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犯人は占い師だ。

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●この炎、キレイだ。
「動画再生数が伸びないんです。どうしたらよいでしょう」
 キマイラは動画再生数に悩んでいた。
「お任せください。未来は私の手の中に……」
 キマイラの目の前に座る巨大な占い師が、厳かに助言をした。
「炎上すればよいのです」
「なるほど」
 そういえば……、と、キマイラは記憶を探る。最近、キマイラフューチャーの若者たちの間では『モノを燃やして褒める遊び』が流行っていた。

 後日、キマイラは動画撮影を開始した。
「皆さん、今日は最近流行しているという火遊びをします。見てください……ボクが一番うまくマッチを使えるんだ!」
 手始めにキマイラはビルに灯油を撒く。そして、手に持っているマッチを擦り、火をつけ、褒めた。
「この炎……、キレイだ」

●世界の命運が託される……!
「皆様、こんにちは! あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします」
 グリモアベースの窓際でルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が土下座していた。ルベルはさっと顔をあげると、傍に置いてあったスルメイカを振舞いながら説明を始める。
「実は早速なのですが、僕はキマイラフューチャーの都市で大火災が発生するという予知をしたのでございます。どうも現地では、『モノを燃やして褒める遊び』が流行っているのだとか。一体、犯人は何者なのでしょう」
 ルベルは『犯人が見つからないと、世界が滅んでしまうのでは!』というような深刻な表情をしていた。
「まずは現地で実際に火災を引き起こそうとしているキマイラを止めて頂き、しかるのちに犯人を探して撃破をお願いいたします」
 最後にルベルは伝説の武器を渡すような顔でマッチ箱を差し出した。そして、献策する。
「これは僕がお小遣いで買ったマッチでございます。皆様に託しましょう……! 遊びに熱中するキマイラに対して頭ごなしに反対意見を述べても受け入れられにくいやもしれませんが、マッチを見せて火遊びに理解のある同志の顔をして近づけば、きっと会話しやすいはず。世界の命運は皆様にかかっています。どうか、ご武運を……!」
 ルベルは世界の命運を猟兵達に託すと、火遊び現場へと転移させようとし、
「……めっ、ちくしょ」
 小さくくしゃみをした。そして、思い出したように付け足した。
「そ、そうだ! 言い忘れてました。僕の予知によると、現地でコンコンすると犯人と戦う際に役に立つアイテムが出てきます」
 言うと、改めて猟兵達を転移させるのであった。


remo
 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。

 今回はキマイラフューチャーの世界での冒険です。
 1章では火災を引き起こそうとしているキマイラさんの元に駆けつけて、情報を引き出したり、火を消したり、自分でも燃えたりしてみてください。

 【POW】火の危険さを体を張って証明する。火よりも熱く説得し諦めさせる。
 【SPD】素早く火を消して回る。火遊びを止めながら、言葉巧みに首謀者を聞き出す。
 【WIZ】ユーベルコードで火を消す。噂の広まり方を調べ、出所の怪人の居場所を推理する。

 ●参考情報
 現場のあちこちでコンコンすると何か出てきます。例えば、ワサビとかカラシとか靴下とかです。使い方によってはボス戦できっと役に立つことでしょう。
 具体的に何が出て来るかはコンコンした場所に寄ります。
 プレイングに『都市のこんな場所でコンコンする』と書けば、アイテムを獲得できます。

 プレイングは自由にのびのびと書いてくださって大丈夫です。
 キャラクター様の個性を発揮する機会になれば、幸いでございます。
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第1章 冒険 『火遊びは危険です』

POW   :    火の危険さを体を張って証明する。火よりも熱く説得し諦めさせる。

SPD   :    素早く火を消して回る。火遊びを止めながら、言葉巧みに首謀者を聞き出す。

WIZ   :    ユーベルコードで火を消す。噂の広まり方を調べ、出所の怪人の居場所を推理する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リンネ・ロート
(人格・口調:リンネ)
ルベルさん、マッチありがとうございます


火遊びしようとしているキマイラさんに話しかけてみます

あ……あの……少しいいですか?
わ……私も火遊びしてみたいのですけど……マッチの使い方って分からなくて……困ってたんです
よければ教えていただきたいのですけど……

上手く話を聞いてくれそうだったら次は練習したいと言ってみます
まずは都市の片隅にある公園に生えている樹木を対象にしたいとか

公園では思い出したように言います
あ……そういえばこういうのが使えますよ
そしてUCを樹木に向けて放ちます
炎よ!
どう……ですか?マッチより効率よく火がつけられると思います
良ければ他の方も誘いましょう?と情報源を探る


リダン・ムグルエギ
あー、面倒臭い
キマフュじゃ動画撮影は必須科目よ
なのに…企画もコメントもデザインがなっていないわ
火を見るより失敗は明らかよ

アナタの炎、もっと見栄え良くしてあげる

方針:配信者と話し火遊びを被害無き遊びに変更

まず「どんな炎にしたいか」からスタートよ
見た目を楽しむ?だったら花火なんてどうかしら
香りを楽しむ?いいじゃない!アロマな素材で知性をプラスするわ
灯油?ビル?臭くて汚い炎よ、論外

「なんでもいいから燃やそう」じゃ初心者よ
どんな方向性(デザイン)にするかを決めてからスタートすること
それが中級配信者への第一歩なの

…アタシの昔みたいで放っておけなかっただけよ
(黒歴史持ちアラサー)

アドリブや他との絡み大歓迎



●キマフュの片隅で、事件は始まった。
 ――Yo! Yo! オレラキマイラ! ライライ気楽なライフキマイラ! Yo!

 お気楽な歌詞のラップが遠く流れている。
 そんな都市の一角。
 遠くにピンクの兎のオブジェクト付看板を掲げる建物が見える。

「皆さん、今日は最近流行しているという火遊びをします。見てください……ボクが一番うまくマッチを使えるんだ!」
 ちょうどキマイラ君が動画撮影を開始したところに猟兵が駆けつけた。ちなみに、キマイラ君は羽耳と猫の尻尾を持っているモフ味のある青年だ。大学生ぐらいの年頃である。名前はまだない。

「あ……あの……少しいいですか?」
 声をかけられ、キマイラ君は振り返る。
 そこにリンネ・ロート(多重人格者のサイキッカー・f00364)がいた。手には伝説の武器のように神々しい(当社比)マッチが握られている。キマイラ君はマッチを見てピンときた。そして、決意した。このGIRLは趣味が合うオナゴだ。必ず打ち解け、オトモダチにならねばならぬ。あわよくば……。

「キミは、同志だね。ボクにはわかる」
 キマイラ君は自分では一番カッコイイと思っている斜め45度の角度で向かい合うとポーズを決めた。リンネは少し戸惑いながらも、なんとか言葉を返す。
「わ……私も火遊びしてみたいのですけど……、マッチの使い方って分からなくて……困ってたんです。よければ教えていただきたいのですけ」
「教えますう!」
 キマイラ君は食い気味だ。身を乗り出し、自分の手にしたマッチをアピールしながらウンウンと頷いた。
「ボクもさっき、この動画で勉強したんだ!」
 キマイラ君はスマホを見せる。再生するのは『3秒でわかる火遊び』という動画だ。2人は動画を見る。1秒目、マッチを擦った。2秒目、華麗にゴミの山に点火。3秒目、おもむろに褒めた。
「結構、スピードが要求されるのですね……」
 リンネは迷った末に、そうコメントした。

 そこへリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)が近寄ってきた。
(あー、面倒臭い……、でも)
 リダンは複雑な視線をキマイラ君に向ける。キマイラ君を見ていると昔の黒歴史が思い出される。なんとかしなければならない気がした。
「あら、何してるのかしら」
 さりげなさを装いつつリダンは2人の会話に加わる。
 同時に、リダンはリンネの服装デザインに興味を示した。リダンはファッションブランドのデザイナーを務めており、色んなセカイの衣装を見ると新年に抱負をあげているぐらい、服装にはこだわりがあるのだ。

