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帰らぬ者たちの残響

#UDCアース

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#UDCアース


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 カチ。コチ。カチ。
 柱に備え付けられた時計の秒針がひどく大きく鳴る。つい先程までペンション内は楽しげな宴の声に満ちていたというのに、今はひどく静かで、聞こえてくるのは窓を叩く雨粒の音ばかり。
「ねぇ、一体いつになったら帰れるのよ!?」
「ですから、警察が到着するまでは外に出ることはできません。信じがたいことではありますが、皆さんはただ今容疑者なんだそうです……私も含めて」
 ヒステリックに喚く四十代ほどのドレス姿の茶髪の女性を、白髪交じりの初老の男性がどうにかなだめる。
「もう何なんだよ、クソ。酒飲んでいい気分だったってのによ。部屋に帰って寝てていいか?」
「ダメだと言われたじゃないですか。今誰かが別の部屋に行ったりしたら、証拠隠滅を図る恐れがある」
「俺が犯人だってのかよ!」
「あら、何でそんなに逆上するんです? 後ろめたいことでもあるの?」
 右手に傷のある恰幅のいい三十代ほどの男性が顔を赤くし、眼鏡をかけたスーツ姿の女性が冷静を装う。
 彼らが言い争う部屋は居間で、扉一枚隔てた先に食堂があった。その食堂では、禿頭の五十代程度の男が後頭部と鼻、口から血を流し倒れていた。
 その傍らには、血がついた割れた壺。そう、これは殺人事件であった……。

「み、みんな。UDCアースで殺人事件が発生したって……」
 場所は変わって、グリモアベース。青ざめた顔で、UDCアースの学生服を着た少女白神・杏華(普通の女子高生・f02115)が集まった猟兵たちに話しかけてきた。
「ああっと、でもただの殺人事件とかじゃなくってね。何かしらの形でオブリビオンがこれに関わってるらしいんだ」
 それが如何なるものであるのかは、この事件を追う中で調べていくしかないらしい。UDCアースでのオブリビオンということは、邪神絡みであろうが……。
「事件の現場は山奥のペンション。被害者は56歳の男性、滝野元蔵さん。投資家のお金持ちで、このペンションを貸し切って知り合いと一緒にバーベキューに来たんだけど、何者かに殺害されちゃったんだって……」
 そして、重要なのがその他の容疑者である。まずは浅川歌子。ドレス姿の茶髪の女性で、元蔵とは二ヶ月ほど前にゴルフ場で知り合った。趣味はゴルフであるが、まだまだ初心者らしい。
 次に、斎藤義和。初老の男性で、このペンションの管理人。事件発生の報せを受けてやってきた人物で、警察に通報したのも彼である。元蔵とは数年前から年に二度ほどペンションを貸している仲。
 三人目は右手に傷のある三十代ほどの男性で、名前は鈴木隆史。右手の傷は以前趣味の山登りで滑落した際についてしまったものらしい。滝野とは二年前にこのペンションで出会い意気投合した。
 最後に田中美恵。大企業に務めるOLで、仕事の関係で一ヶ月ほど前に滝野と知り合った。この中では彼との付き合いが最も短い人物である。
 この中に滝野を殺した犯人が隠れている。猟兵たちはまずそれを見つけなければならないようだ。

「この中の誰かがオブリビオン、って事はないと思う。いくら何でもそれなら私でもわかるしね。多分この事件の首謀者が他にいて、殺人を教唆したんじゃないかな……」
 その目的も本性も不明ながら、この事件の黒幕は紛れもなくオブリビオンである。となれば、単なる警察やUDC組織でも荷が重い案件となるだろう。
「UDCから警察に話を通して、皆には捜査権が与えられてる。遠慮なく捜査して、犯人を……そしてその裏にいるオブリビオンを引き出してやろうね」
 よろしくお願いします、と杏華は頭を下げた。


玄野久三郎
 玄野久三郎と申します。オープニングをご覧いただきありがとうございます。
 ガチミステリーシナリオです。謎解きパートでは、他の方のリプレイを見ながらプレイングなどで推理を進めるといいかもしれません。とはいえ強制ではなく、キャラクターにある程度任せてしまっても構いません。
 現場には猟兵の皆さんだけが捜査に来ています。あなた方は警察と思われており誰も疑いません。
 簡単に分けるとPOWで証拠アイテムが探せ、SPDでトリックを見つけ、WIZで容疑者の動機を捜査することができます。

 また全編通してホラー・グロテスクな描写が度々行われます。UDCアースだしね。苦手な方は少し用心していてください。
 それでは皆さんの熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『クローズド・サークル』

POW   :    宅内をしらみつぶしに調べまわる

SPD   :    使用されたトリックを看破する

WIZ   :    容疑者たちと話をする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

伊兵・ミカ
こういう事件も取り扱うんだ…不謹慎だけど、探偵小説好きなんだ

POWで宅内を捜し回ろうかな
キッチンでは調理器具の奥や、ゴミ箱の中身も確認しよう
(うわ、実際やるとキッツイな)

あとは冷蔵庫も怪しい。
風呂場やトイレに行って物陰の奥をみよう
血は拭き取られてるかもしれないから見た目じゃわからないな…

殺された人の死因はなんだろう?犯行状況も知りたい
話を聞いた他のメンバーと上情報共有をして、死因に関係ありそうなものが隠されているところを探さないと



「失礼。それでは捜索に入らせていただきます」
 伊兵・ミカ(PigeonBlood・f05475)はUDC組織に配られた警察手帳型の記憶改竄アイテムを斎藤に見せる。するとすんなりと受け入れられ、ミカの捜査が始まった。
 探偵小説が好きな彼は、その主人公たちが行うような捜査を自ら行うことに少々の高揚感を覚えていた。
(うわ、実際やるとキッツイな)
 しかしいざキッチンで調理器具の奥やゴミ箱まで詳しく調べていくと、案外捜査は泥臭く、そして疲労が溜まることを学びつつあった。
 それでもミカは根気強く隅々まで調べ上げていくことにした。冷蔵庫の中、風呂場、トイレ。どれも普通のペンションによくある備え付けのものに見える。
 だがだからこそ、新たに起きた変化がわかりやすいとも言える。彼は風呂場で、スーパーのビニール袋を見つけることができた。
「なぜ風呂場にビニール袋が……それもこんなビチャビチャに濡れてる」
 違和感を覚えた彼がそれをよく確認してみると、赤黒い汚れが外側に見えた。……血だ。洗い流そうとしたのだろう。
 これは何かの証拠になりそうだ。ミカはそれを回収し、次に死体を調べることにした。

「死体を発見したのは鈴木さんです。私たちが居間にいたら食堂でツボが割れる音がしたから、彼が確認に行ったの。そしたら……」
 田中が悲しげにそう語った。ミカが調べると、その死因は後頭部を強く殴られたことによる脳へのダメージらしい。その側には割れたツボがあり、かつ血痕がついている。
「ツボが割れた時、いなかった人は?」
「管理人の斎藤さんくらいかしら。あとの三人は居間にいたのよ」
 しかし、ミカはそれを聞いてもツボが彼を殺した凶器とは思えなかった。何故なら、彼の懐には血を洗い流したあとのあるビニール袋がある。
 この袋は何を意味するものなのか? 一旦ミカは他の猟兵と情報を共有することにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

在連寺・十未
【SPD】

キナ臭い。すごく厄介なタイプの感じがする。気を付けてた方が良いなぁこれ

取り敢えずハウダニットを……どのようにして、どんなトリックで殺されたのか、を調べよう。

現場付近及び被害者を調べるよ、死因とか外傷の様子とか、後は凶器らしきものとか、部屋に怪しいものが無いか、とかね。仕掛けがあればわかりそうなものだけど……

なるほど……そういうことだね?


