陽だまり猫だまり、お昼寝びより?
#アリスラビリンス
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「ここだ!こここそ、オレの国に違いない!」
真っ暗な部屋の中。
ライオンは片手を高く上げ、言いました。
……思い起こせば、数日前の事。
その日、ライオンは気付いてしまったのです。
「お前たちにはタテガミがない。そしてオレにはタテガミがある。という事は……俺って、王様だと思うんだ!」
言われた白猫と黒猫は、顔を見合わせました。
ライオンの表情は真剣そのもので。
「だって、おれたちネコだけど、お前はライオンじゃん……」とは、言えず。
自称王様のライオンいわく。「俺が王様という事は、俺の国があると思うんだ」と、元居た国を旅立って。巡り巡って見つけたのが、今、彼らの居る国。
まだ生まれたての、まっさら……いや、真っ暗な国でした。
どうやら、途轍もなく大きな1つの建物であるらしいこの国には、まだ灯りと呼べる物もなく。暗くて、どうにも不気味な国で。
「国を造るのはいいけど、何から作ればいいニャ?」
ライオンと共にやってきた、黒猫と白猫も困り顔。
折角ならば、これから増えるだろう住人たちが、心地よく。そして楽しく過ごせる国がいいけれど。それには何が必要だろう?
「まず、この国は暗すぎる!」
自称王様ライオンが、金槌片手にトントントン。軽快な音を響かせて。
大きな窓を作りました。
暗かった部屋に、お日様の光が降り注いで。
この国に、始めての『陽だまり』が出来ました。
これには黒猫と白猫も、目を輝かせます。
「なら、これもあった方がいいにゃ!」
今度は黒猫と白猫が、針を手にしてチクチクチク。素早く布を縫い合わせて。
大きなクッションを作りました。
陽だまりの差し込む場所へ、ふっかふかの大きなクッション。
飛び込めば、柔らかなクッションに包まれて。
お日様のいい匂いがして、体がぽかぽかしてきます。
これなら、住人たちも喜ぶにゃ!と、3人は大喜び……していたのですが。
ぐー……すー……ぴー……。
気が付けば、気持ちよさそうな寝息が3人分。陽だまりの部屋に響いています。
まだ始まったばかりの国造りが、頓挫した瞬間でした。
●
「みなさま、みなさま。きいてくださいまし!」
猟兵たちの足元で、目を輝かせてぴょんぴょんしているのは、ケットシーのグリモア猟兵――フィリオ・グラースラム(煌氷の刃・f10324)であった。
「フィオは、フィオは……アリスラビリンスで、生まれたばかりの不思議な国を見つけてしまいましたにょー!」
不思議の国が繋がりあって出来ている、アリスラビリンスという世界では、まだ誰も手付かずの、まっさらな国が見つかる事がある。
今回フィリオが見つけたのも、そのような生まれたばかりの国なのだと言う。
「その国は、大きな1つの建物みたいなのです」
洋館……あるいは、城と言えばいいだろうか。
その国は、巨大な建物の内部全体が、1つの国となっている。
屋外と呼べる空間はあるようだが、建物の外に出る事は出来ないようで。
国の中については今の所、廊下といくつかの部屋がある事しか分かっていない。
「まだ、灯りもないので、中はとても暗いのです。とても、住人さんが快適に過ごせる環境ではございませんの。先にこの国を見つけていた『愉快な仲間』の方々が、国造りを始めているようなのですが……」
愉快な仲間たちは、何故か真っ先に『陽だまりの部屋』を作ってしまった。
眩し過ぎず、優しい光が差し込んで。ぽかぽかと暖かくて、何だかいい香りがして。
柔らかなクッションが、優しく体を包んでくれる。
誰もの瞼も重たくする、何とも恐ろしい部屋をまず真っ先に作ってしまったのだ。
愉快な仲間たちに、悪気はなかった。
悪気はなかったのだが、作るものの順番を完全に間違えていた。
「それで、国造りが全く進んでいないようなので、手伝ってあげてくださいまし」
まずは最低限、ヒトが暮らすのに必要な『部屋』や『設備』、『家具』や『道具』等を提案してみるといいかもしれない。
それらを実際に作るのは、愉快な仲間たちが担当してくれる。
何せここは、アリスラビリンスの不思議の国。
様々な『不思議』が『当たり前』として存在する世界。
自由な発想で色々提案してみれば、愉快な仲間たちも色々応えてくれるだろう。
「フィオたちの世界では『出来ない』事でも、アリスラビリンスでなら『出来る』事が一杯あると思いますの。だから自由に、色々提案してみてくださいませ」
何を提案すればいいか直ぐには思いつかないヒトは、国の中を探索してみるのもいいかもしれない。
国の中は、何処も真っ暗なため、まずは明かりを作ってもらう必要はあるだろうが。国の構造が分かれば、提案されたものを何処に作るのがいいのか、決める指針になる。
「それでそれで、国の基本が出来てきたら、もう1つ考えて頂きたい事があるにょです!」
アリスラビリンスという世界は、人肉を喰らう『オウガ』によって支配されている。
この国にも、遠からずオウガが現れるだろう、と。
まだ予知と言える程はっきりしたものではないが、そんな予感があるのだと、フィリオは言う。
オウガは、やってくる。
だがその時に、この国がどのような被害を受けるのか、あるいは被害を抑える事が出来るのかについては、まだ何も確定していない。
これから猟兵たちがこの国にどのような提案をするのかによって、オウガが現れた時の状況が変わるだろう。
「なので、オウガへの対策も考えて欲しいのです。……とりあえずまずは、『秘密基地』とかを作ってみるのはいかがでしょうか」
国が発展していけば、いつの間にか住人たちも増えている事だろう。
オウガが現れた時に、とりあえず避難する場所があると言うのは、大切なことだ。
秘密基地は、どんな場所に作るのがいいか。
どんな物が置いてあるといいか。色々提案して見て欲しい。
「もちろん、それ以外にも、オウガへの対策が思いついたら、どんどん提案してほしいにょです!」
秘密基地は、あくまでもフィリオの一案に過ぎない。
あまり捕らわれずに、様々な方面から意見を出してみることも大切だ。
提案が多い程、実際にオウガが現れた時の被害を抑える事ができるはずだから。
「本当は、フィオもご一緒したいのですけれど……オウガがいつ現れるか分からないので、行けないのです。でも、安全になったらきっと、フィオも皆様の造った国を見に行きますにょ!」
なので、素敵な国を造ってきてくださいまし!と。
ぴょんぴょん飛び跳ねながら、フィリオは猟兵たちを見送るのだった。
音切
音切と申します。
途中からでも、一部の章のみでも。気軽のご参加いただけましたら幸いです。
【愉快な仲間】
この国にやってきた、ライオンと猫たちです。
ヒトと変わらない身長で、二足歩行しています。モノづくりが得意です。
ライオン…自称王様。良い国を造りたい心は人一倍。ちょっと思い込みが激しい。
クロ(黒猫)…ライオンのお友達の猫。ちょっとうっかりな黒い方。
シロ(白猫)…ライオンのお友達の猫。ちょっとのんびりな白い方。
【1章】
真っ暗な国の中を探索してみたり
この国に在って欲しいものをご提案ください。
オウガが現れるまでには十分な時間がありますので、
愉快な仲間たちとお喋りしたり、一緒にモノづくりをしたり
のんびりとお楽しみください。
【2章】
1章とほぼ同じですが、
主に秘密基地や、それ以外の『オウガ対策』について提案してみてください。
【3章】
オウガの出現が予知されていますが
1~2章での提案内容によって、オウガ出現時の状況が大きく変わります。
【その他】
筆は遅い方です。
再送になりそうな場合等は、マスターページにて連絡させていただきます。
よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『暗い部屋なんて……』
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POW : 何が出てきても力で解決だ!
SPD : 部屋に隠された物はないかな?
WIZ : 部屋の状態から推理してみようか
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
冬原・イロハ
この陽だまりの部屋、素敵ですね
こんにちは、王様さん、クロさん、シロさん、イロハです
初めましての挨拶をして、私も大きなクッションのご相伴に――
ごろごろ
――あ、いけません
フィリオさんが言っていた『提案』をしなければ
まずは探索のための明かりの作成
陽の光を取り込むランタン…できますでしょうか?
天井に備える明かりも作れたらと
ランタンを手に、明かりを設置しつつ
キッチンや水場に適した部屋を見繕い
上へ、行きます
屋外と呼べる空間がどんな場所なのか、屋上があればちょっと見てみたいのです
「屋上。もっと日向ぼっこできます」
ということで
・屋上庭園を提案
鳥の住人さんが来て下さるかも
・池を作る提案
食用のお魚さんが来るかも
秋穂・紗織
真っ暗な世界だというのなら、まずは灯りは大事
でも、どんな灯りが大事かというのも、大切ですね
不思議の世界で、不思議な力で動くのなら
それこそ不思議で、とても優しい灯りを用意しましょう
触れるものを燃やさないように
それでも暖かく、確かなものを
例えば、風を受けることで輝く花から作られたランタン
或いは、暗がりの中でこそ仄かな光を放つ花びらによって作られた燭台
戦いが起きて、転倒しても周囲を焼かないように
ふと思えば
……触れる事が出来ない火は、確かに私の重さのない感情の在り方のようですね
確かな形を持たず、揺れ動き続ける
それは風と火も、心も同じではないかと
なら誰も傷つけず、暖かいそれでありたいと
思うし、祈るのです
背伸びをして、ドアノブをくるり。
回して開いた扉の先は、暖かな『陽だまりの部屋』でした。
王様さんに、クロさん、シロさん。
愉快な仲間の皆さんに、初めましてを言いたいけれど。
大きな大きなクッションに、体も手足も投げ出して。みんなみんな夢の中。
これはどうしたものでしょう?
