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今はなきリゾートの星

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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 透明なプールの中で、多くの水着姿のスペースノイドとクリスタリアンが遊んでいる。
 彼らはそれぞれ知り合いのグループ同士でボールを弾いて遊んだり、流れるプールで浮き輪に捕まって流されたりしてはしゃいでいる。誰もが笑顔で楽しげだ。
 また別のところでは、そのコロニーの制服を着た人物たちがウォーマシンのメンテナンスを行っていた。内部の不調を直したり、外装のデコレーションをしたりしている。それを受けるウォーマシンはどことなく弾んだ様子で体を動かす。
 そのコロニーにはサウナもあった。数名のブラックタールがサウナに腰掛け、蒸し暑い空間の中黒い液体を体からポタポタと垂らしたりしている。
「我々のリゾート型スペースコロニー『VG-59』では、コアマシンから豊富な水の創出を実現! 目玉のプールを中心に、お客様に心から楽しんでいただける施設を取り揃えております」
 更にそこには宿泊施設もあった。大きなベッドにルームサービスも完備され、頑丈な窓からは外の星の輝きが見える。景色を楽しみたい人向けに、窓にかつての地上の様子を投影することも可能だ。
「休日はぜひご家族でVG-59に! 皆様のご来園をお待ちしております!」

 ――と、いうようなプロモーションビデオがグリモアベースにて上映されていた。
「かつて、スペースシップワールドでこういうコロニーがあったんだって。楽しそうだよね」
 上映用のプロジェクターから自身のスマートフォンを外し、UDCアースの女子高生の制服を着た少女、白神・杏華(普通の女子高生・f02115)は猟兵たちに向き直る。
「ただね……このコロニー、今から数年前になくなっちゃったらしいんだ」
 スペースシップワールドにおいては、多くの宇宙船が銀河帝国による攻撃を受けている。このコロニーも例外ではなかったのだろう。しかし問題は、その従業員たちがどこに行ってしまったのか、何者による攻撃でこのコロニーが滅んでしまったのか、そして正確にはいつ滅んだのかが不明な点だ。
「皆には廃墟になったこのスペースコロニーVG-59を調査してもらって、ここで何があったのか調べてもらいたいの」
 そして、もし現場にまだオブリビオンが残っていた場合はその対処も、と彼女は付け足した。

 VG-59はプロモーションビデオの通り、リゾート型スペースコロニーである。他のスペースコロニーからくる観光客のためにサービスを行い、また資材の交換などを行っていた。
 その動力であるコアマシンでは水の精製やその他リゾート施設を作るに十分な資材を作ることができるらしい。もしコアマシンがまだ生きているのならそこから得られる技術もあるかもしれない。
 現地はすでに廃墟になっているが、かつてのリゾート施設を見て回るのもいいだろう。船の傷の様子や落ちているものからも情報というものは得られる。
 またリゾートの従業員がつけている航海日記や売上報告などのレポートも、コロニーの当時の事情を知るために役立つはずだ。
「かつては賑わっていた場所の廃墟はすごい寂しい感じだよね……。でもそういうのが好きな人もいるのかな? まぁともかく。何があるかはわからないから、くれぐれも気をつけて調査してね」
 杏華は集まった猟兵に当時のパンフレットを配り、軽く頭を下げた。


玄野久三郎
 玄野久三郎と申します。オープニングをご覧いただきありがとうございます。
 廃墟探索というものには心惹かれるものがありますね。かつてそこに何があったのか、想像しながら歩いてみるのもいいでしょう。
 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『スペースコロニーを探索しに行こう』

POW   :    体力勝負でコロニーを歩き回り、注目スポットを発見する。

SPD   :    コロニーの特色を調査し、これから何に活用できるか考える。

WIZ   :    コロニーのデータベースを閲覧し、当時の市民の生活を調査する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四軒屋・綴
改変絡み歓迎
ふーむ……これも一つの幽霊船か。

まぁそれはそれだなッ!とりあえずは調べてみようッ!【POW:体力勝負】だッ!

何はともあれ不慮の事故に備えてユーベルコードを発動ッ!防御力重視の蒸気機関車系ヒーローに変身するぞッ!

まぁギャラリーがいない辺り寂しいが……それはおいておいて宿泊施設に【ダッシュ】ッ!こう言うところには大型浴場というものが付き物と聞いたッ!【メカニック】や【ハッキング】も活用して探してみるぞッ!なかったら屋上に出てから真っ白に燃え尽きるッ!

