革命的スタァズと唄え、実在性猟兵!
●
喧騒に喧騒を重ねたような大戦争が終わって早数か月。
キマイラフィーチャーでは連日のようにお祭りが執り行われている。
まあ戦争があってもなくても似たようなものだったが、それはさておき。
さてさて、此度のお祭りはというと――。
「よってらっしゃい見てらっしゃい、というか聞いてって!
キマフェ史上最大天才音楽隊、デナカ・クガンオ隊の演奏が聴ける機会はそうそうないよ!」
音楽祭だ。
既に方々で音楽が奏でられているが、メインステージはこれからだという。
様々な屋台を抜けた先、野外に設けられた大きな舞台の上には古今東西、多種多様な楽器が並んでいる。
ピアノにフルート、エレキギターに和太鼓、どこから取り寄せたのか名も知れぬ民族楽器なんてものも。
それだけでも圧巻と言わざるを得ないが、これらの楽器を自在に奏で、あまねく人の心を掴むというのだから驚きだ。
――いや、掴む、なんて言葉では少々物足りないというのが実情か。
コンサートを聞いたことのある某著名キマイラにいわく、『あの音楽を聞いていると、自然に身体が動き、謎の歌を歌ってしまうのだ』。
ははぁん? さてはサクラかてめぇは? 如何にサクラがホットワード(もう秋だぞ)といえども、サクラは許せねぇぇ! なんてお思いの猟兵もいるだろう。
だがしかし、違うのだ。これはまぎれもない、事実なのだから。
見ろ! デナカ・クガンオ隊によるコンサート真っ只中にある会場の様相を!
見るものすべてが音楽に合わせて身体を揺らし、踊り、舞い狂っているではないか!
ほれみろ、噂は本当だったんだって。現に祭りを荒らしに来た怪人だってキマイラたちを襲いながらもちゃんと踊ってるじゃん。
……。……? ……。
「うわぁーーーー! 怪人だぁ!!」
●
「輝くユアスイートハート」
♪ うた:ノッペロイド ♪
僕には顔がないけれど。
けれどもこころがあるはずだ。
俺には貌がないけれど。
だけどもあなたがいるはずなんだ。
だから だから だ・か・ら!
私に 不安は ないんだよ。
悦び なんて ありません。
だって 仮面がここにある!
山のように 転がっている!
あたしに 恐れは ないんだよ。
愉しみ なんて ありません。
だって 使命がここにある!
海のように押し寄せてくる!
Ah- Ah Ah!
輝くユアスイートハート!
アタイのこころはどこいった!
輝くユアスイートハート!
そっか こころはここにない!
輝くユアスイートハート!
だったら模倣るしか 道はない!
●
「音楽祭に怪人たちがやってくるから、これを退けてほしい」
グリモアベースに集まった猟兵たちに、黄柑・王花(夢見る乙女と幸せな・f04083)は要件を告げる。
依頼のシンプルさに反して、なんだか王花は難しい顔をしていた。
なんだなんだと問い詰めれば、ようやく事態を噛み砕くことが出来たのか、王花は話し始める。
「まあ怪人たちがやってくるまで少し時間があるから、それまでは音楽祭を楽しんできてよ」
それで、と話を促せば、帰ってきたのはなんとも呑み込みがたい話だった。
「えっと、音楽祭なんだから、当然音楽が奏でられているんだけど、怪人たちが襲来しても演奏を止めない音楽隊があってね」
デナカ・クガンオ隊っていうんだけど、と続ければ。
「この音楽隊がちょっと風変わりというか、強烈というか。その演奏が凄まじすぎて、自然と体が動いちゃうんだって。というか歌まで歌っちゃうらしいよ。現地のキマイラはもちろん、怪人も、猟兵も分け隔てなく」
音楽を聴いていると、自然と身体が揺れるということは多くの人が経験することだと思う。
同時に、音楽に国境なんてないなんて持て囃されることが時折ある。
その二つの事実と、類稀なる鬼才が掛け合わされることで巻き起こる、一種の超常現象だ。す、すごい……!
「……。ん、うん。そういうことだから、よろしくね」
よろしくね、と申されましても。そんな視線にあてられてか、王花は気まずそうに言葉を絞り出す。
「んー、基本的に戦いに支障はないよ。剣舞、なんてものがあるように、踊りと戦いは時に紙一重だから」
それもそれでどうなんだろうね、って王花自身セルフツッコミをいれつつも、戦えるのだから仕方がない。
確かに音楽の脅威にさらされながらも、怪人はキマイラたちを手にかけていた。
詠唱が必要な猟兵もいるだろうけど、それこそ詠唱と歌唱は表裏一体。モーマンタイ。
なにであれ、デナカ・クガンオ隊の演奏は、決して無力化を図るものではなさそうだ。
「それに、結構な音量で演奏しているから耳栓程度じゃ難しいかもしれないけど、音楽を聞かないって手段がとれるなら、とってもいいかもしれないね」
音楽に合わせて身体がリズムを刻んでしまうというならば、音楽を聞かなければいい。単純ながら、効果的な手法だろう。
もちろん、だからといって音楽隊を殺してしまっては問題があるにせよ、何か手法があるならば、それを実行するのも有効だ。
「あ、そうそう。現地のキマイラたちは襲来にあったらいつも通り勝手に逃げるから安心して」
如何な音楽といえども、耳に入らなければ意味がないのは先の通り。
パニックに陥ったキマイラたちの意識は生存本能に塗り替えられる。酔いから醒めたように、直ちに逃げ出すことだろう。
さて、と切り替える。改めて、王花は集まった猟兵の面々を見渡せば。
「色んな意味で面倒な依頼だとは思うんだけど、頑張ってきてほしいな! それはそれとしてちゃんと音楽祭も楽しんできてね!」
叶世たん
●
はじめまして。叶世たんというものです。
このたびはオープニングを読んでいただきありがとうございます。
皆様のキャラクターを彩る一助となればと思います。よろしくお願いいたします。
今回は、キマイラフィーチャーでよくわからない依頼を解決してください。
……なんだこれ?
あ、今回の方針はシュールギャグです。少ない人数で、いつもより短くやります。
●
一章。音楽祭を楽しんでください。
二章以降のために何か行動を起こしても構いませんが、OPに登場した音楽隊の演奏は必ず執り行われます。
二章。
音楽に合わせて歌い、踊りながら戦闘をします。
OPで怪人自ら歌ってくださいましたが、あんな感じです。当方に作詞センスを求めてはダメです。
どんな歌を歌うかはキャラやプレイング次第ですが、何が来ても許容できる、ぐらいの心構えでいた方がよろしいかと。
根っからの武人がアイドルソングのような何かを唄うことだってあるでしょう。
また、戦闘描写そのものはかなりおざなり(もしくは一切ない)ぐらいだと思われます。
三章。
おそらく二章とシチュエーションが変わりますが、こちらもまた音楽に合わせた戦闘となります。
二章と同じようにお願いします。作詞に期待することは自傷行為です。
●
二章、三章のプレイングの書き方。想定しているのは四種類。
1.サポートプレイングのようなキャラの特徴で埋める。
2.敵のユーベルコードを意識したような記載で埋める。
3.お前なんかに任せちゃらんねえぜ! 俺直々に書いてやる!
