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その赤く長く細い手は世界を変える

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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 とある宇宙船内。普段は平和なそこは、今はそうではない。
「た、助けて!」
 若い女性の声が船内に木霊する。だが、それに答えるものはいない。なぜならば今彼女の目の前にいる怪物の餌食になってしまったからだ。それは体を唸らせながら澱んだ液体を垂れ流し、想像以上に速い速度で彼女を追いかける。そして彼女はいつしか金属の障壁の前に追い詰められる。
「い、いや……」
 彼女はそれ以上の言葉を言えなかった。なぜならその口の中に怪物の持つ腕が尽きこまれてしまったからだ。そして彼女はそれ以上抵抗しなかった。なぜならそれによって彼女の常識が書き換えられてしまったからだ。

●多分、期待した結果にはならないと思います。
「あるスペースシップワールドにある宇宙船が銀河帝国の手に落ちた」
 アルミィ・キングフィッシャー(人間のシーフ・f02059)が目を細めて呟いた。
「船内は……そりゃあ酷いもんさ。触手って言うのかね、そいつがそこかしこにはびこってやがる。襲われた連中も命はあるみたいだが……、それ以上は分からない」
 死よりもおぞましい事をされているのかもしれない。
「ともかく、アンタ達にやってもらいたいのはこの触手の駆除と、その大本の撃破だ。どうも複数居るみたいだからそれなりの心得をしておいてくれ。そしてその後いつものデカブツのの二足歩行戦車が待ち受けてる。こいつらを全部船内から掃除すれば仕事は終わりだ。……簡単な話だろ?」
 アルミィは肩をすくめる。
「ああ、とりあえず行くやつは気をつけてな。……いろいろな意味で」
 そう言って彼女は猟兵達を現地へと送り出した。


西灰三
 注意:お色気要素はありません、本当です、信じてください。

 いつもお世話になっています。西灰三です。
 今回はスペースシップワールドの依頼をお送りします。
 詳しい状況は……まあオープニングの通りです。

 それでは皆様の勇敢なプレイングをお待ちしています。
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第1章 冒険 『未知の触手生命体』

POW   :    触手を斬り裂き、生命体を力づくで駆除する

SPD   :    触手の動きをかわしながら、生命体の弱点をつく

WIZ   :    宇宙船を制御し、冷却用ガスで触手を凍らせたり、宇宙空間に触手を排出したりする

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鍋島・小百合子
行動:POW重視、触手生命体の排除

空よりも高く天の上にも世界があるとは…
わらわのいた世界では絶対にわかり得ん事じゃったな
聞けば船の中に化け物が蔓延したとの事、十分用心せねばならぬのう

「異界の物とて刃は届くものか試してやろう」
宇宙船内では触手の襲撃を警戒しつつ忍び足と目立たないを使いながら移動
こちらから先制攻撃を仕掛けられそうな場合は「剣刃一閃」にて切り払い、集団戦ではなぎ払いと範囲攻撃を併用しての攻撃
敵の攻撃は祭祀扇と小太刀で武器受けで防御
「このようなものでわらわを辱められると思うでないわ!」
可能ならば生命体に一声かけてみて船員の安否を確認
「船の中にいた者はどうなった?まさか…」


メイスン・ドットハック
【WIZ】
これが宇宙生物という奴かのー
じゃが変な効果もあることじゃろーけー、近づくのは危険っぽいのー

宇宙船の情報を事前に調査(情報収集)
セキュリティシステムに絞ってハッキングを仕掛けて、掌握を狙う(ハッキング、鍵開け)
セキュリティを掌握したら、防衛用兵器を使い触手を各個撃破していく
・レーザーカッターで切り刻む
・ブラスター機銃でハリネズミにする
・焼却用火炎放射器で黒炭にする

視界は監視カメラをハッキングで掌握してモニタリング(ハッキング)
誘導用は木を隠すなら森の中を使用
スペースノイドに偽装した液体窒素爆裂トラップを設置
触手が起動し、液体窒素をばら撒き氷漬けにする罠

他の仲間との連携も出来る限りする




「空よりも高く天の上にも世界があるとは……わらわのいた世界では絶対にわかり得ん事じゃったな」
 宇宙船の中を物珍しそうに鍋島・小百合子(舞姫の女丈夫・f04799)が金属の床を草鞋で駆けていく。その後ろを走るのが億劫な様子でメイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)が追う。
「空どころか地面もこの世界にゃあもうないけどのー」
 昔多分どこかで読んだ事を思い出しながらメイスンは呟く。小百合子にとって『地』とは人の住む場所に他ならず、元からあったそれを無くしてもなお新しい『地』である船を作り生きる者が居ることにある種の親近感を覚える。
「……聞けば船の中に化け物が蔓延したとの事、十分用心せねばならぬのう」
 小振りの薙刀を両手で携えて走る彼女の後にメイスンは必死に追いすがる。彼女はどちらかと言えばインドア派であり、なるべくなら体を動かしたくないタイプだ。だからだろうか幾分か少しだけ足の遅い彼女の視野に異物があるのを早く気付けたのは。
「ストップじゃ」
 彼女に制されて小百合子はピタリ止まる。同時に薙刀の切っ先を上げ、すぐに振り下ろせる態勢を取る。
「これが宇宙生物という奴かのー。じゃが変な効果もあることじゃろーけー、近づくのは危険っぽいのー」
 赤いと言うよりは桃色とも見えるそれは細いケーブルを幾本も束ねたような形状の触手であった。どのような知覚を持っているのかは定かではないが、それは彼女らの存在を確認するとにじり寄ってくる。
「ちいと時間作ってー。ここのターミナルからセキュリティシステムにハッキングしとるから」
「承知した。……異界の物とて刃は届くものか試してやろう」
 メイスンのやろうことしている事は分からないが、時間稼ぎが必要なことは分かる。存外に速い速度で迫る触手を小百合子はずんばらりんと切り捨てる。
「……手応えが、無い? いや小さすぎる?」
 今たしかに相手を切り裂いたはずである。切り捨てた相手も動かなくなって床に転がっている。少なくとも実体のある相手ではあるのだが。彼女が疑問を答えに変えるよりも早く通路の奥からわらわらと別の群れが現れる。その時メイスンが叫ぶ。
「ハッキング完了じゃー! ポチッとな」
 現れた触手達に向かって鎮圧用であろう非殺傷性スタナーが放たれる。麻痺をもたらすそれが触手達の動きを鈍らせて、そこに小百合子が一歩踏み込む。
「このようなものでわらわを辱められると思うでないわ!」
 まとめて敵を切り裂いて払う小百合子だが、前方で彼女が戦っている時に反対側から別の触手が密かに忍び寄る。その職種はなぜかその場にいた『スペースノイド』に突撃する。
「残念、はずれじゃ」
 それはメイスンの用意した液体窒素入のダミートラップであった。触手は凍ると共に地面に落ち粉々に砕ける。
「この辺りにいたのはこれくらいか。……まだ他の者を見ていない。船の中にいた者はどうなった? まさか……」
「監視カメラもハッキングしてみるわー。何か分かるかもしれんし」
 二人は周りを警戒しながら生存者と残る触手の操作にあたる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
【恋華荘】の雪乃さんと一緒に参加してます
「宇宙にも触手って出るんですねぇ…さすがに世界違うから、私の触手とは別系統でしょうけれど…」
いちごの中にいる触手はUDC系列です
触手の正体を【情報収集】できればいいんですけど…
「濡れてるみたいですし、あまり近付いたら…」
と注意を促しつつ、雪乃さんの攻撃で凍り付いた触手を、宇宙船外に排出しようと操作パネルを弄ってます

ふと雪乃さんの様子を見てみると…服が濡れて透けてるじゃないですかー
注意しようとしたら、粘液で脚を滑らせて雪乃さんに抱きつく格好に
「結局こういう展開になるんじゃないですかー?!」

とほほ…【フォックスファイア】で燃やしていいですか、この触手?


