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アルダワにはバスがない?

#アルダワ魔法学園 #災魔の扉

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#アルダワ魔法学園
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#災魔の扉


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●ロザリアのパーフェクト謎解き教室
「皆さーん! 災魔の扉の謎解き教室が始まりますよー! 地下迷宮完全攻略を目指して、頑張っていきましょう!」
 わざわざグリモアベースに持ち込んだ台の上に乗り、ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は猟兵達へと呼びかけていた。話を聞きつけそこそこの人数が集まってきたところで、事件の話を始めた。
「『アルダワ魔法学園』の地下迷宮に、行く手を塞ぐ『災魔の扉』というものがあるんです! その扉を開き、さらなる深層への道を探す、というのが今回皆さんにお願いする依頼になります!」
 猟兵が出ていかなければならないのだから、当然押せば開く、などというものではない。
「災魔の扉ですが、開けるためには扉に刻まれた謎を解いて、『鍵の災魔』と呼ばれるオブリビオンを倒す、というのが必要になります。この謎は現地の方々には絶対に解けない謎なので、普段から世界を渡り歩く私達、猟兵の力が必要、というわけですね」
 アルダワ魔法学園の人間に見せても理解不能で、猟兵の頭脳を以って解決することが不可欠なのだ。
「では、早速その謎についてなのですが……ちょっと長いので、今から読み上げますね! しっかり聞いていて下さい!」
 そしてロザリアは『ぐりもあのーと』を開き、予知の中で見た謎を読んでいく。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 公民館からバスが出て、お客が3人乗りました。
 博物館で、1人降りて、半ダースが乗りました。
 薬局前で、2人降りて、結局バスには何人乗っている?

 ※この世界にバスはあります。ワンマンバスのようです。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「はい! なんだか算数みたいなお話ですが、これが謎解きのようですので、扉のところに行くまでに考えてみて下さい!」
 そして、謎解きの後はオブリビオンとの戦闘が待っている。
「謎を解いた後の戦闘ですが、二段階に分かれているようですね。まずは集団で現れて、その後にボスが出てきます。このボスが鍵の災魔と呼ばれるオブリビオンですから、逃さず倒してしまいましょう!」
 敵の種類は迷宮で見かけるものとあまり変わらないようだが、時には新しいオブリビオンが出てくることもあるかもしれない。しっかり対策を立てておきたいところだ。
「皆さんの力で、きっと迷宮攻略も進みます! 迷宮には色んな謎がありますから、楽しくいきましょう!」
 迷宮攻略を案内するロザリアはニコニコしていた。


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 フルバージョンは初めて聞いたかもしれません。

●謎解きについて
 過去を懐かしんでいたら思いついた謎です。難易度1くらいです。
 当てずっぽうでも当たる可能性がありますので、回答を導いた理由も含めて合っているものを正解プレイングとして採用したいと思います。
 回答のみのプレイングはたとえ正解であっても不採用と致します。ご了承下さい。

●扉のある場所について
 長方形の部屋、というか通路、というか。
 横に広くないので正面からぶち当たるのが吉な気がします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『異世界知識の謎』

POW   :    総当たりなど力任せな方法で謎の答えを導く。

SPD   :    鋭い直感や閃きで謎の答えを導く。

WIZ   :    明晰な頭脳や豊富な知識で謎の答えを導く。

👑3
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ユーイ・コスモナッツ
謎?
ええと、私、そういうのはあまり得意ではなくて……
というか、どちらかと言えば苦手なほうで……
物理的に扉を壊して開けたらいけませんか?
……だめですよね、はい
わかりました!
騎士として、この挑戦、受けて立ちましょう!

ええと、
最初に3人が乗って、半ダースは6人だから、
3ひく1たす6ひく2で……6!
はい、解けました!(挙手)
なあんだ簡単じゃないですかー、
答えは……って待てよ、これじゃただの算数だ

謎というからには、
なにか引っかけが……
……
………
…………わかった!
運転手1人を足して、答えは7人! 7人ですっ!!


レイ・キャスケット
なんか新しいタイプの迷宮が見つかったって聞いたから来てみたら…
文章の意味さえ理解できれば一般学生でも解けそうな問題だったね

まず3人乗り込み(+3)1人降りて(-1)半ダースが乗った(+6)
二人降りて(-2)乗客は6人、そして運転手合わせて(+1)7人だね

んー、それにしてもアルダワにあってアルダワの人間には絶対解けない謎かぁ
ボクは猟兵だから文字も読めて意味も理解できたけど、これを作ったのが鍵の災魔なのかな?
躯の海を通過することで元ある知識や経験以上のものを取り込めるってなんかずるいよねぇ
その代償が世界絶対滅ぼすマンってのは遠慮しておきたいけど



●バスには動かす人がいる
 謎解きに乗り出した猟兵が扉の前に立っていた。レイ・キャスケット(一家に一台便利なレイちゃん・f09183)は扉に刻まれた原文を眺めると、うんうんと頷く。
「なんか新しいタイプの迷宮が見つかったって聞いたから来てみたら……文章の意味さえ理解できれば一般学生でも解けそうな問題だよね」
「ええ、そうなんですか?」
 レイの余裕そうな表情とは対照的に、ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)は目をまん丸に見開いていた。
「内容は単純だからね」
「そ、そうですか……私、こういうのはあまり得意ではなくて……というか、どちらかと言えば苦手なほうで……物理的に扉を壊して開けたらいけませんか?」
「あっはは……それは、やめたほうがいいと思うよ?」
 世界の終わりみたいな深刻そうな表情で、目に混乱の渦を巻いて今にも剣を振り回しそうなユーイの姿に、レイは思わず苦笑い。
「……だめですよね、はい。……わかりました! 騎士として、この挑戦、受けて立ちましょう!」
「そうそう、その意気だよ」
 ぐっと握り拳を作って謎に挑むユーイを、レイは微笑ましく見守ることにした。

