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旨い話

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「めっちゃ美味しい肉があるって聞いたんだよ」
 街の広場で、男がしゃべっていた。
 エプロンを着け、白く高い帽子を被った姿から、この人は料理人なのだ、というのが分かる。
 さて、話をもどすが。
「幻獣、って知ってるか?」
 その名が示す通り、幻の獣。存在が伝承や、不確かな目撃情報しか無い、空想と言われる生物だ。
「この肉がそりゃーもー旨くてヤバくて、ヤバいらしいんだよ」
 語彙力が無くなる程度には旨いらしい。
「それ、ただ単に確証の無い噂だからよくわからない、だけじゃないのか?」
「いや旨いんだって」
 根拠は残念ながらない。なぜなら幻なのだから。
 そして料理人であれば、旨いと言われるそれを調理し、味わい、味合わせたい。
 なぜなら料理人だから。
「で、その幻の肉があるって噂の森に向かったんだけど」
「うん」
「めっちゃゴブリンいて近づけなくてさ」
「うん」
「それでも強引に進んだら」
「うん?」
「めっちゃ怖い顔の馬みたいなのがいてさ」
「うん」
「どうしたらいい?」
「……いやしらんがな」


「肉を、食いに行こう」
 ベースに集まった猟兵に、アンク・オーウェン(人間の戦場傭兵・f00928)はそう声をかけた。
 は? 肉?
 首を傾げるのも当然だ。
 彼等は世界を救うための猟兵達。
 そんな肉の為に戦うなど、
「すごく旨いぞ」
 例え美味しくても私利私欲の為に戦うなど、
「どうやら森に侵入する人を分け隔てなく襲うらしい」
 そのような建前が存在していようと、
「一流シェフが腕を奮ってくれる。もちろんタダだ」
「よし乗った」
 タダより高いものはないのだ。
「さて、じゃあ聞いてくれ。現地はさっきも言ったが、森だ」
 鬱蒼とした、深い森だという。
 ジメジメとしていて、視界に影響がある程では無いが、足元は多少悪い。
 気を付ければなんの問題もないだろうと、そう思われる。
「森の浅い箇所には、ゴブリンがたむろしている。まずはこれを排除してくれ。戦闘音を聞き付けて増援が来たとしても、悉くを排除すればすぐ殲滅できるだろう」
 目標はその奥だ。
 幻獣と呼ばれる存在であるため、その正体はまだわからないが、とにかく。
「そいつを倒し、街に持ち帰ってほしい。その後は、存分に肉を味わおうじゃないか」
 以上、質問は特になさそうだとアンクは頷き、グリモアを出現させる。
「行こう、焼き肉の為に」
 彼史上、もっとも俗物的な依頼がここに開幕した。


ぴょんぴょん跳び鯉丸
 ぴょんぴょん跳び鯉丸です。
 ゴブリン倒して肉を買って、街でこんがり焼いたそれを味わおうぜ、の依頼です。

 恐ろしく説明の必要がないので、とりあえずは脳筋肉で。
 ちなみに第3章でアンクを呼ぶことは出来ますが、特に呼ぶ必要はありません。
 勝手にむしゃむしゃしてると思います。
 それでは、レッツミート。
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第1章 集団戦 『ゴブリン』

POW   :    ゴブリンアタック
【粗雑な武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    粗雑な武器
【ダッシュ】による素早い一撃を放つ。また、【盾を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    足払い
【低い位置】から【不意打ちの蹴り】を放ち、【体勢を崩すこと】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リシェリア・エスフィリア
(……特に、お肉に興味はない。けど、協力が必要なら手伝いたい)
グリモア猟兵の彼に、借りとも負い目とも言えないものがあるだけ
フードで顔を覆った状態で現場まで送ってもらう

