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エンパイアウォー㊴~夢幻にあらざれば

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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「いよいよ最後だなァ…十ン万人で東西横断だぜ、信じられねェよなァ」
 鼻を鳴らして笑いながら、グリモア猟兵の我妻・惇は話を始めた。
「まァ、振り返るのは後だな。正真正銘の大将首だ、油断なくいきましょォや」

 猟兵たちは全国で引き起こされる魔軍将たちの策をことごとく打ち破り、首塚の一族と多くの兵を万全の状態で魔空安土城まで送り届けることに成功した。その結果、城の堅固な護りは破られ、配置されていた信長軍の本隊も幕府軍が引き受けてくれたために、突入後はすぐさま織田信長との真っ向勝負に取り掛かれる状態となった。
「目標は…まァ言うまでもねェが第六天魔王『織田信長』、オブリビオンフォーミュラッつーヤツだな。さッさとシメりゃ侍連中の被害も抑えられンだろ。ひとつ恩でも売ッとこォぜ」
 言うほど簡単な相手ではないが、やるしかないのも事実であるし、きっとやる気でないものは眼前にはいないだろう。そんな確信の上で男は軽口を叩いて歯を剥き笑う。

「ンでなンだ、ヒジュツ? まァよくはわかンねェが、でけェツラしたジジィが他人の褌で相撲とるつもりなンだと」
 織田信長は、秘術『魔軍転生』によって、魔軍将を背後霊のように『憑装』させて戦うということである。それぞれの配下の力を自在に操り、強力なユーベルコードによって先制攻撃を行うため、もしも無策で突っ込むようなことがあれば、かすり傷のひとつすらも与えることなく倒されてしまうことだろう。確実に『ユーベルコードを用いない先制攻撃への対策』を行う必要がある。
「この信長の憑装は『豊臣秀吉』…あの黒いサルだな」
 鎧から無数の黒槍を放って周囲すべてを攻撃したり、元来強敵である魔軍将そのものを召喚して戦わせたりと、油断できない攻撃手段も取り揃えており、一筋縄ではいかない敵と言えるだろう。

「まァそンなわけだ。素ッ首土産に頼ンだぜ?」


相良飛蔓
 お世話になっております。相良飛蔓と申します。お読みいただきありがとうございます。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』秀吉装』

POW   :    黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ   :    シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ブイバル・ブランドー
中の人「??ヒョウソウとな?私の合体変身みたいなものか」(コクピットでパッドを弄りながら)

黒槍が鋼の鎧から放たれるのであれば、ひょっとしたら黒槍にも鋼等の鉄が混ざっているかもしれない。であれば、アイテムの【ローレンツ】である程度は
弾ける。ビットを操縦し、空中戦の要領で撃ち落とす。更にスナイパーで弾き飛ばす際の精度を高める。そういえばローレンツには磁性体を爪で掴んで保持する機能があるのだが…念の為槍は取っておきたい

ユーベルコードは出力任せの技なのでここは大胆に行こう。早業で薙ぎ払う。そしてここでこちらに隙が出来るので当然槍を撃つはず。そこでローレンツで捕らえた槍を全く同じ射線上に射出する



「??ヒョウソウとな?私の合体変身みたいなものか」
 少女は狭いコクピットで操作を行いながら呟く。それは今まさに自身を内包している機体のことであろう。信長の眼前には見上げる程の鋼の巨人、少女の駆るアーマードブイバルが立つ。
「ふん、何かと思えば傀儡の人形芝居か。見飽いたぞ」
 小さな声が聞こえているのかいないのか、魔王は不平の声を上げる。あるいは挑発であったのかもしれない。
「誰が人形だ!」
 噛み付かんばかりに吠える巨体に一瞬目を丸くすると、信長は小さく笑った。見飽きたものとは違ったようで、少し興が乗ったようだ。
「良かろう、楽しませて見せよ」
 そう言い構えて見せる信長を、迎え撃たんと巨人は浮遊する機械をいくつも配置する。放ったそれは群性電磁浮遊兵装『ローレンツ』。操縦者の思念による誘導で動き、ビームを射出する類の兵器である。二人のウォーマシン、ブイバル・ブランドー(の中身//自由すぎるアーマー・f05082)は魔王との戦闘を開始した。

