エンパイアウォー㊴~うつけと猿
「皆様準備はよろしいですね?最終決戦だそうですよ」
さすがに説明すっ飛ばして転送するわけにはいかない相手なのだろう。大神・狼煙(コーヒー味・f06108)は猟兵達の装備を見回し、戦闘準備が整っている事を確認してからコロリと地図を広げて。
「皆さんの今までのご活躍により、幕府軍が戦場に到達。これに伴い、オブリビオンフォーミュラにチェックをかけました」
チェックメイト、ではない。その意味を深く受け止め武装を握る者、生唾を飲む者、書類上のチェックマークをイメージして首をかしげる者、反応は多々あったが。
「オブリビオンフォーミュラ、織田信長は配下の霊を武具のように纏っており、戦うたびに能力が変わる事が確認されています。現在は秀吉を纏っているようですね」
初めて挑む者には関係ないが、他の姿の信長と刃を交えた者は、前の戦いと同じだと油断すれば、痛い目に遭うだろう。そもそも、油断など許される相手ではないのだが。故に。
「ユーベルコードは一つに絞り、その必殺のユーベルコードをいかに活用するかを念頭においてください。複数のユーベルコードを使えば、敵もまたそれに呼応して複数のユーベルコードを展開して先制してくるため、最悪なぶり殺しにされますからご注意を」
しれっととんでもないことほざいた眼鏡は、何事もなかったかのように続けて。
「この戦いで全てが終わる……わけではありませんが、敵の戦力を僅かながら、しかし確実に削る一戦になります。返り討ちにあっては元も子もありませんが、ここまで来た皆様なら、この修羅場を乗り越えることも不可能ではないでしょう」
指を鳴らし、転移門を開いた狼煙は恭しく頭を垂れた。
「それでは皆様、ご武運を。全員の無事の帰還を、叶うなら勝利の凱旋をお待ちしております」
久澄零太
俺、この戦いが終わったらネタネタした依頼出すんだ……
はっ!もう始まってる!?
皆様やっふぉい、久澄です
最終決戦だってよッ!!
以下、注意点
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』秀吉装』
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POW : 黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ : シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
テティス・ウルカヌス
「今回のお仕事は大河ドラマの撮影ですかー。
敵は本能寺にあり!ってやつですね!」
早速、信長役の芸人さんがスタンバってますね!
フェフェン鳴く動物連れとは、なかなか斬新な信長の解釈ですねー。
「では、この天才美少女アイドルのテティスちゃんが、まずはオープニングを一曲……
って、ちょっとー、まだ歌い出してもいないのに、いきなり斬りかかってこないでくださいーっ!」
なんか黒いのに身を包んで攻撃してくる芸人さん。
なかなかの殺陣ですが、この私もアクションなら負けませんよー!
紙一重で攻撃を見切ってかわしましょう!
「では、殺陣シーンの撮影も済みましたし、私の歌を披露ですね!」
【天使の歌】には摩擦とか関係ないですよね!
「今回のお仕事は大河ドラマの撮影ですかー。敵は本能寺にあり!ってやつですね!」
この期に及んで何かを勘違いしているテティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・f12406)。生きるか死ぬかの戦場において、己が死の淵に立たされていると全く気付いていないらしい彼女は信長を見るなり、ふむふむと頷いて。
「早速、信長役の芸人さんがスタンバってますね!フェフェン鳴く動物連れとは、なかなか斬新な信長の解釈ですねー」
「フェン……」
「あぁ、哀れな娘であるな……」
秀吉&信長に、可哀想な者を見る目を向けられているが、全く気付かないテティスはマイクを手にして、見慣れぬ機材を前にした信長は、それが武器やもしれぬと刃を構えた。
「では、この天才美少女アイドルのテティスちゃんが、まずはオープニングを一曲……」
ギィンッ!
