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緊急指令！　宇宙調査艦『ナーヴィス』奪還作戦！

作者：陸野蛍

●敵の手に落ちた宇宙調査艦
「みんな！　今すぐ出れるかな？　緊急の仕事なんだ！！」
　慌てた様子のリクオウ・サナダ（すっとこどっこい宇宙船整備士・f05962）が、グリモアベースの猟兵達に仕事の内容を話し出す。
「スペースシップワールドの宇宙調査艦に『ナーヴィス』って言うのがあるんだけど、どうやら銀河帝国の工作兵が外部から侵入し、内部の中枢ＡＩをクラッキングしたみたいなんだ。で、その工作兵は、艦内の警備ロボなんかを支配下に置いて船員を一か所に監禁し、姿を消した。このままだと、艦艇外部の破損が大きく、制御することも出来なくなった『ナーヴィス』は、船員もろとも帰還する筈だった母船に突っ込むことになる。だから、みんなでこの『ナーヴィス』と船員達、そして母艦に残る人達を助けてほしい。頼むよ！」
　宇宙調査艦とは言えスペースシップ、母艦に突っ込んでしまえば巨大なミサイルと同じこと……多くの死傷者が出るだろう。
　何としても防がなければならない。
「じゃあ、今回の作戦の段取りを説明するよ。まず、俺が宇宙船外部破損部付近に君達を転送……あ、宇宙服はちゃんと着て行ってね。酸素無いから。そして、帝国騎士が侵入の際に空けたと思われる穴や、破損した機関部の修理を頼むよ。内部を直せても外部が壊れたままだとコントロールが出来ないからね。内部へ侵入する為の外部ハッチも修復しないと開かない筈だから、この修復作業をどれだけ早く完了させられるかが重要になると思う……俺が送る側じゃ無かったら、張り切って修理するのになあ、はあ」
　溜息混じりにリクオウは言うが、気を取り直すと修復は、修復する者と物資を運ぶ者、帝国騎士の痕跡を収集解析分析する者がバランスよく居ると迅速に外部修復が出来るだろうと付け加える。
「次に、内部侵入後。君達には中央制御室に向かってもらいたい。船内ではマップが開ける筈だから通路で迷うことは無いと思うけど、船内のトラップや警備ロボなんかを制御する中枢ＡＩは、帝国騎士の支配下だから、君達の行く道を邪魔してくると思う。船内に、なるべく被害を出さずに対処して、１秒でも早く中央制御室に到達して、中枢ＡＩを正常に戻してほしい」
　宇宙調査艦『ナーヴィス』は、当然科学の力で造られているが、やりようによってはアルダワ魔法学園の魔法の力やキマイラフューチャーのとんでも能力で修復することも可能だとリクオウは言う。
「最後は、帝国騎士……今回の場合は工作兵だね。中枢ＡＩが元に戻れば、オブリビオンは外敵と判断され居場所がハッキリ分かる筈だから、そいつが逃走する前に潜伏場所に急行して、撃破してほしい」
　不幸中の幸いと言うべきか、船員達が監禁されている場所に、帝国騎士がいないことだけは、ハッキリしているらしい。
　だが、闇雲に船内を探しても逃走までに見つけられない……故に中枢コンピューターで居場所を特定させなければならないのだ。
「大まかな流れはこんな感じだね。とにかく時間が無い。それぞれがそれぞれの出来ることを担当して『ナーヴィス』を救ってほしい……頼んだよ」
　言うとリクオウは帽子を被り直し、グリモアキューブに力を込め輝きを強めた。

第1章 冒険 『スペースシップの装甲修復と原因究明』

POW   :    仲間の作業に必要な物資の運搬をする。 SPD   :    船外作業で装甲の修復をする。 WIZ   :    傷ついた装甲をチェックし原因を探る。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

