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イェーガー・イン・ザ・ミラー

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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 アルダワ魔法学園の敷地内に点在する地下迷宮。
 学生達は今日も災魔と戦う術を学び、その力を試すために迷宮へと挑む。
 しかし刻一刻と姿を変える迷宮は、時に思わぬ形で学生達へと牙を向く……。

 ☆ ☆ ☆

 とある迷宮を探索する、三人の少女たち。
 パーティ構成は竜騎士、ガジェッティア、精霊術士。
 既にいくつかの小迷宮を探索している、それなりに経験を積んだ学生パーティだ。
 だが、先頭を歩く竜騎士の少女が不安を漏らすくらいには、今回の迷宮は異様だった。

「……本当にこっちで合っているのでしょうか……?」
「そんなの私に分かるわけないでしょ! もう頭おかしくなりそうよ!」
「け、喧嘩は駄目だよ……うう……」
 他の二人も明らかに余裕を無くしている。その理由は、考えるまでもない。
 竜騎士の少女は、その元凶を、暗澹たる思いで見つめた。

 ――鏡だ。
 右も左も、床も天井も、迷宮を構成する全てが鏡、鏡、鏡。
 鏡に反射した像がまた別の鏡に映り、迷宮内には異常な光景が広がっている。
 どこまでが現実でどこからが虚像なのか。曲がり角すら判然としない。
 そして何より、あらゆる角度に映り込む、無数の自分の姿が心身を圧迫する。

「わ、私、もう駄目……なんだか気持ち悪く……おええええっ」
「ちょ、ちょっと! こんなところで吐かないでよ!?」
 しゃがみ込んだ精霊術士の少女の背中を、慌ててガジェッティアの少女がさする。
 これ以上追い詰められる前に、引き返さないとまずい。
 竜騎士の少女は精霊術士に肩を貸し、来た道を引き返そうと試みる。
 振り返ったその視線の先にもまた鏡。彼女はそこに映る自分の姿に心底うんざりして。

 ……自分と同じ表情をするはずの鏡の中の自分が、口角を吊り上げて嗤うのを見た。

 鏡の迷宮の奥深くで、学生達の悲鳴が反響する。

 ☆ ☆ ☆

 「ふむ、鏡か。案外悪くないかも知れぬな……」
  豪奢な椅子に腰かけて物思いに耽っていたツェリスカ・ディートリッヒ(熔熱界の主・f06873)は、集まってきた猟兵達に気付いて顔を上げた。
「よく来たな。余がディートリッヒ家当主にしてアルダワ一の美女、ツェリスカである。
 丁度このグリモアベースに、我が美貌を映す鏡を置こうかと思案していたところよ。
 生ける芸術たる余の姿を余さず鑑賞出来るのだ、汝らにも悪い話ではなかろうが……」
 ワイバーン革の椅子に体を預けたまま、ツェリスカは一同の顔を見回す。
「早く予知の話を始めてくれと言いたげであるな。良い、それでこそ呼んだ甲斐がある。
 そう、鏡だ。汝らにはこのたび、アルダワ魔法学園の『鏡の迷宮』に挑んでもらう」
 そう言って指を鳴らすと、出現したグリモアが迷宮の映像を空中に投影した。

「事の発端は二日前だ。魔法学園の学生達が、迷宮内でシェイプシフターと遭遇した。
 何にでも化ける油断ならぬ災魔ではあるが、既に何度か討伐されたとの報告がある」
 倒せる相手と油断したのか分からないが、結果的に彼らは敵を取り逃がしてしまう。
「追撃しようとした学生達が見たものは、床も天井も鏡張りになった迷宮の姿だった。
 ミラーハウスという見世物を知っているか? あれが複雑になったものと思えば良い」
 アルダワの迷宮は、フロアボスとなった災魔の影響で変質することが珍しくない。
 恐らくシェイプシフターの対象を模倣する特性が迷宮自体にも反映されたのだろう。

「もっとも、ミラーハウス同様に単なる見掛け倒しならまだ良かったのだがな。
 災魔の邪悪な魔力が注がれた鏡が作り出す虚像は、それを見る者の精神を削るようだ。
 短時間なら心身の不調――仮に鏡酔いと呼ぶが、長時間に渡れば発狂の危険もある」
 ツェリスカが予知で見たのは、迷宮に挑んだ学生達が鏡酔いで立ち往生する姿だった。
 方角や距離感を狂わされ、絶えず視界に入る自分の姿に追い詰められていったのだ。
 この迷宮は放置するにはあまりに危険すぎる。ゆえに猟兵の出番、ということだ。

「フロアボスがいる限り、鏡は破壊しても短時間で自己修復してしまうようだ。
 その場凌ぎにしかならぬとはいえ、踏破するには何らかの対策が必要であろうな」
 壊しながら進むか。出来るだけ見ずに済む方法を探すか。最速で突っ切るのも手だ。
 いずれにせよ、鏡酔いに対抗しながら敵と戦い、ボスを撃破しなければならない。
 闇雲に戦うだけでは不利になる一方だろうが、工夫次第で対等以上に戦えるはずだ。

 真剣な面持ちの猟兵達を見渡し、ツェリスカは満足そうに頷いた。
「例によって、余はベースとの相互転移を維持するために直接ダンジョンへは赴けぬ。
 無数の鏡に映る我が完璧な肢体……見逃すのは惜しいが、致し方あるまい。
 後は汝らに任せよう。余の見込んだ者達だ、必ず期待に応えてくれると信じているぞ」
 そう言って彼女は微笑を浮かべ、猟兵達を鏡の迷宮へと送り出すのだった。


滝戸ジョウイチ
 このたびマスターを務めさせていただく滝戸ジョウイチと申します。
 今回の舞台はアルダワ魔法学園、ファンタジー&メルヘンな鏡の迷宮となります。

●シナリオ概要
 災魔「シェイプシフター」が作り上げた鏡の迷宮。
 学園生に被害が及ぶ前に、迷宮を攻略してフロアボスを撃破してください。

●行動について
 探索パートにおいてユーベルコードを使用しない場合は、「POW」「SPD」「WIZ」のいずれかをプレイングに書いていただければそれを元に判定いたします。
(戦闘でもユーベルコードを使用しない行動は可能ですが、成功率は下がります)
 技能はいくつ使っても構いませんが、技能名だけでなく具体的な使い方がプレイングに盛り込まれているほうが判定ボーナスに反映される可能性は高くなるでしょう。

●鏡の迷宮について
 今回の舞台である鏡の迷宮は「鏡を見続けると鏡酔いの状態になる」という特性を持ちますが、これは戦闘パートにおいても例外ではありません。
 どうやって鏡酔いに対処しながら戦うか、いろいろ工夫してみると良いでしょう。
 あるいは、周囲一面が鏡張りという状況を活かす戦い方もあるかも……。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『誰の為の鏡』

POW   :    鏡を割っていく、鏡酔いを克服する。

SPD   :    急いで駆け抜ける、鏡酔いを無視する。

WIZ   :    鏡を塞ぐ、鏡酔いを対策する。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


迷宮の入り口に転移した猟兵達は、その中へと足を踏み入れた。

ツェリスカの説明通り、内部はミラーハウスに近い構造になっているようだ。
ただし壁や天井どころか床まで鏡張りで、それぞれの面が幾何学的に配置されている。
そのため鏡像がランダムに反射し、まるで万華鏡の中に入り込んだような錯覚を覚える。
光源は見当たらないが、鏡自体が発光しているため迷宮内は奇妙に明るかった。

試しに入り口付近の鏡を叩いてみると、砕け散った鏡面の下から石造りの壁が現れた。
どうやら通常の迷宮の表面だけが鏡面で覆われている構造のようだ。
鏡の破壊自体は難しくないが、時間が経つと破片が集まって元通りになってしまった。
最初に全ての鏡を割ってしまって安全に通る、というわけにはいかないようだ。

加えて、無数の鏡像が生み出す幻惑効果――『鏡酔い』も無視できない。
対策を取らなければ、心身への負担で行動の成功率は低下してしまうだろう。
一筋縄ではいかないと気を引き締めて、猟兵達は鏡の世界へと踏み込んでいく……。
シェーラ・ミレディ
【WIZ】
ただのアトラクションとして楽しめれば良いのだろうが、鏡酔いとはなぁ。
何とも厄介な代物だ!
しかし、直視しなければいけるか……?
まぁ、試してダメなら別の手を考えよう。

先ず入口から銃を一発撃つ。
そうすると突き当たった所の鏡が割れるので、そこまで目を閉じて進む。
辿り着いたら別の方向を向いて撃って、割れた鏡を確認して進むというのを繰り返そう。学習力で位置を記憶、第六感や野生の勘、ダッシュで真っ直ぐ進むといった具合か。
……この方法だと時間がかかるのが難点だがな。
トリニティ・エンハンスによる状態異常耐性の他、呪詛耐性やオーラ防御、覚悟、破魔、気合い辺りで、なるべく鏡酔いの対策をしておくか。



内部で無限に反射を繰り返し、一見しただけでは道筋すら判然としない鏡の迷宮。
その中に足を踏み入れ、シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は感嘆を漏らす。

「ただのアトラクションとして楽しめれば良いのだろうが……」

試しに壁面の鏡に目をやってみると、そこに映っているのは見慣れた端整な顔。
だが、その鏡像が後ろの壁に反射し、天井に反射し、床に反射し、また壁に反射し……。
それが文字通り光速で繰り返され、結果として周囲にある全ての鏡に自分が映っていた。

「……鏡酔いとはなぁ。何とも厄介な代物だ!」

まだ入り口だというのに、早くも平衡感覚が狂ってきたような気すらする。
確かに直視するのは拙いと理解し、シェーラは一丁の銃を迷宮の奥目掛けて構えた。
四丁の銃を用いる戦技『彩色銃技』。そのために装備している精霊銃の一丁だ。

「これでダメなら、別の手を考えるが……」

出来れば上手くいってくれよと内心で念じ、真っ直ぐに狙いをつけて引き金を引く。
直後、ダンジョンの奥で破砕音。放たれた銃弾が壁面の鏡に当たり、打ち砕いた音だ。
それを確認すると同時に、シェーラは目を閉じて真っ直ぐ走り出す。
銃弾が壁に当たったということは、少なくともその地点までは直線だということ。
割れた鏡までの距離と方向を記憶すれば、そこまでは目を瞑っても走って移動できる。

(ある意味では、一番乗りだから使える手ではあるな……)

仮に先行する別の猟兵がいるならば、流れ弾の危険があるこの作戦は推奨されまい。
もっとも、いないのだから気にする必要は無い。躊躇わず銃を構え、次弾を放つ。

「こっちはすぐそこで壁か。本当に距離感が掴みづらいな」

手探りならぬ銃弾探りで手間は掛かるが、少なくとも着実に前進できているのは確かだ。
それに、事前に想定していたわけではないが、銃声の反響が意外と助けになっている。
鏡酔いも今のところ問題ない。目視を最低限に抑えたのが功を奏しているようだ。
加えて、耐性系の技能が思いのほか効果を発揮しているように思えた。

「……まったく。随分とこの僕の手を煩わせてくれる」

尊大な台詞を吐きながらもあくまで着実に、シェーラは迷宮の奥へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーイ・コスモナッツ
迷宮には苦手意識がありますが、
騎士は弱音など吐きません
学生さんを救うために、
私なりの最善を尽くします!

