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ラクエンへと導く少女の復讐と

#ダークセイヴァー #同族殺し

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 ――許さない。
 楽園はあると言っていたのに。
 ――赦さない。
 救いはあると言っていたのに。
 ――ゆるさない。
 信じていたのに、アナタのこと。
 ――ユルサナイ。
 いいえ、ラクエンはある。あるのよ、間違いなくある。アナタの語っていた楽園とは違うとしても。
 だから、だから。ええ、だからこそ、導きましょう、誘いましょう、ラクエンへ。
 アナタも、貴女も貴方も貴男も、みんなみんな、導いて魅せましょう。

 蒼い瞳が煌めいて。

 。

 ――グリモアベースにて。

「どうも」
 ペコリ。一つ礼をしたのは、グリモア猟兵の一人、赤凪・風珀。紫色の瞳をぱちくりと瞬かせるその様子は、緊迫感の欠片もない。
 しかしそんなゆるりとした雰囲気と裏腹に、その右手が弄んでいるものは小さなダガー。猟兵たちに視線を向けながら弄ばれるダガーはきらりとどこからか光を反射させている。
「近頃、ヴァンパイアのオブリビオンたちが私達猟兵より毛嫌いしているものがあるそうですよ」
 すとん。落とされたダガーが一枚の写真を刺し抜く。写真に映しこまれているのは、白銀の髪をした少女の姿。綺麗に額の位置を刺しながら、赤凪がにっこりと笑った。

「ちょうどいいですよ。オブリビオンをまとめて片付けられますから」

 それは、一つの予知。
 白銀の少女が、ざわつくヴァンパイア領主館を襲うシーン。
 たったそれだけでも、きっかけには事足りる。
 その少女がオブリビオンであろうと、利用するのには十分で。

「どうやら、オブリビオンの仲間割れみたいなものが起きるようです。…まぁ、別にオブリビオンたちは仲間ではないでしょうけど…。ともあれ、場所がわかっても厳重な警備があって攻略が難しい領主館を狙いおとす絶好のチャンスです。皆さん、ぜひ振るってなぎ倒してきてください」
 写真を拾って無邪気な笑みで、そう言ってのける。
 領主館前に送りましょうと付け足し、笑顔の仮面をつけたまま、赤凪は猟兵たちを送り出した。


時巡聖夜
 どうも、こんにちはこんばんはおはようございます。時巡ともうします。
 四作目です。至らぬ点は多々あるかと思いますが、よろしくお願い致します。

 さて、今回は特別な題材はありません。
 強いて言うなら『殲滅』です。

 第一章では、襲われている領主館の突破をしていただきます。妨害するものを、利用するだけ利用してなぎ倒してください。
 第二章では、その領主館の主を討伐していただきます。存分になぎ倒してください。
 第三章では、領主館を襲ったオブリビオンを討伐していただきます。最後までフルボッコにしてください。

 ◎→アドリブ・連携OK。
 ○→アドリブのみOK。
 △→アドリブ等控えめ。
 記号なしはアドリブ・連携有となりがちです。

 それでは、どうぞよろしくお願い申し上げます。
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第1章 集団戦 『隷属から逃れる術を知らない少女達』

POW   :    命より重い忠誠を誓おう
【忠誠を誓った者から授かった力】に覚醒して【命を省みず戦う戦士】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    主のためなら限界すら越えて戦い続けよう
【主の命令書を読み限界を超えた捨て身の攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    主人に永遠の忠誠を誓おう
【忠誠を誓う言葉】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

八咫・美都子
仲間割れ、なのでしょうね
ふふふ、利用するより、共闘といきますよ

笑顔のまま祭祀用大鎌を振り回し、少女たちを待ち構えます
そして、大鎌に籠る呪詛の力を引き出して、近づいてくる少女たちへ強引に斬りかかります
彼女たちは、多少の傷でもひるむことなく襲い来るでしょう
ならばこそ……この大鎌の一振りで、一撃で仕留めていきましょう
多少当てづらくとも構いません、当たるまで振るうだけです
……命もいらないというのなら、そのまま貰い受けますよ

その間、一緒に戦うオブリビオンの方をよく見ておく
ラクエンの言葉を聞くごとに、彼女の信じる世界を記憶していく
……少なくとも、今襲い掛かってくる少女たちにとっては救いになる、かもしれない



 悲鳴が聞こえる。絶叫が耳を劈く。怒号が空気を震わせる。立ち込める死の匂い。周囲を漂う躯の欠片。
 その中で、一人くすくすと笑うのは八咫・美都子(鴉の巫女・f11805)だった。戦況を眺め、祭祀用の大鎌を携えて、オニキスの如し黒い瞳を細める。
 今、主立って動いているのは白銀の髪を持つ少女だ。白銀に向かって多種多様なオブリビオンが抵抗し、惨殺されている。囁く少女の声がする。
 ――さぁ、ラクエンへ。みんな。
 その言葉に耳を傾け微笑みながら、美都子はぐっと大鎌を持つ手に力を込めて振るい始めた。
 視界を遮るように現れた、うつろな目をした黒銀の少女たちを確認したから。

「侵入者」
「…侵入者」
「戦おう」
「…戦おう」
『主に、命より重い忠誠を』

 地面の岩肌でむき出しの素足に傷を作りながら、少女たちがカトラリーを振り上げて美都子へ飛び掛かる。まっすぐとそれを見つめて――大きく、鎌を振り薙ぐ。愚直に飛び掛かってくる少女たちは、そのたった一回の斬撃にいともたやすく切り捨てられる。一人、二人、三人。
 微笑み、ひとつ。
 振り薙いだ勢いそのままに、美都子はさらなる攻撃を仕掛けた。新たに切り捨てられる少女たち。四人、五人、六人。
 絶やさぬ、微笑み。

「命もいらないというのなら、そのまま貰い受けますよ」

 ひるまず次々と飛び掛かり、駆け寄り、突き出してくる少女たち。嗚呼、けれど、猪突猛進に襲い来るものを切り捨てるなど造作もなく。七人、八人、九人。
 知のあるものであればついてくるであろう美都子の隙だらけの大ぶりな攻撃で、幾人もが赤を散らし、朱を纏い、紅を流し、緋に染まる。
 鎌に籠るどす黒い呪詛が、そのアカに触れて歓喜する。気にせず、美都子は鎌を振るう。滾る鬼の血の望むままに。
 薙ぐ、散る。薙ぐ、散る。幾度繰り返してもあとからあとから増えていくけれど、確実にその命を刈り取る。
 耳朶を打つ、ラクエンへの誘い。

「…嗚呼、あなた達にとっては、救いになる、かもしれない」

 小さな言の葉を唇に乗せ、美都子は止まることなく漆黒の髪を躍らせて、黄泉へ送るかの如く命を刈り取り続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
争いあう敵同士を横合いから思い切りブン殴る。
…ハハハ!これは爽快な戦となりそうだな!

