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贖罪の騎士

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●篝火を持て
 かつて、自らの民と領地を護らんと、異端の神に戦いを挑んだ騎士がいた。
 誉れ高き騎士であった。それゆえに多くの民が彼とともに戦場に赴き、そして死んだ。
 結果から見れば、彼は間違っていた。勝てるはずもないのに戦うことを選んだ。護るべき者たちを死地に追いやった。雄々しく尊ぶべき志を持っていたかもしれないが、それは蛮勇にすぎず、思い上がりにすぎず、分をわきまえぬ愚かしさにすぎなかった。
 騎士は絶望の中で過ちを悟った。だから――。
 彼が蘇ったとき、その空虚な心の内を占めていたのは「自らの罪を贖わねばならぬ」という想い――狂気だった。
 戦士たちよ、篝火を持て。篝火を持て。篝火を持て。永遠の命を得て蘇れ。

●火の手から救え
「お集まりくださってありがとうございます。新年早々ですが、事件です」
 口火を切ったのはダンピールのグリモア猟兵、ゾシエ・バシュカ(蛇の魔女・f07825)である。彼女はグリモアベースに集まった猟兵たちを見回し、……目を逸らした。咳払いして続ける。
「今回事件が起こるのは『ダークセイヴァー』の世界です。辺境のとある村がオブリビオンに襲われて、火の手に包まれてしま……っています。みなさんが到着するころには燃えています。すみません」
 ゾシエが予知したのは、数多くの亡者が手に手に篝火を持ち、村に火をつけて回る場面だったそうだ。亡者を止めようとする村人もいるが、太刀打ちできようはずもない。
「そこで、みなさんには現地に着き次第、村の人たちを避難させてほしいんです。命を護ることを優先したいですし、戦いに巻き込みたくもないので。……ですよね?」
 ついでに言えば、村人が死んでしまったら新たな亡者にされないとも限らないのだ。
 力に優れる者ならば、身を挺して敵から村人をかばったり、動けない避難者を運んだりできる。素早さや目端の鋭さがある者ならば、火の手や敵の合間を縫って避難者を誘導することもできるだろう。また、魔法の心得や秀でた知恵があれば、より柔軟に状況に対処できるはずだ。それぞれのやり方で村人たちを救ってほしい。
「私たちの目標は、村の人への被害をできるかぎり小さく抑えることと、亡者を指揮しているオブリビオンのいわば親玉を倒すことです。そういう存在がいるはずなので」
 ただし、親玉の姿は予知できなかったとゾシエは話す。
「でも、たぶん、亡者たちを倒していけば出てくるんじゃないかと思います。本当にあやふやで申しわけないですが、臨機応変に対応してください」
 予知の遅さと不完全さを詫びてから、ゾシエはもう一度猟兵たちを見やった。今度は目を逸らさずに。
「みなさんにならできるって、信じます。理不尽に散ってしまう命を、救ってあげてください。お願いします」
 そう告げ、ゾシエはグリモアを取り出す。猟兵たちを送り出すためのゲートが開いた。


kurosato
 はじめまして。それと、あけましておめでとうございます。新人マスターのkurosatoです。手探りではありますが、みなさんに冒険を楽しんでもらえるようがんばります。
 今回のシナリオは、燃え盛る村からの救出劇から始まります。能力値ごとにできることの例はオープニングに書きましたが、それ以外のやり方でもかまいません。あなたのキャラクターがどんな活躍をしたいのか、プレイングに込めて送ってください!
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第1章 冒険 『戦禍からの撤退』

POW   :    身をもって村人を庇ったり、力づくで村人を避難させる

SPD   :    隠れ道をさがし出すなど、技能を活用して村人を非難させる

WIZ   :    頭脳や魔法を活用し、村人を避難させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ゲートをくぐった先、猟兵たちが見たのは赤々と燃える篝火を手に村に迫る亡者の群れと、炎から逃げまどう村人たちの姿だった。
「篝火ヲ持テ……篝火ヲ持テ……」
 亡者はうわ言を呟きながら炎を広げていく。半狂乱になった村の若者の一人が、棒切れを手に打ちかかるが、亡者はものともしない。棒切れが若者の手から滑り落ちる。亡者が篝火を生者の眼前に突きつける。
「篝火ヲ持テ……コルヴェント様ノタメニ」
レイチェル・ケイトリン
わたしの得意な念動力技能で村人さんたちをたすけたりまもったりします。

かばうと吹き飛ばしの技能もつかって亡者をふっとばしたり、
もえちゃってくずれそうなおうちをささえて
なかからたすけてあげたり。

もえちゃってるものでもとおくからさわらないでうごかすの
わたしの取り柄なんだからがんばるよ。

そして、たすけてあげた村人さんたちは
みんな、わたしのユーベルコード、サイコゲートで。

念動力で作った「門」からとってもひろい亜空間にいれてあげる。
ここにいてくれればだいじょうぶだよね。

おうちとかはたけとかはどうしてあげることもできないけど、
なおしたりするのもあとでもちろんおてつだいするよ。

いまはせめて命だけでも。いきて!



絶対絶命かと思われたそのとき、不可視の力が亡者を押しやり、地面へと叩き伏せた。レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)の放った念動力である。レイチェルは若者と、緩慢に立ち上がろうとする亡者の間に割って入り、再び心の力で亡者を打ち据え、その手から篝火をもぎ取った。
 そして、中空に光を放つ“門”を描き出す。レイチェルのユーベルコード、『サイコゲート』だ。この“門”の向こうは時空を歪めて作られた広大な亜空間となっている。安全に目標を避難させるという用途に関してはもってこいの能力であるといえた。
「これにさわって。助けてあげられるから」
 若者は呆然とした様子でレイチェルを見る。
「でも村が。みんなが……」
「だいじょうぶ、みんなまもるから。おうちとかはたけとかはどうしてあげることもできないけど、なおしたりするのもあとでもちろんおてつだいするよ」
 だから、とレイチェルは続ける。青い瞳が若者の目と合い、意志を伝える。
「いまはせめて命だけでも。いきて!」
 その言葉と瞳に魅せられたかのように、若者はうなずき、おずおずと光の輪に触れる。瞬間、彼の姿は消え失せ、安全な亜空間へと吸い込まれた。
 まずは一人。瞳から意志の光を消さぬまま、レイチェルは燃え崩れた家のひとつへと歩を進める。手をかざすと、ガレキが自ら意思を持つかのように動き、跳ね飛ぶ。
 まだまだ救うべき人々がいる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポノ・エトランゼ
今は、村人たちを救うことに尽くしましょう。

「亡者は、後で私たちが必ず。今は逃げましょう!」
怪我で動けそうにない人がいて周囲に連れていける猟兵がいなかったら、生まれながらの光を。
「頑張って」
「さあ、こっちよ」
恐怖に動けない人もいるかもしれない。
声を掛けて、必要なら手を繋いだり、と。

【WIZ】
消火活動で道を拓く
他の猟兵と分担・協力し合いながら活動したいわね。
エレメンタルロッドを水属性に。
それに私の【全力魔法】乗せて、火が消えれば良いのだけれど。

【情報収集】【第六感】を働かせ周りをよく見て耳を澄ませておく。
逃げ遅れた人の情報を聞いたなら、または、屋内に逃げ遅れた人がいれば救出に。

アドリブOK


ジード・フラミア
メリア『私が少しだけですが先行シマス。 ジードは村人を守りながら。来てクダサイ。』

ジード「……わかった」


オルタナティブ・ダブルでの演出
もう1つの人格であるメリアが人形を使い、先行して隠れ道を探したり、亡者達が少ない場所を探す。ジードはその情報を頼りに、村人達を火や亡者達から守りながら進む。