鏡酔い対策は、
シンプルかつストレートに
「目を瞑る」

両手を前にして手さぐりしながら、
そろそろと歩きます

つかうユーベルコードは
「バトル・インテリジェンス」
転んだりぶつかったりしないよう、
姿勢制御と障害物の回避を委ねます

時々は薄目を開けて周囲を確認
本当、前後左右上下とも鏡張りだ……
戦いになれば、
目を瞑ったままというわけにもいかない
今のうちに、
なにか対策を考えておかないとなあ

そんなことを考えながら、
ゆっくりと進みます



「迷宮には苦手意識がありますが、騎士は弱音など吐きません!」

ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)は覚悟を決め、鏡の世界に足を踏み入れた。
早急に迷宮を踏破しなければ、いずれ魔法学園の学生達が挑戦し、犠牲になるだろう。
彼らを救うために、自分に出来る最善を尽くす。宇宙騎士の務めは地底でも変わらない。

(攻略法は……シンプルかつストレートに、手探りで!)

目を閉じて両手を前に伸ばし、ユーイはそろそろと歩き始めた。
壁に手が触れればそれに伝い、ゆっくりながらも少しずつ前へ進んでいく。
ある意味ではこの上なく単純な作戦だが、その単純さは確実さの裏返しでもある。
もっとも半自動的に姿勢を制御出来ているのは、ただの手探りではないことの証明だが。

(バトル・インテリジェンス……良かった、うまく機能しているみたい。
 ドローンのAIは鏡酔いの影響を受けないのかな、考えてみれば当たり前だけど)

使用しているバトル・インテリジェンスは自身の動きをAIに委ねるユーベルコード。
自ら視覚を封じて行動するこの状況では、その機械的な挙動が有用性を発揮する。
それだけではなく、この鏡の迷宮には『自律機械』そのものの相性がいいらしい。
鏡酔いは精神に負担を掛ける一方で、機械には視覚情報を攪乱する効果しかないようだ。

(いくら障害物は自動で避けられるっていっても、あまり早くは進めないな……。
 でも無闇に走ったら流れ弾に当たりそうだし、このままゆっくり行こう)

前方からは、銃声と鏡が割れる音とが一組となって断続して響いてくる。
先行して迷宮に突入したミレナリィドールの少年は、銃を使って攻略しているようだ。
ある程度距離を取ったほうがお互いのためかも、などと考えながら歩んでいく。

(それにしても、本当に前後左右上下とも鏡張りだ……)

現在位置を確認するため薄目を開けるたびに、ユーイは内心で驚嘆する。
無限に反射を繰り返してきらきらと輝く無数の鏡。そしてそれに映る自分、自分、自分。
こんな光景をずっと見ていたら、それは気分を悪くして当然かもしれない。
もっとも、この迷宮内で災魔と交戦するのなら、そんなことも言ってはいられないが。

(今のうちに、なにか対策を考えておかないとなあ……)

幸いというか、この調子なら考える時間は十分にありそうに思える。
ユーイは思考を巡らせながら一歩一歩進んでいく。騎士は弱音など吐かないのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メリー・アールイー
鏡酔いねぇ…人形も酔うんかね?
からくり人形のReと顔を見合わせる

Reのモードは「Repeat」
まずは人形のReが酔うかどうかお試しだ
目を瞑ったあたしを、Reに操らせて先導してもらうよ
酔わないんだったら、そのままゴールを目指そうか

あれ、あんたも酔うんだね
具合が悪くなるのなら【百光潤色】で状態異常を解除しよう
この光の飾糸があれば大丈夫さ、先に進むよ
何、予防も出来るなら先にやっとけ?はっはっ、ごめんよ
戦闘の時は初めから使うと楽だろうね

進む道は第六感で選ぶよ
しつけ針用の糸も使って進もうか
青色の糸を垂らしながら歩く
行き止まりに続く不正解の道は赤い糸でバツ印
これなら、後続の仲間も分かりやすいだろ



色とりどりの生地で仕立てられた着物ドレスが、無数の鏡に映って一面に色彩を撒く。
さながら万華鏡の中に迷い込んだような光景。ここが災魔の迷宮で無ければの話だが。

「鏡酔いねえ……人形も酔うんかね?」

継ぎ接ぎだらけのヤドリガミの童女メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)は、
自分そっくりの小さなからくり人形『Re(アールイー)』と顔を見合わせた。
大きさと、顔の代わりにReの文字が記されているのを除けば、メリーそのままの姿。
向き合って一緒に首を傾げている様子は、この迷宮に相応しい鏡映しのようでもある。

「無理そうなら『百光潤色』の飾糸で治すけど……って、どうしたんだい?」

心身を修復する光の飾糸を用意しようとしたメリーの袖を、Reが引っ張る。
鏡が視界に入らないようにReが指す先を見ると、他の猟兵が鏡を攻略しているようだ。
白いマフラーが目を引く騎士姿の少女。どうやらドローンの制御で進んでいるらしい。

「ははぁ、なるほど。ドローンが平気なら、あんたも大丈夫だろうね」

恐らくこの迷宮の力は、人工物に対してはあまり影響を及ぼさないのだろう。
元を辿ればヤドリガミだって人工物だが、肉体を得たことでその枠から外れているのか。
ともあれ、これでReが鏡酔いにやられる心配は無くなったわけだ。

「さてと、じゃあ改めて……Re(アールイー)、モード「Repeat(リピート)」!」

ユーベルコード「人形遣い遣い(ダブルドールダンス)」。
人形と人形遣いの主従を逆転させ、人形であるReにメリーの体を操らせる。
メリー自身は視覚に頼らず、鏡酔いの影響を受けづらいReの主導で行動できるわけだ。
事実、迷宮内で足を進めていっても、今のところRe共々鏡酔いに掛かる気配はない。
これなら、当初の作戦は概ね成功と見てよさそうだ。

「この金の飾糸は戦闘で使うかもしれないとして……今は、代わりにこっちかね」

一歩一歩進みながら、新たに引っ張り出した青い糸を後ろに垂らしていく。
これが道しるべになれば、後続の猟兵達はいくらか通りやすくなるだろう。
一本の糸が猟兵同士を繋ぐと信じて、メリーとReは迷宮の奥深くへと踏み込んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アララギ・イチイ
「WIZ」行動

馬鹿だから(自分の事である)頭を使う行動(WIZ行動)は疲れるのよねぇ(溜息

特殊武装・空間迷彩デバイスを使用して自分の姿を消すわぁ
ついでにシールドビットの(迷彩)技能で迷彩効果を補強かしらねぇ
姿を消せば鏡にも映らないでしょうぉ
ただ、UCの効果で疲労はするから適度な休息は確保、休息する時は布か何か(持参品)で周囲の鏡を覆い隠して休憩スペースを確保するわぁ
休息時は煙管で精神安定性のある毒を(毒使い)の能力で精製して吸引(自分の精神に対してマヒ攻撃?)、精神的な安定性の確保にも努めるわぁ

(第六感・野生の勘)で迷宮探査よぉ

上記の行動がダメならUCで機械人形でも製造して私を運搬かしらぁ?


ソナタ・アーティライエ
[WIZ]
お力になれれば良いのですけれど……

一応、自分の目でも確認してみますけれど、早々に諦めて視覚は捨てます
惑わされないよう目を閉じて、聴覚に集中(聞き耳)して構造の把握を試みますね
迷宮を抜ける風の音、足音や要所要所で自らの歌声の反響を頼りに、頭の中に地図を描き(学習力)ながら、焦らず確実に踏破する事を目標に進みます

他の方と合流できましたら、ご一緒できたら心強いのです
具合を悪くされている様子でしたら、少し休んで頂いて【シンフォニック・キュア】で治して差し上げたいと思います



「アマデウス、しばらく目をつぶっていてね」

ソナタ・アーティライエ(ミレナリィドールのシンフォニア・f00340)はそう呟いて、
胸に抱いた小さな銀竜、アマデウスの頭を優しく撫でた。
分類上は獣奏器ではあるものの、アマデウスはれっきとした音の精霊。
先行する猟兵によれば機械や人形に影響はないらしいが、万が一鏡酔いしては忍びない。

「皆さんのお力になれれば良いのですけれど……」

弱気になりそうな心を奮い立たせて、ソナタは目を閉じたまま迷宮内を行く。
視覚に頼るのは既に諦めた。代わりに精神を集中するのは聴覚。
迷宮内を吹き抜ける風の音、猟兵達の足音、そしてその反響から周囲の地形を把握する。
音を操り武器として戦う、シンフォニアならではの攻略法だ。
左右の壁までは十分距離がある。しばらくは一本道。二人分の足音を頼りに進んでいく。

(…………二人分?)

