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忍び寄る危機なのだ! へけっ!

#UDCアース

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#UDCアース


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●拡大する『へけっ』
 UDCアースのとある家。そこでゴロゴロと真昼間から惰眠を貪っている青年の姿があった。
「あー、ダリィ」
 学校も行く気が起きず、何もやる気もなくただダラダラと消化される日々。青年はふと顔を上げると、カレンダーを視界におさめる。
「もう1週間か……俺、こんなでいいのかな」
 別に不良というわけではないのだ。ただ少しだけやんちゃをしてみたくなっただけの、そんな年頃。
 しかし、彼の心には、このままダラけていたいという欲求がむくむくと鎌首を擡げていた。
「……いいよな、もう少しくらい」
『その通りなのだ』
「!?」
 明らかに自分のものではない声に、びくっと身体を起こし、青年は慌てて周囲を見回す。だが、そこはいつもと変わらぬ自分の部屋。何も変わったものなどないのだった。
 しかし、ならばいま聞こえた声はなんだというのか。己の中の悪いものが囁くのか、それとも――。
「まあ、いっか」
 声もその通りって言ってたしな、と。小さく言い訳のように自分に嘘をつき、青年はベッドへと倒れ込む。
『ダラけていい、その通りなのだ。へけっ』
 この世界の一角で、小さな小さな異変が始まった瞬間であった。

●ベースにて
「場所はUDCアース。向かって、今すぐ」
 ほらあなたとあなたとあなたと、そうあなたも、と。かなり急いでいるのか適当に手を引き、複数の猟兵を確保するアイシャ・ラザフォードの姿があった。
「UDCアース、地名“日本”のある区域で、邪神復活の前兆を確認した。小さな呼び声のようなものだけれど、その実はかなり危険」
 待てないとばかりに手元を素早く操作すれば、部屋中央に出て来たのは街全体の立体的な見取り図だ。
「場所はこの街。これのどこかで、邪神が復活しようとしているはず」
 画面をタップし、俯瞰視点へと見取り図を切り変える。なるほど、この方が街の構造を把握し易い。
「今回の邪神の復活に必要なのは、巨大な魔法陣。それも、街全体を使うような……だから、街の所々に、魔法陣の痕跡が隠されてるはず。完成する前に消さないといけない」
 見取り図に指を差し入れ、彼女は街の一角を指し示す。
「大きさは、このビルからこのビルくらいまでの、半径がこのくらいで……そう、このくらいの円内。痕跡はこの中にあるはず」
 街の7割ほどだろうか。外周を除いてほぼほぼ入っているといってもいい。そこに隠されている魔法陣の痕跡を消し、邪神の完全復活を止めなければならない。完全な形で邪神が復活してしまえば、猟兵の手にも負えるかどうか分からないからだ。
「弱い邪神の可能性もあるけれど……楽観視と油断は死を招く。早急に向かって、この事態を解決して欲しい」
 あまり猶予はないから、今この場で決めて、と。既に出していたグリモアを手に浮かべ、アイシャはあなたたちへと問う。

 未知の危険へと向かうのか、向かわないのか。その答えは、個々の胸の中に。


ねこです
 危険なのだ! ねこです。
 今回の依頼は初めてのUDCアースからお送りします。

 補足事項と致しまして、UDCアースに蔓延る邪神の1柱の召喚を未然に防ぐ危険な依頼に変わりはありません。ご参加される皆様は、それを念頭にお付き合いいただければ幸いです。

 気を付けるのだ。へけっ。
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第1章 冒険 『落書き』

POW   :    清掃ボランティアに扮して落書きを消す

SPD   :    監視カメラや目撃者から落書き犯を特定

WIZ   :    次の落書き場所を予想する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リリィ・アークレイズ
【POW】
こいつはまた面倒な依頼だな。
街全体の落書き消さなきゃなんねェのかよ。
帽子深く被って、作業着着込んで……ね…
清掃係に変装するってのも気が乗らねーな…
だって可愛くねーじゃん。清掃服。

モップ貸せよ。さっさと終わらせてやる。(早業)
普通にやっても速く終わらねェだろ?
街の連中に見つからねェように、ビル上跳んで目的地まで走るぜ。
なんたってサイボーグだからな。余裕だぜ。
ボランティアなんて腐るほど居んだろ、
人混みに紛れて1人居なくなったって誰も気づきゃしねーよ。
ちゃんと仕事はするんだし、良いだろ。

「出てくんなよ、邪神ちゃん」
「ったく…遠いんだよ、走るオレの身にもなれっての」
「こんなもんで良いだろ」



「こんなもんで良いだろ」

 リリィ・アークレイズ(SCARLET・f00397)はモップを片手に溜息を吐く。彼女の表情からは『面倒クセェ』というオーラがひしひしと漂っていた。

「もう出てくんなよ、邪神ちゃん」

 ポンポンと、綺麗に自身で掃除した壁をモップで叩く。彼女の視線はそのままビルの壁へ。コンクリートの小さな凹凸、窓にできた段差、給水パイプ。サイボーグの瞳は、足掛かりになり得る場所を次々と見定め――

「よっ、と」

 軽い足音と共にリリィはビルの壁面を一足飛びに駆け上がった。人間ではあり得ない挙動だが、身体のほとんどが機械である彼女には余裕を持って行える軌道である。

(次の目的地は……あっちか)

