4
例え命尽きるとも

#サムライエンパイア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア


0




●不穏
 男達は、暗い竹林を何処へか進む。
「――あぁ、憎らしや祝いの声よ」
 進路はゆらゆらと頼りなく蛇行し、握る刀は長く風雪に晒されてか酷く錆付いていたが――行く手遮る竹を斬る、その斬れ味の鋭さは男の生前の武者としての腕前を表していた。

 邪魔な竹を、斬って、斬って、斬って、斬る、斬る、斬る。
 目障りな竹を、斬って、斬って、斬って、斬る、斬る、斬る。
 目障りな者も、斬って、斬って、斬って、斬って斬って斬って斬る斬る斬る斬――。

「憎らしや。誰が命、誰が首あっての平穏か」
「あの御方が来るまでに終わらせるのだ。……あの御方を蔑ろにするなど、決して、決して許されぬ――」
 新年に浮く生者の仕打ち、その在り様を男達は呪い、ゆらりと竹林を突き進む。
 月の隠れる暗闇の夜、先の集落に無数の悲鳴が轟いたのは――間もなくのことであった。

●予知
「新年、あけましておめでとうございます。ゆっくりしたい所ではありますが、……すみません、あまり好くない予知です。皆さんのお力を貸してください」
 グリモアベースで、大きな書道筆を手にした少女が一人、申し訳なさそうに頭を下げた。
 グリモア猟兵、萩乃谷・硯(心濯・f09734)だ。
「私の故郷、エンパイアでオブリビオンの動きがあります。でも、予知した私は皆さんを案内する以上に動くことが出来ません。お願いします、オブリビオンを打倒し、人々の平穏な新年を守ってください」

 ――予知によると、ある集落近くの竹林に、夜闇に紛れオブリビオンが現れるという。
「過去の戦に散った武者の怨霊の様です。三人居ました。その竹林はかなり昔に人の出入りした時期もあったようですが、現在はほぼ自然のままの状態です。外灯などもありませんし、……そもそも無造作に生い茂った竹の中では見通しも悪く、戦いに適した場所とは言い難い環境です」
 だから、昼である今の内に現地へ赴き、先ずは地形の確認や竹の伐採、光源の確保など、戦いの場を整える。
 つまり、準備を整えて迎え撃つわけだが――硯には一つ、武者達について気がかりなことがあった。
「何だか、新年に沸き立つ人々に対して、行き場の無い怒りを感じました。具体的なことは解らないのですが、裏切られたとか……或いは、置いて行かれたかの様な。そして、三者は口を揃えて『あの御方を蔑ろに』『あの御方が来るまで』と話していたんです」
 それは何を意味するのか。オブリビオンである三人の武者を討伐した後に、『あの御方』と呼ばれる存在が現れるとするならば――それは間違いなくオブリビオンだ。そちらも討伐しなければならないだろう。

「……すみません、私の予知に、これ以上のことは……でも、確かなことは、放置すれば新年の宴に沸く一つの集落が壊滅してしまうのです」
 申し訳なさそうに改めて頭を下げた硯は、しかし切なる思いを胸に抱いて猟兵達に向き合った。
「お願いします。人々の平穏で当たり前な新年の営みを、その命を――守ってあげてください」



 新年あけましておめでとうございます!
 蔦(つた)がお送りします。
 宜しくお願い致します。

 さて、今回のミッションはサムライエンパイア、オブリビオンの討伐です。
 竹林での環境確認や整備や戦闘対策の結果が、次章の怨霊戦で生きてくると思います。
 足元の状態はどうか、視界確保の手段は、怨霊は何処から現れるのか、など、是非様々考えて探索・対策してみてください。
 また、武者戦の先に更なる戦闘の予感もあります。その情報を、一章の探索から入手出来るかもしれません。
 勿論、戦闘も油断無く。
 新年にしてはあまり良い予知ではありませんでしたが、硯が皆様を結末まで見守っております。

 ※ 同行希望の方がいらっしゃる場合は、必ずお相手の名前・IDを相互にプレイングに記載ください。

 それでは。皆様のプレイングを心よりお待ちしております!
144




第1章 冒険 『竹林』

POW   :    竹を切って戦いやすくする

SPD   :    地形の確認、罠を仕掛ける

WIZ   :    襲撃方法を予想して対策する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●竹林に眠る過去
 猟兵達が降り立ったその竹林は、しんと静まり返っていた。

 一面に竹、竹、竹。広域に群生するがゆえに、見上げれば頭上は背の高い竹とその葉に埋もれ昼にして暗がりだ。
 その隙間からかろうじて確認出来た今日の空は、厚い雲に覆われていた。これでは光は僅かしか差し込まない。ましてこのまま夜となれば――想像すれば、戦いの場を整える意味はすんなりと理解出来た。そもそも密集して生える竹だって、武器振るうにも動くにも明らかに邪魔になろう。
 いずれ予知を元にテレポートした以上は、武者達はこの場所を必ず通過する。向かう方角に見当をつけるため一人が集落の位置を問えば、グリモア猟兵は西を指で差し示した。
 此処から見えてこそいないが、竹林を西に抜けた先に、今を生きる人々の当たり前の営みがある。
 集落を守る戦いは、敵影無い今、既に始まっていた。
アーノルド・ステイサム
恨みを抱えながら散った兵隊たちね。
俺も駒同然に働かされた時代はあったが
残念なことにそういった感情とは無縁だ。機械だしな。
だが、興味はある。

戦闘の下準備に実戦用ヒューマノイドができることは多くない。
まあ力だけはある。
竹を伐採して立ち回りやすい戦場作りに尽力しよう。

ただ、集落側にある竹はむしろあったほうがいいだろうな。
兵隊どもの進行を阻害できる。
そこは残しておくか、中途半端に切ったりしておく。
伐採した竹もそのあたりに積んでおこうか。邪魔くさい感じにな。

手を動かしながら敵の正体を考察する。
近隣の集落生まれなのかね。
ろくに弔わずに騒ごうとしてるから腹を立てた、とか。
…答え合わせはもう少し後だな。


ブク・リョウ
新年早々、物騒な話なのさ

竹を伐採する前に
何か痕跡が残ってないか地面をチェック
竹以外に何かないかなぁ

うーん…敵がどこから現れるかはわからないけど
おれたちが新年に浮かれた振りして竹林で騒いでたら
敵の方からおれたちのところに来てくれたりしないかなぁ…?

予め竹を切ったり光を用意して
戦いやすくしておいた場所で囮役が騒いでさ、
そこにおびき寄せられた敵を
他のみんなと一緒に囲んじゃうのさ

もしこの案に乗ってくれるなら
言い出しっぺだし囮役はおれたちに任せて!
(相棒のからくりを操りお辞儀させる)

何にしても
竹を伐採しないとね
しなる竹で罠も作るのさ
【地形を利用】して
紐を切れば竹が鞭みたいになって
敵に攻撃する仕掛けとか


マレーク・グランシャール
怨霊の類いであれば血肉は無さそうだが、喰らえるのならその無念ごと俺が喰らうまで

だがその前に
槍使いだからこそ言う話だが、伐採した後の竹の始末はきちんとしておいた方がいいだろう
俺なら竹が落ちていたら槍として使うし、敵が武者の怨霊と聞けば尚更だ

自分も率先して伐採に精を出すつもりだが、伐った後の竹は長いままにせず短くしておこうか
また伐った竹は紐を通し、礫としてぶつけられないようにもしておく
仲間が竹を罠として使いたいというのならそれも良し、俺も手伝おう

作業中は周囲への警戒を怠りなく、風の動き、草の動きにも気を配る
伐採の後、わざと『あの御方』と口にしたらおびき寄せられないだろうか



「新年早々、物騒な話なのさ」
 キョロキョロと地面に目を配るシャーマンズゴースト――ブク・リョウは、痕跡を探していた。
 痕跡とはつまり、過去に起こった何らかの事柄を示す跡のこと。武者達が話していた内容から、この竹林でとは言わないまでも、今日の敵に纏わる何かしらの出来事が過去この地で起こったのではという予測は、集った多くの猟兵が立てていた。
 ブクが請け負ったのは竹の伐採だ。直ぐにでも取り掛かれる作業であったが――ブクは先ず地面の確認し、伐採作業によってそれらの痕跡を消してしまわぬよう慎重を期していた。
「恨みを抱えながら散った兵隊たちね……」
 そして、ブクの確認が済んだ場所から伐採を開始するのはアーノルド・ステイサムだ。
「俺も駒同然に働かされた時代はあったが、残念なことにそういった感情とは無縁だ。……機械だしな。だが、興味はある」
 機械の体は力強く頼もしい。竹を伐採し進むウォーマシンは、西から東へと進路を取る様ブクへと声を掛けた。集落がある西側の竹は、敵の進行を阻害する意味であったほうがいいだろうという判断だ。ブクもそれには同意を示した。
「伐採した竹もそのあたりに積んでおこうか。邪魔くさい感じに」
「いや、伐採した後の竹の始末はきちんとしておいた方がいい」
 アーノルドの言葉にそう声を上げたのは、同様に竹の伐採を進めていたマレーク・グランシャールだ。全身黒きドラゴニアンの男は、日頃槍を得物とするからこその視点で意見を述べた。
「槍使いだからこそ言う話だが、俺なら竹が落ちていたら槍として使うし、敵が武者の怨霊と聞けば尚更だ。だから、斬った跡の竹も、……こうして」
 言うとマレークは、斬ったままの長い竹を短く幾つかに切り分けていく。敵の武器にならないよう短くしておくこと――加えてマレークは、それらに紐を通して纏めた。
「こうして、礫としてぶつけられないようにもしておく」
「成る程な。確かに」
 アーノルドは素直に感心すると、マレークに倣って幾つか伐採した竹を斧で短く斬った。頷いてマレークは、それらを紐通し――こうして竹伐採の連携体制が完成。
 ある程度地面を確認を勧めたブクも、やがてそこに合流した。
「うーん……敵がどこから現れるかはわからないけど、おれたちが新年に浮かれた振りして竹林で騒いでたら、敵の方からおれたちのところに来てくれたりしないかなぁ……?」
 戦略を頭の中に巡らせながら、ブクは伐採進める傍ら所々に竹製の罠を仕掛けていく。
 地形を利用し見えにくい所に配置したそれは、戦闘中にタイミングを計って紐を切れば撓る竹が鞭の様に敵に攻撃する仕掛けだ。見えにくい故に仲間へ設置の注意喚起をしながら次々と罠を仕掛けていくブクに、マレークも時折手を貸しながら、竹の伐採を進めていく。
(「――怨霊の類いであれば血肉は無さそうだが、喰らえるのならその無念ごと俺が喰らうまで」)
 武者達と『あの御方』と呼ばれていた存在へとそう思い巡らすマレークの隣、竹を豪快に斬り進めながらアーノルドもまた考える。
(「近隣の集落生まれなのかね。……ろくに弔わずに騒ごうとしてるから腹を立てた、とか」)
 今日の敵の正体について興味はあれど、調査はそう得意ではない。仲間達がきっと何か手掛かりを齎してくれるだろう――信じればこそ、アーノルドは戦いの舞台を整えるべくその機械の剛腕を振るい続ける。
(「……いずれ、答え合わせはもう少し後だな」)
 ――その予測が見当違いでは無かったことを、アーノルドはほどなく知ることとなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