(興味を持たれている! ボクにモテ期が到来したのかもしれない!)
 一方、キマイラ君は勘違いをしてドキドキしていた。
「あの……もしよろしければ、私は練習してみたいのですが」
 リンネがそう言うと、キマイラ君は勢いよく頷いた。
「もちろん!」
「公園の樹木を対象に、練習しませんか?」
 リンネは誘い歩き出す。キマイラ君は灯油タンクを抱えて付いてきた。リダンもついてくる。3人は公園に向かった。公園の入り口に手ごろな樹木を見つける。リダンは少し離れたベンチに腰かけて見守った。
「あ……そういえば、こういうのが使えますよ。――『炎よ』!」
 近くにいる猟兵の存在を心強く思いながら、リンネは炎の矢を放った。

 メラメラと木が燃えた。

「なっ」
 キマイラ君はギョッとした。そして、思った。
(こういうの、動画で見たことがあるぞ! もしかして?)
 『猟兵』はキマイラフューチャーでは『怪人をやっつけるめちゃくちゃカッコいいヒーロー』として人気の存在。彼もキマフュの若者だ、可能性にすぐに思い至った。
「どう……ですか? マッチより効率よく火がつけられると思います。良ければ他の方も誘いましょう?」
(そして、情報源を探ることができれば)
 リンネは思案する。
「うん。動画で広めれば、キマイラの若者達に大人気になると思うよ!
 今のを動画にしてSNSで拡散しよう!
 元々の火遊びもある日SNSで話題になったのが始まりなのさ!」
 興奮がちにキマイラ君が言う。目がキラキラしていた。早速何かを操作している。
(燃やすシーンを動画に撮って拡散するのは危険かも)
 リンネは危ぶみつつ、キマイラ君のスマホを覗き込んだ。興味深そうに相槌を打ちながら、さらに探りを入れる。
「流行を最初に広めた人は、どういう人なんですか?」
 キマイラ君は少し嫉妬交じりに該当のアカウントを見せてくれた。
「こいつだよ」
 リンネはアカウントと最初の動画を見た。コメントには『占いで今日は火をつけるとラッキーだと言われたから特に恨みはないけどトイレに行ってる友達のノートを燃やしてみた。この炎、最高だぜ!』。炎上していた。

 そのリンネを食い入るように見つめながら、キマイラ君は問いかけた。
「ねえ。キ、キミはもしかして猟兵なの? ボクの動画にゲスト出演してくれる? そうだ、そこのキミも。『両手に花で都市を燃やしてみた』ってタイトルとかどうかな?」
 一緒に、とリダンを見れば、リダンは眠そうな眼をしていた。そして、緩慢に立ち上がる。
「はあ……」
 ため息をついてみせれば、キマイラ君がうろたえる。
「ボ、ボクなにかダメな事言っちゃった?」
「キマフュじゃ動画撮影は必須科目よ。なのに……企画もコメントもデザインがなっていないわ。火を見るより失敗は明らかよ」
 キマイラ君は衝撃を受けた。背後には演出用のイナズマが走る。リンネさんお願いします。
「えっ、わ、私? えっと……ごろごろ、ぴしゃーん」
 リンネ、おずおずと演出を手伝ってくれる。
「そ、そんな! ナウでヤングにバカウケだと思ったのにッ」
 キマイラ君は衝撃を受けた(2回目)。

 燃えている木と、演出用のイナズマ(音付)を背景にリダンがキマイラ君に言った。
「アナタの炎、もっと見栄え良くしてあげる」
 言葉に、キマイラ君はハッとした。
「キ、キミはもしかして……ボクをプロデュースしてくれるのかい」
「そうね」
 リダンは緩慢に頷いた。方針としては、自然と被害無き遊びに誘導していきたい。そんな考えだ。
 彼女の考えを余所にキマイラ君はフフっとはにかみ、頬を染めた。
「そして最後にボク達の間に恋が生まれる……!?」
「それは、きっと違うわね」
 リダンは淡々と否定した。否定は、早かった。

 2人のやりとりを、リンネがハラハラと様子を見守っている。
 リダンはちらりと一瞬、視線を仲間に送る。2人は現地で偶然居合わせた猟兵である。が、互いに目指す目的は同じはずだ、と認識していた。
「まずはどんな炎にしたいか、からスタートよ」
「私は、綺麗な炎が良いでしょうか……」
 リンネが口添えをする。キマイラ君もウンウンと頷いた。そして内心で喜んだ。彼女とは、やっぱり趣味が合うんだ!
 リダンはなんとなくキマイラ君の内心を察しつつ頷いた。もしかしたらこの辺で彼女は『アタシの昔はこんなにひどくなかったわ』と思ったかもしれない。
「見た目を楽しむ? だったら花火なんてどうかしら」
 リダンが提案すると、リンネが目を輝かせて同意する。今やその方針は完全にリンネに伝わっていた。仲間は『安全な火遊びに導こうとしている』と。
「香りを愉しむのも、よいかもしれません……!」
 リンネが思いつく。リダンはやわらかな笑みを浮かべる。彼女にも仲間の意思は伝わっていた。仲間は『自分の意を汲んで同じ方向にもっていこうとしてくれている』。
「いいじゃない! アロマな素材で知性をプラスするわ。
 灯油? ビル? 臭くて汚い炎よ、論外」
「そうですね、灯油でビルを燃やすのはキレイじゃないです……」
 キマイラ君は女性たちの会話に全力で同調した。
「ボ、ボクも実はそう思ってた! ホント!」
「『なんでもいいから燃やそう』じゃ初心者よ。
 どんな方向性にするか、どんなデザインにするかを決めてからスタートすること。それが中級配信者への第一歩なの」
 リダンがトドメとばかりに言葉を重ねると、キマイラ君はとても素直に頷いた。彼は、2人の女性に嫌われたくなかった。彼は粛々と灯油タンクを公園の隅に移動し、貼り紙をする。

 『この灯油タンクは、撮影用に用意したものですが、ワケあって使用を取りやめました。撮影中ここに置きますが、後で片付けます』。

 その様子を見て、2人の女性猟兵はこっそりとハイタッチを交わすのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリス・セカンドカラー
火遊びが物理的なモノだけとは限らない。
そう、一夜のアバンチュールも火遊びって言うのよ♪
てなわけで、火災起こそうとしてるキマイラさんと火遊びをしようと思うの☆
ラブフェロモン(催眠術、誘惑、毒使い)を分泌して魅了するわ。
更にマインドジャックして恋の炎を炎上させましょう♪
ふふ、マッチの火なんかより、こっちの火の方がよっぽどキレイでしょう?
人目に付かないところでなんやかんやして分かり愛った後にコンコンしながら首謀者のことを聞き出しましょう。



●少し時間が進んだ。
「火遊びが物理的なモノだけとは限らない。
 そう、一夜のアバンチュールも火遊びって言うのよ♪」
 公園にそんな声が響いた。声の主はその名は、アリス・セカンドカラー(不可思議な笛吹きの魔少女(発酵中)・f05202)。
(女に弱いのね♪)
 少し前から他の猟兵と言葉を交わすキマイラ君の様子を見ていたアリスは思った。――これは得意分野だ、と。そして、相手に甘やかに視線を絡める。
「!!」
 ふわふわとしたわたがしのような少女に意味ありげに見つめられ、キマイラ君は目を丸くした。少女はキマイラ君の腰あたりまでの身長しかない。とても小さく、いたいけな……アリスはニコッと笑いかけた。
(なんか可愛い女の子がボクに笑いかけている! この子はもしかしてボクに惚れてしまった? やっぱり、モテ期なのかな)
 キマイラ君はドキドキした。

(まだまだこれからよ♪)
 アリスは容赦なくキマイラ君を誘惑する。いつの間にかキマイラ君の周りに薄桃色の薄い霧が立ち込めている。空気を吸い込めば、甘い香りと共に脳髄がじんと痺れ、腰のあたりが熱を持つような気もする。くらくらと眩暈がする。思考が鈍る――『ラブフェロモン』――催眠、誘惑の効果がある妖しい霧である。吸いこめば本人も気付かぬうちにその心は毒に冒される。
 それは、捕食者が獲物を捕らえるための甘い毒。
「ボクは、なんだかオカシイみたいだ」
 キマイラ君は心臓のあたりを抑えてハァハァと荒い息を吐いた。

 ときめいている! この青年、激しくときめいている!