●船外修復作業
　広大に広がる宇宙空間、スペースシップワールド。
　今回の調査予定を終え、宇宙調査艦『ナーヴィス』は母艦へ帰還する筈だった。
　だが、今や『ナーヴィス』は船員達の意志に反し宇宙を泳ぎ、破損個所が次々と宇宙の塵へと変わっていた。
「船内ならともかく、宇宙船外部での活動は珍しいですねー。 ま、手早く片して本命をぶっ潰すとしましょーか」
　グリモア猟兵に送られ『ナーヴィス』に足を着けたのは、クリスタベル・ローゼンティア（切斬断・f09900）だ。
「しかし、この宇宙服ってやつは、どうにも閉塞感があって苦手ですね」
　自身の首元に手を当てクリスタベルが言う。
　狭くなる視界、酸素を逃さない為の動き辛い作り、宇宙空間での任務を殆どやった事が無い猟兵にとっては、簡単に慣れられるものではない。
「私はスペースノイドですから、問題はありませんが、アースノイドの方々にとっては窮屈かもしれませんね。不慣れな方は、サポートしないとですね」
『宇宙の騎士』を自称する、ユーイ・コスモナッツ（宇宙騎士・f06690）は、シールドタイプの特殊形状宇宙バイク『反重力シールド』をスノーボードの様に操り、物資の運搬をしつつ、宇宙空間の無重力に四苦八苦している、猟兵へのサポートも忘れていない。
「船を直して侵入……確かに船員の生命を考えたら、いきなりドーンはまずいわよね」
　宇宙バイク『スタークルセイダー』を駆り、次々と送られてくる修復担当猟兵を、修理個所まで運んでいるのは、ユーノ・ディエール（スタークルセイダー・f06261）。
「修理対応は出来ないけど、運ぶのは任せて！　 最速でお望みの場所まで案内するわよ！」
「よろしくお願いします」
　静かに言う、レイチェル・ケイトリン（心の力・f09500）は、スタークルセイダーの後部座席に座るとゆっくり目を瞑る。
（「しずかにしたわたしの心のなかで時間のながれがゆっくりになる」）
　ユーベルコード『刹那の想い』体感時間を減速させ精密に操作できる念動力の精度を高めていく、レイチェル。
　猟兵と言えど、宇宙船の外部修復など、したことの無い者の方が当然多い。
　その中で、精密な作業をこなせるレイチェルの技術は、猟兵達の修復作業の効率を上げている。
　だからこそ、ユーノ達の力を借りて迅速に作業現場を移動する必要が出てくる。
（「体感時間の減速、普通なら体もおそくなるけど、わたしの力は心の力。修復の手順もしっかりリクオウさんにきいてきた。たいへんだけど、たいせつなおしごと。リクオウさんの想いのぶんもがんばるよっ！」）
　ユーノのスタークルセイダーが止まるとレイチェルは、次の修復へと取りかかる。
「私達がここにいることを船内の帝国兵に気取られないよう、 速やかに作業を進めたいですね」
　普段なら、かなり重い資材でも、この無重力空間なら反重力シールドに多くの負荷をかけずに運ぶことが出来る。
　ユーイは、クリスタベルに資材を届けながら、自分の考えを伝える。
「そうですね、外部ハッチの修理から手を付けていますけど、まだ時間がかかりますね」
（「もう使えない部分は切り離し、新しいパーツにちゃちゃっと交換致しましょー」）
　拳銃『End point』に切断の力を付与し、触れたものを切断する弾丸を撃ち放つクリスタベル。
（「内部に入れるようになったら、船体の内側から穴を塞ぐとしましょー。鉄板を切って丁度いいサイズに加工すれば作業もやりやすいでしょう……多分」）
　決断力と部品を創る能力は有していても修理に関しては素人、自分に出来ることを自分に出来る範囲で、クリスタベルの割り切りは、ある意味正しいと言える。
（「機関部とか、下手に触ったら爆発しそうだし……詳しい人に任せます、うん」）
　一方、艦船外郭損傷部を調べていたユーノは、調査艦に付けられたいくつかの不審な発信機を発見していた。
「帝国騎士の工作員なんて……凄い性格悪そうとは思っていたけど。これで何か分かるかな？　次の修復個所に行く人は乗って！　 最速でお望みの場所まで案内するわよ！」
（「これも、調べてもらえば後で役に立つかもね」）
　グリップを捻り、ユーノは調査艦甲板を一気に走った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