リステル・クローズエデン
【SPD】判定:地形の確認
『視力2、撮影2』で移動しながら地形を確認。
謎の端末で特徴的な場所を撮影し、白地図に記入します。
「地道にいくしかありませんね。時間は限られていますが。」

何かしらの違和感がないか。
この竹林に、以前何かがあったような。
建物、屋敷があったような痕跡が。
道などの痕跡が残っていないかですね。
『第六感4』も使用して。足で稼ぎます。
「僕の考えが間違っていないならば、必ずあるはずなのですが。」



「地道にいくしかありませんね。時間は限られていますが」
 リステル・クローズエデンは一人、歩きながら地図を作製していた。
 視力を頼りに特徴的な場所を探し、見付ければ『謎の携帯端末』で撮影、地図にも記入――探索で特に重視したのは、この竹林に建物や屋敷が建っていた様な痕跡だ。
「僕の考えが間違っていないならば、必ずあるはずなのですが」
 第六感も頼りにして、ひたすら竹林の中を歩くリステルは――ふと、地図上に現れた特殊な特徴に足を止めた。
 部分的にあった地面のぬかるみ。チェックしてきたその位置を目で辿っていくと――。
「……西から東へ、ほぼ直線上に……?」
 地質はどこも同様の土だった。ならばぬかるみが部分的に出来る条件といえば、先ず地面が乾きにくい日陰。しかし、この一面暗がりの竹林内に、そう大きく差異が出るとは思えない。
 ならばもう一つは、水が集まりやすい場所――窪地だ。
(「川の跡なら地質や石なんかにも特徴が現れるはずですが、それは見られません。竹林全体にそれほど高低差も感じませんし……これは、踏み固められた道の跡……?」)
 踏み固められ窪んだ場所にぬかるみが出来ているとするなら、東西にその直線が存在する理由も説明がつく。西には、人が住まう集落があるのだから。
 つまり、この直線の東側に何かがある――ぬかるみを辿る様に東へと進んだリステルは、そこにあるものを発見する。
「……墓石……?」
 刻まれた文字もなく、いつの、誰の、その手掛かりはまるでない。
 長きに風雪に晒されたか在りし日の形を失いながらも――明らかに墓と解るその石は、苔を纏い一人寂しく立っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

弥久・銀花
ふむ、竹林が戦場ですか。

では、躓かない高さのエリアと、足首の高さに竹の切り株を残すエリアと分けて伐っておきましょうか。

何も知らなければ躓いてしまうでしょうね。



後は伐った竹でブービートラップを仕掛けますね。

伐り落とした竹を大きく撓らせて、まだ生えている竹に引っ掛けて固定しておけば、いざと言う時には引っ掛けている竹を伐り捨てるとそれなりの威力の罠になります。

落とし穴は竹の地下茎があって掘れないので、この場では吊り系のトラップが良さそうですね。

まだ生えている竹を大きく撓らせてロープで固定して、竹の先の方に輪の着いたロープを結んで地面に仕掛けて括り縄です。

地面を這うロープは竹の葉で隠して。



これで良し!


花京院・紗
新年を迎えるというのは特別のことです
それなのにどうして?
蔑ろの意味を、私は知りたい


村へ襲撃するならどの辺りの竹林から出てくるのか
ある程度の検討を付け、そこから竹林の中へ

薙刀の柄の先で地面をトントンと叩き土の感触を感じながら探索
竹以外の戦闘に支障の出るものは手でどかせるならばどかす

どかせないものや地面が緩んだりして足場の悪い場所には
近くに明かりを置いて目印に
明かりは敵のルートに影響を及ぼさないよう火はつけない
暗くなっても場所が分かるように灯には微かに香を塗っておきます
私は妖狐ですから、鼻が利くんですよ



(「新年を迎えるというのは特別のことです。それなのに……どうして? 蔑ろの意味を、私は知りたい」)
 一方その頃――集落の見える竹林の西の果てに立ち、花京院・紗は考えていた。
 村を襲撃するとして、武者達の進路、その導線は――元居た位置から割り出したその道筋を辿り竹林へと引き返す紗の手には薙刀。
 柄の先で地面をトントンと叩きながら前へと進めば、時折触れる土とは異なるゴツリとした感触は地表に顔を出した石や竹の地下茎だ。石は手で掘り出して差し障りない場所へと移動し、地下茎が剥き出す場所へは、足場が悪いと示すためそっと目印を置いていく。
 目印――用意した明かりに、火は付けずに。
(「火を付けたら、敵のルートに影響を及ぼすかもしれません」)
 代わりに、紗は明かりに少しの香を塗った。妖狐である紗ならば、暗がりの中に火を灯さずともその香りで辿ることが出来る筈だ。
 一つ、また一つと明かりを置いていく紗は、やがて竹が足首の高さに切り揃えられた一角へと辿り着き、足を止めた。
「……これは?」
「あ、気を付けて」
 応えた声に振り向けば、そこには弥久・銀花。
 伐採で生まれた空間の中、所々点在する地に生えたままの竹を撓らせロープを結んでいる彼女は、その場に罠を無数に仕掛けていた。足首の高さに斬った竹もその一つ。何も知らない者は躓いてしまうことだろう。
「今作っているのは括り縄です。こうして、まだ生えている竹を大きく撓らせてロープで固定して、竹の先の方に輪の着いたロープを結んで地面に仕掛けて……」
 器用に輪の付いたロープを竹へ結び終えると、銀花はそれを地面に置く。そこに伐採した竹から取って集めた竹の葉を被せれば、括り縄は完成だ。上手く敵が踏み込めば、吊り上げることが出来るかもしれない。
「――これで良し!」
 罠が特に多い一角となったそこに、紗は銀花へ相談の上、仲間にだけ解る様にそっと火のない明かりを置いた。これで、仲間が罠にかかることも無いだろう。
 環境。罠。各自趣向を凝らしながら、戦いの準備が進んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコ・ベルクシュタイン
不穏な話だな、折角の新年の祝祭を血に染める訳には行くまい。
何としても阻止せねばなるまいな、尽力しよう。

【WIZ】使用
敵は一心に一直線に、邪魔な竹林を切り払いながら突き進んでくると予想する
他の猟兵が竹を切った場合は、どのような意図で切ったのかを確認し
敵の不意を突けそうな空間が開けていればそのまま利用させて貰い、
敵の侵攻を助けてしまうものになりそうならば、途中に落とし穴や
吊るし罠などを仕掛けて対処を施そう

また、もしも集落の人々と接触して話が聞けるのならば
「此の近辺に伝わる、非業の死を遂げた位の高い人物」
についての情報を尋ねてみようかと思う
「世界知識」と合わせて、敵の背景が見えるかも知れない


アルバ・アルフライラ
祝いの日に呪いとはまた物騒よな
ふん、彼奴等の事情なんぞ知った事か
怨みも、企みも、我が炎で一切燃やし尽くしてくれよう

…然し、そうさな
過去に死を遂げたであろう何者かの存在
『あの御方』なる存在がこの地と縁あるならば、集落の者から手掛りが掴めるやも知れぬ
無論、徒労に終っても構わぬさ
相手が誰であれ屠る迄の事だ

竹林の状態、地形の確認
即席の外灯ならば【愚者の灯火】で代用出来よう
これならば延焼も防ぐ事が可能だ
敵の注意を引くにも使えるかも知れん
怨霊が何処より現れるか皆目見当つかんが…過去に出入りがあった事がある、か
もし過去に道の類が存在したならば、その件も念の為確認
…其方から現れる事も否定出来ぬ

■アドリブ等歓迎



「祝いの日に呪いとはまた物騒よな」
 呟いたアルバ・アルフライラに、ニコ・ベルクシュタインは頷いた。
「折角の新年の祝祭を血に染める訳には行くまい。何としても阻止せねばなるまいな、尽力しよう」
「ふん、彼奴等の事情なんぞ知った事か。怨みも企みも、我が炎で燃やし尽くしてくれよう」
 答えてアルバが手に一瞬灯して見せた炎は、ユーベルコード『愚者の灯火(イグニス・ファタス)』だ。延焼分も任意に消せる魔法の炎は、戦闘中の光源としても活用出来ることだろう――思いながらアルバは、今日の戦う相手へと思いを馳せる。
(「……然し、過去に死を遂げたであろう何者か――『あの御方』なる存在がこの地と縁あるならば、集落の者から手掛りが掴めるやも知れぬ」)
 今アルバは、集落の民と接触出来ないかとの考えに同調したニコと共に、竹林の西の果てを目指していた。その道中もニコの冷静な紅眼は、伐採された竹林の空間を走り回る。
 竹が如何なる意図で斬られたのか、急襲出来そうな空間はあるか――観点は様々だ。
(「敵は恐らく一心に一直線に、邪魔な竹林を切り払いながら突き進んでくると予想する」)
 此処が戦闘するに適さない環境であったのは間違いないが、伐採した空間が敵の侵攻を助長するであろうこともニコは解っていた。だから竹林の西の果てに到って、集落に近い竹林が伐採されず一定距離残されていたことには大きな安堵を覚えた。
 このバリケードは最後の壁だ。仲間の仕掛けた罠の位置を確認し、穴になりそうな所々に更なる罠を設置しながら進んできたニコに手抜かりなど一切無かった。
 ――残るは、敵の情報であったのだが。
「非業の死を遂げた位の高い人物? 知らんねぇ。そんなもん、戦の時代にゃいくらでもあったろうしなぁ」
 道で出会った男からの残念な返事に、続けてアルバも問う。
「ならば、あの竹林に昔人の出入りしていたことは? 道の類など在ったのか?」
「……兄さん、そいつはきっともう二、三百年くらい前なんじゃないかね? この辺りであの竹林に入る者はまずおらんよ。薄暗うて不気味じゃ」
「そうですか……ありがとうございました」
 丁寧に礼を告げ男と別れると、ニコは口元に手を当て思考を巡らす。
 敵に関する明確な手掛かりは得られなかった――知れたことは人の出入りが二、三百年も昔のことであること。そして集落の人々にとって竹林が気味が悪い場所であるということ。
 仲間もきっと何か情報を得ている筈だ。もしかしたら、合わせることで見えてくることもあるかもしれないと。
 思えば、ニコとアルバの戻る足は自然速くなった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイブル・クライツァ
集落が竹林に囲まれている際は、集落の人達が昔出入りしていた方向の情報を訊けそうなら訪ねて
既に切ってある竹の切り口と残っている竹部分の色(白~茶で年期具合の把握)を追跡し、敵が来そうな方向に目星をつけるわ。
地滑りしそうな場所(踏んだ際に紐が解けて、切った竹が転がる様な罠の提案用)
死角になりそうな坂(敵からの挟み撃ち防止用)等を次に確認
ある程度足場を確保出来そうなスペースがあれば、そちらの竹を切るよう誘導するわね。
竹処分が不足気味なら、巫覡載霊の舞で切る補助を行うわ

