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エンパイア・ウォー㉞~うつけが虎でやって来る

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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 オブリビオンフォーミュラ・織田信長との決戦を控え、猟兵達の拠点グリモアベースは緊迫感に包まれていた。広場に集まってきた猟兵の前で、グリモア猟兵のガーネットはやや緊張した面持ちで口を開いた。
「お疲れ様。いよいよ、『第六天魔王』織田信長との決戦の時がきたな」
 島原に出現した魔空安土城に到着した幕府軍の戦力は、総勢十一万と六千。猟兵達の奮闘により、見事幕府軍と増援を完全に無傷の状態で島原へ送り込むことができたのである。すでに『首塚の一族』の能力により、魔空安土城を空から引きずり下ろすことに成功。幕府軍と信長軍が戦闘を開始している。
「織田信長軍もかなりの数だが、そちらは万全の体勢の幕府軍が対応してくれている。なので私たちは、信長本人との戦いにだけ専念できるというわけだ」
「今までの努力が実を結びましたね。で、信長はどんな能力を持っているんです?」
 猟兵からの質問に、ガーネットは手の中のグリモアから情報を抽出して答える。
「信長は、『魔軍転生』という秘術を操ることが出来る。これは、武田信玄や豊臣秀吉、アレキサンダー弥助といった魔軍将の霊を自身に憑依……『憑装』させて戦う力だ。三種類のユーベルコードは、そのとき『憑装』している魔軍将の能力に対応している。だが、私たちが既に撃破している魔軍将の力は使えないみたいだな」
 信長は魔空安土城の至る所に出現するが、どんな能力を使うかはその時戦ってみないとわからないらしい。
「信長がいかに強力なオブリビオンとはいえ、状況は確実に猟兵と幕府軍に有利だ。だが、信長は天下統一まであと一歩の所まで上り詰めた男。最後の悪あがきで思わぬ形で痛手を受けるかもしれない。くれぐれも気をつけてな」
 ガーネットはそう言うと、猟兵達をサムライエンパイアへ転送するべくグリモアの力を増幅させた。決戦が始まる。


弥句
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 こんにちは、弥句です。エンパイア・ウォーもいよいよクライマックス、ついに織田信長との直接対決です。「信長決戦シナリオ」は3種類ありますが、どれに勝利しても信長の戦力を減らせます。このシナリオでは、武田信玄を『憑装』させた信長との戦いになります。

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 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
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 説明は以上です。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』信玄装』

POW   :    風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メイスン・ドットハック
【WIZ】
武田信玄も復活阻止したのにしつこいのー
魔王諸共、滅してやるけーのー

先制攻撃は武田騎馬軍の進路上に電脳魔術による簡易地雷を設置
吹き飛んだ隙を突いて、そこから一斉突撃を抜けれるように退路を【視力】【情報収集】で探し、攻撃は【第六感】で回避、避けられなければ電脳盾で防御しながら凌ぐ

先制攻撃後はうUC「倫敦は霧に包まれて」の霧型AIを展開
電脳魔術でガトリングガンを創造し連射
自分のが切れるタイミングで霧型AIに自分とは別リソースのガトリングガンを創造させ、連射
それが切れたら自分が再び再装填して連射を繰り返し、織田信長諸共撃ちまくる

これが近未来三段撃ちじゃー!

アドリブ絡みOK


ノイン・フィーバー
心情:でかいネコ(武田サン)の顎をわしわし撫でる信長サンが見たいのですガ駄目ですかそうですカ……。

別に怨みはないのですが、戦国とはそういうモノと聞き及んでいますノデ、ええ、お覚悟ヲ

行動:
基本は皆さんの援護を

対甲斐の虎:
ガジェエトショータイム発動
取り出したるはミサイルランチャー
尻から火を噴きながらミサイルの如くタケノコを数多に射出。
出鱈目な方角へ着弾したそれは急速に育ち、竹となる。
「騎兵は機動力が命。そしてそれは、予想外の場所に駆け付けるから、コソ」
その巨体で竹を破壊するにしても、くぐるにせよ飛び越えるにせよ、その動きは読みやすくなる。
ならばその巨体は、銃器の一斉発射の的である。
『Fire!』


ニレッド・アロウン
……要はめっちゃ強いから覚悟して殴ればいいですね!

で、大量の騎馬軍団の突撃がするんでしたっけ。なので攻撃凌ぐため魔力障壁の【オーラ防御】を展開しある程度のダメージを軽減しながら詠唱を継続します。
詠唱完了後、水晶鋏と刻印を花びらに変え、騎馬軍団と信長全員を攻撃します。回避する?そんなら威力を削って、必中【属性攻撃】でも付与して騎馬から振り落とすようにします。雑魚が邪魔すんじゃねーです

さて、信長相手ですが……そのまま殴り掛かりましょうか。翼をはためかせ一気に接近、速度が乗った拳を叩きつけます!……なんてするわけないでしょう?タックルに切り替え、相手の剣をへし折るため手甲へ【武器落とし】を狙います。


六代目・松座衛門
「その命、頂戴する! 覚悟!」
織田信長に対し、正面から宣戦布告し、戦闘態勢に移る!

。〇(相手の攻撃を凌ぎ切れば!)
UC「甲斐の虎」による攻撃は、人形「暁闇」による【フェイント】【武器受け】で対処することで、自身と人形を繋ぐ操作糸「領」を【白虎状態の武田信玄】に絡ませ、行動を阻害させよう。

「反撃だ! 戻って来い! 暁闇!」
この糸を絡ませた状態でUC「手繰り討ち」を発動! 人形「暁闇」が自分に向け、糸伝いに戻ることで、自然と【武田信玄】へ突撃する状態になり、すれ違いざまに鋭い爪で攻撃させる!
また、自分自身も多節棍「双爪丸」を手に、【織田信長】へ反撃を試みる!

アドリブ、連携歓迎。





侵掠すること、火の如し――。蹄の音を響かせ、朱き波が押し寄せてくる。魔空安土城の敷地に乗り込んだ猟兵達を待ち構えていたのは、全身を赤の武具で固めた騎兵達。精強な『赤備え』として知られる、武田の騎馬軍団である。しかし、その姿は地獄の炎のごとく揺らめく妖気に覆われている。彼らが人ではなく、織田信長のユーベルコードによって生み出された存在であることを物語っていた。
「あれが、織田信長! そして甲斐の虎・武田信玄……」
 鬼猟流人形操術の使い手、六代目・松座衛門(とある人形操術の亡霊・f02931)が、絡繰人形『暁闇』に繋いだ糸を手繰って戦闘態勢を整える。武田騎馬軍団の先頭に立って駆けてくるのは、体高十尺(3メートル)を優に超える巨大な白虎に跨った偉丈夫。
 彼こそが、サムライエンパイアを混乱の渦に陥れた張本人、『第六天魔王』織田信長。そして白き大虎は、信長が秘術『魔軍転生』で召喚した魔軍将・武田信玄の霊に他ならない。
「よくぞ此処まで来たな、猟兵よ! 皆の者、我に続けィ!!」
 漆黒の武者鎧に身を固めた信長は、大太刀を振りかざしてこちらに斬り込んでくる。そこに一切の小細工は無い。ただ、圧倒的な破壊力を以て全てを蹂躙せんとする覇者の意志がそこに在った。
「武田信玄も復活阻止したのにしつこいのー。魔王諸共、滅してやるけーのー」
 空間転移とともに中庭に降り立ち、気怠い口調で戦場を見渡すのは、クリスタリアンの電脳魔術士、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。まずは敵の第一波を防ぐべく、電脳ゴーグルを装着し防御プログラムを起動させる。シミュレーションゲームのようにヘックスで区切られた電脳空間を仲介して、メイスンは電脳魔術による簡易地雷を設置する。
 立て続けに轟音が炸裂し、爆炎が噴き上がる。防衛ラインを越えた前列の騎兵たちが、次々と地雷を踏んだのだ。馬と兵の体が千切れ飛び、次々と消滅していく。しかし、その程度では武田騎馬軍団の進撃は止まらない。
「騎兵は立ち止まったら終わりじゃけーのー。さて、次の手は、と」
 メイスンは魔空安土城のMAPを素早く展開し、電脳魔術で即座に転移可能なポイントを割り出す。
「ひとまず、退くかのー」
 軍馬の巨体に撥ね飛ばされる直前、メイスンの体は瞬時に量子化し消失。次の瞬間、彼女は土蔵の屋根上に転移していた。


「でかいネコ(武田サン)の顎をわしわし撫でる信長サンが見たいのですガ駄目ですかそうですカ……」
 信長はさらに騎馬を召喚して戦列に加え、猟兵の間近に迫っている。メイスンと入れ替わりに現れたノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)は信長と信玄の威容を前にややたじろぎながらも、彼らを足止めすべくガジェットを鞄から取り出す。今回用意してきたのは一挺のロケットランチャーだ。長大な銃身を肩にセットして構え、眼前の騎馬隊に向けて砲弾を発射する。
「ヌッ! 猪口才な飛び道具を使いおる」
 出鱈目な軌道を描いて放たれたのは、タケノコのような形状の砲弾。それらは放物線を描いて着弾すると、地面から爆発的なスピードで成長する竹を生成して騎馬隊の行く手を遮るように人工の竹林を作り出した。
「騎兵は機動力が命。そしてそれは、予想外の場所に駆け付けるから、コソ」
 騎兵の破壊力は、そのスピードと比例する。障害物を回避するためには速度を落とさねばならず、速度が落ちれば当然敵にも狙われやすい。戦場に突如発生した竹林を、騎馬隊が突き進む。信長の号令の下強引に突破するも、指向性の定まった動きは狙いをつけられやすい。
「お、いい具合に地形を操作できたのー。それじゃ、例のやついってみるかのー」
 メイスンは愛用の電脳AI搭載メガネ「MIYAJIMA」を起動させ、細い指先でタブレット型スパコンのパネルをなぞる。【倫敦は霧に包まれて(ステルス・デバッガー)】。彼女が作成した紫色の霧状電脳AIが散布され、直径52km一帯がメイスンの電脳空間とリンクする。物理法則までも書き換える電脳魔術によって生み出されたのは、黒きくろがねの銃砲、ガトリングガン。
 かつて、織田信長は『長篠の戦い』において足軽鉄砲隊を編成し、革新的な戦法で武田勝頼の軍を打ち破った。その戦法とは――
「ガトリング隊、発射ぁ!」
 竹林に飛び込んだ騎馬隊に向けて、ズラリと並んだガトリングガンの砲門が向けられていた。隊列を為したガトリングガンが狂ったように吠えまくり、鮮烈なマズルフラッシュと共に弾丸の嵐が吹き荒れた。鉛の雨が容赦なく騎馬隊を打ち付け、その身を抉り、穿ち、赤い姿をさらに朱く染め上げた。馬が甲高く嘶き、兵達は馬上から振り落とされながら霞の如く散っていく。だが、信長と白虎信玄は話が別だ。強靭な魔獣の肉体はしなやかさも兼ね備え、竹林の中を難なく掻い潜って疾走する。
 メイスンは弾を撃ち尽くすタイミングを見計らって鉄砲隊を後退させる。流れる動きで端末を操作し、電脳空間から別リソースの鉄砲隊を戦場に送りこんだ。下がった部隊の後方から入れ替わるように、硝煙の中から第二陣が砲身を突き出す。
「ほう、これは!」
 全身に弾丸を受け、白い体毛を紅に染めながらも疾駆する白虎。この程度の被弾では、ダメージを受けた内に入っていない。信玄の背に乗った信長が、感嘆の声を上げる。
「これが、近未来三段撃ち! 信長諸共ハチの巣じゃー!」
 それは、信長が当時伝来して間もない火縄銃を用いて行った戦術。メイスンは電脳魔術を以て鉄砲隊を創り出し、その再現を行ったのだ。弾が切れればさらに霧からAI作成装置で銃を創り、波状攻撃をかける。いかに精強な武田の赤備えといえど、絶え間なく浴びせられる銃撃によりその数を大幅に削られていった。しかも用いられているものは火縄銃とは格段に性能が違う。とはいえ、それでも尚突破してくる者もいる。
「別に怨みはないのですが、戦国とはそういうモノと聞き及んでいますノデ、ええ、お覚悟ヲ」
 ノインもアームドフォートを構えて援護に加わった。頭部モニターには『Fire!』の文字が表示させると、複合兵装による大火力を以て残存する騎兵を狙撃して撃滅していった。そして、ついには信長一騎のみとなる。
「この儂の戦術を改良してくるとはのう! だが――」
 巨大な白虎と化した信玄が牙を剥き、信長が大太刀を振りかぶってノインに襲い掛かる。生命力を共有する、人と獣による連携攻撃だ。
「この魔軍将・信玄の前には、いかなる銃も豆鉄砲に等しい!!」 
「むぅ……!」
 ノインの体がバラバラに引き裂かれる寸前、横合いから真黒な影が飛び込んできた。それはノインの体を引っ張って跳躍すると、その真横を信長を乗せた白虎信玄が疾風のように走り去っていった。
「大丈夫か!!」
「松座衛門サン! 助かりましタ」
 ノインを救い出したのは、人形遣い松座衛門の絡繰人形・暁闇だ。松座衛門は暁闇を糸で傍らに手繰り寄せると、信長と白虎信玄に正面から向かい合った。
「織田信長、その命、頂戴する! 覚悟!」
「ふん、何かと思えば木偶遣いか! 貴様はあの世で人形芝居でも演じておればよい!」
 目障りだ、と言わんばかりに信玄が低い声で一吼え。体を低く屈めると、勢いをつけて松座衛門に躍りかかった。体重をかけて繰り出される爪の一撃を、暁闇が大きな腕でガード。松座衛門も伸縮性の多節棍「双爪丸」を構えて信長に打ち掛かった。
「青二才めが……そんな腕で儂の首を取れると思うておるのか!」
 大太刀を豪快に振るい、上段から激しい斬撃を松座衛門に浴びせる信長。松座衛門がそれを棍で捌き、反撃を繰り出す。さらに暁闇と連携しての同時攻撃。
 二対二の攻防が繰り広げられるが、さすがに白兵戦の技量では信長が上手だ。白虎は巨体に似合わぬ敏捷さで松座衛門を翻弄し、体当たりを仕掛けて暁闇を吹き飛ばす。みるみるうちに劣勢に追い込まれ、手傷を負っていく暁闇と松座衛門。
「グッ! ……自分だけでは無理かも……しれない。だが……共に戦う仲間がいれば!」
 信長と真っ向から打ちあう松座衛門を援護すべく、メイスンとノインが後方から砲火を浴びせた。絶え間ない銃撃を受け、信玄の体の赤い面積が徐々に増していく。だが信長は鬼の形相で刃を振るい続け、闘志はまだ衰えさせていない。
「儂が潜り抜けてきた修羅場に比べれば、ぬるいものよ!」

「……おっ?」
 タブレットを忙しなく操作していたメイスンの頭上から、白い羽が落ちてきた。それを拾い上げると、涼やかな女の声が聞こえてきた。
「あれが第六天魔王、織田信長ですか。……要はめっちゃ強いから覚悟して殴ればいいですね!」
「重役出勤じゃのー。もう皆戦っておるぞ」
 翼をはためかせて優雅に舞い降りたのは、オラトリオのニレッド・アロウン(水晶鋏の似非天使・f09465)。軽やかにローブの裾を翻しながら、戦場に降り立つ。
「魔王だかなんだか知りませんが、アンタを倒せばめでたくハッピーエンドですよ」
「めでたいのは、貴様の頭だけで十分だ!」
 信長の背後の火炎が揺らめき、火の渦の中から騎馬軍団を呼び出す。百騎を優に超える騎兵達が、雄叫びを上げながらニレッドに襲い掛かった。
「数だけは多いですけど、これでどうです?」
 ニレッドは全身を覆う魔力を増幅して防御障壁に変え、飛び回ってターンを繰り返し騎馬突撃をやり過ごす。槍や太刀の切っ先が彼女の体を傷つけるが、構わず魔力障壁で身を守りながらユーベルコードの詠唱を続行する。
「刃よ、鈴蘭の嵐となって吹き荒れなさい!」
 ニレッドが詠唱を完成させると、水晶鋏の刃に施されたルーンの刻印が強い輝きを放った。水晶の大鋏は分解されて光の粒子となり、やがて鈴蘭の花弁に再構成されると花吹雪となって戦場を埋め尽くした。美しくも恐ろしい切れ味を誇る、刃の嵐だ。ニレッドの半径40メートル内に侵入した兵士が次々と花の刃に切り刻まれ、落馬していく。
「雑魚が邪魔してるんじゃねーです」
 力尽きて炎に還っていく騎馬を尻目に、ニレッドは翼を羽ばたかせて信長に狙いをつける。
「勇ましいな、女! 女と言えど貴様は立派な兵(つわもの)よ!」
「ええ、世界を背負ってる『猟兵』ですからね!」
 無謀にも、太刀を手にした信長に拳で挑むニレッド。流石にこれは蛮勇か、一撃で斬り捨てられる――というところで体勢を変更、両腕をクロスさせてきりもみキックを放つ。狙いは太刀を持っている手だ。
「かかれ、信玄!」
 信長の命令に応じ、信玄が前足でニレッドを叩き落とさんと伸びあがる。だが、
「ガアッ!」
 苦悶の声を上げ、身をよじる信玄。その足には、細い糸が巻き付けられていた。それは、松座衛門が自身と人形を繋ぐための操り糸だ。信長が騎馬軍団を召喚した瞬間、松座衛門が咄嗟に結びつけておいたものである。
「てやああっ!」
 信玄が動きを封じられたことにより、ニレッドの飛び蹴りが信長の手甲に炸裂する。取り落とした刀を拾うためには、信玄から降りなければならない。
「反撃だ! 戻って来い! 暁闇!」
 松座衛門がもう一つの糸を手繰り、遠隔操作していた暁闇を自身に向けて呼び戻す。その途中で、暁闇が信長とすれ違う形になる。繰り出す技は『鬼猟流二ノ型・手繰り討ち』。高速で疾走する暁闇が鉤爪を閃かせ、すれ違いざまに信玄の横腹を深く裂いた。
「このまま、一気に倒しまショウ!」
 動きを止めた信長と信玄に、ノインの砲撃とメイスンのガトリング射撃が一斉に撃ち込まれる。血煙が舞い上がり、信長が纏っている黒い甲冑が無惨に破損していく。だが、大量の血を流しながらも、白虎信玄は歩みを止めない。猟兵に向かって、決死の突撃を敢行する。
「――槍をもてィ!!」
 信長の背後で燃え盛る業火の中から、一本の槍が出現した。それを引っ掴み、松座衛門目掛けて真一文字に突き出す信長。
「こっ……のォ!!」
 ニレッドが投げつけた大鋏が、信玄の頭に深々と突き刺さる。最早ここまで、力尽きた信玄が倒れ伏すと、信長の槍は敢え無く空を切る。
「これで終わりだ……信長!!」
 松座衛門が繰り出した双爪丸の一突きが、信長の胸を深々と貫いた。大きく目を見開いた信長の口から、盛大に血が溢れ出す。信長は残された力で棍を握ると、松座衛門を見据えて言葉を絞り出した。
「ここまでか……。見事だ、猟兵達。この戦い、貴様らの勝ちだ」
 白虎信玄の肉体が激しく燃え上がり、紅蓮の炎塊へと戻る。やがてその炎は勢いを弱め、完全に消失した。『魔軍転生』の術が解けたのだ。そして、信長自身の肉体も烈火に包まれ、足元から灰に変わって崩壊していく。
「徳川の世がこれからどうなるのか……見届けられんのが口惜しいが。だが決して忘れるな、平和など永劫に続かんことを。儂に変わる新たなフォーミュラは、いつか必ず現れる! 我等はオブリビオン、決して拭いきれぬ血の跡なのだ……!」
 呪詛の言葉を残して、第六天魔王・織田信長は骸の海へと還った。この戦場での戦いは、猟兵達の勝利に終わった。エンパイア・ウォーの行方を占う運命の天秤を動かす、貴重な一勝だ。猟兵達は戦いの傷を癒すべく、グリモアベースへと帰還する。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ノイン・フィーバー
心情:でかいネコ(武田サン)の顎をわしわし撫でる信長サンが見たいのですガ駄目ですかそうですカ……。

別に怨みはないのですが、戦国とはそういうモノと聞き及んでいますノデ、ええ、お覚悟ヲ

行動:
基本は皆さんの援護を

対甲斐の虎:
ガジェエトショータイム発動
取り出したるはミサイルランチャー
尻から火を噴きながらミサイルの如くタケノコを数多に射出。
出鱈目な方角へ着弾したそれは急速に育ち、竹となる。
「騎兵は機動力が命。そしてそれは、予想外の場所に駆け付けるから、コソ」
その巨体で竹を破壊するにしても、くぐるにせよ飛び越えるにせよ、その動きは読みやすくなる。
ならばその巨体は、銃器の一斉発射の的である。
『Fire!』





侵掠すること、火の如し――。蹄の音を響かせ、朱き波が押し寄せてくる。魔空安土城の敷地内に乗り込んだ猟兵達を待ち構えていたのは、全身を赤の武具で固めた騎兵達。精強な『赤備え』として知られる、武田の騎馬軍団である。しかし、その姿は地獄の炎のごとく揺らめく妖気に覆われている。彼らが人ではなく、織田信長のユーベルコードによって生み出された存在であることを物語っていた。
「あれが、織田信長! そして甲斐の虎・武田信玄……」
 鬼猟流人形操術の使い手、六代目・松座衛門(とある人形操術の亡霊・f02931)が、絡繰人形『暁闇』に繋いだ糸を手繰って戦闘態勢を整える。武田騎馬軍団の先頭に立って駆けてくるのは、体高十尺(3メートル)を優に超える巨大な白虎に跨った偉丈夫。
 彼こそが、サムライエンパイアを混乱の渦に陥れた張本人、『第六天魔王』織田信長。そして白き大虎は、信長が秘術『魔軍転生』で召喚した魔軍将・武田信玄の霊に他ならない。
「よくぞ此処まで来たな、猟兵よ! 皆の者、我に続けィ!!」
 漆黒の武者鎧に身を固めた信長は、大太刀を振りかざしてこちらに斬り込んでくる。そこに一切の小細工は無い。ただ、圧倒的な破壊力を以て全てを蹂躙せんとする覇者の意志がそこに在った。
「武田信玄も復活阻止したのにしつこいのー。魔王諸共、滅してやるけーのー」
 空間転移とともに中庭に降り立ち、気怠い口調で戦場を見渡すのは、クリスタリアンの電脳魔術士、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)。まずは敵の第一波を防ぐべく、電脳ゴーグルを装着し防御プログラムを起動させる。シミュレーションゲームのようにヘックスで区切られた電脳空間を仲介して、メイスンは電脳魔術による簡易地雷を設置する。
 立て続けに轟音が炸裂し、爆炎が噴き上がる。防衛ラインを越えた前列の騎兵たちが、次々と地雷を踏んだのだ。馬と兵の体が千切れ飛び、次々と消滅していく。しかし、その程度では武田騎馬軍団の進撃は止まらない。
「騎兵は立ち止まったら終わりじゃけーのー。さて、次の手は、と」
 メイスンは魔空安土城のMAPを素早く展開し、電脳魔術で即座に転移可能なポイントを割り出す。
「ひとまず、退くかのー」
 軍馬の巨体に撥ね飛ばされる直前、メイスンの体は瞬時に量子化し消失。次の瞬間、彼女は土蔵の屋根上に転移していた。


「でかいネコ(武田サン)の顎をわしわし撫でる信長サンが見たいのですガ駄目ですかそうですカ……」
 信長はさらに騎馬を召喚して戦列に加え、猟兵の間近に迫っている。メイスンと入れ替わりに現れたノイン・フィーバー(テレビ顔のメカ野郎・f03434)は信長と信玄の威容を前にややたじろぎながらも、彼らを足止めすべくガジェットを鞄から取り出す。今回用意してきたのは一挺のロケットランチャーだ。長大な銃身を肩にセットして構え、眼前の騎馬隊に向けて砲弾を発射する。
「ヌッ! 猪口才な飛び道具を使いおる」
 出鱈目な軌道を描いて放たれたのは、タケノコのような形状の砲弾。それらは放物線を描いて着弾すると、地面から爆発的なスピードで成長する竹を生成して騎馬隊の行く手を遮るように人工の竹林を作り出した。
「騎兵は機動力が命。そしてそれは、予想外の場所に駆け付けるから、コソ」
 騎兵の破壊力は、そのスピードと比例する。障害物を回避するためには速度を落とさねばならず、速度が落ちれば当然敵にも狙われやすい。戦場に突如発生した竹林を、騎馬隊が突き進む。信長の号令の下強引に突破するも、指向性の定まった動きは狙いをつけられやすい。
「お、いい具合に地形を操作できたのー。それじゃ、例のやついってみるかのー」
 メイスンは愛用の電脳AI搭載メガネ「MIYAJIMA」を起動させ、細い指先でタブレット型スパコンのパネルをなぞる。【倫敦は霧に包まれて(ステルス・デバッガー)】。彼女が作成した紫色の霧状電脳AIが散布され、直径52km一帯がメイスンの電脳空間とリンクする。物理法則までも書き換える電脳魔術によって生み出されたのは、黒きくろがねの銃砲、ガトリングガン。
 かつて、織田信長は『長篠の戦い』において足軽鉄砲隊を編成し、革新的な戦法で武田勝頼の軍を打ち破った。その戦法とは――
「ガトリング隊、発射ぁ!」
 竹林に飛び込んだ騎馬隊に向けて、ズラリと並んだガトリングガンの砲門が向けられていた。隊列を為したガトリングガンが狂ったように吠えまくり、鮮烈なマズルフラッシュと共に弾丸の嵐が吹き荒れた。鉛の雨が容赦なく騎馬隊を打ち付け、その身を抉り、穿ち、赤い姿をさらに朱く染め上げた。馬が甲高く嘶き、兵達は馬上から振り落とされながら霞の如く散っていく。だが、信長と白虎信玄は話が別だ。強靭な魔獣の肉体はしなやかさも兼ね備え、竹林の中を難なく掻い潜って疾走する。
 メイスンは弾を撃ち尽くすタイミングを見計らって鉄砲隊を後退させる。流れる動きで端末を操作し、電脳空間から別リソースの鉄砲隊を戦場に送りこんだ。下がった部隊の後方から入れ替わるように、硝煙の中から第二陣が砲身を突き出す。
「ほう、これは!」
 全身に弾丸を受け、白い体毛を紅に染めながらも疾駆する白虎。この程度の被弾では、ダメージを受けた内に入っていない。信玄の背に乗った信長が、感嘆の声を上げる。
「これが、近未来三段撃ち! 信長諸共ハチの巣じゃー!」
 それは、信長が当時伝来して間もない火縄銃を用いて行った戦術。メイスンは電脳魔術を以て鉄砲隊を創り出し、その再現を行ったのだ。弾が切れればさらに霧からAI作成装置で銃を創り、波状攻撃をかける。いかに精強な武田の赤備えといえど、絶え間なく浴びせられる銃撃によりその数を大幅に削られていった。しかも用いられているものは火縄銃とは格段に性能が違う。とはいえ、それでも尚突破してくる者もいる。
「別に怨みはないのですが、戦国とはそういうモノと聞き及んでいますノデ、ええ、お覚悟ヲ」
 ノインもアームドフォートを構えて援護に加わった。頭部モニターには『Fire!』の文字が表示させると、複合兵装による大火力を以て残存する騎兵を狙撃して撃滅していった。そして、ついには信長一騎のみとなる。
「この儂の戦術を改良してくるとはのう! だが――」
 巨大な白虎と化した信玄が牙を剥き、信長が大太刀を振りかぶってノインに襲い掛かる。生命力を共有する、人と獣による連携攻撃だ。
「この魔軍将・信玄の前には、いかなる銃も豆鉄砲に等しい!!」 
「むぅ……!」
 ノインの体がバラバラに引き裂かれる寸前、横合いから真黒な影が飛び込んできた。それはノインの体を引っ張って跳躍すると、その真横を信長を乗せた白虎信玄が疾風のように走り去っていった。
「大丈夫か!!」
「松座衛門サン! 助かりましタ」
 ノインを救い出したのは、人形遣い松座衛門の絡繰人形・暁闇だ。松座衛門は暁闇を糸で傍らに手繰り寄せると、信長と白虎信玄に正面から向かい合った。
「織田信長、その命、頂戴する! 覚悟!」
「ふん、何かと思えば木偶遣いか! 貴様はあの世で人形芝居でも演じておればよい!」
 目障りだ、と言わんばかりに信玄が低い声で一吼え。体を低く屈めると、勢いをつけて松座衛門に躍りかかった。体重をかけて繰り出される爪の一撃を、暁闇が大きな腕でガード。松座衛門も伸縮性の多節棍「双爪丸」を構えて信長に打ち掛かった。
「青二才めが……そんな腕で儂の首を取れると思うておるのか!」
 大太刀を豪快に振るい、上段から激しい斬撃を松座衛門に浴びせる信長。松座衛門がそれを棍で捌き、反撃を繰り出す。さらに暁闇と連携しての同時攻撃。
 二対二の攻防が繰り広げられるが、さすがに白兵戦の技量では信長が上手だ。白虎は巨体に似合わぬ敏捷さで松座衛門を翻弄し、体当たりを仕掛けて暁闇を吹き飛ばす。みるみるうちに劣勢に追い込まれ、手傷を負っていく暁闇と松座衛門。
「グッ! ……自分だけでは無理かも……しれない。だが……共に戦う仲間がいれば!」
 信長と真っ向から打ちあう松座衛門を援護すべく、メイスンとノインが後方から砲火を浴びせた。絶え間ない銃撃を受け、信玄の体の赤い面積が徐々に増していく。だが信長は鬼の形相で刃を振るい続け、闘志はまだ衰えさせていない。
「儂が潜り抜けてきた修羅場に比べれば、ぬるいものよ!」

「……おっ?」
 タブレットを忙しなく操作していたメイスンの頭上から、白い羽が落ちてきた。それを拾い上げると、涼やかな女の声が聞こえてきた。
「あれが第六天魔王、織田信長ですか。……要はめっちゃ強いから覚悟して殴ればいいですね!」
「重役出勤じゃのー。もう皆戦っておるぞ」
 翼をはためかせて優雅に舞い降りたのは、オラトリオのニレッド・アロウン(水晶鋏の似非天使・f09465)。軽やかにローブの裾を翻しながら、戦場に降り立つ。
「魔王だかなんだか知りませんが、アンタを倒せばめでたくハッピーエンドですよ」
「めでたいのは、貴様の頭だけで十分だ!」
 信長の背後の火炎が揺らめき、火の渦の中から騎馬軍団を呼び出す。百騎を優に超える騎兵達が、雄叫びを上げながらニレッドに襲い掛かった。
「数だけは多いですけど、これでどうです?」
 ニレッドは全身を覆う魔力を増幅して防御障壁に変え、飛び回ってターンを繰り返し騎馬突撃をやり過ごす。槍や太刀の切っ先が彼女の体を傷つけるが、構わず魔力障壁で身を守りながらユーベルコードの詠唱を続行する。
「刃よ、鈴蘭の嵐となって吹き荒れなさい!」
 ニレッドが詠唱を完成させると、水晶鋏の刃に施されたルーンの刻印が強い輝きを放った。水晶の大鋏は分解されて光の粒子となり、やがて鈴蘭の花弁に再構成されると花吹雪となって戦場を埋め尽くした。美しくも恐ろしい切れ味を誇る、刃の嵐だ。ニレッドの半径40メートル内に侵入した兵士が次々と花の刃に切り刻まれ、落馬していく。
「雑魚が邪魔してるんじゃねーです」
 力尽きて炎に還っていく騎馬を尻目に、ニレッドは翼を羽ばたかせて信長に狙いをつける。
「勇ましいな、女! 女と言えど貴様は立派な兵(つわもの)よ!」
「ええ、世界を背負ってる『猟兵』ですからね!」
 無謀にも、太刀を手にした信長に拳で挑むニレッド。流石にこれは蛮勇か、一撃で斬り捨てられる――というところで体勢を変更、両腕をクロスさせてきりもみキックを放つ。狙いは太刀を持っている手だ。
「かかれ、信玄!」
 信長の命令に応じ、信玄が前足でニレッドを叩き落とさんと伸びあがる。だが、
「ガアッ!」
 苦悶の声を上げ、身をよじる信玄。その足には、細い糸が巻き付けられていた。それは、松座衛門が自身と人形を繋ぐための操り糸だ。信長が騎馬軍団を召喚した瞬間、松座衛門が咄嗟に結びつけておいたものである。
「てやああっ!」
 信玄が動きを封じられたことにより、ニレッドの飛び蹴りが信長の手甲に炸裂する。取り落とした刀を拾うためには、信玄から降りなければならない。
「反撃だ! 戻って来い! 暁闇!」
 松座衛門がもう一つの糸を手繰り、遠隔操作していた暁闇を自身に向けて呼び戻す。その途中で、暁闇が信長とすれ違う形になる。繰り出す技は『鬼猟流二ノ型・手繰り討ち』。高速で疾走する暁闇が鉤爪を閃かせ、すれ違いざまに信玄の横腹を深く裂いた。
「このまま、一気に倒しまショウ!」
 動きを止めた信長と信玄に、ノインの砲撃とメイスンのガトリング射撃が一斉に撃ち込まれる。血煙が舞い上がり、信長が纏っている黒い甲冑が無惨に破損していく。だが、大量の血を流しながらも、白虎信玄は歩みを止めない。猟兵に向かって、決死の突撃を敢行する。
「――槍をもてィ!!」
 信長の背後で燃え盛る業火の中から、一本の槍が出現した。それを引っ掴み、松座衛門目掛けて真一文字に突き出す信長。
「こっ……のォ!!」
 ニレッドが投げつけた大鋏が、信玄の頭に深々と突き刺さる。最早ここまで、力尽きた信玄が倒れ伏すと、信長の槍は敢え無く空を切る。
「これで終わりだ……信長!!」
 松座衛門が繰り出した双爪丸の一突きが、信長の胸を深々と貫いた。大きく目を見開いた信長の口から、盛大に血が溢れ出す。信長は残された力で棍を握ると、松座衛門を見据えて言葉を絞り出した。
「ここまでか……。見事だ、猟兵達。この戦い、貴様らの勝ちだ」
 白虎信玄の肉体が激しく燃え上がり、紅蓮の炎塊へと戻る。やがてその炎は勢いを弱め、完全に消失した。『魔軍転生』の術が解けたのだ。そして、信長自身の肉体も烈火に包まれ、足元から灰に変わって崩壊していく。
「徳川の世がこれからどうなるのか……見届けられんのが口惜しいが。だが決して忘れるな、儂に変わる新たなフォーミュラは、いつか必ず現れると! 我等はオブリビオン、決して拭いきれぬ血の跡なのだ……!」
 呪詛の言葉を残して、第六天魔王・織田信長は骸の海へと還った。この戦場での戦いは、猟兵達の勝利に終わった。エンパイア・ウォーの行方を占う運命の天秤を動かす、貴重な一勝だ。猟兵達は戦いの傷を癒すべく、グリモアベースへと帰還する

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月26日


挿絵イラスト