「どんな風にオカシイの?」
 アリスはそっとキマイラ君の腹に頬をあて、両手を彼の腰にまわした。長い銀髪がさらりと公園の風に揺れ、その髪からも芳香がたちのぼる。
「ド、ドキドキします」
 キマイラ君は少し慌てた。少女に密着され、キマイラ君のキマイラ君がちょっぴり元気になってしまいそう。慌てて離れようとするキマイラ君を、アリスは逃さない。ここでユーベルコードでトドメを差す!
「それでいいのよ☆ わたしのペットにしてあげる♪」
 『マインドジャック』はキマイラ君をさらに誘惑。恋の炎を炎上させた!
「ふふ、マッチの火なんかより、こっちの火の方がよっぽどキレイでしょう?」
 キマイラ君はもう逆らう事が出来ない。小さなアリスを押し倒そうとし……、暗転。

 2時間後。

 色々あって2人は仲良くなった!

 キマイラ君はちょっぴりスッキリしたような、大切な何かを失ったような顔で服装の乱れを直していた。アリスは首謀者のことを聞き出しながら公園のベンチをコンコンした。ベンチからは、『墨汁』が出てきた。

 果たして『墨汁』はボス戦の役に立つだろうか?
 それは、アリスしだいである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヘルメス・トリスメギストス
「火遊びとは感心できない御主人様ですね。
御主人様の行動を諫めるのも執事の役目です」

ここは心を鬼にして、御主人様にお説教させていただきましょう。

「御主人様、火遊びは大変危険でございます。
恋人や奥様がいらっしゃったら、火遊びは関係の不和や家庭崩壊を招きかねません」

おや?なんだか話が噛み合っていないような顔をされていますね。

ですが気にせず説得を続けましょう。

「御主人様、今ならばまだ間に合います。
御主人様を唆した相手をお教えいただけましたら、
このヘルメス、執事としてきっぱりとお相手を説得して参りましょう」

近くをコンコンして取り出した手切れ金入りのトランクを手に、
不倫相手の元に向かいましょう。



●犯人の名は
 微妙な空気の公園へ、ヘルメス・トリスメギストス(最強魔術師にして天才軍師な万能執事(自称)・f09488)が遠慮なく足を踏み入れた。
「火遊びとは感心できない御主人様ですね。
 御主人様の行動を諫めるのも執事の役目です」

 キマイラ君がギクリとする。何か疚しいことがあったのかは、暗転していたから、そこはわからない。が、ギクリとしたキマイラ君にヘルメスはコツコツと硬質な足音を立てて歩み寄った。
「御主人様、火遊びは大変危険でございます。
 恋人や奥様がいらっしゃったら、火遊びは関係の不和や家庭崩壊を招きかねません」
 キマイラ君はそっと目を伏せた。恋人はいなかった。しかし、火遊びをした自覚はあり――どんな火遊びなのかは、わからない――、とにかく、今のキマイラ君にとって、ヘルメスの言葉は耳に痛いものだった。

(おや?)
 ヘルメスは首を傾けた。
(とても心に響いている様子ではありませんか)
 噛み合わないと思った話はなんだか微妙に噛み合ってしまったのだった。
 ヘルメスは気にせず説教を続ける。

「御主人様、今ならばまだ間に合います。
 御主人様を唆した相手をお教えいただけましたら、このヘルメス、執事としてきっぱりとお相手を説得して参りましょう」
 その言葉に、キマイラ君が思う『唆した相手』は、猟兵であった。キマイラ君、言いにくそうに視線を逸らす。ヘルメスはキマイラ君の前にひざを付く。
「御主人様!」
 ――大丈夫です、必ず力になりましょう。
 その瞳はそう訴えていた。
「う、ううーん」
 キマイラ君は悩まし気にしつつ、ヘルメスにその名を教えた。
「!?」
 ヘルメスは、教えられた名に驚いた。
 なんと、キマイラ君は『犯人』として猟兵の名を教えたのだった……!

 戸惑いつつ、ヘルメスは近くのブランコをコンコンした。
「トランクが出てきます」
 ヘルメスは宣言する。言われた通りにトランクが出て来た。凄い。
「執事ですからね。そして、この中には、ぎっしりと金が入っていますよ」
 ドヤ顔でトランクを開けて見せるヘルメス。おやっ? という顔をした。そして、静かにトランクを閉めた。中には何か思ったのとは違うものが入っていたらしい。

 ……この後どうするのだろうか……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロースト・チキン
オレ調べたんだよ「火遊び」って何かを?
辞書惹いたらその場だけの情事って書いてあるじゃねーか!
それに、グリモア猟兵のルベルもコンコンするといいとか言ってたからな

オレは、ピンと来たね

コンコンっていうのは何かの擬音だ!
つまりーー。

ローストは、「群れる世紀末」でモヒカンたちを召喚し、「コンコン」と身体を張って情事を行います。

ただの火遊び程度じゃ、マッチみたなもんだからな…
ヒャッハーーー!
此処は盛大に手を抜いた奴は「火炎放射器」で燃やしてやるぐらいでないとな!

さて、これで「首謀者」を炙り出せるな!



●事件はいつも現場で起きてるんだ
「オレ調べたんだよ『火遊び』って何かを?」
 ロースト・チキン(チキン野郎・f03598)が公園に現れた。視線が集まる。
(それに、グリモア猟兵もコンコンするといいとか言ってたからな)

「オレは、ピンと来たね。コンコンっていうのは何かの擬音だ! つまりーー」
 ローストにどこからかスポットライトが当たる。公園は、明るい。だがなんとなく謎解きのムードは出た。
「ヒャッハーーー!」
 ローストはユーベルコードでモヒカンたちを召喚した。『群れる世紀末』……世紀末なモヒカンが1人、2人、3人……17人。
「「モヒカン17人衆だ! ヒャッハーーー!!」」
 公園はモヒカンの集会所と化した。キマイラ君は呆然と見守る。ローストはモヒカン達を公園デビューに連れて来た我が子のような目で見ながら語る。

「ただの火遊び程度じゃ、マッチみたなもんだからな……」
 モヒカン達、ガバッと服を脱ぐ!
「いっ、いったい何を!」
 キマイラ君が異様な事態に震えあがる。ここにいては危険だ、そんな予感をひしひしと感じていた。

「「ヒャッハーーー!!」」
 モヒカン達、2人ずつジャンケンをした。負けた者が公園に四つ這いになる。勝ったものは相手の腰をつかむとコンコンを始めた。そう、コンコンを始めた!
「あの、1人余りました」
 余った1人が涙目になっていた。『2人組作って』の闇だ。ローストは鷹揚に頷く。
「オレがコンコンしてやるぜ!」
 コンコンしながらローストはモヒカン達にアツく指示を飛ばす。
「手を抜いた奴は『火炎放射器』で燃やしてやるからな!」
 そして、コンコン具合がなまぬるいペアを見つけては火炎放射器で制裁を加えていくのであった。
 ちなみにコンコン大会の結果、公園の地面から18個分の『とりもち』が採れた。とりもちをどう使うかは、ローストとモヒカン達しだいである。

「さて、これで『首謀者』を炙り出せるな!」

 ローストは勝利を確信。
 キマイラ君はというと、巻き込まれないように隅っこで震えていた。
「オラッ、こっち来いヨォ! 楽しもうぜえ!」
 そんな彼に迫る魔の手……!
「やっ、やめてください! ボクはノンケなんですよっ!」
 事態は混沌とする一方であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
たしかに火は危険ですね。御伽噺の竜退治で炎の息で消し炭になるモブ騎士……みたいな場面は腐るほどありますし
火の危険性を説かなければ

まず説得に使う小道具を集めます
ルベル様から戴いたスルメイカを善良なキマイラ達に振舞って調達場所を教えてもらいましょう

用意するもの

・灯油
・等身大キマイラ君人形(悪趣味なくらい精巧)

火遊びしようとしているキマイラを見つけたら説得開始
ほら、あの人形は火遊びの際に誤って灯油を頭から被ってしまったあなた自身です、比較対象として私も灯油を被ります
そこにマッチの火を近づければ…はい、目を逸らさないように
UCで無事ですが危険な行為なんですよ、火遊び

人形の焼け跡からは何のアイテムが?