「ふむ、鉄の短棍であったか」
「って、ちょっとー、まだ歌い出してもいないのに、いきなり斬りかかってこないでくださいーっ!」
マイクを弾き飛ばされたテティスは半泣きで、いつの間にか『撮影』が始まっていたと思い込み。
「殺陣を撮るならちゃんとカチンコを……」
ぴちゃっ。生温かい水が、テティスの頬を濡らす。
「あれ、テティスちゃん、いつの間に血糊なんて……仕込んで……」
それが己の血だと気づくこともなく、殺陣ならば相手の刀筋を見切って躱せば見栄えも良かろう、などと思っていたテティスだが、空気抵抗すらほぼ失い、視界に納める前に振るわれる斬撃の前に倒れ伏す。斬り裂かれたその胸からは、心臓が鼓動する度に血を噴き出していた。
「まだ……撮影が……でも……なんだか、眠くて……」
猟兵の仕事をアイドルと勘違いして生きてきたテティスにとって、命を賭けた修羅場は、あまりにも酷だったのだろう。斬られた痛みを脳が遮断するも、肋骨ごと叩き斬られた事で心臓に繋がる動脈が斬り開かれてしまい、一瞬にして多量の血液を失ったテティス。失血死を回避すべく、彼女の脳は最低限の機能を残して休眠状態に陥り、仮死することで仲間に回収される……生存できる僅かな可能性に賭けたのだった。
失敗
🔴🔴🔴
中村・裕美
「……つまり信長は……相手とのカップリング次第で……その能力が変わると」
なんか微妙に腐った思考が混ざってます
敵UC対策
ベストなのは剣戟術の射程外を維持してこちらのUCを使用するチャンスを伺うこと。ただ、摩擦力0で高機動で滑ってきたりとかされたら、それも厳しいかもしれない。だから、床に細工して足場を崩す
電脳魔術の【早業】で床に【ハッキング】を仕掛け、足元に【罠使い】でトラップ生成。落とし穴とか大掛かりなものでなくても、床がへこんだり跳ね上がったりして、信長の移動の軌道をずらせればいい
攻撃が届いても【武器受け】【激痛耐性】で耐え、ステルスボム
「その粘液……爆破の衝撃は……どこまで減らせるかしら?」
「……つまり信長は……相手とのカップリング次第で……その能力が変わると」
何も間違っちゃいないけどどう考えても間違っている思考に沈む中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。相手の力量差は分かっている故に、まずは距離を取って出方を見ていた。
「……ベストなのは、剣戟術の射程外を維持して……こちらのUCを使用すること……でも、摩擦力ゼロで……高機動で滑ってきたら……それも厳しいかもしれない……」
ならば。
「……この地形そのものを……私の武器とする……!」
空間に電子パネルを浮遊させ、自分を中心にして渦を巻くようにトラップを生成し始める裕美。いや、それはトラップと呼ぶにはあまりにも雑だった。そして彼女自身、罠を張ろう、という頭ではなく。
「……行動不能にできるなら……越したことはないけど……そこまでの猶予はなさそう……今は質より量……」
幸い、戦場は撃墜された安土城。
「……素材も……カモフラージュも……全てが揃っている……!」
「ほう?」
信長の目の前で、戦場が一瞬だけバグが発生したように霞んだ。
「何か仕掛けたな?」
「……それをわざわざ言う程……お人よしじゃない……」
後は見えざる火薬を用いて発破を仕掛ける。その隙を覗っていた裕美に向かって。
「さもありなん。しかし、儂とてわざわざそちらの手に乗ってやるほど甘い男ではなくてな」
言うや否や、信長は『跳んだ』。
「はっ!?」
十分に距離を取っていたはずだ。にもかかわらず、信長は一足で自分に向かって飛んで来るではないか。罠を躱されて、窮地に陥る裕美の思考は巡る。
「……片脚だけ粘液を解いて……跳躍と同時に粘液で包み直して……空気抵抗を無くして……長距離跳躍……そんなのあり……!?」
距離がある分軌道は読める。しかし、周囲には自分がばら撒いた罠があり、回避に回すだけの足場がない。回り込まれることまで想定した罠の敷設が裏目に出たが、端から躱すつもりなどなかった。そもそも、自分に躱すだけの身体能力があるとも思ってはいない。
「……スカイフォール!」
咄嗟に呼び出した小さな黒竜を掴み、大槍に変えて斜めに構える。
「その判断やよし……相手が儂でなければな」
打ちあった瞬間、信長の刀は槍の表面を滑り、それに伴って信長の体も回転。槍を跳び越えるようにして裕美の脳天に踵を蹴り落とし、頭に直撃を貰って倒れ込んだ彼女の側頭部を踏みつけて、首に刀の切先を突きつけた。
「奇策を用いる女よ。敵でなければ、配下にするのも面白かったかもしれぬ……」
「……勝ったつもりなら……痛い目見るわよ……」
「何?」
片眉を上げた信長に、裕美は不敵な笑みを浮かべて。
「……その粘液……爆破の衝撃は……どこまで減らせるかしら?」
――ッドン!!