「ふーむ、流行り廃りという印象は受けないが……?」
「お邪魔しますッ!もしくは頼もうッ!」
「……なかったよ、温泉……」


六道銭・千里
ここまででっかい廃墟は流石宇宙って言ったところか?
ただ歩き回るってのも中々骨が折れそうやな…

何も分かってないってことはその時おった客も皆消えとるってことやろか?
俺は宿泊施設で色々残ってる情報を探してみるわ【情報収集】

ロックかかっとっても猟兵やったらぶっ壊せるやろうしな


こういうリゾートホテルやったら写真の日付とか分かれば
大体いつ頃かわかるんちゃうかな?
流石に電子系は得意な他猟兵に頼むことになるけど


もし証拠が回収されてても人数の多い客のなら
取りこぼしがあってもおかしくない
五円に紐付けたダウジング【失せもの探し】で隠された物とか探したる



「ふーむ……これも一つの幽霊船か」
 接舷した宇宙船からVG-59に侵入したのは――ふわふわと低空飛行する生首である。それは四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)、ヒーローマスクであった。彼はキョロキョロと通路の様子を見回す。
 通路の上に設置されている灯りはすでに点かないようだ。それでも大まかに地形が把握できるのは窓の外から星の光が差し込んでいるためだった。
「まぁ何はともあれ……来たれマイボディッ!」
 綴の頭が高く浮き上がり、グルグルと回る。そうしている間に、その下の空間にワイヤーフレーム状の人間の肉体が構築されていく。その上から蒸気機関車をモチーフとしたパイプと合金が装着され、最後にその体の上に綴の頭がドッキングした。
「蒸騎構築(ジョークアップ)ッ! 四軒屋・綴ッ!」
 かっこいいポーズと共に変身が完了する。……だが残念なことに、それを見ている者は一人もいなかった。
「……宿泊施設に行くかッ!」
 めげずに、彼はコロニー内を疾走した。パンフレットの案内に従いエレベーターや廊下を経由して辿り着いたのは、元は宿泊施設であった場所のロビーだ。そこは人がいなくなって久しいらしく、新聞入れには何もなく、カーペットが半端にめくれ上がったままになっている。
「お邪魔しますッ!もしくは頼もうッ!」
「うおっ、何やあんたはいきなり……」
 カウンターから顔を出したのは同じく猟兵である六道銭・千里(六道陰陽師・f05038)であった。彼も綴と同じく宿泊施設に目星をつけた人間だ。
「これは失礼ッ! そこに何かあったか!?」
「電子錠やな。ロビースタッフ用らしいが」
 千里はドアノブをガチャガチャと捻るが、動かない。ノブの下には黒と緑の液晶モニタがあり、これで鍵を開けるようだが電源が落ちていた。
「なるほど……それなら任せろッ!」
 ズイズイと近付いてきた綴は扉の前に立つと、スーツからコードのようなものを伸ばし画面に繋いだ。電源が入り、黒い背景画面に緑色のランダムな英数字が流れたかと思うと、カチリと鍵が開く音がした。
 ドアノブを捻ると、今度は抵抗なく扉が開く。内部には窓がないため星明かりは届かず、ひどく暗い。探しものは難航するかに思われた、が……千里は懐から五円玉を取り出し、それを吊り下げダウジングを開始した。
「ん? こっちになんか硬い手触りが……おっ、ええもん見っけたで!」
 暗闇の中で彼が掴んだのはカメラであった。従業員のものなのか、或いは客の落とし物だろうか。一旦二人は外に出て、ロビー内でその中身を確認した。
 それは送信機能付きのカメラで、どうやら客が記念写真を撮りたいときに従業員がこれで撮影し、そのデータを相手に送っていたものらしい。一時保存された画像もいくらか残っている。
 それはスペースノイドとウォーマシンたちが中心の写真だった。稀にブラックタールやクリスタリアンの写真も混ざっていて、背景はかつての楽しげな賑わいに満ちている。
「ふーむ、流行り廃りという印象は受けないが……?」
 綴の感想通り、どの写真も一定以上の活気を感じる。リゾート施設自体が人気を失った、というわけではないようだ。一方で千里はその写真の日付を確認していた。最後の写真はおよそ五年ほど前。中身は何の変哲のないスペースノイドたちの笑顔の写真だが、それ以降は一枚も撮られていないようだ。
「この日からしばらく経ってから何か起きたみたいやな……」
「ふーむ……しかしこの写真どれも楽しそうだなッ! 温泉もあるのかッ!」
「あぁ、せやけど今はもう……」
「こうしちゃいられんッ! 温泉を探すぞッ!」
 蒸気機関車ヒーロー故、煙に惹かれるものがあるのか。或いは温泉が好きなのか。綴は再び、温泉を探してロビーをダッシュで出て行った。

「……なかったよ、温泉……」
 しかし結局、彼が見たのは湯のない空の浴場だけだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

竜石堂・はつら
はつらさんヤドリガミですからこういう廃墟に一抹の寂しさを感じます…
が、ここは楽しくお散歩しましょうっ
ぺたぺたと辺りを歩きまわって面白スポットを探しましょう!

と、思ったのですがなんだか埃が凄いですので綺麗にしたくなってきました
そうですっ、お掃除しながら探索していきましょう!
と、言うわけではたきを持って探索です!

ここはきっとおトイレでしょう(ぱたぱた)
ここはウォーマシン用おトイレかな?(ぱたぱた)
何だか水っ気が多いような気がしますね(ぱたぱた)
あれ、これは…浮き輪の残骸でしょうか?

そういえば何だかすごいプールがあったってパンフレットに載っていましたっけ
せっかくですのでそこに向かっていきましょうっ



 竜石堂・はつら(どこかのはつらさん・f01374)はヤドリガミとして、この廃墟……魂を宿すほど長持ちすることができなかった物体の骸を見て、一抹の寂しさを感じていた。大切にしなかったわけではないだろう。だが、手放さざるを得なかった事情がここにはあったのだ。
「ここは楽しくお散歩しましょうっ」
 はつらは気合を入れ直し、ぺたぺたと薄暗く静かな通路を歩いていく。が、ふと振り向くと、積まれた埃の上に彼女の足跡がくっきり残るほどにこのコロニーは埃に支配されていた。
 彼女の中にうずうずと掃除がしたい願望が湧き上がっていた。そしてシャキーン、とはたきを取り出す。埃を吸ってしまわないように口元にいい感じの布を巻き、はつらは掃除しながら散歩を開始した。
 通路を歩いていると、隣接した四つの小さな部屋があった。中に入ると、濁ってほとんど見えなくなった鏡の前に手洗い場がある。固い蛇口を捻るが、水は出ないようだ。
「ここはきっとおトイレでしょう」
 とりあえず軽く水道のあたりをはたきで払ってから外に出て、二つめの部屋に入る。こちらも入り口には鏡と手洗い場。中には白い流線型のカプセルのようなものがいくつか並んでいた。
「ここもきっとおトイレでしょう」
 埃をいくらか落としてから次の部屋へ。今度の三つめの部屋は先ほどまでの1.5倍ほどの鏡のサイズだ。中は機械的で、簡易的なレールのようなものが個室に繋がっている。
「ここはウォーマシン用おトイレかな?」
 なぜか連続でトイレを確認してしまった彼女はそれらの部屋群から出ると、おおよそ中心部であろう地点に近付いていく。
「そういえば何だかすごいプールがあったってパンフレットに載っていましたっけ」
 エレベーターに乗り、その事をふと思い出す。動きの悪いボタンを押しプールの階に移動する。窓が一切なくひどく暗い棚が並んだ部屋を抜けると、非常に広い空間が姿を表す。
 大きな角形の窪みが空間の中心にあり、そこから川のようにいくらか窪みが枝分かれしている。彼女はその窪みの中に浮き輪の一部であろう破れたプラスチックを見つけた。どうやらここがプールだったようだ。
 プールにはほとんど水がなく、角の辺りに汚れとともに溜まっているだけだ。そしてある小型プールの中に、はつらは紫色で艶を放つ細長い物体を見つけた。
「何でしょうかこれ」
 拾ってみるとそれは冷たく、だらりと垂れ下がったままだ。生物的な感触であるが、少なくとも手にしたこれは生きていない。リゾートの閉鎖になにか関わっているのだろうか? 彼女はとりあえずそれをその場に捨て、次の目的地を目指した。

成功 🔵​🔵​🔴​

箱庭・山岳
◆心情
昔のリゾートコロニーもこうなってしまっては逆に物悲しさを感じるな。
さてはて、一体何が残っているのやら。

◆行動(WIZ)
監視カメラを見つけたらバウンドボディを利用して
「超柔軟テクノファイバー」を接触させてハッキング開始。
監視カメラの映像データが集まっているデータベースから映像をダウンロードして、調べる。
「さて、過日のコロニーの姿は一体いかであるか……?」
一番古いデータの日付と現在の日付の中間の日付のデータを見て、コロニーが無事な頃なら
その日付と現在の中間のデータを見てと言った具合で「滅びの日」を絞り込んでゆく。
「まだ無事、無事、無事、無事……む、この日付では滅んでいるからこれより前か」