「ヤークト・ドラッヘ」に騎乗の上で突入。
黒髪の娘達に対し機銃と電磁砲、【誘導弾】のミサイルを叩き込み片っ端から殲滅してくれよう。
銀髪の娘も後々斃す敵ゆえ、ある程度巻き添えにはするが、此方に矛先を向けられぬよう、あくまで巻き添えとしての攻撃に留める。

敵が此方に対処しようとしてきたならば、機甲武装・高速殲闘を発動。
速度を以て敵の反撃を振り切り、その隙に攻撃を加える。この形態であれば突進攻撃も選択肢となるな。
「死兵とは厄介なものであるが。貴様らは命を捨てる機と理を違えたようだな!」



 鎌を振るう女とは別の場所で、心底愉快だと言わんばかりに口角を釣り上げていたのはギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)だった。
 メーベルナッハは武装した大型バイク――「ヤークト・ドラッヘ」に乗り、これから始まる戦に心躍らせハンドルを握る。
 なにせ、思う存分蹂躙できる絶好の機会なのだ。一人愉しそうに声を上げる。

「争いあう敵同士を横合いから思い切りブン殴る…ハハハ!これは爽快な戦となりそうだな!」

 その言葉とともに、バイクのハンドルを捻った。走行準備を整えていたバイクは、音を上げてタイヤを回し領主館の中に突っ込んでいく。
 ダイナミックなアクション映画さながらオブリビオンたちの前に飛び出すと、そのままバイクを操作した。主たるメーベルナッハの思う通りに、バイクはその武装から黒銀の少女めがけて攻撃を放つ。
 機銃から打ち出される弾が、電磁砲から打ち出される弾が、ミサイルが、館内もろとも破壊すると思わせるほどに放たれては少女たちを壊して飛び散らせる。あまりにも無慈悲なその攻撃は、理性あるものであれば恐れおののきその場から逃げ出しすらするほど。
 …しかし、少女たちは知らない。その場から逃げ出すという選択肢を。与えられている選択肢は、新たなる侵入者の排除のみ。
 隣にいた誰かの頭が砕けても、首を縛るその鎖が砕けても、片腕が飛び散っても、片足がもげても。ただただ主への忠誠を。少女たちの中で、誰かが叫んだ。それは、両腕を失ったその子か、それとも下半身の砕け散ったあの子か。

「主の命(メイ)を!!」
「「侵入者の殲滅を!!」」
「殺せ!」
「「殺せ!!」」

 耳を引き裂くのでは感じるほどの叫び声。思わずメーベルナッハが片目を閉じてその声に眉を寄せた瞬間、気が付けば距離のつかめない片目に映りこむ黒銀。光を反射した、鈍色のカトラリー。光を宿すことのない瞳が、メーベルナッハを映した。
 ガッと個体同士のぶつかる音が響く。黒銀の少女がそのカトラリーで捕らえられたのは、先ほどまでメーベルナッハの乗っていたバイクと、彼女の銀糸の一本のみ。
 無意識のようにその場から飛び退いていたメーベルナッハは、小さく舌を打った。

「…余を捉えられると思っていたのであるか?――貴様らのような死兵が?」

 光り輝く月を連想させる銀眼が不遜に黒銀を見る。まだ十二とは思えないその瞳が瞬き、バイクを打った黒銀の少女が蹴り飛ばされる。
 次の刺客にとらわれるより早く再びバイクへと触れれば、すっと息を吸い込んで――先ほどの少女たちよりも大きく、叫ぶ。

「ヤークト・ドラッヘ、高速殲闘形態へ移行!彼奴らを蹴散らしてくれようぞ!」

 発動されるユーベルコード。俊敏に変形をするバイクに素早く乗り跨ると、ギュルッと激しくドリフト音を響かせた。
 闇を溶かした黒い瞳がそれを映すと同時に、ハイスピードに走り出す。無慈悲に無様に、黒銀は赤色へと染まる。ひるまず、どこからか現れ続ける黒銀の少女たちを見ながら、メーベルナッハは一度垣間見せた苛立ちを消し、また不遜な笑みを浮かべた。

「死兵とは厄介なものであるが。貴様らは命を捨てる機と理を違えたようだな!」

 彼女の蹂躙殲滅は終わらない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジズルズィーク・ジグルリズリィ
POW判定◎アドリブ歓迎

名案、明暗。ジズは、命を顧みず戦うその姿勢にひとつ対策を講じるのです
天に【祈り】【覚悟】を決め、身を晒します

ユーベルコードを使用し、その攻撃をあえて受け止めることで、死にものぐるいで戦闘力を振り絞る敵襲を受けきる所存です

相手が力を出し尽くすのが先か、ジズが敗れるのが先か
限界を超越した先に何を見るのか、見られるのか
疑問は尽きないのです。祈りながら自問します

疑問といえば、
ラクエン。導く? 既知、奇知。はて、ジズは、その言葉に聞き覚えがあるのです
核心にいたるまで、今しばらく共闘と参りましょう


ルード・シリウス
ラクエン?…嗚呼そうか、アイツか
再び現れたのか、そうかそうか…
嗚呼…最高に楽しみだ。また、存分に喰らう事が出来るからな

暴食剣・呪詛剣携え、狂笑浮かべながらゆっくりと少女達へと近づく
攻撃を仕掛けてきたら、敵陣真っ只中へ飛び込む様に接近…からの、【黒獣爪牙】で蹂躙する様に攻撃
その後は、二刀用いての連撃で一人ずつ捕食する様に斬っていく
受けた傷は、自身の攻撃による捕食能力(吸血&生命力吸収)で血肉を喰らい癒す

また、件のラクエンを囁く少女とは適度に距離を取り、互いに干渉しない形で立ち回る様に動く
まだ殺り合う時ではない。ここは下手に刺激しないで、目の前の獲物を喰らう事に意識を傾ける
楽しみは…後に取っておく



 ほかの猟兵たちの戦いを離れたところで確認していたジズルズィーク・ジグルリズリィ(虚無恬淡・f10389)とルード・シリウス(暴食せし黒の凶戦士・f12362)は、愚鈍に愚直に飛び掛かっていく黒銀の少女たちを見て策を練る。
 如何にしてここを突破するのか。
 ジグルリズリィは、いくつかの疑問を抱きながら一つ名案を明暗する。そして、【祈り】【覚悟】を決めた。
 シリウスは、これから喰らえるものに期待しながら応える。そして、携えた暴食剣・呪詛剣を一振りした。

「ジズが受け止めるのです。相手の攻撃全てを」
「なら、俺はすべてを喰らっていいんだよな?」

 こくりとジグルリズリィが頷く。それを緋色の瞳で確認し、シリウスは口角を釣り上げた。では、と黒銀の少女たちの前に身をさらす、その前に。
 二人の視線は此方のオブリビオンへと向けられる。白銀を揺らして殲滅するべく暴れるその少女へと。
 二人には、その少女に見覚えがあるような、ないような。知っているような、知らないような。
 雑音の中でさえも耳奥に滑り込んでくる、ラクエンへ導く言葉を、聞いたことがあるような、ないような。

「ラクエン。導く?既知、奇知。はて、ジズは、その言葉に聞き覚えがあるのです」
「ラクエン?…嗚呼そうか、"アイツ"か…そうかそうか…。…まぁ、まずは目の前の獲物だな」

 核心に至らず首をわずかに傾けるジグルリズリィと裏腹に、核心を射たようにさらに狂笑を深めるシリウス。されど、二人の心当たりは、共通なのではないかと悟りあい。
 シリウスが改めて黒銀の少女たちを見る。今はまだこちらに気付いていないのか、白銀へと飛び掛かっては切り捨てられている。数は減っているはずなのに、どこからか次々と姿を現していた。
 緋色と桃色を絡ませ、一呼吸。

