エンパイアウォー㊴~波旬変生・黒星招来〜
―――魔空安土城。
家屋が無秩序に積み重なった瓦礫の山の如き異形の城の天守にて、遂にこの男が立ち上がった。
「遂に来たか、猟兵達よ。
エンパイアを滅ぼし、渡来人共の「グリードオーシャン」をも侵略する道筋は、これでほぼ絶たれたか。血塗られし彼奴らの神が如何程の物か、確かめてみたかったがな」
漆黒の武者鎧を纏う偉丈夫。居並ぶ猟兵達を睥睨する真紅の眼光の奥には、静かな怒りが劫火の如く燃え盛っている。
オブリビオンフォーミュラ―――第六天魔王波旬・織田信長。
かつてエンパイア全土を手中に収め、しかし、再び天下人に返り咲く事は叶わなかった妄執の成れの果てが此処にいる。
正に四面楚歌そのものと言う状況でありながら、信長は徐に扇子を取り出すと、ゆっくりとした動きで舞を始めた。
―――人間五十年。
―――下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。
―――ひとたび生を得て滅せぬ者のあるべきか。
瞬き一つ許さぬ緊張の中、舞が終わると共に、信長の背後に黒い影が舞い降りた。
ずるりとした漆黒の粘液を滴らせた異形が啼く。
「フェンフェン」
「来たかサルよ……フッ、随分と化け物じみた為りになったな。豊臣の名が泣くと言うものぞ……」
くしゃりと毛むくじゃらの異形を撫で、再び視線が猟兵達を捉える。
殺気が―――爆発した。
曲がりなりにもこの気当たりに耐えられたのは猟兵達だからであろう。
もしこの場にいたのが幕府軍であったならば、今の一撃で全滅していたに違いない。
「さて、もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ―――秘術「魔軍転生」。サルよ、儂に憑装せよ……!」
瞬間、魔王の全身を紅蓮の炎が覆い尽くした。
そして背後には浮かび上がった漆黒の異形が付き従う。
「我こそは三千世界に覇を唱えし第六天魔王波旬・織田信長! 我が征くは十戒破却の無間地獄よ! 化生の身でこの信長を阻むと言うならやってみるがいい猟兵共!!」
エンパイアウォー最終決戦の火蓋が、ここに斬って落とされた。
龍眼智
龍眼智です。
いよいよエンパイアウォーも大詰めとなりました。
強敵・織田信長を見事討ち取って見せて下さい!
このシナリオは【難易度:やや難】となります。
判定もガチ目で行かせて頂きますので宜しくお願い致します。
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第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。
====================
また、このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』秀吉装』
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POW : 黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ : シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
イラスト:UMEn人
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エル・クーゴー
●WIZ
・対先制
高速機動(弾性ボディの利用含む)及び超反応、腹部の紋からの黒いビーム――
小型秀吉にオブリビオン秀吉同様の傾向を警戒します
【空中戦】用バーニア噴射
己の身を【吹き飛ばし】ての機動も用い包囲されぬよう立ち回ると共、フォートより【誘導弾+範囲攻撃】を散布、敵頭数を少量でも削ります
・反撃
ウイングキャット『マネギ』マックス240体を順次召喚、小型秀吉相手に合戦を挑みます
尚マネギ達は、被破壊時、前方・扇状に指向性散弾を放つ改造を施して送り出します(メカニック&武器改造)
一体破壊されるなら、敵を複数体巻き込むべし
小型秀吉の頭数を減じさせられて射線を得次第、信長への狙撃を敢行します(スナイパー)
アノルルイ・ブラエニオン
さあ、クライマックスだ!
敵はフォーミュラだ
実力差もあるかも知れぬ
ならば私がそれを埋める!
まず私は召喚された秀吉の動きを【見切り】、【ダッシュ】で敵の攻撃が届かない、しかし音は届けられる場所まで移動する
そして角笛を吹き鳴らすのだ
反撃の時は来たれり!
角笛の時点でUCは既に始まっている!
続いてエレキギター(テロリズムスカル)を弾きながら叫ぶぞ
この場に集う全ての猟兵達よ、聴け!
