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開拓!不思議の国をレッツクラフト!

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 数々のアリスラビリンスの様子を見ていたグリモア猟兵、ネルウェザ・イェルドットはひとつの世界に目を付けた。幻想的な植物や愉快な仲間たちで溢れるはずのその世界は、どういうわけかその空間に存在していない。どうやら、出来たばかりで未だ手つかずの状態のようなのだ。
 薄暗く、ただただ無限に続くようなだだっ広い草原。深い緑が広がるそこには人の気配はなく、オウガも勿論襲撃に来ていない。完全にゼロの状態、といった雰囲気だ。
「不思議の国を一から作るっていうのも……楽しそうじゃない?」
 独り言をつぶやき、わくわくとした笑顔を浮かべたネルウェザはグリモアベースの猟兵に呼びかける準備を始めた。



 グリモアベースにて猟兵に声を掛けるネルウェザ。その手には自分の身長と同程度の看板が掲げられており、開拓しませんか、という一見トチ狂ったような文言が乱雑にでかでかと書かれていた。
「可愛いお城も綺麗な花畑も作り放題!どう、どう?挑戦しない?」
 きらきらと目を輝かせて看板をぶんぶんと振りながら、彼女はひとりでに詳細を大きな声で話し始めた。
 アリスラビリンスにて発見された、生まれたばかりのまっさらな空間。いずれは自然と幻想的な世界が広がり、オウガがアリスを襲う場所になってしまうのだろう。しかしその前に猟兵や『愉快な仲間』と共にオウガに対抗できるような世界を作り上げたらどうだろうか、というのがネルウェザの考え、もとい建前である。こんな手つかずのアリスラビリンスなど中々見られないため、猟兵の力で国を作ったらどなるのだろうという興味が彼女の本音に他ならない。
 しかし、アリスとして捕らえられる人々を少しでも救いたいというのも一つだ。アリスラビリンスにおいて、オウガにアリスが襲われる光景というのは悲しくも見慣れた光景である。小さな子供や少年少女が夢見るようなその世界で引き起こされる残酷なデスゲームというのは、あまり見ていて気持ちのいいものではないだろう。
「少しでもデスゲームから解放されてアリスワールドに浸るアリスがいてもいいと思うんだよねぇ。折角あんなに可愛い世界なんだからさ」
 軽く眉を顰め、彼女はうんざりしたような顔で両手をひらひらと広げた。だからこそこの頼みだって人助けの一環なのだ、と彼女は言う。……開拓しませんかと大きく書かれた、ふざけた看板をそっと自分の体の後ろに隠しながら。
「とにかく!猟兵の皆でなら楽しくて強い国が作れる、って思ってのお願いだよ」
 ネルウェザはぽんとグリモアを浮かべて、転送の準備が整っていることを猟兵達に示す。意気揚々とする彼女の後ろの看板が、大きな音を立てて倒れた。


みかろっと
 みなさまこんにちは、みかろっとと申します。
 まだ生まれたばかりのアリスラビリンスが舞台となる任務です。
 一章、二章ともにアリスラビリンスを開拓したり愉快な仲間やほかの猟兵さんと日常を過ごしたりして頂き、三章ではアリスラビリンスである限り避けて通れない戦闘が待ち構えています。好きな物、好きな光景を作り上げていって構いません。ただしアリスが安らげる国となるよう、何らかの防衛手段を兼ね備えた国を作ってください。
 皆様のプレイング、どしどしお待ちしております。よろしくお願いいたします!
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第1章 日常 『最初の灯』

POW   :    石や菓子を削り出す

SPD   :    不思議な素材を組み合わせる

WIZ   :    光る花や葉を生み出す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

オルヒディ・アーデルハイド
※絡み・アドリブ・連携歓迎

【WIZ】
ほんとにまっさらな空間なんだね
願わくば争いのない平和な世界にしたいけど
オウガにも対抗した世界にもしないといけないし

ボクとしてはオウガを攻撃する設備より
オウガからアリスたちを護る設備を用意したいんだ
時間稼ぎにしかならないかもだけど迷宮を創ろう

お手伝い要員としてユーベルコードでフワリンを召喚
先ずは大きく育つ大木を植えて
その大木に迷宮の様にツリーハウスを創ろう
その大木の周りには花で迷路を創ろう
迷路には花のアーチも必要だよね