 とっ、と軽やかに地を蹴ったのはジグルリズリィ。着地は無音に、黒銀の前へ躍り出る。新たなる侵入者を確認した少女たちの標的が移る。

「――『静聴、聖寵。願くは、われらをあわれみ、赦しを与えたまえ』」

 ゆるり。力なく伏せられた体。五体投地。祈りの境地。それははたから見れば命を捨てたのかと思われるほどの無防備。侵入者を排除せんと少女たちはジグルリズリィに飛び掛かる。
 嗚呼されど、されど。発動されたユーベルコード『神聖なる祈請』の前に、お粗末なカトラリーによる攻撃が通るはずもなく。無のまま受け止められる攻撃。繰り返し繰り返し振り下ろし振り薙ぎ突き刺しても受け止められて通らない。
 その力尽きて攻撃が通るのか、はたまた無知にも疲弊を蓄積して壊れるのが先か。限界の先を思い、想い、祈りの中で自問を繰り返す。尽きることのない疑問。
 しかし、此度はその限界の先を見ることはない。なぜなら、すでにシリウスが動き出しているから。

 目まぐるしく入り乱れるオブリビオンの館とは思えないほど、ゆっくりと歩みを進めるシリウス。
 ジグルリズリィに気を取られている黒銀の少女たちはシリウスに反応することはなく。ゆらりと持ち上げられた剣が少女たちを捉えた。

「…そこは俺の領域だ」

 その声にようやくシリウスの存在に気が付いてももう遅く。突き刺した刃は縦横無尽に黒き雷の如く斬撃を放ち、少女たちを無慈悲に穿つ。斬撃から逃れた、あるいは喰らいながらも生きた少女たちは、シリウスも排除の対象へと含めてカトラリーを振るい始める。
 たとえそれが掠め傷を作ろうと、それより多くの少女を刈り取り捕食し傷は直ぐに癒える。楽しそうに笑って、シリウスは二本の刃を振るい続けた。

 留まることを知らないように現れる少女たち。ジグルリズリィの持久戦も、シリウスの殲滅も、まだまだ終わらない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
侵入者の戦いぶりを遠目に見つつ。
「成程。あれだけ動いてくれれば
此方も戦いやすい。」

侵入者とは付かず離れずを心掛けつつ
戦い方を観察。
「いずれ倒すなら今の内に
観察しておくに越したことはない。」
とは言え、此処も戦場。俺も戦わなくちゃいけないか。」
と少女達の方を振り返り。

生命を喰らう漆黒の息吹を発動。
花びらに敵の生命力を吸い取らせると同時に
花びらで敵の行動を妨害、攻撃を回避する。
「死ななければ止まれない。
というなら、そうするまでだ。悪く思わないでくれよ。」

射程に入ったものを確実に仕留め。
全体の状況を見極めながらゆっくり歩みつつ、
討ち漏らしの無い様に、敵陣に深入りしすぎない様に心掛け
確実に戦いを進める。



 乱戦の様子を離れたところで観察するのはフォルク・リア(黄泉への導・f05375)だった。目深にかぶったフードの下で、紫の瞳を一つ瞬かせる。顎に手を当て、思案した。

「…成程。あれだけ動いてくれれば此方も戦いやすい」

 そう呟き、もう少し様子をうかがってみようと目を凝らした刹那。背後に気配を感じて身をよじり振り返りながらその場を飛び退く。先ほどまでリアのいた場所に、鈍色のカトラリーが振り下ろされた。
 ゆらり、と生気を感じさせない動きで身を起こす少女を、その後ろから標的を確認した少女たちが来るのを、視界に収める。観察しておくに越したことはない、が――。

「とは言え、此処も戦場。俺も戦わなくちゃいけないか」

 ため息交じりの言葉は、次なる少女たちの攻撃に溶ける。わずかに体を捻りながら重ねられる攻撃を躱し、ユーベルコードを発動した。ぶわりと周囲に鳳仙花の花びらが舞う。華やかでありながら、その花びらが持つ力は強い。
 愚かな少女たちは、その危険性を欠片も脳裏に上げることなくリアへと飛び掛かった。花びらに触れ、命を奪られ生命を喰らわれ、栄養を奪われ枯れる花のように頽れていく。されど、少女たちはそれにすら見向きもしない。目の前の標的を排除することのみに意識を向け、そのほかのことは全く気にも留めない。

「排除を」
「侵入者の排除を」
「主のために」

 それぞれが各々に主への忠誠の言葉を口に乗せ、それは図らずも互いの力を高める。半ば無理やり動き続ける少女たちを見ながら、リアは舞い散り命を奪う鳳仙花のごとし瞳を細めた。
 己の命すら捨ててがむしゃらに振り回されるカトラリーを避け続けながら、ふと唇を震わせる。命を刈り取る手向けの花すら、黒銀の少女たちには無価値となっていることを理解しながら、ため息をこぼした。仕方のないことだと、リア自身もそこには深く思考を裂かなかった。

「…悪く思わないでくれよ」

 その言葉は、けして止まらない、止まれない少女たちへの詞。こつ、と足音を鳴らすころ、リアの周囲には崩れ枯れ果てた少女達。死骸の中に立つ彼を、それでも狙う『隷属から逃れる術を知らない少女達』は、彼のゆっくりとした歩みwo
止められることなく。
 幾度も幾度も幾重にも、鳳仙花の養分へとなり続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霊ヶ峰・ソーニャ

(喋り方が特殊な子なので注意)
殲滅か……なら、星落としか。(指定UC、全力魔法、念動力、高速詠唱)
狙われるだろうから、空中戦で先んじて空中に逃げる。室内なら小さいことを利用して天井近くまで飛ぶ。攻撃が来そうなら星の操作で相殺を狙う。(第六感)
狙う個体は、領主館を襲っていないはぐれた個体から。領主館の状況を見ながら、星を操作して薙ぎ払う。
戦闘力の増強されても問題はない。攻撃してきそうな個体を優先して離れた位置から潰していく。
領主館の状況が芳しくない状況になったら残りも殲滅していく。

「恨み、は、ない、が、オブ、リビオン、は、皆、敵。利用、は、する、が、敵、は、徹底、的、に、叩き、潰す」



 天井付近に浮遊して攻撃準備に入っていた霊ヶ峰・ソーニャ(コンセントレイト・f13463)は、ざっと周囲を見渡して狙う相手を選択する。かち、こち、と周囲でいくつかの無機物が音を立てた。
 天井に、しかも小さなソーニャがいるなどとは露知らず、館内では黒銀の少女たちがほかの侵入者と戦っている。その中でも、激戦の中にいない黒銀を青い瞳で捉えると、ゆっくりと目を細めた。

(殲滅…なら、星落としか)
「――星よ、流れ、煌き、集いて、爆ぜよ、叶えよ。我が意の下、その力を示し、報え」

 パキン。音を立てていた無機物が星の姿を取る。不意に変わった空気に、一部の黒銀の少女があたりを見渡し始めた。されど、知能の少ない少女たちは天井に意識を向けるほどの思考を持っていないのか、室内にありながら輝く星に目を奪われてソーニャには気付かない。
 それでも、新たなる侵入者がいることは理解したらしい。誰かが声を上げた。

「侵入者を排除」
「…主のために」
「主のために!」

 助長し力を増す。けれどそれは対象をとらえて居なければ無意味なこと。それを見下ろしながら、ソーニャは人差し指を少女達へと突き付ける。
 たった一つの動作。ただそれだけに見えるが、決定的な審判。ソーニャの思い描く通りに、煌めく星々が降り注ぎ始める。
 一つの星が一人、二人、三人と少女達の神像を貫きその命を即座に壊した。流星群のように星が落ちてはオブリビオンをつぶす。じわじわとその範囲は広がり、徐々に黒銀が減っていく。
 殲滅を成しながら、ソーニャは冷徹にオブリビオンを見ていた。

