#サクラミラージュ
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剥き出しの配管が小刻みに揺れながら液体を吐き出す。
その撒き散らされた温水によりその小部屋――シャワールームの中は湯気に包まれる。
一日の汚れを洗い落としていたその男は、ふと水音とは違った何かを耳に捉えた。
それは少女の歌声。
儚げな、憂いを帯びた歌声。
何処か聞いたことのある旋律――童歌だろうか。
男はその童歌が、背後から聞こえてくることに気付いた。
お湯をまき散らしながらとっさに振り返る男。
そこには……。
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「サクラミラージュか……新しい世界がまた現れたのだな」
そう感慨深げに話すのは、グリモア猟兵であるテオ・イェラキ(雄々しき蛮族・f00426)だ。
テオよれば新たな世界でもさっそくオブリビオン事件が次々と発生しているという。
「今回俺が予知をしたのは……とある寂れた洋館での殺人事件だ」
テオによれば、事件は既に誰も住んでいないはずの山中の大きな洋館で起こるという。
その寂れた洋館から何故か送られてきた招待状により集められた人々が、館の中で次々と殺されるという連続殺人事件が予知されたのだ。
「既に協力者の手引きにより、招待された者たちの説得は完了している」
招待状を事前に回収したり、招待されても向かわぬよう釘を刺したり。
様々な手段により招待された者が館に向かわぬよう、既に手配がされているようだ。
だが、それでは事件の根本的な解決にはならない……。
「そこで皆には、招待された人間を装い、最終的には殺される“フリ”をして欲しい」
連続殺人が行なわれるタイミングでは、オブリオンの声が聞こえてくるらしいが、どうにも本体が現れることは無さそうだ。
連続殺人事件が成功した後、それを喜んだオブリビオンがのこのこと現れたタイミングで討伐して欲しいのだ。
「流れを改めて説明しよう、まずは皆は館に招待された人間を装い、館に侵入して欲しい」
寂れたはずの館は既に宿泊客を迎えられるよう、掃除から飲み物から軽食まで、万全の態勢が整えられている。
館は無人でなぜか各々の部屋の鍵と、『遊びましょう』とだけ書かれた書置きが残されている。
皆は館の広い空間を利用して遊んでも良いし、館を堪能しても良い。
不気味な空気に気圧されて、部屋に引きこもっても良いだろう。
大事なのは……オブリビオンが疑わぬよう、“らしく”演技をしてもらうことだ。
「しばらくすれば、突然童歌が聞こえてくるという……どうやらそのタイミングで、それぞれ殺人事件が起こるそうだ」
急に棚が倒れてきたり、シャンデリアが落ちてきたり、足を急に取られて頭を打ったり……何かしらが発生し、殺人事件が行なわれる。
原因は超常的な何かなのだろうが、あくまで一般人を殺すつもりで放たれた攻撃。
猟兵たちは負傷はしても、命に問題は無いだろう。
もちろん痛いことには変わり無い、負傷を軽減する工夫をしても良いのかもしれない。
「全員が死亡した……とオブリビオンが判断すると、ついにオブリビオンが現れるようだ」
最後に連続殺人事件の成功に気を良くしたオブリビオンが現れれば、無事討伐して事件解決だ。
「ただしオブリビオン……この世界では影朧だったか、影朧はその荒ぶる魂と肉体を鎮めれば転生が可能らしい。もちろん普通に倒してもかまわないが、可能であれば説得をしながら戦うことをこの世界では求められるようだな」
とはいえもちろん猟兵の安全が第一、まずは討伐を最優先とすることは間違っていないだろう。
「色々と面倒なことを言って悪かったな、気を付けて行ってくれ」
赤きグリモア猟兵は送り出す――新たなる世界でも皆の活躍を祈りながら。
きみはる
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お世話になります、きみはるです。
新世界ということで、さっそくシナリオを出してみました。
『一章』
OPの通りですので、そこまでフラグメント内容に固執しなくても大丈夫です。
殺人事件ものっぽい演技や、それっぽい無意味な行動に対してはプレイングボーナスを付与します。
『二章』
突然童歌が聞こえてくると共に、攻撃が行なわれます。
何故か物が倒れてくるなどの超常現象は発生しますが、ビームが飛んでくるとかはありません。
どういったふうに攻撃されるかについても、プレイングに含んで頂いてもOKです。
『三章』
ボス戦となります。
何やらぐだぐだと恨み言を言うようなので、説得しながら倒して下さい。
普通に倒してもOKです。
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一章は順次プレイングを募集致します。
締め日程の目途が出て来ましたら、MSページ等に記載させて頂きます。
二章以降は順次なのか、プレイング期間を設けるのか、その時の状態に合わせてMSページにてアナウンスさせて頂きますので、ご確認の程宜しくお願い致します。
以上、皆様のプレイングをお待ちしております。
手探りながらも、この新たな世界を楽しみましょう。
第1章 日常
『影鬼遊ビ』
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POW : 追って追って、走り続けて影を縫い止める。
SPD : 疾く疾く、駆け抜けて影をさらう。
WIZ : 先読み先回り、待ち伏せして影を捕まえる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
遊びましょう、ですか。
何の遊びが希望かはわかりませんが、その時が来るまでゆっくりさせていただきます。
折角のおもてなしが無駄になってしまいますからね。
綺麗な内装に清潔な設備。嫌な雰囲気さえ無ければ素晴らしい宿泊所だろうに。もったいないですね。
散策しながら、途中でバーがあればそこから少しアルコールを拝借。
遊技場でアルコールをお供にしてビリヤードに興じましょう。
アルコールは舐める程度に、雰囲気作りの小道具です。
これで彼の影朧さんから軽率な若者と見られれば成功です。
最初の犠牲者っぽく振舞えたのなら、私の死が迎えに来るまでの一時楽しみましょう。
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(遊びましょう、ですか……何の遊びが希望かはわかりませんが、その時が来るまでゆっくりさせていただきますか)
アリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)は部屋へと荷物を放ると、堂々とした物腰で館を徘徊する。
何処を歩いても埃一つ無い館――事前情報の通り、寂れているはずの館としては、不自然極まり無い状態だ。
(しかし、残念ですね……)
綺麗な内装に清潔な設備、宿泊施設として見れば一級品だろう。
どこか不気味な雰囲気さえ無ければ、と館を見て回れば回るほど、惜しく感じてしまう。
「おっ、良い酒があるじゃないか」
そうこうしているうちに、アリウムは興味深い一室を発見した。
ビリヤード台やカードゲーム用の台といったプレイスペースが併設されたバー。
口元に笑みを浮かべた彼が嬉しそうに歩を進め手にしたのは、高級な海外産のウィスキー。
嬉しそうにグラスとボトルを拝借するのも、その普段と違った口調も、軽薄な若者といった演技の為のものだ。
乱雑に酒をグラスに注ぐものの、実際に口に入れるのは舐める程度。
全ては演技の為に……雰囲気を損なわないよう、知的なモノクルは懐の中だ。
そうした細かい演技や拘りが、ビリヤードに興じる彼から遊びなれた青年といった雰囲気を醸し出していた。
(さて、私の死が迎えに来るまでの一時を楽しみましょう)
願わくば、最初の犠牲者らしさが出ていれば良いのだが、と。
そんな己の思考にくすりと笑うと、アリウムは遊戯に没頭する。
その時を、今か今かと待ちわびながら。
成功
🔵🔵🔴
政木・朱鞠
「ふふ…楽しそうな事してるね、私も混ぜてもらおうかな?」
今の洋館はターゲットのテリトリーだもんね、変に抗っても相手の思うつぼ…こちらの手数が減るだけだね。
それに、こういう時は「遊び」に参加して楽しみながら敵を炙り出さないと不粋だと思うんだよね。
技能を使い、怯える様に【忍び足】と恐怖を持て余した【時間稼ぎ】で「追い詰められる役」を演出しつつ、狭い隙間などに感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を潜入させるように放ち【追跡】や【情報収集】で周囲を探ろうかな。
オブリビオンが何らかの攻撃を仕掛けて来た時は、大袈裟な悲鳴をあげながら攻撃を受けて死んだフリを決め込んで敵の油断を引き出したいね。
アドリブも連携もOK
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「ふふ…楽しそうな事してるね、私も混ぜてもらおうかな?」
そう楽し気に館に足を踏み入れたのは、政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)だ。
しかし彼女が足を踏み入れたその瞬間、その表情は一変する。
安心から警戒へと。
愉悦から恐怖へと。
館の中はオブリビオンのテリトリー。
下手な抗いは、苦境を招くどころか件のオブリビオンが現れない危険がある。
故に彼女は、相手の手に乗る。
それに……
(こういう時は“遊び”に参加して楽しみながら敵を炙り出さないと不粋だと思うんだよね)
こういう時は、相手の手に乗った方が“面白い”から。
その思考こそが彼女らしく、そして彼女の強さを支えている。
「ひぃっ!」
乱暴に扉を締めながら己に割り当てられた部屋へと飛び込み、がちゃがちゃともたつきながら内鍵をかける。
そうした彼女が演じるのは、館の雰囲気に気圧され、怯える女性。
そろり、そろりと忍び足でゆっくりと歩を進める朱鞠。
突然勢い良く意匠箪笥の扉を開けたり、家具と壁との隙間を覗き込むのは、まさに追い詰められたヒステリックな女といった様相だ。
そうして自然に行なう奇行により、彼女は斥候を館へと忍び込ませる。
それは『忍法・繰り飯綱』により生み出された、狐にも似た分霊。
そうした情報収集は、次なる選択肢を増やす為に重要なものだ。
(んー、オブリビオンが何らかの攻撃を仕掛けて来た時は、大袈裟な悲鳴をあげながら倒れようかしら)
脳内は既に、次なる一手を模索中。
恐怖の表情を浮かべた朱鞠の胸中では、真反対の感情が渦巻いていた。
この潜入ミッションに対し、心を躍らせていたのだ。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
UC発動
おかっぱ頭の地味なパーラーメイドに変装
歌唱と演技でおどおどした少女を装います
ひいっ……
『おじさま』から渡された招待状でここまで来たけれど、やっぱり怖いです! 帰りたい!
