エンパイアウォー㊴〜30sc
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「俺、視ちまったんだ。ノッブのモチ肌をよぉ…」
最近ラップバトルに目覚めたナギツ・イツマイ(オンミョー・シャーマン・ヒーロー・ウィズ・ラッパー・f19292)が開口一番変な事を言い出す。尚これが彼の真面目モードである。
「みんな聞いてんだろ?ノッブがシマバラでお手上げバンザイ四郎時貞になってやがるってこと」
もはやエンパイアウォーは佳境にある、猟兵達の奮戦により幕府軍10万、ほぼ無傷で信長の待つ魔空安土城へ到達し、魔神将もその多くを打ち取っていた。
「袋のネズミって思うだろ、でも窮鼠猫を噛むとも言うよな、禿げ鼠に殺された奴が鼠になってんじゃねーよ、って感じだ、ともかくノッブは強かった」
魔空安土城の本丸に追い詰められた織田・信長はとある秘術を行使する、名を魔軍転生。
「なんでもしぶとく生き残ってやがる魔神将をバック・ゴーストに据えてんだと、俺が見たのは毛玉ノッブだ、特徴はとにかく強ぇ」
かつて信長の意思を継ぎ天下を平定した豊臣・秀吉。その力は寛永の世に信長の下へと還った。
「どんくらい強ぇって、ブッダの手のひらアヴォイドって感じだ」
秀吉の背後霊による超強化を得た信長はその圧倒的武力をもって猟兵達を待ち構える。
「ぶっちゃけテメェらが何も知らないままピンで奴と対面したら先制攻撃食らって30秒でけちょんけちょんにされる自信がある、しつこく言うが奴はマジで強ぇ」
しかし猟兵の力は未来を変える力。
「だがやりようはある、矢を束ねれば折れねぇって事だ、数打ちゃ当たるでもいい」
この織田・信長を討取らなければ帝国に平穏は戻らない。
「やんなきゃなんねぇよなぁ。出来るんだからよ…」
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「さて、奴はムチャクチャ速ぇ、テメェらがどうあがいても先制攻撃をキメてきやがる、これは変えられねぇ未来だ」
信長の先制攻撃は必ず起こる障害として立ちはだかるだろう。
「悔しいがこればっかしはどうにも出来ねぇ。だけどよ。テメェらはオブ退治のプロな訳だ、何とか出来んだろ?て言うか何とかしなきゃなんねぇ」
転送地点は信長の眼前。
「要するに勝負は一瞬って事だ、30秒もいらねぇだろ」
超高速戦となる可能性が高いとナギツは言う。
「先制攻撃に対処してキツイの一発かまして帰る。仲間がいる、これで十分だ、プロフェッショナルな一撃を期待してるぜ」
ナギツはサムズアップしながら猟兵を送り出した。
柄縞倉庫
エンパイアウォーからマスターを名乗らせて頂いています、柄縞倉庫です。学んだ事を出し切れればと思います。
時間縛りプレイってたのしい。
そんな信長戦があってもいいじゃない。
と言うシナリオです。
相変わらず変なリプレイを描くかもしれません。
以下の注意事項はお読みください。
MSページもどうぞ。
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』秀吉装』
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POW : 黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ : シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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魔空安土城、呪術建築により建立された本丸の内部は広く、絢爛であった。
壁には渡来の絵画が何枚も連ねられ、当世一の職人が精を込めて上質な素材から彫り出したであろう調度に溢れている。
オブリビオン・フォーミュラ、【魔王】織田・信長はその一辺が100メートル程もある四角い御殿の中央、高く吊られたシャンデリアの下に胡座を組み、猟兵達を待っていた。
「儂は待ちくたびれておるぞ…のう、サルよ?」
「フェン?」
秘術魔軍転生により背後霊となった忠臣、豊臣もしくは羽柴・秀吉と共に。
「ホモォビウム先行突入開始」
暫くの間、猟兵達の気配を感じた信長はやにわに立ち上がり、右手に刀を抜きはなつ。
そして、先行して突入した猟兵達へその圧倒的支配者の豪声を叩きつける。
「待っておったぞ!強者共よッ!」
「フェン!フェン!」
ダンド・スフィダンテ
・対策
[防壁]を使用し一瞬を稼ぎ、正面からの黒槍だけをギリギリで避け、真正面から攻撃を仕掛ける。
多少の怪我は!まぁ戻ってから誰かが治してくれるだろ!はっはっはっ!