『なんじゃあ、こん鎧。動きにくかのう』
　宇宙服を着た際に盛大に不満を漏らしたのは、武士然とした新納・景久（未来の親指武蔵・f02698）だ。
　それでも【鬼神軍】の仲間達に言われれば、ぶつくさ不満を言いながらも資材を運んでいる。
「おう、こいで良かが？」
「有難うございます、資材はそちらにお願いします」
　答えるグロリア・グルッグ（電脳ハッカー・f00603）は、慣れた手つきで船外修復をこなしている。
　騎兵走法やプラズマジェットを使い、軽く移動をやってのけているグロリアの姿は景久からすれば、羨ましい。
　何せ景久は、無重力も初体験なのだから。
「どうもこん世界は物が軽かで、俺も浮いちょるようじゃ」
「船内に入れば、いつも通りですよ」
　軽く微笑んでグロリアが言えば、『おーい、次持ってきたどー！』と景久は、他の猟兵達にも資材を届けている。
　本来なら自分の体が潰れそうな程の量の物資を運ぶ景久の姿を見つつ、グロリアも自身の役割に集中する。
「修理は焦らず迅速に行きましょう！」
　鋼材を組んで強化ネットをかぶせ、ナノマシン配合の補修パテを応急処置代わりに使い、短時間で効率的に、船体コントロールが戻った際にキチンと操船できるように細心の注意をはらい、グロリアは船体修復をしていく。
「ほー、大したもんだのう。こいは、どげんなっと？」
「これはですね。景久さんもやってみますか？」
　グロリアの手元を景久は覗きこむが、工具を差し出されれば顔を強張らせる。
「お、おう、俺は触らん方が良かな。うっかり壊しそじゃ」
　クスリと笑いグロリアが修復に戻り、景久も力仕事ならと活発に動いた。
　猟兵達が船外修復を初めて数十分。
　船体の大まかな修復と外部ハッチの開口システムの修理が完了した。
　今の所、帝国騎士工作兵の妨害は無い。
　だが、気付かれていないとは限らない。
　むしろ、中枢ＡＩを支配されている以上、気付かれていると思って行動した方がいいだろう。
　猟兵達は静かに頷き合うと、宇宙調査艦『ナーヴィス』の内部へと潜入した。
　船内カメラが赤く光を放っているのに気付いた猟兵は、果たして居ただろうか？

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

第2章 冒険 『コンピュータ、反抗す』

POW   :    AIが仕掛けたトラップや警備ロボ等を力尽くで排除して進む。 SPD   :    トラップや警備ロボ等の動きを見切り、素早く進む。 WIZ   :    ハッキングや魔法でAIの行動を阻む。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

●中央制御室へ　SIDE BLUE
　宇宙調査艦『ナーヴィス』に潜入を果たした猟兵達は、それぞれ宇宙服を脱ぎ、中枢制御室への道筋を作る者と防衛陣を敷きながら、ハッキング班を護る者に分かれていた。
　数人の猟兵に護られながら、レイチェル・ケイトリン（心の力・f09500）は、ハッキングと強力な念動力、そして情報収集の技能をフルに活用し、サイコリンクデバイスで自身のユーベルコードを発動する。
「やってみるね。わたしは、心のはやさで入力できるから」
　電子的な存在に対し、ハッキング攻撃を行い、データ奪取と機能障害を起こす力。
　スペースシップワールドで真価を発揮すると言っても過言ではない能力で、ＡＩ防御線の制御機能を電子的に攻撃する。
　全てを一気に掌握は出来ないが、中央制御室へと道へと足を速めながら、力を使い続けるレイチェル。
　目の前に見えた中央制御室。
　制御盤に駆けるレイチェルと複数の猟兵達。
　中枢ＡＩに着き、レイチェルはまず、通路の防衛装置の解除を優先する。
　次は『帝国騎士のルートキット』を電子的攻撃で無力化、管理パスワードのデータを奪った後、書き換え……。
　その時、『ナーヴィス』のコントロールパネルが青く光った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●中央制御室へ　SIDE PINK
「おう、俺が片づけっど。チェェェエエイッ！」
　担ぐような上段、蜻蛉の構えで警備ロボに接近し、刃渡り三尺の大太刀『鬼吼丸』を気合いと共に振り下ろす、新納・景久（未来の親指武蔵・f02698）。
「ぬっ、固いのう……。グロリアさぁ、どげんすっと良かじゃ？」
「もう少し耐えてください、新納さん。船内マップを全員に展開しますから」
【鬼神軍】の二人、景久とグロリア・グルッグ（電脳ハッカー・f00603）は、対になり、景久が護衛、グロリアが船内ハッキングを行っていた。
　ＡＩの掌握と護衛に分かれた猟兵達、その中でも同旅団の景久とグロリアは対で動き、ハッキリと役割を分けている。
　だからこそグロリアは、自分の役割に専念できる。
「電脳ハッカーの異名が伊達じゃないことを証明してみせましょう」
　電脳パネルを操作し電脳魔術をいかんなく発揮するグロリアは、中枢コンピューターにハッキングを試み、護衛ロボとトラップの解除をしながら、景久に指示を出しつつ艦内を駆ける。
　だが、グロリアの能力を持ってしても中央制御室に辿り着かなければ『ナーヴィス』全ての掌握は出来ず、景久の防御で何とかスピードを落とさず、中央制御室を目指せているのが現状だ。
『センサーによる感知系のトラップ等は解除出来ると思いますが、警備ロボや物理的な罠は新納さんにお任せする感じになると思います』
　グロリアに事前に聞かされてはいたが、景久の予想以上に護衛ロボの数が多く……何より。
「ぬっ、固いのう……。グロリアさぁ、どげんすっと良かじゃ？」
　サムライエンパイアの鎧とは違う装甲の固さ……どちらが勝るかと言うことではない、想定した武器からの防御力の違いに景久は苦戦していた。
　スペースシップワールドの装甲は科学的な物である為、物理攻撃には他の世界の物よりは強く出来ている。
　景久の刀で一閃出来なくとも仕方がなければ、この程度の護衛に今、本気を出す訳にもいかない。
（「せんさあ、感知……目じゃ！」）
「目ぇ潰さばこいん動きは分からんじゃろて！」
　動きを封じ、鬼吼丸でジョイント部分を切断……護衛ロボの動きを止めていく景久。
　そして、やがて開かれる中央制御室の扉。
「機械はよう分からんで、後は頼んもす。こっちん勝手は分かったで、警戒は任せてくんろ」
　景久は刀を上段に構えて後続の憂いを断つ。
「よろしくお願いします。景久さん。……それでは。ハロー、『ナーヴィス』。突然の乗船すみません。早速で悪いのですが船内に潜伏するオブリビオンの位置を教えてもらえますか？」
　グロリアの言葉に『ナーヴィス』は、コントロールパネルを桃色に光らせ応じた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