どちらにせよ、ゴブリンを倒せば近隣の安全につながる
その為と考えよう

【POW】行動
……粗雑な武器で魔剣と打ち合う?
……どこまで耐えられるか自分の身で理解して

【戦闘知識】に裏打ちされた動きで、相手が重視する動きに合わせ行動
攻撃重視なら回避を重視し、命中や攻撃回数なら【武器受け】や【オーラ防御】で被害を減らし突破

鎧を砕く一撃で、治療困難な傷を与え、生命力を奪い去り周辺の敵を薙ぎ払う
何時もより荒っぽいやり方でゴブリンの群れへと相対



「……」
 フードを被って顔を隠し、世界を越えたリシェリア・エスフィリア(蒼水銀の魔剣・f01197)は、湿った木々の匂いに視線を上げた。
「着いた」
 フードを上げる。
 別段、森の奥にいる幻獣にも、その肉にも興味は無い。
 無い、が。
「……彼には、協力しないと」
 そう思うだけの理由があった。
 それに、ゴブリンの撃破は近隣の安全にも繋がる筈だ。
 だから、
「行くよ」
 抜き身の魔剣を握って前へ進む。
 その先にいるのはゴブリンの群れだ。
 無駄の無い筋肉質な体に、打ち合えば壊れそうな刃こぼれの剣、格好だけの盾と、そんな見た目の敵だ。
「ゲェアー!」
 叫びを一つ、リシェリアへ殺到する。
「……粗雑な武器」
 それを、彼女は駆逐していく。
 狙い澄ました剣の一撃を、魔剣の一振りで受け止めると同時に破壊。
 魔剣を返す形で振り直し、ゴブリンを両断した後、目の前から力任せに来る横薙ぎには、身を低くして回避とした。
 起き上がる動きで斬り上げて、斬り落とす。
「どこまで耐えられるかは、自分の体で理解して」
 薙ぎ払う様に振り抜いた魔剣から、水銀の刃が放たれる。
 それは群れを薙ぎ払う荒々しい一撃として、ゴブリンの多くを屠った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
アックス&ウィザーズで依頼を受けるのは初めてだ。
ダークセイヴァー出身の俺からしたら、此処が一番故郷に近い文明の世界か。
勿論オブリビオンの脅威は有るんだろうが……良いところだな。
いつか、ダークセイヴァーもこんな風になると良いな。

(しんみりした空気は冒頭で終わり!)
よっしゃ、肉を食う前の運動と行くか。

よう、相棒。俺より先に食ってていいぜ!……あ、ゴブリンの肉なんざ食いたくねぇか。じゃあ、攻撃だけ頼む。
【ドラゴニック・エンド】を駆使して戦闘。
刺突や薙ぎ払いで蹴散らすぜ。
包囲されないようにだけは注意しとく。

他に猟兵の仲間がいれば連携するぜ。
集中攻撃したり、後衛の方に敵がいかないよう立ち塞がったりだな。



「良いところだな、アックス&ウィザーズ」
 一歩遅れて降り立ったガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)は、辺りを見回してそう思う。
 数ある世界の中、出身世界と比べると、文明レベルとしては一番近い世界だろうかとも思い、
「ま、オブリビオンの脅威は、もちろんあるんだけど……いつかは、ダークセイヴァーもこんな風になると良いな」
 そんな未来を夢想する。
「ーー」
「と、じゃあ行くか、相棒。食いたきゃ食って……いや、ゴブリンなんざ食いたくねぇよな」
 戦闘の音に、我に返る。
 手に小型ドラゴンが降り、瞬間、それは竜騎士が扱う槍へと変じた。
 一歩を前に踏み出し、体を前へと倒して軽やかに跳ぶ。
 二歩目、三歩目と加速を入れ、起きている戦闘範囲内へ飛び込むと、
「らぁっ!」
 槍を突き出しながらの着地を行う。
 勢いのままゴブリンの胸を貫いて地面に押し倒し、縦に割いて構え直す。
 後ろから来るゴブリンには、石突きの一撃を喰らわせて怯ませ、前から来る奴には刺突を。
 包囲網の様に周りを取り囲んだ敵達には、回転させた槍の穂先で斬り付ける。
 そして、槍を上空へ放り投げて、一息。
「蹴散らせ!」
 槍を中心に展開する召喚陣からドラゴンが現れ、槍に傷つけられたゴブリンを悉く蹴散らしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊兵・ミカ
戦うのは苦手だけど、耐えるのは得意…!

前衛、攻撃手、及び守り手で戦うよ
最前線にでて、バスタードソード、綾止刺剣で戦う
俺の振りが大きいから、盾受けでガードしつつ戦う
敵の攻撃をよくみて、武器受けでもガードする。こういうの、鍔迫り合いっていうんだよね…!
力で競り合うのは苦手だから、滑らせて一歩引く
バスタードソードは大ぶりだから、敵の動きをよくみて、空振りさせてから攻撃!

「よしっ…!」
「待って待って」

独り言が漏れる
こういう純戦は初めてだから緊張するな…



「俺も……!」
 ゴブリンの一撃を、黒の盾で受ける伊兵・ミカ(PigeonBlood・f05475)。
 衝撃に詰まる呼吸を整え、乱打してくる剣を落ち着いてガードに努める。
「戦う、のは、苦手、だけど!」
 大振りの一撃を、角度を付けた盾で受ける。
 刃はその表面を滑る様にして大きく逸れ、勢い余ってという風に、ゴブリンの体勢がまえのめりに崩れた。
「これでも、くらえ!」
 作り出した隙を、ミカは的確に突く。
 両手に握ったバスタードソードを上段から振り下ろし、敵の胴体を斬り落とす。
「よし、よし……っ!」
 戦える。その実感を得る前に、別のゴブリンが襲いかかってきた。
 それを剣で受け、一時的な拮抗を演出する。
 彼は、敵より劣る力であり、競り合う不利を理解している。
 だから、先ほどと同じだ。
 わざと力を抜いて後ろへ逸れ、敵の体勢が崩れたところに一撃を叩き込む。
「いいぞ。うん。そう。こういう感じ、かな」
 漏れる言葉は、自分への確認だ。
 緊張と、初めての動きを理解するために、必要な反芻の言葉だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メイロン・ミラー
……要は美味い肉を取って来いってんだろ?
そこまで美味い連呼するってことは相当凄いんだろうな!
良し、大船に乗った気で待ってやがれ!!

