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冒険者達のヘルシーな晩餐

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●惨憤クッキング
「はぁ、はぁ……」
「ぎょっぎょっぎょっ。おや、おや、おや、おや。ここまで来るとは珍しい」
 息も絶え絶えに、剣を持った少女は血走った眼で周囲に機械で出来た魚を浮かべた謎の男を強く睨みつけた。
 嬲るように襲ってくる高温の蒸気を潜り抜けたと思ったら、数多の魔法戦士の亡霊に雷で焼き焦がされ、命辛々にたどり着いた――多くの仲間の命を払った上で。
 今こそ仇を討つ時と剣を振り上げるその足取りも覚束なく。
「んっん~~~……実に良い匂いになってくれて有難うギョざいますお嬢さん」
 碌な抵抗もできないであろうと知っている男は陽気に柏手を打つと、
「よくぞここまで美味しくなりました。なりました。ギョ褒美に美味しく美味しくいただきましょう『健康スチーム料理』挑戦者達のギョ馳走仕立てを」
 周囲に浮かべた機械の魚が一斉に爆薬を打ち込み、ふらつく女剣士の身体を更に焼き、爆発の波に飲み込んでいき――。
「ギョちそうさま。お代は銀貨三十枚でよろしいですね。ぎょっぎょっぎょっぎょっぎょっぎょ」
 髪の毛の一片も残さずに消えた女剣士の無念と怒りを、どこまでも嗤う声が迷宮に響き渡るのであった。

●顔から出るのは火か冷や汗か
「『勇者レイザーよ。貴様の炎と氷は最早通じぬわ!!』勇者レイザーに魔王の笑い声が響いた。『なら“両方”ぶつけてやるだけだぜ!!』『何ぃ?』そういうとレイザーは得意の炎の力を剣に宿した!! そして彼はもう一つ得意とする氷の力を宿そうとする!!『気でも触れたか。別々には扱えても同時に宿すなど出来るわけが……』『それはどうかな?』 魔王の嘲笑にニヤリと返したレイザーの剣にはなんと炎と氷の力が同時に宿っていた!! 『これで終わりだぜ魔王!! 必殺剣スチームスパンキーング!!』『ぐわーっ、炎と氷が混ざり合い高圧の水蒸気と爆発を起こすとはこれが勇者の力かーっ』」
 グリモアベースにやたらと乗り気である女の朗読が響いた。
 話の内容はどこにでもあるような、勇者が魔王を打倒す物語で、勇者の力を無力化した敵が新たな技に敗れるお約束のシーンであった。
 純粋な猟兵は彼女の朗読の演技に聞き惚れ、またある猟兵は話とセリフ回しの陳腐さに辟易しつつ、そしてまたある猟兵は耳を塞ぎ悶えていた。
 そうしてある程度の注目が集まったことを確認すると、彼女は手に持っていた薄いノートを閉じ、強い蒸留酒を一口飲んでから周囲を見回した。
「さて、集まってくれたようだね。ああ、こいつはどこかで拾ったノートだ。持ち主には悪いだろうが、朗読させて貰ったよ。もしこの中にいたのならとんだ公開処刑をしてしまったと詫びておくけれど」
「気は済んだか? さぁ語ってくれ」
「私の決め台詞を取らないでくれたまえ。どちらにしろ語るけれどね。今回の舞台はアルダワ魔法学園、蒸気機械と魔法の織りなすラビリンスが舞台だ」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、決めセリフの先回りに眉を顰めながらも、その手に持つグリモアを輝かせて映像を映し出す。

 学園迷宮のとあるフロアで強力な災魔(オブリビオン)が発生したという。
 その災魔の下へ行くには、道中にある特殊な回廊――不定期に高温の蒸気が噴出するダメージガス・トラップを通らないといけないらしい。
 幸いにしてほかのトラップは無いようであるが、蒸気のダメージ自体が非常にいやらしく、踏み入れた者をじわじわと嬲り殺しにするような加減で来るという。
「……待ち受ける災魔の趣味らしい。元々蒸気が不安定だったところを弄って、挑戦者を嬲る為にしたそうだ。そうして潜り抜けてきた挑戦者達を今度は自分の手で嬲り殺しにして命を奪う……彼はそれを、『健康スチーム料理』などと呼んでいるようだがね」
 とんでもない悪食野郎だよ、と吐き捨てるように笑いつつ、既に何人もの犠牲者が出ており、今では挑戦者も現れなくなってきているという。
 だがそうなったら河岸を映すか別の手段で誘き寄せてくるか――そうした対策を取られる前に、早くに潰さなければならないんだと語った。
「だからまずは高温の蒸気が立ち込めるこのフロアを突破して貰いたい」
 蒸気と蒸気の合間を縫って駆け抜けていくも良いし、何かしらの技術で蒸気を無力化しながら進むのも良い。
 何だったら、蒸気が出てくるところを突き止め、蒸気の罠自体を抑えるなり止めるなりしても良い。尤も、そうしたとしても完全な無効化はできないだろうがと補足もし。
 身体に自信があるなら、強引に突っ切ってしまうのも一つの手だと語る。
「ただ強引に突破する場合であるのなら、全く何も対策してない、は流石にお勧めしないがね」
 ゴーグルを用意するなり、肌の露出を抑えるなり何かしらはしておくべきだよ、と釘を刺しておき。
「その上で君達には災魔を倒して貰いたいのだけど……その前に、別の災魔が待ち受けている。それは件の悪食君とは関係ないらしいんだけど……」
 犠牲者が出るようになってから、蒸気の回廊を突破した先の、災魔の待ち受ける部屋の中間地点に首なし騎士の亡霊が現れているらしい。
 理由は分からないが、突破してきた冒険者を妨害してくるようで、彼らとの戦闘も避けることは出来ないだろうと語り、酒のつまみにしていた蒸した肉を一口食してから。
「……蒸し料理は私も好きだが、悪趣味に人を弄ぶような『悪食』なんて真っ平ごめんだからね」
 立ち上がり、いつものように集まった猟兵達を見回してから頭を下げ、陽気に微笑みながら顔を挙げて。
「苦労をかけるかもしれないが、君達なら問題なくやれると信じてる。だから私はここで待ってるよ、君達が迷宮を華麗に突破して逆に災魔を料理してくれる冒険物語をね」


裏山薬草
 初めましての人は初めまして。
 既知の方はお久しぶり、裏山薬草と申します。
 まずはOPに目を通してくださり、真にありがとうございます。
 ヘルシーで美味しいですよね、蒸し野菜とか蒸したお肉とか。

 第一章では高温蒸気だらけの迷宮を突破する猟兵達の格闘を描いていきます。
 ただしPOWで強引に突破する場合でも、全くの対策なしはお勧めできません。
 WIZでトラップを無力化する場合でも、それは一時的なものとなりますので恒久的な無力化は出来ないものとします。
 要は勝手に他の人がWIZで無力化した隙に突っ込むという手段は原則取れませんよ、ということです。悪しからず。
 とはいえあんまり難しいことは考えず、こんな感じに格好良くトラップを突破する姿を描いて欲しいみたいな気持ちでプレイングを送っていただけると嬉しいです。
 第二章以降はトラップフロアを突破した猟兵達と待ち受けるオブリビオンとの戦いを描いていく予定です。

 それでは今回も、皆さんと一緒に楽しい物語を紡いでいきたいと思います。
 裏山薬草でした。
 なお、OPでスフィーエの朗読した黒歴史ノートは自分のだ、とおっしゃる方がいれば先着順でそのように描写します。どうでもよいかもしれませんが。
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第1章 冒険 『蒸気で満ちた迷宮を』

POW   :    蒸気を物ともせず、勢いで突き抜ける

SPD   :    なんらかの技か方法で蒸気を無効化し、先に進む

WIZ   :    蒸気が吹き出る原因などを取り除き、先に進む

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●蒸気の迷宮、上気するのは
 ――アルダワ魔法学園。
 広大な地下迷宮を有し、封じ込めた災魔(オブリビオン)を討つ勇者を育成する学園を持つ世界。
 災魔の待ち受ける迷宮に存在するいくつもの罠と、時折予想もつかない仕掛けや生物を乗り越え最終的に災魔を討つ――ご多聞に漏れず、今回もまた、災魔の待ち受ける部屋まで、罠の仕掛けられた回廊を乗り越える仕掛け。
 ダメージガス・トラップ。
 それは、毒であったり高温であったり――今回の場合は後者の方であるが――して、冒険者を苦しめる伝統的な罠の一つ。
 今回に待ち受ける回廊はほぼ直線的、道も比較的舗装され、ところどころにこの世界を象徴する蒸気の力を通す管が見え隠れするが、普通にいけば普通に行けるもの。
 ……しかし、不定期に上下左右問わず、高温にして高圧の蒸気が吹き付け侵入者を炎の熱と水の不快感で甚振る、待ち受ける災魔の性格の悪さが具現した悪辣な罠。
 果たして、それをどう乗り越えるか――猟兵達の手腕が今、問われようとしていた。
東方・亮真
蒸気機関が好きな俺にとって、蒸気を悪用する奴は許せない。必ず見つけ出して倒す!
俺はSPD、ガジェットで蒸気を防ぎながら進むよ。携帯電話型端末でのガジェットショータイムで、召喚したドローン型ガジェットに盾役を任せて、その隙に突破するんだ
もちろん、ローブやフードで防御面も完璧にしないとね。備えあれば憂いなしだ

……あれ、このドローン、パイプに張り付いて補修しようとしてる。この戦いが終わったら、彼らと一緒にここを直すのもイイかもしれない

それにしても、スフィーエの朗読した話は凄かったなぁ……あれ、誰のノートだったんだろう?



