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ラクエンへと導く少女の復讐と(作者 時巡聖夜
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 ――許さない。
 楽園はあると言っていたのに。
 ――赦さない。
 救いはあると言っていたのに。
 ――ゆるさない。
 信じていたのに、アナタのこと。
 ――ユルサナイ。
 いいえ、ラクエンはある。あるのよ、間違いなくある。アナタの語っていた楽園とは違うとしても。
 だから、だから。ええ、だからこそ、導きましょう、誘いましょう、ラクエンへ。
 アナタも、貴女も貴方も貴男も、みんなみんな、導いて魅せましょう。

 蒼い瞳が煌めいて。

 。

 ――グリモアベースにて。

「どうも」
 ペコリ。一つ礼をしたのは、グリモア猟兵の一人、赤凪・風珀。紫色の瞳をぱちくりと瞬かせるその様子は、緊迫感の欠片もない。
 しかしそんなゆるりとした雰囲気と裏腹に、その右手が弄んでいるものは小さなダガー。猟兵たちに視線を向けながら弄ばれるダガーはきらりとどこからか光を反射させている。
「近頃、ヴァンパイアのオブリビオンたちが私達猟兵より毛嫌いしているものがあるそうですよ」
 すとん。落とされたダガーが一枚の写真を刺し抜く。写真に映しこまれているのは、白銀の髪をした少女の姿。綺麗に額の位置を刺しながら、赤凪がにっこりと笑った。

「ちょうどいいですよ。オブリビオンをまとめて片付けられますから」

 それは、一つの予知。
 白銀の少女が、ざわつくヴァンパイア領主館を襲うシーン。
 たったそれだけでも、きっかけには事足りる。
 その少女がオブリビオンであろうと、利用するのには十分で。

「どうやら、オブリビオンの仲間割れみたいなものが起きるようです。…まぁ、別にオブリビオンたちは仲間ではないでしょうけど…。ともあれ、場所がわかっても厳重な警備があって攻略が難しい領主館を狙いおとす絶好のチャンスです。皆さん、ぜひ振るってなぎ倒してきてください」
 写真を拾って無邪気な笑みで、そう言ってのける。
 領主館前に送りましょうと付け足し、笑顔の仮面をつけたまま、赤凪は猟兵たちを送り出した。





第2章 ボス戦 『リーシャ・ヴァーミリオン』

POW ●魔槍剛撃
単純で重い【鮮血槍】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●ブラッディ・カーニバル
自身に【忌まわしき血液】をまとい、高速移動と【血の刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●魔槍連撃
【鮮血槍による連続突き】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『隷属から逃れる術を知らない少女達』の数が増えるよりも減る数のほうが上回った頃。
 白銀の少女が唐突に玄関ホールを突き抜けて領主館の奥へと向かった。
 いつの間にかオブリビオンたちは敵味方を理解できず、味方同士で討ち合いはじめている。
 これ幸いと猟兵たちも白銀の少女を追って領主館の奥へと向かっていった。

 踏み込んだそこにいたのは、玄関ホールでも見ていた白銀の少女と――同じく白銀の髪を靡かせる、紅に身を包んだヴァンパイアだった。
 紅緋色の瞳が、後から現れた猟兵たちに向けられる。
 にぃ…と口角が吊り上がり、鋭い牙が覗いた。

「あらあら…随分と大勢でいらっしゃるのね?」
「…ユルサナイ…」
「ふふふ、なんのことやら。まぁ、お人形は多いほうが楽しいわ」

 ヴァンパイアの背で赤みを帯びた黒い翼が大きく広がる。構えられるのは身の丈に及びそうなほどの大きな槍。
 嬉々とした様子で、ヴァンパイアが叫んだ。

「さぁ、遊びましょう!!」

 ――――☆――――.

 推奨:白銀の少女との共闘。
    白銀の少女は好き勝手動きます。少なくとも手を出されなければ猟兵に攻撃することはないでしょう。
    しかし、言葉は通じないようです。共闘推奨ですが、別に無理に利用せずとも戦うことはできます。

 第二章最終目標:ヴァンパイア領主の討伐。
ジズルズィーク・ジグルリズリィ
POW判定◎アドリブ歓迎

既得、秘匿。白銀の少女、紅のヴァンパイア。ジズは、実は両方と、それぞれかつて戦ったことがあるのを思い出したのです。もちろんこれとは別の個体ですが。
それを思い出せば、まずは狙うべきはヴァンパイアと判決、先決です