 ユーイは両手を開き、謎を示す文章の通りに指折り数えていく。
「ええと、最初に3人が乗って」
「うん、それで?」
「半ダースは……6人だから」
「そうだね。半ダースなんて妙な言い回しが急に出てくるけど、これを作ったの、鍵の災魔なのかな?」
「どうなんでしょう……鍵の災魔は、扉を開けるのに必要なものを、わざわざ人の目につく場所に置いたということになりますけど……」
「アルダワの人間には絶対解けない謎だから別にいいや、って感じなのかなぁ。ボク達は猟兵だから文字も読めて意味も理解できたけど……躯の海を通過することで元ある知識や経験以上のものを取り込めるとしたら……なんかずるいよねぇ」
「そうですね……うう、謎は深まるばかりです……」
 考えれば謎だらけ。ユーイの頭の中は絡まった毛糸玉のように情報がごちゃごちゃに。
「……あ、あれ、どこまでいきましたっけ」
 縋るものを探していたのか、ユーイは無意識に指をわしゃわしゃ動かしていたため、自分がどこまで数えていたかわからなくなってしまっていた。
「あー、半ダースのところだよ。この謎を読んでいくと、バスに乗り込んだお客は9人になるね」
「そうでした。降りたのは、博物館で1人、薬局前で2人……こちらは単純ですね。計算すると……3ひく1たす6ひく2で……6! はい、解けました!」
 両手の指に答えが出てきて、ユーイはぱぁっと晴れやかな笑顔で手を上げた。
「なあんだ簡単じゃないですかー、答えは……」
 と、辿り着きはしたものの、やはり少し気になってユーイはレイの表情をちらりと伺う。
「…………」
 レイは黙っていたが、口元はニンマリ。瞳も優しそうでどこか意地悪な、いかにも「それでいいのかなー?」と言いたげな顔に、ユーリは静かに手を下ろしていた。
「……って待てよ、これじゃただの算数だ……」
 アルダワの迷宮深部にある謎が、ただの計算で終わるはずがない。ユーリは思い直し、もう一度指を動かす。
 しかし何度考えてみても、指は自然に6に行き着く。答えがわかっていそうなレイもここまでは何も言わないので、6まで来るのは正しいはず。
「謎というからには、なにか引っかけが……」
「そうだね。じゃあ、ここでヒントだよ。『結局バスには何人乗っている?』……これってさ、『乗客は』って言ってないから……乗客以外に乗っている人がいたら、その人も数に入れないとね」
「乗客以外……あっ、わかった! 運転手が1人います! だから、それを足して……答えは7人! 7人ですっ!!」
 ユーイが答えを大きく声に出すと、行き止まりの壁にぴったりはまっていた災魔の扉が急にガタガタと震え出した。
「はい、正解。……さてと、ここからは災魔が出てくるよ」
 ユーリとレイは扉から離れ、敵を待つ。扉の震えは激しくなり、迷宮全体が振動し始めているのを足元から感じていた。
「骸の海かぁ……アルダワにないものが得られる代償が世界絶対滅ぼすマンってのは……ボクなら遠慮しておきたいかな」
 震えが収まるのを待つ間、レイは扉を見遣りながら、少し気怠そうに呟いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ホムンクルスの盗賊』

POW   :    後ろにも目をつけといたほうがいいよ!
【打撃能力を持つ魔法のミサイル】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
SPD   :    早いねキミ、でもウチらも負けないよ!
【攻撃の宣言】を向けた対象に、【ホムンクルスの姉妹たちの連携攻撃】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    良いもの持ってるね!ちょっと貸してくんない?
対象のユーベルコードを防御すると、それを【劣化した性能で魔力の回路に一時的保存し】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。

イラスト:つかさ

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●扉を守る盗賊達
 扉の震えがようやく収まったかと思うと、扉の表面が隆起して前方へ迫り出してきた。次第になだらかなボディーラインを作ったそれは、やがてぷつっと扉から切り離され着地する。金属メッキが流れ落ち、金の瞳の少女達が姿を見せた。
「あーあ……盗む側じゃなくて、守る側に来ちゃうなんて……。退屈な役目なんだから、せめて楽しい戦いには……してくれるよね?」
 ホムンクルスの盗賊達は、そう言って猟兵に不敵な笑みを見せていた。
城田・紗希
半ダースと1ダースを間違えた恨み、八つ当たりで晴らすよ!
ウィザードミサイル、全力魔法と誘導弾で一斉射撃かけて、防御の隙を与えずに叩くよ!(宣言通りに八つ当たり)
誘導弾で複数方向から狙いつつ、時間差で着弾させて、防御の難易度は上げるよ!(八つ当たりでも戦法は考える)

まぁ防御されても、私の全力の160本には届かないはず?(計算ミスしてるけどちゃんと195本を生成)
とはいえ、1体に100本も使うとは思えないから、徐々に数を増やしつつ撃てば2人とか3人は撃ち落とせるはず?(見切りと学習を警戒しつつ防御の難易度を上げていく)



●災魔ですら思わず諭してしまうレベル
 城田・紗希(人間の探索者・f01927)は抑え難い感情の捌け口を探していた。
 グリモアベースで謎を聞いてあれこれ考えていたというのに、肝心な部分で勘違いをしていた。謎自体は別の猟兵が解いたおかげで問題なかったが、半ダースと1ダースを間違えた恨み、如何にして晴らすべきか。
「こうなったら、八つ当たりで晴らすよ!」
 これが紗希の宣戦布告だった。
「ええ……よくわからないけどさ、それはちょっと理不尽じゃない……?」
 ホムンクルスの盗賊達も、紗希の発言には困惑の色を見せる。だが、紗希にとってはそんなことお構いなし。右腕を背後へ回すと、ごうっ、と通路に全力の炎を生み出した。
「どうせ戦うしかないんだからさ。相手がやる気十分なら、楽しめるだろうし」
「ま、それもそうだね」
 激しい憎悪の炎を燃やす紗希へ、盗賊達は体を低く落として走り出した。空気抵抗を抑え、素早く相手の懐へ潜り込むアサシンスタイル。そこへ、炎の海から魔法の矢の弾幕が飛び出した。
「防御する暇は与えないよ!」
 針の生えた壁が押し迫ってくるかのような濃密さ。しかも、それらは全く同じタイミングではなく、複雑に誘導され複数方向から時間差で盗賊達に撃ち込まれていく。
「うあっ! な……こっちから!?」
 目の前に来た炎の矢を防御しようと身構えると、それはするりと避けていく。代わりに背後から矢が突き刺さり、炎が背中に燃え広がっていた。
 自由に動けるスペースが少ないのは猟兵もオブリビオンも同じ条件だ。その中で縦横無尽に動き回る炎の矢を避け続けるのは困難だった。体を何か所も射抜かれて、盗賊達は燃え尽き地面に崩れた。
 紗希が放つ矢の防御は至難――だが不可能ではない。
「あっつい……けど、これ、いいものだからちょっと借りるよ!」
 タイミングが噛み合いうまく防御できた盗賊がお返しと言わんばかりに炎の矢を滾らせ、放つ。攻撃力や誘導能力などは紗希の放つものに劣っていたが、何本も束ねることで紗希の矢を一本相殺し、攻撃を緩和していた。
 撃ち出せる矢にも限りがある。命中したもの、相殺されたもの、計算し、次の攻撃に備えなければならない。
「防御されたり、撃ち落とされたりしたけど……まだ160本全部は使ってないはず?」
 背景のように燃える炎に働きかければ、また次の矢が生み出される。紗希が全力を出せば195本の矢が生成できるが、少なく見積もっても問題ないのであれば、多分問題ないのだろう。
「防御されるとやっぱり厄介だし……どんどん難易度を上げていくよ!」
 防御されたら、紗希も矢の精度を上げていく。うまくはまった相手にはそのまま矢を殺到させて、一体ずつ確実に倒していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユーイ・コスモナッツ
現れたな妖怪変化め!
ふっふっふっ、待ちかねましたよ~
こういう分かりやすい障害なら大得意です!
(指パキポキ)

謎解きクイズなどではない、
力と力のぶつかり合いこそ騎士の本懐
いざ! 尋常に勝負ですっ!

