#アリスラビリンス
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「…………何なの、ここ」
アンは、呆然と呟いた。それはあらゆる物が雪で出来た迷宮だった。小さく身震いして、アンは自分の体を抱きしめる。自慢の赤毛と同じ、赤いエプロンドレスはこの場では少々寒い。震えながら、自分の置かれた状況を把握しようとアンは歩き出した。
「あのー……誰かいるー? もしもーし!」
ザクザクと雪を踏みしめながら、アンは進んでいく。しかし、答えはない。誰もいないのだろうか、と疑うアンだが――実際は違う。
迷宮の中に踏み入ったアンを見つめる、無数の瞳があった。それは黒い衣装に身を包んだ道先案内人――この雪の迷宮という不思議の国を支配するオウガ、雪の女王の忠実なる下僕であった。
百を数え終え、道先案内人達は迷宮へと踏み入っていく。ここに迷い込んだアリスの、命懸けのデスゲームが始まりを告げるのだった。
「……いや、悪趣味な話じゃよ」
ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、しみじみと顎髭を撫でながら語り始めた。
「雪の迷宮という不思議な国を支配しておるオウガ、雪の女王が迷い込んだアリスを標的にデスゲームを仕掛けておるようでな」
デスゲームは二種類、雪の迷宮前半の道先案内人との追いかけっこ。そして、中盤の雪上の戦場でのトランプ兵との戦争ゴッコだ。追いかけっこや戦争ゴッコというと遊びに聞こえるが、これは文字通りのデスゲーム――死の危険性のある遊技だ。
もちろん、アンというアリスの少女は戦闘能力を持たないために追いかけっこの時点で命を落とす。既に雪の迷宮で迷っているアンを道先案内人達は、捜している――向こうよりも先に見つけ出し、保護する必要があるだろう。
ガングランは神妙な顔で、こう締めくくった。
「このアンというアリスの少女を守りながら、雪の迷宮の最奥におる雪の女王を倒してほしいのじゃ。守りながらは大変じゃが、おぬしらの実力なら問題ないじゃろう……どうか、頼んだぞ」
波多野志郎
雪の迷宮……寒そうですね。どうも波多野志郎です。
今回はアンという名のアリスを保護しながら、迷い込んだ雪の迷宮を攻略してもらいます。
第一章は道先案内人との集団戦闘。
第二章はトランプ兵との集団戦闘。
第三章は雪の女王とのボス戦。
上記のようになっております。
それでは、雪の迷宮にてお待ち致しております。
第1章 集団戦
『道先案内人』
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POW : どうぞアリス、それを連れて一緒にお逃げください
戦闘用の、自身と同じ強さの【アリスを追い立てる獣たち】と【怪我をしているリス】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD : おやおや、オオカミに食べられたのでしょうか?
自身と自身の装備、【任意のアリスである】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
WIZ : そうそう、ここから先は道が険しくなっておりますよ
見えない【ように隠れた『道先案内人』による地形変化】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
イラスト:安子
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🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
宮入・マイ(サポート)
連携歓迎っス!
マイちゃんは面白いことがありそうなら首を突っ込むっスよ!
それ以外の目的で依頼に行くことはないっス!
まーなんでも面白いと思うタイプなんっスけどね。
ただ、面白いことに集中して依頼の本筋から離れちゃうときもあるっス…
基本は攻撃が来たら喰らっちゃうっス、本体がやられない限り死なないっスから!
後は寄生虫をけしかけてUCにつなげる感じっス。
でもこれにこだわらなくても大丈夫っス!
好き勝手やるときもあるっス!
あ、【裏返しの不幸】は面白いことを邪魔された時にしか使わないっス。
後は~…他人のことをあんまり気にしないっス、面白ければ被害が出ようがなんだろうがオッケーっスよ!
きゃっきゃ。←これ重要っス。
ラティナ・ドラッケンリット(サポート)
先祖代々ビキニアーマー姿で相手より速く長柄武器を叩き込めば勝てるを信条にしてきた冒険者一族の末裔
鎧で動きを鈍らせてまで身を守るより熟練の戦士が攻撃に専念した方が合理的だと信じてやまない
猟兵として覚醒したことでその身体能力は銃火器や魔法等の遠距離攻撃にすら反応することができる
得意技は愛用のバトルアックスから繰り出されるグラウンドクラッシャー
相手を倒せれば使う武器にこだわらないのでレンジによって装備したドラゴンランス、鉄塊剣、シールドオブガーディアン、魔法の豆の木を状況に応じて使い分ける
グラウンドクラッシャーの発動もバトルアックスにこだわらない
依頼を達成し人々を助けることを第一に考える
●純白の迷宮
「いやー! 見渡す限り真っ白っスね!」
白い吐息をこぼしながら、宮入・マイ(奇妙なり宮入マイ・f20801)が歓声を上げた。 雪によって全てが作り上げられた、文字通り純白の迷宮だった。ちょっとしたアトラクションとして見れば、マイもテンションが上がる思いだった。
ただ、この雪の迷宮がこれから戦場になるのだからはしゃぐだけではすまないのだが。
「私は、追っ手の処理を請け負おう」
ラティナ・ドラッケンリット(ビキニアーマー道の冒険者・f04425)の判断は、この状況では正しい。既にこの雪の迷宮には多くの道先案内人がアリスを追って、入り込んでいる――アリスを先に確保するか、追手を先に処理しておくかの選択肢で後者を選んだのだ。
「鬼を追いかけるっスね! マイちゃんもそっちやってみたいっス!」
はいはーい、と手を上げてぶんぶんとマイは自己主張する。マイからすると他人よりも面白い事が優先なところがある――追いかける側だと思っている相手を追いかけるのも楽しそうっス、と思ったなら、そっちを選ぶのがマイであった。
「なら、行こう」
「ところで、寒くないっスか?」
走り出すラティナに続くマイの問いに、ラティナは視線だけ向けた。
「いや、別に」
「強いっスねー」
●追っ手対追っ手
雪の迷宮を駆け出した二人は、やがて一体の道先案内人に遭遇した。
「――!」
道先案内人の足元から、狼の群れが駆け出す。追い立てる獣の群れを前に、ラティナは迷わず加速した。
その獰猛な牙や爪を前にすれば、布面積の少ないビキニアーマーはあまりにも頼りない……はずだった。しかし、ラティナの動きに迷いはない。竜の鱗を打ち砕く為に鍛造された巨大超重なバトルアックスを軽々と肩に背負い、風のように走り抜けた。
「邪魔だ」
短い一言と共に振り下ろされた断山戦斧の一撃が、雪の床ごと狼達を破壊した。先祖代々mビキニアーマー姿で相手より速く長柄武器を叩き込めば勝てる――それを信条にして来た一族の者だからこその、速さと威力を持ったグラウンドクラッシャーだ。
「おおー、すっごく綺麗っス!」
舞い上がる雪柱に、きゃっきゃっとマイがはしゃぐ。それは、雪景色の中でも幻想的な光景であった。その光景に心奪われていたマイに、音を聞いてやって来た他の道先案内人が襲いかかる!