●ドローンに任せてドロンと行こう
「蒸気を悪用する奴は許せない。必ず見つけ出して倒す!!」
 回廊に足を踏み入れんとした瞬間、警告のように立ち上った高温蒸気の前に怒りを燃やした青年がいた。
 蒸気狂いと呼べるほどに蒸気を愛するからこそ、それを人を嬲る為に使う者が許せない――非常に人間族らしい人間族の見た目で、やや強面なところもあるが好青年といった風貌をした東方・亮真(スチームジャンキー・f01047)は、説明を受けた敵に対しての怒りで臨もうとしていた。
 その身には、丈夫なローブやフードを纏い、仮に高温の蒸気が掠めたり直撃したりしても多少は凌げる態勢になっていた。
 グリモア猟兵がいくつか示した手段の一つ、強引に突破する道を選ぶのかと思われたが違った。
 携帯電話型の端末を操作して呼び出した、偵察機(ドローン)のガジェット――なるほど、自在に体勢を変えられる偵察機と、持つプロペラの風ならば蒸気を凌ぐことは出来るだろう。
 その上で備えも怠らない彼が、順調にガス・トラップを突破していくのは無理もないことで。
 途中でドローンのカバーが及ばなかった部分も、纏ったローブで最低限に損傷を抑えられ、亮真は順調に蒸気の回廊を突破するのであった。
 その途中でドローンが途中のむき出しのパイプに張り付き修理をしようとしているのを見れば、後で一緒に修理をするのも良いかと思う。
 蒸気を愛する彼だからこそ、本来の蒸気を送る役割を果たさせてやりたいと思うのだろうか。
(それにしても)
 グリモア猟兵の朗読は凄かった。
 一体誰のノートなのだろうとも考えたりもしながら、彼は倒すべき敵への道を急ぐのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ブイバル・ブランドー
ッたく、高熱の蒸気とはなかなか鬱陶しそうじゃねえか。

まあいい、そんなものは強行突破だ!
スピードを出してさっさと抜け出すのもアリだが、それをやったら後の闘いに響きそうだからな…。
だからこそ俺にいい考えがある!ここは俺自身の耐久力を増やし、この迷宮を突破する!

その為のユーベルコード、ビルドロボットで周囲にある硬そうなもんと合体して突破するぜ!

こんなトラップがある迷宮なんだ、その蒸気を物ともしない設備なり構造物なりがあるはずだ…!

それを見つけりゃ即合体だ!強引に行かせてもらうぜ!



●蒸気よ下がれ、勇者の走りが爆発する
「ッたく、高熱の蒸気とはなかなか鬱陶しそうじゃねえか」
 続き、高温の蒸気の立ち込める回廊を前に、関節が錆び付きそうな(尤も実際はそうなるほどヤワではなかろうが)不快感を覚えながら呟く巨体があった。
 その肩と足に車輪のような意匠があり、赤い装甲がどこか勇者を思わせるウォーマシン、ブイバル・ブランドー(ソニックアタッカー・f05082)であった。
「まあいい、そんなものは強行突破だ!!」
 意匠らしく優れたスピードで一気に駆け抜ける……という道もあるが、後後の戦いを考えれば少しでも消耗は避けたいところだ。
「だからこそ俺にいい考えがある!!」
 ……心なしか、乗り物のような造形を一部に持つウォーマシンが言えば途端に不安感を煽りかねない台詞ではあるが、彼の考えは決して間違いではなかった。
「ここは俺自身の耐久力を増やし、この迷宮を突破する!!」
 周囲の無機物を身に纏い耐久性を増すユーベルコードを使うこと。
 単純ではあるが効果的だろう。
 そして高温の蒸気、それも敵に損傷を与えるトラップならば、耐えるモノは必ずある――そして、それは蒸気回廊の床であり、蒸気を流すパイプに他ならない。
 最も近くに存在する最適解を身に纏った彼は、ただでさえ大きな身体を更に大きく――俗っぽくいうならば正にスーパー合体、というところか。
「強引に行かせてもらうぜ!!」
 高温の蒸気に耐え得る構造物を纏った巨人がその蒸気を物ともせず突破するのは、自明の理であった。
 彼ならばきっと、その先の災魔もその勢いで突破してくれるだろうか――

成功 🔵​🔵​🔴​

ペンチ・プライヤ
蒸気トラップかー。
これはむしろありがたいのでは??
ユーベルコードの練習にもなるし。

噴出してくる蒸気は片っ端からsteam statueでいろんな形の彫像にしていく。(魚とか。ディテールに凝ってみる。)
噴出量が多く彫像化が間に合わない場合は、武器受けの要領で受け流しやすい形状の彫像(盾のような)を作り出し、受け流す。

通り過ぎた通路には、無数の彫像が散らばる。

トラップは問題ねーけど、蒸し暑いもんは蒸し暑いな。。。



●石像(スタチュー)作ってスタコラサッサ
「これはむしろありがたいのでは?」
 挑戦者を嬲るように、高温の蒸気が吹き付ける回廊の中を、まるで問題の無いように疾走し通り抜けていく少年がいた。
 その少年が走り去る後には、鰯、ヒラメ、鮭にマグロと様々な魚を象った彫像が転がっていた。
 少年――ペンチ・プライヤ(ペンチ・f02102)は、工具(ペンチ)のヤドリガミであり、その前身が故なのか、物作りを愛しており――駆使するユーべルコードで、吹き付ける蒸気を彫像に変えて無力化していったのだ。
 迷宮の主はどこからか見ているのか、吹き付ける蒸気の頻度も徐々にと増えていくが、
「freeze!!」
 相性が最悪いう他ないだろう。
 何しろ、ペンチが技を使うために必要な原料は有り余るほどにあるのだから。
 今もまた、蒸気を順調に精巧な彫像――今度は動物や昆虫などにも変えたりして。
「ユーベルコードの練習にもなるし、トラップは問題ねーけど。お、これ良い感じ」
 無論、そのどれもが細部にまでこだわった職人仕事なのは流石であり。
 段々と噴出量が増しに増してきても、蒸気を盾の形に変えて防ぐようにしていくのだから、手がつけられない。
 床に転がった彫像群を軽く見返したりもしながら、手で自分を扇ぐ。
「でもやっぱ、蒸し暑いもんは蒸し暑いな……」
 多湿の避けられない状況下、服に張り付く嫌な湿り気と、高温による不快はどうしようもないようで。
 そして愛する弟妹達――様々な工具類、恐らくは前身の時代に共に使われてたそれ――が錆はしないか気にかけながらも、順調に回廊を突破するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
回廊はほぼ直線的で道も比較的舗装されてる、と
ふふ、私1回、迷宮を思いっきり駆け抜けてみたかったのよね!

・方針
蒸気対策をして迷宮を宇宙バイクで駆け抜ける

・事前準備
肌を晒さぬように厚着をする
ゴーグルにマスクもつけて、本体である帽子にも防水スプレーをかけたり

・行動
宇宙バイク「エアハート」に騎乗し「Vanguard」を付けた腕を前に突き出す
片手運転になるけど私の操縦技術ならきっと大丈夫!

【Ice Cloud】使用
「Vanguard」から冷気を常に放出しつつエアハートで迷宮を駆け抜ける
蒸気が噴き出す場所では冷気を強く、吹き出さぬ場所では弱くと調整する
むしろ寒いかもだけど、そのための厚着!