愛用の空飛ぶ大盾、反重力シールドに乗って突撃開始
迷宮内の限られた空間でも、
得意の「騎乗」「空中戦」技能で縦横無尽に飛びまわりますよ

盗賊の攻撃もスピード任せに回避していきます
それでも命中させてくる?
……ふふ、そうこなくっちゃ
相手にとって不足なしです!

と、UC【流星の運動方程式】を起動
更にスピードを上げて攻撃再開!
速くてダメならもっと速く!
それでもダメならもっともっと速く!
単純明快な理論ですっ



●音を超え、光をも超えるまで
 パキポキと迷宮に音が鳴る。
「現れたな妖怪変化め! ふっふっふっ、待ちかねましたよ~。こういう分かりやすい障害なら大得意です!」
 苦手な謎解きは他の猟兵の助けもあって何とか潜り抜けた。ここからは力と力のぶつかり合い。騎士であるユーイの領分だ。
「いざ! 尋常に勝負ですっ!」
「ふーん……先に言っとくけど、ウチらさ、正々堂々ってのに興味ないから、そこんとこよろしくね?」
 両者一斉に動き出した。ユーイは『反重力シールド』に颯爽と乗る。反重力により浮力・推進力を得た大盾が宙を滑走し、ユーイはその上で『クレストソード』を握り締めた。
「へぇ、飛ぶんだ……なら、ウチらも跳んで攻撃といかせてもらうよ!」
 盗賊達は道を開けるように左右へと分かれ、そのまま壁際――いや、壁そのものへ跳んでいた。ユーイと同じく反重力、というわけではなく、足の裏を器用に壁へ引っかけての三角跳びだ。
「落としてあげる!」
 左右からの挟み撃ち。体をユーイへ預けるような捨て身の形で突きを当てに来ていた。
「落ちません!」
 シールドが出力を上げ、一瞬の加速を見せた。わずかに傾くことでユーイの体がずれ、右からかぶせるように降ってきた拳が空振りした。
 逆に左から飛んできた拳には自ら向かっていく格好となったが、接近戦の間合いは騎士の領域だ。ユーイの瞳が盗賊の動きをスローモーションで捉える。手首の向きから拳が突き出される方向を見極め、わずかに首を傾けて耳の傍に拳を通した。
「まだまだいくよ!」
 第一陣を切り抜けたユーイへ、盗賊達はさらに数を投じて迫る。今度は左右からわずかに時間をずらして飛び掛かってきた。壁を蹴った勢いで空中回転し真上から踵を落としてくる。
「これくらい!」
 ユーイは大盾の上で屈むと同時に高度も落とし、突き刺さってくる踵の下を抜けた。まるで黒いゲートを潜り抜けたようだった。
 地上に接近したことで、地上からも直接動く。衝突を避けるように脇に逃げながら体の柔軟さを生かしハイキックを浴びせようとする。下から爪先が持ち上がり、ユーイの足元へと向かっていた。
「曲がって!!」
 反重力を操作し、急激な方向転換。加えて大盾を半分ほど立てることで盗賊の攻撃に対し大盾の面を向け、盾本来の機能で受け止めた。蹴りを受けぐらぐらと揺れる大盾に両手でしがみ付きながら、ユーイは反重力が安定するのを待つ。
「スピードだけで回避し続けるのは大変ですが……それでこそ、相手にとって不足なしです!」
 敵を認め、ユーイは大盾の更なる機能を開放する。
『ブースト・オン!』
 大盾が青白い光を噴いた。内臓の加速装置が起動し、大盾はユーイを乗せてさらに加速する。そして反重力装置が大盾の周辺に特殊な重力場を作り上げ、機動性の向上、及びどんなに激しい動きにもユーイは落下することなく立ち回れるようになった。
 反撃の時間だ。ぐるっと反転し、ここまでに攻撃を向けてきた盗賊達を見据えた。
「受けなさいっ!」
 急上昇から急降下で角度をつけて大振りに薙いだ。
「かはっ……」
 ユーイ自身からは真一文字、地上から見れば袈裟切りに近い斬撃は盗賊の肩から胸元辺りをバッサリ斬り裂き、深々と傷を負った盗賊は膝から崩れ落ちていく。
「そんな攻撃、当たらなきゃどうってこと――」
「当たる! いいえ、当てます!!」
 壁際に追い詰められたかに見えた盗賊が、ジャンプから壁を思い切り蹴り出して通路の反対側まで跳んでいこうとする。追い込んだところへ突っ込もうとしていたユーイは虚を突かれた格好となったが、
「逃がしません!!」
 ユーイは大盾の上で、壁とは反対側に自身の全体重をかけた。宙で大盾が垂直になるまで立ち上がり、ユーイの体もほぼ水平まで倒れていた。加速の慣性でその形のまま壁に衝突するかに見えたが、反重力が通路の壁に作用する。
 ユーイの上下が切り替わる。側面の壁が地上となり、そこに作用した反重力が通路の反対側までユーイを大盾諸共弾き飛ばした。
「なっ――」
 壁と床が入れ替わった状態での一瞬の対面。攻防もまた一瞬だ。
「はああっ!!」
 本来の地上側から天井側へとユーイは剣を走らせた。切っ先が地上の床を掠め、剣が空間ごと盗賊を断つ。
 切り離された体が床に転がり、壁に激突して消滅した。大盾は空中で回転しユーイを正しい方向に戻す。一度、完全に上下が反転していた。
「どうですか!? これでもまだ、楽しめませんか!?」
「……っ!! ……ええ、もっともっと楽しませてくれないとねぇ!!」
 ユーイの咆哮に盗賊達は半ば自棄になって吠えているようだった。
 ユーイはさらに、さらにさらに速く。限界に届くまで大盾で宙を疾駆する――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイ・キャスケット
戦いに楽しさを求めるんだ?
だったらごめんねぇ、多分ボクと戦うとストレス溜まるかも
だってボクの十八番はイヤガラセ戦法なんだもん

攻撃魔法の光球にみせかけた閃光弾や砂塵旋風といったような視覚阻害系魔法
単純な威力よりも爆発の衝撃を強化した爆炎弾、麻痺効果に重きを置いた電撃のような行動阻害系魔法
そういう攻撃の連発で相手を挑発し近付かせないように攪乱
手玉に取ってさも遊んでいるかのよう