襲撃する舞台がある程度整えれたら、灯りの設置に都合の良い場所
(戦闘中に消えないor敢えて誘う配置等)を他参加者の方と相談して設置するわ


六波・サリカ
硯、新年早々お疲れ様です。
私も手を貸しましょう。
悪を見過ごすわけにはいきませんからね。

照覧式で周囲を見渡し【情報収集】、地形や灯りを置けそうな所など解析を行い、味方と共有します。
私自身は【暗視】が可能ですが他の仲間はそうではないかもしれません。
持ち前の素早さや【ダッシュ】を駆使して木の枝にライトを括りつけて回ります。

それと、急襲式を戦場付近に待機させておき、敵が来たら奇襲して【先制攻撃】が出来る様に準備を整えます。
彼らは漆黒の鴉の姿を持つ式神です。
暗闇に紛れれば、そう見つかることはないでしょう。
「それでは頼みましたよ、急襲式(シャドウ・リージョン)」



「私も手を貸しましょう。悪を見過ごすわけにはいきませんからね」
 金の瞳――『照覧式』で辺りを見回し、六波・サリカは周辺状況を把握する。
(「私自身は暗視が可能ですが、他の仲間はそうではないかもしれません」)
 サリカが用意しようとしているのは光源だ。無かったところで自身には然程影響は無く思えても、仲間がそうとは限らない――思えば、その視線の先にレイブル・クライツァの姿を捉える。
 彼女もまた、周辺環境を確認しながら罠や光源の配置に思考を巡らせていた。
(「一帯にあまり高低差は無い。……罠を仕掛けるなら、斬られていない竹の上になるかしら」)
 レイブルが考えた罠は、坂道を想定してのものだった。地滑りの如く、高所から伐採した竹を転がす――しかし自生する竹の背の高さを利用すれば、竹を転がすどころか空から降らせることも叶いそうだ。
 見上げなければ確認出来ない高さに仕掛ければ、それはきっと有効な攻撃となり得る――『拾われて敵の武器にならないように』という仲間からの助言にも従い、レイブルは刃先を整えた竹を幾つも並べて壁上にし、ギロチンの様に空から落とす仕掛けを仕上げる。
 まだ地に生える竹へとロープで括れば、ロープを斬り落とすだけで落下する筈だ。敵が灯りに寄って来るかは定かでは無いが、灯りの配置を罠の位置に添う様にすれば、誘導も可能かもしれない。
 同じことを考えたのだろう、気付けばサリカが既に罠の位置を通過する様に灯りを配置してくれていた。
「残るは――死角潰しね」」
 呟いて、レイブルはその手にくるりと薙刀を構えた。
 ある程度竹は伐採されているが、部分部分残った竹が一部死角を作っている。それらを切り拓く技の名はユーベルコード『巫覡載霊の舞』。
 薙刀から次々と衝撃派を放つその舞は美しくレイブルの薄闇色のベールを揺らす。神霊化の伴う神秘的なその戦準備を目にして――サリカが行うのもまた、夜の戦へ備えた準備だ。
「それでは頼みましたよ、『急襲式(シャドウ・リージョン)』」
 未だ暗闇とまではいかないそこに、配したのは群為す鴉の式神だ。やがて夜が訪れれば、暗闇に紛れそう見つかることは無いだろう。
 ――気付けば空は陽が傾き、夜の訪れはもうそう遠くない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

浮世・綾華
“あの方”ねえ……
一体何のことを言ってんのやら
起源から辿りゃ、正月も盆と同じで
先祖を祀る行事だったって読んだことあるが
そーゆー類いの話か?

【黒猫道中】で集落へ潜り込む
得られる情報があればそれにこしたことはねぇだろ
キーワードは先祖、竹林、武将とかその辺
上記にそった昔話とかしてそーな老人あたりを追跡
出来れば成仏させてやりてぇよな
俺は優しくはないけど
これでも結構歴史は重んじるタイプなの

地形の利用と罠使いを利用
仲間やなぎ払いで伐採した竹を使い
戦場付近に罠を仕掛ける
ロープに足をとられると竹が倒れ足止めする仕組み
上手く引っ掛かってくれっといーんだが

光源は提灯を用意
地形整備等は掃除で足元を慣らしておく


蒼城・飛鳥
武者の怨霊か
何に怒ってるのかはしらねーが、めでたい新年を台無しにする訳にはいかねーぜ!
またも美少女の予知だしな!
美少女の依頼は断らないのが俺のポリシーだぜ!

まずは下準備って訳だよな
一応、竹林に行く前に集落で話だけでも聞いておく
大昔にこの辺で戦がなかったか、あったらどんなものだったのか
子供に話す昔話程度のものでも良いぜ
もしかしたらそれで武者の正体やどこから来るかって予想がつくかもだしな

それが済んだらあとはひたすら竹を斬る!
つっても、竹が邪魔なのは相手も同じだろうし、切りすぎないように
竹を足場に空中戦とかも出来るかもだし、立ち回りの事も考えながら切っておくぜ
どこから来るか解るようならそれも考慮だな



「“あの方”ねえ……一体何のことを言ってんのやら」
 切れ長の眼を思索に伏せ、浮世・綾華が今立つのは集落に程近い場所。竹林での罠工作や光源配置をそこそこに終えた綾華は、その行動を武者達が語っていた『あの御方』の調査に切り替えていた。
(「起源から辿りゃ、正月も盆と同じで先祖を祀る行事だったって読んだことあるが、そーゆー類いの話か? ……いずれ、得られる情報があればそれにこしたことはねぇだろ」)
 推測を重ねるばかりでもきりがなく、着々と刻限の夜は迫っている。戦闘となる前に情報の整理まで漕ぎ付けたい綾華が取る行動は、ユーベルコード『黒猫道中~お忍び旅~(クロネコドウチュウ・オシノビタビ)』。
「――『行っといで、俺の仔猫チャン』」
 足元に、魔力で構成された愛らしい小さな黒猫が出現した。五感を共有にする猫を集落に送り、綾華が探すは昔話などに詳しそうな老人だ。
「……ん?」
 そして――気付いた。集落のある家を訪問する蒼城・飛鳥の姿に。
(「武者の怨霊が何に怒ってるのかはしらねーが、めでたい新年を台無しにする訳にはいかねーぜ! またも美少女の予知だしな!」)
 内心に燃える思いを秘めて――少し違うベクトルに熱意が向いている気がしないでもなかったが――飛鳥は集落で一番の年配者の家を訪れていた。老婆が穏やかに飛鳥を迎え入れると、挨拶もそこそこに『教えて欲しいことがある』と早速話を切り出した。
「大昔にこの辺で戦がなかったか? どんなものだったのか教えて欲しいんだ。昔話程度のものでも良いぜ」
「戦なんぞ無数にあったろうよ。この集落の興りは源氏と平家の頃からと聞いておるしの」
 飛鳥も竹の伐採の後、直接調査に乗り込んだのか――思いながら、綾華は黒猫を声の漏れる隙間から家内へと送り、老婆の話にそっと聞き耳を立てる。
「集落の東に竹林があったじゃろ。昔は、この辺り一帯全て竹林じゃったそうじゃ。竹は根が強うての、開拓するのは大変じゃが――昔の人々は必死でこの集落を作ってくださった。開拓を始めてくださったわしらの最初のご先祖様は、お坊様じゃったと聞いておるよ」
 その僧についての情報は、何も伝わっていないという。名前も知れない、墓の在処も解らない――しかし僧によって開拓され作られたこの集落は、戦国の世の始まりの頃から今に至るまで続いている。
 幾度も、戦の危険にさらされながら。
「堅く、密集して生える竹の林は、刀振る戦には向いておらなんだ。じゃがこの辺りでは、逆にそれを利用して敵を竹林に誘い入れて罠で討つ戦法が取られておった。戦上手がいたのじゃろう、なかなかに強かったと聞いておるよ。……じゃが戦は首の取り合いじゃからのぅ」
 敵味方など関係無い。身近にある竹林で、沢山の人が死んでいくことに嫌気がさした集落の人達は、少しずつ開拓を進め、竹林を生活圏から離していった。
 結果、竹林と集落は今の形に落ち着いたのだ。

 ――集落を出て、綾華と合流した飛鳥は急ぎ竹林へと駆ける。
(「正直、これだけじゃ情報は不十分だ」)
 思えど、西へと沈みゆく夕日が、刻限が間もないことを飛鳥へと教えてくる。
 調査に割く時間がもうないのなら、後は仲間だ。きっと何か、自分達とは異なる情報を見つけ出してくれている筈――思えば自然進む速度が増す飛鳥に、合わせる綾華は微かに笑んで物思う。
(「――出来れば成仏させてやりてぇよな」)
 今日の敵。その全てがオブリビオンとは知っていても――彼等の生きた歴史を辿れば、ヤドリガミにはそんな気持ちが湧き上がっていた。
(「俺は優しくはないけど、これでも結構歴史は重んじるタイプなの」)

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『落武者』

POW   :    無情なる無念
自身に【すでに倒された他の落武者達の怨念】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    欠落の決意
【武器や肉弾戦】による素早い一撃を放つ。また、【首や四肢が欠落する】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    妄執の猛撃
【持っている武器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●伝わらなかった歴史
 陽が傾き、闇色に染まり行く世界――竹林にて一時集合した猟兵達は、それぞれが調査し見出した情報を共有する。