 黒鎧と融合した秀吉が無数の黒槍を展開させ、矢継ぎ早に射出する。ブイバルはローレンツを巧みに別々に操って、同時に扱っているとは思えぬほどの命中精度で、襲い来る黒槍たちを次々と撃ち落とし、弾き飛ばすが、放たれる数には及ばず眼前まで迫る物も多く。
 しかしローレンツには、磁性体を引き付ける機能もある。それによって、真直ぐに放たれた鋼鉄の鎧由来の槍たちの、少なくない幾らかが射線を逸らして避けて行く。それでもすべてを阻めたわけでもなく、収まるころには幾らかはブイバルの身体へと命中し、その強固な装甲に食い込んで被害を与えた。まあ無傷とはいかないが、動けないほどでもない、無理やり引き抜き抛り捨てると、速度に負けて不振であった機能を誇示するようにローレンツが槍たちを吸いつける。金属を打ち合わせる音に信長が一瞥する間に、その視界の端にて眩い光。
「これで――」
 一瞬のうちに展開された超大出力の光の刃は『甲型多目的兵装VALZA³ RISERMode』のもの。多様な変形を行うブイバルの武器の、最大出力を誇る形態である。その部屋ごとを斬り裂くように破壊音をそこかしこで鳴らしながら、その上で一切の抵抗を感じさせない速度で、その刃は信長へと振り下ろされた。

 激しい音と光のあとで。
「なかなかやるではないか」
 刀で受けながらも鎧の一部はひしゃげ、その熱量に表面が粟立ち。それでも健在に立つ信長は、愉快そうに。忌まわしき戦も、無聊の慰みも、今しばらくは終わらず。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

塩崎・曲人
粘液で自身の摩擦抵抗をほぼゼロにするってオイ…
オレみたいな物理型の天敵みてぇな能力じゃねぇか
「クソ、的確にこっちに苦手を押し付けてきやがる。流石は乱世の覇王ってところかよ」

・対策
相手の攻撃を受けで止めるのは無理だな、すべる
可能なら事前に、手持ちのチェーンを城内の柱と柱の間に張って
足掛けトラップを用意するぜ
敵がUCを発動したら回避に徹しつつ逃げ回って、仕掛けたトラップの場所まで誘導
【フェイント】をしかけて引っ掛けてやろうう

・反撃
で、こっちの用意が整ったら【最後の手札】で反撃だ
粘液と摩擦ゼロを対策するなら雷の魔法が最善かね
「あんまり見せたくない手札なんだが、贅沢言ってられねぇか!」

【即興歓迎】



 塩崎・曲人(正義の在り処・f00257)は乾いた笑いを浮かべていた。決して愉快なわけではない。自らの警戒すべき攻撃を思って、『笑うしかない』ために笑っているものである。
「クソ、的確にこっちに苦手を押し付けてきやがる。流石は乱世の覇王ってところかよ」
 対峙した覇王も、余裕を篭めて笑っている。その全身は、鎧より染み出したような黒い液体に包まれていき、刀の先まで、そして浮かべた笑顔まで残らず呑み込まれた。

 敵の纏った粘液は、摩擦抵抗を極限まで減らすものである。とりあえず鉄パイプを構えてはいても、迫り合いもなく滑り、刃は曲人を斬り裂くだろう。抵抗が無ければ切断そのものも怪しいが、試すにはリスクが高すぎる。
 結果、曲人は逃げ出した。敵を睨みながらも後退り、距離を開けるごとにその速度を上げていき――
「フェン!」
 催促らしき鳴き声に、動向を見ていた信長が追い始める。忠臣は、逃げられるなどと思われて主君が嘗められるのが我慢ならなかったのかもしれない。

 視界の外に姿を消した猟兵を追うと、もう少し先に男は立っていた。観念した訳ではない。そもそも恐れをなして逃げたわけでもない。敵が恐ろしいのもそれでも立ち向かうのも、ある意味では日常茶飯事である。
 曲人の前方、信長との間には、膝より下の高さに張られたチェーンによる足掛けトラップ。構えた武器は上への意識の誘導。本命の攻撃は別にある。もう少し歩かせれば敵はつまずき大きな隙を作るはず――
「む」
 小さな呻きを信長が上げてやや姿勢をつんのめらせるが、それまで。渡したチェーンに触れた脛当ては抵抗なくするりと上に滑って行き、爪先までを罠の向こう側へと乗り越えさせた。気付いてしまえば反対の足も同様に。
「これだけか」
 つまらなそうに吐くと信長は刀を構え、さらに距離を詰める。
「あんまり見せたくない手札なんだが、贅沢言ってられねぇか!」
 まだあるらしい曲人の隠し玉に、目を少し輝かせながら刃を振り下ろす。斬りつけられて血を噴きながらも猟兵は跳び退り、正真正銘の最期の手札を切った。高速で、高出力で発生した雷電はその眼前を埋め尽くし、眩いばかりの光量はすぐに対象に収束し、弾けるような短く激しい音を鳴らしてそれきり暗く静かになった。

