●
「もう夏も終わって秋に片足突っ込んでるけどね、せっかく浴衣も仕上がったもんだし……遊びにいかないかい?」
そう浴衣姿で猟兵たちに語り掛けたのは、中御門・千歳(死際の死霊術士・f12285)だ。
千歳によれば今回はオブリビオンの討伐といわけでは無く、単純に旅行への誘いだそうだ。
旅行先はUDCアースの日本における、とある地域。
そこでは遅めの夏祭り、もしくは早めの秋祭りと呼ぶようなお祭りが開催されているらしい。
その祭りの特色の一つとして、参加者は皆浴衣姿で歩き回るという。
神社の境内にはもちろん出店が立ち並び、山の麓の街においても祭り一色になっているそうだ。
通常の旅行として買い物をするも良し、神社に行って出店を楽しんだり、はたまた参拝に赴くのも良いだろう。
神社の出店も規模が大きく、綿菓子に林檎飴のようなお菓子、焼きそばやフランクフルトといった軽食、はたまた射的や金魚すくいといったエンターテインメントなど、大抵の祭りでイメージする出店であれば、存在するようだ。
「いつもいつも気の張った内容ばかりじゃ、疲れちまうよ……たまには気を抜くのも必要だと思うけどねぇ」
今回はあくまで単なる旅行となるが、戦士にも時には休息が必要だろう。
せっかくの機会、新調した浴衣に身を包み、遊びに行っては如何だろうか?
「それじゃあ、せっかくの旅行、楽しんでおくれよ……土産話を楽しみにしているからねぇ」
独特の笑い声をあげながら、老婆は猟兵たちを送り出した。
きみはる
●ご挨拶
お世話になります、きみはるです。
せっかく浴衣が出来たということで、適当な祭りをでっちあげて、浴衣で出かけられる依頼を出してみました。
すでにいくつかお祭り系の依頼が出ているとは思いますが、需要がまだあれば嬉しいなという感じです。
宜しくお願い致します。
●依頼について
このシナリオは【日常】の章のみでオブリビオンとの戦闘が発生しないため、獲得EXP・WPが少なめとなります。
浴衣で、とは言っておりますが、浴衣コンテスト参加者以外でも、もちろん参加はOKです。
プレイングの内容はアースの祭りのような内容であれば、大丈夫かなとふわっと考えています。
時期としては夏祭りに良くても秋祭りに浴衣は……と思うかもしれませんが、残暑厳しい日ということにさせて下さい。
プレイング募集期間は、9/19(木)8時30分~9/20(金)23時となります。
サポート参加の採用、不採用は悩み中ですが、ご好評頂いて人数に困らなければ流すかもしれません。
お誘いがあった場合におかれましては千歳の登場を検討させて頂きますが、通常の参加者の方が増えるのと違い、単純に文字数を食ってしまう為、ご参加者本人の描写が比較的薄くなってしまいますので、積極的には推奨しておりません。
それでは、皆様の思い切り楽しんだプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『【Q】旅行とかどうでしょう』
|
POW : とにかく気力体力の続く限り、旅行先を満喫する
SPD : 旅行先で目ざとく面白いものを見つけて楽しむ
WIZ : 事前に下調べを行い、綿密に計画を立てて楽しむ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と
浴衣を纏い出店を楽しむ
何処から回るかと、繋いだ手の先に居る宵を見遣りつつもチョコバナナの屋台へと向かおう
…猫を模して居るだと…!?
こちらは犬か…本当にアースの食は凄いな…!
俺は黒猫のチョコバナナを購入
だが、宵に似たそれを食うのは少々気が引け猫と見つめ合えば…宵、まずはお前が喰えと猫の顔が見えぬよう宵の口元にそれを差し出してみる…が
宵の視線に気づけば慌て首を振りつつ否定を
い…意図など有る訳なかろうが…!それに宵お前、態とやっておらんか…!?