「邪魔はやめてほしいっス邪魔っス邪魔っス邪魔っス邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔邪魔」
せっかく綺麗な光景を堪能してたッスのに――そう思ったからこそ、マイは許せなかった。己の身体で蟲毒を行い、真の姿へと変貌すると、マイちゃん一派・サナダちゃんを振るって道先案内人を薙ぎ払った。
「――!?」
雪の壁に叩きつけられた道先案内人が、動きを止める――ラティナの投げ放った豆の木の種が急速に成長、雪の壁に縫い付けられたからだ。
「あ、またあの綺麗などっかーん、お願いするっス」
「ああ、そうしよう」
マイのリクエストに、ラティナが再びグラウンドクラッシャーで壁ごと道先案内人を破壊する! 舞い上がる雪に、きゃきゃとはしゃぐマイは、ラティナと共に次々と道先案内人を撃破していった……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
落浜・語
寒っ!普段いるエンパイアやUDCアースが暑いから、余計寒く感じるような…。
まぁ、んなこと言ってる場合ではないんで。こんな悪趣味なお遊びはやめさせないとな。
UC『烏の背中』でもって上空から捜索を。吹雪いているなら難しいが、そうじゃないなら、【視力】や【聞き耳】、【第六感】もフル活用しつつ、【失せもの探し】でアリスを探す。見つけたならば、カラスの背へ保護。
万一、向こうのUCで見えなくなってしまった時のために、アリスに鈴を預けつけてもらう。
敵の攻撃は、カラスにどついてもらったり、奏剣での攻撃で対応を。
アドリブ、連携歓迎
リリスフィア・スターライト
他の猟兵達とも協力してアンの救出と
道先案内人を撃破していくよ。
向こうは隠れるのが得意みたいだし、それならこっちも
無色変換で姿を隠してかな。
気配や物音も可能な限り消して気付かれないうちに
道先案内人に近づきアンや他の猟兵達に危害を
加えようとしている所を逆に接近戦で仕留めるようにするつもりだよ。
長時間の透明化は消耗もう激しいしいいタイミングで
一息つてからまた姿を消して行動するね。
「姿を消せるのはそっちだけじゃないってことだね」
「これなら案内してもらう必要はなさそうだね」
セゲル・スヴェアボルグ
まずはアリスの安全確保が最優先だな。
とは言っても、離れてしまって見えなくなってはどうしようもないからな。
懐にでも隠れてもらう方がむしろやりやすいか。
多少なりとも寒さもし凌げるだろうしな。
さて、敵だろうが見方だろうが、
見えない相手であってもその場にいることに変わりはない。
焼き払うのも一案ではあるが、
今回は場の全体を流してしまえば問題なかろう。
ついでに雪も流せるだろう。
流れを制限して、敵が流れ着く先を決め打ちすれば、
あとはそこに攻撃を叩きこみさえすればいい。
此処が迷路なら、尚のことやり易い。
溺れてグロッキーなら僥倖だな。
●雪の迷宮へ挑んで
白、白、白――そこにあったのは、見渡す限り雪で出来た迷宮だった。
「寒っ! 普段いるエンパイアやUDCアースが暑いから、余計寒く感じるような……」
まだ残暑の厳しい日本、あるいはそれとよく似た国を思い出して落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は小さく身震いした。周囲は雪だらけだ、肌を刺すような冷たい空気は、真冬のそれよりもなお冷たい。
「まぁ、んなこと言ってる場合ではないんで。こんな悪趣味なお遊びはやめさせないとな」
「まずはアリスの安全確保が最優先だな」
セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)の言葉に、語はうなずく。
「俺達はアリスの確保役だな――頼むぞ、カラス」
語に召喚されたのは、まさに背に乗れるほど大きなカラスだ。語は大カラスの背に乗ると、雪の迷宮を上から見下ろした。
「これも立派な攻略法だからね」
上から捜す、三次元的に迷宮に挑むよりも上から二次元的に読み取る方が随分とやりやすいのだ。時折、迷宮のどこかから破壊音が聞こえ、雪が巻き上がる――先行した猟兵達が、道先案内人達と戦ってくれているのだろう。
「ま、正攻法だけが手じゃないからな」
セゲルはそう言って、応龍槍【ギュールグルド】を引き抜いた。そう、デスゲームに付き合う必要など、セゲルにはないのだ。
だからこそ、セゲルは『そう』するのに、迷いはなかった。
●アリスのアン
「はあ、はあ……」
アンは、雪の迷宮を駆けていた。もう、自分がどんな状況に置かれていたか、理解している。自分を殺そうとする追っ手、それから逃げる自分。いや、より正しく言うのならば追い立てられている、というべきか。
(「あそ、ばれ、てる、よね、これ……!」)
幸い、雪の床は柔らかくはあるが沈むほどではない。追いかけてくる狼の群れも、アンが懸命に走れば逃げられる程度の速さだ――狼がそんなに遅いはずがない、だから遊ばれていると気づいたのだ。
ずっと全速力で走り続けられる人間などいない、アンの息が乱れ、足が重くなっていく。その分、狼達は近づき――その牙が届く、寸前だ。