 至る所に熱傷を負い、煙を上げながら覇王は言う。小さくはない被害を受けつつも、悠然と。
「楽しめたかよ、クソが」
「悪くないな」
 悪態の一つも吐きたくなるような態度である。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

七瀬・麗治
※闇人格・ロードで登場。
「ディープブルー・インベイジョン」の解除コードとともに
蒼い全身甲冑に身を包む。

大地に黒剣を突き立て、呪文を詠唱して【暗黒騎士団】を召喚。
「暗黒騎士よ、我に続け!」
42騎の騎兵型UDCを突撃させ、弩の<援護射撃>と突進で豊臣秀吉
を片付けさせる。自身もサイボーグホースに<騎乗>し、馬上から信長に
斬りかかるぞ。体当たりで<吹き飛ばし>、さらに<鎧砕き>の
一撃で甲冑ごと斬る!

……戦いと怨嗟に満ちたこの世界、居心地が良かったのだがな。
信長よ、貴様の意志は私が継いでやろう! 貴様が持つ「メガリス」の
力、実に素晴らしい! この戦の後、私もメガリスを求める旅に
出るとしようか!



「ディープブルー・インベイジョン」
 銀髪の青年、七瀬・麗治(悪魔騎士・f12192)がひとつ唱えると、彼の身は蒼い全身甲冑に包まれた。そこから覗く瞳も蒼く、狂暴な光が揺れている。
「ほう、貴様は儂ら寄りに見えるがな」
 興味深そうに眺め、見るからに正義の徒ではない者の瞳を覗き込む信長。笑う魔王に、猟兵は笑みをこぼす。
「……戦いと怨嗟に満ちたこの世界、居心地が良かったのだがな」
 その男の包含するもう一つの人格・ロード。彼の抱える狂気と渾沌は、確かにオブリビオンに通ずるものがあるのかもしれない。しかしその名の通り王たる彼が、魔王と同じ天を戴く道理はない。蒼き騎士は、携えた魔剣をその床へと突き立てた。

「暗黒騎士よ、我に続け」
 信長の元に無数に生まれた、黒い藪かなにかのようになった秀吉の群れへ、麗治は麾下のUDC・暗黒騎士団を差し向ける。召喚された彼らは一様に弩を構え、一斉に獣たちを撃ち抜いていく。
 いつかの戦で自身が行ったような掃射を受けた信長であるが、表情を歪める様子もない。一撃で消滅する配下たちであるが、数百体を数える彼らがいくらか減ったところで大した痛手ではないようである。
 牽制というには苛烈な射撃を背に、麗治自身もまた更なるサイボーグホースに騎乗して信長へと突撃する。
「信長よ、貴様の意志は私が継いでやろう!」
 甲冑に覆われながらもありありと見えるような笑みを浮かべ、ロードは馬上より黒剣を振り下ろす。しかしそれは激しい金属音を鳴らしながらも、魔王の刀に受け止められた。
「まだ早いのではないか」
 その言葉の先に省略されたのは『貴様には』なのか『その話が』であるのかは分からない。しかしどちらにしても、言葉を裏付けるように信長は確と立ち、猟兵の剣を受け止め、馬の脚すら止めさせて、敵する者の目を見上げている。
「くっ…」
 馬を回頭させんと手綱を操るも、未だ残る秀吉が周囲を囲み思うように動けず、幾度か脚を降ろしては、小さな獣を踏み潰す。手間取るうちに足元より跳びかかったそれは、麗治の脇腹を、下方より尖鋭な爪にて刺し穿った。さらにそのまま押し込んで姿勢を崩させ、馬上より転げ落とさせると、猟兵の反撃によってその個体は消滅した。

 憎々しげに睨むと、今度は逆に信長が麗治を見下ろして。
「惜しかったのう」
 あまり愉快そうではない表情で、呟くように言葉を投げた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ヴィリヤ・カヤラ
【夜竜】
【WIZ】
仲間との連携重視

倒さないとガッカリしちゃう人がいるから
殺して首持って帰らないとね。
あ、でも持って帰る前に消えちゃうかな。

先制攻撃は…
自分に当たりそうな物だけを
『第六感』『見切り』『ダッシュ』で避けるよ。
避けきれないものは『オーラ防御』で
ダメージ軽減を狙うね。

避けられたら、
信長だけなら【ジャッジメント・クルセイド】
秀吉もいたら【氷晶】を
『高速詠唱』と『全力魔法』で使って、
攻撃的チャンスを作るよ。
攻撃出来るチャンスがあった場合も同様に攻撃するね。
あとは黒剣の宵闇で距離を変えての攻撃もしつつ、
攻撃チャンスをどんどん作っていくね。

呼び方:レイナちゃん
ティノさん


レイナ・オトゥール
【夜竜】
【POW】
ヴィリヤお姉さんとティノ君とご一緒します!