※キャラクターに推理を任せます、アドリブ等大歓迎です



他の猟兵からもたらされた情報を元に、在連寺・十未(アパレシオン・f01512)はハウダニット――どのようにしたか、トリックの推理を始めた。
 この事件からはすでに相当キナ臭く、一筋縄ではいかない匂いを感じていた彼女は、まず外堀から埋めていく形式を取ったのである。
 改めて死体と、そしてこれみよがしに置かれたツボを確認する。死因はなにか凶器による殴打で間違いないが、それがこのツボによるものかどうかは明らかではない。
「ん? この糸は……?」
 ツボの破片に紛れて、糸のようなワイヤーがそこに転がっていた。ワイヤーは輪っかを作っており、ちょうどツボをぐるりと一周するような大きさの輪が作られている。
 そしてもう一方のワイヤーは食堂の暖炉の方に伸びていた。暖炉は薪を燃やすタイプで、今は火は消えているが、炭の温度から察するに一時間も前にはまだ火が着いていただろうということがわかった。
「なるほど……そういうことだね?」
 大まかな推理を組み立てた十未は、居間に容疑者を一旦集めた。

「結論から言いますと、あなた達にはアリバイがなくなりました」
 その言葉に四人がざわつく。浅川が抗議する。
「犯人がツボで元蔵さんを殴った時、私たち三人は居間にいたのよ!?」
「いえ、それが間違いです。あれはただツボが割れただけの音。殴った音ではありません」
 順を追って説明しましょう、と十未が示したのはツボの音のトリック。
 犯人はワイヤーを用意し、片側をツボ、片側を暖炉の薪に巻きつけた。そして薪が燃えてワイヤーが引っ張られるとツボが落ち、被害者の近くに意味ありげに破片を散らすというものだ。
「しかし、これは彼の死因とは関係ありません。彼はツボが割れる音がする前からすでに死んでいたのです」
「では、あのツボに付いた血は? 本当の凶器は何なんです?」
「それはまだこれからです。直にわかりますので、お待ちください」
 容疑者たちのアリバイが消え、事件が進む。本当の凶器、ツボに付着した血。これらは猟兵たちに、新たなる謎への道を示していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

唐草・魅華音
だれが殺したか調べるのは初めての任務ですけど、できるだけ頑張ってみます。

相手への聞き込みを行おうと思います。目的は、アリバイの整頓を行い矛盾を見出してみる事、もう一つは、それぞれの様子を探る事。素人であれば様子がおかしい所あるかもですし、慣れた人であれば傭兵のわたしと似た雰囲気を持っていそうですから、片鱗くらいは見えるかも。
フリルドレス姿で聞き込みは礼儀正しく、悪印象を与えず接して、けれど怒り等ごまかそうとした時はじっと目を見て静かに威圧。これで少しでもいい情報を得られればと思います。
「申し訳ありません。もう一度皆様のお話をお聞かせ願ってもよろしいでしょうか?」

アドリブ・共同OK



「申し訳ありません。もう一度皆様のお話をお聞かせ願ってもよろしいでしょうか?」
 唐草・魅華音(戦場の咲き響く華・f03360)はアリバイの消えた彼らに改めて話を聞いて回った。トリックが一つ暴かれた今、犯人は当初より余裕をなくしているだろうと予想される。
「ツボが割れる前、お三方は居間にいらしたということですが……その時の様子を伺ってもいいですか?」
「あ? あぁ。最初は俺が結構酔っちまったから、一旦食堂からこっちに移動したんだ。そしたらテレビで俺の好きな山登りの番組がやってたからよ、それを見てたんだよ」
鈴木がそう説明すると、田中が続く。
「その後私が入ってきて、しばらく彼と話していたの。そしたら浅川さんがお酒を持って入ってきて、その場で飲み直しが始まったのよね」
「主催者を抜いて飲み直していたんですか?」
その点について突かれると、鈴木と田中が苦笑。そして浅川は不快そうに眉をひそめた。
「死人にこう言うのもなんだけど、滝野さん酒癖が悪いんだよな。武勇伝ばっか喋ってさ」
「それも自分が成功するまでにどんな危ない橋を渡ったかとか、犯罪のこととか話し始めて。人身売買みたいなことまで過去やったとか」
「……リアクションに困るのよね」
 浅川は辛うじて取り繕ったような笑みを浮かべ、二人に同調する。その表情の変化を魅華音は見逃さない。
「浅川さんは、滝野さんと何かトラブルでも?」
「ないわよ。何もない……」
 平静を装っているが、彼女が焦りを感じているのは明らかだった。加えて、魅華音が「浅川」と呼び掛けた際の反応に違和感がある。普段その名を呼び慣れていないような、反応の遅れがあるのだ。
 じっと浅川の目を見ると、彼女は視線を逸らし時計を見る。
「いつになったら解放されるの? 私さっさと銀行に行かなきゃいけないんだけど」
「銀行ですか? 何をしに?」
「払い込まなきゃいけないお金があるの。別にいいでしょ」
 だが魅華音はその言葉にも嘘の気配を認めた。目的の詳細はわからないが、彼女は銀行で何かをするつもりのようだ。しきりに確認している彼女のバッグがなにか関係しているのだろうか?
「申し訳ありませんが、まだ外に出ることはできません。今少しご協力ください」
 慇懃に頭を下げつつ、魅華音は犯人を絞り始めていた。他の三人にはない不自然さが、浅川にはあったのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユナ・アンダーソン
わぁ、推理小説みたい
よし、私は容疑者の人たちとお話ししよう
本とかではよくお話ししてると意外な真実が!ってなるのよね!

優しさ9、コミュ力8を活用して容疑者の人たちとお話しするわ
後、話してて違和感や怪しいと感じた人がいたら
影の追跡者の召喚を使って気づかれないようつけさせるわ

アドリブで他の方と絡み歓迎


夢飼・太郎
既存のアリバイに価値がなくなったなら、調べ直す必要があるな……

「お手数ではありますが、いま一度皆さんの行動を確認させてください。具体的には、昨晩から我々が到着する前まで、どこで何をしていたかをお聞かせ願えますか」

聞き取りは1人ずつ別室で
公の場だと言いにくい事もある

「どんな些細な事柄でも構いません。記憶を全てお話しください」

相手は社会的地位のある人物ばかりなので営業スマイルで接する


レオナルド・ベッラヴィスタ
あは、こういうのって何かドラマみたいよね?
…推理とかは割と苦手だけど。
御話しは得意だから、任せてチョーダイな?

【WIZ】(コミュ力・恐怖を与える)
調査は取り合えず御任せして、
あたしはそろそろ揺さぶっちゃおうかしら?

さ~て、アナタ達?
アリバイは無くなっちゃったワケだから、
アナタ達を守るモノは無いに等しいわよ~?
アナタ達を守れるのは、アナタ達の言葉しかないの。
正直に言っちゃった方がイイんじゃない?
自分が犯人じゃない証拠や、誰かが犯人であるか可能性をね。

コミュ力で接しやすい雰囲気を出してから、
極力恐怖を与える様な言い方で言葉を引き出すわ。
人目が気になる事も有るでしょうし、
何なら別室で一人ずつ ね!



埃はだいぶ出てきたものの、事件の核心に迫るには今少し踏み込みが足らなかった。浅川が怪しいにせよ、一体なんの目的で、なぜ人を殺すことになるのか? 彼らはその裏にあるオブリビオンにまで届かねばならなかった。
 そこで、レオナルド・ベッラヴィスタ(桃色狂気・f05841)と夢飼・太郎(扉やかく言うな・f00906)の提案により、容疑者四名をそれぞれ別室に移してから話を聞いていくことになった。そうする事により話しやすくなることもあるだろう、という配慮であった。

「正直に言っちゃった方がイイんじゃない? 自分が犯人じゃない証拠や、誰かが犯人じゃないかという可能性をね」
 レオナルドは田中の取り調べを担当していた。彼女はやや警戒していたものの、レオナルドの雰囲気に飲まれるような形でリラックスし始めていた。
「それにこの場で犯人がわからなかったら、美恵ちゃん、今後も長々出頭命令が続くわよ。お仕事もあるし、そんなの嫌でしょう?」
 その言葉はリアリティを持って彼女を脅かした。親しげであったレオナルドからふいに発された一言であるからこそ、それは恐怖を与えることにつながったのだろう。
 しかし、見たところ田中は十分な情報は持っていないようで、何か証拠に繋がるものはなかったかと慌てて自らの記憶を手繰る様子を見せた。
「あ……そういえば、変な事あったかも」
「あら、何かしら? 何でもいいのよ」
「浅川さん、やけに居間に私達を引き留めようとしてたわ。持ってきたお酒もかなり強かったし……やっぱり、彼女がツボの音が鳴るまで私達を止めようとしてたのよ!」
 浅川への疑いはほぼ固まりつつあった。だが、集まってくるのは状況証拠ばかり。なかなか決定的な情報は出てこず、一旦レオナルドは彼女を開放した。

 それと同時に、別室では太郎による鈴木への取り調べが行われていた。
「お手数ではありますが、いま一度鈴木さんの行動を確認させてください。具体的には、昨晩から我々が到着する前まで、どこで何をしていたかをお聞かせ願えますか」
「あんたらが到着するまでか? っとな、俺は居間で寝てたぜ。あんまり動くなって言われてたからよ。毛布持ってきてソファで寝た」
「それだけですか? 他にどんな些細な事柄でも構いません。記憶を全てお話しください」
「全てって言われてもなぁ……」
 うーん、と鈴木はガシガシ頭を掻く。幸い、太郎の印象は良く、質問攻めにされても不快感はなさそうだ。
「犯人の心当たり、などでも構いませんよ」
「心当たりか。そりゃ実際たくさんあるぜ。俺はあの人の悪評もさんざん聞いてるからな」
 太郎がその事について語るよう鈴木に促すと、被害者である滝野の詳細な人柄が浮かび上がってきた。
 投資家というのは表の顔であり、裏では薬物の取引や人身売買にまで手を染めた人物であること。その所有している金はほとんど黒いもので、彼への復讐を目的に動く人間がいてもおかしくないということ。
「この国で人身売買……?」
「珍しいことじゃねぇよ。年間の行方不明者数とかを見りゃよ。ま、あの人は一回やって失敗してすぐやめたそうだけどよ」
 リスクとリターンが合ってないんだそうだ、と鈴木は侮蔑するように言った。
「その人身売買の事件の詳細はわかりますか?」
「何だっけなぁ……当時小学一年生の子を誘拐して外国に売ろうとしたんだと。でも売る直前で警察にバレてとんずらしたそうだ」
 想定していたよりも遥かに不穏な被害者の実像に、太郎は顔を顰めた。とすると、怪しまれている浅川はもしや滝野の被害者だった存在なのだろうか……?