――緋色に輝く一閃が、狼の群れを切り裂いた。
「ぎゃん!?」
「え?」
アンが足をもつれさせ、雪の上に転がりそうになる――それを抱きとめたのが、緋色の魔法剣を手にしたリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)だった。
「え……ええ? 今、どこから……!?」
アンが、目を白黒させる。ほんの一瞬前まで、リリスフィアはいなかったはずだ。少なくともアンには突如として現れたとしか見えなかった。
「もう大丈夫、安心して」
リリスフィアは微笑み、アンをしっかりと立たせる。そして、狼の群れへ改めて視線を向けていった。
「姿を消せるのはそっちだけじゃないってことだね」
「ふえ!?」
無色変換(インブジブルシフト)――透明化したリリスフィアに、アンが目を白黒させる。狼の群れも警戒して周囲に吠えるが、次々とリリスフィアが繰り出した斬撃に切り裂かれていった。
「これなら案内してもらう必要はなさそうだね」
こちらに迫る道先案内人達の気配に、リリスフィアがリリスの魔剣を構え直した――その時だ。
「捕まって!」
上から大カラスに乗った語がそう叫び、手を伸ばす。ズズン……! と雪の迷宮が振動した。その揺れに戸惑うアンを抱き寄せて、リリスフィアが語の手を取り――。
「邪魔だ!」
アンを奪おうと迫る道先案内人を、奏剣を逆手で抜きヒュオ! と甲高い音をさせ切り裂いた。そのまま、大カラスで急上昇――迷宮の上へ、飛んだ。
「――ッ!?」
その直後だ、雪と水が混じり合った濁流が雪の迷宮を道先案内人ごと押し流していった。迷宮を振動させていた要因、大波だ。
「此処が迷路なら、尚のことやり易い。溺れてグロッキーなら僥倖だな」
大波の後を悠然と歩いて続いたのは、セゲルだ。溟海ヲ征ク水師(トルカ・ホーブストローム)によって巻き起こした大波で、迷宮ごと押し流す――まさに、ゲーム盤をひっくり返すような所業であった。
特に迷宮という細い道にいた道先案内人達に、このすべてを押し流す大波に抗う術はない。残らず押し流し、セゲルは周囲を見回した。
「ああ、すっきりしたな」
「いや、根こそぎ無くなったからね」
降りてきた大カラスの背で、しみじみとリリスフィアが言った。だが、これで一直線に次のステージへと道ができたのは事実だ。
「えっと、あなたたちは……?」
アンが恐る恐る、問いかける。ある意味では、道先案内人達よりもアンにとって驚異的な存在に見えただろう。
猟兵達は視線を交わし――小さく笑みをこぼすと、アンへと自己紹介を始めた。
こうして、デスゲームの第一ゲームは強引に幕を下ろす。しかし、これで終わりではない。アンの扉を捜すそのためにも、先へ進まないと行けないからだ。
新たなるゲーム、戦争ゴッコは目前に近づいていた……。
大成功
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第2章 集団戦
『トランプ兵』
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POW : 『女王直々の召集令状である!』
【ハートの女王】から【の令状を読み上げ怒号】を放ち、【令状に従い組み付くトランプ兵】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD : 『赤く赤く、染めねばなるまい!』
【ハートのスピア】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ : 『――このままでは首を刎ねられてしまうッ!』
自身が【ハートの女王に対する恐怖】を感じると、レベル×1体の【ハートのトランプ兵たち】が召喚される。ハートのトランプ兵たちはハートの女王に対する恐怖を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:あなQ
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
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ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●トランプ兵と戦争ゴッコ
アンと合流を果たした猟兵達の次の目的地は、白と黒のチェス盤のような『戦場』だった。そして、そこに控えていたのは大量のトランプ兵だ。
スートこそハートのみだが、重複している――その一体一体は雑兵であるが、数と連携こそが、このトランプ兵達の強味だ。
ハートの女王から開放されたというのに、今度は冷酷な雪の女王に使われる――彼らに許された安息は、戦争ゴッコの最中のみだ。
例え殺し殺される戦場であろうと、戦っている内は戦いだけに集中できる。だからこそ、トランプ兵の士気は高かった。
猟兵達が訪れれば、戦いの幕は上がる。第二幕、戦争ゴッコの始まりは、もうすぐそこだった……。
ソラスティベル・グラスラン(サポート)