「恨み、は、ない、が、オブ、リビオン、は、皆、敵。利用、は、する、が、敵、は、徹底、的、に、叩き、潰す」

 嗚呼、それが今のソーニャの望み。さすれば、彼女の望みを叶えるが如く振り落ちる星々はオブリビオンを穿ち続けるのだろう。冷徹に、冷酷に、残酷に。徹底的に、積極的に、繰り返し、確実に。
 その星に、オブリビオンが願うことなど叶わないのだ。許されているのはその星に穿ち潰されることだけなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

花塚・メアリ
オブリビオン同士の争い、ね……ここではよく見る光景よね、猟兵になる前も何度か見かけた事があるわ。

この手の『殲滅』任務は得意よ、血染めのメアリと呼ばれた理由を今ここで披露してあげる。

まずは周りの壊れた死兵達を葬ってあげないとね、その宿業を断ち切って解放しようか。

【血刀・彼岸花】で血魔術を付与した私の血で緋閃滅在の刀身をコーティングしたら少女達の集団に向かって突っ込むわ

命を省みずに戦うってのはこういう事よ、恐怖を棄てただけの死兵はただ死ぬだけ、本当に殺す時は『死を恐れず目の前の敵を全て打ち滅ぼす殺意』で切り伏せるの
……要は攻撃は最大の防御って奴よ、全員のそっ首を叩き落としてしまえば生き残れるわ。


緋翠・華乃音
……さて、適当に援護させて貰おう。
勿論、ヴァンパイアではなくイェーガーにだが。


ユーベルコード"瑠璃の瞳"の範囲内で戦場を広く把握出来る場所(可能な限り遠距離且つ高所が望ましい)に気配を消して目立たぬように潜伏。
最初は敵を観察。そして情報収集をしつつ、敵の攻撃パターンや回避行動等の情報を収集・分析し、見切りを行う。
それに合わせて常に優れた視力・聴力・直感を生かして戦況を把握し、敵が隙を見せた一瞬を突いて狙撃。後は適度に狙撃ポイントを変えつつ必中の狙撃を繰り返す。
戦闘に有利になる技能は適宜使用。

やれやれ……まあ、好きなだけ恨むが良いさ。



 次いでかつんっと音を立てて領主館へと現れたのは花塚・メアリ(ヴァンパイア専門のヘッドハンターサムライガール・f02587)
 得意の殲滅任務に、微笑みを浮かべて参戦する。中途半端にあたりに散り転がる死兵達を見ながら、以前も見かけた光景を思い出してルビーの瞳を細めた。
 メアリは猟兵になる前から、たびたびこうした光景を見ている。どこか懐かしさすら覚えながら、ゆっくりと携えていた刀を引き抜いた。

「まずは周りの壊れた死兵達を葬ってあげないとね、その宿業を断ち切って解放しようか」

 すっと真剣な表情に変わる。己の肌に傷をつけ、引き抜いた刀に血をこぼす。綺麗な銀色の刃は朱を纏い怪しく煌めく。準備は、整った。
 力強い一歩を、少女達へ向けて踏み込んだ。

 その様子を、別の場所から見ている影一つ。緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)は、領主館入り口付近のステンドグラスのふちから全体を見ていた。差し込む月明かりでできる影に溶け込み、気配を消している彼に気付く者はいない。
 じっとラベンダーアメジストの瞳で見つめ、敵の様子を観察しあらゆる情報を収集する。並行して分析をしていた華乃音は、敵陣へと突っ込んでいく銀色を見て瞬きをした。
 それがオブリビオンでないことはすぐにわかる。猟兵か、と思考しながら、その姿を視界の端に入れたまま再び分析しながら銃を構えた。

「……さて、適当に援護させて貰おう」

 静かなその声は、戦場の雑音に紛れて消えた。

 紫に見られていることを気付いているのかいないのか、動き出したメアリにはそのことはさしたる問題ではないのか。少女達に突っ込んでいく銀色は、目を奪われる美しさでありながら明確な殺意を宿していた。
 振り薙いだ赤銀は幾人かの黒銀の少女の首を捉えて刎ねる。刎ねきれずとも、メアリの血に触れたその体は急激に熱をもち、水風船が破裂するように朱を散らして爆ぜる。
 その血を浴びながらも刃を振るうその姿は“血染めのメアリ”の名をほしいままにしていた。

 血の雨の中で剣舞のように華麗に首を刈り取るメアリ。
 けれど、降って湧いたように現れる少女たちを完全に刈り取り切れず、僅かにその攻撃を避けた少女が、メアリの背後でカトラリーを振り上げた。
 振り向きざまにその首を刈り取る――直前。
 音もなく、その頭部が赤い花を咲かせた。
 メアリがその弾道を視線で遡れば、紫と赤の視線が一瞬絡む。すいっと華乃音が視線を外し、ステンドグラスのふちから姿を消す。その数瞬後にはまた新たな少女が頭部に赤い花を咲かせた。
 必中の狙撃は彼の言葉を忠実に表し、適当ではあるが適切に援護をしていた。

 こうして、言葉を交わしあうこともなく、意図することもなく奇妙な連携取っていく。
 二人のダンピールは黒銀の少女達を殲滅していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『リーシャ・ヴァーミリオン』

POW   :    魔槍剛撃
単純で重い【鮮血槍】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    ブラッディ・カーニバル
自身に【忌まわしき血液】をまとい、高速移動と【血の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    魔槍連撃
【鮮血槍による連続突き】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『隷属から逃れる術を知らない少女達』の数が増えるよりも減る数のほうが上回った頃。
 白銀の少女が唐突に玄関ホールを突き抜けて領主館の奥へと向かった。
 いつの間にかオブリビオンたちは敵味方を理解できず、味方同士で討ち合いはじめている。
 これ幸いと猟兵たちも白銀の少女を追って領主館の奥へと向かっていった。

 踏み込んだそこにいたのは、玄関ホールでも見ていた白銀の少女と――同じく白銀の髪を靡かせる、紅に身を包んだヴァンパイアだった。
 紅緋色の瞳が、後から現れた猟兵たちに向けられる。
 にぃ…と口角が吊り上がり、鋭い牙が覗いた。

「あらあら…随分と大勢でいらっしゃるのね?」
「…ユルサナイ…」
「ふふふ、なんのことやら。まぁ、お人形は多いほうが楽しいわ」

 ヴァンパイアの背で赤みを帯びた黒い翼が大きく広がる。構えられるのは身の丈に及びそうなほどの大きな槍。
 嬉々とした様子で、ヴァンパイアが叫んだ。

「さぁ、遊びましょう!!」

 ――――☆――――.

