9
碧天氷映の彼方

#アックス&ウィザーズ #群竜大陸 #天空城 #天空城の戦い

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#群竜大陸
🔒
#天空城
🔒
#天空城の戦い


0





 その地方には、時折、水空の雲が現われた。
 専門家が言うには、氷の大地で見られる現象なのだという。
 光が反射する氷映の雲――更に映すは薄暗い縞模様。
 ある日、キラキラと空が反射していることに地域の者は気付いた。
 空に現れた氷塊――否、巨岩を覆う氷の群がそこにはあった。


「それは、天空城の周囲に浮上する巨岩群なの。
 皆さんは、多くのクラウドオベリスクを破壊したきたわけだけれど、そのおかげで『帝竜ヴァルギリオス』が世界に掛けていた、群竜大陸の所在地を隠す巨大幻術『クラウドヴェール』が破れはじめたみたいね」
 グリモアベースへと入った猟兵たちを、ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)が出迎え、説明を始めた。
 幻術が破れはじめたことで、出現した天空城。
「アックス&ウィザーズにお住いの方は、こんな御伽話を聞いたことがあるんじゃないかしら?
 『かつて戦乱に明け暮れていた古代帝国が、魔力の暴走により天空に放逐された』という話。
 勇者の末裔や、探検家がそこを目指して冒険する御話も、いくつかあるわね」
 今回、目指してもらいたいのは、天空城の制圧だと彼女は言った。
「浮遊する巨岩群を進んでいると、オブリビオンの群れが現われるわ。
 敵集団を撃破しつつ、元は氷の力を司る古代帝国の城内部へ。
 そしてその広間に陣取るオブリビオンの撃破をお願いしたいの」
 天空城およびその周辺の巨岩群は氷に覆われている。
「浮遊する巨石群を渡って進むことになるけれど、空が飛べれば幾分は楽かしらね……魔法の気流も渦巻いているし、万能とはいえないけれども」
 出発地点の大地から上空へと続くように浮上する岩――上に行くにつれ、寒くなる。
「この元帝国の売りは氷の技術なの。
 透明度の高い、力ある水を氷らせ鉱物質へと変化させ、ターコイズブルー色の魔石を量産していたみたい」
 巨岩群、天空城と至る所で魔石を見つけることが出来るだろう。
「天空城に眠る古代の財宝を発掘する、ってなかなか出来ないでしょう?
 探索して採取してみてはどうかしら?
 ――とはいえ、出現するのは油断できない敵ばかりよ」
 天空城を護るべく、現れる『ブリザード』は自身の力を使い、空中を自在に動く。
 城内に陣取る『不死獣・生命を叫ぶもの』はその不死性故に満ち溢れる力を、全力で猟兵たちにぶつけてくるだろう。
「それじゃ、十分に気を付けて。――ご武運を」


ねこあじ
 ねこあじです。
 天空城を目指し、敵を倒し、あと古代の財宝も獲得しようぜ!
 という感じのシナリオとなっています。
 今回はよろしくお願いします。

●第一章
 天空城を目指して進みましょう。
 上に行くにつれ、巨岩は氷に覆われ、魔石もそこで採取できるかと思われます。

 二章、三章は戦いとなります。

 それでは、プレイングお待ちしております。
158




第1章 冒険 『天空城をめざして』

POW   :    気合や体力で気流に耐え、巨岩を足場に進む

SPD   :    素早く気流を切り抜け、巨岩を足場に進む

WIZ   :    気流を見極め、回避したり利用したりしながら巨岩を足場に進む

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鳴海・静音
古代の財宝だァ?そいつは黙っちゃいられねぇなァ!
まさかまた宝探しができるとは思ってなかったぜ
…ってもあくまで「私」は海賊の記憶を持った鳴海静音だ、海賊とは別人…つまり本当は初めてな訳だが
まぁ細けぇ事はいい…行くぞ野郎共、俺について来いッ!

さーて、まずは城まで行く方法だよなァ…
ちまちま岩の上跳んでってもいいんだが…一つ派手に行こうじゃねぇか!
『亡霊の号砲』!亡霊船で空の海を行くぜ、出航だ野郎共!
本来とは使い方が違うんだが…気にすんな
気流だァ?ンなの嵐と何の違いがある?いつも乗り越えて来ただろうがァ!
さぁ行くぜ!…落ちそうな奴ァついでに拾ってやる

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ



 遥か空の彼方に見える地。
 それを取り巻くように、浮上し流れるは岩や石の群れだ。
 アックス&ウィザーズの地に降り立った鳴海・静音(不思議の国の亡霊船長・f19460)は、携帯望遠鏡で天空城が在ると思わしき『大地』を見る。
 こくりと喉が鳴った。
 緊張か高揚か、よく分からない気持ちで胸がいっぱいになる――その時、
『船長、船長、あそこにお宝があるんで?』
 手下の声にハッとした静音は、即座に「ああ」と応じた。亡霊海賊のコートに折りたたんだ望遠鏡を仕舞い込む。
「古代の財宝が眠っていると聞いちゃあ、黙っちゃいられねぇなァ!
 まさかまた宝探しができるとは思ってなかったぜ」
 にやりと笑む静音に同調するは亡霊の手下たちだ。
『応!』
『ええ、ええ! わたくし、船長と共にまた探検ができること、とても喜ばしく思います!』
「……っても、あくまで「私」は海賊の記憶を持った鳴海静音だ」
 本当は、初めてとなる宝探し。
 記憶を持たぬ少女、静音は、記憶に在る亡霊船長そのままの言動で言うのだが手下たちにとっては些細なことらしい。
『では宝探しの初陣ですね!』
『行きやしょう、船長!』
「……まぁ細けぇ事はいいか――行くぞ野郎共、俺について来いッ!」
『『『おおっ!!』』』
『――でも、船長、あのお城までどうやって行くんで?』

 ――。

「それだよ。まずは城まで行く方法だよなァ……」
 細く小さな顎に、小さな手をあて思考する静音。そんな彼女を手下たちは見守り、言葉を待つ。
「ちまちま岩の上を跳んでってもいいんだが……」
『それ船長が息切れしてしぬやつぅ』
『俺らは、結構、ひゅんって飛んでいけそうな気がします』
 茶々を入れてくる手下たちを、ぎろりと静音が睨む。呪われたカットラスを叩けば「ガチャッ」と音が立ち、手下たちはびくっとする。
 静音は柄を握った。そして「ハッ」と呼気を鋭く嘲笑するように。
「一つ派手に行こうじゃねぇか!」
 刹那。
 ざん! と波打つ海の音が、聴こえた気がした。
 ユーベルコードを展開し、亡霊船となった自らの海賊船を呼び出す静音。
 大地から、静音と手下たちの体が浮上するように離れていく。
 否、彼らの足元に現れたのは甲板だ。
『さっすが!』
『カッコカワイー船長ぉぉ!』
 ピュイッと口笛が鳴り響き、やんややんやと手下たちが騒ぐ。
「亡霊の号砲! 亡霊船で空の海を行くぜ、出航だ野郎共!」
 カットラスを鞘から抜き放ち、手下を鼓舞するが如く。
「目標、天空城! ――錨を上げろォォォ!!」
 ガラッと巻き取り音。ばさりと羽撃つような音を立て帆が張る。
『面舵いっぱあああい!』
 手下の声とともに船首が右上を向き、船体がぶわっと浮上する。
 空へ繰り出す、海賊船。
『しっかし船長、帆が岩にやられちまう気がするんだが……!』
「なァに言ってやがる。これは亡霊船だ。岩や石礫は通り抜けるもんだろ?」
『あ、そうか。って、船長は避けてくださいね!!?』
「おー」
 ぐんぐんと浮上し、空を行く海賊船。空の青は、不思議と海の青を連想する。
『報告! 前方、巨岩がぶつかり合う流れ有り!』
『あれが魔法の気流でしょうか?』
「気流だァ? ンなの嵐と何の違いがある? いつも乗り越えて来ただろうがァ!
 取舵ィ! 思いっきりだ! 船首を上げろ!」
『押忍!!』
 ガラララッと舵が回る音。次の瞬間、船首が跳ねあがり、海賊船は急上昇。
「どんどん行くぜ! ――おっと、観測は抜かりねぇようにな! 落ちそうな奴を見つけたら報告!」
 そう言う静音も望遠鏡を取り出して、周囲を見ていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

小宮・あき
力ある水を氷らせ鉱物質へと変化。これが魔法で無く技術とは。
魔石ですか、マジックナイトの弟なら、何か役立てる事ができるかも?
1つ、いえ、できれば2つくらい、採取したいなぁ。

UC【かつての友】
「アマネさん、手伝ってくれませんか?」
黒豹アマネさんに装備「フック付きワイヤー」を咥えていただいて、
命綱の代わりに。アマネさんに先行して貰い足場の確認をしつつ進みます。
気流に気を付けて。

なるべく大きな、動きの緩やかな岩を選ぼう。
氷で滑るかも…、崖を登るときは杭を指しながらしっかりと確認して進もう。

脚武器レガリアスシューズの効果を利用しながら、ダッシュ・ジャンプ等を駆使。
時には岩にしがみついて、腕の力と併せて。



 アックス&ウィザーズ世界。
 この世界でたくさんの地を巡り、幾度となく幻想的な風景を目にしてきた小宮・あき(人間の聖者・f03848)。
 遥か上空の彼方に鎮座するとされる天空城――澄みきった空には大きな岩や石の群れ。
「力ある水を氷らせ鉱物質へと変化。――それが魔法では無く、技術とは」
 実際に目にしてみたいと、あき。
 目前の浮遊する岩に触れてみれば、確りとしていた。つまり、揺れ動かない。一つ目の足場としては最適だろう。
 その時、黒豹のアマネの視線を感じ、あきは腰元に手をやりフック付きワイヤーを取り出した。
「アマネさん、手伝ってくれませんか?」
 先端のフックを、はくっと咥えるアマネ。軽く跳躍し、前脚を岩の突起に掛けその身を躍らせた。ひらりと難無く岩上へ。
 アマネはあきの登りやすい位置を辿るようにしたのだろう。――見下ろしてくるアマネに頷くあき。

 一つ、一つ、浮く岩を足場に少しずつ上へ向かうあき。
 あまり動かない岩は体勢を立て直す刹那の拠点。
 動く岩は交差する瞬間を狙い、ジャンプ。
 魔法の気流は岩々を観察すれば、すぐに捉えることができた。
 急流と緩流の差。
「アマネさん、あの岩はどうでしょう?」
 あきが指差す一つの巨岩は、ふわふわと緩やかな上下運動をしながら、ゆっくりと流れてくる。時折光を反射しているあたり、氷に覆われているのだろう。
 同じ気流に乗っていると思われる岩を見ていると、やや天空城へ近付く弧を描いていた。
 アマネはじっとその岩の様子を見て、たしたしと尻尾を振った。
 タイミングを計っている。
 ぐっと下へ沈んだ瞬間を狙い、跳躍するアマネ。追うようにレガリアスシューズで弾みをつけジャンプするあき。
「……っ」
 氷に覆われた岩を掴むより早く、その手は巨岩に杭を打ち、そのまま全身で推進を受け止めるように。
 アマネの持つワイヤーに補助されながら、岩を登りきったあき。
 冷たく、硬い氷の感触。
 その中で、ふと気付いたものがあった。
 白の氷の結晶の間に、空色。
「ターコイズブルーですね」
 澄み渡る空の色。
 端的に青といえども、青の色は幾つもある。オーロラのように濃淡のある石がそこには沢山あった。
 あきの水色の瞳に濃淡が映りこみ、輝石のように。
「これが魔石ですか。――マジックナイトの弟なら、何か役立てる事ができるかも?」
 あきは呟いた。
 じっとしていても、僅かな煌きが石の中で動く。
 何かしら魔石は、結晶を通し力を伝導しているのだろう――力を込めれば、増幅器の役割をするのかもしれない。清らかな流れだ。
 一つ、持てば石の冷たさは、ひんやりとしたものへと変化する。決して溶けない、少しだけ冷たさを感じる『氷』だ。
「1つ、いえ、2つほど採取していきましょうか。少し待っていてくださいね、アマネさん」
 あきの言葉を聞き、座ったアマネは咥えていたフックを足元へと置いた。
 ちょっとした休憩だ。
 ふわふわと浮上する巨岩の一つにしばしの滞在。ふと、あきが見回せば、雄大な空と大地。
 地平線は遥か遠くまで。
 共にこの地へやってきた猟兵たちが、様々な方法で上を目指す。
 あきはピンクの髪をなびかせ、天空城があると思われる地を見上げた。
 アマネがあきに寄り添い、そのしなやかな黒豹をあきは優しく撫でた。
「頑張りましょうね、アマネさん」

成功 🔵​🔵​🔴​

マリス・ステラ
リーゼ(f00755)と参加

【WIZ】ダウジングでルートを探る

「親方! 空から女の子が!」

何をしているのです、リーゼ?
ちゃんと受け止めますから空から降って来てください

「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
光は鎖を辿り星枢のペンデュラムが揺れ始めた

「星は見えずとも常に宙にあるのですから」

星の輝きと風を読むリーゼが導いてくれる

「風の道標、リーゼにはそれが視えるのですね」

岩から岩へ空を跳ぶ
巨岩には魔石が含まれていると言います
背の聚楽第の白い翼が音もなく広がる

【神に愛されし者】を使用

リーゼを抱きしめて共に空を翔ける

「風の歌が星の道を開いてくれます」

今こそ『封印を解く』時です


リーゼ・レイトフレーズ
マリス(f03202)と行動

【WIZ】
いやー、天空城とそこに眠る財宝
ロマン溢れる展開にワクワクが止まらないね
「天空城は本当にあったんだ」
そう言って高所からマリスへと身を投げる

さて、遊びも程々に巨岩群を登っていこうか
丁度いい具合に風も吹いているし、今回は私も力になれそうだ
長距離狙撃をするには風を読む必要があるからね
気流の動きを見切り、風に乗り地形を利用することは容易いってわけさ

マリスのダウジングでルートを選び
私が風を読んで安全に岩を渡る
マリスの手を取り、せーので岩から岩へと跳躍
成功したならやるもんでしょ、と得意げに笑みを浮かべる

マリスに抱きかかえられたら
「君は相変わらず綺麗だね」
その音も、姿も



 アックス&ウィザーズの本来ならば遮るものが無い広大な青空に浮かぶ巨岩群。
 流れる雲を裂き、浮上し、または気流に乗っている岩が緩やかに動いている。
 その中心に大きな岩地があることが、遠目に分かる。
(「いやー、天空城とそこに眠る財宝。ロマン溢れる展開にワクワクが止まらないね」)
 微かに微笑むリーゼ・レイトフレーズ(Existenz・f00755)。
「天空城は本当にあったんだ」
 そう言って軽やかな一歩。その先は大地がなく、リーゼはふわりとその身を空に躍らせた。
「親方!  空から女の子が!」
 決して汎用性が高くない言葉をマリス・ステラ(星を宿す者・f03202)がここぞとばかりに放った。
 星の加護が働き、マリスの周囲が一瞬耀く。
 リーゼは小さな星々に包まれ、やや浮上する感覚を覚えたところで、マリスの腕が彼女を大地へと促した。
「何をしているのです、リーゼ? ちゃんと受け止めますから空から降って来てください」
「ええ? 思いっきり?」
「思いっきりです」
 もっとジャンプして、もっと高いところから。
 真顔で頷くマリス。
「えーと、またそのうちにね」
 正式なリテイクが掛かる前に、さて、とリーゼは話の流れを変える。
「遊びも程々にして、巨岩群を登っていこうか」
「わかりました。――主よ、憐れみたまえ」
 マリスが祈りを捧げれば、星辰の片目に光が灯った。それは星の形をしている。
 光が鎖を辿る――。一筋の、小さな流れ星のように。光が先端へ到達すれば、星枢のペンデュラムが揺れ始めた。
「星は見えずとも常に宙にあるのですから」
 質量、重力と、『星』を司るマリスは見えているものが違うのだろう。空を見上げた彼女の瞳は、選別を行う者のそれだ。
「ん、二人の力を合わせれば、困難な道もそうじゃなくなる。丁度いい具合に風も吹いているし、今回は私も力になれそうだ」

