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エンパイアウォー㉞~燃ゆるとき

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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 島原が魔空安土城は、今やその根を地にと下ろした。
 そこで繰り広げられるは幕府軍と信長軍との激突である。
 双方共にその数は万を越え、激突の声は地を揺るがすに余りある。
 それは怒号。それは断末魔。それは喝采。
 捉えきれぬ程に数多の感情が渦を巻く、まさに修羅の巷と化した場所。
 そして、その最奥でかの者は待ち受ける。
 己に終わりを告げんとする者達を。己が乗り越えなければならない者達を。
 ――第六天魔王『織田信長』。
 虎の影をその背に負い、彼は手にした扇子をパチリと閉じ叩く。
「来るのであれば、神であろうと、仏であろうと、鬼であろうと、ヒトであろうと、ただ踏み砕くのみよ」
 苛烈なまでの眼差しは、ただただ前を向いていた。

「皆さんの活躍によりぃ、遂に遂にとぉ、信長の喉元へ刃が届く時が来ましたよぉ!」
 依頼を案内するはハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)。
 戦場の熱気は遠い筈であるのに、心はそこにあるのだと言わんばかりに彼女は跳びはね伝える。
 合わせて、頭を飾る兎耳も忙しなく、ひょこりひょこりと揺れていた。
「信長軍の本隊もありましたがぁ、それは皆さんが無事に送り届けた下さったぁ、幕府の方々が抑えてくれていますねぇ」
 それが故、猟兵達が担うのは中枢への一刺し――織田信長が首級をあげることのみだ。
 とは言え、それが一筋縄でいかないであろうことは想像に難くないことだろう。
「信長はですねぇ、己の配下が力を憑装させてぇ、その力を振るって戦うようですよぉ」
 此度で言うのであれば、その力の源は復活を阻止された武田信玄のもの。
 風林火山に基づく力、甲斐の虎たる異名の具現、そして、武田騎馬隊の使役。
 それらを容赦なくと振るってくることであろう。
「その存在は強敵も強敵ぃ。防ぎぃ、凌ぎぃ、逸らす手管なければぁ、呑み込まれるはこちらとなるでしょ~」
 だが、ここまで歩みを重ねてきた猟兵達ならば、それを越えてなおと勝利を掴み取れる筈。
 今迄とて強敵の存在はあったのだ。それでも、猟兵達は越えてきたのだから。
「長きに渡る戦、その終幕の時は間近。その幕を下ろすのは、きっと皆さんの役目。ですので、私は貴方達を信じて送り出します」
 懐中時計より浮かび上がるはグリモアであり、鍵穴。
 カチリと銀の鍵を差し込み、捩じれば、別世界への扉が開く。
「それでは、ここまでの案内はハーバニー・キーテセラ。皆さんの旅路の良きを祈って」
 ――いってらっしゃいませ。


ゆうそう
 オープニングへ目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 まず、このシナリオは「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 武田信玄の力を宿した織田信長との戦いであり、オープニングにて触れたように、一筋縄でいく相手ではありません。
 特に、第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 戦場は魔空安土城の内部。
 とは言え、戦闘自体に大きな支障はなく、特別な仕掛けもないと思って頂けたら幸いです。
 エンパイアウォーの終息も最早目前。
 終わりを飾る皆さんのプレイング・活躍を心よりお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』信玄装』

POW   :    風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夕凪・悠那
第六天魔王『織田信長』
UDCアース日本ではお馴染みのラスボスだ
だからこそ攻略のし甲斐がある

騎馬軍団の先制突撃に対し、先頭の騎馬の眼前で『仮想具現化』した閃光弾を炸裂させる
精鋭揃いの騎馬隊でもこの[目潰し]は虚を突けるだろうし
馬をのけぞらせての足止めか、転倒させて後続の巻き込みを狙う

ネットの海ってさ、銃火器を扱うメイドって概念が簡単に見つかるんだよ
【電脳冥土】武装メイド隊を召喚
長篠の戦い―三段撃ちを機関銃で再現する
"武田軍属性"なら銃火器は特効なはずだ
そうじゃなくても制圧力で圧し潰して信長に牙を届かせる
後ろに控えさせた対物ライフルでね

…ちょっとシリアスみが薄れる絵面なのは、まあ仕方ない

アド絡歓迎


上野・修介
※連携、アドリブ歓迎
【覚悟】は既に在り。
刃も炎も恐れるに足らず【勇気+激痛耐性】

――ただ、心を水鏡に

「推して参る。」

調息、脱力、敵を観【視力+第六感+情報収集】据え、敵の体格・得物・構え・視線・殺気から間合いを量【学習力+戦闘知識+見切り】る。

真正面から最短距離を【ダッシュ】で間を詰め、捨て身の相打ち覚悟と見せて迎撃を誘う。

刃の間合い入る直前に地を打撃し、急ブレーキを掛けて斬撃を遣り過ごす【フェイント+だまし討ち】と同時にその勢いを利用し頭を飛び越え【ジャンプ】背後を取る。

UCで攻撃強化し【捨て身の一撃】による裏当てから寸勁で更に一撃【グラップル+戦闘知識+鎧無視攻撃+2回攻撃】を叩き込む。



「悉くを蹂躙せよ」
 言葉は静かに、飾らずに。故に、重く響いた言の葉のそれ。
 応じ、現れ出でるは、かつて戦国最強たる名を轟かせし、騎馬なる軍団。
 その名を武田騎馬軍団。
 まさしくと世界揺るがす蹄の音を響かせて、かの者達は遠き過去より駆け来たるのだ。
 その力は本来であれば武田信玄のものであったが、今はそれを纏う織田信長のもの。
 戦国の風雲児たる者が振るう、戦国最強の一角たる力。さて、それは如何ほどの脅威となることであろうか。
 だが。
「――だからこそ、攻略のし甲斐がある」
 ――それ故にこそ、心昂らせる者もあるのだ。
 それは夕凪・悠那(電脳魔・f08384)。
 彼女にとってみれば、織田信長という存在は現実というよりは遠いフィクション、その中にあるものであり、そこで触れるもの。
 故に、目前の存在が如何にと圧倒的存在感を放とうとも、それはTV画面の向こうにあるようで現実味は薄い。
 だからこそ、その圧に影響されることもなく、ただ泰然と己の為すべきを、攻略の糸口を探し出せるのだ。
 勿論、そこには彼女特有の離人感が、俯瞰した視界があったからこそとも言える。