ゴブリンか……結構数がいるようだし、態々近寄る必要はないか
戦闘では冷静に……と思ってたが、これじゃ駆除と変わんねえな……
鋭い石や硬い石を「見切り」選別して、遠距離から【全力投球】でちまちま倒すか。「投擲」にはかなり自信があるんでね
投げる場所は丘とか木の上だな。これなら足払いの心配はいらない筈だ

一撃で倒せるようにしっかりと「力溜め」をして、凄まじい「早業」で一匹一匹ゴブリンの頭を狙っていこう
石がなくなったら「ダッシュ」で補充しに行くぜ

しかしまあ、なんか地味だな……


ロルフ・ロートケプヒェン
栄光の焼肉ロードの前に、あいつらが邪魔だな……!
さっさとおれ達のためにそこを開けな!

敵がダッシュで近づいてくるところに、おれのSPDユーベルコード、Nicht erlaubtで牽制だ
敵への先制攻撃、かつ『恐怖を与える』事で、敵の動揺を誘い、一緒に戦闘する味方の支援をしたり、序盤のアドバンテージを得る事を狙うぞ

その後は『2回攻撃』で更に追撃を仕掛け、今度は獲物を切り替えて敵と接近戦をするぞ
先にNicht erlaubtで傷を与えた部位を狙って、的確に『傷口をえぐる』!

「おれが欲しいのは旨い肉!歯ごたえなさそうなお前たちはお呼びじゃねぇんだよ!」

※アドリブ、他猟兵との絡み等大歓迎



「あそこまで美味い美味いって連呼するんだ、相当凄いんだろうな……!」
「栄光の焼肉ロードの前に、あいつらが邪魔だな……!」
 ザリッと大地を踏みしめたメイロン・ミラー(堕ちた武人・f01473)とロルフ・ロートケプヒェン(赤ずきんクン・f08008)は、目の前に広がるゴブリン達を見る。
 先に戦闘を始めている連中とは、また別の群れだ。
 多い、というわけではないが、少ないとはとても言えない。
 そしてそいつらは、二人の存在に気づいた。
「ケケッ」
 囲めや囲め、たかだか二人。
 そんな雰囲気で突撃の姿勢を取るそれを見て、ロルフは笑った。
 口の端を上げ、牙を見せながら、半円のノコ刃剣を構える。
「そんな考えじゃダメだぜ」
 その場でクルリと体を一回転させた彼は、そのまま半円の刃を放り投げる。向かって左、木々の方へと、だ。
 ゴブリンにとっては明後日の方へと飛んだモノなど眼中に無い。
 武器を構えて雄叫びを上げ、ロルフを討ち取りにかかるのだ。
「だからダメなんだ」
 しかし、突撃するその背中を、斬り付ける刃がある。
 勿論ロルフの投げた半円の刃だ。
 回転しながら弧を描くその軌道は、ゴブリンの背を強襲する。
「ギャッ、グギィ……!」
 だがそれだけではない。
 足が止まったゴブリンを狙って、鋭い一撃が飛んでいく。
「……態々近寄る必要はないだろ」
 手近な木の太い枝に立ったメイロンは、無表情にゴブリンを見下ろす。
 拳に握りやすい大きさの石を握って、振りかぶりは一瞬。
 手首のスナップを効かせてぶん投げるそれは、寸分違わずゴブリンの頭を打ち砕く。
 それを、ただひたすらに繰り返した。
「……これじゃ、ただの駆除だな」
「なぁに、駆除上等!」
 降り落ちる石は、砕くだけではない。
 強い衝撃に昏倒しかける所を、ロルフのチェーンソー剣がえぐり散らす。
「おれが欲しいのは旨い肉! 歯応え無さそうなお前達はお呼びじゃねぇんだよ!」
「……むしろ歯応えだけの粗悪肉に見えるけど、お呼びじゃないのは同意」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ゴブリンをいとも容易く蹴散らした猟兵達は森を進む。
 そして、深くなる森林の中に、ソイツはいた。
 黒い毛並みと不可思議な角を持つ、四足歩行の獣。
 森に踏み入り自然を荒らすモノを何人だろうと許さない、そんな存在なのかもしれない。
 が、その肉は絶品という噂だ。
 よし、狩ろう。
 そのために来たのだ。
メイロン・ミラー
へぇ、こいつは驚いた。相当強いな?
物凄く俗物的な理由なのは置いといて、ここまでの強者と戦えるのは運が良かったようだ
では……いざ、勝負

まずはゴブリンの時に余った石を投げて、幻獣の気を引くぜ
【動静の構え】。『静の構え』にて防御力を高め、奴の攻撃を待つ
蹄の一撃を確実に「見切り」、「残像」が見える程の「早業」で避ける
時折「フェイント」や「ダッシュ」も使用し、暫くは攻撃の回避に専念
当たりそうになったら仕方ない、「盾受け」だ
痺れを切らした雑な攻撃を回避した瞬間、『動の構え』に切り替えて攻撃力を高める。そこから渾身の「カウンター」アタック
「2回攻撃」による追加攻撃も忘れずに

さて、獣相手にも武は通じるか……?