絡みアドリブ歓迎



●エアハート~限界へのロード~
 高温蒸気の回廊は既に三人の突破を許したのにも関わらず――いや、だからこそだろうか?
 立ち込める蒸気の温度と勢いは心なしか激しさを少しずつ増していくような。
 しかし、それを前に、黒く流れるような形はまるでツバメを思わせるバイクに跨り、期待を胸にしていた少女がいた。
「回廊はほぼ直線的で道も比較的舗装されてる、と。ふふ、私1回、迷宮を思いっきり駆け抜けてみたかったのよね!!」
 スロットルを回しエンジンを吹かしながら、緑の瞳を輝かせるヤドリガミの少女、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)は、片腕だけ突き出しながら迷宮を走り出した。
 片腕運転にはなるが、一切の危なげもない辺り、彼女の高い運転技術が伺える。
 そして突き出した片腕に装備した、灯台のような祭壇を備えた籠手からは蒸気を和らげる冷気を噴出し。
 灯台が氷を放つのはこれも一つの趣か、あるいは道を指し示すという点に於いては間違っていないのかもしれない。
 高温の蒸気が彼女の肌を灼こうとしても、籠手からの冷気がそれを凍てつかせ防いでいく。
 勿論、厚着で肌の露出を抑え、ヤドリガミとしての本体の帽子には防水加工も忘れない辺り用意周到である。
 特に蒸気が立ち込めるエリアでは冷気を強めるが、逆に冷気の方が体に来ないかという心配をする必要がないのも、厚着のお陰だろう。
 完全に順調に突破すると思いきや、途中でバイクの真下から蒸気が噴き上げるも、
「私の操作技術なら大丈夫!!」
 すぐさま蒸気を凍てつかせ、それを足掛かりに飛び、逆に壁走りなども披露しつつ、風に乗って飛ぶ帽子のように回廊を順調に駆け抜けていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

胡・翠蘭
「悪趣味な災魔ですこと。……数多の無念、晴らして差し上げるのが私たちのお仕事よね」
宇宙バイクのギアはフルスロットルで、素早く突破してしまいましょうか

とはいえ、…高温スチームね…
サウナは好きだけれど、肌が爛れるほどの高温は勘弁願いたいところよね。
服を重ねて着て露出は控えましょうか
目は…とりあえず電脳ゴーグルで保護しておきましょう

そうそう、折角だし氷の属性を付与してガジェットショータイムで変形させた武器を盾代わりに使えないかしら
高温を絶対零度で中和しながら駆け抜けていきたいわ

サウナ健康ランド風迷宮を愛車でドライブ…なんてね?
熱過ぎて汗をかいて脱水症状にならないように、飲み物も持参しようかしら



●妨害者を舞って抜けるのはトぶほどに気持ちよく
「悪趣味な災魔ですこと。……数多の無念、晴らして差し上げるのが私たちのお仕事よね」
 猫のような金と緑のオッドアイをゴーグルで隠し、宇宙バイクのエンジンをふかして待ち受ける災魔の悪辣さと、それを倒す使命を新たにする女がいた。
 露出を抑えた出で立ちで蒸気への対策を施していた胡・翠蘭(鏡花水月・f00676)は、スロットルを全開にして蒸気の吹き付ける迷宮を駈け出した。
 男女を問わず惑わせる迷宮の回廊の中、白味を帯びた熱の噴出が下から突き上げるように襲う。
 しかし氷の属性を付与して作られた盾が、高圧の噴き上げがバイクの最奥に叩きつけられることを防ぐ。
 しかしその勢いは翠蘭と跨るそれを舞い上げて、天井にまで届かんとしたが、バイクに乗ったまま宙を一回転し、舞い上がったかと思えば急降下する上下の激しい動きを披露する。
 これだけの激しい動きにも関わらず、彼女の乗るそれは意にも介さない。
 流石は持久力と丈夫さが売りの、荒々しく乗りこなしても応えられるマシンの面目躍如といった具合か。
 既に何人もの猟兵達の突破を許し、悪辣なトラップの主も業を煮やしているのか、彼女へと噴出するパトスの量も数も勢いも、まるで容赦はない。
 だがその全てを、凍てついた壁で受け止め流し、愛車を乗りこなし、一滴たりとも体に掛かることを許さずに。
 ひらりひらりと舞うように潜り抜けていくのであった。
 やがて突破した先で、垂れ流れていると形容した方が正しい勢いの弱弱しい蒸気を見送ると。
 濡れて艶めく黒髪を手櫛で整え、濡れた唇を持参した飲み物の口に重ね。
 どこか艶めかしく、冷たさの失せていた清涼飲料水を体の中へ流し込むように飲み下していき。
「楽しかったわ。サウナ健康ランド風迷宮を愛車でドライブ……なんてね?」

成功 🔵​🔵​🔴​

ジロー・フォルスター
「あちーな…ここはサウナか?」

辟易しながらふらっと蒸気の中へ

漂ってる蒸気には体力を奪われるだろう
加減した『カタストロフ』の属性攻撃で電気を発生させ分解
水素を溜めすぎるのは良くねえから迷宮の広さを考えてだな

「…おっと」

噴き出す蒸気は『必ず通る場所』を地形の利用で見極め、見切りで回避
噴出孔を『属性攻撃で氷の力を付与した魔導銃』で固める
そうして幾つか塞いでいけば、内部からの圧力で導管が破裂するかもな

そもそも、火炎耐性で熱には強いしオーラ防御も張っている
防具改造でコートを断熱素材で覆ってきたから対策はしてあるんだが…

「…もしや、さっきの愉快なノートの影響か。くく…ガキの頃はああいう遊びもやったよなあ」



●曇り拭って前へ前へ
「あちーな……ここはサウナか?」
 緋色の眼をこわばらせながら、手で自らを扇ぐダンピール、ジロー・フォルスター(現実主義者の聖者・f02140)は揺蕩う蒸気を雷を纏うことで電気の力で分解していた。
 尤も立ち込める熱気には辟易していたようだったが。
 更に水素の充満は万一、火が来た時に備えて加減するようにしてはいるようだ。
 だが吹き付けるそれには、電気分解の力も意味を為さない。
「……おっと」
 寸前で吹き付けてきた蒸気を後ろに下がって躱し、目を細める。
 まずは蒸気が必ず通る箇所を見極め、そこを避ければ良い。
 現実的で実践的な良い方法だ。
 勿論、回避した後は確実に潰しておくのが確実。
 魔力で傍に浮かべていた銃の引き金を思念で引き、氷の弾丸を射出する。
 弾丸が向かう噴出孔は三点、見切っていた以上は無いも同じ。
 緋色の眼を鋭く向け、正確に氷の弾丸を一瞬で打ち込む。
 狙い通り噴出孔を塞がれ続け、行き場を無くした高温高圧の蒸気が内圧ではじけ飛び、轟音を立てて崩壊していく。
 走り抜ける彼を追うように壊れていく回廊だが、問題ではなく余裕の笑みで駆け抜けていった。
「それにしてもあちぃ……」
 突破した地点で後ろを振り返り、トラップが壊れた(尤も直に修復されてしまうだろうが)無残な回廊を見つつ、服を扇いで冷たい空気を取り入れる。
 用意した耐性や断熱処理にも関わらず、妙に暑さを感じる。
 勿論防げない熱もあるだろうが、それにしたってここまでの暑さはおかしい。
「……もしや、さっきの愉快なノートの影響か」
 出発前にグリモア猟兵の朗読していたノートの内容を思い出し、シニカルに笑う。
「くく……ガキの頃はああいう遊びもやったよなあ」
 この暑さの理由は、過去を思う感傷か。
 触れられたくない過去を思い出す気恥ずかしさか。
 水滴の付着したサングラスを拭い、その感傷をも拭っていくように。
 一度振り返った後ろに背を向けて、前にその目を向けて新たな道に行くのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『首無しの熟練騎士』

POW   :    雷鳴刀
【迸る魔法刀の剣筋】が命中した対象を切断する。
SPD   :    疾風迅雷
【「炎」と「氷」を無効化する強化魔法】【脚力を上昇させる強化魔法】【物理的防御力を上昇させる強化魔法】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    怒髪天
【掌を天高く掲げて】から【全方位に向けて高威力・広範囲の雷】を放ち、【電気や雷に対策のないものは感電】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●情けですらないただの自己満足
 ある者は優れた知恵で罠を無力化し、ある者は優れた身のこなしで蒸気を潜り抜け、またある者は素晴らしき身体で蒸気を物ともせずに潜り抜け。
 見事な手腕で蒸気の回廊を突破した猟兵達は、突破の達成感とグリモアの転送ゲートが繋がったことに安堵を覚えていた。
 だがその喜びもつかの間、彼等に立ちはだかったのは、首のない騎士たちの集団だった。
 金属鎧の軋む喧しい音を立てながら、首なし騎士達は一斉におどろおどろしい声をあげた。
「なぜ抜けてきた。なぜ抜けてきた」
「これより先に待つモノは伝説の剣でも、目も眩む財宝にも非ず」
「命を嬲る狂った悪食なり」
「我ら束になったとて敵わない」
 一見、冒険者達を気遣うような言動にも見えるかもしれない。
 猟兵の一人がその悪食を倒しにきたと告げようとしたその瞬間、首なし騎士達は悍ましい恨み辛みの籠った声を大きく挙げた。
「それでも向かうというならば」
「ここで倒すがせめてもの慈悲」
「悪食の餌食となるよりは」
「苦も無く殺すが我らが慈悲」
 一斉に首なし騎士達は構えた剣を掲げると、その周囲に閃光と轟音を伴う雷を落とし始めた。
 一歩飛び引いた猟兵達に、首なし騎士達は無い筈の首から狂気と殺意を剥き出しして歩を進める。
 災魔の待ち受ける部屋へは通さないと言わんばかりに一列となる姿は、まるで進軍を阻む城壁のようだった。
 ……どうやら、ここから逃がしてくれるつもりも、邪魔をせずに通してくれるつもりもなさそうだ。
 情けを盾に、結局は身勝手な殺戮を齎そうとしている首なし騎士を打ち破る時が来たのだ!!
ブイバル・ブランドー
慈悲だのなんだのせせっこましいぜ!ここは何のウソも飾り気もなくシンプルに闘りあおうぜ、なあっ!!

