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逆転の桜(作者 長井休
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●イカもおだてりゃ木に登る
 目にも楽しきサクラミラージュ、夜と昼との狭間の時刻、玄朧桜の花が散り。
 不死の帝の治めし帝都、700余年の歴史が香る。
 帝都より程近い桜の咲き乱れる都市に、宵の深きに艶めく笑いが木霊する。
「オ~ッホッホ!よイカお前達!本日今宵から、この都はアタシのものよ~!」
「「アイアイカー!」」
 嗚呼、なんたる悲劇。なんたる惨状。そいつらは、闇を引き連れやってきた。
 美しい桜を照らす月はその姿を隠し、深い闇夜が都市を包む。
「スクイラー!この都で一番イカした女は誰だい!?」
「それは勿論、イカージョ様でございます」
 上から下まで真っ白のマジシャン風情の男が答える。
 パキリと指を鳴らす。無数の影朧が現出し、男に首を垂れて傅いた。
「この都の武器を手に持つ反乱分子を一掃せよ」
 白手袋をキュッと締め、小さき影朧に指示を出す。
 指示を受ければ影朧は散り散りに、右に左と闇夜の都市を疾走する。
「ゲソッキー!この都のハイカラさに足りないモノはなんだい!?」
「そりゃー勿論、イカージョ様しかないでしょう」
 上裸に白衣を引っ掛けた目つきのやらしい男が答える。
 懐から、見るからに怪しいリモコンを取り出して、慣れた手つきでスイッチを押す。
「はい、ポチッとな」
 ガシャンガシャンと音を立て、周囲の家屋が変形し、黒煙噴出す巨大な腕に変化する。
 蒸気機関の巨大な腕は、周りの家屋をまるでにぎり飯のようにこね始める。
 暫くすると、捏ねられた家屋は粘土のように固まっていき、巨大な石造を作り上げる。
 はしたない程露出の多い衣装に身を包み、天を指差す高慢な美貌。
「オ~ッホッホ!いいじゃなイカいいじゃなイカ!よく出来てるよお前達!」
「「アイアイカー!」」
 上品に口元に手を遣りながらも高慢な笑いを闇夜に響かせる。
 今宵の彼女の目当ての宝は、この美しい都そのもの。
 三悪は、逢魔が辻の侵食と共にその笑い声を、どこまでもどこまでも響かせていた。

●嗚呼、逆転桜
「ご機嫌よう、猟兵」
 スカートの両端を軽くつまみ、いつものお辞儀をパナシェは送る。
 今日はいつもより、猟兵達がそわそわしている。そんな気配を感じてパナシェは微笑んだ。
 新世界の発見。未知を知ることは、猟兵でなくても誰でもわくわくするものだ。
「新世界で、オブリビオンの事件を予知したわ」
 幼い少女の一言を耳にした猟兵達は、耳を体をパナシェへ向ける。
 それでも少女は変わらずに、いつもの調子であらましを語る。
 曰く、一つの都がオブリビオンの手に落ちる光景が見えたという。
「その都はね、サクラミラージュの玄朧桜が沢山咲いてる素敵な都なの」
 そのオブリビオンは、自分が一番美しいと信じて止まない大の自信家なのだという。
 だからこそ、幻想的な桜舞い散る都にすら、負けたくないと支配をすると決めたのだ。
「沢山なのよ。沢山沢山、沢山のオブリビオンを従えているの」
 その都を支配するため、リーダー格の直属の部下二人の内の一人、白い手品師は数多の焔纏うオブリビオンを従えて、都にいる反乱分子――警官や武器を持つ一般人――を次から次から殺害して回るという。
 もう一人、科学者風情の青年は、怪しげな蒸気の機械を使い都の造りを変えていく。
 このままでは、抗う事もままならず、一つの都が逢魔が辻に堕ちる事となる。
「猟兵、パナシェのお願いは二つよ」
 一つ、都に散り散りになっている集団のオブリビオンの掃討。
 一つ、都を支配せんとする三悪人のオブリビオンの討伐。
 二本の指を立てながら、パナシェはそれと、と一言加える。
「新世界のオブリビオンさん達は、なんていえばいいのかしら、ええと」
 うーんうーんと頭を悩ませ、ポン、と手を打ち笑みを浮かべる。
「そう!新世界のオブリビオンさん達は、生まれ変われるかもしれないのよ」
 サクラミラージュの玄朧桜は、過去の残滓のオブリビオンすら転生させる力を持つ。
 もしも三悪人を説得し、桜の精が『癒し』を与えられれば、転生の機会を得るという。
「くるくるーって、ひっくり返るみたいだなって、パナシェは思うのよ」
 くるくると手を回し、上と下とがひっくり返る様子を表現する。
 過去の残滓が、生まれ変わって未来を紡ぐ存在となる。それは正に、逆転といえるだろう。
「悪い人はやっつけなきゃだめよ。でももしも、もしも良い子に生まれ変われたら」
 それはとっても素敵な事ね、と。
 えくぼの浮かんだ笑顔を送り、猟兵達を帝都へと送り出すのであった。