ソナタは薄目を開けて周囲を確認した。だが、視界に入るのは自身の鏡像ばかり。
確かにすぐそばで自分以外の足音を聞いたはずだが、近くに他の猟兵の姿は見えない。
気のせいだろうか。だが、もしそうではなかったとしたら?
無意識にアマデウスをぎゅっと抱きしめながら、ソナタは慎重に一歩を踏み出し、

「「……いたっ!?」」

額への衝撃と共に、二人分の声が迷宮内に反響した。

 ▼ ▼ ▼

「ごめんねぇ、後ろまでは気にしてなかったわぁ」
「いえ、こちらこそ不注意で……」

透明な少女はアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)と名乗った。
その透明化を解いた姿は、和服を纏ったちょうどソナタと同じくらいの年恰好の女の子だ。
身長もほとんど同じなので、ちょうど彼女の後頭部に額をぶつける形になったらしい。

アララギの作戦は、ある意味では非常にシンプルだった。
特殊武装・空間迷彩デバイス。自身に光学迷彩を施して姿を消すユーべルコード。
逆転の発想だ。鏡に映った自分が幻惑してくるのなら、鏡に何も映らなければいい。
事実、鏡酔いの影響は大幅に軽減されたのだが、問題点がひとつ。

「あたし馬鹿だからぁ、頭を使うのって疲れるのよねぇ」

空間迷彩の連続使用は消耗が激しいらしく、溜め息をつきながらアララギがぼやく。
本当に馬鹿ならそんな戦略は思いつかないんじゃないかとソナタは思ったが、すぐにシンフォニック・アリアを歌い始めた。癒しの歌声が、彼女の疲労を取り除いていく。

「助かるわぁ。勘で道を探してたら、思ったより時間掛かっちゃってぇ」
「それでお疲れだったのですね……」

顔を見合わせ、ソナタとアララギはそれぞれに思案を巡らせた。
そして、お互いに直感する。たぶん、相手も同じことを考えていると。
後はどちらかが提案するだけ。そう考えて口を開いたのは、

「ソナタちゃん、あたしのデバイスはもう一人まで透明に出来るんだけどぉ」
「アララギ様、私なら音で道を探って道案内出来ますが……」

二人同時に話し出したのに気付き、思わず二人して笑ってしまう。

「それじゃあよろしくねぇ、ソナタちゃん。そっちの可愛い子もねぇ」
「この子はアマデウスといいます。アマデウス、御挨拶は?」

改めて挨拶しながら、アララギの空間迷彩デバイスが起動して二人の姿を隠す。
疲労はソナタの歌で回復させながら進めば、当面は問題なく探索できるだろう。
新たな仲間を心強く思いながら、ソナタはふと気になっていたことを口に出す。

「そういえばアララギ様……先ほどからお吸いになっている、それなのですが」
「なぁに? この煙管のことぉ?」
「ええ……まだお若いのですから、タバコを吸うのはいかがなものかと……」
「ああ、これはタバコじゃなくてぇ。自分で調合した毒なんだけどぉ」
「毒!? よ、余計に良くないのでは……」
「えっと、これは精神安定の効果があって……うーん、説明が難しいわねぇ」

そんな風に話しながら歩く二人の間で、アマデウスが楽しげに小さく声を上げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
厄介なところですね。あまり器用な方ではありませんが、打てる手は打っていきましょうか。

【アイスリンク・バレット】で進行方向の壁、天井の鏡を撃ちながら進みます。
割れた状態で凍り付けば修復が遅れるでしょうし、修復したところで氷で覆われていればろくに反射できないでしょう。
ミラーハウスというのは全面が鏡だからこそ意味があるもの。光の反射を止める面が増えれば脅威は薄れます。

ただ私には鏡酔いの耐性があるわけではありませんし、鏡を撃つのはマスケットではなく4挺のデリンジャーによる『クイックドロウ』でおこない、鏡を目視する時間はできる限り減らしていきたいところです。


ステラ・チェスロック
う、初めての冒険だけど大丈夫かしら……いっ、いいえ、そんな弱音言ってらんないわね!アタシに任せなさい!

アタシの「シャッフル・タイム」、トランプ1セット分まるっと複製できて動かせるの。トランプって54枚で1セットでしょ?全部バラバラに動かすと540枚……これだけあれば迷宮の鏡の上にカードを隙間無く敷いて見えないように出来ないかしら?天井は見ないようにして、自分の視界の左右と床周辺ならなんとかなると思うのだけど……。

それで足りなかったら、出来るだけ広げたトランプだけ見るようにして進んでみましょう。そうだ、クレヨンを持って行って通った所に印を付けておけば迷わないわよね?



思い思いのやり方で、猟兵達は鏡の迷宮を攻略して奥へと進んでいく。
ステラ・チェスロック(リトル・ディーラー・f12374)もまた、その中の一人だった。
つい最近7歳の誕生日を迎えたばかりの小さな体に特注のディーラー服を纏い、ステラは意気揚々と――少なくとも傍目にはそう見えるように胸を張りながら歩いて行く。

(初めての冒険だけど大丈夫かしら……い、いいえ、そんな弱音言ってらんないわね!)

実はダンジョンに潜るのも初めてだが、内心ビクついているのは悟られてはならない。
ディーラーたる者、常に余裕を持って堂々と。客に動揺を悟られるようではおしまいだ。
何よりレディの沽券に関わる。大人びた態度を崩さぬようステラは自分を奮い立たせた。

「……それにしても、まったく。こんなに広いダンジョンだなんて聞いてないわ。
 アタシのShuffle time(シャッフル・タイム)で全部隠すってわけにいかないわね」

彼女のユーベルコードは、複製したトランプカードを自在に遠隔操作するというもの。
各スート13枚にジョーカー2枚を加えた計54枚を十組まで同時に操ることができる。
ただし隙間無く敷き詰めても、いわば七並べ十ゲーム分の面積では視界全ては覆えない。
そこで次善の策として、トランプを一ヶ所に並べ、そこだけを見つめて進むことにした。

「……うーん。鏡酔いにはならないけれど、あまり周りが見渡せないのが困るわね」

通り過ぎた場所のトランプを剥がしては前方に張り直しながら、ステラは首を捻った。
覆った部分に視線を集中させる作戦は、途中まではうまく行っていたように思える。
ただ……曲がり角に差し掛かった時には、思わず考え込んでしまった。
先が見えないと、何処に鏡があるか分からない。かといって当てずっぽうは危険そうだ。
ああでもないこうでもないと考えあぐねていたステラは、後ろからの声で我に返った。

「――トランプは角を曲がってすぐ正面の床に。壁と天井は私が対処します」

振り返ると、軍服風のワンピースに身を包んだ銀髪の少女が立っていた。
今の言葉は彼女が自分に掛けたのだと気付いた時、ステラは思わず大きく頷いた。
 
「ええ! このステラ・チェスロックに任せなさい!」

初めての冒険で、思いがけない初めての共同作戦。高揚しないほうが嘘だ。
計540枚のカードを一斉に制御。曲がった先での展開を脳裏に思い描く。
ステラは深呼吸してから、タイミングを合わせて迷宮の先へと身を躍らせた。

 ▼ ▼ ▼

(……我ながら、人が良すぎますね)

セルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)は内心でそう呟いた。
別に助け船を出す必要はなかったはずだ。いくら幼い少女だといっても、一人の猟兵。
危機を乗り切る力があるからここにいるのだし、子供だからと軽んじるわけもない。
ただ、彼女が困っているようだったから、つい体が動いてしまった……それだけ。
どうも自分にはクールに徹しきれないところがあるようだと、セルマは嘆息する。

(もっとも、あんなに張り切った顔を見せられては、無碍にも出来ませんね)

彼女――ステラは見ず知らずの自分に、確かな信頼の眼差しを見せてくれた。
報酬は既に受け取ったようなものだ。後は、自分の仕事を果たすまで。
ステラがトランプを操りながら飛び出すのに合わせて、セルマはその後へ続く。
そのまま瞬時に状況を把握。両側の壁と天井の鏡は予想通り。だが。

「正面奥でまた曲がり角? 壁面の鏡がこちらを向いて――」

脳内で危険信号が鳴るよりも、反射的に両手が動くほうが早かった。
ワンピースのスカートを翻し、その下に仕込んであったデリンジャーを抜き放つ。
左の銃口を正面に向け、発砲。アイスリンク・バレット。氷結の弾丸が鏡を砕く。
続いて右手で左の壁面へと銃弾を叩き込み、撃ち終えた両のデリンジャーを空中にトス。
スカートの中の隠し銃は四丁。残るは二丁。両手での抜き打ちで右壁と天井を撃ち抜く。

「トランプの配置はバッチリよ! ……って、凄いことやってるわね」

四丁のデリンジャーをスカートに収めたセルマを、ステラが驚きの顔で見上げた。

「大したことではありません。氷結が鏡の修復を食い止めている間に進みましょう」

砕けた鏡が凍り付き、元の形に戻れずにいるのを横目に、セルマは淡々と告げる。
少し無愛想すぎたかという懸念が頭をよぎったが、ステラは屈託のない笑みで返した。

「ええ、行きましょ! アタシとあなた、二人で最高のショーにしてやるんだから!」

思いもかけない返事にぽかんとしていたのを、ステラは肯定と受け取ったらしい。
以前より不安の消えた様子の少女を追いかけて、セルマも迷宮の奥へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『首無しの熟練騎士』

POW   :    雷鳴刀
【迸る魔法刀の剣筋】が命中した対象を切断する。
SPD   :    疾風迅雷
【「炎」と「氷」を無効化する強化魔法】【脚力を上昇させる強化魔法】【物理的防御力を上昇させる強化魔法】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    怒髪天
【掌を天高く掲げて】から【全方位に向けて高威力・広範囲の雷】を放ち、【電気や雷に対策のないものは感電】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ▼ ▼ ▼

鏡酔いにそれぞれの対策を取りながら、迷宮を進む猟兵達。
彼らが辿り着いたのは、これまでよりも広い――ただし同様に鏡張りの大部屋だった。
幻惑を受けないよう気をつけて確認すると、壁の構造は通路と変わらないようだ。
ただ、部屋の真ん中に、他とは異質な二枚の大鏡が向かい合って立っていた。

そして、その二枚の鏡の間に、動く姿がひとつ。
見ようによっては鏡の迷宮に相応しい、顔が映り込むほどに磨き上げられた鎧。
首無しの甲冑騎士が、猟兵達に剣を向けている。

戦闘態勢を取った猟兵に向かって足を踏み出す首無し騎士。
だが、響いた足音はひとつではなかった。全くの同時に、幾体もが蠢いた気配があった。
ここには敵は一体しかいないはずなのに何故……その理由に思い当たった誰かが呻く。

「――『合わせ鏡』!?」

向かい合った二枚の大鏡の間で、無限に反射を繰り返す首無し騎士の鏡像。
それらが別々に動き出し、鏡面を超えてこちらの世界へ出現してくる。
これも鏡の迷宮に宿る魔力の成せる業だとでもいうのか。

次々と出現する騎士達が一糸乱れぬ動きで剣を構え、猟兵達へと迫る――!