 さらに同時に、ユナ・アンダーソン(星骸のスティグマテイカ―・f02647)はペンション管理人の斎藤に話を聞いていた。
「ああ……私のペンションでこんな事件が起こるなんて……」
 ユナは一通りの確認を彼に対して行いつつ、実際には彼から情報を得るつもりはあまりなかった。状況的にも、彼が犯人である可能性は低い。
 では、彼女は何をしていたのか。三人が個室に入ったことで監視の目が薄れた浅川の追跡を行っていたのだ。ユナ自身が個室にいながら、そこから生み出された影の追跡者が浅川を尾け、その五感の情報を彼女に送っていた。
 浅川はトイレの個室で自らのバッグを開けた。その中には、大量の一円玉が無造作にばらまかれている。
「ああ、くそっ……!」
 彼女はその一円玉をどう処理したものかと逡巡しているようだった。一枚手に取り、窓から捨てるか、あるいはトイレにでも流すか、とその手が迷いを表明する。
 結果、彼女は何もせずにトイレを出て居間に戻ってきた。その情報を、ユナは確かに確認していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴァーリャ・スネシュコヴァ
うむ、もしかすると、なんとなくわかってきたかもしれぬな!凶器とその殺害方法が!
皆さん、少し聞いてくれ! この名探偵の推理を!

つまり凶器はこのビニール袋!
ビニール袋で人は殺せないって?ふっふっふ…甘いな!このビニール袋に何かを詰めて、ブラックジャックとして被害者を撲殺したのだ。その中身を風呂場に捨てて、ビニールだけ置いていった!

中身は…恐らく氷か雪のどちらか! それなら風呂場で溶かして証拠隠滅ができる!かもしれない!

壺の血痕は血溜まりの方にわざわざ落として、偽装を図ったのかもしれないな。

(アドリブ大いに歓迎、自身は名探偵を主張。外れた場合もアホの子的なアドリブで…)



証拠と動機は集まった。次に必要なのは名探偵の存在である。
「皆さん、少し聞いてくれ!  この名探偵の推理を!」
 そして、そこには自ら名探偵を自称するヴァーリャ・スネシュコヴァ(一片氷心・f01757)がいた。居間に容疑者を集め、全ての真相を語るつもりである。
「犯人は浅川さん、あなただ!」
 彼女はビシッと指をさし、宣言した。無論浅川は苛立った様子で否定する。
「そんな訳がないでしょう! 何の証拠があるのよ!」
「では、事件を組み立てていきましょう」
 ヴァーリャはその推理を語り始めた。まず浅川は居間のテレビを鈴木の趣味に合わせて付けておき、それとなく鈴木をそちらに誘導する。次に田中が居間に入ったのを確認し、ビニール袋で滝野を後ろから殴り殺したのだ。
「何言ってるのよ! ビニール袋で人が殺せるわけ無いでしょう!」
「ふっふっふ……甘いな! あなたはこのビニール袋に何かを詰めて、ブラックジャックとして被害者を撲殺したのだ。その中身を風呂場に捨てて、ビニールだけ置いていった! 多分中身は雪とか……え? バッグ? 中身? 確認して? は、はいはい」
 ヴァーリャが他の猟兵に促されて浅川のバッグを確認する。そこには大量の一円玉が入っていた。
「……なるほど! つまりビニール袋に詰めていたのはこの一円玉というわけだ」
 何事もなかったかのように再開し、事件のトリックは次に移る。
 そうして滝野を始末した彼女は、ツボのトリックを仕掛けたあとで居間に入り、二人をそこに留めた。そしてツボの落下に気付いた鈴木が死体を発見した時には、彼女のアリバイは証明されているという仕掛けであったのだ。
「あなたはこの手順で滝野さんを殺した……! 違いますか!」
「…………」
 浅川は俯き、唇を噛む。……そして。
「そうよ。私があの男を殺したの」
 名探偵の推理によって、第一の事件が幕を下ろした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ゆかりちゃん』

POW   :    「ただいま」「おかあさん、おとうさん」
戦闘用の、自身と同じ強さの【母親の様な物体 】と【父親の様な物体】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    「どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」
【炎上し始める捜索願いからの飛び火 】が命中した対象を燃やす。放たれた【無慈悲な】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよ」
【嗚咽を零した後、劈く様な叫声 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


浅川は自らが犯人であると看破されると、ポツポツと語りだした。
「あの男、滝野は……私の娘、ゆかりを誘拐したのよ」
 憎々しげに彼女は漏らす。その目は行き場のない怒りと復讐心に彩られていた。
「一ヶ月。あの子が誘拐されて一ヶ月後に、警察に保護されてあの子は帰ってきた。でも、その間何をされていたのか……あの子はまるで別人みたいになって……さらにその一ヶ月後に自殺したわ」
 衝撃的な告白に鈴木、田中、斎藤がざわつく。
「当時は犯人が誰なのかわからなかった……どれだけ追っても見つけられなくて。でも三ヶ月前、彼が犯人が滝野だってことを教えてくれたのよ!」
「彼……?」

 その時、浅川のスマートフォンが着信音を鳴らす。猟兵たちが出るように促すと、彼女はマイクモードをオンにして通話を始める。
『松田さぁん。あ、浅川って名乗ってるんでしたっけ今は? あーともかく、失敗ですねぇ。復讐を遂げればゆかりちゃんに会わせて差し上げるというお話は、警察にバレてしまっちゃここまでだ』
 どこか陽気で、それでいて狂気を孕んだ男の声が聞こえる。電話の向こうにいるのが彼女に殺人を教唆したオブリビオンであろうことがわかり、猟兵たちに緊張が走る。
『でもここまで頑張っていただいたんで、何もなしというのも可哀想だ。松田さん、その警察の皆さんと一緒に外に出てきていただけますぅ?』
 どうしたものかと困惑する浅川だったが、猟兵の一人が首肯すると、通話を繋げたままで歩き始めた。
 ペンションの外は昼だというのにやけに薄暗く、陽の光はどこにもなかった。外に出てしばらくすると、ある一本の街灯の下にランドセルを背負った小学生であろう少女が立っている。
「ゆ、ゆかり……ゆかりちゃんなの!?」
 浅川は取り乱した様子でスマートフォンを取り落とすとその少女に駆け寄り、膝を付いて抱きしめた。
「あぁ、こんなに冷えて……ゆかりちゃん、なんでそんなものを顔に貼り付けてるの?」
 少女、ゆかりちゃんは自らの顔に「捜索願」を貼り付けていた。『松田ゆかり』という名前と、彼女の顔写真が貼られたものだ。浅川――否、松田歌子はその紙をめくり上げる。

「え――あなた、は……誰……?」
「――どうしてそんなへんなかおでわたしをみるの?」

少女のあどけない声と老人のようなしわがれた声が二重に聞こえたと思うと、歌子の手には火がついていた。それは瞬時に彼女の服に燃え移り、彼女の全身を焼きつくす。
「ぎゃああ! ぎゃあああああ!!」
 この世のものとは思えない絶叫を上げ、歌子はのたうち回る。彼女が落としたスマートフォンから再び男の声が聞こえ始めた。
『いやぁ、ぶっちゃけどのゆかりちゃんだかわからなくってねぇ。たくさん連れて来ちゃったよ』
 その声が薄ら笑いと共に言った通り、猟兵たちは複数の『ゆかりちゃん』を見た。暗闇から複数の女子小学生が現れる。その顔には各種様々な捜索願が貼り付けられているが、名はすべて『ゆかりちゃん』であった。

「おとうさん、おかあさん、どこ」
「こわいよ、さむいよ」
「ころしてやる」
 彼女らは口々に怨嗟に満ちた声を上げ、猟兵たちにゆっくりに歩み寄ってきた……!
夢飼・太郎
*真の姿
身体に黒い瘴気を纏う
それ以外は変わらず