御影・雪乃
【恋華荘】で参加

これ何触手なのでしょうか、UDCの肉的なやつなのか、アルダワのスライム的なやつなのか…それとも植物系なのか。

とりあえず凍らせれば良いのなら得意ですよ。
液体ごと【フローズンブラスト】で凍りつくがよいです。
そーれ。
そしてポイッと。

油断して巻き付かれたら服は透けるかもしれません。
そしていちごさんのトラブルに巻き込まれたら、一度無言で軽く平手してから「またですか…仕方のない人ですね…」と呆れて対応。日常的にこうなってる様子で救助。

●技能
範囲攻撃2、属性攻撃5、高速詠唱6、を活用。

●その他
盗み攻撃とか情報収集などで触手の正体を考察してみたり。




 場所はエアロック付近、そこでも二人の猟兵が触手達と戦っていた。
「宇宙にも触手って出るんですねぇ……さすがに世界違うから、私の触手とは別系統でしょうけれど……」
「……これ何触手なのでしょうか、UDCの肉的なやつなのか、アルダワのスライム的なやつなのか……それとも植物系なのか」
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)の二人は触手ソムリエか何かなのだろうか。とりあえずうねうねしている細い触手の束は機を窺いつつもにじり寄ってきている。
「……そもそも生物っぽくないような」
「でも機械っぽくもないです。そーれ」
 世間話をしながら雪乃はフローズンブラストで急速冷凍させて触手を凍らせる。そこでいちごがエアロックのコンソールを操作して扉を開ける。
「ぽいっと」
 自分ごと吸い出されないように気をつけつつ凍った触手を投げ捨てる。だが吸い出されないようにしたのは他の触手も同じ。
「あ」
 こらえている彼女に巻き付いて触手もまた宇宙空間に放り出されないようにしている。
「ゆ、雪乃さん!」
 直ぐ様に彼は扉を閉じて、彼女の元へと駆け寄る。同時にしがみついていた触手もべちゃりと床に落ち、その束を構成する細い幾つかは千切れてしまっている。それに目をくれずいちごは彼女に駆け寄る。……足元が触手の体液で濡れていることも気づかずに。
「あれっ!?」
 つるっと。滑って転んだ先は雪乃の触手で汚れた体の上。よく見ればところどころ薄絹の奥の肌色が見える。それを確認した瞬間いちごの頬に雪乃の平手が飛ぶ。
「ぶっ?! 結局こういう展開になるんじゃないですかー?!」
「またですか……仕方のない人ですね……」
 いちごと動きの止まった触手を一緒に振り払いながら雪乃は立ち上がる。そこで彼女はなにかに気付く。
「とほほ……【フォックスファイア】で燃やしていいですか、この触手?」
「……いちご?」
「はい?」
「いえ、そうじゃなくて。臭いが……」
 雪乃は疑問の表情を浮かべる。一体この触手の正体は何なのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ケイトリン
力づくでいきます。
まあ、わたしの力って念動力なんだけど。

念動力と吹き飛ばしの技能でサイコエッジをつかって
触手をきりさいてふっとばすね。
ほかの人をおそってる触手がいたら、かばう技能もつかって
その分もきりさいてふっとばすね。

つかまってる乗組員さんたすけてあげられたら
おはなしをきいてみるね。
だいじょうぶだといいんだけど。

おおもとをみつけて、きりさいて、乗組員さんたちを
たすけてあげないとね。



……えっと、10さいのわたしがえっちなことになっちゃったら
アルミィさんのなかのひとが家光さんのなかのひとに
ものすごくおこられちゃうからきをつけてっていわれたんだけど……

なかのひとってなんだろうね? きをつけるけど。


リリスフィア・スターライト
まさにエイリアンといった感じだね。
この状況でお色気要素とかあるのかな?

宇宙船の制御して襲撃者の招待や居場所を特定し、
その行動を封じるつもりだよ。
オルタナティブ・ダブルで自分の分身(銀髪ツインテールの女の子)
を呼び出して私自身が機械を操作している間に警護してもらおう。

可能なら宇宙船内の排出システムを利用して襲撃者の
触手だけでなく本体も追い出せるかも試してみるつもりだ。




「……えっと、10さいのわたしがえっちなことになっちゃったら、なかのひとがものすごくおこられちゃうからきをつけてっていわれたんだけど……。なかのひとってなんだろうね?」
 本当に中の人ってなんだろうね? レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)の幼い疑問には誰も答えない。というか答えちゃいけない気がする。
「わたしもきをつけるけど」
 こちらも気をつけます。
「まさにエイリアンといった感じだけど、この状況でお色気要素とかあるのかな?」
 リリスフィア・スターライト(多重人格者のマジックナイト・f02074)が首をかしげる。そんなものは無い、はずだ。多分きっとメイビー。さっきの二人? 知らんな。
「まずは相手の位置を確認しよう。……フィア」
 リリスはもう一人の自分を呼び出してターミナルの操作をさせる。その間に彼女とレイチェルは当たりの警戒をしている。
「……あっちの通路から来るみたい」
「うん、力づくでがんばる」
 そして触手の姿が見えた所で即座にサイコエッジを容赦なく放つ。現れた触手はスパスパと綺麗に切り裂かれていく。彼女が間断なく攻撃をしている通路とは別の方向からは少数だが別の群れが現れるこちらはリリスが問題なく対処していく。二人、もしくは三人は辺りにいた触手の排除を何事もなく終える。
「……生存者を見つけたようだ」
 その中でリリスがフィアを戻して手に入れた情報を二人で共有する。だが彼らが向かったそこで見つけたのは不気味な笑みを浮かべて呆けている人々の姿であった。どうも話は通じそうに無い。強いて言うのならばかろうじて聞き取れるかすかな言葉。
「……いままでの、わたしたちは、まちがっていた……」
「……なんでみんなおくちが汚れてるの……?」
 疑問が疑問を呼ぶ謎の船内。彼らを真に助けるのはこの船に潜む全ての驚異を排除してからだ。そうでなければいたちごっこになってしまうだろう。
「おおもとをみつけて、きりさいて、乗組員さんたちをたすけてあげないとね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

虻須・志郎
■連携と人命救助は優先

(電子タバコ型血液パックを呑みながら)
触手って……出てくる場所間違えてねぇだろうな
正月早々里帰りもままならないってか
まあいい、他人様の実家でやらかすってんなら相応の出迎え方が有らぁ
盛大に歓迎してやるよ、三下