十分に『お楽しみ』頂いたなら下準備は完了
≪注目効果≫で強化された魔法はさっきと違って一撃が重いよ?
しかもそれを高速詠唱で乱射するっていうサービス満点

どうどう?楽しい?ねぇタノシイ?(悪ノリが過ぎる)



●楽しいのは自分だけ
「戦いに楽しさを求めるんだ?」
 レイがカツンと足を鳴らすと、盗賊達は表情がぴしりと凍った。
 レイの顔は笑っていた。キュッと上がった口角がそれを示すが――同時に目元には影が差す。普段は元気や活力の象徴とも言えそうな赤い瞳が仄暗く輝いていた。
「そ……そうだよ。悪い!?」
 反抗的に喚き、飛び出す。自らの意思と言うにはややお粗末な、正面からの特攻。
「だったらごめんねぇ」
 レイは腕をゆらりと持ち上げ、指先から光を放つ。シャボン玉のように膨らみ撃ち出された光球が迷宮を照らしながら盗賊達へと向かっていた。
「……よくわからないけど、それ、ちょっと貸して――」
 盗賊達は腕を交差して防御姿勢を取ったが、そのまま当たると思った光球が目の前で急に弾けた。目が眩み、急停止した足元から摩擦熱の煙がかすかに上がる。
「多分ボクと戦うとストレス溜まるかも」
 光の次は風。旋風を起こし、砂塵を巻き上げ、砂嵐で通路を埋める。視界が砂に覆われ、突き進むにも足を浮かせればそのまま天井まで体を持っていかれそうで、盗賊達はなかなか踏み出せずにいた。
 何体もの盗賊達が、攻撃に見せかけた閃光弾や砂塵の風で簡単に動かなくなってしまう。ちょっと貸して、なんて口走っていた。防御から自分の力にしようとしていたのだろうが――。

 ――させないよ? だってボクの十八番はイヤガラセ戦法なんだもん。

 相手のやりたいことを潰す。相手が悔しそうに睨んでくる。作戦がうまくいった。
 次はこんなことをしてみよう――レイは砂嵐の中に、太陽みたいに真っ赤な爆炎弾を撃ち込む。敵をそのまま焼き尽くすのではなく、砂嵐にぶつけた衝撃で引き起こす爆発、その威力強化に魔力を注いだ。
 ぼぅ、と砂嵐が爆炎弾の表面を舐めた瞬間、内包されたエネルギーが炎の皮を破って放出された。盗賊達は砂嵐ごと衝撃で吹き飛ばされ、ピンボールのように床、壁、天井にガツンガツンと激突して跳ねていく。
「ぐぅ……こ、このまま終わるなんて……」
 服が擦り切れ、全身を打った傷がよく目立つ。砂塗れで色の鈍った髪に結んだリボンは化石のようだ。レイの魔法に巻き込まれ、立ち上がれたのは半分もいない。
「そうそう、終わらないよね? ボクももっと、やりたいことあるからさ?」
 レイはパリパリと手の中に宿った電撃を投網にして盗賊達の元へ放り込んだ。空中を弧状に走る電撃がべたりと盗賊達に付着すると、突き刺す痺れが襲ってがくんと膝から落ちた。意思に反して硬直する体。
「ああぁ……こ、このぉ……!!」
 怒りを頭の中で爆発させて、ようやくか細い言葉が喉を通って絞り出された。
 目の前に顔があったら思い切り顔を殴りつけたい。しかしそのための拳が握れない。指は痙攣していて体を支えるのが精一杯だ。
 ここまでひたすらに盗賊達の行動阻害を繰り返すレイは、いよいよフィナーレに取り掛かる。盗賊達から電撃を外し、自分から歩み寄っていく。
 ようやく体が自由を取り戻した。ダメージはあるが、戦闘に大きな影響はない。
 わざわざ無防備に歩いてくる。遠慮はいらない。
「絶っっっっ対に! 潰してやる!!」
 血走った瞳で吠えた。握った拳に力を込め、隙も気にせず振り上げる。盗賊らしさが欠片もない、感情に突き動かされただけの攻撃だ。
「怒るよね? 当然だよね? うん、それはもうボクの術中ってわけ」
 色を失った盗賊達とは対照的に、レイの周囲にはパッと虹の羽衣が咲いた。
 怒りや憎しみといった負の感情がびしびし突き刺さってくるのがわかる。この衣装にちょっと嫉妬もしてるのかも? などとメルヘンに考えながら、レイは増幅された魔力を指先に流し、水塊を生み出した。
 手を突っ込めばひんやり冷たそうなそれを切り離す。魔力の鎖を切るとバズーカ砲をぶっ放したように水塊が撃ち出され、突っ込んできた盗賊の体にぶち当たった。水であり、質量のある塊だ。盗賊の体はマンガみたいに大の字になって貼りついて、水塊が壁に直撃したところでぺしゃんこに押しつぶされ消滅した。
「さっきと違って一撃が重いよ? 今日は君達のおかげでバンバン乱射できるからね。 サービス満点だよね?」
 救命具が一瞬で膨らむかのように、ぼんっ、と水塊が現れる。レイは盗賊が見えたところに次から次へと飛ばしていった。透明感のある水塊の向こうで盗賊は拳も守りも砕かれて、べたんと壁の中に埋め込まれていく。
「何がサービス満て――ぐぇっ」
 どんなに喚いても所詮は虚勢。レイの魔法からは逃れられない。水塊に張り付いているのを、水の揺らめきを通して見ると、なんだか潰れたカエルに見えた。
「どうどう? 楽しい? ねぇタノシイ?」
 答えも聞かず、レイは疑問と水塊を盗賊達へ飛ばしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リヴェンティア・モーヴェマーレ(サポート)
基本アドリブモリモリの盛りダイジョブです

家事全般が好き

口調
私、~さん、なのでス、マス、でショウ、なのですカ?
文章の語尾や途中に1、2文字カタカナが入る
挿入箇所はお任せしマス
~な気持ちと言うのが口癖

いつも笑顔でほわほわのぽやんで楽観的な元気っ子
動物が大好きでアイテムや武器として傍に居てくれる動物さん達と一緒
その子達と会話しまス
自分より動物さん達の方がしっかりしてる説があるやもしれまセン…
(踏ん反り返るリヴェの動物達