　●中央制御室へ　SIDE BLACK
（「さて、我の力がどの程度、役立つのやら。微力ながら手伝わせていただこう」）
　宇宙調査艦『ナーヴィス』に潜入した箱庭・山岳（ブラックタールのウィザード・f02412）は、宇宙服をするりと脱ぐと、自身の肉体を強い伸縮性と変幻自在のタール状態に変え、弾力性を活かし通路の隙間、ナーヴィス各所へ指令を与える伝達ケーブルへと侵入する。
　警備ロボの手が届かない完全なる隠密行動……仲間達とも完全な別行動になってしまったが、だからこそ出来ることもある。
「ＡＩの認識している風景の書き換え、そして警備ロボの識別コードを混乱させることが出来れば……侵入の為の『時間稼ぎ』は出来るだろう」
　電脳空間を展開しつつハック可能な『超柔軟テクノファイバー』で、山岳はナーヴィスへのハッキングを開始する。
　侵入者……仲間の猟兵達の居場所をマップ上から消し、猟兵の侵入情報を別の場所へと移す。
　そして、警備ロボのエネルギー反応を偽装し、稼働個体数を操作する。
「さあて、そっちはどう反撃するのだ？　我の対処に、処理能力を割くだけの余裕があるか？　猟兵の手は中枢に近づいてるぞ？」
　山岳は暗闇の中、仲間達の援護に徹していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

●中央制御室へ　SIDE GOLD
「ふむー、船外修理の方はどうにかなったみたいですね。 ま、ここからが本番ってカンジですかね？」
　宇宙服のヘルメットを脱ぎ、１度首を振ると、クリスタベル・ローゼンティア（切斬断・f09900）は、仲間の猟犬たちに確認するように口にする。
「さて、ここからは中枢AI目指しての進軍ですか。何やら罠の類もあるらしいですねー」
　言葉は軽く、だがクリスタベルの金の瞳は用心深く船内を見渡す。
「そう言うのは、トラップ本体もそうですが、それを起動する引き金……センサーにも注意しないといけませんね。大体そーいうのは足元とか天井なんかの壁にある事が多いので、注意して見ときましょー」
（「加えて警備ロボによる妨害……めんどいです」）
　口にする言葉からほんの少しの本音を省き、クリスタベルは『End point』の引鉄に指を駆け、船内を駆ける。
　前方からは予想通り警備ロボ……だが想定よりは少ない。
「まー、こーなりますよねー。さっさと死んで下さい」
『End point』の早撃ちから、『Library』に切断の力を付与し、触れたものを切断する弾丸を連射する、クリスタベル。
「早く、中枢ＡＩの掌握、お願いしますねー」
　前を行く猟兵達にへらっと声をかけながらも、クリスタベルの視線は、追って来る護衛ロボから切れることは無かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