・反撃
UC[天杭]を正面対峙このままドーン!
うははは!どうせ当たるか当たらないかでフィフティーフィフティー!強気にぶち当たるぞー!
貴殿は今かなり強い!そりゃもう強い!!だが!だからこそ、だからこそだ!
この一撃は貴殿を穿ち!貫く!
避けてくれるなよ偉大なる魔王殿ぉ!!
スピード勝負は俺様より上手い者が多いと思うんだが、こういう死ななきゃなんとかなる!みたいなのは思いっきりやれて楽しいな!
武運を祈るぞ!
(負傷苦戦大怪我アドリブ等、大歓迎です)
リリスフィア・スターライト
勝負は一瞬、そういうのは嫌いじゃないよ。
全翼天開で飛翔して高速で間合いに一気に踏み込んで
剣による一撃をだね。
放たれる黒槍の軌道を見切って反撃できる程度に
ダメージを抑えるつもりだよ。
回避しきれずにダメージを受けても動きは止めずに
一撃を与えてその場を離れるつもりかな。
他の猟兵達と連携して同時攻撃を仕掛けるようにできればかな。
「強敵なら長期戦は不利だしね」
「その槍と鎧ごと打ち砕いてみせるよ」
ニィ・ハンブルビー
ここが最後の正念場だね…
信長には悪いけど、手段を選ばず勝ちに行かせてもらうよ!
まずは正面から【ダッシュ】で接近!
剣戟術を封じるために、剣の内側の間合いに入りこむよ!
当然迎撃してくるだろうけど!
【ジャンプ】したりウェポンエンジンで自分を【吹き飛ばし】たりして!
急加速して回避するよ!
そのまま懐に飛び込んで!【平和と安寧の魔法】を発動!
この魔法は周囲の全武装を引っぺがす!
そう!一時的に秀吉装や粘液も引っぺがせる!
そうでなくても敵もボクも裸になって隙が生まれる!その瞬間が勝負だ!
足元の死角から接近して!【怪力】でもって必殺の一撃を叩き込むよ!
色んな意味で汚いからこの技は避けてたけど…行くよ必殺!
金的!
ハルカ・ラグランジュ
それなら、花火みたいに派手に儚くいきましょうか。
「散るが故に」の花びらを風魔法で制御(属性攻撃/範囲攻撃)。
花びらと共に風を纏って、イカロスの翼で一直線に信長の下へ飛んで行くわ(空中浮遊/空中戦)。
どれほど数が居ようとも一撃で消滅する秀吉が、舞い散る無数の花びら全てを躱すなんて不可能でしょう?
秀吉を突破したら、信長とすれ違うその一瞬に、火炎魔法で華麗な炎の華を咲かせてあげましょう(全力魔法/一斉発射/第六感/早業)。
「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか」
滅する定めを持つものの美しさ。
もう一度あなたの心に刻んであげるわ。
※アドリブ・連携歓迎
槙島・未幽
目的
信長に一撃加えて退散
「・・・・・!!」
(我慢しろあたし!信長の背後にフェンフェンがいることがどれだけウケるとしても、ここは笑っちゃいけねぇぇ)
まずは、全速力で笑いを堪えなきゃなぁ。正統派信長顔の背後のフェンフェン秀吉は笑うしかない状況だけど、笑ってられないし。
信長の正面に転送されるってことだから、転送後秒で前方に念力を展開すれば、とりあえず先制攻撃は防げる筈。
「いらねぇんで、返品しまーす」
次に、念力で止めた槍を目眩まし代わりに投げ返した後、信長の全身に向かって本命のコールタール入り灯油缶を投げつけておしまい。
「これで用事は終わったんで、さっさと退散。んじゃーなー」
天都狐・華夜
突入に際して先行させる形で四脚歩行戦車『ホモォビウム』の背後に付き、【黒槍殲撃】の射線を直線のみに絞り、戦車の正面装甲と『アームズフォートレス』のフレキシブルアーマー部、スティレット67d/e 戦術重機動兵器【FUJI】の装甲で急所及び戦闘に支障が出ると思われる個所を重点的に防御し、攻撃を絶え凌ぎます。
攻撃に切れ目が発生次第、ユーベルコード及び通常兵装の最大運用により敵の排除を試みます。
「ホモォビウム先行突入開始、射線を直線に限定し被弾面積を最小限に。……各機攻撃開始」
共闘歓迎
────1st contact 1→18second────
●laugh chic:side 槙島・未幽(流星召喚(スターコール)・f20363)
咆哮をあげる多脚戦車と共に信長の元へ突入した槙島・未幽(流星召喚(スターコール)・f20363)は信長と距離をおき、無言に対峙する。
「・・・・・!!」
「なかなかの面構え、まっこと強者の器と見える⋯」
「フェン!」
信長がその身に纏う漆黒の鎧をぼこぼこと泡立たせ一瞬にして三間半の槍を出現させたその時も表情筋の緊張が解ける事はない。
何故なら⋯
──やべぇ、笑っちゃいけねぇぞ、あたしぃぃ⋯!