物語の英雄、『勇者』に憧れる竜族の少女
故郷では、彼らの部族は皆が一様に橙の髪をしており、
祖たる黄昏竜の血を引く一族と伝わる
溢れんばかりの好奇心と正義感
そして消えることのない【勇気】の炎を胸に、あらゆる困難に立ち向かう
考えるのが苦手で、とる手段は大体が【勇者理論】による力尽く
勇気で打ち倒し、気合で民を守り、根性で強敵にくらいつく
彼女の心にあるのは、
民を脅かす巨悪を打ち倒したい
世界の全てを冒険し、己の目で確かめたい
伝説の武具やアイテムを手にしたい
などなど、ただ只管に『勇者』への憧れである
趣味は読書(英雄譚や冒険譚を好む)と食べること
主な活動世界はA&Wとアルダワ
弱点はおばけ
白銀・クリム(サポート)
『みんなに、笑顔を届けるよ!』
バーチャルキャラクターのサウンドソルジャー × ウィザード
年齢 15歳 女
外見 157.8cm 赤い瞳 銀髪 普通の肌
特徴
口調 元気に動画撮影するよ!(自分の名前、キミ、だね、だよ、だよね、なのかな? )
真剣な時は 普通に話せます(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)
●白と黒の遊技場
巨大なチェス盤――その戦場を上から見れば、多くの者がその発想に行き着いたかもしれない。
「いやぁ、たくさんいますね!」
ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)が目を輝かせ、そう言った。それを聞いて、白銀・クリム(音使いの魔女・f11047)は喉元まで出かかった違和感にこぼす。
「あれ、トランプ兵だよね? 何か、おかしいって出かかってるんだけど……」
「トランプ兵が出てくるのが不思議の国のアリスで、チェスが出てくるのが鏡の国のアリスだからでは?」
「あ、それだね」
読書が趣味のソラスティベルの指摘に、ようやく違和感の正体に気づいたとクリム。確かに、二つの要素にはズレがある――それもまた、アリスラビリンスならではのズレだろう。
『全ては女王陛下のために!!』
『――女王陛下のために!』
膨大な数のトランプ兵が、そのランスを構え疾走してくる。ドドドドドドド……! とチェス盤の戦場を振動させながら迫るトランプ兵達に、ソラスティベルはまっすぐに言い放った。
「迷い込んだアリスの帰りを邪魔はさせません! 勇者とは、守るべき者を帰るべき場所へと導くものなのですから!」
その胸に勇気の炎を燃やし、ソラスティベルは駆けた。戦場でチェスのルールを守る必要など無い、ガシャガシャガシャガシャ!! とランスを構えるトランプ兵達へ拳を振り上げた。
「気合充分っ、根性見せます! これぞ竜族の一発芸! そーれ!」
ゴォ! と戦場を割ったソラスティベルの北の大地激怒(グラウンドゼロ)による一撃が、トランプ兵達を軽々と吹き飛ばす! そして、グッドナイス・ブレイヴァーのドローンを従えてクリムがそこへ跳んだ。その手に握った『マイクロフォン』を口元に、大きく息を吸い込んだ。
「さぁ、バンバン蹴散らしていくよ!」
画面端に浮かぶのはカウンター――視聴者へ薙ぎ払ったトランプ兵の数をカウントで伝えていきながら、クリムも駆ける。
『させない!!』
吹き飛び破れた仲間を踏み越え、トランプ兵達がソラスティベルとクリムへ迫った。繰り出されるランスの切っ先を竜の翼を模した漆黒のバックラーで、ソラスティベルが火花と共に逸していく!
「お願いします!」
「はいはーい!」
すかさずクリムが床置き型マイクスタンドから放つ音波魔法が、トランプ兵達の体勢を崩した。衝撃にのけぞったトランプ兵が体勢を立て直す前に、ソラスティベルが豪快なコンカラーの振り下ろしでトランプ兵を叩き潰した。
「この勢いで、突き破りますよ!」
「了解だよ!」
ソラスティベルが勇気を奮い立たせ、クリムが視聴者達の応援にやる気を燃やす。トランプ兵達を前に、勇者と動画投稿者は共に突き進んでいった。
共に戦うのに、立場は関係ない。家に帰ろうと願うアリスのため、ハッピーエンドをその目にするために戦う理由は同じなのだから……。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
佐藤・和鏡子
救急車でトランプ兵の群れめがけて全速力で突っ込みます。
(運転の技能で確実に狙いを付け、捨て身の一撃と吹き飛ばしの技能でさらに威力を高めます)
組み付こうとするトランプ兵はユーベルコード(轢殺)で対応します。
怒号も全速力の救急車の前には無意味、組み付こうと向かってくるなら追いかける手間が省けますから。
スピアなどの攻撃は救急車の車体で防ぎます。(武器受け)
『彼らも気の毒ですが、向かってくるならやむを得ません。雪の女王にはその分しっかり返しますから』
落浜・語
そんなに戦争ごっこがしたいなら、付き合ってやる。
多少本物の戦争に近いかもしれないが、文句は言うなよ?
UC『人形行列』を使用。数には数で対応、ってな。
事前にほかの人らや、アリスには近づきすぎないように声掛けを。
壊されると、「泣く」ことになるからな。下手に壊さないでくれよ?