機械式義眼で対象を解析し現状邪神系オブリビオンと仮定、対UDC戦闘形態へ移行
内臓無限紡績兵装開放、単分子ワイヤーを形成し邪魔な触手を片っ端から千切り続ける
千切っても動くなら殴って喰らう迄よ
両手両足を縛られるだと? 冗談、俺の全身から出るワイヤーで輪切りにしてやる

ある程度片付いたらハッキングで船内状況を確認
元は電脳工兵だったんだ
ここから攫われてこんなのになっちまったんだよ


ロバート・ブレイズ
「蹂躙する触手の群れ。宇宙世界での戯れは初めてだが蜘蛛(虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103))との共闘も悪くない」
闇堕ち発動。心臓模様に精神を抉る流動体。遅延性の漆黒毒を宿し『異常』化。自身を蝕む闇黒と共に対象の弱点を『情報収集』で探す。
発見したら即座に叩き潰す。
構えた鉄塊剣で『鎧』諸共断ち尽くせば好い。
可能ならば虻須と同時攻撃。不可能ならば個人で攻め込む
「クカカカカッ――冒涜の時間だ」
苦戦するならば即時撤退。困難な場合は無謀の所業。




 電子タバコに模した輸血パックを呑む男がいる。その姿はこの世界では無いものだが虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)にとっては日常だ。その彼は己の身を闇に堕とし触手の群れを叩き潰している。
「正月早々里帰りもままならないってか。まあいい、他人様の実家でやらかすってんなら相応の出迎え方が有らぁ」
 志郎は咥えたものをしまうと己の『眼』を働かせ、邪神系オブリビオンと仮定する。この世界のオブリビオンとしては違っている可能性も高いが、とりあえず彼にはそう思えた。
「――対UDC戦闘形態へ移行」
 小さく男が呟くと、その体内から単分子の鎖が伸びる。触れただけで対象の分子間力に干渉し「切り離す」それを意のままに男は操り触手を切り裂いていく。
「クカカカカッ――冒涜の時間だ」
 人を辞めた者の動きを見せる志郎の動きを愉し気に見るロバート。けれどもその手にした剣というのにも烏滸がましい鉄塊の感触からは、手応えの無い以上の情報はなく。むしろその全てが弱点では、という疑念すら抱かせる。
 ならば蹂躙だとロバートは嗤う。死紡誘伎に合わせて、それでいて真反対の鈍く重い攻撃。二つの暴力の極みに晒される触手達は次々と破片と代わりその活動を止めていく。たとえ残った細い触手が彼らの手足を狙おうとも、直ぐ様に無残な生塵芥となる。
「苦戦する程の相手ではなかったな」
 ロバートの言葉は正鵠を射ていた。少なくとも猟兵たる彼らにとっては他愛のない相手である。
「ちょっと船内を見てみるぜ」
「扱えるのか?」
「元は電脳工兵だったんだ。ここから攫われてこんなのになっちまったんだよ」
 再び例のタバコを咥え直し、男はコンソールを触る。
「……船内の触手は大体片付いてるみたいだな。他の奴らの中には大本……ここは格納庫かね……に向かってるみたいだ」
「そちらはもう少し歯ごたえがあれば良いのだが」
 ロバートの言葉に志郎は呼気を吐く。果たして何が格納庫に待ち受けているのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『空飛ぶいちご味スパゲッティモンスター』

POW   :    いちご味
【鼻腔をつく爽やかないちごの香り】が命中した対象を爆破し、更に互いを【味の固定概念への疑問】で繋ぐ。
SPD   :    できたてパスタぁ!
【汁気を出すことで】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ   :    空を飛ぶ
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●シリアスさんの仕事は多分ここまで。
 猟兵達が敵の本体のいるという格納庫にたどり着いた時、まず彼らを迎えたのは甘い、いや甘ったるい臭いであった。しかも何やら果物っぽい。
「スパー!」
 そして次に示されたのは謎の叫び声である。なんだか気の抜ける声ではあるのだが、なんとなく敵意は感じる。その声の持ち主は天井を付近を飛ぶように跳ね、猟兵達の前へとついにその姿を表す。
「スパパー! スパッ、スッパー!」
 赤いスパゲッティで構成されたその体! 軽やかなジャンプ力! 爽やかないちごの香り! クリっとしてキュートに見えなくもない無数のお目々! その名は空飛ぶいちご味スパゲッティモンスター!
『なんだこれ』
 猟兵の中にはそう思った者がいるかも知れない。だがしかしこの船を制圧した元凶に違いないのである。……残念なことに。
「スパパパー!」
 せっかく作ったいちご味スパゲッティを台無しにされたのを怒っているのか、相手も猟兵を逃すつもりはないらしい。猟兵たちは身に降りかかるスパゲッティをなんとかするために武器を取った。
メイスン・ドットハック
いちご味、スパゲッティじゃと?
珍味っぽいが、僕はゲテモノは遠慮したいけー

触手っぽいパスタに近寄られたくないので、300の守護神兵で対応
近寄らせないように盾を構えて、ファランクス陣形を前面で組ませる(地形の利用)
警備システムにハッキングしたのを継続して持ってくるか、新たにハッキング(ハッキング、鍵開け)
摩擦抵抗に関係ないブラスター系の武装を使って触手を攻撃させる(ハッキング、破壊工作)

さらに相手の援護のために手製の電撃スタン手榴弾を敵に投げ込んで、隙を作る努力をする(罠使い、破壊工作)

もっとオーソドックスな味になってやり直すとよいのー


鍋島・小百合子
行動:SPD重視、敵の足止め・駆除

うっ…ひどく甘ったるい匂いじゃのう…
船の中にいた触手の正体がこんな奇怪なものとはな…

「食べ物であるならば兎も角人を襲うものならばわらわは容赦せん!」
敵のすぱげってぃを相手取りつつ敵の動きや早さを把握
行動を掴めたら残像を用いて敵を翻弄しながら薙刀で応戦
なぎ払いと範囲攻撃で併せつつ攻撃範囲を広める
敵の動きに隙が見えたらユーベルコード「心火焔硝矢」発動
己が勇気を火矢に変えて長弓から射る(スナイパー・範囲攻撃込み)

しかしほんに甘い香りがするのう
別な世界の食物は皆このような甘味ばかりなのかえ?
それはそれで素朴な味が恋しくなるのかもしれぬがな…


レイチェル・ケイトリン
えとえと、これ、ほんとにつよそうな気が……

念動力と吹き飛ばし技能でサイコキネシスをつかって
敵を攻撃してふっとばすね。

敵からの汁気もふっとばすし、匂いも風でふっとばさないと。

もちろん、ほかの猟兵さんへの敵の攻撃もかばう技能もつかって
ふっとばしてふせぐね。

念動力はものを直接うごかすから。わたしはまさつなくなっちゃっても
そんなにこまんないけど、ほかの猟兵さんでこまっちゃうひとがいたら
遠隔で精密な操作も可能なわたしのサイコキネシスでていねいに
汁気をとってあげるね。

ええっと、これ、ほんとにおおいそがしなんだけど……がんばるねっ!