 集落を含め、今より更に大きく辺り一帯に広がっていた竹林。
 戦国の始まりの頃――二、三百年ほど前に竹林の中に開拓された集落と、墓の所在が不明な開拓者の僧。
 戦に利用された竹林で命を落とした沢山の犠牲者達と、気味が悪いからと竹林に近寄りたがらない現在の集落の民。
 集落から東へ一直線に伸びた、昔の道と思しき痕跡。
 その直線の東の果て、人の寄らなくなった竹林に在った手入れされていない墓石。
 新年の宴に沸く集落の民と、『あの御方を蔑ろに』という武者達の言葉――。

 集めた全ての情報を合わせれば、『あの御方』に関する仮説は容易に立てることが出来た。

「まず、墓はこの僧のものと推察する」
「そうですね。集落の人々が竹林を遠ざけたために、所在が今に伝わらず放置されて今に至ったんでしょう」
「蔑ろってのはそういうことか。集落を開拓した功労者だってのに、弔いもせず新年の祝いに盛り上がってんのが気に喰わないと」
「でも、それは今更ではないでしょうか?」
「オブリビオンに、今更も何もあるまいよ」

 ――そして、根拠を踏まえて仮説が立った以上は、恐らく武者との戦いの後に現れるのは集落を開拓した僧ということになろう。
 僧とだけ聞けばそう強くも感じないが、歴史に名だたる戦国大名の中には武僧だって存在するのだ。
 更に、嘗てこの地に存在したという戦上手――戦いにくい竹林に敵を誘い入れ罠で討つ戦法にて勝利を勝ち取った戦の将がもしこの僧だったとすれば、そもそも竹林の中に設けた集落の立地すら計算づくであった知能派である可能性も浮上する。
 いずれ、その手強さは遭遇し戦ってみないことには解らない――猟兵達が戦いへと心を定めた、その時。 

「――憎らしや。誰が命、誰が首あっての平穏か」

 呪いじみた響きを持つ低い声が、暗い竹林の空気を震わせた。

「――来たか」

 誰かが呟けば、猟兵達はその手に武器を握り直す。ガシャ、ガシャッと一定間隔で響く鎧擦れる音が、切り拓かれた竹林の更に東――墓石があった方から少しずつ近付いて来ていた。
 やがて――ギラリと。暗闇の中に、明確な敵意と憎しみの魔力を帯びた刃が、用意した光源に煌いた時。

「あの御方が来るまでに終わらせるのだ。……あの御方を蔑ろにするなど、決して、決して許されぬ――!!」

 姿を見せた三体の武者が、突如その行軍速度を上げ、猟兵達へ襲い掛かった。
浮世・綾華
お前らの想いは分かった
分かったけど、止める方法が他にないなら
此処で消してやるしかねーよなあ?

【咎力封じ】で向かってくる敵を
足止めできたらいいが、無理なら
攻撃はフェイントをでかわしたり
持ってる戦闘知識で相手の攻撃をよんで
利用してカウンターから威力を利用したなぎ払い
おもいきり傷口を抉ってダメージ与えるのもいいだろ

“あの方”も、ちゃんと供養してやる
お前らは可哀想な奴等だけど
俺たちと戦った意味が、確かにあったよ
歴史を語り継ぐ方法はいくらだってある
それを“あの人”にも伝えておいてやる
伝えてやるし、これからはきっと
蔑ろになんてならねーよ
大丈夫だ

だから、安心して
――逝け?


蒼城・飛鳥
あの御方が来るまでに、か
ああ、全く持って同意だぜ
あの御方とやらもここまで自分に忠義を尽くしてくれてるお前らが俺らにやられてる姿なんて見たくないだろうしな!(ニッ)

仲間たちが仕掛けておいてくれた罠も利用しながら武者たちと戦う
サイコキネシスを使えば離れた位置の罠でも起動できるしな!
起動して落下した後の竹だって、こうやって飛ばすことも出来るんだぜ!

俺自身はフォースセイバーで激しく斬りつけていくぜ!
ただ、余計な決意をされても面倒だ
ダメージは与えても、首や四肢を斬り落とすような事がないようには注意する

…蔑ろにしてる訳じゃない
それだけの時が過ぎたんだ
忘れられる程の平穏を作った事を、お前らは誇っていいんだぜ


アルバ・アルフライラ
(従者の前以外では敬語、猫被り)

未来の安寧の為、身を粉にして尽くしたとなれば美談だが…
いやはや然し
誰にも弔われぬからと臍を曲げるとは狭量という他あるまいよ

仕込み杖で描く魔方陣
【愚者の灯火】から幾つかは光源に活用
充分な灯を確保出来たら残りは敵の攻撃に使用
複数合体させ威力を向上
周囲の竹林や他の猟兵に延焼せぬよう調整も加える
猛撃して来ようものならば護身も忘れず
攻撃重視は見切り、命中重視は仕込み杖で受け流す等
パターンに合わせて防御を行う
極力直撃は避け、叶えば刃を抜きカウンターを試みる

他猟兵へのサポートは惜しまず
彼奴等、身を欠落させる事で更にすばしっこくなるならば
身体の部位を削ぎ落とさぬよう注意を払おう



「あの御方が来るまでに、か。……ああ、全く持って同意だぜ」
 蒼城・飛鳥が呟くと、駆けてくる武者とその視線が交錯した。
 標的になったか――察した飛鳥はフォースセイバーを握る手に魔力を集め、ニッと口の端を上げて笑んだ。
「あの御方とやらも、ここまで自分に忠義を尽くしてくれてるお前らが俺らにやられてる姿なんて見たくないだろうしな!」
 強気に叫ぶと同時、魔力を解放。
 ふわりと飛鳥の周囲に浮かび上がった笹の葉が、ひゅっと音立て空を駆けた。ユーベルコード『サイコキネシス』――その標的は武者では無く、手近な竹に括られていた紐だ。
 ぷつりと途切れた瞬間、紐にその身抑えつけられていた竹が、溜め込んだ反発力で武者を真横から打ち飛ばした。仕掛け罠の発動――伐採されていない竹の壁へ体を打ち付けた武者は、しかし未だ健在だ。
 解っている。だが今の隙に、他の二体の相手が出来る――魔力を今度はフォースセイバーへと注ぎ込み、飛鳥が次の武者へ向かおうとした――その時。

「不届き者は生かしておけぬ」

 背後に湧いた低くかすれたその声に、背筋にぞくりと悪寒が走った。飛鳥が咄嗟にフォースセイバーを背へ回すと、――ガキン! 激しい衝撃と金属音は、二体目の武者の刀だ。
 無理な姿勢で受けたため、直ぐには反撃に転じられない――焦る飛鳥に、武者が再び刀を振り下ろそうとした瞬間。

「お前らの想いは分かった」

 高く掲げた刀持つ手を、武者の体を、突如現れた手枷と縄が拘束した。後方に引く力に武者が後ろを確かめれば――紅袖はためく腕に縄と鎖を手繰る浮世・綾華。
 ユーベルコード、『咎力封じ』。
「分かったけど、止める方法が他にないなら此処で消してやるしかねーよなあ?」
 言うが早いか、綾華は手枷と繋ぐ鎖をぐい、と後ろへ強く引いた。
 バランスを崩した武者は、体の拘束も手伝って踏みとどまれず背中から地面へ倒れ込む。逃れようともがいても、魔力の縄での拘束は捉えた対象を簡単には逃がさない。
 やがて……その拘束縄に、炎が灯った。

「未来の安寧の為、身を粉にして尽くしたとなれば美談だが……いやはや然し、誰にも弔われぬからと臍を曲げるとは狭量という他あるまいよ」

 ――否。炎は倒れた武者の体へと灯ったのだ。竹林の空へと無数に散って辺りを照らす炎の一つ。それがまた一つ、更に一つと武者の体へ集まっていくと、燃え盛る勢いもまた大きくなり、一気に全身へと広がっていく。
 ユーベルコード『愚者の灯火(イグニス・ファタス)』――煌々と戦場を照らす魔力の炎は、その一つ一つが声の主、アルバ・アルフライラの思うが儘だ。
「彼奴等、身を欠落させる事で更にすばしっこくなる様だな? 身体の部位を削ぎ落とさぬよう注意を払おうか」
 仲間へ注意喚起でもする様な穏やかさで言葉を紡いだアルバだが、その攻撃は苛烈だ。仕込み杖で描いた魔法陣へと更なる魔力を注ぎ込むと、一際大きな炎の玉が武者へと追い討ちの様に着弾する。
 ごう、と音立てて燃え盛る炎の中で――もう武者の形を留めない黒い何者かが、前へと手を伸ばすのが見えた。
「……あの御方、何故、何故……蔑ろ、に……」
「……」
 その掠れた声の主は、もう余命幾許も無いだろう――悟って、飛鳥は蒼き相貌で真っ直ぐに武者の命を見つめると、先までとは異なる穏やかな声で手向けの言葉を送る。
「……蔑ろにしてる訳じゃない。それだけの時が過ぎたんだ。忘れられる程の平穏を作った事を、お前らは誇っていいんだぜ」
「“あの方”も、ちゃんと供養してやる」
 言葉を継いだのは綾華だ。語り継がれぬ歴史に悲鳴を上げ消えゆく武者を見つめる紅瞳は、目つきこそ鋭くとも何処か優しい色を帯びていた。
「お前らは可哀想な奴等だけど、俺たちと戦った意味が、確かにあったよ。歴史を語り継ぐ方法はいくらだってある。――それを“あの人”にも伝えておいてやる」
 この後に待つ戦いを見据えながら。送る言葉に決意を滲ませた綾華に――炎の中の命は、伸ばす手をぱたりと下ろした。
「伝えてやるし、これからはきっと蔑ろになんてならねーよ。大丈夫だ。……だから」
 語るその間に、少しずつ、少しずつ炎が小さくなっていく。
「安心して――逝け?」
 ――最後に告げたその言葉は、果たして届いていただろうか。
 ふっと静かに炎が消えたそこに――武者の姿は跡形もなく消えていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アーノルド・ステイサム
腹立ててたのは坊さんか
まあ…気持ちはわからんこともないが、仕事だ
被害が出る前にケリをつけさせてもらおう

猟兵たちが仕掛けた罠の位置は頭に入れておく
機械なんでね、記憶力は自信がある
自軍の罠に引っ掛かったりはしねえよ

深手を負わせることより
集落へと行かせないよう進路を妨害することに注力する
高速移動ってのがめんどくせえな
予備動作を見逃さないよう注意

こっちは数がいる、時間があれば倒せはするだろう
親玉の出現まで過剰な消耗は避けたい
プログラム起動、防御支援
メインの火力は仲間たちに任せた
「通さねえよ、こっち見やがれ」