最優先:松田以外に民間人がいる
 ペンションへ避難させる

次点:他に民間人がおらず、松田に救かる見込みがある
 影の追跡者を召喚し、他の猟兵の動きに合わせ回収を試みる
成功したらペンションへ移送
他の猟兵に回復を頼む

三番目:他に民間人がおらず、松田が救からない
 技能、ユベコを活用して交戦
殲滅ではなく、いち戦闘員として戦力を削る事に主眼を置いて立ち回る
(煽って攻撃させ、別の敵を盾にして同士討ちを狙う等)

「過去のクセに
現在に敗けた存在のクセに
未来のある人間に楯突くんじゃねぇよ」
「どうした?ころしてやるんじゃなかったのか?ひひ」
「おい
いま俺を弱いって言ったか」


ユナ・アンダーソン
WIZで判定

歌子さん!
急いで駆け寄って火を消しペインテイカースティグマで治療を試みる
治療できたら歌子さんと一緒に逃げてと斎藤さん達に言う
戦闘前にスマートホン越しにオブリビオンに呪詛1でも送っておくわ

そうね
あなたたちは悪くない
あるべき場所に送ってあげる
―――この魂達に憐れみを
救ってあげられなくてごめんね

なぎ払い3、範囲攻撃3、生命力吸収3を用いて
エトワル・ボワ・ジュスティスを振り回しなぎ払い断頭しようとします
相手を観察し気づいたことがあれば皆に知らせる
傷ついた人がいるならペインテイカースティグマを使用
なるべく隙を作らないようにする
あなたの傷を私にちょうだい?

アドリブで他の方と絡み歓迎


荒谷・つかさ
娘を想う母の気持ちを利用するか、外道め……!
挙句、死なせた娘たちまでも……最早、問答無用よ!

可能な限り素早く歌子の元へ駆けつけ、身柄を確保
安全なところまで運ぶ時間が惜しいので「怪力」スキルを使用し後方に控える妹(荒谷・ひかる)の元へ投げる
「痛かったらごめんなさいね!」
「ひかる、一般の人の保護は任せるわよ!」
歌子の安全を確保したら、敵集団へ突撃し【荒谷流乱闘術奥義・明王乱舞】を発動
敵の召喚にも怯まず「風迅刀」の「属性攻撃」スキルで風の刃を撒き散らして本体を狙いながら、
もう片手の「零式・改二」で手近な相手を薙ぎ払っていく
数が多いので「早業」「2回攻撃」スキルで可能な限り手数を増やし、殲滅する


荒谷・ひかる
ひどいよ、こんなのって……!
これが、オブリビオン……私達の戦う敵、なんだ……!

わたしは一般の人が巻き込まれないよう、避難誘導をするよ。
ここは危険だから、建物の中に避難しててください!
って、お姉ちゃん(荒谷・つかさ)そんな乱暴なっ!(投げられた歌子さんを受け止め)
もう、わかったよ。任しといて!

歌子さんを受け止めたら【生まれながらの光】で治療するよ
直接肌を焼いてるなら魔法か呪いによるものと考えて「全力魔法」「祈り」スキルで対抗、出し惜しみはしないよ

歌子さん、頑張って!
きっとあなたの娘さんは、あなたがここで死ぬのは望んでない!
あなたが奴らの餌食になることなんて、なおさら望んでないよ!



「娘を想う母の気持ちを利用するか、外道め……!」
 姿を見せないオブリビオンに毒づきながら、荒谷・つかさ(護剣銀風・f02032)は速やかに歌子の元へ駆けた。その皮膚は黒く焼け焦げ、頭を抱えるような形で筋肉が硬直していたが……辛うじて胸は動き、まだ息があることがわかった。
「おかあさん?」
「おかぁさぁん、だいじょうぶ?」
「オガアアアァァァサァァン」
 痰の絡んだ老人の絶叫のような声が、少女の声を引き裂くようにして響いた。歌子の存在は他の『ゆかりちゃん』にとっても重要であるのか、それにトドメを刺そうと集まってきている。
「どけっ!」
「ウゲゲェェゴエェ」
 つかさは彼女らを蹴飛ばすが、数が多く、つかさをブロックするように立っている者たちによって思うように歌子まで辿りつけずにいた。何か、敵の意識が逸れることがあれば……。
 そう願った瞬間、応えたのは太郎であった。彼は遠くから影の追跡者を発動させ、歌子を庇うように『ゆかりちゃん』達の前に立ち塞がらせた。影は視認性が低く、暗く透けたような色合いを持つ。それが彼女らの視界を一瞬歪ませたのだ。
「今だ! 突っ込め!」
「得意分野よ!」
 つかさは大剣を一度だけ振るい、彼女らを弾き飛ばす。反応が遅れた他の『ゆかりちゃん』が距離を詰めるも、先につかさが歌子を抱きかかえた。しかし、周囲は再び彼女らの群れに包囲され、歌子を安全地帯まで運ぶことができない。
「痛かったらごめんなさいね! ひかる、一般の人の保護は任せるわよ!」
 運べない。ならば、投げてしまえばいい! つかさは片腕で歌子を後方に放り投げた。それを荒谷・ひかる(精霊ふれんず癒し系・f07833)が慌てて受け止める。初めて相対するオブリビオンという存在に僅かに気圧されていた彼女だったが、姉の突拍子もない行動によってかえって調子を取り戻せたようだ。
「お姉ちゃん、そんな乱暴なっ! もう、わかったよ。任しといて!」
 ひかるは両手を彼女の胸元にあてがう。するとその手は白く清らかな光を放ち、黒く焦げた歌子の皮膚が少しずつ元通りになっていく。しかし彼女が受けたダメージは生半可なものではなく、彼女が意識を取り戻さないままひかるの疲労がどんどんと蓄積していく。
「歌子さん、頑張って! きっとあなたの娘さんは、あなたがここで死ぬのは望んでない! あなたが奴らの餌食になることなんて、なおさら望んでないよ!」
 ひかるは必死に呼びかけ、歌子の蘇生を試みた。黒く焦げるような火傷は消えたが、それでもまだ身体のほとんどは赤く皮膚が溶けたようになってしまっている。
「あとは私に任せて」
 ユナは聖痕の刻まれた右手を歌子に添え、白色の光を放つ。それは星の光。同じ色でもつかさのものとは性質が違い、治療ではなく『傷を奪う光』であった。
「……っ」
 ユナはその身に刻まれ始めた火傷の痛みに顔をしかめ、ひかるは残る体力を振り絞る。歌子の傷はあらかた消え、彼女は激しく咳き込んだ。
「こ、ここは……」
 辛うじて起き上がった歌子は、混濁した意識で周囲を見渡す。そして無数の『ゆかりちゃん』を見てひっと息を漏らした。
「ペンションに入っていて。今はそこが安全だから!」
 ひかるの言葉に曖昧に頷き、歌子はペンションの中に走っていく。『ゆかりちゃん』達はそれを目で追うが、非常にゆっくりした彼女らの足ではそれに追いつかないようだ。
『すごいねぇ、あの状態から救っちゃうんだからねぇ』
 スマートフォンから男の声が聞こえてくる。ユナは呪詛を込めそれを睨みつけた。
「すぐにお前の身で味わわせてあげるわよ」
『それは怖い怖い……だがあの子たちを倒しきれるかな?』

 歌子を救出した彼らは攻勢に打って出た。
「過去のクセに、現在に敗けた存在のクセに。未来のある人間に楯突くんじゃねぇよ」
 黒い瘴気を纏った太郎は敵の集団の中にするりと入り込み、彼女らの同士討ちを狙った。目論見通り、『ゆかりちゃん』たちは自らの首をゴキゴキと回転させながら捜索願からあちこちに火を放つ。
「グギゲゲゲェェギィィ」
「熱いよぉ! お父さん、お母さーん!」
「どうした? ころしてやるんじゃなかったのか? ひひ」
 人間とは思えない排水口の飛沫のような悲鳴を上げる固体もいれば、いかにも悲痛に少女の声で泣き叫ぶものもある。それらが発する声や音は常人が聞けばその精神を破壊される代物であったが、太郎はそれを聞きほくそ笑んだ。
「そうね、あなたたちは悪くない……。あるべき場所に送ってあげる――この魂達に憐れみを」
 ユナは断頭台の刃を振り回し、彼女らを断頭した。その奇妙な声が一時的に止む。だが未だ無傷の『ゆかりちゃん』も複数体確認できる。
 ごろりと落ちた一体の『ゆかりちゃん』の頭をペしゃりと踏みつけるものがあった。それは巨大な手である。それの持ち主は人間のようでいて、頭がなく、異様に肥大化した上半身の筋肉が細長い下半身を引きずって近付いてきた。
「お父さん……お母さん……」
 その側を歩いてくるのもまた異形である。形容するなれば、それは妊婦の腹……2メートルほどに肥大化した腹の下から、痩せ細った女の四肢が触手のように忙しく動いている。これらは『ゆかりちゃん』らのユーベルコードによって召喚されたバケモノであった。
「こんなものは親でも何でもないわ。ただの肉塊よ」
 つかさは風迅刃を振るい、それらを風の刃で切り裂く。ドロリとした血が噴き出す一方、父親らしき上半身の魔物はその刃を掴んで受け止めた。
「けど私にはまだまだ武器があるのよ!」
 つかさはもう片方の手に握った零式・改二で、今度こそ二体の魔物を薙ぎ払った。肉塊が潰れ、水溜まりとなって消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