優先すべきは、村人たちの命を救うこと。
 ポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)は、エレメンタルロッドを振りかざし、火の手をあげる家屋に向けて全力で水の魔法を放った。ジュウと水蒸気が上がり、火は消し止められる。
 焼け焦げた扉を破って入ると、逃げ遅れた親子――母親とその小さな娘――の姿がそこにあった。しかし、火傷と酸欠によって床に転がった二人は自力で立ち上がれる状態には見えない。
 ポノは朦朧としている親子の間に跪き、二人の手を取る。集中して、自らの内に眠る『生まれながらの光』を呼び覚ます。ポノの身体から聖なる光が溢れ出し、親子から傷を拭い去る。ほどなく目を覚ました二人に、ポノはほっと息を吐いた。
「来て。こっちよ」
 手を引いたまま立ち上がり、ポノは外へと駆け出した。
「今は逃げましょう。あいつらは、後で私たちが必ずなんとかするから……」
 言いつつ、ハッとする。ポノの優れた感覚は、逃げ遅れた人々の助けを求める声を聞き取っていた。二人を逃がすために、他は犠牲にするの?
「私タチに任せてクダサイ」
 逡巡するポノに声をかけたのは、ジード・フラミア(人形遣いで人間遣いなスクラップビルダー・f09933)……否、その少年の持つ女の子の人形「メリア」だ。メリアは自ら立って歩き、ポノに手を引かれた女の子と目を合わせる。不思議なことに、人形の口元がほころんで見えた。
「付イテ来て。怖くはアリマセン」
 娘はコクリとうなずき、母親とともにポノの手を離れた。メリアがジードのほうを振り返って言う。
「私が少しだけ先行シマス。 ジードは二人を守りながら、来てクダサイ」
「……わかった」
 ジードはそれだけ答えると、親子に小さく会釈した。メリアが先導し、ジードが守る。二つの人格と二つの“身体”を持つがゆえに可能となる役割分担だ。
「頼んだわよ!」
 ポノの念押しに、ジードが首肯する。メリアは手を振って応えてみせた。手馴れた様子で足早に親子を連れていく“二人”の背中を一瞬だけ見送ってから、ポノもまた駆けた。猟兵として、苦しむ人の声に応えるために。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

六代目・松座衛門
「村人たちの安全を確保するには!」

現場に着くと直ぐに【錬成カミヤドリ】を発動!操り人形の「×」パーツ(手板)の複製を生み出し、村中に飛ばすぞ。

そして、無人の家や茂みで音を立てて、亡者たちの注意を引き、村人たちの避難を支援。

「姿勢を低くして、付いて来い!」

場合によっては、人形で亡者たちへ【だまし討ち】をしかけ、無力化する。

出来れば、他の猟兵たちが安全を確保してる地域に避難誘導しよう。

【SPD】選択。連携、アドリブ歓迎


セフィ・イーンヴァル
……っ! 酷い……
早くみんなを助けなきゃ!

燃え盛る炎と私の氷の術、通用するかどうか試させてもらうよ
私のユーベルコードで、有りったけの氷を火にぶつけます
氷で壁を作って、そこから村人さんたちを逃がそう!
もとは攻撃するための術だけど、
氷を集中させればこういうこともできるんだ
「こっちは安全だよ! みんな来て!」
一人で歩けない人はお手伝いするからね
だから今は……どうか、耐えてください…!

避難できた人に怪我をしている人がいたら、
とりあえずの応急処置をしておくね
全部片付いたら、ちゃんとした手当てをしなきゃね



火の手の上がる村の中心で、六代目・松座衛門(とある人形操術の亡霊・f02931)は亡者たちを攪乱していた。『錬成カミヤドリ』――器物であるヤドリガミ自らの複製体を作り出し、念力で操作するユーベルコードだ。松座衛門が生み出すのは×型に組んだ木製の板、あやつり人形の手板である。その数は20近い。
 松座衛門の思念に呼応し、手板が四方へ散っていく。無人の家に体当たりさせて音を出す。あるいは繁みを揺らす。彼の狙いは、あたかもそこに人がいるかのように見せて、亡者たちを引きつけることであった。そして、それは功を奏しつつあった。
「篝火ヲ持テ……」
「コルヴェント様ノタメニ……」
 数体の亡者がよろめくような足取りで迫ってくる。篝火を掲げ、繁みを焼き払い、家に火をつける。そこには誰もいないのに。
「行くぞ。姿勢を低くして、付いて来い!」
 好機と見て、松座衛門は自らが助け出した村人たちに鋭く指示し、走り出す。行く手には燃え盛る炎が待つが、気にもしない。なぜなら。
「其は原初の力、其は蒼き光、其は氷の揺籃なり――」
 セフィ・イーンヴァル(氷晶の乙女・f00065)が天使の翼をはためかせ、自身の身体から冷気を放つ。『蒼き氷晶の揺籃』によって生まれた氷の壁が、炎を封じ込めた。元は攻撃のための術だが、氷を集中させればこのような芸当も可能なのだ。ユーベルコードは世界法則をも覆す。自らの術を曲げられないはずもない。
「こっちは安全だよ。みんな来て!」
 セフィは怪我人に肩を貸し、励ましながら歩を進める。痛くても、苦しくても、今はどうか耐えて。
 しかし、どうしたところで素早いとはいえない。亡者たちがついに謀られたことに気づいた。亡者に感情があるのかどうかはわからないが、怒りでもしたかのように火を振りかざし、迫る。
 松座衛門は再び複製体を操った。鳥のように殺到した手板の群れが亡者をついばむかのように翻弄し、その足を止める。振り回される篝火でいくつかが砕けるが、構うまい。一瞬でも動きが止められたのだから。
 その一瞬を使ってセフィは冷気を放ち、氷の壁を作り出す。“あちら”と“こちら”が隔てられ、亡者はもはや、氷の壁を砕くか道を迂回するかしかない。どちらにせよ、時間稼ぎには十分だった。
 二人の猟兵に導かれ、村人たちは無事に危機を逃れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蔵座・国臣
この世界は、どこもかしこも酷いものだ。仕事が絶えん。

私の装備から避難先を用意しよう。
遠すぎず、火の手が届かないところ、か。水が近く開けた場所でも用意できればいいが…バイクで駆け回ってなるべく早く場所を決めねばな。最低限、開けてさえあれば亡霊の追撃を察知できるだろう。

他猟兵達にはそこに村民達を連れて来て欲しい。
火傷を中心に外傷治療の用意をしておく。猟兵であれ、負傷した者は言ってくれ。猟兵にはユーベルコードを用いて治療する。贔屓ではないぞ、諸君らを使い倒さねば事の解決が望めんのでな。

戦闘はもちろん出来るが、治療を優先したい。
人数次第では、猟兵から避難先の護衛に頼んでも構わないだろうか?