 方角を見定めると彼女は走り出す。靡いた銀色の髪がUDC世界の太陽を弾き、光を反射した。ふと上を見上げれば、その輝きがビルの屋上を伝っていく様子を見ることが出来ただろう。生憎と、真昼間にそんな者はいなかったのだが。

「ったく……遠いんだよ、走るオレの身にもなれっての」

 当の彼女は、相変わらずのげんなりした表情で空を仰ぐのだった。UDC世界の空は、今日も平和な青に彩られている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上城・クロウ
【WIZ】
ニホン...その国は独自の文明と言語、文化を発達させた一種の特異点と聞きました。この機に、多くを吸収したいですね。
ミクロな視点ではただの落書きですが、マクロな視点では魔法陣と成る。ということは犯人はある一定のパターンで犯行に及んでいる可能性が高いです。落書きの位置、発見された時間、それらの情報を整理・統合しパターンを「学習」しましょう。邪神召喚の魔法陣ともなればそれは緻密な物になるはず、パターンを照合できれば犯人の思考をトレースすることも可能なはずです。



ビルには挟まれ影になった小さな裏路地。誰もが視界にもおさめることなく通り過ぎていくその場所の更に奥に、一人の男が佇んでいた。

「ふむ……」

 男――上城・クロウ(ミレナリィドールのフォースナイト・f01157)は、壁面に描かれた落書きに繊細に指を滑らせると、独り小さく思考に耽る。

 指に付着しないインキ。
 落書きの掠れ具合。
 描かれた場所。

「数時間前でしょうか」

 数少ない情報から判断し、そう独りごちる。
 今回の依頼はUDC世界にあるニホン。彼は独自の文明、文化、言語を発展させているこの場所から、少しでも多くのことを吸収したいと考えていた。

「2つ目がこの場所となると、次は……」

 1つ目は数本外れた路地の壁面に。2つ目は目の前のこの場所に。その配置と描かれた推定時間、地形。その他の情報を彼は素早く頭の中で整理する。

 数秒後。次に描かれるであろう場所を数箇所、頭の中でピックアップした上城は小さな足音を残してその場を立ち去るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カル・フラック
ふむ、まずは魔法陣の痕跡を探すとこからっすね。
まずは共闘モードで二人がかりになるっす、こういうのは人手が必要っすからね。
魔法陣なんて怪しいもんは目立たない裏通りとかにありそうっすからね。
その辺を重点的に探すっす、まさにすみっこ探すよカル太郎!ってなんすかこれ。

ともかく魔法陣っぽい落書きを見つけたら、
近くの監視カメラにデバイス繋いでハッキングっすよ。
これを描いたってんなら、何らかの塗料や画材は持ってるはずっすから
荷物持っててうろちょろしてるやつが怪しいと見たっす!
ちなみに俺はこれっぽっちも怪しくないっすよ、
なんの変哲もないパソコンカタカタしてるケットシーなんで。


草野・千秋
邪神の復活、ですか
させてはならない事ですね、必ず
そして未来ある若者が引きこもるだなんて
勿体ないにも程があります
今は良くても中年になってから困りますからね
断罪戦士ダムナーティオー、いざ参る!

……とは言ってもまずは治安が良くないとですよね
【POW】
清掃ボランティアに扮して落書き消し消し
街の汚れは心の乱れ!
掃除とか部屋とか街が綺麗になると
心もスカッとしますよ
正義のため、皆が住みやすい街にするのです
念の為這い寄ってくるオブリビオンにも警戒


ダーシャ・アヴェンダ
行動方針【SPD】監視カメラや目撃者から落書き犯を特定

落書きね…只の落書きならいいのだけど、邪神復活の為の魔法陣という事なら放っておく訳にはいかないわ。

今回は聞き込み調査ね。
落書きと思われる場所の近くに住む住人から【コミュ力】【言いくるめ】。上目遣いの【誘惑】を駆使して主に男性から【情報収集】するわ。

「ねぇ、お兄様方。この落書きをした人ってどんな人だったかしら?特徴を教えて欲しいわ。私困ってるのよ。助けて頂戴」

教えてもらったら「ありがとう。お兄様方、大好き」とお礼を言ってから、その場を去ってパソコンから監視カメラを【ハッキング】よ。これで、映っていたらその正体がわかるはず…!


ルカ・ウェンズ
行動はPOWでボランティアの真似事をしようかしら。

落書きを消せば邪神も落書き犯も悔しがるでしょし、復活しても完全とは言えないでしょうしね。落としにくい落書きは(怪力)で削り取るわよ。それで壊れた物があれば、パトロンの皆様の出番ね。それに宇宙昆虫に(騎乗)して移動しながら素早く落書きを消していくわ。敵からの妨害があるでしょうし(戦闘知識)やユーベルコードで警戒しておくわよ。

忘れる所だったわ、この世界の問題なのだから街の皆さんにもボランティアに協力していただくわよ。嫌がる人は(怪力)で心から説得するわよ。危険なようなら残念だけど説得は諦めるわ。

心情
できれば邪神の悔しがる顔や苦しむ顔が見たいわね。


蔵方・ラック
【POW】
邪神を掃除する前に街の大掃除でありますね!
作業着を着て、道具を用意!
街中歩き回って、落書きを見つけたらただちに清掃するのであります!
自分の《怪力》でどんな落書きもすっきりさっぱりキレイに消してやるでありますよ!!(モップで壁をゴリゴリに磨き上げる)

どうせやるなら、てってー的に!
ついででありますから、ポイ捨てされたゴミとかも見つけたら回収していくであります!