「フェン!フェン!」
「儂を前に名乗りもせぬか…いい度胸」
──堪えろ⋯堪えろ⋯!いかに正統派信長顔の後ろにフェンフェン秀吉がいるって状況でも今笑っちゃいけねぇぇ!
⋯笑いを堪えるのに必死だった。
「ええい!鳴かぬならもうよい!後ろの珍妙な絡繰と共に我が黒槍の露と散れいッ!」
怒声をあげた信長は黒槍を振りかぶり投擲、槍は猟兵と多脚戦車を貫こうと空気を裂き、唸る。
槙島は能面をそのままに片手をあげ、その掲げた指の隙間から見える黒点、飛来する黒槍の一点に合わせサイキックエナジーを集約させる。
一歩間違えれば串刺しになってしまう危うい行動、しかしその真剣な表情は死線を越える覚悟をたたえていた。
重ねられた念動力の壁はズガ、ガ、ガ、ガ、と大槍に貫かれ悲鳴をあげる。
しかしその大槍は信長の強靭な筋繊維から生まれた推力を確かに削り切られ、円形の衝撃波を辺りに撒き散らしつつ槙島の掲げる手のひら寸前で静止する。
「いらねぇんで、返品しまーす」
槙島は気の抜けるような声と共に黒槍を反転させ、飛来した時に比べ速度は落ちるもののそれなりの力を込め信長に向かい投擲。
しかし、秀吉が憑依する黒鎧から生み出された黒槍はそのまま信長の手甲に吸い込まれる。
「たわけ!その力、本来儂のものよ!倍にして返してくれる!」
次の瞬間、信長が全身を発光させ光の爆発が巻き起こる。
その閃光の後、信長は純白のフンドシ一丁姿となり仁王立ちしていた。
そこへ槙島の本命、コールタール入りの灯油缶が飛来する。
「ちょこざい!」
フンドシ一丁の信長が振るう手刀は缶を真っ二つに斬りはらうもその中身はたしかに魔王の全身を濡らす。
「フェン!」
「小癪な⋯目眩しか!」
信長はその真っ黒に光る半裸体を緊張させ追撃に身構える。
しかし、次に飛んできたのは。
「やべっ、ライター忘れた⋯⋯これで用事は終わったんで、退散。んじゃーなー」
と調子の抜けた槙島の声。
信長が眉から滴る黒いタールの向こうに見たものは排気音を垂れ流す多脚戦車の影に身を隠す白い後ろ姿だけだった。
「逃げるかぁぁァァァ!」
そして激昂の叫びと共に黒槍を大量に生み出し、矢継ぎ早に投擲する信長の耳に入ったのは誰のものか分からない高笑いであった。
●rough&kick:side ニィ・ハンブルビー(🔥・f04621)
世界の真理、禁忌そのもの。その邪法を自在に操る者は絶えて久しい。
空手家、拳闘家、柔術家、無き名の代わりに武神と呼ばれた漂泊の求道者。高みへと登りつめた何人の兵法家がその唯一無二の答えに魅了され、そして禁忌として背をそむけただろうか。
それは退廃的であまりにも儚く、かつ絶対的な理。
ニィ・バンブルビーもまたその真理へと辿り着こうとする一人。
彼女は魔王の居城、魔空安土城の玉座を前に立ち、今まさにパンドラの匣へ触れようとしていた⋯
その高みへと続く道は長く、険かった。
信長が放った大槍の一投、それを横目に見ながら加速する。
全力疾走する小柄な妖精の背にはロケットエンジンの咆哮が轟き、視界から世界を置き去りにしていく。
視界の中心には漆黒の鎧を纏った織田信長の横顔。それが、ぐりん、とニィ・バンブルビーを向く。
