拓きたる敵陣の隙に其の身を潜らせ、双つ槍が跳ね、鋏脚が断つ。対手に反撃の機会を与へぬ苛烈な攻め様！エレクトゥス氏の拓きたる好機を更に広げんとす。
　盟友が作りし千載一遇の好機に攻め入るは、千秋氏のアサルトウエポンなる銃火武装の一斉発射！無数の煙が網を張るように弾丸の尾を引き、着弾と同時に七色の爆風がドムドム！と派手な音を上げ乍ら戦場を染むる。其れは当に戦場に咲き乱れる色鮮やかなる華の如し。その爆風に吹き上げられ、散りしヒヨリミの紅い布が天に散り桜の如く鮮やかに舞へり。
　鮮やかなる百花繚乱の隙間を縫うが如く、修羅雪姫女史の銃弾が突き抜け、爆風の間に残れしヒヨリミを一撃のもとに突き破り散華しむ。ひとたび引き金を引く毎に重き音が響き渡り、同時にヒヨリミが爆ぜる。直後に修羅雪姫女史はササと素早く立ち位置を転じ、対手を能く狙へる場から再び撃つ。
　彼ら同盟の見事なる連携攻撃、小生もオオと只息を呑むばかりであつた。

　然れどヒヨリミ数多く、同盟の一斉攻撃にて其の数を大きく減ずるも、一部は未だ健在なり。
　攻撃から逃れしヒヨリミは空に舞い、クルゝと天に廻り、その後に突撃せり。其処に修羅雪姫女史の銃撃が次々とヒヨリミを射ち落としたるも、全てを落とすには至らず残れるヒヨリミの紅き姿が修羅雪姫女史に迫る。
　其処に割り込む影二つ。千秋氏が盾を構えて突撃を受け止め、痛みに耐え乍らも笑みを張る。師走氏が四刀にて刃を受け、キンと大きく弾いて大きく隙を作る。仲間を傷付けさせじと、彼ら二人は奮戦せり。
　広がる間隙を見逃す彼らでなし。エレクトゥス氏は取り出したる短機関銃にて彼らの隙を過たず狙い撃ち、修羅雪姫女史も復た華麗かつ剛力なる足捌きと共に、次々とヒヨリミの数々を撃ち落としたる。
　仲間の身を脅かさむとする影朧に対し、お返しとばかりに容赦なく銃撃を打ち込むのであつた。

　嗚呼、素晴らしきは全世界サイボーグ連盟。
　あれほど多く居たヒヨリミを全て駆逐せり。また周囲の被害も過小なれば、あれほど派手な戦ひ振りにも関わらず彼らが市民を傷付けることを忌避するよう心得て戦へることにも驚けり。
　これぞ世界を廻りし歴戦の英雄たる猟兵の勇姿なるか。小生も想像を上回る彼らの奮戦ぶりに思わずウオオと声を上げり。
　斯く如き興奮は眼前にて見ねば伝わらじと思へど、当時の興奮を少しでも読者諸君に伝へんと思ひて小生は筆を執るなり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『影竜』

POW   :    伏竜黒槍撃 【影竜の視線】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象の足元の影から伸びる黒い槍】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。 SPD   :    影竜分身 【もう1体の新たな影竜】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。 WIZ   :    影界侵食 自身からレベルm半径内の無機物を【生命を侵食する影】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

●決戦！真なる影とイェイガァの対峙
　凄い凄い！話だけでも素晴らしいと思ったけど、実際に見てみるとやはり圧巻だ！
　君達の活躍も新聞にして皆に伝えるよ。じゃあ、今回はありが――――えっ、まだいるのかい？
　うわ、うわわわわ！？本当だ！しかも今までとは比にならない強さの予感がするぞ！
　だけど、君達はあれよりももっともっと強い気がする。じかに見てきた私だから、そう確信するよ。
　頑張れ、猟兵！負けるな！私もこうなったら最後まで張り付いて、もっともっと素晴らしい記事として残してみせるぞ！