イケメンなおじさまですが確りと倒させていただきます!

信長の先制攻撃は
「第六感」で警戒しながら攻撃の気配を感じたら
晶竜「クリスティア」の盾で「盾受け」をして防ぎますね
「怪力」で押し負けないよう頑張ります!
また、「情報収集」で少しでも戦場を把握し「ダッシュ」で仲間への攻撃を引き受けて仲間の攻撃チャンスを作れたらと!

また、逆に自身が攻撃できそうなチャンスが来たらダッシュで近づき
オーディスのハンマーを全力の「怪力」で鎧の上から叩きつけて直後に【竜息斉唱】

全く近づけなければ遠距離ならディーナの弓で衝撃波で少しでも動きを止めて隙を作り【竜王召喚】


ティノ・ミラーリア
【夜竜】
到着時点から『鎖』と『眷属』を展開し「世界知識」「情報収集」で周辺把握。
「第六感」で敵の攻撃を察知し『眷属』で視線を遮り自身を「物を隠す」「迷彩」し回避。
回避不可なら巡らせた『鎖』の「地形の利用」「拠点防御」、『眷属』の「かばう」で防御。
『眷属』は周囲を飛んで仲間の支援にも使用。

近距離は『処刑人の剣』、遠距離は『猟銃』を主に対応。
それぞれ「怪力、力溜め、鎧砕き」「呪殺弾、スナイパー、援護射撃、鎧砕き」
技術はそこそこにヴァンパイア由来の身体能力で戦う。

【復讐の影】
摩擦がない…なら…影で呑み込んで、押し潰してしまえば…
周囲の影で包むようにそのまま締上げ、叶わなければ影の槍で「串刺し」。



「倒さないとガッカリしちゃう人がいるから、殺して首持って帰らないとね」
 血生臭さの滲むヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)のその言葉に、信長はまた笑う。またも自らの側に近い猟兵と見え、興味が湧いているようである。しかしヴィリヤの方ではさしたる興味もなく、オブリビオンの首を消滅させずに持ち帰ることができるかどうかの方がより大きな関心事であるようだ。
「イケメンなおじさまですが確りと倒させていただきます!」
 レイナ・オトゥール(竜と共に・f11986)のその言葉には、少なからず呆れたような表情が向くが、当の信長は興味深そうに瞳を大きくして見せる。
「…イケメンとは何ぞ」
 どうやらこの個体には知らぬ言葉であるらしく、好奇心をくすぐってしまったようだ。他の猟兵の呆れ顔は助長されてしまったが、それでも誰一人油断しているものはない。今すぐにでも戦闘が始まってもおかしくはないのだ。

 そして危ぶまれた通り、すぐさまオブリビオンの攻撃は始まった。摩擦を排する黒い粘液を纏い、無数の黒槍をその身より放ち、さらには多くの黒い獣を展開し。最も早く備えていたのはティノ・ミラーリア(夜闇を伴い・f01828)。この場に踏み入れた時点から、自らの装備する鎖と従えたる眷属のコウモリを展開し、周辺の把握と下準備を整えていたのだ。そして今、偵察の任を終えた眷属は主人の元に戻り、次は撹乱である。信長の眼前にてその翼を広げてみせ、視界を遮ってやる。もちろん秀吉の群れの目までは防ぐことはできないが、今はとりあえず、足止めだけで充分。
 ティノが巡らせた鎖を盾にするヴィリヤを襲う獣たちは、思うままには進めず手間取っている。それでも囲みを抜けて襲い来る敵も時間を追うごとに増え、攻撃の苛烈さも増していく。避けられぬ攻撃はオーラで防ぎ、時にはティノの眷属が身を呈して防ぎ。ヴィリヤも隙を見て宵闇を振るい、近間に直剣、遠間には蛇腹剣とし、少しずつ数を減じながら仲間のもとへ。
「任せてください!」
 そうして互いが近付けば、そこからレイナの領分である。一気に駆けて前に立ち、晶竜クリスティアの変じた盾を構えて仲間への攻撃を一手に引き受ける。無数の槍の、獣の爪牙の、驟雨のごとき重圧に、揺らぎながらも懸命に堪え、その身を以て鉄壁と為す。