【ATK】
とりあえず、集中して各個撃破する方針で行くぜ。敵の数はなるべく早めに減らした方が楽だしな。

雷鳴刀にはオレのユーベルコード、【真刃脚】で迎え撃つ!切断技には切断技をってやつだ!
仮にダメージを受けちまっても軽微なもんなら気にはしねえ。【捨て身の一撃】で斬りとばす!

だが気をつけるべきなのは怒髪天だろうな。動きを封じられるのは厄介だ。【早業】でバイクに変形して走れば回避は出来るかもしれねえ。


ペンチ・プライヤ
げ、蒸気は楽だったんだけど、魔法生物系はちょっとやりにくいんだよなぁ
ま、いつも通り、妨害中心で行きますか

インスタントステージで灯体ドローンを増やすsteam generatorで蒸気をうっすら漂わせる

妨害メインは錬成カミヤドリで増やしたペンチでマントを引っ張り自由に行動させない。ちょっと邪魔すれば他の猟兵の助けになるはず
steam statueで足下に適当な彫像作って転ばせるとかもいいかも

大ダメージ受けた猟兵がいたら灯体ドローンのライトでShow must go on使って回復するし
テンション上がるなら普通に猟兵をライトアップする

A part of the scenarioで回避もできる



●Light Camera Action
 鋼の進軍のを一瞬たじろがせる一際強い金属の激突音が鳴った。
「慈悲だのなんだのせせっこましいぜ!!」
 その発信源は、自らの拳を打ち合わせて青い目を点滅させたブイバルであった。
「ここは何のウソも飾り気もなくシンプルに闘りあおうぜ、なあっ!!」
 首なし騎士達の言う身勝手な「慈悲」に、これ以上とないシンプルな答えはあろうか。
 だが、実に力強い答えだろう。
 二輪車のウォーマシンである彼の、そうなった時のメインの車輪を構成する肩にある巨大なタイヤを激しく回し。
 それを支える巨体によるショルダータックルはタイヤの駆動音と金属の身体同士がぶつかり合う轟音と合わさり、首なし騎士の戦列を打ち崩し戦の勝鬨をあげるようだった。
(蒸気は楽だったんだけど、魔法生物系はちょっとやりにくいんだよなぁ……ま、いつも通り、妨害中心で行きますか)
 その突撃を見送りながら、立ちはだかる敵の性質に辟易しながらも、己の手段を崩さないように工具のヤドリガミであるペンチは周囲に薄らと蒸気を漂わせる。
 スポットライト灯火用のドローンを複数錬成して増やして浮かべ、前身の時と同じようにサポートに徹する構えだ。
 勇壮な突撃の後でも、思考は冷静に一体一体を確実に片付けていくブイバルの助けになるように、前身である工具としてのペンチを大量に錬成し始める。
 攻撃を加えていき確実に一体一体を潰していくウォーマシンに向かおうとする首なし騎士のマントを、錬成したそれでひっつかみ転ばせていく。
 よろめいた隙をまたウォーマシンが潰し、反撃をヤドリガミの錬成したペンチが引っ張って妨げる見事な連携。
 だが首なし騎士もやられっぱなしでいる訳もなく――掌を掲げ、彼等が一番警戒していた雷を落とさんとする。
 だがウォーマシンは、勢いよく矢鱈と馬鹿でかい騒音を放つ二輪車に変形しその場所から離脱し。
「A part of the scenario(物語通りって奴だ)」
 ヤドリガミは脚本で定められている、とばかりに降り注ぐ雷を難なく躱す。
 追い打ちを掛けんと、一歩を踏み出し始めた騎士達の足元に――先ほどから揺蕩わせていた蒸気を元手に、ミニチュアサイズのブイバルの彫像を一瞬で作り上げる。
 一斉に金属のぶつかる喧しい音を立てて、転ばされて重なった鎧の山を見てペンチは満足そうに頷く。
 これでいい。
 舞台の準備は整った。
 ターンしながら戻った「主役」に損傷は一切ない。ならばとペンチの作り上げたスポットライトが煌めく。
 薄らとした蒸気の中、燃えるような赤と金の機体を照らす姿は、英雄の登場を力強く演出する。
「ここまで脚本通りだ。……頼んだ」
「応ッ!!」
 戦友の激励に親指を立てて答え、バイクから人型に戻っていた英雄は迷宮の床を若干砕き散らす勢いで駈け出した。
 よろめきながらも立ち上がり、その手に淡く輝く魔力の剣を携えた複数の騎士達の刃目掛けて、彼は足のタイヤを激しく回転させて脚を振るった。
 ――切断技には切断技をってやつだ!!
「ぶっちぎれろォォッ!!」
 実体のないはずの「魔」の刃が、加速した勢いで放たれる「真」なる刃とぶつかり合った!!
 複数に重ねられた魔力の刃に、流石にブイバルの加速を乗せた全てを切り裂く蹴りの脚が削れて激しい火花を散らす。
 だが……多少の損傷など、覚悟の上だ。
 何より、これぐらいの歯応えがあった方が好敵手として相応しい上に、
「Show Must Go On(ここで一気に決めてやれ)、お前が主役だ!! スーパーヒーロー!!」
 熱い声援と、スポットライトに込めた癒しの力が削れていく装甲を綺麗に癒す。
 戦友の激励が背中を押してくれる今ならば――この身を捨てることになっても、全て、斬り伏せる!!
「ウォォォォオ!!」
 捨て身の覚悟で一気に振りぬかれた脚が、刃を打ち合わせていた数体の首なし騎士達を纏めて斬り飛ばす!!
 振りぬいた足でガシャン、と力強く迷宮の床を踏みしめる英雄に、工具のヤドリガミは満足そうにスポットライトを浴びせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジロー・フォルスター
「あいにく、金目のもんには縁が無くてな」

軽口には付き合うが先に進まねえとな

・戦法
この雷は厄介だ
予兆のポーズを覚え『リフレクションライト』で相殺する

どうやら機動力に自信があるようだからな
遠距離攻撃を封じれば接近してくる筈だ(おびき寄せ)

近付かれても『電撃耐性・毒耐性・オーラ防御』で敵の得意属性は凌ぐ
防具改造で防御力は高めてある

攻撃を『見切り・武器受け』、乱戦なら『敵を盾にする』か
『医術』で心臓の位置を見極め、ジャマダハルで『カウンター・鎧砕き・串刺し・傷口をえぐる』

まだ敵に血が通ってるなら武器から『吸血・生命力吸収』で傷や疲労を癒して継戦するぜ

「人間から見りゃ、血を啜る生き物も十分悪食だろうさ」


アメリア・イアハッター
どこから声出してるんだろう、この人達……
ともかく、そういう慈悲とかいらないから!
通してもらうわよ!

・方針
空中から攻撃を仕掛ける
首なし騎士って鎧の中空洞なのかな
空洞ならミサイルを首のとこから叩き込めば内側から爆破できないかな

・行動
【マジック・ミサイル・ダンス】使用
可能ならスカイステッパーも駆使しつつ、敵の上方から攻撃
ミサイルを敵の首の位置に叩き込み、鎧内側からの爆破を狙う
鎧の中が空洞でなくても注意を逸らすことができるはず
その場合は陽動を行い、地上の味方が戦いやすいように逃げ回ろう