 ――弾けるは閃光。塗りつぶす色は白。

 迫りくる騎馬隊の目前。その先頭の前にとカラリ転がる金属製の筒が1つ。
 瞬間、弾けたそれは世界を光と塗りつぶすのだ。
 馬は元来臆病な生き物。如何に鍛え、如何に御そうとも、本能を抑えきるなど不可能。嘶きと共に騎馬はその脚を止め、続く騎馬はぶつかり、転がり、ドミノ倒しだ。
 だが、侮ることなかれ。
「オオォォォォォォォォ!!」
 栄えある武田の騎馬隊。それに選ばれたるは精鋭の中の精鋭。
 倒れる仲間を跳び越え、躱し、火の勢いは留まることを知りはしないのだ。

「おっと、流石だね。でも、一瞬の時を得られたなら十分だ。――そうでしょう?」
「ああ、任せておけ」

 騎馬は跳び越え、躱し、それでも前へ。
 だがしかし、それでも一瞬とは言え進む速度が緩む時は確かにそこにある。
 ならば、その瞳――上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)が瞳は、その瞬間を逃そう筈もない。
「刃も、炎も、恐れるに足らず」
 その一歩にあるは覚悟のみ。
「――ただ、心を水鏡に」
 その瞳は揺れることなく、事実だけを見抜くのみ。
「――推して参る」
 故に、迫りくる火の勢いを断ち裂けるのだ。
 障害跳び越え、着地をした瞬間の騎馬が頭を打ち砕き、流れるようにと騎手たる武者を掴み、他へと投げぶつける。
 投げ捨てた者の行方など気にする間もなく、その脚は淀まず、横腹晒す無防備なる者を穿つのみ。
 殴り穿ち、蹴り飛ばし、勢い止めるは修介が1人による馬防柵。だが、それでも全てを止められる訳ではない。1人の手で出来る事には限界はやはりある。
 しかし、それで十分なのだ。一瞬だけであった筈の時を、引き延ばし、一瞬を数拍へと変えられたのならば。

 ――戦場の風靡くは清楚なる黒。戦場の香りに染まらぬ、清廉なる白。

「貴様も、召喚の儀が行えるか」
「それとは、また少し違うのだけれどね」
 それは引き延ばされた時を用い、悠那によって電子の海からサルベージされた、メイドという概念が形をなした者達。
 そして、その手にあるのは。
「武田騎馬隊の末路は、織田信長であるキミなら良く知ってるだろう?」
「――!」
 ――火縄銃ならぬ機関銃。
 ならば、そこから吐き出される弾丸の幕は長篠で行われたという合戦の比に非ず!

「――さあ、さっそくだけど、お仕事よろしく」

 騎馬隊の響かせた蹄の音。それすらをも覆すような火薬の吐息。
 その清楚さからは予測も付かない破壊の奔流は、その激しさに違わぬ蹂躙を見せていく。
 だが。
「確かに。武田の者達だけであるならば、その末路は長篠と変わらなかったであろうな」
 ――吹き荒ぶは嵐。敵にとっての向かい風。味方にとっての追い風ともなる。
 そして、この場合において敵とは猟兵であり、味方とは信長方のこと。
 信長背負うは風林火山の旗印、その具現たる武具の数々。その1つより放たれる超常の嵐が、弾丸の火勢を弱め、その威力を十全と発揮させはしないのだ。
「この信長を前にして、長篠の焼き直しを行おうなど、愚かよ」
 風は火を煽り、その火勢を更にと強めるもの。
 追い風を受けた騎馬は馬防柵たるを踏みつぶし――否、騎馬止めたる修介の姿は既にそこにはない。

 ―― 一瞬の時は数拍に。数拍の時はひと時に。

 口元描いた弧は誰のものであったか。
「そうだね。ボクだけの牙じゃあ、届かなかったのかもしれない。だけれど――」
「――俺達はお前のように1人ではない」
「喉元まで迫るか」
「迫るだけではない。その首を貰い受ける」
 それは弾幕を隠れ蓑とした修介が一騎駆け。
 解き放たれた矢が反転し手元へと戻れぬように、解き放たれた騎馬隊もまた即座には反転出来はしない。
 2人が引き延ばし、もぎ取った時間の成果。修介が信長と一騎討ちを果たすだけの時間がここに。
 信長の手に引き抜かれた刃が炎を灯す。
 その熱は世界を焼くようにチリチリと熱を伝え、吸い込む空気を熱く熱くと感じさせていた。
「蝋燭に火を灯した程度だな」
「だが、羽虫を焼くことぐらいは出来よう」
「出来ると思うか?」
「確かめてみるがいい」
 振るう刃の炎が故に、如何な修介の拳と言えども打ち払うは困難。
 とは言え、それで止まる脚は持ちえぬが故に激突は必至。
 そう思われた瞬間であった。

 空気を焼き焦がし、断ち割るようにと修介の軌道目掛けて振るわれたは信長が刃。
 それが瞳のすぐ目前を過り過ぎる。名残の熱に、チリと目が乾く。
 だが、一騎駆けからの勢いを『わざと殺す』踏み込みが、彼の命を繋ぎ、更なる行動へと繋いでいく。
 ――跳んだ。
 無理矢理に殺した慣性が、己の身体を前へと押ださんとする。その勢いを上へと変えて、その身は宙へ。
 宙泳ぐ中でも逸らさぬ視線は信長を捉え続け、着地と共にその拳は信長ががら空きの背中へ。