「へぇ……」
 幻獣を前に、メイロンは息を漏らす。
 目を少し開き、姿を観察する。
「こいつは驚いた……あれ、相当強いな」
 運が良かったと、そう思う。
 訪れた理由は俗物的で、相手は獣だが、
「この強者に、どこまで武が通じるか……!」
 試してみたい。
 手にした石を、ゴブリンの時と同じように投げる。
 一直線に飛ぶそれは、幻獣の頭から伸びる角が打ち落とす。
「良し、始めようか」
 その動作の隙に、メイロンはある程度まで距離を詰める。
 目と鼻の先、それくらいの距離感だ。
(……どう来る)
 力みを無くした構えで、彼女は獣を真っ直ぐに見つめる。
 そして、その答えはすぐに来た。
「ーー!」
 前足を持ち上げ、大きく上体ごと浮かせた幻獣は、高い視点からメイロンを睨み付ける。
 蹄の一撃が落ちてくる、そう分かるプレッシャーが彼女を叩き、そして、
「っく」
 想像よりも少し早い踏み下ろしが来た。
 自分よりも速い、そう理解したメイロンは服に仕込んだ小盾を使い、蹄を受ける。
「重……!」
 弾かれる。
 体ごと吹き飛ばすような衝撃のノックバック。そこに、幻獣の頭から伸びる角が、メイロンの体を貫いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

リシェリア・エスフィリア
これを狩れば、依頼は終わり。お肉に興味はないけれど
ヒトの領域を広げるために、武器は存在するもの
……そういう意味では、私に向く戦いなのかも。
【wiz】行動

仲間まで呼んでくるのね
……数の有利を覆されるのは良くない。呼ばれた仲間は自由にさせない

【魔法使いの記憶】を使用
植物人間を優先的に倒すよ
これは自分を使っていた術使いの彼女が編み出した技
刃が無数の氷片へと変わり、まるで生き物のように狙ったものだけを食い破る
とても綺麗で、技の見た目にまでこだわっていた。もういないけど。

思いに耽っていても、身体の動きは鈍らない
幾多の人間が使い、戦闘知識を残した魔剣は常に可能な限りの最適で、自らの技能を行使する



「……お肉に興味はない。けれど」
 リシェリアは前へ出る。
 剣を持って、メイロンを吹き飛ばした直後の幻獣へ近づいていった。
「あなたを狩って、依頼は終わり」
 人数はこちらが多い。囲んで叩いて、それで終わりだ。
 思い、迫るための一歩を踏み出す。その瞬間に、
「ーー」
 獣の雄叫びが上がった。
 そうして起こるのは、地面の異変。
 土を盛り上げ這い出す、人間型の植物がゾロゾロと現れ始める。
「……数の有利を覆されるのは良くない」
 その様子に一つ息を吐き出して、リシェリアは剣を一振り。
「ーー凍りついて」
 言葉と同時、握った武器が散る。
 それは粒子の様になったかと思うと、一瞬で再構成され、透き通った氷細工としてリシェリアの周りを滞空した。
「行って」
 飛ぶ。
 無数の刃と化したそれは猛然と植物人間に襲い掛かり、しかし踊る様なその挙動は美しくもある。
「魔法使いの彼女の技、見た目にもこだわってた」
 かつての主に思いを馳せながら、リシェリアの動きは淀みなく、敵を殲滅させていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊兵・ミカ
なんか、…近距離攻撃きかなそうなやつでた…!
さっきのと戦い方がまるで違う
迷うな、基本は同じはず

植物人間が召喚されることを前提に戦う
相手の強力な一撃は盾を構えて盾受け!全部受ける必要はないから、じりじりと横移動で素早く回避する

攻撃は綾止刺剣で
植物人間を一匹ずつ確実に倒していく
ここは素早く。合体されると厄介だから
敵本体の動きも忘れずに見よう
攻撃してこようとしたら、回避したり盾受けを必ずする

慌てず騒がず
植物人間を倒せたら一気に敵本体を倒そう

アドリブ、共闘歓迎



「なんか、近距離攻撃効かなそうなやつ出た……!」
 幻獣と、それから植物人間。
 ミカの視界にはそれらが映っている。
「いや、いや……」
 大丈夫だ、基本戦術は同じで通じる、はず。
 戦いかたの違いに惑わされてはいけない、そう考え、剣を握って行く。
「一匹ずつ、確実に!」
 叩き斬る。
 元が小さい標的だ、まず当てることを考えて狙いをつけていく。
 リシェリアの刃が数を減らしてはいたが、殲滅まではまだかかる。だから、ミカもその処理に専念しようとして、しかし。
「っ、来た!」
 幻獣の狙いが自分に定められるのを悟る。
 顔をこちらに向けてから起こるのは、真正面からの突進だ。
 四足をフルに使っての走法は、
「速いッ!」
 一瞬の内に距離を詰めてくる。
 そのまま激突する、そう思ったミカは咄嗟に横っ飛びで回避。
 地面を一度回って、動きを追って振り返る、その先。
「うぉ……!」
 急停止した幻獣の後ろ足が、蹴り飛ばす様に迫っている。
 それを盾で受け、吹き飛ばされ、その体に追撃の角が伸びた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ロルフ・ロートケプヒェン
あれが今回の獲物って訳だな?
見るからに肉付きも良くって、美味そうだ。さっきのゴブリンとは大違いだ