「レイナちゃん、ありがとう」
 向けられる笑顔は、歯を食いしばって全力で防ぐ守り手には見えようもないが、応えて小さく頷いた。ティノさんもと顧みれば、表情を変えずに小さく短く返事を返し、銀髪のダンピールは猟銃の引鉄をひき続け、秀吉を迎撃する。脆い複製体は次々と消失するが、その数は多く各個撃破では追い付かない。放っておけばクリスティアにも限界が来るだろう。
 もちろん放っておくはずはない。ティノの眷属に庇われ、レイナの盾に庇われたヴィリヤ。その返礼は、反撃の起点として行われた。
「氷よ、射抜け!」
 声に合わせて二百を超える氷刃が、レイナの眼前に敷き詰めるように、近くの敵を突き刺して、遠くにあっては爆散し、槍も獣も諸共に、一気呵成に蹴散らして。
「今だよ!」
「皆!」
 合図に続いてレイナが飛び出し、地竜オーディスの変ずるハンマーを思い切り振り下ろす。それは信長に当たりながらもずるりと滑り、脇の地面へと打ち付けられて、床板に大きな穴を穿つ。すかさず装備に変じた竜の、全てが元の姿に戻り。
 信長は、翼の獣の目隠しを避け、ようよう視界を取り戻したら、配下の獣の多くを失い、立ちはだかるは七頭の小竜。いずれも大きく口を開け、色とりどりのブレスを吐いて、再び魔王の視界を塞ぐ。もちろんそれに留まらず、全身を呑み込み多様な傷を痛みを与えてのける。
「はっは、面白い、やるではないか!」
 ひとしきりブレスのフルコースを味わうと、男は大きな声で笑った。そして刀を一閃すると、纏ったブレスを吹き散らす。負った被害は明らかに小さなものではないが、それでもなお、虚勢ではなく笑っている。
 それならばとティノは畳みかけるようにユーベルコードを発動する。傷を負った仲間の、あるいは自らの眷属の影を、そして倒れた獣の影すらも、寄り集めては信長の周囲を取り囲む。
「摩擦がない…なら…影で呑み込んで、押し潰してしまえば…」
 俄かに質量を持ったそれは、立ち上がって包み込み、見る間に収縮してその敵を締め上げていく。激しく軋む音を立てながらも、内部からの抵抗を受け一定の大きさで安定してしまったそれを、少し惜しげに見ると、ティノはその黒塊を操り、内部に生やした槍でもって、しっかりと固定された信長を串刺しにする。くぐもった呻き声が、確かなダメージを伝えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

白峰・慎矢
強靭な意志と仲間との信頼関係……見ただけでもその強さはよく分かる。けど、この世界に生きる人々のためにも、俺は負けられないんだよ……!

敵の刀は滑りやすいから、受け流した方が良いか。敵の動きを「戦闘知識」を駆使して何とか「見切り」して、攻撃を鞘で「盾受け」し受け流し、「残像」で避け、刀・脇差・小刀・腕輪・鉤縄も全て防御に回して防ぐよ。多少の傷は「覚悟」の上さ。
霊力が漲ってきたら、残りの武器を全て捨て、【集霊拳】を発動だ。反応速度とスピードで攻撃を避け接近して、「念動力」で黒粘液の動きを止めた箇所を、「破魔」の力を籠めた拳で「鎧無視攻撃」しよう。俺が弓なら打ち出されたこの拳は矢……その鎧ごと貫く!



 影の檻より抜け出でた信長は、胸を貫く風穴を抱えていた。その穴は黒い何かに塞がれ、血が流れ出ることも動きを妨げる事もない。主君を思う秀吉が、指示を受けることなく為した処置に、それを当然と礼も詫びもなく、ただ傲然と、王者らしく立つ者。
「強靭な意志と仲間との信頼関係……見ただけでもその強さはよく分かる。けど、この世界に生きる人々のためにも、俺は負けられないんだよ……!」
 明らかな深手を負いながらもなお、強烈な威圧感を放つ敵に対し、白峰・慎矢(弓に宿った刀使い・f05296)は気圧される。それでも決して負けられない。人を守りしモノとして、退くことなどない。慎矢は、獣の黒に覆われた信長の刀へと、抜き放った真白の刃を差し向けた。