 岩から岩へ、渡っていくマリスとリーゼ。
 魔法の気流は時に一つ、時に交差し、複雑な渦を巻く一帯もあるようだ。
 小さな石を拾ったリーゼが空へと送れば、ひゅ、と石は弧を描き右上へと流れていく。
「風の道標、リーゼにはそれが視えるのですね」
 それを見送るマリスが言えば、リーゼは頷く。
「長距離狙撃をするには風を読む必要があるからね。
 気流の動きを見切り、風に乗り、地形を利用することは容易いってわけさ」
 上方から圧を掛けるような気流が、下方の気流を削ぎつつ徐々に迫ってくるようだ。
 枷がなくなり放たれた時の瞬間風速は強いものとなるだろう。
「この場に留まるのは危ないね。行こうか」
「此方の方角が、安全なようです」
 星枢のペンデュラムの揺れを見て、マリスが言う。この先に起こるであろう吹き溜まりを教えてくれた。
 しばらく進むルートを決定し、再び岩から岩へ。
 マリスの手をとり、せーの、と声を掛けてリーゼがタイミングを促す。
 緩やかなに流れてくる岩へと飛び移り、成功した暁には「やるもんでしょ」とリーゼは得意げに笑みを浮かべた。
 次に着地した岩は、上部が氷に覆われていた。
 ここから先は氷塊のような岩が多い。
「巨岩には魔石が含まれていると言います」
 そう言って、上を指さした。
 感じ取れる力は、清らかなもの。
 清水を結晶化させ、清廉な力が高められているターコイズブルーに微かな光が流れた。
「あなたが感じなくとも、神はあなたを見ています。――ともに」
 聚楽第の白い翼が音もなく広がる――マリスがリーゼへと手を差し伸べた。
 輝きが増したマリスの、ほっそりとした白い手をとるリーゼ。
 ふわりとリーゼを取り巻く重力が動いた。
 難なくリーゼを抱きかかえたマリスは、空へ。
「風の歌が星の道を開いてくれます」
 空を翔ける光。
 先程までそこにあった冷たい風も、薄い空気も遠ざかり、仄かなあたたかみをリーゼは感じとった。
「君は相変わらず綺麗だね」
 その音も、姿も――リーゼは傍らの光へ寄り添うように。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四王天・燦
大きなリュックを背負って参上。
盗掘する気満々。
取らぬ狸の皮算用状態だ

いきなり真威解放・神鳴。
ちっと痺れるが電撃耐性で我慢して一番乗り狙いさ

「残暑厳しかっただろ…南半球かよ」
変身時の防寒性のなさに加え、寒風が辛くて後半は自力クライミングに切り替え。
リュックからスパイクを出して靴に装着、防寒具着用

失敗作の符を風に流し気流を読む。
跳べば届く難所は力溜めして風に乗りジャンプ!
そのまま滑落しないよう素早く楔を打ち込んで掴まるぜ

足を滑らせたら空中浮揚+水泳で岩まで空中平泳ぎ!
無理なら再び真威解放

「持ってきて良かった…んまっ♪」
狐火(属性攻撃:炎)で湯を沸かしカップ麺(きつねうどん)を食べて気力回復させるぜ



 遠く。
 空を見上げた四王天・燦(月夜の翼・f04448)が目を細めれば、大きな岩地が見えた。
 キラキラと光に反射している。それを中心に浮上するは巨岩群。更に弧を描きゆっくりと流れるは石と岩の群れ。
「さーて、狙うは一番乗りだ」
 金の瞳が爛と輝く。燦はニッと笑みを浮かべ、大きなリュックを背負い直した。
「御狐・燦が願い奉る」
 燦が玲瓏とした言を紡げば、周囲が陰る――彼女の頭上に渦巻く黒雲が発生した。
 凛とした佇まいに取り出すは神鳴。刀を立て、腰差す動作。
 刃を鞘から抜き放ち、
「今ここに雷神の力を顕さん」
 瞬間。耳を劈く一筋の落雷。掲げた神鳴を通し、雷気が燦の身を駆け巡る。
「……ッ」
 一瞬だけ、眉を顰めた。
 だが強張ろうとする筋肉を駆使し、一刀を振る。
「神鳴――真威解放!」
 放たれた余剰な雷気が、空で弾け霧散する。
 刹那に凛々しくも煌びやかな戦装束、紫電を帯びた天女の羽衣を纏った燦。
「これでよし、と」
 飛翔能力を得た彼女はふわりと浮上し、空を翔ける。

 群れる石群を避け、上へ上へ――しかし直ぐに彼女は手近の巨岩へと降り立った。
 低空層ではただの岩の群れであったが、中空辺りから氷が張っている。
「残暑厳しかっただろ……南半球かよ」
 思わず悪態めいた台詞が漏れてしまう。びゅうっと冷たい風が吹き、羽衣がはたはたとはためいた。
「……~~っ」
 リュックから防寒具を出した燦は手早く着用し、次に出したスパイクを靴に装着した。
「はあ、ちっとは落ち着いたか? ――さて」
 自らの体温で服の中が温まってきたところで、霊符を一枚。失敗作の一枚だ。
 それを空に放てば、魔法の気流が鋭く攫っていく。
 更に一枚、二枚。
 交差しぶつかった気流の吹き溜まりがある。解けた流れは、八方へ。複雑な一か所だ。
「向こうは避けた方が良さそうだぜ」
 次の岩へと跳躍し、上を目指す。
 ぐっと力溜めして、気流を利用し次の岩へ。
 滑落しないよう、楔を打ち込み、ほっと息を吐く。
「おお、氷の大地みたいだな」
 這上った場所は、氷の丘がひとつ。常に一定方向へと流れているのか、横向きのつららが形成されていた。
 その影で休憩をとることにする燦。
 座ろうとした場所の近くには吹き溜まりがあり、いくつもの魔石らしきものが転がっている。
「へえ、色んな青色があるんだな」
 水色、空色、濃淡ある青の層。『青』で作られたオーロラのようだ。
 それらをリュックに詰めたあと、水筒の水を椀へと移した。
 手で椀を包みこみ、狐火をおこすことしばし――。
 沸いた湯を、カップ麺へと注いだ――きつねうどんだ。直ぐに美味しそうな匂いが立ちのぼり、燦の狐耳がぴこりと動く。
 蓋をして、ちゃんと三分待つ。いただきますをして、いざ。
「持ってきて良かった……んまっ♪」

成功 🔵​🔵​🔴​

レナータ・バルダーヌ
音速飛行で一気に天空城まで、と思いましたけど、魔法の気流ですか……。
運が悪いと岩に激突しそうですし、ここは慎重に行きましょう。
形成した炎の翼の一部を【B.G.ブロッサム】で花びらに変え、風に流すことで進路の気流を読みながら飛行します。

だ、だんだん寒くなってきました……。
防寒具は持ってきてませんし、炎の能力も暖を取るほどの余力はなさそうです。
やっぱり一気に抜けたほうがよかったでしょうか……?
魔石には少し興味がありましたけど、採取していたら風邪をひいてしまいそうです。
個人的にはこれといって使い道があるわけでもないですし、お城にもあるとのお話でしたから、着いてからにしましょう。



 青々とした空を遮るは浮遊する巨岩群。
 レナータ・バルダーヌ(復讐の輪廻・f13031)は目を細めて、上空を見上げた。
 天空城があると思わしき巨岩。それよりも低空域は岩や、石、時に礫としてゆっくりと旋回しているのが分かる。
「ひとまず、行ってみましょうか」
 炎の翼を形成させ、レナータはふわりと浮上した。方向を決め、一度羽ばたけば彼女の身は空の中へ。緩やかな上昇。
 とん、と小さな岩に降り立ち、それを土台に弾みをつけて更なる飛翔。
 ほぼ滞空状態となっている低空域は――緩やかだ。
 足場を確保しつつ、周囲の様子を見ながらレナータは上へと向かう。
 問題は、ここから先だろう。
 少し大きめの岩に降り立ったレナータは再び、確認するように上空を見た。旋回する岩一つを観察する。
「音速飛行で一気に天空城まで、と思いましたけど、魔法の気流ですか……」
 ほんの少し考えたのち、レナータはユーベルコード・B.G.ブロッサムを発動させた。
 炎の翼から、ひらり、ひらりと一枚二枚――複数枚の花びらが流れていく。途中、攫われるように加速する。
「運が悪いと岩に激突しそうですし、ここは慎重に行きましょう」
 魔法の気流は、一本だけならば読みやすい。
 交差を重ね、吹き溜まりとなった地帯では花びらたちが強く弧を描き、竜巻のような形であると教えてくれた。
「あちらとは逆方向へ進みましょうか……」
 花びらで気流の進路を読みながら、進む。

 中空域を半ば過ぎた頃合であっただろうか。
「だ、だんだん寒くなってきました……」
 ふるりと身を震わせて呟くレナータ。
 防寒具は持ってきてませんし――と思わず自身の炎の翼で暖を取ろうとするのだが、その余力もなさそうだ。
 既に周囲の岩々は氷に覆われていて、余計に風が冷たく感じる。 
「やっぱり一気に抜けたほうがよかったでしょうか……?」
 そう言って周囲を見渡せば岩々の景色のなかに、一際目を惹くものもある。
 ターコイズブルー色の結晶――魔石だろう。
 ううーん、とレナータは迷いの声を上げるのだが、
「魔石には少し興味がありましたけど、採取していたら風邪をひいてしまいそうです」
 こくりと頷いて、そう判断した。
「個人的にはこれといって使い道があるわけでもないですし、お城にもあるとのお話でしたから、着いてからにしましょう」
 天空城を目指し、更なる飛翔を行うレナータであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シュデラ・テノーフォン
瑠碧ちゃん(f04280)と

やぁ涼しそうな空だね
狩りとお宝探し頑張ろうか
翼広げて空へ

飛ぶ事多いし気流の読みは慣れてるよ
毛並みに触れる風の動きとか、まァ野生の勘かな
楽な流れに乗って…おや強いの来そうだ、瑠碧ちゃん俺の後ろに
指輪の盾を展開して防ぎ、風の精霊弾を放ち相殺
ん?はは、気にしないで
コレでもパラディンだからね、盾に成れて光栄だ

着地できる岩を選んで進みがてら魔石も探そうか
瑠碧ちゃんは精霊魔法の使い方上手だね、俺も見習おう

もし足場崩れても飛んで回避
瑠碧ちゃんがバランス崩したら支えに行くよ
俺のフォローも有難う、助かるよ

魔石は精霊弾と剣で切り崩せるかな
硝子と相性良さそう
持ち帰ったら色々加工したいなァ


泉宮・瑠碧
シュデラ(f13408)と

氷や城も綺麗だろうな
水から氷へと出来た魔石も

僕は風と氷の精霊へ願い精霊羽翼で飛行

気流は
上昇へ変えて緩やかになるよう風の精霊へ
流れは花弁を作り風に乗せて読む

強い流れが来たらシュデラの後ろへ
…正に盾にして、すまない
ありがとう

途中で魔石も探そう
着地後は滑り防止に
水の精霊へ足場から少し水を避けていて貰う
僕は魔法というか…友や身内へ頼む感じだな
シュデラも好かれそうな気はするが

バランスを崩せば浮いて転倒落下は防ぐ
腕力的にシュデラを支える自信は無いので
体勢を直す補助を頑張る

魔石の採取で砕く必要があれば
氷と水の精霊へ魔石を離して貰う様に願う

シュデラの作品…それは完成したら見てみたいな



 秋空、というべき空色だろうか。
 地平近くの澄んだ薄青は中天に向かうほど青が深まる。
「やぁ涼しそうな空だね」
 その金の瞳でグラデーションを捉えたシュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)がゆったりと言った。
 空の色だけではない。遠く、見えるは氷に覆われた巨岩群。
 斑を描くであろう雲にとってかわっている。
「狩りとお宝探し頑張ろうか、瑠碧ちゃん」
 声と意識が向けられた――泉宮・瑠碧(月白・f04280)はこくりと頷いた。
「天空城……氷や城も綺麗だろうな。水から氷へと出来た魔石も――」
 楽しみだ、と最後は呟くように。
 天空城がある巨岩を探す瑠碧の瞳は、青い。
 どこか嬉しげな瑠碧の様子にシュデラは微笑む。
「それじゃ、行こうか」
 白い翼を広げて一度羽ばたけば、シュデラの身は空中に。
 瑠碧も翼を得るべく、精霊たちへと願う。
(「我は願う、力を翼と成し、我が意と共に在ることを……力を貸して」)
 風と氷の精霊の力が具現する幻の翼。彼女の浮上を助力するは風精霊。
 それぞれの翼で空へと飛翔する。

 翼を広げ、風を読むシュデラ。
「シュデラは自然と風を読むんだな」
 瑠碧の言葉に、二度、目を瞬かせたシュデラが頷く。
「飛ぶこと多いし、気流の読みは慣れてるよ。毛並みに触れる風の動きとか」
 そう言って狼の尾を振る。
「あとは、まァ野生の勘かな」
 進む方角をゆるりと定め、飛翔する。
「風を翼で受けて、楽な流れに乗って……おや――強いの来そうだよ、瑠碧ちゃん」
 低空から中空域――気流が徐々に強くなってきて、いち早く気付いたシュデラが瑠碧を庇うように前へと出た。
 思わずといったように身を縮こませる瑠碧。
 シュデラが手を翳せばSchild von Cendrillonから硝子細工のようなシールドが展開した。
 同時に行われたのは風の精霊弾による相殺だ。
 余波と思われる風が瑠碧の頬に触れ、解けていく。
「……正に盾にして、すまない」
 ありがとう、と言いながら瑠碧がシュデラの背後からひょこりと顔を覗かせた――それは一瞬で、直ぐに話しやすい位置へ。
「はは、気にしないで。コレでもパラディンだからね、盾に成れて光栄だ」
 それにしても、と二人は上空を見上げた。
 魔法の気流は上へ行く程に複雑化しているようだ。
 一度巨岩に着地した瑠碧は、精霊杖を、水の精霊による水の花びらへと変え、気流を見る。
 渦巻く場所は吹き溜まりだろう。竜巻のように弧を描き強く舞い上がったそれは、空中で四方へと散った。
 それとは別方向へ、風精霊が力の通りやすい「道」を教えてくれる。
 瑠碧に応じ、道に向かって緩やかな上昇気流を作ってくれた風精霊。今度は先導して飛ぶ瑠碧の後を着いていくシュデラだった。

 更なる上昇。
 風は冷たく、時に氷だか石だかの礫が気流に乗り、過ぎていく。
 まさしく氷の大地とも言うべき、巨岩に降り立つ二人。
 瑠碧の着地の際、精霊の力が働いたのか、つるりとした氷の表面がざらついたものへと変化した。
 僅かに残る水が動いたのだろう。
「瑠碧ちゃんは精霊魔法の使い方上手だね、俺も見習おう」
「僕は魔法というか……友や身内へ頼む感じだな――シュデラも好かれそうな気はするが」
 瑠碧が首を傾けて言えば、そう? と真似をするように、シュデラも首を傾けた。
 巨岩は気流によって形が違うのだろう。
 大きな突起があれば、横向きになったつららが出来上がっている。
 足元に気を付けながら歩き回っていると、鉱石の溜まり場を見つけた。
「――これか」
 シュデラがぺたりと魔石に触れ、様子を見る。一見、大きな氷塊であったが、よくよく見ればターコイズブルーの中に結晶体。白から水色、青と、一色ではない青の集合体だ。
「精霊弾と剣で切り離せるかな」
 そう呟いて、武器を取り出そうとするシュデラを瑠碧は止めた。
「精霊たちに頼んでみよう。上手くいくかは、分からないが……」
 言って、瑠碧は大きな魔石に触れた。
 氷と水の精霊に呼びかければ、ごとりと音がする。シュデラが下部を見れば、内部に亀裂が入っていくところで――しかしすぐにそれが溶け、ずるりと塊が動いた。
 その「切り口」は解けた氷のように、表面がつるりとしていて、光に翳せば様々な青を見せてくれる。
 一抱えある魔石を手にするシュデラ。
「硝子と相性良さそう――持ち帰ったら色々加工したいなァ」
 紐で括りながら、既に頭の中でどう加工しようか、どんなものを作ろうか、と考えているのだろう。手つきは楽しげだ。
「シュデラの作品……それは完成したら見てみたいな」
 彼の手で、どんな作品が作られるだろうか――楽しみだな、と瑠碧は微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

クララ・リンドヴァル
氷に覆われた天空城、そして、そこに眠る古代の財宝ですか……とても興味を唆られますね。
久々に森を出て、フィールドワークをしてみましょう。

【WIZ】
飛行術を試します。
呪文を唱えれば光と共に現れる、白を基調とした魔女装束一式。
引いてきたブックトラックに腰かけます。跨るのは恥ずかしいので横乗りです。
するとあら不思議。ふわりと浮き上がり、そのまま上空を目指します。

わわっ……!魔法の気流で衣装がはためいてしまいます。【第六感】で気流を先読み。時には巨岩に身を隠し、落ちないよう気をつけて進みます。

少し落ち着いたら【失せ物探し】で魔石を探ってみます。素材に触媒……使い道は多そうですね。

※アドリブ歓迎です



 澄んだ青の空。緑の大地。
 緑と青の地平に、久々に森を出たクララ・リンドヴァル(本の魔女・f17817)は眩しそうに目を瞬かせた。
「氷に覆われた天空城、そして、そこに眠る古代の財宝ですか……とても興味を唆られますね」
 空を見上げれば、何かを中心にして浮遊する巨岩群。
 こくりと頷く。
「フィールドワークですね。頑張ってみましょう」
 ――と、彼女が片手に引くはマホガニー建材を再利用したブックトラックだ。
 すう、と息を吸いこみ、
「射干玉の夜の霧をば貫きて」
 呪文を唱えていく。
「山越え谷越え沼越えて、今宵向かわん魔の宴」
 瞬間、クララは光を纏う。
 冠を戴くような光は、とんがり帽子。纏うような光はローブの魔女服へ。
 楚々としてブックトラックに座るクララ――魔女と言えば箒だが、彼女にはブックトラック。さすがに跨るのは恥ずかしいので、横乗りで。淑女の嗜みだ――瞬間、ふわりとブックトラックが浮上した。
 重力に捕らわれている時の不安定だった座り心地が、安定感あるものへと変わる。
 そうして魔女は空を翔けた。

 低空域の岩や石を避け、中空域。
 魔法の気流が吹く。
 一本の流れであれば、すぐに脱出も可能だが――。
「わわっ……!」
 交差する気流に遭遇したクララの衣装がばたばたとはためいた。一旦降下し、交差する広大な気流が過ぎるのを待つ。
 第六感を使い、クロスした場所を抜け、緩やかな岩の流れを見て気流を読む。
 上昇気流を見つけた時は、しばし、休息も兼ねて岩に乗せていってもらうことにした。
 そうやって慎重に進んでいくと、やがて風も冷たくなり、氷に覆われた巨岩群が多い域。
 足場を見つけて、大きな岩へと降り立つクララ。幅十メートルはあるだろうか。
 何かを感じたのか、探すように周囲を見回して、再びブックトラックの上へ。
 岩肌を沿うように周囲を巡り――洞穴を見つけた。
 奥行はそこまで無く、それでも慎重にクララは入っていく。
 光が屈折していて、思っていたよりも明るい。奥には魔石の数々があった。
「吹き溜まりになっているのですね……」
 魔石一つがひと掴みの大きさだ。
 魔力を通すように持てば、ターコイズブルーの中を伝導する力。氷が軋むように、細く白い光が動く。
「素材に触媒……使い道は多そうですね」
 光に翳せば、色んな青が見えた。
 白から水色、濃淡のある青――青のオーロラのようだ。
「……楽しみです」
 どんな風に使っていこうか――小さなクララの声は仄かに楽しそうに。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈍・小太刀
【かんさつにっき】

天空城ね
なかなか浪漫があるじゃないの
どんな眺めかな
青い魔石も気になるし
行ってみようか

杏の耳当てを受け取って
「ありがと、あったかいね」
一緒だからより一層
「…ううん、なんでもないよ」
恥ずかしいから笑顔で誤魔化し

先ずは巨石群ね
糸雨の鋼糸を飛ばして足場を確保
【空中戦】【クライミング】の要領で登りつつ【情報収集】

杏の大鷹が羨ましい
私も負けてらんないや

足場の様子と気流の流れを【見切り】
可能そうな場所は【空中浮遊】に大布を広げ
上昇気流を利用して【ジャンプ】!
ふふふ、気分は忍者?