4.通常シナリオ通りの記載で埋める。
どれでもいいかと思いますし、これ以外でもいいんじゃないかと。まあシュールギャグシナリオですので。
例によって、版権ネタは弾かざるを得ないのでご注意ください。ググって出てこないが一つの基準です。
●
生来の筆が遅いにあわせて、言い訳がましく多忙です。
三日に一人書けたら上々ぐらいにご承知おきくださると幸いです。
皆さまにはご不便をおかけいたしますが、再送をお願いすることもあるかと思います。
お付き合いいただける方は、申し訳ありませんが、どうかお付き合いくださいませ。
どうしても厳しくなったらMSページに都合を記載しておきますので、よろしければご確認ください。
第1章 日常
『音楽フェスティバル』
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POW : 露店を見て楽しんだり出店したりする
SPD : 自分達も楽器演奏・歌唱で盛り上がる
WIZ : 音楽鑑賞を嗜む
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鈴木・志乃
※全てお任せします。どうぞ煮るなり焼くなり歌うなりやってやって下さい※
やっふーーーー!!
音楽祭! 音楽祭!!
やーここん所戦いばっかだったから嬉しいなあ幸せだなあ、たとえこの後オブリビオンが来るとしてもね(食べてたチュロスばきっ)
一時の愉楽でもいいから休みたい
まーまーせっかくだから楽しまないと損じゃーありませんかー
不思議な音楽隊の噂も気になるしね、それほぼ催眠術か魔術かってツッコむのは野暮なのかなー
UC発動っ
私も音楽に合わせて即興でダンスパフォーマンスでもしておきますかー
この後踊らないといけなくなるんなら、体もあっためておかないとだしいや正直言って騒ぎたいだけなんだけど
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キマイラフューチャーが騒がしいのはわりかしいつものことではあるが、今日は殊更に騒がしい。
騒がしい、というよりも、賑やか、という方が適切か。このうるささは、きっと良いうるささだ。
いずれにせよ、この場所では多様な音が駆け巡る。
それは例えばキマイラの歓声であったり、がやがやとなる足音であったり、ピアノの麗しき音であったり。
そう、ここは音楽祭。
あらゆる音が集う席。
大戦争の終わりを祝うという名目もそろそろ使い潰してきたものの、やっぱり祝いの席として持ち上げられた祭りだ。
ベストアルバムもかくやと、一方では壮麗な演奏が、一方ではアップテンポな音楽が奏でられる中、新たに一つ、声が交じる。
「やっふーーーー!! 音楽祭! 音楽祭!!」
ノリノリじゃん。
近くの若者チックなキマイラは、声の主目掛け、こやつやりおる的視線を投げかけた。
視線の先にいた人物こそ、鈴木・志乃(ブラック・f12101)。
何を隠そう、知ってる者も多いであろう、配信者『ブラック』その人である。
そりゃあもう、祭りの心得ぐらい嗜んでおりますとも。
「やーここん所戦いばっかだったから嬉しいなあ幸せだなあ、たとえこの後オブリビオンが来るとしてもね」
手にしていたチュロスをばきっ、と食べて、賑やかな祭りの様相を見渡す。
ああ、この賑やかさは嫌いじゃない。むしろ、好ましいものだ。なんと輝かしく、眩しいことか。
この後に、敵が襲来するのだとしても。いいや、ならば守ればいいことだ。
「チュロスも美味しいことだしね」
チュロスのSNS映えする齧り方、なんてお題目で配信したら楽しそうかな。
そんな風に志乃が思っているかいないかはさておき、志乃の様になってるチュロスのはむはむを見たキマイラたちがチュロス屋台に直行している。
彼女の『配信者力(一大ムーブメントを起こす力、すごい!)』の高さも窺えよう。
パフォーマーとしての配信者とはいえ、パフォーマンスだけの才覚だけで配信者は名乗れまい。
大衆の心を掴んでこその、スターなのだ。
そんなこんなでチュロスを食べ終えた志乃は、よしと大きく息を吸い、切り替える。
いつまでも、こんなのんびりと構えているわけにもいかない。
時間は有限。ならば行動あるのみ。エンジョイから、大エンジョイへスイッチオン!
……?
「まーまーせっかくだから楽しまないと損じゃーありませんかー」
そりゃそうだ。
実際、怪人がやってくるのはもう少し先。
ぼんやり突っ立っているのはもったいない!
戦う時に戦って、遊ぶ時は遊ぶ。至言である。
「(不思議な音楽隊の噂も気になるしね、それほぼ催眠術か魔術かってツッコむのは野暮なのかなー)」
不思議な音楽隊――、今回の祭りの主役でもあるデナカ・クガンオ隊。
かの音楽隊が奏でる音は人の身体をおのずと動かすほどの魅力があるという。
呪いかなにか? そういう指摘も当然あるだろうが、結果として聴衆満足度100%なんだから問題ない。
……やっぱり呪いでは? 懸念がないでもないが、正真正銘、種も仕掛けもない、実力オンリーの音楽隊であることは知れている。
志乃も簡単に調査をかけてみたが、結果は変わらなかった。
行き過ぎた科学は魔術と見分けがつかないって言説あるじゃん、その類だろう、うん。
音楽隊への調査を続行しつつも、ツッコミは野暮だと切り捨て、楽しそうな場所を求め志乃は彷徨う。
「おー」
さすがは音楽祭。
点々と置かれた舞台のうえには、それぞれ色んな楽団がつき、あれこれと演奏を始めている。
とはいえ、デナカ・クガンオ隊が演奏するというメインステージとは違い、それぞれの音は野外ということも手伝い控えめだ。
パフォーマーとしての己の感覚を信じて、耳を傾ける中、自分の波長と合致する音――楽団を見つけた。
「やってるやってる」
舞台に近寄り、改めて音楽を聞き入る。
曲調としてはジャズが近いのだろう。時に静かでありながら、時に激しさも伴う。
なんともまあ、踊り甲斐のありそうな。
うずうず、と。
身体がなんだかむず痒い。
「私も音楽に合わせて即興でダンスパフォーマンスでもしておきますかー」
この後踊らないといけなくなるんなら、体もあっためておかないとだし。
心の中で言い訳を添えつつも、正直言って騒ぎたいだけだ。
だってせっかくなんだから、この祭りの空気を味わい尽くしたいじゃない!