 ▼ ▼ ▼
ソナタ・アーティライエ
皆様の無事を第一に、頑張るのです
(自身の無事は考慮の外です)

合わせ鏡を破壊しようとする方の支援に入らせて頂きますね
破壊に専念できるよう、首無し騎士さんたちの攻撃を【ミレナリオ・リフレクション】にて相殺・防御いたします
とは言え、首無し騎士さんたちの全てを一人で防ぎきるのは無理があります……同じような行動をとる方がいらっしゃいましたら、協力・連携を積極的に行っていきたいです

戦いに入ってしまえば、先程までのような鏡酔い対策はいささか難しそうです……症状がひどくならないよう、定期的に【シンフォニック・キュア】で皆様の治療を行うくらいしか出来ない事が心苦しいのです

アドリブ・絡み歓迎です


セルマ・エンフィールド
こちらに厄介なだけでなく、敵にとっては利にもなる、と。全くもって厄介な仕掛けですね。

氷、いえ、急激な温度変化に対する高い耐性でしょうか。

致し方ありません。ここは……

アルダワの技術によって改造されたマスケットのフリントロック部から蒸気が噴き出し、オートマチック・シューターを起動

火力で制圧します。

一度起動すると中々止まらないのは難点ですが、これだけ数がいれば問題ありませんね。

片手でデリンジャーを構えてアイスリンク・バレットを今回は床に。床の鏡をふさぎつつ、凍った床をスケートブーツで滑走しながらオートマチック・シューターで甲冑騎士を『スナイパー』技能で狙います。


メリー・アールイー
回復と補助メイン

【百光潤色】真っ先に行動
酔い止めだよっ
おかわりが欲しい時はあたしを呼びなっ
Reが放つ飾リ糸を仲間に配る
しゅるしゅるとリボン結びになって服に付けば
一本につき一回だけ怪我や状態異常から守ってくれる
18×5も放てば暫くは持つだろ、おかわりの糸も仕込んどく
鏡酔いや感電の対策に

怒髪天を放たれたら
巨大化させたしつけ針を針山クッションに刺して、飛びのく
文字通り、避雷針だっ

あの合わせ鏡は早目に対処したいね
百光潤色した後も対策がまだなら
端切れ布を縫い合わせて被せようか

その他は
Reとフェイントを交えて攻撃を避ける
しつけ針を剣のように扱う
ピカピカ鎧も鏡と同じ酔う効果がないか注意

アドリブ・共闘、大歓迎



鏡張りの大部屋の中央に二枚の大鏡。その向き合った鏡面から、金属質の足音が続く。
首無しの熟練騎士。その鏡像。合わせ鏡で複製された騎士達が、次々と鏡面から現れる。
元凶であるあの鏡がある限り、戦況は刻一刻と悪化し続けるだろう。

「全くもって厄介な仕掛けですね」

セルマ・エンフィールド(氷の狙撃手・f06556)の呟きは、この場の猟兵の総意だった。
鏡酔いで猟兵側を苦しめるだけでなく、このように敵にとっては利ともなる。
状況は圧倒的に不利と言わざるを得ない。だが、それは無策でやり合えばの話だ。
猟兵には不可能を可能とするユーベルコードがあり、そして逆境を覆す意志がある。

「酔い止めだよっ。おかわりが欲しい時はあたしを呼びなっ」

メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)が手渡す金糸もまた、そんな力の一つ。
相棒の絡繰人形「Re(アールイー)」が紡いだ飾り糸。状態異常を防ぐユーベルコード。
迷宮の探索中にあらかじめ用意しておいたそれを、メリーは猟兵一人一人に手渡した。
同時にそれは、無言のうちに成された作戦の共有でもある。
これまでのような鏡酔い対策を行う余裕はない。ならば、一気に突っ切るまでだ。

「私も定期的に歌で皆さんを癒します。それしか出来ないのが心苦しいですが……」

俯くソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)を、責める者などいない。
今はそれぞれがそれぞれの出来ることをする。そのことを誰もが理解していたから。
こうしている間にも、甲冑騎士の数が増え続けている。躊躇いは捨てる時だ。

「……来るよっ!」

メリーがReを操って身構えると同時、鏡写しの騎士達が一斉に剣を構えた。
猟兵達は頷き合い、各々の役目を果たすために散開した。

 ▼ ▼ ▼

(氷、いえ、急激な温度変化に対する高い耐性でしょうか)

冷静に状況を分析しながら、セルマは愛用のマスケット銃を構えながら走る。
脳裏によぎる探索中の記憶。氷の弾丸で鏡の修復を完全に止めることは出来なかった。
ならばどうする。阻害が駄目なら、致し方ない、ここは徹底的に――

「――火力で制圧します」

銃の内蔵機構が起動。セルマの生まれ育ったダークセイヴァーには存在しない技術。
アルダワの蒸気機関が、愛銃「フィンブルヴェト」に規格外の連写性能を与える。

「オートマチック・シューター……全弾発射」

フリントロック部から蒸気を噴出させ、マスケットがフルオートで弾丸を放ち始める。
同時にマスケットとは逆の手でデリンジャーを発砲。アイスリンク・バレット。
凍結の弾丸が敵ではなく床を凍らせ、セルマはスケートブーツでその上を疾駆する。
その間もマスケットは絶え間なく銃弾の嵐を吐き出し、騎士達を粉砕していった。

 ▼ ▼ ▼

(凄い……私も、皆様の無事を第一に頑張るのです)

氷上を駆けるセルマの華麗な動きに感嘆しながら、ソナタは決意を新たにした。
自分の身はどうなっても構わない。仲間達のことは、なんとしてでも救わなくては。
シンフォニック・キュアを歌って鏡酔いを少しでも抑制させながら、ソナタは走る。

「セルマ様の攻撃は、恐らく細かい制御が利かない……私がフォローを!」

彼女は狙撃手らしく的確な射撃で敵を撃破し続けているが、防御の余裕はなさそうだ。
甲冑騎士の一体が片腕を掲げたのを見た瞬間、ソナタは即座に決断した。
ユーベルコード発動は僅かに間に合わない。あの雷撃は、自分を盾にしてでも……!

「――避雷針だっ!」

突如出現した剣山クッションに巨大なしつけ針が突き刺さり、雷撃が誘導される。
予想外の流れに目を瞬かせたソナタの前に、Reを連れたメリーが降り立った。

「あまり無茶はするんじゃないよ。あたしも協力するからさ」

お見通しとばかりに大人びた笑みを浮かべ、メリーはまた舞うようにその場を離れる。
そこに迫り来る新たな雷撃。しかしソナタに焦りはなかった。

「ええ、そうですね……みんなで、無事に帰りましょう!」

ミレナリオ・リフレクション。掲げた掌が呼び寄せた雷が、敵の攻撃を悉く相殺する。
渾身の攻撃を防がれてたじろぐ甲冑騎士達。それが戦場に空白を生んだ。
合わせ鏡への道は、確かに切り開かれたのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ステラ・チェスロック
ちょっと!あんな状態じゃ、ずーっと出てきてキリが無いじゃない!いっぱい出てくるならチップにしてちょうだい!

絶対怪しいわよ、あんな合わせ鏡!だからアタシ、空中にトランプを集めて壁にするのと、トランクで武器受けするのとで、相手の攻撃を受けながら素早く合わせ鏡に向かうわ。放っておいたらどんどん増えそうだもの!

大鏡の所に着いたら、トランクを思いっきりぶん回して大鏡を2つとも割ってみるわ。割れなかったら……ちょっと芸が無いけど、トランプで大鏡2つを覆って、騎士たちを倒したらゆっくり地面に伏せてみましょ。割ったら細かい破片からもっと騎士たちが出ないわよね?しょうがないじゃ無い、敵のど真ん中で余裕無いもの!


ユーイ・コスモナッツ
合わせ鏡となっている二枚の大鏡が、
首なし騎士を生み出す源なのだとしたら、
まずはあれを壊さないと!

首なし騎士の数はかなり多いみたいですし、
統率もとれているようですから、
投げ槍や飛び道具で鏡を狙っても、
遮られてしまいそう

距離感のつかみづらい場所ですが、
あえて反重力シールドを起動
首なし騎士達の頭上を飛び越えるようにして、
二枚の大鏡を割りにいきます

敵の中心に飛び込む形になりますが、
大鏡を割ることに成功したら、
ユーベルコード「天球の虚数変換」を発動
外部からのエネルギーを虚数化するバリアで、
首なし騎士達の攻撃を防ぎつつ引きつけますっ

増殖を止めればあとは大丈夫
きっと皆がなんとかしてくれる!