●中央制御室へ　SIDE CRYSTAL
「一人だけ……一人だけなら、透明に出来るわ。誰か一緒に行く？」
（「エンジニアの人がいいのかな……）
　思考を巡らせながら、ユーノ・ディエール（スタークルセイダー・f06261）は、仲間の猟兵達に聞く。
　抱きしめている対象１体を自身と共に透明にすることの出来る、クリスタリアンのユーベルコードを少しでも早く中央制御室へ向かうことに使う、ユーノ。
「クルセイダーで移動するから、しっかり掴まってね！　私の前にいて抱く形になるからちょっと狭いけど……戦闘中だし我慢してね」
　スタークルセイダーで疾走する以上、音や振動を消すことは出来ないが、自身ともう１人を護衛ロボの警戒を減らし運べることは、十分に時間を短縮することに繋がる。
（「私も多少はハッキング出来るし、端末があれば情報を引き出すわよ。進路情報は事前に分かっているモノと現状入手したモノを合わせて……補完が出来てる。最短ルートで到達してみせる！」）
　ユーノは姿を見せている猟兵に攻撃は任せ、スタークルセイダーの操縦のみに集中する。
　中央制御室が視界に入ると一気に扉に突っ込む。
　仲間達がそれぞれ１人また１人、ナーヴィスに接続し、コンソールを使いこなし、ナーヴィスから光を取り戻している。　
　なら自分は……。
「……さっき拾った発信機って、何だったのかしら？　外に付いていたなら侵入者警報じゃないかって思うけど。誰か調べてくれないかしら？　ああそれと、捕まった人達を見つけたら、場所をこちらのマップに転送してもらえるかしら？　すぐに救助に行くわ」
　そう、ユーノが言葉にした時、中枢ＡＩが様々な色を発し命を吹き返していく。
　水晶の輝きと共に、船内マップがクリアになっていく。
　助けるべき人の場所が映り……そして発信機を付けた張本人の場所が、パスコードから導き出される。
　自分達が向かうべき場所。
　工作兵が居るのは、宇宙バイク第二格納庫。
　何時でも外に出られる場所に工作兵は陣取っている。
　幸い、船員達が居るのは向かう途中の物資保管スペース。
　彼等を救いつつ、工作兵の所に向かえる。
　急がなければならない、工作兵は既にこちらの動きに気づいている。
　宇宙に逃せばおそらく撃破出来ない。
　猟兵達は、頷き合うと一斉に駆けだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド 【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。 SPD   :    ダークフォースバリア 自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。 WIZ   :    インペリアルフラッグ 【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。 👑17 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