蔵座・国臣(装甲医療騎兵・f07153)は『鉄彦』と名付けたバイクを駆る。着いたのは、燃え盛る村からは少しばかり離れたところだ。どうやら、敵の姿もない。そして、おあつらえ向きに小さな川がある。水が清潔かどうかはわからないが、持参した医療キットがあれば浄化して使うことができるだろう。……どうやら、このあたりがよさそうだな。
 国臣が自らに与えた使命は、戦うことそのものではない。避難した村人を休ませ、治療を施すための拠点を設営することだった。手早く出張医療キャンプを広げて、他の猟兵に避難場所の伝令を頼んだ。
 『ダークセイヴァー』の世界に合わせて設えた幌布のテントを見やりながら、ひとりごちる。
「この世界は、どこもかしこも酷いものだ。仕事が絶えん」
 薄く流れてきた煙の臭いに、眼鏡の奥の目をわずかにしかめた。静かなのは今だけだ。ここはもうすぐ、「もう一つの戦場」になる。ひとつの、あるいは多くの命の生き死にが、ここで決まる。

大成功 🔵​🔵​🔵​


予想通りというべきか、猟兵たちに送り届けられた村人たちによって、すぐに避難所は喧騒の巷となった。無論、多くの村人を救えているということであり、喜ばしいことだが。
 なんの怪我もなくここまでたどり着いた者はほとんどいない。避難者には多かれ少なかれ治療が必要であった。治療を手伝う猟兵たちは忙しなく働き、さらなる村人を救出せんと村に戻る猟兵は休憩もせずに再び駆け戻っていく。
 避難した村人たちの間に、ひとつの名前が飛びかっていた――コルヴェント。亡者たちが呟いていた名前である。
 いつの昔の話なのかは、もはやわからない。かつてこの地にありて、異端の神に戦いを挑んだとされる騎士の名だった。
 誉れ高き騎士として伝えられ、しかし同時に、身の程知らずを諫める教訓話にも引き合いに出されるその名前。
 亡者たちを作り出しているのは、その騎士、コルヴェントだというのだろうか?
ガルディエ・ワールレイド
◆心情(上手く言語化できない激情を抱く騎士)
ダークセイヴァーで騎士なんて名乗っても高が知れてる……本当に守りたいものだって守れやしない!
だが、だが、それでもっ!!

◆行動
【POW】
身体を張って村人を庇うぜ
あと可能なら他の猟兵と連携するぜ

敵と交戦するかもしれねぇが、あくまで避難第一だ
村人が退いた後なら力任せに吹き飛ばしたりして一時無力化を狙う
ドラゴニック・エンドを当てたら俺は竜は追撃してる間に退いて別の村人を助けるぜ

ただ一本道に近い場所でここを食い止めれば効率的に皆を逃がせるとか、逆にもう後が無いとかいう状況では踏みとどまる

村人には声をかけ続ける
「諦めんな!奴らは俺達がなんとかしてやる!生きろ!」



篝火が振り降ろされ、逃げ遅れた女性の脳天を砕かんとする。だが、横合いから差し出された黒剣が一撃を防いだ。ガルディエ・ワールレイド(黒竜の騎士・f11085)の剣だ。
「逃げな! 速く!」
 へたり込んだ女性を叱咤し、ガルディエは亡者と剣を交える。彼の心は、亡者の主と目される騎士、コルヴェントに向いていた。ガルディエ自身、自らを『騎士』と名乗っている。ゆえに、退けぬ戦いがあることもまた、よく理解していた。
 しかし世界は残酷だ。この夜と闇の世界においては、人はあまりに無力で、守りたいものだって守れはしない。……そのこともまた、よく理解していた。
 だが、それでも!!
 ガルディエは槍の一撃を放った。狙いは過たず亡者を刺し貫き、次いで召喚された竜がその爪牙で引き裂く。
 亡者の相手を一瞬、竜に任せて敵に背中を向ける。女性の手を取り引っ張り上げて、駆ける。あくまで、彼は村人を逃がすことを考えていた。
 走り抜けた後、手を放して「行け」と告げるが、ガルディエは彼女の瞳に色濃い恐怖を見た。それを吹き消したくて、叫んだ。
「諦めんな! 奴らは俺達がなんとかしてやる! 生きろ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴォルフガング・エアレーザー
民を守りきれなかった騎士か……その無念、察するに余りある。
だが……否、だからこそ、絶望の因果はここで断ち切らねばならん。

今はただ、目の前の惨劇を防ぐことが先決だ。
罪のない村人を巻き込むわけにはいかんからな。

火災現場へ飛び込み、仲間たちとも協力して逃げ遅れた村人を救出する。
子供や老人、怪我人は抱えられるだけ抱え、行く手を阻む瓦礫は力ずくで除去。
倒壊した壁や燃え盛る梁が落下し村人が下敷きになりそうになったら、身を挺して庇い無敵城塞を発動。
救助対象全員がその場を離れるか、柱が炭化して自力で除けられる軽さになったら無敵城砦を解除し救助活動を再開。

俺なら大丈夫だ。皆、俺に構わず早く逃げろ……!



ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)にとっても、守るべき民を守れなかった騎士の無念は察するにあまりあった。
 だが、今彼が護るべきは罪のない村人たちだった。目の前の惨劇を防ぎ、絶望の連鎖を断ち切らねばならない。
 絶望の声を聞きつけて火に包まれた家屋に飛び込み、持ち前の力でガレキを崩し、生存者を助け出す。九死に一生を得た子供たちを抱えて外へ飛び出した。
 しかしその時、逃がさないといわんばかりに、燃え落ちた梁が落下した。避けることなどできはしない。彼らの命運はここで尽きると定められていたのだろうか?
 ヴォルフガングがそうはさせない! 身を挺して梁を支え、子供たちをかばう。『無敵城塞』、その場から動けないかわりに、超防御力を得るユーベルコードだ。
「俺なら大丈夫だ。皆、俺に構わず早く逃げろ……!」
 無理にでも口の端に笑みを作ってみせる。子供たちは言われた通りに逃げ出した。何度も何度も振り返りながら。
 これでいい。
 屋根までもが炎の舌に焼かれて落ちかかり、すべてが崩れてヴォルフガングの頭上に降り注いだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニレ・トレゾァ
負けると、分かっていたとしても
戦わなければいけない時があると、誰かが、そう言っていました。
わたしは、何と戦わなければいけなかったのか。もし聞けるなら、彼の答えが知りたいのです。

あなたたちが、焼き尽くす火なら、わたしは、未来の灯になりたい。
ユーベルコード生まれながらの光を使い、希望を燈し、人の傷を癒しながら仲間と連携し避難誘導を。
光は疲労を考え、優先すべき人から。

勝てるはずもない戦いを選び、護るべき者を見ずに失った。
絶望の中でそう後悔しながら、亡くなった方がいたそうです。
亡者を止めようとする村人の方に、繰り返す過去と現在の中で
あなたは、何を護りたいのですか、と。
…答えはあなたにしか分かりません。



ニレ・トレゾァ(うつくしい昔・f11261)は炎の赤に染まる村をたゆたっていた。留まるでもなく、駆けるでもなく。黒煙と火花が空気中を漂うなか、どうしたことかその片翼と白妙の装束にはひとつの汚点もなかった。
「誰か、助けてくれ!」
 ガレキの中から村人を救い出した猟兵が声をあげる。その村人は傷つき、気を失っていた。ニレは手を組んで祈り、発せられた聖なる光が彼を癒した。
「立てますか?」
 村人は猟兵の手を借りて立ち上がり、ニレに礼を言ってから連れられて行く。そちらに、とニレは彼らが辿るべき道を指し示す。その背中はゆっくりと小さくなっていく。
 負けるとわかっていたとしても、戦わなければならないときがある。ニレは、いつか誰かに聞いた言葉を反芻していた。
 わたしは、なにと戦わなければいけなかったのか。その答えを聞いてみたい。
 彼女の視線の先で、さらなる亡者たちの群れが村を目がけてやってくるのが見えた。
 あなたたちが、焼き尽くす火なら、わたしは、未来の灯になりたい。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『篝火を持つ亡者』