だけど、肉を獲る前におれ達がやられちゃあ意味が無い
狩りは!獲物を仕留めるまで安心できねぇしな

POWの【緋色狼の咆哮】で、相手を攻撃するぞ
敵が従者を召喚した状態だったら、そいつもまとめて攻撃してやる

向こうに近づかれちゃあ、手痛い一撃を貰いそうだしな
敵の注意がこっちに向いたら、それはそれで上等だ

でけぇ相手の狩りは、おれ一人で務まるもんじゃねぇ
戦場を駆け回りながら、おれ達猟兵の狩場まで、ヤツを誘導してやる!

※プレ外の言動、他猟兵との絡み等大歓迎



「あれが本命ってわけか……いい肉付きしてるじゃねぇか」
 蹴り上げに伸びる脚の肉を見て、期待を上げる。
 美味そうだ、と、ロルフはそう思って。
「けど、獲る前にやられちゃ意味ねぇよな。獲物を仕留めるその瞬間まで、安心出来ねぇぞ!」
 間合いを少し、近づける。
 距離として、彼から16m。基点を自分として、円状の範囲がロルフの射程距離だ。
 だから、
「こっから先、おれの声が聞こえない、なんて言わせねぇぞ!」
 大きく息を吸って、咆哮する。
 音は空気を伝わる波だ。それが強く大きければ、破壊にすらなりえる。
 ロルフの声はまさにそれで、重く、鈍い衝撃は植物人間を蹴散らして、幻獣の肌を叩いた。
「グオォ!」
 痛みに、悲鳴が起こる。
 よろめき、頭を振って、睨み付ける瞳は怒りに満ちていた。
 前足で地面を削り、感情のままにロルフへ突撃し、襲い掛かる。
「おっと!」
 それを、彼は回避する。
 横へ跳び、着地と同時にさらに横へ。
 後ろ足で蹴飛ばしてくる動きは、先ほどのミカとの戦闘で知っている。
「それに、おれ一人で務まるもんじゃねぇしな……だろ?」
 ニッと笑う先、幻獣の体が吹き飛んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
弱肉強食ってやつだ。悪く思うな。
その肉は無駄にせず頂くと誓おう。

使うのは【存在証明】
このユーベルコードは長年の悩みだった自分の力の暴走をついに制御する事に成功した新技。
これからの俺にとって一番の切り札となるだろう。
その技を此処で初めて使う!(使う初めての場面がおかしい)

選択する能力は【攻撃力の強化】だ。
無駄に傷を増やして肉を痛めるつもりはねぇ。
場合によっては【捨て身の一撃】も視野に入れる。

また可能なら首や頭を狙いたい。というか胴を避けたい。
これは下手に内蔵……特に胃とか腸が傷つくと食用としての価値が落ちる可能性が有るからだな。
まぁ幻獣だから関係ないかもしれんが、一応な。



「ふっ!」
 ガルディエが跳ぶ。
 地を蹴り、体を斜めに寝かせ、大きく足を振り回して幻獣の横っ面を弾き飛ばす。
「手応えあり……!」
 着地して、体に馴染む力に笑みが浮かんだ。
 ……使える。
 その確信が何よりの手応えだ。
 ヴァンパイアの魔力と、異端神の力を内包する人間の体は、制御が難しいものだった。
 暴走も起こりやすいのだが、しかし今の彼にはその兆しすら起こらない。
「初めて使ったけど、これはいい、切り札になる」
 満ちていく混ざり合った力で、攻撃力を高める。
 そうして、狙いを自分に定め直した幻獣と向き合う。
 短く息を吐き、腰を落として備え、
「狙うなら、首か顔、だ」
 確認の言葉を作る。
 胴体、内蔵への損傷は、食用とするときに価値が落ちるかもしれない。
 ぐちゃぐちゃになった肉は、傷みやすいだろうし、とも思う。
「っ」
 そう考えている間に、蹄が落ちてくる。
 回避は間に合わない、それほど目前に迫った一撃に、ガルディエは拳を握った。
「だ、らぁ!」
 蹄が左腕を抉り、お返しに右の拳で幻獣の顔を打ち込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メイロン・ミラー
フフフ、今日は本当に運が良い
凄い一撃を見せて貰った……お陰で体に穴が空いちまったよ
お礼と言っちゃなんだが、あたしの本気の速さも見せてやるよ