爆破による、炎【属性攻撃】でもって高【範囲攻撃】を。
エンパイアウォーでも散々色んなもの吹っ飛ばして来たんだ。トランプ兵も問題なく吹っ飛ばせる。はず。
ここじゃ戦争ごっこの最中しか安息の場がないってなら、それ以外の場所、もとい骸の海へご招待しましょうか、ってな。
アドリブ、連携歓迎
リリスフィア・スターライト
魔法と援護が得意でお淑やかな性格の
フィアに人格をチェンジだね。
アンには安全な場所にいてもらい猟兵達と協力して
トランプ兵達と応戦しますね。
後方に位置してアンの護衛と猟兵達への支援行動を
行いつつ戦局を見極め猟兵達を巻き込まないタイミングで
天体破局による洪水と嵐を引き起こして
トランプ兵達を一網打尽にします。
「恐怖を感じる暇も与えません」
「これで首を刎ねられることはないですね」
セゲル・スヴェアボルグ
殺し合いならば、もはやごっこの域を超えている気はするが……まぁいい。
とりあえず、槍を複数準備しておくとしよう。
無論、アンから距離を置かないように位置取るぞ。
俺を壁にでも何でも使えばいい。攻撃よりもアンを護ることを優先だ。
ただ、少々喧しくなるので、耳だけは塞いでおくように言っておかんとな。
どこまで届くかはわからんが、まぁ手あたり次第ぶち込んでやるとしよう。
盤上が水浸しになるが、こちらから動かなければ問題はなかろう。
近づく奴は薙ぎ払うか力技でねじ伏せてやればいい。
数が多かろうが、士気が高かろうが、所詮は雑兵の集まりよ。
いや、少女一人を集団で蹂躙しようなど、兵の風上にも置けんな。
●戦争ゴッコ
「殺し合いならば、もはやごっこの域を超えている気はするが……まぁいい」
もはや、遊戯の領域を越えている――セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)がこぼす。ふと、背後で息を飲む気配がした……アンだ。
「な、何あれ」
「下がっていてください」
リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)の言葉に、アンは一瞬キョトンとする。リリスフィアのまとう空気が変わった、そう感じたからだ。
そして、それは間違いではない。リリスフィアは多重人格者だ――今、表に出ているのは魔法と援護が得意でお淑やかな性格のフィアだからだ。
「う、うん……」
アンは小さくうなずくと、後ろに下がった。アンは、素直で頭は回る。セゲルはそう判断した。次々と起こる状況で、アンは疑問を口にしない。自分で考えるよりも、猟兵の指示に従う方が正確だと理解しているからだろう。へたに混乱されるより、やりやすくて助かる。
「そんなに戦争ごっこがしたいなら、付き合ってやる。多少本物の戦争に近いかもしれないが、文句は言うなよ?」
落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は、白黒の戦場に居並ぶトランプ兵へと言い放ち、その両手を掲げた。
「数には数で対応、ってな。壊されると、「泣く」ことになるからな。下手に壊さないでくれよ?」
ガシャガシャガシャ! と語の人形行列(アルイミオヤクソク)によって大量の人形が立ち上がっていく。それらを一体残らず掌握しながら、語はアンと仲間達へと小声で告げた。
「ああ、こいつらには近づかないようにしてくれ」
「はい」
大体のカラクリは理解した、そんな表情でリリスフィアがうなずく。こうして、語の人形達とトランプ兵の進軍が戦場の中心で激突した。
●道なき戦場に帰り道を刻め
トランプ兵と語の人形達が、激突する。トランプ兵のランスは軽々と人形達を刺し貫き、蹂躙していく――そのはずだった。
「言っただろう? 壊されると、「泣く」ことになるって」
『――ッ!?』
ドドドドドドドドドドドドドドドォ!! 戦場の中心で、連鎖した爆発が一つとなって燃え上がった。語の召喚し操る人形行列とは、ただの人形ではない。破壊されると連鎖して爆発する人形達なのだ。
巻き上がる爆風、それがアンへ届かないようにセゲルが一歩前に出て盾となる。
「お、終わったの……?」
恐る恐るアンは、セゲルの背後から戦場を覗き込もうとする。しかし、その動きはセゲルの言葉で止まった。
「いや、まだだ」
爆炎を乗り越え、トランプ兵達が突撃してきていた。数は大きく減らされようと、トランプ兵はまだまだ健在だった。
『女王直々の召集令状である!』
トランプ兵の一体が書状を読み上げると、こぞってトランプ兵達が速度を上げた。組み付いてこようとするトランプ兵達――それが、不意に真横から突っ込んでく来た巨大な影に吹き飛ばされた。
『……は?』
書状を手にしていたトランプ兵が、呆気に取られた声を上げる。それも当然だ、トランプ兵達を吹き飛ばしたのは救急車だったのだから。
「救急車通過します!!」
ハンドルを急速に切って、佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)は救急車をUターンさせる。ギャ! とチェス盤をタイヤで切りつけながら、和鏡子は再び轢殺(ロードキル)でトランプ兵達を轢き潰していった。
『救急車が怪我人を作ってどうする――!?』
トランプ兵の正論は、暴風によって飲み込まれた。リリスフィアの天体破局(スフィア・カタストロフィ)による嵐だ。
「恐怖を感じる暇も与えません」
ヒュゴ! と渦巻く風が、トランプ兵達を巻き上げていく。ジャガガガガガガガガン! と自分の足元に無数の槍を突き立てたセゲルがその一本を手にとって言った。
「少々喧しくなるので、耳だけは塞いでおけ」
「う、うん……」
アンが背後で耳を塞いだのを気配で知ると、セゲルは声を張り上げた。
「穿て!」
咆哮にも似た叫びと共に、セゲルが投擲した槍が水をまとってトランプ兵達へと放たれた。セゲルの抉リ響ム大喊(ペフォレーラ・ストルトフルード)に、轟音を立ててトランプ兵達は吹き飛んだ。
●女王のために、あるいは己のために
襲いかかっては薙ぎ払われるトランプ兵達は、それでも突撃を止めなかった。トランプ兵に、退路はないのだ。逃げても女王に首を刎ねられる――行くも地獄、退くも地獄。ならばこそ、せめて前のめりに倒れていくのである。
「彼らも気の毒ですが、向かってくるならやむを得ません。雪の女王にはその分しっかり返しますから」
トランプ兵達がランスで作る槍衾も、アクセルをベタ踏みした和鏡子の救急車を止める事は叶わない。ガギン!! と無数のランスがぶつかり、切っ先が火花を散らした。しかし、年代物のアメ車の救急車はボロだが、ボディはランスを弾いてトランプ兵達を轢いていく! 絶妙なハンドル捌きで和鏡子がランスの激突する角度を計算、武器受けの応用で弾いたからだ。
ズサァ! と救急車やタイヤが水が弾く。この水の原因、セゲルは本日幾度目かの槍を振りかぶった。
「数が多かろうが、士気が高かろうが、所詮は雑兵の集まりよ。いや、少女一人を集団で蹂躙しようなど、兵の風上にも置けんな!」
ドォ! とセゲルの抉リ響ム大喊(ペフォレーラ・ストルトフルード)が、再びトランプ兵の陣形を穿ち吹き飛ばす!