リリスフィア・スターライト
料理には未知の探求も必要だが、
あれはさすがに良くないというのは
料理人でもない私でもわかるよ。

ここは別人格のリリスに変わってもらって、
焼き払ってもらおう。
こっちの私は容赦ないから覚悟してもらうよ。

【リリス】
外見もピンク色のポニーテールの少女に変わるわ。
相手の動きを見切って補足し
トリニティ・エンハンスによる炎の剣で
斬り付けそのまま焼き払ってあげるわ。
いちごとパスタを気持ち悪いものにしてくれた
代償はその命で支払ってもらうわ!

「料理を馬鹿にしたような存在、跡形残さず焼き払ってあげるわ!」



●何かの判定に成功した方
「うっ……ひどく甘ったるい匂いじゃのう……」
 鍋島・小百合子(舞姫の女丈夫・f04799)は袖で口元を塞ぐ。辺り一面に匂う香りは状況が状況ならもう少しマシに感じられたかもしれない。
「いちご味、スパゲッティじゃと? 珍味っぽいが、僕はゲテモノは遠慮したいけー」
 もはやまともな食べ物とメイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)には認識されていないようだ。無理もない。一応UDCアースの某国では割と普通にあるらしい。まあそれでもあんまりにあんまりな味ではある気はする。
「料理には未知の探求も必要だが、あれはさすがに良くないというのは料理人でもない私でもわかるよ」
 リリスフィア・スターライト(多重人格者のマジックナイト・f02074)の言葉は真っ当ではあるがそもそも普通の料理は自らを無理矢理に人に食べさせようとはしない。何故か戦う料理のオブリビオンがそれなりにいることは見なかったことにする。
「えとえと、これ、ほんとにつよそうな気が……」
 彼女達の中でレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)が相手の脅威度が高い事に唯一気付いた。考えても見て欲しい、香りを媒介にした精神攻撃は防ぎにくく摩擦係数を下げることによって得られる防御力は低くない。そして飛び回るので攻撃を当てにくい。それがそれなりの数いるのだから結構な脅威であるというのは正しい。問題は相手の(色々な意味での)フレーバーが緊張感を奪う方向へ働いているということだ。彼女の言葉で油断すべきでないと察した猟兵達は即座に本気モードになる。
「リリス、変わってもらうよ。……こっちの私は容赦ないから覚悟してもらうよ!」
 彼女がもう一人の自分となれば魔剣を携えた女性剣士となる。その剣には炎が乗っており、これならば相手の摩擦係数の低さによる防御も貫けるだろう。主原料小麦粉だし。
「食べ物であるならば兎も角、人を襲うものならばわらわは容赦せん!」
 匂いに慣れてきたのか、小百合子はリリスの隣に並び宙を舞う敵を迎撃する。だがその幾つかは彼女等の頭上を超えて後方へと抜けてくる。直ぐ様にメイスンは配下を召喚しその動きを制する。
「これぞ筋肉の門じゃー! 暑苦しいことこの上ないけど、強い!」
 盾に数字を刻まれた電脳スパルタ兵が電脳パイクを上に向けて突っ込んできた敵を突き刺し落としていく。彼らに守られながらレイチェルはこちらの態勢を崩させる汁気や、忍び寄ってくる香気をサイコキネシスをフル活用して全員分振り払っている。
「ええっと、これ、ほんとにおおいそがしなんだけど……がんばるねっ!」
 彼女らが安全に戦えているのはレイチェルの奮闘ぶりが大きい。それに答えるべく他の猟兵達も力を発揮する。
「いちごとパスタを気持ち悪いものにしてくれた代償はその命で支払ってもらうわ!」
 その名の通り火力を上げたリリスの攻撃は汁気を蒸発させながら相手を燃えるゴミに変える。
「やっぱり熱に弱いみたいじゃの。なら」
 メイスンは格納庫内の整備システムをハックし、アーム操作のレーザートーチでスパゲッティを上から焼く。自分達の上から攻撃されると思ってはいなかったのかバランスを崩し周りを巻き込むように落ちていく。
「……今じゃ!」
 小百合子が薙刀から長弓に武器を持ち替える。彼女が弓を引けば勇気が炎の矢となり弦に番えられる。
「我は燃やす己が胸の内にある勇炎の心……貫け!」
 尾を引いて放たれる炎は敵達の塊に命中し、そのまま燃え広がり周りの敵ごと焼いていく。その炎から逃れようとした敵の前にリリスが立ちはだかる。
「料理を馬鹿にしたような存在、跡形残さず焼き払ってあげるわ!」
 そちらもまた炎の剣で焼き払われ動きを止める。
「……しかしほんに甘い香りがするのう。別な世界の食物は皆このような甘味ばかりなのかえ?」
 燃え上がる相手から漂う香気に対し小百合子が呟く。無論その場の一同は全員首を横に振る。
「もっとオーソドックスな味になってやり直すとよいのー」
 メイスンが残骸に向かってそんな言葉を放つ。……今後空飛ぶ焼きそばモンスターとか出たらどうするつもりだ。
「こっちはこれくらいかな。あとはにそくほこうせんしゃ? だね」
 レイチェルの言葉通り彼女たちは、これと共に侵入してきたであろう二足歩行戦車の元へと向かう。きっともう一つの群れと戦っている方も同じ判断をするだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロバート・ブレイズ
「名状は可能だが筆舌に尽くし難い食材が出現するとは。兎角。神の否定には狂気の拒絶だ。私も奇怪に踊って魅せる」
悪知恵を披露しよう。
「愛すべき苺は悪夢を知らぬ。常日頃から幸福を撒き散らし、闇黒に明かりを齎すだろう。されど苺は真実を解せぬ。目玉に映された残酷は宙を舞う悲劇。苺の赤は死の悲鳴で腹を満たす前に臓物が溢れる」
夢で視た詩を暗唱すると同時に『抹茶色の触手』を作る。モンスターが仲間と思うか敵だと思うか判らないが、不思議がって近寄ってきたら『仕込んだ罠』を作動。即座に爆破だ。
万が一気付かれたら接近してぶん殴る。
「偽りの味は如何だ。甘味。貴様の先まで啜り咀嚼しよう」


彩波・いちご
【恋華荘】の雪乃さんと行動

「触手の正体がスパゲティとは…」
甘ったるいスパゲティというと、とある有名な山盛りの喫茶店メニューとか思い出しますが…
あの目のように見えるのは何の食材でしょうか
【料理】スキルを持つ身としては、レシピとか味とかは気になりますが、それがどうやったら宙に浮いて人を襲うことになるのか…

ともあれ戦闘です
触手には触手で対抗というわけでもないですが【異界の抱擁】でスパゲティを捕まえて雪乃さんが攻撃しやすいようにします
「雪乃さん、巻き込まれないで下さいね?」
触手と触手が合わさって酷いことになりませんように…
触手に絡まってたら助けに行きますよ
(ふにっ
「あ…」

お約束は繰り返す…ごめんなさい


御影・雪乃
【恋華荘】で参加

まさかの食べもの系触手。

香りから察するにデザート系でしょうか…。
某抹茶小倉のパスタは知っています、それと似た系統でしょう。
…パスタ=しょっぱい、と思いこんでいると舌と頭が混乱するやつです。
ところで黒い部分は…?