第2章 集団戦 『古塚の呪い』

POW ●百手潰撃
レベル×1tまでの対象の【死角から胴から生える無数の腕を伸ばし、体】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD ●百足動輪砲
【両腕の代わりに生えたガトリング砲】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【銃弾の嵐】で攻撃する。
WIZ ●百足朧縛縄
【呪いに汚染された注連縄】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


富井・亮平
【心情】
なるほどなッ!
こいつが新たなオブリビオン怪人かッ!
粉骨砕身の覚悟で戦うぞッ!

【行動】
「トォリニティィィ・エェンハンスッッッ!!!」
全身に風の魔力が宿るッ!
重視するのは防御力ッ!

これで周囲に風の結界を形成し、敵の掴み攻撃をはじくッ!
仮に掴まれてしまった場合も、風を反発させて叩き付けダメージを軽減ッ!
さらに結界の鋭さを増すことで周囲の物を風の刃で断絶し、腕を切断して脱出するぞッ!

そして、結界とは別に風の精霊を剣や杖に宿らせることで魔法斬や魔法弾も発射して攻撃することができるッ!
この攻防織り交ぜたイェーガーアタックにより邪悪なオブリビオンを駆逐しつくしてやろうッ!
正義の力を思い知るがいいッ!


編堵・希亜(サポート)
「……なに?」
「そうなんだ。」
「私は、私だよ。」

囚人服のようなものを着て、いつも黒猫のぬいぐるみを抱えた女の子。口数は少なく、人見知りで猜疑心は強いものの、猟兵としての仕事をこなすためなら、それなりに人と付き合っていける。
甘い物が大好きで、食べればすぐに機嫌がよくなる。嫌いなモノは、かつて自分のいたアリスラビリンスの世界と、それを連想させるもの。

戦闘では、自分ではあまり戦わず、自身に宿るオウガの『カイ』を戦わせたり、ぬいぐるみをバロックレギオンとして相手を押しつぶしたりする。

『カイ』は上等なドレスを着たラミアで、少し高飛車な話し方。宿主の身は守り、敵には容赦がない。『さぁ、敵はどこかしら!?』


燈夜・偽葉(サポート)
★これはお任せプレイングです★
『ぶった斬ってあげます!』
妖狐の剣豪 × スカイダンサー
年齢 13歳 女
外見 黄昏色の瞳 白い髪
特徴 長髪 とんでもない甘党 柔和な表情 いつも笑顔 胸が大きい
口調 元気な少女妖狐(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)

性格:
天真爛漫年下系ムードメーカー(あざとい)