 推奨:白銀の少女との共闘。
    白銀の少女は好き勝手動きます。少なくとも手を出されなければ猟兵に攻撃することはないでしょう。
    しかし、言葉は通じないようです。共闘推奨ですが、別に無理に利用せずとも戦うことはできます。

 第二章最終目標:ヴァンパイア領主の討伐。
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
POW判定◎アドリブ歓迎

既得、秘匿。白銀の少女、紅のヴァンパイア。ジズは、実は両方と、それぞれかつて戦ったことがあるのを思い出したのです。もちろんこれとは別の個体ですが。
それを思い出せば、まずは狙うべきはヴァンパイアと判決、先決です

その軽い得物で、その軽い罪の意識で、ジズたちに敵うとは思わないことです
ユーベルコードを使用し、その単純で重い一撃を受け止め持ち上げてしまいましょう
自慢のパワーもスピードも空中では活用できないはず
そのまま振り回して叩きつけ、ついでに槌でぺたんこにしてしまうのです

共闘して強敵を打倒しました。いよいよ、残りの強敵を見極める時なのです
気合いも十分に、油断なく敢闘する所存です


霊ヶ峰・ソーニャ
アドリブ連携歓迎

「狙い、は、同じ……なら、少し、利用、させ、て、貰う」

タイミングを図り、魔力を集中、一点に。共闘する白銀の少女に意思が集中してる間に詠唱(属性攻撃:火、土、風 全力魔法、高速詠唱、2回攻撃、衝撃波、空中戦、破魔)。
鮮血槍の連続突きを繰り出すタイミングを見て、指定UC発動。
それによって気を引くことになると思うが、第六感と空中戦で攻撃を躱す。必要なら共闘する少女や遮蔽物の影に隠れる等の対処。
その後は念動力+属性攻撃:光の通常魔法攻撃も交えて応戦、トドメの状況でもう一度指定UC。他に狙う人がいるならなるべく合わせる。

「遊び、には、つき、あわない。骸、の、海、に、帰って、寝て、ろ」



 瞳をきらめかせ、壊れた人形のようにいびつな笑みを浮かべた紅のヴァンパイアは、白銀の少女と猟兵たちに槍を向ける。
 それを真っ向から受けていたジズルズィーク・ジグルリズリィ(虚無恬淡・f10389)は、二人のオブリビオンの顔を見て気付く。覚えのある顔。別個体とはいえ、戦ったことのあるオブリビオンだ。成ればと構える槌はまっすぐと紅のヴァンパイアへ。
 その傍らで霊ヶ峰・ソーニャ(コンセントレイト・f13463)がじっとオブリビオンたちの様子をうかがっていた。白銀の少女が今こちらに敵意を向けていないことを確信した上で、利用しようとタイミングを図っている。

「狙い、は、同じ……なら、少し、利用、させ、て、貰う」
「そぉれ!!」

 ソーニャのつぶやきに重なるように声を上げ、一番初めに飛び出したのは紅のヴァンパイア。振りあげた槍を振り下ろす先は、槌を構えたジグルリズリィ。されど、覚えのあるジグルリズリィはその槍を槌を持つ手と逆の手でつかみ取る。お?と不思議そうな顔をする紅のヴァンパイアを蕩けた桃色の瞳で見返し、ぐんっとその体ごと槍を振り持ち上げた。そのまま勢いよく振り回し、地にたたきつけようとした瞬間、ジグルリズリィが感じていたわずかな重ささえなくなる。
 するりと槍から手を放してたたきつけられる衝撃を受け流した紅のヴァンパイアが、にやりと笑った。ジグルリズリィの手から動きの流れで槍が離れると同時に、再びつかまれた槍が振り上げられ、ジグルリズリィの髪を一筋掠めていく。双方がそれぞれ一歩飛び退いて、距離が開いた。

 数度の瞬きの間、短い時ではあったが、それはほかのものが動き出すきっかけと時間になる。次いで紅のヴァンパイアに飛び掛かったのは何処からか現れたいくつも人の姿をした何かと黒竜。
 出現元をたどれば、そこにいたのは白銀の少女。青い瞳に憎悪の炎を宿して、障壁を生み出している。

「ユルサナイ…アナタを、今度こそラクエンへ…」
「きゃははっ!楽園?そんな物ないわ!」

 無数の人型や黒竜から襲い来る攻めの手はされど、身軽に跳びまわって避けた紅のヴァンパイアにけたけたと笑われるのみ。かと思いきや、動きの取れない白銀の少女へ距離を詰める。
 無邪気な狂気に満ちた槍が振り上げられ、振り下ろされる。障壁に阻まれてもお構いなしに突き落とされる重い攻撃は地面をえぐり壊し、白銀の少女の体がぐらりとバランスを崩した。満面の笑みで次なる一手を繰り出そうとした紅のヴァンパイアは、しかしその手を反して槍を振るう。
 激しい衝撃音、いくつもの属性を宿した極限を超え収束されし魔法は、鼓膜を破きそうなほどに震わせた。衝撃が落ち着いたころ、その大元には今の今まで様子を見ながら魔力を集中させていたソーニャの姿が。

 ちょっかいをかけてきたと感じたのか、紅のヴァンパイアはすこし不機嫌そうに目を細めた。反動で動けないままの白銀の少女を捨て置き、ソーニャへと方向転換する。
 されど、小さなソーニャのことを捉えるのは容易ではない。すばやく鋭く槍が突き出されても、【第六感】と【空中戦】を駆使し、その攻撃を躱して紅のヴァンパイアを翻弄する。それは、相当にその神経を逆撫でしたのだろう。紅い瞳が不快感に歪んだ。
 ――不意に二人の足元が陰る。
 ひゅっと空気を切る音が耳朶を打ち、ソーニャの背後から紅のヴァンパイアに振り下ろされる切る槌一つ。一度引いたジグルリズリィの姿がそこに在った。
 ステップを踏んでその槌を避けた紅のヴァンパイアは、一度にじませた不快感を飲み込み再び笑った。その姿めがけてソーニャから追加の魔法が撃ち込まれるが、それすら軽やかなステップで避けていく。遊ばれていると悟り、ソーニャはわずかに目を細めて不愉快だと言わんばかりに口を開いた。

「遊び、には、つき、あわない。骸、の、海、に、帰って、寝て、ろ」
「あら、おもちゃは遊ばれるものだわ。つきあうつきあわないという話ではないわ」

 何を言っているの、と理解できない顔で首をかしげる。あくまで猟兵たちをおもちゃとしか認識していない様子。すぐに満面の笑みを浮かべて、翼をはためかせる。
 二人が次の行動に移るより前に、槍が大きく振り薙がれた。動けるようになった白銀の少女が動き始め、紅のヴァンパイアはさらに距離を取る。
 赤と白を靡かせながら笑う紅のヴァンパイアはまだまだ倒せる様子はなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
なるほど、奴がこの館の主か。
磐石と信じていた統治を狂気に潰されるは理不尽の極みよな。
だが、このまま消えてもらうとしよう。

黄昏大隊・歩兵部隊を発動、召喚した兵士に銃撃にての攻撃を指示。
ちょうど白銀の娘を援護するような形とする。
各員の発射間隔を調整し、可能な限り間断なきよう弾幕を展開しつつ、余自身も【スナイパー】【呪殺弾】にて敵を狙い撃つ。

敵の狙いが此方に来た場合は、兵に弾幕を維持させつつ強襲を警戒。
攻撃には可能な限り回避を試みるが、間に合わないと見たら手近な兵を盾にし凌ぐ。
隙が見えたら、そこに兵と余自身による一斉射撃を叩き込んでくれよう。
「その存在の愚行、己が命で償うが良かろう!」



 距離を取った紅のヴァンパイアに、不意に撃ち込まれる銃弾。
 ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)の召喚した兵士たちによる攻撃は想定外だったのか、その紅白が僅かにバランスを崩した。新たな敵(おもちゃ)に向き直ろうとするも、白銀の少女が握る鎌を振り薙ぎ立ち回れない。
 避けて避けてよけて、攻め手に転じる余裕がないほどに的確にメーベルナッハの召喚した兵士たちの銃撃と白銀の少女の振るう鎌が襲い来る。銀色の瞳と青色の瞳に囚われて、紅色は逃げることも返すこともできず、紙一重で躱すほかない。初めて、紅のヴァンパイアの顔に焦燥が浮かんだ。