 カル・フラック(ゲーマー猫・f05913)は、この世界では独特なケットシーの耳をぴくりと動かし、人気のない裏路地を駆けていく。

「お、見つけたっすね」

 やがて辿り着いたその先には、彼の言葉通り壁に描かれた落書きと――カルと瓜二つ、毛並みの色だけが違う『もう一人のカル・フラック』が立っていた。他の誰かが見れば兄弟にでも見えるだろうか。しかし、これは彼のユーベルコード『共闘(デュアルプレイ)』で作り出された、彼自身の2Pカラー。分身のようなものなのだ。

「さて、この辺に監視カメラは……あるっすね」

 少しだけ上を見上げ、視線を彷徨わせれば、すぐにそれを見つけることができた。彼は猫の如き身軽さでぴょんぴょんと壁を駆け上がると、手に持ったケーブル端子を監視カメラへと接続する。

「これで、この区域のカメラ映像くらいは見れるっすかね?」

 ペンキとか持ってる怪しい奴、怪しい奴……そうぶつぶつと呟きながら、路地裏でコンピューターをカタカタしている怪しいケットシー。そうして画面に表示された映像には、様々なものが映し出されるのだ。


 まず最初にカメラに映し出されたのは、ボランティアに扮し、壁を一生懸命に掃除する長身の男性の姿。鼻歌でも歌いかねない勢いで壁を綺麗にしてしまった彼は、自身の作業の後を見て満足そうに頷いている。

「綺麗になると、心もスカッとしますね」
「あら、まだ残っているわ」

 漆黒の髪を揺らしつつ、ルカ・ウェンズ(風変わりな仕事人・f03582)は壁に所々残った落書きを見咎めそう声をかけた。

「この部分はしつこくて、なかなか消えてくれないのです」

 肩を竦めて首を振る長身の男性――草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)。彼は懸命に掃除を続けたものの、こびりついた一部のペンキはなかなか取れなかったのだ。
 しかし、彼のそんな困った表情は、次の瞬間にルカが壁の汚れた部分を拳で削り取ったおかげで引き攣ることになる。


「ねぇ、お兄様方」

 ダーシャ・アヴェンダ(彼岸花の人形造形師・f01750)は、落書きのすぐ近くにある民家の住民を集めると、交渉にを始めていた。

「私、困っているの。助けて頂戴」
「あぁ、いいとも。どうしたんだい?」

 たったの一言だけではあるが。熟練の話術士は、多くを語らないという。彼女の一流の交渉術(上目使い・誘惑)はUDC世界の住民にもクリーンヒットしたようだ。
 落書きをした犯人の特徴を細やかに聞き出すことに成功したダーシャは、自身の作戦が綺麗に決まったことに一つ、頷いた。

「ありがとう。お兄様方、大好き」

 思わず彼らが勘違いしそうな表情で勘違いしそうな台詞を吐いた彼女は、素早くその場を後にした。まだ監視カメラを映像を解析するという重要な作業が残っているのだ。今日のダーシャの足取りは軽い。

 なお、この後にカメラの映像から怪しげなケットシーを発見し、すわ犯人かと勘違いしたりもするのだが――それはまた、別のお話。


「清掃に協力していただけないかしら?」
「路地裏の落書きなんて別に、なぁ」
「だよなあ」

 別に関係ないし放置しとけばいいんじゃない? だよねー。と頷きあう住民たち。確かに、彼らにとって落書きなどどうでもいいものだろう。邪神のことなど知り得ていないのだから猶更だ。
 しかし、労働力が必要なのもまた事実なわけで――。

「清掃に――」

 笑みさえ浮かべたルカの右手が、目の前の壁の落書きをいとも簡単に削り取る。
 無論、コンクリートである。住民たちは目は、もはや点だ。

「――協力していただけないかしら?」

 割れたコンクリートの破片を手に迫るルカの言葉に逆らえる住民は、この場には存在しなかった。


「落書きを見つけたら、ただちに清掃するのであります!」
「「「「「ハイッ!」」」」

 蔵方・ラック(サイボーグのスクラップビルダー・f03721)は、長柄のモップで壁の落書きを半ばゴリゴリと削り取る。それに倣うように、ルカの集めた住民たちも、モップで懸命に落書きを洗い落としていた。

「ゴミはどうしましょうか!?」
「ゴミも回収するであります!」
「はい!」

 そして、なぜか蔵方が指示を求められている。彼の持つ何かしらの独特な空気が住民たちをそうさせるのだろうか。それともこの世界の住民の特性なのだろうか。

「あ、それとついででありますから、ポイ捨てされたゴミなんかも回収しておくといいであります!!」

 了解しましたッ! という子気味良い返事を耳にしながら、彼は次の落書きへとモップを動かした。またゴリゴリと落書きを削り取って綺麗にしていく彼の姿と、集まった住民を見て、何かの掃除の集まりかと駆け付ける他の住民たち。彼らの集団心理のせいか、こうして清掃ボランティアの人数は瞬く間に増えていくのであった。