狙えるなら罠への誘導もやってみる
他の猟兵とも連携して
効果的に発動できるようすり合わせしておこう


ニコ・ベルクシュタイン
…そうか、其れはさぞや、無念であったろうな。
だが、申し訳無いが、だからといって見逃してやる訳には行かないのだ。
死を以て平穏を与える事しか出来ぬ事を、どうか許して欲しい。

共に戦う猟兵が居る場合は、互いの位置取りが有利に働くよう
心掛けたり、声を掛けて連携を狙うなど試みる

攻撃は【花冠の幻】を使用(変化させる武器はお任せ致します)
可能な限り多くの敵を巻き込む為に敵陣に踏み込むことも厭わず
ただし退路は確りと確保しておく
「2回攻撃」が有効ならば追撃にもう一度放ちたい所

反撃に対しては「オーラ防御」を使用して
出来るだけ被害を軽減することを試みる
…幾ら此の肉体が仮初めのものではあっても、痛いのは、嫌だからな。



「まあ……気持ちはわからんこともないが、仕事だ」
 炎に消えた武者を横目に、アーノルド・ステイサムは前へと駆ける。機械の体の蒼き瞳は今、二つの敵影を捉え分析、体内に目まぐるしく情報を駆け巡らせていた。
(「――視認情報を処理。竹林の中に青い鎧の敵影一体。軽度ダメージあり、直ぐには動かず。別所に赤い鎧姿一体、攻撃態勢で待機中。魔力増大。撃破個体からの魔力供給あり」)
「――『戦闘支援、アクティブ。』」
 結果を元に、アーノルドはユーベルコードを起動する――『戦闘支援プログラム(Rocky)(ハロー・ロッキー)』。
「被害が出る前にケリをつけさせてもらおう」
 呟き起動した防御支援のプログラムがアーノルドの守備力を強化する。その意図は勿論、魔力強化状態で攻撃態勢を取る赤い鎧の攻撃への対処だ。
「歯向かうはあの御方への不忠と知れ!」
 叫んだ赤い鎧の武者が抜刀するや、斬撃が衝撃波となり戦場を奔った。『無情なる無念』――先に散った武者の怨念を纏う赤武者の斬撃が狙うは、ニコ・ベルクシュタインだ。
 しかし。
「――通さねえよ、こっち見やがれ」
 立ち塞がったアーノルドによって、斬撃はアーノルドの痛覚無き鋼の体に僅かな傷を刻むに留まる。攻める火力を仲間へ託し、立ちはだかる壁としての立ち回り――前に立ったその背中に、ニコは紡ぐ魔力で応えた。
「……『夢は虹色、現は鈍色、奇跡の花を此処に紡がん』」
 力を解錠するその声は、アーノルドの巨躯の裏から赤武者の耳へ届いた。先に標的とした男の声――されど姿は確かめられぬまま、アーノルドの後方に魔力の気配だけが増大していく――。
(「……さぞや、無念であったろうな」)
 ニコの両の手に輝く双剣。時計のヤドリガミであるニコを体現するような長針短針を思わす二振りの剣が、炎と氷それぞれのルーンを輝かせた。
 混じり合う二色は溶け合い、やがて虹の輝きを成して空へと弾ける――ふわりと夢の様に虹の薔薇散らすその美しき技の名は、ユーベルコード『花冠の幻(レインボー・フラワーズ)』。
(「――だが、申し訳無いが、だからといって見逃してやる訳には行かないのだ」)
 虹の花弁が、一斉に赤武者へと殺到した。ふわりと柔らかに舞い浮かんでいた筈の花弁が、赤武者の全身を包む。殺到する。殺到する。
「――おぉおおおおおお………!!」
 叫ぶ武者の、視界が虹色に包まれた。それでもなお花弁は殺到する。――やがてニコの前に立ち塞がっていたアーノルドがその身を退いても、術解き放つニコの姿を赤武者が視界に認めることは無かった。
「……おぉ、おおお、………」
 ――空に浮かぶ最後の花弁が赤武者の元へと降りた時、集いし花弁の中の声は、静かにその音を失う。
「……死を以て平穏を与える事しか出来ぬ事を、どうか許して欲しい」
 呟くニコは、そっと目を伏せ冥福を祈った。
 やがて魔力の花弁が力を失い消えた時――赤武者もまた、夢幻の様に儚く世から消え失せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイブル・クライツァ
伝える為の手段が乏しかった故の悲劇よね。
もしかしたら何かしらの言伝的な物は有ったでしょうけど、遺す事って難しいから無くなってしまったのね、きっと。
感謝はすべきだろうけども、それで犠牲者を出すのは本末転倒なだけに複雑よね。
それが、襲っていい理由にはならない事は教えてあげるわ

巫覡載霊の舞で応戦を中心に、他の方が用意した目印や罠を、暗視と明かりの位置とで注視。
誘い込めそうなら常に優位を取れるよう移動&大袈裟に薙刀を振ってフェイントをかける。
ギロチンのギミックまで必要かしら、と思う位準備具合が凄いので
不要そうなら僧用に温存。
使う場合は素直に落下位置に留まってもらう必要が有るから、挑発等で時間稼ぎを行う


リステル・クローズエデン
「忠誠か怨念か、わかりませんが。」
「何のために戦ったのか、忘れたのならば。この手で引導を渡そう。」

身を削っての攻撃。それは、己の後を考えない。
いや、”後”があるからこその戦い方か。
「その後が、わからなくなっているのでしょうがね」

刀で一対一で斬り結びます
『戦闘知識3、2回攻撃3、鎧無視攻撃5』【我流闘法】命中重視で攻撃。
『見切り2、暗視1、視力2、第六感5』で回避と命中に補正。
動きを見極め、足りない分は勘に頼る。
斬撃と衝撃波。かわせない分は『オーラ防御7』鞘にオーラを纏わせて防ぐ。


花京院・紗
悲しい叫び声…
忘れられたことに怒りや悲しみを感じるのは道理です
けれどそれが誰かを傷つけていい理由にはなりませんよ

▼事前
周囲に自らの設置した灯があるならば狐火で火をつける

▼戦闘
【フォックスファイア】を駆使し避けられぬよう全方位から攻撃を
相手は力だけでなくスピードがありそうなので足止めの意味も込めて

竹林に燃え移った日は火事になりそうならば常に消し
相手の足を止めているならばもう少し残し様子見を

前衛の手が足りなくなった場合は前に出ます
その時はなぎなたで【なぎ払い】を使用し攻撃
敵のスピードが上がってしまうので
敵にダメージが蓄積されるまでは体の一部の切り落としに気を付ける

戦闘中は弱点など、相手を探ります



(「悲しい叫び声……」)
 美しい虹色の中に消えた武者の最期を見送り、花京院・紗は紫紺の瞳を悲しく伏せた。
 語り継がれなかった歴史、忘れ去られる無念――心を寄せても、しかしそれは聞き届けることの出来ぬ声だ。だから紗は、迷わずその手に魔力を手繰った。
 ぽつり、ぽつりと。竹林の空に無数の狐火が灯っていく。
 予め設置した紗の明かりには、既に火が灯っていた。優しい揺らめきは戦場全体を穏やかに照らしていたが、更なる火玉は竹林の中に熱を齎した。
 ユーベルコード『フォックスファイア』――操る紗が狙うのは、残る一体。青き鎧を纏う武者。
「……許されぬ! 斯様な不忠をあの御方は決して許さぬ!!」
 伐採されぬ竹林の中へと飛ばされていたその武者は、再び目の前に現れた邪魔な竹を、斬って、斬って、前へと進む。
 斬って、斬って、斬る、斬る、斬る――真っ直ぐに、紗へと向かって。
「何故、斯様なことが出来る!」
「忘れられたことに怒りや悲しみを感じるのは、道理です。けれどそれが誰かを傷つけていい理由にはなりません!」
 接近する、その瞬間を待っていた。
 一定距離へ達した武者へと、紗は全方位から一斉に炎の雨を降らせる。全てが着弾はしない。だがそれで良い。
 炎の怒涛に前へと思う様に進めぬ武者へと――次なる影が迫っていたのだから。
(「伝える為の手段が乏しかった故の悲劇よね。もしかしたら何かしらの言伝的な物は有ったでしょうけど、……遺す事って難しいから無くなってしまったのね、きっと」)
 長い白亜の髪と薄闇のベールを靡かせ駆けるレイブル・クライツァは、喉を震わせ語る代わりにその薙刀を美しく夜闇に振るう。
 炎、灯、照らす光を纏ってその手にくるりと舞う刃の、何と美しいことか――。
「感謝はすべきだろうけども、それで犠牲者を出すのは本末転倒なだけに複雑よね。……それが、襲っていい理由にはならない事は教えてあげるわ」
 『巫覡載霊の舞』――斬撃も透く神霊体へと変化する手が振るう薙刀から、言葉と同時、炎を切り裂き無数の斬撃が空を奔った。
 しかし武者も決して退かない。死して再び蘇るほどの妄執が、攻める力を強化して幾つかの斬撃を刀で斬り裂き、相殺する。
 舞を止めたレイブルが、薙刀を手に前へと出た。やや大振りに、大袈裟にその刃を閃かせれば、武者は応えて刀で三日月の如き弧を描く。
「許されぬ……何故! 何故か!!」
 心底に疑問の声を上げる武者とレイブルの剣戟が火花を散らす。互いに間合いを読み合い、撃ち合う中に――やがて武者は突如、新たな事実を猟兵達へと突き付けた。

「……何故あの様な『恐ろしい御方を』、蔑ろに出来るのだ!!」
「―――え?」

 そのあまりに意外な言葉に、レイブルは一度強く武者の脇腹を打ち武者の鎧を砕くと、痛みに呻いたその隙に後方へと飛び退った。
 誰もが、驚いていた。ただただ、この武者達の凶行は主君への忠義によるものと――そう信じていた。
「何と憎らしきことか……我らの犠牲に生き永らえておきながら、あの恐ろしき御方を蔑ろにし置き去るなど、決して、決して許されぬ!!」
 ただ一つの情報で、言葉の持つ意味が全く異なるものへと変化したことを猟兵達は理解した。武者達を駆り立てたのは、主君の暴虐への恐れ――それだけで『集落を開拓した功労者』が、『民の虐殺厭わぬ暴君』へと様変わりする。
 伝わらなかった歴史の真実が、恐ろしいものへと塗り替わったのだ。
 