さて、次当たればタダじゃ済まねえだろうな
だが「覚悟」「勇気」は決めた。「捨て身の一撃」、受けてみな
盾や武器を全て捨てて速度を上げる。しっかりと「力溜め」をして、全力「ダッシュ」からの【縮地の一掌】を打ち込む

これが最高速度の「早業」だ
妖精に邪魔されても構わず奴に一撃をブチ込むぜ



ゆらりとメイロンは立ち上がる。
 じくじくと、先程穿たれた腹の痛みを感じて、
「フ、フフ……」
 笑みを浮かべた。
 今日は運が良い。凄い一撃を見せて貰った。お陰で体には風穴だ。
 そんなことをぐるりと一瞬思って、すぐに平淡な表情に切り替わる。
「お礼といっちゃなんだが、あたしの本気の速さも、見せてやるよ」
 利き脚を前に一歩、逆足を半歩引く。
 軽く腰を落とし、利き手を開いて引き、逆手を握って前に構える。
 全身から無駄な力を抜き去り、しかし充足した力みを得て、
「グオォッ!」
 見据える瞳に幻獣が鳴いた。
 怯えるように、こっちへ来るなと伝えるように。
 応じて、喚び出された妖精が宙を走る。
 鳴き声が、森に木霊した。
「ーー」
 メイロンは動じない。
 迫ってくる妖精ではなく、後退りしていく幻獣だけを見て、
「行くぜ……」
 前へ、倒れ、
「勢ッ!」
 妖精を置き去りにした。
 構えはブレずに、至近距離。目と鼻の先。
 叩き込まれた掌底が、幻獣の肉を砕いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

響・夜姫
「……ひゃっはー。肉だ。……違った。ゴブリンではないのか、だった。たぶん」
……逆?
※さも当然の様に、実は最初から居ました、描写されてないけど居ましたっていう感じのすました顔をしている

【援護射撃】で他のメンバーに援護射撃を行いつつ、敵の馬が隙を見せたら複数本の矢を弓につがえて【一斉発射】とフルバーストマキシマム。
葉っぱ隊にもおもむろにフルバーストマキシマム。
弓矢よりも銃砲の方が好みなのでとりあえずって感じでフルバーストマキシマム。

敵の攻撃にはミレナリオリフレクション。
学習力もあるので事前に確認しておき、正確に相殺してみせる。


「……しまった。焼きすぎたかもしれない」



「……ひゃっはー、肉だ」
 ?
「ゴブリン……?」
 では、ないのか。
「……だった、かな」
 よくわからない。
 一通り呟いて首を傾げた響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)は、顔を戻して一つ頷く。
 とりあえず倒せば完了だ。
 それだけは間違いない。
 だから手にしたロングボウを前にし、手には数本の矢を握る。
 それを弦につがえ、上に上げてから引きつつ下へ。
「ーー」
 ふ。
 と一息、吐くと同時に射る。
 狙ったのは足だ。仲間の援護として、機動力の削ぎ落としを図る一矢だった。
 それを、幻獣は利用する。
 死に体とは言え、知性のある獣だ。
 すぐに夜姫の狙いに気づき、矢を蹄で叩き落とす事で、能力の発動を促した。
 弓と矢、それはセットとして扱われるもので、だからその攻撃による対象は、
「……弓、かな」
 夜姫の手が握った弓も含まれる。
 頭から伸びる角が四本、そこに目掛けて宙を走った。
 だが、夜姫は慌てず体を正面に立ち直し、大きくスカートを翻させて。
「でも、それはさっき見たから。……学習した」
 アームドフォートを向け、角と同種の力と精度、本数を擬似的に再現して相殺した。
 さらに砲身を腰に固定し、矢を握れるだけ握って弓につがえ、
「ーー」
 間髪入れずに一斉射する。
「……焼きすぎたかもしれない」
 命中するそれらを眺めて、ボソリと、そんな言葉を漏らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エコリアチ・ヤエ
美味い肉があると聞いて俺が満を持して参上だ。幻獣?何言ってんだこの世は弱肉強食だ、弱いやつが悪いのさ。

死霊を召喚し戦おうか。こいつには騎で極力急所を狙い肉を残す。
敵の呼び出された雑魚は蛇竜で蹴散らしてやる。



「美味い肉があると聞いて参上したが」
 コキッと首を鳴らして、及び腰になる幻獣をエコリアチ・ヤエ(多重人格者の戦場傭兵・f00287)は見た。
「幻獣、なんだってな」
 幻の獣、つまり稀少な種ということだろう。
 そう理解している彼は、唇を舐めて思った。
 旨そうだ。
 貴重で稀少な存在であろうと関係はない。
「この世は弱肉強食、そうであろう」
 故に、奴を仕留めるために行動する。
「腹が空いたしな……!」
 奇しくもそれは、獣が防衛の為に動くのと同時だ。
 戦慄きを一つ、獣は唸って表し、自身の前へと防衛ラインを引くように植物人間を召喚する。
 そして簡素な動きを一連に、エコリアチは自身の前へと二体、使役する存在を喚び出した。
「行け」
 飛び出すのは一体だ。
 細く長い体を波打たせた蛇竜が、獣が壁として喚んだ植物人間を駆逐する。
 口を開けて咬み千切り、胴体を迂回させて包囲、纏めて締め潰す事で道を作った。
 そこを、騎士が突破する。
 両刃の切っ先を向け、長い首の部分へと突き刺した。
「ーーおぬしの血肉、我が頂いた」
 噴き出す血が喉を詰め、苦しんだ獣はやがて、力無く地面へと崩れ落ちた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『勝利の焼肉っしょ!』