背筋が凍る様な感覚に陥れば思わず視線を逸らしつつも、差し出された犬バナナを見れば素直に口を開きその甘さに口元を緩めよう
…ああ、本当に美味いな
逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と
手を繋いで人波ではぐれないように並んで歩き
チョコバナナの屋台のほうへ向かえば
さまざまな動物を模しているんですねと感心を
白犬のチョコバナナを買い求めてもぐもぐりつつ
差し出された黒猫のチョコバナナを見てふと閃けば
その先端を唇で覆うようにぱくりと口に含んで
中ほどの部分を舐めて――それからひと思いにがぶりと食いちぎりましょう
こちらを見て青ざめた相手の様子ににまりと笑いつつ咀嚼して
おや、顔色がすぐれませんが
何かを期待して差し出したんじゃありませんか?とくすくす笑いながら
相手の様子に目を細めて
それから機嫌を直してくださいとホワイトチョコの白犬チョコバナナを差し出しましょう
●
柄違いの揃いの浴衣に身を包み、ザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)と逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)は人混みを歩く。
時折吹く風が涼しさを感じさせるものの、快晴極まりない日差しが肌を焼く。
居座った夏の気配によりじんわりと吹き出す汗を、二人は感じていた。
その熱気が一際人混みの圧迫感をより強調し、二人はどちらからともなく自然と手を繋ぎ、人の流れと合わせて歩みを進めた。
「あれなんか、どうですか?」
軽く手を引くことで隣を歩くザッフィーロの注意を引いた宵が指し示す先には、可愛らしい字体により『ちょこばなな』と書かれた屋台の姿があった。
可愛らしい字体に反した厳つい店番の青年の視線を受けながら二人が目にしたのは、串に刺されたバナナにチョコレートがコーティングされたデザート――いわゆるチョコバナナだ。
「猫を模して居るだと!? こちらは犬か……本当にアースの食は凄いな」
普段猟兵として世界を渡り歩いている二人はアースと呼ばれる世界の食文化に目を見張るものがあることは理解していたが、こうして見栄えだけの努力を見ると、普段過ごす世界の文化とのギャップを大きく感じる。
「さまざまな動物を模しているんですね」
仰々しく驚くザッフィーロはもちろん宵もまた、コーティングされたチョコレートにより固定されたお菓子により顔が形成された動物を見ると、感嘆のため息が漏らした。
無理やり顔を作っている為かどれも少々間の抜けた表情をしているが、それもまた可愛らしく感じるものだ。
様々な動物の中から宵が選んだのはホワイトチョコレートでコーティングされ、白い犬を模した一本。
味のある顔を眺めてクスリと笑うと、躊躇うこと無くかぶり付く。
口の中に広がる甘味に頬を緩めていると、遅れて購入を終えたザッフィーロが目についた。
何に対して躊躇いを感じているのか、難しい表情をしながらじっと黒い猫を模したチョコバナナを睨みつけるザッフィーロ。
その逡巡は一分にも及ぼうか……悩み抜いたザッフィーロが取った選択は宵へとチョコバナナを差し出すこと――食べづらい動物の見栄えをまずは崩してもらおうという算段だ。
ザッフィーロの思惑を知ってか知らずか、目の前に突き出されたチョコバナナを眺めた宵は、何かを思いついたかのような笑みを零す。
うなじにかかった髪をかき上げると、チョコバナナへとそっと舌を這わせる。
わざとらしい艶かな所作に顔を赤らめるザッフィーロを眺め、意地の悪い笑みを浮かべた宵はそのままがぶりとチョコバナナを喰いちぎった。
「おや、顔色がすぐれませんが……何かを期待して差し出したんじゃありませんか?」
「い、意図など有る訳なかろうが! ……それに宵お前、態とやっておらんか!?」
何を連想したのか顔を青くしながら顔を逸らすザッフィーロに向かって声をかける宵。
思わず声を荒上げたザッフィーロの反応を楽しむように、くすりと笑みを浮かべた。
怒りをなだめるように己のチョコバナナを差し出せば、先ほどまでの勢いは鳴りやみ素直に甘味を口にし機嫌を直す相棒を眺め、宵は幸せそうに目を細める。
二人の周囲には、熱気にもチョコ負けない甘い雰囲気が漂っていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
美邦・銀杏
同じ旅団員である「ポクさん(f12425)」と発案者でもある「千歳おばあちゃん(f12285)」をお誘いし三人でお祭りの屋台を散策します。
基本はお菓子や軽食の食べ歩きですが、先日誕生日を迎えたポクさんのために射的でカワイイぬいぐるみを見かけたら狙って落としてプレゼントしたいです。
射的は初心者なので、もし助けてくれる親切な大人の方、上手な人が近くにいらしたら甘えさせて頂きたいです…。
ご本人と示し合わせているわけではないのでポクさんにプレゼントする描写はボカシて頂ければと思います。(そう思っている、みたいな様子で)
ポク・ョゥョゥ
銀杏たん(f01366)とー
おばばもいこー
浴衣ねー、人型で作ったのー
だから人型にへんしーんしていくよー
似合うかなー
あー。ちゃんと『ぽく』も一緒だよー
お祭りーぽくすきー
屋台のご飯おいしいよねー
りんごあめーわたあめーやきそばー
見かけたら買って食べるのー
ぱんだがま口開けっぱだよー
おばばと銀杏たんにも分けるのー
どれ食べるー?