気付かれた、目が合う。
──見えておるぞ
そう耳元で囁かれたような気配に続き、脳裏に不吉な予感が走る。
秀吉の憑依する黒鎧から一瞬にして呼び出された三間半の槍が信長の正確な投擲をもって妖精の身を貫こうと迫る。
「─これは使いたくなかったけど⋯⋯!」
一瞬、ロケットエンジンのサブブースターを点火し半ば制御を失う形で身体を空高く吹き飛ばす。
錐揉みに回転しながら放物線を描き、それでも無理に態勢を整え上方から再度信長の懐へ突入する軌道をとる。
それからの加速は重力の力を借りむしろ最初より鋭角かつ高速度となり、あまりの加速に頭を焦がすような感覚を伴って、遂に信長の足元へ飛び込む事に成功する。
信長は他の猟兵に気を取られて妖精の華奢な体が近くにある事に気がつかない。
「さあ!武器を捨てて話し合おう!」
信長がその存在に気がついた時にはニィ・バンブルビーはその全身を輝かせ光の爆発を起こす。
それは平和を願う光。半径45メートル内部のあらゆる存在を武装解除させる奇跡の力だった。
眩い光の中で信長は黒鎧を光に溶けさせ、刀はその波紋の波間へ消えていく。
信長に残されたものは純白のフンドシ。
謎の白い光に全身を光らせた妖精は世界の真理へと手を伸ばす。
そして繰り出されるのは平和をもたらすための力すら歪める邪法。
「いくよ⋯必殺!正中前蹴り金☆的!!」
瓦程度ならチョコレートのようにパキパキできるであろう妖精の怪力を乗せた細足は大地を馳せ、神秘のヴェールに包まれた宵の明星を捉える。
信長は何をされたのかまったく理解出来なかった。
あまりにも巨大な痛みは遅れてやって来る。
光が収まるとそこに妖精の姿は無くなっていて。
邪法による呪いをその身に受けた事に気がつかぬまま信長はフンドシ一丁に威厳を失わず目前の強者を見据えた。
────2nd WARS 14→27second────
●Legacy General is Best Troll:side天都狐・華夜(ロジックエラー・f01491)
信長が放った黒槍の投擲が見えない壁に阻まれ辺りに衝撃を伝える。
その余波は四脚歩行戦車『ホモォビウム』を先行させ、自身はその影に隠れながら『神造機兵隊』を召喚するシーケンスを管制していた天都狐・華夜にも波及していた。
「4.2秒ほどディレイします」
その4秒が戦況を左右する、純白のフンドシ一丁に肌を黒く染め、ブチ切れた信長が横殴りの雨を垂れ流し始めたのだ、三間半もの長さをもつ黒槍の雨を。
「ふんっ!」
「フェン!」
「ふんっ!」
「フェン!」
「ふんっ!」
フェン!で秀吉が黒鎧から槍を生み出し、ふんっ!で信長が投擲する、魔王と忠臣の完璧なコンビネーション。
射出の回転数は秒間にして5から7の辺りを行ったり来たりしており、そのせいで4秒の遅れは際限なく延びていく。
高速回転とその身に受けたコールタールにより命中精度は落ちるようで、外れた一本が華夜の隠れる場所から後方の壁に掛かった偉丈夫の裸体を写す絵画の中心を貫き壁の向こうの空を覗かせた。
槍の雨は『ホモォビウム』の装甲を削る。
事前に関節部や機関部をを中心に装甲を継ぎ足し魔改造された『ホモォビウム』だったが、雨あられと降り注ぐ黒槍の猛攻にフレキシブルアーマーを剥がれ車体を傾ける。
