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黒幕は水面に嘲笑う

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 しんしんと雪の降る池の淵。
 黒い水面には、空に浮かぶ半月が映り込んでいる。
「何故、お主が……」
 寝間着姿の男が呆然と呟く。その腹部に深く突き刺さっているのは、椿の紋が柄に刻まれた短刀。相対する者姿は闇に紛れて見えない。
「何故……」
 男は無念の声を漏らし、地へと倒れ伏す。
 水面に映るは、殺人鬼の嘲笑か。

 ざわめくグリモアベースに、羽織を肩からかけた一人のケットシーが入ってくる。彼はそこにあった椅子に飛び乗り、神妙な表情で猟兵達を見た。
「皆の衆、よく集まってくれた。それがしはケットシーの剣豪、久遠寺・篠だ。早速だが、皆の衆にはサムライエンパイア世界に向かってもらいたい。ある屋敷で殺人事件が起こった……そして、その事件にはオブリビオンが関与している」
 そうして彼が机に広げたのは、事件を写し撮った庭の絵である。池の傍らに男が腹部を刺され倒れている。
「この殺された男、竹幸(たけゆき)は辺り一帯を納める地主で、事件が起こったのは夜。そして彼の屋敷の庭でのことだ。実は一ヶ月前に竹幸の父親である竹政(たけまさ)も何者かによって暗殺されており、彼が家を継いで間もなくのことだ」
 篠は次に、懐から複数人の姿絵を取り出し並べていく。
「屋敷の主な人物は、竹幸の妻である椿(つばき)。母である小百合(さゆり)。未だ十二歳の弟である松政(まつまさ)。右腕として働き家を取り仕切っている花房(はなぶさ)の四人」
 分かりやすいようにと、名前と関係、年齢を表にして表す。
 妻、椿(24)。
 母、小百合(43)。
 弟、松政(12)。
 家老、花房(30)。
「竹幸殺害に使用された短刀が妻、椿の所有物であったことから、犯人は椿であろうとして話が進んでいる……が。すまないが、それがしの予知では犯人が誰かは分からなかった。皆の衆には、椿が同心によって連れて行かれる現場に乗り込み、なんとかして真犯人を見つけてもらいたい。屋敷には同心を含め全ての関係者が揃っている状態だ」
 そこで篠は一度言葉を切ると、猟兵達を見つめた。
「事件の影には、必ずその犯人を操っているオブリビオンがいる。奴はこの町のどこかの屋敷を乗っ取りそこを根城にしている。犯人から、その屋敷の場所も聞き出して、成敗してもらいたい」
 篠は広げていた資料を全て回収すると、それらをまとめて文にし、表に『依頼状』と認める。
「皆の冴え渡る推理と調査に期待している。皆の衆、頼んだぞ」


三橋成
 皆様こんにちは、三橋成(みはし・せい)です。
 今回は殺人事件の犯人を探し、その黒幕を成敗する依頼になります。
 名前の上がっている4人のうち犯人は決めてありますが、皆様のプレイングでよりドラマティックになりそうなものがありましたら積極的に採用していきたい気持ちでおりますので、自由な発想のプレイングをお待ちしております。

 皆様と共に格好良い物語を紡いで参りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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第1章 冒険 『真の黒幕』

POW   :    鉄拳制裁で本音を聞き出せ! 怪しいヤツが尻尾を出すまで寝ずに監視しろ!

SPD   :    偽の証拠を偽造して黒幕を動揺させボロを出させろ! 死者に変装し黒幕を自白に追い込め!

WIZ   :    論理的思考を続け破綻している証言を見つけろ! 「それは犯人しか知らないはず」と口車で黒幕に言わせろ!

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

キアロ・マジェスタス
ほほう、殺人事件であるか
実に興味深い!
良かろう、この我輩がスパッと華麗に解いてみせようではないか!

まずは『情報収集』であるな!
堅実に立ち回り事態を検討する材料を集めるのである

我輩は身軽さを活かして屋敷の屋根裏に潜み
主に『聞き耳』で屋敷内の様子を探り、家人たちの話を集めるつもりだ
見つかりそうになったら【翼ある者】で高所へ逃れるぞ

いざというときは『言いくるめ』と『誘惑』である!
「ごめんなさい……っ!僕、このお屋敷に迷い込んじゃってっ」
猟兵であることはおくびにも出さぬ

殺人事件の大半は身近な者による犯行というが
竹政・竹幸父子が死んで得をするのは誰なのであろうな?

集めた情報は他の猟兵とも共有するのである


ジルバ・アイト
雪が降っていたって事は、被害者と犯人の足跡が残っているんじゃないか?
あと、腹部を刺された際に犯人は返り血を浴びている可能性があるよな。

奥さんが犯人だと言うのなら、足跡の大きさが合うかとか、血の付いた着物が見つかっているかとか、凶器以外にそういった物的証拠があったかを同心の人達に尋ね、奥さんをしょっぴいていくのをまず止める。