我ら猟兵に敵なし!
織田信長何するものぞ!
敵は本能寺にあり!
敵は本能寺にあり!
「敵は本能寺にあり」を連呼し、味方を【鼓舞】
敵には【恐怖を与える】狙い
光秀ロックンロール!
仲間にも唱和するよう促す
共に声を上げよ!
連携歓迎!
燃え盛る天守閣にて相対する信長と猟兵達。
先手必勝とばかりに信長が外套を翻すと、背後に控える秀吉の身体から続々と小型の秀吉が這い出してくる。
「「「「「フェン……フェン……フェン……」」」」」
「フハハハハハ! 数で囲めばどうにかなるとでも思うたか! 行けぃサルよ! 猟兵共を押し返して見せよ!」
畳敷きの床が瞬く間に小型秀吉の茶褐色の身体で埋め尽くされて行く。その数たるや十を超え、百を超えてもまだ増え続けている。
その最前線では空中戦用バーニアを展開したエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)が押し寄せる秀吉の群れを相手に大立ち回りを繰り広げていた。
「フェンフェンッ!」
「フェン!」
「フェーン!」
「Archivesより「隠し将『豊臣秀吉』」を検索―――完了。戦闘データを対集団戦アルゴリズムにアップデートします」
自らの身体を蹴鞠の如く弾ませ、立体的な軌道で全方位から襲いかかる秀吉達。
かつて関門海峡で対峙した秀吉本体のデータを元に、エルは小型秀吉の飛来する軌道を計算。バーニアを一瞬噴射する事で強引に自身を吹き飛ばし回避とする!
それと同時に背部フライトユニットが展開。誘導ミサイルがばら撒かれ、数匹の秀吉が炎に包まれ動かなくなった。
「フェ……フェン…」
勿論そんな物は焼け石に水だ。彼女一人でどれだけ数を減らそうと、次の瞬間には新たな小型秀吉が次々と産み出されてしまう。
加えて向こうは何十匹と言う単位でエルに集中攻撃をしかけてくる。それはもう数十の機銃に全方位からロックオンされていると言っても過言ではないだろう。
「警告――警告――第一、第二バーニアが稼働限界温度を超えました。出力10%、20%低下――後30秒で、緊急パージを実施します」
バイザーのスクリーンに機体の各部から次々とエラーメッセージが吐き出される。出力の限界を越えた無茶な軌道で動き続けたツケは、そのまま死神の足音となって彼女に迫っていた。
しかし―――勿論彼女も、無策でこんな自殺行為に及んでいるわけではない。
実はスクリーンにはもう一つ、戦闘開始時から進んでいる処理バーがあったのだ。
【system−MANEGI≪マネギ≫unit transport―94.668%】
「さあ、クライマックスだ! 後少しだぞエル!」
そんな最前線より少し下がった後方、秀吉の攻撃範囲には入らないが音は届けられる、そこにアノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)は陣取っていた。
彼の傍らには、この瞬間もエルが召喚した戦闘用ドローン【ウイングキャット『マネギ』】が着々と増産されていた。その数―――240体。
小型秀吉の軍勢に勝るとも劣らぬ大軍勢が、今正に完成しようとしていた。
(敵はフォーミュラだ。実力差もあるかも知れぬ……ならば私がそれを埋める!)
【system―MANEGI≪マネギ≫unit transport―complete】
最後のマネギが畳に降り立ったのを確認するとアノルルイは角笛を取り出した。
ブオオオオォォォォォ―――………。
それは決戦の到来を告げる終末の音色。
のんびりした表情のマネギ達の目に、一斉に機械兵器特有の剣呑な光りが宿る。
アノルルイは角笛を仕舞うと背負ったエレキギターを構えた!
「さぁ反撃の時は来たれり! 聞いてくれマネギ達! 光秀ロックンロール!」
〜光秀ロックンロール〜
作詞/作曲:アノルルイ・ブラエニオン
コーラス:マネギの皆さん
我ら猟兵に敵なし!