冬原・イロハ(戦場の掃除ねこ・f10327)は、こくりと首を傾げます。
ぽかぽかのお部屋に、大きなクッション。
心までぽかぽかするような、とても素敵な陽だまりの部屋。
その暖かな誘いに負けて、クッションに体を預けてみれば、ふかふかと。
まるで、雲の上にいるようで。
尻尾の先がゆらゆら揺れて、のどがごろごろと鳴りました。
まぶたも段々重たくなって、イロハの意識は夢の国へと――。
「あ、いけません」
イロハは慌てて、身を起こします。
危ない、危ない。
グリモア猟兵頼まれた、『提案』をしなければなりません。
――さぁ、国造りを始めましょう!
●
最初は、おはよう。その次は、初めましてから。
ようやく、猟兵たちと愉快な仲間たちによる、国造りが始まりました。
「真っ暗な世界だというのなら、まず灯りは大事ですよね」
最初にそう提案したのは、秋穂・紗織(木花吐息・f18825)。
この部屋の外は、右も左も真っ暗で。
まずは『灯り』を作らなければ、探索もままならない状態です。
この世界のほとんどが、闇に覆われているというのなら。照らす光はとても大切。
だってこの国の住人が、いつも目にする光ですから。
「どんな灯りが大事かというのも、大切ですね」
それは優しく、暖かく。そして確かな光がいい。
ならば、色は? 形は? 性質は?
様々な『不思議』が『当たり前』として存在する世界だと、そう言われると。選択肢は無限に等しくて。
みんなが唸って悩む中、最初に「はい」と手を上げたのは、イロハでした。
「陽の光を取り込むランタンなんて……できますでしょうか?」
「おひさまニャ?」
部屋に差し込む陽光を、ふかふかの手で指させば、「光を汲めばいいのか!」と、ライオンが目を輝かせ。
そこから先の、愉快な仲間たちの行動はとても早いものでした。
肩にかけたバックから、次々と素材を取り出して。カンカンカンと金槌を鳴らせば、あっという間に手提げランタンの出来上がり。
並んだ5つのランタンは、見た目は普通のランタンで。
けれどもそれを、陽だまりの中へ置いてみれば。ガラスの胴体が、下から徐々に輝いて。
陽だまりの光りを汲める、不思議なランタンの誕生です。
「持ち歩く灯りも大事ですけれど。設置する灯りもできるでしょうか」
暗い国を、もっと明るく。
人々の心まで照らせるような……そう、例えば。
「暗がりの中でこそ仄かな光を放つ、花びらによって作られた燭台とか」
「光る花にゃ?」
紗織の呟きに、クロとシロはカバンをごそごそ……したかと思えば。
へたりと耳を下げました。
「難しそうだにゃあ……」
どうやらライオンや猫たちは、自然物を作る事にはあまり向いてないようです。
そうですか……と、諦めかけたその時。
「できるぞぃ!」
突然聞こえたしわがれた声に、猫たちが振り返ると。
そこに居たのは――。
「花を輝かせたいのじゃろう? わしに任せい!」
金属フレームに縁どられた、ガラスのボディのランタンでした。
ランタンに、手足が生えていて。
髭も生えていて、顔が付いていたのです。
「おぉ、新しい国民だな!」
この国に、初めて生まれたランタンたち。
そして今、ランタンは国中に必要とされているのです。
それならば、灯り職人のランタンが生まれるのも、自然な流れというもの。
……どうしてランタンがおじいさんなのかについては、よく分かりませんけれど。
猫たちが取り出した花に、ランタンじいさんが息を掛ければ、たちまち光が吹き込まれて。
花たちがキラキラと輝きます。
「これを加工すれば、燭台になるぞい」
差し出された花を、手に取って見れば。
黄色い花は、暖かな光を。
青い花は、シャープな光を。
色とりどりの花々は、1つ1つ微妙に光の色が違っていて。
これならば、ガラスの器に入れる事で、ランタンにする事も出来そうです。
「天井にも備えられるでしょうか」
イロハの疑問に、ランタンじいさんは首を傾げます。
「作る事はできるが、材料が足らんな。特に花の明かりの方は、花が沢山ないと作り様がないわい」
「では、花を育てる場所が必要でしょうか」
紗織の呟きに、イロハが思い浮かべたのは、色とりどりの花畑。
ぽかぽかのお日様に、青い空。
花を撫でていく、涼やかな風――。
「では、屋上庭園はいかがでしょう」
花咲く庭園で、日向ぼっこができたなら。きっととっても気持ちがいいはず。
だって陽だまりが、こんなに気持ちいのですから。
イロハの提案に、仲間たちも目を輝かせます。
もしもこの国に屋上が無かったとしても、何も問題はありません。
だって、無ければ作ればいいのですから。
「それと、お池も作りましょう」
お魚さんが来るかもと、言いかけたイロハの言葉に、猫たちの耳がピクンと震えて。
クロさんシロさんの目がキラリ。
「天才にゃ!」
「すぐ屋上を探すニャ!」
ランタンを手に、さぁ探索へ。
張り切る仲間たちの後に、イロハも続きます。
生まれたばかりのこの国には、必要なものは沢山あって。
キッチンや水場を作るお部屋も、探さなくてはなりません。
意気揚々と部屋を出ていく仲間たちに、目を丸くしていた紗織は――。
けれど、くすりと笑みをこぼします。
愉快な仲間たちの賑わいは。
その無邪気な心は、いつも紗織の手をするりと抜けてしまうけれど。
理由は分かっているのです。
紗織の手の方が、心が。
火のように、重さもなく揺れ動いているのですから。
だから、重みのあるものを掴めない。
それでも、手にしたこの光の花のように。
誰も傷つけず、暖かい光であれたなら。
笑い合うこの時に、きっと意味が生まれると。そう信じているのでした――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジノーヴィー・マルス
リヴェンティア(f00299)と
【SPD】
アドリブ歓迎
お。センパイいい事言うね。そうだよ、質の良い睡眠は大事だよ。
そして質の良さを模索する為に取り敢えず寝てみるのも大事。兎に角寝るという事は生きるという事です。おわり。
…ってな訳にもいかねーよな。
センパイはキッチンが欲しいんですね。まぁ、何はなくともその為の資材と工具は絶対必要ですよ。
部屋ん中の、ほら…スキマとかに、工具とかないか探してみますわ。自分の部屋でもスキマ探すと色々出てきますし。
だから、センパイがそんな四つん這いになる事ないですよ(目に毒だから)、スキマは俺が探します。
モノ造りは寝ぼすけ共がやってくれるって言うけど、俺もやりてぇなぁ。
リヴェンティア・モーヴェマーレ
ジノさん(f17484)と一緒に行動デス
アドリブ大歓迎
【WIZ】
良質な睡眠は健康維持にダイジですものネ
『陽だまりの部屋』トカ凄く良いと思うのデス!
でもソですネ…
やはり素敵な国創りにはキッチンが必要だと思いマス
広い台所、綺麗なレンジに素敵なお鍋やフライパン
料理作りがワクワクするような環境…あ、私が欲しいワケじゃないのですヨ!
良い環境で良い食事を作れば、よりよい国造りに繋がると思うのデス
ジノさんはどのようなものが必要だと思いますカ?
そですネ!資材と工具はモノつくりには欠かせないモノでス
失せものを探すのは結構好きなノデ、私もお手伝いしますヨ!
(完全にお宝探しの感覚で四つん這いになって隙間に入って行く
今、この国で唯一明るい部屋は、陽だまりに満ちた部屋でした。
部屋の中央には、クッションが置かれていて。
部屋の隅では、新たに増えた住人であるランタンじいさんが、新しいランタンを鋭意作成中です。
他の住人たちは……どうやら、先に来た猟兵たちと探索に出かけている様子。
「それニしても『陽だまりの部屋』トカ、凄く良いと思うのデス!」
リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)が、そっとクッションに触れてみると。人形であるリヴェンティアの手にも、ふかふかとした柔らかな弾力が返ってきて。
お日様の光に照らされたそれは、ほんのりと暖かいものでした。
このまま体を預ければ、きっと心地よい夢の世界へ行ける事でしょう。
「良質な睡眠は健康維持にダイジですものネ」
「お。センパイいい事言うね」
リヴェンティアからやや遅れて。どこか気怠い足取りで陽だまりの部屋へと入ってきたのは、ジノーヴィー・マルス(ポケットの中は空虚と紙切れ・f17484)。
『元』は付けども、人間であったジノーヴィーに言わせれば。質の良い睡眠は、確かに大事。何せ、人生3分の1は寝て過ごしているのです。
つまり、寝るという事は生きるという事。
この人生の3分の1と言う大きな時間を、いかに質の良いものにするのか。
これから先、増えていくだろう国の住人たちの事を思えば、これほど重要な題目があるでしょうか?