 激突と見せかけたのはフェイント。全ては、虚をつく為の。
 そして、拳に響きたるは硬い衝撃。妨げたのは黒曜石の。
「見事なる体捌き。されど、今一歩――」
「足らないって言いたかった?」
「――なん、ぐっ、おぉ!?」
 それは彼方よりの咆哮。嵐を越え、騎馬の壁を抜け、辿り着いた一矢。
 騎馬を挟むが故、嵐の壁があるが故、最早取るに足らぬと信長が意識の外に置いていた、悠那からの。
 視線を向けた先で、長大にして巨大なる、信長の見たこともない銃を構えたメイドの姿。その銃の先から立ち上るは名残の煙。
 それは悠那が用意していた、機関銃の影に隠す本命たる牙。
「言っておいただろう。俺達は1人ではない、と」
 対物ライフルの衝撃に信長の身体が泳ぐ。
 宛がわれるは修介の拳。
 ――寸勁。
 今度こそ、修介が拳による衝撃が、鎧を越えて信長の身を貫いた瞬間であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
階下で命を燃やす幕府軍、この地で「今」を生きる全ての人々の為
その野望、騎士として阻ませて頂きます

風林火山、飛翔からの斬撃…屋内である以上飛行ルートは限られる筈
●暗視とセンサーでの●情報収集から接近ルートを●見切り、●怪力●武器受け●盾受けで装備を犠牲に防御
接触時に押し負けぬ様、床を●踏みつけ脚部パイルを作動し●串刺して姿勢を安定

凌いだらワイヤーアンカーの●だまし討ち●ロープワークで捕縛
UCを翼と鎧に撃ち込み凍結させて動きを封じ、超重フレームの鉄爪展開の貫手で凍った鎧を●鎧砕きし●串刺しを狙います

貴方の部下に乱破と評されましたが、人々の未来を守れるなら苦ではありませんね
なりふり構わぬ戦法ご容赦を


アララギ・イチイ
可愛い美少女だったら食欲が沸いたのだけど、喰らっても美味しく無さそうだわぁ

先制攻撃対策、UC発動までの【時間稼ぎ】として、前衛に戦闘人形フギン・ムニンを押し出して迎撃戦させるわぁ

なお、突破される事を想定してシールドシステムを光学【迷彩】で隠蔽した状態で自身の周囲に浮遊させて、敵の攻撃を【見切り】、【早業】の【盾受け】防御よぉ

【選択UC】を発動したら、その加速力を活かして攻撃するわぁ(【念動力】で姿勢制御、慣性制御
爪の攻撃には【毒使い】で【マヒ攻撃】の毒を塗り、敵の動きが鈍ったタイミングで最大加速力の【捨て身の一撃(反動による肉体の負傷を無視)】刺突で【串刺し】攻撃よぉ(虎、信長、狙い易い方で



 突き抜ける衝撃に崩れる態勢。吹き飛ぶ身体。
 しかし、それでもと刃を床へと突き刺し、即座に態勢を整えたのは流石か。
「流石はここまで辿り着いた剛の者たちよ」
 刻まれた傷を確かめるように身体動かし、2度3度。
「可愛い美少女だったら食欲が沸いたのだけど、喰らっても美味しく無さそうだわぁ」
 其処に響いたは艶やかなる。
 信長の視線の先に咲くは華一輪。煙管の先より紫煙燻らせ、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)は辟易とも言わんばかり。
「で、あろうな。儂など喰らったところで、毒にしかなるまい」
「それに筋張ってて硬そうだものぉ」
「ふっ、ははははっ。女子と同じ柔らかさは、流石に持たぬな」
「脂肪が付いたところで、不味そうなのは変わらないけれどぉ」
「ならば、お主が餌となるが良い」
「――フギン! ムニン!」
 言の葉の刃が応酬。
 その緊張感は臨界へと至り、現れ出でるは白き虎。それは武田信玄が化身であり、荒ぶる魂の具現。
 現れると共にそれは信長を背に乗せて地を蹴り、アララギが喉元食い破らんと跳びかかるのだ。
 だが、それを座して待つイチイでもなし。
 迎え撃つは前鬼後鬼ならぬ、大槍と大楯構えるフギンであり、機関銃の2挺を携えるムニンが2体の自動人形。
 地を滑るようにと駆ける2体と1匹。
 激突の口火は、銃火の洗礼が響き渡ることで切られたのである。
 軌跡残す火線は真っ直ぐにと白虎を捉えんとし、しかし、それに捉われんと白虎もまた地を蹴る。
 それを待ち受けるは大槍の一閃であり、地を蹴り、宙に身体泳ぐ白虎の身を穿たんと。
「ガァァァァッ!」
 ――だが、その槍の穂先は黒色にと阻まれる。それは黒曜石の。
 風林火山が力は本来信玄のものであり、化身たる白虎が使えぬ道理もまたなし。それ故に。
 黒色の壁をそのままに、白虎は鬩ぎ合うフギンをと地に押し倒すのだ。
「他愛なし」
 そして、その身体を貫き砕かんと、白虎の牙が、信長の刃が抑えつけるフギンの身を穿たんと。