織田信長何するものぞ!
敵は本能寺にあり!(shout!)
敵は本能寺にあり!(oh yeah!)
さぁ共に声を上げよ!
敵は本能寺にあり!(Nya―!)
敵は本能寺にあり!(NyaNya――!)
協賛:ワイルドハント
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ぬぅ……なんじゃ騒がしい。 何が起きておる!」
信長が怪訝な顔で後方に目をやる。
最前線では、正にエルのフライトユニットが煙を上げてオーバーヒートした所であった。
そこに押し寄せたのは240体の招き猫型ドローン『マネギ』!
アノルルイの掻き鳴らすギターの音はウォークライと化し、マネギ達の出力を大幅にUPしていた! 瞬く間に小型秀吉軍とマネギ軍の大混戦が始まる。
「フェンフェン!」
「フェーン!」
「Nyaaaaaaaaaa!」
「NyaNyaaaaa!!」
跳弾の様に天守を跳ね回る秀吉とマネギが至る所で衝突し対消滅を起こす!
しかし、今回マネギには更なる奥の手が存在していた。
―――クラスター爆弾と言う兵器が存在する。
集束爆弾とも呼ばれるこの爆弾は、容器となる大型の弾体の中に複数の子弾を搭載した二段構造になっている。つまり第一波として外側の容器が爆発し、中に詰め込まれた小型爆弾を広範囲に渡って撒き散らすのだ。
今回のマネギは、正にこのクラスター爆弾であった。
マネギと秀吉が衝突した瞬間、砕け散ったマネギから前方に向かって扇状に散弾が撒き散らされる! それが周囲の秀吉を撃ち抜くだけでなく、他のマネギにもヒットし連鎖爆発を引き起こす!
「えぇい何をやっておるサル! 押されておるぞ!」
マネギのピンボール作戦によって、遂に小型秀吉の増産スピードと破壊のバランスが崩れた。徐々に数を減らしていく小型秀吉達に信長が檄を飛ばす。
「ッ!?」
―――違和感。
歴戦の戦国武将としての直感が、今、確かに告げたのだ。
自分に迫る刃を。
そうだ、先程まで其処にいた奇天烈な格好の女はどうした?
―――その答えは、一筋の紅いレーザーポインターとして彼の胸に突き刺さっていた。
いつの間にかアノルルイのいる位置まで後退していたエルが、L95式アンチマテリアルライフルで信長を狙っているのだ。
「射線クリア――標的、織田信長。Fire」
飛び散るマネギと小型秀吉の残骸の合間を抜ける一瞬の隙間。
その僅かな合間を縫った一筋の弾丸が、吸い込まれる様に信長の額を穿った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アウル・トールフォレスト
(※好きにお任せします)
これで最後だもの。頑張らなきゃね
はじめまして、信長さん
わたしはアウル。『高き森』のアウル
あなた達を殺しに来たよ(存在感、恐怖を与える)
●
先制攻撃には事前に苔植物の鎧を作って全身に覆っておく。茨を持つ蔓植物も纏わせて、基本防御してダメージを抑えながら、隙を見つけたらカウンターも入れていくよ(オーラ防御、野生の勘、視力、聞き耳)
植物を攻撃や防御で周囲に散らして、準備が出来たら【魅了・蠱惑坩堝】を発動
相手の身動きを止めて、小さな子達は植物達の栄養にしながら、わたしは信長に一気に近づいて爪を振るうよ!(魅了、範囲攻撃、生命力吸収、怪力、衝撃波)
「クッ……ハハハハハ……よもやこの儂が鉄砲で撃たれる日が来ようとはな。銃とはかくも多様な可能性を秘めた物であったか」
「フェンッ! フェーン!」
乾いた銃撃音と水滴が畳に落ちたかの様な音。
その先には直立不動のまま額を抑えた信長の姿がある。そのまま掌で血を拭い、振った指先から血糊が飛沫となって畳に散る。
驚くべき事に、彼は額を撃ち抜かれたにも関わらず、全く戦闘に支障を来した様子が無かった。
そこに進み出るのはアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)。
「はじめまして、信長さん。わたしはアウル。『高き森』のアウル。あなた達を殺しに来たよ」
「面妖な小娘よ……寸鉄すら帯びぬその身でどの口が儂を討つと申すか。まるで樹が歩いている様じゃ。比律賓か越南の民でも現れたかと思うたわ」
信長の指摘した通り、今のアウルの装いはちょっと異様だ。
全身を苔生した緑が覆い、更にその上から茨が幾重にも絡み付きハリネズミの様に枝を伸ばしている。樹が歩いているとは、言い得て妙であった。
「ふふーん、森の怖さを知らないね信長さん。そんな事言ってられるのも今の内なんだから」
自信満々に胸を張るアウルに気勢を削がれた信長は背後の秀吉を振り返る。
「抜かしよるわ……もうよい、サル! まだ行けよう、あの小娘を血祭りにあげぃ!」
「「「フェンフェーン!!」」」
再び背後の秀吉本体から大量の小型秀吉が何百と産み出される。
それは地面をバウンドしながら猛然とアウルに迫り、瞬く間に彼女の前進を覆い尽くしてしまった!