寧宮・澪
噂や情報を【情報収集】で確認、必要なら【ハッキング】で、裏とり……。
自分の経路は通信を【暗号作成】して、保護しつつー。
占いが、怪しい、ですねー……。

そしたら、公園で……何でしょ、か、この空気ー……。
あ、もしまだ燃えてる木があれば、延焼防止で、レギオンで倒しときますー……。
ついでに地面、コンコン。

キマイラ君にはー……一応【優しさ】、と……真剣に、怒り、を持って。
窘め、ますよー。
火は、簡単に、命を奪うんですよー……軽々しく、燃やしては、いけないんですー。
流行ってる動画、みんな占いで燃やした、と。
燃やすが吉、なんて言う占い師、いるなら、教えてくださいー……。

あ、猟兵だって言うべき、でしょーか……。



●その日、公園は燃えていた
 大ピンチのキマイラ君のもとへやってきたのは、寧宮・澪(澪標・f04690)とトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)である。
 この2人は公園に直行したわけではなく、事前に別の場所で調査や下準備をして来た。 

 澪はSNSの流行について遡り、情報収集をしていた。最初の炎上に前後して5件の火遊び投稿がある。炎上事件の後は純粋な模倣犯も増えたが、よく見るとやはり半数以上は『占いをきっかけに起こした』という点で共通している。直接コメントに書いていなくても、同じアカウントないし同者の別名義のアカウントを確認すると、火遊びの前に占いに行っていたのである。
「占いが、怪しい、ですねー……」
 澪は確信した。

 トリテレイアは、公園に行く途中で見かけた『Yo! Yo! 倶楽部』という雑貨店に立ち寄り小道具を調達した。店には数人の客がいた。店主は猟兵のファンだった。猟兵がスルメイカを振舞うと、大喜び。そして、求められるがままに人形を造った。用意したのは、『等身大キマイラ君人形』である。もふもふした尾をはみださせた大きなキマイラの客がしきりに『いいね!』と褒めてくれた。
「他の皆さんもスルメイカをどうぞ」
 トリテレイアは現地民と打ち解けた。

 そして、彼らは同時に公園へ駆けつけた。
 公園はカオスだった。
「何でしょ、か、この空気ー……」
 トリテレイアはモヒカンからキマイラ君を保護した。
 澪は燃え続けていた木をまず消火した。90体の琥珀金の機械兵器『エレクトロレギオン』が公園に召喚され、ずらりと並ぶ。
「いったいあの公園で何が起きてるんだ」
「猟兵がいる! 猟兵がいるよ」
 公園の外はざわざわしていた。動画を撮影する者やSNSで情報を拡散している者もいる。

 澪はキマイラ君に特徴的な声で語りかける。
「火は、簡単に、命を奪うんですよー……軽々しく、燃やしては、いけないんですー」
 その声は真剣な響き、そして怒りを伴っていた。キマイラ君はハッとした。顔をあげ、澪を見る。澪の瞳は優しい。キマイラ君は幽かに目に涙を浮かべた。そして、コクリと頷いた。

 同時にトリテレイアは『等身大キマイラ君人形』を公園の砂場に設置した。公園の隅に置かれていた灯油も発見し、運ぶ。
「あ、あの……それ」
 人形は悪趣味なくらい精巧であった。キマイラ君はなんとなくこの後の展開を察しつつ、問う。
「燃やすの?」
「はい」
 トリテレイアはバシャっと灯油をかけた。人形に。そして、自分にも。
「あ、あ、あ、ああ……」
 キマイラ君、そして大衆が見守る中、トリテレイアはマッチで点火! 着火! 真っ赤な火柱が立ち昇る!
「燃えた! 猟兵が燃えたわ!」
「キレイだ」
 大衆からどよめきがあがった。流行を知っている者は褒めていた。
 トリテレイアはこっそりとユーベルコードで防御モードになり炎に包まれながら、ズン、ズンとキマイラ君に近寄る。
「ウエエエエ!?」
 キマイラ君、後ずさる。
「ほら、あの人形は火遊びの際に誤って灯油を頭から被ってしまったあなた自身です、目を逸らさないように! 危険な行為なんですよ」
「わ、わかりました! わかりましたァァァ!」
 キマイラ君は必死で頷いた。彼は誓った。もう二度と火遊びはすまい、と。

「流行ってる動画、みんな占いで燃やした、と。
 燃やすが吉、なんて言う占い師、いるなら、教えてくださいー……」
 澪は人形とトリテレイアを消火しながらキマイラ君に問う。ついでに地面をコンコンした。出てきたのは、『画鋲』。その使い道は自由である。
 それを見てトリテレイアも人形の焼け跡をコンコンした。すると、燃え跡からは『バリカン』が出てきた。やはり使い道は自由である。

 キマイラ君は教えてくれた。占い師は、公園を出て右に10メートル進み突きあたりの蛍光緑の看板の店のまわりを3回まわって壁をコンコンし、来た道を20メートル戻り『Yo! Yo! 倶楽部』の隣にあるビルの中、『聖天使の褒め占い』という占い館に行けば会える、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『そいつが人気の占い師?!』

POW   :    力づくで探し出す、占いが当たらないと証明する

SPD   :    さらに人気の出そうな占いや配信をすることで、敵をおびき出す

WIZ   :    情報をもとに、敵の正体を特定する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●占い師にも休日がある
 彼らは占い館に向かった。
 途中でコンコンすると『生卵』も出てきた。猟兵達が移動すると、野次馬も距離を取りつつゾロゾロとついてくる。動画を撮られまくっている。サインをねだってくる子もいる。

「あ」
 館の入り口には貼り紙があった。
「『本日はお休みです』」

 占い館は、休館日だった。
トリテレイア・ゼロナイン
むう、休館日とは運の無い
いえ、先程の(めんどくさい)手続きを経なければ会えない占い師、手続きに拘りがあるのでは?
「礼儀作法」に最新の注意を払い、
公園を出て右に10メートル進み突きあたりの蛍光緑の看板の店のまわりを3回まわって壁をコンコンし、来た道を20メートル戻り『Yo! Yo! 倶楽部』の隣にあるビルの中、『聖天使の褒め占い』という占い館に行けば
開いているかもしれません、やってみましょう

(開かなかったら)
…………「怪力」で無理やり館に侵入、手がかりを探します


寧宮・澪
おやすみ、ですかー……そういうことも、あるでしょ、ねー。

でも、それじゃだめなのでー……【情報収集】、しましょか。
ネットから事前に調べたもの、いま周囲にいる方から聞ける話……整理して、推測しましょー……。
電脳ゴーグルの【Cradle.ex_】も使って、より深く情報収集をー……推理して、いきましょー……。

おっきいらしい、ですけどー……どんなのでしょか……占い怪人とか、炎上怪人とか?