いや、在る筈がないのです。たぶん。きっと。
「そして質の良さを模索する為に、取り敢えず寝てみるのも大事」
そう。ある程度の形になっているこの『陽だまりの部屋』を、より向上させるためには。今の品質について、しっかりと確認する必要があるでしょう。
何とも楽……いや、重要な作業を始めようと、ジノーヴィーはクッションへと近づきます。
けれど。
「しカし、やはり素敵な国創りにはキッチンが必要だと思いマス。さぁ、色々探しにいきまショー」
ランタンじいさんからランタンを受け取り、元気よく陽だまりの部屋を出ていこうとするリヴェンティアに、ジノーヴィーはため息を付きました。
本音を言えば、自分が陽だまりの部屋の検証(という名の昼寝)をしている間に、他の猟兵たちの手によってどんどん国が造られて。
目が覚めた時には、すっかり国が出来上がっているとか、そんな事が起きてくれても、別に良かったのですが。
(……ってな訳にもいかねーよな)
今の所、危険は無さそうとは言っても、センパイをたった1人で探索に送り出す訳にはいきません。
口では怠そうに返事しつつも、行動はきっちりと。
ランタンを手に、センパイの後を追う、コウハイなのでした。
●
暗い廊下を、花のランタンと陽だまりのランタンが照らして。
特におかしな場所も見当たらず、2人はどんどん廊下を進んでいきます。
どうやらこの階層は、客室といった雰囲気で、等間隔に部屋が並んでいるようです。
「センパイはキッチンが欲しいんですね」
そうなると、もっと広い部屋を探すべきかと、ジノーヴィーはきょろきょろと周囲を見渡します。
「そうデスね。折角作るのなら、広い台所がイイですね」
もしかすると、他の階層を探ス方が早いカモしれません、と。
リヴェンティアもまた階段を探しながら、理想のキッチンについて語ります。
良い国とは、そこに住む人たちが元気で健やかな国。
勿論、睡眠はとっても大事だけれど。
それと同じくらい食事だって大事なのです。
折角ならば、料理作り自体も楽しんでもらえるような。
そんな空間が理想です。
見つけた階段を2つ下りた先に、棚や机が煩雑に置かれた広い部屋を見つけて。
リヴェンティアは、理想のキッチンをより具体的にしていきます。
部屋の中をぐるぐると歩きながら、何処に何を設置するのがいいでしょうかと。
食器を直ぐ洗えるように、水場は手前の方に。
他の世界で見た便利な料理器具も、作る事ができればきっと便利なはず。
機能性も、そしてデザインも。細かな道具にだって拘りたい所です。
「綺麗なレンジに、素敵なお鍋やフライパン……」
例えば、食べごろの焼き加減を教えてくれるフライパンとか。
「あ、私が欲しいワケじゃないのですヨ!」
料理も含めて、家事全般は得意ですから、と、念を押しつつ。
「ジノさんはどのようなものが必要だと思いますカ?」
リヴェンティアからの問いに、ジノーヴィーは首を傾げます。
国を造って欲しいと言われはしたものの、ジノーヴィーには特に『これ』と言う案もありません。
もしも自分だったら、どんな場所が欲しいかと考えてみると。
――『美味い空気の中でタバコが吸える場所』と。
ふと、思い浮かびはしたものの。それが必要なのは自分であって、この国には必要無い気がするのです。
「まぁ、何はなくともその為の資材と工具は絶対必要ですよ」
先ほどランタンをくれたじいさんも、「材料が足りんわ」とぼやいていたようですし。
一応、仲間たちのモノづくりを手伝えるように、工具については自前のものを持って来てはいるのですが。これから先、増えていくだろう国の住人の分が足りないのでは、意味がありません。
「そですネ!資材と工具はモノつくりには欠かせないモノでス」
「とりあえずこの部屋、ほら……スキマとかに、工具とかないか探してみますわ」
失くしたと思っていたのもが、何故そんな所から? と思う隙間から出てくる事は、よくある事。
この棚や机が煩雑に置かれた部屋ならば、探してみれば色々と出てくるかもしれません。
「私もお手伝いしますヨ!」
ジノーヴィーが手近な棚を開けようとした、その隣で。リヴェンティアは、いそいそと四つん這いになり、机の下に潜り込んでいきました。
「失せものを探すのは結構好きなノデ」は、いいのですが。
その体勢は非常によろしくありません。
「センパイ、スキマは俺が探します。だから、センパイがそんな四つん這いになる事ないですよ」
だって、センパイと呼んでいるとはいえ、リヴェンティアは年ごろの女の子なのです。
斯様な体勢になられてはどうしたって、ちちとか、しりとか、ふとももとかが、強調されるのです。
恩人ともいうべきセンパイのそれらを凝視するなど、していいはずがないのです。
「そうデスか?」
目を逸らしながらスキマに潜っていくジノーヴィーに首を傾げるリヴェンティアが、スキマを探すなら『エレクトロレギオン』を使えば効率がいい事に気付くのは、もう少し先のお話なのでした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノネ・ェメ
国の城ってゆか、城の国? まずは城の中を一回り。
ホールある? お城で一番大きな広間。皆で一つになれそうな広場。そゆ所を創ってもらえたら嬉しいし、あれば予行練習の時間もとれそう。何のって、お城ときたら、ホールで舞踏会!
例えばだけど。音楽のたえない生活、してみない? どんなジャンルや曲調でも歌いこなしてみせようと思うし、アガれるものから眠れるものまでTPOにも合わせてみせたいと思うからー。
要すると、“毎日を歌い踊って暮らす”をリアルにやってくことで、昨日より難攻不落なお城に毎日強化され続けてくって感じなんだけど。
まだ安全?ぽい。こうして会えた皆と時間の限り、ゆるゆる羽根をのばしてたいな。
コツコツ、と。
暗い廊下に、靴の音が響きます。
それ以外は、何も聞こえなくて。
ふむ……と。ノネ・ェメ(ο・f15208)は、首を傾げました。
(国の城ってゆか、城の国?)
まずは城の中を一回り……と、思っていたけれど。
長い廊下にはどこまでも、暗闇と無音が伸び広がって。中々終わりが見えません。
「違う旅人さんとも歩いたけど、上にも下にも、まだまだ階層があったにゃ」
「うむ。中々でかいぞ、この国は」
共に歩くライオンと、クロとシロは、得意げにノネへと話しかけてきます。
今はまだ、静かな国だけれど。
愉快な仲間たちの声は、賑やかに廊下へと響き渡って。
それは音階となって、ノネの耳へと響けば。
まだ何もない国に、一体何を作ろうか。
その問いに、1つの答えが降ってきたのでした。
「ホールある? お城で一番大きな広間」
「大きな部屋ニャ?」
お城と言えば、広いホール。
出来れば国中の人たちが集まれるような、広い場所がいい。
「上の方にあったかにゃ?」
「下じゃなかったかニャ?」
「2つ階段を上った所だった気がするぞ」
下かにゃ? 上にゃ。 やっぱり上だ、と。
賑やかな言葉の掛け合いは、まるで歌のように。
音階を渡って。リズムを刻んで。ホールを目指して走ります。
この国に、『音楽』が生まれてくる予感と共に。
ノネも仲間たちの後へ続いて、走り出しました。
●
「広い部屋、あったニャ!」
若干迷子になりかけながらも、ようやく辿り着いた広い部屋は、まだ暗く。
手持ちのランタンを掲げて、1歩2歩。中へと進んでみるけれど、部屋の奥は中々見えない程に、広い部屋で。
「うん。これだけ広ければ、予行練習の時間もとれそう」
「予行練習?」
満足げに頷くノネの発言に、何の予行練習かと、仲間たちは首を傾げます。
「何のって、お城ときたら、ホールで舞踏会!」
愉快な仲間たちの……特に自称王様ライオンの目が、キラリと輝きました。
そう。お城と言えば舞踏会。
ピカピカの床に、綺麗な柱。そして大きなシャンデリア!