 抜いた刀を敵する刃へ合わせ、巧みに角度をつけて脇へと受け流す。そうして姿勢を崩した敵の側面がいかに隙だらけに見えようとも慎矢はやりすごす。粘液を纏ったその身への攻撃は効果が薄いだろうし、それで同様に姿勢を崩せば、こちらは間違いなく斬りつけられてしまうだろう。慎重に間合いを合わせれば、立て直した信長より次撃が振るわれ、丁寧に見切って迅速に慎重に鞘にても受け流す。
 下がりつ、回り込みつ、持てる全ての武器を駆使して、猟兵は守りに徹する。それが敵の出力を削るでもなく、待てば倒れる傷を負っているでもなく。無為に消費されるは慎矢の体力ばかりである。永らく続けば不利となるのは彼の方であろう。
「これが俺の…奥の手だ……!」
 否。その消耗は空費ではなく、続く策への重要な布石。経過した時間に応じ、慎矢の拳には霊力が集められていた。装備するすべての武器を、その祭具たる霊刀ですらも囮とし、練り上げたるを乾坤一擲のそれとして。
「俺が弓なら打ち出されたこの拳は矢……」
 念動力で波打つ粘液の一部を止め、胸元の一点を押し開く。鎧の鋼が剥き出しになったそこは、鎧なれば当然、弱点たり得ぬはず。であるにも関わらず、それは直感的に信長を寒からしめ、警戒より素早く刀を振るわせた。
 叩きつけられる刃を素早く見切り、先ほどまでとは比にならぬ速度で軌道に沿うよう紙一重で躱すと、懐へと潜り込んだ弓なる慎矢は拳を振り上げ
「その鎧ごと貫く!」
 乾坤一擲の一矢を放ち、宣言通りに撃ち抜いた。傷を塞いだ黒に濁った赤が混じり、魔王の口からも零れ落ちる。脇を抜けた猟兵は振り返り、膝を折った信長を見下ろした。睨め上げながらもなお猛る覇気は、それの脅威を思い知らせる。されどもうすぐ終わる。終わらせなくては。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
黒粘液で覆われてはどこを攻撃しても滑りそうですが、
足の裏だけは例外の筈。
床との摩擦が無ければ歩くことすら儘なりません。

精霊猟刀を構え、部屋の遮蔽物を利用し、
フェイント、残像を駆使して攻撃を回避。
打ち合いは刃を滑らされるので、集中して見切ります。

先の猟兵との戦闘で、室内は損壊しているでしょう。
【ピクシー・シューター】で雷の精霊を宿らせた精霊猟刀を召喚、
床の破損部位から潜り込ませます。

残りの猟刀+自分の攻撃で足掻いているように見せつつ、
猟刀が潜む床に誘導。
機を見て床下から信長の足底に突き立てます。

すかさず残りの複製猟刀を数珠繋ぎに接触させ、
直列繋ぎで跳ね上げた電力を流し込みます。

アドリブ・連携可。



 シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)が攻撃を加えるより先に、ひどく損傷しているはずのオブリビオンは立ち上がった。同時にまた黒い粘液でその身を覆い、痛みを弱みを隠すように。
 傷ついた獲物の恐ろしさをよく知る狩人は、構えた猟刀を振るうことをせず、じりと僅かにその身を運ぶ。合わせるようにその敵は、踏み込み刃を打ってくる。しっかりと地を捉える足、そこから繰り出される攻撃は躱してなお圧を及ぼす。受けるはままならず、斬られれば致命のものとなりかねない。背筋に走る冷たいものを感じつつも、ある確信を得たシリンは大きく退り、勢い角の向こうへと逃れ隠れた。
 信長とて追い詰められている。もはや面白がって受ける余裕などない男は、小さな焦りを覗かせながら角を曲がった。
 その先には、猟兵が向き直り、猟刀を向けて待ち構えていた。足元を確認してから歩を進め、竦んだように動かない猟兵の前へ。振り下ろせば、空を切るように一切の手応えもなく、それは消滅した。
 不意を突いて死角より、残像でないシリンが斬りかかる。滑り逸らされるその刃は、精霊の力を借りて雷を纏い、粘液を厭わぬ力を得るも、訝しんだる信長により、惜しくもついと避けられる。
「拍子抜けよな」
 当たらなければ如何とも出来ず、何とか転がり脇を抜け、反撃を避けて振り向くも、睨んだ顔には苦渋の色。それを見返す信長は、してやったりとほくそ笑む。