飲み物はラムネがいいねー
屋台遊びもいいなー
銀杏たん何するー?ぽくねお手伝いするよー
景品取ったりするのやりたいねー
ぽくが取れたらばんじゃーいするのー
あがめよー
おばばと銀杏たんに何かプレゼントしたいなー
くじ引きで当てるのー
後はねー金魚すくいするのー
いっぱい欲しいなー
えへへー楽しいねー
●
「浴衣ねー、人型で作ったのー。だから人型にへんしーんしてるんだよー、似合ってるかなー?」
水玉模様とチェックがよく栄えるモノクロの甚平に身を纏っているのは、ポク・ョゥョゥ(よろしくなの~・f12425)だ。
その姿は普段のパンダらしきブラックタールの外観では無く、見眼麗しい美少年の姿を形どっていた。
「ポクさん、似合ってますよー」
美邦・銀杏( ・f01366)は柔らかい笑みを浮かべながら、ポクの後を追う。
彼女もまたピンクをベースとした浴衣に身を包んでいた。
所々にあしらわれたフリルが彼女の可愛らしさをまた引き立たせている。
「ヒッヒッヒ、二人とも似合っているよ……ってほら、急いで転ぶんじゃないよ?」
最後尾を歩くのは、グリモア猟兵でもある中御門・千歳(死際の死霊術士・f12285)だ。
一通りの転送作業を終えた彼女は同じ旅団に所属している二人の誘いもあり、共に祭りを楽しむことにしたのだ。
「お祭りーぽくすきー、屋台のご飯おいしいよねー」
ふんわりとした口調のポクが楽しそうに様々な屋台に視線を向ける。
その天真爛漫な笑顔は見ている者も幸せにするほどだ。
「りんごあめー、わたあめー、やきそばー」
可愛らしいパンダ柄のガマ口財布からお金を取りし、目についた食べ物を片っ端から買っていくポク。
ちゃっかりおまけを貰いながら嬉しそうに銀杏と千歳の下へと走る。
「どれ食べるー?」
どうやら二人の分もしっかり購入してきた様子。
楽しそうにわたあめを頬張りながら、次は何を買おうか思案顔。
「飲み物はラムネがいいねー」
その表情は心の底から祭りを満喫している様子。
ポクの購買欲はまだまだ落ち着きそうになさそうだ。
「あっ、射的してみたいです、私」
銀杏が思い出したように声を上げたのは、射的の景品にあった可愛らしいパンダの小さなぬいぐるみを発見したその時だった。
(先日誕生日を迎えたポクさんのために……狙って落としてプレゼントしたいです)
気合い十分に鼻息を荒上げ、射的にチャレンジする銀杏。
1発、2発とチャレンジするが、その重い銃を上手く抱えることが出来ず、ふらふらとして上手く当てることが出来ない様子だ。
「どれ、銀杏……ここをこうやって抱えた方が、しっかり狙いが定まるよ」
そんな銀杏の様子と狙っている景品に、何かを感じたのは最年長の千歳。
後ろから銀杏を抱えるように手を伸ばすと、銃の狙いが定まるように共に支える。
しっかりと狙って放たれた最後の一発が、見事人形の脳天を直撃。
大きく弾んだ人形はしっかりと落とされ、手に入れることが出来た人形を嬉しそうに抱えた銀杏は、その手の人形をそのままポクへと差し出した。
「ポクさん、ちょっと遅れちゃったけど誕生日プレゼントです!」
「わー、銀杏たんありがとー」
その二人の様子は微笑ましく、千歳や射的屋のおじさんまで笑顔で見守っていた。