あのお、すみません、どなたかいらっしゃいませんかあ!
……主催者が出てこないなんて怪しすぎます
遊びましょうって、言ったって……一体何で遊ぶって言うんですか?
このお菓子……ああ、異国の絵本で見たことがあります、食べたら体がちいちゃくなるとかなんとか! まさかそれに似せて毒殺?
ううっ……帰りたいっ……
おじさまにお給金上げて頂けるって言葉に騙された私が馬鹿でしたあ!
あくりょうたいさああああんn!!
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「あのお、すみません、どなたかいらっしゃいませんかあ!」
新たに館に現れたのは、おかっぱ頭に地味な色合い衣装に身を包んだパーラーメイド。
その正体は――舞台役者すらこなす猟兵、鈴木・志乃(ブラック・f12101)だ。
彼女が用いるのは『上演』と呼ばれるユーベルコード。
その能力は彼女の演技力を、変装能力を、歌唱力さえも劇的に向上させる。
もはや彼女を知る猟兵仲間すら、今の彼女を見て正体に気付くことは出来ないだろう。
そこまで完璧に、彼女は気の弱いパーラーメイドという“役”を演じきっていた。
「おじさまから渡された招待状でここまで来たけれど、やっぱり怖いです! 帰りたい……主催者が出てこないなんて怪しすぎます……だいたい、遊びましょうって、言ったって……一体何で遊ぶって言うんですか?」
士乃は辛抱たまらんとばかりに、大きな声で一人愚痴をこぼす。
その独り言は滝のように止まらぬ勢いで垂れ流されるばかり。
「このお菓子……ああ、異国の絵本で見たことがあります、食べたら体がちいちゃくなるとかなんとか! まさかそれに似せて毒殺?」
その演技はふと思えば喜劇のように大仰で、しかしその姿を見ている者に違和感を与えぬほどに巧妙であった。
「ううっ……帰りたいっ……おじさまにお給金上げて頂けるって言葉に騙された私が馬鹿でしたあ!あくりょうたいさああああん!!」
女優は叫ぶ。
たった一人の観客――館に住まうオブリビオンに向かって。
さぁ、私はここだ、殺しに来いとばかりに。
彼女の舞台の幕は上がったばかりだ。
成功
🔵🔵🔴
水鏡・怜悧
「お、おじゃましま…す」
怯えた様子の黒目の少年。レイリは本当に怯えていた
(ロキ…ひどいよ…ヒミツって言ってないで何か教えてよぅ)
(駄目ですよ、不自然になったら困りますからね)
意識の内で会話を交わす
情報共有を切られた状態でロキが依頼を受けたため、
招待状を渡されたきり、レイリは何も知らない
胸元にスケッチブックを抱きしめて、
不安そうに周りを見回しながら
何とか置手紙を確認する
「…かくれんぼ、かな」
隠れられそうな、柱時計の中やテーブルの下
ビクビク怯えながらも各部屋を探索するレイリの行動のその裏で
視覚や聴覚を共有するロキは怪しいものがないか情報収集に努める
(世界知識、失せ物探し、追跡、視力、暗視/SPD)
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「お、おじゃましま……す」
気弱そうな少年――水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はゆっくりと館の扉を開ける。
その少年の怯えた様子はこれまでの猟兵たちと同様演技……ではなく、本心からの姿であった。
(ロキ……ひどいよ……ヒミツって言ってないで何か教えてよぅ)
レイリが心の内に話しかけるのは、多重人格者である彼の内在人格の一人である、ロキだ。
(駄目ですよ、不自然になったら困りますからね)
心の内から帰って来るもう一人の自分――ロキの声は冷静に……だがどこか楽しそうな声色で言葉を返した。
本来一つの身体を共有する多重人格者であるレイリは、他の人格が表に出ていても情報を共有することで周囲を把握することが出来る。
しかしながら、今回は意図的に共有を切られた状態で連れてこられた為グリモアベースにおける会話を理解しておらず、単純に連れて来られた彼は状態が把握出来ていないのだ。
それは一重に彼が演技や嘘といった分野を苦手としている為。
中途半端な嘘がバレるよりかは、あえて知らせないことで自然な対応をレイリに取らせる為だ。
「……かくれんぼ、かな」
机の上に置かれた書置きを眺め、レイリはその意味を素直に受け止める。
不安そうにスケッチブックを抱きしめ、ゆっくりと辺りを見回すレイリ。
怯えながらも、遊びの一種だと勘違いをし、隠れられそうな場所を一つ一つ確認していく。
その五感を利用して情報収集を進めるロキは気づいていた。
何処からか、不気味な視線を浴びせられていることに。
成功
🔵🔵🔴
呑龍寺・沙耶華
WIZで行動
招待客になりすまして殺されたフリとは面妖なお願いですわね…。
現時点では相手の犯行動機も能力の解かりませんので、敵の計略の「遊び」に乗らせて頂きますわ。
演技などの芸事に不慣れなのですが…招待したくせに使用人もいないことに不平を漏らしながら屋敷内をうろつく高飛車な態度のお嬢様を演じてみます。
こういう時は単独行動中に襲われやすいと聞いたことがあるのでセオリーを守り、変にユーベルコードを使ってこちらの手の内を明かすわけには行かないので今回は活性化せずに動くことにします。
攻撃を受けた際は素直に倒れるのも癪ですが、敵を欺く策の一部と心得て死んだフリをさせて頂きますわ。
アドリブ歓迎
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(招待客になりすまして殺されたフリとは面妖なお願いですわね……)
呑龍寺・沙耶華(ブシドープリンセス・f18346)は複雑そうな表情を浮かべながら思案する。
今回の任務は彼女がこれまで猟兵として受けてきたどんな任務とも毛色の違ったものだ。
だかしかし、現時点では相手の犯行動機も能力も不明。
故に相手の計略に乗らざるを得なく、不慣れと思いながらも、演技に尽力するのだ。
「まったく、招待しておいて使用人の一人もいないなんて!」
勢い良く扉を開け放ち、エントランスをねめつける沙耶華。
気合いを新たに館の中へと歩みを進めた彼女が演じるのは、高飛車な態度のお嬢様だ。
あれもこれも気に入らないとばかりに、不平不満を呟きながら館の中を歩き回る。
不機嫌極まりないといった態度の沙耶華が考えるのは、いかにして狙われやすくするかといったことだ。
「もう、館の主人はどこにいるのよ!?」
時折他の招待客である猟兵たちを見かけるものの、彼女はあえて自然に距離をとる。
狙われるのは、単独行動をしている者と相場が決まっているのだ。
下手にユーベルコードも使わないのも手の内を明かさないといった意味に加え、より狙われやすくする為なのだ。
(素直に倒れるのも癪ですが……敵を欺く策の一部と心得て死んだフリをさせて頂きますわ)
あえて、攻撃を受けるのも癪だか、背に腹は変えられない。
突如遅い来る衝撃を覚悟しながら、少女は徘徊を続ける。
魔の手が忍び寄るその時を警戒しながら、待ち望みながら。
成功
🔵🔵🔴
武蔵天狗・弁慶
連続殺人事件とは悪趣味じゃのう!