「ゲホッ、ゲホッ……!」
突如起こった爆発に、裕美は戦場を転がされるも設置した罠は爆風で吹き飛んでいる。その罠の残骸をクッション代わりにして、背を預けて朦々と爆煙立ち込める爆心地を見た。
「……嘘でしょ?」
そこにあったのは、粘液を拡大した信長の姿。その刀を自らの前に構えており。
「……爆風を斬った……!?」
刀から自分の両肩にかけて粘膜を張り、黒い三角柱と化した信長は、そう見間違えても仕方がない有様であったが、実際の所は頂点から左右に張った粘膜の空気抵抗を押さえ、爆風を左右に受け流しただけに過ぎない。
「爆破の正体とは、大気の瞬間的膨張による圧力である。ならば、その逃げ道を作ってやればよい」
粘液を解き、信長はゆっくりと裕美に歩を進めて。
「生憎、儂は少しばかり火薬の知識があってな……」
「……最悪」
一言、それだけ言い残した裕美は、振り下ろされた刀の前に鮮血と共に散った。
苦戦
🔵🔴🔴
霧島・クロト
たく、信長は信長で部下を『装備』すんのかよ。
やり難いったらありゃしねぇなァ。
恐らく――小型の軍団だと物量に取られて沈む可能性があると。
ま、そう簡単にゃやらせねぇんだが。
【見切り】ながら【オーラ防御】【残像】を活かして
軍団を撹乱させる方向で捌く。
初動を捌いてもミニ秀吉が全部捌けた訳でもねぇ。
【高速詠唱】から【氷戒装法『天駆ける貪狼』】で、
室内を活かしながらの立体機動じみた【空中戦】軸だな。
間合いを詰めるまでは【呪殺弾】を込めた銃での射撃、
至近取れたら【鎧砕き】を意識しての格闘戦だァ。
どちらも氷の【属性攻撃】【マヒ攻撃】、脚や腕狙いの【部位破壊】と
【2回攻撃】で機動力を削ぎながら攻撃。
※アドリブ可
「たく、信長は信長で部下を『装備』すんのかよ。やり難いったらありゃしねぇなァ」
増殖するミニ秀吉を前にして愚痴をこぼし、歯軋りする霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)は片手で頭を抱えながら、素早く視線を走らせて。
「撃墜ン時の衝撃で半壊してやがる……屋内と野外の中間ってとこかァ?」
今なお増え続けるミニ秀吉に狭い室内での戦闘に持ち込まれてしまえば、数の暴力を通り越し、軍勢の圧殺にて何もできずに潰されるのが関の山である。
「真向勝負した所で、バカを見るだけかァ!」
散らばる瓦礫を蹴って部屋の隅の壁に飛び、更にその壁を蹴って斜めに跳ぶことで瓦解した屋根から飛び出した。
「どんだけ数がいようと、出口が狭けりゃ関係ねェ!我が身に北天に座す『貪狼』の加護を!!」
人間では持て余すであろう大口径の銃を構え、全身に冷気を纏い空気中の水分を凍結させて紫黒の装甲を白く染め上げるクロトはそのまま滞空、銃弾を自分が飛び出して来た穴に撃ち込んで追従してきたミニ秀吉が弾けて消える様を見届けていると。
「そうだァ。出口が使えなきゃ、もう一つの出口から出てくるよなァ」
クロトが入るときに使った、本来の城への入り口から雪崩出してくるミニ秀吉を目視、ある程度ミニ秀吉が外部に流出したのを見届けてから銃弾に魔力を込めて。
「道開けろクソ猿共ォ!!」
腕が跳ね上げられる程の反動を生む弾丸は、最前線にいたミニ秀吉を弾けさせた後、後続のミニ秀吉達の中に飛び込んで全方位に伸びる氷柱へと爆ぜた。
「オラどけェ!!」
突如串刺しにされて足踏みするミニ秀吉の軍勢のど真ん中を、クロトは氷柱塊を踏みつけて他のミニ秀吉を巻き込みながら城内へと舞い戻る。慌てて戻ってこようとして城の入り口で詰まったミニ秀吉を横目に、軍勢を減らしつつも、己の退路も失った事を見届けて。
「次はテメェだァ、信長さんよォ!」
「ふん、儂に挑むなら増えたサルめを仕留めてからにしてもらおうか?」
『フェンフェーン!』
ぞわっ、黒い津波と化して迫りくるミニ秀吉を前に、冷気を噴出して後退。壁に当たるなりそれを蹴って跳び越えると、発砲。着弾と同時に大気を周囲をミニ秀吉諸共凍結させて、氷の壁を生成。
「炎上する城ン中じゃ暑苦しいだろォ?」
氷壁を蹴って信長の頭上へ跳びあがると反転、頭を下にして銃口を向けるが、その狙いは信長本人ではなく。