あ、画鋲はお店の張り紙に突き刺して、おきますねー……。
えい。


ヘカテー・ティシポネ
占い…ね…人の心を惑わす程度なら易いわ…ね。

◆SPD
占い師に扮して、詐欺…占いでもやってみる…わ。
人気が出たら、相手側の商売の妨害もできそうね。
まず、催眠術で上手く惑わせつつも、仕込みが重要よ。
会話は、何か飲んだり食べながらだと相手の情報も引き出しやすいの。
それに距離感を縮める手相でやるタッチングとか有効ね。
あとは、あいまいな質問を含めて、結果を示しておくのよ

「あなたは今、何かの問題を抱えています…ね?その問題…大小あっても、解決には時間がかかるかもしれません…。」

こんな感じで、占いのテクニックは、絶対に当たる予言じゃなくて、絶対に外れない予言をすること…よ



●占い師を探して
「むう、休館日とは運の無い」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が唸ると、隣に立っていた寧宮・澪(澪標・f04690)もぼんやりと呟いた。
「おやすみ、ですかー……そういうことも、あるでしょ、ねー」
 2人は視線を交わす。
「でも、それじゃだめなのでー……情報収集、しましょか」
 澪は遠巻きにしていた野次馬達に話を聞きながら、電脳ゴーグルも併用し情報収集をする。
「この館の占い師さんは、どんな方、ですかー……?」
 おっとりと問われれば、野次馬達は口々に教えてくれる。
「3メートルぐらいの身の丈で黒いローブを着ているよ」
「褒めてくれる」
「良いと思ったことはどんどん他人にも広めよう、って言われたよ」
情報を整理しつつ、同時にネット上の情報も探していく。
 『占い師さんはモフモフしてる』、『占い師さんは目がキレイ』……。

 一方、トリテレイアは占い館を出て、来た道を戻っていく。
「先程の(めんどくさい)手続きを経なければ会えない占い師、手続きに拘りがあるのでは?」
 トリテレイアは公園に戻る。野次馬も一部ついてきた。トリテレイアはサインをせがまれる。サイン用紙に礼儀正しく名前を書きながら、右に10メートル進んだ。蛍光緑の看板を発見。
「わたしはこれから、あの店のまわりを3回まわります」
 マイクを向けられてトリテレイアは生真面目に説明した。そして、動画撮影班と共に店の周囲を3回まわる。壁をコンコンすると『生卵』が出てきた。
「完璧な礼儀作法だ」
 野次馬から拍手が起きた。
(あとは20メートル戻って占い館へ行けば)
 トリテレイアが道を戻る。道中で野次馬は少しずつ増え、占い館を出た時の倍の数になっていた。

「あ、あれは!」
 トリテレイアは目を瞠る。
 いつの間にか占い館の外に占いコーナーができていた。行列もできている。
(占い師が!?)
 見に行くと、そこにいたのはヘカテー・ティシポネ(ダンピールの死霊術士・f06411)。事件解決のため駆けつけた猟兵の1人である。

(占い……ね……人の心を惑わす程度なら易いわ……ね)
 ヘカテーは占い師に扮して(詐欺)占いをしていた。感情表現が薄い彼女の独特の雰囲気が占いに説得力をもたせている。占いコーナーでは軽食も振舞っていた。自分の出番を待つ間、客達は思い思いに飲食し、雑談をする。
(あの中年女性は嫉妬深い人で旦那さんに厳しいのね……、あっちの男性は引っ込み思案で人間関係に臆病なのね)
 ヘカテーは順番待ちの客達の情報を把握しつつ、目の前の客の目を覗き込む。催眠術をかけながら、手を握る。手相占いだ。
「あなたは……周囲の人との人間関係に悩んでいます……ね?
 それに……将来の心配もしている……でしょうか」
 客は驚いた。まさにその通りだったのだ!

 トリテレイアは行列に並んでみた。自分の番が巡ってくる。ヘカテーは相手が猟兵だとわかりつつ、占いを披露した。
「あなたは今、何かの問題を抱えています……ね?
 その問題……大小あっても、解決には時間がかかるかもしれません……」
 占いのテクニックは、当たる予言ではなく『外れない予言』をすること。ヘカテーはそう考えていた。

 外が大賑わいの中、内部にいた澪は張り紙に画鋲を突き差していた。
「えい」
 画鋲はキレイに刺さった。野次馬が褒めてくれる。
「いいね!」
「画鋲差すのウマイ!」
 拍手喝采であった。
 褒め称えられながら澪は情報を整理する。
(おっきいらしい、ですけどー……どんなのでしょか……、占い怪人とか、炎上怪人とか?)
 ここまでの情報を整理する。流行を作る切欠となり、そして広めるように呼び掛けていたのは間違いなく占い師。

「占い師さんの目撃情報とかはー……、ほかにありませんかー……?」
 野次馬に感謝しながら澪が呼びかけると、野次馬のひとりが手をあげた。
「占い師の人、『Yo! Yo! 倶楽部』でさっきスルメイカを食べていましたよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ
ここは、悪辣なデザインの仕掛け時ね!
燃やしてみたドッキリよ

近所の空き地を借りて、占い館からそこまでの矢印誘導看板を設置
後、1章のキマイラ君達に協力を願うわ
そして撮影開始
彼らに動画冒頭で言ってもらうの「聖天使の褒め占い」で炎上動画を
おススメされたので、その館を燃やしますってね

実際に燃やすのはレプリカクラフトで作ったガワだけ
アートの心得はあるもの、似せるのはお任せ

怪人さんがきたら「ドッキリ大成功」看板!
追ったり囲むのは他の猟兵にお任せよ

最後にドッキリ用の演出です、マネしないでね猟兵との約束だよ
放火は犯罪、他の人にお勧めするとこんな目に合っちゃうよ!
と入れて再発を防ぐわ

アドリブや他の人との絡み大歓迎


アリス・セカンドカラー
休館日……炎上させる……芸人魂


はっ!そうか、そういうことだったのね!
つまり、この占い師はこの館を炎上させて欲しかったのよ!

ハッキングで動画の視聴者にも届く催眠念波のマインドジャック範囲攻撃で野次馬の認識改変しつつ、占い館周辺をコンコンしながらそんな迷推理を披露するわー。

そんな感じで占い師の願いを叶えるべくテンタクルファイアで占い館に着火☆
大丈夫、大丈夫、延焼分も含めて任意に消せる炎だから占い館以外に被害を出すことはないわー。

自分の占い館が燃え堕ちる動画見たら流石に出てくるでしょ?



●キマフュのみんなでドッキリ大作戦!
 占い館の外には、さらに2人の猟兵がいた。
 アリス・セカンドカラー(不可思議な笛吹きの魔少女(発酵中)・f05202)とリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)である。
 2人は占い館を並んで見ていた。
(休館日……炎上させる……芸人魂)
「はっ!そうか、そういうことだったのね!
 つまり、この占い師はこの館を炎上させて欲しかったのよ!」
 アリスが思いつき、声をあげる。隣にいたリダンは頷いた。丁度同じ方向性の作戦を考えていたのである。
「ここは、悪辣なデザインの仕掛け時ね! 燃やしてみたドッキリよ」
 こうして2人の作戦は決まった。

 リダンは野次馬やキマイラ君に協力を仰ぎ、近所の空き地を借りると、占い館から空き地までの矢印誘導看板を設置する。
「おーい、板が足りない」
 と声があがれば、アリスがポストを指さした。
「そこのポストをコンコンすると板出て来るわよ♪」
「ペンキがほしいなあ」
 と声があがれば、リダンが標識を指さした。
「そこの標識をコンコンすると出てくるわ」
 そんなやりとりを交わしながら、キマイラフューチャーの住人達は楽しそうにワイワイと手伝ってくれた。
 この地の住人はアーティスト気質。
 楽しい事や何かを創ったりすることは大好きなのだ。

 空き地にリダンが偽の占い館を創り出すと、見た者は皆驚き、感動した。リダンのユーベルコード『レプリカクラフト』9割超の成功率にアート技能を加えた完成度に、2レベルの撮影技能とアリスの催眠念波が更に成功度を引き上げる。見る者全てに間違いなく本物だと思わせることができる完璧な出来。拍手が湧き上がる。スマホで写真を撮る者もいた。
「す、すごい! そっくり!」
「アートの心得はあるもの、似せるのはお任せよ」
 リダンはやわらかな笑みを浮かべた。自らの仕事に誇りを抱くデザイナーがそこにいた。
「写真は、生放送が終わるまでは人に送信したりSNSにアップロードしたらだめよ♪」
 アリスが催眠をかけながら注意する。野次馬は1人もアリスの意に逆らうことなく従った。情報が洩れることは、ない。