情報収集やハッキングが得意
戦闘は前衛より後衛向きで後方から援護射撃やオーラ防御での防衛サポを好む

ドールなので羞恥心はぶっ飛んでるので恥ずかしがると言うことはないですが過度なエロはNG



●ハムスター大乱闘
 猟兵達と盗賊達の間で繰り広げられる戦いを、後方から見つめる影があった。
 きゅぴーん、とつぶらな瞳ながら鋭い獣の視線が光る。ひびちゃん、こと『響』。
 もへー、とのんびりまったりした糸目が敵を欺く。きょんちゃん、こと『夾』。
 二匹のハムスターはちょこんと肩に乗っていた。彼女こそがハムスターの所有者、リヴェンティア・モーヴェマーレ(ポン子2 Ver.4・f00299)だ。
「ひびちゃんもきょんちゃんも、気づきましたカ」
 Vの字になった親指と人差し指を口元に当て、リヴェンティアはしたり顔でハムスター達に話す。ハムスター達はそれぞれくるっと回り、リヴェンティアの横顔を覗く。
「盗賊さんたちハどうやら素早さが自慢のヨウですガ……それでも限界があるようですネ」
 リヴェンティアが盗賊の弱点を告げると、二匹のハムスターはぷるぷると顔を縦に振っていた。
「それでハ、この子たちデいきまショウ!」
 膝を付き、地面に手を置いて盗賊を見据え、
『光無き燈火・円環の理・小さくも大きな刃を持つ我が子よ。この世界にその姿を見せよ』
 喚ぶと、リヴェンティアの周りにいくつもの光円が描かれる。召喚用魔法陣。大きさはごく小さい物。虫食い穴のようにできたそれらから現れたのは、やはり大量のハムスターだった。
 ハムスター達は魔法陣から飛び出すと、戦場の隅から隅まで行き渡るように駆けて散っていく。
「なんか小さいのが来るよ!」
「あんなの……蹴り飛ばせばどうってこと!」
 数には力で。殺到するハムスター達へ盗賊達も連携し攻撃を仕掛ける。左右から取り囲むように、押しつぶすようにスライディングを放っていた。
「……うちの子は皆賢いノデ一筋縄ではいきませんヨ? 壁走りなのでス!」
 召喚者、リヴェンティアの声に従い、ハムスターの波が二つに割れた。滑り込んでくる水面蹴りをぴょいと軽々飛び越える。
「かわされた!?」
 攻撃が不発に終わり、盗賊達は地面から壁へと登ったハムスターの後ろ姿を悔しそうに見つめる。
「そのまま体当たりをお見舞いしまショウ!」
 壁をシャカシャカ走っていたハムスターが跳んだ。それはまさに褐色の弾丸だ。後方に控えていた盗賊達への強襲は殊更に効いた。
「うわ、ちょ――!?」
 全身にどすどすとぶつかっていくハムスター。柔らかいはずなのに硬い。鎖付き分銅を投擲されたかのような衝撃は体の芯にずしんと響き、盗賊達が悶絶して倒れていく。
「くっ……なら、術者のほうを!」
 ハムスターの迎撃に失敗した盗賊達が、今度はリヴェンティアへ狙いを変えた。術者が倒れれば召喚物も消える。よくある召喚系魔法への対抗策と言っていい。
 狙いが人なら手段も増える。盗賊達は腰元の道具袋から小さな鉛玉を取り出し、親指で弾き出した。空気を破り、真っ直ぐリヴェンティアの顔に向かってくる。
 しかし、響がリヴェンティアの肩から飛んだ。体を丸めて回転させながら剣の姿を取り戻すと、勢いを剣の振りの力に換えて、ガチンと鉛玉を跳ね返した。反動でリヴェンティアの元へ戻ってくる時に再びハムスターの姿となり、今度は自分が乗っていた肩をとんと蹴り出し盗賊へと飛び掛かる。
「なっ――!?」
 響がまたも剣に変わる。推進力が突きの威力に変換され、盗賊の体を貫いた。自在に動く剣に討たれ盗賊が地面に倒れ込むと、響はハムスターの姿に戻ってリヴェンティアの足元から駆け上がっていった。
「ひびちゃん!? 凄いのデス!!」
 リヴェンティアを襲う盗賊を撃退したハムスター、響は、元居た肩の上で自信満々に踏ん反り返っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジェイクス・ライアー(サポート)
この先へ進みたいのなら
私が力になろう。

●探索等
「お嬢さん。少しお話をお聞かせいただいても?」
その場に相応しい人物を演じることに長ける

●戦闘スタイル
「さあ、仕事を始めよう。」
様々な武器を駆使して戦うスピード暗殺型
紳士的な所作で苛烈な攻撃を行う
さまざまな武器を状況に応じて使い分ける
銃の仕込まれた傘、靴の仕込み刃等
魔法や超能力は使えない

●性格
「紳士たるもの、いかなる時に於いても優雅たるべし」
クールな紳士、女性には慇懃な態度

●NG
フレンドリー、過度の笑顔(微笑み程度ならOK)、キャラの過去や私生活に関わる話、ギャグシナリオ、公序良俗に反する行為

●PLの好み
純戦、スタイリッシュ、怪我、泥臭さ、後味が悪い



●遂行者
 戦場に一人の男が現れる。
 猟兵と盗賊が入り乱れる中、その奥に立つ災魔の扉。それを隻眼で睨むジェイクス・ライアー(驟雨・f00584)である。
「扉を開くはこの世界が望む意思……というわけか。ならば、私が力になろう」
 ジェイクスははめていた指輪に手を触れ、大きく引き伸ばす動作を見せた。しゅっと伸びて虚空に光を反射する鋼糸を、手首のスナップを利用して放つ。
「――ぐぅ、これ、は」
 盗賊の一体の腕を絡めとる。ジェイクスと盗賊の間に鋼糸がピンと張った。
「皆、あいつをお願い!」
 鋼糸を引っ張りながら、他の盗賊へ指示を出す。自身を束縛しているなら相手もまた動きを制限される、と考えていたようだが。
「――浅はかな」
 ジェイクスは指輪をはめた腕を思い切り真横へ引いた。パワーバランスが一瞬で崩れ、鋼糸で縛られた盗賊が引っこ抜かれて壁まで飛んだ。その過程で鋼糸がジェイクスへと飛び掛かってきていた盗賊達を軒並み巻き込んでいく。
「これ以上は……やらせないよ!」
 鋼糸と反対側から盗賊の拳が飛んでくる。ジェイクスは鋼糸を回収しながらも、意識は次の行動に向かっていた。
 的確かつ精密な正拳突き。視界の端に映るそれは確実にジェイクスのこめかみを打ち抜くだろう。ジェイクスは体一つ分綺麗にスウェーする。目の前を、それこそ鼻を掠めるかどうかという位置に拳が通り抜けた。
 ジェイクスは体を捻る。盗賊が通した腕の下へ短剣を滑らせた。顔は見ない。ズン、と刃が肉にめり込み、骨を断つ感触だけが伝わる。ジェイクスは膂力のままに、刃を押し付け力の抜けた盗賊の体を投げ飛ばした。
 まだ数はいる。ジェイクスは黒い傘型の散弾銃を抜いた。手の中で柄を回し、先端を向け一帯を掃射した。
 撃たれ落ちる後ろから、味方を壁に散弾から逃れた盗賊達が殺到する。散弾銃の銃口から逃れて大きく転回し、盗賊は壁を蹴った。ジェイクスの体躯の上に被さるように薙ぎ払われる足に、ジェイクスは短剣の刃を面で向ける。接触点はごくわずか。盗賊の全体重を乗せた一撃が短剣に集中するが、刃は折れない。
 着地し、今度は下から蹴り上げるのをジェイクスはわずかに上体を反らしギリギリのところを通す。盗賊だけに身のこなしは軽く、素早かったがジェイクスは間合いを見切っていた。
「そろそろ……終わらせるとしようか」
 回収した鋼糸を再び伸ばすと、目の前の盗賊を即座に拘束しそのまま縊った。力無く落ちる体を持ち上げ独楽のように回転させながら飛ばし、盗賊の最後の壁を打ち砕く。
 動かなくなった仲間の体を受け止めきれず、潰れていく盗賊達へジェイクスは風のように迫る。短剣を抜き、横たわる盗賊達の急所へと突き立てた。
「時間通りだが……これで仕事は終わりではない、という理解でいいかね?」
 ジェイクスは物言わぬ扉に語り掛ける。そこには、刻まれた溝にゆっくりと光が流れ込み、新たな術式が発動しようとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『『夜の魔女』・ルナスター』