魔石探しも忘れずに♪
見つけたら多めに採取
弟達のお土産にしたら喜んでくれるかなって
さあて、もうひと踏ん張り頑張るよ!


木元・杏
【かんさつにっき】
事前にこの城の詳しい伝説の本や口伝、調べておく

群竜大陸……、その昔、崩竜が居た処
そして、赤い石の指輪の勇者が共に沈んだ
その場所に繋がるひとつ、天空の城見上げ)

……
…………高いね(←高所苦手)

あ、待って
上、寒い
(ふわふわの耳当てを小太刀に渡し、自分も装着)
ん、準備おっけー

【白銀の仲間】で透明の大鷹を
背に乗せてもらい、巨石をポイントにしつつ飛んで移動
魔力の気流に巻き込まれないよう
風を見切り回避しつつ

先に進めなくなれば
勇気を出して巨石に跳び移る
……下見なければ怖くない
ジャンプで巨石を一つずつ登っていく

その中で目に入る翠蒼の魔石
この色はどんな魔力を秘めてる?
採取し、後で調べてみる


シリン・カービン
「上は…相当寒いようですね。頼みます」
額の双星の一方に火の精霊を宿し、寒さに備えます。

「それと、あなたもね」
もう片方には風の精霊を。
今回試してみたいことがあるのです。

【シルフィード・ダンス】は空中を50歩ほど跳躍できますが、
1回の動きが直線的になる上、細かく跳べば飛距離が稼げません。
もっと空中を自在に動けるようにならなければ…

岩の上から踏切り、落下しながらマントに風を孕ませます。
手足を広げて風に乗り、浮かび、押され、流され、止まり、
最小限のステップで緩急自在に空を舞います。

「…とっ」
何とか着地した岩の氷に深い青の光。
「これが、魔石…」
一欠片を手に取り、氷の精霊力を調べます。

アドリブ・連携可。



 アックス&ウィザーズの世界。
 地平近くの澄んだ薄青は中天に向かうほど青が深まる。
 広大な空は、普段遮るものは無いのであろうが、今は天空城と思われる岩地その周囲を囲うように巨岩群が浮遊している。
 この土地一帯、今の時期にしては肌寒い風が吹いていた。


 空を見上げるシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)の緑瞳に空色が差す。
「上は……相当寒いようですね。――頼みます」
 言葉後半、額のサークレット・双星に手を添え、声掛けるシリン。二つ連なる宝石のうち一つに火の精霊が宿る。
 直接、感覚伝導路に働きかけ、いざという時の寒さに備える精霊。
「それと、あなたもね」
 もう一つの宝石には風の精霊を宿す。
 シリンがじっと己の手を見れば、纏う精霊の力が身の内に満ちてくるようで――。
 大地から軽やかに跳躍したシリンは、更に空を蹴り、しなやかな体を空の中へ。
 二十回、ジャンプしたシリンは浮遊する岩へと降り立った。
 ここまではいつものシルフィード・ダンスの要領だ。
 本来、空中を約五十ほど跳躍できるシリンだが、いつもの要領で細かく跳んでも飛距離が稼げないことは悟っていた。
「もっと空中を自在に動けるようにならなければ……」
 風に煽られ、ハンター・マントがばさりと音を立てた。
 空を蹴ってのジャンプだと、一回の動きが直線的にもなる。
 風精霊が進路を示してくれるのだが、魔法の気流でそれはころころと変化した。
 ならば――。
 岩上から思い切って踏切ったシリン。
 ふわりとした感覚は一瞬だけで、直ぐに落下状態へ移行する。
 マントが風を孕んだところで、すらりとした手足を広げる――風を掴み、流れに逆らわずに空を蹴れば推進が増したかのようにその身は後方へ。
「……っ」
 交差する気流では、クロスした部分を狙い、弾むように一度。身を捻り、一回転ののち再びマントは風を孕んだ。
 ステップを最小限に留め、緩急をつけて、自在に空を舞うように――……『舞い』だ。
 ふと、剣舞の動きに似たものであるとシリンは気付く。剣のかわりに、時折指先が摘むはマントの裾。風を掴んだ瞬間、ピンと張るように。
 しなやかな身を時に傾け、風に乗る。
 剣先にまで研ぎ澄ませる感覚を、遭遇した風の流れに乗せれば――風の道が視えた。


「天空城ね。なかなか浪漫があるじゃないの」
 灰色の髪を括る、ツインテールをなびかせながら鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)は空を見上げ呟いた。
「杏が探してみた御話の中に、氷の魚の口伝があったんだっけ?」
 小太刀の言葉に、木元・杏(料理(物理)の達人・f16565)がこくんと頷く。
 その昔、干ばつが起こった際に空から氷の魚が一匹落ちてきて、それが泉になったという話がある。
 記録には残っていない。だがその『泉』は確かに近場にあるらしく、実際に行って確かめないと分からないが、何らかの魔法が働いたのだろう、と【かんさつにっき】の二人は考えた。
「群竜大陸……、その昔、崩竜が居たところ」
 杏が思い出すは砂漠の戦い。
「そして、赤い石の指輪の勇者が共に沈んだ――その場所に繋がるひとつ」
 と、空を見上げる杏はきりりとした表情。
 …………。
 …………。
「……杏?」
「……高いね」
 そうっと視線を元に戻す杏。
「まあ、うん」
 高所が苦手な杏の言葉に、曖昧な頷きを返し、大丈夫かな? と彼女を心配する小太刀。
「青い魔石も気になるし、行ってみようか」
「あ、待って」
 一歩前へ、進もうとする小太刀は呼び止められた。
 振り向けばふわふわの耳当てを取り出す杏の姿。
「上、寒い」
 そう言った杏が差し出す耳当てを小太刀は受け取り、両の手で少し開いた。
 装着し、ふわふわと頬をくすぐるその感触をやや調整する。
 小太刀の視線の先では、お揃いで耳当てを装着する杏がいて。
「ん、準備おっけー」
「ありがと、あったかいね」
 一緒だからよりいっそう――と、ほわりとした表情の小太刀に、杏は首を傾げた。
「……ううん、なんでもないよ」
 首を振って、小太刀は笑顔を浮かべる。言葉で伝えるのは恥ずかしくて、ちょっとだけ誤魔化した。

 小太刀が次の岩の上部へ向かって苦無を投擲すれば、何かが引っ掛かり岩の突起をぐるりと回る苦無。
 腕を引けばやや苦無が動き、岩と岩の間に確りと掛かった。ついでに岩が引き寄せられるようにやや沈む。
 引っ掛かった何か――苦無と小太刀を繋ぐ、細く丈夫な鋼糸だった。
 二本、三本と見つけた岩の隙間へと苦無を投擲し、瞬間的な足場を作る。
 糸雨を引っ張りつつ、跳躍すればぐっと岩場が近付く。苦無に足を駆け、登攀。
 やや沈んでいた巨岩は再び浮上する――浮遊感を得て、後はスキップするように上へと辿り着く小太刀。
「ふう」
 ふと下を見てみれば、緑の大地に岩の影が斑に落ちる、不思議な景色。
「小太刀、だいじょうぶ?」
 その時、声を掛けられて小太刀は顔を上げた。
 白銀の仲間、透明の大鷹の背に乗った杏は、一つ上の岩にいる。
「杏の大鷹が羨ましい――よし、私も負けてらんないや」
 ぐっと気合いを入れて、次の岩――杏がいる――を目指す小太刀。
 その間に杏は進路調べだ。一度大鷹で飛翔し、風を見分ける。

 低空域はそうでもなかったが、中空に差し掛かると魔法の気流は交差したり、強い流れと合流したり。
 刹那の竜巻がほどけた瞬間、四方へと強い気流が生まれる。
 強い流れに攫われたら大変だ。
 大鷹から降りた杏は、タイミングを計って跳び移っていくことにした。
 この辺りは巨岩群も一定方向に流れたり上昇気流に乗っていたり、と様々だ。
「……下見なければ怖くない」
 例え、上、左右が空の色であろうが。
 岩の端から端へと跳び移る時、どうしようもなく背中がぞくぞくとしようが。
 下を見なければ、怖くない。そう、怖くない、怖くないと心の中で自身に言い聞かせる杏。
 その時、ぶわっと上昇気流に乗り、小太刀が近付いてきた。
 気流が程よく強い今、ジャンプして大布を広げ、空中浮遊を楽しんでいる。
「ふふふ、気分は忍者ね♪ ――って、杏!? 大丈夫!?」
 巨岩に上で張り付くように伏せている杏を見て、小太刀は驚きの声を上げた。
「だ、だいじょうぶ……!」
 下を見ずに、一つずつ、繊細で的確なジャンプ力を杏は披露する。
「杏、次の岩、とても大きいみたい。ゆっくり休憩できるよ」
 と小太刀が指差す先は、氷に覆われた幅十メートル以上の巨岩だ。
 氷原のような平らなところがあり、そこで小休止しようと、二人が跳ぶ。


 ――と、三人が遭遇したのはこの時であった。
 余裕が出てきて、空中を舞うように進んでいたシリンが先に気付き、二人のいる巨岩へと降り立った。
「杏、小太刀。二人とも、来ていたのですね」
「……あ! シリン!」
「…………」
 再び驚きの声を上げる小太刀、と、顔をうにうに揉みながら頷く杏。強張った表情をほぐしているのだろう。
「休憩中ですか」
「うん。あと、少し探索してみようかと思って」
 シリンの問いに応じ、小太刀が周囲を見回した。
 平地ではあるが、クレーターがあり気になった。
「吹き溜まりになっているかもしれませんね」
 と、三人が側によって覗きこんでみれば。
「――」
 杏が息をのんだ。
 ここは二つの岩が繋がった巨岩のようだ。氷で繋がれ、窪みから更に先も透き通ったターコイズアイス。
 クレーターには結晶体がいくつもあった。
「これが、魔石……」
 一欠片を手に取り、氷の精霊力を調べるシリン。オーロラのような青の濃淡のなか、筋のような白光が走る。
「かなり、強いですね」
「ここにも」
 届く位置にある翠蒼の石を手にする杏。触れた瞬間、物凄く冷たかった石は冷ややか程度となった。
 後で調べてみよう、とメモするように頷く。
「わ、光に翳すと綺麗だね」
 と、小太刀が感嘆の声をあげた。屈折した光が留まり、内包される。
 次に小さな石を光に翳し、両手で包みこんでそっと覗きこんでみれば、水面のような光の筋が描かれている。
「暗い部屋で使うと、水の中みたいになる?」
 杏が同じようにして、手の中を覗いている。
 ゆらゆらと揺れる光の空間になりそうだ。
「弟達のお土産にしたら喜んでくれるかな」
 多めに採取して、お土産にしようね、とわくわく声で小太刀が言う。
「手伝いますね」
 二人の様子に、微笑むシリンが採取の手伝いを。
 それが終われば、再び天空城を目指して出発だ。
「さあて、もうひと踏ん張り頑張るよ!」
 小太刀の声に同調し、「頑張る」と杏。
「……もしもの時は助けますから、安心してください」
 頼もしいシリンの言葉に、二人はこくりと頷くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

城島・冬青
アヤネさん(f00432)と

天空の城!
ゲーム終盤以降に出てきてラストまで装備していける超強い武器があったりするんですよね
なんかそんな感じがします!

この浮いてる岩を渡っていくわけですけど(下を見て)…うっかり足を滑らせたらこう
ピチューン!ってなりそう(真顔)

よし!
アヤネさんちょっと失礼しますよっと…(有無を言わさず姫抱っこしてUC発動)
暴れたら危ないですよ!
いつもアヤネさんのアメリカン特有の距離感に比べたらこんなの幼稚なスキンシップじゃないですかー!
照れたら私までなんか恥ずかしくなる
とりあえずUCで一気に駆け抜けてもいいけど大きな浮遊岩で休み休みしつつ城へ向かいましょう
お弁当、作ってきたんですよ


アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
巨大幻術が破れつつあるって
世界の謎が解き明かされるというのは心踊るネ
魔石の採取ができるというならそれはぜひ
カテゴリーが違うとは言え魔術師の端くれなのでネ
よいリソースになるかもしれない

浮遊する巨石か
下を見るだけで怖いネ
足を滑らせたら死にそうだ

ここは慎重に行こう
っとソヨゴ?!
待って待って
いきなりそういうのは
うー
わー!
心の準備ができていないのに!
落ちないようにソヨゴの首に手を回してしがみつく
顔が近い
照れてないぞ
たぶん
ソヨゴから積極的でびっくりしただけ

お弁当とか
完全にピクニックだね
ソヨゴのそういうところ好きだけど

素敵な景色を楽しみながら
ゆっくりしていこうか

ついでに魔石も探すよ



 アックス&ウィザーズの遮るもののない広い空は、今、天空城と巨岩群が点在する空となっていた。
「天空の城!」
 わあ、と声を上げる城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。天空城がある岩地はどれだろう――と目を細めて、空を見る。
「巨大幻術が破れつつある――世界の謎が解き明かされるというのは、心踊るネ」
 まさしく心躍るを体現している冬青の様子を、アヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)は微笑ましそうに見てそう言った。
「ゲーム終盤以降に出てきて、ラストまで装備していける超強い武器があったりするんですよね」
 なんかそんな感じがします! とイイ笑顔で言う冬青。
「うん? それだと、今回の魔石の採取は持ってこいだネ。武器やアクセサリーに加工したりとか」
「そういうイベントあるあるです! ファンタジーだなぁ……――あ。アヤネさん、あの岩、どうでしょう?」
 ゆっくりと近づいてくる岩を見つけ、冬青は指差す。
 二人ほど、乗れそうな岩だ。
 まずは大地から離れる足掛かりとして、飛び乗る。
 低空域の下層は魔法の気流もあまりなく、浮上する岩々を乗り変えていくことで攻略できた。
「こう、タイミングを計って飛び乗っていくのも、ゲームであります」
 やっぱり楽しそうに冬青が言う。
 岩五つ分の下層を越え、ふと、アヤネは視線を下へ。
 緑の大地に岩々の影が斑となった風景。地平線は地上で見るそれよりも遠くへと移っている。
 背筋にぞくっと。
「下を見るだけで怖いネ……足を滑らせたら死にそう」
 ぽつり、と呟くアヤネの声は真剣そのものだ。
 ですね、と冬青もまた真剣な声になる。
「……うっかり足を滑らせたらこう、ピチューン! ってなりそう」
 撃墜的な擬音語を、真顔で冬青。
「ピチューン……ピチュりたくは無いネ」
 思わず岩に爪をたてるアヤネの様子に、しばし考えた冬青は「よし!」と声を上げた。
「ピチュり回避です。アヤネさん、ちょっと失礼します、よ、っと!」
「!?!?」
 ぐっと、弾みをつけたように浮上するアヤネの体――反射的に身を縮こまらせ、「え……」と緑色の目をぱちくり。思わず胸の前で両の握りこぶしが作られていた。
「っとソヨゴ?!」