 箱庭・山岳(ブラックタールのウィザード・f02412)は虚しく欠けて掠れたVG-59リゾートの看板を見て物悲しさを覚えていた。果たして何がこのコロニーを廃墟にしてしまったのか? 彼はある物を探すべく、通路の角や天井を見ながら歩く。
「む、見つけたぞ。アレか」
 黒い光沢を放つガラスのような質感の球体が天井に取り付けられていた。360度が見渡せる形式の監視カメラだ。彼は自らの体をモチのように伸ばして天井に近付くと、その周囲に文字情報のホログラムを纏う細長い繊維を取り出し、監視カメラの中心部に突き刺した。
「さて、過日のコロニーの姿は一体いかであるか……?」
 監視カメラは映像を中枢のデータベースシステムに送信する機能を持つ。そこから逆に辿り、彼は映像が集積された領域にアクセスした。
 無数の映像データを写したウィンドウのホログラムが周囲に展開される。それらを日付順に並び替えると、無作為に一つを選択する。
 それは宿泊施設の入り口、ロビーの映像だ。設置されたソファーで電子ホログラムの新聞を読み、コーヒーを啜るスペースノイドの男性。チェックインした客に部屋の鍵となる識別カードを笑顔で渡している従業員。この時期はまだ安全だ。
 彼は映像を閉じ、そこからしばらく経った後の日付を選ぶ。それを確認したら、また離れた日付。顕微鏡の倍率を徐々に上げていくように、まずはどの辺りの時期ではもうすでに滅んでいるのかを探るのである。
「まだ無事、無事、無事、無事……む、この日付では滅んでいるからこれより前か」
 彼はロビーの明かりが消え、人がいない映像を見つけた。そこから少しずつ遡り、ある一日のデータを見つける。
 そこでは従業員たちが客の避難誘導をしているようだった。慌てて一方向に走っていく客を従業員が導いていく。宿泊施設側から出てくる客がいなくなると、今度は従業員が走っていなくなった。
 別の地点のデータを見てみると、彼は逃げ惑う人々、それと逆に走る治安維持部隊を見た。彼らが相対しているのは、紛れもなくオブリビオン。無人操縦される帝国の二足歩行戦車だ。
 鎧装騎兵らと二足歩行戦車の戦いが始まった。が、幾多のレーザー、マズルフラッシュの閃光が彼の視界を阻み……大きな爆発とともに、監視カメラの映像が途切れた。
「ふむ、なるほど……この日、二足歩行戦車がここに現れたということか」
 知るべき情報は得た。テクノファイバーを引き抜き、彼は実際の戦いの現場に向かって歩いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ピオニー・アルムガルト
現場百遍という言葉もある事だし、散策ついでにコロニー内を見て回りましょうか。
とりあえず人が集まっていた様なところ公共機関や宿泊施設などで紙媒体があれば新聞とか、キッチンなどで食べ物の賞味期限など調べて物資が滞った攻撃を受けたであろう時期の予測。
あとは外壁外周付近を調べて敵の侵入経路や怪しい部分が無いか、市民の脱出経路・脱出ポッドなどあれば使用の形跡があるか調べてみようかしらね。
もしオブリビオンが居たら一発ぶちかまして逃げるわよ。だって私カヨワイオンナノコダモノー。まあ、敵の勢力も数も分からず律儀に戦うものじゃないでしょう?



 ピオニー・アルムガルト(人狼のウィザード・f07501)は、軽い散策で拾い集めた新聞の日付を確認しながら、コロニーの外周部を歩いて進んでいた。
 それらの日付は散漫で、具体的にどれが最新のものかというものはわからない。だが、割合的にどの日付のものが多いかである程度どれが新しいものなのかがわかった。やはり、件の二足歩行戦車がこのコロニーに侵入したという日。その日付に近い段階が最新のものだ。
 とはいえピオニーが共有して得た情報はその二足歩行戦車の存在だけである。それ以外の敵の詳細は不明のままだ。必要以上にオブリビオン出現地点に近付かぬよう、冷静に距離を詰めていく。
 歩を進める途中で、彼女はやや小さなドアを見つけた。ほとんどのドアが電子ロックされている中、その扉にはパネルがなく鍵穴が付いているだけだ。もしもエネルギーが途絶えた時のための措置だろう。そして、エネルギーが通じなくなっても真っ先に行かねばならない部屋……それは、脱出経路だ。
 そのドアを開くと、中はひどく暗く、空気が冷えてやや薄いのがわかった。コロニー外部が近いのだろう。そこにはシャッターの上がったいくつかの小部屋があり、小部屋の先には硬く閉ざされた金属製の扉とカタパルト。
「脱出ポットは……もう全部使われてるみたいね」
 それは空になった脱出ポットの射出場だった。金属製の扉の先はもう宇宙になっていて、このカタパルトで外に向かって発射したのだろう。つまり、VG-59の客や従業員はある程度の人数が難を逃れたのだ。
 そこを出てさらに外周部を歩いていると、壁に弾痕や爆発によってできた煤が見え始める。何名か、犠牲になったであろう鎧装騎兵の死体がそこにあった。
「あら? この死体は……」
 その死体の状況は、どうにも二足歩行戦車と戦ったものとは思えなかった。ほとんど腐敗し白骨化していたが、首元に薄っすらと何かが巻き付いたような形跡があるのだ。
 二足歩行戦車の攻撃に絞殺はあり得ない。やはり、敵は一種類ではないのだ。死体となった彼らに手を合わせ、ピオニーはさらに進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
廃墟の探索!
何かが眠っていそうで、ワクワクしちゃう!
でもオブリビオンは勘弁ね!

・方針
折角なら一番のレアものっぽい、コアマシンを探してみよう

・行動
水や資材を精製するということから、コアマシンはかなり大きいはず
それを運ぶ水道管や運搬路も然り
そして精製した水や資材を各所に運搬しなくちゃいけないから、運搬するのに1番効率のいい場所は、中心部、だと予想

中央部に進んだら、大きな施設がないか確認
立ち入り禁止とか従業員専用とか書いてある扉があれば積極的に入る
地下への入り口、高所への梯子等、大きな水道管に大きな運搬路等があれば積極的に探索