「ちょっと! あんな状態じゃ、ずーっと出てきてキリが無いじゃない!
 いっぱい出てくるなら、せめてチップにしてちょうだい!」

ステラ・チェスロック(リトル・ディーラー・f12374)は走りながら叫んだ。
鏡の中から無限にチップがジャラジャラ出てくるのは楽しい想像だが、現実は残酷だ。
代わりに沸いてくる首無し騎士達は、ショー精神の欠片もないと来ている。

「頭が無いからって気が利かないんだから、もう!」

襲いかかってくる騎士の攻撃をトランプでいなしながら、ステラは合わせ鏡へと急ぐ。
ステラはまだ七歳で、猟兵としての任務に参加するのも今回が初めてだ。
それでも分かる。あの合わせ鏡は絶対に怪しい。放っておいてはいけないものだと。

「みんな援護してくれるし、みんなもあれが危ないって思ってるってことよね」

飛来した雷撃がユーベルコードで打ち消され、立ちはだかる鎧が一瞬で蜂の巣になった。
そのそばでは別の騎士が糸で絡め取られ、急所を針で突かれて崩れ落ちている。
ステラが鏡へと向かっているのを察し、道を開いてくれているのは明らかだった。
それでも防ぎきれない攻撃は、ステラ自身が操るトランプで壁を作って凌ぐ。
全540枚のカードを縦横無尽に操るShuffle time、その応用性はまさに自在だ。

「それにしても多すぎるわ、もう!」

トランプで受けきれない斬撃を咄嗟にトランクで受け、ステラは口をとがらせた。
他の猟兵達が食い止めてくれているとはいえ、今この瞬間も新たな騎士が現れている。
せめて空から接近できれば、こんなに面倒なことにはならないのに……。

「…………あーっ! ずるいっ!」

そこでようやく空中を疾走する姿に気付き、ステラは思わず声を上げた。
別にずるくも何ともないのだが、それでも言いたくなるという時はあるのだ。

 ▼ ▼ ▼

(空を飛ぶのも、全然楽じゃないんですけど……)

ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)の頬を冷や汗が流れ落ちた。
あえて反重力シールドで空中からの接近を試みたのは、騎士制止を避けるため。
だが、分かっていたことではあるが、この鏡の迷宮において距離感は信用ならない。
おかげでたった今も天井に激突しかけ、背筋が凍る思いをしたばかりだ。

「敵は多いし統率も取れているから、飛び道具じゃ防がれてしまいそう……。
 なんとしてでもあの大鏡に接近して、直接割ってしまわないと!」

壁に衝突しないよう細心の注意を払いながら、空中で反重力シールドを反転させる。
自由に飛び回ることが出来ないのは厄介だが、それでも機動力ではこちらに部がある。
攻撃態勢に入ったのに気付いた甲冑騎士が怒髪天の構えを取るが、もう遅い。
瞬時にシールドを加速。マフラーを流星の尾のようにたなびかせて突進する!

「まずは、これで一つです!」

急降下したユーイは、自身が乗ったままのシールドをバッシュの要領で叩きつけた。
直撃を受けた大鏡の一方に蜘蛛の巣状のヒビが入り、破片がぼろぼろと落下していく。
そこにヴァルキリーランスで追撃をかけ、半壊状態の鏡を完膚なきまでに粉砕する。

「続けてもう一つ……うっ……!」

残る大鏡は一つ。だが、敵の甲冑騎士の反応が予想より早かった。
統率が取れているという見立ては間違っていなかったが、十分な突撃が繰り出せない。
結果、加速が足りない状態での一撃は大鏡を粉砕するには至らなかった。
だが、しかし。

「このアタシをほったらかしなんて、いい度胸じゃない!」

地上の敵がユーイに気を取られたその隙を縫うように走る、小さな影。
騎士達の攻撃を紙一重で凌ぎながら、ステラ・チェスロックが遂に大鏡へ辿り着いた。
渾身の力を込めて振り上げたトランクが、ひび割れた鏡面に叩き込まれる。

「これで、ジャックポットよ!」

木っ端微塵に砕け散る大鏡。大量の破片が地上へと降り注ぐ。
これで合わせ鏡は機能を喪失した。これ以上甲冑騎士が増えることはない。

「ステラちゃん、私のそばへ!」

ユーイは急降下をかけ、ステラを庇うように地上へ降り立った。
そのままユーベルコード発動。球状の力場が展開され、二人の周囲を覆っていく。

「バリア展開っ! 天球の虚数変換(セレスティアルスフィアシールド)!」

バリアへと振り下ろされた剣が、運動エネルギーを虚数化されて威力を失う。
球形に展開された虚数領域は、あらゆるエネルギーを無効化する鉄壁の守りだ。
無論、守るだけでは勝てないだろう。だが、何も問題は無い。
何故なら……。

「防御は万全です! 私たちに構わず、蹴散らしてくださいっ!」

何故なら、ユーイは信じているから。大丈夫、きっと皆がなんとかしてくれる!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アララギ・イチイ
よーし、頭を使う行動は終了ぉ
雑にいくわよぉ

透明になりつつ戦闘を行うのは流石に面倒だから、今回は雑に挑むわぁ
UCの爆撃・神の杖を使用して多数の大重量の杭を部屋中にぶっ放して、地形ごと鏡をぶち壊してしまいましょうぉ(杭の攻撃は敵を巻き込む様に
ちなみに杭は電気攻撃に対する避雷針の役割も兼用、できるかな?

鏡の破壊状況はそんなに長続きしないでしょうから、全火器を展開して短期攻勢かしらぁ
(速射砲・擲弾銃・機関砲・突撃銃)の(一斉発射・2回攻撃)、榴弾による(範囲攻撃)で掃射、味方を巻き込まない様に(援護射撃)の技能も付与しておくわぁ(この掃射は鏡の修復妨害も兼用の行動


シェーラ・ミレディ
ち、なまじ視力が良い分惑わされてしまうな……!
先ほど使った方法も、人がいるとなると使いにくいし……ええい、ならば騎士の対処は他の者に任せ、僕は鏡を砕いていくぞ!

合わせ鏡を狙うのが手っ取り早いのだろうが、こうも鏡像を作られていては位置を把握し辛い。しかし猟兵以外を撃っていけば、部屋中にある鏡も割れるはずだ。騎士に当たったなら、それはそれでダメージになるしな、構わない。
先ずは大雑把に範囲攻撃、一斉発射、衝撃波等の力を込めて「華燭之典」だ。これで鏡を割り、少しでも時間稼ぎをする。
そして鏡が修復しきる前に先制攻撃、クイックドロウ、スナイパー等の技能を使って「相思相愛」を撃ち込んでいくぞ。



甲冑騎士を迎え撃つ者。突破口を拓く者。そして合わせ鏡への攻撃を試みる者。
戦闘の火蓋が切られると同時に、猟兵達はそれぞれの役目を果たすため駆け出していく。
シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)もまた銃を構え、しかし思わず舌打ちした。

「ち、なまじ視力が良い分惑わされてしまうな……!」

騎士達が出ようが出まいが、この大部屋が持つ鏡の魔力は変わらず厄介だ。
鏡酔いの効果は言うに及ばず、騎士達が鏡に映り込むせいで位置と数が把握しにくい。
迷宮を探索した時のように、一体一体撃ってみて鏡像か実体かを確かめるか?
いや、既に味方が前に出ている以上、物は試しで撃つのは不味い。一瞬で思考を巡らせ、

「……ええい、ならば騎士の対処は他の者に任せ、僕は鏡を砕いていくぞ!」

シェーラの決断は早かった。そして、自分のすべきことを瞬時に理解していた。
仲間達は甲冑騎士や合わせ鏡の対処で手一杯で、恐らく鏡酔いには気が回らないだろう。
事前にメリー・アールイーには癒しの飾り糸を受け取ったが、これだけには頼れない。
つまりは、鏡の対処が自分の役目だ。可能な限り打ち壊し、戦況の不利を覆す。

「ならば、御覧に入れよう! 僕の彩色銃技(アトラクティブガンアーツ)を!」

雪月風花、花鳥風月、千紫万紅、花紅柳緑。シェーラが愛用する四丁の精霊銃。
装填するのは多彩な属性の精霊弾。繰り出すは、これらを自在に操る彩色銃技が一つ。

「さあ、華燭之典(フルバースト)を味わうがいい!」

流れるように引き金が引かれ、精霊を纏った無数の弾丸が乱れ飛ぶ。
狙いは大雑把でいい。猟兵以外を狙って撃てば、まず間違いなく何処かの鏡に当たる。
あるいは敵の騎士に直撃するかもしれないが、それはそれで構うことではない。
次々と鏡を撃ち砕きながらシェーラは考える。後は、一秒でも速くすべての鏡を――

「面白そうなことやってるのねぇ。うんうん、私そういう雑な作戦好きよぉ」

声の方向に視線だけを動かすと、いつの間にか隣に和服の少女が立っていた。
アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)。場違いなくらい目を輝かせている。

「雑って言うな。こういう乱れ撃ちが一番効率的というだけだ」
「雑な上に効率的とはますます素敵ねぇ。私にも手伝わせてもらおうっと」

口を挟む間もなく、アララギの周囲に巨大で先の尖った何かが次々と出現した。
シェーラは絶え間なく引き金を引きながら横目で観察する。ミサイルか、いや違う。
あれは……杭だ。何の変哲もない、しかし常識外れの質量を持った、杭。

「――『爆撃・神の杖』! たった今から、鏡地獄は串刺し地獄に変更よぉ!」

アララギがそう宣言した瞬間、杭の一本が出鱈目な加速によって撃ち出された。
かすめただけの甲冑騎士の片腕を抉り飛ばし、そのまま壁面の鏡に突き刺さる。
大質量の大激突。シンプルながら強烈な一撃によって、周囲の鏡は粉微塵に吹き飛んだ。

「本当に雑だな!?」
「頭を使う時間は終了したのぉ。ここから先はとことん雑よぉ」

妙に楽しそうな彼女に呆れかけるが、しかし実力が申し分ないのは確かだと思い直す。
あの威力、そして地形ごと巻き込む攻撃範囲。部屋中の鏡を一掃するには十分だ。
シェーラは華燭之典(フルバースト)の構えを解き、そのまま次の銃技へと移行する。