敵が手をあげたら宇宙バイクも駆使して全力で逃走
対策とかないから、とにかく離れて逃げるしかない!
対策がある人がいたら頼る



●鳩(ハット)トリック
 半数が二人の猟兵に薙ぎ払われている中、もう半数の騎士達は二人の猟兵達目掛けて進軍を続けていた。
 その彼等にジローは肩を竦めるようなポーズをとって、財宝の類は待ち受けていないという言に軽口を返した。
「あいにく、金目のもんには縁が無くてな」
「哀れなり、哀れなり」
「金に縁がなく、悪食の餌食となるならば……」
 狂ったように、ここで死なすが慈悲と告げる首なし騎士達の亡霊にアメリアは僅かに首を傾げた。
(どこから声出してるんだろう、この人達……)
 首の穴からかなと思いつつ、赤い髪を左右に振り、帽子を被りなおすことで決意を示す。
「ともかく、そういう慈悲とかいらないから!! 通してもらうわよ!!」
「そういうこった。軽口なら付き合うが、先に進まねえとな」
 恨み辛みの首なし騎士達の声を前に、ダンピールとヤドリガミの共同戦線が張られようとしていた。
 その共同戦線を打ち破らんと、首なし騎士達が一斉に手を挙げる。
 その様子にアメリアは慌ててエアハートのスロットルを回し、対照的に冷静なジローは掌に光り輝く鳩を浮かべた。
 先の乱戦を見て、厄介な攻撃への備えは彼には出来ている。
「ごめん、対策よろしく!!」
「おう。……その手は食らわないぜ」
 何の対策も用意していない彼女は、相棒のエアハートを以て全力で逃げ、対策のある者に頼る他ない。
 だが頼れる仲間がいるなら話は別だ。
 その頼れる仲間であるジローの放った光の鳩は、騎士達が呼んだ稲光の中に吸い込まれるように飛び込んで、すんなりと最初から発生していなかったかのように、雷の全てを掻き消した。
「来いよ」
 遠距離攻撃を封じれば、接近戦を仕掛けてくるだろう。
 その読みは正しく、誘き寄せられるがままに鎧の周囲に魔力を纏いながら疾風の如き動きで雷鳴の輝く光の剣を携えて襲い掛かる。
 尤も、その刃をきっちりと対策を施しておいた防具で無力化しながら、攻撃を捌いていく。
 時に剣を振り上げる敵の横にしなやかに潜り込み、後方から刃を振り上げてきた敵の盾にし同士討ちを誘う技量は流石だろう。
 しかし、物量ばかりは圧倒的で、次第に圧され始めていく。
「さっきはありがと!!」
 そんな数で押されそうになったダンピールの助けとなったのは、ヤドリガミが上空からばら撒く爆発を伴う魔法の矢だった。
 騎士が纏う魔力で炎は無力化できたとしても、爆発に伴う「衝撃」までは無力化できない。
 爆発の衝撃が金属の鎧を揺るがし、剣を振るわんとする動きを留める。
 先は逃げるしかできなかったが、厄介な雷を凌いだ以上はもう違う。
 エアハートを駆って華麗に迷宮の床を蹴り空中戦に挑み、魔力で出来た矢を思いっきりばら撒いていく。
 再び掌を掲げてきても、上空からならば――爆発の矢で妨害することも、容易い。
 陽動と足止めばかりか、それで撃破された騎士も少なくない。
 華麗に駆り、空中に足場を形成して飛び上がり、その技法の限界が来たら今度は騎士の身体自体を土台にして飛び上がる。
 そうして地に降りることなく爆発の矢をばら撒き、物量の意味を無くしていく。
「ね、一緒に踊ろうよ!!」
 聖者として希望を与える筈が、逆にこちらが希望を与えられ。
 アメリアのばら撒く爆発に負けじと、ジローも劣らない奮戦を繰り広げていく。
 物量への牽制が為っている今ならば、騎士の刃を受けて流し、血を流させることに特化した短刀を振るう。
 クロスカウンターのように騎士の刃と交錯した短刀が、正確に鎧を貫き、優れた医療の技術からなる慧眼が心臓を正確に貫いていた。
 既に冷たくなっているとはいえど、貫いた刃から騎士の血を吸い上げて己の命に代えていき僅かながらの疲労を順当に癒していく。
「人間から見りゃ、血を啜る生き物も十分悪食だろうさ」
 短刀を引き抜き、崩れ落ちた騎士へそうした皮肉が出るのは、血を啜る怪物の混血である故か、あるいは……「つまみ食い」で帰る場所を失った過去からか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルビィ・リオネッタ
あら、伝説の剣も財宝も、一番最初に見つけた人が持っていくんだから当然じゃない
無いと決めつけた瞬間、どんなお宝も見つからないわ
何に価値を見出すかはその人次第よ

【SPD】
ダガーを右手に、レイピアを左手に…鎧相手にはうってつけの武器ね

どっちが早いか勝負しましょ
『辻風斬り』でどんどん加速しながら数を倒していく
【ダッシュ・残像・逃げ足・空中戦】で小ささを生かして敵の間を駆け抜けて、【暗殺・早業・2回攻撃・フェイント・先制攻撃】
攻撃を【見切り】、右手で【武器受け】、左手で剣先をしならせ鎧の隙間にレイピアを刺し入れ【属性攻撃・鎧無視攻撃】で仕留めるわ

「なかなか楽しかったわ♪ゆっくり眠って頂戴ね」



●Float Like A Butterfly,Sting Like A Bee
「あら、伝説の剣も財宝も、一番最初に見つけた人が持っていくんだから当然じゃない。無いと決めつけた瞬間、どんなお宝も見つからないわ」
 首なし騎士の言葉に返し、白銀の薔薇が飾られた細剣を左に構え、右手にはダガーを逆手に構えたフェアリー、ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)は鮮やかな翅をはためかせ答えた。
 そんなものは無いと壊れたように繰り返す首なし騎士に、残影を残すほどの速さで空を翔けていき――得物の刃を輝かせた。
「何に価値を見出すかはその人次第よ」
 フェアリー族の小さな体は、首なし騎士達の横を駆け抜けて、有無を言わさない先手必勝の細剣の一突きが一体を沈めた。
「ついてこれるかしら……!!」
 その一撃を皮切りに、真空の刃を纏った細剣を手に、ルビィの無双の如き戦いが始まった。
 文字通り、蝶のように舞い蜂のように刺す。
 ひらひらと優雅に舞っているように見えて、その実は最低限の動きで躱し、一撃必殺の一突きを刻み込んでいく。
 正確無比に彼等からすれば小粒な彼女を斬り伏せんとする刃を、研ぎ澄まされた紅玉の瞳で正確に軌道を見切り、紙一重で右手の短剣で流す。
 その隙に優美にしなる白銀の細剣――風の属性を宿し強化された刃が騎士の纏う魔力を貫き、鎧の隙間に滑り込み、真空の刃が鎧の下で薔薇を咲かせるように冷たい血液を一瞬で散らしていく。
 大勢の彼女からすれば相当な巨体の群れを、突き刺すたびに得た風の精霊の加護でより速く加速しながら地に伏せていき。
 通り抜けた先で鍔に飾られた銀薔薇の意匠輝く細剣を鞘に納め、振り返って鎧も残さずに消え去った騎士達に告げた。
「なかなか楽しかったわ♪ ゆっくり眠って頂戴ね」

●託す想い
 全ての首なし騎士を片付け、本命の災魔が待ち受ける部屋へ駈け出していく猟兵達に、薄らとした声が聞こえた。
 それは、もしかしたら幻聴であったのかもしれないが、内容はこうだった。

 ――奴を倒し、どうか、生き残れ。

 たとえ身勝手な慈悲だったとしても。
 場所は違えど「悪食」の餌食となった騎士達の、紛れもない慈悲の意志で、切なる願いだったのかもしれない。
 尤も、それを猟兵達が知る由は無いだろうが……。
 ……そして、猟兵達は、その元凶たる災魔の待ち受ける部屋に一歩を踏み出すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『機怪魚人間』

POW   :    ぎょぎょ魚
レベル×1体の、【身体】に1と刻印された戦闘用【機怪魚】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
SPD   :    ミニ魚雷発射
【怒り】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【機怪魚】から、高命中力の【ミニ魚雷】を飛ばす。
WIZ   :    武器錬成
自身が装備する【魚型銃器】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠鳥渡・璃瑠です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●立ち込める悪意の塊
 首なし騎士達の亡霊を突破した先には、大きな部屋があった。
 十人以上が大立ち回りを演じても何ら支障はないぐらいだろう。
 その部屋の中央に、豪華に誂た玉座に座るのは――まるで潜水服を纏ったような、一人の男だった。
 その男の奥には、何かの魔術的な仕組みなのだろうか、猟兵達が突破した蒸気の回廊の様子が映し出されている。
 恐らくは、ここで蒸気のトラップで嬲られていく様を愉しんでいたのだろう。
「ギョッギョッギョッギョッギョ、ようギョそいらっしゃいました皆様方」
 その男は陽気に手を叩いて猟兵達を迎えた。
「ンッン~~~、ギョうまで早く私の高温スチームお鍋を突破されるとは思いもしませんでした。しませんでした」
 ゆっくりと玉座から立ち上がり、その前を左右にウロウロ歩く。
 だが猟兵達は感じていた。
 この男は、決して油断をしているわけではない、と。
 仮にここで仕掛けても、彼なら難なく反撃してくるだろう。
 そんな猟兵達を後目に、彼はつづけた。
「ギョ存じかもしれませんが……私、あそこで程々に弱った方々を嬲ってお料理するのが大好きなのでギョざいます。ギョざいます」
 ――それは、グリモア猟兵が語っていた待ち受ける災魔の悪趣味。
 蒸気の漏れる回廊を改造し、いやらしい加減で足を踏み入れた者を嬲る悪趣味。
「しかしそれだけでは足りません足りません。そギョで私、首なし騎士さんをお呼びしました」
 まるで、子供が手柄を親に誇るかのような口ぶりで災魔は続ける。
「良いお仕ギョとでした。蒸気で弱った体に襲い掛かるたっくさんの敵の立ちはだかる絶望!! 想像するともう堪らないでギョざいます。ギョざいます!!」
 音の響きだけいえば、何の邪気も無いように聞こえるかもしれない。
 しかし、その裏に隠された邪悪な悪意は、計り知れない。
「蒸気で爛れた身体を引きずり、首なしさんの猛攻を潜り抜け……
 散っていったお仲間を想い、涙ながらに私に向かってくる姿は感動的でギョざいました。
 ですので私、念入りに『お料理』して差し上げたのでギョざいます」
 ……そのお料理が、どういったことを指すのかは言うまでもないだろう。
「でもアナタ達は首なしさんも難なく潜り抜けて来た!! ギョんな感動、初めてです!! ぜひともお礼がしたいのでギョざいます」
 本格的に臨戦態勢を取り始める猟兵達に、周囲に小型の魚雷を浮かべると彼は高らかに宣言した。
「さあギョ馳走しましょう。冒険者達のヘルシーな晩餐、偶にはコッテリ味!! なるのはアナタ達でギョざいますがねぇ!! ギョーッギョッギョッギョッギョッギョ!!」
ブイバル・ブランドー
調理する、ねぇ…。オマエが散々殺してきた奴らみたいに、魂から闘ってやるって叫んでみろ!!そんな浅はかな思い入れのままじゃあ、このオレは殺せねぇぞ!