「――忠誠か怨念か、わかりませんが」

 長くも一瞬にも感じられた沈黙を破った声は、リステル・クローズエデンだった。薄氷色の髪を揺らして前出た彼女の刀は武者の振るった刀と重なり、高い金属音が辺りに渡る。
「何のために戦ったのか、忘れたのならば。この手で引導を渡そう」
 鍔迫り合いを繰り広げながら、リステルは武者へそう断じた。

 ――そう。例えば武者達がただ忠義の者では無く、民を守るべく恐ろしき暴君と刃交え散った者達であったとして。或いはやはり忠義の者で、主の凶刃が民に及ぶのを止めるべく命落とした者達であったとしても。
 今日のこの先、守っていた筈の民に及ぶとされた凶刃を齎すその心を恨みと、怨念と言わずして何だと言うのか。

「『我流闘法……』」
 呟き構えたリステルの無銘の刀に、魔力の光が迸った。刀から、やがて全身へと広がる魔力の輝きは、ユーベルコード『我流闘法(オリジナルアーツ)』。
 その気配に、対抗すべく武者も全身に禍々しき気配を纏う。墜ちし武者の怨念までも背負いし力――しかしそれは、毎秒術者の寿命を削る諸刃の剣。
(「身を削っての攻撃。それは、己の後を考えない。……いや、”後”があるからこその戦い方か」)
 ふっと一瞬で目の前から消え去った武者の高速移動に、追いついたリステルは背後から振り下ろされた刀を、オーラ纏いし鞘で払う。
 その力に従い流れた武者の刀と体――その隙を、彼女は決して逃さなかった。 
「――その後が、わからなくなっているのでしょうがね」
 リステルの刀が真横に閃くと、武者の胴からばっと噴いた鮮血が、雨の様に地を濡らす。

「……後悔する、ぞ。我らでは無く、あの御方の刃に散るを、選ぶとは……」
 
 青き甲冑の武者は、そのまま血の海に倒れ伏した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『仮面の武僧』

POW   :    末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●例え命尽きるとも
 ――戦場を、暫し沈黙が支配していた。

 今の戦いに得た武者の言葉によって、こののち現れる標的への認識を、猟兵達は改めなければならなかった。
 これより彼等が対峙するは、配下の武者や民らに慕われ、しかし歴史に語り継がれなかった集落開拓の僧ではない。嘗て民や臣下すらも斬り捨てる暴虐、その恐怖に依ってこの地を支配した絶対君主――その禍々しき気配を、戦場を満たす空気から既に彼等は感じていた。
 武者達に倣ったわけではあるまいが、肌にびりりと感じる闘気、殺気、それら全ては東の墓石の方から漂って来る。遠くから微かにしゃん、しゃらんと錫杖の揺れる音が聞こえれば、誰もが東の竹林の闇から目を逸らせはしなかった。

「――まこと、詮無きことよ。永き眠りより目覚めてみれば、我が威勢を忘れ去ろうとは」

 空気を震わす低い声が、ずしりと重い足音と共に近付いてくる。反して軽い錫杖の音は、その神聖な響きが却ってその存在の脅威を知らしめるかの様で、猟兵達の武器握る手には、自然と強く力がこもった。
 ――やがて、猟兵達が照らす戦場に姿を見せたのは、禍つ紅き仮面に顔を隠した巨躯の武僧。

「……まぁ良かろう。全てを赦そう。我が身再びこの地に生を受けたからには、嘗ての様に、この竹林に刻みつければ良いだけのこと。足踏み入れた者全てに等しく――恐怖をな」

 『竹林』と、その言葉にて思い出す。嘗てこの地に、竹林を利用した戦法にて幾度と戦に勝利した戦上手が居た話。
 ――やはり、それはこの僧のことであったのか!

「先ずは貴様らよ、猟兵ども。我が臣下達をよう可愛がってくれたものだ。……主君として、礼をくれてやらねばならぬ」

 そして、今、僧の敵意は言葉が示す通り、全て猟兵に向いている。放たれた声には、微かな怒気が感じられた。
 目を逸らせば、必ずその刃は集落へと向かうだろう。
 これが今日の最後の戦い――如何なる脅威であったとしても、猟兵達は絶対に退くわけにはいかなかった。
ニコ・ベルクシュタイン
彼らを「臣下」と呼ぶか、其れは許し難い事であるよ。
お前は果たして彼らに対して立派な「主君」であったのか?
…少なくとも俺には、認められないな。

敵の注意が常に自分達猟兵へと向くように攻撃の手を緩めず
かつ意識して集落へ行かせないように立ち位置を定める

攻撃は【精霊狂想曲】で、「属性攻撃」「高速詠唱」
そして「全力魔法」が有効ならば活用していく
炎を喚ぶのは地形的に拙いと判断し、
氷の雨を敵の頭上から降り注がせよう
上手く先手を取れれば幸い、後に続く味方にも
攻撃による弱点の発見等があれば必ず伝える

敵の反撃には召喚体を多少強引にでも無視して
本体に攻撃を仕掛け、召喚を解除させる事を狙う
さあ、御自慢の腕前、見せてみろ


蒼城・飛鳥
こいつはラッキー!ってか?
恐怖で支配しようなんて言う暴君ならぶちのめすのに何の遠慮もいらねーからな!(ニッと臆さず視線を受け止めて)

仲間たちと連携しながら積極的に斬りつけていくぜ!
戦上手って事だからな
ヤツの動きはよく見て、搦め手には十分注意

金剛力士が召喚されたらギリギリのところで動きを見切り、捨て身の覚悟で本体へ突撃する!
この強さを二人相手にした上に、本体はノーダメとか面倒にも程があるからな
勿論本体を庇っては来るだろうし…だからこその捨て身だ!
仮に俺が倒れようと、仲間がいる!
一撃でも当てりゃあ消えるんだ
だったら余計な消耗するだけ損ってもんだぜ!
捨て身の俺の突撃、止められるもんなら止めて見ろッ!



「……彼らを『臣下』と呼ぶか」
 武僧の言葉に、ニコ・ベルクシュタインは努めて静かに呟いた。
「其れは許し難い事であるよ。お前は果たして彼らに対して立派な『主君』であったのか?」
 真っ直ぐな瞳で告げたニコが掲げるは柊の杖。『Bloom Star』――その杖先が武僧を差しぴたりと静止すると、魔力の輝きが絡む星花からキラキラと零れ落ちる。
「……少なくとも俺には、認められないな」
「っはは! ならば戦うしかあるまい」
 しかし武僧が放ったのは笑みの声だ。しゃん、と鳴らした錫杖をゆっくり前へ掲げると、そのまま笑みの混じる声で語り始める。
 ――否、これは。
(「……読経!」)
 把握が先か、ニコは杖掲げたまま高速詠唱を開始した。武僧の攻勢高める読経が完成する前に――全力の速さで紡ぐニコの魔力に、星花から溢れる光が蒼白い色を帯びていく。
 その真横を、一陣の風がすり抜けた。
「こいつはラッキー! ってか? 恐怖で支配しようなんて言う暴君ならぶちのめすのに何の遠慮もいらねーからな!」
 蒼城・飛鳥だ。ニコの詠唱の間を引き受けた少年は、サイキックソードで武僧を真正面から斬り付ける。
 キン! と金属震える音が響いた。錫杖で光剣を防いだ武僧――その読経の声には不快げな響きが混ざり、仮面の奥の瞳がぎろりと鋭く飛鳥を睨んだ。
 しかし飛鳥はその視線を臆さず受け止め、ニッと勝気に笑んで告げる。
「気ィ散らしてるとやられるぜ?」
 即座、飛鳥は軽やかにその身を退いた。突如拓けた視界に武僧が目にしたのは、蒼き魔力を手繰るニコ。
「『荒れ狂え精霊よ、汝らは今こそ解き放たれん!』」
 ニコが杖から解き放った魔力は、空へ広がり忽ち空気を凍り付かせた。生まれた氷礫が雨の様に武僧へと一斉に降り注ぐ――ユーベルコード『精霊狂想曲(エレメンタル・カプリッチオ)』。
「ぐっ……あぁああああ!!」
「く……!」
 直撃し上がった武僧の咆哮の中に、ニコの苦悶の声が混じった。操る魔力量故か制御難しいこの技に、体中を力の奔流が駆け巡り、杖が手の中で激しく震える――しかし、ニコは耐えてこう告げる。
「……さあ、御自慢の腕前、見せてみろ」
「おのれ、我が読経を遮るか!」
 怒りの声で、武僧は錫杖を地面にドン! と突いた。
 しゃん、と鳴った音は男には不似合いに高らかだ。しかしその音の波が帯びる魔力は酷く凶暴な気配を持ち、戦場の二箇所へと集約していく。
 ――飛鳥は無意識に駆け出していた。思考は、魔力集まる二箇所を放棄し武僧の前に飛び出した後、遅れて飛鳥の脳内を巡った。
 武僧が喚び出さんとしているのは二体の金剛力士――この召喚体は、武僧に傷を入れれば消える。
 ならば例え捨て身でも、この一撃には価値がある。
「一撃でも当てりゃあ消えるんだ! だったら余計な消耗するだけ損ってもんだぜ! ――『駆けろ不死鳥ッ!その飛翔で全てを灼き尽くせッ!!』」
 武僧の顔前まで飛び、叫んだ瞬間飛鳥の体を蒼炎が包み込んだ。少年の名を表す様な不死鳥の如き炎の力は、ユーベルコード『ブレイブフェニックス』。
「止められるもんなら止めて見ろッ!」
「―――おぉおお……!!!」
 全身蒼き炎に包まれた武僧は、しかし召喚魔力解けるなり空浮く飛鳥の足を掴み、力任せに地面へ叩きつけた。追撃させまいとニコが走れば、男は錫杖鳴らす魔力で炎を払い、殺意明確な視線で睨む。
「うぬらの不届き、万死に値する!!」
 ――敵の手を封じながらも、まだ余裕は見いだせない。
 しかし――勝てると信じて睨む視線に応じたニコは、再び杖へと魔力を注いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

藤野・いろは
何とか最後には間に合いましたね。
少しでもこの世界の平和の力になれるように頑張りましょう。
ユーベルコード、達人の智慧を使い相手の末世読経にカウンターをしていきましょう。
元々相手に攻めさせてからの反撃の方が得意ですからね。
戦闘力を強化した為に動きが単調となっているはずです、そして力強い一撃をお持ちのようです……ええ、格好の的です。
「破魔」の力を武器に込め、相手の「鎧を無視するような攻撃」を叩き込みます。
後の先と言う感じでしょうかね、倒すまでは至らないでしょうが出鼻は挫かせて貰いますよ。
太刀にて紅引き、紅を差す。飾る銀に見惚れるなかれ。
付け焼刃の一撃など、我が身に届かぬと知りなさい。