花と言えば四君子と呼ばれる梅、竹、蘭、菊も設置したいね
東西南北を護る感じに植えようか

もしかしてキミはこの国の住民さん
一緒に国を作りませんか



 広い草原に降り立った猟兵オルヒディ・アーデルハイドは周囲を見渡す。何もないこの空間に作るのなら、争いのない平和な場所を――そう考えたが、ここがアリスラビリンスである以上、オウガの脅威からは逃れられない。それでも、オウガを攻撃し撃退する設備よりも彼等を迷わせ、アリスの逃げる時間を稼ぐ迷宮を作ることにした。
 だが、一人ではどうにも大変だ。オルヒディはその小さな指を揺らしてユーベルコードを発動する。
「でておいで」
 ぽん、ぽぽぽぽん、と数にして三十以上。オルヒディを囲むようにして現れたフワリン達は、すぐに作業に取り掛かり始めた。
 小さな猟兵と召喚獣は手始めに、力を合わせて大きな木を植える。それはみるみるうちに枝を伸ばし、葉を広げ、草原を影で覆った。ちらちらと漏れる陽の光をオルヒディは少し眩しそうに見あげて、フワリン達に次の作業を指示していく。
「ツリーハウスに、お花の迷路。あ、綺麗なアーチも作ろうよ」
 大樹は小屋や橋、花飾りなどで彩られていった。ここならきっとオウガも少しはその足を鈍らせるだろう。子供心くすぐる秘密基地のようなツリーハウスに、幼いオルヒディは作業の手を止めそうになる。しかし、彼はいけない、と首を振ってツリーハウスの飾りつけに身を投じた。
 そして、大樹の下では色とりどりの花が植えられていく。いつの間にかフワリン達だけでなく『愉快な仲間たち』も集まっており、花園はもうかなり広がっていた。上から見ていたオルヒディはその花の並びがきちんと複雑な迷路になっているのを確認して、笑顔で称賛の拍手を送る。
「あとは、梅と竹、そして蘭と菊を。みんな、あと少しだよ」
 オルヒディが提案した花々は、厳しい環境でも強く美しく咲き、それでいて人を癒す香りを持つ。故にそれらは草木の君子として称えられている。それは残酷なアリスラビリンスでも強く在り、そしてアリス達を癒す象徴になるだろう。
 そして四君子が花園を護るように四方へと植えられる。オルヒディは満足そうに笑いながら、フワリンや愉快な仲間たちと共に彼の思い描いた不思議の国の完成を祝った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリソン・リンドベルイ
【WIZ 侵略繁茂する葛蔓】
……自由に形作っていいと言われると、それはそれで困ってしまうわね。庭造りだと思えば、楽しいけれど…。

コンセプトは、『戦う樹海』
深く広大な樹海は、天然の要害よ
葉と枝に遮られて日の射さぬ薄暗闇、足元は不安定な泥濘の沼地。森を守るのは、私の【侵略繁茂する葛蔓】を模した、意思を持ち敵を迎え撃つ植物のツタ……そして、樹海の管理者たる樹木の巨人たち。

自然とは美しく……同時に生と死に溢れて醜く蠢いているものよ。花は腐り、虫は干からび、獣も鳥も息絶える……。故に土壌は豊かに、より力強く生命を育むの。 この樹海に踏み込む者は、一切の例外なく全ての生命が敵であり隣人であると知るでしょう



「……自由に形作っていいと言われると、それはそれで困ってしまうわね」
 まっさらな大地に出現した花園の迷宮をぼんやりと見つめ、アリソン・リンドベルイが悩ましく首を傾げる。少しして眠たげな瞳がはっと見開かれ、猟兵はその身をふわりと動かし出した。
 花園をさらに囲むように、アリソンは葉の生い茂る樹木を次々に生み出していく。木々は密度を増し、深い樹海としてその地を覆う。やがて、日の差さない大地はぬるりとした湿り気を帯び、みるみるうちに水溜まりを作り始めていた。
 足に纏わりつくような、じめじめとした空気。地を這う植物達だけでなく、苔生した岩や落ち葉が散らばるのを見て、アリソンはそれらに手を翳し、深く息を吸った。彼女が放ったのは猟兵の力、ユーベルコード『侵略繁茂する葛蔓』。小さく芽吹いた緑は瞬時にその身を細く長く伸ばし、近くの樹木を取り込むようにぐるりと巻き付いていく。
 ずん、と低い衝撃音。アリソンが振り返れば、そこには巨大な人の形をとる樹木が樹海を闊歩するのが見えた。
 植物が意思を持ち自律する不気味な森の中、遠くからはいつの間にか鳥や獣が鳴く声が聞こえ出す。しかしそれは休息に囀る美しいものだけではない。残酷にも、弱肉強食の世界は既に構築されているようだった。
「自然とは美しく……同時に生と死に溢れて醜く蠢いているものよ」
 生まれ、息絶えていく命を弔いながら、アリソンは悟る。悲しくもそれはこの地の糧となり、樹海を豊かに、力強く育んでいくのだ。
 そんな恐ろしくも美しい自然の牢獄の中で、アリソンはオウガをも迎え撃つ兵――樹木の巨人や蠢く蔓の数を増やし、『戦う樹海』を創り出していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『マカロンの森でひと休み』