●戦闘
いちごさんと連携して、あまり隙を作らないよう攻撃。
【雪華ノ輪舞】で周囲を凍りつかせつつ攻撃を図ります。

味方を庇ってすこし被弾したり。

味の固定概念への疑問には【料理】技能の知識で対抗。
黒い部分の味によってはダメかもしれない。
「どうしてこの組み合わせなのですか…どうして…?」

●トラブル
「ふにっ」となれば、再び平手からの「またですか…」とため息をついて手助けする天丼対応


虻須・志郎
■連携(ロバート・ブレイズ:f00135) ああこいつは……プログラムコードのお化けか、あるいは無意味に意味を持たせた存在か。それともエンジニアの与太の類が具現化したのか。まあどちらでもいい。狂っている事に変わりはないが、そう見せかけているだけか、先生? コード:ファミリア・カーネイジで機動端末を全機展開。空中になど逃がすか、徹底的に叩き潰す。そんな甘ったるい触手で邪神討伐者に仇成そうなんざ、世界が幾順巡った所で足りるかよ! 正面から捨て身で腕を突っ込んで心臓部を引き抜き、千切り、擂り潰す。シリアスの仕事はここまで? 冗談。塵芥になるまで屠 っ て や り ま し ょ う ぞ ! 今一体何を?



●何かの判定に失敗した方
「ああこいつは……プログラムコードのお化けか、あるいは無意味に意味を持たせた存在か。それともエンジニアの与太の類が具現化したのか。まあどちらでもいい」
 虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)の目がなんか座ってる。そして妙に語る言葉が独り言っぽい。
「狂っている事に変わりはないが、そう見せかけているだけか、先生?」
 彼は振り返りロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)に語りかける。
「名状は可能だが筆舌に尽くし難い食材が出現するとは。兎角。神の否定には狂気の拒絶だ。私も奇怪に踊って魅せる」
 この老いた猟兵的には狂気の範疇に入るらしい。まあ尤も狂気と正気の境目なんて怪しいものだが。
「まさかの食べ物系触手」
「触手の正体がスパゲティとは……」
 御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)と彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は想像の範囲外の敵が現れた事についてコメントを述べる。
「香りから察するにデザート系でしょうか」
 雪乃の言葉でいちごはとある狂気の山を思い出す。山と言っても本来は山という名をつけられた別のものではあるが。どちらにせよマトモな感性ではあるまい。マトモではないと言えば志郎の様子も正常であるとは言い難い。
「電脳接続……往くぞファルシオン、包囲戦だ。ファミリア展開、畳みかけろ!」
 彼の目はもう敵しか見えていないようだ。出せるだけの機動端末を即時展開させ、本人も単身敵陣へと飛び込んでいく。その表情は狂喜に歪んでいるようにも見える。
「私も悪知恵を披露しよう」
 ロバートはある時に見た夢の詩を諳んじる。
「愛すべき苺は悪夢を知らぬ。常日頃から幸福を撒き散らし、闇黒に明かりを齎すだろう。されど苺は真実を解せぬ。目玉に映された残酷は宙を舞う悲劇。苺の赤は死の悲鳴で腹を満たす前に臓物が溢れる」
 その冒涜的な詩が〆られると共にある存在が喚び出される。
「戯れるべきだ。神様『糞餓鬼』どもよ」
 まるで悪巫山戯の産物のような相手にあてがわれるのは、同じ形をした『抹茶色』の怪物であった。それは苺色の敵と絡み合い艶かしく蠢動している。
「あれを私は知っている……」
 雪乃の言葉が溢れる。その状況に意識を割かれながらも彼女は攻撃を忘れない。護身用ナイフを雪の華と変えて周りの触手達を凍てつかせていく。その冷気から逃れようとした敵もいちごの呼び出した異界の触手に動きを封じられ凍っていく。触手×触手×凍結とか誰得。だが、このまま凍らされる訳には行かないと動きを封じているいちごに向かって敵がその魔手を伸ばす。
「……危ない!」
「雪乃さん!」
 その間に割り込んだのは雪乃。そのまま胴体を絡め取られてしまう。彼女はもがいて脱出しようとするもののアルデンテの締め付けは強く脱出が不可能になる。そしてその彼女の口に未だ未知数の黒いスパゲッティが迫る。
「~~~!」
 無残にも口の中に黒いものを突きこまれ、しかも脱出できない。そんな彼女の窮地を救ったのは狂戦士と化した志郎であった。
「そんな甘ったるい触手で邪神討伐者に仇成そうなんざ、世界が幾順巡った所で足りるかよ!」
 召喚した兵器よりもなお激しく暴れまわる彼には容赦も保身の気持ちもない。その捨て身の攻撃に晒されてしまった、雪乃を捕まえていた敵は力を無くして地面に堕ちる。すかさず彼女の元にいちごが駆け寄るが気が動転しているのか目が虚ろだ。
「どうしてこの組み合わせなのですか……どうして……?」
「しっかりして下さい!」
「どうして……イカスミなのですか……?」
 ああうんそれはショックだわ。
「気を強く持って!」
 ふにっ。
「あっ」
 いちご君アウト。再びのラキスケで雪乃のビンタが彼の頬を強く引っ叩く。
「またですか……」
 まあ今回は正気に戻ったので結果オーライではなかろうか。なんか全体的にアレな感じだし。あ、抹茶の方が爆発した。
「偽りの味は如何だ。甘味。貴様の先まで啜り咀嚼しよう」
 食べる気ですかロバート老。そう言えばとんでもない甘党でしたね。どうも狂気に狂気は効かないらしい。そして志郎は絶賛暴走中である。真の姿でもないのに。
「千切り、擂り潰してやる……! シリアスの仕事はここまで? 冗談!」
 しれっと第四の壁を認識しないでいただきたい。
「塵芥になるまで屠 っ て や り ま し ょ う ぞ !」
 彼の大暴れに気圧されたのか士気が瓦解していく敵達。それから敵が全滅するのはそう時間はかからなかった。
「……今一体何を?」
 敵がいなくなった所で志郎は我に帰る。その体には両腕を中心として真っ赤な液体で染まっている(注:苺ソースです)。おそらく激情にかられて全ての行動が直列に繋がってしまったせいだろう。
 こうして彼らは何かと引き換えに勝利を得た。だがこの船での戦いは終わっていない。終わっていないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『二足歩行戦車』

POW   :    一斉砲撃
【機体各所に搭載した火器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    レジェンダリーソルジャー
【伝説的な戦車兵を再現したAI】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    胴体下部可動式ビームキャノン
【砲門】を向けた対象に、【ビームの連射】でダメージを与える。命中率が高い。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 空飛ぶ苺味スパゲッティモンスターを撃退した猟兵達。だがこれで終わりではない。彼らが乗組員を制圧した後に確実に止めを刺すために用意された二足歩行戦車が残っている。
 純粋な戦闘力であれば遥かに格上の相手だ。前座との戦いでの疲労は濃いが、ここで負けてしまえばその苦労も水泡に帰してしまう。
 猟兵達はこの船の平和を取り戻すために強敵へと挑む――。