「――!」
身体の中に、熱が巡る。
今なら、パフォーマンスの冴えも十倍にも膨れ上がっていることだろう。
あとは音楽に合わせて、自分の信じる光に沿って進むだけ!
志乃は舞台に乱入し、音楽に合わせて手足を動かす。
左に手を振り、数回のステップ、そしてターン! 澄み渡る一連の動きは、並みの配信者には到底かなうまい。
唐突な乱入者にあっても、音楽は止まることはない。だってキマイラフューチャーだもの。
否、理由は決してそれだけにとどまらない。
「ひゅー! かっこいいぞー!」
「え……ちょっとまって。……あの動き――まさか『ブラック』!? まってまって……無理……尊すぎて死ぬ」
「な、なにぃ――――! 噂に名高い、あの虹を巻き起こす『ブラック』だって!?」
「誰だか知らねえがこの目が肥えた俺でも痺れるッ! ほとばしる才能と努力の芽吹きッ!! 彼奴の実力は本物だぜぇ~~~~!」
志乃の動きに合わせて、歓声が沸く。
さもありなん、志乃は猟兵であり、なおかつ、舞台役者にして、配信者にして、パフォーマー、『ブラック』。
人々に幸せを提供する立役者。漆黒の名を冠しながら、人々に彩を与える存在なのだから。
大成功
🔵🔵🔵
琶咲・真琴
【POW】
音楽だけで怪人まで強制的に踊らせるなんて凄いですね
怪人が来ても演奏をやめない音楽隊さんも凄いですが
……ってあれ?
この現象って別の世界のユーベルコードに似ているような?(首傾げ
今は他の人の演奏も聞きつつ
露店で色んなものを食べましょう
身体を動かす前に、腹ごしらえですよー
腹ごしらえが済んだら
噂の音楽隊さんのところに行ってみましょう
闘う前の準備運動です
パフォーマンス・グラップルで演舞!
……なんちゃって
何とか動けそうですね
お祖父ちゃんとお祖母ちゃん(familia pupa)はいつも通り……って踊ってる(しかも社交ダンス)?!
むむ、恐るべしです
デナガ・クガンオ隊さんっ!
アドリブ・絡み歓迎
●
左を見ても右を見ても、屋台は大仰な煽り文句を謳っている。
『今食わなきゃ二度と食えない! 絶品わたがしを召し上がれ!』なんて言われてしまっては、食べないわけにもいかないだろう。
だって今食べなきゃ二度と食えないんじゃあ、ね。
ここで退いたら女……男? ……ともあれ『ボク』もすたるというものだ。
「美味しいです」
どこがどう二度と食えないのかはさておき、確かに美味しいわたがしを微笑ましく頬張るメイド(服)が一人。
琶咲・真琴(今は幼き力の継承者・f08611)は、両手いっぱいに食べ物を抱えながら、はつらつと散策している。
わたがし、焼きそば、りんご飴にイカ焼きなどなど、と。
次々と器用に持っては――いや、持ちきれないのは草臥れた一対の人形が甲斐甲斐しく持ってくれているようだが――小さな口にぱくぱくと収めていく。
この後に備えて腹ごしらえもしつつ、そこかしこで鳴り響く演奏に耳を傾けた。
「賑やかだなー……」
クラシックをやってるかと思えば、少し歩いた先にはロックを奏でるキマイラがいる。
途中、音楽隊らしくマーチを響かせ行軍する御一行様とすれ違ったりしながら、さらにその先へ抜ければなんとポップなミュージックや歌声も流れたりして。
音楽祭の名に恥じない秀逸な音楽がごちゃごちゃと、しかし同時に互いを邪魔しないように転がっていた。
一言でいえば賑やか、の一言に尽きる。
ただ、今のこの光景が祭りのピークというわけでは、決してないのだという。
此度の主菜はこれからだ。
「ほへー……」
数時間後、戦いの部隊になるというメインステージに辿りつく。
野外に設けられた舞台の上には、すでに異種異様な楽器がひょこっと顔を出している。
噂に違わぬ雑多な様相、間違いない。ここでデナカ・クガンオ隊の演奏は執り行われるようだ。
「音楽だけで怪人まで強制的に踊らせるなんて凄いですね」
怪人が来ても演奏をやめない音楽隊さんも凄いですが。
感心半分、呆れ半分に感嘆を漏らす。
ただ、それほどまでの音楽に対する異常な執念が、音楽隊の技量を彼方まで高めたというのであれば納得もする。
今は幼き身であれど、いずれは自らも達人以上の境地に上り詰めなければ。
ふんわり決意を新たにしたところで、舞台へ歩み寄る。
「(……でもこの現象って別の世界のユーベルコードに似ているような?)」
可愛らしく首を傾げながら、丸い瞳に反するように鋭く指摘する。
技術も閾値を越えれば異能と化すか。……いやま、音楽隊が猟兵であるという情報はないんだけれど。
だとしても、――あるいはだとしたら、音楽で身体が勝手に動いてしまうだなんて、どんな感覚なのだろう。
真琴がここまで足を運んだのは、『音楽にノる』感触を確かめる意味合いもあった。もちろん、身体を温める準備運動を兼ねて。
「ごめんください!」
とてとてと舞台に近寄って――各々調整をかけている最中なのであろう――音楽隊のメンバーの姿を認めれば、意気揚々と声をかける。
真っ先に反応を返してきたのは、燕尾服っぽい装いの、フルートを握るキマイラだった。
「どうしたんだい、嬢ちゃん」
気さくなキマイラをとっかかりに、真琴は身振り手振りを加えつつ、現状や、少し音楽を聞いてみたい旨の願いを告げる。
次第に真琴の周りにはフルートキマイラばかりでなく、結構な人数が集まっていた。
「ほーん、まあ俺たちは演奏するしかねえしなあ」
「ですよねぇ……」
「それにしても、お嬢ちゃん。私たちの音楽を先んじて聞いてみたいだなんて、贅沢言うのね」
「いんじゃね? どうせリハ回すつもりだったんだし、このちびっ子は私たちを守ってくれるんだろ?」
――と、めいめいに好き勝手な反応を返してくるが、総意としては問題なく音楽を弾いてくれるそうだ。
ありがとうございますっ! と、お礼をしていると、善は急げと言わんばかりに、音楽隊は準備を整え終え、音楽をかき鳴らす。
ばぁぁぁあああん!!