リステル・クローズエデン
【制限解除・呪腕解放】を発動。
デメリットは、『呪詛耐性3、毒耐性3、激痛耐性2』で軽減。
刃のような殺気と青いオーラを身に纏う。

「今は、こうするしか。対抗はできそうにありませんからね……」

戦闘時全般として『戦闘知識3、見切り3』で行動を予測しつつ。
『投擲8+毒使い4+マヒ攻撃3』による
マヒ毒を忍ばせた手裏剣投擲による牽制から。
『ダッシュ1+残像2+2回攻撃3+グラップル6』による
刀と蹴りのコンビネーションを狙う。

反撃に対しては『オーラ防御8+ジャンプ6』で
回避しつつできないものに対しては、オーラで防ぎます。

「あなた方が、なぜ忘れられたのか……」



「『リミッター解除、青の封印解放……』」
 後方で今は戦いを見守りながら、リステル・クローズエデンは身体のリミッターを一つずつ解除していく。
「『この身は刃……凍てつく青き刃……ただ、斬り裂くのみ……』」
 彼女だけのユーベルコード、『制限解除・呪腕解放(リミッターカット・ブルーブレイク)』。詠唱が進む毎にリステルの右腕内部に組み込まれた封印が解け、体表には青きオーラ、体内にはそれまでにない強大な力が迸った。しかしずしりと体が重さを増して感じるのは、同時に全身を蝕む毒のためだ。
 それでも力を身体へ馴染ませていく内に、心にはじわりと冷たい殺意が滲み、伴い放つ殺気は刃の鋭さを帯びていく。その気配に、ついに武僧が気付いた。
「――何をしておる」
 声がした直後に対峙していた仲間達からただの一歩で後方のリステルまで間合いを詰めた武僧は、錫杖持たぬ左手に魔力を宿した。
 巨躯なる男の大きな手は、リステルの頭を一飲みにもしそうな巨大な狛犬の頭へ変化し、リステルへと伸びる。
「今は、こうするしか。対抗はできそうにありませんからね……」
 ――バクン! と、狛犬の鋭い牙がただ空気のみを喰らい閉じた。そこに確かに在ったリステルの姿は今はない。影も形も――思う武僧の背後に突如、無数の刃が突き刺さった。
「ぐうっ……!?」
 飛来したその武器は手裏剣――複数の毒を刃に仕込んだ投擲武器は、いつの間にか背後に回ったリステルが放ったもの。
「あなた方は、なぜ忘れられたのか……」
「黙れ!!」
 その問いに声を荒げた武僧が再度仕掛けるも、やはり先と同じく狛犬の牙はリステルを捉えず虚空を喰らい、直後今度は右半身に無数の手裏剣が飛来した。
「……虚仮にしおって!!」
 怒れる武僧が、叫ぶなり右に手にする錫杖を強く鳴らした。憎しみを宿す低い声で紡がれる読経は、長く続くほど武僧の戦闘力を高めてしまう――止めなければ、そう思い前へ出ようとしたリステルの一歩先に、新たな声が武僧へ至った。
「――何とか間に合いましたね。少しでもこの世界の平和の力になれるように頑張りましょう」
 笑んで宣言した藤野・いろはの刀が武僧の体へと閃いて、読経はそこで途絶えた。
 更に心に怒り重ねた仮面の巨漢は、錫杖をいろは目掛けて無作為に振り回す。その一つ一つを刀で的確に捌きながら、その間ずっといろはの琥珀の瞳は帯びた魔力で武僧の内側までもを探っていた。
 力では無く知により戦うユーベルコード――『達人の智慧』。
「……戦闘力を強化した為に、動きが単調となっているはずです」
 キン! 幾度打っても当たらぬ打撃は、まさしくその証拠だった。いろはの指摘に一瞬ぴくりと振るう腕を止めた武僧は、今度は狙いすました一撃を振るうべく錫杖へと魔力を込めながら、一度その身を後退させようと――。
「そして力強い一撃をお持ちのようです……ええ、格好の的です!」
 ――その瞬間こそがいろはの狙い。密かに破魔の力注いだ刀を、攻勢から後退へと転じた武僧の一瞬無防備だった脇腹へと叩き込んだ。
「がっ……!?」
 これこそが武僧の読経の弱点と、実証する一撃が帯びた魔力が、武僧の体表覆う殺気へじわりと馴染む。ニッと笑んだいろはの視線の先には、武僧の傍でその呪わしい経の魔力を封じる守護明神――。
「――太刀にて紅引き、紅を差す。飾る銀に見惚れるなかれ」
 勝気な笑みはそのままに、横に束ねた黄枯茶色の髪を軽く払うと、いろはは刀の刃先を武僧へ突き付け、はっきりこう断言する。
「付け焼刃の一撃など、我が身に届かぬと知りなさい」
 ――猟兵達の万別の技が、少しずつ武僧を追い詰め始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アーノルド・ステイサム
逆に良かったんじゃねえかって気もするな
わかりやすい悪党の方が得物もぶち込みやすいだろ
――つうわけだ。飽きるまで殴らせてもらう。

とはいえ油断は全くできねえな…
経歴に箔の付いた武僧様だろ
しかもホーム。準備は十全に行ったとはいえ、俺たちはアウェーだ。
地形や竹を使って何をやってくるかわかったもんじゃない
注意を怠らず、仲間と連携してちびちび地味にやっていく
余裕がありゃ盾としてカバーにも入ろう
アクティブ!防御支援!

読経で強くなるってんなら
火器を使って阻害するための攻撃も入れる
当たんなくてもいいさ、嫌がらせになればな

あんたはワンマンだがこっちはチームだ
威勢は良いようだが…少し驕りが過ぎるぜ、王様


浮世・綾華
成程、こりゃあ想像してたより厄介だ
想いを分かったなんて口にしたけど
何にも分かっちゃいなかったなんて笑えんな

オブビリオンは所詮オブビリオン
結局は倒すしかねーってことだろ
どうせひとりじゃ勝てない相手
でも敵はひとりだ、寡は衆に敵せず
意味か?お前は俺らに敵わないっつー意味だ

【咎力封じ】で敵の動きを封じ、攻撃力を減らして
自分や仲間への負担を軽減する

【戦闘知識】【罠使い】を使用
竹林での戦闘方法?地形利用や罠も
ぜーんぶ分かってんだよ
【フェイント】翻弄しつつ【カウンター】も狙うがあくまでサポート
常に周りの動きを把握するように戦況をみて思考をやめない
そしてアイコンタクトが叶った仲間に
(――今だ、行け)と


アルバ・アルフライラ
…ふふん、まあ察しはついていたとも
オブリビオンは過去より出でた澱――未来を喰らう災厄ならば
斯様なものが、尊き僧であってなるものか

召喚するは【女王の臣僕】たる蝶の群れ
これならば竹林への延焼を考えずに済む
加減も躊躇も不要ならば全力魔法で罅が走る事すら厭わぬ
金剛力士も又面倒極まりない
蝶の鱗粉による範囲攻撃で行動の制限も試みる
武僧への攻撃で解除されるならば猟兵の刃が届くよう攻撃の手を緩めぬ迄
ふふ、お任せを――他猟兵への助力は惜しまず
攻撃は見切りや仕込み杖で受け流し、叶えばカウンターも考慮

全く、勘違いも甚だしいものだ
恐怖と平穏はまるで違う

――さあ、骸の海へと還るが良い

(敵、従者以外には猫被り、敬語口調)



「――成程、こりゃあ想像してたより厄介だ。想いを分かったなんて口にしたけど、何にも分かっちゃいなかったなんて笑えんな」
 呟き落とす浮世・綾華の紅の上衣が、炎が生んだ気流にはためく。その裾翻る背中に、機械兵――アーノルド・ステイサムはこう応じた。
「逆に良かったんじゃねえかって気もするな。わかりやすい悪党の方が得物もぶち込みやすいだろ」
 青き瞳で辺りを見回し綾華の隣へ立ったアーノルドは、視覚情報と敵分析とを脳内で平行処理する。
(「とはいえ油断は全くできねえな……経歴に箔の付いた武僧様だろ、しかもホーム。準備は十全に行ったとはいえ、地形や竹を使って何をやってくるかわかったもんじゃない」)
 考えながらも、出てくる分析結果は極めて単純に『強敵』と一言のみ。逆に言えば、今はそれだけなのだ。
 この戦場を切り開いたのは他でもない猟兵達だ。つまり、この戦場から外れない限り、罠は猟兵達の仕掛けたものしかない。
 そこに勝機を見出して、アーノルドは斧を構える。
「――つうわけだ。飽きるまで殴らせてもらう」
「オブビリオンは所詮オブビリオン。結局は倒すしかねーってことだろ」
 地を蹴ったアーノルドに、綾華も続いて飛び出した。仲間の活躍によって、今武僧は強化の読経を封じられている――注意が此方へ向かぬ間に間合いを詰める二人の足音に、もう一つ軽やかな足音が連なった。
「……ふふん、まあ察しはついていたとも」
 蒼から赤へと波打つ髪を駆け足に揺らして――美しきクリスタリアン、アルバ・アルフライラは繊細なる指先で刃隠す杖をくるりと返した。
 既に魔力は充填済みだ。くるくると回す度、杖先が描く光の残滓がキラキラと舞う。溢れ出る魔力――重さの無いその光はふわふわと揺蕩う様に戦場へと散らばって、それでもなおアルバは光を散らし続ける。
 辺りへ広がる魔力に武僧が此方の接近に気付けば、アルバの放つ言葉は、その鋭さを際立たせて。
「オブリビオンは過去より出でた澱――未来を喰らう災厄ならば、斯様なものが、尊き僧であってなるものか」
「この身を卑しいと宣うか! 滅びた後、民が忘れ去らんと願う程の恐怖を敷き君臨したこの我を!!」
 その声、その言葉に漸く、猟兵達はこの地に存在した歴史の真実を理解する。

 民の虐殺厭わぬ暴君。戦国の時代に竹林を開拓し、戦に利用したことで武勇を誇りはしたものの、民は暴君と竹林の存在を恐れた。
 やがて暴君が亡くなると、その存在は遠ざけた竹林と共に二、三百年もの時間を掛けて少しずつ集落から――歴史から離されていったのだ。
 自然と途切れたのではない。故意に、人々が忘れ去ろうとしたのだと。