あとは容疑者の皆にアリバイって奴を聞いてみたりな。こういうの推理物の定番なんだろ?
何か矛盾した証言をする奴が出てくるかもしれないしな。

犯人がわかったら「あんたに指示を出した存在がいるんじゃないか?今のうちに自白しておくと奉行所での心証が良くなるぞ」、とそれっぽい事を言っておく



屋敷の大広間は奇妙に静まり返っていた。そこには屋敷の主要な人々が集まっていたが、誰一人として言葉を発しない。
 ただはらはらと涙を流す色白の女性、椿の手首に、同心が縄をかけようとした、その瞬間である。
「待ちたまえ! この事件、我輩がスパッと華麗に解いてみせようではないか!」
 襖を開け放し、白き翼をばさりとはためかせながらキアロ・マジェスタスが広間へと踏み込む。
「な、誰だ。今日は来訪者を受け入れておらぬはず」
 襖の隣に控えていた男、家老の花房が慌てたように声を上げる。その様子を、キアロの後ろから続いてやってきたジルバ・アイトが片手を上げて制する。
「この事件の犯人は、本当に奥さんなのか? 彼女が犯人だと言うのなら、血の付いた着物が見つかっているかとか、凶器以外にそういった物的証拠があるはずだ」
 場は、その闖入者の登場と投げかけられた疑問に、一瞬で騒然となった。その騒ぎの中、二人に向かって立ったのは同心。
「殺された竹幸殿は分厚い着物を身に着けておられたため、刺された時の血は飛び散っておらぬ。返り血などつきようはずもない」
「ならば、足跡は?」
 そこにすかさずジルバが言葉を返す。
「昨晩は雪が降っていた。庭を見れば、被害者と犯人の足跡が残っているんじゃないか?」
 一同はざわめき、それならば見に行ってみようと、広間から出てぞろぞろと庭の様子を確かめに行く。
 犯行現場となった庭にはすでに殺された竹幸の遺体はない。
 朝に発見され、同心が来た段階ですでに場所を移されている。その時の騒動で、地面に薄く積もった雪は複数の足跡で乱され、すでに犯人のものと断定出来るようなものは残されていなかった。
 しかし。
「あの小さな足跡は、松政殿のものであろう」
 その複数の足跡のうちの一つ、明らかに他とはサイズの違うものを目敏く見つけ、キアロが指摘する。その言葉に、皆の視線が弟の松政へと集中する。彼は十二歳には見えぬほどに背も小さく、今は顔を伏せて黙り込んでいる。
「朝、竹幸が見つかった時、皆大慌てで無事を確かめたり、奉行様をお呼びに行ったりしましたわ。皆がここに来て、そこに松政がいたからって、何の証拠になりますの?」
 息子を庇うため、母の小百合が声を上げる。
「松政殿は昨日から具合が悪く、部屋で寝込んでいた、朝の騒動にも起きてこなかった、と家人達が噂しておったぞ」
「なっ……どこでそんなこと」
 実は屋根裏からである。キアロはこうして広間に乗り込んでくる前に屋敷の様子を探っていた。しかし、その問いかけには返答せずにこりと笑顔で返す。
「朝の騒動に居なかったのなら、何故昨晩降った雪の上に貴殿の足跡があるのであろう?」
 彼の言葉に、場がしんと静まり返る。注目を浴びる松政もまた、口を閉ざしたまま表情さえ変えず地面の一点を見つめている。
「松政。アリバイって奴を教えてくれないか……昨晩、部屋にいたことを証言してくれる者はいるのか」
 畳み掛けるよう、ジルバは問う。
 そして、その証言をする者がいない事を、彼はキアロから情報を共有されていてすでに知っていたのだ。松政は昨晩、一人で部屋にいたということを。
「竹政・竹幸父子が死んで得をするのは、誰なのであろうな?」
 松政は依然沈黙を貫く。しかしキアロが投じた一石が、集まった人々の心に波紋を広げて行くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白幡・修理亮
POW

松政殿のお立場、他人事とは思えぬ…
それがしは兄達が壮健ゆえ部屋住みであったが、
あるいは同じ事にならぬとも限らぬ。

しかし、この身は知恵働きなど不得手の不調法者…

仕方あるまい!
現場にて遷身同化の法を用い、惨劇の場に澱む無念や怨念に話を聞くのじゃ!
あるいは被害者から真相を聞けるやもしれぬ。
もしくは、目撃者…目撃霊? がおるやも!

せめて犯人の見た目や特徴なり手がかりになれば…

問題は、寒風吹きすさぶ庭に突っ立って術を使い続けねばならぬことじゃが…

ええい、ままよ!
風邪とかあんまり引かないこの体!
それがしの体を、皆に貸すぞ!

へ、へ…へっくしょい!?


アンバー・バルヴェニー
あらあら、何やら剣呑な雰囲気ですこと。いけませんわ、皆さんそんな怖いお顔をして。

ねぇ、訊問は少しお休みして故人を偲ばれては如何?
悲しみで胸がいっぱいの内はうまくお話も出来ませんことよ?
お亡くなりになられた竹政様、竹幸様はどんな方だったのかしら。是非皆さんから思い出話など聞きたいわ。
お辛いかもしれませんが、思いの丈を吐き出せば少し楽になることもありましてよ。

……と、口を噤んでいらっしゃる方々が口を開くように誘導してみますわね。
些細なことも事件解明の糸口に繋がるかもしれませんし、殺人の動機に繋がりそうな事情も掴めるかもしれませんもの。



「あらあら、何やら剣呑な雰囲気ですこと。いけませんわ、皆さんそんな怖いお顔をして」
 膠着した空気の中、そう華やいだ声を発したのはアンバー・バルヴェニー。彼女は可憐なスカートから覗く尻尾をゆらり、と揺らして皆の前に進み出る。
「ねぇ、訊問は少しお休みして故人を偲ばれては如何?」
 とてとて、と小さな足で、沈黙を貫く松政の前まで歩み寄ると、その手にそっと自身の肉球を重ねた。
「お亡くなりになられた竹政様、竹幸様はどんな方だったのかしら。是非皆さんから思い出話など聞きたいわ」
 その問いかけの中にあるのは、些細な会話の中から真実を掴み出したいという猟兵としての思い。そして、悲しみで胸を詰まらせている皆の心を少しでも楽にしたいという彼女の優しさの両者が同居していた。
 そして彼女に導かれ、始めに声を発したのは、今まで泣くばかりであった妻の椿であった。
「竹幸様は、立派なお方でした……霧雨家に我が家の小作人を奪われ窮地に立たされ、さらに竹政様までも亡くされて……その中でも家を守ろうと尽力していたその矢先」
 椿はそこまで言うと顔を両手で覆い、わっと泣き崩れる。小百合が椿に近寄ると、宥めるようにその肩を優しく撫でていた。
 と、そこに歩み出たのは白幡・修理亮。彼はさらに、その場で未だ沈黙を保つ松政へと語りかける。
「松政殿のお立場、他人事とは思えぬ……それがしは兄達が壮健ゆえ部屋住みであったが、あるいは同じ事にならぬとも限らぬ」
 そして、湿った空気を払うようにパン、と手を叩く。
「仕方あるまい! 現場にて遷身同化の法を用い、惨劇の場に澱む無念や怨念に話を聞くのじゃ!」
 無念や怨念……? と場がざわめく。
 しかしその場の空気ももろともせず、修理亮はそのまま庭に降り立つと遷身同化の法・疾風と名付けられた術を使い始める。
「それがしの体を、皆に貸すぞ!」
 寒風吹きすさぶ中修理亮がそう叫んだその瞬間、彼の纏う空気が変わった。彼が本当に降霊の術を成功させたのか、それとも演技の賜であるのかはここでは問題ではない。
 修理亮は振り向き、松政を見据える。
「松政、何故儂を殺した……共にこの家を守って行こうと、誓いあったではないか」
 大切なのは結果として、松政がそれを信じた、ということである。
「あ……兄上……!」
 今まで沈黙を貫いてきた松政が狼狽えの声を漏らす。しかしそこには、自身の悪行がばれてしまうからという思惑は存在していなかった。
 松政の大きな瞳から、ぽろぽろと大粒の涙が零れ落ちる。
「申し訳ございませぬ、兄上……わたしは、わたしは…ただ家を、兄上と誓いあったこの家を護りたかっただけなのでございます」
 だがそれは、確かに罪の告白であった。
「松政様、まさか貴方が……」
 花房が驚愕の声を上げるのを制して、アンバーが松政の手を優しく擦る。
「先程椿様が仰っていた霧雨家、というのが関係しているのですね?」
 涙を流しながら、松政がこくこくと頷く。
「霧雨家はわたしたちの家の小作人をこぞって連れて行ってしまいました。このままでは我が家は存続できませぬ。しかし……彼はわたしに、兄上を殺してわたしが家を継げば、家に今後一切の手出しはしないと言いました」
 松政の独白を聞きながら、アンバーは、その話に浮かんできた霧雨家というのが事件に関与しているオブリビオンであろうことを感じていた。
「しかし……しかし……」
 松政は言葉に詰まる。正しいことをしたと思っていた。これで家は救われると。
 しかし、その手で敬愛していた実の兄を殺めてから、胸に浮かぶのは兄への恋しさ。
 言葉にならぬ想いに最早泣きじゃくるしかなくなった少年を優しく見つめ、アンバーはそれを励ますよう可愛らしい笑みを向けそっと囁く。
「わたくし達にお任せください、松政様。きっとこの家を守って差し上げますわ」
「へ、へ……へっくしょい!?」
 しんみりとしていた場に、いまだ庭に立ったままであった修理亮の大きなくしゃみが響く。
「ん、何がどうなったのじゃ?」
 静まり返る辺りの様子に目を瞬き、彼はそう驚きの声を上げる。
 少々締まらぬ終幕となったが、こうして殺人事件の真犯人探しは終わった。松政への沙汰は、奉行所が決めること。
 猟兵達がやるべきことは、他にある。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『落武者』

POW   :    無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


霧雨家。
 殺人事件の犯人を見つける中浮上したその名前。それは、代々この地域一帯を納めていた竹幸の家に最近になって対抗してきた武家という話であった。
 しかし恐らく、霧雨家には裏がある。
 その疑惑は、猟兵達が霧雨家を訪ね、屋敷の門を開いた瞬間に確信へと変わる。
 門から続く前庭、そして屋敷内部にわたるまで、いたるところに落武者の霊がひしめき、猟兵達を待ち構えていたのである。
 この落武者の霊の群れを薙ぎ倒し、真の黒幕の元へと到達しなければ事件は終わらない。
アンバー・バルヴェニー
哀れな方々。
せめてわたくしの歌で慰めてさしあげましょう。
精霊さん、精霊さん、力を貸して頂戴ね?

弔いの火は風と共に訪れ、哀れな魂を抱いて去りぬ。
浄き焔は悔いも恨みも嘆きも全て焼き尽くす。
未練を断ち切り穢れを捨て去り、尊き魂は須らく天上へ立ち昇らん。
嗚呼、古強者の魂よ。
今此処に進むべき道を弔いの火で導かん。

声高らかに鎮魂歌を歌いあげて炎の竜巻を出現させ、落ち武者の群れを焼き払うことで彼らを成仏させて差し上げますわ。
願わくば全ての落ち武者の魂が安らかに眠りにつけますように。

ご一緒する方々がいるなら巻き込まないよう気をつけますわ。
数が多いようですし、わたくし一人では不安ですもの。
協力出来たら嬉しいわ。


キアロ・マジェスタス
はん、馬脚を現したにしても随分と盛大ではないか

松政のしでかした事は消えぬ、取り返しはつかぬ
彼は償わねばならぬ
だが此処から先は、猟兵の領分である……!

我輩、攻撃の重さや遠距離の対応は期待されても困るので他の猟兵に任せるぞ
連携の機会は積極的に狙うのである

我輩の武器はひたすらに速度
さあ亡者ども!我輩を捕まえてみせるが良い!

敵の群れに『スライディング』『ダッシュ』で斬り込み
すれ違いざまに攻撃を加えてヒット&アウェイを繰り返す
『地形の利用』で屋敷の屋根や庭の調度も使い
『フェイント』『だまし討ち』で翻弄するのだ!

捕まらぬよう駆け回るが、敵に囲まれたときこそ好機である
【花の名は無情】で一掃してやるのである!



「はん、馬脚を現したにしても随分と盛大ではないか」
 開いた門の前、目前に犇めく敵の群れを見て、キアロ・マジェスタスが一笑に付す。
 その手にはペストマスクをつけた、黒いローブ姿の大型の人形を抱いている。傍目からは、彼がその人形と手を取り合っているようにも見えるが、それは彼にとっての武器である。
「哀れな方々」
 その隣に立つのは、アンバー・バルヴェニー。
 彼女は落武者の群れに大きな宝石のような琥珀色の瞳を向けてそっと囁く。
「せめてわたくしの歌で慰めてさしあげましょう。精霊さん、精霊さん、力を貸して頂戴ね?」
 落武者の一人がこちらを向いたのを切っ掛けにキアロは地を蹴り、門の中へと駆け出した。
「松政のしでかした事は消えぬ、取り返しはつかぬ。彼は償わねばならぬ。だが此処から先は、猟兵の領分である……!」
 落武者の霊達は人ならざる声を上げながら敵を迎え、その手に携えた刀を振り回し彼を狙う。
「我輩の武器は速度。さあ亡者ども! 我輩を捕まえてみせるが良い!」
 落武者の懐へと飛び込み人形を用いて斬りつける。斬り返される寸でで翼を羽ばたかせ退くと、そのまま屋敷の庭に立つ灯籠の上へと降り立った。
 キアロの周囲に落武者が群がる、その時。
「弔いの火は風と共に訪れ、哀れな魂を抱いて去りぬ。浄き焔は悔いも恨みも嘆きも全て焼き尽くす」
 地獄の如き様相を呈している屋敷の庭に、高らかに響き渡ったのはアンバーの歌う鎮魂歌。
「未練を断ち切り穢れを捨て去り、尊き魂は須らく天上へ立ち昇らん」
 その歌声は朗々と自信と愛情に満ち、そして同時に、どこまでも優しい。
「嗚呼、古強者の魂よ。今此処に進むべき道を弔いの火で導かん」
 彼女の歌に導かれ、精霊が巻き起こしたのは強力が故に制御の難しい炎の竜巻。その猛火は庭の大部分を覆うように敵を焼き尽くしていく。
「願わくば、全ての魂が安らかに眠りにつけますように」
 琥珀と蝶に彩られた金色のマイクを握り、彼女は敵の落武者にさえも心を添える。
「綺麗な歌声だ。我輩が華を添えようか」
 炎の竜巻を避けるため空へと飛んでいたキアロはそのまま地上へと滑空。アンバーによって蹴散らされてなお、残っている落武者が再び彼の周囲へと集い襲う。
「馨らず、実らず、其の花は偽り。然れど怨敵を切り裂く刃なり!」
 しかしそれがキアロの狙いであった。いくつかの太刀を受けながらも紡いだ詠唱。
 瞬間、彼の抱いていた人形が無数の紫陽花の花びらへと姿を変える。それらは吹雪き、庭中へと展開し落武者へと襲いかかる花の嵐。
 度重なる広範囲攻撃に、前庭に詰めていた敵の大部分は一掃された。
 彼らは駆け込み、戦場は屋敷の中へと移る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジルバ・アイト
前庭だけでなく屋敷の中まで霊だらけだな
なら、死霊には死霊を、だな…!

ネクロオーブに呪力を込め、【リザレクト・オブリビオン】を発動

俺自身が攻撃を受けると解除されてしまうから、まず死霊蛇竜に俺自身を守らせる
どのみち室内じゃあまり小回りが利かないだろうから、近づいてきた敵をメインに攻撃してもらう

死霊騎士には積極的に前衛で戦ってもらう
こういうのキリコミタイチョウって言うんだっけか?

他に参加者がいたら共闘を
死霊騎士には他の猟兵へのサポート重視で動いてもらう

…それにしてもこの敵の数、まるで真の黒幕とやらは松政が口を割るのを予測していたみたいだな
だとしたらあいつは完全に捨て駒だった事になる……許せないな…!



「前庭だけでなく屋敷の中まで霊だらけだな」
 仲間と共に屋敷の中へと駆け込んだジルバ・アイトは、その様子に言葉をこぼす。
 彼の言う通り、屋敷のあちこちに落武者の霊が彼らを待ち構えていた。
 屋敷の中は広く、豪奢な調度品があちこちに飾られているが、全体的な空気として薄暗い。そして、立派な外観からは想像もつかない程に襖や床、天井の痛みが激しく、お化け屋敷の様相を呈している。
「死霊には死霊を、だな……!」
 ジルバは手にしたネクロオーブに呪力を込める。
 赤い瞳が昏く輝き、彼の周囲の床に輝き浮かび上がる怪しげな魔法陣。地からせり上がるよう生まれ出でたのは死霊騎士と死霊蛇竜。
「行け」
 ジルバは一歩後ろへと下がると彼らへ短く命を下す。
 その指の示す所に操られるよう、彼らが犇めき合いながら向かってくる落武者の霊へと立ちふさがる。
 甲冑を身に纏い、ランスを振り回す死霊騎士は数多の霊を相手取り、防衛戦を展開するのに適している。そこに地を這いながら敵を的確に仕留めていく死霊蛇竜の連携が見事だ。
「……それにしてもこの敵の数」
 彼らに守られながら、ジルバは思考を巡らせる。これだけの兵が詰めている敵の拠点。まるでこの場が松政によって明かされることを予想していたかのようだ。
「だとしたらあいつは完全に捨て駒だった事になる……許せないな……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
なにがあったのかは聞いたよ
家を守るって概念をしっかり理解できてはいないけど、
守るべき人達の居場所を守るために自分の大切な人を手にかけたってところだよね

まだ12歳でしょ?
俺が猟兵になったのもそれくらいだったけど。
おまけに大切な人はお兄さんか
……これはただの私情、でも黒幕は許さないよ


まず武器と一体化変身
(全身黒基調の甲冑姿、主武器は大剣に変形)

群がられると厄介だから解放・夜陰でけん制しつつ
【先制攻撃】と【2回攻撃】を試みて一体ずつ剣で交戦、数を減らす
【フェイント】や【見切り】で消耗は抑え、最悪【生命力吸収】で回復

せめて刃物で交戦すれば
どこから連れ込まれたかもわからない霊の鎮魂になるのではと思うんだ



 昏き気配漂う屋敷の中、松政のことに想いを馳せる者は、一人ではなかった。
 松政と同じ年の頃に猟兵となったサンディ・ノックスはまた、その心を幼き者へと添わせる。
「家を守るって概念を、しっかり理解できてはいないけど」
 サンディは思う。サムライエンパイア世界特有の価値観は、この世界ではない者にとっては少々遠いものである。しかし、そこに通う人の心は、どうあっても変わらない。
「守るべき人達の居場所を守るために、自分の大切な人を手にかけたってところだよね」
 サンディはその蒼い瞳に闘志を宿らせ、暗夜の剣を構える。
「……これはただの私情、でも黒幕は許さないよ」
 彼がそう呟いた瞬間。構えた剣から彼の全身を伝ったのは黒き闇。
 それは彼に纏いつき、黒き甲冑の騎士姿へと変化させる。構えていたショートソードは、共に大剣へとサイズを変えた。
 以降サンディは言葉を発さず、ただこの戦場を切り抜ける騎士と化す。
 先陣をきれば、四方から刃を向け落武者が襲いかかってきた。
 彼は宙に漆黒の水晶を放つとそれで落武者の群れを牽制しながら、巧みに一体ずつ相手取り斬り破る。
 流石に数の圧に押され、幾筋かの傷跡が彼の甲冑についたが、それは些末なこと。
 魔法ではなく刃で落武者を斬り伏せるのは、サンディなりの、彼らへ捧ぐ鎮魂の祈りだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ビビ・クロンプトン
亡霊さんたちが何をしたのかは…何者なのかは…実は、よくわかってないよ
ただ…敵は、倒す。それだけのこと…

SPD
ブラスターを用いて遠距離戦で戦うよ…
相手は剣士だもの。わざわざ接近戦する意味は、ないよね…
まずは遠くから一発【先制攻撃】のクイックドロウ
相手に近づかれないように動き回りながら、【2回攻撃】していくよ…1体ずつ確実に潰していこう…
とにかく優先することは、接近戦を避けること…剣相手には分が悪いから、ね…
敵は沢山いるけれど、誰も私に近寄らせない…
相手が接近する兆候は【第六感】で察知できると、いいのだけれど…
相手が加速してこちらに近づくのなら、【ダッシュ】で撤退することも検討しないと、ね


七星・桜華
「家を守る為に敬愛していた兄を殺害させるほど元服すらしていない子を追いつめる…それほどの覚悟をさせた黒幕は気付かずに闇に消されるのが似合いだよ!」

犯人探しでは何もできずに居たが事実を知って猟兵達と霧雨家に乗りこみ、そしてひしめく霊達を見て問答無用で刀で斬りかかる。

無念だろう、恨みもあるだろう、だからこそ眠れ、私がお前達を眠らせる!

ユーベルコードを使い敵に対して情け容赦無く斬り裂く。

攻撃に使用する技能、【殺気】【フェイント】【なぎ払い】【範囲攻撃】【鎧無視攻撃】【2回攻撃】

回避に使用する技能、【残像】】【見切り】【野生の勘】【第六感】

(アドリブ、協力、掛け合いOKです)



 長い廊下を駆け抜け、七星・桜華は燃え立つように紅い髪を靡かせ、その奥の部屋の襖を踏み破る。
「家を守る為に、敬愛していた兄を殺害させるほど。元服すらしていない子を追いつめる……」
 そこにはいまだ黒幕の姿はなく、眼前に広がった広間にも落武者の霊たちは犇めいていた。彼らは一様に刀を握りしめ、怨念の声を上げ襲いかかってくる。
「それほどの覚悟をさせた黒幕は、気付かずに闇に消されるのが似合いだよ!」
 桜華は同じく刀を抜き放つと、問答無用とばかりに応戦し斬りかかる。
「無念だろう、恨みもあるだろう、だからこそ眠れ、私がお前達を眠らせる!」
 彼女が身に纏うのは、魔の闘気。禍々しく立ち上るその闘気はゆらりと上れば向こうに見える空間を歪ませるほどに強い。
 桜華は複数の敵を相手取り、俊敏に、しかし鎧の隙間を縫うように的確に斬り裂いていく。
 その鋭い刃に無残に亡霊達の腕や首がボタボタと落ちる……が、彼らは亡霊。本来であれば命絶ち切れる傷を負ってなお、身軽さを増したことでいっそうの素早さを持ち桜華へ再び襲い来る。
「しぶといね!」
 桜華が再び身構え、捌ききれない程の敵の量に圧されはじめた時。そこに炸裂したのは熱線銃の強烈なビームであった。
「亡霊さんたちが何をしたのかは……何者なのかは……実は、よくわかってないよ」
 部屋の入口に佇むのは、美しく長い銀髪の少女、ビビ・クロンプトン。しかし彼女は表情を灯さぬ瞳のまま、人の限界以上の素早さで敵を撃ち焼いていく。
「ただ……敵は、倒す。それだけのこと……」
 迫っていたもう一体を斬り伏せ動きを止めて、桜華は笑う。
「やるわね」
 ビビと桜華、紅と銀の瞳の視線が交差する。その一瞬の意思疎通の後、彼女達はお互いに連携を深めて立ち回りはじめた。
 桜華が敵を引きつけ、ビビへ彼らを近づけさせずに斬る。ビビがその背後から的確に一体ずつ撃ち、その動きを封じていく。
 遠近の分担が噛み合った、完璧な布陣である。
「斬り裂け! 我が魔の闘気よ!」
 桜華が縦に連なった落武者の霊に斬撃を飛ばし一気にかたをつけると、その部屋の落武者は一掃されていた。
「これで終わったかしら?」
 彼女達が緊張を解いた、瞬間。ビビは踵を返すと、廊下側から背後に接近していた一体の落武者を撃ち焼き滅ぼす。
「これで……終わり」
 その銀の髪が陶器のような白い頬にふわりとかかり、真の静寂が訪れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『黒幕の助言者』

POW   :    死灰復然(しかいふくねん)
【Lv体の武者】の霊を召喚する。これは【刀】や【弓矢】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    含沙射影(がんしゃせきえい)
【無数の影の刃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    電光雷轟(でんこうらいごう)
【錫杖】を向けた対象に、【激しい雷光】でダメージを与える。命中率が高い。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠犬憑・転助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達が部屋を抜けると、そこは内庭であった。日が暮れ、空に浮かぶは半月。
 奇しくも、竹幸が殺された状況と似たようなその情景の中、池の傍に一人の男が立っている。
 人並みの体格に錫杖を手にした身なりは僧のそれのようだが、その身の禍々しさは隠せない。
 男は振り向き、猟兵達を見ると、やあ、と笑った。
「君たちが来たということは、松政は捕まったね? ここまでは想定内……だが、わたしの可愛い部下たちを押し退けここまで来るとは」
 錫杖を揺らしながら、男は手を叩く。
「実に立派。褒めてあげよう。褒美の代わりに、聞きたいことにも答えてあげようか」
 笑う笑顔は人好きのしそうな優しげなものであるが、その瞳だけが、決して光をともしていない。
「君たちの、冥土の土産にね」
 最後の戦いが、はじまる。
七星・桜華
「ふんっ、聞きたい事?アンタが語りたいの間違いじゃないのかい?…健気な想いを踏みにじったんだ覚悟はいいかい!」

オブリビオンに対して怒りがあるが戦闘に関して言えば邪魔にしかならないね、頭はクールに心はホットに。さて切り替えて攻めようか!

アンタの【恐怖を具現化】させてやるよ!

攻撃に使用する技能、【残像】【フェイント】【殺気】【生命力吸収】【なぎ払い】【力溜め】【恫喝】【鎧無視攻撃】【2回攻撃】【野生の勘】【第六感】

回避に使用する技能、【残像】【ダッシュ】【フェイント】【見切り】【野生の勘】【第六感】

(アドリブ、掛け合い、協力等大丈夫です)


ジルバ・アイト
聞きたい事に答えてくれる、か…
なら、この霧雨家に本来住んでいた人達はどうなった?竹幸氏の領地から連れて行った小作人達は今どうしてる?…この屋敷の落武者の霊達はどこから来た…!?

戦闘:
【エレメンタル・ファンタジア】を使用し、氷の暴風を起こす(暴風と共に氷塊や氷柱が敵を襲う)
なるべく錫杖を持っている腕を狙って攻撃する
制御が難しいので敵に避けられる可能性が高いが、その分敵の動きが読みやすくなるので、そこを他の仲間達に攻撃してもらう
また、敵の攻撃に対しては【見切り】を使用

こいつは竹幸氏の一家を破滅に追い込んだ
それに凶器に使われたあの短刀だって、こんな事件起こしたくなかったはずだ
絶対に倒さないとな…!



 男の言葉が終わると同時に庭へと駆け出したのは、七星・桜華だった。
「ふんっ、聞きたい事? アンタが語りたいの間違いじゃないのかい?」
 彼女は湧き上がる怒りを抑えながら、あくまで冷静に状況を観察する。目前に佇む男は一見非常に無防備だ、しかし、その実全身のどこにも隙がない。
 今まで薙ぎ倒してきた落武者の霊とは、明らかに格が違う。
「健気な想いを踏みにじったんだ覚悟はいいかい!」
 桜華は言い放つと、庭石を飛び越えながらその身に霊を降ろす。光が集い、彼女が再び地に降り立った時、桜華の女傑といった姿は、嫋やかな、死に装束姿の女性へと変化していた。その姿を見た瞬間、笑みを浮かべていた男の表情がほんの僅かに歪む。
「これがアンタの恐怖の具現化かい? 女が怖いなんて、アンタも普通の男だね」
「まったく、目障りだな」
 桜華の言葉に応えるように、男は錫杖を地面に打ち付けた。すると、庭のあちこちから落武者の霊が地面から這い出てくる。彼らはそれぞれに刀や弓矢を構え、一斉に桜華へと襲い来る。
 瞬間、庭に巻き起こったのは氷の暴風。周囲に積もった雪をも巻き込み、氷塊と風で落武者を蹴散らす。
「なるほど、この屋敷の落武者の霊達はそうやって召喚しているわけか」
 その術の主であり、たった今目前で起こった出来事に、呟きを漏らしたのはジルバ・アイトである。
「聞きたい事に答えてくれる、か。なら、この霧雨家に本来住んでいた人達はどうなった?」
「わたしが正真正銘の霧雨だよ。空き家を利用しただけ、何、わたしが皆殺しにしたとでも思ったのかい?」
 ジルバの問いかけに、男は飄々と答える。
「なら、竹幸氏の領地から連れて行った小作人達は今どうしてる?」
「彼らには新たな土地を与えて農業に励んでもらっている。それだけさ。そもそも脅した訳でも、誘拐をした訳でもない。より良い条件を提示して、彼らが自ら望んでわたしの元で働くことを望んだんだ。わたしは何も人殺しがしたい訳じゃない……あの愚かな親子や、君たちのように、歯向かってさえ来なければね」
 ジルバは眉を寄せると、制御の難しい暴風を、構えたエレメンタルロッドを握り込みさらに男へと仕向ける。
「電光雷轟」
 しかし、男が暴風に巻かれた次の瞬間、男の朗と響いた声は雷雲を呼ぶ。そして、錫杖の先をジルバへと向けると、天から激しい雷が降り注いだ。
 ジルバから漏れたのは苦痛の叫び。その一撃はあまりにも強力だった。
「わたしに術勝負を仕掛けるとは良い度胸だ」
 思わず地に膝をついたジルバにさらに追い打ちをかけるよう、男が錫杖を掲げ持つ。
「させるか!!」
 そこに飛び込み刀で斬りつけたのは、桜華。彼女は己の寿命を削りながら、しかしそれと引き換えに得た力で未だその姿を変えたままであった。そしてその動きは素早く、男の肩に刃が食い込み肉を斬る。
 男が桜華から距離をとり蹌踉めいた瞬間、ジルバも体勢を立て直し再びロッドを構え直す。
 その胸の中には、松政が兄を殺すために使用した短刀のことが過っていた。ヤドリガミであるジルバにとって、あのような悲しい事件に使用された短刀が不憫でならないのだ。
「この男、絶対に倒さないとな……!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七星・桜華
「アンタの恐怖を具現化させたけど…この姿で殺された時の恐怖に歪んだ顔が見たいねぇ」

ユーベルコードで恐怖が具現した姿のまま徹底的に物理的、精神的に追い詰めて別のユーベルコードで消滅させる。

怒りを力にして頭はクールに心はホットにしての全力戦闘をします。

攻撃に使用する技能、【残像】【フェイント】【殺気】【生命力吸収】【なぎ払い】【力溜め】【範囲攻撃】【鎧無視攻撃】【2回攻撃】

回避に使用する技能、【残像】【ダッシュ】【フェイント】【見切り】【野生の勘】【第六感】

(アドリブ、掛け合い、協力OKです)


サンディ・ノックス
偶然って怖いね
弟を陥れたのは禍々しい聖職者だったのか…
禍々しい聖職者を倒す堕ちた聖者。まあ、悪くないね

真の姿発現
見た目は絵姿どおり(利き手は右)
武器は大剣へ変形

「聞きたいことはさっきまで無かったけど…
同業者(桜華)が姿を変えた、あの女性は誰かな?」
動揺誘えそうだから聞いてみる

動揺したら隙を狙って
動じなくても攻撃開始
解放・夜陰を放ってから相手の懐へ飛び込む
【怪力】を使用しながら大剣で【2回攻撃】
【見切り】や【フェイント】で相手の攻撃を回避しつつ【カウンター】
大きい消耗は【生命力吸収】で回復

立派だって褒めてくれたし
その称賛に見合う力を見せてあげる
それが俺からの冥途の土産だよ、なんてね



「偶然って怖いね。弟を陥れたのは禍々しい聖職者だったのか……」
 サンディ・ノックスは屋敷の部屋の中から庭に降り立ち、そう呟いた。
「禍々しい聖職者を倒す堕ちた聖者。まあ、悪くないね」
 自身のことを『堕ちた聖者』と称し、彼は笑う。
 大きな蒼い瞳を瞬くと、彼の纏う空気が変わった。その姿形は変化していない。しかし、持っていた剣が輝きを放ちながら大剣へと変化する。
 再び男によって地から召喚された数多の落武者の霊が庭を埋め、襲い来るそれらを七星・桜華が斬り伏せながら男へと肉薄する。
「アンタの恐怖を具現化させたけど……この姿で殺された時の恐怖に歪んだ顔が見たいねぇ」
 桜華から距離を置くように、男はまた一歩引いた。
「聞きたいことはさっきまで無かったけど……桜華が姿を変えた、あの女性は誰かな?」
 そこに畳み掛けるように、サンディは問いかける。それは決して男のことを理解したいという気持ちからではない。ただ、動揺が誘えそうだという計算の上のものだ。
 その真意に気づいたのか否か、男はただ笑う。
「わたしが愛した女……とでも言えば満足かい? 事件のことよりわたしに興味を抱いてくれるなんて、照れてしまうね」
 その言葉には大した意図も籠もっていない。ただの戯言。しかしそうして真意を隠すことこそが、男がそのことに触れたがらないことの証左でもあった。
 サンディは宙に数多の漆黒の水晶を浮かべると、それを男へ差し向け放つ。術で隙を作り、そこへ斬込みに行くのが彼の策であった。
 しかし、男はすぐさま反応するように錫杖を地に叩きつける。サンディの放った水晶は男の肌を傷つけたが、男の呼び寄せた雷雲も的確にサンディを狙い、猛烈な雷を落とす。
 その威力は凄まじく、サンディの肉体を大きく傷つけ動きを封じた。
「わたしに術で勝負を仕掛けるとどうなるか、わからなかったのかい?」
「散れ! 星屑のように」
 そこに再び踏み込んだのは桜華。目にも留まらぬ早業で間合いを詰めると、刀で袈裟斬りに斬りつける。
 錫杖を持つ右腕を狙った一撃は僅かに身を反らすことでかわされたが、その左腕を斬り落とすことに成功した。
 初めて男の真の感情が籠もった悲鳴が上がる。
 その瞬間に体勢を立て直したサンディは、男の生命力を吸収し僅かながら傷を癒やす。
「俺はまだまだ、これからだよ。立派だって褒めてくれたし、その称賛に見合う力を見せてあげる」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

キアロ・マジェスタス
ふっ、ふはははは!冥土の土産ときたか
大きく出たな、過去の残滓風情が!
骸の海へ叩き返されるのは貴様の方である!

とはいえ中々の術の使い手である事は理解した
その姿、この世界の聖職者のものであったか
信仰は時に人を狂わせる事を我輩はよく知っているぞ

ここまで味方が奮戦してくれたのである
好機を無駄にはせぬ!
『ダッシュ』『スライディング』『ジャンプ』『地形の利用』で翻弄し
捕まらぬよう側背から攻撃を加えつつ刻を待つのである

追い詰められた敵が大技を出す瞬間に真の姿を発現
黒翼を広げ割り込むぞ
【悪魔医師の領分】にて貴様の恨み、その身へ返してやろう!

そうだな、最後に訊いてやろう
貴様……あの家を壊し、何が欲しかったのだ?


ジルバ・アイト
愛した女性が恐怖の対象?
俺は物だったから、人の複雑な感情はまだよくわからないな
オブリビオンとはいえあんたもただの人なんだな、と黒幕の言葉を真に受ける

ところでさっきここは空き家だって言ってたよな?なら、この内庭が多少ぶっ壊れても問題はないよな…!

戦闘:
【エレメンタル・ファンタジア】により今度は土砂の竜巻を起こし、敵の足元の地面を蟻地獄のように変える
足場を崩す事、及び砂嵐による回避率と命中率の低下狙い
「俺の魔法じゃ確かにあんたの術には敵わない。だがダメージを与えるだけが戦闘じゃないんでな…!」

敵の攻撃には【見切り】【電撃耐性】使用
「あんたの雷にはもう慣れたぞ…!」

攻撃は仲間達に任せる
後は頼んだぞ!



「ふっ、ふはははは!」
 庭に、高笑いが響いた。銀髪を揺らしながら白い翼でそこに降り立ったのはキアロ・マジェスタス。笑い声の主である。
「冥土の土産ときたか。大きく出たな、過去の残滓風情が!」
 彼はペストマスクをつけた大型の戦闘用人形を抱きながら、男にビシッと指を向ける。
「骸の海へ叩き返されるのは貴様の方である!」
 その言葉に、男は腕を失った左肩を抑えながらも、ふっと笑いを返した。
「おやおや、大層なご登場だ。その残滓にこれだけ手こずっているのはどこのどなたかな」
「貴様が中々の術の使い手である事は理解している」
 キアロは言うと、傍らに立つジルバ・アイトへと視線を向ける。交わしたアイコンタクトは一瞬。しかし、それで意思は通じた。
「オブリビオンとはいえあんたもただの人なんだな」
 ジルバはロッドを握り直しながら魔力の集中を図る。
「俺は物だったから、人の複雑な感情はまだよくわからないが。愛した女性が恐怖の対象とは……」
「信仰は時に人を狂わせる事を我輩はよく知っているぞ。このサムライエンパイア世界のある宗派では女性との恋ごとを禁止していると聞いたが」
 ジルバの問いかけにキアロが応え、目の前の男が僅かに表情を歪ませた。そしてその会話を途切れさせるように再び錫杖を地に打ち付ける。
 瞬間、巻き起こったのはジルバが精霊に呼びかけ引き起こした土砂の竜巻。同時に男が呼んだ雷雲が轟くと、ジルバに狙いを定めた強大な雷が降り注ぐ。
「わたしに術では敵わないと分かっていただろう?」
 先程受けた男の雷の術がどれ程強力か、ジルバは身を持って理解していた。しかし、だからこそ行える対策がある。今回ジルバは、膝をつくことなく男を睨み返していた。
「あんたの雷にはもう慣れたぞ……!」
「なんだと?」
 その強力な技を全て無効化することは出来ない。しかし、策を練れば軽減ならば出来る。
「俺の魔法じゃ確かにあんたの術には敵わない。だがダメージを与えるだけが戦闘じゃないんでな……!」
 ジルバの言葉に男が身構えた瞬間、彼の巻き起こした砂嵐により庭の土が抉れ、男の足元を崩す。
 瞬間、男の背後に回り込んだキアロが跳躍した。
「好機を無駄にはせぬ!」
 敵へと迫り、渾身の一撃を狙う。が、男はバランスを崩しながらも笑い、錫杖を揺らすと宙に浮かべた無数の影の刃を放つ。
 その刃は鋭く、周囲にいる者全てに襲いかかる……すぐ傍に迫っていたキアロを除いて。
「貴様の恨み、その身へ返してやろう!」
 キアロの端正な面立ちから表情が消え、その真白な翼が黒翼へと変化する。それは、彼の真の姿。
「過去の残滓は虚ろへ還るのがさだめ。踊れ、悪魔医師よ、因果をあるべき環へ戻せ!」
 男の放った影の刃は全てがキアロの抱く悪魔医師人形に吸収され。そして、それらの威力をそのままに反射する。
 自身の放った無数の刃に、男の身はいくつもの傷を負うこととなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

七星・桜華
今の好機を逃がさずに確実にトドメを刺す!どんな理由があっても元服すらしていない子供の心を弄んだ事は許さないさ!

さっきのユーベルコード での姿のまま【残像】に濃厚な【殺気】を乗せて本体への攻撃の的を絞らせずに【残像】にも【フェイント】を混ぜた動きで接近しながら【力溜め】【鎧無視攻撃】【2回攻撃】で確実に終わらせる。

「過去の存在が未来を託す存在を足枷になっちゃいけないんだよ…安らかに眠りな。」

セリフと共に姿が元に戻る。

(アドリブ、掛け合い、協力OKです)



 ふらつく男の姿に、今が好機と七星・桜華が刀を手に迫る。
 その姿はいまだに、元の桜華ではない、死に装束の別の女性のものだ。恐怖の対象であり、そして、男が語った通りならば愛した女に斬りかかられる心情とはいかほどのものだろうか。
 しかし、桜華には敵にかける情けも躊躇もない。
「どんな理由があっても元服すらしていない子供の心を弄んだ事は許さないさ!」
 男を守るように召喚された落武者の霊の合間を縫い、接近する彼女の動きはあまりにも速かった。そこには残像が残り、あたかも分身の術でも使用したかのうようである。
 落武者の霊はその残像に惑わされ、桜華本人を捕らえきれずにいた。
「過去の存在が、未来を託す者の足枷になっちゃいけないんだよ……」
 腰に多くの刀を携える桜華が、この戦いに選び握っているのは『妖刀草薙之剣』。
 地を蹴り、男に迫った桜華の身に力が籠もる。
「……安らかに眠りな」
 放たれたのは、圧倒的な鋭さを誇る妖刀からの斬撃。飾り気のない、だからこそ無垢で強力な一撃は、男の纏った護身の術すら破りその身を裂く。
 着地した桜華の姿は、真紅の髪を持つ本来の彼女のものに戻っていた。

 一瞬の静寂。誰もが、戦いはここで終わったと思った、その時。
 そのまま倒れ伏すかと思われた男がその身を立て直し、錫杖を鳴らしながら地に打ち付ける。
 男の周りに浮かび上がるのは、無数の影の刃。戦う意思が、まだそこにあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

加藤・光廣
聞きたいこと?そんなもんねーよ
俺に直接関係あるわけじゃねーしな
それに冥途の土産?言ってくれるじゃん
ならテメーの命をもらってくぜ

第一に坊主の世界じゃあ直接手を下したヤツより、指示したり手引きしたヤツのが罪深いんだってな?
良く知らねーし、俺が言えた柄でもねーけど

まずは一九式でもぶっ放す
弾切れ起こしたら、打ち捨てとくぜ
後で回収すりゃいいや
その間にある程度距離が詰まってるだろうから、スローイングナイフを投擲して牽制
近距離戦になったらダガーを右手に、マンゴーシュを左手に手数で勝負するぜ
2回攻撃は得意じゃねーし、暗殺も有効じゃなさそうだな
上手いこと錫杖が盗めたらラッキーか
隙を見てUCでケリつけられねーかな



 猛烈な勢いで迫り来る無数の影の刃。
 弾幕のように面で広がり、辺りにいる猟兵へ無差別に襲い来るその全てを避けきることは困難だ。加藤・光廣もまた、その刃に身を裂かれたうちの一人である。
「ったく……往生際の悪いヤツだぜ」
 頬から垂れた血を伸ばした舌でぺろりと舐め、彼は月夜に輝く金の瞳を男へ向ける。
 そして、今度はこちらの番とばかりに構えたのは一九式突撃銃。無骨な見た目のアサルトライフルを男目掛け、乱射しながら歩みを進めていく。その撃ち方には残弾を計算するような素振りもない。
 最早感情も失ったか、男は無表情のまま錫杖を振り、いくつかの銃弾を撃ち落としたようだが、その身にも弾を受けている。しかし男の纏う気の禍々しさは、いっそうの凄みを増す。
「坊主の世界じゃあ直接手を下したヤツより、指示したり手引きしたヤツのが罪深いんだってな?」
 だが、その姿に光廣が怯むこともない。真直ぐに得物を見据え、にじり寄る。
「良く知らねーし、俺が言えた柄でもねーけど」
「……」
 今までは猟兵達の言葉に応えていた男が、今は最早その口を開くことはなかった。ただ錫杖を揺らし、再び無数の刃を召喚するだけである。
「言葉すら失ったか」
 光廣は呟くと、同時、彼の撃っていたライフルが弾切れを起こす。光廣は一切動揺することなく、すぐさまそれを打ち捨てると、右手にダガー、左手にマンゴーシュを構え地を蹴った。
 反撃のよう、宙に浮いた刃は光廣を襲う。だが。
 その身のこなしは、野生の狼が月夜に踊るように素早かった。
 光廣の握った鋭いダガーが、男の胸を貫く。庭の池の畔。半月に照らされ、刃を受けた男の体が地に倒れた。
 断末魔の声は、上がることがなかった。
 こうして奇妙なほど静かに、事件は終焉を迎える。
「冥途の土産に、テメーの命をもらってくぜ」

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月03日


挿絵イラスト