唐草・魅華音
(声を聞きながら、小さい頃誰かを呼びながら遠ざかっていくおぼろげな記憶の光景が浮かび上がり)君達は、あの時のわたしなんだね。もう助けてあげられないけど…せめて、安らかに。

感情を絶って彼女らを確実に倒すと、覚悟決めて挑むよ。
【バトル・インテリジェンス】起動させて、彼女らと相対的な距離を取りつつ、銃を乱射して撃ち抜いていってダメージを重ねてから、助走つけてジャンプし、敵陣に飛び込む。その中で次々刀で斬り倒していくよ。
「…感情を挟むな。敵であるならば……ただ倒していくだけ」(ギリッ、と武器を握りしめる力を強めながら)



「おかあさぁん」
 声だけは弱弱しい少女であるその音は、魅華音に過去の記憶を思い浮かばせた。力なき存在。置いて行かれてしまったもの。
「君達は、あの時のわたしなんだね。もう助けてあげられないけど……せめて、安らかに」
 彼女らを沈めるためには、無慈悲に倒しきらなければならない。決意とともに目を開き敵を見つめた魅華音は、自らのユーベルコードで戦術用ドローンを召喚する。戦場を俯瞰し召喚者を遠隔操作するそのドローンの力は、彼女に感情を捨て去った戦いを可能にさせる。
 彼女は『ゆかりちゃん』たちにアサルトライフルを向け、それを掃射した。詠唱を込めた弾丸がUDCの肉体を灼き、通常兵器を越えたダメージを彼女らに刻み込んでいく。
「いたいよ、いたいよぉ。おかあさん、助けてぇ」
 泣き声が聞こえる。彼女らが無力であるかのような錯覚を与えるその声に、魅華音の指から力が抜けかかる。
「……感情を挟むな。敵であるならば……ただ倒していくだけ」
 抜けかけた力を再び指に込める。その手から滑り落ちかけた武器は、今は彼女の体の一部のごとく強く握りしめられていた。
「いたい、いたい。ゴゲゲギィィアァァ!」
 『ゆかりちゃん』の捜索願が火を放ち、空を裂いて魅華音に迫る。彼女はそれを跳躍して躱すと、着地と同時に火を出す固体の体を縦に両断した。
 もはや魅華音の目に迷いはない。両断された『ゆかりちゃん』から溢れるのは人間味ある赤色ではなく、ヘドロのような粘性を持つ黒い液体であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伊兵・ミカ
(ひどい)
(これは怒りなんだろうか。同情してるのかな。たぶん)
(人を殺すことは悪いことだけど、でも)
(せめて、それがたむけになると信じて)
倒そう

戦闘は最前線で戦う
守り手で動くよ
無敵城塞を使って壁になるよ
ただ一体の前にいるだけじゃダメだから、無敵城塞をオンオフ切り替えて敵の前を走り回る
囮になれるよう、攻撃を与えつつ動く
味方の前線からは動かないように注意して

敵に隙ができたときはバスタードソードで戦う
その時の防御は盾受けを使う
「残念!俺の盾はひとつじゃないんだ!」


ヴァーリャ・スネシュコヴァ
っ……!? な、なんだこれは…! これ…こんな…!(あまりの怨みと痛ましさに思わず震える)
…くそ!やるしかないのか…!(無理矢理身体の震えを抑え)

まずは『トリニティ・エンハンス』を使用、風の魔力で攻撃力を高める。
敵の攻撃を【第六感】+【残像】で回避しつつ、【先制攻撃】+氷の【属性攻撃】+【2回攻撃】。手数と速さを伴う、氷の力を纏った武器の攻撃で複数の敵を相手取るぞ。
体力を大幅に削った後、敵を一定の場所まで引きつけ、固めることに成功すれば、スピンによる『雪娘の靴』の回転攻撃で全体攻撃する。

あの黒幕によって歪められたなら…せめて俺たちが安らかに眠らせてやるしかない!

(引き続きアドリブ歓迎します)



(ひどい)
 この戦場に対し、ミカが心の中で漏らした言葉は率直であった。人間のようで人間でない不気味な少女が悲鳴を上げ、それに召喚された物体たちが唸る。
(これは怒りなんだろうか。同情してるのかな。たぶん)
 彼女たちは元からこうした存在だったとは思えない。本来、温かい家庭で愛しまれるはずだった者もいるのだろう。
(人を殺すことは悪いことだけど、でも。せめて、それがたむけになると信じて)
 倒そう。彼は戦いの最前線に駆ける。父親らしき上半身のクリーチャーが、その肥大化した腕で彼を殴りつけた。
 だが、ミカはすでに【無敵城塞】を発動させていた。その一撃を受けても、彼はその場をピクリとも動かない。ダメージもなく、衝撃に押されることもなく、完全に受け止めてみせた。
 その結果に衝撃を受けたのか、敵の動きが止まる。今だ、とミカは無敵城塞を解除。気付いた敵は再び殴りつけようとするが、今度は彼の手にするバスタードソードによって受け止められた。
「残念! 俺の盾はひとつじゃないんだ!」
 敵の拳を受けた面を素早く回転させ、刃を振り抜く。父親らしきものは腹から肩までを切り裂かれ、空気の抜けた風船のように萎み消えていった。

「な、なんなんだこれは……! これ……こんな……!」
 一方で、ヴァーリャは彼女らを生み出したであろうオブリビオンへの恨み、そしてその姿の痛ましさに体が動かなくなっていた。
 無敵城塞で身を固める力を持つミカへの攻撃は無意味と察した母親らしき物体は、細長い四肢をバタバタと動かしヴァーリャの方へ走っていく。
「っ……!?」
「ユカリチャン、ユカ、ユカリ、ユカユ、カギィ」
 甲高い声を発しつつ、その巨大な腹が膨らむ。敵の攻撃を察知したミカはヴァーリャの前まで駆け付け、風船のような腹をバスタードソードの柄で軽く突き飛ばしてから再び無敵城塞を発動させた。
 母親らしきものの腹が破裂し、中から酸性の血液が迸る。幸い、それらはミカの体とバスタードソードによって受け止められた。
「大丈夫かい?」
「あ、あぁ……。だが……くそ! やるしかないのか……!」
 このまま震えていては敵のいい的だ。ヴァーリャは自らに風の魔力を付与する。彼女を取り巻く風は徐々に温度が下がり、足元に冷気が集っていく。最終的にそれは鋭い氷のブレードとなって靴裏に現れた。体の震えは冷気のせいだと自身に言い聞かせながら、ヴァーリャは敵に向かって滑り出す。
 そのブレードが通った場所から凍り付き、周囲はスケートリンクのような姿になっていた。その地形にうまく対処できない『ゆかりちゃん』らの動きが更に遅くなる。
 氷の礫が混じった風が彼女らを一箇所に誘導していく。自らを囲ませるように敵を移動させた彼女は足元のブレードを伸ばし、片足を軸にしたキャメルスピンにより周囲の少女たちを切り裂いた。それらが氷の面の上に倒れ、動かなくなる。
「この子たちがあの黒幕によって歪められたなら……せめて俺たちが安らかに眠らせてやるしかない!」
 震えを振り払ったヴァーリャは、再びスケートを縮めると別の集団に突撃していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アメリア・イアハッター
ひっ…
ちょ、ちょーっと怖すぎ無いかな、あれ
趣味の悪い事、この上無いわね…!

・方針
ちょっと怖すぎるので可能な限り接近しない様に遠距離戦を仕掛ける

・行動
【錬成カミヤドリ】を使用し帽子を複製
敵の顔、もとい捜索願の紙が見えなくなるように帽子を顔に押し付ける
怖いから見えないようにする…だけでなく、顔から放っていた炎を防ぐ事と、少しでも声が聞こえない事を目的とする
敵の数が複製可能な帽子の数より少ない場合は、帽子を重ねて厚くして押し付け
もし周囲に水がある又は味方の技で帽子を濡らす事ができる場合は、濡らしてから押し付け

押し付け後は【マジック・ミサイル・ダンス】で攻撃
爆音で叫び声を消す事も狙う

共闘アドリブ歓迎


レオナルド・ベッラヴィスタ
……あたし、子供は大好きなのよねえ。
だから正直、本ッ当に気は向かないけど──
ごめんなさいね、ゆかりちゃん。

【WIZ】(先制攻撃・投擲)
歌子ちゃん──は助からなそうかしら。
出来る限り早めに終わらせたいから躊躇わずに先制攻撃を。
『シビれる様な故意』を発動して、
先ずは彼女の動きも声も封じに行きたいトコね。

動きを封じられたら彼女にナイフを投擲。
……ゆかりちゃん、には、
こんな未来も有ったかもしれないわね。
『幸福なる花嫁のヴァージン・ロード』を発動。
一気に、終わらせてあげるわ!