「出番よぉ」
「ええ、了解していますとも」

 ――するより前に、その脅威は姿なきナニカにと阻まれる。いや、吹き飛ばされるようにと距離を取ったと言う方が正解か。
「何奴か」
「階下で命を燃やす幕府軍、この地で『今』を生きる全ての人々の為――」
 響くは誰何の声。答えるは冷たき響き。
 揺らめく景色が茫と輪郭を持ち、その奥より現れる彩は白銀。
「――貴方の部下に乱破と評されましたが、その野望、騎士として阻ませて頂きます」
 数多の声を背に負いて、ここに白銀なる騎士――トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が姿を見せたのである。
「乱破みたいな登場の仕方だったけれどねぇ」
「……言わないで下さい」
 その登場の仕掛はアララギによるもの。
 フギンとムニンの自動人形とは言え、それだけで敵を抑えきれるかは不明。故に、更なるとして、光学迷彩を施したトリテレイアを配していたのである。
 叶うならば隙を突いての一撃となれば良かったのであろうが、アララギの危惧の通り、自動人形2体のみでは信長を抑えきるにはやや足りず。
 それ故に、彼我を隔てるためにと彼は姿を現したのだ。
「ほお、ただの絡繰人形かとも思えば、それもまた猟兵か」
「その通りです。そして、貴方を止める者です」
「者達、でしょぉ?」
「そうでしたね。止める者達です」
「渡来人達の技術ともまた違う。面白きものよ」
 だが、今はそれを踏み越えねばならぬのは互いに同じ。
「――では、諸共と踏み砕こう」
 生じるは虎に翼。比喩ではなく、まさしくと。
 それは嵐を呼ぶ翼でもあり、その身を風の如くと運ぶ翼でもある。
 そして、吹き荒れるは暴威の風。
 ただし、それはただの風に非ず。思考を持ち、時に上から、時に左右からと、吹き抜ける方向を変える、超常の。
 それは並の目で追えば、その動きに翻弄され、気付けば虎の腹の中。
 だがしかし。

「屋内である以上、その動きは限られるもの。例え、それがアナタであろうともです」

 ――トリテレイアが並であろう筈もなし。
 屋内全体へと奔らせた知覚。高さは、横幅は、障害物の有無は。その全てをその身へと内包し、今やこの広間においてトリテレイアの知らぬところはなし。
 故にこそ。
「……儂の動きを見切るか」
「予測が付くのであれば、如何に早かろうともです」
「ならば、そのままと押し切ってくれよう!」
 ――その仲間を護り、その攻撃を受け止めるもまた可能。
 ガチリと大楯に喰い込んだ白虎の爪が、耳障りな音を響かせる。
 押し込む圧はより強く。しかし、トリテレイアとてその身体に宿す怪力に劣るところなどはなし。
 己に宿す機構の全てを使い、押し込み、押し返し、白銀と白との鬩ぎ合い。
 だが、ここにあるのは2人だけではないのだ。
「化身とすら鬩ぎ合う力、恐るべきものよ。だが、化身だけが儂の力ではないぞ」
「それは、こちらもよぉ」
 刃が、爪が焔を宿し、その熱をもってトリテレイアの盾を破らんとした時、奔ったのは嵐吹き飛ばす疾風の一陣。
 アララギによる影すらも追い付けぬと思わせる程の動きが、その正体。
 薬を用いて限界を超え、悲鳴を上げる己が身体は戦いへの喜悦で持って黙殺し、彼女はその身を風と変えたのだ。
 長く、鋭くと伸びた爪は艶やかに。滴り落ちる雫は獲物の身体を裂いたが故か、色に紅を滲ませて。じわりと白虎が身体に滲んだ紅はその証明か。
「――ぐっ、ぬぅ!?」
 ドクリと、信長の心臓が早鐘と脈打つ。
 それは化身たる白虎との命の繋がりを持つが故、痛みを、負った傷口より流し込まれた麻痺毒を、共有してしまったために。
 廻る毒に力の流れが阻まれる。それは、つまり、均衡の崩れる時を示すもの。
 大楯の向こうで、ひと際と強く緑の光が瞬いていた。

「……人々の未来を守れるならばこそ。なりふり構わぬ戦法、ご容赦を」
「そうか、お主は絡繰であったな。ふははっ、その手管、乱破に相違あるまいよ」

 ――そして、その身に格納されし銃砲が牙を剥く。
 それは白虎抑え込む手とはまた異なる、トリテレイアの手足たる銃火器。
 今、そこから吐き出されたのは捕縛のためのワイヤーアンカーであり、動き封じるための凍結弾。
 それは白虎を穿ち、翼を穿つ。惜しむらくは白虎の背を蹴り、跳んだ信長までもを巻き込めなかったことか。
 パキリ、パキリとその身を蝕むは絶対零度。
 苦しむように白虎は吼え、信長は距離取った先で共有する痛みと冷たさへ耐えるようにと眉間へ皺を寄せる。
「さぁ、最大加速でいくわよぉ~」
 狙う獲物はより取り見取り。
 ならば、より確実に。そして、可愛い子を押し倒してくれた白虎にしてくれよう。
 風が吹き、風が吹き、風が吹いて、吹き抜ける度にと血風が舞う。
「そぉ~れ、パスいくわよぉ~」
 止めとばかりにその身を蹴り上げ、ボールのようにとトリテレイアの方へと。
 白を紅と染め上げた身体。蝕む氷は既に全身へと回りつつ。
「超重フレーム、鉄爪展開」
 ガチリと四肢の機構が動き、その指先は何物をも穿つ槍の如く。
「――騎士に相応しくないと謗られようと、護るものの為とあらば幾らでも甘んじて受けましょう」
 彼の目指す騎士とは在り方だ。
 そのための行動が乱破のようにと見えるのならば、それもまた受け入れよう。
 だが、心に秘めた想いだけは決して曲げず、曲がらず、曲がらせず。
 その真っ直ぐさを示すかのように、トリテレイアの貫手が白虎の身体を穿ち抜き、その身を粒子と還すのだ。白虎に齎された痛みと共に、信長の身体へと。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ファン・ティンタン
【WIZ】過去は過去へ
【ヤド箱】

御館様の登場だね
道中でも誰彼へ言ってきたけど、あなたに何か思うこと、私には無いんだよ
でも、ここは、今や私の居場所
私は私のために、あなたを倒す

【精霊使役術】で泥田坊召喚
彼らへの魔力供給は、多めに

騎兵の長所は強力な突進力
御館様は過去、攻略を自ら為したんじゃないかな?
地を制し、うねり荒らぶる泥濘の波濤をもって人馬を絡め、矛先を遮る
隙あらば泥波に混ざる礫を自らの【念動力】にて敵群へ【投擲】し、穿ち貫く
もっとも、泥波は敵を抑えるための手段
本命は―――語、任せるよ