暗い所はランプの「OLIVE GREEN」で照らして進もう

絡みアドリブ歓迎



 アメリア・イアハッター(想空流・f01896)はひたすらに中心部を目指していた。狙いは一つ、プロモーションビデオでも語られていた、水を精製するというコアマシンである。
 水を作るそのコアマシンはそれを貯蓄、運搬するために水道管などが取り付けられているだろう。パンフレットを見る限り、このコロニーの中で特に水を使用しないという場所はない。つまり、効率的に全体に水を行き渡らせるためコアマシンは中心にあるのが自然だ。
 アメリアはスタッフ以外立ち入り禁止の部屋を見つけ、嬉々としてそれに入った。内部は暗く、道を照らすべく彼女はOLIVE GREENというランプを灯す。宝石のような緑の輝きが、暗闇の中から階段を照らし出した。
「フフフ、ワクワクしてきたわね」
 先ほどまでは壁に額縁や壁紙もあったが、彼女が降りていく階段の道はただ無機質な金属壁があるのみだ。客が来ることを想定していない空間。アメリアの足音だけが上下に広い空間の中で響く。
 階段を下りきる頃に、アメリアはこのコロニーに来て初めて機械の動作音を聞いた。ブーー、という低音が響いてくる。辿り着いた空間にあったのは、全長にして六メートルほどの巨大な円筒形のガラスだった。
「うわー、なにこれ!」
 その空間にはアメリアが降りてきたもの以外にも多数の階段があり、また迷路のように水道管が張り巡らされている。そのせいで、六メートルもの装置を丸々入れるほどの天井の高さにも関わらず、やけに狭く感じた。
 そのガラスの中心には丸型の機械が浮かんでおり、忙しなくグルグルと回転している。その動きは例えるならばルービックキューブのようで、いくつかの関節に沿ってランダムな動きを見せていた。
 それが動くたび、関節部の隙間から水がビチャビチャと漏れ出している。どうやらこれがコアマシンのようだ。
「で……何アレ」
 一転して嫌そうにアメリアは円筒の下を見る。円筒のガラスは所々が割れており、そこから水が滴り落ちている。その落ちた水の先にいるのは、不気味な紫色の光沢を持つ触手だ。
 それらはどうやら水を求めているらしく、コアマシンの周辺で群れをなしている。水が落ちるたび、喜んでいるかのようにグニャグニャとそれらが動く。
 ふと上を見れば、水道管にも何体かそれらが巻き付いているのが見えた。どうやら彼らが水を吸い、中心の装置が割れているためコロニー全体に水が行き渡っていないらしい。
 コアマシンの調査にせよ、他の地点の散策にせよ、これらを片付けない限りは進まない部分があるだろう。
「こういうの、ホント勘弁してほしいんですけど!」
 アメリアは眉をひそめ、辺りの触手たちに抗議した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『未知の触手生命体』

POW   :    触手を斬り裂き、生命体を力づくで駆除する

SPD   :    触手の動きをかわしながら、生命体の弱点をつく

WIZ   :    宇宙船を制御し、冷却用ガスで触手を凍らせたり、宇宙空間に触手を排出したりする

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その頃、猟兵たちはコロニー中の至るところで紫色の光沢を持つ触手を発見していた。それらは一定の生態を共有しているようだ。
 第一に、水がなければ死ぬこと。水道管の内部などに住み着いていることが多く、途中で管を破って天井からひょろりと飛び出していたりもする。しかし、そこから離れられず、体のどこにも水が触れていないと数分で干からびて死ぬようだ。
 第二に、生命体が近付くと襲い掛かってくること。凶暴な性格のようで、人型のものを見つけると頭や首などを積極的に狙ってくる。
 第三に、これらは物理的に破壊すれば殺すことができること。非生物的な見た目ではあるが、これも宇宙の生命らしい。ひどく傷つけられるとそのまま動かなくなる。
 これらの触手はいくつかの通路を塞ぐように繁殖しており、これを片付ける事が調査を進めることだ。猟兵たちは、害獣の駆除に取り掛かった。
アメリア・イアハッター
明らかにやばいですよっていう色してる!
もー! 気持ち悪い!
さっさと駆除しましょ、駆除!

・方針
水を求めているなら敵は水に濡れている筈
敵の体についた水そしてその周囲の水ごと凍らせる

・行動
さっき通ってきた階段には敵はいなかったので、敵の攻撃を避ける時はその階段側に避けることを心がけておく
常にステップを踏んでいつでも飛び退けられるようにしておく

コアマシンを直接凍結させるのは避け、円筒の下の敵を【Ice Cloud】で水ごと凍らせる
必要以上に近づくことはせず、じっくりと凍らせていく
水道管に巻きついてる敵は、水道管ごと凍らせる
水道管が破裂しそうになれば先の階段に退避
なるべく水がかからぬ様に

どんどん冷凍だ!



「明らかにやばいですよっていう色してる! もー! 気持ち悪い!」
 アメリアは若干青ざめた表情で、縛霊手Vanguardを取り出した。音を立ててコアマシンからの水が触手らに振りかかり、彼らの紫色の体が気味の悪い光沢を放つ。
 それらの艶は水が彼らの表面に滴っているためだ。であれば、その水分ごと凍らせてしまえば彼らは死ぬだろう。
「凍てつけ!」
 そう予想したアメリアが縛霊手が冷気を放つと、円筒下部に繁殖していた触手らが徐々に白い氷で覆われ、その動きがゆっくりになり……やがて完全に動かなくなった。
 同胞が攻撃されたことを察した周囲の触手生命体らが彼女の方を向く。その太さや長さがグネグネと変わり、蠕動運動によってそれらが近付いてくる。
「ひぇっキモッ!」
 が、元々さほど近づいていなかったこともあり、それらは彼女のもとに辿り着くよりも前に冷気に凍らされていく。地面に這っているそれらが粗方凍りつくと、アメリアは頭上を目を向けた。大量の水道管とそれに巻きついた触手たち。おそらく内部にも相当数潜り込んでいるだろう。
 今ここで、根本のこれらを凍結させておけば回り回ってコロニー全体の触手達の逃げ道を封じることになるだろう。彼女はブーツ『Kick starter』で凍り付いた彼らを踏み砕きつつ、敵のいない水道管に飛び移った。
 その位置から、冷気が届く位置の別の水道管を凍結。次にまた別の水道管に飛び移り、凍結。触手らは水道管の表面に貼り付けられるような形でそのまま氷漬けとなっていった。
「どんどん冷凍だ!」
 凍結された水道管の一部が破裂し、中からドサドサとみぞれの様な氷と死んだ触手が降ってくる。アメリアはステップしてそれを躱し、次の標的めがけてVanguardを構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四軒屋・綴
やれやれ、はじめましての宇宙人がこれかッ!

選択する行動は【SPD】ッ!個人的には奴等の脅威は『物陰から飛びかかってくること』だと判断したッ!逆に言えば『知能と力はそれほどでもない』はずッ!ユーベルコードで20体の分身を生み出し偵察兼釣り餌にしながら殲滅していくぞッ!こちらが用いる武器は【属性攻撃】で熱を付与した手刀ッ!あの手のウネウネにはてきめんだろうッ!