　先ずは影朧、一つある身を更にもう一つに分かち、二つの影姿と化して並び立てり。
　二つに増えし影朧、二つの目線で一睨み。其の先に立つはマルコ・トリガー（古い短銃のヤドリガミ・f04649）氏。視線の槍が彼を狙ふ。
　其処に割り入るはルベル・ノウフィル（星守の杖・f05873）氏。視線はマルコ氏では無くルベル氏に刺さり、目標違えどもユーベルコヲドは効力発揮せり。二本の黒き槍がルベル氏の影より延び、身を捻りて急所は逃るるもルベル氏の身をザクゝと刺す。
　黒槍に身体を貫かれつつも、ググと歯を食ひ縛り痛みに耐へるルベル氏。アワヤ窮地と小生は焦るも、庇われしマルコ氏が返礼とばかりにユーベルコヲドを応じ発動す。無数に錬成されし短銃は全て影朧にピタと狙ひを定め、その銃口の全てから赤熱する光条を放てり。
　ジウウと影朧を貫き焼く光線。影朧が怯む間にルベル氏は身を貫く黒槍を斬り払ひ、今一度態勢を整へ直す。こゝでルベル氏はマルコ氏に援護射撃の礼を云ふも、マルコ氏素直ならざれば「助ける形になったのは偶々だ」等と目を逸らしつつ云ふ。
　スワ、此れぞ異界の猟兵の云ふ所のツンデレなる性分なりや。

　仕切り直して第二陣。
　先程の遅れは取らじとマルコ氏が無数の短銃で驟雨の如くに熱線を放つ。散らす形で影朧に降り注ぐ熱線、ユーベルコヲドを放ついとまを与へず其の身を再び焼く。
　此れを好機と見しルベル氏、早業にて影朧の懐へと潜り込む。さうして墨染なる妖刀を抜き、神速の一太刀を見舞ふ。
　只一振の剣閃、されど威力は小生の想像を絶す。故に只一振で十分なりや、影朧はその一刀にて深き傷を負ふ。
　返しの視線も此度は素早く見切り、二手目なる黒槍に繋げることを許さず。然れどルベル氏も次なる一手に繋ぐ余裕も無く、マルコ氏の援護射撃と共に退き戦場から離脱せり。
　一進一退の攻防なれど、影朧に与へし手傷は確かなる物となりしや。共に臨時の応戦となるも、見事な連携にて着実なる戦果を残す。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　サアサア読者諸君よ、愈々彼らの出番がふたたび来たれり。刮目の侭に見よ。【全世界サイボーグ連盟】、ここに参上である。
　連盟の長たる河原崎・修羅雪姫（プリンセス・スノーブラッド・f00298）女史、影朧を見るや否や説得の余地なしと見てユーベルコヲドを発動、宙に舞ふ機械機関の兵器を召喚せり。ドローンなる異界の兵器と云ふが、鳥よりも小さく自由に宙を舞う不思議な兵器なり。
　其れに続き、草野・千秋（断罪戦士ダムナーティオー・f01504）氏は清澄たる歌声にて雲上の御伽噺を語る歌を歌ひ、仲間の力を増強せり。千秋氏は「radu」なる名にて多くの人々に向けて歌ふと云ふ。国民的スタアにも通じる活動かと思いきや、スタアと違って舞台に立つている訳では無いと云ふ。摩訶不思議なり。小生は彼が舞台に立たば国民的スタアもかくやとなる美声に人々皆聞き惚れむと思ふが、いかがなろうか。

　千秋氏の歌声にて全世界サイボーグ連盟の面々は武力増大にして戦意旺盛。桐島院・師走（シザーレッグズ・f20989）氏も心強き盟友の歌を背にユーベルコヲドを発動し、エレクトゥス・レヴィン（誓兵・f11060）氏も同時に真の姿を解放。師走氏は神々しき鎧を身に纏ひ、エレクトゥス氏も鋼の翼を広げ雷光眩き結晶を身に纏ふ。影朧を滅するに際し、些かなる躊躇も無しと云つた姿勢なり。
　影朧はそれを見るやユーベルコヲドを発動し、己の身を二つに分かつ。されど修羅雪姫女史、それも読みし上でドローンなる兵器を展開しており、無数のドローンによる一切鏖殺なる一斉砲撃の雨を影朧の四方八方より放ち、その動きを封ず。
　好機ここに在り。まず先んじるは師走氏、影朧の一方を双つ槍にて翻弄し、更に鋏の如き脚を叩き付ける。加えて攻撃の要たる眼を狙ひ、更なる槍の一撃。されど此れは決定的な一撃とは成らず、一旦距離を取り態勢を整へる。
　続きエレクトゥス氏がもう一方の影朧に迫り、其の身を護る事顧みぬ突進の後に雷電纏いし踏み付けにて強打、更に間髪入れず脚部の砲身を押し付け、炸裂する砲撃。その勢ひに影朧、遠く吹き飛べる。