 余談ではあるが、何も知らない住民たちがここに集ったおかげで人通りが少なくなり、監視カメラを確認しているカルとダーシャが犯人を見つけやすくなったというのはいい方向での効果だったといえるだろう。意図せぬものであったにせよ、全ての猟兵たちの行動が、犯人の特定へと繋がったのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『封神祠巡り』

POW   :    発生した怪物を倒す。歩き回って壊れた祠を探し、新しい祠を設置する。

SPD   :    発生した怪物を倒す。素早く壊れた祠を治す、或いは新しい祠を作り置きする。

WIZ   :    発生した怪物を倒す。周辺住民から祠の在り処を聞き込む。祠に魔除けを施す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「遅かったな。もう賽は投げられた」

 取り押さえた犯人は一言そういうと、自身で毒を飲んで息絶えた。
 即座に調べたところ、祠の破壊が原因で、そこから怪物が姿を現し徘徊しているらしい。これもまた、邪神の召喚に必要な儀式のひとつなのだろうか。

 真偽は定かではないものの、召喚への企ての一つであることは事実。
 この事態をそれぞれの思うやり方で、早急に収拾しなければならない。

 怪物の処理。そして、件の祠を発見し何かしらの対処を行うこと。
 現在の猟兵へのオーダーは、以上。

蔵方・ラック
【POW】
……あの落書き犯、なーんで自分で自分を殺しちまったんでありましょうかね?
邪神が人のことを苦しませる悪い神様ってこと、知らないんでありましょうか?
まぁ死んで過去になって、骸の海に行ったものはどうしようもねーであります
儀式は遠慮なくぶっ潰させて貰うのであります!


怪物は積極的に倒しに行く
義手に内蔵された熱線銃を使用し【ヴァリアブル・ウェポン】で攻撃
殴りつけるように銃口を押し付けて確実に当てていく

壊れた祠の代わりには
スクラップビルダーの能力で作った新しい祠を設置
……あんまり上手に出来てないかもしれないでありますが
気持ちは込めてるでありますからして!!




 UDC世界の一区画。そこでたった今、件の怪物と戦闘――いや、追いかけっこを繰り広げているのは蔵方・ラック(サイボーグのスクラップビルダー・f03721)だ。

「ちょこまかと素早いでありますね!」
『その通りなのだ! へけっ』
「うるさいであります!」

 待つでありますよ! と蔵方は怪人へと手を伸ばすのだが、鼠のようなすばしっこさを見せつける怪物はそれを難なく躱していく。
 そう、怪物は――すばしっこいのだ。その姿はなぜかシルエットのように真っ黒な影で、鼠の形をしている。何か見せられない事情でもあるのだろうか?

「しかし、なーんで自分で自分を殺しちまったんでありましょうかね?」

 逃げる鼠を追い詰めつつ、彼は思考に耽る。写真が悪い神であることを自決した落書き犯は知らなかったのだろうか?

「まあ――」

 ガッ、と。彼は内臓兵器である熱線銃の銃口をその影へと押し付けた。捕まえたとばかりにニッと笑えば、容赦なく引き金を引く。

「――儀式は遠慮なくぶっ潰させて貰うのであります!」

 鼠のようにたくさんいる怪物の一匹目が倒された瞬間であった。

 ちなみに、彼が修理した場所の祠は、後にスクラップで作られた祠としてUDC世界でパワースポットになっていたりするのだが――それはかなり、先の話だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リリィ・アークレイズ
【POW】
へェ!怪物退治ね。
やっとそれっぽくなったじゃん。
ちまちましたお掃除は
性に合わなかったからちょうど良いぜ。

…イイ事思いついた。
普通の祠なんて重さもそこそこだろ?
オレが用意するのは
もうちょっと(かなりの)重量のある祠な。
オレが持つのは余裕だけどな……
コレで殴られたらぜってェ痛ェだろ。
わざわざ来てくれた怪物にオモテナシってやつだよ。
頭がトマトみてーに割れても責任持たねーけどな。

…そーだ!墓代わりに
コレ叩きつけて殺るよ!
新しい祠も出来て一石二鳥だろ?
せいぜいキレイぺしゃんこになりな!
その祠の上に座るくらいの
余裕綽々っぷりを見せてやるよ。

「ハンバーグってのは
空気抜いた方が美味くなるんだぜ」




 とある場所、数ある壊れた祠うちの一つがそこにある。その場所で一人佇んでいるのは、リリィ・アークレイズ(SCARLET・f00397)だ。

「やっとそれっぽくなったじゃん」

 掃除から先へと進み、今回は怪物退治。先ほどまでのうんざりした表情はどこへやら。今は嬉々とした笑みをその顔に張り付けている。

「……イイ事思いついた」

 ニヤリと、その笑みを更に深くする銀髪の少女。その視線の先には、壊れた祠の上を走るハムスターのシルエット。彼女は視線を外すことなく、地面から何かを掴み持ち上げた。地面に落ちるのは、シルエットを覆い隠すほどの巨大な影。自身の背丈よりデカい祠をまるで棍棒のように軽々と振りかぶる。