「ほぅ?」
『フェーーーン!?』
四発の弾丸を信長の四方に撃ち込み、床から冷気を噴き出し周囲のミニ秀吉を凍結させながら、氷柱を伸ばし、信長を氷の戦場の中に閉じ込めると、その冷気を以て信長本人ですら凍てつかさんと、足から徐々に霜が這い上っていき……。
「どんだけ強かろうと、動けなきゃ敵じゃねェ。ブッ壊れなァ!!」
氷柱を足場代わりに蹴りながら、加速を重ねて信長に向け、氷結により装甲の上に更なる腕甲を纏った拳を振り下ろさんと迫るが。
「フェ、フェンフェン!!」
「んなっ!?」
残されたミニ秀吉の一匹が、その身を膜状に伸ばしてクロトの拳を受けて消えていく。
「サルよ、その忠義見事である」
「ガハッ……!」
後には、足を覆う氷を砕いて踏み込み、拳を掻い潜りながら伸ばされた信長の得物が、クロトの腹に残されていた。
「にゃろ……!」
腕から冷気を放とうとするクロトを斬り払って体勢を崩しながら蹴り飛ばし、強引に刀を引き抜いた信長が納刀、その背後から、憑依した秀吉が覗き込む。
「フェーン……」
「問題ない、所詮は青二才の雪遊びよ」
どこか悲し気に鳴く秀吉に、信長は凍てつき、感覚が麻痺した脚を叩いて笑って見せるのだった。
成功
🔵🔵🔴
白石・明日香
事前に閃光弾を用意。
テティス!?クソ!顔が(イラストないので)判別できねぇ・・・よくもテティスを!!(因みにここでは初対面)ところでノッブ、フェンフェン言ってるやつの通訳頼む。
範囲内の指定した対象全てか・・・躱さなければなるまい!
これまでの戦闘知識を生かして敵の攻撃を見切り、残像で攪乱しつつダッシュで背後に回り込むように間合いまで接近。当たりそうな攻撃は武器受けしたり薙ぎ払いながら回避したり受け流す。
使えそうなら閃光弾を使用。こけおどしにしかならなくても、一瞬の虚をつければ十分。強引にでも間合いに入って2回攻撃でたたき切る!
「テティス!?クソ!顔が判別できねぇ……よくもテティスを!!」
白石・明日香(十字卿の末裔・f00254)は怒りを露わにして気絶しているテティスを抱き起すと、キッと信長に眼光を向ける。ちなみに、明日香が何故頬にしか血が飛び散っていないテティスの顔を判別できなかったかって言うと、俺がテティスの外観について詳しく触れない辺りからお察しください。
「いい奴だったのに……具体的にどこがって聞かれると困るけど、いい奴だったのに!」
何で言えないのかって言うと、実は明日香がテティスと初対面だからだったりす……いや待って、所属旅団すら違うじゃねぇか、マジでどこで会ってたんだよお前ら。なんで名前だけは知ってるみたいなツラしてたんだ?前世の知り合いとか言い出したら(ハリセンで)ぶん殴るぞ?
しかし、込み入った事情を知らない信長には、きっとよく喧嘩する中で、素直に相手を褒められないのだろうな、という感じで解釈したらしく。
「ふ、哀れな小娘には、良き友人がいたようだな……」
何かいい物を見たって顔してた。
「ところでノッブ、フェンフェン言ってるやつの通訳頼む」
「フェン!?」
「……貴様、秀吉語が分からぬのか?」
「うそぉん!?」とショックを受けたらしい秀吉が震え、信長に至っては「うわコイツマジかよ戦場に出てくる以前の問題じゃねぇか」って顔で眉を潜めてしまう。
「こう言っては何だが……元服したか否かの年頃であろう?いやまぁ、元服は本来男児の儀礼であるが……今からでも寺子屋に行ってはどうだ?秀吉語は日ノ本にあらば何人であろうとも理解できる特異な言語であるぞ?」
そうなんですよ、あのフェンフェン言ってる奇妙な生物(ナマモノ)の言語はどういうわけか誰が聞いたって理解できる。更に言うとそれが分からないとか、下手すると人語を解せないレベルの馬鹿……もとい、ちょっと学が足りない疑惑が出てくるレベル。
ノッブ……じゃねぇ、信長に言わせれば、「うつけと呼ばれた儂が言うのもアレだが、貴様は馬鹿過ぎて話にならんから出直して来い」って言いたくもなる状態である。
じゃあ明日香はそんな救いようもない屑なのかって言うと、当然そんなわけもなく。
(しめたッ!)