武器:
刀9本
黄昏の太刀(サムライブレイド)を手に持ち
場合によっては念動力で残り8本を同時に操る

ユーベルコードはどれでもいい感じで使います

敵の動きは見切りや第六感を生かして回避
避けられなければ武器受けで対処します

多彩な技能を持っていて、問題に対していい感じで組み合わせて対処します


●正義見参!
 桜舞う都に夥しく現れたのは、古の戦場にて果てた戦士達の首塚より蘇った怨霊。
 はらはらと舞う桜の風を切り、命を欲さんと疾駆する。
 嗚呼、これこそこの世の地獄だろうか。この世に正義はないのだろうか。
「あるさ!ここにいる!」
 シュタッ!という音と共に到着してみせたのは、紛れもなく、正義。
 赤いマスクとたなびくマント。ヒーローと呼ばれるその勇姿。
 富井・亮平(イェーガーレッド・f12712)が降臨する。
「猟兵戦隊イェーガーレンジャー!ただいま参上!」
 威風堂々たる口上にビシッと魅せた決めポーズ。
 背景には幻のように、だが、事実のように、盛大な爆破の煙が見えさえする。
「こいつが新たなオブリビオン怪人か!いくぞ!パープル!ホワイト!」
 亮平が声をかけると、彼の後ろに控えるように立っていた二人が返事をする。
「…うん。わかった」
「頑張りましょう!」
 編堵・希亜(蛇に囚われた少女・f19313)と燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)は、亮平のペースに乗ってはいないが、それでも気持ちは同じだった。
 この美しい都に害する輩は許さない。
 猟兵と怨霊との戦いの火蓋が切られたのであった。

●狂乱麗舞!
 猟兵たちの姿を見受けて、怨霊達が殺到する。
「パープル!ホワイト!露払いを頼む!」
 うおおお!という叫びと共に怨霊に両手の武器を振るい突っ込んでいった亮平は同行した二人に声をかける。彼女達がイェーガーレンジャーのホワイトとパープルでないことは、第三者が見たら分かることなのだが、今は猟兵と怨霊しかいないのでその点を言及する者は誰一人としていなかった。
「……パープルって、誰」
「細かい事を気にしちゃいけませんよ!さぁ!ぶった斬っていきましょう!」
 やや困惑している希亜を諭すように偽葉は念力を用いて自慢の九刀を構える。その様子に少しの溜め息を吐いて、恐ろしい怨霊の姿を見た心底にある恐怖心を媒介に、希亜も50にも及ぶバロックレギオンを召喚する。
「なるほど、では私も…協力、お願いしますね!」
 召喚されたバロックレギオンの軍隊を見て、偽葉はUCによる管狐を呼び出す。
 二人の動きを阻害せんと放たれる注連縄は召喚されたバロックレギオンに阻まれ、怨霊達の動きは具に管狐たちが監視する。数体数の戦闘が始まる。
 少女二人は、片や刀を、方やぬいぐるみをもって、戦闘地帯へと身を投じた。

●疾風怒濤!
 少女二人の後方での活躍を背中で感じ、亮平は心でにやりと笑う。
 圧倒的な数の敵、対する味方は自分を含めて3人だけ。守るのは、都。
 正にヒーローの出番というに足る、絶好の舞台が整った。
 ルーンソードとエレメンタルロッドを振るい、ばったばったと怨霊をなぎ倒し、亮平は次第に高揚していく気分を抑えようとはしない。しかし、嗚呼、それでもしかし。
 圧倒的な物量は抗い難く、怨霊達から這い寄る無限の腕が亮平の体を投げ飛ばさんと掴みかかる。その膂力は恐るべきもので、並みの人間なら用意にひしゃげることも出来るだろう。
 しかし、ヒーローは揺るがない。
「トォリニティィィ・エェンハンスッッッ!!!」
 裂帛の気合を持って詠唱を放ち、その身が風の魔力に包まれていく。疾風となった風の結界は亮平の防御を最大まで引き上げ、それと同時に鎌鼬のように怨霊の腕を切り飛ばしていく。
「ッハァ!!」
 眼前の怨霊を踏み台に亮平は飛翔する。眼下に広がる怨霊の群れへ向け、風の魔力を篭めた弾丸が次々と怨霊を撃ち払う。死をも恐れぬ怨霊はそれでも、その勢いを留める事はない。しかし、亮平はそれを意に介することはない。
 むしろ彼は、熱く熱く燃えていた。
 風の結界を身に纏い、風の魔力で敵を払い、駆逐せんと疾走する。
 これぞ完全無欠のイェーガーアタック。正義は我が心と、行いにあり。
「正義の力!思い知るがいい!」
 三人の猟兵による疾風怒濤快刀乱麻の大活躍。
 怨霊達は、確実にその数を減らしていくのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