攻撃の要たるペインと守り手のクラウンは最重要
泥田坊に言い聞かせて私の方でも支援しようか

…さ、ペイン、行っておいで


ペイン・フィン
【ヤド箱】

まずは、全力で集中しての、回避

情報収集、世界知識を中心に
第六感、聞き耳、視力で感覚を研ぎ澄ませ、敵の行動を読む
見切り、早業、残像で全力回避
回避後に目立たない、迷彩、忍び足で、視界から逃れよう

あまり、長くは持たないかもしれない
でも、一瞬
コードを使う時間が稼げたら、即座に使用する
鎧無視攻撃を、苦しんできた兵士の怨念と恐怖で
属性攻撃を、虐げられた民の憤怒と憎悪で
恐怖を与えるを、無力だった人の悲哀と絶望で
技能を強化し、高める
……戦いによる負の感情
それから生まれた、鎧を無視し恐怖を与える炎が宿った焼き鏝を振るって、攻撃する

……さあ
お前達がもたらした炎だ
……かつてと同じく、焼かれ、終わると良いよ


クラウン・アンダーウッド
【ヤド箱】

お会い出来て光栄だよ、ノブナガ殿。短い間だけど楽しんで逝ってくれたまえ!

敵の◆情報収集を行いながらからくり人形達と◆空中浮遊◆空中戦による空中機動で戦闘を開始。◆オーラ防御で固めた衣服で攻撃を受け流し、危険な攻撃は◆第六感で予期して◆拠点防御でシェルター並みの強度のカバン型移動工房で防御する。

さぁ、お見せしよう。ボクの人形(子供)の能力を♪露払いはこの子にお任せ!α!防護障壁展開!

α(個体名)を中心に無敵のバリアーを展開、動けないα自身をボクがお姫様だっこしながら移動してペインさんをエスコート。
他の人形達は収集した情報を基に敵の死角や弱点等に投げナイフを◆投擲してハラスメント攻撃。


落浜・語
【ヤド箱】で

さてさて、今までに比べたら見た目は真っ当そうなお方で
ここまで来たんだ
きっちり熨斗はつけるんで、お帰り頂いてだな
二度と出てくるな

先制攻撃は【第六感】と【戦闘知識】に頼りつつ、目でも追える限りは追って躱し、躱し切れない分は【激痛耐性】で耐える。

あい、任された。『人形行列』を使用。あちらも数は多いが、同じく数なら自信があるからな。
壊すなよ。壊したら泣くぞ?
爆発による爆風と火【属性攻撃】での【範囲攻撃】で敵は全て巻き込む。
今までいろんなものを破壊し、燃やしてきた270体分の爆発、甘く見るな。とっとと彼らの道を開けてもらおうか
俺の目的は敵の数減らしと攪乱が目的なんで。
最後は頼むよ、フィンさん



 蹄が音をかき鳴らし、嘶きが戦場を塗りつぶす。
 それは武田の騎馬軍団。いや、今は織田信長の、と言うべきか。
 戦場解き放たれたそれが猟兵達を信長より引き離さんと、再びに地を駆けるのだ。
 それへと立ち塞がるは影1つ。
「過去は過去へ。ここは、今や私の居場所なんだ」
 だからこそ、織田信長自身に思うことはなくとも、彼女――ファン・ティンタン(天津華・f07547)はそこに立つ。
 少しだけ変わった心。今を生きるからこその変化。そして、未来を想うが故に。
 だが、如何な猟兵たる身であろうとも、その身1つで騎馬隊の突撃を止めるは困難。
 故にこそ。
「お会いできて光栄……と言いたかったところだけれど、これじゃあ届きそうもないね」
「さてさて、ここまで来たんだ。やってくれたことは熨斗付けて返さないとだな」
「……そのためにも、まずは全力で集中しての、突破を」
 ――彼女には頼もしき仲間と共に、ここにあるのだ。
 それは時計仕掛け、機械仕掛けの道化師たるクラウン・アンダーウッド(探求する道化師・f19033)。
 それは語り騙る、言の葉の担い手たる落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)。
 それは仮面の奥底に宿す、痛みへの嫌悪と喜悦の二律背反たるペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)。
 集いも集いたるは、ファンを含めたヤドリガミが一集団。
 百鬼夜行の趣とは異なれど、揃い立つ4人の心に根差した目的は同じく。
 即ち。
「私は私のために、あなたを倒す」
 ――織田信長の打倒。それ1つ。
 それぞれが決意を心に秘め、表すは己が刃を持ってして。
 ここにまた1つの戦いの幕があがる。

 各自散開し、各々の回避行動を取る中で、ファンは静かにその左眼のみを迫りくる者達へと向けていた。
「騎兵の長所は強力な突進力」
 ならば、その騎兵の武器たる突進力を削ぎ落すにはどうすればよいのか。
 ――そう、脚を殺せばいいのだ。
 地を駆ける脚を、踏みしめる大地そのものを。
 だが、彼女自身だけでそれを為しえるものではない。だからこそ、彼女は、フィンはこの世にある遍くへと語り掛ける。
「森羅万象に宿る精霊達よ、私の声を聞いて頂戴」
 ――ただただ真摯に。その白き彩と同じ、穢れなき祈りを。
 しかし、それが形成すよりと速く、蹄の音はよりその音を響かせて。
 されども、祈りは淀まずに。