けれど、何よりも欠かせないものは、素敵な『音楽』。
「例えばだけど。音楽のたえない生活、してみない?」
目が覚めて、高まっていく心臓の音に奏でる、おはようの歌から。
夢の国へと導く、子守歌まで。
あらゆる音は、音楽は、無限。
それを汲み上げる手伝いならば、ノネの得意とする所だから。
「要すると、“毎日を歌い踊って暮らす”をリアルにやってくことで、昨日より難攻不落なお城に毎日強化され続けてくって感じなんだけど……」
できそうかな? と、たずねるノネに。仲間たちは顔を見合わせました。
「毎日強くするのは難しいかもしれニャいけど、音を動力にする仕掛けとかなら、出来そうニャ!」
「音で光の色が変わるシャンデリアとかかにゃ?」
「よし、作るものリストに書き留めておくぞ!」
賑やかな声が、広い部屋の中に響いていきます。
まだまだ、足りないものは沢山あって。
物も、住人も少ない国だけれど。
ようやく、始まりの一音が奏でられたようでした。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 日常
『秘密基地を作ろう』
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POW : 家具を運んできて居心地よくしよう
SPD : おいしい食べ物を用意
WIZ : 基地が見つからないようにカモフラージュする
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●自称王様いわく「第1回、国民会議in陽だまりの部屋」
猟兵たちの数々の提案に、ようやくこの国の方向性が見えてきたようです。
まずは『灯り』について。
いつの間にか増えていた、新たな住人『ランタンじいさん』が、この国の灯り職人を務めてくれることになりました。
生み出された陽だまりと風花のランタンは、『陽だまりの部屋』を中心とした周辺の廊下に設置されて。
順次、明るいエリアを増やしていく予定です。
なお、部屋の天井に設置する光源については、「やっつけ仕事はせんわい!」と素材に拘るランタンじいさんの言により、必要な素材が揃うまで一旦保留との事でした。
それ以外の資材や工具が足りない問題については、探索に出てくれた猟兵たちのおかげで、当面は何とかなりそうで。
複数人から提案があった『キッチン』は、最優先で作っていこうと決まりました。
他にも、『屋上庭園』と『ホール』については、作る予定リストにしっかり記載済み。
どちらも、作る場所は決まっているので、人手と時間が確保できれば、すぐ施工に入る事が出来そうです。
……なお、屋上庭園に一緒に作るはずの『池』については、クロとシロの暴走により、既に完成済みとの事。
「今夜は焼き魚にゃ!」と、ハイタッチしていたので、もしかするとキッチンも今日中に完成してしまうかもしれません。
『歌や踊りによって毎日強化され続けてく城』というのは、流石に難しいとの事でしたが、シロが試しに、風花のランタンを改造してみたところ、歌に反応して色が変わる効果を付ける事に成功したため、『歌ったり踊ったりしている間、強化される』と言った仕掛けなら、作る事ができるだろうという結論でした。
勿論まだまだ、足りないものはあるけれど、これならば。
猟兵たちから与えられたイメージを元に、国の仲間たちも同じ方向を向いて、国を造って行く事ができそうです。
そこはきっと、お日様の光は暖かく、花々が煌めいて。
そこかしこに、音楽の流れる城の国。
けれど、まだ、大きな問題が1つ残っているのでした。
「そう、オウガが来た時にどうするかという事だ!」
自称王様は、声を張り上げます。
オウガは、いつ現れるか分かりません。
折角ここまで作った国も、オウガが現れては全てを台無しにされてしまうのです。
その前に、出来る対策や住人を守る為の仕掛けが必要になるでしょう。
「また知恵を貸して欲しいにゃ」
丁寧にお願いするシロに対して、探索やモノづくりで疲れたのか、クロはぽふんとクッションに倒れ伏しました。
「まぁとりあえず、クッションに横になりつつ考えるニャ」
こら、と。自称王様は、呆れ顔でクロを窘めます。
けれどこれは、まだ椅子1つ置かれていない、陽だまりの部屋での国民会議。
立ったままで話をするのも、少し大変です。
もしかすると、ぽかぽかクッションでくつろいでみたら、いい案が浮かぶかもしれません。
秋穂・紗織
ちゃんと座って話し合える場所も大事ですけれど
まずは目の前の大事なことを、ですね
いずれ来るオウガに対策の一つもないのでは、とても大変
ここまで作ったものを、暴れられ壊されるのは嫌ですしね
かといって見た目が怖いものも嫌ですから、来るのを阻む仕掛け
例えば、扉を部屋や通路ごとに沢山作ってしまうのはどうでしょうか?
迷宮の中の扉のように
合い言葉を言わないと、通れない、不思議で頑丈なもの
鍵を忘れても、合い言葉を知る国民とその友人たちならば大丈夫って
後は壁、扉の強度を上げたり
風花のランタンも、無理に壊すと仕込んだ雌しべなどから、激しく発光と点滅して目眩ましになるように改良、だとか
此処で暴れる子はダメなのですよと
ぽかぽかのクッションに、ごろりと転がるのはネコのクロ。
黒く艶やかなクロの毛並みが、お日様の光に細やかに。キラキラと輝いて。
一緒に寝転がる猟兵が、1人。また1人と、増えていきます。
はてさて、これは。
きちんと『会議』になるのでしょうか。
『話し合いの部屋』を、作る予定リストに入れてもらえるよう、話してみる必要があるかもしれません。
少し心配になりつつも、窓から差し込む光に、紗織はわずかに目を細めて。
光を掬うように陽光の中へと手を差し入れると、じんわりと暖かくなっていきます。
目の前の光景が、この国の『日常』で。
この暖かさが、この国の『ぬくもり』と呼べるものならば。
(まずは目の前の大事なことを、ですね)
いずれ来るオウガに対策の一つもないのでは、とても大変です。
しかも遠からず現れると、そう聞いているのですから。しっかりと話し合いをしなければ。
……けれど、出来れば。
この穏やかな空気を、壊してしまわないように。
国の仲間たちの希望に満ちた表情が、強張ってしまわないように。
住人たちの身を守るのは、勿論の事。
風花が揺れて輝き、国を明るく照らしている風景も、出来るだけ崩したくはないと。そんな気持ちを覚えるのでした。
「例えば、扉を部屋や通路ごとに沢山作ってしまうのはどうでしょうか?」
「扉にゃ?」
首を傾げるシロに、紗織は詳しく説明します。
それは、合い言葉を言わないと通れない、不思議で頑丈な扉。
もしもオウガに追われたとしても、その扉にするりと逃げ込めば、オウガは追ってこられません。
「なるほどニャ。合言葉も、歌とおんなじだから、いけそうニャ!」
それなら……と。
紗織の提案から、他の猟兵たちの言葉が次々に続いて。
まずは避難用の隠し部屋と、オウガを誘い込む目くらましの部屋を、試しに作ってみる事になりました。
勿論、隠し部屋の扉は、合言葉を言わなければ開かない扉です。
「しかし、逃げる時間を稼ぐのも大事ですよねぇ」
ぼやくように、口調は気だるげに。しかし内容はしっかりとした焦茶髪の猟兵の言葉に、確かにとライオンが頷きます。
もしもオウガが迫っていて、合言葉を聞かれてしまうかもしれない状況であったなら。
無事に逃げるのは、難しいかもしれません。
「では風花のランタンも、激しく発光と点滅して目眩ましになるように改良、だとか」
そんな風には出来ないでしょうか、と。
紗織が提案してみれば、みんなの視線は自然と、ランタンじいさんの方へと向かいます。
これから、陽だまりのランタンと共に国中に設置されるだろう、風花のランタン。
それに、オウガを驚かせるような仕掛けができれば、国の何処でオウガに襲われようとも、対処ができるはずです。
「そりゃ、光りの強いも弱いも、わしにかかればお手のもんじゃ」
では、具体的には? どのように使えるものがいいでしょう。
オウガに襲われている状況ですから、あまり難しい手順ではいけません。
「でしたら、無理に壊されてしまった時に……」
――ふむふむふむ。
ランタンじいさんとの、細かな打ち合わせを経て。
試作してみたランタンは、しかし今まで作った風花のランタンと、見た目は変わりありません。
「これ、本当にピカピカするニャ?」
「試してみるか」
ライオンがランタンへと手を伸ばすと、「ばっかもん!」とランタンじいさんが声を上げて。
「わしのランタンを壊すんじゃない」と「試してみないと」の押し問答が始まってしまいました。
猟兵たちが宥めてみるものの、猫たちが「でもピカピカするの見てみたいにゃ」等と横槍を入れるものですから、中々収まらずに。
陽だまりの部屋には、しばし喧騒が響くのでした。
大成功
🔵🔵🔵
冬原・イロハ
陽だまりの部屋はクッションオンリー希望ですねぇ
ごろごろできますもの
キッチンはすぐにできそうとのことですが、焼き魚、楽しみですね(にこり
オウガが通ったり誘いこめそうな部屋に、ピカピカ目くらましの部屋を作ってみるのはどうでしょうか
勿論、誰かが踊って歌わないといけませんけどね
――もしもの時は、がんばりますと挙手
光の明暗を利用しての隠し部屋も作れそうな気もします
忍者屋敷みたいな
他の猟兵さんの提案も、クッションに座って聞いたり考えます
SPD
まあ考え事をしていると、疲れてきますので、キッチンが出来ていたらお茶の用意を
無かったら、ポット持参でお茶か何か飲み物を
魚の形のクッキーも、持ち込みますね
連携・アド歓迎
ノネ・ェメ
zz...ふゃ?
歌ってみたり踊ってみたり、音楽に反応する仕掛け作りを手伝ってみたり、勧められるままくつろいでみたら一日が終ってたり。やば、充実。
ホールを見つけた事は、避難場所を見つけた事に等しいんじゃないかな。一つ所に固まってた方がいい、そんな時。あのホールだったら、全国民カバー出来るかも。
じゃ~こゆのは? 避難民だって避難するだけじゃいられないはず。避難民の支援魔法やバフ・デバフ的な効果を、ホールを中心に城の内外へ満たせるような仕組み、とか。ムズめ?
提案の度難しいと言われても、さしては凹まずに。あくまで夢見がち?な案に拘る構え。
何せ、夢みたいな所だし。夢みたいな事してみたくって。
部屋に置かれたクッションからは、寝息が1つ。2つ。
複数人でごろりと寝られる程の大きなクッションは、イロハには少し大きくて。
背伸びをして、その上を覗いてみると、ネコのクロと目があいました。
「オウガの対策……。たいさ、く……ぅ……」
けれどもそのクロも、まぶたが重たい様子で。
このままでは眠ってしまいそうです。
「起きてください」
ふかふかの手で、クロを揺さぶって。
「起きて欲しいにゃー!」
シロも一緒に、ノネの体をゆさゆさします。
「……ふゃ?」
新しい仕掛けを一緒に考えたり、作ったり。
作った仕掛けの試しに、みんなで歌ったり、踊ったり。
跳ね馬のように、音符の飛び跳ねる音楽を聞いているような。
少しせわしなくも濃密な時間は、あっという間に過ぎていきました。
次は陽だまりの部屋で、会議をするのだと言われて。
勧められるままに、クッションへ体を沈めてみれば。電子の海に刻まれた、音楽そのものの体にも、ぬくもりと呼べるものが伝わってきて。
どうやらいつの間にか、ノネの体はおやすみの音を奏でていたようです。
意図しない意識の空白に、やば……と、思いはするものの。
しかしこれは、充実した時間を過ごせた事と、そしてこの陽だまりの優しさのおかげ。
目まぐるしい程に、様々な色とリズムを見せてくれた、この1日のように。
始まったばかりのこの国は、これから先、何度でも変調しながら、沢山の音を刻んでいくことでしょう。
なら、それを壊させないために。
ゆっくりと肺の奥まで空気を吸い込めば、ノネの体は徐々にリズムを上げて。
思考はすっきりと冴えていきます。
――さぁ、会議を始めましょう。
●
「例えば、扉を部屋や通路ごとに沢山作ってしまうのはどうでしょうか?」
それは、合い言葉を言わないと通れない、不思議で頑丈な扉なのだと、穏やかな茶色の瞳の猟兵が、最初の提案をして。
イロハは想像してみます。
長い廊下には、今も沢山の扉があるけれど。それがもっと沢山になったなら?