「ぽくもおばばと銀杏たんに何かプレゼントしたいなー」
自分も何か景品が出るものをと出店を物色するポク。
くじ引きにチャレンジし、見事に当たったお菓子をプレゼント。
「どれ、そしたらあたしは金魚でも取ってやろうかね」
貰ってばかりでは何だと千歳は金魚すくいへとチャレンジし、お返しに金魚を二人にプレゼントだ。
互いのプレゼントは大して高価なものでは無いものの、想い出も相俟ってそれは大切なものと成るだろう。
「えへへー楽しいねー」
「はいっ、楽しいです!」
「ヒッヒッヒ、そうだねぇ」
何処からか、祭囃子が聞こえて来たようだ。
笑顔溢れる祭りは、まだまだ終わらない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エンティ・シェア
【死霊館】
仕立てた浴衣を着て祭りを楽しもう
孤檻は金魚すくい、得意なのかい?
仲間を増やしてあげようだなんて、素敵なことだね
館主殿は射的か。こちらも住人にお土産の確保かい
ぜひとも彼らの腕前を拝見させて頂こうか
私はこういうのはやるより見ているのが楽しいタイプなんだ
遊ぶのも楽しいが、折角だから何か食べよう
祭の屋台にも定番の食べ物があるようだが…
どれも美味しそうで目移りしてしまう
館主殿、なにかお勧めはないかい?
ふむ、林檎飴…良いね。見た目も愛らしい
分け合うのも楽しそうだ
通りすがりのお面屋に、つい惹かれる
ペストマスクの面々に対して、私だけ仮面がないものだからね
今の格好なら…狐かな
どうだろう、似合うかい?
鬼灯原・孤檻
【死霊館】
浴衣を着て行こう。
先日金魚を手に入れてな。朱文金の美しい金魚なのだが…一匹では寂しいだろうから、金魚すくいの屋台で仲間を手に入れたい。…のだが、いいだろうか…?
金魚すくいが得意というわけでもないのだが、…む、ん、がんばろう。
皆が他の屋台を回るなら、それらを興味深く眺めよう。
りんご飴…おいしそうだ。…おいしそうだが、この仮面だと食べにくいなと、しばらくじっと見つめるだろうか。
エンティも仮面をかぶるのか? 狐の面か。
その浴衣に、よく似合っているよ。
祭囃子が掠めれば、その音に耳を傾けながら。
この一時を忘れぬよう、その音色と共に胸に刻もう。
クローネ・ハルトマン
【死霊館】
生憎浴衣は仕立ててなかったから、今回はレンタルの浴衣を着て行こう。来年は作ることも考えておこうかなぁ。
金魚すくいの屋台で、色鮮やかな金魚を興味深げに見る。あ、孤檻君そっちの子は捕まえられるんじゃないかな?などと時折金魚を指差して声をかけるよ。
せっかくだから私も遊ぼう。射的でもやってみようか。あの人形とかうちの子(死霊)喜ぶかな?と、少し大きめのぬいぐるみを狙うよ。持ち運びが少し大変かも知れないけど、まあいいか。
お勧めかい?そうだなぁ、甘いものならりんご飴やカキ氷はどうだろう。色々買って皆んなで分けっこするかい?あはは、そのお面よく似合ってるよ。お揃いみたいでいいね。
●
「ふむ、レンタルしてみたけど浴衣も悪く無いな……来年は作ることも考えておこうかなぁ」
浴衣にペストマスクという尋常ではない様相の男――クローネ・ハルトマン(ペストマスクは傍観する・f11617)はレンタル浴衣屋で自身が鏡に映る様子を見ながら言葉を零す。