POW   :    火力でこんがり肉を焼いたり、ガツガツと大量の肉を食べたりする

SPD   :    手際よくてきぱき肉を焼いたり、もりもりと肉を早食いしたりする。

WIZ   :    料理に美味しい一工夫をしたり、 肉野菜バランスよく食べたりする。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 幻獣の肉は、すぐさま加工された。
 美味しく頂くため、処置は迅速だ。
「全ての命に感謝を」
 今よりここは宴の会場、誰もが参加し誰もが肉を貪れる場所。
 幻を、味わおう。

 ついでに、ゴブリンの筋張った肉もーー。
ロルフ・ロートケプヒェン
そういうわけで、肉パーティーだー!
待ちに待った幻獣の肉と……なぜかあるゴブリンの肉も。
どっちも、ちゃんと最後まで美味しくいただかないとな。

幻獣の肉もどうやって食おうなー?
そういや、UDCアースあたりでは馬の肉を生で食う、って聞いたことがあるな
それじゃあ、馬肉の刺し身で食ってみるか?
馬?の肉も食ったことねぇからワクワクするぜ!
火を通すのとどう違うんだろうな?

ゴブリンの肉は……結構筋がある感じかー?
まあでも、野菜かなにかと煮込んだら美味しく食えるんじゃないか?
求む、ゴブリン肉の美味しい調理法!

できれば、どっちの肉も保存が効くように塩漬けにしたり干したりもしてぇけど、果たして残るかねぇ


響・夜姫
「夜はー焼肉っしょー」
無表情のまま振り返ってのけぞり、左手を顔の横にあててポーズ。
「……これが礼儀と聞いて」
テレビで見た。
焼肉を食べるとき、それすなわち夜。太陽が見えてても夜。
いただきます。
千里眼焼き。
10秒間集中し、程よい焼き加減のお肉を確保。
食べる前にはちゃんと自分の他人用の次の肉を焼き始めておく。
そして食べる。
馬は野菜も食べていた筈。つまりこのお肉は野菜。
「これぞ、無限の焼肉<アンリミテッドヤキニクワークス>」
「ん……おいし。うまだけに。うまい」
語彙は死んだ。


「この筋張ったのは。(一呼吸+声色)……ゴブリンか」
あまりおいしくない。色んな意味で。

「……食べすぎた」



「肉パーティーだ……!」
 簡易に設立されたカウンターに座ったロルフの目に、鉄板とキッチンが映る。
 ……さて、どうする。
 部位ごとに切り分けられた幻獣の肉は、分かりやすいように名札が掛けられ、その側には雑に積まれたゴブリンの肉があった。
「どっちにしろ、ちゃんと最後まで美味しくいただかないとな」
 と、そうと決めれば行動はーー
「……さて、どうする」
 起きない。
 この肉をどう味わうのか。それが問題だ。
「そういや、馬の肉を生で食べる世界があるって聞いたな……」
 言うなれば馬肉の刺身。幻獣も馬に似た造形だし、多分いけるだろう。
 赤みの強い部位を選び、一口サイズに薄く、刃を通して切り分ける。
 皿に盛り付け、味付けは……。
「塩、ごま油、か」
 軽く塩をふりかけると、それは肉の脂に透く。
 箸でつまみ、一口。
「!」
 歯応えがある。
 噛めば味が滲み出て、舌に流れる旨味が塩のアクセントで甘さとなって蕩けた。
「ゴブリン肉は……」
 馬の刺身を堪能しつつ、積んだそれを見て思う。
 この見るからに筋張った肉を、どうしてやろうか、と。


 左手を顔に当て、肉に背中を向ける。
 上半身を仰け反らせつつ振り返った夜姫は、
「夜はー焼肉っしょー」
 そう言って、カウンターに座った。
 両手を合わせ、いただきます、と宣言し、鉄板で焼かれる肉を見る。
 厚くコマに切られた肉が、脂を流して色を変えていく。
 程よく焼けたら裏返され、そしてまた色を変えていくその瞬間に。
「かくほ」
 夜姫の箸が鋭く走り、肉を掴んで手元の皿へキープ。
 タレを浸け、小さな口を大きく開けて頬張る。
「ん……おいし。うまだけに。うまい」
 しかもこの肉は草を食んで生きた獣の肉なのだから実質これは野菜であるためゼロカロリーゆえにいくら食べてもいい。
「ーーむ」
 ひょい、ひょいっと肉を食う夜姫の顔が、一度キリッと変わる。
 ぎゅむ、ぎゅむ、と噛んでも噛んでも切れないその感触は、
「……ゴブリン」
 あまり美味しくない緑色のあれの肉だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
【POW】
(途中で手伝ってもらった小型ドラゴンも召喚して大量の肉を焼きつつ一緒に食べる)
じゃあ食うとするか。
おう、お前もじゃんじゃん食え!
今のうちに食っとかねぇと、次にこれだけ美味いのが食える機会がいつ来るかわからねぇぜ。

……あ、ゴブリン肉?