攻撃が終わった後はこっそりと、
あたしの中の人格に声を掛けるわ。
……今、あんたじゃなくて良かったわよ。ホントに。


在連寺・十未
(張り紙の下が見えて)――ッ、こいつら、マジか……!何で、なんっでそんなことできるんだ、お前!

なんにせよ、この場を何とか切り抜けなければなんないよね……!

ありったけの鋼糸とワイヤー付きフック、それと「ロープワーク」「敵を盾にする」「時間稼ぎ」等の技能を使って多数を相手に身体を引っかけたり縛りつけたり場合によっては部位を切り落としたりして戦うよ

更にユーベルコード「silent down」起動。これで彼女らの音を消して無差別攻撃を押さえられると良いんだけど……!


※アドリブ等ご自由に、他の方との連携など大歓迎です。その場合サポートするようにワイヤーを使います



「ひっ……ちょ、ちょーっと怖すぎ無いかな、あれ。趣味の悪い事、この上無いわね……!」
 アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は青ざめた顔で後退る。その言葉が聞こえたのか、或いはその態度が目に入ったのか。『ゆかりちゃん』のうち一体が彼女の方に首を向け、動かずにいる。
「……ひどいよ」
「うぇ?」
「ひどいよ、ひどいよ、ひどいよぉ」
 少女は泣き出してしまった。急に泣かれてしまい、アメリアはどうしたものかとワタワタする。が、次の瞬間。
「ゴボゲェェェ、ギィェェェェ!!」
 口元から黒い粘性の液を滴らせながら、その個体が異様な叫び声を上げ始めたのだ。その声に対応するように『ゆかりちゃん』の足元の地面が抉れ、衝撃波がアスファルトを砕き瓦礫を散らす。そして、その波に巻き込まれた別の『ゆかりちゃん』が勢い良く弾き飛ばされて戦場の至るところに散らばった。
 そして弾き飛ばされた彼女らは起き上がり、同様に「ひどいよ、ひどいよ」と泣き始める。そこから予想される敵の動きはひとつ……。
「まずい!」
 アメリアは自らの本体たる帽子を複製すると、それを飛ばして『ゆかりちゃん』達の顔面にそれを押し付けた。が、遠くまで弾き飛ばされた二体にまで帽子が届かない。
 うち一体に、レオナルドが駆けつける。『ゆかりちゃん』の喉元にスタンガンを押し当てると、激しい電流により彼女の動きが固まる。
 しかし、あと一体。対策を受けていない『ゆかりちゃん』が口元から黒い液体を漏らす。そして。
「――Chut」
 ピンと立てた人差し指を唇に当てた十未が何事か呟くと、『ゆかりちゃん』が口を開ける。しかし、その声も衝撃波もどこにもなくなっていた。その音を消した十未は、同時にめくれ上がった捜索願のその下を目撃する。
「――ッ、こいつら、マジか……! 何で、なんっでそんなことできるんだ、お前!」
 『ゆかりちゃん』の顔はバーナーか何かで焼き潰されていた。酷い火傷が間違った形のまま治ってしまったのか、目も鼻も口もグチャグチャに曲がり、もはやそれがどこの部位だったのかもわからない。
 十未は落ちたスマートフォンに怒りを込めた眼差しを向ける。
『ウフフ、彼女らは存在が不確定なものなんだよ。不確定であるために、彼女たちからは何もわかっちゃいけないのさ』
 オブリビオンは半笑いで答える。残り少なくなった『ゆかりちゃん』らが再び泣き始める。十未はそれらをワイヤーで拘束するが、彼女の力は声を消すのみ。決定打が足らなかった。
「マジック・ミサイル・ダンス!」
 そこでアメリアは空中に魔法のミサイルを投射した。それらは一旦空中高くに打ち上がると、残る敵めがけて猛スピードで突き刺さる。ペットボトルほどの小さなミサイルが彼女らの肩や腹にめり込んだ。
「どっかーん!」
 それが赤く光ると、一斉に爆発。暗く淀んでいた空気を爆風が吹き飛ばし、周囲は昼の明るさを取り戻した。雲が割れ、日光が差し込む。
 爆発を辛うじて生き延びたのは残り一体となった『松田ゆかりちゃん』であった。彼女は声を上げることもなく、しかし辛そうに立ち上がる。
「……ゆかりちゃん、には、こんな未来も有ったかもしれないわね」
 レオナルドは、色とりどりの花の意匠が取り入れられたナイフを彼女に向けて投擲する。それはブーケ。彼女が生涯、受け取る機会のなかった花束。
「――どうか、おシアワセにね」
 ブーケを受けた少女を、背後からアイアンメイデンが飲み込む。無数の棘が少女の肉体を突き刺し、次にその蓋が開いた時……そこには粘性の黒い液体が内側にこびりついているだけで、何もなくなっていた。
「……今、あんたじゃなくて良かったわよ。ホントに」
 レオナルドはぽつりと呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『膨らむ頭の人間』

POW   :    異形なる影の降臨
自身が戦闘で瀕死になると【おぞましい輪郭の影】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    慈悲深き邪神の御使い
いま戦っている対象に有効な【邪神の落とし子】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    侵食する狂気の炎
対象の攻撃を軽減する【邪なる炎をまとった異形】に変身しつつ、【教典から放つ炎】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『本当にすごいねぇ、大したものだよ猟兵ってのは』
 『ゆかりちゃん』たちを片付けた猟兵たちをスマートフォン越しの声が賞賛する。が、一部の猟兵は確かに気付いていた。その声がスマートフォンからだけでなく、もう一つ聞こえたのを。
『やはり私が直接出向かなければ、君らは倒しきれないかなぁ?』
 そして、その男は悠然と歩いてきた。頭の殆どは爆発したような形状の水晶に固められ、口だけがかろうじて動いている。そのような状態にも関わらず、その口は笑みを浮かべ楽しげな声色を放つ。
「ウフフ、お察しの通り私が黒幕というやつだよ。直接現場に出るのは得意じゃないんだけど、おじさん頑張っちゃおっかなぁ!」
 猟兵たちは彼から邪神の気配を色濃く感じた。ソレは人間と邪神が不完全に融合したものだ。紛れもないオブリビオン。猟兵が倒すべき敵が、いま眼前に現れた。
荒谷・つかさ
黒幕、か。
大方それって、今回の殺人事件の示唆だけじゃないんでしょう?
恐らくは、ゆかりちゃんの誘拐の指示、それに彼女が気が触れることになった原因……
それも全部、あんたが仕組んだ事なんじゃない?
どうして……何故こんな、酷いことができるの!?

……と、話しかけながらゆっくり距離を詰めるわ。
こういう奴はこういう問い詰めに対して大仰に返してくるパターン、多いじゃない?
私がただ感情的に問い詰めるために近づいたと思わせる、それが真の目的。

至近距離まで寄ったら、怒りと不条理に拳を震えさせている……と見せかけて
【螺旋鬼神拳】を発動
冷静に急所狙いで拳を撃ち込むわ

私が、意味もなく敵と話をするような女に見えた?
残念ね。



「黒幕、か。大方それって、今回の殺人事件の示唆だけじゃないんでしょう?
 恐らくは、ゆかりちゃんの誘拐の指示、それに彼女が気が触れることになった原因……それも全部、あんたが仕組んだ事なんじゃない?
 どうして……何故こんな、酷いことができるの!?」
 つかさは感情的に言いつつ、オブリビオンにゆっくりと歩み寄った。男の口元はさらに歪み、楽しげに歯を見せる。
「それはもう、親子の縁というのは非常に濃いものだからねぇ。それを弄り、利用してやれば非常に強いエネルギーを取り出せるんじゃないかと思ったんだよ」
 つかさは歩みを止めない。俯いたその表情は伺えず、握りしめられた拳が激情に揺れる。
「あとはそういうのが好きな邪神がいてね、その――」
「隙ありッ!」
 敵の話を聞きながら――否、聞くふりをしながらなおも近付いていたつかさは、男の懐まで辿り着くとすぐさまその鳩尾めがけて正拳突きを放った。
「おごおおっ!?」
 体の深くに突き刺さる拳。多大な衝撃がオブリビオンの体内を駆け巡り、背中から抜けていく。男は口から血反吐を吐き、その場に膝をつく。
「私が、意味もなく敵と話をするような女に見えた? 残念ね」
「ぐっ、おぉ……いや、まったく……美人さんと話せるいい機会だと思ったら、猛獣の類だったとはねぇ……!」
 男は起き上がり、教典を構える。つかさは跳躍して距離を離し、武器を構えた。彼女が男に与えた軽くないダメージは、彼の闘争心を引き出すには十二分であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