きっとオウガもどれを開けようか、迷うはずです。
適当な扉を開けて、住人を探そうとするかもしれません。
それならば。
「オウガが通ったり誘いこめそうな部屋に、ピカピカ目くらましの部屋を作ってみるのはどうでしょうか」
「なるほど。罠を仕掛けるのだな!」
オウガを足止めする事ができれば、住人たちが逃げる時間を作る事ができるでしょう。
そして住人たちに、何処に逃げてもらうのかも大切です。
「一つ所に固まってた方がいい、そんな時。あのホールだったら、全国民カバー出来るかも」
そう提案したのは、ノネ。
オウガに襲われているという状況で、もしも1人ぼっちになってしまったら。
きっと歌にも踊りにも、力が入らなくなってしまうでしょう。
けれど、共に仲間たちがいてくれたならば。
心に力が湧いて、それは歌や踊りになって。
仲間たちと共に考えて、作り上げた様々な仕掛けが、住人たちを守ってくれるはず。
それに仲間たちとの探索で見つけたあの場所ならば、国中の人が集まる事も出来そうな気がします。
「もしもの時は、がんばります」
歌や踊りが力になって、みんなを守ってくれるなら、と。
小さな肉球の手を挙げるイロハに、その時は一緒に歌おうと、ノネも笑みを返します。
「避難場所なら、光の明暗を利用しての隠し部屋も作れそうな気もします」
知っている者しか通る事ができない通路や、見つけられない部屋なんて。なんだか忍者屋敷みたいと、イロハが呟けば。
聞き慣れない言葉に、愉快な仲間たちは首を傾げました。
「忍者屋敷というのは……」
壁に貼ってあるポスターをめくると、実はそこに通路があったり。
宝箱を開けたら、落とし穴があったりしますと、イロハが説明すると。
イロハの説明を聞けば聞く程、「作るのが楽しみになってきたニャ」と、何故だかクロの顔が意地悪そうな、しかし楽しそうな顔になっていくのでした。
「しかし、確かに。避難した後、オウガがすぐ帰ってくれるとは限らんからな」
ペンを手に、イロハから聞いた事をメモしていたライオンが、唸ります。
「じゃ~こゆのは? 避難民の支援魔法やバフ・デバフ的な効果を、ホールを中心に城の内外へ満たせるような仕組み、とか」
ムズめ? と、ノネが首を傾げれば。
「むむむ」と、ネコたちも同じように首を傾げて。どうすれば実現できるか、あーでもない、こうでもないと相談が始まったようです。
「やっぱりムズめなのかな」
呟いた言葉に、見上げてきたイロハと目が合って。ノネは悪戯っ子のように目を細めました。
だってこの国は、まだ完成されていなくて。沢山の可能性に満ちていて。
これから先、沢山の見た事もない何かが、音が、生まれてくるだろう夢のような所だから。
「だから、夢みたいな事してみたくって」
ノネがくすりと笑えば、イロハはこくこくと頷きました。
「きっと、大丈夫です」
愉快な仲間たちも、あんなにも真剣に考えてくれているのですから。
もしも今は難しかったとしても、きっといつか実現する気がするのです。
けれど、ずっと考え続けるのは、誰でも疲れてしまいます。
……疲れた時に、欲しいものと言えば?
それはやっぱり、甘いものと美味しいお茶です。
イロハが取り出したのは、青い花のあしらわれたティーポット。
何せ、今晩のご飯は焼き魚との事ですから。火を使えるくらいには、キッチンも出来上がっているはずです。
(あ、ゆっくりお茶を楽しめるお部屋というのも、素敵かもしれません)
もちろん、この陽だまりの部屋も、お茶を楽しむのに素敵な部屋だと思うのですが。
(でも、陽だまりの部屋はクッションオンリー希望ですねぇ)
何も考えずに、ただ陽だまりの暖かさに身を任せられるこの素朴さが、一番素敵な気がするイロハなのでした。
――しばしの後、陽だまりの部屋には、お茶のいい香りが広がって。
お魚型のクッキーに、遠慮なく手を伸ばしていたネコたちのまぶたが、また重たくなってしまったのは、また別のお話。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジノーヴィー・マルス
リヴェンティア(f00299)と
【WIZ】
なるほどねぇ。敵襲に備えないとか。にしてもセンパイこのクッション寝心地良いよ。(クッションを枕にしながら)
とりあえずさぁ、予定を先延ばしにさえ出来りゃ、オウガ対策…やれるだけはやってみますよ。
というわけで、さてと(起き上がる)
まぁとりあえず、【罠作ってみる】としますかね。
言っても、まぁ……そんな精巧な罠は作れねぇなぁ。ほら、資材が心配ですし。
でも、何はなくとも入口が肝心ですよねぇ。
ほら、門の上に有刺鉄線張るとかそんな感じ。これで登るのを躊躇わせるんです。刺さって痛ぇから。
材料も、太めの針金で作れますよ。
センパイや猫達と一緒に作りましょう。
リヴェンティア・モーヴェマーレ
ジノさん(f17484)と一緒に行動デス
アドリブ大歓迎
【WIZ】
キッチンが作って貰えるようになったのはとっても嬉しい気持ち!(ねー!と動物達とニコニコ)
次はどんなものが作れるでしょうカ?
え?このクッションですカ?どれどれ…(自分もクッションを枕にしてみる)…(3秒)……(スヤァ)(そして動物達に叩き起こされる)
…おっと…いけませんにぇ(涎を拭く)
お国の為に働きませんト…
罠ですカ?穴とか掘るのデス…?
「ゆーしてっせん」?
この針金で作るノですカ?
にゃんこさん達と一緒にジノさんに教えて貰いながら罠づくりをしまス
これで万が一見つかっても侵入しずらくなると言う事ですネ!
ジノさん、素晴らしいデス!
アリスラビリンスという世界で、オウガという存在は決して無視できるものではありません。
彼らオウガに襲われた不思議の国は、無残に歪められ『美しい地獄』に変えられてしまうといいます。
(なるほどねぇ。敵襲に備えないとか)
仲間たちと共に、資材を集めたり、キッチンづくりを手伝ったり。
ほどよく疲労した体を預ければ、クッションが柔らかく沈んで。ジノーヴィーの体を優しく受け止めてくれました。
こうして自分も手を貸して、尊い労働に励んで。
せっかく形になり始めたこの国が、ある日突然やって来たオウガとやらに台無しにされてしまうというのは、気持ちのいい話ではありません。
ならば対策は、しっかりとしておく必要があるでしょう。
それはそれとして……。
「にしてもセンパイ、このクッション寝心地良いよ」
柔らかなクッションは、陽光を受けて適度に暖かく。
しかし手触りはさらさらで、暑苦しさを感じる事もありません。
「え?このクッションですカ?」
どれどれ……と。
リヴェンティアもまた、クッションに身を預ければ。
柔らかなブランケットに包まれているような、陽光の温もりとクッションの手触りに、瞬く間に夢の国へと導かれていきました。
その間、わずか3秒。
リヴェンティアの寝つきの良さを抜きにしても、恐るべきは、この陽だまりとクッションです。
まさにこの部屋は、『国造りをダメにする部屋』なのでした。
「起きてくれー」
会議が進まないぞ、と。ライオンが慌てて、リヴェンティアを起こします。
向こう側でも、同じ青い髪をもつ猟兵が、シロに起こされていて。
「……おっと……いけませんにぇ」
寝ぼけ眼をこすり、口元を拭って。
皺の寄った衣服を整え、こほん……と、咳ばらいを1つ。
国造りはまだまだ、始まったばかりで、作るものは一杯あるのです。
(次はどんなものが作れるでしょうカ?)