POW   :    お腹いっぱい食べる

SPD   :    色々な味を食べくらべ

WIZ   :    小箱に詰めてお土産に

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 まっさらだったアリスラビリンスに作り出された不思議の国。深く暗い樹海が侵入者を阻み、奥地では色とりどりの花の迷宮やツリーハウスがその姿を構える。そんな幻想的な国を創り上げた猟兵たちに、現れた愉快な仲間たちはささやかな差し入れを運んできた。
 それは、華やかなパステルカラーに彩られたマカロンや、心安らぐ香りを漂わせる紅茶の数々。運んできた彼等は、不思議の国の創造者は勿論、訪れたほかの猟兵や周りの仲間たちにもそれを配り、束の間の平和な日常を楽しもうとすることだろう。
 オウガに見つからないうちに、少しだけ。
 それこそおとぎ話のアリスのような、楽しいお茶会のはじまりだ。
オルヒディ・アーデルハイド
※絡み・アドリブ・連携歓迎

【WIZ】
世界を見渡せる高い場所でお茶会

食べきれない程の大量にある
豊富なバリエーションのマカロン
に目をキラキラさせて大喜び
これ全部、食べて良いんだよね
でも、食べきれないからお持ち帰りして良いかな
小箱に詰めてお土産に

紅茶はミルクたっぷりのミルクティーに
ところでミルクティーって
ミルクが先なのかな後なのかな
ボクはミルクに紅茶を注ぐかな

こっちはアーモンドで
こっちがココナッツ
これってピーナッツなのかな
このマカロンは梅味なんだね
よく見るとマカロンの形は菊っぽい
容器は竹で作ったんだ
四君子全部揃えてるんだ
蘭はどこにあるのか
実はバニラって蘭科に属する植物の分類から抽出される香料だよ



 不思議の国を一望できるツリーハウスの一角にて、オルヒディ・アーデルハイドは再びフワリン達を呼び出す。
「でておいで」
 呼びかけと共に可愛らしい召喚獣が大樹に現れると、ポットやマグカップの形をした愉快な仲間達は、沢山のマカロンを抱えながらオルヒディとフワリン達の間をちょろちょろと駆け回った。しかし、愉快な仲間達の体はごく普通の食器並。抱えきれないマカロンがぽろぽろと落ちて、足跡のように散らばっていく。
「どうぞ、どうぞ、好きなだけ!」
 次から次へと愉快な仲間が運んでくるマカロンの香りがツリーハウスを満たしていき、オルヒディは目をキラキラ輝かせた。
「これ全部、食べて良いんだよね」
 マカロンをひとつつまんで、オルヒディは喋るカップに問いかける。
「勿論ですとも!」
 カップは嬉しそうにぶるぶると揺れ、途端にほかのポットやカップもオルヒディの周りに集まりだした。
 それじゃあ一つ、とオルヒディがマカロンを口にすると、さくっとした軽い食感にふんわりと甘さが広がる。まろやかなクリームに混ざる小さなアーモンドの食感をゆっくり味わいながら、オルヒディは隣で興味津々にマカロンを見るフワリンにも一つ差し出した。
「美味しい。でも、食べきれないからお持ち帰りして良いかな?」
 すると、それを聞いたカップがお任せくださいとどこかへ走り去っていった。
 オルヒディとフワリン達が次のマカロンに手を伸ばすと、ポットがお茶をどうぞ、と寄ってくる。ミルクもありますよ、ともうひとつポットがとことこ寄ってきて、オルヒディに小さめのカップを差し出した。
 微笑みながら一礼して、オルヒディはふたつのポットを交互に見る。ミルクティーにしたいが、ミルクが先か、紅茶が先か。薄いアンティークなカップを少し眺めて、オルヒディはミルクを多めに注いでもらい、そこへ紅茶をゆっくり入れた。
 ミルクと紅茶がよく混ざり合った、ムラのないクリームブラウンに満ちたカップ。ふんわりと優しい香りを立てる温かなそれを小さく口にして、オルヒディはにっこり頷く。
 そこへ、先ほど走って行ったカップが何かを抱えて戻ってきた。
「お待たせしました!」
 それは小さな箱。持ち帰る為に用意してくれたのか、小さなリボンが添えられている。カップはどうぞ好きなだけ!と周りのマカロンをぐるっと見渡して、オルヒディにぺこりと一礼した。
 フワリン達と共にひとときのティータイムを楽しんで、オルヒディは小箱に詰めるマカロンをじっくり選んで手に取っていく。
「こっちはアーモンドで、こっちがココナッツ……これってピーナッツなのかな」
 ナッツの香りを楽しみながら、時折味見をして。ピンク色のマカロンから甘酸っぱい味がして、オルヒディははっと目を見開く。
 梅のような味。なんとなくマカロンを見つめれば、なんだか菊のようにも見える。カップが持ってきた小箱はどうやら竹製で、オルヒディは花園に植えた四君子を思い出した。
 それなら蘭は、とオルヒディがきょろきょろと首を振る。ふと、フワリンが一つの白いマカロンを差し出した。
 バニラの深く甘い香りに、オルヒディは納得してそれを箱に詰める。少しイメージは遠いかもしれないが、バニラの香りは蘭の仲間の種から抽出されるものだ。
 不思議の国の思い出に、四君子のお土産。
 オルヒディは満足そうに、甘い香りの小箱にリボンをきゅっと結んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