上手く誘き寄せて懲らしめてやろうぞ!
カッカッカ!
……と言うてもわしは演技なんぞ出来んからな!!
牛若、任せたぞ!今に限り、わしはただのお面じゃ。
牛若にはただの招待客を演じてもらおう。
軽食を取り、少し酒でも飲んで酔っ払ったふりでもしておこうかの。
牛若!飲み過ぎるんじゃないぞ!
あまり飲まなくてもすぐ顔が赤くなるのが、逆に敵を騙しやすいじゃろ!
『飲むと眠くなっちゃうよね』じゃないんじゃ!
この後もあるんじゃからな!しっかりやるんじゃぞ!
【アドリブ、連携可】
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(連続殺人事件とは悪趣味じゃのう! 上手く誘き寄せて懲らしめてやろうぞ! カッカッカ!)
そう心の内に決意するのは、一風変わった天狗の面を被った少年……では無く、その被られている面そのもの――ヒーローマスクの猟兵、武蔵天狗・弁慶(feat.牛若丸・f14394)だ。
普段は協力者の少年――牛若丸の身体を借りて戦う弁慶も、今宵ばかりは単なる喋るお面。
弁慶の性格を言い表すのならば、快活、実直、豪胆が相応しい。
そんな彼が演技などと、逆さになっても不可能だからだ。
「ほれ牛若丸、招待客を演じるのじゃ……少し酒でも飲んで、酔っ払ったフリでもするのはどうじゃ?」
近くに人の気配がしないことを確認しつつも、万一を考え小声で話しかける弁慶。
その指示を受けた牛若丸もまた、素直に言われた通りに行動する。
バーを発見すると用意されていた飲み物から慣れない手つきでカクテルを作る牛若丸。
しかしその顔は、みるみるうちに真っ赤に染まって行く。
「牛若! 飲み過ぎるんじゃないぞ! あまり飲まなくてもすぐ顔が赤くなるのが、逆に敵を騙しやすいじゃろ!」
思わず声を荒あげる弁慶。
彼の想定外となった原因は二つだ。
一つは飲めと言われて飲んだだけの牛若丸の飲み方が、通常よりも勢いの良いものとなってしまったこと、もう一つが酒に慣れない牛若丸の作るカクテルが、やたらと濃いものとなってしまったことだ。
「飲むと眠くなっちゃうよね、じゃないんじゃ! この後もあるんじゃからな! しっかりやるんじゃぞ!」
弁慶の叱咤も虚しく、気持ち良さそうに頭をふらふらと揺らす牛若丸。
二人のやり取りが館の主に届いているかは、今はまだ誰も知る由もなかった。
成功
🔵🔵🔴
諫名・巡
つまり私は殺される役らしく振る舞えば宜しいのですわね?
わくわくする心を押し隠し、高慢なお嬢様を演じてみますわ
「ここの主人はいつ現れますの?(どんな方かしら?)」
「ふん、古臭い館ですわね(歴史があって素敵ですわ)」
「お茶も自分でいれなくてはなりませんの?(リビングや厨房は…わくわく)」
屋敷探索で情報収集
気になったら『小鳥のリンカ』に撮影して貰い、私は素っ気なく振る舞います
家主のお部屋や肖像画などないかしら?小物や調度品にも性格は出るものですわ
お茶を楽しんだ後、この前読んだお話のとっておきのセリフを言います
「見ず知らずのかたたちとご一緒なんてできませんの!私は自分の部屋で休ませて頂きますわ!」
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古びた洋館に、一人の少女が新たに現れた。
見るからに高貴な装いに包まれたその少女の名は諫名・巡(冬の陽だまり・f21472)
「ふん、古臭い館ですわね」
プライドの高さがにじみ出ていると感じるほど、高慢な物言いをする巡。
(建物は古くても内装はしっかりと清潔、むしろ歴史があって素敵ですわ)
しかしその台詞はあくまで演技、その心中はこの館への訪問を一種の冒険のように楽しんでいた。
高級だが、年期の入っていそうな調度品。
そうした屋内の様子を眺めなから、時にはユーベルコードにより情報を集めながら、巡は歩みを進める。
「まったく、ここの主人はいつ現れますの?……お茶も自分でいれなくてはならないなんて」
プンスカと擬音が聞こえてきそうなほど、分かりやすく不機嫌な巡。
しかしその内心はまだ見ぬ館の主の想像に心を踊らせ、またリビングを一人きりで貸し切り茶を楽しむことに、ドキドキが止まらないでいた。
ゆっくりとお茶を楽しんだ後、ようやく気づいたかのような面持ちで卓上の鍵を回収した巡は、気合いたっぷりといった面持ちで言葉を放つ。
「見ず知らずのかたたちとご一緒なんてできませんの! 私は自分の部屋で休ませて頂きますわ!」
まだ見えぬ館の主に伝わるよう、渾身の台詞を放つ巡。
その台詞は彼女が事前に熟読した推理小説から抜粋したとっておきの一文だ。
またしてもプンスカと可愛らしい擬音が聞こえてきそうな怒りを全身で表現をして歩み去る巡。
その顔に浮かんだやりきったという満足気な笑顔が、オブリビオンに見られていたかは定かでは無い。
成功
🔵🔵🔴
第2章 冒険
『禍を呼ぶはわらべ唄』
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POW : 調査の基本は足だ、体力だ、人々への聞き込みだ。
SPD : 過去の伝承などを探り、類似した事例を炙り出す。
WIZ : 超直感や偶然に助けられ、真相への道筋を立てる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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猟兵たちを除き、人の気配を感じることが出来ない洋館。
しかし彼らは気づいていた……何処からか、視線を感じていることに。
陰気で、ねばついた、悪意のある視線。
猟兵たちは“その時”が近いことを肌で感じていた。
ふと耳を澄ませば、どこからか声が聞こえてくる。
年若い、少女の声。
少しずつ、大きく聞こえてくる声。
儚げな、どこか憂いを帯びた歌声だ。
その旋律は、聞いたことのあるような感覚を不思議と覚える。
広く知れ渡った、童謡であろうか。
ふと猟兵達は感じた……その歌声が、背後から聞こえることに。
今、事件の時が来た。
政木・朱鞠
WIZで行動
犯人の目的が復讐なのか歴史再現なのかはわからないけど、役者は揃ったみたいだしそろそろ仕掛けてくる頃合いだね。
立派なお屋敷だし…直観的な考えだけど図書室とかあるはず。
犯人はこのお屋敷の因縁と密接な関係を持ったオブリビオンと仮定して、手掛かりになる過去の資料とか探してみようかな…。
たとえ、犯罪を行ないやすい死角の多い場所への誘い水だとしても接点を持つチャンスとして『忍法・繰り飯綱』の追跡に利用させて貰うだけだよ。
ちょっと痛い事されそうで不安だけど、犯人の気配に捉えてもヒステリックに怯える演技をしつつ攻撃を受け身を取らずに素直に貰って犠牲者になっておこうかな…。
連帯やアレンジOKです
呑龍寺・沙耶華
SPDで行動
犯人に襲われるわずかな時間ですが少しでも正体や弱点の手掛かりを集めておきたいので、屋敷の主人の部屋もしくは書斎で日記などの過去の記録を探しておきましょうか。
たぶんこの行動も犯人に監視されていると思いますので、一章でのわがままお嬢様キャラを崩さない様に気を付けながら「埃っぽい!」などの不満を言いながら探索して行きます。
ある程度の資料を閲覧した後は、相手が狙いやすいように、私が無防備かつ逃げにくいシチュエーションを用意するため『屋敷内をうろついたので埃を流すためシャワーを浴びる』で相手を誘き出します。
犯人が殿方の可能性はありますが…事件解決のため致し方ありません。
連携やアドリブOKです
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(犯人の目的が復讐なのか歴史再現なのかはわからないけど、役者は揃ったみたいだしそろそろ仕掛けてくる頃合いだね。)
政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は目当てのものを探していた。
館の空気が刻一刻と重苦しいものへと変質していく様を肌で感じていた彼女は、少しでも情報を得るべく、とある部屋にいた。。
その部屋とは『忍法・繰り飯綱』により放った斥候により発見した場所――書斎だ。
(犯人はこのお屋敷の因縁と密接な関係を持ったオブリビオンと仮定して、手掛かりになる過去の資料とか見つけられないかな)