みんなで、何が必要かわいわい相談をして。
そうやって話したものが、実際の形になっていくのは、何だかワクワクして。
「キッチンが作って貰えるようになったのはとっても嬉しい気持ち!」
「そうにゃ!」
「これでお魚食べ放題ニャ」
リズムに乗った掛け合いと共に、「ねー!」と、ネコたちとハイタッチしつつ。
その作ったものたちを、オウガに壊されないために。
「お国の為に働きませんト……」
まずは、この陽だまりとクッションがもたらす睡魔との戦いのために、リヴェンティアが呼び出した小動物さんたちが、クッションの上に放たれて。
流石に、可愛い動物さんたちを押し退けてお昼寝しようとするものは、現れなかったとか。なんとか。
●
ようやく会議の時間が始まりました。
最初に上がってきた意見は、オウガを惑わせる方法や、避難する場所の事。
いずれもとても大切な事で、手を抜くわけにはいかないけれど。
「しかし、逃げる時間を稼ぐのも大事ですよねぇ」
ぼやくように、口調は気だるげに。
ジノーヴィーが呟いた提案には、2つの意味がありました。
1つは、不意打ちでオウガに遭遇してしまった時に、避難場所まで逃げ切れるように対策をする事。
――これは、ランタンを改良してはどうかという、茶色の瞳をした猟兵の案が採用される事になりました。
けれど、もう1つの意味。
グリモア猟兵によって予知されている、オウガの出現に対してどう時間を稼ぐのかについては、まだ白紙のままです。
これまで提案された内容は、どれも素晴らしいものですが、それらを作り上げるのにはどうしても時間がかかります。
「とりあえずさぁ、予定を先延ばしにさえ出来りゃ……」
なんとかなると、言いかけて。
部屋中の、みんなの視線が自分の方に向いている事に、ジノーヴィーは気付きます。
気怠さを装う手前、こういった期待に満ちた目線を向けられるのは、少しばかり落ち着きません。
「……やれるだけはやってみますよ」
その視線から逃れるように、「さてと」と起き上がって。
ジノーヴィーは、肩を回して、体をほぐします。
「まぁとりあえず、罠作ってみるとしますかね」
「罠ですカ?穴とか掘るのデス……?」
コノ床けっこう硬そうデスよと、首を傾げるリヴェンティアに、いやいやと手を振って。
「まぁ……そんな精巧な罠は作れねぇなぁ。ほら、資材が心配ですし」
とりあえずは、予知されたオウガが簡単には侵攻できないように。
オウガが『必ず通る場所』に細工をしたいのだと、ジノーヴィーは説明します。
そう、つまりは『入口』に。
「ほら、門の上に有刺鉄線張るとかそんな感じ」
「ゆーしてっせん?」
聞き慣れない単語に、リヴェンティアはまたも首を傾げます。
まぁ、作りながら説明しますよと、ジノーヴィーは陽だまりの部屋を出ようとしますが、はたと気付きました。
普通の城ならば、入り口とは『城門』を指すはずですが。この城の国には、城門がありません。
というか、城の外にでるための扉は、結局探索でも見つからなかったのです。
では、この国の入り口とは……?
「おれたちが通ってきた、魔法のウサギ穴だニャ!」
そこに罠を作るなら案内するニャー、と。
ネコのクロが、元気よくジノーヴィーを追い抜いて陽だまりの部屋を出ていきます。
「それで万が一見つかっても侵入しずらくなると言う事ですネ! ジノさん、素晴らしいデス!」
では早速その、ゆーしてっせんヲ作りに行きまショウ、と。
続いてリヴェンティアが張り切って、陽だまりの部屋を飛び出します。
……結局、言い出しっぺのジノーヴィーが一番最後となりました。
実はユーベルコードを使えば、ジノーヴィー1人でも効率よく罠を作れてしまうのですが。
張り切っているセンパイとクロを前にして、それをするのは野暮というものでしょう。
そしてこの後、魔法のウサギ穴の周辺では――。
――この針金で作るノですカ?
――チクチクニャ!
――……怪我しないよう気を付けてくださいよ。
――ジノさん、服に! 服ニ、引っかかりました!!
――絡まったニャー!!
――……とりあえず、動かないでください。
賑やかな声が、しばらく響き渡っていたのでした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『ロン』
|
POW : 紺碧の稲光
【機械がショートするほどの電撃】を給仕している間、戦場にいる機械がショートするほどの電撃を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD : 悪戯好きの怪物
【相手の武器を奪い取る】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
WIZ : Are You Ready?
自身が【カッコよさや興味】を感じると、レベル×1体の【玩具の軍隊】が召喚される。玩具の軍隊はカッコよさや興味を与えた対象を追跡し、攻撃する。
イラスト:彩
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「宇冠・由」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「エレク。ここに……いる、の?」
聞き慣れない声に、罠を作っていた青い髪のミレナリィドールが顔を上げると……そこには、手がありました。
魔法のウサギ穴から伸びて来た手は、ぬいぐるみのような可愛らしいもので。
作った『ゆーしてっせん』で隔てられていなければ、思わず握手をしていたかもしれません。
けれどウサギ穴から、肩が出て。体が出て。頭が出てくると、それは。
「オ、オウガだニャー!!」
クロが叫び声を上げます。
ネコのぬいぐるみのような姿のそれは、しかし纏う雰囲気が明らかに歪で。
紛れもなく、オウガなのでした。
ついに、予知されていたオウガの襲撃が始まったのです。
「ここハ、一旦退きまショウ!」
「りょーかい、センパイ」
このまま戦うのは不利だと、猟兵たちはクロを抱えて撤退します。
とにかく、仲間たちがバラバラのままでは不利です。
何処かに集合する必要があるでしょう。
「ホール!こういう時は、ホールに集まるってさっきみんなで話したニャ!」
確かに、戦闘になるかもしれない事を考えれば、『陽だまりの部屋』は狭すぎます。
ですが『ホール』ならば、その心配もないでしょう。
猟兵たちの呼びかけにより、現在この国にいる者たちは、全員ホールに集まりました。
●
「こんなに早くオウガが来るなんて……どうするにゃ」
「おおおおお落ち着け!ここに来るまでに出来る事をするんだ」
試作した目くらましの部屋や罠によって、少しだけ時間を稼ぐ事ができています。
その間に愉快な仲間たちは、防衛の為に2つのものを作りました。
1つは、試作のドアを利用した『歌や踊りによって強度が上がるバリケード』。
そしてもう1つは、『破壊されると激しく光るランタン』です。
「このバリケードに隠れてオウガをやりすごすんだ。もしもダメだったら……このランタンを使って逃げる。いいな?」
ライオンは、猟兵たちも含めて、全員で隠れるように言いました。
国民を守らねばと使命に燃えるライオンは、知らないのです。猟兵たちには、オウガと戦う力がある事を。
ホールは探索の時に設置したランタンによって、十分な明るさがあります。
光源の心配はないでしょう。
そしてこの『バリケード』と『ランタン』を上手く利用できれば、愉快な仲間たちを守りながらでも、勝機は十分あるはずです。
――ドンドンドン。
ホールのドアを激しく叩く音が聞こえます。
この国を守る初めての防衛戦が、始まる音でした。
冬原・イロハ
王様さん、優しいですね
大丈夫ですよ、私たち猟兵は戦うちからがあるのです
これから先、また、オウガがやってくる日があるかもしれません
今日のことを国作りの役に立ててくださいませ
UCを展開しつつ弦を張った竪琴の武器ドンガッキを奏で
上手ではないですが
曲調は軽快にポロロンロン
皆さんの声を拾い、一緒に歌って、バリケード強化できればと
初めての『陽だまり』から、少しずつ明るい場所の増えていった、みなさんの新しいふるさとです
時にはぽかぽかお昼寝しながら、時には暗い所にランタンをかざし、皆さんのこころがいつもぽかぽか暖かい、誰かの陽だまりとなれるこの国を護りましょう
敵には武器で殴り吹き飛ばし
アドリブ連携歓迎
ノネ・ェメ
ノネ――わたしは勿論、歌います。UCでそれっぽい見た目に自身もその都度七変化させながら、1曲ごとにいろんな歌を。歌うわたしには武器とかないし? 歌が武器だとかって言われるならま、まぁそうかもしれないけど。てゆかそれ歌を評価してくれてない? ちょっと嬉しいんだけど……コホン。
サプラィフォンが奪われるなら、匣鳴で歌い。匣鳴まで奪われたとして、べつにふつうに歌うので。ホールで歌うような人たちは、マイクなんて持たないんだから。わたしがそのぶん響きを増やせばいいだけ!(地形の利用)
玩具の軍隊に襲われても、目とそれ以上に視える聞き耳でダンスするように見切り回避し、踊りの面でもバリケード強化に貢献を。
秋穂・紗織
さてさて、いよいよ暴れるオウガが訪れましたね
折角に作ったこの国
その道具のひとつひとつ
とても大事にしたいものです
隠れるようにと言われても、私としては壊される前に迎え撃ちたいですけれど
「ライオンの王様の優しさを無碍にしないようにと」
けれど、背に守る彼らに傷ひとつつけさせないように
相手が訪れれば、ダッシュ+先制攻撃で一気に近づき、早業でまずは擦れ違い様に一閃
注意を引き、私の武器へと興味を持たせるようにしつつ
その上でランタンを背にするよう立ち回り、天峰白雪の鞘で私の背後にあるランタンを破壊
視界が眩しさで鈍った処へ、ユーベルコードを放ちます
廻雪の袖と詠うが如く
その傷つける力を、舞う間だけでも封じましょう
フィロメーラ・アステール
「なにやら歌声が聴こえた!」
……気がする!
建国記念のお祭り的なやつ?
えっ違う?
なんだか大変そうだな、応援するぜ!
【生まれいずる光へ】を発動だー!
歌に合わせて【空中浮遊】しながらの【ダンス】ステップで、光の粒子をふりまく!
これでバリケード強化しつつ仲間達もパワーアップ!
具体的には【オーラ防御】の護りや【電撃耐性】の加護を与えたり、【グラップル】力を高め武器をキープできそうにする!
……そりゃグリップ? に、似たようなモンさ。
【パフォーマンス】で敵の目を惹きつけたら、軍隊と追いかけっこだな!
【空中戦】テクでかわしたり【敵を盾にする】動きをしたりする!
みんなが逃げるなり戦うなりするための隙を作るぞ!