 準備が整うとキマイラ君は撮影を開始する。生放送だ。
「見てください! 今日は一大イベントの真っ最中! 今日1日SNSで話題になっててもう知ってるかもしれませんが、猟兵達が今一緒にいます!」
「「一緒にいまーす!」」
 カメラを向けると野次馬達と猟兵達が賑やかに手を振る。これは一大企画の予感! 生放送はどんどん拡散され、視聴者が増えていった。
「『聖天使の褒め占い』でおススメされたので、今日は僕たち全員で占い館を燃やしまーす!」
「「燃やしまーす!」」
 アリスは野次馬や生放送視聴者に催眠念波を放ち、一連の流れをサポートし続ける。そして、ユーベルコード『テンタクルファイア』で偽の占い館に火を付けた。
 偽の占い館が燃え上がる衝撃映像。
『ちょw』
『やりやがった!』
『ファイヤー!』『ファイヤー!』
 生放送画面にコメントが次々と流れる! 話題になり、さらに視聴者数も増える!
(自分の占い館が燃え堕ちる動画見たら流石に出てくるでしょ?)
 2人の猟兵は作戦が順調であることに安堵し、成功を祈る。

 果たして、祈りは届いた。
 ほどなくして占い館を経由して空き地にやってきた身の丈3メートルほどの黒ローブ姿……。
「あ、占い師さんだよ」
 キマイラ君が教えてくれる。
(来たわね)
 リダンとアリスは目配せをすると仕上げにかかった。
「「ドッキリ大成功ー!」」
 声を揃え、看板を掲げる。
 アリスが持つ看板には『ドッキリ大成功』の文字。そして、リダンは『ドッキリ用の演出です、マネしないでね。猟兵との約束だよ。放火は犯罪、他の人にお勧めするとこんな目に合っちゃうよ!』という再発防止の注意書きを提示するのも忘れない。

 占い師は事態を理解した。
「ド、ドッキリだったのか!」
 占い師はローブをバサッと脱ぎ捨てた。
 そして言った。
「でも、――いいね!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『いいねリス』

POW   :    強いっていいね! いいね!ボム
【いいね! 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【いいね!ボム】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    足がはやいんだね! いいね!ビーム
レベル分の1秒で【いいね!ビーム 】を発射できる。
WIZ   :    いいね!って思ったらみんなあつまれー!
戦闘用の、自身と同じ強さの【共感者】と【いいねリスの分身】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠青景・黒影です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●猟兵は怪人と戦うヒーローである!
 その瞳は全てを褒めてくれそうなキラキラした瞳であった。手には、長い巻物を持っている。
「あの占い師さん、いいね! って思ったものをリストにしてるって噂ほんとうだったんだね」
「猟兵が言うには、怪人なんだって」
 野次馬が囁き合うのをぐるりと見渡して占い師はウインクした。
「バレたからには猟兵も野次馬も全員やっつけるよ! 拡散よろしく!」
「キャー!」
 野次馬達は我先にと逃げて行った。残ったのは、カメラをまわし続けるキマイラ君ただ1人。

「みんな逃げていきました。当たり前です、怪人です、怖いです」
 キマイラ君は実況をしていた。
「でも、僕、続けます。逃げません。だって僕、僕は――、
 よくわかんないけど、今。撮り続けたいって思うから!」

 生放送は続いている。
 猟兵達は思い出した。
『キマイラフューチャーでは、』

「猟兵が――僕達のヒーローが! 目の前にいるから!」

 猟兵達はその期待を背負い、生放送で実況されながら戦いに挑むことになった!
アリス・セカンドカラー
幼女ともふもふのお戯れ、コレは数字になる☆

リスさんだー♪と無垢なる幼女のようなほわっとした笑顔でてててーと近付きつつラブフェロモン☆
この巨体にじゃれつかれるのは大変危険だけど、エナジードレインで位置エネルギーやら運動エネルギーやら等のエネルギーを吸収すれば無問題☆
重量は怪力を発揮する念動力で支えられるし。
そして、マインドジャックをしかけて、まるで遊び疲れたかのようにゆっくりと眠りの淵へ誘いましょ。戻ることも困難な深い深い夢の国に、ね。

眠るもふもふに埋もれて眠る幼女、コレは数字になる☆




 最初に行動を起こしたのは、アリス・セカンドカラー(不可思議な笛吹きの魔少女(発酵中)・f05202)だった。
「リスさんだー♪」
 まるで無垢な幼女のような声と笑顔。その正体を知るキマイラ君は複雑な表情だ。だが、アリスは構わずほわっとした笑顔でてててー、と怪人に近寄っていく。

『ああっ幼女が』
『ょうじょ逃げてー』
 生放送のコメントが心配している。怪人も猟兵を見て攻撃の意思を明らかに自身の分身を召喚! 周囲に数体、大きないいねリス怪人(分身)が現れた。
「「猟兵は敵だー!」」
 四方から一斉に飛び掛かる怪人……! しかし。
「リスさん、わたしと遊んでくれるの?」
 アリスはふわりと可憐に跳躍した。実はアリスは万を越える猟兵の中、100人に満たない最精鋭の1人である。怪人たちをかろやかに避けつつ、さりげなく毛皮にタッチしては生気を吸収していく。
「追いかけっこ、たのしいね☆」
 あくまでも純粋(に見える)笑顔を浮かべ、ニコニコとアリスは敵の生気を吸い続け、やがて疲れた敵にマインドジャックをかける。
「いっぱい遊んで疲れちゃった、ね」
 幾度となく生気を吸われ続けた怪人たちは実際にドッと疲労していた。その精神が浸食されていく。うつら、うつら。瞼が泥のように重く……なり……、

「眠くなっちゃった、よね」
 アリスは分身たちの真ん中でぺたりと座り込んだ。ふわあ、と可愛らしく欠伸をして、眠たげに目を擦る。
「ふわあ……」
「ねむ、ねむ」
 分身たちはアリスを囲んだまま微睡み始めた。
「ゆっくり、ゆっくり、眠ろうね」
 みんな、みんな、眠りの淵へ誘われていく……。
「さぁ……おやすみ……♪」
 全ての分身が眠りについたのを確認すると、アリスは自身も目を閉じる。モフモフの巨大リスたちに囲まれて眠る可憐な幼女の図。

『Zzz...』
『スヤァ……』
『おやすみ……』
 視聴者は癒し映像に和み、生放送画像をキャプチャーしまくった。コメントも一斉に幼女とリスたちに和み、画面上は就寝挨拶の弾幕で埋め尽くされたのであった。

(おやすみ――戻ることも困難な深い深い夢の国に、ね)
 アリスは心の内でそっと付け足す。
「……小悪魔……」
 キマイラ君がこっそりとつぶやいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
炎上の理由はともかく、偽ではありますが燃える建物をバックに怪人と対峙
その光景が生中継されるというのであれば騎士として格好良く決めたいものですね

味方への「いいね!ビーム」や「いいね!ボム」を「武器受け」「盾受け」で「かばい」援護します

脚部スラスターでの「スライディング」で接近し、盾で殴ると見せかけて、
バリカンでの「だまし討ち」!
奴の腹の毛をいいね!のハートマーク状に剃ります、「怪力」で

さあ、いいねリス様
このハートマークはいいね!のボタンと同じです
このマークに攻撃が当たるたびに貴方にいいね!が入るのです
まずは私からのいいね!をお受け取りください(腹パン&中継に映らないように腕格納銃で射撃)


リンネ・ロート
(人格・口調リンネ)
怪人さんがキマイラの皆さんを焚きつけて放火に走らせたのですね
火事が起きたら建物どころか怪我人や、もしかしたら死ぬ人も出るかもしれないのに
誰かが傷つくのは見過ごせない!

ある程度距離を取って、様子を見ます
怪人が動いたら見切りとオーラ防御を駆使して射程内まで踏み込みます
少し怖いですけど……
確実に当たる距離まで踏み込んだら高速詠唱からウィザード・ミサイルを手加減なく放ちます
「炎よ!かの者を焼き尽くして!」
二回攻撃も試みますが、無理なら素直に敵から距離を取ります

どうですか?自分が燃やされる側に回るのは、怖いでしょう?
自分の手を汚さず誰かにさせるなんて許せない!絶帝に逃がさない!