「おっと、折角の舞台だ。こちらも見ていて損はさせないよ」

 立ち塞がるは数多の影であり、壁。
 それはクラウン操るからくり人形達の演芸団。
 滑るようにと浮き動き、カタリカタリとその身を鳴らして人形達のパフォーマンス。
 それは突撃を前にしてあまりにも滑稽であり、無防備。ただ、風に吹かれる塵の如くと突撃に散らされるのみ。そう思われていた――猟兵達以外には。
「――!!」
「はははっ、見て損はさせないとは言ったけれど、そんなに詰め寄るものではないよ」
 人形を通して集められたオーラが簡易の障壁となり、突撃の勢いを減じさせていた。
 その区切りは、まるでステージ上と観客席とを隔てるかのように。
 クラウンの指は旋律を奏でるようにと動いて、跳ねて、合わせてカタリカタリと人形が舞い踊る。
「――っと、前座はひとまず終幕を。ここからが本番さ。短い間だけど、楽しんで逝ってくれ給え!」
 そして、クラウンの稼ぎ出したそのひと時が、仲間の本領を発揮させる時へと繋がるのだ。

 ――ずぶりと、蹄の脚が泥濘に沈んだ。

 それはファンによる祈りの実り。
 森羅万象。地の精霊。その具現たる存在の召喚を示す先触れ。
「道化の演目の次は泥遊びの時間さ。童心に帰ってもいいんだよ?」
 現れ出でるは泥が形作りし、異形の姿。
 どろりどろりと泥濘零し、己が領域を広げていく。その領域が広がれば広がる程に、騎馬の脚は呑み込まれ、土塊の中。
 藻掻き、動けぬ姿はまさしく幼少のみぎりに遊んだ泥遊びのように。
 そして、それは泥であるが故に刀で刺そうが、槍で刺そうが、痛痒などあろう筈もなく、逆に泥の中へとその持ち主を取り込んでいくのだ。
 だが、足止めだけでは織田信長が牙城は崩せない。
 それ故に。

「本命は――語、任せるよ」
「あい、任された」

 ――クラウンが人形とはまた異なる、小型の人形の群れが泥の中へと躍り出るのだ。
 それは語によって生み出された人形の行列。
「あちらも数は多いが、同じく数ならあるからな」
 その数は召喚された武田騎馬軍団に劣らぬ程の。
 規則正しく列を整え、1、2の3での大号令。我ぞ先にと泥の中。
「嗚呼、大人しく討ち取られてくれよ。壊したら――」
 泥濘に足取られ、それでもと騎馬軍団達は泥田坊へと同じようにと抵抗を試みる。
 その抵抗は当然であり、戦闘能力がそこまで高くはない人形達は容易くと身を穿たれ、斬られ、動かぬ身体を晒すのみ。
 その呆気なさは思わずと目を瞬かせるほどの。
 だが果たして、それで本命と言えるものなのだろうか。否である。
「――泣くぞ?」
 さて、それは誰が泣くこととなるのであったか。

 ――泥の中で爆炎の華が咲いた。

「あ~あ~、言っただろうに」
「相変わらずの……」
「いや、俺はちゃんと注意したからね? 壊したら駄目だって」
 語る姿はあっけらかん。
 そして、人形1つ砕ければ、2つ3つ……続けざまにと連鎖して、瞬く間にと広がる華の乱。
 その中に呑み込んだは悲鳴か、断末魔か。
 それこそが本命と言われた役割が1つ。
 総数にして270体。その連鎖爆発は武田騎馬軍団を壊滅させるに余りある程の。
「俺達の目的は敵の数減らしと攪乱が目的なんでね」
 残り香のようにと黒煙靡くその向こうで、信長の姿が確かに垣間見えていた。
 ファンが足止め、語が道を切り拓く。その見事なる結果がそこに。
「さてさて、今迄に比べたら見た目は真っ当そうなお方で。だけれど、もうお帰り頂かないとだ」
 しかし、それは語の役目ではない。
 彼の役目は、自身が語ったようにと攪乱と数減らし、そして、道を切り拓くこと。
「ここからの出番は次に譲るとしようかな。それを目に焼き付けて、二度と出てくるな」
 ――最後は頼むよ、フィンさん。
 そして、最後の欠片が今、動き出す。

 怨嗟の声が聞こえる。
 それは長きに渡る戦いの中、傷つき、倒れた兵士の怨念と恐怖の声。
 怨嗟の声が聞こえる。
 それは戦に巻き込まれ、虐げられた民の憤怒と憎悪の声。
 怨嗟の声が聞こえる。
 兵士も、民も、誰彼も問わず、ただ無力を嘆くしかなかったモノ達の悲哀と絶望の声。
「……どこも、かしこも、誰も、彼も、怨念の、酷い匂いがする」
 苦痛と恐怖を与える拷問具が1つ、指潰し。そのヤドリガミたるペインであるからこそ、ヒトの痛みに対して、誰よりも敏感であったのかもしれない。
 修羅の巷に渦巻く感情を、声を、余さずとその身体は拾い上げてしまう。
 それはともすれば、己自身をも蝕む程の呪いでもあろう。
 だが、それを彼は仮面の奥に仕舞いこみ、今はと力に変えて信長の喉元へと至らんとするのだ。
「怨念か。付き纏うものであろうよ、儂のような者には!」
 だからどうしたと言うのだ、と。
 踏みつぶした命は数多。嘆き齎した数も数多。しかし、それが信長の覇道となっているのだ。
 今更とそれに囚われるものではない。
 生命を共有した白虎の喪失。その代償による力の欠如。武田騎馬軍団を盾にした時間をもって立て直し、再びの偉丈夫が姿を彼は見せつけるのだ。

「……戦による、負の感情。それから、生まれた炎が、お前を焼く」
「今更に焼かれずとも、この身は既に劫火そのものよ!」

 灯りし炎の輝きは2つ。
 1つは幽鬼の如く青白きペインの炎。
 1つは赫赫と燃ゆる信長が炎。
 そして、先にと奔ったのは赫色。
 それは全てを燃やし尽くさんとする程の熱量であり、怨嗟も希望も、何もかもをすら呑み込み無に帰す劫火。
 対するはずのペインが青白き炎は、未だと種火の如く燃ゆるのみ。
 赫が青を呑み込み、塗りつぶした。
 だが。