先頭を切るのは、シンバル。油断――というよりは弛緩していた意識がぎゅぅっと一気に演奏へと絞られる。
意識の目覚めを感じてからは早かった。なにせ、確かに、身体がリズムに合わせて勝手に動くのだ。
「これは――!」
白眉の音楽と語られるだけはある。
なんかやっぱりおかしくない!? という気持ちがないでもないけれど、切り替える。
「(何とか動けそうですね)」
湧きおこる(謎の)情動を努めて冷静に抑えつつ、身体に感覚を叩きこむ。
身体はリズムを刻むが、決して不自由なばかりではない。少し身体を慣らしたところで、『武』にして『舞』を意識して。
「それ!」
偉丈夫さながらの力強さを見せつけつつ、貞淑な女性のような滑らかさで腕を振るう。
両極の印象を与える振る舞い。
しかし、真琴はこの繊細な踊りを、完全にものにしている。
男らしさと女らしさの、ある種のギャップさえも、真琴は自在に操っていた。
例えて言うなら、小さな少女が身の丈以上のライフルを携えるようなロマンを巧みに表現していると言っても過言じゃないね。
……なんちゃって。
深く意識をしているわけでもない。だからこそ、傍から見てどう映っているのだろうと。
膝下15cm(←正義)のフリフリなスカートを揺らしつつ(←真理)、音楽に合わせてステップを踏んで、大事な人形たちへ語り掛ける。
「どうかな、お祖父ちゃん、お祖母ちゃ――って踊ってる?!」
しかも、社交ダンスをむつまじく!
いつも通り、ボクのことを温かく見守ってくれているもんだと思っていたのに。
なんか熟年夫婦が如く(如くっていうかそのものか?)手と手を取り合い息の合った歩調で悠々と踊り続けている。
「むむ、恐るべしです。デナカ・クガンオ隊さんっ!」
まさかお祖父ちゃんとお祖母ちゃんをかくも虜にしようとは。
なんだか少し気が抜けちゃって、ほのかな笑みが浮かんでしまった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『模倣怪人ノッペロイド』
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POW : 倒錯のマスク
自身の【なりきっている役柄にふさわしい振る舞い】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 対策のマスク
いま戦っている対象に有効な【役になりきれる絵柄の仮面】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 贋作のマスク
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使い手の猟兵の顔が描かれた仮面に変換して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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少し時は経って。
いよいよメインステージの開幕の時間。
リハーサルの甲斐もあってか、デナカ・クガンオ隊のコンディションも絶好調のようだ。
そして、満員御礼、ふつふつと煮えたぎるボルテージが今か今かと爆発を待っている中――演奏が、始まる。
デナカ・クガンオ隊は音楽隊という名目で結成されている集団ではあるが、常識に囚われないことで有名だ。
初手、狂喜乱舞のロックフェスティバルから織りなされる今回のセットリスト。
ライブさながらの観客との応酬もあり、会場の熱気の高まりは留まるところを知らない。
静謐に満ちた曲の中にあっても、観客たちの情動は鎮まらなかった。なにせ身体が動くんだもん。
感動のあまり泣いてるキマイラもいる。
ただ、その興奮の坩堝にある会場内に、水を差す邪魔者――すなわち怪人が現れた。
当然、セットリストの演出に載っているわけでもない、純然たる敵だ。
怪人の特徴として、そこそこの確率で顔のパーツが変であることが挙げられる。
今回の敵もまた然り。
顔は尋常のそれとは確かに違う。
違う――けれども、どう違うのか説明するのは、存外に難しい。
なにせ。
怪人には、特定の顔などないのだから。
幾多の仮面を操るもの。
模倣怪人ノッペロイド。あなたの素敵な心を侵略するものだ。
怪人の登場に会場は一転、混乱に陥る。
しかしそれでも、音楽は鳴りやまない。
それは信念か。妄執か。定かでないにしろ、どうやらやっぱり、この摩訶不思議な音楽をBGMに戦わなくてはならないようだ。
さあ、リズムを刻もう。
鈴木・志乃
UC発動、歌唱の要領で思い切り声出してノッていくよ!!
どーも、猟兵配信者のブラックです!
今日はかの有名なデナカ・クガンオ隊が出演するって音楽祭に来たんだけど、怪人が出てきてもー大混乱!
しっかり退治して音楽祭も再開出来るようにするから、皆応援よろしく頼むぜッ
【ダンス、歌唱、誘惑、コミュ力、パフォーマンス】
躍りながらリズミカルに楽しく! 元気よく! 敵を一掃していこうか
配信勝負と行こうじゃないの、ノッペロイドさんよ
攻撃は光の鎖で早業武器受けからのカウンター大振りなぎ払い
カメラ映り意識するよ
同じくカメラを気にする動きを見切り隙を見て念動力で縛り上げる
踊りながら攻撃回避出来たら相当格好いいだろうな
●
襲来する仮面の敵勢の中にあっても、音楽は鳴りやまない。
事前に聞いていた通り、ある種病的な音楽隊だ。
果敢と言えばいいのか、無謀と言えばいいのか。
だが、尋常ならざる怪人を前にしてなお、届けたいものがあるという気持ちには覚えがある。
「すーぅ、はーっ」
心のスイッチを入れ替えて、四方へ視線を投げかける。
撮影ドローンの配置、およびステルス機能良し。無辜なる観客の逃亡も順調。
今回の共演者(かいじん)、OK。己の心構え、万全ッ。
ならば、オンエアだ。
舞台が染まる。――『ブラック』に。
「どーも、猟兵配信者のブラックです!
今日はかの有名なデナカ・クガンオ隊が出演するって音楽祭に来たんだけど、怪人が出てきてもー大混乱!
しっかり退治して音楽祭も再開出来るようにするから、皆応援よろしく頼むぜッ」
鈴木・志乃(ブラック・f12101)は声を張り上げて、模倣怪人・ノッペロイドの前に踏み出す。
陽気な音楽に合わせ、スタイリッシュに。
不思議な感じだ。リズムに乗らんと身体が自然と動く。
『『『――――――』』』
ぎょろ、っと。
仮面越しでさえ感じ取れるほど確かな視線が、一挙に集まる。
観客であるキマイラを逃がすためにも、自分に狙いをつけてくれるのはありがたい。
敵から向けられるのは、明らかな害意だ。邪魔するものは排除するという、怪人として真っ当な意志。
ただ、どうやら視線の内実は、それだけではないようだった。
ドローンを通じて、温かな気持ちが志乃の心に舞い降りる。
「さあて。応援してくれる皆の目もあることですし、負けられないな」
世界を照らす【光の鎖】を構える。
この灯りを頼りに、視聴者は志乃のことを見守ってくれることだろう。
世界の希望を、幸福を、未来を祈って。ならばそれに報いよう。
「それじゃ、配信勝負と行こうじゃないの、ノッペロイドさんよ」
なにやら、志乃を模した仮面を被りだしたノッペロイド達に向けて宣戦布告する。
配信者『ブラック』と、ユニットオブカメン(※撮影ドローンを召喚した、配信者然としたノッペロイドの意)との配信力を賭けた勝負の始まりだ。
音楽にあわせて躍りながら、リズミカルに楽しく! 元気よく!