その軽い得物で、その軽い罪の意識で、ジズたちに敵うとは思わないことです
ユーベルコードを使用し、その単純で重い一撃を受け止め持ち上げてしまいましょう
自慢のパワーもスピードも空中では活用できないはず
そのまま振り回して叩きつけ、ついでに槌でぺたんこにしてしまうのです

共闘して強敵を打倒しました。いよいよ、残りの強敵を見極める時なのです
気合いも十分に、油断なく敢闘する所存です


霊ヶ峰・ソーニャ
アドリブ連携歓迎

「狙い、は、同じ……なら、少し、利用、させ、て、貰う」

タイミングを図り、魔力を集中、一点に。共闘する白銀の少女に意思が集中してる間に詠唱(属性攻撃:火、土、風 全力魔法、高速詠唱、2回攻撃、衝撃波、空中戦、破魔)。
鮮血槍の連続突きを繰り出すタイミングを見て、指定UC発動。
それによって気を引くことになると思うが、第六感と空中戦で攻撃を躱す。必要なら共闘する少女や遮蔽物の影に隠れる等の対処。
その後は念動力+属性攻撃:光の通常魔法攻撃も交えて応戦、トドメの状況でもう一度指定UC。他に狙う人がいるならなるべく合わせる。

「遊び、には、つき、あわない。骸、の、海、に、帰って、寝て、ろ」


 瞳をきらめかせ、壊れた人形のようにいびつな笑みを浮かべた紅のヴァンパイアは、白銀の少女と猟兵たちに槍を向ける。
 それを真っ向から受けていたジズルズィーク・ジグルリズリィ(虚無恬淡・f10389)は、二人のオブリビオンの顔を見て気付く。覚えのある顔。別個体とはいえ、戦ったことのあるオブリビオンだ。成ればと構える槌はまっすぐと紅のヴァンパイアへ。
 その傍らで霊ヶ峰・ソーニャ(コンセントレイト・f13463)がじっとオブリビオンたちの様子をうかがっていた。白銀の少女が今こちらに敵意を向けていないことを確信した上で、利用しようとタイミングを図っている。

「狙い、は、同じ……なら、少し、利用、させ、て、貰う」
「そぉれ!!」

 ソーニャのつぶやきに重なるように声を上げ、一番初めに飛び出したのは紅のヴァンパイア。振りあげた槍を振り下ろす先は、槌を構えたジグルリズリィ。されど、覚えのあるジグルリズリィはその槍を槌を持つ手と逆の手でつかみ取る。お?と不思議そうな顔をする紅のヴァンパイアを蕩けた桃色の瞳で見返し、ぐんっとその体ごと槍を振り持ち上げた。そのまま勢いよく振り回し、地にたたきつけようとした瞬間、ジグルリズリィが感じていたわずかな重ささえなくなる。
 するりと槍から手を放してたたきつけられる衝撃を受け流した紅のヴァンパイアが、にやりと笑った。ジグルリズリィの手から動きの流れで槍が離れると同時に、再びつかまれた槍が振り上げられ、ジグルリズリィの髪を一筋掠めていく。双方がそれぞれ一歩飛び退いて、距離が開いた。

 数度の瞬きの間、短い時ではあったが、それはほかのものが動き出すきっかけと時間になる。次いで紅のヴァンパイアに飛び掛かったのは何処からか現れたいくつも人の姿をした何かと黒竜。
 出現元をたどれば、そこにいたのは白銀の少女。青い瞳に憎悪の炎を宿して、障壁を生み出している。

「ユルサナイ…アナタを、今度こそラクエンへ…」
「きゃははっ!楽園?そんな物ないわ!」

 無数の人型や黒竜から襲い来る攻めの手はされど、身軽に跳びまわって避けた紅のヴァンパイアにけたけたと笑われるのみ。かと思いきや、動きの取れない白銀の少女へ距離を詰める。
 無邪気な狂気に満ちた槍が振り上げられ、振り下ろされる。障壁に阻まれてもお構いなしに突き落とされる重い攻撃は地面をえぐり壊し、白銀の少女の体がぐらりとバランスを崩した。満面の笑みで次なる一手を繰り出そうとした紅のヴァンパイアは、しかしその手を反して槍を振るう。
 激しい衝撃音、いくつもの属性を宿した極限を超え収束されし魔法は、鼓膜を破きそうなほどに震わせた。衝撃が落ち着いたころ、その大元には今の今まで様子を見ながら魔力を集中させていたソーニャの姿が。