 気付いたら、冬青にお姫様抱っこされて空を飛んでいた。byアヤネ

 黒蘭の花弁が周囲をひらひらと舞っている――ちょっとろまんちっくだ。……じゃなくて、と我に返るアヤネ。
「ソヨゴ! 待って待って、いきなりそういうのは」
 心の準備ができていないのに。
 うー、
 ――と握った拳を開く。
 わー!
 ――と、やや熱くなった頬に手をやるべきか、否ここはより安全の確保だと、アヤネは冬青の首に手を回してしがみついた。
 ぐっとやや引っ張られる冬青。
「わわっ、暴れたら危ないですよ!」
 黒蘭の花弁で全身を覆う冬青は、空を飛翔しつつ、時折岩を蹴り方向転換。
 首に回ったアヤネの腕から、そして頬に伝う熱に、あれ? と冬青は気付く。
 アヤネの顔が赤い、ような、気がする。
 じ。と見る冬青の様子に気付き、アヤネはやや視線を泳がせたのちに、きゅ、と腕に力を込めて顔を埋めるように。
「て、照れてないよ。ソヨゴが積極的でびっくりしただけ」
「えっ。い、いつもアヤネさんのアメリカン特有の距離感に比べたら、こんなの幼稚なスキンシップじゃないですかー!」
 アヤネの様子に、なんだか自分も恥ずかしくなってきて冬青は言うのだった。

 大きな浮遊岩を見つけては、休み休み、ゆっくりと進む冬青とアヤネ。
 空気は冷たくなってきたけれど、くっついているとお互いの体温のあたたかさが良く分かった。
 大きな岩を見つけた二人は、一旦休憩を取ることにした。
「お弁当作ってきたんですよ」
 アヤネを降ろし、ごそごそとお弁当を取り出す冬青。
「お弁当――完全にピクニックだね」
 いつものペースの冬青に、くすくすと笑み零れるアヤネ。
「ソヨゴのそういうところ好きだけど」
「腹が減っては何とやら、ですよ」
 一面空色の景色のなか、一緒に食べる。
 氷に覆われた岩が時々キラキラと反射する景色を楽しみながら、出会った猟兵に手を振ったり、ゆったりとした時間を過ごす。

 氷に覆われた巨岩では魔石探しだ。
 ターコイズブルーの魔石を採取するアヤネと冬青。
「色んな形がありますね~。これとか、まりもみたいに気流にコロコロされたんだろうなぁ」
 やや丸みを帯びた石を手に冬青。
 岩場から形成されたような形の魔石もある。
 濃淡あるオーロラのような青を光に翳し、アヤネは検分する。
「カテゴリーが違うとは言え、僕も魔術師の端くれなのでネ。よいリソースになるかもしれない――」
 時折石内部で走る光の筋。力の伝導は確かで、光に翳すと、しばらくはその光を内包させ輝きを放つ。
「見てごらん、ソヨゴ」
 光を内包した小さな石を両手で包みこみ覗きこめば、手影にはゆらゆらと水面のような
光が映っている。
「綺麗ですねぇ」
 冬青の呟きに、こくりと頷くアヤネ。

 魔石を採取して、再出発。天空城があると思わしき岩地は、もうすぐだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ブリザード』

POW   :    ブリザードクロー
【周囲の気温】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【ダイヤモンドダストを放つ超硬質の氷爪】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブリザードブレス
【レベル×5本の氷柱を伴う吹雪のブレス】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を氷漬けにして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    人質策
【氷漬けにした被害者】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。

イラスト:sy

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 天空城が見え、あと少し。
 周囲の浮遊する巨岩群は、やや高低差はあるものの、高度はほぼ同じとなった。
 割れた氷原のような場所を、駆けるように、天空城を目指し駆ける猟兵たち。

 トンッ。
 トントン、トンッ。

 音がした。
 何かがリズムをつけ弾む音のように、猟兵たちには聞こえた。
「侵入者――」
 澄んだ空気の中、びりびりと伝わってくる殺気と声。
 その時、氷柱を伴う吹雪のブレスが猟兵の元へ向かって来る。
「!」
 前傾に回避し、隣の氷岩へと跳び移る猟兵。
 ――が、敵の姿を視認できたのは一瞬であった。
 放出されたブレスは結晶となってその場に留まり、一時的な『雲』を作る。
 雲粒を払えば、視界は開けるが――刹那の目くらましは厄介だ。
 リザードマンの一種であるブリザードは、降下し、跳躍しと動く――下へ視線をやれば、まさに今、手足を使い、氷岩を回りこむ素早い敵の姿。
「侵入者、排除!」
 蹴りとともに追撃の尾が振り回される動きは、猟兵を場から落とそうとするものだ。

 トンッ。
 トントンッ。
 敵の跳ねる音が、あちこちから聞こえ始めた。
マリス・ステラ
リーゼ(f00755)と参加

「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
全身から放つ光の『存在感』で敵を『おびき寄せ』る
光は『オーラ防御』の星の輝きと星が煌めく『カウンター』

「始めましょう、リーゼ」

【光をもたらす者】を使用

蝶の形をした星霊達が広がっていく
弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
響く弦音は『破魔』の力を宿して敵の動きを鈍らせる

「灰は灰に、塵は塵に」

同時に星霊達も光線を『一斉発射』
リーゼが狙われたら『かばう』

氷漬けになった足場を渡り優位な位置へ
星の『属性攻撃』は弧を描いて敵に降り注ぐ

「真っ当な海賊を慰めてくれる財宝は目の前です」

実はリーゼと私は海賊船のクルーだったのです


リーゼ・レイトフレーズ
マリス(f03202)と参加

さて、久しぶりに狩りの時間といきますか

存在感を放つ相方に並び立ち
SHOOTING STARをその手に構える
流星と名付けたその愛銃を

始めようか、マリス

この銃は魔術を利用して自動装填している
連射が効くという利点を活かして
攻撃開始と同時に周囲に銃弾をばら撒くように射撃
相手の動きを見切り
気流や岩を利用して
放つ銃弾は流星の如く空を裂く

マリスの精霊が一斉攻撃をしたなら
援護射撃するように逃れた敵を狙撃する

相手が有利な地形だろうと
自らがかばわれようと
その青く染った瞳に揺れはなく
流星を以て応えるまで

財宝を前にした海賊は
何者でも止めることは出来ないよ
なんてね



「主よ、憐れみたまえ」
 目を閉じたマリスが祈りを捧げる――長い睫毛を震わせてゆっくりと開けば成層の青。そこには片瞳に灯る光。
 器に挿した花が開くように。柔らかな金の髪を靡かせて、白磁の肌が陽光を映すように。光り輝くマリス。
 伴い、辺りの雲粒が輝けばブリザードたちが目を細め、殺気を向けた。
「さて、久しぶりに狩りの時間といきますか」
 ガンケースから取り出したSHOOTING STARを手に、リーゼはマリスの隣へと並び立った。
 手にした時から、既に魔力は装填済みだ。
 冷え切った辺りの空気は、冴え冴えとした意識を呼び覚ます。
「始めようか、マリス」
「ええ。始めましょう、リーゼ」
 長い銃身を水平に構えたリーゼが引き金を弾けば、SHOOTING STARが火を噴いた。
 そして耳を劈く銃音は単射ではなく、激しく連なるものであった。
 魔術を利用した自動装填式。リーゼが己が魔力を流し続ける限り弾切れはなく、銃弾をばら撒くように銃口の先を移し射撃を行う。
 一方。
 ユーベルコード、光をもたらす者で星霊たちを召喚したマリス。
 蝶の形をした星霊たちが、ひらりひらりと空を舞い広がっていく。
 構え、星屑を弦を引く――大きな弓を扱う動きは、マリスの姿勢を真っ直ぐに、そして精神を研ぐ。
 引き絞った弦を、やや指先で弾くように矢を放てば、響く弦音は破魔の力を宿し、空を裂く矢は流星の如く。
「灰は灰に、塵は塵に」
 一筋の強い流星に追従するは、星霊たちが放った光線だ。
 ブリザードを貫き、氷の地を穿つ。
 小さな氷塊は砕け、大きなものはその重力に傾き、荒々しい氷原へと作り変えられていく。
 その刹那の尖塔めがけて駆けあがったマリスは、舞うようにひらり手を翳した。手足の動きに添い踊るは、星だ。弧を描き駆け巡り、それぞれがブリザードたちへと到達する。
 くるりと反転し、間合いから抜けようとするブリザードをリーゼの銃口が捉え、銃弾が放たれた。
 空に響く銃音は、立て続けだ。
 一体、一体を確実に捉えブリザードを追うのだが、敵は雲へと飛びこんだ。
 厚い雲粒が視界を遮る――その時、マリスの援護の一撃が雲を裂き、晴れ間を場に届けた。
「リーゼは私が護ります」
 一矢、二矢、射放つマリス。
 その声にリーゼの口はほんの少し弧を描き、青く染まった瞳が一体のブリザードを捉え、頭で認識するよりも前にリーゼは撃った。
「真っ当な海賊を慰めてくれる財宝は目の前です」
 星の転がる音――魅力的なマリスの声は、平時のものより弾んでいるようだ。
 気分は海賊船のクルー。そうでしょう? という響き。
 星を繰り、少しずつ進むマリス。そして作られる遮蔽物を背に、姿勢をやや低く、先を狙い定めるリーゼ。
「財宝を前にした海賊は、何者でも止めることは出来ないよ」
 ――なんてね、と軽快な台詞は口ずさむように。
「それでは、進みましょう」
「アイ、マム」
 冷雲を晴らし、陽光を氷の原へ届けながら、前進する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳴海・静音
よっしゃ、順調だなァ!このまま船で一直線だぜェ!
魔石なんつーお宝、どんなもんだろうな?楽しみだぜ

…急に寒くなってきたな、コイツァ予知に出てきたアレが来たか…?
ちっ、野郎共!大砲を撃って近づけさせるな!
『亡霊の号令』!乗り込んできた奴らは白兵戦で叩き落とせ!凍らせられない様に…ン?
…お前ら、凍るのか…?つーか…この船も凍るのか…?
それにもし跳ばされてもお前らはすぐに戻って来れるよなァ…
………もしかしなくても一番ヤベェの…俺か?
う…うおおおお!?凍らされたら何処に跳ばされるかわからねェェェ!?
回避重視で一体一体確実に仕留める!野郎共、援護しろォ!?

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ


クララ・リンドヴァル
もう天空城は目前……ここまで来て落とされる訳には行きません。
立体的な動きに惑わされないようにしましょう。

味方の【援護射撃】を行います。
炎も悪く無いですが……敢えて風で行きます。
【属性攻撃】で風属性を魔法の矢に付与。
攻撃しつつ『雲』を吹き散らし、自分や味方の視界を絶えず確保し続けます。

威力より手数を重視して、なるべく敵を接近させないよう立ち回ります。
接近された場合は回避や防御よりは魔法の矢による反撃で対抗します。
敵に指を向けた次の瞬間には、ばしっと。

《ブリザードブレス対策》
風属性を付与した魔法の矢を敵の居そうな場所に撃ち返します。
『雲』を吹き払いつつ、同時に牽制を行います。

※アドリブ連携歓迎です



 ザアアアアッ!! と雲粒の飛沫を上げ、空の氷原へと辿り着く亡霊海賊船。
 天に向かった舳先がある氷原へと乗り上げ、船の角度が水平となる。
『船長! なんか頂上? に? 着いた! カンジッス!!』
「よっしゃ、順調だなァ! このまま船で一直線だぜェ!」
 甲板を亡霊の海賊旗でトンと突く静音。船へと力が注がれていく。
「魔石なんつーお宝、どんなもんだろうな? 楽しみだぜ」
 強気そうな笑顔は、よく見れば年相応の少女のものである。
 巨岩を押しのけ、氷塊を砕きながら海賊船は進む――だが――。
「……急に寒くなってきたな、コイツァ予知に出てきたアレが来たか……?」
 たんっと跳躍し、見晴らしの良い船首に立つ静音。
 濃霧のように視界が閉ざされていく――雲だ。
 その中を、トトトトトッと爬虫類の駆ける音があちこちから聞こえ始めてくる。
「ちっ、野郎共! 大砲を撃って近づけさせるな!」
『アイサー!』
 静音の号令に野太い手下たちの声があがる。
 ドン! ドン! と腹に響く重低音が鳴り響き、びりびりと振動があちこちに伝う。
 その時、濃くなった雲粒を更に上空へ抜けたのはクララだ。砲弾の音が空に響き彼女の鼓膜を震わせた。
 ブックトラックに乗るクララは一旦高度を取った。まばらな雲が眼下に広がり、より厚い場所へと急行する。
(「炎も悪く無いですが……敢えて風で行きましょう」)
 見えた見張り台。
 着地できる高さまで降下したクララは、風を纏った刹那、風の矢を放つ。
 一の矢、二の矢、と続けざまに撃てば雲が払われていく。片手で矢の道標、もう片方の手は数多の矢を周囲に滞空させ、クララを中心に風が渦を巻く。
 死霊術が働く亡霊海賊船の見張り台に着地したのは、この時であった。
 気付いた静音が見上げ、クララへと声掛ける。
「おおっ、晴れてきた! 感謝するぜ!」
「――いえ、結構な数に囲まれているようでしたので…………お邪魔しています」
 クララが一礼をすると、静音はニッと笑ってパタパタと手を振った。
「いいってことよ。茶ァでも出したいところだが……」
「お、お構いなく」
『船長! 来ます!』
 大砲を避け、払われた雲間からブリザードたちが接近してくる。
「『亡霊の号令』! 乗り込んできた奴らは白兵戦で叩き落とせ! 凍らせられない様に……」
 ――? 違和感を覚え、静音の声が止まる。ギギギギィと海賊船もぎこちなく動きを停止させた。――違う、勝手に止まった。
『船長! 船底、氷が張ってますぜ!』
「なァァァにィィ!?」
 丁々発止な海賊たちの声を聞きながら、ひゅ、と風属性の魔法の矢を放つクララ。
 駆け上ってくるブリザードを射貫き、数多の氷柱が排出された場所へは、より風を渦巻かせた幅広の一射。
 雲を吹き飛ばす。
 亡霊の海賊旗をきゅっと握って、乗り込んできたブリザードを回避しつつ、静音。とてもだいじなことに気付いた。
「……お前ら、凍るのか……? つーか……この船も凍ったな……?」
 死霊の魂はそこに――氷漬けにした手下をブリザードが攫う。
「それにもし跳ばされてもお前らはすぐに戻って来れるよなァ……」
 海賊の死霊術士の言葉に、魔女の死霊術士は、そうですね、という風に微かに頷いた。再召喚だ。
「……もしかしなくても一番ヤベェの……俺か?」
 ブリザードから放たれる、ブリザード級の氷波。
 ざざざざっと後退する静音。
「う……うおおおお!? 凍らされたら何処に跳ばされるかわからねェェェ!?」
「き、気を付けてください。もう天空城は目前……ここまで来て落とされる訳には行きませんし――」
 牽制の風の矢を放ちクララが言えば、海賊の手下たちも『ファイトです船長!』『お宝のために、ちょこまか逃げてくださーい!』と便乗する激励の声。
 飛びかかってくるブリザードを、身を屈め避けた静音はそのまま通り過ぎ様に呪われたカットラスを振るう。
「ギイィッ!」
 トカゲの鳴き声をあげ、撃破されるブリザード。
「回避重視、一体一体確実に仕留める! 野郎共、援護しろォ!?」
「私も、頑張ります」
 ロープを伝い、甲板上へと降り立ったクララが肉薄するブリザードへ指先を向けた瞬間、風属性の魔法の矢が敵を弾き飛ばす。
『魔女さん! 後ろ、七時方向っす!』
「はい」
 振り向き様に矢を飛ばし、ばしっと。
 戦場となった海賊船、その周囲。猟兵の二人は、賑やかな亡霊の手下たちと敵を倒していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
通してくれれば戦う必要はないのだけど
残念
敵の子達は言葉は話しているけど
問答無用で侵入者は排除ということネ

やるなら手加減無用
うっかり氷漬けにされるのは御免かしら

敵に連携されないように
常に移動しながら攻撃しよう
UCを僕とソヨゴの周囲に展開
死角からの敵の攻撃を封じる
PhantomPainを装備
隠れている敵の姿が見えたらすぐに撃ち込む
精度よりも敵の動きを阻害する
これでソヨゴの側まで寄れる敵の数は制限できるだろう
彼女の正面に敵一人だけ近づけるようにして
残りは僕が相手だ
敵の動きが乱れて姿を晒したら容赦なく倒そう

戦闘後にソヨゴが怪我をしていないか確認
怪我があれば応急措置をしてあげよう


城島・冬青
アヤネさん(f00432)と

見た目は可愛い女の子なのに
がっつり殺しに来てますねー
まぁ私達侵入者認定されちゃってるから仕方ないんですが

この後は大ボスが控えてますし
戦力を温存しつつ蹴散らしていきましょうね、アヤネさん!