七瀬・麗治(サポート)
沈着冷静な、黒スーツのUDCエージェント。
多重人格者で、闇人格「ロード」は好戦的で尊大な性格です。
一人称はオレ(私)、二人称はあんた、おたく(貴様)
体育会系のスポーツマンで、肉や魚料理を好んでよく食べます。
結構動物好きで、特に柴犬を好みます。硬派に見えて、
恋バナが大好きです。
麗治は調査や情報収集、ロードは戦闘中心という具合に、
シナリオの内容に応じて自由に人格を使い分けてください。

【戦い方】
体内に埋め込まれた寄生型UDCを操り、
武器を侵蝕させて強化することができます。
ユーベルコードで召喚したUDCを使役したり、寄生体で
体を変化させることができます。

サポートの必要が無ければ流してください。



 穏やかで平和な、甘味の溢れるパステルカラーの花園。そんな不思議の国でもかっちりとした黒スーツに身を包む猟兵、七瀬・麗治は足下のぬいぐるみが差し出すマカロンを手に取った。
 欲を言えばこんな小さな甘いものよりガッツリと食事がしたい、と心の中でぼやきながらも、麗治はマカロンを口に運ぶ。
 疲れた体に染み渡るような深い甘みの中に、どこか柑橘類のような爽やかさがある。不思議な味だ、と麗治がもぐもぐとそれを食べ進めていると、ぬいぐるみの姿をした愉快な仲間たちはじっと彼を見つめていた。
「……どうした?」
 麗治がぬいぐるみ達に問うと、わわわと彼等はざわつく。
「その、口に合いましたでしょうか!」
「お菓子はお好きでしたか!」
 縮こまりながらそう口々に言うもふもふのぬいぐるみに、麗治は成程、としゃがみこんで彼等に目線を合わせた。
「ああ、美味しかった。それに、動物も好きだからな」
 小さな彼等を安心させるように、麗治は一番手前のぬいぐるみの頭をぽんぽんと撫でる。硬派そうに見える彼の優しさを感じてか、愉快な仲間達はぱぁっと明るい表情でわらわらと麗治の周りに集まりだした。
「ではこちらも!」
「こちらもどうぞ!」
 次から次にマカロンを差し出す愉快な仲間達。これも一応猟兵の仕事のうちだ、と苦笑しながらそれを手に取り食べると、彼等は嬉しそうに沢山のマカロンを取り出す。
 そろそろ塩気が恋しくなってくるスイーツ三昧の中、麗治は雪崩のように押し寄せるぬいぐるみとマカロンに気づき、だんだん冷や汗を滲ませた。
「おい、ちょっと待て。そ、そんなには食えないぞ……?」
 いつの間にか麗治の周りを埋め尽くしていた愉快な仲間達は、悪意など欠片も無さそうな笑顔で菓子を差し出し、紅茶を淹れ始めていた。
「どうぞどうぞ!」
「まだありますから!」
 流石に胃がもたれそうな甘い甘いその香りに、麗治は後ずさりする。しかし愉快な仲間達はお構いなしにその数を増していき、ぬいぐるみはどんどん増えていった。
 きらきらとした眼差しに、断るのも申し訳ないような空気。麗治はついに堰を切ったようにくるりと踵を返す。
「……ま、また今度な!」
 麗治はそう言ってぬいぐるみ達から逃げるように走り出した。
 しかし、ぬいぐるみは更に表情を明るくしてわーっと嬉しそうな声を上げる。
「おいかけっこですか!」
 愉快な仲間達は、それはもう主人に懐いた飼い犬のように楽しそうに、花園を駆ける麗治の後を追っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『エレク』