アドニード・プラネタリア
見てくれはかわいいなぁ♪
まぁ、何か強そうだから、回復に回ろうっと。

技能は攻撃防御選り取りみどり。
ユーベルに移し身使えば完璧♪

攻撃技能は(破魔)(衝撃波)をメイン。
防御技能は全て開放。

地形利用出来たらいいんだけどな…。
疲れるけど、複数人の回復をやろうじゃないか!
僕自身ダメージ食らったら、生命力吸収しに行ってやる…。




「ぶ、分身たちー!?」
 無力化された分身に悲鳴をあげる怪人。
「見てくれはかわいいなぁ♪」
 空き地の隅、木の上に潜むアドニード・プラネタリア(天文得業生・f03082)が癒し映像に和んでいた。『地形利用』と『目立たない』技能が隠密を成功させている。
 隣でリンネ・ロート(多重人格者のサイキッカー・f00364)も頷いた。そして、怪人に言葉を放つ。
「怪人さんがキマイラの皆さんを焚きつけて放火に走らせたのですね。火事が起きたら建物どころか怪我人や、もしかしたら死ぬ人も出るかもしれないのに」
「ふん。キマイラたちを襲って何が悪い! 都市なんてめちゃくちゃにしてやるぞっ」
 怪人は全く悪びれず胸を張る。
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)も歩み出る。
「それは、かないませんよ」
 敵へと向けられたそれは意外なほど冷徹な声だ。普段の彼を知る猟兵達は驚いた顔をしていた。
 3人は炎上する偽の占い館をバックに怪人と対峙する。その光景はバッチリ生中継されている。
『怪人コワイ』
『猟兵がんばれ!』
 生放送のコメントが一斉に反応していた。
 リンネは気弱そうな金の瞳でまっすぐに怪人を見る。その瞳に燈るのは、人々のために戦う確固とした意思。
「誰かが傷つくのは見過ごせません……!」
 トリテレイアが大盾と長剣を構える。
「この盾は人々の平和を守るため! この剣は平和を脅かす怪人を倒すため!
 キマイラフューチャーの守護騎士は、ここにあり!」
 アドニードは2人を見てそっと支援を決意する。
(怪人は、見た目で侮らないようにしとこうっと)
 攻防多種多様な技能を持つアドニードの目は確かであった。

「強いっていいね!」
 怪人がハートマークを投げる。その数、5!
 トリテレイアは仲間を背に庇い、1つ目のハートを長剣で斬り捨てた。2つ目と3つ目は大盾でガッチリ止める。その庇う技能は9、盾受け技能に至っては10もある。彼もまた、万を越える猟兵の中、100人に満たない最精鋭の1人。その実力は折り紙付きだ。
(とはいえ、数が若干多い!)
 焦るトリテレイア。と、迫る4つ目が炎に包まれ、5つ目は衝撃波により破砕された。炎はリンネの手によるもの、そして衝撃波はアドネードが放ったものである。
「いいね! ボム!」
 同時に怪人がその場でぴょこんと跳ねた。盾で受け止めていた2つのハートが派手に爆発する。火力が高い。
 しかし、爆風が収まった時、そこにはボディを傷つけられ破損されながらも凛然と佇む騎士の姿があった。

「みんなあつまれー!」
 怪人はさらに攻勢に出る。呼び声に応え、モッフモフの怪人が新しく追加で現れた。ちなみに共感者はいなかった模様。
(隙が出来た! 詰めるなら今……っ)
 怪人の動きを見極め、リンネは召喚の一瞬の隙にオーラ防御を展開しながら射程に迫る。接近は、少し怖い。だが、トリテレイアも共に脚部格納スラスターを点火し、滑るように怪人に迫ってくれている。さらに後方にはアドニードが潜み、援護してくれている。
 頼もしい仲間の存在と決意がその背を後押しした。確実な距離まで踏み込み、リンネは高速で詠唱する。詠唱中に迫った分身の爪がリンネの腕に絡み、浅い傷をつける。しかし集中は乱れない。リンネのユーベルコードは発動した。
「炎よ! かの者を焼き尽くして!」
「必神火帝、万魔拱服っ!」
 同時に木の上のアドネードも呪を完成させていた。2人分の炎の矢が炸裂。敵は炎に包まれる。
「あっつ! あっつ! 自慢の毛が!」
 炎に包まれながらもどこか間抜けな悲鳴をあげる怪人は慌てて地面を転がり消火した。分身が怒り狂い至近のリンネへと飛び掛かる。そこへアドニードが破魔を放ち、分身を破る。
「よそ見はいけませんね」
 鎮火した毛皮をフーフーしている怪人に肉薄したトリテレイアが殴るかのように見せて大盾を振り上げる。怪人は慌てて両腕をあげ身構えるが、その一瞬をトリテレイアは逃がさない。

 ウ゛イーーン……。

「なっ、なにを!?」
 怪人が戦慄する。傍でリンネも目を丸くしていた。
 なんとトリテレイアはバリカンで怪人の腹の毛を刈っていく!
 その形は見事なハートマークだ。
『ハートだw』
『毛刈りwww』
 生放送にコメントが殺到。好評であった。
「あはは……♪」
 木の上のアドニードはこっそりと笑っていた。

「さあ、いいねリス様。このハートマークはいいね! のボタンと同じです。
 このマークに攻撃が当たるたびに貴方にいいね!が入るのです、まずは私からのいいね! をお受け取りください」
 言葉と共にトリテレイアの痛撃が怪人の腹に叩き込まれる……!
 同時に、中継に映らないように配慮されながら腕の格納銃で射撃もプラス。
「ぐっふう!」
 怪人は悲鳴をあげた。
「まだです……!」
 リンネは連続でもう一撃を叩きこむ。
「アワワワワ!」
 怪人が燃え上がった。さすがに堪えたのか、怪人も鬼気迫る声である。
「どうですか?自分が燃やされる側に回るのは、怖いでしょう?
 自分の手を汚さず誰かにさせるなんて許せない! 絶対に逃がさない!」

 そのリンネとトリテレイアをふわり、と清浄な光が包み込んだ。
「我が身ゎ我に在らず、全ての禍物、禍事引き受ける、癒しの戸!」
 稚い声が響く。木の上のアドニードだ。
(複数人の回復は疲れるけど……やろうじゃないか!)
 それは、『移し身の術』。傷ついた仲間を癒す代わりに自らは疲労する。仲間の傷を完璧に癒したのち、アドニードは汗を拭い、ふうと吐息を漏らすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロースト・チキン
ヒャッハーー!!世紀末のモヒカンは、ノンケの尻にキスをする!
さぁ、火遊びの時間だぜ!

群れる世紀末で召喚されたモヒカンたちは、無為無策のままリスへと突っ込みます。
モヒカンとはその場限りの反省しかしない生き物。
ならば、此度の彼らの生の活路とは、同胞の屍を超えていくしかないのだ!
さぁ、戦え!奪え!殺せ!!それが猟兵だ!!(真理)

へっへっへ…多くの屍(肉壁)を超える事ができたならば、愛用のハンドアックスでグラウンドクラッシャーをお見舞いしてやるぜ!




「さぁ、火遊びの時間だぜ!」
 続いて確実にダメージが蓄積されている怪人につっこんでいったのは、ロースト・チキン(チキン野郎・f03598)、そして公園で召喚されそのまま付いてきたモヒカン17人衆だ。
「「ヒャッハーー!!」」

 モヒカンたちは無為無策のままイキオイで怪人へと突っ込む。
『モヒカンだ!』
『変な集団がwww』
 生放送のコメントも驚愕に染まる。

 ローストはキマイラ君のマイクをさっと奪った。
「えっ」
「説明しよう!」
 ローストがモヒカンを指さし、語り始める。
「モヒカンとはその場限りの反省しかしない生き物。
 ならば、此度の彼らの生の活路とは、同胞の屍を超えていくしかないのだ! さぁ、戦え!奪え!殺せ!!それが猟兵だ!!」
 怪人は押し寄せるモヒカンにビームを放った。
「足がはやいんだね! いいねっ、ビーーームッ」

 ちゅどーん!