アヤネさんを息を合わせブリザードを蹴散らしていきます
ダッシュで接近し傷口をえぐるで追撃!一体ずつ確実に数を減らしていきます
背後を取られないよう第六感で気を配りますがアヤネさんのサポートが優秀なのでその辺はあまり心配する必要がなさそうですね
いつもありがとうございます

氷の爪は…食らったら凍傷不可避って感じですね
当たりたくないので残像を駆使して避けますが回避が厳しいなら
武器受けで直撃を防ぐ



 トンッ。
 トトトトトトトッ!
 軽やかに駆ける音があちこちから聞こえてくる。
 加えては冷たい風に乗り、キィキィと何かが鳴く声。
 不穏な空気は、殺気混じりでアヤネは鋭く周囲を見回した。
「ブリザードのお出ましだネ。通してくれれば戦う必要はないのだけど――残念」
 その手にはPhantomPain。氷塊を一時の遮蔽物に、敵を探す。
「この後は大ボスが控えてますし、戦力を温存しつつ蹴散らしていきましょうね、アヤネさん!」
 冬青が言ったその時、強い風が吹き雲が流れた。
 敵の姿を視認したアヤネは既に銃撃態勢だ。引鉄を弾けば耳を劈く銃音。
 音を背に、既に冬青は駆けている。狙うは最も近い、今、被弾したブリザードだ。
「ギイィッ! 排除……する!」
 衝撃に仰け反っていたブリザードが体勢を立て直すよりも先に、花髑髏で斬り払う。
「ギャ!!!」
「――!」
 は、と冬青は息を呑んだ。振り抜いた花髑髏の刀身には氷片のようなもの。
 血振りに一旦鋭く払った冬青は、刀を返し、飛びかかってくる敵へと斬り上げた。
 彼女の死角では、アヤネの召喚した機械兵器が敵の動きを阻害している。
 前に出た冬青へ群がろうとする敵を、機械兵器が阻み、アヤネが撃つ。
 精度よりも敵の動きを阻害する――この銃音を時に追うのは、冬青だ。立ち回りはやや大きく、繋げていく連携。ギャッと悲鳴を上げるブリザードへ、花髑髏の刃が到達する。
 氷原のクレバスの下は、空だ。猟兵が滑落すれば長い落下ののちに死ぬ――そんな亀裂から、ブリザードは爪をたて駆け上ってくる。
 敵の伸びあがるような跳躍と共に、冬青の胴へと爪が繰り出され、一度敵腕を叩くように花髑髏を振った冬青が身を捻る。
 地の死角だ。
 ならば、とアヤネがエレクトロレギオンを繰る。
 高々と空を飛行する機械兵器が、弾丸の如くクレバスへと放たれた。
「ギャッ」とした声と、氷壁を打つ落下音。
「侵入者め!!」
 強い脚力で跳躍し、ばっと飛び出てくる異なるブリザード一体を、アヤネがアサルトライフルで撃つ。
「ギャッ!」
 弾かれるように大きく後退した敵が氷原に着地する時には、既に冬青が接敵し屠っていた。
 氷の亀裂が多い場所では、やや跳躍混じりの冬青の立ち回り。足を取られないように、一旦身を屈めてから、確りとした姿勢で刃で弧を描く。
「見た目は可愛い女の子なのに……っ、がっつり殺しに来てますねー」
 ガチンッと新たな敵爪との刹那の鍔迫り合い。
 言葉半ば程で冬青は一歩後退し、敵の体勢が崩れた瞬間に斬り上げていた。
 冬青が一体を仕留める間に、いくつかの銃音が耳を打つ。
「問答無用で侵入者は排除ということネ」
 こくりと頷くアヤネ。ブリザードたちは言葉を発しているが、どれも単語めいたものであり、殺意は高い。
 何かを護っているような――天空城か、それとも……。
 アヤネは氷原の所々に在る雲塊の先を見る。
 どこか禍々しい空気は、クラウドオベリスクのそれと似ていた。
 この「拠点」――クラウドヴェールの層の一つを護っているのか――。

「ソヨゴ、大丈夫?」
 遠く、近く、戦いの音が聞こえてくるが、今のところアヤネと冬青がいる場所の敵は粗方撃破できたようだ。
 PhantomPainのスリングを肩に滑らせて、銃口を下方に向けアヤネが駆け寄ってくる。
「はい、大丈夫ですよ」
 笑顔で応じた冬青の首には、けれど爪痕があり、一度目を瞬かせたアヤネはハンカチをそっとあてた。「かすり傷ですよ?」と冬青は言う。
 ハンカチを通り伝わってくる体温に指先が、少し震えた。
「冷たくなっているネ」
「返り血ならぬ、返り氷だったので」
 純粋な氷ではなく、しばらくすればやはりべたっとしたが、浴びた瞬間はとても冷たいものであった。
 一時的な傷の手当てをして、敵が捌けた場所を抜け、二人は進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レナータ・バルダーヌ
お城に着くまで我慢するつもりでしたけど、足止めされたら凍え死んでしまいそうです……!
このままでも寒さで体力は消耗しますし、方針を変えましょう。
空中から岩の上に降りて【B.I.ライダー】で暖をとりつつ、守りの態勢を固めます。

「はぁ……生き返ります……っと、そんなこと言っている場合ではありませんでした」

纏う炎の温度とともに周囲の気温を上げ、敵の冷気攻撃を妨害します。
炎自体の温度は銃弾を蒸発させる程度まで上げられるので、遠距離攻撃はこちらに届く前に防げるでしょう。
近接攻撃されても岩から落とされないように注意すれば、この環境に順応している敵なら、輻射熱による【カウンター】でただでは済まないはずです。



 空に広がる氷原に辿り着こうとするレナータを、一体のブリザードが見つけた。
「――侵入者!」
 氷原から下へと続く岩々を伝い、跳躍する。
「見つかってしまいましたか」
 レナータは炎の翼を広げ、ひらりとブリザードの跳躍を避けて後方へと飛翔する。浮上する氷塊を一時的な足場に、とん、とんと推進力に乗った跳躍はジグザグな軌道を描く。
 氷塊群を抜け、空の氷原の上へと出たレナータを、雲の海が出迎えた。
 雲粒が彼女の肌を刺し、凍えさせようとする。
 その時、再び「トトトトッ」とブリザードの駆ける足音がレナータの元まで届く。
「お城に着くまで我慢するつもりでしたけど、このまま足止めされたら凍え死んでしまいそうです……!」
 胸の前で手を交差させ、上腕を擦った。
 体力もまた、寒さで消耗してしまう――そう感じたレナータは氷原の岩上に降り立ち、背の傷跡から噴出・形成させていた炎の翼で自身の体を包みこめば、それは鎧のように纏われていく。
「……、はぁ……生き返ります……」
 指先まで丁寧に覆う炎がレナータの体を温めていく。
「……っと、そんなこと言っている場合ではありませんでした」
 そう呟くと同時、視認したブリザードたちが氷塊を蹴り急接近してきた。
 氷のブレスが吐かれ、刹那の目くらましは雪嵐のように。
「思うようにはさせませんよ」
 そう言ったレナータが纏う炎の温度を上げれば、ブレスに乗り作られた雲粒がその熱に払われる。
 ジュッと激しく蒸気と化す音が響いた。
「――!?」
 息を呑むブリザードの気配が、間近。
 だが、敵は驚いたように飛び退いた。熱気が辺りを覆い、吸えば体内から灼くほどの熱がブリザードを侵食する。
「ギャッ……!」
「ギィィ――」
 蜥蜴のような鳴き声が近く、あちこちから上がり、どさりと崩れ落ちる音。
 ブリザードは、今だ熱さの増すレナータの炎に近付くことが出来ない。体内で溶けきってしまったモノを吐き出し、息絶える。

 ――敵のダイヤモンドダストと氷爪の攻撃は、周囲の気温を代償とするもので、それが仇となった。冷気が和らいでいたのだ。
 故に作られた雲粒も輻射熱に払われ、霧のように霞んだ視界は明瞭となり、レナータの周囲の氷原は陽射しを受けキラキラと輝く。
 熱が侵食するのは、彼女に害なすものだけだ。
 辺りの敵を倒し、そして退けたレナータは纏う炎の温度を下げた。
「今のうちに進みましょう」
 そう言って、天空城を目指す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シュデラ・テノーフォン
瑠碧ちゃん(f04280)と

あァ喧嘩の押し売りかな?
OK、喜んで買うよ

基本的に飛んで行動
炎と風の精霊弾を交互に装填
ブレスの勢いと雲を相殺し溶かし尽くす
晴れたら魔法をかけたマスケット銃の熱線で撃ち抜くよ
瑠碧ちゃんの範囲攻撃に気を取られている隙も狙おうか
さり気なく氷岩に隠れて死角から

相手の攻撃は指輪の盾で防御
瑠碧ちゃんも危ない時はかばいに行くよ
人質?正々堂々とヤり合おうよ
野生の勘で出現地点に即反応からのクイックドロー
攻撃がてら被害者との間に割って入ろう
近接は剣技で応対

瑠碧ちゃんも援護有難う
テンション?そうだね少し上がるかも
寒さのお陰で今は少しだけ冷静にいけるかな
コノ奥にとっておきが居るなら別だけど


泉宮・瑠碧
シュデラ(f13408)と

喧嘩の売り買いは幾らなのか過ぎるが
この氷の地は彼らが過ごし易いのかもな
…すまない

僕は主に弓を手に消去水矢
攻守で第六感を用い
シュデラの援護射撃や敵の気を引いたり
氷の精霊に彼らの足を掴む様に願う

人質は氷漬けの回避で

ブレスは
氷の精霊に氷柱を粉雪へ変える様に頼みつつ射る
風も纏わせて雲も散らす
地形含め、広範囲を補う際は射た矢を分散させ範囲攻撃

氷爪は爪を射って氷の力を解き
近距離なら足元の氷から槍を撃ち出す属性攻撃

被弾は主に見切り
避け切れないならオーラ防御と氷結耐性

彼らに安らかにと祈り
シュデラは銃の腕も流石だな
テンション変化も知っているが…様子が違う様な
…城内はまた大物が居そうだが



 トトトトトッ!
 蜥蜴が駆けるような音が氷原を伝ってくる。
 冷たい空気のなか、冴え冴えとした殺気。
「あァ喧嘩の押し売りかな? ――OK、喜んで買うよ」
 言葉後半、Cenerentolaに精霊の力を込めるシュデラ。
 シュデラの声に、喧嘩の売り買いは幾らなのか――と、瑠碧は考えてしまう。それでもその目は周囲を捉えようとするものだ。
「――くる」
 瑠碧の呟きと共に、炎と風の精霊弾を交互に撃ち出すはシュデラだ。
 敵を狙ったものでは無い――水面への投石の如く、輪っかの晴れ間。精霊弾が氷のブレスと作られた雲を次々と払っていった。
 視界が明瞭となり、雲粒の残滓を纏いながらブリザードたちが跳躍しシュデラへと襲いかかろうとする。
「……其れは木の葉、其れは流れる一点」
 瑠碧は自身を飛び越える動きのブリザード――前へと出された腕、その手を狙う。精霊弓の弦を引いた。
「其れは一矢にて散り得る」
 水の矢が生成されていく。
(「この氷の地は過ごし易いのだろうな……」)
「……すまない」
 水の矢が敵爪を射れば、砕け、氷片が散った。
「……ギイィッ!?」
 続けざまに弦を弾き、二体目、三体目の爪めがけて射放てば不完全な発動となったダイヤモンドダストが空中に霧散する。
 加えて跳躍の勢いが消え、ブリザードたちがやや体勢を崩して落下していく。
 そこを狙い撃つは、シュデラだ。空から一転、氷岩へと身を隠し、窪みを一時の狙撃固定台に。
 自身から抜いた羽根を代償に魔法をかけたマスケット銃で、熱線を撃ち出した。
 体を貫く熱線はブリザードの胴に風穴を作り、地面に叩きつけると同時に息絶える。
「排除! 殺せ……!」
 素早く駆けてくるブリザードの足元を狙い瑠碧が腕を振るえば、地面の氷が鋭く突き出す。
 バリリリッと急激な成長を遂げた氷は槍のようにブリザードを貫く――刺し貫かれた敵の脚は氷地から離れ身動きできない最中に、放たれた熱線が止めとなった。
 ブリザードを倒しながら前へと進む瑠碧とシュデラ。
「遠ざけろ……!」
 一体のブリザードが身を低く駆けてくる。
 瑠碧の氷槍の攻撃も、その長柄に乗り跳躍の糧とした。
「……!」
 咄嗟に、弓に備わる珠を前にオーラで自身を覆う瑠碧であったが、刹那、バン! と氷が砕け散る。やや前傾となったシュデラが展開したシールドと敵がぶつかったのだ――敵数、二体。
 気付いた時には、ブリザードたちに囲まれている。
 大きな氷塊を代わる代わると敵たちが手に取り、消えては出現しを繰り返す。
 氷漬けの中身は、とうの昔に干からびてしまった――人間。
 新たな獲物を狙っているのか、瑠碧の周囲を消えては出現しと翻弄するように。
「人質? 正々堂々とヤり合おうよ」
 飛翔したシュデラが割り入り、硝子細工の様なシールドを展開すれば彼を中心に二体のブリザードが弾き飛ばされる。
「風の精霊よ、氷の精霊よ――お願い」
 瑠碧が願えば、突風が氷漬けられた被害者を浚うように動かし、敵の手から逃す。氷の精霊はブリザードの足を捕らえた。重りがつけられたようなものだ。
「さて……チェックメイトといこうか」
 地面に繋がれたブリザードたちの胸に、シュデラの水晶の刃が次々と刺し込まれていく。

「――どうぞ、安らかに」
 幾度となく溶け、凍結されたのだろう。ヒトの氷漬けは薄汚れており、そして中身は脆かった。
 氷が砕けるとともにその身も崩れた。風の精霊に願えば、空へと還されていく。
 安らかに眠るよう、ブリザードたちへも祈りを捧げる瑠碧。
 簡易な空葬を終え、二人は天空城へと向かって再び進みだす。
「シュデラは銃の腕も流石だな」
「銃の扱いなら任せてよ」
 シュデラは一つ頷き、
「瑠碧ちゃんも援護を有難う」
「ありがとう――シュデラの、テンションの変化も知っているが……先程は少し、様子が違うような……気がした」
 瑠碧の言葉に応え、重ねられた疑問へは、微かに首を傾けるシュデラ。
 テンション……? と呟きながら考え、ああ、と思い当たったように瑠碧へと目を合わせた。
「そうだね、戦闘の時は少し上がるかも。でも、今は寒さのお陰で少しだけ、冷静にいけるかな」
 晴れ渡った氷原のような巨岩群。時に遭遇するクレバスのような場所を飛翔し越えて、二人は天空城へと近付いていく――シュデラは、顎で天空城を示すように。そしてフードを微かに上げ、耳に手を当てた。
 会話を続ける。
「コノ奥に、とっておきが居るのなら別だけど」
 近付くと、何かが吼える声が微かに聞こえてくる――。
「……城内は大物が居そうだな」
 シュデラの様子を見て、城の中までを見通すように目を細めた瑠碧が言う。
 巨大幻術『クラウドヴェール』が破れはじめ、出現した天空城。
 近付けば、近付くほどに、クラウドオベリスクのような禍々しい気配が強くなっていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

木元・杏
【かんさつにっき】3名

シリンとも合流
ん、皆一緒だから少し安心

灯る陽光は幅広の大剣に
小太刀のオーラに白銀の彩を混ぜ、
拠点になる足元の岩にもオーラを纏わせ防御強化

足元、高さ……気合い入れて踏ん張り
……雲で視界が怪しい

今までの戦闘でも、こんな場面はあった
その知識を活かし
それならと逆に目を瞑り集中
ブリザードのトントンという音の情報で動きを感じ取り
迫る位置を把握する

うさみみメイドさん、ブレスをリボンで払って?
第六感も働かせて本体へ向け【鎌鼬】
メイドさんはそのままジャンプとフェイントで敵の撹乱
リボンで雲を払って動けば視界もよくなる

そのままわたしは後方でシリンを守りつつ
近付くブリザードは大剣で薙ぎ払う


鈍・小太刀
【かんさつにっき】

杏に加えてシリンも一緒、心強いね
仲間と自分にオーラ防御を展開し
背中合わせで互いにフォローしながら連携を

情報収集で状況把握
なるほど視界が悪いのは厄介ね
地形や敵数を確認しつつその動きを見切り
更に雨音の先で未来を読み備える

氷柱伴うブレスが来たら
炎の属性攻撃を宿した刀で受けて薙ぎ払う

人質策のテレポートによる連携も警戒
技の制御中で動けないシリンを狙ってくるなら
庇って武器受け、カウンターで斬り伏せる

シリンの炎の波の発動で相手が怯んだら
シリンの防御を杏に任せて攻勢に転じるよ
残った蒸気を刀の衝撃波で吹き飛ばし
岩を足場にジャンプしながらの空中戦

寒いのなんて
ニンジン親父のギャグだけで充分だから!