ジノーヴィー・マルス
リヴェンティア(f00299)と。
【SPD】
さぁて王様よ。実のところ俺らはこっからが本番なのさ。
あの妙ちきりんな奴を倒すってのがね。
それに俺、作ったモンを勝手にブチ壊されんの、嫌いだからよ。
さ、行きますよセンパイ。国を荒らす不届きものを退治しましょう。
ここは取り回しのいいMcManusを使う。
兎に角、こっちの得物を盗まれんのだけは避けたいし、【第六感】【見切り】をフル活用して攻撃を避けよう。
でももし盗まれちまったら「ちょっと張り切ってみる」
その上で【ダッシュ】して近づいて、【盗み】で取り返すとするか。
リヴェンティア・モーヴェマーレ
ジノさん(f17484)と一緒に行動デス
アドリブ大歓迎
【WIZ】
はい!ジノさん、頑張りましょウ!
折角作った皆さんの大切な国を壊させるワケにはいきません!
バリケードを主軸に[拠点防御]
[オーラ防御]でコーティングして守りを厚くしまス
ジノさん直伝のバリケードはそう簡単には突破出来ないですヨ?
大ジョブです!皆さんは私達が全力で守りマス!
なのデ、もしよければ私達が少しでも足場が見えやす様にランタンで照らしていてくれると嬉しい気持ち!
UCを発動し、機械兵器さん達を召喚
仲間に当たらないように操作しつつ、数の暴力を撃ち落としていきマス
これでジノさんが少しでも戦い易くなれば嬉しい気持ち
扉を激しく叩く音が聞こえます。
もうすぐこの扉を壊して、オウガが入ってくる事でしょう。
全員で隠れると、ライオンはそう言いました。
けれど、紗織の心は逸ります。
折角作った、お城の国。
作ったどの部屋にも、道具の1つ1つにも。猟兵たちや愉快な仲間たちの、色々な想いが込められているのです。
今まさに、オウガによって壊されようとしている、あの扉にだって――。
手間と暇を掛けて、心を込めて作ったその時間や想いさえ、共に壊されてしまうというのなら。今すぐあの扉を開いて、こちらから迎え討ちに行きたいけれど。
「全員で隠れるんだ」と、そう言った。
言ってくれた、ライオンの優しさもまた、とても大切なものに思えて。
それを無碍にしたくはありません。
この気持ちを、どう伝えたらいいのでしょうか。
紗織が言葉を考えていると、先に声を発したのはジノーヴィーでした。
「さぁて王様よ。実のところ俺らはこっからが本番なのさ」
グリモア猟兵には、国造りを手伝ってきて欲しいと、そう言われても。ジノーヴィーたちは『猟兵』なのです。
世界の脅威と戦う事こそが、『猟兵』なのですから。
今まさに、あの扉を破ろうとしているもの――あの妙ちきりんな奴を倒す事こそ、今、猟兵としてするべきお仕事なのです。
バリケードから出て、扉の前へと向かうジノーヴィーに、ライオンは慌てたように声を上げます。
「何しているんだ、オウガはすごく強いんだぞ!」
「大丈夫ですよ、私たち猟兵は戦うちからがあるのです」
イロハもまた、弦を張り直した竪琴を手に、バリケードから出て行きます。
国のみんなの事も、そして猟兵であるイロハたちの事も。
心配して、守ろうとしてくれているライオンの言動は、確かに『王様』に相応しいもので。
「これから先、また、オウガがやってくる日があるかもしれません」
その時に、例え猟兵たちが居なかったとしても、この国の暖かな優しさがオウガに壊されてしまわないように。
ポーン、ポーンと弦の調子を確かめながら、イロハはライオンに言いました。
「今日のことを国作りの役に立ててくださいませ」
――ドンッ、ドンッ、ドンッ。
打撃音が激しくなって、扉がメキメキと悲鳴を上げています。
木目に沿って、ヒビが広がって。
愉快な仲間たちが一生懸命に作った扉が、壊されようとしているのです。
「それに俺、作ったモンを勝手にブチ壊されんの、嫌いだからよ」
普段は少し眠たそうなジノーヴィーの目が、少し厳しい光を帯びて細められて。
その見つめる先、ついに破壊されてしまった扉から、オウガが現れました。
「さ、行きますよセンパイ。国を荒らす不届きものを退治しましょう」
「はい!ジノさん、頑張りましょウ!」
詠唱を紡ぐ銃を手にしたジノーヴィーの横へと、リヴェンティアも並び立ちます。
「折角作った皆さんの大切な国を壊させるワケにはいきません!」
愉快な仲間たちも、そしてみんなで作り上げたモノも。
これ以上、傷付けさせない。壊させないと、強い決意を胸に。
猟兵たちの戦いが始まりました。
●
「エレク……ここにも、いないの?」
現れたオウガは、立ちはだかる猟兵たちを見回して、肩を落とします。
どうやら、誰かを探しているようですが、『エレク』という名前には、誰も覚えがありません。
「この国に、そんな名前の者はいない!」
だから帰ってくれと、ライオンとネコたちが騒ぎます。
けれど、オウガは真っ赤な口を開けて、にやりと笑いました。
「なら、ここも要らないや」
エレクの居ない国ならば、全部全部壊してしまおう、と。
攻撃を仕掛けようと言うのか、手を振り上げたオウガに向かって、いの一番に斬りこんだのは紗織です。
衣を翻して静かに、速く。オウガの真横へと飛び込んで。
しかし足を止めることなく、駆け抜け。振り払った一閃に、ちりん――と。
白刃の軌跡をなぞる結び飾りが、高く澄んだ鈴の音を響かせました。
美しい開戦の音に、オウガの耳もピクリと動きます。
「そっか、ぼくと遊んでくれるんだね」
この国が無くなるまでの間なら、付き合ってあげるよと。
オウガの歪んだ笑い声と共に、おもちゃの兵隊たちが、次々と呼び出されました。
剣や斧などの、物騒な武器を持った。しかし見た目だけなら可愛いぬいぐるみたちが、紗織目掛けて突撃してきます。
「……そういう事でしたら」
えぇ、遊びましょう、と。
紗織も請け合って、白き刀を構え直せば。再びちりんと、鈴の音が鳴りました。
背に守る彼らに、傷ひとつつけさせないために。
刀を一閃振るうごとに、その刃を返して。飾られた鈴の花を揺らせば。鈴の音は、おいでおいでと、ぬいぐるみたちを誘います。
けれど、愉快な仲間たちも言っていたように。オウガはとっても強いようです。
次々と召喚されてくる、武装したぬいぐるみたちは、とても数が多くて。かなりの数が戦場へと散らばってしまいました。
「こっちくるニャー!?」
ランタンを抱えた猫たちが慌てふためきます。
「大丈夫です。させません」
――ポロロンロン。
戦場には似つかわしくない、美しい音が鳴り渡ります。
抱えた竪琴に、イロハが手を滑らせれば。ポロン、ポロンと。
つま弾く音が、連なり流れて。それは『音楽』となって、戦場へと広がっていきました。
演奏の腕に関しては、まだちょっぴり自信がないけれど。
敵の攻撃を避けながら奏でる音は、時々リズムを外してしまっているのも、分かっているけれど。
この音が、国の仲間たちを元気付けて、守ってくれるはずだから。
イロハは演奏を止めません。
ふかふかの手が奏でる音は、飛び石の上をぴょんぴょんと飛び跳ねているような。楽しそうで、軽やかな音。
時々、ぴょいんとおかしな所に音が飛んで行ってしまうのもまた、元気のいい、賑やかな音色。
そんな軽快な音楽に合わせて、ノネの衣装は、鮮やかな色彩のものへと変わります。
さらりと長い青い髪も、瞬き一つの間に、毛先を遊ばせたハーフアップへと変わっていました。
イロハの奏でる音に合わせて、紡ぎ出されるノネの歌には、言葉もなく。
ただ純粋な『音』として、竪琴の音と共に、響いていきます。
ノネとってこれは、戦いではありません。
戦いは、ノネの信条に反するものなのですから。
けれど、この音は。この体は。
誰かが傷つかないように。悲しい顔や、怖い顔をしないで済むようにするための歌。
迫りくる小さなぬいぐるみたちの攻撃も、彼らのぽふぽふと床を蹴るリズム。カチャカチャと金属の合わさる拍子に合わせて、ノネがステップを踏めば。
その体はするりと、攻撃の間をすり抜けていくのです。
止まる事のないノネの音が、竪琴の旋律と合わさり和音となって。
強さを増したバリケードが、カキンカキンと、ぬいぐるみたちの攻撃を跳ね返していきました。
「なにやら歌声が聴こえた!……気がする!」
扉を壊されて、開きっぱなしのホール入り口から声が聞こえたのは、その時です。
何者かと皆が振り返ると、そこには星屑のような金色の何かが、ふわふわと中空に浮いていました。
「はて、あんなランタン作ったかのぅ?」
その色は、ランタンじいさんの作ったランタンに似ているような気もしますが、ランタンにお喋りする機能はついていません。
では、この金色は――運命の風に導かれて、タイミングよくやって来た星くずの妖精、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)なのでした。
まだ状況が飲み込めていないフィロメーラは、きょろきょろと周囲を見回します。
大きなホールに、大きなネコのぬいぐるみと、小さなぬいぐるみの大群。
それから、多彩な種族の猟兵たちに、愉快な国の仲間たち。
ぬいぐるみたちの剣舞に、猟兵たちもステップを踏んで。
ポロロンと賑やかな音楽と、歌声が響くこれは……。
「建国記念のお祭り的なやつ?」
「だったら平和で良かったんですけどね」
首を傾げたフィロメーラに、McManusを構えて、足元のぬいぐるみ兵を蹴り飛ばしながらジノーヴィーが答えます。