POW   :    淡紅の火炎
【鋼鉄が溶けるほどの炎】を給仕している間、戦場にいる鋼鉄が溶けるほどの炎を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD   :    お菓子好きの怪物
戦場全体に、【オブリビオンが食すと強化されるお菓子】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    Who are you?
自身が【可愛さや興味】を感じると、レベル×1体の【お菓子の兵隊】が召喚される。お菓子の兵隊は可愛さや興味を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:彩

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 深い深い樹海を、ひとりの少女が駆け抜ける。
「はぁっ、はぁっ……何なのよ、あれ……っ!」
 彼女の長い金髪とセーラー服は泥で汚れ、ストッキングはところどころ破れている。こんなにも必死に彼女が走る理由は、ここがアリスラビリンスであることを考えれば想像は容易だろう。彼女はアリスであり、襲われてここへ逃げてきたのだ。
 追ってくる何かはお菓子の兵隊を繰り出したり、炎を放ったりと、明らかにこちらを襲ってきている。アリスは何とか逃げ果せてきたが、彼女もそろそろ限界が近い。
 息を切らして前へ前へと走る中、がさっ、と彼女の背後の茂みが揺れる。
「アハハハッ!」
 愉快そうに笑いながら、ばっと飛び出たのは桃色の大きなぬいぐるみ。愛らしい見た目だが、鋭い爪や牙には真っ赤な血が滲んでいた。
「ひぃっ……!」
 小さな悲鳴を上げた瞬間、彼女は小さな石に躓いてしまう。
 ぐらりと体を傾け、泥だらけの地面に倒れ込むアリス。じりじりと近寄る桃色のぬいぐるみ『エレク』を怯えた目で見つめながら、彼女は奇跡を願った。
「誰か、助けて……」



 花園でお茶会を楽しむ愉快な仲間達がざわつく。
「大変だ、大変だ!」
「何かがおかしい!」
 ポットやぬいぐるみは慌ててマカロンを放り投げる。慌てふためく彼等の元に、葉っぱの形の愉快な仲間が走ってきた。
「アリスが迷い込んできたぞ! それに、あの森の中が変なお菓子と火でいっぱい!」
 葉っぱが指さす森からは、マカロンとは違う濃く甘い香りと橙の光がちらついている。どうやらあの森の中でアリスが襲われているのだろう。
「お願いです、お願いです! 助けてあげて!」
 愉快な仲間達はそう言って、猟兵たちに懇願した。
オルヒディ・アーデルハイド
※絡み・アドリブ・連携歓迎

【WIZ】
大変だ、すぐに助けに行かなきゃ
行くよ、待ってて
ツリーハウスの窓から飛び降りて
地面にたたきつけられる前に
UCを使用
エーデルシュタインヘルツが輝いて全身を包んで変身を遂げ
樹海の上空をアリスの元まで一直線に飛んで行く
対空対策は完全ではないので空を飛ばれると対応ができない樹海

エリクの爪がアリスに当たる寸前に姫様抱っこで救出
なんとか間に合ったね
もう大丈夫
絶望する必要なんでないよ

Who are you?で召喚されたお菓子の兵隊さんたちと闘う
お菓子の兵隊さんたちは食べられないんだよね
お腹空いてきたな
お土産用のマカロンを食べながら
ホフヌングランツェ(銀色の槍)を振るって戦う



 オルヒディ・アーデルハイドは愉快な仲間達が騒いでいるのに気づき、そっとツリーハウスの窓を開ける。慌てたポットやぬいぐるみ達がツリーハウスを駆け回り、オルヒディを見るなりはっとして彼に飛びついた。
「あっちの森でアリスが襲われているのです!」
 ポットが注ぎ口を暗い樹海の方角へと向け、オルヒディもそちらを見る。穏やかでない衝撃音が微かに届き、幼い猟兵は強く頷いた。
「大変だ、すぐに助けに行かなきゃ……!」
 開いた窓から素早く飛び出すオルヒディ。
 高いツリーハウスからふわりと落下する姿に愉快な仲間達はわっと驚き息を呑むが、オルヒディは重力に身を任せながらもユーベルコード『華麗なる姫騎士』を発動した。
「愛と勇気と希望を抱きしめてフェアクライドゥング」
 その詠唱と共に、宝石・エーデルシュタインヘルツがオルヒディの心に呼応する。猟兵が地面に叩きつけられるよりも早く、宝石から放たれる眩い光はオルヒディを瞬時に包み込んだ。
 光を纏いながら、オルヒディの姿は煌びやかなプリンセスナイトへと変わる。
「行くよ、待ってて」
 フワリンの加護を受けた彼は花園の上空へ浮かび、吹き抜ける甘い風に銀色の髪を靡かせた。幼くも強い光を帯びる藍と青紫の瞳は遠くの森を確かに捉える。
「……ご武運を!」
 愉快な仲間達の祈りを受けてオルヒディは微笑み、森を目がけて一直線に飛翔した。