『ほも゛ぉ゛ぉ゛ ぉ゛ ぉ゛⋯』
装甲に幾本もの黒槍を生やしながら『ホモォビウム』は苦しそうな唸り声をあげ。
その瞬間、雨が止んだ。
「お主⋯蘭丸なのか?」
『ほも゛ぉ゛゛ ぉ゛ ぉ゛』
だれもあずかり知らぬ事、この時信長は『ホモォビウム』の立ち姿に火に包まれる本能寺で自身が切腹する時間を稼ぐため単身明智勢に立ち向かった従者、森蘭丸の姿を見たのかもしれない。
「……各機攻撃開始」
天都狐・華夜がこの僅かな隙を見逃すわけもなく。倒れる事を知らない兵団『神造機兵隊』は召喚される。
織田信長、天下布武の前に大うつけであった。
機兵はそれぞれビームガトリングを手に小規模な隊列を組みつつ順次召喚されていく。
「油断したわッ!しかし数だけの兵に遅れを取る今の儂ではない!」
尾張武者の嗜みである早着替えによってその具足と刀を取り戻した信長は、ギュラギュラ回転するガトリングにさらされながらも放たれる光線を刀で弾き、時には黒き鎧で受けながら機兵達を撫で斬りにしていく。
しかし床に沈んだ機兵を乗り越え次の機兵が現れ戦列に開いた穴を埋めることにより攻撃は途切れなく続く。
「フェン!フェン!」
そして、信長の背後に控える秀吉がさらなる力を解放した。
────3rd impact 25→40second────
●イカロスと魔空の主人:side ハルカ・ラグランジュ(人間のサウンドソルジャー・f17426)
「「「「フェン!フェン!」」」」
空中浮遊する戦闘用小型秀吉が本丸御殿に召喚された。
その数は300体を超える。
地表の人型兵器はそれに対処するために隊を分散させ中空へ向かいビームを乱射。
対し小型秀吉は腹の紋章から小型槍を射出して応戦する。
そんな戦場と化した御殿の空中を一直線に信長へ向かう影があった。
ハルカ・ラグランジュ、彼女は義翼『イカロスの翼』を背に花びらの嵐を纏い、ひたすらに織田・信長を目指す。
──花びらは散るが故に美しい、一度散ったはずのあなたの心にもう一度刻んであげるわ。
強い信念と共に、己をも散らしながら。
「フェン!フェン!」
小型秀吉がそれを見逃すはずも無く、ハルカは空中で無数の秀吉に取り囲まれる。
飛行の勢いを緩めることなくそのまま。
ハルカの周囲を渦巻いていた花びらが急激にひらめきの鋭さを増し、自身から球形に半径28メートル内部の秀吉に襲いかかる。
球形の嵐はまるで爆発のように広がり、多くの花びらを失い収縮する。
背後霊のコピーである小型秀吉はその通りに脆く、荒れ狂う花びらの円陣に存在を許されなかった。
「フェン!フェン!」
背後霊、秀吉は散り果てた花びらを見て増援を送り込もうとするが信長がそれを制する。
「控えよサル、儂の楽しみを奪うつもりか?」
「フェン!!」
強者を求める信長の意思に従い、小型秀吉が人型兵器との戦いへと戻っていく。
「人間五十年、化天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり! 一度生を享け、滅せぬもののあるべきか!」