『ぐ、ぬぬ!! ――このままでは首を刎ねられてしまうッ!』
ズラララララララララ! とトランプ兵達が、再び召喚される。首が刎ねられてたまるかという恐怖、それが生んだ新たなトランプ兵達は前へ出ようとした。
「だが、別に無限にいる訳じゃない」
語が、そう言い捨てる。みるみる数が減らされたトランプ兵達を、召喚した人形達で取り囲んでいたのだ。
「ここじゃ戦争ごっこの最中しか安息の場がないってなら、それ以外の場所、もとい骸の海へご招待しましょうか、ってな」
語が、右手を振り下ろす。それと同時に人形達が取り囲んだトランプ兵達へと挑みかかり――反撃を受けて、連鎖爆発を巻き起こした。
『くそ、くそ、くそ! 女王陛下に何と言い訳を――』
まだだ、まだ終わってなるものか。生き残ったトランプ兵が首を刎ねられるのは御免と身構えた――その時だ。
「唸れ雷光、轟け嵐、渦に飲まれ、全てを灰燼に帰せ!」
セゲルが巻いた水、それがリリスフィアの魔法によって膨大な大津波となってトランプ兵の前に立ち塞がった。まさに自然の暴威、それを前にトランプ兵達の戦意が完全に砕かれる。
「これで首を刎ねられることはないですね」
地響きと轟音を鳴り響かせ、リリスフィアの天体破局(スフィア・カタストロフィ)による大津波が、文字通りトランプ兵達を一網打尽にした。
「……すごい」
アンは、呆然と呟く。理解できない敵を、超常の力によって凌駕する――アンは猟兵達のその力に、息を飲んだ。
だが、不思議に恐怖だけはなかった。その超常の力が自分に向けられない……その信頼が、短い時間でも出来ていたからだ。
「先へ進むか」
「雪の女王とご対面ですね」
事も無げに言うセゲルに、リリスフィアもうなずく。アンは頼りになる同行者と共に、雪の迷宮の最深部へと向かって歩き始めた……。
大成功
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第3章 ボス戦
『雪の女王』
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POW : 【戦場変更(雪原)】ホワイトワールド
【戦場を雪原(敵対者に状態異常付与:攻撃力】【、防御力の大幅低下、持続ダメージ効果)】【変更する。又、対象の生命力を徐々に奪う事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 【戦場変更(雪原)】クライオニクスブリザード
【戦場を雪原に変更する。又、指先】を向けた対象に、【UCを無力化し、生命力を急速に奪う吹雪】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : 【戦場変更(雪原)】春の訪れない世界
【戦場を雪原に変更する、又、目を閉じる事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【除き、視認外の全対象を完全凍結させる冷気】で攻撃する。
イラスト:熊虎たつみ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●雪の王座は、もういらない
「……つまらないわ」
女王は雪の王座に座りながら、そう呟いた。吐いた息が、白く染まる。気怠げに、しかし、微量ながら苛立ちを込めてこぼした。
「これでは、私やあの子の退屈は紛れないわ……それでは、駄目なの」
ならば、どうする? 己の手で変えるしか無い――雪の女王は立ち上がった。
「すべてを白く塗り潰して、そこに愉快を刻むの。そうでなくては、駄目なのよ」
だから、せめて愉快な散り様を見せてもらわなくてはならない。アリスにも、邪魔者にも――雪の女王は、だから生み出す。
雪の迷宮、雪の宮殿が、白く白く塗り潰されていく――そこに残ったのは、見渡す限りの雪原のみだった……。
マオ・ライコウ(サポート)
『仕方がないから手伝ってあげるわよ。まったく……。』
キマイラのウィザード×マジックナイト、17歳の女です。
普段の口調は「強気(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」、あわてた時は「おどおど(わたし、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、なの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
飛鳥井・藤彦(サポート)
『絵になりそうな話がぎょうさんあって、困ってまうなぁ』
『絵師には絵師の戦い方があるんやで』
『ほな、さいなら』
特徴的なイントネーションの柔らかい言葉を話す、飄々とした雰囲気のイケメン浮世絵師。好きな色は青。
由緒正しい陰陽師の家の生まれだが、実家のことは疎ましく思っている。
戦闘では大筆「輝紅篠画」と「花鳥風月符」を使って戦う。
「戦いは性に合わへんなぁ」と嘯きつつも、どんなオブリビオン相手でも臆したり躊躇することがない。
戦場を鮮やかに彩り、華のある戦いを好む。
口八丁手八丁で情報収集や交渉も得意。