●
「その名はブラック!」
♪ うた:ブラック コーラス:ユニットオブカメン(※) ♪
きみがアタイなら、答えてみせろよ。
アイアムフューチャー!(アイアムフィーバー!)
答えれないなら、教えてやろうさ。
アイアムティーチャー!(アイアムティーン!)
教えてやるぜこの世のことわり。
光がなくちゃ進めない!
だったらどうする? ならばこうする!
アタイが光になっちゃえば!
(ノウノウ無理無理、光困難。
無理な大役身を亡ぼす!
だったらどうする? ならばこうする!
お前も闇になるしかねえ!)
できるできないそんな口論。
まるでまったく意味がない!
やるしかないなら? やるしかねえだろ!
アタイが光になったるさ!
(おいおい無駄無駄、土台難題。
無茶な願望明日失くす。
やれないのなら やらなきゃいいだろ!
お前のでる幕ここにはない!)
世界はこんなにも暗いから。
アタイは一筋の光になるのさ。
全ての暗闇一身背負う、その名はブラック! その名はブラック!
世界を(世界を)塗りかえる!
黒は夢見る希望と混じらないから。
世界を(世界を)貼りなおす!
黒は仇成す野望と交じらないから。
世界を(世界を)染めあげる!
未来があんまり暗いから、アタイが灯してみせるぜ。
ブラックに!
●
「ノッペロイドくん――きみの敗因はきみが闇であることさ」
そんなんじゃ、誰からも応援してもらえるはずがないのに。
キマイラフューチャー中から溢れた応援を貰った志乃――ブラックにかなうはずがないのに。
カメラ映りを意識し、派手にかつ華麗に立ち回った。特に敵の手刀を掻い潜り、大振りのカウンターを決めたところなんかは思わず息をのむほどだった。
入れ替わり立ち代わり。
踊りながらも、敵の攻撃を見切り隙をついて縛り上げる。
おお! という画面の向こうで沸き起こる歓声を身に受けつつ、最後の仕上げだ。
「それじゃ終わりにしよう。闇は黒に還る時です」
……いやまあ、そんな決め台詞があるわけじゃあないけど。
これも音楽の影響の余波だとすればなかなかに凄まじい。
縛り上げた敵をそのまま消滅させると、たたんとステップ。カメラに向けて軽い会釈。
ドローンの向こうでは、応援の数々が流れていく。
大成功
🔵🔵🔵
アララギ・イチイ(サポート)
語尾に ~なのねぇ、だわぁ と付ける特徴的なしゃべり方
戦闘、非戦闘を含めて(自分が)楽しい行為が大好き、戦況に関わらず自分勝手な行為を楽しむ愉快犯(依頼を失敗させない、被害を拡大させないなどの最低限度の礼儀はわきまえている)
戦闘は衣服に仕込んだ隠し武器のハンドアックスによる肉弾戦
近接・射撃戦に特化させた戦闘人形を利用した集団戦闘
別空間に収納している機関銃、ロケット弾、迫撃砲、グレネードランチャー等を利用した射撃戦
砲身+砲機関部+動力炉を合体させて組み上げた重砲による砲撃戦
その他、ドリルキックやワイヤーを駆使した攻撃方法も取る事がある
他人の心情的なフォローは苦手、適当にはぐらかす事しか出来ない
●
臨場感を醸し出す、胸を打つような音楽が舞台を彩っていた。
お祭りには不釣り合いねぇ、などと零しつつ、科学者然とした白衣をはためかせ赤き影は踊る傀儡に迫る。
呼吸のリズムと、音楽の拍子が合致する奇妙な感覚を抱きながら、
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は戦斧を振り下ろす。
滑るように繰り出された斬撃は仮面兵の左腕を捉えた。
仮面の下、ノッペロイドが如何な表情を浮かべているか定かではない。
ただ、与えた傷は深いはずだ。
傷を負ってもなお、踊りを止める様子を見せないのは、敵ながら天晴というべきか、哀れと見るべきか。
「……哀れだわぁ」
しみじみと実感を込めて溜息混じりに呟く。さりとて敵の気持ちも確かに分からないでもない。
この一帯に鳴り響く音楽を聞いていると、身体が疼くのも、おかしな話だが理解できた。
音楽には不思議な魅力がある――あるいは魔性というべきなにかが。
ノッペロイドはミュージカルめいたサムシングで軽やかにステップを踏み。
『ああ! 我が仇敵! おお! 我らが旧友よ! なぜそのような無法を往くのだ!』
いよいよ挙動がバグったな。
……いや、どうだろう。
瞬きの間に、敵が変装――もとい【模倣】をしているではないか。
潔白の白衣、知的な眼鏡、役職名の記された安っぽいネームプレート。
敵の【なりきっている】外見を察するに、名医や誉れ高き学者あたりをロールプレイしているらしい。
であれば、アララギに与えられた役割は悪に堕ちた藪医者か、闇に染まるマッドサイエンティストか。
「見る目はあるってことかしらぁ?」
中らずと雖も遠からず。
日頃アララギの模索する実験内容を思えば、まあ、まあ? そんな属性をあてがうのも道理だ。
いやな気持ちがするわけではないし、それが本当に楽しければ、
おままごとに付き合ってあげるのもやぶさかではないが、と。
たんっ、たんっ、たんっ♪
厳かな音の中に交じる軽快なリズム。
音に合わせるようにして、アララギの横から二つの影が躍り出る。
「あらぁ?」
『そうだ、思い出した、お前たちこそ悪夢の始まり』
何に模倣すればそんな妄言が出るのか、さておいて。
ドラマティックな音楽とともに現れたのは、一対の自律戦闘人形だった。
●
「論にもならないプリズム体系」
♪ うた:フギン&ムニン ♪
(音声機能OFFのため雰囲気でお届けしています)
先生どうして足で僕らは歩くの。
それはね大事な人と手を繋ぐため。
先生どうして僕らの手は二つなの。
それはね二人の人と手を繋ぐため。
あなたとあなた。
僕の手はきみたちのためにあるらしい。
なんだ、こんな単純なこと、論にもならないね。
わたしの隣はあなたとあなた!
わたしの隣もあなたとあなた!
あなたの隣はわたしたち! これがわたしのプリズム体系さ。
じゃああの子も輪で繋いでスクエアね。
ダメダメあの子は除け者だから排除しきゃ。
だってこの世で三角形が一番美しいもの!