「フン……他愛もない」
彼の目には、アウルが無数の小型秀吉に取り囲まれ、袋叩きにされながらも腕を振り回して必死の抵抗をしている様にしか見えない。これなら後は時間の問題だろう。
そう、思っていた。しかし妙だ―――サルの数はどんどん増えている筈なのに、何故小娘の周りを跳ね回っているサルの数は常に一定なのだ……?
何か―――何かを見落としている気がする……それは何だ。それに先程から辺りを漂うこの甘い香りは一体……。
「そろそろいいかな……」
そんな信長の視線の先、ふとアウルが動きを止めた。ゆっくりと立ち上がる。
「貴様……!? 何じゃそれは!?」
そこには、先程からの違和感が形となって現れていた。
アウルの全身を覆う茨の所々に、干からびた茶色い毛玉がこびり付いている。考えるまでもなく小型秀吉の成れの果てであろう。
そう、彼女の全身を覆う苔と茨の鎧は、単に防御力を高める為だけの物ではない。食虫植物の様に触れたものを取り込み養分とする、謂わば攻性防壁の様な働きをする物なのだ。
「アハハハ、これだけじゃないよ! 周りを見て!?」
そう言い、アウルが指差すのは天井。いつの間に天守を森が侵食し始めていた。
畳を突き破り花を咲かせる草花。梁に絡みつく無数の蔦。壁も、襖も、苔や芝で覆われていく。そして―――それらの植物が何を養分にして成長しているかと言うと……
「フェン……フェン……」
「フェ……フェン……」
「さ、サル!」
今度こそ信長の目に驚愕の色が宿る。先程からの違和感の正体はこれだったのだ。彼女は防戦一方だった訳ではない。苦戦するフリをしながら舞台が整うのを虎視眈々と待っていたのだ。
「儂としたことが抜かったわ!……ぬぅッ!? なんじゃこれは……身体が動かぬ」
「フェンフェン!?」
信長は更なる小型秀吉を増産しようとするが、突如目眩を起こしたように膝を付いてしまう。
視界では、三つに分裂したアウルが、鋭利な爪を振り上げて猛然と迫ってきていた。何だ―――一体何が起こっている。
「ふふ……甘ぁい夢は見れた?」
腹部の激痛と共に視界が戻る。
覚醒した信長の目に映ったのは―――元通りの天守閣の様子と、自らの腹を貫くアウルの姿だった。
成功
🔵🔵🔴
白鳥・深菜
「化生の身(妖怪)ですって?
ハンッ――魑魅魍魎(オブリビオン)が言うわね。
――猟兵に二言無し。唯、オブリビオンは狩るまで!」
まず「摩擦抵抗を極限まで減らして攻撃」の具体的な流れを
「滑るように真っすぐ接近し、抵抗なく斬れる刀でスッパリ」と予想。
その予想を元に、先制対策を
「十分に距離を取った場所から【命繋ぎて転ずる白焔】を起動。
相手の攻撃は直線的な動きと考え、真横に回避し『見切り』」
とする。
以降は敵の正面に立たないよう、円の曲線移動を意識しながら
白焔を放射し、纏った秀吉の黒粘液を焼き「殺し」ていく。
そして隙が出来たならば、相手の攻撃を『見切り』
『カウンター』で白焔を纏った一撃を叩き込む!