「雪乃さん、なんかいろいろすみません……帰ったらおいしいスパゲティ作ってあげますから、口直ししましょう」
「まだ口の中にイカスミの風味が……。あの甘い香りが漂う中、イカスミの風味はつらいものがありました……」
 口元を抑える御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)を彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が励ます。先程までの異形との戦いで最もダメージを受けているのは彼女ではなかろうか。
「……その前に、最後のお仕事ですね」
「最後まできっちり倒してしまいましょう」
 格納庫の更に奥、二足歩行戦車の巨体はこちらの戦力分析をしているのかカメラやセンサー類が盛んに動いている。
「スパゲッティの次は戦車とはのー。芸を変えるのはいいが、もうお腹いっぱいじゃけー」
 同型機との交戦経験のあるメイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)は相手の巨体に対しそんなコメントをする。正直な所、前座の方が敵としてのインパクトはあっただろう。
「なんだろうね、もちろんつよいことはつよいんだろうけど……。さっきのやつよりこわくないよ」
 レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)の言う通り戦闘力的な脅威としてはこちらの方が上位ではあろう。ただ先程の相手に比べればまだ理解の範疇である。理解出来る以上、脅威は感じても恐怖は幾分か薄まるだろう。
「すぱげってぃの次にまた奇怪なものがでてきたか……わらわの見方からすれば物の怪の類と変わらぬな」
 周りの落ち着いた様子を見取り、鍋島・小百合子(舞姫の女丈夫・f04799)は弓を取る。少なくとも武器の通じない相手では無いだろう。
「機械が奇怪と並ぶとは思い難いが」
「先生、あいつは狂気存在じゃあないけど、狂気の源であることは確かだ」
「総ては人類が孕んだ狂気の副産物か」
 ロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)に対し虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)が自らの過去を思い返しながら返す。まだ体の全てが生身だった頃、幾つもの任務やその報告書の中に見た兵器。電脳工兵、遅滞戦術、そして対人制圧。それで失った戦友も何人も。
「アレに全てを壊されてイカれた奴を何人も知っている。戦争ってのは、合法的な狂気空間なんだよ。だから……」
「……故に我が身は冒涜の『器』と成り数多の有象無象を嘲笑う」
 即座に闇を引き寄せる冒涜翁の姿を見、志郎は話が早いと薄く笑う。彼もまた一人の電脳工兵として対峙する。戦闘用の機動端末をコールし、配置につかせる。
「電脳接続……往くぞファルシオン、包囲戦だ。ファミリア展開、畳みかけろ!」
 巨体に対し向かっていく様はまるで象に迫る羽虫のようだ。だがその勝負は単純な装甲の厚さや火力だけでは決まらない。何より今は他の猟兵達も一緒だ。戦車も猟兵達を明確な脅威存在と認識したのか全身に内蔵された火気を一斉に放つ。
「そのこうげきは、みなれてるの!」
 その砲門から攻撃が放たれるよりも早くレイチェルのサイコキネシスが相手の脚部を叩く。大きな損傷とは言えないものの制動を僅かながら崩されたことによって照準がずれて熱線や実弾による攻撃は猟兵達を逸れていく。
「そこが発射するところか!」
 敵の攻撃が身を掠める中で小百合子は冷静に矢を引き放つ。彼女の近くでは爆風が巻き起こるが、動じずに二の矢三の矢を放ち鋼の体に矢傷を増やしていく。だがそれだけでは無論敵の攻撃は止まず猟兵達の近くで大きな爆発が起きる。
「愉悦。恍惚。冒涜。至極――憶する事在らず、総てに大いなる否を宣告せよ」
 だがその中から飛び出したのはロバート。その身につけている服は炎に晒された割には不自然なほどに折り目正しい。その彼の拳には『影』が宿っており、そのまま装甲に叩きつけられる。
「たとえ機械でも『脅威』は判るだろう」
 大凡、人の身とは言えない攻撃。打ち据えられた部分には亀裂が生じている。目の前の狂機の電脳ではおそらく戦闘記録のデータベースを検索しているのだろう。相手が立ち直る前にいちごと雪乃が術を手繰る。
「狐火です!」
 先じて放たれたのはいちごのフォックスファイア。照準を再度合わせようとしている相手にフレアのように複数の炎が放たれる。それらは戦車の排熱速度を超える熱量を与え、装甲を熱していく。
「……次は凍りなさい」
 雪乃が次に続いて敵に撃ったのは無数の氷の礫。飛来し装甲に張り付いた氷は、熱された装甲を冷やし金属素材に急激な温度差を与える。刹那、耳障りな音が上がり敵の装甲に微細な傷が無数に生じている。それでも戦闘中にある程度の自己修復とシステムの最適化を行ったのか、胴体下部のビームキャノンが猟兵達に向けられる。そこから直ぐ様に無造作に立っていたメイスンを狙い撃つ。
「悪いがそりゃ外れじゃー。ま、引っかかった方が間抜けという奴じゃけーのー」
 それは彼女特製の人型のトラップ。仕込まれていたのは腐食溶解液、デコイから噴射された液体は先程生じた装甲の罅に染み込んでいく。ファルシオンの空爆が機体を揺らせばいずれ制御系にそれが到達するかもしれない。
「まだまだ用意してあるけーのー?」
 戦車と他の仲間達が応戦している中でひたすら用意していたのだろう。辺りには敵のセンサーに干渉する偽物が幾つか配置されていた。ならばと戦車はリスクを計算に入れたのだろう。全方位を対象に砲門を向ける。たとえ自機が撃破されたとしても一人でも多く猟兵を排除できれば次の作戦に繋げられると演算結果が出たのだろう。
「させない!」
 相手も衝撃を受けることを補正して射撃をし始めてきている。相手の体を揺らすことで対応はしきれないと、レイチェルは味方に届く実弾だけでもそらせようと念動力の壁を生み出して味方をかばう。
「無茶苦茶じゃのー」
 メイスンは自らの生み出した複製を盾にして隠れるが、それも時間の問題だろう。砲弾ならばレイチェルが何とか防ぐが光弾はそうは行かない。雪乃に向かって放たれたのはそれであった。
「……雪乃さん!」
 その時いちごに電流走る。『二度あることは三度ある』と。
「助けてもらったことについては、ありがとうございます。……平手は後で」
 少なくとも今は痴話喧嘩をしている余裕は無い。
「こわくないからって、ゆだんしちゃだめだもの。ていねいにやっつけるんだよ」
 レイチェルは相手を冷静に分析する。目の前の相手は先程の搦め手に比べれば、ずっとやりやすい。だからといって油断すれば命を持っていかれるだろう。それでも勝利は目前である、小百合子は全てのデコイが無くなる前に一気に勝負を付けようと指先に勇気の炎を灯す。その手で弓を引けば炎の矢が生まれる。
「……そこじゃ!」
 その視線は先程から砲弾を発射している砲口、狙いをつけて射れば、炎の矢が筒の中に吸い込まれていく。瞬間、砲塔の内部で大きく爆発が起き、周りの兵装も巻き込んでいく。
「今じゃ! かかれ!」
 彼女の声と共に駆け出したのは志郎とロバート。志郎は『王者の石』……変異してしまったコアマシンから力を引き出した拳を、ロバートは『立ち去れ』の字句を刻んだ鉄塊に獄炎こめて、崩壊寸前の敵機へと打ち込んだ。
 ――戦車の駆動音が止まる。殺戮機械は完全に沈黙し、機能は停止する。猟兵達はこの船の中にいた敵性存在を全て撃破した事となる。それを確認した彼らは、事後処理をしようと動き出す。その時、乾いた音が鳴り響く。
「すみません……」
 いちごの両頬に赤い手形が生まれている。その手形を付けた人物を今更語ることもないだろう。緊張の解れた彼らは来た道を戻っていく。まずは掃除から必要だろう――。
虻須・志郎
■先生が攻撃しやすい様連携(ロバート・ブレイズ:f00135)