 攻め手もないままに躱し、押され、シリンは次第に後退る。来た道を戻されるようにして、先ほどまで他の猟兵たちとの戦場であった場所へと。
「貴様が一番詰まらんな」
 嬲るように言い、大きく息をひとつ。その瞬間に足の甲より刃が生えた。形状はシリンの持つ刀と同じ。ユーベルコードにより複製された精霊猟刀である。激しい戦いにより損壊した床板の下にそれを潜り込ませ、ただ攻撃する機を狙い続けていたのだ。待つも、誘うも、狩人の常套。
「黒粘液で覆われてはどこを攻撃しても滑りそうですが、足の裏だけは例外の筈。床との摩擦が無ければ歩くことすら儘なりません」
 その表情には、先の信長のような得意げもなく、ただ淡々としている。当然であろう、獲物はまだ健在なのだ。
 種明かしを述べながらも、床下での操作は続いていた。手に持った猟刀に雷の精霊が宿るように、複製したそれらにもそれぞれに雷の力が預けられている。それらが一度に一つところに、効果を為せばどうなるか。
「があああああっ!」
 猛烈な電圧に身体の随所を強張らせ、オブリビオンは獣のような叫び声を上げる。容赦ない攻撃に晒されながらもなお、猟兵へと怨嗟の視線を突き刺し続ける。しかしそれでも、受け止めるシリンは平静である。
 まだ、仕留めていないのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈍・小太刀
【かんさつにっき】

臣下の憑装を使うのは彼らの力を認めているからこそ、だよね
あれだけの軍勢を統率してきたんだもの
実力もカリスマも素直に凄いと思う
だからこそ負けられない
私達も私達の全力で

祭莉んと杏が前に出るなら私はその援護を
どんなに沢山の秀吉が召喚されても
素早く数を減らせるよう構える

後方から戦場全体の動きを把握
2人の突撃に合わせ
素早く弓を弾いて衝撃波の範囲攻撃を
続いて戦場へ黒雨の火矢を降らせるよ

仲間が存分に動ける様に
死角から狙われない様に
しっかり声掛け連携して援護するね

秀吉達を倒したら
炎の属性攻撃の矢で信長を狙う
真っ直ぐ射貫けば刺突も炎も滑りの影響は少ない

貴方を倒して
未来へと希望を繋いでみせるから


木元・杏
【かんさつにっき】
信長は臣下に恵まれてる
「二人」で挑む姿勢は好き
わたし達も同じ
3人で声掛け連携しつつ闘う

信長が黒粘着で覆われる
移動は速く、物理攻撃はこのままだと滑って当たらない

灯る陽光はランスに象る
第六感働かせ、信長が先に仕掛ける動きは見切り即座に横跳びに回避
摩擦抵抗減るなら、曲がる、止まる、自力で出来なくなる
小型秀吉がいればその手助けしてくる?
なら、信長に近付いた秀吉達をランスで薙ぎ払い、信長の顔面で消滅させ一瞬の視覚を奪う

その隙をついて【花魂鎮め】

信長の一点、心の臓を狙い衝撃波を放ち、その部分の黒粘着を剥がせば
高速で踏み込み、ランスで突き刺し捻り込む

攻撃を受けてもオーラ防御で耐え切る


木元・祭莉
【かんさつにっき】軍(三人)でー!

秀吉憑依……きっと本望だよね?
信長さまのためにって、フェンフェン言ってたから!

【WIZ】
これは……大量の秀吉を往なして、ここまでやって来い、ってコトだよね?
回避させずに一撃当てろと。

白蓮変身(くるり舞妓姿)した後。
信長に向かって、ふわり前進!
扇の白炎で、前方範囲をなぎ払って進む。

フェンフェンは、本能的に信長の危機を見過ごせない。
おいらが突っ込めば、自ら先回りして射線に入ってくる、よね!

第六天の魔王さま。
にいさんの凄さは、あれほどの将星軍勢を配下に収めたコト。
その手腕、惚れ惚れしますわ。

最期に、僭越ながら。
白蓮の舞を一指し、ご披露させていただきますえ?(扇一閃)



「秀吉憑依……きっと本望だよね? 信長さまのためにって、フェンフェン言ってたから!」
 木元・祭莉(サムシングライクテンダネスハーフ・f16554)はどこか痛ましげに。自らが退け、今は主君の鎧と同化してなお忠義を全うしようとしているそのオブリビオンを思う。そも今を生きる命ではないとはいえ、その思いは察するにあまりあるというものだ。
「信長は臣下に恵まれてる」
 身を賭して、倒れては存在を賭けても仕える秀吉を讃え、そしてそれだけの求心力を持つ主君を讃え、木元・杏(ぷろでゅーさー・あん・f16565)も。主従ではなくとも、友として手を取り合い挑むこの猟兵たちも、その在り方を無碍にすることはできない。好ましい心である。
「臣下の憑装を使うのは彼らの力を認めているからこそ、だよね」
 鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)も応えて頷く。江戸より島原へ至るまで、多くのオブリビオンが立ちはだかった。それらがいずれも第六天魔王・織田信長の号令のもとに動いているという事実は恐るべきものである。人としては非凡な能力を持ったであろう男に、小太刀は敬意すら覚えた。
「だからこそ負けられない」
 過去の大人物への敬意を以てしても、あるいは未来を奪わんとするオブリビオンの首魁への敵意を以てしても、持ちうる全力で挑まねばなるまい。