「おのれ……おのれ化生共め! 気が変わったぞ。最早儂が自ら首を刎ねてやらねば腹の虫も収まらぬわ!!」
先の一撃で臓腑をやられたか、口端から溢れる血を食い縛る歯で押し留め、信長は遂に愛刀【実休光忠】を抜き放った。生じる構えは八相。信長の剣気に呼応するかのように周囲の炎が勢いを増し、その全身をぬらりとした黒粘液が覆い尽くす。
「化生の身(妖怪)ですって? ハンッ――魑魅魍魎(オブリビオン)が言うわね。
――猟兵に二言無し。唯、オブリビオンは狩るまで!」
「……次は貴様か小娘……威勢が良いのは結構だが……斯様に離れていては儂の首は取れぬぞ? それとも、貴様も妖術の使い手か?」
「教える義理があると思う? 第六天魔王とやらも意外とおしゃべりね」
「フンッ……どいつもこいつも口だけは回りよる……」
憤怒に燃える紅蓮の炎に相対するは、眩い光で天守を照らす白の焔、白鳥・深菜(知る人ぞ知るエレファン芸人・f04881)。白焔の中心で翼を広げるその姿は、何処と無く神話に登場する転生を司る不死鳥を思わせる。
全長にして六十六間はあろうかと言う長大な天守を挟み向かい合う両者。
焼け落ちた梁の欠片が炭と化し、畳に―――落ちた。
「チィエエエエエエエエアアアアアア!!」
「ハァァァァ―――!!」
それが合図となり、裂帛の気合と共に紅蓮と白焔の一騎打ちが始まった。
(速ッ!?)
黒粘液に覆われた刀の突きが、猛烈な勢いで深菜の耳元を通り過ぎる。
頬に感じる僅かな冷感。咄嗟に真横に避けたものの完全には避けきれなかったか。後数センチずれていたら文字通り首を刎ねられるところだった。
剣風に髪を一房を持っていかれながら、しかし彼女は自分の考えの正しさを悟っていた。
(でも予想通りね。あの黒い粘液は摩擦抵抗を無くす。つまりアイツは直線的にしか動けない)
なるほど、彼女の読み通り、信長は全身を覆う黒粘液によって地面をアメンボの様に移動し斬り掛かってくる。刀身まで粘液で覆われている事から鑑みるに、例え何らかの武器で受けたとしても、滑って防御もままならないのだろう。見た目に依らず厄介な能力だ。
「簡単……なら触らなきゃ良いだけじゃない!」
「ぬぅッ!?」
深菜は纏う焔の一部を帯の如くほどくと、再び此方へ向かって滑ってくる信長に向けて投げ付けた!それは黒粘液に阻まれて消えてしまうが、焔が命中した場所から砂と化した【何か】が落ちたのを深菜は見逃さなかった。
―――この焔は転生の焔。触れたものを死へと誘い、来世へと送り届ける霊界の篝火。オブリビオン・フォーミュラと言えど、その輪廻の輪からは逃れられない!
縦横無尽に天守を駆け巡りヒットアウェイを仕掛ける信長と、焔を放ちつつ、それに追随するかの様な曲線軌道で信長の回りを周る深菜。
二人の描く軌道は宛ら焔の輪舞曲とでも言おうか。
剣閃が閃き、焔の矢が天守を燃え上がらせる。
「フ……フェン……」
「サル!?」
今や信長の全身から花吹雪と散るのは、秀吉の一部だった黒粘液。
その身を削って焔から主君を守り続けてきた黒の毛玉が、遂に悲鳴を上げたのだ。
今こそ膠着状態に一穴を穿つ千載一遇の勝機!
深菜は腰のレイピアを抜き放った!