●
文字通りに人形劇の末。
フギンとムニンの機嫌を損ねたのかなんなのか。
ノッペロイドは、高周波バスターブレードに叩き切られ、ビームガトリング砲にてまもなく焼き尽くされた。
音に合わせて舞う一対の自律人形の珍しい働きに瞠目しつつも、始末は付けよう。
「ふふぅ、遊んであげれなくてごめんなさいねぇ」
長大なアックスを再度振りかざし、とどめを刺す。
不思議な環境下になければもう少し容易く蹴散らせる相手であったとは思うものの……、由としよう。
「そうね。どうせ踊るのなら、自由に踊りたいわぁ」
基本的に奔放に動くアララギのことだ。
踊らされている、というこの状況下ではあまり勝手がよろしくなかったのかもしれない。
少なくともアララギに関しては――だが。
「不思議なこともあるものねぇ……」
戦闘用に調律されているはずの人形たちを見据える。
人形たちはすっかりいつも通りの様子に戻っていた。
一夜の夢だったのだろうか。それとも音楽が疑似人格にまで反響を及ぼしたのだろうか。
魂という分野に、マッドサイエンティストとして惹かれるものはある――が、まあ、よい。
敵は残っている。考えるのはそれからだ。
成功
🔵🔵🔴
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※トミーウォーカーからのお知らせ
ここからはトミーウォーカーの「真壁真人」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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シン・クレスケンス(サポート)
■アドリブ歓迎
■「大体のことはこなせますので、何でもお申し付けください」
落ち着いた雰囲気を持つ物腰柔らかな青年。
一人称は僕。使役は呼び捨て。
窮地でも動じず冷静に戦況を判断し切り抜ける。
詠唱銃による銃撃と、魔術による属性攻撃を得意としている。
猟兵になる以前の経歴から調査、情報操作、諜報も得意。
■「俺はシンの狗じゃない!というか犬でも狼でもない!」
闇色の狼の姿のUDC「ツキ」は息ピッタリの相棒。
■梟の姿の精霊「ノクス」
賢い精霊で人語を理解するが、言葉は話さない。
■UCはどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
迷惑行為や公序良俗に反する行動はしません。
宜しくお願いします!
デナカ・クガンオ隊のコンサート会場は、まさに狂騒といった様相を呈していた。
シン・クレスケンスは周辺一帯になり響く音楽に心と体が自然と動き出そうとするのを感じる。
UDCである「ツキ」や、精霊であるはずの「ノクス」までもが、音楽の影響を受けつつあるのか体を小刻みに揺らしている。
その影響は、敵の側も同様だ。
音楽に身を任せ、踊るようにして迫り来る模倣怪人ノッペロイド達。
その顔に取りつけられている仮面は、まるで禍々しい『本』そのものが顔に張り付いているかのように見える、奇妙な代物だった。
「おお、我が同胞よ、共に狂気の淵を越えん──♪」
歌声と共に、怪人の顔に張り付いた本のページが、風にあおられたように捲れていく。
「僕の意識でも読み取っているのでしょうか?」
自分にとっての最大の問題たる『名も無き古書』に軽く一度触れ、シンは腕を前へと突き出した。
「混沌よ、我が命に従い、立ち塞がりしモノを断て!」
詠唱に呼応して手に描かれた紋様から現れるのは、闇色をした棒状の物体だ。
その先端には、同じ色をした炎が揺らめいている。
「松明のようですね……。使い方は考えるまでもありませんか。ツキ!」
「分かっている!」
お互い音楽の影響を受けたシンとツキは、息の合ったダンサーのように飛び出した。 ツキが敵の足元を狙い、その隙にシンが敵の顔へと燃える闇を宿した棒を突き立てると、爆発的に膨れ上がった炎が敵を呑み込んでいく。
炎の音と共にリズムに合わせた連携は、ノッペロイド達の数を次々に減らしていった。
「本を燃やすなど、本来褒められた行為とは言い難いですが──相手が邪悪な本ならば、許してもらいましょう」
ましてや相手は、あくまで形を模倣しているだけだ。どうせ中身が書かれているわけでもあるまい。
シンの振るった闇色の炎は、残ったノッペロイド達の仮面を燃やし尽くしていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『ギヴ』
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POW : あそんであげる
小さな【メリーゴーランド】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【遊園地】で、いつでも外に出られる。
SPD : しあわせになあれ
いま戦っている対象に有効な【すてきなプレゼント】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : ……わすれちゃったの?
自身が戦闘で瀕死になると【楽しかった思い出】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠コルチェ・ウーパニャン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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※トミーウォーカーからのお知らせ
ここからはトミーウォーカーの「真壁真人」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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猟兵達の活躍によって、コンサート会場を襲ったノッペロイド隊は撃破され、音楽隊『デナカ・クガンオ隊』のコンサートはますます高まりを見せていく。
そして観客達の盛り上がりが最高潮に至った中で、コンサートを締めくくる最後の曲が始まろうとする。
だが、その寸前、突如として空からステージへと降り立ったのは、奇妙な存在であった。
「怪人!!」
頭部がメリーゴーランドとなった踊り子の如き怪人『ギヴ』は、衆目の中でくるくると回る。
その動きがユーベルコードの前兆であると気付くことができたのは、猟兵達だけだった。
「逃げろ!!」
「逃げて下さい!!」
咄嗟に猟兵達の声に反応できた者は幸いだった。
ギヴを中心として、観客達の音楽への集中をぶち壊しにするような破壊的な音波が溢れ出し、それを耳にした者達はバタバタと意識を失い倒れていく。
その中には、最も近くにいた音楽隊のメンバーも含まれていた。
「新人類の文化なんて、このていどよ。真の芸術は、私達にしかもたらせないの!!」