他には【メカニック】の知識で水道管のラインを見分けて注意しながら進むことと…分身には属性を付与出来るか試してみよう。

……余裕があれば浄水槽の位置を【ハッキング】で調べ調査、想像はしたくないな。

「軍事施設でも居住区でもない……試験兵器か?」



「やれやれ、はじめましての宇宙人がこれかッ!」
 綴は物陰から飛びかかってきた触手生命体を辛うじて手刀で叩き落とし、手の甲で額を拭った。特に汗はかいていないが。
 しかし今の一瞬で、彼は敵の強みを理解した。一体一体の力は大したことはなく、知能も高くはない。そして、体の大半が水分であろうあの体は熱に弱いだろう。厄介なのは物陰から攻撃してくる点だ。綴は自らの両手を赤熱させ、その攻撃力を高める。
「む……そうだ。在・倍・列・車(アルバイトレイン)ッ!」
 綴が握り拳を天に突き出すと、その体の輪郭がブレ、分身体がシュバババと飛び出していく。その数、合計20体。各々、好みのかっこいいポーズをして固まっている。
「よし。諸君には偵察を担ってもらう! 敵は紫色の触手生命体、物陰からの奇襲に留意せよ! あと君らこれできる?」
 綴は赤熱させた手刀を分身らに見せた。彼らもこの触手への有効な攻撃手段を使うことができれば、より殲滅効率が上がるだろう。分身たちは首を捻り、試しに手刀の形を作る。が、その手が熱を帯びる様子はない。
「無理ジョキ!」
「そうか……わかった……」
 気を取り直し、四軒屋部隊は本体の綴を中心にフォーメーションを組み、コロニーを進んでいった。先程温泉を探して練り歩いたこと、そしてメカニックの知識から大まかな水の導線がわかることから、怪しい地点はわかっていた。
 後方を担当する分身が数度触手に首を狙われるが、都度本体の綴が熱を持つ手刀で切断していく。その行軍に隙はなかった。
「しかし、なぜ軍事施設でも居住区でもないここに攻撃を……試験兵器か?」
 その謎を解くためには、やはりオブリビオンが侵入してきた地点に向かわねばならないだろう。そこに行くまでの道には触手生命体も多いだろうが……分身体を信じ、綴は歩を進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箱庭・山岳
◆心情
この触手はオブビリオンがこのコロニーを破滅させるために持ち込んだのか。

◆思案
水に触れていなければ死ぬので水道管から離れられないのなら、通路に細く水を撒いて誘導することも可能だろうか。

エアロックの中に水を入れた樽を用意しそこまで水の「誘導路」を作って塞がれている通路から引き離して、減圧せずにエアロックの扉を開放して気圧差で宇宙空間に放出する事も試せるだろう。

◆実行
バウンドボディで饅頭型になり、棒の先にガラクタで人間の上半身形を作り攻撃を誘引する。
「そしてこれを『誘導路』にふれさせれば水を伝って先に行く……か?」


上手く行かなければウィザードミサイルで焼き払うことも検討する。



「この触手はオブビリオンがこのコロニーを破滅させるために持ち込んだのか」
 干からびた触手を調べ、山岳はそう分析した。自然に発生した生物とは思いがたい。おそらく、帝国の兵器の一種なのだろう。彼は触手が水を求める性質を利用し、何か攻撃に活かせないものかと思案する。そして、外部から宇宙船を接続するためのエアロックを発見し――ある一連の作戦を閃いた。
 扉の前で固まっている触手を発見し、彼は作戦の通りにその前に水を振り撒いた。それに気付いた彼らが近づいてくるのを確認し、更にその先に水を撒いていく。自分の体の一部を疑似餌のように人型に変えるという誘導も忘れない。
「そしてこれを『誘導路』にふれさせれば水を伝って先に行く……か?」
 触手たちからすれば、標的である人型が先にあり、かつ地面に水もある。そちらに進んでいくには十分すぎる理由だった。その誘導は、エアロックの内部まで続いていく。
 エアロックは二層の扉からなる、宇宙船外部との接続口である。このコロニーからの扉はすでに解放されており、その中に触手たちは誘われていく。さらに中には水が満たされた樽が用意され、彼らは警戒もなくその中に飛び込んでいった。
 触手らが全員エアロック内に入ったことを確認した山岳は、その扉を封鎖する。触手らはその事に気付いてもいないだろう。続いて、エアロックから外部……つまり、どことも接続されていない宇宙への穴が開く。すぐさま樽ごと触手生命体が宇宙に放り出され……凍り付いて、勢い良くどこかへと飛んでいった。
「さて、これで進めるな……」
 一応エアロックの扉を閉じて設定を戻し、山岳は元の道を進んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

竜石堂・はつら
わーい、道すがらお掃除していたらうにょうにょがひょっこりと出て来ましたっ!
流石リゾートなお船です、アトラクションもゆるきゃらも完備なんですねっ

良く見たらこれさっき落ちていた子たちですねっ
この子たちを蹴散らせばいいんですねっ
大丈夫、はつらさんこういうのちょっと得意ですからっ

はつらさんブレイドを取り出して、一うにょ二うにょ斬りましょう
良く音を聞いてうにょろんと天井から飛び出て来る触手を壁を蹴って飛び上がって斬ったり避けたり丁々発止ですっ
なんだかお水から離れませんので良い感じの布でささっと辺りを拭いて分断と退路断ちも狙いましょう
あ、さっき拾った子は干からびちゃったんですね

次はどこをお掃除しましょうっ


ピオニー・アルムガルト
行動【SPD】
なんか倒してもニョロニョロ出てきて、台所の嫌われ者黒いGみたいでどれだけいるのかしらこの触手…面倒になってきたぁー、お家に帰ってお風呂入りたいぃー(けど知的好奇心がまだ勝っているから頑張るか!)。よくある映画みたいに不意に上とか後ろから襲ってきたりしないわよね…?

触手は【先制攻撃】で効果のある属性を選択して先手必勝!しかしペース配分は注意しときたいわね。
【追跡】による触手や被害者の形跡の探査、触手が外部・内部から発生したものか生態や群体がどれくらいいるか見極めたいかな。
危険だと思ったら無理はせず他の方に任せる・助けを求めるぐらいの気持ちでいきましょう!



 小規模な炎の嵐が廊下内を吹き荒れる。それに巻き込まれた触手生命体らが吹き飛ばされ、焼け焦げる……が、その炎を感知したスプリンクラーから勢いの弱い水がボタボタと滴り落ちてくる。
 その水に紛れて、天井の小さな穴から新たな触手がドロリと落ちてきた。
「なんか倒してもニョロニョロ出てきて、台所の嫌われ者黒いGみたいで……どれだけいるのかしらこの触手……」
 触手をすでにある程度相手にしたピオニーは、これが外部から持ち込まれ、またある地点に近づくにつれて密度が増えていくことに気付いていた。
 オブリビオン侵入地点と思しきエアロックがパンフレットに記載されている。それに近づくたび、水浸しの通路が増えているのだ。間違いなく本命の場所に近付いてきている。
「よくある映画みたいに不意に上とか後ろから襲ってきたりしないわよね……?」
 その言葉はある種彼女の直感が告げるものだったのか。実際に、ミミズのような動きで彼女の後ろに触手生命体が迫っていたのだ。
 そしてそれが今まさに跳びかかろうというその時――その短い体が日本刀で両断された。
「わーい、道すがらお掃除していたらうにょうにょがひょっこりと出て来ましたっ!
 流石リゾートなお船です、アトラクションもゆるきゃらも完備なんですねっ」
「いや……それはないでしょ」
 現れたはつらは朗らかな笑顔とともに日本刀『はつらさんブレード』を振り回す。紫色の触手はまだまだその場に満ちていた。それを彼女はバタバタと斬り捨てていく。
「良く見たらこれさっき落ちていた子たちですねっ」
「さっき落ちていた……? 別のところにもいたのね?」
「はい! プールのところで干からびてました。しおしおです」
 はつらは脇見で適当に触手を切り払いつつ、周囲の水をいい感じの布で拭き取っていく。彼女にとっては触手を切り裂くことも掃除の一環らしい。
「なるほど。プールに居ついた群体もいたけど、別の集団がより根本のあたりを抑えたせいで水の供給がなくなって干からびたのね。どうも知性に相当難があるみたいだけど」
 はつらはピオニーの話を聞きつつも、僅かな触手の移動音を聞き分け、その場から壁に向かって跳んだ。彼女が元立っていた場所に触手が飛びかかるも、その頃には彼女は三角跳びで真上の天井に到達している。敵を見失ったその触手を、上からはつらと共に降ってきた刀が刺し潰した。
「この子たち、あんまりお水から離れませんね。ちょっと失礼しますよっ」
 さらにはつらは触手らが集まっている場所の水気を拭き取っていく。それは触手にとって退路を断たれる行為であり、同時に彼らの怒りを大いに買った。
 集団で触手が飛びかかる。しかし、元より戦闘力においてはオブリビオンの類には大きく劣る生物だ。見えている位置から攻撃したところで、迎撃体制の猟兵には斬り落とされるのがオチだった。
「さあ、次はどこをお掃除しましょうっ」
「そいつらゆるキャラなんじゃなかったの……?」
 ピオニーの突っ込みは無視し、はつらは先を急いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イロムザック・タイラー
やれやれ、無人の廃墟に謎の触手生物とは気が滅入る光景だな。
とはいえ仕事だ。きっちり片付けんとな。