正直、美味いとは思えねぇんだが……
試しだ。少しだけ齧ってみるか。捨てるのも持ったいねぇ……かもしれねぇし。
(がぶりと一口)……不味い。やっぱ、これ以上食うのは止めとくか……
(召喚ドラゴンからは「不味いに決まってるだろう」みたいな呆れた視線を受ける)
……そんな目で見るなよ。改めて幻獣の肉で口直しだ。こっちは本当に美味いな。


リシェリア・エスフィリア
ん……これで、私の役目は終わり。
……少しでも彼の役に立ったなら、よかった。

でも、何も食べずに帰ったりするところを見られるとそれはそれで、いらない気遣いをされそうな気もする。
色々、気を使うところ、ありそうだし。
だから少しだけ食べて、それでお暇することにしよう。

やっぱり私は甘いものが一番であってお肉に関してはそこまで……(もぐもぐ)
……そこまで……(もぐもぐ)
この口の中でほどけるような絶妙な歯ごたえと甘味さえ感じる肉の旨味が口を動かすたびに広がっていく感触……新境地。

……おにく、あなどれない。
ところで、馬だから、旨い話、だったのかな。




 ガルディエは小型ドラゴンと共に、じゅうじゅうと焼かれて煙を噴く肉の前に居た。
 トングを片手に、焼き加減を見てひっくり返しながら、
「おう、おつかれ。お前もじゃんじゃん食え食え!」
 出来上がりをひょいっと空中へ放る。
 それを、ドラゴンが口でゲット。
 二度、三度と口を開閉させながら噛み、飲み込む。
「美味いな……いや、今のうちに食っとかねぇと、次にこんな上等な肉食える機会来るかわからねぇしな」
 気に入ったのか、次の肉を催促するようにドラゴンは一声を鳴く。
 肉を齧りながら放り、焼きながら放り、堪能しつつガルディエはふと。
「……ゴブリン肉、か」
 そういえばそれもあったはずだと思い出す。
 ……いや絶対美味しくないよな、という確信がある。
 しかし実際味わってみなければ、真実かはわからない。それに少し、勿体ないなとも、思わなくもない。
「……」
 葛藤がある。
 鉄板ですでに焼き始めてしまった肉を眺めて、ほんとにこれを齧るのか? と。
 だが焼いてしまったのは仕方ない。
 そう言い聞かせて、がぶっ、と一口。
 噛む。ゴムを食む様に噛み切れない肉から染み出る旨味は少なく。
 率直に美味しくない。
「……そんな目で見るなよ」
 ドラゴンの呆れたような視線を受けながら、彼は無理矢理にその肉を飲み込んだ。


「……」
 肉の間合いから離れた椅子に、リシェリアは一人座っている。
 役目が終わった。そう思い、帰ろうかと思ったのだが。
「彼に、いらない気を遣わせそう……」
 帰るには、グリモアが要る。
 それはつまり、あの猟兵にお願いするということだ。
 しかしご馳走に手も付けず行けば心配させてしまう可能性がある。
「……少しだけ」
 だから、少しだけ食べて、満足を得たと見せてからお暇しよう。
 そう決めて少女は立ち上がる。
 近寄る鉄板の上には、肉厚のステーキが焦げ色を付けて焼かれていた。
 そこにナイフが入れられ、切り揃えられたそれは、極上の逸品だ。
 中はほんのり赤みを残したレア。
 それに、少し焦がした醤油と玉ねぎのソースを掛け、いただく。
「私は甘いものが一番で、お肉に関してはそこまで」
 フォークを刺して、ナイフで柔らかい肉を一口に切り取り、口に。
「……そこまで……」
 舌の上に、肉が溶けた。
 噛めば繊維を切る小気味良い感触と、溢れ出す肉汁が一杯に広がり、瞬く間に口内の全てを肉が埋め尽くす。
 ごくり。
 ヨダレと共に飲み込む。
「……そ、こ、まで……」
 気付けば次々に肉を食んでいた。
 手が止まらない、口が止まらない、味わいを失う事が我慢できない。
「……おにく、あなどれない」
 ふぅ、と息を吐き出し、満腹を感じると同時に完食したリシェリアは、口に残る脂を水で流し込んで。
「ごちそうさまでした」
 両手を合わせて、そう言った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月16日


挿絵イラスト