「α! 防護障壁展開!」

 ――響いたは道化師の声。輝いたは赫を払う輝き。
 輝きの向こうで、クラウンがαと名付けられた人形を抱え、笑みを浮かべていた。
 王の愚行を嗤う者あるとすれば、諫める者あるとすれば、それは道化師が役目。
 怒りも、絶望も、嘆きも、何もかもを吹き飛ばして笑うは道化師が役目。
 そして、道化師は――クラウンはお道化たようにと手を振って、2度3度。
 その度にと増える手の内のナイフ。
 それをどうするのか? 決まっている。

「ああ、これへの拍手喝采は無用だよ」
 ――風奔るは鋼の煌き。

 投げるのだ。
 目にも止まらぬ速度のそれが目を、喉を、心の臓をと目掛けて奔った。
「鬱陶しい! ――ぬぅっ!?」
 だが、それを呑み込む信長が炎の壁。溶け消える鋼の彩。同時、弾けるは閃光。
 クラウンが投げたのはただの投げナイフ。であれば、誰が?

「言っただろう? 俺の目的は数減らしと――攪乱だって」

 信長が炎と同じ色でありながら、そこに込められた意図は異なるもの。
 そう、その閃光たる正体は語が人形行列の残り火。
 クラウンのナイフを隠れ蓑に、信長が炎の中にそれを取り込ませていたのだ。
「出番を譲るとは言ったけれど、退座するとは言ってないからね」
 語る言葉のいけしゃあしゃあ。
 備えのなかった中での突然の閃光は信長の眼を潰し、ぐらり身体を揺るがせる。
 そして。

 ――青白き種火が戦場渦巻く感情を薪として燃え上がる。

 次第に戻る視界の中で、信長はそれを視た。
「……さあ、お前達がもたらした、炎だ」
 轟轟と響き渡る炎の逆巻く音は怨嗟の声。呪い、軋むは己が身体。

 ――……さ、ペイン、行っておいで。

 遠くで誰かの、心近き誰かの、声が聞こえた。
 嗚呼、ならば、ペインがその嘆きに呑み込まれることはない。呪いに囚われることはない。
 そっと背中押す声に導かれるように、仲間の切り拓いてくれた道を歩むように。
「……かつてと同じく、焼かれ、終わると良いよ」
 それは無力なる者達の代弁。
 例え、偽善と言われようとも、思われようとも、己自身が思おうとも、ただ己に出来ること。
 そして、世に蔓延する嘆きの声は、確かに信長の身体へと届いたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
これが魔王……第六天魔王、織田信長……
凄まじいプレッシャー……!

強化された【視力】と豊富な【戦闘知識】により炎の刀による攻撃を【見切る】
聖槍に纏った炎(属性攻撃・オーラ防御・火炎耐性)で相殺しながら受け、敢えて吹き飛ばされることで距離を取り、ユーベルコードを使う時間を稼ぐ

【転身・炎冠宰相】で白き翼の姿に変身
魔王よ、その傲慢こそが己が身を焼く炎と識れ――!

飛翔能力による機動戦を仕掛ける
【怪力】を以って聖槍を振るい打ち合いながら、本命は樹木の翼(部位破壊)
飛翔中に翼を失いバランスを崩したところへ、全力で突撃し突き穿つ(ランスチャージ・鎧砕き・串刺し)
【全力魔法】で炎を解放し、内側から焼き滅ぼす


御堂・茜
戦乱の中に在りて人望厚く
民に家臣に慕われた信玄公
わたくしの目標とする方にございます

【気合い】と【覚悟】を籠めた【オーラ防御】で身を固め
刀にも気合いを纏わせけして折れぬよう

初手は武士の【第六感/野生の勘】による読みで致命傷を避け
後手に回れどUCで御堂家鉄砲隊を召喚
信長様を取り囲むように配置します

以降はどれ程傷つこうと【ダッシュ】で【武器受け】に走り
信長様を抑える事に集中
家臣には指一本触れさせません!

身分に関わらず戦に命を賭けぬ武士は敬われぬもの
信長様はわたくしが受け持ちます!
家臣を【鼓舞】し装甲の薄い箇所を狙った
命中重視の射撃で確実な傷を

隙が見えれば自ら一太刀を
御堂家流風林火山、ご覧下さいませ!



 燃ゆる青の炎が、ぱちりぱちりとその火の粉を零す。
 直撃。
 ただしくそう見るべきであり、勝敗は決した。そう見るべき状況。
 だが、猟兵達はその武装を解かず、張り詰めた空気は緩みはしない。むしろ、その度合いをより一層と高めているとすらいえた。

 ――瞬間。火の粉が赤へと変り、吹き荒れるは炎舞。

 カツリ、と、硬質なる音が鳴った。
 炎の中に見えるは影。黒き影。
 再び、カツリ、と、音が鳴った。
 影は大きく、濃く。
 そして、三度。
 炎より現れ出でたは、信長が姿。しかし、その身体は最早満身創痍と言って間違いはない。
 熱により黒ずんだ肌。黒曜石の鎧は焼け焦げて絢爛さは鳴りを潜めて。
 だが。

「……儂の身も、最早終わるか」

 ――そこから放たれる圧は、より一層と増している。
 猟兵達の脳裏へと不意に思い浮かぶは、手負いの獣。その言葉。

「これが魔王……第六点魔王、織田信長……凄まじいプレッシャー……!」
 戦慄と共にそれを迎え撃たんとするはオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)。
 手にした聖槍の輝きは負けずとあるが、それでも握る手の内にと滲む汗はその緊迫感を示すかのよう。
 だが、退けぬ。退けぬのだ。
 例え、かの身が既に限界を超え、放置しておいてもいずれと消え去ると知っていたとしても、その消える間に如何ほどの被害が出ることか。
 それを思うが故に、彼女は己を叱咤し、脅威へと抗するのだ。
 そして、オリヴィアに並び立つは御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)。
 しかし、彼女の視線は信長ではなく、その背後へと注がれていた。