とりあえず、見えている範囲の触手を反応されない距離から狙撃して少しづつ片付けていく。
この際周辺に破れた水道管及び排水口の類が無いか警戒。
もし進行経路上にそれらがあるなら奇襲に注意して近づき、火炎放射器「Inferno」の銃口を押し付けて放射、内部を焼いてから通り過ぎる。

纏まって繁殖している大きな塊に接触したら【Code:Phalanx】を発動。
やはり距離を置きつつ、複製した「HMG-M2C【ExCaliber】」等の一斉射撃で一気呵成に畳みかけ、仕留める。


六道銭・千里
あー…なんやこれ、なんやこれ…俺の世界のUDCもこんなんおるぞ…


とりあえず駆除やな…
【属性攻撃:炎】の霊符で攻撃して駆除や
水がなかったら死ぬんやったらついでに蒸発させて周囲に水がない状況に追い込めばいい

一応【オーラ防御:結界】で敵の攻撃から身を守ってな…


見えへんところからの攻撃は【第六感】働かせるけど
まぁ、他の猟兵と行動すれば問題ないやろ



「あー……なんやこれ、なんやこれ……俺の世界のUDCもこんなんおるぞ……」
 極彩色の蠢く触手に頭を抱えつつ、千里は霊符を取り出す。目の前の廊下では壊れかけのスプリンクラーが弱々しく水を垂れ流しており、それに集まってきたらしい触手たちが地面にみっしりと集まっていた。
 地獄のような風景に辟易としながら、彼は霊符を投げ込んだ。それは青白い炎を放ち、周囲の触手に火をつけた。直接焼かれた触手はそのまま干からびるが、他の大多数は無傷だ。
 が、その目的は直接の攻撃ではない。その炎は地面に溜まった水分を蒸発させ、彼らの生命線を絶つ。危機感を覚えた触手生命体は跳ね上がるようにしてスプリンクラー付近の管の中に入り込み消えていく。
 その一方で、その行動に怒りを覚えた触手らは彼に向かって殺到した。それに対応すべくオーラで防壁を張るが、触手生命体たちの数の力は千里の想像よりも強く、防壁は数十秒ほどで彼らの体当たりで破れてしまう。
「マズ……!」
「伏せろ!」
 男の声が後方から聞こえた。その声に従い千里が頭を下げると、直後に数発の銃声が響く。彼が再び前を見ると、飛びかかってきた触手らが撃ち抜かれ、その体から煙を放っていた。
 さらに銃撃は続く。触手たちはその攻撃が何によるものかを正確に把握できていないらしく、ただ地面で右往左往するのみだ。十分に数が減った頃、狙撃銃を手にイロムザック・タイラー(過去を失った兵士・f03697)が近付いてきた。
「やれやれ、無人の廃墟に謎の触手生物とは気が滅入る光景だな」
「助太刀おおきに。いやまったく、最悪な光景やでこれ」
「とはいえ仕事だ。きっちり片付けんとな」
 次にイロムザックは散弾銃を取り出す。そこから撃ち出された高エネルギー粒子が活動的な触手らを殲滅した。廊下には未だ数匹が蠢いていたが、千里が水を蒸発させたことでもはやその場に水はない。辛うじてスプリンクラーから水が垂れてはいるが、この程度の量では彼らの命を繋ぐには至らないだろう。
「おっと。先ほどここに逃げ込んだのがいたな」
 イロムザックは火炎放射器をパイプに突っ込むと、そこに炎を発射した。狭い空間の中で炎が暴れ、逃げ込んだ触手を焼き尽くしていく。もはやそこに逃げ場はなく、中の触手はすっかり干からびたことだろう。双方、覗きこみはしないが……。

 さらに進むと、水道管が天井を突き破るようにして出てきている場所を発見する。無論そこは水浸しで、その先の通路を塞ぐように触手が繁殖していた。
「臭うな……普通、あんな壊れ方するやろか?」
「敵がわざと破壊して、触手をここに配置した可能性か。だがどちらにせよ……コード入力……『Phalanx』!  制圧させてもらうぞ!」
 イロムザックのそのコードは多数の敵を殲滅するためのもの。それに応じて、彼の周りに併せて十本の重機関砲が出現した。それらが轟音を立てて触手塊を吹き飛ばし、生き残った個体は千里が霊符でとどめを刺していく。
 嵐のようなその攻撃は壁や床に多数の弾痕を残し、封じられていた道を切り拓いた。その先には何が待っているのか……二人がその前に立つと、自動で扉が開いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『二足歩行戦車』

POW   :    一斉砲撃
【機体各所に搭載した火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レジェンダリーソルジャー
【伝説的な戦車兵を再現したAI】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    胴体下部可動式ビームキャノン
【砲門】を向けた対象に、【ビームの連射】でダメージを与える。命中率が高い。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 監視カメラでオブリビオンが現れたと思しき地点。そこに近づくにつれ触手生命体の密度が上がっていく場所。
 そこには、カメラに写っていた通りの二足歩行戦車がスリープモードで放置されていた。数年前のコロニー戦闘員との戦いで多少のダメージがあるようだが、未だその力は猟兵以外にはとても対処できない総量を保っている。
 猟兵が近付くと、その黒い体にオレンジの光のラインが走り、駆動音が細かく鳴り始める。
『危険度第一級。高エネルギー反応確認。排除開始』
 合成音声と共にがちゃり、がちゃりと脚を動かし二足歩行戦車は猟兵たちの方を向く。
 全身に火器が搭載された、破壊のためだけの帝国の兵器。その力が今、猟兵たちに向けて晒される……!
六道銭・千里
まぁ、まだ動くわな…
壊れとったら楽やってんけどなぁ…

と愚痴はこの辺にしといてこいつも片付けようか、
ここに猟兵以外がおらんのは不幸中の幸いか


こういうかったい物は苦手やな
歩行戦車の足の関節部分を霊符を威力重視で攻撃して動きの制限させてもらうわ
【属性攻撃:雷】で機械ショートとかさせられたらより効率よく
動き止められんかなぁ…

向こうから飛んでくる攻撃は
【ダッシュ】で回避。避けきれん分は【オーラ防御:結界】でな


コアマシンも無事やしまたいつか
昔のようにここが賑やかやった頃みたいになったらええなぁ


四軒屋・綴
《アドリブ改変絡み歓迎》

こいつに罪は無いのだろうが……敵であることには代わりないなッ!