「勘違いも甚だしいものだ。恐怖と平穏はまるで違う」
 吐き捨てる様に呟いて、アルバが駆ける足を止めた。武僧を射程に捉えたか――詠唱に入ったその間、つまり武僧の相手はアーノルドと綾華に託された。
「あんたはワンマンだがこっちはチームだ。威勢は良いようだが……少し驕りが過ぎるぜ、王様」
 駆ける速度を一段速め、瞬時に武僧の真横を取ったアーノルドの巨斧はしかし空を切る。身を低くし回避した武僧もまた動く速度を上げたのだ。
 そして、地に伏した手が何かを掴んだのを、綾華は見逃さなかった。
 それはあまりにも粗末な奇襲だった。目つぶしを狙った泥――生き残ることに必死だった嘗ての戦場ならば有効だったのかもしれない。しかし竹林に築いた今日の戦場を知り尽くした猟兵達にはあまりにも拙いその反撃は、直後空から降って来た竹の壁に阻まれる。
 狙われた綾華と武僧の間に立ち塞がったそれは、仲間が用意した罠だ。発動起点のロープを切断したのは、――投擲した綾華の黒色の鍵刀。
「竹林での戦闘方法? 地形利用や罠もぜーんぶ分かってんだよ」
「……お、のれぇえええええ!!」
 逆上した武僧が、錫杖の先を地に叩きつけた。がしゃん! と鈍く響いた音色が竹林の中を渡ると、その音波が帯びる魔力が綾華を挟む様に二所に集約する。
 現れしは、阿形と吽形の金剛力士。両側から同時に綾華へその剛健なる腕を振り下ろそうとして――。
「『アクティブ! 防御支援!』」
 しかしその時、突如飛び出した巨大な影が阿形と吽形両者の拳を鋼鉄の体で受け止めた。綾華を護り立ち塞がったアーノルド――痛覚無き体は僅かに傷を得るけれど、咄嗟に起動した『戦闘支援プログラム(Rocky)(ハロー・ロッキー)』にて防御強化を施した身は動じず、振るわれた傷だらけの巨大斧は阿形にも吽形にも等しく深く斬り付ける。
 そして、護られ無事の綾華は今自由だ。駆けるその手には『鉄屑ノ鳥籠』から取り出した拷問器具を握っていた。
 紅き視線のその先に、阿形吽形の召喚中は戦えぬ武僧。これが今日最大の好機であろうことを、綾華は正しく理解していた。
「どうせひとりじゃ勝てない相手。でも敵はひとりだ、寡は衆に敵せず」
 魔力を持った拷問器具が、武僧目掛けて放たれた。『咎力封じ』はその全てを捕えることは叶わずとも、錫杖握る手を封じ、経を読する口を封じた。
 召喚術者への攻撃に、阿形吽形の姿が消える。全てが、猟兵達の勝利へと向かっていると確信して綾華は笑んだ。
「意味か? お前は俺らに敵わないっつー意味だ」
「――『控えよ、女王の御前であるぞ』」
 綾華の言葉に応える様に、低音の声が鈴の様に凜と戦場を渡った。詠唱終えたアルバが光透く全身に魔力の輝きを纏った時、戦場に散っていた彼の魔力もまた、一斉に青白く輝き空へと羽ばたいた。
 召喚するは、女王の臣僕たる蝶の群れ――辺り一帯を青く照らすその荘厳にして静謐なる技はユーベルコード『女王の臣僕(ヴィルジナル)』。
 紅の瞳に青の光を映し、綾華は武僧の拘束の力を強めた。その助力に気付いたか冷たさ帯びた瞳を一時緩めたアルバへと、綾華は視線で思いを託す。
 ――今だ、行け、と。
「……ふふ、お任せを」
 綾華への返事に和らいだ声は、しかし次の瞬間更に増大した魔力と共に冷徹なものへと変わる。
「――さあ、骸の海へと還るが良い」
 告げると同時、羽ばたく無数の青き蝶から冱てる鱗粉が武僧へと降り注ぐ。しかし武僧の口には猿轡。悲鳴すら、上げる自由を猟兵達は許さない。
 ――最期の時が、訪れようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レイブル・クライツァ
一方的な恐怖の押し付けでの礼なんて要らないわ。此方からお断りよ。
貴方が只、昔振るった狂気の味をまた楽しめるから嬉しいってだけでしょう実際の所。
2度と奮えないよう消しに来たのよ私達
覚悟なさい?

未使用のギロチン仕掛けを使えそうであれば、武器は構えつつも聞き耳と第六感と見切りを駆使し
多少隙がある形を装って誘導し、読経か招来の妨害辺りのタイミングで使用する。
自分の方が勝ってるとでも思ったかしら?
策に嵌められた気分は如何なものでしょうね。

近付き過ぎないよう気を付け、他者の攻撃の隙を埋めるべく追撃で、巫覡載霊の舞で畳み掛ける。
竹藪が薄気味悪いって事しか感じない程度には、直ぐ忘れられる程度の存在だったのにね


花京院・紗
愚かな人
ここにはもう貴方の支配すべき土地などないのに

可哀そうな人
恐怖でしか支配できないのは弱さの証です

過去に縋り現在すらも我が物と勘違いするその傲慢さ
今ここで断ち切ってしまいましょう

▼戦闘
巫覡載霊の舞を使用
2回攻撃1、呪詛1で攻撃

相手からの攻撃は
見切り1、残像1で回避

躱せない攻撃はオーラ防御1で対処

相手の攻撃を第六感1、もしくは野生の勘1で察知
それに応じて召喚なら衝撃波
回復なら変更部位に全力魔法1
等、動きを変えます

戦闘中敵を観察し、弱点や固い部分を把握、仲間に伝達
同時に鼓舞1で仲間の士気を上げます



「一方的な恐怖の押し付けでの礼なんて要らないわ。此方からお断りよ」
 最後の攻勢、その一端を担ったのはレイブル・クライツァだ。手首を返しくるりと薙刀を持ち直せば、未だ戦場に蒼く散る魔力の残滓が巻き込まれてその刃が蒼く煌いた。
「貴方が只、昔振るった狂気の味をまた楽しめるから嬉しいってだけでしょう、実際の所。……二度と奮えないよう消しに来たのよ私達」
 ぴたりと切っ先を武僧へ向けて止め断言したレイブルが見送る攻撃に選んだのは、やはり『巫覡載霊の舞』――今日幾度目になるだろう、命を削り神霊を身に降ろす聖なる舞を前にして、……その背にとん、ともう一つ、薙刀握る人の背中が重なった。
「――愚かな人。ここにはもう貴方の支配すべき土地などないのに」
 花京院・紗。やはりその手にくるりと薙刀を持ち直した少女は、背中越し、鏡像の様にレイブルと同じ構えを取った。
 薙刀を地に平行に構え、その切っ先と紫紺の視線は未だ拘束から逃れようともがく武僧へと。
「可哀そうな人。恐怖でしか支配できないのは弱さの証です」
 淡々と言いながら、紗はすぅ、と息を吸った。レイブルも同じだ。呼吸を合わせ、これから二人が繰り広げるは、衝撃波を生む神降ろしの舞。
「過去に縋り現在すらも我が物と勘違いするその傲慢さ、今ここで断ち切ってしまいましょう」
「――覚悟なさい?」
 続いたレイブルの覚悟を求める静かな声が、まるで男への断罪の様に竹林の中を渡った。とん、と二つ足音が重なると、片や白亜の髪を覆う薄闇のヴェールを、片や白銀の髪を彩る桔梗の飾りを揺らす舞手達の手元で薙刀が同時に翻る。
 調べも無いのに、左右対称のその動きはぴたりと一致した。左右同時に振り下ろされた薙刀から風切る斬撃が放たれると――漸く魔力蝶から逃れた武僧は、罅割れた仮面越しにも怒り露わに吠える。
「……未だだ! 蘇りし我が身、二度目の生は尽きてはおらぬ!!」
 しゃん! と眼前に力強く鳴らした武僧の錫杖が、二体の金剛力士を召喚する。放たれた衝撃波は逞しきその二つの壁に依って受け止められるけれど――しゃらりと髪を鳴らし、風巻き起こしてレイブルと紗は舞い続けた。
「貴様らが命、我が力で潰してくれよう!!」
 武僧が叫ぶと同時、阿形と吽形、二体の金剛力士が舞止めるべく二人へ迫った。しかしその間再び放たれた二つの衝撃波は、金剛力士を大きく避け、レイブルのものは在らぬ場所――伐採されぬ竹林へと着弾した。
「――っはは、何処を狙っている!」
 武僧が、侮りの声を上げた瞬間、その眼前に空から竹の壁が落ちた。
「何っ……!?」
「自分の方が勝ってるとでも思ったかしら? 策に嵌められた気分は如何なものでしょうね」
 レイブルが、衝撃波で自ら仕掛けた罠を落としたのだ。金剛力士と武僧の間を一瞬でも隔てる壁――それは『武僧に傷を入れれば金剛力士は消える』という力の性質を正しく理解したから生まれた連携技。
 壁が邪魔して金剛力士が武僧を庇えぬその間に――紗の放った衝撃波が、竹壁を迂回し武僧を真横から斬り付けた。
「……ぐっ……あぁあああ!!!」
 竹壁に視界を奪われたこともあったろう、仮面の武僧は風切る斬撃に全身朱に染め、竹壁ごと前へと倒れる。金剛力士も、既に場から消えていた。
 レイブルと紗は歩み寄ると、二本の薙刀を武僧の首前で交差させる。触れた男の肌に浮かんだ鮮血が、つう、と刃を縁取り滑り落ちた。
「……許さぬ……決して許さぬぞ、猟兵……」
 その痛みに遂に死期を理解したか、武僧は怨毒の言葉を撒き散らす。
「我は再び蘇ろうぞ……例え今命尽きるとも、尊き我が身は再び受肉し、貴様らを滅ぼそう……」
 ――此処ではない、何処かで。過去の怪物であるオブリビオンは、倒してもいずれ別の過去を元に蘇る可能性があるのだ。この言葉も、完全に否定しえる者ではない。
「そう。……別に、何度でも消してあげるけれど――」
 しかしレイブルは淡々と現実、……事実を、去り行く男へと告げた。
「二、三百年で竹藪が薄気味悪いって事しか伝わらないくらいには、直ぐ忘れられる程度の存在だったのにね」
 過去が、歴史が例えどう在ったとしても、それこそが――この男が迎えた結末。
 レイブルと紗、同時に弧を描いた二つの刃の閃きに男の首から飛沫が上がると、武僧は遠ざけられた竹林の中に、幻の如く消え去った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年01月13日


挿絵イラスト