POW   :    来なさいダークネスクローク!
自身の身長の2倍の【召還獣ダークネスクローク】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    すでに勝負はついているのよ?
【催眠効果のある超音波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    下僕達、敵を蹂躙しなさい!
自身の【用意した数々の貴重な触媒】を代償に、【召還したオークやコボルトの群れ】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【種族特有の数の暴力】で戦う。

イラスト:sio

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠村雨・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『夜の魔女』・ルナスター
 おそらくは、オブリビオン集団の全滅によって引き起こされた召喚術式。
 災魔の扉を守る、最後の砦。
 扉に刻まれた魔法陣が完成し、輝きの中から現れたのは黄金の鎚を持つ魔女だった。
「どこの誰だか知らないけれど、この『夜の魔女』・ルナスター様を呼び出したのだから……命はないと思いなさい?」
 鎚を振り回し、見せしめに近くの壁を思い切り叩きつけた。爆発したかのような破砕音と衝撃が迷宮全体を震わせ響く。
 見た目は少女、しかし巨大な鎚を振り回すだけの怪力を持った魔女に、猟兵達は立ち向かわなければならないのだ。
カルキノス・マークスリー(サポート)
ウォーマシンのバーバリアン × 鎧装騎兵
年齢 7歳 女
外見 208.2cm

巨大な蟹型メカです
口調は無言。言語は一切発しません
代わりに重機+PCのような駆動音を発します
思考パターンは機械的に、戦闘→参加して攻撃する/それ以外→横歩きで歩き去るの二択です
冒険・日常フラグメントでは役に立てない可能性が高いですが
大きなメカがただ通り過ぎる過程で何かができる…かもしれないです
諸々ご随意にどうぞ

▼戦闘スタイル
鋼鉄のハサミによる挟み付け、叩き潰し
八本脚による踏み付け
背中と脚の砲塔による砲撃
子ガニメカを腹部ハッチから放出しての攻撃
各種UC(文面そのままの動き)



●迷宮に蟹がいるってマ?
 シャッシャッ。
 シャッシャッシャッシャシャシャシャシャッ。
「なっ――何!? 何よアンタ!?」
 意気揚々と宣戦布告したルナスターの前に現れた謎の存在。這うことに特化した身体構造だからこそ為し得た平面高速移動。
 そしてその姿形は、およそ地底の迷宮ではお目にかかれぬモノ。故に、ルナスターも吃驚したのだろう。
 海岸の赤いの悪魔――なんて二つ名はないけれど。ともかく蟹型ウォーマシンのカルキノス・マークスリー(蟹は横へと征く・f14553)が一体、もとい一人現れた。
「な……なんか、すっごく潰してほしそうな形状してるわね……お望み通り、潰してあげるわ!」
 ルナスターは鎚を担いだ。両手でぶん回して一発叩けばぺったんこになりそうで、じっとカルキノスの動きを読むように睨みつける。
「……そこよ!!」
 鎚はぐぅんと天を衝く勢いで振り上げられ、弧を描いてルナスターの正面に振り下ろされてくる。カルキノスは体に埋め込まれたような眼球をキュルルと動かし、片側の脚全てで地面を蹴った。
 ズドン、と鎚に生えた鉄の棘が地面にめり込む。カルキノスは蟹型だ。横移動には滅法強い。ルナスターの鎚をかわしたカルキノスは反対側の脚を壁に預けて体を傾けながら、背中と足の砲塔を動かし一斉にルナスターへ照準を合わせた。
「来なさいダークネスクローク! 私を守るのよ!!」
 鎚を地面から引っこ抜いての離脱は間に合わないと判断し、ルナスターはダークネスクロークを召喚した。広がったマント状の体に二本の腕が生えた召喚獣は両手を広げ、ルナスターを身を挺して守ろうとしていた。

 ――キュイイイイイイイ――

 カルキノスの駆動音が広がった。それが最高潮に達した瞬間、全砲門が一斉に火を噴いた。一瞬花火会場のように明るくなった迷宮に発射された砲弾がルナスターの召喚獣へ飛んだ。
 薄っぺらに見えても召喚獣。マント状の部分で砲弾を受ける。錘状に伸びながら砲弾を押し留め、地面へと落下させていく。
 しかしカルキノスが放ったのは【フルバースト・マキシマム】による一斉射撃だ。一発は耐えられようが、二発、三発――何十発と襲い掛かる砲弾を受け切るには無理があった。
 バン、と体が破れれば、それはもうボロ布同然。残りの砲弾は耐えられなくなった召喚獣を宙へ弾き飛ばし、ルナスターへと殺到した。
「ちょっ、役立たず――ふぐっ!」
 召喚獣という壁が消えたルナスターのちらりと見えたお腹に砲弾が直撃した。ファッションを重視して守りを薄くした場所だった。
 ルナスターは今すぐ地面に転がりたい激痛に悶絶してぷるぷると震えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

亜儀流野・珠(サポート)
『さあ狐の恩返しの始まりだ!』
妖狐のビーストマスター × サウンドソルジャー
年齢 16歳 女
外見 143.8cm 赤い瞳 銀髪 普通の肌
特徴 年下に見られる こだわりの靴 元気 さばさばした性格 友好的
口調 無礼(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
年上には やっぱり無礼(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)