 樹海の中、躓き倒れ込んだアリスはその場を動くことが出来ない。
「アハハッ、アリス……捕まえた!」
 エレクの鋭い爪が振り翳され、アリスの首を切り裂く――寸前。
「させない!」
 上空からグン、と降下してきた影はアリスを抱えて飛び下がる。アリスが強く瞑った目をおそるおそる開くと、視界には透き通る白い肌をした幼い顔が映った。
「なんとか間に合ったね……もう大丈夫。絶望する必要なんてないよ」
 澄んだ声でアリスに告げるオルヒディ。突然現れた猟兵にアリスは安堵するが、自分がお姫様抱っこをされていることに気づくと慌てて顔を赤らめた。
 一方、空を切った爪に首を傾げるエレク。標的を攫う幼い猟兵へと視線を移すと、ぬいぐるみは牙の覗く口を歪ませる。
「――Who are you?」
 不気味なその声と共に、樹海の沼から濃く甘い香りが噴き出す。オルヒディとアリスを囲むように現れたお菓子の兵隊はガシャガシャと甘い刃を揺らしながら、輪になって二人の逃げ道を塞いだ。
 ここまでユーベルコードを使用してアリスの元へ駆けつけたオルヒディ。力を使ったせいか、小さな胴体からはぐぅ、と小さく音が鳴った。抱えていたアリスを下ろし、少し照れるように笑う。
 くるりとお菓子の兵隊を見ながらも、残念そうに懐の小箱を取り出した。
「お菓子の兵隊さんたちは食べられないんだよね……お腹、空いてきたな」
 お土産用のリボンを解いて、オルヒディはバニラ味のマカロンを一つ口に運ぶ。残りのマカロンが入った小箱をアリスに手渡して、彼はよし、と敵へ向き直った。
「行くよ」
 マカロンを飲み込んだオルヒディは白銀の槍ホフヌングランツェを掲げた。戦う意思を見せた猟兵に、お菓子の兵は一斉に飛び掛かる。
 オルヒディは小さな体を活かし、素早くお菓子の兵の懐へ飛び込む。
「隙ありっ!」
 ザクッというお菓子の砕ける音。バターの優しい香りを纏った槍をそのまま隣の兵へと向け、オルヒディは二体目の兵の腹にも槍を叩き込む。
 甘い破片は衝撃に高く飛び散るも、地面に転がる前に焼け焦げたように消え去った。
 背にアリスを隠し、護るように切っ先を前へ向けるオルヒディ。二体の兵を瞬時に砕いた幼い猟兵の姿に、お菓子の兵隊とエレクはぐぬぬと動きを止めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリソン・リンドベルイ
【WIZ 庭園守護する蜂軍団】
……あら? 迷い込んだアリスさんには、もうステキな騎士様がついていらっしゃるのかしら? 先に活躍されていた猟兵さんに微笑みながら、悪いけれども私も動かせてもらうのよ
ーーー森に踏み入ったのだから、この森の流儀を味わってもらうわよ? ユーベルコード『庭園守護する蜂軍団』、能力は『敵意、悪意、害意に反応する攻撃』 守るべきもののためには、決して折れず地面から立ち上がる。たとえ燃えても枯れても、また大地から生まれ変わる…それが、草木の戦いというものよ。 この森を打倒できると思うなら、自然を支配できると思うなら…やってみるといいのだわ? 『生命力吸収」で、敵に立ち向かう。