 ちょっかいをかけてきたと感じたのか、紅のヴァンパイアはすこし不機嫌そうに目を細めた。反動で動けないままの白銀の少女を捨て置き、ソーニャへと方向転換する。
 されど、小さなソーニャのことを捉えるのは容易ではない。すばやく鋭く槍が突き出されても、【第六感】と【空中戦】を駆使し、その攻撃を躱して紅のヴァンパイアを翻弄する。それは、相当にその神経を逆撫でしたのだろう。紅い瞳が不快感に歪んだ。
 ――不意に二人の足元が陰る。
 ひゅっと空気を切る音が耳朶を打ち、ソーニャの背後から紅のヴァンパイアに振り下ろされる切る槌一つ。一度引いたジグルリズリィの姿がそこに在った。
 ステップを踏んでその槌を避けた紅のヴァンパイアは、一度にじませた不快感を飲み込み再び笑った。その姿めがけてソーニャから追加の魔法が撃ち込まれるが、それすら軽やかなステップで避けていく。遊ばれていると悟り、ソーニャはわずかに目を細めて不愉快だと言わんばかりに口を開いた。

「遊び、には、つき、あわない。骸、の、海、に、帰って、寝て、ろ」
「あら、おもちゃは遊ばれるものだわ。つきあうつきあわないという話ではないわ」

 何を言っているの、と理解できない顔で首をかしげる。あくまで猟兵たちをおもちゃとしか認識していない様子。すぐに満面の笑みを浮かべて、翼をはためかせる。
 二人が次の行動に移るより前に、槍が大きく振り薙がれた。動けるようになった白銀の少女が動き始め、紅のヴァンパイアはさらに距離を取る。
 赤と白を靡かせながら笑う紅のヴァンパイアはまだまだ倒せる様子はなかった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
なるほど、奴がこの館の主か。
磐石と信じていた統治を狂気に潰されるは理不尽の極みよな。
だが、このまま消えてもらうとしよう。

黄昏大隊・歩兵部隊を発動、召喚した兵士に銃撃にての攻撃を指示。
ちょうど白銀の娘を援護するような形とする。
各員の発射間隔を調整し、可能な限り間断なきよう弾幕を展開しつつ、余自身も【スナイパー】【呪殺弾】にて敵を狙い撃つ。

敵の狙いが此方に来た場合は、兵に弾幕を維持させつつ強襲を警戒。
攻撃には可能な限り回避を試みるが、間に合わないと見たら手近な兵を盾にし凌ぐ。
隙が見えたら、そこに兵と余自身による一斉射撃を叩き込んでくれよう。
「その存在の愚行、己が命で償うが良かろう!」


 距離を取った紅のヴァンパイアに、不意に撃ち込まれる銃弾。
 ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)の召喚した兵士たちによる攻撃は想定外だったのか、その紅白が僅かにバランスを崩した。新たな敵(おもちゃ)に向き直ろうとするも、白銀の少女が握る鎌を振り薙ぎ立ち回れない。
 避けて避けてよけて、攻め手に転じる余裕がないほどに的確にメーベルナッハの召喚した兵士たちの銃撃と白銀の少女の振るう鎌が襲い来る。銀色の瞳と青色の瞳に囚われて、紅色は逃げることも返すこともできず、紙一重で躱すほかない。初めて、紅のヴァンパイアの顔に焦燥が浮かんだ。

「…磐石と信じていた統治を狂気に潰されるは理不尽の極みよな」

 ぽつり、とメーベルナッハが呟く。しかし、同情を思わせるその言葉とは裏腹に構えるのは一つの銃。彼女自身も【スナイパー】【呪殺弾】にて狙いを定めていた。
 食いしばられた紅のヴァンパイアの牙が鋭く光り、接近戦を行っていた白銀の少女が吹き飛んだ。白い足に朱を散らしながら、蹴り飛ばしたと思われるその体制から体をねじると、己に照準を合わせているメーベルナッハの懐へ飛び込まんとその場から突き込んでくる。
 冷静に状況を見ていたメーベルナッハがその引き金を引くも、最小の動きで躱す紅のヴァンパイアの頬に一筋の紅い傷を作ることしかできなかった。
 思わず舌を打ちながら、メーベルナッハは相手の持つ槍先を見る。今にも突き出そうとされるそれを、その軌道を予測するために。
 一突き――頭を狙うその槍から、俊敏に腰を落とし慣性で取り残された銀髪一筋を犠牲に躱す。
 二突き――首筋を狙うその槍から、片足で地を蹴ることで横転して受け身を取りながら躱す。
 三突き――安易によけれぬようと中心を穿たんとするその槍から、避け切れぬことを悟る。
 紅のヴァンパイアが、獲物を捕らえられたと確信して嗤う。空気を切る音、槍が対象を穿つ音がして――舞う赤は、メーベルナッハのものではなかった。
 穿たれたのは、一体の兵士。スピードをそがれた槍は、メーベルナッハに届く前に後方へと立ち退かれ兵士を突くにとどまる。
 メーベルナッハの唇が、にやりと弧を描いた。