「戦乱の中に在りて人望厚く、民に、家臣に慕われた信玄公。わたくしの目標とする方にございます」
 その眼差し注ぐところは白虎の姿。
 そこに込められた彩は、果たして憧憬の彩か。
 だが、それに応える声はなく、虎は虎として吼えるのみ。
 ふるりと頭を振った亜麻色が揺れた。
 かつて――否、今もすら憧れを抱く相手も今やオブリビオン。その存在である以上、それはつまり世界平和を脅かす者となることを示すもの。
 胸には憧れを。瞳には決意を。手には力を。
 織田信長を、ひいてはそれの宿せし武田信玄を討たんと、彼女もまた戦場にて立つのだ。

「はははっ、なんとも……最後の時を思い出す」
 強き眼差しの2つを受けて、信長は過去たる己が身の最後を想う。
 あの時も、確かに自身を討たんと決意した眼差しがあった、と。
 だからこそ、彼はこんどこそとそれを否定せんと動き出す。己のみが終わる前に。

「――! 来ます!」
「如何な一撃であろうと、この御堂、受け止めて見せましょう!」

 信長が刃の纏う劫火は容易くと鉄すらをも溶かすもの。
 故に、刃防いだとて、その熱は受け止めた者を炙り、苦痛齎すものであった。
 だが。

 ――ガチリと噛み合う鉄の音。

 それは無為無策であればこそ。
 受け止めたるは茜が刃。
 それ以上は進めさせぬと、己の魂を賭すかのように、武士が気高き魂を持ってそれを受け止める。熱による痛みも覚悟の上で。
 しかし、待てども皮膚焼く痛みはなし。
 あるのは陽だまりが如き暖かさ。
 そう、炎扱うは信長のみに非ず。
 オリヴィアとて聖炎繰る戦乙女であり、炎の担い手として負けてなどはいない。
 その身より零れるオーラが融け合い、交じり合い、加護となりて信長が劫火から2人のその身を守っていたのだ。
「止めるか! この刃を! 劫火を!」
「止めるのは刃のみではありません!」
「世界燃やさんとする程の信長様の炎、我ら一丸となりて止めさせて頂きます!」
 猛る程に燃ゆる熱。空気は焼き焦げ、焼き付いて。
 しかし、それでも2人は退かぬ。
 むしろ、それに応えるかのようにとそれぞれの力を解き放つのだ。

「魔王よ、1人で全てを燃やし尽くさんとするその傲慢こそが己が身を焼く炎と識れ――!」
 輝きは白く。赤を越えてなお熱きを示す白へ。
「人は城、人は石垣、人は掘! 正義の戦をお見せいたしましょう!!」
 1人抗い続ける脅威へ、その身が憑装した存在の言葉を示し、結集することの力を示さんと。

 ――転身・炎冠宰相!
 ――風林火山!

 現れ出でたるは純白の天使。
 現れ出でたるは御堂の名に集う者達。
 戦いへの終止符を打たんと、最後の幕は切って落とされたのだ。

 銃火が奔り、嵐は吹き荒ぶ。
 それは御堂の鉄砲隊が零した嘶きであり、それに抗さんとした信長の羽ばたき。
 そして、羽ばたきは銃弾を蹴散らし、そのままにと鎌鼬の如く家臣団の身を切り裂かんと。

 ――身を裂く風の中、春色が舞った。
「家臣には指一本触れさせません!」

 それは主として、武士として、己が口にした言葉を体現せんとする者として。
 茜が大太刀の刃が逆巻き、嵐とぶつかり突風を生む。
 大の大人であろうと思わず圧される程の風の中、靡く彩は不動。
 その背中のなんと頼もしきことか。
「信長様はわたくし達が受け持ちます! 故、皆様は確実にかの身を捉えることに集中してくださいませ!」
「はっ……なんと小癪なことよ。だが、吼えるだけのことはあるか。しかし、いつまでと持てるか?」
「いえ、吼えるだけではありません。守るだけでもありません」
 差し込みたるは影。
 樹木の翼にて吹き下ろす嵐の中、輝く白は物ともせずと風の中を駆ける。
 振るわれた槍の一撃。受け止めるは刃。鉄の軋みが轟き響く。
 一合、二合、三合……軋みの音は強く、強く。
 交る様にと銃火が吼え、信長が身体は、武装は削られていく。
 そして。

「でぇぇぇやぁぁぁぁぁ!!」

 ――響く声の大音声。
 気合の一閃。全力の一撃たるオリヴィアのそれは、軋む刃を砕き折る。
 ぐらりと衝撃に信長の身体が揺れ、眼は静かに閉じられる。
 まるで、と己の運命を受け入れるかのように。

 ――風は凪いだ。

 一瞬の静けさを掻き消すかのように、黄金の炎はより強さを増していく。
 家臣庇う必要のなくなった亜麻色が、此度は己の起こす風に揺れる。
「魔王よ、炎の中に還りなさい!」
「御堂家流風林火山、ご覧下さいませ!」

 其の疾きこと風の如く。
 其の徐かなること林の如く。
 侵掠すること火の如く。
 動かざること山の如し。

 機を見、機を逃さず、機を得たり。
 オリヴィアが槍は過たずと黒曜石の奥にある心の臓を穿ち、茜が一閃は斬鉄の如くと鎧ごとに断ったのである。
「これが儂の終わりであるか」
 零れた言葉はたった一言。
 2人の耳に言葉が届くと共に、信長の身は燃え尽きるようにと消えていく。
 燃え尽きる瞬間の炎はひと際と大きいもの。そして、消える瞬間はあっけない程に儚いもの。
 燃ゆるときの終わりはその激しさが幻であったかのように、耳の痛くなるような静けさと共に訪れたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月25日


挿絵イラスト