 樹海を作りだした猟兵、アリソン・リンドベルイ。衝撃音と甘い香りに駆けつけた彼女は、その発生源にいたボロボロのアリスとそれを護る猟兵を見る。
「……あら? 迷い込んだアリスさんには、もうステキな騎士様がついていらっしゃるのかしら?」
 アリスの傍で槍を構える猟兵に微笑みながら、アリソンは桃色のぬいぐるみの元へ歩いていく。ぬいぐるみ――エレクは鋭い爪を振りながら、新たに現れた猟兵に首を傾げた。
「Who are you?」
 再びお菓子の兵が周囲から飛び出す。しかし、アリソンはそれに動じずそれを見やった。
「――森に踏み入ったのだから、この森の流儀を味わってもらうわよ?」
 甘い香りの充満する森の中、お菓子の兵がアリソンに飛び掛かる。同時にその主、エレクもその爪をブンブンと振り回しながら、それに続いた。
 それを待ちかねていたかのようにアリソンは彼等に手を翳し、生命力を吸い取るとともにユーベルコードを発動する。
「この庭に、悪いヒトはお呼びじゃないんだから……っ!」
 自らに向いた刃、剣、爪をアリソンが意識した瞬間、彼女の周囲をヴン、と何かが飛び回る。素早く顔面を掠める黄色いシルエットにエレクが飛び下がり、その姿を捉えようと首を振った。
 アリソンを囲むように飛行するそれは『庭園守護する蜂軍団』。彼女に向かって攻撃を仕掛けたお菓子の兵とエレクを強く警戒し、蜂達は羽音を強く響かせた。
「この森を打倒できると思うなら、自然を支配できると思うなら……やってみるといいのだわ?」
 そう言ってアリソンは手を真っ直ぐエレクの方へ向ける。
「行きなさい!」
 アリソンの掛け声を合図に蜂の集団がエレク目がけて一直線、針を光らせながら突進した。普通の虫よりも一回り大きなアリソンの蜂は大きく羽音を響かせエレクに飛び掛かる。
 唸るような低い振動音にエレクは思わず屈もうとするが、足元にも蜂が現れその身をぐいと捩らせた。
 その身を針で突き刺せば、エレクは悲鳴を上げて手を振り回す。
 お菓子の兵達は主の混乱に慌て、蜂を追い払おうとエレクの元へ戻ろうとする。しかし、蜂達は近づいてきたお菓子の兵に素早く体当たりを放ち、脆いクッキーの頭を軽々と砕いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)

「今日はどんなところに行けるのかな?」

楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気で好奇心旺盛。そして根本が人でない故に残酷で凄惨

猟兵の役割も理解してるが、基本的に楽しそう、面白そうで物事を判断する
神出鬼没に出現し、気まぐれにアチコチ歩き回り、笑顔で爪を振るう
そんな子

基本的に巨体を活かした力任せな戦闘スタイル
鋭い爪で引き裂いたり、踏みつけたり
体表で自生する植物を操り、防御や隠密、罠等、サポートも行わせる
本人の身体自体も植物の性質を持つ


エンキドゥについて
身長140程度
無口、無表情。
空中等、アウルの手では届かない相手に使用される
大事にしているので頻度は少ない



 お菓子の兵を失ったエレクは次の手を打つ。ふわりと桃色の腕を持ち上げてぬいぐるみが放つのは、見るだけで目が焦げそうな程に煌々と赤く燃える炎。どろりと流れるように湧き出るそれを辺りに振りまきながら、エレクはケラケラ笑って走り出した。
 そんな火焔に包まれる樹海へ、一人の猟兵アウル・トールフォレストが二メートルを超す大きな体でアリスやエレクの前に姿を現す。植物で溢れるこの景色を心から楽しむかのように、彼女も樹海を駆け回っていた。
「え、え……?」
 山火事のごとく燃え盛る木々、走り回るぬいぐるみと巨人。猟兵に守られていたアリスは困惑しながらその状況を理解しようと辺りを見回す。
 ――しかし、ズドン、ズドンというアウルの大きな足音に、真っ先に気づき止まったのはエレクだった。
「たーのしー!」
 そう叫ぶとともに、アウルの身体はさらにそのシルエットを大きく膨らませる。樹海の木々も追い越しそうな体躯を見上げながら、エレクは驚いたように大きく口を開く。
「ンナッ……た、楽しんでる!?」
 エレクが放っている炎は、それを怖れ楽しまないものの動きを鈍らせるユーベルコード。しかしそれに物怖じせず無邪気に笑うアウルに、エレクは明らかな動揺をみせた。
 やがてアウルははっと思い出したようにエレクに視線を移し、邪な感情の一切ない瞳でじっと見つめながら問いかける。
「……敵?」
 エレクは能力の効かない敵に冷や汗を垂らし、距離を取ろうと一目散に走りだす。だがその行動を見たアウルは成程と頷いてゆらり身を動かし、エレクに向かって指を振り下ろした。
 ――その手と同じ方向へ、樹海に広がる植物たちが一斉に伸びる。
「ンギャッ!!!」
 エレクは情けない声を上げてすっ転ぶ。その背後からズン、と大きな足音が響きエレクがおそるおそる振り向くと、アウルは蟻を潰す子供のようににっこりと笑って拳を振り下ろしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

水貝・雁之助(サポート)
『お腹が空いたらおにぎりを食べたら良いんだな』
 シャーマンズゴーストのゴッドペインター×ビーストマスター、19歳の男です。
 普段の口調は「男性的(僕、~君、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、高いところでは「丁寧(僕、あなた、~さん、だね、だよ、~かい?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



ヴィヴィ・ジーヴ(サポート)
サポートってお手伝いね。
ビビ手伝うよ。何すればいい?