オブリビオンの手がかりを得るべく資料をあさる朱鞠。
しかし彼女の放った繰り飯綱が新たな来客を感じ取っていた。
「全く、埃っぽい部屋!」
不満を口にしながら現れたのは、呑龍寺・沙耶華(ブシドープリンセス・f18346)
演技を続ける彼女もまた情報を求めて書斎へと現れたのだ。
「ひぃっ!」
予め存在を確認していた朱鞠の反応もまた、演技。
グリモアベースにて顔合わせをしている二人は、互いの顔が見知ったもの――つまりは互いが猟兵であることを再確認する。
だがしかし、ここでの二人はあくまで初対面だ。
「貴方も招待客?もてなしも何も無いものだから、暇で暇でこんな部屋まで来てしまたわ! 何か面白いものでもあって?」
自然な流れで情報共有を求める沙耶華。
彼女が覗き込むのは朱鞠が開いていた資料だ。
「い、いえっ! 特に面白いものは……」
彼女が開いたのは一枚のアルバム。
赤ん坊の写真から家族の集合写真まで……様々な写真が収められている。
未だ情報収集途中のつもりの朱鞠にとって未だ確定的な情報は得られていないつもりでいる。
しかしアルバムを見せられた沙耶華は何かに気付いたようで、一瞬目を見張った後ににっこりと笑みを浮かべる。
「……なぁに、アルバムだなんて面白いじゃない! このろくに持て成しもしない館の主人の顔が拝めるわ!」
そう言いながら彼女がアルバムから抜き出したのは、赤ん坊の写真と館に住んでいたと思われる家族写真だ。
朱鞠もまた、指し示されたことで言葉無しにはっと驚いた表情を浮かべる。
赤ん坊の写真には“2人の赤ん坊”が写っているのに対し、家族の集合写真には両親と“年がいくつか離れた”兄と妹しか映っていないのだ。
この消えたもう一人の赤ん坊に何か鍵がある……そう感じた二人は、互いが気付いたことを確認するように目配せをした。
二人が再び口を開こうとした次の瞬間、突如どこからか歌声が聞こえる。
儚げな……憂いを帯びた歌声。
かごめ、かごめと。
どこか聞いたことのある曲調が、耳に残る曲が聞こえてくる。
そして二人は気づく――その曲が二人の真後ろから聞こえていることに。
「ひ、ひぃっ!」
「何っ!?」
咄嗟に振り返った二人が目にしたのは――倒れ込む巨大な本棚。
視界を覆い隠す本の波を確認した時には既に遅く、二人を巻き込んだまま本棚が倒れ込んだ大きな音が部屋中に響き渡る。
積み重なった本の隙間から見える色白と色黒の手は……ぴくりとも動かない。
しばらくした後……童歌は、ゆっくりと小さくなっていく。
そして完全に途切れてから暫くした後……
僅かにはみ出た二人の手が、ゆっくりと動き出すのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鈴木・志乃
(ああ、好きなだけ騒いで楽しかった。)
【UC演技歌唱変装、続行】
……ふう、やっと落ち着いてきました。
そそっかしくてダメですね、本当
……ここにあるお茶も冷めてしまいましたし、皆さんも神経が張り詰めていらっしゃるご様子
キッチンに使用人は……きっといませんよね
私が茶葉を探して、皆さんにお茶を振る舞えるかもしれない
(気が動転して冷静な判断が出来ないフリ)
……この空気の中、お召し上がりいただけるかと問われると、微妙ですけれど
茶葉にありそうな場所に向かえば、いきなり首吊り罠が飛んできて縛られます
……念動力でちょっと弛めて損傷を回避です
あとは吊られてるように念動力でそのまま誤魔化しましょう
●
「……ふう、やっと落ち着いてきました」
鈴木・志乃(ブラック・f12101)はゆっくりと息を吐く。
取り乱したパーラーメイドを演じていた彼女は、ようやく取り乱したかのように息をつく。
(ああ、好きなだけ騒いで楽しかった)
その内心は朗らかなもの。
しかして小さく震える手やその血の気の冷えた顔色からは、そんな内心は伺い知れない。
心情に相反しても尚、体の反応をコントロールする彼女の演技力は人並外れたものと言えよう。
「ここにあるお茶も冷めてしまいましたし、皆さんも神経が張り詰めていらっしゃるご様子……お茶でも振る舞えないかしら」
時折他の猟兵も見かけるものの、基本的には別行動。
通常であれば不審に思われるその行動も、志乃の生気の戻りきらぬ表情を見れば未だ冷静な判断が出来ていないのだと想像させるのだ。
「……この空気の中、お召し上がりいただけるかと問われると、微妙ですけれど」
思わずそんな本音をこぼしながら、志乃はキッチンへと足を踏み入れる。
彼女が震える手でそっとドアを締めた次の瞬間――どこからか、歌声が響き渡る。
儚く、切なく……だがどこか憂いを帯び、恨めし気な歌声。
志乃は気づいた――扉を背にしているにも関わらず、その歌声が背後から聞こえてくることに。
彼女が息を飲むのとどちらが早かっただろうか……突如現れた首吊り罠が彼女の首にかかったかと思えば、一瞬にして吊り上げられた。
苦し気にもがく志乃。
しかしその成人男性の親指の太さはあろうかと思われる頑丈なロープは、彼女の動きによりギシギシと音を響かせるだけでビクともしない。
そうして暫くした後……彼女の身体から一切の力が消えていく。
歌声はそんな志乃の様子を見届けると、ゆっくりと遠のいていく。
しかしその声は、気づいていただろうか……
その突如現れたロープと死体と思われる身体の間に、埋まり切らぬ隙間があることに。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
(どこにも…いないね)
(そうですね、一度部屋に行きましょう
それと、妖精を手に持っていて下さい
万が一危険を感じたら"意識の内"に入って下さい)
ロキに促され、レイリは20cmほどの人形を手に持つ
部屋に入ると童謡が聞こえた
(ロキは妖精に意識を移す)
レイリは音の出所を探すも見当たらず
首にロープが巻き付き…そのまま身体は引き上げられる
(首が閉まらぬようUDCを挟み込み、身体はUDCの空中浮遊で支える)
ギイギイと音を立てて少年の身体が揺れ
バサリと手に持ったスケッチブックが床に落ちた
(身体を操る人格が居ないため完全な脱力状態となる)
握られていた人形は自然と身体の背後を視界に収める
敵の姿は…見えるだろうか
●
(どこにも……いないね)
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の内在人格の一人であるレイリは、身体を共有する人格の一人であるロキに話しかける。
(そうですね、一度部屋に行きましょう……それと、妖精を手に持っていて下さい。万が一危険を感じたら"意識の内"に入って下さいね)
レイリの言葉が気が弱いながらも普段通りの声色なのに対し、ロキのそれは警戒の色が含まれていた。
彼は感じ取っていた……館の空気がどこか張りつめたものに変質してきていることに。
ロキに促され、レイリが取り出したのは20㎝程度の妖精を形どった人形。
そんな人形を握りしめたまま、レイリは目の前の扉をゆっくりとくぐる。
扉が軋みながら閉まった次の瞬間――どこからか、歌が聞こえる。
どこか哀愁漂う儚げな歌。
二人は気づいた――その少女と思われる歌声が後ろから聞こえてきていることに。
「かはっ……」
レイリが振り返ろうとしたその直前――どこからか現れたロープが首を締め上げる。
軋みながらロープが振れ、彼が抱き抱えていたスケッチブックが音を立てて床へと落ちた。
苦し気にロープを掴むレイリ……しかし直ぐに力尽き、だらりと両手はしなだれる。
その様子を確認した後、童歌は何処かへと消え去っていった。
(やはり予知の通り、現段階では敵は現れませんか……)
もぞもぞと何かが動き出したかと思えばロープが切られ、それでもなお浮き続けていた身体がゆっくりと地面に下ろされる。
一連の動きは、人形へと意識を移した『ロキちゃんフェアリーモード』によるものだ。
身体の影に隠れていたロキがロープが首を締め付けるのを防いでいたのだ。
身体の突然の脱力は気絶によるものでは無く、レイリがその意識を下がらせた為。
意識を身体に戻したことにより、脱力した身体がピクリと動く。
少年たちは事件解決に向け、再び動き出す。
ただし……意識を戻したレイリが怖かったと、事前に予知の内容を知っていたロキへの不満が止まらなかったとか何とか。
大成功
🔵🔵🔵
諫名・巡
ここは王道…密室殺人事件ですわ!