「我、魔空の太陽なり!太陽が滅びるとでも思うてか!散り落ちる花びらよ、その義翼と共に我が灼熱の来光と燃やし尽くしてくれん!」
鋭角に信長と交差する軌道のハルカへ向かい、鈍く光る刀が断頭台の如く振り下ろされる。
術式の込められた義翼を必死に繰り、ハルカは軌道を修正する。
半ば地面を転げるように刀を回避し、落ちたイカロスは声を張り上げる。
「太陽!ならば望み通りに燃やしてあげるわ!」
散った花びらに変え魔術の炎がハルカの手から華開き信長を包み込む。
そしてさらに。ほんの20秒ほど前に戦場から姿を消した猟兵の置き土産が炸裂する。
高温の花は信長の身体に染み付いたコールタールに引火し、消えぬ炎となりその身を燃やす。
「グオォォォ!熱い⋯熱いぞォ!本能寺を思い出す!⋯だが華々しく散るにはまだ早いわ!」
──なんだ、分かってるじゃない。
地に落ちたハルカ・ラグランジュは信長に刃を突きつけられながらも。穏やかな微笑みを浮かべていた。
────4th knight 30→50second────
●museを助けknight:side ダンド・スフィダンテ(挑む七面鳥・f14230)
ミューズを助けねばならなかった。
ダンドが出遅れている間に義翼の女神は空を駆け、中空に花びらを散らし、今にも強大な魔王の元に墜ちようとしている。
ダンドは胸元のカメオを輝かせ猛然と走った。
純白の輝きが全身を包み、その光の粒子が身体の各部位に集結しダンドは白き鎧姿となる。
「どうせ元よりそのつもりだ!真っ直ぐ魔王の所に突っ込んでぶっ飛ばし、ミューズを助けるぞ!!」
──あんぎゃー
小竜アンブロジウスは勇猛なる雄叫びをあげ竜騎士の槍となり共に道を切り開いてくれる。
御殿の床板はお互いに再生しつつ果てのない争いを続ける人型兵器と小型秀吉によって荒らされてはいるが、ダンドの進む道を途切れさせる事はなかった。
人型兵器は海を割るようにダンドに道を譲り、そもそも小型秀吉のへなちょこな攻撃などダンドの屈強な筋肉は受け付けない。
──いや、今背中に槍が刺さった気がする。はっはっはっ!気にしちゃ負けだな!!
ダンドはそうして走りながら地獄の炎をごうごうと鎧から吹き出す信長を見据え。
女神に凶刃を向けるその魔王へ名乗りをあげる。
「我は騎士、ダンド・スフィダンテ!魔王 織田信長、いざ尋常に勝負!!」
「儂は名乗り者をあげた者には容赦せぬ、騎士ダンド・スフィダンテ!受けて立とうぞ!」
信長はひたすらに真っ直ぐ向かってくる騎士を貫こうと大槍を投擲する。
──見えているッ!
ダンドは上体の軸を槍を持つ腕の側に傾け前傾気味に黒槍を避けようとする。
空気を切り裂きながら飛来した槍の余波に白き鎧の表面を削られながらもダンドの疾走は止まらず信長の目前へ迫る。
「貴殿は強い⋯そりゃもう強い!!だが、だからこそだ!この一撃は貴殿を穿ち、貫く!避けてくれるなよ偉大なる魔王殿ぉ!」
ダンドは疾走の勢いを乗せたまま竜騎士の槍を掲げ、アンブロジウスは強大な魔王を前にしながらも勇壮に輝きを放つ。
「避けるものかよ!しかし黙って受けもせぬ!我が槍ぶすまの餌食となれい!」
今まで投擲にしか使われていなかった黒槍が針鼠の如く信長の黒鎧から「生える」。
──何ッ!?