キマイラの力持ち×精霊術士、15歳の女。
名前はヴィヴィ、一人称は自分の名前でビビ。表記はどちらでも。

服の下はフクロウ。
腕はハーピー(鳥の羽)、器用な作業は少しだけ苦手。
「あまりお手手は見ないでね、女の子の秘密よ。」

《力持ち》
素早いの、苦手。お目目くらくらする。一撃ドーン、が得意よ。

《精霊術士》
困った時は精霊さんに聞く!

《好き》
美味しいもの、食べる事、大好き!
あとね、ビビ、空中浮遊でふよふよするの好きよ。

悪い事(公序良俗に反する行動)はしちゃダメってお母さん言ってたよ。
いつかお母さんに話すんだから、言えないような事はしないわ。怒られちゃう。



 エレクはついに大声を上げながら、樹海を駆け抜け走り出す。森を抜ければそこは花園の迷宮。エレクはそこに逃げ込むように飛び込むと、身を隠しながら花園の中を彷徨っていた。
 アリスを保護した猟兵達のもう一方。更に駆けつけた二人の猟兵はすぐにエレクを追って花園の中へと入っていく。だが、複雑に入り組んだ自然の迷宮はアリスの逃げ道として作られた故か、逃げ込んだオブリビオンの姿も隠してしまっていた。
「皆力を貸して欲しいんだなー」
 水貝・雁之助はユーベルコードを発動し、花園に紛れる愉快な仲間達に声をかける。わさわさわさ、と彼等は花園の中をすばしっこく行ったり来たりを繰り返し、雁之助とともにエレクを探し回った。
「あっちの方角……あっちです!」
 愉快な仲間たちは大まかな方角を指して、猟兵を誘導する。だがそれは案の定一本道ではなく、右へ左へと迂回しながら進むうちにエレクとの距離も開いていくのが明らかだった。
 そんな中、もうひとりの猟兵ヴィヴィ・ジーヴははっと思いついたように目を見開いて、突如ばっと花園の上空へと飛び上がる。浮遊できる彼女にとって、わざわざ迷宮の中を手探りで彷徨う必要などないのだ。
「どこかなー?」
 ヴィヴィが辺りを見回し、愉快な仲間達が集まる方向を見ると、そこには標的――桃色のぬいぐるみの姿があった。
「見つけたっ!」
 一点を目がけ急降下。風を切る音にエレクは上空を見上げ、大口を開けて固まった。追っていた自分が追われる側と化したこの状況で、エレクはなす術もなくヴィヴィの一撃、ユーベルコードによって変異したライオン頭の噛みつきを正面から喰らう。
「グガッ……!!!」
 苦しみもがくエレク。起き上がろうとしたぬいぐるみの目の前には、愉快な仲間達に導かれ辿り着いた雁之助の姿があった。
「トドメなんだなー」
 雁之助がばっと手を上げると、周囲の垣根からばっと無数の影が飛び出す。それらは吠えながらエレクに噛みつき、その息の根を止めた。



 しばらくして。
 樹海に守られた花園、その中心に立つツリーハウス。猟兵達が遺した不思議の国は、アリスの楽園となっていた。国のそこかしこがマカロンなどのお菓子で溢れ、花の香りをのせた風が木々を揺らす。
 だが、ここはアリスラビリンス。オウガがアリスを捕らえようと踏み入るのは日常茶飯事である。
「てっ、敵が、出ましたー! 皆逃げて!」
 ティーカップがそう叫びながらツリーハウスを駆ける。すると愉快な仲間達とアリスは手慣れたような動きでツリーハウスの奥へと隠れ、不思議の国は一瞬にして静まり返った。
 猟兵によって作り上げられたこの国は、オウガが入ってこようとも樹海の植物や守護者となる巨人が足を鈍らせ、花園の迷宮が進む気力を減衰させる。そして何といっても猟兵がこの国で一度敵を退けているという事実は、オウガの焦りを生む材料となる。
「くそ……っ、見つからねえ!」
 渋々と引き返していくオウガ。
 小さなポットがそれを見届けてもう大丈夫と走り回ると、不思議の国にはまたいつもの平和が戻っていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年10月18日


挿絵イラスト