全身を覆っていた白焔が見る見る内に収束し、レイピアに集まっていく!
収束した転生の焔に覆われた白銀の刀身には、うっすらとルーンの文字が浮かび上がった!
「貰ったァ!」
「ッ! 舐めるな小娘がァ!!」
繰り出すは奇しくも全く同じ平突き。
―――届いたのは、深菜の刃の方だった。
成功
🔵🔵🔴
灰神楽・綾
※
勝ち目は無いと分かっていても退かないその男気
格好いいじゃないか、惚れそうだよ
こんな人と殺し合いが出来るなんて光栄だね
槍は一本一本見て対処は間に合わないだろうから
[念動力]でありったけのナイフを
自身の周りにバリアのようにランダムに飛ばす
更にEmperorで[武器受け]で防戦するが
それでも躱しきれない攻撃は
急所は庇いつつ[激痛耐性]で耐える
むしろ死なない程度の被弾が狙い
最悪武器を振るう為の機能さえ生きていればいい
凌いだら【レッド・スワロウテイル】発動
以後の信長の攻撃には
紅い蝶&[残像]付きの念動力ナイフを放ち妨害&牽制
俺は飛翔能力で一気に接敵
その速度と勢いのままEmperorを振りかざし叩き斬る
ステラ・クロセ
やってみろと言われればやってみせるよ!
第六天魔王はここで終わりだ!
黒槍が出てくるのをみたら、【武器受け】で凌ごう。
でも、相手は並みの敵でなし。おまけにアタシとの体格差がきつい。
UC【サイコキネシス】で自分に向かう槍を逸らし、【見切り】でかわしながら受ける。
槍の突きは中心を外せばなんとかなるはず。逸らす幅は最小限でいい、何本も来るんだったら、一つだけに力をかけていられないから。
なんとかなったら、炎のサイキックエナジーで刀を形成。
【ダッシュ】で突っ込んで炎の【属性攻撃】で突き返してやる。
「アタシの闘気も爆発させる!燃え尽きろ!!」
※アドリブ・連携など歓迎です!
ヴォルフラム・ヴンダー
言葉など不要
爪には爪、牙には牙を
――獣には獣が相手をしてやろう
【夜想の魔獣】で、漆黒の巨大な四足獣に変身
※紅眼。この形態では人語は話さない
先制は、獣化の攻撃軽減と「激痛耐性」で耐える
その際、「吸血・生命力吸収」で体力の維持を試みる
機を逃さず「カウンター」
召喚された豊臣秀吉どもを「殺気」で怯ませ
猛毒を与える爪や牙で「串刺し」に
多勢だろうが
体格差で圧し通し、蹴散らす
ただし、攻撃は「残像・見切り」で極力回避を試み
無駄に体力を消耗せぬよう立ちまわる
俺は露払いに徹し
織田信長の始末は、他の猟兵に任せよう
他の猟兵で一太刀届かず倒れる命運の者があれば
敵からの攻撃を俺が「かばい」受けることで
その者に機を与える
宇迦野・兵十
―いつもへらへら顔ではなく、
新陰流の剣士として【誘惑/コミュ力】で恭しく一礼。
幕引きの時間でございます、安土殿。
どうぞ、お覚悟を。
―【黒槍殲撃】を【見切り/早業/残像】で回避。
当たれば【覚悟/激痛耐性】で耐え、それ以上受けぬよう【武器受け】で防御。
人間五十年。外天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。
―隙を手繰り【暗殺/早業】で剣の間合いまで踏み込み
その一方で【早業】で笑狐を引き抜く。
ふたたび生を得て常世より還りし者とて、滅せぬ者のあるべきか。
―【三狐新陰流・常世還】
常世還りの信長公記、これにて仕舞いにございます。
[アドリブ歓迎、諸々お任せいたします]
「まだまだァァァァァァァァァ!! どうした猟兵共ォ!! 儂はまだ立っておるぞ!! ちまちまと小賢しい策を打ちおって。もっと本気で首を取りに来ぬか!!」
最早総身を血に塗れた魔王が吼える。
額の銃痕からは絶えず血が漏れ出し、嗄れた喉で叫ぶ声は咽頭にたまった血塊と一緒に吐き出される。幾度も刺し貫かれたその身は……既にいつ事切れてもおかしくはない。
しかし―――見開かれたその眼が。背後で尚も渦巻く紅蓮の炎が。そして何より、天守を揺るがさんばかりに放出される質量すら伴った覇気がそれを否定する。
「サルよ、もっとだ!! もっと力を捧げよ!! 其の方の全てを我が剣とするのだ!!」
「フェ―――ン!!」
背後の秀吉の身体が漆黒の粘液と化して溶け崩れ、黒鎧に吸収されていく。瞬く間に漆黒の球体とかしたそれは、次の瞬間弾けるような音を立てて爆ぜ、無数の黒槍を猟兵達に向かって投射した!