全ての勢いを乗せた突撃はもはや止めることは出来ず、ダンドは待ち構える地獄の針山へ突っ込む。
永遠とも感じられる1秒。ダンドは喋らない。
「その程度か⋯白き騎士よ⋯」
「いいや⋯!届いているさ魔王殿⋯!」
ダンドは騎士鎧を血まみれにしながらも己の力の結晶、太陽と槍の紋章を浮かび上がらせ急所だけは守っていた。
身体を斜めに槍ぶすまへ差し込み、目一杯伸ばした手に握られた光り輝く槍はその穂先を信長の脇腹に触れさせている。それで十分だった。
暗黒の太陽に触れた光の穂先は天喰いの力。
迸る輝きは信長の脇腹を深く抉る。
「⋯ダンド・スフィダンテ、美事なり!しかしこの身、未だ倒れる事は出来ぬ⋯⋯!」
傷を受け尚も毅然と刃を構える織田信長。
ダンドは満身創痍のその身に力を込め、断じて膝をつかまいと槍を握りしめる。
────5th drive 47〜60second────
●eclair:sideリリスフィア・スターライト(プリズムジョーカー・f02074)
地上の人型兵器の形勢が小型秀吉を上回り始めた頃。一人の猟兵が空を駆ける。
その背には32もの光り輝く翼。
御殿の空、到底建物の内部とは思えない高所を飛翔していた。
解放された翼はリリスの力の結晶、その羽ばたきから生み出される速度は最早常人の視覚では測る事が出来ない。
しかし、魔王は地上で一人の騎士と交錯している間にもそれを正確に補足していた。
針鼠のように槍ぶすまを呼び出した瞬間、幾本もの黒き槍が稲妻のように空を奔る。
それは一瞬でリリスの行く空を埋め尽くし、小型秀吉さえ貫き、迫る。
──いくら強敵とは言えデタラメだ⋯
掛ける電脳ゴーグル越しにそれを知覚しリリスは決意する。
──少し食らうのはしょうがない、一撃で決める
黒い稲妻の一波が迫っていた、リリスは抜きはなった魔剣を胸の前に抱き、魔力の翼を体に巻きつけ弾丸のような円錐形となり加速する。
光の繭を纏い、目指すは脇腹に傷を負った織田信長。
リリスを追いかける多くの稲妻はその速度について行けず空中でぶつかり合い飛散するが、それでも幾本は丸めた翼へと刺さり光の羽を散らす。
「抜けおったか!」
信長が満身創痍の騎士を弾き飛ばす。
さらに黒槍を一本生み出し、空を走るリリスへ向ける、その立ち姿はもはや敗戦の将であったが目には確かな闘志を燃やしていた。
「その鎧と槍ごと打ち砕いてみせるよっ!」
残った翼をめいっぱいに広げ地面すれすれに最後の加速。
全力をリリスの魔剣に乗せて振り切り信長と交差する。
信長の左腕が宙を舞い、放り出された槍が床に刺さった。
「ふはははは!ぬしらまっこと強者共よ!我は楽しんでおるぞ!」
もはや虚勢とは見え透いていたが信長の笑い声は御殿に響き渡る。
本当に、楽しそうに。
────SIX JAEGER────
いつのまにか、神造機兵隊と小型秀吉の戦争は終結していて。
崩壊を始める御殿の真ん中で、「フェン⋯」と毛玉はうなだれた。
「この程度か!強者どもよ!」
脇腹を抉られ片腕を失い、全身から炎をあげながら、魔王の声はしかし高らかに響き。
「⋯俺様はまだ戦えるぞ!」
それに相対する騎士ダンド・スフィダンテは叫ぶ。
「潔くないわね、脚、震えているわよ?」
しかしハルカ・ラグランジュの言う通りその脚は今にも崩れ落ちそうな様子で。
──はっはっは!武者震いさミューズ!
返す言葉も力無く。
「やる事やったし退却するよ」
と、光の翼を輝かせながら、二人の猟兵を拾い上げ、大槍の投擲により空いた大穴から空を目指すのはリリスフィア・スターライト。
次の瞬間、股間を抑えながら御殿の床に崩れ落ちるのは何故か織田信長で。
唸りを上げて突撃してきた四脚歩行戦車はその重脚で魔王を踏み潰し。
そのままボロボロになった床板ごと踏み抜いた。
「くはははは!我が野望、既に潰れておったわ!」
──美事!美事なり!
と笑いながら信長は奈落の底へと消えて行き。
そして、慟哭のような咆哮をあげる『ホモォビウム』の背中から顔を出した天都狐・華夜は。
「ミッション・コンプリート」
と呟いた。
成功
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パトリシア・パープル
信長はいいとして、なんであの黒い毬がサルなのよ……
敵の先制攻撃は【オーラ防御】で強化した「バリアパラソル」を広げ【盾受け】で防ぐ
守りを固めても刀で貫通されると思われるので、少しでも勢いを削げれば好し
傘を破って来た攻撃は【激痛耐性】で堪え、【カウンター】でUC発動
姿を消して距離を取り、死角に回り込んで、掌に溜めた濃縮スカンクガスを信長の顔目掛けて【誘導弾】仕様で発射!