●きっとまた助けてくれる
 脂汗を滲ませつつも、ルナスターは鎚の柄に手をかける。
「バカ召喚獣のせいで、酷い目に遭ったわね……」
 砲弾が命中したお腹には丸い痣ができていた。たぬきみたいで全く以って可愛くない。
「アレは後でお仕置きするとして……」
 ルナスターは鎚を地面から引っ張り上げると、逆さまにして両手で柄を掴み、
「一気に決着をつけてあげるわ!!」
 全身を使って鎚の先端を思い切り地面に叩き込んだ。反動でルナスターの体がふわっと浮くほどの衝撃に、そこへ鎚を伝ってルナスターの魔力が流れ込み迷宮全体へ広がっていく。
 猟兵達の意識がくらりと傾く。足元が揺れたせいだけではない。鎚と地面の接触部分で発生した超音波による催眠効果のある超音波が猟兵達を襲っていた。
「うぅ……なんか体が、変、だな……」
 亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)は頭を押さえながら壁に寄りかかっていた。
 ここまで来たのに体が思うように動いてくれない。ルナスターへと足を向けて体を起こしてみたが、どういうわけか爪先はそっぽを向いていく。
 体がふらつく。ポニーテールのように纏められた長い後ろ髪が大きく揺れた。ぐるっと円を描くように回って、珠の視界にちらついた。
 両端を長く余した赤のリボン。髪と一緒に宙に揺蕩う。さほど強すぎない、優しい色だったのに、リボンの赤は珠の体を蝕む催眠効果を頭の中から焼き払っていった。すっと風が抜けていくように意識が軽くなり、珠は確と前を向く。
「また助けられたのだな、恩人……。今回の恩は、この世界に返すぞ!」
 珠はルナスターの持つ鎚にも負けない巨大な木槌『砕』を手にした。それなりの重量があるが、誰かが背中を後押ししてくれているかのように、体が自然と前に出た。
 一歩、二歩、進む、駆ける。超音波にも屈さず突っ込んでくる珠を前に、ルナスターも目を見開く。
「この中でも自由に動けて……! それなら真正面から壊してあげるわよ!」
 ルナスターは鎚を地面から引き抜いた。同時に超音波も止まる。珠は木槌を頭上に構えた。ぼん、と木槌は巨大化し、ルナスターを威圧する。
 体を反らし反動をつけた。木槌の頭が円を描いてルナスターの頭上へ向かう。ルナスターもまた、鎚を振り上げ鉄の棘をぶつけにいった。二つの円の軌道が重なり合う一点で衝突し、力が弾けた。
「ぐっ、おも――」
「俺の恩人は、いつだって傍にいてくれるんだ! 俺の力は二人分だぞ!!」
 珠は木槌の柄が折れんばかりに力を込めた。いよいよ膨大な爆発力に屈服した鎚が地面に落ち、めり込んでいく。瓦礫が散り、ルナスターの太腿を細かく裂いた。
『吹き飛べ!』
 ルナスターの武器を奪い、珠はさらに踏み込んだ。自身と大して変わらない身長の少女――しかし災魔のルナスターへ、細腕ながら力強く、木槌を振り抜く。
 ゴヅン、とぶつけた感触が一瞬手に返ってくる。振り抜いた木槌の先に宙へ弾き出されたルナスターがいた。仰け反ったかと思えばすぐに落ちて地面に尻餅をつき、勢いのついた体は地面との摩擦で跳ね返る。ゴロゴロと回転して終いには災魔の扉へゴチンと頭をぶつけていた。
「恩を返すついでにお前も扉へ返してやったぞ!」
 珠は木槌を下げると、背中に揺れる後ろ髪とリボンに手を触れ、満足げな笑みを浮かべていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

城田・紗希
誰この人、誰か呼んだの?(殲滅が儀式とわかってない)
とりあえずオブリビオンだし、倒した方がいいよね?(原動力の八つ当たりは使いきってスッキリした顔)

相手は数の暴力で来るみたいだし、こっちも数の暴力で応戦するよ、キリッ!
まぁウィザードミサイルを全部使いきるとは思えないし、余ったら本体の…魔女?大工?に撃ち込めばいいよね?
あ、ちゃんとオークとかが壁にならないよう、誘導弾で軌道は調整するよ!



●くっ、足りないっ!
 紗希の頭はスッキリしない。催眠効果のある超音波は消えたはずなのに。
「……誰この人、誰か呼んだの?」
 気が付けばそこにいたルナスター。猟兵が敵を呼ぶはずはないのに、不思議だなーと。
 どうやら、扉から現れる集団オブリビオンを倒すことが鍵の災魔を呼び出すトリガーだったことに気づいていないようだ。
「……とりあえずオブリビオンだし、倒した方がいいよね?」
 しかし結論は早かった。表情はスッキリ。わだかまりはない。
「あーもう何なのよアンタ達! アッタマ来るわ!」
 ルナスターは喚いていた。登場時に醸し出していた強者の風格など欠片もない。
「こうなったら、下僕達を呼び出して……!」
 ちょっと胸元が大きく開いた服をあちこちぺたぺた触る。所々撫で回し何かを確認しているようだったが、動きが妙に速くなり、その顔に焦りが見え始めていた。
「触媒……触媒……あっ!」
 下僕達、オークやコボルトを召喚するには触媒が必要だった。ルナスターは予めいくつも準備していたはずだったが、先程木槌に打たれ地面を盛大に転がった時に、その大半を零していた。ルナスターが辿った軌跡に崩れた触媒が散乱しているのに気づき、愕然とする。
「ハプニング起こってる? これはチャンスかも。でも何か召喚しそうな気がするから、数の暴力で応戦するよ!」
 キュピーン、紗希の目が光る。瞬間的に生成した大量の火の玉を炎の矢に変え、ルナスター目掛けて発射した。
「残ったので何とか……来なさい!」
 向かってくる矢に対し、ルナスターも残っていた触媒を使い、オークとコボルトの群れを召喚した。とはいえ当初の触媒量よりはかなり少なくなってしまい、当然群れの総数も減ってしまう。
 基本的には雑魚種族。それを数でカバーしていただけに、数も揃わない雑魚種族など雑魚だった。一本で一体、確殺で紗希はオークとコボルトの数を減らす。彼らも棍棒を振り回し必死に反撃しようとしていたが、紗希の元へ辿り着くまでに必要な「壁」となる数が足りていないので炎の前には倒れるしかなかった。
 二百本程の炎の矢も、その三分の一も使わなかった。ルナスターまで壁もない。もはや思う存分矢を放つだけの単純な作業だ。
「一つ聞いていい? 魔女? 大工?」
「大工なわけっ――あ、ちょっと、燃えるうぅぅぅぅ!!」
 追い詰められたルナスターに炎の矢が滝となって降り注ぐ。迷宮の一画にキャンプファイヤーができそうな炎の塊が出来上がった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暮陽・黎明(サポート)
アドリブ連携歓迎
不自由を嫌う少女。気の赴くままに自由にマイペースに過ごす

冒険の場では考えて立ち回ることを基本とする

戦いの場でもその楽観的な性格は変わらないが、戦いは割と好きな方で率先する節はある
八百万の神に仕える代行体であり、必要であればその身に八百万の神を降ろして戦う
ユーベルコードは黎薄流刀剣術(欺を含む)を好んでよく使う
よく使う武装は妖刀『魔魂餐』、薙刀『天之必多棍』
神降ろしを行う場合は篝火が手の甲に現れ、目の色が金色に変化する
かなり知的な戦い方を行う。可能ならば空中戦、ダメでも超低空飛行で有利なポジションを取って敵の情報を得てからそれに応じた戦いをする等。使える技能は全て使う


ユーイ・コスモナッツ
【流星の運動方程式】で【すでに勝負はついているのよ?】に対抗します!