見知った敵。かつて人間だった頃、何度か対峙した事がある
電脳工兵として無人兵器群を運用、足止めから止めまで何だってやっていた
先生、あいつは狂気存在じゃあないけど、狂気の源であることは確かだ
アレに全てを壊されてイカれた奴を何人も知っている
戦争ってのは、合法的な狂気空間なんだよ。だから……
それを止めるのは業務範囲外じゃねえよな?

コ・ファルシオン全機展開。敵の砲火を引き付け接近する

バレぬ様複数機編隊を第4軍まで編成、時間差で空爆する
それに気を取られている隙に接近し、刻印――王者の石を起動
元はコアマシンなんだ、その出力の捨て身の一撃でブン殴る


レイチェル・ケイトリン
なんだろうね、もちろんつよいことはつよいんだろうけど……
さっきのやつよりこわくないよ。

わたし、力をつかうからわかるもの。まさつ、ぜんぶ消されちゃったら
ふつうはあるくのだってむりなんだよね。念動力とかならべつだけど。

あれにくらべたら、みなれた敵だし、ふつうにやっつけられるよね。


念動力と吹き飛ばしとフェイントの技能でサイコキネシスをつかって
敵を攻撃してふっとばすよ。

ふっとばし続ければ、わたしたちに敵は砲門をまともにむけられないし。

それ以外の敵からの攻撃もふっとばしてふせぐよ。
ほかのひとへのぶんもかばうの技能をつかってふせぐね。

こわくないからって、ゆだんしちゃだめだもの。
ていねいにやっつけるんだよ。


ロバート・ブレイズ
「機械が奇怪と並ぶとは思い難いが、総ては人類が孕んだ狂気の副産物。故に我が身は冒涜の『器』と成り数多の有象無象を嘲笑う」
闇堕ち再発動。虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)が作った道を活かし真っ向からぶん撲る。
情報収集で対象の脆い部分。再現AIの癖を見抜いて其処を突く。
自身は種族:人間だが鎧を砕いて恐怖を与える手段を有す。
たとえ機械でも『脅威』は判るだろう。
真の姿でなくとも冒涜爺は譲らない。
「さて。機械の耳朶に言葉を這わせるのは不可能だが」
鉄塊剣『立ち去れ』に地獄の炎を注ぎ込み蹂躙せんと。


鍋島・小百合子
行動:POW重視、弓による仲間の援護

すぱげってぃの次にまた奇怪なものがでてきたか…
わらわの見方からすれば物の怪の類と変わらぬな

戦いつつ敵の一斉砲撃による砲門・火器の発射口を観察
「わらわの世界で言うところの鉄砲や大砲と同じ物であるならば弾を発射する所があるはずじゃ。そこを見つけて射てみようぞ」
長弓による援護射撃に回りつつ仲間の攻撃を支援
敵からの攻撃は回避重視、武器受けできるものは小太刀で払う
砲門・発射口がどの部分か把握できたらそこに向けて(スナイパー・鎧砕き・勇気併用)ユーベルコード「心火焔硝矢」発動、砲門・発射口からの誘爆を試みる
敵が動けなくなったところで薙刀で追撃をかける
「今じゃ!かかれ!」


メイスン・ドットハック
スパゲッティの次は戦車とはのー
芸を変えるのはいいが、もうお腹いっぱいじゃけー

木を隠すなら森の中で自分や仲間達の複製を大量に作りだす
起動条件:攻撃される、踏み潰される
トラップ:攻撃された方向に腐食溶解液を噴射
一度では効き目は薄いので、大量に用意して地道にやる方向
足の可動部が溶解して動きを止める、ビームや火器の発射口が腐食して使い物にならなくなるなどができれば最上の結果
それができなくても、動きを鈍らせたり、武器の威力が下がってくれれば儲け物
自分達の複製なので、同士討ちの心配もない

自分も複製を盾にしたりして、攻撃を凌ぐ努力をする


御影・雪乃
【恋華荘】で参加

まだ口の中にイカスミの風味が…。
あの甘い香りが漂う中、イカスミの風味はつらいものがありました…。
ともあれ、最後まできっちり倒してしまいましょう

●戦闘
前衛の後方から【コールド・ブレス】で攻撃。

確か炎を扱う方も居たと思うので、熱と冷気での金属疲労でボロボロにできないでしょうか。

●技能
範囲攻撃2、属性攻撃5、高速詠唱6、武器受け2、見切り3

●2度あることは3度あったら
天丼対応でまた同じ反応で返します。
平手のあとに、仕方ない人ですね…と呆れながら救助。
そして、助けてもらったことについては、ありがとうございますとお礼。


彩波・いちご
@雪乃
【恋華荘】の雪乃さんと

雪乃さん、なんかいろいろすみません…
帰ったらおいしいスパゲティ作ってあげますから、口直ししましょう
その前に、最後のお仕事ですね

【フォックスファイア】の狐火で攻撃します
雪乃さんが凍らせる攻撃をするので、熱と冷気の合わせ技で金属破壊です!

一応雪乃さんを守るため、私の方が少し前に出ますね
ビーム等の砲撃が来たら【かばう】技能で守りに行きますが……まさか2度あることは3度あるとかになったりしませんよね??
勢い余って押し倒したりとか、ないですよね?