「コレで殴られたらぜってェ痛ェだろ」
『その通りなのだ! へけっ!!』

 自身へと迫る膨大な質量に危険を察知し避けようとするシルエット。しかし時既に遅し。重力を乗せ、周囲一帯を小さく振動させながら叩きつけられた祠は、シルエットをいとも簡単に平たく慣らしてしまったのだ。

「ハンバーグってのは、空気抜いた方が美味くなるんだぜ」

 後には、壊れた祠の上に腰掛け悪戯じみた表情でのたまう少女の姿だけがあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上城・クロウ
【WIZ】
...犯人の特定・トレースはできていましたが、一手遅かったようですね。
悔いても事態は好転しません。経過観察もしてみたいところですが、主はそれを許さないでしょう。まずは怪物を処理します。
「アナタが何の神かは知りません、知りたい所ですがそれは依頼に反するため処理します」
二刀の光剣で切りかかります。祠への被害はなるべく出さないように。

...さて、破損していますが構造様式はなんとなくわかります。私自身ミレナリィドール、魔術の結晶といって良い存在ですから基本機能に初歩的な魔術を備えています。退魔のルーンを施しておきましょう。
...あ、東洋系の祠に西洋の魔術は良くなかったでしょうか...?




 上城・クロウ(ミレナリィドールのフォースナイト・f01157)は、思考の海へとその身を浸している。犯人の特定は行えたものの、一手だけ遅きに失した先の出来事。悔いても事態はよくはならないとよく知っているが、考えずにいられるものでもない。

「……先に、コレを処理しましょう」

 失したことによって起こるであろう出来事を観察したいところだが、我が主はそれを許さないだろう。ならばすることは一つ。今目の前にある怪物――シルエットを即座に処理することだけだ。

「アナタが何の神かは知りません、知りたい所ですがそれは依頼に反するため処理します」
『処理するのだ!!』

 前触れもなく怪物の影から飛んでくる無音の刃。彼は、それを手にした光剣で弾くと、返す刃で音もなく怪物を切り裂く。案外と手ごたえはなかった。分散しているから弱いのか、それとも元がそうなのか。頭の中で分析を加えつつ、彼は主目的である新しい祠を整備し始めた。

「東洋系の祠には、西洋の魔術は良くないでしょうか……?」

 退魔のルーンを保険代わりに祠へと彫り込み、そう呟く上城。これもまた、遅きに失したが――結果的に問題なかったのは言うまでもない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダーシャ・アヴェンダ
【SPD】
何て馬鹿な真似をしてくれたのかしら。
どんな怪物か知らないけど、放置するわけにはいかないわね。

怪物には『操演・刀真空斬波返』をお見舞いするわ。
ちなみに私のサイファーの仕込み武器は全て【毒使い】特製の毒と【マヒ攻撃】が塗ってあるわ。
「肉片一つ残らずバラバラになりなさい!」

壊れた祠はサイファーで素材を切ったり繋げたりして破損箇所を修復する感じに仕上げるわ。
何だか色の違いで不格好に見えるかもしれないけど別に構わないわよね?




「なんて馬鹿な真似をしてくれたのかしら」

 いっそ冷たさを感じる声音でそう呟く童女――ダーシャ・アヴェンダ(人形造形師・f01750)は、謎のハムスター型シルエットと対峙していた。

『まったくもってその通りなのだ! へけっ』
「……放置するわけにはいかないわね」

 独特な話声。このハム型シルエットがどんな怪物なのかは知らないが、それがどのような存在であれ倒すべき敵であることに変わりはない。そう結論付ければ、彼女の傍に控えていた絡繰人形たちが動き出す。

「肉片一つ残らずバラバラになりなさい!」

 きらりと光を跳ね返すのは、人形に仕込まれた武器の金属の輝き。塗られた毒のせいか、反射光は鈍い色を帯びている。ちょこまかと攻撃を掻い潜り、時に弾き、逃げ回る怪物ではあったが――彼女の滑らかな人形遣いを前にしては、そう長くは持たなかった。

『へけーーーッ!』

 おそらくこの世界で最後のシルエットであったのだろう。謎の呼び声を放つ怪物はこの時、この世界から綺麗に消え去ったのである。

 のちに残されたのは、絡繰人形たちが懸命に祠を修繕している姿のみ。ダーシャの吐く白い溜息は、UDC世界の空へと溶けていく――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『膨らむ頭の人間』

POW   :    異形なる影の降臨
自身が戦闘で瀕死になると【おぞましい輪郭の影】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    慈悲深き邪神の御使い
いま戦っている対象に有効な【邪神の落とし子】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    侵食する狂気の炎
対象の攻撃を軽減する【邪なる炎をまとった異形】に変身しつつ、【教典から放つ炎】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 冒涜的、というのだろうか。その姿は言語化できる範疇には既に無い。ただそこにある“影”という存在と、並々ならぬ存在感のみがソレが目の前にあることを示しているといえる。

『その通りなのだ』

 何処からか溢れ出る影は無数に増殖し、ある形を保って停滞する。1匹であればか弱い鼠のような存在であったとしても、数え切れない個体がひしめきあう姿はいっそ気分が悪くなるものであった。

「――――――」

 生れ落ちたソレをみた猟兵たちは、口を揃えてこういった。ソレはこの世界から排除すべきモノであると。

 ――肯定してはならないモノであると。

 オーダー:影を付き従えるボスを倒せ
蔵方・ラック
塵も積もれば山となる、鼠も集えば…………なんでありますかねアレは?
まぁなんであれ、オブリビオンなのであれば!
猟兵たる自分のやることは決まっているのであります!
とっとこ退場してもらうでありますよ!!