まずは超音波の射程距離ぎりぎり外を高速旋回
ときどき射程内に踏み込んでは即離脱したり、
いきなり反転するなどしてかく乱していきます

焦れて射程外から超音波を放ってきたり、
ルナスターの側から距離を詰めてきたらチャンス
急加速してルナスターの体を抱えあげ、
そのままの速度で四方八方飛び回ります
壁や天井に激突するぎりぎりでターンしたり、
掠めるほどの紙一重で柱を避けたり

催眠電波?
構いませんけれど、いま私が眠ったら、
あなたも無事ではすまないのでは?
っと暴れるともっと危ないですよ!

ルナスターの目が回った頃合をみて、
地面にぽいっと投げ捨てます



●災魔催眠迷宮ジェットコースター
 ルナスターの体からぷすぷすと焦げ臭い煙が立ち昇る。魔力を放出して炎は何とか消し飛ばしたが、ダメージは大きい。こだわりのファッションもボロボロだ。
 左手を壁について体を支えるルナスター。その様子に、
「でかい扉を守ってる割には、大したことねーんだなー」
 暮陽・黎明(瑠璃色に染まる空の果へ・f00383)は間延びした声を上げた。拍子抜け、期待外れ。そんな感情が滲んでくる。
 しかしそれは、相手の力を最大限引き出すための挑発。手負いの相手にただ追い討ちをかけるだけではつまらない。
「うる……さいっ! 私が、アンタ達に……負ける、わけ……ないわっ!」
 ルナスターは闘争心を剥き出しにする。壁を押した反動で体の軸を真っ直ぐに直し、離した左手を猟兵達へと向けた。
「これでもっ……食らいなさい!」
 ルナスターの掌の輪郭が巨大化したような空間の揺らぎが迷宮内部に走る。交錯して呑み込まれる瞬間、空気の壁に全身が押されて黎明は後方へよろけた。するとすぐに頭がぴりぴりと痺れるような感覚が生まれ、手足が妙に重くなった。
「催眠、超音波……そーいうので来るなら、こっちはこーだ」
 まだ完全に催眠に支配されたわけではない。黎明は重く感じる腕をゆっくり動かして周囲にオーラを張り巡らせた。超音波を遮る壁。完全ではないが、頭の痺れが緩和されていた。
「今だぜ。一気に突っ込みなー」
「わかりました! 行きます! ブースト・オン!」
 ルナスターの超音波の射程を測りながら動いていたユーイが黎明の支援を受け、変形させた反重力シールドに乗ってルナスターへと向かっていった。
 ユーイがいた場所はギリギリの射程外。超音波の影響を受けず万全の状態で飛び立ったが、ルナスターと接触するためには当然、射程内の空間へ遍く伝播する超音波の中を抜けていかなければならない。
 だが、黎明が作り出したオーラの壁が射程外縁への超音波の威力を弱めていた。脳をごく軽く圧迫されるような違和感はあったが、催眠効果はさほど受けずにユーイは距離を縮めた。
 そして、ユーイはオーラの壁を突き抜ける。体力は温存したが、ここが正念場だ。
「うぅっ……」
 ずん、と重力が倍加したような重苦しさに襲われた。頭の中が焼けるように熱い。左手で顔を押さえうずくまるが、反重力シールドは苦しむユーイを乗せたまま、多少ふらつきながらもルナスターへと突っ込んでいく。
「来る……なっ!」
 ルナスターが超音波を強めた。ユーイを催眠で操り、進行方向を逸らそうとする。右腕がユーイの意思に反してぴくんと跳ねた。
 このままでは、持っていかれる――。
「催眠になんか……負けませんっ!!」
 電気信号を強引に走らせ、ぎゅっと手を握り込んだ。そして伝えた力で右腕の動きを制する。
 気付けば、ルナスターは目の前だった。
「捕まえましたっ!」
 ユーイは地上からルナスターを掻っ攫い、反転して宙に上がっていく。壁をサーフィンするように急角度をつけたと思えば今度は地面へ一直線。スレスレから急上昇しそのまま一回転、というようにジェットコースター並みの急激な上昇、下降、転回を繰り返し、ルナスターの平衡感覚を狂わせにかかっていた。
「うああぁぁ……や、やめなさぁぁぁ……」
 ルナスターはユーイの腕の中で米俵のように抱えられながら、へなへなした叫び声を上げていた。超音波も気が付けば止まっており、ルナスターの体は高速移動の慣性を受けてぐねんぐねんと曲がっていた。
「後は……お願いしますっ!」
 天井ギリギリのところから、ユーイは力の抜けたルナスターの体をぽいっと放り出した。ぐったりと伸びた体が自由落下してくるところへ、黎明が妖刀『魔魂餐』を低く構える。
『五ノ刻、黎明。十七ノ刻、薄暮。始り、終わりの交わり、来たりて――――宵闇、瑠璃斬!』
 カチリ、と宙にルナスターが固定された刹那を黎明は見る。異なる時刻、しかしてその二つが交われば、刹那は極大へと変じ、全ての時の流れが刹那へと収束する。
 あらゆる動作を一瞬の中へと収める――そうして実現する神速剣技【黎薄流刀剣術・壱之型『瑠璃斬』(ルリギリ)】。
 黎明の姿が揺れ動いたかと思えば、すでにルナスターの真横にあった。妖刀は宙を突き上げ、ルナスターは自由落下を続けていた。
 切れ味が鋭すぎた。真っ二つに断たれても一切ずれが生じなかったルナスターの体は、地面へ衝突すると同時に粒子となって飛び散っていた。

 鍵の災魔が倒れた。災魔の扉はルナスターと同じように、上部から輝く粒子となって溶けるように消滅していく。
 開かれた深層への道。迷宮の謎は、その奥に眠っているのだろうか――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年10月01日


挿絵イラスト