猟兵達は各々の手段で防御を試みるが、相手は最早壁と見間違う量の槍である。回避は不可能、防御しようとも只では済まない。
(勝ち目は無いと分かっていても退かないその男気……格好いいじゃないか、惚れそうだよ)
「光栄だね――こんな人と殺し合いが出来るなんてさ!」
念動力で自身の周囲にナイフのバリアを展開しているのは灰神楽・綾(廃戦場の揚羽・f02235)。
だが押し寄せる黒槍は瞬く間にナイフの壁を食い破り綾へと殺到する! 綾は愛用のハルバード【Emperor】を振り回し槍を受けるがそれでもまだ足りない。防御をすり抜けた槍が綾の脇腹を抉り、肩を貫き、太腿を切り裂いていく。
しかし、それでも綾の顔に浮かぶのは笑みだ。否、嗤いと言っても良い。ギラつく眼鏡の奥で光る、彼の鋭い眼光が、真っ直ぐに信長を捉えていた。
「フフ、好き勝手やってくれるね……でもこれで、準備完了だ」
「やってみろと言われればやってみせるよ! 第六天魔王はここで終わりだ!」
同じく念動力で黒槍を対処しようとしたのはステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)。
只でさえ体格差で劣る彼女の場合、正面からまともにぶつかれば押し負けるのは目に見えている。従って狙うのは槍の間を縫って避けることだ。
(最小限でいい。突きの中心を外せばなんとかなるはず)
ステラは一瞬の判断で押し寄せる黒槍の僅かな隙間を見つけると、其処に向かって身を躍らせた。念動力によって、まるで魚の群れが障害物を避ける様に、黒槍がステラを避けていく。
しかし、それは言うならば茨の茂みの間を猛スピードで滑っていくようなもの。
ステラの全身を、瞬く間に細かい傷が雨霰と刻まれていった。
一方、回避も、防御も、全くしない者もいた。
否―――する必要がない。と言ったほうがいいだろうか。
「爪には爪、牙には牙を――獣には獣が相手をしてやろう。――狩りの時間だ」
ヴォルフラム・ヴンダー(ダンピールの黒騎士・f01774)がそう呟くと同時、全身が徐々に黒い毛皮で覆われていく。一瞬の後、其処には漆黒の巨大な四足獣が顕現していた。黒槍の嵐は容赦なくヴォルフラムを飲み込むが、鋼の如き毛皮が槍を全て弾き返している! 最も伝わる衝撃は凄まじい物があるだろうが、彼はそれすらも生命力に変え内部に吸収していくのだ!
文字通り槍の雨に打たれながら、紅眼の獣は身を低く、慎重にタイミングを伺う。
「幕引きの時間でございます、安土殿」
―――どうぞ、お覚悟を。
宇迦野・兵十(きつねさん・f13898)は信長に向かって恭しく一礼をした。
果たして激昂した今の信長がそれに気付いたかどうかは解らない。
しかし―――これは新陰流の剣士としての矜持だ。譲るわけにはいかない。例え目の前に槍の壁が迫っていようと。
兵十の姿が礼をした姿勢のまま僅かにブレた。動いていないわけではない。残像が見える程の速さで絶妙に身体を捻り槍を躱しているのだ。躱せぬものは剣で受け、兵十は踊るように槍の間を舞う。
「フェンフェンフェ―――ン!!」
畳み掛けるように鎧と融合した秀吉が大量の小型秀吉を吐き出す。
「「「「「フェンフェン!」」」」」
「くっ……全く隙がない。あの毛玉を何とかしないと……」
信長の怒涛の波状攻撃にステラが歯噛みする。
「Gruuuuuuuuu」
そこで前に出たのはヴォルフラムだ。
彼はステラを一瞥すると先陣を切って秀吉の群れに突撃した!