「ある意味デハ、お祭り騒ぎト言えるかもしれませんケドね!」
迫り来るぬいぐるみ軍団に、バリケードを回り込まれないように。
数には数をと、リヴェンティアが呼び出した機械兵器たちがぬいぐるみたちを押し返していきました。
どうやら、残念ながら建国記念のお祭りではなさそうです。
「勝手に仲間を呼ぶなんて、生意気だよ」
頬を膨らませたオウガが、ノネへと近づき、手にしていた携帯端末を奪います。
あ、と声を上げる間に、オウガの姿は消えてしまって。
次の瞬間には、手が届かないほど離れた場所へと現れました。
小さなぬいぐるみが散らばっているこの戦場では、オウガは自由にそのぬいぐるみたちの所へと飛べてしまうのです。
もっとも、携帯端末を盗られたノネ本人には、特に慌てた様子はないのですが。
「なるほど、あの悪戯っ子を懲らしめればいいんだな!」
詳しい状況までは分からなくても。
今ので、誰が悪い子なのかは、フィロメーラにもはっきりと分かりました。
あの大きなぬいぐるみと、小さなぬいぐるみの大群が、全て悪い子なのであれば、これはちょっと大変そうな状況です。
「応援するぜ!」
光の粒子を纏ったフィロメーラが、羽を動かし、戦場を飛び回ります。
戦場に流れる音楽――その空気の揺らぎに、音の波に乗るように。
上に、下に。右に、左に。
ふわり、ふわりと飛んで見せれば、光の粒がキラキラと尾を引いて。まるで流星のようでした。
その輝きに興味を引かれて。
小さなぬいぐるみたちが、剣や斧を振り上げて、フィロメーラの後を追いかけます。
仲間を踏みつけるように、ぴょんと飛び跳ねて。ぬいぐるみは剣を振りますが、空気を蹴るようにステップを踏み、舞い上がるフィロメーラには届きません。
「ほらほら、こっちだ」
急降下をして、ぬいぐるみの目の前を過ぎたかと思えば、切り返しや宙返りで翻弄する妖精のダンスを、愉快な仲間たちは口をぽかんと開けて見上げていました。
「あんな小さいのに、オウガに向かっていってるにゃ」
フィロメーラがオウガに捕まってしまうのではないかと、心配そうな表情の仲間たちを安心させるように、リヴェンティアは努めて笑顔で声をかけます。
「大ジョブです!皆さんは私達が全力で守りマス!」
猟兵たちによる沢山の加護が、愉快な仲間たちが隠れているこのバリケードを、とても堅固なものにしているのです。
リヴェンティアもまた、そのバリケードに自らのオーラを施して。より硬く、より強く敵を弾けるものへとしていきます。
それに何よりも、このバリケードはジノさん直伝なのですから。
「そう簡単には突破出来ないですヨ?」
まるで自分の事のように自信たっぷりに、リヴェンティアは胸を張りました。
戦場に流れる音楽と、普段と変わらないリヴェンティアの言動が、仲間たちの緊張を解かしたのでしょうか。
「おれたちにも何か出来る事はないだろうか」
今まで表情が強張っていた愉快な仲間たちにも、どうやら勇気が湧いて来たようです。
「でハ、もしよければ私達が少しでも足場が見えやすい様にランタンで照らしていてくれると嬉しい気持ち!」
「うむ、任せろ!」
「でも、こんな事でいいのかにゃ?」
戦場を照らそうと背を伸ばし、ランタンを頭上へと掲げながらも、戦闘そのものの役にはあまり役に立てていないと感じているのか、ネコたちの耳は下がり気味です。
自信の無さそうな声に、ふむ……と。
ノネも、一時歌声を止めて、ネコたちへと声を掛けます。
「私にも武器はないし」
「でも、すごい歌で守ってくれてるニャ」
「うん。すごいにゃー」
武器らしい武器を持ってはいないノネであっても、ネコたちから見れば。その歌声そのものが武器……と言う事でしょうか。
このような状況で、真っ直ぐに投げられた賛辞は、何だか少し、照れくさいような。心がくすぐったい嬉しさで。
つい、コホンと咳ばらいで、誤魔化します。
「とにかく。出来る事をすればいいと思うよ?」
例え、武器らしい武器を、持っていなくても。
この手の端末や、音響機器を盗られてしまっても。
この身は、歌う事が出来るように。
本来、ホールで歌うような人たちは、マイクなんて持ちません。
だから、この身一つでも。ノネは歌う事を止めたりはしないのです。
大きく息を吸って。
ノネの胸の奥から震える空気は、歌となって唇から零れます。
「おれたちも歌うにゃ」
ノネの響きに誘われて、高い声。低い声。沢山の歌声が重なって響いていきます。
それらの歌声を導くのは、イロハの奏でる竪琴です。
ポロン、ポロンと、つま弾く音に、イロハ自身の歌声も重なって。
賑やかで、鮮やかなメロディが、重たかった戦場の空気を瞬く間に塗り替えられていきました。
「明日に繋ぐ物語のはじまりはじまり、ってなー!」
戦場に流れるこのメロディは、さしずめ物語のオープニングと言った所でしょうか。
フィロメーラの纏う光の粒子が、キラキラと煌めけば。愉快な仲間たちを守るバリケードが、より強い光を放ち始めて。
竪琴に、重なる歌声。光の粒子と、オーラの防御。
猟兵たちと愉快な仲間たちによって、信じられない程に強化されたバリケードは、ぬいぐるみたちが触れるよりも先に、その体を弾き飛ばしてしまうほど。
「お前たち、調子にのりすぎだよ!」
これにはオウガも、足を踏み鳴らして怒りを表します。
素早い動きで、ジノーヴィーから銃をひったくったかと思えば、その姿は消えてしまって。
次の瞬間に、オウガは紗織の目の前へと転移していました。
「クロさん、こちらにランタンを投げてください」
「こ、こうかニャ!?」
紗織からの要請に少し驚きながらも、クロが放り投げたランタンは、綺麗に弧を描いて。
白刃を鞘へと納めて、飛んできたランタンにちらりと視線を向け、そのまま鞘で打ち据えれば、眩い閃光がオウガの目を焼きました。
「うわぁ!?」
思わず目を閉じてしまったオウガを、静かな一閃が襲います。
刃の走った後には、はらりと。花びらのように。白い雪が舞い飛んで。
ゆっくりと落ちていく雪の中、紗織はさらにもう1歩。力強く足を踏み出します。
抜刀の回転力を殺さぬように、2撃目の鞘が、オウガの顎を打ち据えて。身を翻せば、流れる音楽に合わせたかのように、ふわりと衣が広がって。
鈴の音も高く、3撃目の刃がオウガへと突き刺さります。
「小さいぬいぐるみが消えたにゃ!」
ユーベルコードを封じる紗織の攻撃に、あれ程の数であった小さなぬいぐるみ軍団が、すっかりと消え失せました。
「今コソ、好機ですね!」
ここぞとばかりに、リヴェンティアが機械兵器たちに突撃の指令を下します。
カシャカシャと音を立てて、次々と組みついてくる機械兵器に、流石のオウガも身動きが取れません。
「ジノさん、今デス!」
「やってやろうじゃねぇか……!」
舌打ちを合図に、普段は温存している本気が、ジノーヴィーの体を満たしていきます。
テレポートにも負けないくらいの速さで、ジノーヴィーは一瞬でオウガとの距離を詰めて。奪われた銃を取り戻しました。
けれどこの本気モードには、寿命という名の上限があるのです。
無駄遣いは出来ません。
それゆえジノーヴィーは、オウガから距離を取る事はせずに、そのまま銃口を突きつけました。
本気の反応速度で引き金を引けば、上がった銃声は、徒人の耳には1発にしか聞こえません。
けれど実際は、銃に残っていた弾、その全弾が。完全な零距離で、オウガの体に撃ち込まれていたのです。
これには、流石のオウガも悲鳴を上げてたたらを踏みます。
ですがまだ。まだ、オウガは倒れません。
「グラップル力を高めるぜ!」
このまま押しきれ! と、フィロメーラが最後の舞いで、オウガへと迫る猟兵を鼓舞します。
「……グラップル力ってなんにゃ?」
「たぶん、にぎにぎする感じじゃないかニャ?」
「それはグリップ力かと」
思います、と言う言葉と共に、イロハは高く跳びました。
その手に握られているのは、まるで戦斧のように柄のついた竪琴です。
真っ暗だったこの国に、初めて生まれた『陽だまり』から。
少しずつでも、明るい場所が広がっていく、この場所こそが、みんなの新しい『ふるさと』だから。
お日様の温もりを感じてお昼寝をして。暗い場所には、少しドキドキしながらランタンをかざして。
沢山の感情をくれる、心をぽかぽかにしてくれる、誰かの『陽だまり』。
そんなこの国を護る為に、フィロメーラの加護も受けて。イロハは強く強く、竪琴の柄を握ります。
地に落ちる力も利用して、オウガ目掛けて全力で。
ドーン、と竪琴を振り下ろせば、その強い力に張っていた弦が、「ペィィン」と可笑しな音を立てて切れてしまいました。
その音こそ、戦いが終わった合図。
この国の、初めての勝利を告げる音となったのです。
●
歓声が、ホールの中に満ちて行きます。
この国は、まだ出来たばかりで。足りないものも沢山ですけれど。
今日1日で猟兵たちから得た提案や経験が、きっとこの国を明るく賑やかなものへと変えていくでしょう。
そして歌と踊りで国を守ったこの戦いは、少しだけ先の未来で、楽士でありながら騎士でもある『シンフォニックナイト』という、この国固有のジョブを生み出して。
新たに生まれてくる国民たちに、伝説の戦いとして語り継がれていく事になる……のかもしれません。
めでたし、めでたし。
大成功
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