男女種族関係なく絵になるような美人が好きで、隙あらば観察したり、絵のモデルにならないか口説いたりする。
●雪原の女王
雪の迷宮yと白黒の戦場を越えた先に、その雪原は何の脈絡もなく唐突に現れた。
「こりゃあいい絵になりそうやな」
白い息を吐いて、飛鳥井・藤彦(浮世絵師・藤春・f14531)が笑みをこぼす。そこには何もないというものがあった。ただの純白ではない、濃淡の違う白を念入りに念入りに塗り重ねていったような白だった。
「絵になりそうな話がぎょうさんあって、困ってまうなぁ」
藤彦が上機嫌に笑みをこぼしたのは、そこに一つの王座と女王の姿があったからだ。どこまでも澄み渡る、藤彦が好きな雲ひとつ無い青空。それを従えるように立つ雪の女王の姿は、創作意欲を強く刺激されるものだ。
「なぁ、絵のモデル、やってくれへん?」
「……絵? いやよ、形に残すのなんて」
相手が敵であろうと一度は訊ねずにいられなかった藤彦に、雪の女王は無表情のまま小首を傾げた。
「絵って形の残るでしょう? そこには決して戻れないんだって、見る度に思い知らされるだけだもの」
切ないわ、と呟く雪の女王に、藤彦は肩をすくめる。その感想は絵画という存在の一端を、驚くほど的確に突いていると思ったからだ。
「残念やなぁ、そう思ってもらえるならいっそ小気味ええわ」
次の瞬間、雪の女王の指先が向けられブリザードが藤彦を襲った。藤彦は身の丈ほどある青い大筆、輝紅篠画を横一文字に振るう。描かれたのは切り取ったような青空、吹雪を飲み込み相殺した。
「走れ迅雷──唸れ雷電! 歯を食いしばって、耐えてみなさい!」
そして、一条の電光が雪の女王へと走った――マオ・ライコウ(お人好しの雷撃猫・f02889)のzwei Gewitter(ツヴァイ・ゲヴィッター)だ。その雷撃を冷気を周囲に展開して受け止めた雪の女王に、マオは白いため息をこぼす。
「何をやってるの。交渉なんか通じる訳ないでしょ!?」
「いや、いい感じやったんやけど……ちなみに、絵のモデルやらへん? 青天の霹靂そのものでえらい綺麗やったん――」
「そういう状況じゃないでしょ!?」
藤彦の言葉をマオが遮り、ウィザードロッドを振るい電撃で迫る雪嵐を撃ち抜いた。全力の一撃で、ようやく相殺できる――その手応えにこそ、マオは深呼吸する。
「仕方がないから手伝ってあげるわよ。まったく……行くわよ」
「戦いは性に合わへんやけどなぁ」
マオが雪を蹴り、藤彦が輝紅篠画と花鳥風月符を構えた。雪の女王は迫るマオへ、小さく吐き捨てる。
「……そのバチバチ言うのは、嫌いだわ」
雪の女王の視界内を凍結させる冷気が、マオを襲った。だが、その冷気は紙一重でマオに届かない――藤彦が舞わせた花鳥風月符が弾けるのと同時に防いだのだ。
「走れ迅雷──唸れ雷電!」
放たれるマオの稲妻の矢、それが雪の女王の眼前に届いた直後、天を貫く雷撃が女王を打つ。
「本当、乾燥してるときのビリビリ、嫌いよ」
「静電気じゃないわよ!」
ぼやく雪の女王へ、マオが攻めて藤彦が守る。一撃でも多く、マオは渾身の電撃で雪の女王へと挑んでいった……。
成功
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リリスフィア・スターライト
雪の女王というだけあって雪原の上でまともに戦うのは危険そうだね。
まずはアンを安全な場所に避難させてから戦いに専念するよ。
全翼天開で飛翔し、少しでも雪原の影響から離れるようにかな。
他の猟兵達と協力して、短期決戦を狙うよ。
隙を突いて高速で雪の女王に突撃して剣で斬りつけるよ。
反撃される前に離れるといった一撃離脱でだね。
多少不利な状態になっても構わずに攻めるようにしたいかな。
撃破出来たならアンが無事に元の世界に帰るのを見届けたいかな。
「塗り潰したぐらいじゃ止まらないよ!」
「たとえ先が見えなくとも乗り越えていけるはずだよね」
佐藤・和鏡子
『愉快な散り様が見たいなら、自分が轢かれるところでも自撮りしてください』
辺りが障害物の無い雪原になったのを逆に利用して、思い切り加速してユーベルコード(轢殺)を使用します。
ご要望通り派手に散れるように運転・捨て身の一撃・吹き飛ばしを使って最高の一撃を食らわせます。
雪原でもフルスピードを出せるようにタイヤもスタッドレスにします。
(戦闘知識で対応します)
『辺りを雪原にしたのは失敗でしたね。宮殿や迷宮よりかえって走りやすくなりましたから』
冷気の攻撃は救急車の窓を閉めてヒーター全開で防ぎます。
極寒のアラスカで鍛えられたアメ車のヒーターは強力ですから。
長引かせると面倒なので手早く片付けます。
セゲル・スヴェアボルグ
なるほど、氷使いか。とりあえず、マントをアンに渡しておこう。
それがあれば氷攻撃は凌げるだろう。
俺自身はまぁ……氷像になる程度だから問題なかろう。
下手に近づくと危ないなら、アンの壁になりつつ兵達に任せればいいか。
炎攻撃でもさせておけば多少はましだろう。
兵達が凍ったら俺が出るしかないが、アンから離れん方がいいか。
マントを過信してもいかんしな。俺が受ければ問題はなかろう。
あとは槍に炎のブレスでも付与して投擲やら薙ぎ払いで対応だな。
そもそも炎で溶かせる氷であればいいんだがな。