呆れかえった信長の刃の切先が下がった瞬間、赤いコートの袖に仕込んでいた爆弾のピンを抜いて。
「ぶっ飛べ!」
「しまった!?」
宙に浮かぶ爆弾を信長が凝視し、秀吉が爆風に備えて信長の全身を包み込むが、熱も爆風もなく、代わりに眩いばかりの閃光が戦場を照らす。
「おのれ、目潰しか……!」
「フェン!」
「チッ、さすがに信長の目しか潰せなかったか……!」
安倍晴明に挑み、敵のUCの発動速度の前に散った明日香。その苦汁を二度味わわぬ為に、UCの発動そのものに牽制をかけ、信長が怯んだ隙に床を蹴り、跳んだ先で再び床を蹴って鋭角的に背後を取らんとするが。
「サル!」
「フェン!」
信長の声に鎧がウニか毬栗の如く無数の槍を伸ばし、今度は明日香が牽制されて後方への撤退を余儀なくされる。
「くそ、範囲攻撃を防御に……だが!」
背後に回り込めぬのなら、壁を蹴り、崩れかけた柱へ飛び移るなり、真紅の刃を胸に抱くようにして、足場を蹴って急降下。
「さすがに脳天までは防げねぇだろ……!」
「そうだな」
ニヤリ、視界を取り戻した信長と、『目が合った』。
「貴様とて宙にあっては避けようがあるまい?」
「!」
誘導されたと気づくも、回避叶わぬ明日香に向けて、無数の槍が殺到。足を貫こうとする物を斬り払い、肩を穿たんとする物を手の甲で受け、肉と皮を犠牲に直撃をいなし、腹を抉らんとする物に刃を突き立て斬り裂いて、喉を射抜かんとする物を首を傾け、頬に痛みと共に赤い線を走らせて……。
「くたばれぇええええ!!」
槍を斬り抜いて、身を捻り全身をもって今一度振るわれる斬撃。されどその白刃は信長の刀に遮られており。
「間合いまで来たんだ……ここまで来たら強引に斬る!」
一度得物を手放し信長の刀を軸に回転。防御をすり抜けて逆手に構え直し、その首を取ろうとして。
「……カハッ」
空中に縫いとめられて、身動きの取れない明日香の喉を、熱く鉄臭い物が駆け上がり、血反吐となって床を濡らす。
「まだまだ甘い、な」
信長の笑みに合わせて明日香を刺し貫いた無数の槍が引き抜かれると、彼女は自身の血溜まりの中に沈んでいく……。
「しかし、面白くなって来たではないか、なぁ、サルよ」
「フェンフェン」
不敵に笑う信長は、己の首に浅く残された斬痕に指を這わせていた。
成功
🔵🔵🔴
セイス・アルファルサ
分かってはいたものの流石の強者だね、信長公。配下との絆も素晴らしいものだ。素直に賞賛するよ。
だけど君たちの道はすでに終えてる。だから止まれ、信長公。止まらぬなら僕らが介錯仕ろう。
先ずはその厄介な槍をどうにかしないとね。
空気中に薄く魔力を張り巡らせて相手の挙動を探知する【オーラ】の空間を作っておくよ。そのための時間は会話で【時間稼ぎ】させてもらおうか。
これで鎧から飛び出す槍を『見切り』僕に当たるものを『早業』でオゥロから出したイダーデ以外の人形たちで『庇って』防ごう。
そして攻撃の隙を突いて防いだ人形たちを使い【瓦落芥協奏曲】でイダーデを【改造】して【風】の【衝撃波】で敵を吹き飛ばす
「分かってはいたものの流石の強者だね、信長公」
セイス・アルファルサ(瓦落芥弄りの操り人形・f01744)は信長を前にして、丸腰であることをアピールするように、あるいはおどけて見せるように両手を挙げた。
「配下との絆も素晴らしいものだ。素直に賞賛するよ」
「そうか、くたばるがよい」
「えっ」
問答無用で斬りかかって来た信長から咄嗟に距離を取り、開幕早々に致命傷を叩きこまれる事は回避したセイス。まともな生命であれば頬を冷や汗が伝ったのだろうな、などと感慨に耽りながら心臓【動力炉】は早鐘を打つ。
「人の話もロクに聞かないだなんて、ちょっと無粋なんじゃないのかい?」
「何、貴様が時間を稼ごうとしているように見えたのでな」
「!」
自分が人形でよかったと、セイスは内心胸を撫で下ろした。人間であったなら、動揺を隠せず見抜かれていただろう。
「儂もかつては、敵に称賛の言葉を贈り、自らが戦に出る為の下準備を進めたものよ……貴様は多少なりとも賢しい輩と見た。なれば、時間をかける理由はあるまい」
「そうかい?まぁ、それなら仕方ない。けど、君たちの道はすでに終えてる。だから止まれ、信長公。止まらぬなら僕らが介錯仕ろう」
もはや小細工は通じぬ。セイスは無手で挑むつもりか、両の拳を握って、足を前後に構えた。
「武器を持たぬ武人か、それもまたよかろう」
ならば捌いて見せるがいい、そう嘲笑うかの如く、信長の鎧から無数の黒槍が射出された瞬間。