「ガス攻撃には摩擦抵抗とか関係ないわよね?
敵が悶絶している間に「如意フォーク」を伸ばしてシャンデリアを突き、信長の上に叩き落とす
未だガスが周囲に残っているなら、火の着いたライターを投げて引火爆発狙い
「死なば諸共!くたばれぇぇっ!
●bio blast:side パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)
「んん!?臭う⋯臭うぞォォ!狐か!狸か!はたまた溝鼠か!サルよ、さっさと見つけ出すのだ!」
状況はかなり悪かった。
読み通り、黒粘液を纏った信長はパティの姿を見つけると残像を残すほどの踏み込みで斬りつけてきた。
その摩擦を無くす粘液は信長が握る刀に分子と分子の間をするりと通り抜けるほどの切れ味をもたせていたのだ。
──バリアパラソルが無ければ死んでいた⋯
と思わせるほどの斬撃をパティは受け流そうとして、それは七割がた成功した。
手の甲に走った一筋の赤い筋は怪我の功名とでも言えるだろう。
そこでパティは己を視認出来なくさせる特殊なガスを纏い反撃の態勢を整える。
しかし、そこで距離を取ってしまったのがまずかった。
信長は突如として姿を消した猟兵に対し最大限の警戒行動を起こした。
「「「フェン?フェン?」」」
御殿の空間に空中浮遊する黒い毛玉、小型秀吉が満ちていた。
信長の号令によりそのつぶらな瞳を全開にパティを探す。
消えた、とは言えパティは物体をすり抜けれるわけでもなく、身に纏うガスは、止めた呼吸を再開すれば確実に自分の命を蝕むだろう。
痛みは大した事はないが、血が落ち、それによって気づかれることを防ぐために傷を押さえている事も派手に行動を起こせない理由の1つになっていた。
しかし、何か行動を起こさなければ酸素を求めて口をぱくぱくさせる金魚のように果ててしまう。
──死なば諸共、やってやろうじゃない⋯!
パティは如意フォークを背に身を低く前進する。
警戒する毛玉がなるべく少ないルートを、音を出さず、出来るだけ高速で。sneak…
酸素が脳から失われていく感覚と共に、もしかしてこの道に誘導されているではないか、と疑惑が浮かぶが、振り払う。
信長の左後方、己が最終兵器の射程範囲内。チャンスはここしかない。
────GO!!
パティは片手に溜めたBMBガスを射出する。
それは誘導ミサイルのように高速で湾曲した軌道を描き正確に信長の頭部へと吸い込まれていき。
特濃のブチルメルカブタンガスが信長の鼻と目を侵略する。
「目が…!目がァァァァァァ!!」
劇毒とも言える濃縮化学物質を顔面に受けた信長は目に光を失い、闇雲に刀を振るう。
「フェン!」
秀吉が信長の視界を補助しようと小型秀吉の制御を手放し、消滅させる。
──まだまだ!
パティは如意フォークの柄を伸ばし頭上高くつられている巨大シャンデリアを突く。
シャンデリアの小さなかけら、それでも巨大な金属の部品が信長の頭上に落下した。
秀吉の補助により危機を察知した信長は刀で頭上を斬りはらい、真っ二つに割れた部品が信長の左右を塞ぐ。
そこへ透過ガスを解除したパティが襲いかかる。
「鼠じゃなくてスカンクだっ!くたばれぇぇっ!!!」
パティの手にはただのライター。
しかし信長の目の前で着火装置を起動すれば凶器となる。
──しゅぼっ!
軽快な音と共にライターから火花が散り、信長の周囲に漂っていたガスに引火。
左右に逃れる事も出来ず信長とパティは爆発に巻き込まれお互い逆の方角へ弾き飛ばされる。
────────
驚異的な回復能力ですぐさま視界を取り戻し起き上がった信長はちれぢれになった髪をかきあげる。
「なかなかどうして、畜生もやりおるわ、のう、サル」
床に一筋の赤い筋、それが御殿の出口へ向かって走っているのを見た信長は苦笑して再び御殿の床に座り込んだ。
成功
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