 なんとモヒカンたちがどんどんと怪人に蹴散らされていくではないか……!
『やられてるw』
『貴重なモヒカンが!w』
 生放送のコメントも沸いていた。

「あ、あの。やられてますが」
 キマイラ君、恐る恐る問いかける。ローストはどこ吹く風だ。
「へっへっへ……」
 愛用のハンドアックスを手にローストが跳ぶ。ここで注意したいのは『飛ぶ』ではなく『跳ぶ』という点である。ニワトリは、飛べない。

「モヒカンどもの仇だぜ!」
 ローストはまだ数体残っていたモヒカンもろともにグラウンドクラッシャーを叩きこむ! モヒカンを肉壁にし、さらに仇を討つという覚悟をキメた捨て身の一撃!

 ドオオオオオン!

 派手な音と共に怪人が悲鳴をあげた。見ると大技の衝撃で地面が鋭く抉り取られ、怪人も深手を負っている。
『ニワトリつええ』
『コケーッ』
『モヒカン巻き込んでたw』
 生放送のコメントは荒れていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ
ねぇ、リスさん?(煙草に火をつけ
何故アタシが矢印の看板残したか…わかる?

えぇ、メインはおびき寄せ
でもそれなら館へ来たところを捕えるだけでいいわ
空地を選んだのは「事前に罠を仕掛易い場所」だからよ

画鋲を踏んで下を向けば上から生卵&墨汁が頭へ
燃え落ちるレプリカ館が倒れてくるのから逃げようとすればトリモチが邪魔を

アタシの行動はアナタが来た時点、ビームより速い0秒目で既に終わってるの

後は…のんびり煙草吸いつつキマイラ君と別角度から撮影するわ
これで理解できたかしら?
ゴールを見据えて途中を繋ぐ。動画でも何でもそのデザインが大事よ

この煙草ね、催眠術の補助用なの
アタシは戦い得意じゃないし餅は餅屋
後は任せたわよ皆


寧宮・澪
あー、たしかに大きい、ですねー……そしてもっふもふー。

ひとまず、ユーベルコード【謳函】で、強化しましょー……。
怪人やっつけますよー、とか、みんなを守りたいんですよー、とか。
ヒーロー、ですもの。
【鼓舞】や【祈り】、いっぱい込めて【歌唱】した、歌声ですよー……。
がんばりましょー。

あ、刺した画鋲、残ってますかねー……。
残ってたらリスの足元に巻きましょか……。
機動力下げたり、気をそらせる、かもー?

キマイラ君に攻撃いきそうなら、かばえますかね……【オーラ防御】とか、軽減もしてあげたいですねー……。




 大ダメージを負い、ふらふらしている怪人。それを見つめる猟兵が2人いた。寧宮・澪(澪標・f04690)、そしてリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)だ。

「あー、たしかに大きい、ですねー……そしてもっふもふー」
 呟きひとつ、澪はユーベルコード『謳函』を使用する。
「はい、がんばりましょー……」
 小さ匣よりいでるは綿津見も現世常世も遍く謳、響き共鳴するは深き心。音が、声が、歌が、空気に揺蕩い溶けるよう。爽涼たる風が一迅吹き抜けて声を掻っ攫う。遠く立ち並ぶビル群の果ての果てまで届けんと。
 箱型ガジェットに組み込んだ歌声は仲間たちの戦闘力を増強すると同時に、生放送を視聴している者のこころにもしっかりと届いた。
 コメントがしばし静かになる。みな、聴き入っているのだ。

「怪人、やっつけますよー……」
 そんな声。
「みんなを守りたいんですよー……」
 そんな声。
 それが、確たるメッセージとして発されずとも伝わる。
 心の中に直接聴こえてくるようだった。
(ヒーロー、ですもの)
 澪は鼓舞する。澪は祈る。技能や感情をいっぱい籠めて、澪は歌唱する。
(ね、……がんばりましょー)

 そして、ふらふらの怪人にも、その声は届いていた。
「いいね……」
 怪人は心の底から褒めていた。
「そのうた、……いいね」
 怪人はうらやんだ。怪人とて、人に褒められたい。認められたい。そんな気持ちがあったのだ。だが――、
「共感者が、でてこない」
 召喚を何度しても、あらわれるのは分身のみ。共感者がでてこないのだった。

「ねぇ、リスさん?」
 そんな満身創痍の怪人へと、リダンは声をかけた。
 リダンは煙草に火をつけた。薄っすらとした白い煙が一筋の糸のように青空に向かいゆらり、伸びていく。風は止んでいた。
「何故アタシが矢印の看板残したか……わかる?」
 視線が示すのは、キマフュのみんなで設置した看板だ。
「ここにおびき寄せるためだろう?」
 怪人がフンヌと鼻息を荒げ、回答した。
 リダンは緩慢に頷いてみせる。
「ええ、メインはおびき寄せ。
 でもそれなら、館へ来たところを捕えるだけでいいわ」
 怪人は気圧されたように後ずさる。そして――、

「痛ッ」
 足元を見る。なんと画鋲がばら撒かれていた! 澪がばら撒いておいたのである。
 バシャッ!
 そして、足元に気を取られた隙を突き生卵と墨汁が頭上からかけられる。同時に、燃え落ちた偽の占い館が倒れてくる……!
「そんな阿呆な!」
 怪人は這う這うの体で逃げ出す。そこへ今度は畳みかけるようにトリモチが投入される。モッチモチの粘りが怪人を絡めとった。

 リダンが宝石のように輝く双眸を細め、種を明かした。
 翡翠の瞳が深い色を陽光に煌めかせている。
 怪人は状況を忘れて一瞬、その美しさに見惚れた。

「空地を選んだのは『事前に罠を仕掛易い場所』だからよ」
 生放送もコメントが大量に流れ、湧いている。
「アタシの行動はアナタが来た時点、ビームより速い0秒目で既に終わってるの」
 リダンはのんびりと煙草を吸いつつ、キマイラ君とは別角度から怪人を撮影する。煙草は催眠術の補助のはたらきをしていた。
「これで理解できたかしら?
 ゴールを見据えて途中を繋ぐ。動画でも何でもそのデザインが大事よ」
 リダンは頼もしい仲間たちへと視線をやる。
「アタシは戦い得意じゃないし餅は餅屋。後は任せたわよ皆」

 仲間が動こうとした時――、
「せめて、アイツだけでも!」
 怪人が最後の力を振り絞り、キマイラ君に向けてビームを放った。
「めっ、ですよー」
 黒髪が翻る。攻撃を予測し、備えていた澪が間に割って入ったのだ。厚く纏われたオーラがビームを軽減する。勢いを弱めたビームは澪の柔肌を傷つけた。
 ぽた、ぽたと地面に血が滴る。

「くッ……」
 怪人は悔し気な呻き声とともにその体を霧の如く散らしていった。
 どうやら、限界だった様子だ。骸の海へと還っていく。
「これでオワッタとおもうな! 承認欲求がある限り、第二、第三の」
 最後まで言い切らずに消える怪人。
「だいじょうぶ?」
 リダンが澪を気遣う。澪は仲間の猟兵の治癒を受けながら、しっかりと頷いた。

「ごめんなさい」
 キマイラ君は頭を下げた。
「ごめんなさい。僕、もうアブナイ遊びはしません。ぜったい」
 一連の事件での出来事と、目の前で命をかけて戦い傷つく猟兵たちを見て彼の価値観も大きく変わったようだった。

 生放送のコメントも同様だ。若干ワルノリしたコメントもあるものの、危険な遊びに対する認識の改め宣言や、猟兵たちを讃えるコメントがたくさん流れる。中には、デザイナーであるリダンを知っており、ファンだと言うコメントもあった。
 逃げて行った野次馬たちも、ワイワイと戻ってくる。危険があれば逃げて遠巻きにするが、危険がなく楽しそうであれば人は寄ってくるのだ。

「あ……」
 ふと猟兵たちは気付いた。夕日が沈んでいく空に。
 いつの間にか、時間はこんなに経っていた。
 その場に居合わせた皆が一様に、同じ空を見上げる。

――Yo! Yo! オレラキマイラ! ライライ気楽なライフキマイラ! Yo!
 お気楽な歌詞のラップは遠く流れて。

「キレイだ」

 誰かが呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月08日
宿敵 『いいねリス』 を撃破!


挿絵イラスト