「彩色銃技・相思相愛(アトラクティブガンアーツ・シュートダウン)!」

精霊銃へと新たに込められた弾丸は、これまでの精霊が宿った属性弾ではない。
敵の能力の弱点を突き発動を阻害する相殺弾。その対『鏡の迷宮』仕様だ。
抜き撃ち、そして狙い撃ち。神の杖が鏡を破壊した瞬間に叩き込み、修復を遅らせる。
阻害のための分析は万全。既に、鏡の魔力は嫌というほど目にしてきたのだから。

「こいつで更に時間を稼ぐ……その隙に合わせ鏡を壊せれば!」
「んーん、大丈夫みたいよぉ?」

二人の眼前で、大鏡の一方が音を立てて砕け散った。
続けてもう一枚。一対の合わせ鏡は、今や無数の破片となって飛び散るのみだ。

《防御は万全です! 私たちに構わず、蹴散らしてくださいっ!》

敵陣の中央で球形のバリアを展開し、ユーイ・コスモナッツが叫んだ。
合わせ鏡による無限増殖を封じられた甲冑騎士達は、その周囲に立ち往生している。
既に部屋中の鏡はほとんど粉砕した。修復は追いついていない。お膳立ては整った。

「最後の仕上げだな」
「派手にやりましょうかぁ!」

ユーベルコードが殺到する。甲冑騎士達は一体また一体、為す術無く粉砕されていく。
無限に増えるかと思われた首無しの鎧が今や数体を残すのみ。いや三体、二体――。
そして最後の一体が崩れ落ちた。もう二度と、その姿を鏡に映すことはないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『シェイプシフター』

POW   :    思考の簒奪
【自身を対象の姿へと変化させ思考を読み取り】対象の攻撃を予想し、回避する。
SPD   :    血肉の簒奪
戦闘中に食べた【対象の血肉】の量と質に応じて【捕食した対象の姿と戦闘経験を簒奪し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    秘技の簒奪
対象のユーベルコードを防御すると、それを【強化し体内へ取り込み】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ▼ ▼ ▼

最後の甲冑騎士が崩れ落ち、その鎧を鏡の床に横たえた。
肩で息をしながら、猟兵達は戦闘態勢を維持したまま身構える。
既に騎士達は一掃した。しかし、まだ気配は全て消えたわけではない。
猟兵の本能が、この部屋に最後のオブリビオンがいることを警告していた。
気配は奇妙なほど散逸していて、何処にいるのか特定しきれないが……。

その時、鏡の破片の一つがカタカタと音を立てて震え始めた。
共鳴するように無数の破片が振動し、一カ所へと集まっていく。
猟兵達は気付く。あれは、部屋の中央に存在していた一対の合わせ鏡、その破片だ。
破片が集まる。気配も集まる。ということは、あの合わせ鏡の正体こそが……。

鏡の破片の山が、ぬらりとその形を変えた。
黒い影のように変質したそれが、人間を模した体を作り上げていく。
顔に当たる部分に、巨大な一つ目が浮かび――それから、見覚えのある顔に変わった。
あれは猟兵達の中の一人だ。そしてまたすぐに、別の猟兵へと姿を変えていく。
間違いない。あれこそがフロアボス、上級災魔『シェイプシフター』だ。

鏡に化けていたところを砕かれたとはいえ、敵の戦闘力は未だ健在のように見える。
しかし擬態を解いた以上、自分自身を合わせ鏡で増やすことは出来まい。
鏡酔いも一時的に収まっている。部屋中の鏡を破壊する選択は有効だったようだ。
もっとも、修復阻害は一時的なもの。すぐに元の鏡に戻ろうとするに違いない。
再び対策を取るか、あるいはその前にフロアボスを撃破するしかないだろう。

自分そっくりの姿を取りながら、シェイプシフターが奇怪な声を上げる。
鏡の迷宮、その最後の敵は、鏡に映った自分自身ということか。
その虚像を打ち砕いて迷宮に真実の姿を取り戻すための、最後の戦いが始まる。

――さあ、立ち向かえ!
ステラ・チェスロック
とうとう出たわね、鏡が割れているうちに一気に倒しちゃいましょ!

【情報収集】で観察してみたんだけど、厄介そうな攻撃ばっかりね…!みんなの攻撃が当たるようにしないと長引いて不利になりそうだわ。

だからアタシ、なるべく敵から離れて【掌握者の見えざる手】を使うの。敵が気がつかないうちに、【早業】で相手のPOWを交換してやるわ。びっくりするかしら?

もし交換したPOWが凄く高いようなら、POW使って攻撃をする味方に【掌握者の優雅な手】でPOWを渡してあげるの。それで自分は摩擦抵抗を下げて、これを敵の攻撃を避けるのに利用するわ。スケートみたいに滑って敵が狙いをつけられないようにしましょう。


アララギ・イチイ
この頭が面倒くさい迷宮を作ったのは、あれ、なのねぇ
さっさと処分して、この迷宮を未来永劫に閉店させてしまいましょうぉ

UCの主砲・集束砲撃を使用よぉ
ただし、攻撃には転用せず集めた魔力を、強化魔法に応用するわぁ
重視する能力は状態異常耐性の強化よぉ(短期攻勢で押し切るのは難しいと判断、鏡の修復による状態異常に備える

使用する武器は(武器改造)による合体武器の重魔力砲(前回を参照)を運用よぉ
移動しつつ(全力魔法)で魔力炉を稼働させて、高速(高速詠唱)で充填(力溜め)、相手に向けて連続砲撃(2回攻撃)を加えるわぁ
上記の攻撃には(属性攻撃)で氷属性を付与、凍結させて動きを鈍らせる事が出来るか試してみるわぁ



シェイプシフター。相手の思考や容姿、果ては能力まで簒奪する上級災魔。
この迷宮を作り上げた元凶にしてフロアボス。この狂った鏡の世界の終着点。
その黒く揺らめく体がまた猟兵の姿を真似てみせる。あたかも嘲笑うかのように。
 
「この頭が面倒くさい迷宮を作ったのは、あれ、なのねぇ」
 
だがアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は普段通り落ち着いたものだ。
敵の姿が和服を纏った長髪の少女――自分自身を形作っても一向に動じない。
隣のステラ・チェスロック(リトル・ディーラー・f12374)はそんな彼女を見上げる。

「厄介な能力ばっかりね。長引いたら不利になりそうだわ」
「そうねぇ。さっさと処分して、この迷宮を未来永劫に閉店させてしまいましょお」
「遂にファイナルベットってわけね! 鏡が割れているうちに倒しちゃいましょ!」

意気込むステラへと微笑みつつ、ふとアララギの中の冷静な部分が思いを巡らす。
鏡が割れているうちに決着。可能だろうか。押し切れればいいが、間に合わなければ?
対策はしておくに越したことはない。戦闘狂ゆえの戦いへの嗅覚が、答えを導き出す。

「それじゃ、行きましょうかぁ。出し物の支度するから、フォローお願いねぇ」
「まっかせなさい! 最高のショーにしてみせるわ!」

そう答えると同時に、ステラはトランクを掲げて敵の飛び道具を弾き返した。
何が飛んできたのかを確認し、思わず顔をしかめる。トランプ、それもステラ愛用の。
視線を向けた先でディーラー服の幼い少女――ステラの偽物がニヤリと笑う。

「――アタシの宝物を、勝手にコピーしてるんじゃないわよ!」

偽物が投擲するカードを戦闘用トランプ『ルージュエノアール』で迎撃するステラ。
敵が彼女に意識を向けている隙に、アララギは後方で異空間から武装を転送する。
シールドビットの魔力炉に機関部を接続、更に収束火線砲を砲身としてドッキング。
重魔力砲。武装三基の合体によって威力と充填速度を両立する、アララギの切り札。

「チャージ開始……余剰魔力は精神攻撃への防御に回して……後は雑にいくわよぉ!」

砲門をシェイプシフターへ。そして本物のステラが飛び退いた瞬間、即座に発砲。
火線砲の延長線上に展開された仮想砲身から、高速充填からの連続砲撃が放たれる。
怒涛の連撃を立て続けに浴び、敵は擬態を解いて神経を逆撫でする金切り声を上げた。
だがそれも束の間。すぐさま今度はアララギの姿へと変化し、攻撃を躱し始めた。
思考の簒奪。アララギの思考を読み取り、砲撃の照準を把握し、そして回避する。
僅かな時間だけでこの対応力。上級災魔の名は伊達ではないか――

「あっと驚くがいいわ! 掌握者の見えざる手(エクスチェンジディール・パワー)!」

しかしアララギに化けたその姿を、ステラが伸ばした影の手が絡め取る。
文字通りの搦め手。簒奪者たるシェイプシフターから、影がパワーを簒奪していく。
自分と相手の『力』を入れ替えるユーベルコード。ステラのパワーは強化され、そして。

「猟兵一人分にまで弱体化して、今まで通り先読み出来るが試してみなさい!」

ステラの言葉通りだ。シェイプシフターの動きが目に見えて鈍り、その輪郭が揺らいだ。
少なくとも思考の簒奪に限れば、今までと同精度での発動が出来るとは限らないだろう。
隙を晒した敵へと砲門を向けるアララギ。彼女へ向けてステラが一枚のカードを投げる。

「頂戴したパワーはアンタに託すわ! とびっきりのステージを見せてやって!」

掌握者の優雅な手(スマートディール・パワー)。効果は更なる『力』の交換。
受け取ったカード、ジョーカーから災魔の力がアララギへと流れ込む。
なおも不完全な擬態を試みるシェイプシフターへ、最大充填の砲門が突き立てられる。

「さぁて、今度は逃さないわよぉ? 集束砲撃、派手に撃たせてもらうわぁ!」

魔力属性を氷に変換。重魔力砲から続けざまに冷気を纏った魔力弾が叩き込まれる。
一発一発がシェイプシフターの体を穿ち、凍結が更に動きを鈍らせていく。
余剰魔力を長髪から火の粉のように放出しながら、アララギは容赦ない砲撃を続ける。
その圧倒的な威力は、敵が思考の簒奪を諦めて距離を取るには十分なものだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セルマ・エンフィールド
真の姿の片鱗によりスコープを覗く左目が赤く染まっています

厄介な仕掛けは全て排除、残る敵は1体のみ……この機は逃しません、短期決戦を仕掛けます。

血肉の簒奪を受けないよう距離を取りつつ【氷の狙撃手】で敵を狙います。敵は防御、回避の能力がありますし、スナイパーで腕や足を狙い凍り付かせることで妨害し、他の猟兵の援護射撃を。

不定形の敵ですし射程がこちらの予想を超えている可能性もあります。その場合もしっかりと挙動を見切り回避しましょう。
もし敵が私の姿を取っても血肉の簒奪を受けていないならば問題はありません。見切り、視力、クイックドロウ、スナイパーをフルに活用し敵が放った銃弾を撃ち抜き防ぎます。


シェーラ・ミレディ
いよいよ本命のお出ましか。
鏡の仕掛けでは随分とてこずらせてくれたが、本体も中々厄介そうな能力だな……!