●宇宙工作兵撃破作戦開始！
「しっかと掴まっちょれ。駆けぃ黒鬼！！」
【鬼神軍】の新納・景久（未来の親指武蔵・f02698）は、脚力、スタミナに優れた自慢の愛馬『黒鬼号』の後ろにグロリア・グルッグ（電脳ハッカー・f00603）を乗せ、調査艦内部を駆けていた。
　グロリアの電脳魔術で、工作兵の居る宇宙バイク第二格納庫への最短ルートを導き出し、工作兵の逃走を阻むべく、景久は『黒鬼号』を全速力で駆けさせる。
　そして辿り着いた、宇宙バイク第二格納庫。
　情報通り、居た……銀河帝国の工作兵だ。
　今にも、撤退しようと、ハッキング出来る宇宙バイクを探していたようだ。
「逃がさん！」
　グロリアの迷彩で姿を消していた、景久は、『大弓明久銘』を引き絞り、工作兵を威嚇するように放つと、隙を突いて一気に回りこむ。
「逃がしませんよ、工作兵さん」
　グロリアは、ジャンプして華麗に『黒鬼号』を降りると、ほんの少し重力の軽い宙を舞い、電子の妖精に呼びかける。
「妖精さん妖精さん、ご協力お願いします」
　呼び声に応え、電子の妖精達がグロリアの意のままに呼び出され、グロリアと五感を共有し、工作兵の位置情報を如何なる状況でも失わないようにする。
　工作兵の逃げ道を塞ぐように回り込んだ、景久は 『黒鬼号』を一度嘶かせると、自身も降り、大太刀『鬼吼丸』を構える。
「おんし、こん世界ん侍がね？　なぁば構えぃ」
　景久の殺気のこもった言葉にも、工作兵は答えない。
　ただ静かに、インペリアルブレイドから飛ぶ斬撃を放つ。
　だが、景久は残像を残してそれを交わすと、声を上げる。
「チェェェエエエエッ！！」
　刀を構えたまま、一足に工作兵との距離を詰める景久。
　その構え『蜻蛉一之太刀』それは……。
「こん剣技は二之太刀不要。蜻蛉ん構えにて、鬼ん気魄の、一撃必殺。名付けて、蜻蛉一之太刀。おう、おまん！　首寄越せ！　チェストォッ！」
　渾身の斬撃、しかし、工作兵とて帝国騎士。
　捉えられたのは、左腕一本のみ。
（「そう簡単にはいかんか。ならば……」）
「とにかく、切るべし、斬るべし！」
　景久はただ攻撃に集中できた。
　何故なら……。
（「不足分や後詰は……」）
「援護は任せてください！　きっちり仕事しますよ！」
『アームドフォート・アルファ』を構えた、グロリアが電脳魔術の予測演算と戦闘知識、スナイパーの技術で正確に援護してくれるからだ。
「工作兵さんも電脳にお強いのでしょう？　でしたら、雷はお嫌いでしょう？」
　グロリアの正確な狙撃は、工作兵を一時的に麻痺させる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

※トミーウォーカーからのお知らせ
　ここからはトミーウォーカーの「猫目みなも」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします！


「破壊工作にハッキング……敵ながら見事な手腕だ」
　帝国騎士を評して、胡堂・充（電脳ドクター・f10681）はそう呟く。だが、その所業が許し難い事であるのには変わりなく、敵の足取りも既に掴めている。ならば。
　バイクを駆って格納庫へと辿り着くや、充は麻痺状態から立ち直りつつある帝国騎士の眼前に飛び込んだ。道中助けた船員達は、既に避難させてある。心配せずとも大丈夫だろう。心の中でだけ彼らの方をちらと振り返った後、充は誘うように体軸を僅かにぶらしてみせる。そこを隙と見た帝国騎士が、念動力で帝国の旗を編み上げた。
　振るい抜かれた巨大な旗が充の胴を打ち据えることは、けれどなかった。頑丈な革張りの鞄を盾にその一撃を受け止めながら、充は一度瞑目して。
「今の技……リプログラミングさせてもらうっ！」
　電光が走るように、ユーベルコードの情報が充の脳内を幾重にも走る。それを自らの魔術で組み直し、編み直し、充は掌を敵へと向けた。
　瞬間、再構成された『旗』が帝国騎士目掛けて袈裟懸けに振り下ろされた。大きく斜め前方へと踏み込み、それを回避した帝国騎士だが、その足元で旗が輝く。
　そう。敵のユーベルコードを解析し、再構成する際に、充はひとつだけ仕掛けを施していた。即ちこの旗が命中した地形は、騎士の属する『帝国領土』とは既に認識されない！
　強化を失い、得物を握り直す騎士の胸倉へと、充は躊躇なく手を伸ばす。超近距離からの格闘戦に、やがて騎士の身体が宙に踊った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