唐草・魅華音
あの男が喋るたびに、こころがぐるぐると揺さぶられる(冷静に、状況を)焼けた少女たちの顔が浮かぶ(危険な精神状態。落ち着かないと判断を誤る)自分が倒した少女の悲鳴が響く(落ち着け)男が、笑う。
「ウワァァァァァ!!」
(他人事のように自分の声が聞こえる。止められない)

少女の境遇への共感、倒したことへのストレスが男の笑い声で怒りに変わり、爆発。後先考えずノーガードで力任せに全力で攻撃し続ける。ダメージが積み重なり【戦場の亡霊】が呼び出せる状態にまでなったら倒れ込むと同時に亡霊と攻撃交代し、同様の攻撃で攻め込む。
「許さない、許さない、許さない!」

アドリブ・共闘OK



「それにしても、まさか猟兵たちが来るなんてねぇ。つくづく運がなかったよ、私も、あの母親もねぇ」
 男の声が魅華音の頭の中を回る。男が現れてから、彼女は自らの心をただならぬ感情が包んでいくのを感じていた。
(冷静に、状況を)
 しかしどうあっても、眼前にいる男の声は先ほどの少女たちとの戦いの記憶を呼び覚ましてくる。敵の目的によって人ではない何かに変えられてしまった少女たちの顔、声。
(危険な精神状況。落ち着かないと判断を誤る)
 視界が歪み、過去と現在との映像が入り混じった。魅華音は状況判断ですでに理解していた。あの『ゆかりちゃん』たちも、そして目の前の男の言動も、こちらを挑発し冷静さを失わせるためのものなのだと。
(落ち着け……)
 だが、わかっていても。
「私らだけじゃない、あのゆかりちゃん達も不運だったねぇ。刀やら……銃やらで散々やられてしまってねぇ!」
 男は魅華音が怒りと狂気に蝕まれつつあるのをその水晶の奥の瞳で見つめていた。そして、彼女の武器に視線を動かしながら笑う。
「ウワァァァァァ!!」
 魅華音は刀を構え、男に猛然と突撃した。それを待っていた、と男は教典より赤い光を放ち、彼女の腹部を貫いた。血が溢れ、体が傾く。男は魅華音の戦闘不能を確信しほくそ笑む。
「フフフ。これで一人は――」
「許さない、許さない、許さない!」
 だが、その確信を得るには早すぎた。魅華音は止まらない。刀を叩きつけるかのように男を袈裟斬りに斬りつけ、すぐさま刃を反転させもう一撃。舞った血飛沫が地に落ちるより速く、さらに魅華音はアサルトライフルをゼロ距離で男に連射した。
「ぐぶぁぁっ!? クッ……イカれた奴ばかりか! 止まれ!」
 さらなる光弾が魅華音を打ち据える。ノーガードで攻撃を続けていた彼女の体が先に限界を迎え、膝が折れる。
 膝をついたのは男も同様であった。荒い息を吐き、押さえた傷口から血が滲む。その口元にはもはや笑みは浮かべられていなかった。
「だがこれで、もう君は!」
 今度こそ、と彼は魅華音を見る。確かに、彼女自身は現在立ち上がれないほど疲弊していた。……だが、その傍に立つものがあった。彼女自身の姿を模した、戦場の亡霊である。
 それは魅華音と同じ刀、銃を構え、再び男に突撃する。亡霊が刀を突き出したのを、彼は回避できなかった。その体に刀が突き刺さる。
「まったく……とんでもない執念だ……」
 ゴボリと口から血を漏らし、男は呆れたような様子を見せ……後ろに倒れこんだ。刺さった刀が地面に当たって抜け、オブリビオンは苦しげに呻いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヴァーリャ・スネシュコヴァ
よくそんな堂々と俺たちの前に現れたな…ゲスが!
自分がさも賢い神様と思っているみたいだが…お前はただのクズだ!
そのバカでかい面、凍らせてやる!

引き続き『トリニティ・エンハンス』の風の魔力を発動、状態異常力増加。
【ダッシュ】+【残像】を使用し、相手を惑わせつつ懐に入りこみ、【先制攻撃】+【2回攻撃】+氷の【属性攻撃】。相手の体力を削りつつ、氷結の状態異常を付与するまで攻撃を続ける。
状態異常により、敵の動きが鈍くなると同時に、【ジャンプ】+『亡き花嫁の嘆き』を顔面に叩き込む!

苦しいだろうな…だけどお前が今まで手にかけた親子の苦しみは、こんなものではないぞ!

(引き続きアドリブ歓迎します)



「よくそんな堂々と俺たちの前に現れたな……ゲスが! 自分がさも賢い神様と思っているみたいだが…お前はただのクズだ! そのバカでかい面、凍らせてやる!」
 ヴァーリャの怒りの声に対して男がかろうじて身を起こし、貫かれた腹部を押さえながら苦しげな吐息を漏らす。
「苦しいだろうな……だけどお前が今まで手にかけた親子の苦しみは、こんなものではないぞ!」
「まったく嫌われたもんだ。だが見ての通り私は瀕死だよ? まさか追い打ちとかするつもりじゃあないよねぇ……?」
「……ああ、追い打ちはしない」
 そして、その身が再び冷気を纏う。氷の粒を纏う風が吹き荒れ、彼女の足元に氷の刃が現れる。
「トドメを刺してやるだけだ!」
 彼女は上空7メートルほどまで一息で跳躍する。そして氷の刃が、断頭台のように男の首に迫っていく。
「まったく、そうはいかないよ!」
 その瞬間、ヴァーリャは確かに見た。男の影が不自然に伸び、その輪郭がざわめいたかと思うと……異形のシルエットへと変貌していく。
 ベースは人型でありながら、細長く伸びた腰と沸騰した水のように泡立つ頭部。組紐のような形状の左腕の先には巨大な本が握られ、右腕は非常に筋肉質である。それは地面に張り付いた影の状態から、立体的な輪郭を持ち立ち上がった。
「……っとぉ!」
 右腕が迫ってくるのを見て、ヴァーリャは咄嗟に足のブレードで斬りつけその腕を足場に跳躍。異形の影から距離を取った。
 突如召喚された異物に面食らったものの、やることは変わらない。彼女は残像とともに影の懐に入り込むと、氷の風でその足元を凍てつかせた。動きを封じ、その体を地面に縫い止める。
 そして、再びジャンプし宙返りしつつ、その足元の刃で敵の腰から胸にかけてを斬り裂いた。
「ゴアァァ……」
 足元を固められたことで、衝撃とダメージは逃げることなく影に叩き込まれる。異形は苦しげな声で藻掻いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
さてと、次はどう攻めようか……

まずは「風迅刀」の「属性攻撃」で生み出した風の刃での牽制と、本体の透明な刀身での直接攻撃を織り交ぜ、本気よりはゆっくりめの速度で攻撃
この際敢えて毎回同じパターンでの攻撃を繰り返し、慣れさせる
そしてその最中、攻撃しながら詠唱を完成させ【五行同期・精霊降臨術】を発動(攻撃力強化)
パターンでは毎度牽制を入れていたタイミングで唐突に「零式・改二」での唐竹割りを「早業」「怪力」「鎧砕き」技能込みでぶち込む
パターン慣れした状態なら、突然のパターン変更に即座の対応は難しい筈

さっき猛獣の類って言ったわね。
訂正しなさい。私は羅刹……東洋の悪魔、「鬼」よ。
舐めないでちょうだいね。



新たに生み出された影の怪物相手に、つかさは攻めあぐねていた。少なくとも、後方でその戦いを見る男にはそのように映っていた。軽い刀による牽制を続け、大剣による攻撃をしてこなかったためだ。
「木は火を生み」
 つかさはその右手に「風迅刀」という刀を携えていた。その刀身は圧縮された空気によって不可視となり、さらにその空気が刃の周囲に無数の真空の刃を纏わせている。
「火は土を生み」
 影の怪物はその身に刻まれた傷が不可視の刀によるものなのか、風の刃によるものなのかすらわかりかねていた。黒黒とした体に裂傷が増えていく。
「土は金を生み」
 しかしその傷も、徐々に新たに生まれるものが減り始める。つかさの攻撃は先ほどから同じ呼吸、同じ軌道のものが繰り返されている。それに応じて、巨人は静かに学習し始めていた。
「金は水を生み」
 直に巨人はその攻撃のすべてを理解する。その後ろに控える男もまたそれを察し笑った。次に牽制が来る。そこに拳を合わせれば十二分のダメージを与えられるだろう。
「水は木を生む……これ即ち五行相生、星の理也!  五行同期、精霊降臨!」
 が、そのパターンに狂いが生じた。つかさはユーベルコードの詠唱を終え、その攻撃力を一気に向上させたのだ。
 何か悪い気配を男は汲み取ったものの、完全に思考を同期しているわけではない巨人にその洞察は届かない。「次はまた牽制の刃が来るはずだ」。しかし、その思考は元より彼女に誘導されたものだった。
「そこだッ!」
 横からくる攻撃をガードしようとした巨人の頭部に、左手の大剣「零式・改二」の刃が突き刺さる。無防備な頭からその足元まで巨大な質量が走り抜け、その斬撃は巨人を真っ二つに裂いて消し去らせた。
「さっき猛獣の類って言ったわね。訂正しなさい。私は羅刹……東洋の悪魔、「鬼」よ。舐めないでちょうだいね」
 男の思考には、所詮は怪力の獣という侮りがあった。その力の軽視が、彼の切り札を消すに至ったのだ。男は悔しげに歯噛みした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レオナルド・ベッラヴィスタ
や~!良く出向いてたわね、オジサマ!
御陰で首根っこ掴みに行く手間が省けたもの。
……さ、たっぷり報いは受けて貰いましょうか?