まずは流れを引き寄せるッ!味方と足並みを揃えつつ遠距離武装の一斉発射で支援ッ!同時になにか策を練っている味方がいればかばいに行くぞッ!ダッシュだシケンヤッ!

やはり敵が大型の二脚タイプとなると足を狙いたくなるが……あのゴツい足では狙いを絞らねば時間がかかる……そこで敵の脚部、『踵側の細い支持脚』をユーベルコードで叩き壊すッ!いくらか機動力を削げば味方も動きやすいだろうッ!

「そうは問屋が、だッ!」
「お家に帰って上司に報告でもすることだッ!」


竜石堂・はつら
むむ、なんだか磨きがいのありそうなメカがありますが、とても敵対的です!
余り壁とか壊されてしまうとお掃除が大変になっちゃいますが仕方がありません、一回止まって頂きましょう

こういうおっきい機械さんは、はつらさんアックスで叩くのが良いですね
ぺたぺたと壁を走り一斉砲撃を避けながら近付いて
足をグラウンドクラッシャーでこつんってやりましょう
見た目に頭がおっきくて、転んだら起き上がれなそうな感じなのでドスンと倒しちゃおうと思います
転んだら斧でポカポカと叩いて叩いて叩きまくりましょうねっ
機械さんは叩けばなんだかいい感じになるとはつらさん知っています!

終わったら再びお掃除継続しましょう、ピカピカにしますよ!


アメリア・イアハッター
よかった、でっかいうにょうにょの親玉みたいなのがいるわけじゃなかったのね
廃墟に眠るロボットはロマンだけど、敵なら倒すまで!

・方針
隠れながら後方から攻撃
狙いは足
2足歩行なら片足だけでも奪えれば機動力を奪えるはず

・行動
部屋の影やドアの影、瓦礫等に隠れながら敵の足元に向けて【マジック・ミサイル・ダンス】を使用
片方の足に集中して攻撃
全弾命中せずとも、爆発したミサイルにより地面に穴でも開けば、それはそれで機動力を奪えるかな

ビームは避けれずとも、砲門を見れば狙われているかどうかはわかるはず
狙われてない時は全力で攻撃!

攻撃したら別の障害物の影に移り隠れることを忘れずに
一応触手にも注意して水のある所は避ける



 ゴゴ、と関節が鳴る。歩行戦車のモノアイが動き、機械はまず四人の猟兵をその視界に捉えた。千里、綴、はつら、アメリアの四名だ。
 このオブリビオンを倒すためには、何はなくともまずは接近しなければならない。遠距離攻撃のエキスパートであるこの火器搭載機を、得意なレンジに置いてはならないのだ。
 そのためにはつらはじりじりと近付いてみるが、直後に触手のような柔軟性を持つサブアームがそちらに向き、彼女の足元を薙ぎ払うようにレーザーが放たれる。高温のレーザーにより地面は軽く抉り取られ、煙をブスブスと立てている。
「むむむ、敵対的な機械さんですね……」
 その牽制を皮切りに、頭部が二つに割れる。その中から二つの機関銃の砲門がせり出した。
「ちょ、アレこっち向いてない!?」
 砲門がグルグルと回る。彼らをロックオンした機関銃の轟音が鳴り響き、地面と壁を抉り跳ねる弾丸が破壊音をけたたましく奏でる。
「うおおおっ!?」
 千里、綴は壊れたドアの瓦礫の裏に伏せ、辛うじてそれを回避。はつらとアメリアは、廊下に設置されたリサイクル機能付きゴミ箱の裏に隠れることで一旦難を逃れた。
「ふむ……やはりあの足が要だ。細かな狙いの調整やら追撃のためにあの足を使っている……まずはアレを壊すことからだなッ!」
 綴はメカニックとしての知識を活かし、二足歩行戦車の構造と弱点を見抜いた。その情報は、隠れ潜む四人に共有される。
「策はあるの? つづるん」
「まずは裏に回ることだッ! あの関節を壊さねば……」
「でも、あの機械さん近付くといい感じに距離を取ったりこっちを向いたりするみたいですよっ。後ろには回りづらいです」
「……ほな、まずは壊す前に止める、やな」
 千里が瓦礫の陰から立ち上がり、霊符を構える。同時に戦車は彼を発見した。頭上部がせり上がり、中から長い銃口が顔を覗かせる。狙撃に特化したライフル型だ。
 彼はその霊符に雷の力を混ぜ込み、歩行戦車の右脚部に投げつけた。それは人間でいう膝の部分に貼り付くと、強力な電撃を放つ。
 敵が僅かにバランスを崩す、が、そのライフルの狙いはブレていない。このままでは撃たれる――と、千里の前に綴が立ちはだかり、身を固め弾丸を受け止めた!
「痛ゥッ……だがそうは問屋が、だッ!」
 彼の腕部装甲は破壊されていたが、元よりヒーローマスクのそれは仮初の体。特に彼の場合は体自体がユーベルコードで精製したものだ。盾として使うことに、彼自身なんの躊躇いもなかった。
「サンキュー。ともあれ、これで右脚はしばらく痺れて動かん筈や。高速で後ろに回れば関節も叩けるはずやで!」
「では一緒に突っ込みましょうか、綴さん!」
「あぁ! 後ろは任せるぞ二人ともッ!」
「オッケー!」
 はつらは巨大な斧を取り出した。彼女がそれを構えると、綴はその刃のない面の部分に足をかける。同時に二足歩行戦車はライフルを格納し、再び頭を割ると中から大量のミサイル弾を搭載した発射台が現れる。
 はつらと綴をロックオンしたそれらが一斉に発射されるのと、はつらが勢いをつけ斧を振ったのとは同時であった。そこに足をかけていた綴はその反動を使って地面と水平に跳び、戦車の足と足の間をすり抜けて裏側に辿り着く。
「炉・勁・列・車(ロケットレイン)ッ!」
「マジック・ミサイル・ダンス!」
 歩行戦車が発射した多連装ミサイルが、後方からアメリアが発射した爆発する魔法のミサイルが、綴の両腕から発射されたロケットが舞う。歩行戦車のミサイルとアメリアのミサイルは派手な爆発の炎と共に相殺し合い、同時に綴の攻撃が戦車の右脚部の踵を破壊する。
 敵が大きくバランスを崩したと見るや、はつらは走った。二足歩行戦車も足元が歪んではいるが体勢を立て直し、一本の機関銃を出現させる。
 そのガトリングははつらを捉えようとする。が、彼女はその時地面ではなく壁を走り敵に迫っていた。一瞬、敵のAIは適切な攻撃手順を思考し、行動がフリーズする。そうしている内、ダメージの蓄積した右脚部と機関銃の砲身にアメリアのミサイルが命中する。それは一発ずつではあったが、敵の呼吸を乱すには十分であった。
「油断大敵、だぞ。いっけー!」
 はつらは再び壁を蹴り、戦車の後方に降り立つ。
「てりゃー!」
 巨大斧が、真正面から右脚の膝の裏部分に命中した。地形を砕くその一撃を弱点の関節にまともに喰らい、二足歩行戦車の脚が折れる。その脚ではもはや、二度と立つことはままならないだろう。
『脚部損傷。被害甚大』
「フッ……お家に帰って上司に報告でもすることだッ!」
 オブリビオンはその最大の強みを失い、単なる固定砲台のような状態になった。……だが。
『戦闘任務、継続……可能! 排除を続行する』
 そのモノアイは未だ猟兵たちを睨む。サブアームは未だ照準を定める。敵はまだ、沈黙してはいなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
うーん、どう見ても射撃メインの敵よね……
こっちの攻撃範囲に捉えるまでは一方的に撃たれるけれど、どう凌ごうかしら。