POW   :    篝火からの炎
【篝火から放たれる炎】が命中した対象を燃やす。放たれた【赤々と燃える】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    篝火の影
【篝火が造る影に触れた】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    新たなる亡者
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自分と同じ姿の篝火を持つ亡者】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「篝火ヲ持テ」
 新たな亡者の一団が村へとなだれ込んできた。猟兵たちとの交戦で倒れた亡者は灰の塊となり風に吹かれていたが、現れた亡者が篝火を突きつけると燃え上がり、その炎の中から再び――緩慢に――立ち上がった。
 これは永遠の命なのか、それともかりそめの邪法にすぎないのか。決まっている。無論、後者だ。そうだとしても、敵が弱くなるわけではないのだが。
 そして、猟兵たちは見る。亡者の群れに導かれ、黒馬に乗り炎の剣を掲げた騎士の姿を。
 騎士コルヴェント。オブリビオンと成り果てたかの騎士を討ち取るためには、この亡者の群れを祓わねばならない。
ヴォルフガング・エアレーザー
以前俺は、あれによく似た亡者と戦ったことがある。
あの「影」に触れると、こちらからの攻撃は当たらなくなる。
上からの炎と足元の影。両方に気を配るのは至難の業。
なら俺が囮となって隙を作ろう。

戦士としての経験と野生の勘で、敵の攻撃を先読みし、かわす。
影に触れていない間はブレイズフレイムで攻撃。
影に触れれば俺の攻撃は敵に当たらなくなるが、逆に俺にも攻撃を当てさせない。
挑発を繰り返しながら亡者達の注意を引き、攻撃の矛先を自分に引き寄せる。
追い詰められ逃げ切れなくなったら無敵城塞発動。

俺が敵を引き付けている間に、奴らの隙を突け。頼んだぞ!



篝火を持つ亡者が迫る。ヴォルフガングは以前、よく似た敵と戦ったことがあった。いくつかの注意するべき性質――篝火から放たれる炎。その火の作る影に触れた者の攻撃を予測し、回避する能力。そして先ほど見た、戦場で倒れた者を同じ亡者と化して操る能力。
 吹きつける炎を躱し、かつその影を踏まない。亡者と相対する猟兵は、その二つを要求される。一体一体は大して強くはない。だが群れを成せば至極面倒な相手だった。
 なら、俺が囮となって隙を作ろう。ヴォルフガングの考えはシンプルだった。亡者の群れに飛び込み、ブレイズフレイムを見舞うと、敵の一体が地獄の炎に包まれ、灰となり崩れる。これはあいさつ代わりだ。
「貴様らの相手は俺だ!」
 ヴォルフガングは疾風の青狼となって群れを翻弄する。戦士としてつちかってきた経験、そして研ぎ澄まされた狼の勘で四方からの炎をかいくぐり、致命の一撃を紙一重で躱す。
 彼自身の繰り出す攻撃の多くは、亡者の影の力で避けられてしまう。しかし、かまうものか。亡者に感情があるのか確信は持てなかったが、ヴォルフガングは敵に“いらだち”の匂いを感じ取っていた。戦場においては死神となるような。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

六代目・松座衛門
「倒しても直ぐに立ち上がってきやがる!あの篝火をどうにかしねぇと!」

【人形「暁闇」】に【多節棍「双爪丸」】を取付け、4本腕へ変化。
さらに、周囲の水辺か他の猟兵が放つ水系のUCをかぶりつつ、亡者たちの群れへ人形を突撃させる。

「濡れていれば、多少は燃えにくいだろ?くらえ!「角砕き」!!」

体当たりで体勢を崩しつつ、【双爪丸】の補助腕で篝火の杖を牽制し、確実に亡者へ右ストレートをお見舞いする。

倒した亡者の篝火の杖は回収して、火が消せないか試してみたり、亡者たちが散開しないよう足止めに専念する!

【POW】選択。連携、アドリブ歓迎


レイチェル・ケイトリン
みんなのうしろにいて念動力と吹き飛ばしとフェイントの技能で
サイコキネシスをつかって敵を攻撃してふっとばすよ。

みんなの影をふまないように念動力でかるくういて、
わたしの攻撃をよけられないようにするよ。

敵からの炎もふっとばしてふせぐよ。
ほかの猟兵さんへのほのおもかばう技能もつかってふせぐよ。

敵をやっつけたら、その体とか灰とかはサイコキネシスで
とおくにはこんじゃうよ。
「亡者が篝火を突きつける」と起き上がるみたいだから
それがとどかないとこにおいとくね。

よわくなるみたいだけど、つぎのがうしろにいるんだから、
さっさとかたづけないとね。



「叩きこむ! 一ノ型『角砕き』!」
 目にも止まらぬ速さで亡者に体当たりを仕掛けたのは、松座衛門の操る人形『暁闇』だった。ぐらり、とたまらず体勢を崩した敵に、間髪入れず渾身の右ストレートを叩きこむ。手ごたえあり――亡者の頭が脆くもはじけ飛んだ。
 松座衛門はさらに糸を繰り、『暁闇』が戦列を乱し隙を見せた亡者にすかさず突撃していく。振り払おうと亡者が篝火を振り回すが、それも鉤爪つきの補助腕でいなす。懐に飛び込めさえすればこっちのものだ。再び、三たびと小さな人形の拳が閃くたびに敵陣が崩れていく。
 しかし、それだけでは亡者を倒しきることはできない。篝火を突きつけられ、倒れた亡者がのろのろと再び起きあがる。松座衛門は舌打ちして叫んだ。
「キリがない! 倒しても直ぐに立ち上がってきやがる! あの篝火をどうにかしねぇと!」
 さらに、もう一体の亡者が灰と化した亡骸に火を近づける。が……その亡骸は突如として弾かれたように地面を転がり、崩れながら篝火を避けた。仲間をよみがえらせようとしていた亡者のほうも、次の瞬間金縛りにあったように全身を強張らせ、動きが止まった。
 松座衛門もまた、敵の不自然な行動に戸惑いを覚えたが、チャンスを見逃す手はない。『暁闇』の突撃が刹那のうちに偽りの生命を屠る。
「まかせて」
 後ろから無機質な声がかかる。敵を止めたのはレイチェルの『サイコキネシス』だった。彼女自身も念動力でわずかに宙に浮かびながら、不可視の斥力で亡者の足を止め、篝火をもぎ取っていく。
「つぎのがうしろにいるんだから。さっさとかたづけないとね」
 吹きつける炎の舌を自身が纏うオーラで防ぎながら、レイチェルがどこか余裕ありげに言った。加勢を得た猟兵たちが勢いに乗じて攻勢に転じる。大剣が、人形が、見えざる力が敵陣を切り裂き、蹂躙していく。レイチェルの告げた通り、ここに至ってこちら側での戦いの趨勢は決しようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニレ・トレゾァ
あなたたちは、永遠に何を望むのでしょう。
そして、永遠とは、なんでしょうか。