シリン・カービン
【かんさつにっき】

来ましたね。
足場は悪いですが、迎え撃つ策はあります。

大きめの巨岩の中央に陣取り、
皆と背中合わせで全方向へ注意を払います。
ブリザードを見つけ次第、距離のあるうちに狙撃。
近づけない様に気をつけます。

数で押されたら警戒するのは冷気のブレス。
氷柱もさることながら視界を塞ぐ雲が厄介です。
二人が守ってくれている間に
【エレメンタル・ファンタジア】を発動。
自分たちを中心に『炎』の『大波』を輪のように広げ、
雲や凍らされた地形を融かしブリザードも巻き込みます。

二人が巨岩から落とされたら、
マントを広げながら宙に飛び出してキャッチ。
そのまま風の道を読んで近くの巨岩に降り立ちます。

アドリブ・連携可。



 巨岩と巨岩を繋ぐ氷の道。
 ぽかりと空いた場はクレバスのようで、落ちれば真っ逆さまに地上までの長い旅路となるだろう。
 トトトトッと軽快に走るブリザードの足音。
「来ましたね」
 霞のように視界を遮る雲粒。
 シリンの呟きに、頷く気配――背中合わせに小太刀と杏。
「最初は杏と二人だったけど、今はシリンも一緒――心強いね」
「ん、皆一緒だから少し安心」
 小太刀の言葉に続き、杏もこくりと再び頷きながら言う。少女たちの会話に、シリンは微笑む。
 納刀状態の片時雨を手に、小太刀の放つオーラが仲間たちを覆っていく。
 そこへ流水のように白銀の彩が混ざる――彼女たちが立つ岩を巡り、拠点とし防御が強化されていく――。一瞬、何かを感じたのか、ブリザードの音が遠ざかり――。
「……雲で視界が怪しい」
「うん、視界が悪いのは厄介ね」
 杏の呟きに応じるは小太刀。
 足元や高さも気になって、踏ん張っている――力が余分に、そして散乱していると自覚した杏は、目を閉じ十指を繰る。
「――来る……!」
 雨音の先――小太刀が鋭く、告げた。
 トッ。
『霞』が動いた。
 押し広げられるそれと元凶目がけて精霊猟銃の照準を合わせたシリンが狙撃する。
 それは戦闘開始の合図となった。
 タンッ、とより強い踏みこみの音に向かってうさみみメイドさんが跳躍する。
 刹那、数多の氷柱と吹雪のブレスが三人へと襲いかかるのだが、うさみみメイドさんの腰に巻いた桜色のリボンが弧を描き、早業かつオーラによる防御がブレスを払い飛ばした。
 すり抜けてきた氷柱に即応するのは小太刀だ。
 一瞬にして抜刀し上段への斬撃。軌道は焔色。刃を返し、力を込めて薙ぎ払えば蒸気の道が出来た。
 敵の包囲攻撃に、対応する杏と小太刀。その間にも、シリンの狙撃は続いている。
 彼我の距離が測れなくなったその時、シリンは精霊猟銃を下げた。
(「数で押されたら警戒するのは冷気のブレス」)
 足場は悪い。敵はその冷気で雲を作り、身を隠す。
「ですが、迎え撃つ策はあります」
 冷え冷えとした世界のなか、シリンの掌の上に炎が灯る。
 腕を振るえば鞭のようにしなった炎が、一気に大きな輪を作り外へ向かう大波となった。
 圧倒的熱量が雲粒を払い、覆われた氷は一瞬にして蒸気と化した。
「ギイイイィッ……!」
「ギャッ!」
「小太刀」
「任せて」
 爬虫類のような悲鳴があちこちから起こるなか、身を低くし駆けるは小太刀。シリンが繰り、ぐっと広がる炎輪に沿う動きの先、見えたブリザードへ一刀。
 炎輪が上方ののち後方へと移動し、開ける視界は蒸気の世界だ。衝撃波で吹き飛ばし視界の確保をした小太刀が、灼け弱った敵を狩る。
「寒いのなんて、ニンジン親父のギャグだけで充分だから!」
 小太刀は動くことでその名残を払うように、岩々を跳躍する。
 炎に巻き込まれ岩にしがみつくブリザードは、刀で軽く払うだけで絶命し落ちていく。
「ギイイイィィッ……」
 より上の巨岩から、降ってくるブリザード。シリンを狙い落ちてくるその敵を、大剣を象る白銀の光が捉え――杏が斬り伏せた瞬間に、もう一体。その昔、氷漬けにしたのであろう人間と一緒に出現するブリザード。
「シリン!」
 空半ば、岩を蹴り反転した小太刀が拠点へ、そのままの意味で飛んで戻ってくる。氷塊を鎺で叩き、軌道を逸らすと同時に刀身がブリザードへ深く入った。
 氷内部で脆くなったヒトの組織が砕け、致し方ない結果とはいえ、小太刀の瞳が揺らぐ。そんな氷塊をシリンが炎で巻いた。
 これが浄化の炎となることを、願い。

 周囲のブリザードを撃破し、前に進もうとする三人。
 向こうは氷原のようになっているが、溶けてしまった『こちら側』は巨岩群だ。――ほとんどがブリザードが作ってきた氷の世界だったのだろう。
 線引きが明瞭になった今、ふと、氷の世界が禍々しいものだったことに気付いた。
 渡っている最中に杏が下を思わず見ようとして、思い直して真っ直ぐに視線を向けて、よろめく。
「…………――!」
 声が出ないが、引きつったような呻きが漏れた。
「杏、こちらへ」
 シリンが引き寄せてくれたのだが、そのまま二人して体は空中に。
 固まる杏であったが、気付いた時には次の岩に足が着いていた。目を向ければ、ひらひらと舞っていたシリンのマントが通常の状態へ。
「気を付けて進もうね。ほら、天空城まであと少し」
 小太刀が指差す――先には『天空城』。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
魔物娘好きなアタシは迷わず女の子ブリザードの相手をする。
ブレスが厄介…キスで精気を吸おうにも臓腑を凍らされそうだ

四王稲荷符を投げつけ呪詛・精神攻撃で弱らせる。
アークウィンドも抜くが流血は望まないし、氷柱を武器受けで弾いたり、風の衝撃波で雲粒を散らすのに使うぜ。
氷に足を取られたら転がりながらブレスを避ける

一息で迫れる距離まで来たら妖魔解放・女吸血鬼の魂を纏い性格もドSに寄る

ブレスをドス黒い衝撃波で受け、高速移動で一気に距離を詰めだまし討ち。
組みつき狙い

「私のように魂まで吸われなさい」
首筋に犬歯を突き立て吸血、生命力吸収。
血・精気・魂…吸い尽くしてやる。
こんな方法でしか一緒にいられねーんだよなぁ…



 バリリリリッと雲海のなかから、形成されゆく氷柱が突出してくる。
 金の目を見開き、急激な成長を遂げる氷柱を避ける燦――その数は多く、アークウィンドを振れば氷柱の軌道を逸らし、衝撃は回避のための助力とした。
 応じて巻き起こるはつむじ風だ。
 風は周囲の雲粒を払い飛ばし、刹那の晴れ間を燦の居る場へともたらす――その時、一体のブリザードとの邂逅。
「――ギイッ……侵入者の排除を……!」
 蜥蜴のような声を上げ、ブリザードが氷柱を放つ。
「おっと、可愛い顔をしているが、結構やるじゃないか……!」
 四王稲荷符を飛ばし、アークウィンドを振ればつむじ風が在るべきところへと符を飛ばす――一時の陣が敷かれ、破魔の力を宿し精神を弱らせる風がブリザードを中心に吹き荒れた。
「……!?」
 氷のブレスがつむじ風により霧散し、戸惑う様子のブリザード。
 その隙を逃さずに燦が駆ける。
「魂の奥底に宿りし魔の者よ。オブリビオンの呪縛より解かれ、この身を依り代に顕現せよ。リリース・ピュアリィハート!」
 女吸血鬼の魂を纏った燦の瞳は鋭く、微笑む唇は妖艶に。そしてより鮮烈に色味の増す左目。
 オーラを脚へと集中させれば、跳躍は文字の通り飛ぶが如く。
「――ッ!」
 その時には燦が放ったつむじ風も解け、ブリザードは再度氷のブレスを吐く――だが、呪詛が効いたのだろう。その動きは鈍い。
 バリリリッと虚空が軋み、氷柱を形成されようとするのを感じた燦は、ドス黒い衝撃波を放射させた。
 瞬間、氷が砕け空に散る。
「……何……」
 呪詛に侵食されたブリザードが重たげに、空を見た。
 彼我の距離は無く――トンッとブリザードのリボンを指先で叩く、燦。開いた掌で、ぐっと、敵の胸元を掴む。
「私のように魂まで吸われなさい」
 そう言い、犬歯を覗かせる。
 薄い敵の肩から首、顎へと指を滑らせ掴みあげる――むき出しにされる敵首。
 香りは氷の世界そのもの。
 犬歯を突き立てれば、流れ込んでくるのは凍りつくような敵の血。否、氷だ。
 清涼なものに混じり、じゃりりとした食感。臓腑をも凍らせる冷たさに、燦は自身の舌で温度を馴染ませるように。
「ギ……!」
 びくりとブリザードが身を跳ねさせて、燦の肩をぐっと掴んだ――けれど、その力は徐々に失われていく。
 骸の海へと還ろうとするその存在を、此処に留まらせるかのように、引き延ばすように、ごくりごくりと燦はゆっくりと生命力を吸収し、乾く喉を潤す。
 燦の腕の中、ブリザードは息絶えていく――肩から滑り落ちる敵の指を、燦はゆるりと掌で受け止めた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『不死獣・生命を叫ぶもの』

POW   :    不死者・生命を望むもの
【生き抜く為に理性、思考能力、魔術】に覚醒して【鎧状の甲殻や武器のような腕を持つ巨人】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    不死獣・姿なきもの
【全身に魔力の噴射器を生成する】事で【影も残さぬ超速形態】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    不死竜・終着点を越えるもの
対象の攻撃を軽減する【鱗や甲殻に覆われた巨大なドラゴン】に変身しつつ、【巨躯から放たれる重撃や破壊のブレスなど】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は浅倉・恵介です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 氷の世界と、氷が溶けた世界と。
 ブリザードたちとの戦闘により明確となったもの。
 違いは視界だけでなく、空気すら変じていたことが猟兵たちには分かった。
 敵が作りだしていた雲粒が霧散するとともに晴れ渡る『空』。
 禍々しいモノを上回った清涼な空気は、クラウドヴェールの濃度を薄めた証であろう。

 そしてより強い瘴気があることに気付く。

 天空城を覆う雲。
 そこを抜け、城内へと足を踏み入れる猟兵たち。
 城は全て、氷のような硝子のような鉱物でできていた。
 一見、外壁から見通せそうであるが、映すものを拡散するそれはじっと見つめていると目が回りそうになる。
 それは中に入っても同じで、場は天つ空の狐日和。
 びりびりと伝わってくるは、獣のような唸り声と殺気だ。
 座する敵が瘴気を放っているのなら――この城は、クラウドヴェールの幻術を補強する一時的な拠点なのだろう。
 床を、壁を、天井を時折過ぎる魔力の塊。
 魔石と同じく、通りやすい敵の邪悪な力が、城全体を汚染しているようだ。
 魔力の流れに逆らうように、城内を進む猟兵たち。

 城には、魔石と同じ、光を翳せばキラキラと反射する宝箱。
 丁寧に織り上げられ、星のように煌く紗。
 硝子のような鳥籠に、螺鈿細工のような虹が取り込まれたランタン。
 じっくりと手に取ってみたいものが、置かれていたり、転がっていたり。

 気にはなるが、まずは、奥にいるであろう敵を倒させねばならない。

 アーチをくぐり抜ければ、一際広い場所へと出た。

 ――オオオオォォ……。
 敵の呼気から、殺意が伝わってくる。
 満ち溢れる生命を、城へと流し。
 巨大幻術「クラウドヴェール」を担う敵、不死獣・生命を叫ぶもの。
 じ、と地面を見つめ力を注いでいた不死獣は、猟兵たちの存在に気付き、ゆっくりと顔を上げた。


===========
●おしらせ

 無事に撃破できた後は、天空城に眠る古代の財宝を獲得シーンもあるかもしれないので、連携で戦っていく一括採用方式にしたいと思います。
 よって、プレイングの受付期間を定めさせてください。
 10月9日(水曜)、午前8時31分~11日(金曜)午後9時辺りまで。
 土曜日か日曜早朝の完結となります。
 それでは、よろしくお願い致します。
===========
マリス・ステラ
リーゼ(f00755)と参加

「終点は玉座の間だと思ったのですが、どうやら違ったようです」

『祈り』を捧げて『オーラ防御』と『カウンター』の星の輝きを纏う
弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
その星の『属性攻撃』は重力の力を宿して獣の動きを鈍らせる

「リーゼ、バルスの石がありません」

この局面で準備不足が露呈
最早一刻の猶予もありません

【神に愛されし者】を使用

「あんな獣一匹、私が押し出してみせます」

ドラゴン形態を正面から受け止める

「星の力は伊達じゃない!」

持久戦に持ち込みます
獣は強くとも、それ故に自壊は時間の問題ですから
リーゼが危険なら『かばう』

天空城を去る間際に魔石の結晶体を拝借します
二人の旅の記念です


リーゼ・レイトフレーズ
マリス(f03202)と参加

「ボスは玉座で待ち構えてるのが王道だと思うんだよね」

それにしてもここは立地が悪いね
少し不安だけど今回はマリスと肩を並べさせてもらうよ
SHOOTING STARを構えて前線で援護射撃
敵の頭部や関節を集中的に狙い撃つ
常に敵と一定の距離を保ちつつ死角へと立ち回る

「あれ使うと財宝持ち逃げされちゃうからダメだよ」

財宝を持ち帰るのは自分達なのだから
さて、大詰めといこうか
静かに光を宿す碧眼で敵、地形、弾道を読み

「いけっ、フィン・ケフェウス!」

どこかマリスにつられ
放つは一発の銃弾による同時多角射撃
火力不足は技量で補う

天空城の帰り際に財宝と一緒にマリスと記念撮影
二人の冒険の1ページだ


四王天・燦
帝国・氷・不死…皇帝が命を冷凍して不死を得た…なんてね。
「何にせよ外見が犠牲になりすぎだ」

四王稲荷符を撒き散らし範囲攻撃にすることで回避を困難にするぜ。
精神攻撃と呪詛で摩耗させる

見切りと武器受けで凌いだり、符術『力場の生成』で跳んで追撃をかわす。
そのまま周りを跳び回ってデストラップを搦めてやる

持久戦になると踏んで、他の猟兵に攻撃が向いたら直ぐに呼吸を整える。
息が整ったらアタシがおびき寄せて皆の回復の時間を作る

寿命を削る弊害が出たら力溜め開始。
「奥義・電刃居合斬り!」
神鳴で甲殻ごと斬る

ブリザードの魂を宿せたなら、お宝は彼女達のリボンと武器用に魔石1つで充分。
盗り過ぎは宿した娘が悲しむ気がするのさ


鳴海・静音
よーし、ここが相手のアジトってかァ?
さっさとお宝を頂くとしようぜ野郎共、突入だ!

…なんだありゃ!?マジでバケモンだなオイ!さすが異世界、何でもありってか?
野郎共と囲んでボコりてぇ所だが、さすがに攻撃がやばそうだ
仕方ねぇ、やるぞ野郎共!『亡霊の外套』!
他の奴らより率先して正面に立ち、ガッツリ殴り合いよォ!
受けたダメージはカットラスと『外套』の【生命力吸収】で回復
こっちは殴られるだけ【呪詛】が溜まって強化されるぜ?
さぁ、バケモノ退治だ!

コイツがお宝、か?さすが異世界、変わったモンがあるなァ
まぁ何にしろ…「私」にとっちゃ初めての宝だ…大切にしねぇとな

※協力・アドリブ歓迎
手下共の言動等はお好きにどうぞ


クララ・リンドヴァル
※アトリブ絡み歓迎です

……
海賊船、とても良い乗り心地でした
温存出来た分、働きましょう

『不変』のリンドヴァル、参ります……

血讐詛を発動
【オーラ防御】を軸に盾として動きます
【庇う】で味方の損害を減らしつつ
味方が攻撃するチャンスを作り出します

自身も長く耐えられるよう
隙を見て敵の生命力を吸収
もし自身に攻撃が集中したら
ブックトラックの陰に隠れ【盾受け】の要領で凌ぎます

驚くべきは、あれほど強力な存在が
防御や回避を念頭に置いた技ばかりを揃えている事です
甲殻の内側は脆いと見ました

ならば狙うのは『不死竜・終着点を越えるもの』で破壊のブレスを放つ時
口を開けた瞬間、血讐詛の効果で強化された【呪殺弾】を撃ち込みます


レナータ・バルダーヌ
オベリスクと違ってオブリビオンさんが術の核なのでしょうか?
このまま戦ってもいいのですけど、城内なら冷たい風も遮られているでしょうし、炎の鎧を解いてもよさそうです。

わたしは敵の攻撃をサイキック【オーラで防御】しつつ接近し、【A.A.ラディエーション】で攻撃します。
この技なら甲殻の【鎧も無視】できるので、敢えて腕や脚などの硬そうな部分を狙って攻手を削ぎましょう。
不死といってもオブリビオンさんですから、一度は過去のものになっているはず。
倒せない道理はありませんね。

あ、もしなにか宝物をもらえるのでしたら、畑仕事に使えそうなものか、お世話になっている洞窟に飾れそうな金ぴかのものはあるでしょうか?