「…磐石と信じていた統治を狂気に潰されるは理不尽の極みよな」

 ぽつり、とメーベルナッハが呟く。しかし、同情を思わせるその言葉とは裏腹に構えるのは一つの銃。彼女自身も【スナイパー】【呪殺弾】にて狙いを定めていた。
 食いしばられた紅のヴァンパイアの牙が鋭く光り、接近戦を行っていた白銀の少女が吹き飛んだ。白い足に朱を散らしながら、蹴り飛ばしたと思われるその体制から体をねじると、己に照準を合わせているメーベルナッハの懐へ飛び込まんとその場から突き込んでくる。
 冷静に状況を見ていたメーベルナッハがその引き金を引くも、最小の動きで躱す紅のヴァンパイアの頬に一筋の紅い傷を作ることしかできなかった。
 思わず舌を打ちながら、メーベルナッハは相手の持つ槍先を見る。今にも突き出そうとされるそれを、その軌道を予測するために。
 一突き――頭を狙うその槍から、俊敏に腰を落とし慣性で取り残された銀髪一筋を犠牲に躱す。
 二突き――首筋を狙うその槍から、片足で地を蹴ることで横転して受け身を取りながら躱す。
 三突き――安易によけれぬようと中心を穿たんとするその槍から、避け切れぬことを悟る。
 紅のヴァンパイアが、獲物を捕らえられたと確信して嗤う。空気を切る音、槍が対象を穿つ音がして――舞う赤は、メーベルナッハのものではなかった。
 穿たれたのは、一体の兵士。スピードをそがれた槍は、メーベルナッハに届く前に後方へと立ち退かれ兵士を突くにとどまる。
 メーベルナッハの唇が、にやりと弧を描いた。

「…あ?」
「その存在の愚行、己が命で償うが良かろう!」

 響く銃声は一つではなく、幾つもの発砲音は部屋を震わせるほどの衝撃を起こし、繰り返す。発砲の閃光は各々の視界を眩ませる。弾ける鮮血に部屋が彩られた時、銃の空打ちの音を最後に静寂が訪れた。
 明転する視界が落ち着き、正常な情景が脳裏に映りこむ。ハチの巣となった紅のヴァンパイアは――。

「…これで、おわり?」

 裂傷を受けてなお、部屋の中央に立っていた。部屋を彩る鮮血の多くはメーベルナッハの召喚した兵士たちのもので、紅のヴァンパイアに致命傷を与えられていないことを悟らざるを得ない。
 狂笑を浮かべる紅のヴァンパイアは、まだ倒れない。

成功 🔵​🔵​🔴​

龍統・光明(サポート)
『その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……』
ヤドリガミの電脳魔術士×竜騎士
年齢:18歳 男
外見:173.3cm・赤い瞳・銀髪・色白の肌
特徴:左胸に傷跡・知識欲が強い・由緒正しい血筋・料理が好き・創作活動が好き
口調:男性的(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)

基本冷静沈着。但しノリは良い

二刀流と蹴術を織り交ぜながら羽形スレイブを操り戦う

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用

基本回避優先で防御の際は左腕を盾代わりに使う

常にクールである事に努めており、他に迷惑をかけない様に心掛けている

自由に動かして頂いて構いません。(NG:ギャグ・コミカル)



 ゆらゆらと怪しく揺蕩う紅のヴァンパイアが次に視線を向けたのは、堂々と室内に立つ龍統・光明(千変万化の超越者・f02421)の赤い瞳。
 刀を携えたその姿は、配色こそ同じであれ明らかに異なる存在。紅のヴァンパイアがにっこりと笑った。ざわりと空気を逆立てたのはなにか。

「…随分と業の深い…」
「ふふ、次はそちらのドラゴンのお人形ね――遊んであげる」
「あいにく遊びに付き合う気はないな」

 ドッと激しい音が響く。飛び出すのは紅のヴァンパイア。携えた槍が鮮血を纏いいびつに空気を切る。対して光明はじっとそれを見つめ反撃の様子を見せない。楽しそうな狂笑とともに突き出される槍。狙いは光明の肩――の、はずだった。
 単純な紅のヴァンパイアの攻撃を公明はたやすく躱す。流れるように振り上げられた脚がその槍を蹴り上げた。すぐに体勢を立て直そうとする紅のヴァンパイアは唐突に視界から消えた光明にわずかに動揺する。勢いのままに斜め前にもぐりこんだ公明がちらと赤き瞳で己の後方を見やり、紅のヴァンパイアもその視線を無意識に追った。
 そこにいるのは白銀の少女。その身から流れる鮮血をものともせずに振り下ろされる鎌の銀色線。パッと散る紅。その血は誰のものか。

「ラクエン、へ…」
「…っ」
「…生意気な、ガラクタが…!」

 忌々し気に吐き捨てられる紅のヴァンパイアの言の葉。
 ぱたたっと乾いた血に飛び散る新たな鮮血は二つ。紅のヴァンパイアの白い足に斬りつけられた赤い傷と、白銀の少女の脇腹に引き裂かれた槍の傷。回避にのみ重きを置いていた光明は鎌の突き刺さる床のその寸でのところにいた。
 勢いを殺さずに転じた光明は地を蹴り、後方へ飛び退った紅のヴァンパイアの懐に飛び込む。煌めく、赤い瞳。
 くっと上がった口角。携えていた刀から、ぶわりと空気が揺れた。現れたるは九頭龍、飛び交うは光明の意思。嗚呼しかし、しかし。

「…ガラクタに、用はないわ」

 小さな小さな、光明にも聞こえるか聞こえないかの囁き。刹那、反射でかばう光明の左腕が槍に貫かれた。
 光明がユーベルコードを放つより早く、紅のヴァンパイアのユーベルコードが発動していたのだ。振り抜かれた光明の体が、はるか後方、壁際まで弾かれる。
 滴る鮮血の中、それでもまだ紅のヴァンパイアはそこに不敵に立っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​


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フォルセティ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
明るく元気で、好奇心旺盛で何にでも興味を持つけど、少し飽きっぽいところも。
年齢より子供っぽく(見た目に近い)、味覚も完全にお子様。
よく女の子に間違えられるが、言うほど気にしていない。
口調は「ボク~だよ」「わー、~だね」

◆戦闘
聖なる箒を振り回して、遠距離からの魔法系UCを使用。
グアルディアン・サトゥルノで相手のUCを相殺したり、ラビリント・ネプトゥノで
行動を制限したりすることもある。
フィニッシュはカラミダド・メテオーロが多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。
負傷者がいれば楽器演奏と歌で癒すことも多い。