●遠雷と雪の平原
「……何? あれ」
青空を貫く無数の雷を見て、アンは息を飲んだ。記憶が失われているが、あんな雲ひとつ無い空に何度も雷が落ちる光景は見た事がない……そんな確信があった。
「もう始めた人達がいるようですね」
仲間を乗せた救急車を運転しながら、佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)が呟く。スタッドレスタイヤの調子はいい、しっかりと雪原の雪を掴んでグリップを確保してくれていた。
「雪の女王というだけあって雪原の上でまともに戦うのは危険そうだね」
「ああ、そうだな。これを羽織れ」
リリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)の言葉に、セゲル・スヴェアボルグ(豪放磊落・f00533)はアンの頭から帆套【ソール】を被せる。竜の加護を受けたマントは、帆布の割にシルクのように滑らかだ――何より、加護がある限り雪の冷たさからアンを守ってくれるだろう。
「アンを安全な場所に避難させたら、すぐに戻る」
「頼みます」
全翼天開(スフィア・ドライブ)で魔力で生み出された光り輝く翼を展開したリリスフィアは、アンを抱えて浮かび上がる。和鏡子の運転する救急車は、そのまま先へ走っていった。
「き、気をつけて!」
声を張り上げたアンの言葉に、和鏡子とセゲルは声で返さない。ただ、救急車の窓から出したサムズアップした手で、了承を示した……。
●短期決戦――
雪原がいくつもの雷で打ち砕かれ、雪煙が舞い上がる――その中を滑るように移動した雪の女王が小さくぼやいた。
「本当、ビリビリ嫌い……」
雪の女王が言い捨てた、その時だ。雪煙を突っ切って、迫る鉄塊――救急車があった。
「愉快な散り様が見たいなら、自分が轢かれるところでも自撮りしてください」
和鏡子の轢殺(ロードキル)の一撃が、雪原を破壊した。衝撃を春の訪れない世界で凍てつかせた雪の女王へ、セゲルが炎のブレスを宿した応龍槍【ギュールグルド】を薙ぎ払う!
「炎で溶かせる氷であればいいんだがな――!」
ドォ! と炎と冷気がぶつかり合い、水蒸気爆発を巻き起こした。その瞬間、セゲルが言い放つ。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず。我が軍は簡単には打ち倒せんぞ?」
剛勇ナル手勢(トゥルバーディッグ・フロッタ)による軍隊が、一斉に雪の女王へと襲いかかった。それを忌々しそうに眉根を寄せて、雪の女王は一瞥した。
「邪魔よ」
クライオニクスブリザード、その指先が空中をなぞると軍隊を凍てつかせ、砕いていく。だが数は多く、実力が高い――簡単に蹴散らせる敵ではなかった。
「本当に、邪魔ばかり……退屈よ、あなた達」
不機嫌を隠しもしない雪の女王の怒りに、剛勇ナル手勢(トゥルバーディッグ・フロッタ)の軍隊が一人、また一人と倒れていく。しかし、セゲルの余裕は崩れない――倒れようと、彼らは目的を果たしてくれたからだ。
「辺りを雪原にしたのは失敗でしたね。宮殿や迷宮よりかえって走りやすくなりましたから」
救急車のヒーターを全開にして冷気を耐えながら、和鏡子の轢殺(ロードキル)が再び雪の女王を襲った。今度は、冷気の防御が間に合わない――剛勇ナル手勢(トゥルバーディッグ・フロッタ)の軍隊が時間を稼いだからだ。
「ここだ」
そして、衝撃に浮かされた雪の女王をセゲルが投擲した応龍槍【ギュールグルド】が捉える! 熱気と冷気が激突し、吹き荒れる――そこに天空から高速で舞い降りたのは、リリスフィアだった。
「塗り潰したぐらいじゃ止まらないよ!」
リリスフィアの振るったリリスの魔剣が、雪の女王を切り裂いた。それは天から落ちる流星のごとく――断ち切られた雪の女王は、どこか他人事のように呆然と呟いた。
「ああ、本当に退屈な、結末――」
直後、雪原が砕け散った。後に残されたのは、女王と民を失った宮殿のみであった。
●先へ進むということ
アンの扉は、とてもわかりやすく簡単な場所にあった。
「王座の後ろって……本当に帰すつもりがなかったんですね」
雪の女王が垣間見せた底意地の悪さに、和鏡子がそうこぼす。薄い氷の幕が張った扉、それはアンの世界、彼女の住む場所もまた雪に縁深い場所である事を示していた。
「達者でな」
「うん、みんなありがとう」
セゲルの短い別れの言葉に、アンは猟兵達を見回して礼を言う。アンは緊張した面持ちでドアノブに手をかけ、動きを止めた。
感覚は言っている、この扉こそ帰る唯一の手段だと。しかし、記憶のないアンにとって、恐怖を憶え開ける事を迷うな、などと誰が言えよう。
その先が、本当に帰るべき場所だという確かな証拠はないのだ。
「たとえ先が見えなくとも乗り越えていけるはずだよね」
そのリリスフィアの一言が、アンの背を押した。うなずきを一つ、アンは勇気持って扉を開けたのだ。
扉の先がどこなのか、猟兵は知る由もない。ただ一つ言えるのは、確かにアンは帰れたのだという確信だけだった……。
大成功
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