ある人は言いました。
限りを愛せたその時、初めてその想いは永遠に続くのだと。
わたしは、あなたたちを見て、そんな言葉を思い出しました。

世界は、いつも正しく応えられます
あなたたちの、今の答えにも。

戦闘は生まれながらの光でみなさんの支援に。
片翼では高く飛べませんが、光は見え、近くに感じられると思います。傷の状況をよく見る為、みなさんの、少し後ろに居させてください。
新たなる亡者
その悲しみと、苦しみを増やさない為に、わたしが今できる唯一、ですから。

あなたたちが初めに望んだ
『護る為に戦う』
わたしはその言葉が、すごく、いとおしいのです。



あなたたちは、永遠に何を望むのでしょう。そして、永遠とは、なんでしょうか。
 ニレは仲間の猟兵たちを癒すため、片翼をはためかせ低く飛びまわっていた。答えられるはずもない問いかけを胸に抱きながら。彼女は亡者となったかつての戦士たちを、虚ろと化したかつての騎士を、――あえて感情に名前をつけるならば、憐んでいた。
「傷をよく見せてください」
 傷ついた仲間のもとに降りたち、温かな光で癒しを施す。この光は世界の答えだった。どんな暗闇にさえも光は宿る。その証明。彼女に唯一できること。
 亡者たちの掲げる篝火は赤々とまばゆいけれど、それが為すのはただ悲しみと苦しみを増やすことばかりだった。それは永遠を象徴するものではなかった。過去の繰り返し、昨日の残響、ただ、終わりがないだけでしかない。
 限りを愛せたその時、初めてその想いは永遠に続くのだと。誰かが言っていた。
 あなたたちが最初に望んだのは、誰かを護るために戦うこと。その言葉をいとおしく思えばこそ。
 歪んだかたちで望みを叶えられてしまったあなたたちのことを、わたしは。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィ・イーンヴァル
まずはこの亡者たちを何とかしなきゃね

積極的に、『蒼き氷晶の揺籃』で攻撃していくよ
片っ端から氷らせて動きを封じるから、みんな、
その間にどんどん倒しちゃってー!

自分が攻撃を受けそうになったら、オーラ防御で耐えるね
もしくは第六感で避けられる…かな?

……この亡者たちも、元は人、だったんだよね
望んでこんな姿になった訳じゃない
もう未来がないのなら、せめて安らかに……
氷の揺籃で眠らせてあげる
永遠の命なんて、どこにもないのだから


ジード・フラミア
メリア『大切なボディなのデスが……まァ、人形遣いの人形なので多少、雑に扱われテモ仕方ないデスカネ!』

ジード「…ご、ごめんね、メリア 攻撃よろしく頼むよ。」

『彼女』の体が曲がる普通の人なら曲がらないだろう形に、しかし人形であるメリアのボディはおかしな形に曲がる。それだけでも人から離れていくのに、回りから崩れた家々から瓦礫が『彼女』に纏わり付く。ジードのスクラップビルダーの力だ。そして、『彼女』の体は変わる。

炎が高く昇るのとは対象に低くなる。沢山の敵を葬れるように手脚が多くなる。その姿はまるで蜘蛛だった。



という訳で、炎から、身を避けるように低く、蜘蛛のようになって、素早く攻撃します。



セフィとジードは燃え落ちた村の一角で、亡者の群れの片翼と相対していた。
 セフィの放つ『蒼き氷晶の揺籃』。氷の楔が降り注ぎ亡者の身体を凍らせ、地面につなぎ止める。疲労にもかまうことなく、セフィはユーベルコードを連発し、とにかく敵の群れを押し留めようとしていた。
 しかし、動きは鈍くても敵の数が多すぎる。対応しきれなかった一体の亡者が篝火から炎を放ち、セフィを攻撃する。すんでのところで避けたものの、このままではジリ貧だ。
「うわっ! ……ジードさん攻撃まだですか!」
「……もうちょっと……」
 村はいまや崩れたガレキだらけで、つまり、スクラップビルダーたるジードにとっては素材の山がそこにあるも同然だった。少女型の人形、メリアがこれから行われることについて、ジードに対して不満をぶつける。
『大切なボディなのデスが……まァ、人形遣いの人形なので多少、雑に扱われテモ仕方ないデスカネ!』
「ご、ごめんね、メリア……」
 謝りつつも、ジードは常人には理解できない法則をもってガレキを組み上げ、“武器”を形作っていく。メリアの身体にもまた、異変が起こる。普通の人間ではありえない方向に関節が、そして曲がるはずもない場所が捻じれていく。人間ではない、人形だから。
 ジードの“武器”をメリアが身に纏っていく。できあがったのは人間を離れた異形の姿。さしずめ、ガラクタ製の蜘蛛のよう。見る者によっては多脚戦車と呼ぶかもしれない。篝火の放射を避けるために姿勢は低く、素早く多くの敵を屠るために、手脚は多く。コンセプトはそんなところだ。
「……よろしく頼むよ、メリア」
 メリアは嘆息したような音を鳴らして敵の群れと相対する。動きは俊敏だった。気持ち悪いほどに。瞬く間に一体の亡者を砕き、横っ飛びに跳んでもう一体。
 篝火の影に入れば動きが読まれる。だが関係はない。
 セフィが蒼き光とともに冷気を放ち、亡者の動きを止める。メリアの脚が粉砕する。
『コリャいいデス!』
「どんどん倒しちゃってー!」
 加速していく連携に、亡者の群れは瓦解していく。セフィは心のなかで、かつて生きた人々に祈った。
 もう未来がないのなら、せめて安らかに。永遠の命なんて、どこにもないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ガルディエ・ワールレイド
あそこに見えんのがコルヴェントか……

◆方針
新手の中に俺達を無視して村人のいる方へ向かう奴がいないかだけは戦いの最中でも注意だ
そんな奴に気づけば自分で止めるか、そいつに近い猟兵へ連絡の声をあげる

◆戦闘
【黒風鎧装】を使って黒いドラゴンの姿に変身するぜ
(ドラゴニアンの巨漢より更に一回りか二回り大きいくらいのイメージ)
爪や尾での薙ぎ払いで周囲を攻撃
これは後衛陣の方へ敵がいかねぇように防ぐ牽制も兼ねてるぜ
敵が散らばってたり、薙ぎ払いに対応してきたりしたら牙でも攻撃
その時は牙からの【生命力吸収】【吸血】で体力を補給もしとく

あと、敵に攻撃の起点になってる、炎、影、死体には注意を払って対処を心がけるぜ


ポノ・エトランゼ
決断は、その時、その世に生きる貴方たちのもの。
例え結果が間違っていたのだとしても、正しき道であると信じた故のもの。
彼らがかつてした決断、その志は、今の世ではとても勇気あることだったと思う。
願った未来への道は確かにあると、そう思うから。
彼らの蛮行を止めたい。

どうか、心安らかな永遠の眠りへ。

仲間の援護を意識して立ち回るわね。
主に、篝火の影に触れた猟兵のサポートへ。
篝火の影が届かない場所から、技能『スナイパー』『援護射撃』を使って、回避されそうな猟兵の攻撃の援護をする。
亡者を射抜いて、仲間の攻撃が当たるように、敵の隙を作るよう努めるわ。