そっちが増える影ならこっちはコレであります!(スクラップを召喚)
【屑鉄錨】を使用して、ボスも影も覆い尽くす勢いでスクラップ片をぶつけまくる!動けるものなら動いてみやがれ、であります!
(技能:範囲攻撃、一斉発射)




 蔵方・ラック(サイボーグのスクラップビルダー・f03721)は、目の前に立つ邪神を見つめていた。頭からつま先まで、異様な雰囲気を醸し出すそれは、確かに危険なものなのだろう。

「塵も積もれば山となる、鼠も集えば…………なんでありますかねアレは?」

 無数に集まってもぞもぞと蠢く姿は確かに気味が悪い。多くの心を持つ者たちは、無意識に距離を取りたくなってしまうだろう。そう、普通なら。

「んーむ……」

 蔵方・ラック(サイボーグのスクラップビルダー・f03721)はその枠には入らないらしい。特に尻込みすることもなく、邪神の前に立つ。
 そもそも、自分は難しいことを考えるのは苦手なのだ。それに邪神であろうとオブリビオンには変わりないのだし――。

「まぁなんであれ、オブリビオンなのであれば! 猟兵たる自分のやることは決まっているのであります!」

 無限に増殖する影を目の当たりにしても、蔵方の表情は変わらなかった。そう、彼は猟兵なのだ。ならばすることはたった一つ!

「とっとこ退場してもらうでありますよ!!」

 その言葉に呼応するように、彼の周囲に次々と屑鉄が現れた。背丈を超えるほど巨大なものから、拳大のものまで大小様々なそれは、蔵方の召喚したスクラップだ。

「そっちが増える影ならこっちはコレであります!」
『オォォォオ!』

 不完全な召喚で言葉さえ話せないかと思われた邪神であったが、危険を察知する程度の知能は持ち合わせていたらしい。影が壁のように寄り集まり、邪神を守るように盾を張る。
 スクラップを周囲に浮かべ、その光景を見た彼は、にやりとした笑みを浮かべた。今から始まる自分の攻撃をそんな影で凌ごうというのならば――。

「――防げるものなら防いでみやがれ、でありますッ!!」

 瞬間、無数のスクラップが邪神へと降り注ぎ、その暴威を開放した。
 ただのスクラップと侮ることなかれ。それは無数の硬い金属による蹂躙劇であり、抵抗を許さぬ礫の雨。相手の防御など関係なく、それを真っ向からぶち破る、蔵方の豪快なユーベルコード。その質量の暴力は生半可で防げるものではない。
 事実、数えきれないほどの鉄屑が絶え間なく邪神の影を打ち、次々に消滅させていく!

『オオォォ……』

 苦しむような邪神の声が周囲へと不気味に響き渡るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上城・クロウ
【WIN】
なるほど、この世ならざるモノ...UDCアースの裏側の存在は聞いていましたが...非常に興味深い対象です。可能な限り、観察したいところです。
この場に至るまでに遭遇した事象を情報収集、整理・学習して対象のユーベルコードを模倣・対消滅を狙います。ユーベルコードの優劣を消し去り基本スペックでの戦闘ならば致命的不利にはならないでしょう。
「邪神のユーベルコードとはこうでしょうか」
ワイヤーフックを利用した地形利用をしつつ、フォースセイバー二刀を叩き込みます。開けた場所でも跳躍力(ジャンプ)を活かすとしましょう。




『オォォォォオ』

 昏く、根本的な恐怖を呼び起こすような吐息。おぞましい外見を持ち世界を淘汰する怪物は、確かにそこに存在する。

「この世ならざるモノ……UDCアースの裏側の存在は聞いていましたが、非常に興味深い対象です」

 その邪神に冷静な眼差しを向けるのは、上城・クロウ(ミレナリィドールのフォースナイト・f01157)。彼は怯えることも怖気づくこともない。なぜなら、上城は、主の命を忠実に遂行することのみを目的にしたミレナリィドールだからだ。

「可能な限り、観察したいところです」

 彼はソレから視線を逸らすことなく、邪神を観察する。外見、立ち姿、振る舞い、能力、溢れ出る影。その全てを見逃さないように。世界を人を見て知れという、彼の主の命令を唯忠実にこなすため。

 数秒の観察の後、彼は突如その場から姿を消した。否、消えたわけではない。ワイヤーを使った立体起動により、猛烈な速度でその場から跳躍したのだ。

『オォォォォオオ』

 空中へと飛んだ上城を見て、好機と悟ったのだろう。邪神は手にした教典を開き触手を走らせる。纏うのは、不気味なオーラと昏い揺らめき。ソレは見たこともないような巨大な鼠を形作ると、上城に向けて大量の影を放つ。
 ワイヤーを巻き切り、邪神へと向けて落下するしかない彼の元へ、邪なる炎を纏った無数の影が殺到する。

「……解析、検証。邪神のユーベルコードとはこうでしょうか」

 ただ冷静に、無表情にぽつりと呟いた彼の周囲に現れたのは、影が纏う炎とよく似たオーラの塊。拳大のそれは次々と落下する彼の傍に出現すると、影から身を挺して彼を守る。ぶつかり合い相殺して消滅するそれは、上城というミレナリィドールが邪神のユーベルコードを完璧に解析してのけたことを意味していた。

 その両手にサイキックエナジーでできた光の刀を携え、相殺によってできた炎のトンネルを邪神へと向けて降下する!