【ATK】

こいつは遠距離型タイプだな。とにかく、合体した魚を飛ばす強力な攻撃はバイクに変形して、【早業】で回避するぞ!

魚雷の銃器にミニ魚雷…当たりまくればズタボロだろうが、少しぐらいは被弾しても構わねえだろう!

防御に徹している時と同時に【力溜め】をするんだ…!オレのユーベルコードのな!

そして、ヤツに隙が見えたら一気にバイクに変形して荷電粒子砲の有効射程距離まで突っ込む!

そしてタイミングを見計らって奴の魚雷と銃器を巻き込みつつユーベルコードをぶっ放す!


ペンチ・プライヤ
はっ、水に潜らない魚は死んでるようなもんだろ、料理されるのはお前だよ!!

妨害や支援重視で立ち回る

インスタントステージで灯体ドローンを増やす
steam generatorで蒸気を漂わせる

A part of the scenarioで攻撃を予測し、steam statue(銛の彫像等)で撃ち落とす

灯体ドローンは、show must go onで回復したり、他の猟兵のテンションが上がるようなら単純に光をあてて演出してかっこよくする。生きがいの1つ

超高輝度プロジェクターによる目くらましは常に狙う
shock of soundを使い大技を決めるアシストをする

余裕があれば錬成カミヤドリでペンチ増やして妨害



●オードブルは焼き魚
「調理する、ねぇ……」
 汚い笑い声を披露する災魔に、ウォーマシンのブイバルは拳を打ち合わせ、その怒りを露わにした。
「オマエが散々殺してきた奴らみたいに、魂から闘ってやるって叫んでみろ!!」
「ぎょぎょぎょ、失礼無礼なギョ(巨)人さん!! 私、魂のそギョから殺ってやります、殺ってやりますとも!!」
 嗾けた大きな機械の魚が二体――その額には二桁の数字が刻まれた、見るからに強力な存在が顎を開き金属の牙を打ち合わせ、向かう。
 流石にそれをまともに相手取るは不味いと判断したか、ブイバルは大きな二輪車の形態に一瞬で姿を変えると全力で動力炉を吹かし場を離脱する。
 だが、その機械魚の刻まれた数字を貫く銛の彫像があった。
 それを嗾けたのは、ヤドリガミのペンチ。
「脚本通り。……芸がないな」
 定められていたことのように、予測を済ませていた彼は強力な銛を準備して撃ち落とすことに成功していた。
 首なし騎士達を相手取っていた時と同じように、燻らせていた蒸気を元手に作り出した大質量の銛の彫像は魚に対しての見事な意趣返しか。
 だが災魔も下品な笑い声を挙げながら、今度は怒りを覚えていたブイバル目掛けて、ホーミング機能の付いた魚雷を無数に嗾ける。
 一瞬のことに処理が追い付かなかったが為に、その大量の魚雷による爆撃がウォーマシンを飲み込み、爆風と煙が視界を一瞬支配した。
「ぎょーっぎょっぎょっぎょ、果てさて、アナタは破片となるでしょ……」
 だが爆煙が晴れた後には、災魔の勝ち誇った笑みとは裏腹に、腕を交差させ、金属の肌にヒビを入れながらも強い決意と覚悟で立つウォーマシンの姿があった。
 多少の被弾ならば物の数ではないと、巨体を雄々しく立たせ全身に力を溜める姿があった。
「そんな浅はかな思い入れのままじゃあ、このオレは殺せねぇぞ!!」
「ぎょぎょぎょぉっ!?」
「はっ、水に潜らない魚は死んでるようなもんだろ」
 死んだ魚に生きた役者が殺せるものかと、心底驚いたような様子の災魔をペンチは笑い飛ばし。
 「させません!! ギョんな隙だらけのギョう撃、打たせませんギョ!! 大人しく私のコッテリスチーム料理となるのです!!」
 両腕を交差させながら、エネルギーを溜め始めたブイバル――入れたヒビから漏れ出す凄まじいエネルギーの奔流を前に、これは撃たせては不味いと判断した災魔は再び機械魚を嗾け阻まんとするが。
「料理されるのはお前だよ!! Music Start!!」
 魔導蒸気式小型スピーカーから放たれた、指向性の強い音波が味方には影響を及ぼさず、的確に謎の災魔のみに音波を与え、彼の思考と神経を侵す。
 動きを止められた災魔に、ダメ押しと言わんばかりに生成した工具としてのペンチを全身に噛みつかせ、これ以上と無いほどに大技の活躍の舞台を作り上げる。いい仕事だ。
 勿論、その絶好の好機を逃すブイバルではない。
「よし、突っ込むぜ!!」
 バイクに変形し、巨体を揺るがされながらも力を溜め続けていたのは、全てこの時の為。
 巨大なバイクに変形し動力炉を最大限に吹かして激しいタイヤの回転が床を抉り、赤い流星のように災魔の下へと強く迫る。
 そして元の人型の姿に一瞬で戻ると、その手には普通の人間が扱うには身に余る荷電粒子砲に変形した彼の最終兵器があった。
「これがオレとVALZAの最終兵器……」
 3メートル近いブイバルが扱うからこそ丁度良い大きさに見えるが、120mmの砲が持つ威圧感と、砲口を始めとする全てに蓄えられた莫大な荷電粒子のエネルギーはマスクに覆われた災魔の顔を青ざめさせるには十分。
 そして力と共に蓄えてきたダメージもペンチの照らす鮮やかなスポットライトが照らすことで綺麗さっぱり修復され、激励の如く降り注ぐ光にブイバルの気迫(ヴォルテージ)は上がっていく。
 唯でさえ強力な音波と生成された工具で動きを止められている災魔に、ダメ押しのダメ押しと言わんばかりに、またペンチの所有する超高輝度の投影機から放たれる強い光が災魔のゴーグル越しの目を灼き悪あがきで逃れようとする手を完全に封じ。
「この一撃に全てを賭けるぜェェェェァァ!!」
 砲口から放たれた、荷電粒子の激しい輝き。
 味わってきたダメージを全て返すように、慌てふためく災魔の周囲を守らんとする小型の機械魚と魚雷を、莫大な電荷(イオン)の波の中に消し去っていき、災魔の肌を派手に灼いた。
 照らした英雄が再度、見事な活躍を行ったことに、それに劣らないアシストを続けていたヤドリガミはこれが生きがいだと言わんばかりにまた頷いて。
 災魔との開戦、その初撃に何よりも相応しい派手な一撃を二人は見事に叩き込んでくれたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジロー・フォルスター
「おいおい。お前の言葉を借りるなら、蒸気で下拵えもできてねぇのを食うってんだろ?くく…腹を下しても知らないぜ」

・戦法
魚型銃器が厄介だな
『防具改造』で強化した防具を頼りに『激痛耐性・火炎耐性』で凌ぐ

撃ってくるタイミングを『見切り』銀の鞭の『ロープワーク』で魚人間を絡め取って『敵を盾にする・零距離射撃』
魚人間に銃弾を受けて貰いつつジャマダハルの『鎧砕き・串刺し』
すぐに『全力魔法・高速詠唱・属性攻撃』の『カタストロフ』で雷の嵐を呼ぶ

こいつの見て呉れは魚っぽいが本質は機械だろう
雷でショートさせて内部回路を焼き切ってみるぜ

「残念だが、俺に料理の才は無いんだ。加減を間違っちまったかもしれねえなあ!」



●次の皿も焼き魚、とにかく喰え(Eat it)
 膨大な電荷の奔流と閃光が収まると、災魔の目に移ったのは、サングラスをかけて口元にシニカルな笑みを浮かべたダンピールの姿だった。
「ギョギョギョ……おや、おや、おや、おや。アナタもコッテリ仕立てになりたいのでギョざいますか?」
「おいおい。お前の言葉を借りるなら、蒸気で下拵えもできてねぇのを食うってんだろ? くく……腹を下しても知らないぜ」
 ダンピール――ジローはわざとらしく肩を竦めて首を左右に振ると、災魔の口に応えた。
「ギョ心配なく。私、胃袋は大変丈夫でご、あ、ギョざいます」
「無理してキャラ作らなくていいんだぜ?」
 ジローの軽口に対して何かが切れたように、半狂乱になって魚を象った機銃を無数に作り出すと、閉じられた空間の中に激しい連続音が響き渡った。
 銃撃の嵐を緋色の瞳は銃弾の軌道を正確に見切り、網の目のように張り巡らされた銃弾の幕を掠ることすら許さずに駆けていく。
 仮に当たったとしても、高温と衝撃に強くなるよう改造されたコートには意味を為さないだろうが。
「ギョギョ!?」
 驚愕は二重。
 一つは、ジローの見事な回避。
 もう一つは……濁った緑の身体を、鮮やかな白銀の鎖が縛り付けていたこと。
 間髪入れず災魔を強引に引き寄せ、識別性能は残念な機銃への防壁となってもらいながら。
「暴れ狂え……!!」
 背中から心臓目掛けて真っ直ぐな刃を深々と突き刺して――その体内へ、電圧と電流が大量に含まれた嵐を流し込む。
 響き渡る電光と轟音、災魔の絶叫。
 雷の嵐が呼ばれた機銃諸共に災魔を飲み込み、白煙を噴き上げていくのだった。
 そうして短剣を抜いて両腕を広げ彼は空間に陽気な笑いを響かせた。
「残念だが、俺に料理の才は無いんだ。加減を間違っちまったかもしれねえなあ!!」
 本質が生体か機械か判断はつきにくいが、体内に莫大な雷の嵐を流し込まれた以上、どちらにしろ大打撃には変わりないだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