役は『強気を装い本当は怯えるお嬢様(の演技を楽しみますわ)』
お部屋の鍵を全部閉めて四方に御札をぺたん
幽霊の類なら反応しないかしら?
【拠点防御・オーラ防御・罠使い・第六感】
髪をポニーテールに結い直し血糊袋を隠します
リンカは部屋の対角にいてね
『リンカ・PC・電脳虹彩』をリンクして背中の視界を確保しますわ
「ふ、ふん、遊びに来れるものならいつでもよろしくってよ(ゲーム開始ですわ)」
異変を察知したら『♣のJ』
体と物の間に滑り込ませ、こっそりクッションのように使います
信じられない物を見た様子で血糊をつーっと垂らして死んだふり
目を閉じ虹彩の映像に注意して敵の出方を待ちますわね
●
諫名・巡(冬の陽だまり・f21472)は己に割り当て割れた部屋に引きこもる。
怪しげな者たちとは一緒にいられないと豪語した彼女は自ら部屋に鍵をかけた。
その細かく震える手からは気丈に接する彼女もまた、強気を装うだけの少女であることが見てとれよう。
(やはりここは王道……密室殺人事件ですわ!)
しかしてその内心はいかに殺されようかと心を踊らせており、この状況を存分に楽しんでいたのだった。
「よ、よし……相手が幽霊ならこれで……」
作業がしやすいように己が髪を結い上げた巡。
閉めきった部屋の四方の壁へとお札を貼る。
一見神頼みに見えるこの行動も、猟兵としての技術に裏打ちされたもの。
「リンカはここにいてね……」
ペットの小鳥をそっと安全な場所に下ろす様も、仮初めのもの。
彼女が設置した小鳥に仕込まれたカメラにより、広い視界を確保する為のものだ。
「ふ、ふん、遊びに来れるものならいつでもよろしくってよ」
準備万端とばかり、強気な言葉を吐く巡。
その言葉に反応したように、突如部屋の中に歌声が響き始めた。
(ゲーム開始ですわ)
表情は引き攣りながらも心の内では太々しく笑い、彼女は怪異へと挑む。
儚げな、切なげな歌が狭い部屋中に響く。
どこから聞こえているのか分からないほど反響していた音が、ふと気づけばすぐ耳元から聞こえていることに巡は気づいた。
「な、何ですの!?」
突如振り返る巡の視界に映ったのは、一人でに宙へと浮いた壺が己が顔面へと落ちてくる様。
陶器が割れる甲高い音が密室に響き渡り、彼女の身体は床へと投げ捨てられる。
額から流れ落ちる血潮を確認したのか、歌声はどこかえと消えていった。
「……ドキドキでしたわ」
その歌声が消え去った後、巡はゆっくりと目を開ける。
リンカからの情報により宙に浮かぶ壺に気付いていた彼女はUCにより防御をし、結い上げた髪に仕込んだ血糊で負傷したふりをしていたのだ。
「さぁ、クライマックスですの」
少女は笑う、次なるイベントに心を躍らせながら。
大成功
🔵🔵🔵
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
死は、厳密にいえば人生の最終目標である。何の本だったでしょうか。
突然このフレーズが思い浮かんだのも、童歌が少しずつ大きくなってきた事に関係あるでしょう。
この正体不明の敵を吊り上げるため、更に演技をします。
ビリヤード台に置いたアルコールに飽きたとか、玉が上手く落ちないだとかでキューを乱暴に扱うのも良いかもしれません。
近くのバーから更に別のアルコールを拝借。乱暴に注いで乱暴に飲み干しましょう。
酔って歩いている所に絨毯を引かれて転んで頭を角にぶつけるのも良し。
飲んだアルコールに毒が含まれている、ビリヤードボールで頭を殴られるのも良しですね。
童歌の主には満足してもらえると嬉しいのですが……
●
アリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)は耳を済ませていた。
酒を嗜みながら待っていた“その時”がやってきたのだと肌で感じていた。
どこからか聞こえてきた……儚げな、しっとりとした歌声。
どこか恨めしげにも聞こえるその声も、少しばかりの酒精で気を緩める彼にとっては耳心地の良いものにも聞こえる。
(死は、厳密にいえば人生の最終目標である……はて、何の本だったでしょうか?)
ふとアンニュイな……湿った方向に思考が行くのも、酒とこの切なげな歌声によるものだろうか。
アリウムは気を取り直すと、その手に握りしめていたキューを突如放り投げた。
沈み行く己が思考をすくい上げるように、うつむきかけていた心を叱咤するように。
少しばかり気が浮ついてしまったが、山場はこれからなのだと気を引き締める。
「まったく……客も相手もいないんじゃ、ちっとも面白くもねぇや」
まるで飽きたとばかりに席を離れるアリウム。
その怪しげな足取りが……乱暴にワインボトルの封を開け、グラスを使わずに喉を鳴らす様が、辺りを包む童歌に反応の無い彼が泥酔しているのだと思わせる。
ボトルを傾けたまま、ぐびぐびと音を鳴らしながら……酒を飲みながら部屋を歩くアリウム。
そんな彼の足元には、遠くへ放り投げたはずのキューがいつの間にか戻っていた。
踏みつけることで足を滑らせるアリウム。
次の瞬間――辺りに、頭をうち据えた鈍い音が響き渡った。
倒れ込む身体――血だまりのように広がるワイン。
その姿を確認し満足したのか、童歌は少しずつ小さくなっていった。
紅に染まった男を残して。
その男の唇が、ゆるやかに吊り上がっていることに気付かないまま。
大成功
🔵🔵🔵
武蔵天狗・弁慶
きたか!
ゆくぞ、牛若!