「皆、頼む!」
「笑止!」
素早く外套の下から飛ばしたのは、三つの球体。それが何らかの効力を発揮する前に槍に貫かれてしまうが、妙に音が軽い。
「フェン!」
「上か!」
秀吉の声で無数の槍が更に伸ばされ、機械犬が貫かれ、機械鮫が串刺しになり、機械蛇は千々に引き千切られた。
「この程度の隠し玉しかないのなら、興醒めであるな……」
冷えた目をする信長の前で、セイスの外套を開いたのは巨大な翼。
「見世物ではないんだけど、ね」
羽ばたきと共に外套が吹き飛んで、下から現れたのは尾を振るい、強靭な腿としなやかな足を持つ爬虫類のような脚部、人の骨を模し、関節を装甲で繋いだ腕、胸の中心にある真球の魔法石からは血管のようにセイス、及びその『鎧装』へとコードが伸びており、それと一体化している事が覗えた。
「行くよ、イダーデ」
応えるように、兜代わりに竜の頭が降りてくる。相棒と一体化したセイスは両翼の歯車を回し、ジョイントを展開して翼膜を拡張。文字通り、『翼を広げて』後ろへ引く。
「吹き飛べ……!」
羽ばたき一つ。ただそれだけだというのに、翼竜の巨躯を空へ飛ばす為のその一撃は周囲に散らばる瓦礫も、燃え上がる炎も吹き飛ばし。
「チィ、面白い絡繰よな」
嫌悪と興味が入り乱れる目を向ける信長は、地面に向けて槍を伸ばし、自身の体を固定。踏み止まりながら、拡散するように無数の槍を飛ばしてセイスの身を貫くと。
「敵であることが無念である」
更にその槍を伸ばし、彼の身を鉄屑にせんと引き千切るのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携可
魔軍将を憑依…いや『憑装』させて戦うのか
第六天魔王、厄介だな
摩擦抵抗を極限まで減らして移動するなら
こちらも高速移動で翻弄するのが最適解か?
【魂魄解放】発動
衝撃波攻撃と高速移動を可能に
手始めに牽制のために投擲用ナイフを「投擲」して様子見
ナイフに一瞬だけでも気を取られたら「地形の利用、ダッシュ、目立たない」+高速移動で背後に回り込み
気を取られなかった場合は正面から突撃
接敵後「2回攻撃、怪力、なぎ払い」+衝撃波で後ろの秀吉ごとなぎ払う
この時、刃を可能な限り信長に対して『垂直に』叩き込む
信長からの攻撃は「ダッシュ、見切り、第六感、残像」で
高速移動による残像を囮に走って避ける
「魔軍将を憑依……いや『憑装』させて戦うのか。第六天魔王、厄介だな」
敵を観察していた館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は、牽制にナイフを投擲するも信長は刀一振りで弾き落とし、一瞬にして全身を黒粘液に身を包む。気づいた時には敬輔の前にその姿があり、刃を振り下ろした。
「くっ、思ったより速い……!」
鉄の剣を構え、黒剣がかつて喰った魂をその身に纏い、それでもなお一瞬遅れて危うく顔面を斬り開かれそうになる。喰わせた魂を引き出す為に剣を構えていなければ、打ち合う前に倒れていただろう。
「……儂の刀を止めた、とな?」
「お前が摩擦を消すのを防御に使うのは見越してた。分かっていれば、打ち合うことだって難しくはない……!」
だが、あくまでも止めるまで。ここから払おうとすれば摩擦がない以上いなされ、隙を晒す羽目になり、かといって打ちこもうとすれば滑らされて返す刀で斬られるのがオチだ。故に。
「押し通る……!」
力任せに突き飛ばし、鎧の上を滑らせていなされる事を見こして剣の腹に手を添えて軌道を固定。踏み込みと同時に、柄を握る手で送り出し、信長に対して真っ直ぐ、その切っ先を突きつける。
「技量はあるな……だが甘い」
「そんなの分かってるよ……!」
かつて食い殺された魂の、未熟だった精神に同調したのか、敬輔はどこか子どもっぽく叫んで。
「だから、この一撃!」
命中と同時に衝撃を叩きこみ、斬撃をいなそうとした瞬間に秘された二撃目を叩きこむ敬輔。さしもの信長も、いなした直後に叩きこまれた衝撃までは逃がし切らず。
「ゴフッ……面白い剣術を振るうな……」
粘液を押し退けられて小さくヒビが入った鎧を押さえ、小さく咳込み、一歩後ずさるのだった。
成功
🔵🔵🔴
暮陽・黎明
仲間、いやちげーか。アレは駒を利用してるって感じか
どっちでもいいけどなー
一撃でも食らわせられれば御の字。摩擦抵抗がないに等しいあいつにどう攻撃を通すかだが……どうしたもんかねー?