◆非戦闘
情報収集を中心にしつつも直感を信じて行動することも



 少女の姿をした領主ヴァンパイアの姿は、鮮血に染まりつつあった。
 猟兵達、そして狂乱するオブリビオンとの戦いを経て、その姿の紅白の比率は紅の側へと傾きつつある。

「けど、窮鼠猫を噛むとも言うし、油断は禁物だね」
 フォルセティ・ソルレスティアは、箒を杖のように構える。
 少女の姿をした領主ヴァンパイアは白銀の少女をいなすと魔槍を構え、床を蹴った。
「あなたの血を寄越しなさいっ!!」
 フォルセティの細い首から血を啜り、回復しようとでもいうのか。
 喜々として襲い掛かって来る領主ヴァンパイアに対し、フォルセティは一度深く息を吸い込むと呪文を唱える。
「暁闇を統べる星刻の大神。七界を照らすは虹鱗の彩光!!」
 フォルセティが腕を回すと共に、箒の回転が光の弧を描く。
 鮮やかな光と共に現れるのは、虹色に輝く盾だ。
「そんな盾ごときで!!」
 領主ヴァンパイアが次々と突き込んで来る魔槍が、盾を貫き消滅させる。
 だがフォルセティは後退しつつも、次々と箒を振り回し新たな盾を出現させていく。
「どうしたの? 防御一辺倒じゃ勝てないわよ!!」
 壁際に追い詰められたフォルセティに対し、領主は力を見せつけるように魔槍を突き込んで来る。
 それを盾で凌ぐフォルセティは、領主の『後方』を見ていた。
「そっちの相手が、ボクだけならね」
「……!!」
 領主の後ろから、声も立てずに跳んで来たのは、白銀の髪をなびかせた少女だ。
 振り下ろされた鎌が、領主の肩口から入り、大きな傷を作る。
「再生、遅くなってるね」
 猟兵達との戦いの中で、領主の再生速度は明らかに鈍りはじめている。
 ヴァンパイア同士の激突に巻き込まれまいと距離を取りつつ、フォルセティは決着が近いことを悟るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニール・ブランシャード(サポート)
困ってる人がいるの?
ぼくで良ければ力になるよ!

(全身甲冑の中に棲みついたブラックタールの少年です。武器は長い柄の先に斧がついた戦斧です。
主な活動内容は冒険、集団戦、ボス戦です。

純朴で人懐っこく、優しい心を持っています。
オブリビオンに命を脅かされる人たちの助けになりたいと思っています。

NG:性的表現のあるシナリオ

あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。)



 猟兵達、そしてヴァンパイア達によるユーベルコードの数々は、豪奢な内装を保っていた領主館を崩壊へと導いていく。
 その主である領主ヴァンパイアも、いやま決死の形相で魔槍を振るっていた。
 ニール・ブランシャードは、長柄の戦斧を振るい、彼女と切り結ぶ。
「さすがに、もう余裕はないみたいだね」
「黙れ……!!」
 領主は魔槍へと魔力を流し込み、強力な一撃を繰り出そうとした。だが、ニールの頭部を貫かんとした一撃は、鎧の内側のニールが咄嗟に形状を変化させ、大開脚したことで外れる。
「危ない、危ない。貫通されても痛くはないけど、魔力は危険そうだよね」
 頭上をすり抜けた鮮血に染まる槍の帯びる剣呑な魔力を感じつつ、ニールは体を元の人型へと復元。
「面妖な……!?」
 人間の骨格ではありえぬ動きに領主ヴァンパイアの少女が目を見張る。
 その隙に戦斧を振るおうとしたニールは、鎧の金属音を響かせながら飛び退いた。
 突っ込んで来た白銀の少女の鎌と、領主の魔槍が火花を散らす。
「ラクエン……へ……」
「またしても、ガラクタが……!!」
「どちらも、かなり傷ついているね」
 オブリビオン同士の間に、いかなる因縁があったものか。
 それは2人の様子からは想像することしかできないが、
 戦斧を引っ提げ、ニールは切り結ぶ2人へと突っこんでいく。
「邪魔立てを!!」
 白銀の少女を魔槍で弾き飛ばすと、領主ヴァンパイアは魔槍をニールの胴の中心部へと向けた。
「今度は外さない。確実に貫くわ!!」
 強烈な一撃を、ニールは戦斧で受け止める。それだけでは止めきれぬ余波が館の壁を破砕して広がり、ニールの戦斧が吹き飛んでいった。
 領主が勝利を確信したかのように獰猛な笑みを浮かべる。
 だが、無手になったニールの伸ばした左手が槍を握る領主の手を掴んだ瞬間、その笑みは激痛に塗り替えられた。
「がああああっ!? こ、これはッ!?」
「ぼくね、こういうこともできるんだ」
 ニールの左手を覆う甲冑から溢れ出すのは、強い腐食性を持つ毒液だ。
 ニールは甲冑を軋ませながら、左手を叩きつけるように振った。ヴァンパイアの体を、毒液は瞬く間に侵食していく。紅白の少女は、もはや耐え切ることもできず、その体は館の後を追うようにして崩壊していくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『煉獄への導き手・エリー』

POW   :    召喚:少女と人々の嘆き
戦闘用の、自身と同じ強さの【悪意でできた、数多の絶望した信徒達と黒竜】と【憎悪でできた、攻撃を跳ね返す拒絶の障壁】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    投映:煉獄(ラクエン)への微笑
【煉獄へ導く使徒としての微笑を見せて】から【相手の深層に眠るトラウマや心の傷、闇】を放ち、【過度の心的外傷】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    投映:煉獄(ラクエン)への道標
対象のユーベルコードに対し【相手の深層に眠るトラウマや心の傷、闇】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑8
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナターシャ・フォーサイスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


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 領主館の主の消滅を見届けるように、白銀の少女は静かに佇んでいた。
 だが、やがて彼女は、猟兵達へとゆっくりと向き直る。

「あなた達も……煉獄(ラクエン)へ……導きましょう」

 白銀の少女の周囲に、闇を思わせる強い魔力と、猟兵達への敵意が漂い始めるのを猟兵達は感じ取る。
 一時の共闘を為したとはいえ、彼女もまた強力なオブリビオンに他ならない。
 彼女を逃せば、この領主館のある街に住む人々がその最初の犠牲となるだろう。
 領主との戦いで傷ついた今こそが、彼女を撃破する最大の好機なのだ。
政木・朱鞠
なるほど、目的が終われば私達も邪魔者ってことなんだね。
まったく、カワイイ見た目に反してエグい事するね…。
でも、残念でした、貴方の『導き』は私達が邪魔させてもらうよ。
共闘してくれた貴方にせめてもの餞、最後の詰めとして決着を付けようか。
貴方の咎はここで幕引きさせて貰うよ…そして、オヤスミナサイ。

戦闘【POW】
独り善がりの救済に負けるてはいられないからね。
武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使って体に鎖を絡めて動きを封じたいね。
心情的な攻撃なのかもしれないけど…『忍法・咎狐落とし』で今まで罪を犯した魂に対して絞り出させる様にダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎



 オブリビオン『煉獄への導き手・エリー』としての本性を現した白銀の少女に対し、政木・朱鞠は険しい目を向けた。
「目的が終われば私達も邪魔者ってことなんだね」
「目的……? まだ、終わってなんていない……」
 少女が、首を横に振ると鎌を振り上げる。

「すべてのヒトを、煉獄(ラクエン)へ……!!」
 漆黒に染まった悪意が、物理的なかたちを伴って凝集した。
 闇は絶望を顔に浮かべた人々や、竜の如き形を為して、朱鞠に襲い掛かって来る。
「まったく、カワイイ見た目に反してエグいユーベルコードだこと!!」
 口を尖らせつつも瓦礫を蹴った朱鞠は、拷問具『荊野鎖』を手に駆けだした。
 群れ為す悪意が、その後を追っていく。
 少女が闇を放つにつれて、その大きさは増しつつあった。距離を保ちつつ、朱鞠は視線を後方へ投げる。
「あの子は……よし、動いていないわね!」
 白銀の少女は、その体の前に魔法の障壁を展開したまま動いていない。
 それを確認すると、朱鞠は彼女の前方から斜め後ろへとすれ違うように急加速した。
「残念でした。貴女の『導き』は私達が邪魔させて貰うよ!!」
 朱鞠が相手の足元に這わせた『荊野鎖』が、一気に引き上げられた。
 拷問具としての機能を持つ鎖は、スパイクによって敵を引き裂かんとする。
 オブリビオンの少女は体に巻き付こうとする『荊野鎖』の一部を障壁で抑え、動きを封じられることを防ぐ。だが、朱鞠の忍術はそれで終わりではない。
「貴女の咎は、ここで幕引きさせて貰うよ」
 鎖を引きつつ告げた朱鞠は、素早く片手で印を結ぶ。
「咎に巣食いし悪狐の縁……焼き清め奉る!!」
 印の完成と共に、鎖についたスパイクから、秘められた浄化の炎が放たれた。
 浄化の炎は、オブリビオンの肉体を傷つけることはない。
「ああああッ!!」
 だが、オブリビオンの口からは苦痛の声が漏れる。
 その罪を帯びた魂をこそ、炎は祓い清めるかのように燃やしていくのだった。
「貴方の咎は、ここで幕引きとさせて貰うよ……!!」
 なおも抵抗を見せるオブリビオンに、朱鞠は鎖を引く力を強めて応じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八咫・美都子
煉獄(ラクエン)ですか
ふふふ……お断りです、私は今が楽しいので