メルフローレ・カノン
こっそり蒸気トラップを抜けて、
遅れての推参で失礼します。

こちらでも食うか食われるかの戦いの最中のようですね。
オブリビオンを撃破するため助勢します。

私の武器は主にメイスですが、
状況に応じて予備武器で剣も使用します。

敵の攻撃は[見切り][武器受け][なぎ払い]を駆使して
かわしたり払いのけたりします。
爆風など耐えなければならない状況では
[オーラ防御]【無敵城塞】で耐えます。
「ここは堪えてみせます。」

攻撃に転じる際は、[力溜め]の上、
[2回攻撃]でガンガン叩いたり
金属パーツは[鎧砕き]で砕きにかかったり
[気絶攻撃]で敵の動きを鈍らせたりもしましょう。
「全力で行きますよ!」



●噛み切れないでもとにかく喰え
(こちらでも食うか食われるかの戦いの最中のようですね)
 メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)はこっそりと戦場にやってきた。
 大きな十字架を抱いた修道女らしきその出で立ちは、数々の死の無念を鎮めるに相応しいのかもしれない。
「ギョッ……アナナタタモモ、ギョ馳走にに、なりにっ……」
 先程半人半魔に流し込まれた雷の残滓が抜けきらないのか、メルフローレに言葉を投げかける災魔の口調はおぼつかず。
 それでも人を侮り嬲り殺す嘲笑に、毅然と返した。
「いいえ。……なるのは、あなたです」
 その一言をあざ笑うように二桁の数字――それも、今までに見せた最高位を示す数を、額に浮かべた機械の魚が飛んだ。
 それでも動じることなく、彼女は祈るように十字架を抱き。
「ここは堪えてみせます」
 一歩も動じない彼女に喰らい付いた魚の牙は逆に砕け、牙から先の身体も自然と崩壊していく。
 その様子に驚く災魔に対し、可愛らしい笑顔を向けて。
「堪え切りましたよ」
 災魔もこれで終わらず、半狂乱で魚雷をけしかけるが、小柄な身からは想像もつかない剛力で鈍器を振るい、小雨に等しき魚雷群を一撃で消し飛ばし。
 フェイントで背後から襲い掛かってきた魚雷も鋭く見切ると、振り返らずに小剣で斬り飛ばし。
 死刑宣告のように一歩一歩、災魔の許へ力を溜めながら近づいて――良い笑顔で、鈍器を振り上げた。
「全力で行きますよ!!」
 ここからは寧ろ災魔の方が逆に哀れにも極々僅かながらに思えるほどの、容赦のない打ち据えが始まった。
 僧侶にして聖騎士である彼女の振るう十字架が、数多の命を弄んだ罪人への裁きの刻印のように痛々しい打撲痕を書き込んでいく。
 骨の砕けるような――無論、それにあたる部位は実際そうなってるが――不気味な音を立てつつも、災魔は無様に修道女から距離を取っていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アメリア・イアハッター
私、揚げ物の料理には自信があるんだけどなぁ
まぁたまには焼き料理にも挑戦してみましょ
今回は焦げちゃってもいいもんね!

・方針
距離を取ったということは、既に接近戦ではうまく動けなくなっているのだと予想
敵の嫌がることをしましょう
接近戦だ!

・行動
宇宙バイクに乗り一気に距離を詰める
敵が攻撃する素振りを見せれば大きくハンドルを切る
そのまま離れて敵の横を通った後、Uターンで再び距離を詰め突撃…と見せかけ、途中でバイクからジャンプして上に飛び出し、空から接近してUC【導きの星】で攻撃

余裕があれば玉座もぶん殴って燃やす
「ここでふんぞり返って、偉そうに、楽しそうに眺めてたわけでしょ? これ、気にくわないわね!」



●最高の揚げ物(Fry high)、よく焦がしてとにかく喰え
 アメリアは揚げ物の方が得意なようだった。
 それは、彼女が良く飛び回る(Fly)からか。
「まぁたまには焼き料理にも挑戦してみましょ。今回は焦げちゃってもいいもんね!!」
 宇宙用のバイクで石畳を疾走する姿は低所の得物を滑るようにかっさらうツバメの如く。
 災魔が休むことを許さない一気呵成の勢いで、距離を詰めるように走る。
 それを災魔は傷を負った身体でも陽気に手を叩き魚雷を嗾けて迎え撃たんとしたが、バイク捌きでそれを躱す。
 そのまま旋回して殴り掛かる……と見せかけて急ブレーキをし、その反動で飛び上がると突き進む者の名を持つ籠手を振り上げ。
「星よ照らせ!!」
 強かにマスクに包まれた顔面がめり込むほどの正拳を叩き込めば、恒星の如く輝く炎が災魔を包む。
 だが。
「あっ……」
 彼女の背中へ牙を突き立てていたのは、いつの間にか呼びつけていた機械の魚――浮かぶ数値は最高の二桁。それが空を翔ける彼女を地に叩き落とし消えて。
 そして石畳に叩きつけられ、背中の裂傷に苦悶の顔を浮かべる彼女へ悪趣味な笑いを浮かべた災魔が再び一斉に魚雷を嗾けんとする。
(何か……!!)
 手は無いかと思っていたアメリアの目に、機会があればと伺っていた「あるモノ」が移った。
 足を一歩引き、籠手を構え――思い切り、それを殴りつけ飛ばす。
 豪華に誂られた椅子が業火に包まれ、数多の魚雷とぶつかり合い相殺する。
「ここでふんぞり返って、偉そうに、楽しそうに眺めてたわけでしょ? 気にくわないわね!!」
「ギョギョーーーーッ!?」
 強気に言い放つアメリアに対し、災魔は己のお気に入りの玉座を跡形もなく打ち壊され叫ぶ。
 お互いに与えた肉体的なダメージはほぼ痛み分けと言っていいだろう。
 しかし精神的には、この帽子のヤドリガミの方が大分勝っていたようだった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

レナード・レッドホーク
OK、追いついた。
それじゃ、仕事といこうか。
猟兵と言っても、俺には超能力も超パワーもない。
だが、味方の攻撃を支援することはできる。

アサルトウェポンの「援護射撃」で機怪魚やミニ魚雷を撃ち落とす。
特に機械魚は、接近戦する仲間の邪魔だ。
合体されるとなお厄介だから、積極的に数を減らそう。
機械魚が減った後、敵と味方が接近してないタイミングを見計らって、「火力支援要請」を使う。
少しはダメージも与えないとな。

並行して、「戦闘知識」を使って、味方へ攻撃タイミングをアドバイス。
知識と経験で、サポートしていこう。


ルビィ・リオネッタ
皆の攻撃でこんがり熱くなってるようね

「えーと、カツオのたたき?あれ作ってみたかったの…!」

カツオっぽくないけどいいわよね
Let's Try!

「しっかり焼いて熱を入れた後は――氷水にさらします!(レシピを読み上げる口調)」

【属性攻撃】の『精霊の抱擁』
氷の精霊の手でがっしり魚人間をキャッチ♪
金属製なら熱疲労で割れちゃう事もあるかしら?

「手ごろなサイズに斬って…」

【見切り・視力】で行動をよく見て正確に
【空中戦・ダッシュ】で手早く
【フェイント】を入れた【早業・暗殺】で斬りつけるわ

「あとは…薬味を添えます…!完成?」

『精霊の手』の【属性攻撃】をレモンをイメージした『酸』に切り替えて攻撃
どう?反省した?