千里眼射ちも行うけれど、不意を打たれないよう心掛ける

アドリブOK



黒竜の騎士は吠えた。
 ガルディエは真の姿を解放し、篝火を持つ亡者へと殺到した。漆黒の風が騎士の姿を包み込む。旋風の繭を破り現れたのは、闇色の竜の巨躯であった。
 尾が薙ぎ払う。爪が引き裂く。嵐のごとき暴威がガルディエを中心に渦巻き、ことごとく亡者たちを灰に変えていく。篝火からの炎をまともに突進して破り、その亡者を喰らい、偽りの生命力を喰らう。
 たぎる衝動に突き動かされつつも、ガルディエの心の芯は冷静なままで周囲を見ていた。亡者たちはまるで怖気づいたかのように黒竜を遠巻きにしつつ、ゆるやかに囲い込もうとしていた。亡者たちが篝火を高く掲げ、影が伸びる。やつらには影による回避と、蘇生がある。このまま一息に倒しきれなければ……。
 だが、ガルディエの動きは「後衛と連携するため」に仕組まれたものだ。黒竜の爪を避けようとした亡者が、突如胸に突き刺さった矢に唖然とした――ように見えた。次の瞬間には倒されていたので、さだかではない。
 矢を放ったのはポノだ。残された家屋の屋根に上り、敵を一望できる高所に潜んでいたのだ。篝火の影はここまでは届かない。
 二の矢、三の矢を続けざまに射る。一矢で仕留める必要はない。一瞬でも隙を作りさえすれば、今のガルディエには十分すぎる。吹き消される蝋燭のように篝火が消えていく。
 ポノは弓に矢をつがえ、息を止めて精神を集中した。亡者たちへの想いが一瞬だけ心をよぎる。
 戦いに赴こうとした彼らの決断。その勇気を賞賛する。たとえ、後でその結果を間違いと言われようと。彼らの願った未来のために、彼らを止めたい。
 どうか、心安らかな永遠の眠りへ。
 ポノは矢を放った。亡者の心臓を射貫き、あるいは篝火を持つ手を射貫き、紫水晶の瞳が見るすべての“敵”を射貫く。
 もはや動く者はいなくなり、亡者の手からこぼれた篝火も黒い煙の尾だけを残して消えた。
 息をつく。
「まだだ」
 ガルディエが牙を剥きだして警告する。まだ終わっていない。この世のものでないギャロップが聞こえた。迫ってくる。
 その幽鬼の騎士は漆黒の軍馬にまたがって現れた。呪われた炎の剣を掲げる。
 ――コルヴェント。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「おお、おお。我が戦士たちがまたも、かくも無残に死したるとは!」
 その騎士が発したのは嘆きの言葉だった。
「民を死地へと追いやった我が罪は、かの者たちを冥府より呼び戻すことのほかに贖われえぬ」
 騎士の言葉に込められた熱情とは裏腹に、その声は石のごとく冷たく、幽世から響いていた。
「此は我が得たる祝福なり。そなたらは何故に永遠の命を厭う? 篝火持ちて我が祝福を受け入れよ。墓無き者たちの列に加われ。我はこの地に永遠の約束の地を築かんとするものなり」
 漆黒の馬は棹立ちになり、騎士は炎の剣を天高く掲げた。忌まわしき火が眩く夜を照らしていた。
レイチェル・ケイトリン
必死にがんばって、それでもどうにもできなくて、
ほんとにつらい想いをして、それでたどりついた……

のかもしれません。でも、放火して、止められてから言っても。

『人から見たらただの放火魔』

という自分の在り方も自覚できてないんですね。それなら、


念動力と吹き飛ばしの技能でサイコキネシスをつかって
敵を攻撃してふっとばすよ。

敵の攻撃もふっとばしてふせぐね。
ほかの猟兵さんへの攻撃もかばう技能もつかってふっとばすよ。


でも、できるなら、カウンセラーさんに会わせてあげたいよ。
『心の患者さん』かもしれないっておもうから。

わたしの力は心の力。だから、とりもどせる心はとりもどしてほしいもの。

たたかうことしかできなくてもね。


ポノ・エトランゼ
 無残に死した……それを、あなたが言うの。
 墓無き者かもしれない。
 けれど、願った未来は種となってこの大地からいつか、芽吹くかもしれない。
 掘り起こしちゃ、だめ。
 騎士よ、貴方も眠りについて。

・WIZ活用
 とても強そう。
 私も攻撃したいところだけど、皆さんの体力を考えて回復に専念するわ。
 生まれながらの光を。
 技能「全力魔法」と「祈り」を使って。
 敵の攻撃については、エルフクロースの身かわし、キャヴァリアーズで盾受けしていなしたり、かしら。
 回避にも限度があるだろうけど……うん、敵の動きをよく見て、頑張るわ。
「情報収集」で敵に挙動に異変に気付き見当がついたら、都度皆さんに報せたいわね。


六代目・松座衛門
「あんたの気持ちはわかるよ。でも、討つべき異端の神がまだいるこの薄暗い世界に蘇らせて祝福だと? 笑わせるな!」

【真の姿】仮初の肉体を霧散させ、自身の器物「人形の十字形の操作板」となり、【錬成カミヤドリ】での複製と共に、人形【暁闇】の周りを旋回しつつ、各部へ糸で繋がる。

。○(より複雑に、より速く、より力強く!!)

自身の用途である「人形を操作すること」を満たすことに集中することで、自身が「人間」であった時にはできなかった、「人外」の動きを人形にさせつつ、軍馬に跨る騎士へ機動戦を仕掛ける。

。○(この状態だと知覚できるけど、発声できない。連携には注意しよう!)

【SPD】選択。連携、アドリブ歓迎


セフィ・イーンヴァル
そんな希望も何もない永遠なんて、冗談じゃないよ
あなたはきっとそれしかないと思っているかもしれないけれど…
いや、わたしも流石に死んだことはないから、想像するしかないけど
あなたはとっても苦しそうに見える
…だから、ここで眠らせてあげるね
この『祈り』が届きますように

積極的に『全力魔法』で攻撃していくよ
ここまで来たら、真っ向勝負!
騎士からの攻撃は『オーラ防御』で何とかするね

全部は受け止めてあげられないけれど、
その怒り、苦しみ、悲しみ……全部ぶつけにきなさい


ジード・フラミア
ジード「罪を贖うために次の罪を犯すなんて、悲しい人だね……」
メリア『ハハハ、タダの自己満足デスネ! オカシイ奴デス。 ……まあ、オブリビオンデスカラネェ。 ワタシはこのままあのオブリビオンに突っ込みマスよ!』

ジード「……そうだね、僕がバックアップするから、メリアはこのままあの騎士、『コルヴェント』を終わらせて!」

という訳で、メリアは人形なので『ブラッドサッカー』を気にせず蜘蛛の形態のまま突っ込んで攻撃しに行きます。(他の猟兵より低いから、同時に攻撃は為難いはず……!)