 くるりと回ると白蓮の舞衣に身を包み、先頭切って祭莉が進む。扇より白い炎を放ち、喚び出されたる獣のいくらかを焼き消してやる。守るを本懐とする彼らなれば、必ず前方に回り込んでくるはずであろう。猟兵のその考えを見透かすように、魔王がひとつ、吠える。
「戯け!」
 主の一喝する声に、実際盾になろうとした秀吉たちが散開する。ここまで来て、もはや我が身を守るを至上となどするものか。倒れるのならそれまでと、攻撃の指示を出してやれば、それらは一斉に多方向より少年へと押し寄せた。
「祭莉ん下がって!」
黒き海嘯が圧し潰さんと飛び掛かるを、小太刀が叫ぶに近いような声で指示し、次々と鳴弦による衝撃波を放ち、避けた祭莉に迫った敵を打ち払う。放たれた白炎に信長も僅かに焼かれているが、避け切れず仕留め切れなかった獣に与えられた被害は、猟兵の方が甚大であった。

 負傷した兄と入れ替わるように、杏が前に。数を減らしつつも未だ多く残る獣たちの後ろで、信長は全身に形ある闇の如き黒を纏う。対する少女が携えたるは、輝く陽光の象りし槍。
 仕掛ける魔王のその刀すらも黒く、両断せんと振り下ろされる。巨大な武器を物ともせずに、先を読むようにひらりと躱すと、跳んだ先にて寄ったる獣を、杏が一度に薙ぎ払う。見れば歩み来る男に纏わる者はなく、注意を別に向けるも能わず。手持ちの札のない少女は、近づく信長を睨みつける。

 使える札は自らの手の中のみにあらず、手持ちがなくば借りれば良い。不意に、杏を見下ろすオブリビオンの頭を衝撃が打ち、その意識に空隙を生む。
「霊導へ還れ」
 小太刀の援護を受けるとすかさず踏み込み、斬撃に伴う衝撃波を打ち込む。狙いは過たず心の臓、信長の呼吸を一瞬止める。輝く花弁を舞い散らせながら、さらにもう一歩、今度は衝撃のみならず、大槍のひと突きを以て仕留めんとする。
 しかし、受けた力に伴って、跳んで退った信長に対し、杏の刺突は浅きに過ぎた。そして生まれた隙を突き、振り抜かれたる一閃は、ついに少女を捉え。
「還すに土産のひとつも持たせてはくれぬのか」
 囲む秀吉に退路を絶たれ、深傷に蒼くなりつつも、表情は変えない猟兵の気丈さに感心しながら、魔王はさらに容赦なく、刃を大きく振り上げ
「これでどう?」
 開いた胸に、黒き瞬速の矢が立った。見ればそこには、矢を放った小太刀と、苦しげに立つ祭莉の姿。秀吉の攻撃は後衛にも及び、三人ともを窮状に落としたが、どうにか近場の囲みを破るに至った射手が、救いの一矢を放ったものである。
 さらに続けて杏を避けて黒雨が注ぎ、並み居る獣を一度に貫き。少女も重ねて敵を撃ち、獣を薙いで道を開け。
「今」
 の合図が聞こえたか、発されるよりなお早く、友を家族を守らんとする、赤毛の獣が駆け出した。
 少年の時は、恐らく短い。下天のうちを較べてみても、五十年を数えぬかも知れない。まさに、夢幻の如く。さりとて夢幻にあらざれば、守り戦う価値もあろう。
 小太刀の開いた血路を走り、退きたる杏の脇を抜け、追随するを許さぬままに、魔王へ扇を一閃し、その身を白き炎に包んだ。気力で駆けた満身創痍の少年は、そのままばたと倒れ込む。
 焼かれながらも立ち、倒れた猟兵を庇うように立つ娘を見下ろし、その次には苦し紛れの一撃すら許すまいと矢をつがえる娘を見る。
「貴方を倒して、未来へと希望を繋いでみせるから」
「童が、吠えよるわ」
 小太刀の強い意志の篭った言葉に、信長はいま一度呵々と笑って、燃え尽き、消えた。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月28日


挿絵イラスト