猟兵であるが故に服装や身体特徴で注意を引くことの無いクローネであるが、もしも彼が一般人であれば周囲の視線を独り占めしていたことだろう……そう思わせるだけの存在感を放っていた。
クローネが満足気に店の外へと足を運べば、そこには二人の美丈夫の姿。
一人目はグレーの落ち着いた配色の浴衣を纏った男――鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)
腰を締める革ベルトと垂れ下がる腰ひもがアクセントとして栄えながらも、もっとギャップを生み出しているのはその口元。
小刀を挟み込んだそのマスクは鳥の嘴のような形状を形どる。
クローネと同様、猟兵でなければそのマスクで視線を集めたことだろう。
最後の一人は唯一マスクを被っていない男――エンティ・シェア(欠片・f00526)
彼が纏う浴衣は色とりどりの花が煌き、星空のような半透明の羽織も相まって煌びやかな雰囲気を纏っていた。
「おまたせ、さぁ行こうか」
三者三様の目立ち方をする三人組。
しかしながら、彼らは互いの様相に驚かない。
何故なら彼らは共通の旅団に所属する仲間であり、友であるから。
三人の男は屋台を求め、ゆっくりと境内へと足を運んだ。
●
境内に到着すればそこに並ぶは様々な屋台。
想像以上の祭りのスケールに、三人は目移りをしながら足を進める。
そうして奥へと進んでいくと、何かを発見したのか最初に足を止めたのは孤檻だった。
「孤檻は金魚すくい、得意なのかい?」
エンティの言葉の通り、孤檻がじっと見つめていた屋台は金魚すくい。
その可愛らしいチョイスに思わず問いを投げかけたエンティであったが、そんな言葉を受けた孤檻はあたふたと弁明した。
「先日金魚を手に入れてな。朱文金の美しい金魚なのだが…一匹では寂しいだろうから、金魚すくいの屋台で仲間を手に入れたい……のだが、いいだろうか?」
しどろもどろになりながら説明する孤檻に対し、二人は暖かい言葉で肯定する。
仲間を増やしてあげようなんて素敵だと、頑張れと。
二人の声援を受けて孤檻は気合を入れて挑戦する。
「あ、孤檻君そっちの子は捕まえられるんじゃないかな?」
クローネのアドバイスも受けながら、慣れない手つきでなんとか一匹掬いあげることに成功した孤檻はほくほく顔。
仲間の笑顔は皆の笑顔。
その幸せそうな笑顔につられ、二人もまた自然と笑顔がこぼれる。
次なる屋台は何にしようか。
三人の祭りは、まだ始まったばかりだ。
●
「せっかくだから私は射的でもやってみようか。あの人形とかうちの子喜ぶかな?」
クローネが選んだのは射的の屋台。
彼が狙うは一際大きな熊のぬいぐるみだ。
「ほう、ぜひとも腕前を拝見させて頂こうか」
堂に入った様子で銃を構えるクローネを見守るエンティ。
先ほどから応援ばかりをしているが、その表情は楽しそうな面持ち。
どうやら彼は遊ぶよりも、それを眺めている方が楽しいタイプの様子。
真剣に挑んでいる仲間を見ているだけで十分に楽しんでいるようだ。
「よしっ、どうだっ!」
全ての弾をつかって、何とかぬいぐるみを落とすことに成功したクローネ。
本来であれば落とせる想定では無いのだろうか?