「覚悟を」
『オォォオ……!』

 斬。

 落下の加速、重力、体重、力。その全ての力を集約し放たれた二刀は防御に集った影をいとも容易く切り裂き、邪神へと確実にダメージを与えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リリィ・アークレイズ
…こーてー?ハッ!
こんな気分の悪ィモン
肯定出来るヤツの気が知れねーな
そのペット共々地獄へ送ってやるよ
感謝しな!

その口開いた瞬間に鉛球くれてやるよ
(クイックドロウ)
飼い主、テメーもだ
んなデケェ頭
「的当てしてください」って
言ってるとしか思え無ェな!
誰が外すかよ
飼い主が増えようがペットがバラけようが
やる事は変わらねー
オレはありったけ撃つだけだ
(2回攻撃)
銃は三挺フル出勤だな
持ち替えは慣れてるよ(早業)
相棒共、仕事の時間だぜ!

「否定してみろよ、ネズミヤロー
殺されない自信があるんならな!」
「おーッと、何処行くんだよ害獣」
「1匹だって逃さねェ!
さっさと逝きな!」
「そのとーり、ってな」

【アドリブ大歓迎です】




 どれだけ減らされようとも増殖を止めない影。思わず後ずさりしそうなその光景をどこ吹く風と眺めているのは、リリィ・アークレイズ(SCARLET・f00397)だ。
 色の抜け落ちたような銀髪を風に靡かせ、邪神に向けて不敵に口の端を吊り上げる。

「こんな気味の悪ィもん、お前諸共地獄へ送ってやるよ!」

 刹那、乾いた炸裂音が周囲へと響き渡った。それは彼女の相棒の一つ、自動式拳銃『RED PEPPER』。目にも止まらぬ速度で抜き放ったそれの引き金をリリィは引いたのだ。

『オオオォォ!』

 反応できず、食らった銃弾に苦悶の声を上げる邪神。即座に影がわらわらと寄り集まり、ソレと彼女の間に壁となって立ち塞がる。更に余った影が邪神の輪郭を形作ると、影の触手を動かしリリィへと襲い掛かった。

「はン!」

 しかし、それさえも彼女は鼻で笑い飛ばす。

「んなんなデケェ頭、的当てしてくださいって言ってるとしか思え無ェな!」

 言葉と共に、二度目の銃声。放たれた弾丸は即座に影の邪神の頭へと突き刺さる。
 しかし――健在。

『オオオオオ』

 腹の奥底から湧き出る恐怖の感情を凝縮したような唸り声を上げ、影は更にその触手と炎を彼女へと飛ばす。たが、リリィは、いつの間にか手にしていた黒色の拳銃を襲い来る影へと向け、獰猛な笑みさえ浮かべて見せた。

「相棒共、仕事の時間だぜッ!」

 発砲

 彼女へと襲い掛かる影は次々と撃ち落され、伸ばした触手は踊るように躱される。
 縮まる彼我の距離。緩急をつけ軽やかなステップを踏む彼女が邪神の目の前へ躍り出るのに、そう時間はかからなかった。

 至近距離まで詰めたリリィは、今までの拳銃とは異なる銃をその手に持ち、その銃口を突き付ける。彼女の脚部から取り出されたソレの名は『ORANGE LIB』。大量の各散弾を瞬時に相手へと叩き込む、ダブルバレルショットガン。

「オレのとっておきだ、しっかり噛み締めな!」

 容赦なくゼロ距離から発射されるショットガンの威力は、邪神を吹き飛ばすのに十分な代物だったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

富井・亮平
【心情】
なんと禍々しいッ! このようなモノは存在してはいけないッ!
一刻も早く消し去るぞッ!
イェーガーレンジャーの名にかけてッ!

【行動】
「こいッ! エェレメンタルッ!! レェギオンッッ!!!」
この時のために特別に用意してきた聖なる精霊を呼び出すぞッ!
一部をエレメンタルロッドに宿らせ、一部を私の周囲に配置ッ!
残りは敵の周囲に展開だッ!

宿らせた精霊によって聖なる障壁を展開しつつ、敵の攻撃を誘うぞッ!
攻撃を受けるたびに私の周囲の精霊が反撃ッ!
そして、隙をついて敵の周囲の精霊も攻撃ッ!

攻撃を軽減するか……ッ!

しかし、教典の方はどうかなッ!?
そう、ここまでの全ては、教典を撃ち抜くための布石だッ!