ジードは少し後ろで残った亡者を屠ったり、メリアに新しい武器を装備させたりします。


ガルディエ・ワールレイド
「騎士に永遠の命が有るならば!それは語り継がれる勲のみ!生前のテメェは間違えたんだろうさ。だが、その魂は尊敬するぜ。だからこそ、今のテメェを討つ!」

(武装は【怪力】と【2回攻撃】を活かすハルバードと長剣の二刀流

【存在証明】を防御重視で使用するぜ
前衛として【武器受け】を駆使して立ち回るし、仲間に通ってヤバそうな攻撃は【かばう】
被弾する時は【オーラ防御】

武器を受けて、体勢に余裕があれば他方の手から反撃
攻撃が決まれば【生命力吸収】で体力を削るぜ

軍馬対策は馬の脚を【なぎ払い】
フォーリングローゼスは多分俺が下がっても意味ねぇから、味方の密集地に飛び込ま無ぇよう抑える
勝負場面と判断すれば【捨て身の一撃】だ


ヒビキ・イーンヴァル
ずいぶん好き勝手なこと言ってんな、この騎士さんは
自分の考えが絶対だなんて勘違いも甚だしいんじゃないか
……まあ、気持ちだけはわからなくもないが

っと、問答してる暇はないな
悪いが倒させてもらう
俺のユーベルコードで綺麗に燃えてくれ
炎を使うんだったら、こっちも負けちゃいないんでな
『属性攻撃』乗っけて、ついでに『2回攻撃』を狙っていくか

敵からの攻撃は『第六感』で回避。まあ、何とかなるだろう

あとは……
火事の後始末、か
力仕事は得意じゃないが、出来る限り力になっておくかな


ニレ・トレゾァ
あなたの問いかけに、私は答えましょう
命に永遠など、ないのです
だからわたしたちは、生きると言う祝福が、初めて得られるのです
そして終わることもまた、祝福です

あなたの最後まで戦うという、その意思を護るために
わたしも、真の姿を解放します
姿は透明で不確かな光ですが、光は絶えることはありません
そしてユーベルコードで母なるセカイを依り代に、あなたの声、この身に全てを受け入れましょう
そしてそのセカイが、あなたにどう応えるか、よく、聞いてください

わたしたちは過去を捨てます
あなたもどうか捨ててください
悲しいことでも、苦しいことでもありません
もう終ったこと。そうあなたの重い十字架を
やっと下してあげられるのですから


ヴォルフガング・エアレーザー
……黙れ。
貴様の罪は、戦い疲れ倒れし者たちの安らかな眠りを妨げたこと。
自らの悔悛を濯ぐ、ただそれだけのために、臣下の名誉を汚し永劫の奴隷へと貶めたこと。
民を、臣下を省みぬ愚者に、もはや王を名乗る資格は無い。

【獄狼の軍団】よ、かの騎士を、軍馬と薔薇諸共に討て!
冥府の理を破る亡者共も、地獄の猟犬は決して逃しはせぬ。
俺もまた、真の姿を解放し、【疾風の青狼】となって貴様を討つ!
研ぎ澄まされた野生の勘。燃え滾る『生』の証。
まやかしの永劫……『停滞』に囚われた貴様には、決して追いすがることはかなわん。

忌まわしき亡者よ、在るべき場所へ、煉獄の炎の海へと還れ……!



身もすくむような馬のいななき。
 闇夜を切り裂く一陣の突風となり、呪われた騎士が突撃する。対峙したガルディエもまた咆哮し、軍馬の脚を刈り取らんと竜の尾で薙ぎ払う。が、コルヴェントは横跳びにそれを躱し、燃え立つ刃が円弧の軌跡を描いてガルディエに迫る。
 鋼と鋼がぶつかり合い、火花が散る。ポノが掲げた騎士盾『キャヴァリアーズ』が一撃を受け止めたのだ。しかし、エルフの膂力では踏みとどまることは叶わない。ポノの身体は吹き飛ばされ、宙を舞う。
 コルヴェントは追撃を仕掛けようとしたがが、寸前、前に出ずに跳び退る。一瞬前まで騎士がいた空間には氷の楔が降り注いでいた。セフィのユーベルコード。同時に、ポノの身体も目に見えぬ力に柔らかく受け止められていた。
「た、助かった……?」
「だいじょうぶだよ」
 レイチェルの『サイコキネシス』し支えられ、ポノはゆっくりと地面に降り立つ。亡者たちを束ねるオブリビオンの主コルヴェントとの激突の気配を察し、他の場所で亡者を片づけた猟兵たちも続々と集まってきていた。
 猟兵たちはそれぞれ、この黒騎士に対して思うところがあった。憐れに思い、少なからずの同情を覚えている者もいた。だが、それ以上に共通する想いがあった。憤りである。
 オブリビオンとは過去からの亡者。コルヴェントはそのことをよく体現していた。自らに付き従い死した者たちを悔恨から黄泉還らせ、永遠の命を与えると嘯きながら、かつては護ろうとしていた民の末裔を薪にくべようとする。間違った願い、ひとりよがりな贖罪。この場にいる誰にとっても許せるものではなかった。
「まあ、気持ちだけはわからなくもないが……」
 ヒビキ・イーンヴァル(蒼焔の紡ぎ手・f02482)はひとりごちる。しかし、問答するつもりもなかった。蒼く輝く炎をいくつも頭上に生み出していく。
「『蒼き焔よ謳え、星の如く』――炎を使うんだったら、こっちも負けちゃいないんでな」
 ヒビキの放った炎が舞い踊り、コルヴェントに次々と飛来する。取り囲むように、そして少しずつタイミングを変えて。二重三重の波状攻撃を成す。呪われた騎士は炎の剣を振りかざして払うが、避けきれなかった蒼炎が鎧の表面を焦がしていく。コルヴェントはいらだち、軍馬の鼻先をヒビキに向け、剣を構えて猛突撃を仕掛ける。ヒビキは飛びのいて躱すが、コルヴェントの騎士としての技量は確かなものだ。避けきれない――!
 再び、鋼の打ち合う音。立ちはだかったのはガルディエだった。その両手はもはや鉤爪ではなく、自らの武器たる長剣とハルバードを握りしめていた。
 コルヴェントのかつての決断は間違っていた。だが、敗北を知りつつも挑んだその魂の気高さに、ガルディエは尊敬の念を抱いていた。ゆえに、騎士としての姿でこの黒騎士と向かい合うことを選んだのだ。己の『存在証明』を賭けて。
「騎士に永遠の命があるならば! それは語り継がれる勲のみ!」
 喝破する。ガルディエは揺るがず、炎剣を受け止めていた。互いに武器を弾き、距離をとる。
「その魂は尊敬するぜ。だからこそ、今のテメェを討つ!」
 そして、命を削りあう剣舞が始まった。

 松座衛門は自らの――かりそめの――肉体を霧散させた。ヤドリガミたる彼の真の姿は、あやつり人形の十字形の操作板だった。ユーベルコードでその複製体をいくつも作り出していく。念力で動くそれらの操作板は、戦闘用人形『暁闇』の各部に糸を通して繋がる。
 人間ではできないことが、純粋な操作板である彼には実現できる。人間を真似ていた戦闘人形は今、その域を踏み越える。
 見れば、コルヴェントの剣は姿を変えていた。猟兵たちを傷つけるたび、その血を燃料に炎はより燃え盛り、蛇のようにうねって防御をかいくぐるのだった。
 機動戦を仕掛ける。より複雑に、より速く、より力強く! 『暁闇』は敵に迫った。稲妻のように、剣と剣が打ちあう一瞬の空隙を縫って。瞬きよりも速く。
 将を射んと欲すれば先ず馬を。漆黒の軍馬の横腹に人形の拳が文字通りめり込む。苦悶のいななきを発して、馬がたまらず棹立ちになる。
 そこに、もう一つの異形が跳びかかる。ジードの人形、メリアだ。蜘蛛のごとき姿がコルヴェントにぶつかり、馬から引きはがして落とす。炎の剣が薙ぎ払うが、影だけ残して跳びのいて躱す。コルヴェントが素早く立ち上がり、忌々しげに毒づく。
「人形風情が、我が贖いの邪魔立てをするか!」
『ハハハ、タダの自己満足デスネ!  オカシイ奴デス。 ……まあ、オブリビオンデスカラネェ!』
 罪を贖うために次の罪を犯すなんて、悲しい人だ。ジードは痛ましく思ったが、手を止めはしない。
「メリア、このままあの騎士、コルヴェントを終わらせて!」
 メリアは応えて、身をかがめた。横なぎに振るわれた炎剣がその頭上をかすめていく。