シュデラ・テノーフォン
瑠碧ちゃん(f04280)と

居たイタ面白いの
不死だっけ?じゃ動かなくなる迄叩きゃ良いよね
さァ、ヤろうか!

最初は瑠碧ちゃんの魔法に協力する形で氷の精霊弾撃っていこう
足止めや動きの妨害も兼ねた氷で体力削ってく
俺はココだよモンスター!愉快に挑発、引き付けてタゲ取り
獲物からの攻撃も氷で阻み更に指輪の盾で防ぎ回避、カウンターを撃つ
この流れで立ち回り、勝機は盾を突破して敵が突っ込んできた時
回避せず硝子の城壁で全力防御
手負いの一撃に俺の硝子は打ち破れないさ
防ぎ切ったら瑠碧ちゃん攻撃お願いね
勿論俺も。至近距離だろうし一気に剣で獲物を貫く

あァ楽しかった!
最後は宝探し?しようか
硝子の品を持って帰って店に飾りたいな


木元・杏
【かんさつにっき】3人
はふ、と白い息吐き

晴れたと思えば降る雨は
より一層「宝」をきらきら光らせるね

……ん
不死を名乗る貴方に永遠の眠りを
わたしは幅広の大剣にした灯る陽光を持ち
メイドさんは沢山の回復薬の小瓶を持って
皆の庇いと回復で戦線支援

戦闘知識を活かし、不死獣の動きやそれに相対する人の動きをよく見
第六感働かせて彼の攻撃タイミングを感じとる
対象者にオーラを飛ばし防御
間に合うなら庇いに入り
オーラの大剣で武器受け&防御

メイドさん、傷の深い人から順に回復薬渡して?
小太刀もシリンも、誰も傷つけさせない
疲れは気にせず回復していく

※探索
宝箱はとんとんと叩き、慎重に開けて調査
沢山の宝物から魔力を感じるものを収集


泉宮・瑠碧
シュデラ(f13408)と

…生命を流し続けるのは
役目でも憐れに思うが…
精霊達、力を貸して

僕は杖を手に天飛泡沫と属性攻撃
鳥の一部は待機し、必要に応じて治癒
シュデラの様子も見て氷の錐で援護射撃も
攻守で第六感を張り形態の変化も注意

ドラゴンは
鱗の隙間に入り込む様に水で覆い
浮いた鱗の隙間を水鳥や氷の錐で穿つ
ブレスは風で抑え散らせる様に

巨人は
水の鳥や武器や足元を凍らせて妨害

超速は
噴射器の生成時に氷刃を纏う水の鳥達を宙へ散開
動けば当たる様に

シュデラの作る機は全力魔法で
氷の槍を撃ち出して射抜こう

被弾は主に見切り
不可ならオーラ防御

終えれば不死獣へ安らかにと祈り
財宝は僕は見られたらそれで満足
…あ、この花の細工綺麗


鈍・小太刀
【かんさつにっき】

ここが天空城、不思議な所
そして不死の獣…いつからここに居るんだろうね

杏とシリンを背に庇い前へ
刀を構えオーラ防御を展開し
再び雨音の先の未来を読む

影も残さぬ超速形態で直接の視認が難しくなっても
攻撃方法とタイミングが分かれば備えも可能
糸雨の鋼糸で見え難い罠を張っておき
相手のスピードも利用してダメージを与えつつ
動きを抑えてシリン達仲間の攻撃に繋げるよ

仲間への攻撃も声をかけつつ武器受けで防御

杏もいるシリンもいる
だから安心して戦える
メイドさんの回復薬に小さく礼を
ありがとね

■探索
興味津々に色々見て回るよ
青い石ここにもあった、大きいね
他にも沢山…もしかして彼ら、鉱物が好物?(←

※アドリブ歓迎


シリン・カービン
【かんさつにっき】

美しく、禍々しい場所ですね…

不死であっても硬い外殻に継ぎ目や弱い部分はあるはず。
私の目は決して見逃さない。

敵の攻撃は出来るだけ見切りますが、
今回に限っては多少の傷は気にせず攻撃を優先。

杏が守ってくれる。
小太刀が前に立ってくれる。
だから私は、心置きなくこの一撃を狙い撃てる。

「我が声に応えよ」
【スピリット・ブレッシング】を発動し、
巨岩で入手した魔石から精霊弾に魔力を注ぎます。
強化した氷の精霊弾を装填。
強力な氷の一撃は殻の継ぎ目を砕き、
内側から氷結させ膨張破壊します。

探索は精霊の力を借り、魔力や精霊力が強く働く個所を調査。
群竜大陸と繋がっている物が無いか探します。

アドリブ・連携可。


城島・冬青
アヤネさん(f00432)と

お宝には門番あり、知ってますとも
何事もタダではないですよね

UC夜歩く発動!
戦闘力を上げ更にUCでの飛翔速度を生かしたダッシュで不死獣がこちらに注意を向ける前に一気に間合いを詰め斬りつけます
あ、でも敵の身体は甲殻類のソレなんで斬るにはちょっと硬そう…
関節部を狙って突き刺す感じで攻撃していきます
アヤネさんの援護射撃で足が傷ついたなら
そこを追撃して動きを止める
一撃が重そうな相手なので
攻撃は残像を駆使してなるべく当たらないよう回避します

無事に倒せたら財宝を確認しましょう!
さっきチラ見しましたがどんなお宝があるんですかねー?
しかし…
アヤネさん
なんか蟹食べたくなって来ません?


アヤネ・ラグランジェ
【ソヨゴf00669と】
魔法的価値のありそうな品々に興味はあるネ
邪魔者にはご退場願おうか

前衛任せた
背中から重いケースを地面に下ろし
SilverBulletを組み立て始める
重過ぎて普段は使わないけど
これくらいの大物には丁度いい破壊力だ

伏せてスコープを覗き込む
装弾数は五発
まずは動きを止めよう
脚部を狙い撃ち
貫通しなくても衝撃でダメージを与えられる
片脚で止まらないならもう片方にさらに一発

仲間の攻撃を待つ
弱らせて動きが止まれば精密射撃ができる
UCで銃身を固定
スコープと電子ゴーグルを連動させて
頭部を狙う
残る三発の弾丸を眉間に続け様に撃ち込む

戦闘後は十字を切る
アーメン

蟹?
ソヨゴさすがに僕は食欲がわかないかも




 時は少し戻る。

 天空城前。巨岩から城へ橋架ける鳴海・静音(不思議の国の亡霊船長・f19460)の亡霊船――海賊旗がばさりと舞うなか、舳先へ立つ。
「よーし、ここが相手のアジトってかァ?
 さっさとお宝を頂くとしようぜ野郎共、突入だ!」
『おう!!!』
 亡霊の海賊たちが響応し、静音に従い天空城へと足を踏み入れる。彼女に並ぶように行くのはクララ・リンドヴァル(本の魔女・f17817)だ。
「……。海賊船、とても良い乗り心地でした」
「おっ、そりゃ良かったぜ」
 温存出来た分、働きましょうとクララは頷いた。
 奥を目指して駆けていけば別の入り口からやってきた猟兵たちと出会い、奥へ――。

 はふ、と木元・杏(料理(物理)の達人・f16565)が白い息を吐く。
 天つ空の狐日和。
 雨に縁がないであろう天上の城に降るは、猟兵たちを映し取った色であり、光の雨だ。
「ここが天空城、不思議なところ」
 鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)が呟く。一面にカット細工された場もあり、時に眩しい。
「晴れたと思えば降る雨は、より一層『宝』をきらきら光らせるね」
 手を翳せば、掌に落ちるは虹の色。
「――美しくも、禍々しい場所ですね……」
 敵色に染まる流れを見て呟く、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)。
 ぴたりと足を止め、後方へ向かって片手を挙げる。
 視線を辿れば、赤が集中した場。
 アーチを潜り抜ける前に窺えば、じ、と地面を見つめ力を注いでいる不死獣・生命を叫ぶもの。
「不死の獣……いつからここに居るんだろうね」
「オベリスクと違って、オブリビオンさんが術の核なのでしょうか?」
 炎の鎧を解き、翼を形作ったレナータ・バルダーヌ(復讐の輪廻・f13031)が小太刀の言葉に、ふと、疑問を呟く。
 群竜大陸が蘇り、それを覆うクラウドヴェール。幕の閉じ口となっていたクラウドオベリスク。
 恐らくレナータの言うことは『当たり』だ。
 こくりと頷く、マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)は「ですが」と言葉を拾う。続けるのはリーゼ・レイトフレーズ(Existenz・f00755)だ。
「ボスは玉座で待ち構えてるのが王道だと思うんだよね」
 どーん。
「ええ。終点は玉座の間だと思ったのですが、どうやら違ったようです」
 ばーん。
 二人同時に前へと一歩。重々しく頷いた。
 はいっ、と挙手するは城島・冬青(六百六十九番目の宿木・f00669)。
「私も思いました。それこそがボスですよね」
 あ、いや、でも、と呟き。
「お宝には門番あり、何事もタダではないですよね。となると……」
 玉座には最大のお宝が据えられているのでは、と言う冬青の隣では、アヤネ・ラグランジェ(颱風・f00432)が背負った重いケースを地面に下ろすところだった。
「お宝……魔法的価値のありそうな品々に興味はあるけどネ」
 その前に、
「――邪魔者には早々にご退場願おうか」
 ケースを開けば大型ライフルの銃身がまず出てくる。SilverBulletの組み立てを始めた。

 不死獣は、猟兵たちの存在に気付き、ゆっくりと顔を上げる。


(「……生命を流し続けるのは、役目でも憐れに思うが……」)
「――精霊達、力を貸して」
 コツリと精霊杖で地を突く泉宮・瑠碧(月白・f04280)が願う。
 呼応する精霊たち一つ一つを掬い、
「我が生成せし清き流れよ、鳥となりて羽搏き、浄化を成さん」
 そう告げれば、一斉に鳥を模った水の群れが広間へと羽ばたき広がった。
『グオオオォォォ!!!』
 ザアアッと流水の音を響かせて不死獣を襲う鳥群は、被弾すると同時に弾けた。
 その範囲が広くなっていく――鱗や甲殻に覆われた巨大なドラゴンへと不死獣が変身したのだ。
「不死だっけ? じゃ、動かなくなるまで叩きゃ良いよね」
 シュデラ・テノーフォン(天狼パラフォニア・f13408)がCenerentolaを手に、敵側面へと回りこむように駆け氷の精霊弾を撃つ。
「さァ、ヤろうか!」
 ドラゴンの尾を振るう不死獣がシュデラを捉える。
「帝国・氷・不死……皇帝が命を冷凍して不死を得た――……なんてね」
 ちょっと物語めいた筋を立てる四王天・燦(月夜の翼・f04448)は、言葉最後に軽く肩を竦めた。
「何にせよ外見が犠牲になりすぎだ」
 その手には四王稲荷符。
「御狐・燦が命ず。符よ、我が意のままに空に留まり、天へと至る足掛かりと成せ!」
 投擲した符が力場の生成を行うとともに、一枚、一枚と続く投擲が呪詛の陣を施していく。
 初手、最接敵するのは冬青だ。
「音速で駆け抜けますよ!」
 黒蘭の花弁を纏った冬青が、地を這うような低い跳躍を見せ斬りこむ。目に見えて硬そうな敵に、花髑髏の柄を両手で確り握り、弾丸の如く。刺突攻撃。
『オオオッ!』
「えっ――きゃあ!」
 腕を貫いた刃が、瞬時に敵筋肉に固定された――そのまま敵が腕を振り上げれば、冬青は振り飛ばされる。
 猟兵たちの一斉ともいえる攻撃に、敵が高らかな咆哮を放ち空気がびりびりと震えた。
「おっと」
 リーゼがSHOOTING STARで敵頭部、そして関節を狙い撃つが、瘴気を含む魔力が敵から放出され弾道が逸れる。
 バンッとシリンの撃った氷の精霊弾が虚空で破裂した。目を眇める。
 ビキビキッと肉を裂き、生成された魔力の噴射器が不死獣を体を浮かせる。先程から噴出し続ける魔力が敵の体をホバリングし、留めた。
 そして猟兵たちを一掃するブレスがなぎ払われる。
「……く……」
 戦場全体から渦を描くように、瑠碧が風を繰るが、それすらもなぎ倒すように。高度を取る敵攻撃は易々と抑え込んできた。仲間を庇い射線に入るは杏とシュデラ、そして暗黒の呪詛を全身に覆ったクララだ。
 身も魂も凍らせるブレスであった。すぱりと裂ける肌。灼け切れそうな感覚は、自らの細胞が壊死していくもの。
 シュデラが舌打ちし、シールドを解除した。彼の視線は上へ。
 ハッとした猟兵たちが見上げれば、天井は遥か先。
「不味いですね」
「うん。そして立地が悪い」
 シリンとリーゼが端的に呟き合った。高低の差が作られ、猟兵たちの足掛かりも遮蔽物も無い。
「メイドさん」
 杏が抱っこしていたうさみみメイドさんを操れば、瑠碧の施す一時的な膜の如き気流に乗るメイドさんが回復薬を猟兵たちへと投げていった。あちこちから小瓶の当たる音。
「くるよ」
 小太刀が言った瞬間。
 膜のない翼の羽撃が猟兵の耳を打ち、床は抉れ、小さなクレーターが出来ていた。
 跳弾の如き敵攻撃を身に受けたのはレナータだ。纏うオーラが衝撃を緩和するが高速で動く不死獣に攫われる。
「っはあっ!」
 高く、壁へと叩きつけられる前に念動力を叩きこみ、敵を押し返す。炎翼を広げて壁へと着地。一時的な足場へとその身を置く。
 その肩には杏のうさみみメイドさんが乗っていて、回復薬を処置してくれた。
『オオオオオ!!』
 くるりと宙返りした敵が再び魔力の噴射で眼下の猟兵へと迫る。
「……なんだありゃ!? マジでバケモンだなオイ! さすが異世界、何でもありってか?」
 ぎょっとした静音が、やや仰け反り上を見て叫んだ。
「野郎共と囲んでボコりてぇ所だが、さすがに攻撃がやばそうだ」
 静音の言葉に頷くは小太刀。
「――そうだね。まずは、敵を落とさなきゃ……罠を張ろう」
 そう言って小太刀が駆ける。
「援護しよう」
 瑠碧が小太刀を護るように、治癒も担う浄化の水鳥を更に召喚する。
「アタシは上を封じに行くよ」
 符を足場に、跳躍し新たな符を投げる燦は少しずつ上へ。
 ドンッ! ガッ!
 壁や床を穿ち、『跳弾』する不死獣。
「――見えた……!」
 刀の切先の様に鋭く研ぎ澄ませた意識。腕を引く小太刀が未来を描く――否、既に描いた未来。
 上空から勢いに任せ飛び込んでくる敵の肉が、一瞬ぶれ、裂けた。
『ギャアアオゥッ!?』
 広げていた鋼糸が引かれ、集束し、刹那の刃となる。堪らぬとばかりに不死獣が上空へと跳べば、残るは糸に巻かれた肉片。
 攻守が切り替わった瞬間であった。
 逃亡は単純な動きだ。
 伏せて、スコープを覗きこむアヤネが敵を完全に捕捉した。
「動きを止める――」
 脚部を撃てば空中で身を捻り、防御態勢を取る不死獣。高い壁が刹那の着場と成った瞬間を狙い、もう片方の脚を。
 不死獣が唸り、その巨躯を僅かに滑らせる。
 ふわりとレナータが飛び立った。
「痛めつける側は苦手なので、手加減できませんよ?」
 敢えて硬そうな場所を狙い、内部から破壊する無軌道の念動力を放てばその衝撃に敵が落ちていく。
「くるくる、くるくる、墜ちましょう」
 星の輝きを纏うマリスが放つ星屑の矢。
 流星の如きそれは敵を射止め、纏う星の力は重力を宿し不死獣を地へ縫い留めるように。
 その時、はたり、とマリスは目を瞬かせた。
「リーゼ、バルスの石がありません」
「あれ使うと財宝持ち逃げされちゃうからダメだよ」
 財宝を持ち帰るのは自分達なのだから、とリーゼ。
「さて、航空脅威を取り除いたね」

 局面が移る。

 ドンッ!!