あったら……平謝りですね
平手打ちのあとが両ほっぺたにつきそうです




「雪乃さん、なんかいろいろすみません……帰ったらおいしいスパゲティ作ってあげますから、口直ししましょう」
「まだ口の中にイカスミの風味が……。あの甘い香りが漂う中、イカスミの風味はつらいものがありました……」
 口元を抑える御影・雪乃(ウィンター・ドール・f06012)を彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が励ます。先程までの異形との戦いで最もダメージを受けているのは彼女ではなかろうか。
「……その前に、最後のお仕事ですね」
「最後まできっちり倒してしまいましょう」
 格納庫の更に奥、二足歩行戦車の巨体はこちらの戦力分析をしているのかカメラやセンサー類が盛んに動いている。
「スパゲッティの次は戦車とはのー。芸を変えるのはいいが、もうお腹いっぱいじゃけー」
 同型機との交戦経験のあるメイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)は相手の巨体に対しそんなコメントをする。正直な所、前座の方が敵としてのインパクトはあっただろう。
「なんだろうね、もちろんつよいことはつよいんだろうけど……。さっきのやつよりこわくないよ」
 レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)の言う通り戦闘力的な脅威としてはこちらの方が上位ではあろう。ただ先程の相手に比べればまだ理解の範疇である。理解出来る以上、脅威は感じても恐怖は幾分か薄まるだろう。
「すぱげってぃの次にまた奇怪なものがでてきたか……わらわの見方からすれば物の怪の類と変わらぬな」
 周りの落ち着いた様子を見取り、鍋島・小百合子(舞姫の女丈夫・f04799)は弓を取る。少なくとも武器の通じない相手では無いだろう。
「機械が奇怪と並ぶとは思い難いが」
「先生、あいつは狂気存在じゃあないけど、狂気の源であることは確かだ」
「総ては人類が孕んだ狂気の副産物か」
 ロバート・ブレイズ(冒涜翁・f00135)に対し虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)が自らの過去を思い返しながら返す。まだ体の全てが生身だった頃、幾つもの任務やその報告書の中に見た兵器。電脳工兵、遅滞戦術、そして対人制圧。それで失った戦友も何人も。
「アレに全てを壊されてイカれた奴を何人も知っている。戦争ってのは、合法的な狂気空間なんだよ。だから……」
「……故に我が身は冒涜の『器』と成り数多の有象無象を嘲笑う」
 即座に闇を引き寄せる冒涜翁の姿を見、志郎は話が早いと薄く笑う。彼もまた一人の電脳工兵として対峙する。戦闘用の機動端末をコールし、配置につかせる。
「電脳接続……往くぞファルシオン、包囲戦だ。ファミリア展開、畳みかけろ!」
 巨体に対し向かっていく様はまるで象に迫る羽虫のようだ。だがその勝負は単純な装甲の厚さや火力だけでは決まらない。何より今は他の猟兵達も一緒だ。戦車も猟兵達を明確な脅威存在と認識したのか全身に内蔵された火気を一斉に放つ。
「そのこうげきは、みなれてるの!」
 その砲門から攻撃が放たれるよりも早くレイチェルのサイコキネシスが相手の脚部を叩く。大きな損傷とは言えないものの制動を僅かながら崩されたことによって照準がずれて熱線や実弾による攻撃は猟兵達を逸れていく。
「そこが発射するところか!」
 敵の攻撃が身を掠める中で小百合子は冷静に矢を引き放つ。彼女の近くでは爆風が巻き起こるが、動じずに二の矢三の矢を放ち鋼の体に矢傷を増やしていく。だがそれだけでは無論敵の攻撃は止まず猟兵達の近くで大きな爆発が起きる。
「愉悦。恍惚。冒涜。至極――憶する事在らず、総てに大いなる否を宣告せよ」
 だがその中から飛び出したのはロバート。その身につけている服は炎に晒された割には不自然なほどに折り目正しい。その彼の拳には『影』が宿っており、そのまま装甲に叩きつけられる。
「たとえ機械でも『脅威』は判るだろう」
 大凡、人の身とは言えない攻撃。打ち据えられた部分には亀裂が生じている。目の前の狂機の電脳ではおそらく戦闘記録のデータベースを検索しているのだろう。相手が立ち直る前にいちごと雪乃が術を手繰る。
「狐火です!」
 先じて放たれたのはいちごのフォックスファイア。照準を再度合わせようとしている相手にフレアのように複数の炎が放たれる。それらは戦車の排熱速度を超える熱量を与え、装甲を熱していく。
「……次は凍りなさい」
 雪乃が次に続いて敵に撃ったのは無数の氷の礫。飛来し装甲に張り付いた氷は、熱された装甲を冷やし金属素材に急激な温度差を与える。刹那、耳障りな音が上がり敵の装甲に微細な傷が無数に生じている。それでも戦闘中にある程度の自己修復とシステムの最適化を行ったのか、胴体下部のビームキャノンが猟兵達に向けられる。そこから直ぐ様に無造作に立っていたメイスンを狙い撃つ。
「悪いがそりゃ外れじゃー。ま、引っかかった方が間抜けという奴じゃけーのー」
 それは彼女特製の人型のトラップ。仕込まれていたのは腐食溶解液、デコイから噴射された液体は先程生じた装甲の罅に染み込んでいく。ファルシオンの空爆が機体を揺らせばいずれ制御系にそれが到達するかもしれない。
「まだまだ用意してあるけーのー?」
 戦車と他の仲間達が応戦している中でひたすら用意していたのだろう。辺りには敵のセンサーに干渉する偽物が幾つか配置されていた。ならばと戦車はリスクを計算に入れたのだろう。全方位を対象に砲門を向ける。たとえ自機が撃破されたとしても一人でも多く猟兵を排除できれば次の作戦に繋げられると演算結果が出たのだろう。
「させない!」
 相手も衝撃を受けることを補正して射撃をし始めてきている。相手の体を揺らすことで対応はしきれないと、レイチェルは味方に届く実弾だけでもそらせようと念動力の壁を生み出して味方をかばう。
「無茶苦茶じゃのー」
 メイスンは自らの生み出した複製を盾にして隠れるが、それも時間の問題だろう。砲弾ならばレイチェルが何とか防ぐが光弾はそうは行かない。雪乃に向かって放たれたのはそれであった。
「……雪乃さん!」
 その時いちごに電流走る。『二度あることは三度ある』と。
「助けてもらったことについては、ありがとうございます。……平手は後で」
 少なくとも今は痴話喧嘩をしている余裕は無い。
「こわくないからって、ゆだんしちゃだめだもの。ていねいにやっつけるんだよ」
 レイチェルは相手を冷静に分析する。目の前の相手は先程の搦め手に比べれば、ずっとやりやすい。だからといって油断すれば命を持っていかれるだろう。それでも勝利は目前である、小百合子は全てのデコイが無くなる前に一気に勝負を付けようと指先に勇気の炎を灯す。その手で弓を引けば炎の矢が生まれる。
「……そこじゃ!」
 その視線は先程から砲弾を発射している砲口、狙いをつけて射れば、炎の矢が筒の中に吸い込まれていく。瞬間、砲塔の内部で大きく爆発が起き、周りの兵装も巻き込んでいく。
「今じゃ! かかれ!」
 彼女の声と共に駆け出したのは志郎とロバート。志郎は『王者の石』……変異してしまったコアマシンから力を引き出した拳を、ロバートは『立ち去れ』の字句を刻んだ鉄塊に獄炎こめて、崩壊寸前の敵機へと打ち込んだ。
 ――戦車の駆動音が止まる。殺戮機械は完全に沈黙し、機能は停止する。猟兵達はこの船の中にいた敵性存在を全て撃破した事となる。それを確認した彼らは、事後処理をしようと動き出す。その時、乾いた音が鳴り響く。
「すみません……」
 いちごの両頬に赤い手形が生まれている。その手形を付けた人物を今更語ることもないだろう。緊張の解れた彼らは来た道を戻っていく。まずは掃除から必要だろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月06日


挿絵イラスト