さて、僕は相変わらず妨害に徹するぞ。
引き続き一斉発射、範囲攻撃の「華燭之典」で鏡を割り、修復するまでの時間稼ぎをしよう。

技を真似られないよう、敵に直接ユーベルコードを当てないよう注意だ。
何、敵に攻撃する時は通常の弾丸を使えばよろしい。
牽制程度にしかならんだろうが、これだけ猟兵がいるのだ。威力のある攻撃は他の者に任せよう。
僕自身は敵を挑発又は誘惑し、隙を作り出せればそれでいい。
具体的に言えば敵の眼球や指先、足元を狙えば、普通の弾丸でも気が逸れるんじゃないか? 注意を引き付けられたら逃げまわるぞ。



属性を込めた砲撃による凍結から、逃げるように距離を取るシェイプシフター。

「なるほど、敵本体に冷気への耐性は無いようですね」

セルマ・エンフィールド(終わらぬ冬・f06556)の目は冷静に状況を分析する。
迷宮を構成する鏡にはある程度の冷気耐性があり、氷結では再生を止め切れなかった。
だがその迷宮を作り上げたシェイプシフター自体に同じ能力があるわけではないようだ。

「厄介な仕掛けは全て排除、残る敵は1体のみ……この機は逃しません」
「だが、本体もなかなか厄介そうだ。鏡の仕掛けもまだ健在ではあるしな」

愛銃を構えるセルマの傍にシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)が進み出た。
精霊銃を油断なく構えながら視線を巡らす彼に合わせて、セルマも外壁へと目をやる。
壁面の鏡は全て砕かれている。だが、細かい破片が徐々に集まりつつあるようだ。
 
「既に修復が始まっている……」
「そういうことだ。だから、そっちの時間稼ぎは僕がやる」
「了解しました。では私は本体を」

最小限の言葉で連携を承諾する。お互い銃使いであるがゆえの意思疎通。
得物こそ違えど、己の銃に命を預ける者同士。成すべきことは呼吸で分かる。
セルマはマスケットを、シェーラは精霊銃をそれぞれ構え、ほぼ同時に引き金を引いた。
 
 ▼ ▼ ▼

アララギ・イチイの重砲撃を凌ぎ続けながら、シェイプシフターは思考する。
思考の簒奪が上手くゆかない。ステラ・チェスロックに力をすり替えられたせいか。
戦術を変える必要がありそうだ。思考を読み取れないなら、直接接触するまで。
敵の血肉なりユーベルコードなりを喰らい、自分のものとしてしまえばいい。
それに、もうじき――。高い知能と狡猾さを併せ持つ上級災魔は、内心で嘲笑った。

「随分余裕ぶっているな。そんなに暇なら僕と一緒に踊るかい?」

挑発するような台詞と共に、銃弾がシェイプシフターの体に撃ち込まれた。
ユーベルコードですらないただの弾丸。こんなもので殺せるとでも思っているのか。
意趣返しとばかりに黒い影が少年の姿を取り、肉体の一部で銃までも再現する。

「……今度は僕の姿か。実際に化けられると、なかなか不愉快なものだな!」

悪態を突きながらちょこまかと動くシェーラを狙い、シェイプシフターは銃を乱射する。
放たれるのはただの銃弾。ユーベルコードでの攻撃ならば容易にコピー出来たものを。
忌々しく思いながらもシェイプシフターは逃げるシェーラへと銃口を向けて、

「さて、何発目で氷漬けになるでしょうか」

その右腕が銃ごと凍りついた。先ほどまでの豆鉄砲とは決定的に違う一撃。
ユーベルコード――氷の狙撃手(アイシクル・スナイパー)。
少年は囮だったとシェイプシフターは理解する。本命は、この狙撃だと。

舐めた真似を。
割れた鏡の影から狙撃を繰り返す少女を確認、今度はそちらに擬態した。
凍っていない左腕から直接生えるようにマスケット銃が出現し、少女――セルマを狙う。
もはや囮の少年など眼中になく、シェイプシフターは躊躇わず発砲を繰り返していく。
撃ち合いならば互角。だが、この迷宮では地の利はフロアボスにあるのだ。
銃撃しながら魔力を溜め、セルマが反撃を試みた瞬間、災魔は勝ち誇って顔を歪めた。

「――攻撃すると見せかけて一気に鏡を修復すれば勝てる、なんて思っていたのか?」

まさに魔力を迷宮へと注ぎ込んで不意打ちの鏡酔いを狙った、その瞬間。

「彩色銃技・華燭之典(アトラクティブガンアーツ・フルバースト)!」

四丁の精霊銃が縦横無尽に躍り、形を取り戻しかけた鏡の迷宮を瞬時に撃ち砕いた。
これまでの牽制射撃とは違う、正真正銘のユーベルコード。
いや、あの牽制は本命の技をコピーさせないための――今頃気付いてももう遅い。
時間稼ぎに徹したからこその的確な射撃によって、迷宮は元の石肌を晒す。
そして、狼狽を見せたシェイプシフターへ、照準器越しの視線が突き刺さる。

「イレギュラーは排除。これでまた、スコープの向こうにいるのは獲物だけですね」

撃つ。撃つ。撃つ。狙撃手の面目躍如。針の穴を通す精密射撃が災魔を撃ち抜いていく。
凍結をもたらす弾丸が、シェイプシフターの機動力を、そして余裕をも奪っていく。
フィンブルヴェト。大いなる冬。まさしく、彼女の愛銃の銘が如くに。
セルマの偽物に化けたままの顔が醜く歪む。苦し紛れに左腕のマスケットを構える。
だが、強引に放たれた銃弾を、時に狙撃銃が、時に精霊銃が、空中で撃ち落とした。

「どんなに精巧な鏡写しでも……偽物では勝てませんよ」

セルマはスコープ越しに、真の姿を取り戻しかけた赤い瞳で獲物を睨み付けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ソナタ・アーティライエ
虚像をもって惑わす者、ここは貴方がいてよい場所ではありません
疾く、還る事をお勧めします

周囲の鏡が撃ち砕かれている今が好機
幾ら貴方が姿を模倣しようと、わたしたちは一人ではありません
そのすべてを、連携を模倣は出来ないと見ました

先程までの戦いも見られていたなら、新たなる術で対抗させて頂きます
【幻獣交響曲第126番『神鎗』】にて召喚したユニコーンのラヴェルの背に乗せてもらって戦場を駆け(回避はラヴェルにお任せ)
わたし自身は【幻想小夜曲第140番『夢絃の琴』】を響かせて、相手の術のすべてを鎮めることに専念いたしますね

アドリブ・絡み歓迎です


ユーイ・コスモナッツ
抜剣!
胴を薙ぐようにして背後に払い抜け、
大きく跳んで上段に唐竹割り!
……あっさりかわされた

だけど怯んでなんかいられない
読まれて避けられるというのなら、
読まれても避けられない技を繰り出すまでです

鏡が壊れている今ならつかえる、
ユーベルコード「彗星の重力加速度」を!

シェイプシフターが猟兵からの攻撃を避けた瞬間、
シェイプシフターから攻撃を仕掛けた直後など、
彼?の初動が遅れる一瞬を突いて、
反重力シールドに飛び乗ります
ななめ95度からの一撃!