 敵の重量を伴う着地に床が揺れ、割れる。
 ビシビシッと、レナータと燦の眼下に広がる亀裂はまるで蜘蛛の巣だ。
 上空にて呪詛を敷き、その力の筋が符を伝い下へと辿るように。一方向を封じ終えた燦が神鳴を携え降下する。
 その時、喉を鳴らした不死獣が、ドラゴンの姿はそのままに、骨肉の発達する音を響かせ鎧状の甲殻や武器のような腕を持つ巨人へと変身した。
『グルルル……』
 尾を振りながら、脚よりも太く大きくなった腕を床に着く。
 様子を窺うような敵を撃つ、リーゼ。
 静音が鞘からカットラスを抜けば、しゃりんと音が鳴った。
「よっしゃ出番だな! やるぞ野郎共! 『亡霊の外套』!」
『我等海賊!』
『願いは一刀へ、この魂は盾に!』
 地に縫い止められた不死獣へ肉薄するは手下の霊魂を纏う静音と、冬青だ。
 ガキンと硬質な音を立て、カットラスが弾かれる。
「かってぇぇ!!」
 びびびびっと痺れの走った静音が叫ぶなか、降ってくるのはレナータ。
「硬い部分はお任せ下さい」
 そう言ってA.A.ラディエーションを放つ。
「この技なら甲殻の鎧も無視できます」
 砕けなくても構わない。内部から破壊する念動力が敵の攻め手を阻害すれば上々だ。
 その時瑠碧が精霊杖を振るう。
「足元に気を付けてくれ」
「はいっ」
 即応したのは冬青だ。ひらりと舞うように、脚をやや上げて身を翻せば彼女の側を水鳥の群れが過行く。
 敵に被弾し弾けた鳥たちは水となり、敵鱗と地肌の間を逆流した。
 そこを狙い花髑髏を突き刺すは冬青だ。
 水を追うように刃先を滑らせ、斬撃へと持ちこむ。
「静音さん、そちらへ行きますよ!」
 硬質な鱗が鳴り響き、「応!」と応じた静音がカットラスで捲り上がった鱗の下部へと斬りこんだ。
『グオオオオ!!』
 前脚部を振り上げ、静音を殴りつける不死獣。吹っ飛ぶ静音を受け止めるクララだが、海賊船長は「すまねぇ!」と叫び、跳ねるように立ち上がり再び向かって行く。元気だ。
 水が霧散する前に氷の精霊弾を撃ちこむシリン。
 敵に近く、攻撃に専念する仲間にターゲットが絞られないよう、クララとシュデラが動く。
「よう! 俺はココだよモンスター!」
 空気を震わす轟音がシュデラを打った。指輪のシールドは展開の勢いに乗じて敵腕を弾き上げ、がら空きとなった胴をシュデラが氷の精霊弾で攻撃していく。
 巨躯から繰り出される近接攻撃は、回避しようとする猟兵の体力を削ぐし、強力な一撃には吹き飛ばされる。
 タゲを取り、庇い、守りに徹するシュデラとクララの動きは仲間が攻撃に専念できるものだ。
「ん、回復の時間」
 受け取って? と杏のうさみみメイドさんがしゅたたたっと駆け、次々と小瓶の回復薬を投げていけば、命中した音が続く。
 勿論、シュデラとクララにはたくさんの回復薬が飛んでいった。
「イテテテ……いや、痛くはないけど……」
 シュデラの呟き。ぱりんぱりんと時に響く音は小瓶が割れた音で、回復された証でもある。
「ひぇっ? ありがとうございます~」
 うっかり反応しそうになった刀を戻す冬青。
「ありがとね」
 小さく礼を言うのは小太刀だ。腕をくるくる回し次へ投擲したところのうさみみメイドさんが、手を挙げる。
「グッジョブだよ、うさみみメイドさん」
 ふ、と微笑むアヤネ――くるっと振り向くうさみみメイドさんと目が合った。
「あ、僕は大丈夫だから」
 丁重にお断りする。
 この間に前に立つのは静音とクララ。援護するのはリーゼとマリス、シリンだ。
 巨腕のフルスイングを受け止め、飛ばされたクララがシリンの近くに着地する。
 符を投げる燦が一歩、二歩と下がり、目を細めた。
「寿命を削りそうな攻撃ではあるけど――不死性故か、元気だね」
 精神攻撃、呪詛と敵を蝕む攻撃――猟兵たちの一撃一撃は蓄積するものの、湧き上がる活力・不死の力を頼りにしたような、敵の動き。
 されど、弱点も確かにある。
「――驚くべきは、あれほど強力な存在が、防御や回避を念頭に置いた技ばかりを揃えている事です。甲殻の内側は脆いと見ました」
 クララの言葉に頷くのは、シリンとアヤネだった。
「僕は、時々、敵のリセットするように、一時的に動きを止めることが気になっている」
 ウロボロスの術式を起動させ、影から出てくる異界の触手を纏うようにアヤネが言う。
 削られた寿命がこのタイミングに補充という形になっているような気がした。
 ああ、と何かを思いついたように、燦が呟く。
「生命力を一気に吹き飛ばすように、叩けばいいんじゃないか?」
「見出した弱点を攻撃していきましょう。不死であっても、硬い外殻に継ぎ目や弱い部分はあるはずですから、私はそちらを」
 精霊猟銃を一旦肩に掛け、シリンが駆けた。
 包囲陣を敷くべく動く猟兵たち。
「不死といってもオブリビオンさんですから、一度は過去のものになっているはず。倒せない道理はありませんね」
 道を見出し、それぞれが動く――レナータの言葉に、杏もまたこくりと頷き、改めて決意する。
「……守る」


 大剣を象る、灯る陽光を杏が振れば暖陽の彩が花弁の如く舞散った――生まれた光は意ある動きをして前で戦う者たちの元へ。
 オーラにより防御の力が補強される。
「うさみみメイドさんもお願いね」
 そう告げて、杏は駆けた。接敵し攻撃を受ける仲間を庇うために。
『オオオオオオオオ!』
 殺気を迸らせ、不死獣が跳ねた。
 巨大化した両腕で床を叩き、回転を伴う全身を利用した蹴撃。
 それを真っ向から受けたつのは、何とマリスであった。星の輝きに覆われた彼女は、神々しく光り輝いた。星の一つ、一つに、質量、重力、反射、吸収の力がそれぞれ宿る。
「あんな獣一匹、私が押し出してみせます」
 言葉通り、愛により戦闘力増強されたマリスが、腕を伸ばせば質量を伴う星が敵を穿った。ぐるりとその場で旋回した星の束で敵身を床に叩きつけるマリス。
「星の力は伊達じゃない!」
 ぎしりと敵の骨肉が軋み、叩きつけられた双方の重力に床がやや陥没する。
「さて、大詰めといこうか」
 再度両腕を駆使し、虚空へその身を躍らせる敵を捉えるのはリーゼだ。星の光が差す碧眼。
「いけっ、フィン・ケフェウス!」
 引鉄を弾けば、放たれる一発の銃弾――敵胴を貫いた弾が戦場を映す壁を穿ち、跳ねた。
 軌道を追うことも難しい跳弾が不死獣を撃ち貫き、また跳ねる。多角射撃が全て撃ちこまれ、縦横無尽の傷が敵内部に。
「脚、弱っていますよ!」
 あまり使われなくなった敵脚、アヤネの撃った跡へ冬青が斬撃を放てば、片脚の切断。
 一刀ののち、降ってくる敵を回避する冬青。残像からのフェイントで敵懐へ。
 黒蘭の花弁を纏い、駆け抜けると同時に一閃。けれど、露わになり槍のように尖った敵骨が冬青を追う。
「危ない!」
 跳躍していた小太刀が片時雨を垂直に落としつつ、敵攻撃を阻害する――着地すれば、後追いの鋼糸が網漁のように敵を捉え、すぱりと切裂いていた。
 跳躍した静音が敵首を狙い、カットラスを振るう。肉質は相変わらず硬いが、戦闘力増強により婉曲の刃は易々と入った。
 そして、間近で目撃する。
 敵の口に、一挙に集束する力――やばい、と声を上げる暇もなかった。
「『不変』のリンドヴァル、参ります……静音さん、こちらへ」
 静かなクララの声に呼ばれ、静音はカットラスを振り抜くと同時に敵を踏みつけ更なる跳躍へ。
 破壊のブレスを放たんとする口が静音と、クララの方へ向く――ここだ――血讐詛の効果で強化された呪殺弾が敵口腔へ撃ちこまれた。
 篭った爆破音。
『グ、ア、ガハァッ……!!』
 霧散した一撃かと思われたが、筋が幾つか放たれる。
「手負いの一撃に俺の硝子は打ち破れないさ」
 シールドを展開し、揶揄めいた声でシュデラが言えば敵が全身をバネのように――繰り出される殴打。
 好機だ。
「Gloria!」
 シュデラの魔力が瞬時にガラスの防壁となった。
 いくら戦闘力が強化されようとも裂けた肉を修復する術はない。威力の落ちた敵腕は容易く弾き返される。
「瑠碧ちゃん!」
 魔力を精霊杖に叩きこみ、全力魔法を撃ち出す瑠碧――その力は氷の槍となり、敵を射抜く。追撃に仰け反った敵を貫く水晶の刃。
 筋肉が凝縮する。
「……ッ!」
 仰け反りの姿勢から、ぐ、と前傾した不死獣がEllaを留め、シュデラを引き寄せた――刹那。
 アヤネの弾丸が敵眉間を撃つ。
 電脳ゴーグルを装着したアヤネの視界は、今、対UDCライフル「Silver Bullet」のスコープと同期している。
 重量10kgを越える大型ライフルの衝撃は固定するウロボロスが受ける。
 続けざまに計三発のUDC細胞炸裂弾、間髪入れずにレナータの念動力が放たれ、内部の破壊が促進された。
『グオオオオオオ!!!』
 瘴気が撒かれていく。
「我が声に応えよ」
 スピリット・ブレッシングを発動させ、採取したばかりの魔石を通し、精霊弾に魔力を注ぐシリン。
 増幅される力が、パシリ、ピシリと氷の音を立てる――属性が強化されていく。
 瘴気漂う地。
 符術『力場の生成』で跳躍した燦が、敵頭上を取る。
「奥義・電刃居合斬り!」
 抜刀からの一閃。迸る紅の電撃による一刀の筋。
 同時に、シリンの精霊弾が放たれた。
 強力な氷の一撃が甲殻の継ぎ目を貫く――破壊途中の敵細胞、加えてその隙間を。増強された氷の精霊が氷結していく。
 そこへ駆けるは雷気だ。
 ショートさせるが如く、一気に不死性を生成していたソレが破壊され――アヤネが十字を切る。
「アーメン」
『ガアア――ッ……!』
 ――不死獣・生命を叫ぶものは爆発四散したのであった。


 戦場となった広間の先に、玉座の間はあるのだろうか?
 探索していくと、玉座の間と思わしき場所はあった。
 一面硝子に囲まれた部屋に、水鏡。それを見下ろす位置にさざめく光の玉座。
 ほぅ、と感嘆の声をあげる猟兵たち。
 不死獣へ安らかにと祈りを捧げていた瑠碧がその声に振り向く。
 こつり、と立つ足音。
 コツ、コツと静寂の中に満ちる音。
 いずれは冒険者たちや研究者の手によって城が暴かれ賑やかになっていくのだろうが。
 今はまだ静かな城を猟兵たちが探索していく。

「コイツがお宝、か? さすが異世界、変わったモンがあるなァ」
 静音が宝箱を開ければ、そこにはたくさんのものが仕舞われていた。
 瘴気がなくなり、内部を映し、光を取り込む城を、見上げる静音。
「まぁ何にしろ……「私」にとっちゃ初めての宝だ……大切にしねぇとな」
 手にしたものには、キラキラと、金の星のような光が内包されている。
『船長! これどうでしょう?』
『いやいや、こっちも良さげですよ』
 初めてのお宝――感慨深く見つめていた静音を呼ぶ海賊の手下たち――否、呼ぶだけに留まらずあちこちへと引っ張り回そうとする。
「こ、こら、お前達!」
 亡霊の海賊たち、亡霊船長としての日々はまだ始まったばかり。
 と。
『レナータさん、こっちはどうでしょうか?』
 亡霊の海賊が集める宝を見ていたレナータが声を掛けられる。
「装飾品は……うーん……」
 レナータ、ちょっぴり難しい顔。
「そうですね……頂けるのなら、畑仕事に使えそうなものか、お世話になっている洞窟に飾れそうな金ぴかのものはあるでしょうか?」
 金ぴかですか? とがさごそする、海賊。
「これとか、良いんじゃねぇかと思うんだが」
 静音も、がさごそ。
 金が砕かれ、散りばめられた大きな宝石を「はい」と手渡された。
「わあ、陽に翳すとキラキラしていますね」
 畑仕事に使えそうなもの、は水鏡の中で見つかった。
 水の中にはたくさんの魔石が転がっていて、その一つを何かの容器に入れると水が満たされていくという手品みたいな魔石。
 ああ、これは、と精霊術士のシリンと瑠碧は仕組みを理解したようだ。
「空気中の水分を集める石ですか」
 レナータは頷いた。ちょっと便利そうだ。主に如雨露を使う水やりなどに。
 いただいていきましょう、とレナータは微笑んだ。

「さっきチラ見しましたが、どんなお宝があるんですかねー?」
 瞳を輝かせて、声を弾ませて、スキップする冬青。
 無事に敵を倒し、ファンタジー感溢れるお城での探索はとても楽しいのだろう。
 よく動いた。
 うん。
 と、ここで、冬青はお腹を軽くおさえた。
「ソヨゴ?」
 様子に気付いたアヤネが呼ぶ。
「しかし……アヤネさん」
「?」
 何だか葛藤する冬青の表情も可愛いなぁと思いながら、アヤネは彼女の言葉を促すように、視線を送る。
「なんか、蟹、食べたくなって来ません?」
「……蟹?」
「……甲殻に覆われたあの敵……ちょっと……手応えが」
 蟹だった? ――宝箱を前に屈んでいた杏が、会話を拾い、パキッと甲殻を割るうっかりな仕種。
「……かに……蟹?
 ――ソヨゴ、さすがに僕は食欲がわかないかも」

「あァ楽しかった! 最後は宝探しかな?」
 硝子の品を持って帰って店に飾りたいなぁとシュデラがあちこちを探索する。
 その後を着いていくのは瑠碧だ。
「財宝は、僕は見られたらそれで満足だな」
 玉座の間、宝物庫、そして石を生成していたと思われる場には大小様々な品がある。
 加工もしていたのだろう。
「~♪」
 カット細工、原石のような造り、球体と様々で、シュデラが検分を進めていく。
 そんな彼の様子を見ては微笑み、ゆるりと辺りを見て回る瑠碧。その時、一つの机に目を留めた。
「……あ、この花の細工綺麗……」
「本当だ。綺麗だね」
 シュデラの審美眼にも叶う品だ。
 するりと指を滑らせて。ひんやりとした感触を楽しんだのちに、摘んでみた。

 とある一室に入ったクララは、ふと、積まれたものに近付いた。
 薄い硝子のような板だが、頑丈そうな――書板だ。
「――およそ、保存向きではなさそうな……」
 と、少し翳せば彼女の魔力に反応したのだろう。魔法陣が浮かび上がった。
「類感の……儀式魔術でしょうか……」
 一つ、一つ、クララは見ていく。
 各々が探索し、見つける様子に微笑みを向け、燦は出入口へと向かっていった。
 外に出て陽の中に翳す魔石。そしてその指に絡む黒のリボン。
 お宝はこれで充分であった。
「盗り過ぎは宿した娘が悲しむ気がするのさ」
 溶け始めた氷の原の雫が、地へと降っていく。

 宝箱をとんとん叩いて、慎重に開けて調査していく杏。
 大きな宝箱を覗きこめば、うさみみメイドさんもその縁に顔を寄せて覗きこむ。
 シリンは精霊の力を借り探索する。魔力や精霊力が強く働く場所は、やはり玉座の間だ。
 力が戦場となった広間に流れていくようになっている。
 生成されていた禍々しい力はなくなり、空気の変化からして、やはりクラウドヴェールを更に破壊できたのだろうと猟兵たちは結論付けた。
 水鏡を覗きこめば、ゆらゆらとした波紋――何かが映される――そんな気がして目を凝らす。
 興味津々にあちこち、色々と見て回るのは小太刀だ。
 書板の山を見つけたり、金粉を床や壁に散りばめた部屋を見つけたり。
 杏とシリンと合流して、宝箱を見つけたり。
「あ。青い石ここにもあった、大きいね」
 シュデラと瑠碧が探索する部屋にて、大きな青い魔石を見つける。
「他にも沢山……もしかして彼ら、鉱物が好物?」
 にっこりと小太刀。
 ……。
 ひゅううう、と何故か風が吹き、杏がふるりと震えた。思わず、耳当てに手をやる。
 …………?
 あ。成程、と手をぽんと打ちつつ、
「少し、城内の温度が下がったようですね」
 シリンが呟き、小太刀は「うぐぅ」と唸るのだった。

「♪」
「それでよかったの?」
 リーゼが問うと、マリスはこっくりと頷いた。
 天空城を去る間際、魔石の結晶体を拝借したマリス。
「ええ、二人の旅の記念です」
「そっか」
「リーゼは、旅の記念を持たなくてもよいのですか?」
「私は……」
 問いには瞬き一つ。ロリポップキャンディをくわえ、カメラを取り出して見せた。
 カメラ。やることは一つだ。軽く振り、
「二人の冒険の一ページだ」
 そう言って、財宝と一緒にマリスと記念撮影。


 こうして、巨岩群、天空城を踏破した猟兵たち。
 更なるクラウドヴェールを破壊し、また一歩、群竜大陸へと近付くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年10月13日


挿絵イラスト