櫟・陽里
最近ちっと相棒に無理をさせすぎた
修理費を稼がなきゃなんねぇんだ…
(徒歩で来た)(しょんぼりスターライダー)

あー
サカナ野郎が小物くさすぎて全然頭に入ってこねぇ
なんだっけ?俺を料理にしてくれるって?
シェフのお任せでいいぜ、早く来いよ!
胸に親指を当て挑発
なるべく沢山の敵機を引き付けたい
射撃の腕を磨きたくなったから練習台
仲間の援護にもなる

なるべく動かず狙撃で対処し自分の腕試し
ただし敵武器の数によっては避けながらの狙撃に変更
判断力も鍛えよう

構造を観察し弱点っぽい部分を予想
視力と集中力を発揮して狙撃
機怪魚が合体し少数の場合のみ攻撃力重視で
それ以外は機械だろうと武器だろうと攻撃回数重視でバンバン撃ち墜とす


アレクシア・アークライト
 トラップを料理の下拵えに見立てるだなんて、ほんと醜悪ね。
 どうしてこうオブリビオンっていうのは、人をいたぶることに楽しみを見出すのかしら。
 注文の多い料理店は、今日で閉店してもらうわよ。

・機怪魚からのミサイルや銃器は、念動力で向きを変えて防ぐ。
 できるならば、発射の瞬間を見極め、砲口を機怪魚人間に向ける。[念動力、情報収集]
・メルフローレさんとの戦いで見たように接近戦は苦手なようなので、一気に近付いて格闘戦を仕掛ける。[グラップル、捨て身の一撃]{瞬間移動}

「料理が好きなのよね? おもいっきり“たたき”にしてあげるわ」
「って、貴方達は死んだら消えちゃうから、料理にはならないか」



●銀貨三十枚
 清算の時は近い――肉体的には良い所まで追い詰められている上に、精神的なダメージも容赦なく加えられた災魔が墜ちるのは近いだろう。
「トラップを料理の下拵えに見立てるだなんて、ほんと醜悪ね」
 ――どうしてこうオブリビオンっていうのは、人をいたぶることに楽しみを見出すのかしら。
 アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)は災魔の醜悪さに怒りを覚えながら、嫌悪の目を茫然と立っている災魔に向けた。
 自身の生業をそうした存在の始末と割り切ってはいても、そういった嫌悪感はまた別の話なのだろう。
「……ん? あーサカナ野郎が小物くさすぎて全然頭に入ってこねぇ」
 彼女の嫌悪に一人とぼとぼと現れた櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)はやや気の抜けたような声で答える。
 スターライダーである彼の愛車は、無茶をさせ過ぎたのか休養中。
 ただしそれは名誉の負傷であったが。閑話休題。
「なんだっけ? 料理してくれるって?」
「ええ。おもいっきり“たたき”にしてあげるわ」
「えーと、カツオのたたき? あれ作ってみたかったの…!!」
 アリシアは腕を組んで陽里の声に応え、妖精族のルビィはその間で飛び回りながら、ぷるぷると震える災魔を横目で見やりはしゃいだ。
 ……あれがカツオと言えるかどうかはともかくとして。
 手練れの隠密職である彼女の目が笑っていない風に見えるのは、気のせいか。
 二人の魅惑的な提案に陽里は皮肉めいた笑みを浮かべて腰から銃を抜き、
「シェフのお任せでいいぜ……早く来いよ!!」
 胸に親指を当てて、盛大に災魔を挑発し。
 とうとう耐えきれなくなった災魔は弾けたように怒りを露わにし、我儘な子供のように魚雷を嗾けた。
 放たれた魚雷は一つだったが、それは猟兵に届くことなく一つの銃弾によって落とされてしまう。
「OK、追いついた。……それじゃ、仕事といこうか」
 その魚雷を打ち抜いたレナード・レッドホーク(人間の戦場傭兵・f00218)は静かに銃火器を構えた。
 金色の瞳は使い古された表現ではあるが獲物を捉える鷹のように――特別な超能力の類などは持っていないと称しているが、狙撃能力を見るに全く問題ないだろう。
 今、ここに集った四人の猟兵達と、災魔の最終決戦が始まった。

「それじゃ、ちょっと準備するから時間稼ぎよろしくね」
 そう言ってルビィは妖精族故の優れた魔力を高め始めた。
 高まる魔力の気配から察するに冷たいものがあるが、半狂乱のモードに入った災魔を簡単に捕らえることはできないだろう――故に、狙いが整うまで少しでも威力を高めるようで。
「わかった。……注文の多い料理店は、今日で閉店してもらうわよ」
 先の猟兵の戦いで見たように、災魔が接近戦が不得手なのは間違いないようだ――尤も、対処の法がいくらでもあるのが常というものだが。
「貴方だけが私のことを未確認……ってね」
 接近される前の撃墜、といった手段を取ることも許されず、一瞬で場に残影を残してから狂った災魔の前へと現れると――強化改造の為された腕力と、超能力でさらに強化された剛腕による拳の一撃を鳩尾へ叩き込む。
 凄まじい拳の一撃に呻く災魔だが、ギョギョギョという奇怪な叫びを上げながら、先の猟兵を撃墜したように――彼女の背に忍ばせていた機械魚を噛みつかせんとするが。
「俺には超能力も超パワーも無いが……」
 それは、アレクシアに対しての己の対比なのか。
「だが、味方の攻撃を支援することは出来る」
 レナードの苗字に抱いた鷹のように、銃火器の正確な狙い撃ちが機械魚を弾けさせる――そう、同じ手は二度も通じない。
 半狂乱になりながら、もはや破れかぶれに自分の楽しみ――嬲り殺しの余裕も捨て去った、完全な殲滅戦のように莫大な魚雷を嗾けていくが。
 当然、援護射撃に集中する存在は一人ではない――相棒は置いてきたが、その心は共に在る、そしてその中でも自分の腕を試すつもりで不動の狙撃を試みる者――陽里の存在があった。
 尤も、攻撃によっては回避することもしっかりと考えられている辺り、判断力も鍛えられていっているのだろう。
 攻撃回数を重視するように集中した指捌きで引き金を引き、命中率はやや悪くても魚雷を撃墜していく陽里に、レナードは傭兵としての経験と知識を生かして助言を行った。
「ターゲットを決めた瞬間だ」
「え?」
「魚雷がターゲットに向いた瞬間を狙うんだ」
 その時だけ動きを緩める、狙うならその時――的確なアドバイスで狙いさえも定められるようになった陽里の銃弾が台風のように飛び、残さず魚雷を撃墜する。
 そうして大多数の横槍を撃墜してくれるからこそ――アレクシアもまた、それを逃れた魚雷や機械魚を逆に念動力で向け、災魔へと正確に突き返し。
 ならば単体戦力をと機械魚を合体させようとしても、レナードの狙撃が合体を阻み、運よく逃れ得た個体は陽里が今度は攻撃力を重視した弾丸で打ち壊す。
 狙撃手二人の判断力は、いつにも増して研ぎ澄まされているようだった。
 そして。
「お待たせ!! 皆の攻撃でこんがり熱くなってるようね……可愛がってあげるわ♪」
 魚雷を突き返され、爆発でよろめく災魔に、魔力を高め終えたルビィの放つ精霊の掌が災魔の身体を捉えた。
「しっかり焼いて熱を入れた後は――氷水にさらします!!」
 まるで料理のレシピを読み上げるような――災魔にとっては、この上ない皮肉の声でルビィは良い笑顔で言い放った。
 絶対零度を思わせる低温の手が、熱せられた災魔の身体を熱膨張の対比で破壊していく。
「手ごろなサイズに斬って……」
 薔薇の誂られた銀剣を抜き放ち、雷電のように駆け抜けて災魔に迫る。
 妨害の手も、彼女の目は正確に見切り躱し、万一妨害の機械魚や魚雷が届きそうになっても狙撃手二人の銃弾が撃ち落とし。
 壊れそうな身体を引きずり逃げようとしても、アレクシアの組み付きに抑えられては逃げられる筈もなく。
 氷漬けにされた身体が、刹那の急所を狙った一撃で切り付けられ膝を崩し。
 切り付けるのと同時、全身全霊、捨て身寸前の力を乗せた拳の一撃でアレクシアが災魔の頭部を盛大に陥没させるように殴りつけて離れ。
「あとは……薬味を添えます……!! 完成?」
 災魔にまとわりつかせた精霊の掌を――それが災魔にとって夢ならどれほど良いか――えげつなくも、柑橘を思わせる酸の属性に変えて最後の一欠けらまで溶かしていく備えだが。
「こちら猟兵!! ビーコンの地点に火力支援を頼む!!」
「視界良好……!!」
 レナードの放つビーコンに導かれた友軍の援護射撃による弾幕と、陽里が極限まで集中力を高めることで見切った災魔の弱点――つまり、食に大事な「腹」を正確に射抜く一点集中の弾丸。
「美味しそう……って、死んだら消えちゃうから、料理にはならないか」
 ……多くの無念を喰らいながら、跡形もなく存在を消し去った災魔へ、アレクシアが肩を竦めて吐き捨てたのであった。

●冒険者達の晩餐
 戦いは終わった。
 数々の挑戦者の無念と、血と汗と涙を汚く食い散らかしてきた災いには正当なる報いが与えられた。
 尤も、失われた命は決して戻ってはこないだろうが……。
 だがこれ以上、この悪趣味なトラップと嬲り殺しの怪物による被害者は現れることは無いだろう。
 願わくば激戦を潜り抜けた猟兵達に――どうか、良き晩餐を楽しんでくれることを願うとしようか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月03日


挿絵イラスト