　距離が空きし間、影朧は反撃に転ず。二つの身が其々のユーベルコヲドを発動し、一方は師走氏を視線にて貫かんとし、もう一方は周囲に散る喫茶店の机や椅子を影の形に換へる。
　師走氏は痛打受くことを覚悟するも、そこに割りて入るは千秋氏。視線が刺さると同時に黒の槍が影より伸長し、其の身を貫く。されど千秋氏、楯にて槍を受けつつ凄まじき胆力にて痛みに耐へる。仲間を護らんとする
　もう一方の影のユーベルコヲド、周囲を巻き込み命を喰らわんとす。アナヤ、小生もユーベルコヲドの影響に巻き込まれり！
　しかし、師走氏は護られるバカリでなく己も護らんと、小生の前に身を翻し、オーラの盾にて小生の身を護る。オオあわや大惨事！　小生は命喰らわるる処を何とか命拾へり。猶千秋氏は取材に熱を上げし小生を見て、やゝ苦笑気味に呆れたやうな言葉を漏らす。イカン、自重が必要である。猟兵に迷惑掛く事はよからぬ事なり。
　影が命を貪り食わんとする中でも、エレクトゥス氏はその勢ひを止めず。其の身の堅牢なると鋭敏なるに身を任せ、猪突猛進の如くに突き進む。いかなる胆力なるか、その一直線なる戦意には相変わらず驚嘆させらるゝ。
　エレクトゥス氏が一方の影朧に乱撃を浴びせる中、もう一方の影朧は千秋氏がライフルにて狙い撃つ。そこに影朧が身を護る中、間隙を突くかの如く修羅雪姫女史がフリークスハンターなる巨大な拳銃を素早く抜き、重厚なる弾丸を浴びせる。
　両者の一斉射撃、影朧は受け手に回るばかりである。師走氏も小生の守りより離れ、エレクトゥス氏の加勢に回れり。容赦なき同盟の連携攻撃が、影朧を確実に追い詰めてゆく。
　止めとまでは至らずとも、影朧の態勢は見るも明らかに崩れんとする。決着に至るまでは間も無くと云つた処であるように小生の目には見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

　サテいくさも大詰め、影朧も弱りし処。されど猟兵ゆめゝツメ誤ること勿れ。手負ひの獣こそ最期の牙鋭きものなり。
　影朧に止めを刺さむと立ちはだかるは、桜の精なる松月・撫子（詠桜・f22875）女史。
　影なる竜を見て撫子女史は云ふ。桜咲き乱るるこの世にたつ（竜）影朧、まさしく絵画の一点にポツリと落ち、黒く染める一滴の墨汁の如しと。サテ撫子女史より一句。

　花のいろ 墨に染むるは たつ影よ

　禍々しくも美しき影朧に撫子女史、句を詠む程に感銘を受けたり。其の感銘をユーベルコヲドの切つ掛けとし、撫子女史は花吹雪と共に輝けるオーラを身に纏ひ、戦意高揚にして戦力倍増、以て愈々決着を付けむとする所存にあつた。
　取り出したるは白紙の符。無地の面には独りでに字が浮かび、呪力を宿したる。撫子女史曰く、俳句を思ひ浮かぶ事により呪力を宿すと云ふ。
　符に込めるは破魔の念。影朧に向けて投じて張り、ユーベルコヲドを通じて増強されし生命力吸収能力にて弱りし影朧の生命力を吸わむとす。
　影朧も抗ひてユーベルコヲドで生命力を吸わむとするが、既に影朧も弱り果て、周囲の無機物を影と成す力も残っておらず、終には弱り果てて霧散せり。

　猟兵の活躍、見事なり。影朧も輪廻転生の輪を潜りて後には正しき命として蘇らむことをこゝに祈る。
　今後も猟兵たちの活躍により帝都が護られしことを願ひて、小生は一旦筆を置く事とせむ。
　イェイガア、万歳！

――――

　さて、余談ではあるのだが。
　彼の書いた新聞の記事、中々の売れ行きではあったのだが、記者の熱意が入りすぎと言うことで些かばかりの笑い種になったらしい。
　ともあれ、猟兵たちが影朧を討ち果たしたという事実に人々は安堵し、君達の活躍に感謝している事だろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2019年10月24日