これが命中すれば良し、
仮に避けられても、
衝撃が周辺地形を破壊して足場は悪くなっているはず
体勢を崩した隙を逃さず、
クレストソードを突き刺しますっ



無数に砕けた鏡の破片が、光を反射して煌めきながら迷宮中に散らばっていく。
その大部屋の中央で、集中砲火を浴びて苦悶する不定形の影。
シェイプシフター。迷宮内で猟兵達を翻弄し続けた災魔が今まさに追い詰められている。
 
「――抜剣!」

ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)は気合と共にソードを構え、駆け出した。
距離感が掴みづらい環境と搦め手を得意とする敵。接近戦を挑むには厳しい状況。
だが既に部屋中の鏡は割り直され、シェイプシフターも変身能力を一部喪失している。
猟兵達がシェイプシフターの強みを潰し、搦め手を封じるための作戦を取った成果だ。
おかげでこうして斬り合いに持ち込めた。この機を逃すわけにはいかない。

「真っ向勝負ですっ!」

踏み込みは迅速。特注の靴裏でひび割れた鏡の床を踏みしめ、一足飛びに距離を詰める。
そのまま敵の後方へと走り抜けると同時、すれ違いざまに横薙ぎ。刃が走る手応え。

「……浅い!? なら、もう一撃……!」

既に手負いであるはずなのに、不定形の体をくねらせてダメージを減らしに来るとは。
初撃で一気に決めたかったがやむを得ない。滑り込みながら減速して身を翻し、跳躍。
斬り抜けからの唐竹割り。三次元的な動きで敵に揺さぶりを掛けられれば――。
その時、頭をもたげた災魔の半身が揺らぎ、見慣れた自分自身の姿へと変わった 。

「この距離で――!?」

振り下ろした剣は完全に外れたわけではない。だがそれだけだ。またしても刃傷が浅い。
擬態で断片的にユーイの思考を読み取り、躱せないまでもダメージを減らしてきたか。
半分だけ再現された偽物の自分の顔が醜く歪み、残る半身が黒く蠢いてこちらへ伸びる。

「……貴方が一人ずつ姿を模倣しようと、わたしたちは一人ではありません!」

だがユーイに触れる寸前、凜とした声と共にシェイプシフターの体が宙に舞った。
災魔を蹴り上げたのは一対の蹄。真珠色の角を持ったユニコーン、『ラヴェル』。
幻獣交響曲第126番『神鎗』によってこの世界に現れた、乙女に寄り添う守護の獣。
その背に跨がり、ソナタ・アーティライエ(未完成オルゴール・f00340)は駆ける。

「ユーイ様、ここはわたしとラヴェルが引きつけます」
「……分かりました、お任せしますっ!」
  
ソナタの声に力強く頷き、ユーイは半重力シールドを起動させてその上に飛び乗った。
靴裏を磁力でシールドに固定し、そのままサーフボードの要領で空中に舞い上がる。
シェイプシフターがその動きに反応して視線を動かし、しかし攻撃にまでは至れない。
縦横無尽に戦場を駆けるラヴェルから、注意を逸らすわけにはいかないからだ。
その背に揺られながら、ソナタは諭すように言葉を紡いでいく。
 
「虚像をもって惑わす者。ここは貴方がいてよい場所ではありません。
 わたしの歌でその悪しき魂を鎮め、疾く、骸の海の底へと還りなさい……!」

世界をなだめる子守唄――幻想小夜曲第140番『夢絃の琴』。
ソナタが歌い始めたその歌は、決して破壊をもたらすようなものではなく。
暴力と対をなす歌、全てを慰撫して鎮める穏やかな優しさに満ちた歌だ。

その歌声の素晴らしさを、果たしてシェイプシフターは理解しているのかどうか。
だが少なくとも歌声を耳にした時から既に、その擬態は抑制され始めている。
そしてそれはシェイプシフターにとって、先読みを封じられたということに他ならない。

ソナタの優しい歌声を聞きながら、ユーイは半重力シールドで一気に高度を上げる。
遠近感を狂わす鏡は今はない。甲冑騎士との戦いの時とは飛びやすさが段違いだ。
あの心身を惑わす鏡の只中では、ユーイの空中戦術は十分に力を発揮できなかった。
だが、今ならば。鏡が砕かれ、敵の能力をも封じられつつある今ならば。

「私の動きを読もうが読むまいが、絶対に回避できないこの一撃で!」

天井ぎりぎりで身を翻し、爆発的加速をもってシールドごと急降下する。
シェイプシフターの真上から僅かに後方、角度にして95度の位置からの強襲。
技としてはシンプルかつ単純だが、ゆえにこの局面では最大の威力を発揮する!

「彗星の重力加速度(コメットストライク)! 突撃ぃぃぃっ!」

既に猟兵をいたぶる余裕すら失ったシェイプシフターごと、一帯を巻き込む重い一撃。
災魔は苦し紛れに回避を試み、しかしそのまま周囲もろとも地面に叩きつけられた。
荒れ狂う衝突のエネルギーが、地上を粉砕しながらクレーターを造り上げる。
ユーイはこれまでの浅い斬撃とは違う、確かな手応えを感じた。
そして、その場の誰もが確信する。

――あと、一撃!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アララギ・イチイ
迷宮の閉店時間は目の前ねぇ
最後?に私と楽しい時間を過ごしましょうねぇ

味方猟兵に注意が向いている状態の時に、【迷彩】で視認性を低下、【ダッシュ】で接近、【暗殺】技能で不意打ち攻撃するわぁ
魔術刻印装備で自分の牙や爪を武器として扱い、相手の身体に牙で噛み付き、肉を引き千切って離脱する攻撃ねぇ

離脱後は肉の味を確かめつつ、胃に流し込んでぇ……肉を吐きだすわぁ
UC【召喚・鬱肉顕現】使用よぉ(吐きだした肉が複製体になる設定
複製体を【操縦】の技能で操り敵に攻撃、敵に対して自分VS自分の戦いにしてみるわぁ
念の為、取り込まれてもいいように【毒使い】の能力で【マヒ攻撃】の毒を複製体にたっぷり練り込んでおくわぁ



渾身の一撃がシェイプシフターの体ごと迷宮の地盤を砕き、鏡の破片を舞い上げる。
もはや再生する魔力すら失われているのか、光を反射するばかりのそれはただ美しく。
この災魔との決着、すなわち鏡の迷宮の終焉が、間近に迫っていることを示していた。

「――あと一撃!」

誰かが発したその言葉は、猟兵達の誰もが直感していたことだっただろう。
こちらを散々翻弄してきた悪辣な災魔も、既に当初の余裕を全く失っていた。
猟兵の姿を保つことすら困難らしく、その外見は黒く不定形なものへと戻っている。
そのまま全身をスライムめいて流動させ、猟兵達の拘束から逃れようと試みて。

「店仕舞いはもう目の前、最後に私と楽しい時間を過ごしましょうねぇ」

だが、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)がそれを見逃すはずもない。
災魔はその一つ目を見開く。今まで遠距離砲撃に徹していた彼女がなぜ目と鼻の先に。
いや、違う。知っている。ずっと鏡を通して猟兵達を観察し続けてきたのだから。
光学迷彩デバイス。彼女が姿を消す術を使うことは、最初から知っていたはずなのに!

「それじゃ、一口お味見させてもらうわねぇ!」

重魔力砲を撃ち切ったアララギは、仲間達の追撃に乗じて再び迷彩を展開していた。
自分の姿を鏡に映さないために迷宮攻略で使った手段で身を隠し、一気に走って接近。
敵が余裕を失って逃げに徹したその瞬間を狙った、暗殺技能によるヒット&アウェイ。
一撃を加え飛び退いたアララギの口には、その牙で食い千切った肉片が含まれていた。

「もぐもぐ、不味ぅ! なんか全生物の肉を滅茶苦茶に混ぜた感じの味がするわぁ……」

味を確かめ、飲み込んだと思ったら即座に吐き戻す。それほどまでに不味かったのか。
いや、それだけではない。吐き戻した肉が蠕動を始めたのを見れば、誰でも理解出来る。
ぐねぐねと蠢くそれは瞬く間に体積を増し、ひとつの見覚えのある姿を取った。
すなわち、今まさに本来の姿を見せたばかりである、上級災魔シェイプシフターの。
 
「召喚・鬱肉顕現……肉で複製体を作ったわぁ。あなたにはお似合いでしょぉ?」

アララギが指差すのと同時、偽物のシェイプシフターが本物へと飛びかかった。
既に半死半生の本物と異なり、複製体は本来の万全な状態を再現されている。
組み合う二体が互角であるはずもない。本物が押し負けるまで時間は掛からなかった。
それでも活路を見出そうというのか、揉み合いながら本物の一つ目が大きく見開かれた。
外見、思考、技能。シェイプシフターはそれらを簒奪する力を持つ。だが――。

「――自分自身のコピーに化けて、得られるものってあるのかしらぁ?」

アララギの言葉の通りだ。目の前にいるのはシェイプシフター自身の複製体。
化けたところで何一つ変わらない。せいぜい見た目の上での傷が塞がるぐらいだ。
無意味に終わった行動をトレースするように複製体もまた変身。当然、何も起こらない。偽物が本物を、本物が偽物を、その偽物がまた本物をコピーする無限地獄。
喩えるならば、合わせ鏡。この迷宮において猛威を奮った悪辣な罠、まるでその再現。

「この迷宮の最後を飾るには、相応しい幕引きってやつねぇ」

無限に擬態し合って互いの境界さえ曖昧になった黒い塊が、次第に崩れて始めていく。
アララギが保険として複製体の肉に練り込んだ麻痺毒が、効果を発揮してきたようだ。
もはや、他の誰かを鏡に映すことも、その姿を奪い取ることも叶わない。
鏡写しの自分自身にとどめを刺されるという皮肉な結末に、怨嗟の叫びを上げながら。
シェイプシフターは本来の姿さえ失い、ぐずぐずに溶けて迷宮の染みに変わっていった。

 ▼ ▼ ▼

シェイプシフターは斃れた。
フロアボスが消えたことで、迷宮が本来の姿を取り戻していく。
到る所から鏡がひび割れて砕け散る音が響き、破片が光の粒子となって消えていった。
そんな幻想的な光景も長くは続かず、迷宮内はいつの間にか元の岩肌に覆われていた。
虚像は消え去り、現実がそこにある。本当の姿というのは、意外と華が無いものだ。

激戦を戦い抜いた猟兵達は、互いを労いながら元来た道を引き返す。
その時、入口の方向から三人の少女たちが駆け寄ってきた。
竜騎士、ガジェッティア、精霊術士。猟兵ではない、学園生のパーティのようだ。
猟兵達は、ツェリスカの予知を通じて彼女達の姿を知っているのを思い出す。

「あ、あの、皆さんがこの迷宮のフロアボスを倒されたのですか?」
「ほら見なさい、あんたがぐずぐずしてたから出遅れたでしょ!」
「だ、だって、ほんとに吐きそうだったんだもん……」

一斉に喋り始める彼女達の様子を見て、猟兵達は顔を見合わせ、笑みを浮かべる。
彼女達が鏡の迷宮に囚われるという未来は、その鏡ごと文字通り打ち砕かれたようだ。
訳が分からない様子の三人の背を押しながら、猟兵達は魔法学園へと帰っていく。
鏡写しではない本当の世界を、その目で確かに見つめながら。


                    【イェーガー・イン・ザ・ミラー】終

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト