エンパイアウォー㉞~憑装・甲斐の虎
●魔空安土城――最終決戦
「皆様、ここまでのサムライエンパイアにおける戦争、お疲れ様でございます。徳川軍により魔空安土城の守りも無力化され、いよいよオブリビオンフォーミュラである第六天魔王『織田信長』との決戦です」
集まった猟兵たちに一礼したエルフの執事、ヘルメス・トリスメギストスが状況を説明する。
「魔空安土城内部では、すでに織田軍と徳川軍が交戦中です。織田軍は徳川軍に任せ、猟兵の皆様には、敵の総大将、織田信長を討ちに向かっていただきます」
ほぼ無傷で島原までたどり着けた徳川軍は、全軍で魔空安土城へ突入し、織田軍と激闘を繰り広げているという。徳川軍の損害を抑えることができたのも、ひとえに猟兵たちの活躍ゆえであろう。
「ですが、織田信長は強敵です。あろうことか秘術『魔軍転生』を用い、『憑装』で魔軍将をその身に宿して戦いに臨んできます」
織田信長はオブリビオンフォーミュラである自身の力に加え、魔軍将の力まで利用してくるというのだ。これは心してかからねばならないだろう。
「今回、私が転送する先では、甲斐の虎『武田信玄』の力を『憑装』した織田信長が待ち受けております。その名も『織田信長』信玄装です」
武田信玄を背後霊のように従えた姿。それが織田信長信玄装だ。
「織田信長は、皆様の攻撃に対して必ず先制攻撃をしてきます。それをいかに防いで反撃に繋げるかが勝負の鍵となるでしょう」
織田信長は、風林火山による自己強化や、白虎状態に变化した武田信玄に騎乗しての攻撃、武田騎馬軍団の召喚などで攻撃してくるという。
苛烈極まりない攻撃をいかに防ぐか、そしてどう反撃するかが勝敗を左右することになるだろう。
「それでは、サムライエンパイアの未来をかけたこの一戦、どうぞよろしくお願いいたします」
猟兵たちに向かって深く頭を下げ、ヘルメスは転送の準備に入ったのだった。
高天原御雷
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
オープニングをご覧いただき、どうもありがとうございます。高天原御雷です。
いよいよサムライエンパイアのオブリビオンフォーミュラ、織田信長との決戦です。
織田信長は必ず先制攻撃を仕掛けてきますので、それへの対処と反撃手段が必須となります。
ただし、ユーベルコードを複数回使用すると、その回数だけ先制攻撃を受けますのでご注意下さい。
なお、信長が憑装している武田信玄は猟兵がオブリビオン化阻止に成功したため、虎のように唸るだけで喋りません。そのため意思疎通をすることはできません。
それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
●先制攻撃のルール
第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』信玄装』
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POW : 風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ラモート・レーパー
「最初に言っておく。こいつにはやけくそが混じってる」
幹部戦に挑もうとしたけど挑めなかったので気が立っている。
先制UC対策は黒剣をポーラに変えて戦闘。分銅みたいに刀を絡め取ったり、投擲して捕縛する。
黒剣が手元になくなったら、自分の角を折ってナイフとして扱って応戦するよ。
指定UCで時間と空間を無視して相手がUCを発動する直前に相手の身体の中を切り刻む!
●羅刹と魔王
魔空安土城の内部に転送された幼女、ラモート・レーパー(生きた概念・f03606)は気が立っていた。
「幹部にいどもうと思ったけど、いどめなかったんだよ!」
魔軍将たちの謀略を阻むために幾度も出撃したラモートだが、肝心の魔軍将たちとは矛を交える機会がなく魔空安土城の決戦が始まってしまったのだ。
「こうなったら、敵の親玉の命をもらっちゃうからね!」
幹部と戦えなかった腹いせに、ラモートは第六天魔王の命を狙う。
とある概念が意識と肉体を持ち実体化した存在であるラモートには、相手の生命を奪うことにまったく抵抗がない。――むしろ、それこそがラモートであるとも言えた。
「遂に来たか、猟兵たちよ」
魔空安土城の奥へと進んだラモートの前に、西洋鎧を思わせる甲冑を身にまとった偉丈夫が現れる。
日輪のごとき炎を背負い、白虎の面相をした赤き鎧の武将の霊を従えた存在――
「あなたが織田信長です?」
「いかにも。儂が第六天魔王、織田信長よ」
ラモートの問いに答えるオブリビオン。この人物こそが、サムライエンパイアのオブリビオン・フォーミュラ、第六天魔王織田信長であった。
秘術『魔軍転生』により、復活かなわなかった武田信玄を『憑装』させし織田信長。その名も織田信長信玄装である。
「さあ、猟兵よ。戦国最強と歌われし風林火山の旗印、受けてみよ!」
信長の持つ刀が渦巻く炎に包まれる。
全身を覆う甲冑が黒曜石の輝きを放つ。
その背に樹木の翼が生え、激しく空気を叩く。
まさに風林火山を体現したかのような姿となった信長は、樹木の翼で空中に舞い上がると、炎に包まれた刀の切っ先を向けて突撃してきた。
「それは想定の範囲内だよっ」
ラモートは手にした黒剣を、ロープの先端に重りが付いた武器、ボーラに変形させると、信長に向かって投擲した。
「ぬっ!?」
まさか唯一の武器を投げつけてくるとは思っていなかった信長は、その不意打ちを刀で受ける。刀に命中したボーラは、そのまま刀に絡みつき動きを封じた。
――刀を封じられた信長に生じた一瞬の隙。だが、この最終決戦において、その一瞬は勝敗を分かつに十分すぎるものだった。
丸腰になったラモートは、黒曜石でできた自身の角を折ると、ナイフのように構える。
「子供だと思って油断したね?」
「抜かせ。この第六天魔王、相手の姿形に惑わされはせぬ。貴様は小童などではなく悪鬼羅刹の類であろうよ。なれば――この儂が油断する道理なぞあろうものか」
本気で挑んだ結果であると断じる織田信長。
「なら、これからどうなるかも覚悟してるよね? ――斬る」
ラモートは信長に向かって黒曜石のナイフを振り抜く。
そのナイフは信長の黒曜石の鎧に弾かれるかと思われた。
「なに――!?」
【生と死の境界線】によって時間と空間を超越した斬撃の事象が、信長の纏う鎧を無効化し、その肉体を斬り裂いた。
「どんな強固な鎧でも、斬撃という事象そのものは防げない、ってね」
「――見事!」
吐血しながら膝を付く織田信長であった。
成功
🔵🔵🔴
エメラ・アーヴェスピア
さて、やっと会えたわね、オブリビオンフォーミュラ
確か、織田信長だったわね…この世界の為、撃滅させてもらうわ
…地味にフォーミュラと対決するの、初めてだったりするけれど、ね
私が気にすべきは武田騎馬武者ね…ならこうしましょうか
大量に用意した浮遊型魔導蒸気盾を前方に横一列に並べ、
これに突撃を【盾受け】させる事で勢いと威力を落として【時間稼ぎ】よ…まるで柵のようにね
そして動きが鈍った所を『この場は既に我が陣地』
砲台を3つのグループに分けて順番に隙間なく騎馬や信長に連射するわ
…この戦術、貴方なら心当たりがあるのではないかしら?
戦争の勝利は目の前、油断なく行きましょう
※アドリブ・絡み歓迎
●騎馬軍団と三段撃ち
「さて、やっと会えたわね、オブリビオン・フォーミュラ。確か、織田信長だったわね……」
魔空安土城に転移したエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が織田信長に向かって言い放つ。その声は静かに大広間に響き渡った。
自然体で織田信長に相対するエメラだが、実はオブリビオン・フォーミュラとの直接対決はこれが初めてだ。しかし気負った様子を見せないのは流石歴戦の猟兵である。
「儂の次の相手は貴様か、小娘。……いや、貴様もその外見に惑わされてはならぬ存在だな?」
アンティーク調のドレスに身を包んだ少女姿のエメラ。その姿を一目見た織田信長は、その本質を見抜き侮れない相手と理解する。
織田信長の背後に赤い鎧を着た武者の霊が浮かび上がる。虎の面相をした武将――織田信長が『憑装』させている『甲斐の虎』武田信玄の霊である。
「第六天魔王・織田信長。あなたはこの世界の為、撃滅させてもらうわ」
「『甲斐の虎』を憑装させている儂を滅せるというなら、試してみるがよい」
武田信玄の霊が手にした軍配を振りかざすと、織田信長の眼前に騎馬武者の軍団が召喚される。
赤い鎧に身を包み槍を持った騎馬武者たち。これこそ戦国最強と名高い武田騎馬軍団であった。
「騎馬軍団が相手、ね。ならこうしましょうか……」
エメラは騎馬軍団を冷静に見つめ、大量に準備した『浮遊型魔導蒸気盾』に命令を与える。
魔導蒸気機関で浮遊する盾はエメラの指示通りに前方に柵のように展開、配置された。
さらに盾の後方に【この場は既に我が陣地(シェリングテリトリー)】によって、魔導蒸気砲台を召喚し三グループに分けて配置する。
「ほう、その策で来たか……」
「ええ、この戦術、貴方なら心当たりがあるのではないかしら?」
エメラが取った陣形を見て、にやりと笑みを浮かべる織田信長。
それは、かつて織田信長が長篠の合戦で武田騎馬軍団を壊滅に追いやった『鉄砲三段撃ち』の構えであった。
「面白い。この『甲斐の虎』武田信玄が指揮する騎馬軍団。勝頼の小童ごときが率いたものとは違うことを教えてやろう」
武田信玄を憑装させた織田信長の号令により、騎馬武者たちが一斉に突撃を開始した。
エメラに向かって怒涛のごとく殺到する騎馬武者たちは、まるで赤い津波である。
だが、その突撃を『浮遊型魔導蒸気盾』による馬防柵が押し留め、槍を弾き、突進の勢いを殺していく。
「今よ、撃ち方始め!」
魔導蒸気の盾に足を止めさせられた騎馬武者達に、黄金色に輝く大砲からの砲撃が着弾する。
その絶大な破壊力は武者の鎧程度で防げるものではなく、直撃を受けた騎馬武者が消滅していく。
「その程度で儂の騎馬軍団を倒しきれると思うでないぞ」
消滅した騎馬武者の後ろから、騎馬軍団が津波のごとく押し寄せる。
だが、一撃で仕留めきれないのはエメラの想定通りであった。
「第二射、発射」
3つに分けた魔導蒸気砲台の、2つ目のグループが火を吹き、殺到していた敵の第二波も消滅する。
だが、まだ砲撃は終わらない。
3つ目のグループの砲撃が終われば、砲身の冷却と砲弾の再装填を終えた1つ目のグループが再び砲撃をおこない、砲弾の雨が騎馬軍団に間断無く降り注ぐ。
これを何度も繰り返すことで、無限に湧き出すかと思われた武田騎馬軍団も、ついに姿を消したのだった。
「見えたわ、織田信長! 全砲門、一斉発射よ」
エメラの指示で魔導蒸気砲台が一斉に火を吹き――織田信長に砲弾が命中。その身体を爆風が包み込んだ。
「ぐう、莫迦な――。甲斐の虎が指揮する最強の騎馬軍団が敗れただと――!?」
驚愕に目を見開きながら織田信長が膝をつく。
「貴方が何故敗れたのか教えてあげましょうか? それは、武田騎馬軍団は最強だと慢心したこと。そう、貴方が言っていた武田勝頼のように、ね。どんな時でも油断しないことが勝利の鍵よ」
「――そうか。儂も勝頼の小童同様、甲斐の虎の威を借っておったか」
エメラを見つめ、愉快そうに笑う織田信長だった。
成功
🔵🔵🔴
尾崎・ナオ
●防御
「虎って可愛くないよね。うん、ずんぐりむっくり。ナオちゃんみたいに可愛くなぁい」
真の姿は黒猫。猫科という事でライバル心を剥き出しにし【指定UC】挑発11。
今は人型の姿で何言ってるか判らないだろうけどね、別に良いんだぁ。
これはUC発動の儀式みたいなもんだ。
爆発的にスピードと反応速度を増大させ、敵攻撃の回避に専念する。
●反撃
「お前にコレが見えるかにゃ~?」
ナオちゃんの代名詞。二丁拳銃の超高速早打ち!
この精度の早業40/クイックドロウ157は、UC無しでよけきれまい!
でもこれ牽制☆
●攻撃(本命)
毒使い40で「黒いナイフ」に猛毒を塗り、投擲46
体力があるのは知ってるからね。猛毒ならどうかにゃ~?
●黒き猫と白き虎
「へぇ、あなたが織田信長かぁ。第六天魔王とか名乗ってるから中二病だとは思ってたけど、憑装とか中二病全開な名前ねぇ?」
「ほう、この儂を愚弄するか……。どうやら命がいらぬと見える」
織田信長の前に姿を見せると同時に挑発の言葉を放つのは尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)。黒い長髪を翻し、全身を黒ずくめの服装で覆った女性であった。
ナオに対する先制攻撃として、織田信長は憑装させた武田信玄を白虎状態にして騎乗する。いつでもナオに飛びかかれる体勢である。
しかし、それを見たナオは余裕の表情を崩さない。いや、むしろ白虎姿の信玄に対してウザい眼差しを向ける。
「虎って可愛くないよね。うん、ずんぐりむっくり。ナオちゃんみたいに可愛くなぁい」
「ガルルル……」
ナオの言葉に白虎の信玄が苛立ちの唸り声をあげた。
だが、真の姿が黒猫であるナオからの煽りの言葉はこれでは終わらない。
「やっぱ、猫科は可愛らしい黒猫に限るでしょう~。ナオちゃん超カワイイー」
「ガアアアッ!」
「ぬっ!? 落ち着かぬか、信玄……!」
ナオの煽りに信長の命令も聞かずに飛び出す信玄。生前は冷静な武将だった武田信玄だが、復活の儀式が失敗に終わった今、その知能はかつてのような聡明なものではなかった。
「まあよい。儂と信玄を愚弄したことを後悔しながら死ぬがよい!」
白虎・信玄に乗った織田信長がナオに向かって突進する。その神速の突撃から放たれる白虎の爪と牙による一撃は、あらゆるものを引き裂く烈風だ。
だが、ナオはその突撃を空中に飛び上がることでひらりと回避する。
「その程度の攻撃、当たらないにゃー」
「なんだとっ!?」
神速の攻撃を避けられた織田信長は驚愕の表情を浮かべる。
騎乗することで戦闘能力が強化された状態の信玄と信長。その攻撃を避けるには通常の方法では不可能だ。
「……それが貴様の隠し玉ということか」
「ご名答だにゃー。さすがは織田信長ですぅ」
そう、これがナオのユーベルコード【煽りは任せろ(イエーイ)】。自画自賛して相手を馬鹿にすることで、スピードと反応速度を爆発的に増大させるというウザい能力だった。
「だが、避けているだけでは儂と信玄は倒せぬぞ!」
「わかってるしぃ。お前にこれが見えるかにゃ~?」
壁や天井を蹴って目にも留まらぬ速さで跳躍するナオの両手に、二丁の拳銃が現れる。そこから放たれる弾丸が雨あられと信長と信玄に襲いかかった。
「くっ、短筒か!」
とっさに回避を試みる信長だったが、乗騎の白虎・信玄が冷静さを欠いているいま、神技の如きナオの射撃を避けきるのは不可能だった。
全弾回避が無理だと悟った信長が、銃弾を鎧でガードする。
「これを防ぐとは、さっすが織田信長~。けど、残念ー、これは牽制なんですぅ」
いつの間にかナオの手に握られていたのは、猛毒の塗られた黒いナイフ。
ナオによって投擲されたナイフは、銃弾に匹敵する速度と精度で飛翔し――白虎・信玄の急所に黒き爪を突き立てた。
「ガゥウウウ!」
「ぐぬっ!?」
普通の人間ならば即死するレベルの猛毒。
オブリビオンである信玄が相手では即死させるには至らないが、急所を貫かれては無傷とはいかない。その毒に苦しみ、のたうち回る。
そして、その信玄と体力を共有していた信長もまた、傷と毒のために片膝をついていた。
「ぐっ……信玄を挑発し攻撃を避けた上、この儂に手傷を負わせるとは、見事……」
すでに姿を消した黒猫に対し、称賛の声を返す信長であった。
成功
🔵🔵🔴
アリス・セカンドカラー
風林火山の発動に合わせ、アリスの不可思議な世界で上杉謙信の幻想を纏い12本の毘沙門刀を創造し念動力の空中浮遊で操作。
【渦巻く炎の刀】に水行属性攻撃を乗せた水と氷の毘沙門刀で水剋火。
【黒曜石の全身甲冑】に木行属性攻撃を乗せた樹の毘沙門刀で木剋土。
【嵐を呼ぶ樹木の翼】に金行属性攻撃を乗せた毒の毘沙門刀で金剋木。
おそらく相殺はしきれないので大食いの念動力による盗み攻撃で熱量を奪いつつ、オーラ防御と喰らいヒール(念動力、医術、ドーピング、祈り)でダメージの軽減を試みる。
気合いで意識だけは残す、そうすれば念動力で武器も肉体も操れる。後は『アンヘルブラック』『ディアブロホワイト』で捨て身の一撃の鎧無視攻撃
●相生相剋
「そちらが武田信玄を纏うなら、こちらは上杉謙信の幻想で対抗よ」
「ほう、儂と正面から打ち合うか。面白い!」
風林火山によって、炎の刀、黒曜石の鎧、樹木の翼を展開した織田信長。
それに対するは、【アリスの不可思議な世界(アリスズワンダーワールド)】によって生み出した上杉謙信の幻想を纏うアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の魔少女・f05202)だ。
「武田信玄と上杉謙信、果たして強いのはどちらかしらね?」
「抜かせ。儂の配下である魔軍将の力を勝手に使った罪、万死に値する!」
樹木の翼で風を起こし空中に飛び上がった織田信長が、アリスに向かって炎の刀を振り下ろす。
それを迎え撃つは、アリスが操る12本の毘沙門刀。水と氷の属性を付与された毘沙門刀が、炎の刀を弾き返す。
「ふふ、水剋火の水行属性攻撃、いかがかしら?」
「ぬう、陰陽五行……貴様、安倍晴明の力も上乗せしおるか」
アリスが用いたのは、陰陽五行説の相生相剋の概念。木火土金水の5属性の相性を利用したものだ。
「水剋火。水は火に克つ。火が水で消えるのは当然よねー」
「だが、攻撃を封じた程度では儂を倒すことはできぬぞ!」
再び樹木の翼で宙に舞い上がり、炎の刀を構える織田信長。
その炎は先程よりも強力な輝きを放っていた。
「飛ばれてると面倒よね―」
織田信長の背後から、毘沙門刀が飛来する。
「その程度、効きはせぬ……なんだとっ!?」
翼の一振りで振り落とせるはずだった刀は、織田信長の翼に深々と突き刺さった。
翼を根本から断ち切られ、地に落ちる織田信長。
「どうかしら、金行属性の毘沙門刀の威力。これが金剋木よ」
さらに地に伏した織田信長に向かって殺到する毘沙門刀の群れ。
信長はとっさに黒曜石の鎧で受け止めるが――毘沙門刀は堅固な防御を誇る鎧をやすやすと貫いた。
「ぐはぁっ!」
全身を貫かれ、吐血する織田信長。
「黒曜石の鎧なら、木行属性で木剋土ね」
「ぐぬっ、ならばこの一撃を受けてみよ!」
切り落とされた樹木の翼を燃やし、織田信長は刀に纏う炎を強化する。
「木生火――木は火を生じる。相生というわけね……」
冷や汗を流しつつ、炎の刀に水の毘沙門刀をぶつけるアリス。
だが、相生の効果の乗った炎相手では、相剋で打ち消し切ることはできず、アリスの身体が炎に飲まれ――。
「攻撃を殺しきれないのは想定済みよ。さすがに無傷とはいかなかったから、今日はここまでにするけどね♪」
オーラによる防御と自己治療によって攻撃を防いだアリスは、織田信長に十分な打撃を与えたと判断し撤収するのだった。
「おのれ、女狐――いや、悪魔めが」
成功
🔵🔵🔴
ローゼマリー・ランケ
共闘・アレンジ等歓迎
ロミィ:主人格・力・戦士系スキル担当
ベル:副人格・速さ・盗賊系スキル担当
「ベル、魔王サンも人の形してるナラ、掴んで投げれるデショウ?」
「……油断だけはしないで下さいよ。ロミィ」
敵の攻撃は【覚悟】した上で【ダッシュ】で近づき、出掛かりを【武器受け】で抑え、ダメージを最小限にする。
周囲の【地形の利用】が出来そうならフックを【投擲】し【ロープワーク】で手繰り寄せて壁にするなり、近づく際の加速に使用する。
受けた武器を払って【武器落とし】し、腹部に攻撃して身体を折らせた後【グラップル】によるダブルアームスープレックス型のUCを狙う。攻撃方法は状況によって効果的な形に変更。攻撃後即離脱
●比翼連理
「ベル、敵への接近は任せマシタ」
「……攻撃のとき、油断だけはしないでくださいよ、ロミィ」
織田信長の待つ大広間に転移してきたのは、多重人格者のローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)。戦いを前にして、二つの人格、ロミィとベルが作戦を最終確認する。
「それにしても総大将戦ともなると緊張シマスネ」
普段は感情表現が豊かな主人格のローゼマリーであるが、さすがに第六天魔王が相手ともなると、声から緊張の色を隠せない。
「……ええ、すでに勝敗の大勢は決したと聞きますが、すべての織田信長を倒さなければなりませんから責任は重大です」
淡々と答える副人格のベルトーシカ。普段どおりの事務的な応対に聞こえるが、聞くものが聞けば声が硬いことがわかっただろう。
「次の儂の相手は貴様……いや、『貴様ら』か」
ローゼマリーの前にゆっくりと姿をあらわすのは、炎渦巻く刀を手にし、黒曜石の鎧を身にまとった『第六天魔王』織田信長。その背には樹木によって形作られた翼を広げていた。
織田信長が武田信玄を『憑装』させることで『風林火山』を体現した姿であった。
ここまでの猟兵との戦いで全身から血を流している織田信長だが、サムライエンパイアのオブリビオン・フォーミュラの名は伊達ではない。いまだ力強く魔空安土城の床を踏みしめて立っていた。
「ロミィ、作戦通りいきますよ」
風林火山の完全武装の織田信長に対して、床を蹴って疾駆するローゼマリー……いや、ローゼマリーの身体を操るベルトーシカ。
(「私の仕事は敵からのダメージを最小限にして近づき、ロミィへとバトンを渡すことです!」)
「ほう、正面から来るか。面白い。この風林火山の力、見せてやろう」
織田信長は、地獄の業火を思わせる炎を纏う刀を振り上げる。それがローゼマリーに向けて振り下ろされる――かに思われた直前。ローゼマリーが投擲したフック付きロープが、織田信長の背後の壁面に固定される。
「今ですっ!」
「なにっ!?」
ロープを強引に引き寄せて織田信長との距離を一瞬で零にするローゼマリー。
突然、目の前まで接近してきたローゼマリーに、織田信長が驚愕の表情を浮かべ動きを止める。その隙を見逃すローゼマリーではなかった。
ローゼマリーは袖口に隠し持っていた鋼鉄製ワイヤーを放つ。それは刀を振り上げた織田信長の腕に絡みつくと、刀を振り下ろす動作を阻害する。
「ふん、こんな小手先の妨害程度……」
「……この一瞬の隙を作れれば、私の仕事は終わりです。後は任せましたよ、ロミィ」
「任せて下サーイ!」
信長を見つめるローゼマリーの冷静な表情に、獰猛な笑みが浮かぶ。
「ぬ、貴様、『交代』したか!」
「ここからは私がお相手デース!」
織田信長は、ワイヤーに絡め取られたままの姿勢で無理やり刀を振り下ろした。
だが、不完全な体勢から繰り出された一撃に、ローゼマリーは左手の掌打を合わせ打ち払う。
「ぐぬっ!?」
ベルトーシカの静の動きから、ローゼマリーの動の動きへの急激な変化。それは一流の武将である織田信長でさえも対応しきれるものではなかった。いや、敵の呼吸を読んで戦う一流の武将なればこそ、突然の人格変化への戸惑いが大きかったのかもしれない。
「例え魔王であろうトモ、人の形をしてるナラ、掴んで投げられるデショウ?」
ローゼマリーは織田信長の腹部に右の掌底を打ち込む。
黒曜石製の鎧は刃物を防ぐには最適だが、ローゼマリーの怪力で放たれる打突の衝撃を消すことはできない。
大きく身体を折り曲げた織田信長を、ローゼマリーの両腕がガッチリとホールドする。
「捕マエタ! 捉えた獲物は逃さない! 【猛虎強襲撃(ロミィ・インパクト)】ーッ!」
「ガハッ!」
ローゼマリーが放ったダブルアームスープレックスが織田信長に炸裂。
――その計り知れない衝撃によって、魔空安土城の大広間が大きく陥没したのだった。
成功
🔵🔵🔴
落浜・語
黒鵺さん【f17491】と
さぁて、早いところ帰って頂かないと色々困るんでね。
熨斗はきっちり付けるんで、早々にご退場を。
先制攻撃は【第六感】と【戦闘知識】に頼りつつ、動体【視力】でもって目でも追える限りは追って躱し、躱し切れない分は【激痛耐性】で耐える。
『人形行列』でもって、炎【属性攻撃】かつ【範囲攻撃】でもって騎馬隊を吹き飛ばす。
数と威力には自信あるからな。大半を三列に並べ三段撃ちの真似事を。
すべては無理だったとしても、音や煙での足止めにはなるだろう。それに俺の目的はそっちだからな。本命は、黒鵺さん、任せた。
黒鵺さんが動きやすいように、煙や炎で攪乱や目くらましを。
アドリブ可
黒鵺・瑞樹
語(f03558)と同行
アドリブ可
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流
白虎の足を【部位破壊】狙いでUC五月雨を放つ。ついでに投擲用ナイフも一緒に【投擲】
回避行動起こされる前に、起こしにくいように広範囲からの攻撃をする。
当たる当たらない関係なく全部投擲したら、即座に【目立たない】ように【存在感】を消す。
こちらのナイフ、それに語の人形と騎馬武者、爆発に紛れて信長に接敵、【奇襲】をかけ【暗殺】の直接攻撃を仕掛ける。
一撃も入れんで終われないんでな。
相手の攻撃は基本【第六感】で感知、【見切り】で回避。回避しきれないものは【武器受け】し、それから【カウンター】を狙う。
それでも喰らう物は【激痛耐性】で耐える。
●ヤドリガミ
「ほう、次は二人がかりか。よかろう、一気にかかってくるがよい」
魔空安土城の大広間。
そこに待ち受けるは、白虎に变化した武田信玄に騎乗した織田信長だ。
さらに周囲には武田騎馬軍団も召喚済みという万全の布陣。いつでも突撃をかけられる状態だった。
「準備万端で出迎えか。これは骨が折れそうだな」
「早いところ帰って頂かないと色々困るんでね。熨斗はきっちり付けるんで、早々にご退場を」
信長と信玄の軍勢に対するは、二人のヤドリガミ。
ナイフのヤドリガミである黒鵺・瑞樹(辰星月影写す・f17491)と、高座扇子のヤドリガミである落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)だ。
瑞樹が打刀『胡』と本体のナイフ『黒鵺』の二刀を構え、外套をなびかせながら青い瞳で信長を射抜く。
普段の和装ではなく洋装の語も、信長たちに向かって人形を構えて戦闘態勢をとっていた。
最初に動いたのは瑞樹だ。
瑞樹の周囲に、ヤドリガミの本体たる黒塗りのナイフ『黒鵺』が50本以上出現し宙を舞う。
【五月雨】によって生み出された『黒鵺』は、瑞樹の意思に従って高速で飛翔し、漆黒の雨となって白虎目掛けて降り注ぐ。さらに瑞樹の手からは無数の投擲用ナイフ『飛刀』が放たれた。
「グアアアア!」
いかに俊敏な白虎といえど、全方位から迫るナイフを避けきるのは困難だった。
『黒鵺』と『飛刀』によって四肢を床に縫い付けられ、苦しみもがく白虎信玄。
「くっ、小癪な! 行け、武田騎馬軍団よ!」
白虎に騎乗した信長が、二人の猟兵を押しつぶさんと騎馬軍団に号令をかける。
号令に従って突進を開始する鎧武者たち。
「おっと、騎馬軍団は俺が相手だ。さあ、ご覧あれ。一体が二体、二体が四体、四体が八体……」
両手の糸で『絡繰人形』を操る語が【人形行列】を発動する。『絡繰人形』が次々と分裂を繰り返し、300体近い軍団を作り出した。
「ふん、そんな木偶人形で儂の騎馬軍団の相手が務まるものか」
「木偶人形かどうか試してみるんだな」
突進してくる騎馬軍団を、第一陣、第二陣、第三陣と三段構えの陣形をとった人形の軍勢が迎え撃つ。
騎馬軍団と人形の第一陣が接敵した瞬間。人形たちが騎馬軍団を巻き込んで連鎖爆発を引き起こし、魔空安土城の広間を業火と黒煙で包み込んだ。
「その程度で怯むな! 全軍突撃!」
数で勝る騎馬軍団は、多少の損耗は気にせず再度突撃を敢行する。
人形の第二陣が連鎖爆発し、さらに騎馬軍団を吹き飛ばす。
そして三度目の突撃に人形の第三陣が爆発し――残ったのは元々の数が多かった武田騎馬軍団。
「どうやら三段撃ちの真似事をしたかったようだが、儂の騎馬軍団の勝ちだな」
織田信長は白虎の上から勝ち誇った声で宣言しながら語を見下ろす。
だが、語の顔には余裕の笑みが浮かんでいた。
「すべてを倒せないのは織り込み済み。俺の目的は足止めだからな。本命は黒鵺さん、任せた」
「心得た。織田信長に一撃も入れんで終われないんでな」
瑞樹の声が広間に反響する。
「くっ、どこだっ!?」
周囲を見回す織田信長だが、爆煙に紛れて気配を断った瑞樹の姿を見つけることはできなかった。
瞬間、織田信長の胸から音もなく刀が生える。
背後から音もなく迫った瑞樹が、手に持った打刀『胡』を突き刺したのだ。
「がはっ!」
織田信長が吐血すると同時、白虎信玄と残りの武田騎馬軍団が主を守らんと、瑞樹と語に猛攻撃をしかける。
二人は経験と感を頼りにその攻撃を紙一重で躱しつつ、避けきれない攻撃は精神力で耐え忍ぶ。
「ここが引き時だな」
「ああ、あとはトリに任せるとしよう」
撤退していく二人のヤドリガミを見送りながら、自身の命脈が尽きる時が迫っているのを感じる織田信長だった。
成功
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ビスマス・テルマール
●POW
○先制対策
渦巻く炎の刀と
嵐を呼ぶ樹木の翼
真空に弱いこれ等は『早業』で『属性攻撃(真空)』を込め重ね掛けした『オーラ防御』を盾代わり
『火炎耐性・激痛耐性』で備えつつ『第六感』で『見切り』つつ『残像(※属性攻撃(真空)付与)』残しつつ『ダッシュ』し撹乱し凌ぐ
※残した残像で炎と嵐の勢いを削ぐ
回避不可は『怪力・盾受け』受け流し
隙見てウルシさんが事前に『料理』したスッポンのなめろうを『大食い・早業』で食べUC発動
スッポンのなめろうビーム掃除機で『属性攻撃(真空)』を込め炎の刀と嵐と吸い翼折り
無理でも動きは風じれる筈
そこでわたし達で『鎧無視攻撃・鎧砕き』の『一斉発射』を
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
●なめろう猟兵
第六天魔王・織田信長と猟兵たちの激突の舞台となっている魔空安土城の豪華絢爛たる大広間。そこは度重なる攻防の果てに、壁は剥がれ落ち、床は陥没し、見るも無残な様相を呈していた。
この大広間だけではない。魔空安土城の各部ではオブリビオン・フォーミュラたる織田信長と猟兵たちとの戦いが何十回と繰り広げられている。城全体を揺るがすような振動が響き、難攻不落と思われた魔空安土城にも終焉が近いことを物語っていた。
崩れ行く大広間に、武田信玄を憑装させた織田信長が満身創痍で立ち尽くす。
「一度生を享け、滅せぬもののあるべきか――か。思えばこうして第六天魔王として二度目の生を受け、儂はどれだけ生きたであろうか」
「例えそれが長かろうと短かろうと、一度滅した存在であるあなたは、この世界に居てはならない存在です」
大広間に足を踏み入れたのは、クリスタリアンの少女、ビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)である。ビスマスは信長に正面から向き合うと、その青い瞳で第六天魔王を射抜く。
「ふ、儂の最期の相手は貴様か。真っ直ぐないい目をしているな。この命をくれてやる相手として、光秀よりよほど良い。――だが、この第六天魔王の命、安いと思うなよ!」
織田信長は魔空安土城を震わせるかの如き大音声で吼えると、全身に風林火山を纏っていく。刀を覆うは本能寺を灼いた業火。信濃産の黒曜石で出来た鎧を着込み、背負う樹木の翼は諏訪大社の御神木。
最大限まで織田信長と武田信玄の霊験を引き出した霊装・風林火山は、織田信長にまさに第六天魔王に相応しい圧倒的なまでの威圧感を与えていた。
「なるほど、それがあなたの奥義、風林火山ですか――ならば!」
ビスマスがベルトを操作すると、その全身に、なめろう色の鎧装が装着されていく。
腰から足までを覆うようにスカート状の脚部装甲が展開される。胸部装甲と一体化した肩部装甲が装着され、籠手状の装甲が腕をガードする。背部に固定砲台が現れ、頭を鉢金型の装甲が覆い――最後に右手に黒い光を放つフォースセイバー、左手に漆塗りのお椀を持って、戦闘準備が完了した。
「かつて、第六天魔王である儂に最期をもたらした本能寺の地獄の業火、受けてみるが良い! この炎の熱さは、体験した儂自身が保証するぞ?」
「第六天魔王のジョークとは、恐縮ですねっ!」
洒落を利かせる織田信長だが、その刀の熱気に反してビスマスの背中には冷や汗が流れていた。
かつて人の身であった信長を灼いた炎だが、それは『第六天魔王を灼いた炎』という概念へ昇華し、今や地上において最上級の霊力を持つ炎と化していた。
ビスマスが触れようものなら一瞬で灰も残らずに燃え尽きることだろう。
「これが第六天魔王の底力ですか……。ですが、ここまでの力を出してしまったら、この勝負に勝っても、あなたは……」
「ふ。もはや儂に生き延びる道は残されておらぬ。遠慮せず全力でかかってくるがよい」
ビスマスの問いに織田信長は静かに答える。
「分かりました、ビスマス・テルマール、参ります! いざ尋常に勝負!」
「第六天魔王・織田信長、全力で相手をいたそう!」
あらゆるものを灼き尽くす豪炎に包まれた織田信長の刃がビスマスに向かって振り下ろされる。
それをビスマスは臆することなく正面から睨みつけ――。
「ここですっ!」
自身の正面に真空の壁を生み出すことで炎と熱を遮断する。
炎とは燃焼現象である。酸素のない場所では燃えることはできない。また、熱も空気がなければ伝導・拡散・対流によって伝わることは不可能だ。残る輻射によって真空を抜けてきた熱は、ビスマスの耐熱装甲が防ぎ切る。
「なるほど、さすがは猟兵よ! 伴天連の言っていた真なる空とやらを利用するか! だが、それは長くは保てまい!」
信長の指摘通り、真空の壁を生じさせることが出来るのは一瞬だ。真空の壁が消失すると同時に斬り込んできた信長の刀。
――だが、それはビスマスの残像を斬り裂いただけに終わった。
「それは見切っていました!」
真空の壁が消える直前に地を蹴ったビスマスは、大広間を自在に駆け抜け信長を翻弄する。
ビスマス目掛けて刀を振るう信長だが、それが捕らえるのはビスマスの残像だけだった。
「くっ、小癪な……」
苛立たしげに刀を振るう信長だが、その刀身に纏う炎がビスマスの残像を斬るたびに弱くなっていた。
ビスマスは残像にも真空を仕込むことによって、信長の炎の燃焼を妨害していたのだ。
「だが、避けているだけで、この第六天魔王に勝てると思わぬことだ」
織田信長が背中の翼で嵐を起こそうとした刹那――。
「誰が避けているだけと言いました?」
「何っ!?」
信長に向かって、巨大なスッポン型メカが体当たりをかました。
ビスマスが左手に持っていた漆塗りのお椀『ウルシ』がスッポン形態に変形し、さらにスッポンのなめろう450gを食べることで【ウルシ・ファランクス】が発動。体長3メートルの巨大スッポンメカになったものだった。
「私があなたの気を引いている間に、ウルシさんに、なめろうを食べてもらっていたんです! いきますよ、ウルシさん!」
ウルシが装備する、なめろうビーム掃除機が真空の吸引力で信長の刀が纏う炎と翼が起こした嵐を吸い尽くしていく。
そこにフォースセイバーを掲げたビスマスが突進し――織田信長の心の臓を貫いた。
「かはっ……儂の妄執の炎を呑み込むとは、見事……」
「ええ、なめろうは、様々な材料から作れる懐の広い料理ですからね。どうです、あなたも一口」
倒れ伏す織田信長に向かって、ビスマスはスッポンのなめろうを差し出した。
「くはは……なめろうか……。美味である……」
こうして、なめろうを食べた織田信長は満足そうな表情を浮かべ骸の海に還っていった。
●エピローグ
魔空安土城の各所で繰り広げられたオブリビオン・フォーミュラ、第六天魔王・織田信長との決戦は、徳川軍と猟兵たちの勝利に終わった。これもひとえに、徳川軍を魔軍将の陰謀から守り通すことに成功した猟兵たちの活躍あってのことだ。
織田信長が消えても、サムライエンパイアのオブリビオンがすぐに消えるわけではない。まだしばらくは混乱が続くことだろう。その混乱を収めるのもまた猟兵の仕事である。
崩れ行く魔空安土城を遠くに見つめながら、猟兵たちは次の任務に向かっていくのだった。
成功
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