【POW】
(先制攻撃・だまし討ち・投擲・2回攻撃・傷口をえぐる)

しっかし、ま~た邪神が云々ってワケ?
ホント、アンタ達みたいなのってウンザリよ。
先制攻撃で『咎力封じ』を発動、
出来ればユーベルコードごと封じたい所。
だけど、あたしの狙いは手枷とかに紛れて、
ナイフを確実投擲すること。

アンタの場合は手向けの花かしら?
ゆかりちゃんが味わった痛み、感じてね。
『幸福なる花嫁のヴァージン・ロード』、
──に加えて二回攻撃で傷口を抉りに抉るわ。
ハイ、アンコール☆
(召喚された場合は二度目は其方へ)



影の怪物が消えたことにより、彼は再び己の力で猟兵たちと相対さざるをえなくなった。しかし、人間の肉体を超越したその体はすでに己に刻まれた傷を薄れさせ、止血するに至らせていた。
「や~! 良く出向いてくれたわね、オジサマ! 御陰で首根っこ掴みに行く手間が省けたもの。……さ、たっぷり報いは受けて貰いましょうか?」
 レオナルドは笑顔で、かつ一切の容赦を窺わせない瞳を向けながらそう言った。
「これ以上の報いをかい? 私はもう戦い疲れて戦意喪失気味なんだがねぇ!」
「そういう台詞は、その本に集まってる魔力を隠してから言いなさい」
 男は沈黙した。レオナルドもまた笑顔のままその場を動かない。互いに機を伺っていた。
「……死ねぃ!」
 教典のページが激しく捲れ上がる。そこに込められた魔力が弾け、赤色の光を放つ。
 それに対抗して、レオナルドは複数の道具を敵めがけて投擲した。一つは手枷。教典をつかむその手首にそれが絡みつくと、一瞬その魔力の光を弱めさせる。
 次に投げられたのは拘束ロープ。それが男の体に結び付けられた。
 三つめに投げられたのは猿轡だ。耳障りな言葉を放ち続ける男を拘束するに相応しい道具だったが、男は辛うじてこれを回避した。水晶化した頭で弾き返したのだ。
 得意げな男に、最後の投擲物が迫る。それはナイフ。色とりどりの花がデザインされたナイフだ。それがあっさりと彼の胸元に吸い込まれていく。
「彼女たちにとってはブーケだったけど、アンタの場合は手向けの花かしら? ゆかりちゃんが味わった痛み、感じてね」
「まさか……この攻撃はぁ!」
 猟兵たちと『ゆかりちゃん』の戦いを見ていた男にはそれが何であるのかがわかった。しかし拘束ロープと手枷で封じられた体ではそれを避けることはかなわない。その背後からゆっくりとアイアンメイデンが迫り、その体に無数の棘を突き刺した。
「ぐあああぁぁぁっ!」
 鋼鉄の棺の中で男の悲鳴が反響し、鉄の処女が血の涙を流す。少女らに与えたダメージと男のものとでは、更に大きな差があった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユナ・アンダーソン
ふふふ、きてあげたわよ
好きな方を選ばせてあげるわ
爆発で吹き飛ばされるのがいいか
重力でぺしゃんこにされるのがいいか
それとも両方がお好みかしら?
星の末路。あらゆる物を吹き飛ばし、全てを飲み込む星の骸。その疵を再生―――やっちゃって!

爆発する白く輝く球体と重力を操る黒い球体を掌に召喚してけしかけます
敵とは可能な限り距離をとります


在連寺・十未
お前……お前が、やったんだな。あの子らを……
邪神に与えられた力でいきってるだけの小物が、大物ぶって黒幕ぶって、馬鹿みたいに前に出てきて馬鹿みたいに死ぬんだ
十分すぎる末路だろ、お前にとっちゃ

ワイヤーを結んだ投げナイフを媒介にしてユーベルコード起動「ロープワーク」で操作して上手く当ててみせるよ。

宣言するのは「声を出すな」だ、平時であればだいぶ簡単な条件。……もちろん、うなり声もカウントに入るよね。


※アドリブ等大歓迎です



「お前……お前が、やったんだな。あの子らを……」
 十未は倒れている男に対して、その声を怒りに震わせつつ尋ねた。男は辛うじてフラフラと立ち上がると、無理に口元に笑みを作る。
「あぁそうさ……。製造方法を聞きたいかい? アレはねぇ……死者の魂を無理やり現世に繋ぎ止めるために、顔と名前を不確定にする必要があってねぇ……!」
「うるさい。聞いてもないことをペラペラと喋るな」
 彼女は男を睨みつけながら、その手元に特殊万能ワイヤー「accompany」を結び付けた。その先端には投げナイフが括りつけられている。
「邪神に与えられた力でいきってるだけの小物が、大物ぶって黒幕ぶって、馬鹿みたいに前に出てきて馬鹿みたいに死ぬんだ。十分すぎる末路だろ、お前にとっちゃ」
 十未は離れた男にナイフを向ける。そのナイフが彼女の手元を離れるやいなや、ワイヤーは生きた蛇の如く複雑な軌道で空中を暴れまわる。
「ぬぅっ……!」
 男は炎を纏った教典でそれを振り払おうとするが、それはかえって自らの体にワイヤーを絡ませるだけだった。そして、その大腿に刃が突き刺さる。
「僕がお前に下す命令は……『声を出すな』だ。簡単だろ、意識的にやることをやらないだけなんだ。もちろん、うなり声一つでもダメだけど」
「……!」
 そしてあとは任せるよ、と十未は自らの後ろに視線を送る。
「ふふふ、きてあげたわよ」
 ユナの妖しい微笑みは、男にとっては死刑執行人のそれに等しいものだった。その両手には白と黒の魔力の球体。螺旋状の回転を見せながら、徐々に膨れ上がっている。
「好きな方を選ばせてあげるわ。爆発で吹き飛ばされるのがいいか、重力でぺしゃんこにされるのがいいか」
 その問いかけの選択権はすでに男の手から奪われていた。答えることのできない男はただユナから後退る。
「あら、それとも両方がお好みかしら? ……星の末路。あらゆる物を吹き飛ばし、全てを飲み込む星の骸。その疵を再生――やっちゃって!」
 審判が下る。結局、両方の球体が男めがけて放たれた。男ははじめ重力を操る黒の球体に身体を吸い寄せられ、すぐさま白の球体に触れる。それは男に触れると同時に爆発し、その身体を数十の肉片にばら撒いた。
「ぐぅああぁぁぁぁ――――」
 男の断末魔が響き、十未の誓約が破られる。その報いか、彼の肉体は更に粉微塵に打ち砕かれ……黒の球体の底へと吸い込まれていった。

 ――オブリビオンは消滅した。惨劇と狂気に彩られた戦いが終わると、後には現実が残る。すなわち、滝野元蔵殺人事件の解決だ。
 容疑者の命は助かり、彼女の自白も得た。あとは猟兵たちの仕事ではなく、UDCアース現地の司法が裁く内容だ。
 UDC組織関係者であろう警察官がパトカーに乗って現れる。彼は捜査と敵の鎮圧に協力してくれた猟兵たち一人ひとりに慇懃に礼を言うと、歌子の両手に手錠をかけ、連行していった。
 命が助かっても彼女の表情は暗く沈んだままであった。彼女の望んだものは最後まで手に入らなかったのだから。帰らぬ者はいつまでも帰らない――だが少なくとも、猟兵たちは今後出るであろう犠牲をなくし、一人の女性の命を救ったのだ。
 誰もが不幸になるしかなかった事件で、何かを救うことができた。その事実を胸に、猟兵たちはグリモアベースに帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月09日


挿絵イラスト