ここに留まっておっても仕方ない、歌が聞こえる方に動いてみるかの!
歩き回って気になる場所や物があれば見てみようかのう。
なにかしらしてくるやもしれん。誘い出すぞ!
牛若は引き続き酔っぱらったふりじゃ!ふらふら歩くんじゃぞ!
油断すると怪我をしてしまうからな、あくまでフリじゃ。なあに、わしが動かすから心配いらぬぞ!
なるべく大袈裟に動いて相手の動きを誘うぞ。
いつ攻撃がきても対処できるよう気だけは張っておこう。
まともに喰らっては意味がないからのう!
【連携、アドリブ歓迎】
●
少年は歩く……ふらふらと。
その顔色は頭に被る天狗のお面と見間違うほどに朱に染まっていた。
ゆっくりと、千鳥足で歩く少年が通路の曲がり角に到着したその時――どこからか響いてきた歌声が耳に入る。
「きたか! ゆくぞ、牛若!」
その歌声に目を覚まされたかのように、それまで身動き一つしていなかった頭上の面――武蔵天狗・弁慶(feat.牛若丸・f14394)が相方の少年――牛若丸へと語り掛けた。
儚げな、怪しげな少女の歌声。
通路全体に響き渡るその歌声の源を求め、弁慶と牛若丸は再び歩みを進める。
「牛若は引き続き酔っぱらったふりじゃ!ふらふら歩くんじゃぞ!」
その足取りは泥酔している者のそれに違い無いが、果たしてそれは演技か本物か。
ゆらゆらと、右に寄っては。
ゆらゆらと、左に傾く。
その大げさな足取りは通常であればわざとらしいと感じられるほど大袈裟なものであったが……ほとんど閉じている少年の瞼を見れば、判断に困ることこの上無い。
いずれにせよそのアンバランスな体勢から実際に転ぶところまで行きつかないのは、弁慶の補助により支えられているが故だろう。
眠気まなこを擦った少年は、“あっ”と小さく声をあげる。
少年は気づいたのだ……何処から響いていたのか分からなかった歌声が、ふと気付けば真後ろから聞こえていることに。
気を張り巡らせていた弁慶が咄嗟に視線を張り巡らせたその時、頭上に吊り下げられていたシャンデリアが突如落下した。
響く轟音。
飛び散る硝子細工。
その悲惨な惨状の直下には――少年の頭部が挟み込まれていた。
その惨状に満足したのか……歌声は段々と小さく、小さく消えていった。
床に落ちたそのシャンデリアが朱塗りの面に支えられ、少年の頭部には傷一つ無いことに気付きもせず。
静寂が満ちたその場には……小さな寝息だけが響いた。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『血まみれ女学生』
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POW : 乙女ノ血爪
【異様なまでに鋭く長く伸びた指の爪】が命中した対象を切断する。
SPD : 血濡ラレタ哀哭
【悲しみの感情に満ちた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 応報ノ涙
全身を【目から溢れ出す黒い血の涙】で覆い、自身が敵から受けた【肉体的・精神的を問わない痛み】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:綿串
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「父さんも、母さんも、兄さんも、姉さんも、館の使用人も……皆、嫌いだわ」
館に響いた童歌。
儚くも切なく、どこか恨めしい少女の歌声。
その歌声が収まったその時、館のエントランスには一人の少女が立っていた。
恨めし気な、憎々し気な……でもどこか、悲し気で助けを求めているような表情を浮かべながら。
「同じ日に、同じ親から生まれた姉さんと何が違うの?……慣習なんて、下らないわ」
その少女の両の手は紅に染まり、その少女の背からは呪いが渦巻く。
猟兵たちは感じていた、この凶悪なプレッシャーを放つ少女こそが、件のオブリビオンなのだと。
「皆酷いわ……家族として認めないどころか、いつの間にか消えちゃうなんて……だから皆を呼び寄せてやったの、そして殺してやったわ」
恨めし気な少女の表情が、恍惚としたものへと変わる。
しかしその瞳から恨みが、憎しみが消え去る様子は無い。
「なんだか人が多かったり足りなかったりした気がするけど、まぁいいわ……でも、これからどうしようかしら」
虚空を見つめ思案に耽った少女は、ふと良いことを思いついたかのように手を打つ。
「また新しい父さんを、母さんを、兄さんを、姉さんを呼びましょう……そして殺すの」
少女は再び歌い出す。
少女の恨みは、まだ終わらない。
故に猟兵たちは終わらせなければならない。
少女の恨みを、断ち切らねばならないのだ。
水鏡・怜悧
(…悲しそうな声、だった…助けられない…のかな
…ボク、お話、してみる)
仕方ないと溜息一つ、ロキ(妖精)はレイリの肩に乗り、身を守ることに専念。
「キミは…独り、なんだね
ボクも…前はね、義妹がいたんだ。お義父さんも、お義母さんも
でも、死んじゃった
…ロキも、アノンも、居てくれるけど。家族とは少し違うから…」
(哀哭はロキが風の触手を操作し、空気の振動を消滅させる)
「義妹のこと、大切だった。でも、あの時のボクには感情がわからなくて…
好きだって、大切だって、ボクがそう思っていることを、ボクは理解できなくて。一度も言えなかった…」
「罪滅ぼしかも、身代わりかも、しれないけど
少しだけ…一緒に、遊ぼう?」
●
(悲しそうな声、だった……助けられない……のかな)
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の内在人格の一人であるレイリはゆっくりと心の中で他の人格たちへと語りかけながら歩みを進める。
扉の先――エントランスにいるであろう、オブリビオンの少女のことを思い浮かべながら。
(ボク……お話、してみる)
大きな扉を押し開け、少女を視認したレイリはそう言い切る。
心の内に響く声は普段通り気の弱そうな声色。
しかし一つの身体を共有しているロキは感じていた――絶対に引き下がらないというレイリの意志の強さを。
仕方ないとばかりに嘆息すると、人形に意識を移したままのロキはレイリの肩へと止まる。
「キミは……独り、なんだね」
ゆっくりと歩み寄りながら、レイリは語りかける。
全ての招待客を殺したつもりの少女は彼の姿を確認すると、取り乱し始めた。
何故生きているのだと。
態々出てきたのはどういうつもりだと。
その怒声に怯むこと無く、レイリは少女の下へと進む。
「ボクも……前はね、義妹がいたんだ。お義父さんも、お義母さんも……でも、死んじゃった。ロキも、アノンも、居てくれるけど……家族とは少し違うから」
レイリは少女へと語り続けながらも、決してその歩みを止め無かった。
「近寄らないで!」
少女の叫び声と共に空気が震える。
悲痛な叫びは衝撃波を引き起こし、辺りを無差別に破壊する――はずであった。
しかしそれは引き起こされない。
ロキの操る怪しげな触手により、少女の異能を妨害されたのだ。
「義妹のこと、大切だった。でも、あの時のボクには感情がわからなくて……好きだって、大切だって、ボクがそう思っていることを、ボクは理解できなくて。一度も言えなかった」
狼狽える少女の眼前へと、レイリは歩み寄る。
それは拳を振るえば、容易く届く程の距離だ。
少女が爪を振るえば、負傷は避けられない位置。
しかしレイリはその危険に欠片も怯むことなく、そっと微笑みかけた。
「罪滅ぼしかも、身代わりかも、しれないけど……少しだけ……一緒に、遊ぼう?」
優しくもどこか、憂いを帯びた儚げな微笑みを。
大成功
🔵🔵🔵
呑龍寺・沙耶華
POWで行動
貴方の苦悩に対してどんな言葉をかけても薄っぺらく思われるでしょう…しかし、陰の感情を振り回すだけでは何の解決も産みませんわ。
もしかすると家族への憧れが憎しみへと変わってしまったのかもしれませんわね。
幸いにも憎しみに凝り固まってしまった貴方を解き放つ術を私たちは持って参りました。
貴方の悪いループをここで絶たせて頂きます…お覚悟よろしくって?
戦闘
思う所は有りますが戦闘は避けられぬなら…『スーパー・ジャスティス』を使用してちょっと強化状態で受けた後に攻めに転じます。
技能をいかして【残像】や【見切り】で翻弄し、武器はサムライブレイドの斬撃でダメージを狙います。
アレンジや他の猟兵との連携OK
政木・朱鞠
POWで行動
憎しみで咎を重ねる女学生ちゃんの思惑を阻止するのは大事だけど…終わりの無い絶望を和らげてあげたいかな。
説得とか堅苦しい事をする気はないけど…心の闇に逃げ込んだままじゃ、いくら復讐の再現を繰り返しても永遠に心が満たされる事は無いよ。
いっそ今まで貯め込んだ悔しさとか憎しみとかの感情を受け止めてあげるから私達に思いっきりぶつけちゃいなよ…。
戦闘
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使って体に鎖を絡めて動きを封じたいね。
心情的な攻撃なのかもしれないけど…『忍法・咎狐落とし』で今まで罪を犯した魂に対して絞り出させる様にダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
●
「貴方の苦悩に対してどんな言葉をかけても薄っぺらく思われるでしょう……しかし、陰の感情を振り回すだけでは何の解決も産みませんわ」
呑龍寺・沙耶華(ブシドープリンセス・f18346)は痛々しげに少女を見つめる。
その言葉は優しさに満ち、目の前の少女を優しく諭す声色だ。
しかしその表情には影がさしており……やはりオブリビオンと化した彼女は倒さねばならないのだと、その事実と向き合うことへの葛藤が見られた。
「心の闇に逃げ込んだままじゃ、いくら復讐の再現を繰り返しても満たされ無いよ」
ともすれば挑発とも取られかねないことを覚悟で政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は言葉を投げ掛ける。
朱鞠の言葉もまた目の前のオブリビオンの少女を終わりの無い絶望から救いたいと心残り底から願っているものだ。
しかし憎しみに濁らせている彼女の目を見れば、諭すよりも一度感情を解き放せた方が良いのではと考えた為なのだ。
「私のことを知りもしない癖にっ!」
オブリビオンの少女は叫びながら髪をかきむしる。
鋭い爪は彼女自身すら傷付け、その両手を赤く染めていった。
「貴方たちに分かるのっ!? たかだか数十秒産まれるのが遅かっただけて、家族と認められない気持ちが! 縁起が悪いとか、家が傾くとか、そんな理由で!」
まるで喉を潰さんという勢いで少女は慟哭する。
その悲しみに濡れた叫びは空気を震わせた。
突如割れる窓ガラスにシャンデリア――周囲を襲った衝撃波が、沙耶華と朱鞠の肌を切り裂く。
しかし二人は一歩も引くことも、避けることも無かった。
まるで少女の悲しみを受け止めるように、毅然とした態度で立ち塞がったのだ。
「憎しみに凝り固まってしまった貴方を解き放つ術を私たちは持って参りました。貴方の悪いループをここで絶たせて頂きます……お覚悟よろしくって?」
黄金にその身を輝かせる沙耶華は、目の前の少女を必ず止めると確固たる意思を以て相対する。
最初に見せた心の揺らぎは既に心の奥底へと沈ませていた。
駆け出す沙耶華に対し振るわれるは異常に伸びた少女の血塗られた爪。
その斬撃の軌道上の床を容易く抉るも、その軌跡に彼女は存在しなかった。
「はぁっ!……」
嵐のように荒ぶる合計十本にも及ぶ刃。
しかしその全てを避け、潜り抜け――時には残像すら残す速度で迫った沙耶華が刀を振るう。
交差した両者……しかし膝をついたのは、憎しみに溺れた少女の方だった。
「これで……終わりの無い絶望を和らげてあげる」
膝をついた少女へと追い討ちをかけるのうに、朱鞠は『荊野鎖』を振るう。
まるで薔薇のように棘を全面に生やしたその鎖が少女へ絡めば、彼女は苦しそうにうめき声をあげた。
「咎に巣食いし悪狐の縁……焼き清め奉る!」
オブリビオンの少女の身を炎が包む。
しかしその炎には熱気が無く、それどころか神々しさすら感じさせた。
その炎は浄化の炎――肉体を傷付けること無く咎人としての魂のみを焼く、『忍法・咎狐落とし』だ。
清き輝きを放つ炎が少女の纏う邪気を焼く。
その様子を二対の瞳が静かに見守った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
恨みを果たす事もできず、行き場の失った感情が暴走している様ですね。
生前の事情は台詞からなんとなく察しました。可能であれば説得し、転生を促したいですね
私でよろしければ恨みを発散する対象としてお使いください。
しかし、私もまだ死にたくありませんからね。
そう簡単に攻撃には当たりませんよ。
攻撃を『見切り』、『武器受け』で受け流しながら説得する『時間稼ぎ』します。
もうご家族はいません。もう既に貴方の恨みは終わっているんです。
貴方ももう気付いているのではありませんか?
新しいご家族という言葉。恨みを果たすのではなく無関係の人々を殺戮する事が目的になっているのではと。
ホワイトマーチで幕を引きましょう
●
少女は叫ぶ――私は悪くは無いと。
少女は願う――死にたく無いと。
少女は怒る――皆嫌いだと。
猟兵たちとの闘いにより傷を負い、荒れ狂うオブリビオンの少女を見つめ、アリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)は吐息を零す。
「恨みを果たす事もできず、行き場の失った感情が暴走している様ですね……」
猟兵たちとの会話により何となくの事情は理解が出来た。
そして出来る限りは説得し転生を促したいものの、これまでの会話と戦闘によりヒートアップし叫んでいる少女の様子を見れば、落ち着かせないことには話にならないだろう。
であるならば……
「私でよろしければ恨みを発散する対象としてお使いください」
アリウムが出来ることは剣を交えること。
怒りの発散を促し、落ち着かせることだけだ。
「しかし、私もまだ死にたくありませんからね……そう簡単に攻撃には当たりませんよ」
異様に伸びた血塗られた爪が空気を切り裂きながら迫り来るのに対し、アリウムは静かに武器を構えた。
響く金属音。
刃と刃がすれ違う度に飛び散る火花。
直撃すれば容易に人体を裁断し得るその凶刃を、アリウムは愛刀を以て受け流して見せた。
力を受け流しても尚感じる掌の痺れが、正面から受け止めなたならば負傷を避けられないであろうその威力を想像させる。
しかしアリウムは決して下がること無く、力を受け流すことで時を稼ぐ。
「もうご家族はいません、もう既に貴方の恨みは終わっているんです……貴方ももう気付いているのではありませんか?」
アリウムは言葉を重ねる。
少女を説得する為に――少女に現実を理解させる為に。
最早少女の目的は恨みを果たすことでは無く、殺戮へとすり替わっているのでは無いかと。
「うるさい、うるさい、うるさい、うるさい!」
狂ったように頭を掻きむしる少女を眺め、アリウムはせめて終焉を与えんと魔力を練る。
一刻も早く、少女の苦しみを終わらせる為に。
「幕を……引きましょう」
蒼氷の魔法騎士がその力を解き放ったとき――辺りを静寂が包み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵
武蔵天狗・弁慶
ふむ……。
詳しいことはわからんが、知らん人を巻き添えにするのはいかんのう。
ほれ、起きろ牛若!わがまま娘を懲らしめにゆくぞ!
説得じゃとかそういうのはわしには向かん……
拳で語り合うのみじゃ!
まずは【先制攻撃】じゃ!
相手の長く伸びた指の爪は【残像】で避けるぞ!
なあに、服が切れるくらいなんてことないわ!
思いっきり近くに行ったら「灰燼拳」でゴツン!じゃ!
おぬしのう!何回も何回も知らんやつを殺しても意味ないじゃろう!
おぬしの家族がもう居ないとわかっておるのなら、現世は諦めてまた次にゆけばよかろう!
幸い、ここはそういう世界のようじゃしな。
それでもわからんようならもう一発喰らわせるぞ!
【アドリブ、連携歓迎】
●
「ほれ、起きろ牛若! わがまま娘を懲らしめにゆくぞ!」
ひと眠りによりようやく調子を取り戻した少年――牛若丸を叱咤するは、少年が被る天狗のお面――武蔵天狗・弁慶(feat.牛若丸・f14394)だ。
彼の眼前には事件の黒幕であるオブリビオンの少女がエントランスの中央に立っている。
その周囲には仲間の猟兵たちとの戦闘で発生したのであろう凶悪な戦闘の傷跡が見て取れた。
「嫌い、嫌いよ! みんな嫌い!」
荒れ狂う少女は悪鬼羅刹を連想させるほどの必死の形相で睨みつける。
その両の目からは血の涙と思われるどす黒い液体が零れ落ちている。
弁慶は己を身に着けている牛若丸がぶるりと身震いをしたのであろう振動を肌で感じた。
これまで彼が相対したどの敵とも違う見眼麗しい外観に反した鬼気迫る憎悪に毒気を当てられたのであろうか……ふと見れば気圧された様子の牛若丸が、青い顔をして立ち尽くしていた。
「説得じゃとかそういうのはわしには向かん……拳で語り合うのみじゃ!」
余計な会話は不要とばかりに切って捨てる弁慶。
一見乱暴なその発言は下手な共感をしてしまっている牛若丸を配慮したもの。
その不器用な優しさを感じ取ったのか……気を取り直した少年は静かに首肯を返した。
「まずは先制攻撃じゃ!」
弁慶の言葉と共に駆けだす牛若丸。
その表情には直前まで見られた戸惑いの色は消えていた。
「来ないでっ!」
異様なほどに伸びた鋭い爪が二人を襲う。
駆け寄る二人を迎え撃つように放たれた凶刃が斬り裂くは残された残像。
そのまま振るわれた攻撃が床を抉ったその瞬間――接敵した牛若丸による拳が少女を捉えた。
鈍い音と共に吹き飛ばされる少女。
直撃した壁にもたれかかりながら立ち上がる少女を見つめ、余計なことは言うまいと心に決めていた弁慶も思わず口を開く。
「おぬしのう!何回も何回も知らんやつを殺しても意味ないじゃろう! おぬしの家族がもう居ないとわかっておるのなら、現世は諦めてまた次にゆけばよかろう!」
その言葉は紛れもない弁慶の本心――説得の為の詭弁では無く、心の底からの叫びだ。
狂う少女を正す為に。
次なる生へと、背中を押す為に。
その拳は、愛を以て振るわれる。
「それでもわからんようならもう一発喰らわせるぞ!」
不器用なヒーローの、不器用な拳だった。
大成功
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諫名・巡
UC『♦のQ』を発動
「あなたの叫び、私に聞かせて下さいまして?」
【コミュ力・優しさ・勇気・聞き耳】で敵の攻撃を聞きます
「私は巡。招待された方のお友達ですわ。あなたのお名前は?」
【演技】の必要はもうありませんわね
女学生さんの分もお茶をいれてソファに座ります
「そう…ずっと悲しくて辛くて、皆にあなたがいるって認めて欲しかったんですのね」
恨みを受け止めて、私の言葉を通して冷静に見つめ直して貰いたいと願いますわ
気持ちに整理がついたら提案します
「ね。あなたの言葉、文字になさってみません?必要なら代筆しますわ」
彼女の言葉、彼女がいた証
親族を探して届けるとお約束しますわ
彼女の心が少しでも救われると良いですわね
鈴木・志乃
『それが貴方の本心ですか?』
UC発動
全力魔法で鎖の威力は最低限に抑える
私がしたいのはあくまでも気持ちを吐露させることだからね
オーラ防御常時発動
新しいお父さんやお母さんを呼んで、殺して、そしたらまた新しいお父さんやお母さんを呼んで……
それは一体いつまで続くの?
世界全部を殺し尽くしても、貴方の痛みは収まらないんじゃないかな
皆を殺す
それは貴方の願いじゃないね
貴方の祈願じゃない
黙って抱き締めよう
頭も撫でてさ
泣け泣け、好きなだけ泣け
胸に溜まってるもん(怨み辛みの呪詛)全部吐き出せ
あたしが祈りに変えてやるから
寂しかったんじゃないかなあ
認めてほしくて
見てほしくて
背中ぽんぽんさすさす
殺されかけてもやめないよ?
●
「あなたの叫び、私に聞かせて下さいまして?」
諫名・巡(冬の陽だまり・f21472)は目の前の少女へと問う。
もう必要と無いとばかりに演技を止めた彼女はゆっくりと優しく、少女へと語り掛ける。
「私は巡。招待された方のお友達ですわ。あなたのお名前は?」
黒き血の涙を流す少女へと、巡はゆっくりと歩み寄る。
その両の手には湯気を立てたティーカップ。
お茶でもしながらゆっくりと話でもしようと、戦闘を望まないという彼女なりのアピールだ。
「友達なんて嘘っ! 誰も私に優しくしてくれる人なんて居ないわ!」
少女が叫ぶは強い拒絶の意思。
多くの猟兵たちに説得されながらも、心を揺るがせながらも、心の底では救いを願いながらも、他者を信じることが出来ない少女の心の声。
少女の悲痛な哀哭は空気を震わせ、周囲を破壊する。
扉にヒビが入り、天井から照らす硝子細工が砕け散る。
無差別に放たれるその衝撃は、穏やかな笑みを浮かべる巡が持つ紅茶の水面を揺らすことも出来なかった。
巡が張り巡らせたのは『♦のクイーン』
放たれた魔導書により形成された不可視の結界は、決して彼女を害することは出来ないのだ。
「それが貴方の本心ですか?」
鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、黒き血の涙を流し続けながら叫ぶ少女を光の鎖で縛り付ける。
その鎖は決して捕縛の為にあらず。
縛られた者の願望を増幅するその鎖により、少女の本心の吐露を促す為だ。
みんな嫌いだと。
みんな殺してやると。
そう喚き散らす少女に対し、志乃はそっと語り掛ける。
「それは一体いつまで続くの?世界全部を殺し尽くしても、貴方の痛みは収まらないんじゃないかな」
そう話す志乃の言葉に対しとっさに反論しようとする少女。
しかしこれまでの会話により生まれた心の葛藤が、光の鎖により増幅される。
言葉にならない少女の思いを引き出すように、志乃はそっと少女を抱き寄せた。
「皆を殺す……それは貴方の願いじゃないね?貴方の祈願じゃない……」
涙を流し続ける少女の頭を、志乃はそっと撫で続ける。
そうして彼女から零れだすのは少女のオブリビオンと化すまでの葛藤、心の叫び――少女の本音だ。
寂しかったのだと。
認めて欲しかったのだと。
ただただ見て欲しかったのだと。
嗚咽を漏らす少女が志乃の背中を抱き返す。
血塗られた鋭い爪が彼女の肌を斬り裂こうと……志乃は決してその腕を離すことは無かった。
「泣け泣け、好きなだけ泣け。胸に溜まってるもん全部吐き出せ……あたしが祈りに変えてやるから」
泣き続ける少女が流すどす黒い血の涙は――いつしか透明な雫へと姿を変えていた。
「そう……ずっと悲しくて辛くて、皆にあなたがいるって認めて欲しかったんですのね」
少女の涙を、そっと掬い上げるように……巡もまたゆっくりと、少女へと寄り添う。
「ね。あなたの言葉、文字になさってみません?必要なら代筆しますわ」
巡が提案するのは、少女の居たという証を残すこと。
それが次なる一歩を踏み出す助けになると信じて。
静かに、ゆっくりとほほ笑む少女。
そっと背中をさする志乃は、その掌に桜の花びらが乗っていることにふと気づく。
「はい……」
少女の静かな言葉が響いたその瞬間――辺りを無数の桜の花びらが覆いつくした。
大成功
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