 松座衛門は黒馬と渡りあっていた。この馬を主のもとに行かせてはならない。この獣を脅威と感じていた。変則的な機動で翻弄しつつも、蹄や体当たりで複製体をすでにいくつか砕かれている。そのたびに、『暁闇』の動きはわずかずつ単調になっていく。
 このままでは、ちとまずいか。そう感じた矢先、軍馬が一瞬、金縛りのように硬直する。この不自然な動きは見たことがある。レイチェルの念動力! そこに氷の息吹が襲い掛かる。セフィが持てる力をすべて注ぎ込み、驟雨のように降り注いだ『蒼き氷晶の揺籃』は、その名が示す通りに軍馬を地面に縫い留め蒼く閉ざしていく。ほどなく完全に凍り付いた軍馬の巨躯を人形の一突きが砕いた。
 しかし、一息を入れる間もない。三人は背後で膨れ上がった熱気に反射的に振り返った。
 黒騎士が天に掲げた炎の剣が花と散っていく。その花弁は炎と血の色を纏ってひるがえり……斬撃と炎の嵐となってあたり一面を薙ぎ払った。
 念動力と氷のオーラが盾を成し猟兵たちを守ったが、一瞬のうちに周辺は焼け野原と化してしまった。
「……ただの放火魔だよね」
 レイチェルが毒づく。レイチェルの力は心の力だ。だからわかってしまう。猟兵として、オブリビオンとは戦うことしかできなくても、歪められてしまった心を見るのは彼女にとっては忸怩たる思いだった。
 セフィもコルヴェントの怒り、苦しみ、悲しみ……凍りついてしまった悲しい心のことを思った。できることならば救いたかった。でもそれが叶わないのならば。
「ここで、眠らせてあげる」
 戦うことで、終わらせてあげることで。この祈りが届きますように。セフィは翼を広げた。

 『フォーリングローゼス』――コルヴェントの奥義を至近距離で受けた猟兵らは痛手を負っていた。ある者は傷の痛みにあえぎ、ある者は膝をついた。
 呪いの騎士が剣を掲げた時、「なにかが起こる」ことをポノは察知していた。警告の叫びをあげたつもりだったが、果たして声になっていたかどうか。
 身を焦がす熱風の中で、エルフの少女は目を開けた。直撃してはいなかった。目の前には、奇妙なゆらめく光が見えた。炎ではない。もっと根源的で、あたたかな光だった。ポノ自身もそれを身に宿している、生まれながらの光。いつも感じていたものだが、その根源を目で見たことはなかった。当たり前だ。内側にあるのだから。
 その光はニレの、白い天使の真の姿だった。
 ポノは手を合わせて祈った。聖なる光がそのからだから溢れ、傷ついた仲間たちを癒していく。すべての力を振り絞る。最後の一滴までも。みんな、立って。
 薄れていく意識のなかで、ポノは敵の魂にさえ祈った。――騎士よ、貴方も眠りについて。

 再び立ち上がった猟兵たちの姿に、コルヴェントは戸惑いを覚えた。傷が多少癒えたところで、痛みがなくなったわけではなく、依然として死が目前に見えているはずなのに。黒騎士は問うた。
「何故に祝福を拒む? 何故に永遠の命を厭う?」
 ――命に永遠など、ないのです。ニレは応えた。
 生きるという祝福は、そうであって初めて得られるもの。だから、終わらせるのもまた祝福。
 ――あなたの悲しみも苦しみも、本当はもう終わったこと。セカイがどう応えるか、よく、聞いてください。
 ――どうか、過去を捨ててください。そうすればやっと、あなたの重い十字架を下ろしてあげられる。
 コルヴェントは瞬間、立ち尽くして。世界の声を聞いた。彼は悟ったのかもしれない。すべては間違いだったと。
 しかし、解き放たれた呪いの炎は尽きない。黒く灼けた大地から、いくつも弱々しくたなびく赤い炎があがる。まるで不完全な人の姿のように。呪われた従者たちは唱和した。地獄の底からの誘いのように。
「篝火ヲ持テ……」
「篝火ヲ持テ……」
「篝火ヲ持テ……」
 コルヴェントは剣を掲げた。戦いはまだ終わっていないのだと。
「篝火を持て、戦士たちよ!」
 黒騎士は叫ぶ。この呪縛から逃れることは叶わない。もはや、コルヴェントの心は自分のものではなかった。この時代に蘇ったそのときから、ずっと。過去に囚われることこそがオブリビオンの本質であるがゆえに。

「……黙れ」
 蒼き狼騎士にとって、亡霊たちの唱和は耳障り極まりないものだった。先の戦いで負った傷を応急的に塞いだだけで、彼が目指す戦場はまだ遠かったが、かまわず真の姿を解放する。蒼き狼は疾風となって駆けた。
 疾る。疾る。速度を増すごとに、自らの内で生命力が鼓動するのがわかった。燃え滾る『生』の証。
 見えた。
 ガルディエが倒れたポノを護って、矜持と意志を支えに剣と矛を振るっていた。セフィとヒビキの放つ蒼い氷と炎が、追い縋る亡者を押し留めていた。ジードとメリアが、松座衛門が、異形の身体で応戦していた。レイチェルとニレの念動と衝撃波が、限界を超えて戦う彼らに生じる隙を塞いでいた。――遅れてしまった。だが、間に合った!
 ヴォルフガングは叫んだ。
「忌まわしき魍魎共よ、己があるべき場所へと還れ! 何者も地獄の番犬の顎門から逃れる術は無いと知れ!」
 疾風の青狼を追って、一つ、二つ、……群れが続く。地獄の炎を纏った狼犬の群れが。
 『獄狼の軍団』が、亡者どもを喰らい引き裂くき、灯りかけた火が消えていく。一気呵成に黒騎士コルヴェントに肉薄する。
 コルヴェントの剣は――鈍かった。まるで鎖に縛られているかのように。あるいはその鎖で追い立てられてでもいるように。
 ヴォルフガングの野性の勘はいまや研ぎ澄まされていた。――『停滞』に囚われた貴様には、決して追いすがることはかなわん!
 爪牙がコルヴェントの兜を弾き飛ばした。その下の顔は、やせ衰え干からびたミイラのものだった。
 大地に伏したコルヴェントに追い縋り、地獄の炎を纏った爪で引き裂く。
 それが終わりだった。瞬時に灰と化した騎士の身体は風に吹かれて散っていった。ヴォルフガングは吠えた――自らの躍動する命の衝動に突き動かされて。

●戦いが終わって
 蘇った騎士とその手勢たる亡者たちは猟兵たちによって倒された。
 しかし、村に残された爪痕は大きなものだった。家々は燃え、ただでさえ貧しかった辺境の暮らしはさらに過酷なものになるだろう。
 それでも、命は残された。猟兵たちが救った命だ。傷ついた者たちには治療が施され、猟兵たちのなかには村の再建を手伝うことを買って出る者もいた。
 この夜と闇の世界で、人々は生きていく。明日をも知らずとも、未来を信じて。
 いつの昔か、そんな民たちを護ろうとした騎士がいた。彼の眠りが二度と妨げられることのないように。彼の本当の願いがいつかの未来で芽吹くように。
 聞き入れる神様がもしもいなかったとしても、そう祈る者はたしかにいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月07日


挿絵イラスト