粘液を飛ばすなり剣気を飛ばすなり、直接攻撃してくるなり、やり方は数あるだろうし、オーラ防御を展開した状態で第六感、見切りで可能なら武器受け、無理でも激痛耐性で耐えるぜ
受けられるならカウンターも狙えるだろ
カウンター可能ならそのまま魔魂餐で指定UCをねじ込む
ダメでも天之必多棍で仕込み鎖の不意を狙った隙を作り、その隙を刀で突くぜ
黒粘液は蒸発を狙って属性攻撃(炎)を纏わせ、戦闘知識、鎧無視攻撃、怪力をのせて行くぜ
ルベル・ノウフィル
◆敵UC防御
まず
わんわんわんっと大声で吠えて対抗しましょう
喧嘩は気勢
狼の矜持にかけ、フェンフェンには負けません
ふざけてるように見せかけ同時に早業で同数の彩花を念動力で自分の周囲を囲むよう浮かせる
次
敵は僕に向かって来ますから、ぶつかったものから順に彩花に牙を剥かれる仕組み
突破してきた者に備え自分の全身にオーラ防御
さらに第六感に導かれ、鏡盾にて盾受け
◆反撃UC
UC:遊戯
キマフュでの初恋の思い出を捧げましょう
ほろ苦い思い出を力に変え、鎧無視攻撃
文字通り捨て身の一撃にて討たせて頂く
敵が避けようとすれば念動力・トンネル掘りで体勢を崩し確実に当てますよ
過ぎる夏と共に海へ還りなさい
覆水は盆に返らぬのです
「仲間、いやちげーか。アレは駒を利用してるって感じか。どっちでもいいけどなー」
暮陽・黎明(瑠璃色に染まる空の果へ・f00383)は信長の姿をしげしげと眺め、刀の柄に手を乗せて首を捻る。
「一撃でも食らわせられれば御の字。摩擦抵抗がないに等しいあいつにどう攻撃を通すかだが……どうしたもんかねー?」
「ふん、戦場に立ってから戦略を練るとは愚の骨頂。己の未熟さを悔やむがいい」
「……おい、マジかよ」
次の瞬間には既に目の前にある信長の刀を前に、一周回って逆に冷静になる黎明。
「避け……られるわけねぇよなぁ!!」
既に振り下ろされた刃を前に、回避行動などとっていては重心移動の段階で己の体が二つに割れる。しかし刃を受けようにも、摩擦を持たぬ刃が相手では得物を滑られ腕を持っていかれるのが目に見えていた。
「要は触らなきゃいいんだろ!?」
青く煌めく炎を巡らせ、盾とする黎明が直撃を防ぐも剣圧は既になく。
「チッ、やっぱり速ぇ……!」
背後、と見せかけ得物に手を乗せた時に利き腕を見抜かれたのだろう。側面に回りこんできた信長の斬撃を炎の盾が受ける。
「よく反応したものだ、小娘」
「なーに、ただの勘さ。どんだけ速かろうと転移ではなく、高速移動でしかねぇ。つーことは、おめぇも『殺せるときに必ず死角に回り込めるわけじゃねぇ』んだろ?確かに実力差は圧倒的だが、連戦続きで消耗したおめぇなら、確実に私を仕留める為に段階を踏むって……先に武器を潰しにくるって読んだだけだ」
口角を上げ、挑発的に笑う黎明だが、対応できたからと言って反撃できるわけではない。
(クソッ、どうにか防ぎはしても、反撃に繋がらねぇ……せめて注意を逸らせれば……!)