　床に叩き付けられてバウンドした身体の制御を取り戻し、騎士は左右に視線を巡らせる。その先に捉えられたのは、クルセイダーに騎乗して突っ込んでくるユーノ・ディエール（アレキサンドライト・f06261）の姿だった。
「決着を……つけましょう」
　惜しみなく展開した武装から、ユーノはミサイル、誘導レーザー、そして連装キャノンを次々と騎士の足元目掛けて撃ち放つ。それは敵の移動を縛る柵であり、足を貫く杭ともなりうる射撃の雨だ。その最後の波を騎士が跳躍で越え、ユーノに肉薄しようとしたその時を狙い澄まして、ユーノは溜めに溜めた念動力を解き放った。空中に一瞬縫い留められた騎士に自らの戦闘騎ごと突っ込み、ユーノが斬撃を見舞おうとした瞬間。
「――！」
　ひやり、とユーノの背を冷たいものが走る。帝国騎士が念動力を振り切るのが、予想よりも早い。このまま自らも深手を負わされる覚悟で斬り抜けるか、一旦あの刃を受け流す態勢に移るか――刹那の選択を迫られるユーノの耳に、ふと声が届いた。
「微力だが助太刀しよう」
　いつからそこに回り込んでいたのか――恐らくは帝国騎士がユーノに動きを縛られ、気を取られている間にその死角を取っていたのだろう、ホワッツ・イッツ（テレビウムの売れない物書き・f16020）が騎士の背後方向に待ち構えていた。相手は空中からの復帰で着地位置などずらしようもない。すかさず両掌を突き出せば、放たれた高圧電流が再び帝国騎士から自由を瞬間奪い取る！
「助かります！　……これで！」
　再びクルセイダーを加速させ、ユーノは手にした剣を閃かせる。もうあの頃の無力な自分ではない。誓いと誇りを乗せた一閃が、帝国騎士の脇腹を深々と薙ぎ切った。たたらを踏み、痺れた身体を無理矢理動かそうとする騎士の足元を、ホワッツの振り抜いたステッキが痛烈に掬う。後ろ向きに倒れ、後頭部を一度強かに打ち付けた帝国騎士は、眩暈をこらえるようにして得物の先を震わせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

「そんなにぼろぼろでまだこんなに動けるんだね。さすがだよ」
　なおも武器を構え、この場を突破しようとする帝国騎士に、アリス・フォーサイス（好奇心豊かな情報妖精・f01022）はそう告げる。穿つような視線を向けてくる騎士に対して、彼女はこう続けてみせた。
「でもね、気づいてるでしょ？　艦は修復され、制御もとりもどされてる。キミの物語はもうここで終わってるんだよ」
　既にオブリビオンの出る幕ではない。ここで終わりを告げてやろう。己にか仲間にか、ともあれそう確かめるように頷いて、アリスは色とりどりのビー玉を掌いっぱいにじゃらりと掴んだ。
「黒幕もそろそろご退場の時間っすかね？　そんじゃ……」
　ひとつ考えるように顎を引いて、リカルド・マスケラス（ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160）は踊るように軽く跳ねた。それを合図にリカルドの『全身』が白い光とかし、輝きを増していく。宙を舞い踊る白は飛び跳ねながらアリスに寄り添い、纏いつき、やがて光が収まっていく――否。リカルドだった光は、今は一着の衣装と化して、アリスの肩にふわりと羽織られていた。
「さ、今は無敵のヒーロータイムっす。好きに暴れるといいっすよ」
　喋る間に騎士が放ったインペリアルブレイドの斬撃を、爆発を、傷一つ受けずに流してみせたことが、リカルドの言葉を真と証明していた。攻撃は全て自分が受け止め、凌いでみせる。偽りのないその支援に、ん、とアリスは短く頷いて。
　そして、七色の小さな煌きが宙を舞った。騎士の足元を埋め尽くすように、アリスがビー玉をばら撒いたのだ。今更これで足を取る気かとでも言わんばかりに再び剣を掲げる帝国騎士の一撃に対して、アリスは踊るようにくるりとターンし、背を向けてみせる。『跳梁白狐』によって身動きは取れずとも無敵の防御力を得たリカルドが、そうして彼女の盾となる。
　もう半回転、身体を回す。視界の正面に騎士が映る。そこで、アリスは自らのユーベルコードを起動した。ビー玉がひとつひとつ分解され、書き換えられ、黒々と伸びる『手』へと変換されていく。オブリビオンをここでないどこかへ引きずり込もうとする『手』に絡みつかれてもがく帝国騎士に、アリスはひとつだけ問いかける。
「クライマックスに残したい言葉はある？」
　いらえはない。ただ、武装越しの視線だけが彼女を見た。
「うん、それじゃあ、さよなら」
　その言葉を合図に、『手』が膨れ上がる。大波が立ち上がるように、『手』が帝国騎士の存在を覆い尽くし、そのままずぶずぶと格納庫の床に沈んでいく。それが、最後だった。
　帝国兵が宇宙調査艦『ナーヴィス』から完全に排除されたとの知らせに艦内が沸き、安堵の空気に包まれるのは、それからほどなくしてのことだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年07月11日