兎にも角にも、距離を詰める。
この時「怪力」「武器受け」技能を活用して大剣「零式・改二」や「丸太」を盾代わりに構えておく。
準備が出来たら、照準を定められないようなるべく横に動きながら距離を詰めていく。
真っ直ぐ近づけば早いけど、その分狙い撃ちされるものね。
ジャンプもできるだけ封印。着地硬直晒すのは致命的と見た。
射角や旋回速度次第だけど、できるだけ敵の火器の死角に入るよう注意するわ。
いよいよ肉薄出来たら【螺旋鬼神拳】を発動。
「鎧砕き」技能を活かし、装甲の繋ぎ目を狙って思い切りぶん殴るわよ。


ピオニー・アルムガルト
ちょっぴり調子もなんか良い感じだし【先制攻撃】【属性攻撃】【全力魔法】で二足歩行戦車に先制炎の嵐【エレメンタル・ファンタジア】!!開幕全力ぶっぱは魔術師的なジョブの華だと思うの!え?そう思うのは私だけ?
コロニーの戦力を無力化したのだから油断はしていないけど…なんかモノアイが私の目線と合って『あー…おはようございます?』って挨拶してる場合じゃないわね…逃げないと自慢の毛並みが焦がされちゃうかも!?
『メーデメーデSOS!私はここに居るわよ!へるぷみー!!』とにかく助けを求めないと私だけじゃ無理!!
助けられたらちゃっかり一転攻勢!機械に言っても無駄かもだけど貴方に討たれた人達の無念果たせてみせます!



「ふっ、どうやらもう壊れかけね? ならばここぞとばかりに全力!」
 ピオニーが杖を振り上げると、そこに魔力の奔流が巻き起こる。風圧の中に火の粉が混ざり、炎の嵐が発生。そのまま動けなくなった二足歩行戦車に向かって突っ込んだ。
 その熱の中に閉じ込められた戦車の様子は伺えない。旋風が消えたのは、コロニー内のスプリンクラーが作動し水を放出したためだった。粗方の触手を片付けたことで水を利用する機能が復活したのだろう。
 炎が消えると、中から赤いモノアイの光が淡く見え始める。それはまっすぐにピオニーの方だけを見つめていた。
「あー……おはようございます?」
 敵に怒りの感情があったか否かは不明だが、少なくとも戦車は彼女だけをロックオンしていたようだ。モノアイの他に更に二つ、ゆらゆらと動く赤い光が浮かび上がる。それは柔軟なサブアームの先端に取り付けられたレーザーの射出機であり、照準器である。
「メーデメーデSOS! 私はここに居るわよ! へるぷみー!!」
 戦車の頭部が割れ、機関銃が中から現れる。それが空転を始め……弾が撃ち出される直前に、つかさが彼女の前に立ち丸太と大剣「零式・改二」を目の前の地面に叩きつける。
 それらの巨大武器は弾丸を弾いていく。とはいえ、敵の残弾数も不明。武器の耐久も無限ではない。特に丸太はそもそも木なので、いくら太くとも次々に弾丸が食い込みほとんど折れそうになっている。
「今のうちに隠れて!」
「あああ、ありがとー!」
 ピオニーはシャカシャカとその場から離れ、瓦礫の後ろに隠れた。それを確認し、つかさは零式・改二を引き抜く。丸太を犠牲にその陰から飛び出し、大剣を盾にしながら戦車に向かって走る。
 戦車の装甲はピオニーの火炎によってところどころが溶け、ボロボロになっていた。特に傷ついているのは外装よりも内装だ。普段は閉じられ、今は武器を出すために開いている頭部のパーツ。そこにあと一撃叩きこむことが出来れば、敵を沈黙させられるはず。
 戦車頭部より、さらに一本の機関銃が飛び出してくる。あと約五十メートル。つかさはさらに加速するが、その懐に入り込むより前に弾丸が発射された。
 彼女は大剣にすっぽりと身を隠すようにして弾を防御する。剣越しに激しい衝撃が身体に伝わり、思わず手を離しそうになる。
 だがそれでもつかさは大剣に身を隠したまま、蟹歩きで横に動く。それを追尾して機関銃が旋回する。再び反対に動くと、これもまた追尾される。……そろそろ、剣を防御に使うのも限界が近い。彼女は賭けに出た。
 彼女は大剣を上に向かって投げた。それを機関銃が素直に追尾するかどうか賭けであったが、どうやらそれは成功した。大剣に照準を合わせたままだった戦車は後ろに誰もいなくなった大剣を空中で射撃する。
 その隙に、つかさは身軽になった体一つで突撃する。今さら防御は間に合わない。なんとかサブアームが彼女を捉えようとするが、それより先に、彼女は戦車の開いた頭部の中に飛び込み……螺旋鬼神拳を叩き込んだ!
『Error……Error……! 損傷、損……』
 歩行戦車は途切れ途切れの合成音声を放つ。つかさの拳の周りには破損した金属が溢れ、火花を散らしている。ほんの少し機関銃が旋回し……やがて戦車の全身に走っていたオレンジの光が消灯した。

 こうして、リゾートコロニーVG-59を襲った二足歩行戦車、およびそれが持ち込んだ触手兵器を猟兵たちは退治した。
 幸いなことに、コロニーにも元いた従業員の多くはすでに脱出ポットで逃げ出していたことも判明している。水道管はほとんど壊れてしまったが、その根本にあるコアマシンは未だ健在だ。
 もしここを復興させようとすれば、非常に長い時間がかかるだろう……だが、不可能ではない。いつの日か、またこのリゾートが人々の心を癒やす日が来るかもしれない。
 後の事は現地住民に任せることとし、猟兵たちはグリモアベースに帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月22日


挿絵イラスト