「わんわんわんっ!わんっわんわんっ!わおーん!!」
『………………』
突如戦場に響く犬っぽい鳴き声に、黎明はおろか信長と、秀吉でさえ硬直して振り向いた。その先にいたのは両手両足を地について、腰を突き上げ頭を下げつつも尻尾はヘタッとしおれて、ビビりながらも敵を威嚇するワンコのポーズになってるルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)。
「わん!わんわん!」【狼の矜持に賭けて、フェンフェン言ってるお猿さんに負けるわけにはいかないのです!】
「フェン!フェンフェン!フェフェン!!」【その意気やよし。されど、信長様に歯向かうというのなら、こちらとて容赦はせぬ……幼き戦士よ、貴様の得物を構えるがよい】
「わふぅ……わん、わんわん!」【僕の武器は既に『抜かれている』のですよ。どこからでもかかってくるがいいです!】
「フェンフェン、フェン!」【フッ、貴様の周りに浮遊する札が武器と申すか……術師であれば、こうも前に出てくることはなかろうに。否、男児であるならば、正々堂々最前線にその身を置こうというもの。その心意気、買った!】
「わんっ!」【いざ!】
「フェン!」【尋常に!】
「あおーん!!」
「フェーン!!」
【【勝負!!】】
その死合は一瞬だった。信長の鎧より伸びる無数の槍が、ルベルの身を貫かんと空間を駆け抜ける。刹那にその身を散らさんとする幾多の穂先を、ルベルは周囲に浮遊させた札をもって受けた。まともに相手していては対処しきれないと割り切って、回避を捨て、得物を防御に集中させるというよりも、己の周りに散らしたことで、『面』として防御する。しかし、それでは薄くなる壁は容易く引き裂かれるが、それでよいのだ。
ルベルの札は引き裂かれると同時に、内に秘められた怨念が溢れだし鎌へと化ける。歪な刃は自身を穿つ槍を絡めとり、喰らいつき、その進行を妨げる、いわば刃の盾。だが、これで防げるほど信長の槍は甘くない。札を広く展開して防護壁の内に潜んだルベル目がけて、防衛戦を貫通する槍は決して少なくなかった。あるいは強引に鎌を破砕して、あるいは札と札の僅かな隙間をすり抜けて、少年を肉片に変えんと殺到する。されど、一斉に迫りくる死を前にして、少年の身に、そして武具に染みついた怨霊共が終焉を許しはしないのだ。
「苦しめ、足掻け、己の生を悔やむがいい」
「殺せ殺せ殺せ殺せ……!」
「血だッ!血を寄越せぇええええ!!」
「楽に死ねると思うなよガキが……」
好き放題に恨み言を連ねる怨霊共が、言葉を揃えて。
『取りあえず、今死なれると困る』
ルベルの体表を無数の屍が包み込み槍を受け、いなし、彼本人へ届かせはしない。
「どうせ防御するなら、全部防いでほしかったんですけど!?」
それでもすり抜けた槍がルベルの眉間目がけて飛来、怨霊の性格的に守りはしても助けてはくれない事を察していたルベル、鏡のように磨き抜かれた盾を振り上げて槍を弾き飛ばしたばかりか、その切っ先が信長へ向かい勝利を確信するも……。
「サルが一枚上手であったな」
「フェン!」
カンッ!甲高い音と共に再度伸ばされた槍が跳ね返った槍を押し退けて、呆気にとられた少年の視界を黒い刃で埋めながら、ルベルの赤い瞳に飛び込んでいく……。
「助かったぜー、ワン公!」
ガインッ!!ルベルの眼球が斬り裂かれる寸前に、鈍い音を立てて黎明の薙刀が槍をへし折りその穂先を信長の遥か後方へ突き立てると、折れた槍は霧散して黎明は薙刀を未だルベルへ伸びたままの槍へ振り下ろす。
「血迷ったか。その程度の得物なぞ……」
「悪いが、ただの武器じゃないんだよなー」
打ち付けた場所を基点に柄が折れて、内包された鎖が姿を見せるとジャラリ、蛇の如く槍を絡めとって信長に向かってその切っ先を伸ばす。
「サル!」
「フェーン!」
「逃がすかっての!!」
槍を消し、すぐさま飛び退こうとする信長の先へ回り込むように、飛んだ薙刀の柄が更に折れて鎖を伸ばし、多節なる刃は背後から信長の首を狙うが、第六天魔王たる者、この程度ではまだ終わらぬ。刃を翻し、体を向けることなく刃を斬り払う。
斬光散る一瞬に、信長は見た。視界の端で、ルベルが己の額に杖を当てている様を。どこか祈りにも似た姿で彼は微笑んで。
「過ぎる夏と共に海へ還りなさい。覆水は盆に返らぬのです……そう、それは僕の初恋のように……!」
迫りくるは無数の骸からなる歪な刃。殺意が実体を得たように、信長の首へ真っ直ぐ迫るその軌道に、得物を引き戻して柄で打ち上げながら己は仰け反り膝を落とし、斬首を躱すもその耳を打つのは地に突き刺さりて、なおも這いずり血を求める刃の足音とささやかな祝詞。
「五ノ刻、黎明。十七ノ刻、薄暮。始り、終わりの交わり、来たりて――」
ふわり、一陣の風が吹き抜けた。
「宵闇」
日の出か日の入りか、時も朧な淡い光が戦場を照らし出す中、一際強く輝きを返す刀の切先を鞘に添え、黎明はゆっくりと得物を納める。
「――瑠璃斬!」
チン。鍔が鞘を叩いた瞬間、信長の身に斬痕が走り、鮮血を巻き散らす。
「猟兵……見事なり……」
最期に満足そうに微笑んで、信長は臣下と共に光に導かれ散っていった。
成功
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