会場の雰囲気を不快な音で破壊してのけたギヴは、勝ち誇るように宣言する。
怪人を倒し、コンサート会場の平和を取り戻すため、猟兵達はギヴの待ち受けるステージ上へと向かうのだった。
豊雛院・叶葉
■方針
・アド/絡◎
■行動
既に被害も出ております故、急いだ方が宜しゅう御座いましょう。
参りましょうや。
[式神使い]にて『しろみつさん』を召喚して乗せていただき、避難する皆様の邪魔になりませぬよう、飛行して上から舞台へ向かいまする。
相手の持つ『鋏』は『霊刃』にて防ぎ、【乳白燭】による[破魔]の術を用いて『頭』か『音を発している場所』を狙いましょうや。
『音波』を乱すことが出来ますれば『癒しの炎』にて被害に遭った皆様を治癒することも可能となります故。
『瀕死時に召喚する』能力であらば『攻撃阻害と十分な傷を与えた状態』までで抑え『瀕死』まで追い込まなければ封じられましょう。
後は避難誘導と護衛に徹しまする。
「大変な騒ぎで御座いますね」
豊雛院・叶葉は空飛ぶシロイルカ型の『豊穣の僕』、『しろみつさん』に乗って怪人の現れたステージを目指していた。
叶葉は、眼下にキマイラ達の流れのぶつかり合いが生じているのを見る。
怪人が現れたと聞いて避難しようとする者もいれば、一部には逆に怪人と猟兵が現れたと聞いて現場へ向かおうとする野次馬根性たくましい者もいるようだ。
「猟兵が信頼されているのは喜ばしいこととはいえ……これは急いだほうが宜しゅう御座いましょう」
叶葉は、ステージ上空に辿り着いた『しろみつさん』から胸を揺らして飛び降りた。
彼女の姿に、華奢な体躯のギヴはメリーゴーランドを傾けた。
「猟兵? わたしを邪魔するつもりなの?」
「はい、そうさせていただきまする。女神様の御心のままに……」
ゆっくりと一礼した叶葉へと、ギヴは回転しながら跳躍。
高速回転と共に、ギヴのスカートから吊るされる大鋏が、叶葉の豊満な体を断ち切らんと、生き物のように刃を嚙合わせる。
対して、叶葉は素早く口の中で『美と豊饒の女神』の祝詞を唱えた。
灰色の勾玉が嵌った入れ物を開けば、そこから飛び出した六本組の小柄が、大鋏を空中で迎撃に向かう。
刃物同士のぶつかり合う音が幾度も上がる。
小柄達に鋏を抑え込ませつつ、叶葉は落ち着いて踊り狂うギヴを見つめた。
「豊乳女神等の廣き厚き御恵みを 辱み奉り 高き尊き神教のまにまに」
詠唱と共に、浄化の力を宿した炎が次々と現れる。
「先ずは、その音を止めさせていただきまする」
叶葉が手を振ると共に、炎の群れはギヴへと放たれた。
ギヴの頭部、回転しながら破壊的な音を立てているメリーゴーランドを目掛し、炎は次々と飛んでいく。
バレエのピルエットのような回転で炎を打ち払っていたギヴだが、それも束の間。
炎の一発がメリーゴーランドへとついに命中した。
「音を封じられたようで御座いますね」
破壊音波が止んだ瞬間、叶葉は残る炎をステージ上で倒れていた音楽隊へと向ける。
その力を癒しへと変えた炎は、気を失っていた音楽隊のメンバーを治療していく。
「気が付かれましたか? ここはまだ危険で御座います故、どうかこの場は避難を」
「は、はい!!」
牽制の炎を操りつつ叶葉が言うと、目を覚ました音楽隊のメンバー達は持てる限りの楽器を手にステージから逃げていく。
生死の際まで追い詰められていないためか、炎の始末で大忙しだからか、敵が新たなユーベルコードを発動することも無い。
叶葉は落ち着いて、キマイラ達が充分に離れるまでの時間を稼ぎ切るのだった。
成功
🔵🔵🔴
草野・千秋
やれやれキマイラフューチャーの怪人は相変わらずでした
戦争が終わった今も危機は起こっている
一般人……一般キマイラの皆さん逃げて下さい!
ここには僕達猟兵がやってきました
もう怖いことなんて何もないですよ
UC【Bless of Diva】で敵UCの弱点を指摘
遊園地にはいつしか閉園時間があるってこと、お忘れではないですか?
プレゼントなんてもので懐柔はされませんよ
僕たちは新しく楽しい思い出を作り続けていく生き物なんです!
僕はヒーローだ、勇気で戦いに立ち向かう
怪力、2回攻撃で攻撃
敵攻撃は第六感、視力、戦闘知識で見切り
仲間をかばえるものならかばい
激痛耐性、盾受けで耐える
「一般人……一般キマイラの皆さん、逃げて下さい!」
意識を保っている観客達にそう呼び掛けつつステージへと向かうのは断罪戦士ダムナーティオーこと草野・千秋。
「ここには僕達猟兵がやって来ました。もう怖いことなんて何もないですよ!」
そう言いおいて、千秋は地面を蹴り、高々と跳躍した。
銀の鎧に包まれた千秋は、音楽隊のメンバーの避難も終わったステージの上へと降り立ち、怪人ギヴと相対する。
「新人類たちに、旧人類のすごさをおしえるの。じゃましないで」
「キマイラフューチャーの怪人は相変わらずですね」
千秋は拳を固め、バレリーナらしい姿勢で静止したギヴの間合いを見極める。
日頃は音楽活動もしている彼にとって、この音楽祭を滅茶苦茶にした怪人の振舞いは許し難いものがあった。
バトルオブフラワーズで怪人の首領達は破れ、新たな怪人は出現しなくなった。
だが、既に現れていた怪人達の性質が変わるわけでもない。
「変わらないのは、存在そのものが過去のオブリビオン故でしょうか……」
そう考えつつも、千秋はギヴが回転と共に振り回す鋏を、盾をかざして受け止める。
「かたいのね。それなら……」
呟いたかと思うと、ギヴは急加速と共に千秋を目掛けて突っ込んで来た。
「な!?」
突然の動きに千秋が目を見開いた次の瞬間、千秋は遊園地にいた。
「これも、敵のユーベルコードですか……」
おそらくは、旧人類の遊園地の光景を再現したものか。楽しげな声が飛び交う光景は、千秋にとっても目新しさを感じさせるものだ。
色とりどりの紙吹雪が舞い、様々なアトラクションやパレード、ダンスが訪れる人々を楽しませる。
(技術力的には、地球以上かもしれませんね……)
それは確かに心躍るものであり、かつての人類の文化の素晴らしさを示すものであろう。先入観なく見れば心奪われ、いつまでも居たいと思わせるに足るものであったかもしれない。
「ですが遊園地には、いつか閉園時間が来るものです」
千秋の振り抜いた断罪の剣が、遊園地の光景を切り裂いた。
そこに生じた現実世界への入り口へ、千秋はためらいなく身を躍らせる。戻って来た先は、先程のステージ上だ。
ギヴが動揺したようにメリーゴーランドを震わせる。
「あのすばらしさがわからないの!」
「懐柔はされませんよ。僕たちは新しく楽しい思い出を作り続けていく生き物なんです!」
そして力強く振り下ろされた断罪の剣は、ギヴの鋏を折り砕くのだった。
成功
🔵🔵🔴
アウグスト・アルトナー
『真の芸術』ですか、面白いことを仰いますね
一つ、お話をしましょうか(【幸せな結末】発動)
「『新人類の文化なんて、このていど』とのことでしたが
彼らの音楽で感動して泣いていたキマイラの姿、御覧になりましたか?