「…あ?」
「その存在の愚行、己が命で償うが良かろう!」

 響く銃声は一つではなく、幾つもの発砲音は部屋を震わせるほどの衝撃を起こし、繰り返す。発砲の閃光は各々の視界を眩ませる。弾ける鮮血に部屋が彩られた時、銃の空打ちの音を最後に静寂が訪れた。
 明転する視界が落ち着き、正常な情景が脳裏に映りこむ。ハチの巣となった紅のヴァンパイアは――。

「…これで、おわり?」

 裂傷を受けてなお、部屋の中央に立っていた。部屋を彩る鮮血の多くはメーベルナッハの召喚した兵士たちのもので、紅のヴァンパイアに致命傷を与えられていないことを悟らざるを得ない。
 狂笑を浮かべる紅のヴァンパイアは、まだ倒れない。
成功 🔵🔵🔴

龍統・光明(サポート)
『その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……』
ヤドリガミの電脳魔術士×竜騎士
年齢:18歳 男
外見:173.3cm・赤い瞳・銀髪・色白の肌
特徴:左胸に傷跡・知識欲が強い・由緒正しい血筋・料理が好き・創作活動が好き
口調:男性的(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)

基本冷静沈着。但しノリは良い

二刀流と蹴術を織り交ぜながら羽形スレイブを操り戦う

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用

基本回避優先で防御の際は左腕を盾代わりに使う

常にクールである事に努めており、他に迷惑をかけない様に心掛けている

自由に動かして頂いて構いません。(NG:ギャグ・コミカル)


 ゆらゆらと怪しく揺蕩う紅のヴァンパイアが次に視線を向けたのは、堂々と室内に立つ龍統・光明(千変万化の超越者・f02421)の赤い瞳。
 刀を携えたその姿は、配色こそ同じであれ明らかに異なる存在。紅のヴァンパイアがにっこりと笑った。ざわりと空気を逆立てたのはなにか。

「…随分と業の深い…」
「ふふ、次はそちらのドラゴンのお人形ね――遊んであげる」
「あいにく遊びに付き合う気はないな」

 ドッと激しい音が響く。飛び出すのは紅のヴァンパイア。携えた槍が鮮血を纏いいびつに空気を切る。対して光明はじっとそれを見つめ反撃の様子を見せない。楽しそうな狂笑とともに突き出される槍。狙いは光明の肩――の、はずだった。
 単純な紅のヴァンパイアの攻撃を公明はたやすく躱す。流れるように振り上げられた脚がその槍を蹴り上げた。すぐに体勢を立て直そうとする紅のヴァンパイアは唐突に視界から消えた光明にわずかに動揺する。勢いのままに斜め前にもぐりこんだ公明がちらと赤き瞳で己の後方を見やり、紅のヴァンパイアもその視線を無意識に追った。
 そこにいるのは白銀の少女。その身から流れる鮮血をものともせずに振り下ろされる鎌の銀色線。パッと散る紅。その血は誰のものか。

「ラクエン、へ…」
「…っ」
「…生意気な、ガラクタが…!」

 忌々し気に吐き捨てられる紅のヴァンパイアの言の葉。
 ぱたたっと乾いた血に飛び散る新たな鮮血は二つ。紅のヴァンパイアの白い足に斬りつけられた赤い傷と、白銀の少女の脇腹に引き裂かれた槍の傷。回避にのみ重きを置いていた光明は鎌の突き刺さる床のその寸でのところにいた。
 勢いを殺さずに転じた光明は地を蹴り、後方へ飛び退った紅のヴァンパイアの懐に飛び込む。煌めく、赤い瞳。
 くっと上がった口角。携えていた刀から、ぶわりと空気が揺れた。現れたるは九頭龍、飛び交うは光明の意思。嗚呼しかし、しかし。

「…ガラクタに、用はないわ」

 小さな小さな、光明にも聞こえるか聞こえないかの囁き。刹那、反射でかばう光明の左腕が槍に貫かれた。
 光明がユーベルコードを放つより早く、紅のヴァンパイアのユーベルコードが発動していたのだ。振り抜かれた光明の体が、はるか後方、壁際まで弾かれる。
 滴る鮮血の中、それでもまだ紅のヴァンパイアはそこに不敵に立っていた。
成功 🔵🔵🔴