驚いた様子の店員を尻目に、クローネは嬉しそうに落ちた人形を拾う。
「持ち運びが少し大変かも知れないけど……まあいいか」
ふと冷静になれば荷物になるかと思ったが、後の祭り。
せっかく取れたのだからと嬉しそうに、抱きかかえた。
思考の先は己が館に住まう死霊たち。
このプレゼントを喜んでくれたらいいなと笑顔を零す。
「遊ぶのも楽しいが、折角だから何か食べよう」
エンティの言葉の通り、遊んだ後は腹ごしらえ。
これまた目移りが止まらない。
次はどの店に入ろうか。
●
最年長の勧めもあり、三人が購入したのは林檎飴。
嬉しそうに食べるエンティを尻目に、悩んでいるのは残りの二人。
思えば外さぬその仮面故、食べるのは一苦労ありそうだ。
そうした二人の様子を見れば、感じるのはちょっとした疎外感。
ふと見回せば目当て屋台は直ぐ傍だ。
思わずエンティは走り出し、そんな様子に二人は首を傾げたのだった。
「私だけ仮面がないものだからね」
戻ってきたエンティが被っていたのは狐のお面。
どうやら一人だけ仮面が無いことが気になったようだ。
「どうだろう、似合うかい?」
思わず勢いで購入したのが恥ずかしかったのか、ちょっとソワソワした様子のエンティ。
「狐の面か。その浴衣に、よく似合っているよ」
「あはは、そのお面よく似合ってるよ。お揃いみたいでいいね」
二人の笑顔を見ればほっと一安心だ。
笑顔が絶えぬ三人の祭り。
気付けば日も傾き始め、祭囃子が聞こえてくる。
三人は林檎飴片手にそっとひと休憩。
ゆっくりとその音色に耳を傾ける。
その音色を刻むように。
この想い出を忘れぬように。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
加賀宮・識
たまには息抜きもいいかも
初めて作った浴衣を着て
神社に足を向ける
わ、あ…屋台が色とりどりで綺麗
屋台を一つ、一つ覗きながら
楽しい雰囲気に身を任せつつ
林檎飴なるものを買って、神社でお参り
神様にお願いではなく
これからも頑張ります、と宣言?を
神様だって忙しいだろうから
見守っててくださいね、の意味を込めて
買った林檎飴は素敵なお誘いを
してくれた千歳ちゃんにお土産
喜んでくれるか実は不安だけど
溶けないうちにさあ、帰ろっと
(アドリブ、絡み大歓迎です)
●
煌々と照り付けていた太陽は山の向こうへと姿を消す。
外灯の無い境内――普段であれば暗闇が辺りを覆うその場所は、色とりどりの屋台の照明に彩られていた。
「わ、あ……屋台が色とりどりで綺麗」
加賀宮・識(焔術師・f10999)は一つ一つの屋台を覗き込みながらゆっくりと歩く。
普段見ることの少ない人工的なイルミネーション。
暗闇に光る屋台たちを眺めていると、何やら不思議な世界に迷い込んだようで……識はその雰囲気に包まれるだけで自身の心が踊り出すのを感じていた。
軽やかな足取りで歩き続ければ、奥に見えたのは神社の境内。
せっかくだからと、お参りの為に列に並んでみる。
(これからも頑張ります、見守っててくださいね)
猟兵の戦いは、神頼みには出来ない。
神様だって忙しいだろうから……少なくとも、ダークセイヴァーでは神のご加護は万年品切れ中だ。
だから平和とか、勝利とか、助けて欲しいとか、そんなことはお願いしない。
これは宣言……これからも、これまで以上に戦っていくと。
どんな困難にも負けず、抗い続けると。
だからせめて、見守っていて欲しい――私自身の戦いぶりを。
お参りが終われば、気合いを新たに屋台めぐり。
ここまで遊びに来て、何も買わずには帰れない。
「あっ、千歳ちゃんにもお土産っ!」
片っ端から目についたものを購入していれば、お土産も買わねばと心を決める。
先ほどまでの勢いとはうって変わり、識が悩み抜いて購入したのは林檎飴。
果たしてあの年上の友人は喜んでくれるだろうかと、期待半分不安半分。
「溶けないうちにさあ、帰ろっと」
それでもきっと、お土産を買うこと自体は間違いじゃないはずだ。
紅玉片手に鼻歌歌い、少女は軽やかな足取りで帰路につく。
この心の安らぎは、明日からの戦いにきっと力になると信じて。
大成功
🔵🔵🔵