芸術とは、人の心を動かすものです
もしあなたが、そのことを理解していたなら
あなたはその名のとおり、芸術で、人に幸せを『与える(Give)』者になっていたことでしょう
今のあなたは、怪人
芸術をもたらす者として、相応しくありません
存在しては、いけないんです」
と、【精神攻撃】で自滅を誘いましょう
彼女自身のユーベルコードで、幸せな思い出の中、眠りにつかれることを【祈り】ます
アウグスト・アルトナーは、『家族』の入った籠を手にステージに上がった。
猟兵達の攻撃に焦燥の色を隠せないギヴへ、ゆっくりと歩み寄る。
「真の芸術、ですか。面白いことを仰っていましたね」
「そうよ。わたしたちの芸術こそが、真の芸術なの」
「では一つ、お話をしましょうか」
アウグストは、ギヴへと静かな声で語り掛ける。
ギヴは踊りながらも、ついその言葉に耳を傾けてしまう。
もっとも、ギヴがきちんとアウグストの目を見れば、そこにある感情の冷たさに気付くことができたかもしれない。
(メリーゴーランド頭のどこで周囲を見ているのでしょうね)
などと思いつつも、アウグストは口を開いた。
「『新人類の文化なんて、この程度』とのことでしたが、彼らの音楽で感動して涙さえ流していたキマイラ達の姿は、御覧になりましたか?」
「ええ、ええ。悲しいことね。文化の衰退を示しているわ。真の芸術を知らない者は、つたない芸術でも、すばらしいものと感じてしまうの」
足を上げた姿勢でピタリと止まったギヴは、陶酔するような声音で続ける。
「わたしたちが、みちびいてあげなくてはならないのよ」
その頑迷さを感じつつ、アウグストは後方を指し示した。
「ですが、芸術とは、人の心を動かすものです。あなたの芸術で、彼らの心を動かすことができましたか?」
アウグストの示す先にいるのは、ステージから避難し、猟兵と怪人の戦いの様子を見守る出演者や観客達だ。その表情にあるのは、唐突に現れ音楽祭を破壊した者への敵意と、恐怖。そして、怪人と戦う猟兵達への応援への意思ばかりだ。
ギヴの踊りの素晴らしさに意識を払う者など、見られなかった。
「そ、それは……」
「もしあなたが、そのことを理解していたなら、あなたはその名のとおり、芸術によって人に幸せを『与える(Give)』者になっていたことでしょう」
「ああ、あああ……!!」
ギヴは膝から崩れ落ちるようにステージ上にへたり込んだ。
その調子に鋏の刃が、怪人自らの体を傷つける。既にギヴは、アウグストのユーベルコードの術中にあった。
「今のあなたは、怪人。芸術をもたらす者として、相応しくありません。存在しては、いけないんです」
精神の懊悩に陥り、傷の痛みにすら気付かぬように頭を抱える怪人を、アウグストは冷たく見下ろすのだった。
成功
🔵🔵🔴
御形・菘
はっはっは、お主が芸術家を名乗るのはまったく自由! ディスる気などない!
しかーし! 受け取る側がそれを快か不快かを決めるのも自由!
今この場の雰囲気をブレイクしているお主は、きっちりシメてやらんとのう?
右手を上げ、指を鳴らし、スクリーン! カモン!
はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ! 妾はなんか久々にキマフュで活躍中!
調整はするが音量注意であるぞ?
そして、怪人が音でバトるのならば妾も乗るしかあるまい!
さあ、此奴の自称芸術を掻き消すぐらいに! 歓声を、喝采を! 妾に浴びせてくれ!
さて、限界までアガッた妾は最強無敵!
耐えられるなら誉れと誇るがよい! 妾の全力の左腕がボコり倒してくれよう!
よろよろと立ち上がり、なおも己の芸術を以て音楽祭を我が物にせんとする怪人ギヴ。
その前に、高笑いと共に新たな猟兵が姿を現す。
「はっはっは! なんじゃ、辛気臭い雰囲気じゃのう!!」
呵々大笑しながら現れたのは、御形・菘だった。
蛇身を揺らし、ギヴを見下ろした菘は、鋭い爪でビシリとギヴを指差した。
「お主が芸術家を名乗るのはまったく自由! 妾にはそれをディスる気など無い!」
「ええ、ええ……そうよ。わたしの芸術はただしいのだから!!」
他の猟兵の精神攻撃でだいぶ参っていたらしいギヴは、菘の言葉に己を取り戻したかのように爪先立ちのポーズを決める。
菘はニヤリと笑った。
敵がある程度は歯応えのある相手でないと、撮れ高が無いというものだ。
「しかーし! 受け取る側がそれを快か不快かを決めるのも自由! 今この場の雰囲気をブレイクしているお主は、きっちりシメてやらんとのう?」
右手を高々と上げ、菘は指を鳴らした。
「スクリーン! カモン!!」
無数の空中ディスプレイが、ステージを取り巻くように現れる。
音楽祭の観客達、既に音楽祭の会場の様子をネットで見ていた者に加え、菘の生配信を見る信者やファン達が観衆に加わる。
すなわち【音量注意】『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』【キマフュ】であった。
「はーっはっはっは! 今日も元気かのう皆の衆よ! 妾はなんか久々にキマフュで活躍中! 音楽祭の会場からお届けじゃ!! 調整はするが音量注意であるぞ?」
中継の開始と共に、さっそく早口にそう説明を始める菘。
その間にもギヴが仕掛けて来る攻撃を、彼女は左腕でいなしていく。
回転と共に鋏が加速し、菘の爪と激しくぶつかり合う。
翻る鋏を弾き、菘はディスプレイの向こうの視聴者たちにさらに呼びかけた。
「さあ、此奴の自称芸術を掻き消すぐらいに! 歓声を、喝采を! 妾に浴びせてくれ!」
音楽隊が、猟兵達を応援するように演奏を開始する。
猟兵やオブリビオンにすら影響を与えるという不思議な音楽。
ギヴのバレエが、その音楽に乱れるのを菘は見て取った。
「こ、こんな、音楽で……!!」
「なんじゃ、おぬしもバッチリ影響されておるようではないか」
対して、いいねと高評価ポイントを受けて菘のテンションと力はますます高まりを見せていく。そして菘は、左腕に渾身の力を籠めた。
「耐えたならば、誉れと誇るがよい!」
「勝つのは、わたし!!」
怖じることなく飛び込んで来るギヴに賞賛するように目を細めた菘は、巨大に変貌した左腕を繰り出した。
爆発するような音と共にギヴは天高く舞い上がり、そして爆発と共に消滅する。
「はっはっは。これにて、一件落着!!」
拳をかざし、勝利を宣言する菘。
音楽祭の平和を取り戻した猟兵達を称えるように、キマイラの芸術家たちの演奏はその後も響き続けるのだった。
大成功
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