獅子奮迅とは正にこの事。ヴォルフラムは爪の一撃で数匹の秀吉を纏めて屠ると、手当たり次第に喰らい付いては噛み砕いていく。獣化した彼の爪や牙には猛毒が備わっている。辛くも致命傷は逃れたとしても、毒が回った秀吉がバタバタと其の場に倒れていく。薙ぎ払う。噛み砕く。押し返す。ブルドーザーもかくやと言う勢いで忽ち秀吉の群れに一直線のエアポケットが完成した。
「凄い……道が出来た……」
ぼんやりとステラが呟いたその時、ヴォルフラムと眼が合った。
顎をしゃくって信長を指し示すヴォルフラム。獣化した彼は言葉を喋る事が出来ない。しかしこの時、何故か彼女には解った。
【 サ キ ニ イ ケ 】
それを理解するより早く、ステラは走り出していた。
片手に炎のサイキックエナジーで燃える刀を形成する。秀吉の死骸の間を駆け、襲いかかってくる秀吉を斬り捨て尚も進む。
「織田信長覚悟ォォォォ――!!」
「甘いわ小娘がァ!」
「ッ!!?」
しかし! 秀吉の群れを抜けた先、ステラを待ち構えていたのは此方に向かって掌を突き出した信長の姿であった。黒槍が、投射される!
「おぉっと! 今度は喰らって上げないよ?」
彼我の間を、紅い蝶の群れが横切る。真上から投射されたナイフが黒槍を残らず撃ち落とした! 綾の操る蝶である。
「上にまでは目が行き届かなかったみたいだね。これは……さっきのお返しだよ」
全身を紅い蝶に囲まれた綾は、天井近くでEmperorを握り直すと一直線へ信長へと突撃を仕掛けた! 交差は一瞬。天守を音速を遥かに越える速度で駆け抜けた彼は、ソニックブームを伴い畳の上に着地した。
振り抜いたハルバードと、信長の身体に走る袈裟斬りの線を残して。
其処に時間差でステラが畳み掛ける!
「アタシの闘気も爆発させる! 燃え尽きろ!!」
「グァアアアアアアアアアアアアアア!!!」
腰溜めにサイキックエナジーの刀を構え、ほぼ体当たりでもする様に燃える刀を突き入れる! 鎧の隙間から火柱を噴き上げ、遂に第六天魔王が断末魔の叫びを上げた。
「ヌゥゥゥゥ……ワシは死なぬ……ワシは死なぬぅぅぅ!!!!」
全身を覆っていた黒粘液は既に無く、背後の秀吉は霞と消えた。
自身も火柱に包まれ、嗚呼最早ここが二度目の本能寺か―――。
闇雲に刀を振り回すが最早どっちの方向に敵がいるのかすら解らない。
―――人間五十年。外天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。
兵十は音もなく信長の間近まで距離を詰めると、【鈍刀・笑狐】を引き抜いた。
黒紐で雁字搦めに縛られた抜けない刀。しかし、一度抜けば現れ出でるは全てを屠る赫い刃。
―――ふたたび生を得て常世より還りし者とて、滅せぬ者のあるべきか。
すれ違いざまに横一文字に振り抜かれる笑狐。
―【三狐新陰流・常世還】
「常世還りの信長公記、これにて仕舞いにございます。」
チン―――と甲高い音と共に赫い刃が鞘に戻る。
背後でズルリと斜めにズレた信長の首が、ボトリと畳に転がった。
成功
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