祭祀用大鎌を手に八咫烏の舞を舞い、神を降ろしましょう
我が身に降ろすは導きと日輪の神……そうです、あなたの言うラクエンへと導くにふさわしい神でありましょう?
ふふふ、扱う武器も同じ似た者同士、戦いましょう……存分に
避けることもなく力任せに斬りつけ、宿る呪詛を放ちます

我が身にあるトラウマなど、腕の文様により、人から避けられた事くらい
されど、それは育ての親に守られ、大したものではない
それより、この手の大鎌の方が多く持つほど
祭祀により人から頼られ、縋られ……応えきれぬ無念の宿るもの
しかし、それも我が手で引き出し、眼前の敵を打つ力となりましょう



「煉獄(ラクエン)ですか……」
 八咫・美都子は、困ったように小首を傾げた。
 美都子が手にするのは、祭祀用の鎌だ。
 相対する白銀の少女が持つものとは、世界も形も異なれど、信仰の象徴という意味では似たような役割を持つのかもしれない。
「死者を煉獄へと送るための鎌なのでしょうね」
 死後の世界という概念は、巫女として育てられた彼女にも勿論理解できる。
 葬儀とは、生者と死者を分かつ、大切な儀式だ。
 ダークセイヴァーにおいても、それは変わるまい。

「あなたも……煉獄(ラクエン)へ行く……?」
「ふふふ……お断りです、私は今が楽しいので」
「ダメ……煉獄(ラクエン)へ……」

 あまり話が通じないのは、先程の領主と戦っていた時からあまり変わっていないらしい。美都子は鎌を受け流すと、その勢いのままにくるりと身を翻した。
 その戦いの中で為される動き、一挙手一投足を舞のためのものへと変えていく。

「この手に持ちたるは、人の祈りを受けし大鎌。されど、すべからく祈り受けたれば、やがてそは呪詛へと変わりし物なり」
 歌いながら舞い踊る美都子。その鴉の濡れ羽色をした髪が、次第に真に鴉の羽へと変わっていく。
 それと同時に美都子の携える大鎌は、内に秘めたる呪詛を剥き出しにしていた。
「何……それは……!」
 呪詛を恐れるかのように、煉獄への導き手は美都子へと闇を放つ。
 腕の文様から恐れられ、人から避けられ親に捨てられた過去、その心の痛みが膨れ上がり剣のように突き刺さろうとする。
「ですが、ええ……その程度は大したものではありませんとも」
 美都子は鎌を振るい、強引に闇を突っ切った。育ての親に大切に育てられた。その事実を支えとして闇を振り払った美都子の目に、オブリビオンの驚きと恐怖の表情が映る。
「この鎌が怖いですか」
 鎌を力強く振るいながら、美都子は言う。
「祭祀により人から頼られ、縋られながらも応えきれぬ無念。それこそが、この鎌の宿す呪詛。故に、それが怖いというならば……」
 一息。
「きっと、貴女は自分が為せなかった何かに囚われているのでしょうね」
 その妄執を断つかの如く、美都子の鎌はオブリビオンへと振り下ろされる。
 深く切り裂かれたオブリビオンの肩から、傷の深さを示すように闇は噴き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
悪いが、余らが其方に行くのはもう暫し後だ。
今は貴様だけで逝くがいい。

黄昏大隊・歩兵部隊を召喚。
広範囲に展開させ、突撃に対する牽制の為の掃射を行わせる者と、敵を直接狙いダメージを与える者とに分け、【集団戦術】にて各々の攻撃手段を指示。
掃射を突っ切ってくるならば余自ら戦旗を槍として振るい応じよう。

「楽園も煉獄も要らぬ、この現世こそがそれであるが故にな」
余と余の大隊が齎す戦火は恐らく煉獄であり、それ故に余にとっては楽園。
余を戦狂いと詰る者達の声をユーベルコードとして放って来るだろうが…最早斯様な声に惑いはせぬ。
兵とて然り。偽りの平和求める声など聞こえぬとも。
其を焼き尽くす為にこそ、余らは戦おうぞ!



 煉獄とは、天国と地獄との間にある場所を指す。
 死者の魂は、天国に入る前に、その場所で罪を清められるのだとか。

「形而上のものであるか、物理的にそのような場所が実在するのかは知らぬが……もっとも、それは戦争屋の考えることではあるまいな」

 ギージスレーヴ・メーベルナッハは戦旗を手に、左目で白銀の少女を見据えると、堂々と宣言した。
「歩兵部隊、前へ! 目標の完全沈黙まで全力にて攻撃せよ!」
 ギージスレーヴの号令と共に、武装した兵士達が続々と現れる。
 既に崩壊した館を跡形もなく消し飛ばさんとするかのような勢いで、黒い闇で顔を隠した歩兵達は掃射を開始する。
 対する白銀の少女は、凝集させた闇を土塁のように重ねて銃弾を防御した。

「左翼、右翼展開! 敵土塁後方へ回り込め!」
 ギージスレーヴが即座に左右に展開しての包囲を命ずる。
 その動きに呼応して歩兵達が展開すると同時に、オブリビオンは鎌を振るった。
 土塁のように置かれていた闇の一部が、散弾であるかのように弾け、ギージスレーヴへと向かって飛ぶ。
「むッ?」
 回避しつつも微かな闇の飛沫が触れた途端、ジーギスレーヴは、血と炎を幻視した。
 火薬の臭い。人の焦げる臭い。死の香り。
 幼くして経験した数多の戦、己を戦狂いと詰る者達の声が心を責め苛まんとする。
「辛い思いは、しなくてもいい。煉獄(ラクエン)へいきましょう……」
 遠く、オブリビオンの呼び声が聞こえ──ギージスレーヴはそれを鼻で笑い飛ばすように戦旗を振るい、幻影を振り払った。

「楽園も煉獄も要らぬ。この現世こそがそれである故にな」

 既に己は、それを得ていると、ギージスレーヴは断ずる。
 彼女と彼女の大隊がもたらす戦火こそは死の入り口に他ならず、
「それ故に、余にとっては楽園なのだ!!」
 人を惑わせる偽りの平和などに惑いはしない。
 物言わぬ兵士達は、銃を以て首領に呼応する。
「悪いが、余らが其方に行くのはもう暫し後だ。今は貴様だけで逝くがいい」
 銃声の響きがさらに高まり、オブリビオンの姿はその中で消失していくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月08日
宿敵 『煉獄への導き手・エリー』 を撃破!


挿絵イラスト