「猟兵戦隊イェーガーレンジャーッ! ただいま参――うぉうッ!?」
『オオオ』
 
 富井・亮平(イェーガーレッド・f12712)ことイェーガーレッドの足元に、容赦なく放たれた炎の礫が突き刺さった。
 名乗り口上を邪魔しないのは戦隊モノのお約束だが、とうの邪神はそんなものはお構いなしといわん限りに冷たい吐息を漏らしている。ぎょろりとした不気味な瞳がレッドを捉え、両者の中間には視線の火花が見えるようだ。

「お前、さてはアノ秘密結社のッ……生かしてはおけんッ!」

 彼が何をどう解釈したのかは彼のみぞ知るところだが、どうやら達した結論はただ一つ――の前の脅威の排除。

「こいッ! エェレメンタルッ!! レェギオンッッ!!!」

 ユーベルコード『エレメンタルレギオン』によって、計95体の小型精霊が彼の周囲を取り巻いた。そして、それはまるで個々の意思を持つかのように集団で動き始める。一部は彼の握ったエレメンタルロッドへ、そしてある程度の数を残したまま邪神の周囲を取り囲むように精霊の群れは展開する。その姿はある種幻想的でもあり、しかし中央に佇むレッドと邪神によってその場の空気は破壊されていた。

 だが、精霊が自身を取り囲むのをただ黙って見ている敵ではない。手にした教典を指揮棒のように振り翳せば、それに呼応するように放たれた炎の魔術が次々に精霊たちを撃ち落とす。

「笑止!」

 しかしそれはレッドの予想範囲内であったのだ。自身へと飛んできた攻撃は周囲へ纏わりついた精霊の壁をたわませるに留まらず、大量の小型精霊たちは反撃までを一連の動作として行う。反撃に対し対応する邪神、その隙を突くように攻撃を加える小型精霊たち。

 そうしてできた邪神の死角で、亮平――レッドは杖を構えた。それはきっと、針の穴を通すような策だったのだろう。だが、正義とは悪を屠る為に執行される光の鉄槌である。数少ない奇跡をも――具体的にはダイスが1クリすること――可能にする。なればこそ、それは彼の心を掴んで離さず、彼の頬は正義の笑みを浮かべるのだ。

「正義は勝つッ!!」

 ――結果でいえば、大成功であった。
 裂帛の気合と共に放たれたレッドの魔術は、邪神の手の中にある教典を見事に撃ち抜き――邪神から未来永劫、その術式を完璧に使用できる能力を奪ったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

モリ・ゴロプ
俺のバスタードソードを喰らわせてやる。
武器受けやフェイントを生かして接近戦で勝負だ。
敵がユーベルコードを撃ってきたら馬(モリ)に吸収させて送り返してやるぜ(ユーベルコード・オペラツィオン・マカブル使用)。(オーク人形)
「…ぅうーっ、…うぅーッ…!!(モリ)」
(口枷がはめられてるので声が出せないため)
ご主人様(オーク人形)を乗せてるので、全力で走ります。
(走るのが遅いと鞭が来るので)




「オラッ、行くぞっ!!」
「うーっ!」

 冷えた空気に響くのは、鞭が生身を叩く乾いた音。オークのからくり人形を背に乗せて、モリ・ゴロプ(オークの馬・f16209)が邪神目掛けてひた走る。

『オォォォオ』
「ぅうーっ…!」

 近づくモリへと向けて振るわれる邪神の触手。不完全な召喚の上、戦闘を経て弱っているそれは、いまひとつ速度が足りていない。
 右と見せかけて左、左と見せかけて右。振るわれた触手の合間に身体を滑り込ませ、少しずつ前進を重ねていく。彼女(馬)は触手の攻撃を避け進み続け――再度、響く鞭の音。

「しっかり避けろ、駄馬ッ!!」

 読みの外れた触手を手にした剣で弾いたオーク(のからくり人形)から檄が飛ぶ。
 ――一瞬の停滞。その隙を邪神の複眼はしっかりと捉えていた。

 ポトリと地に落ち生み出されるのは、邪神の落とし子。川に潜むヒルを巨大にしたような真っ黒の物体は、無数の歯の並んだ口を大きく開き、モリへと襲い掛かる。

「待ってたぜ、それをよォッ!」
「…ぅうーっ、…うぅーッ…!!」

 しかしそれは、オーク(?)の思う壺であったのだ。
 ユーベルコード『オペラツィオン・マカブル』――呻き声を洩らしながらその身に歯を受けたモリは落とし子を綺麗に掻き消し吸収、同じものをオークが邪神へと放ったのだ。
 傍目から見れば異様な光景ではあるが、真面目な戦闘にも見えるために文句が言いづらい。どうしてくれようか。

「俺のバスタードソードを喰らえ!」

 隙をついて接近し放たれた剣の一撃は、邪神の触手の数本を綺麗に切り飛ばすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「待たせたなー! 幸運の流れ星が到着したぞー!」
むむむ、コイツはなんともヤバそうなヤツだぜ!
しかし全力は出せなくなってるみたいだな!
とにかく今がチャンス!

【スーパー流れ星キック】を発動するぞ!
光り輝く【破魔】【属性攻撃】のオーラを纏い、【ダッシュ】【ジャンプ】から空中【スライディング】することで【残像】が生じるほどに加速!
【空中戦】のテクニックで軌道修正しながら、【気合い】の【全力魔法】による【踏みつけ】攻撃を食らわせるぜ!

今の状態なら、敵の攻撃も【オーラ防御】でなんとかなる……!
多分なんとかなると思う! 【勇気】を出すんだ、あたし!
自分を【鼓舞】しながら突っ込むぞー!




 それは例えるなら、流れ星のようだった。
 一筋の光。一条の閃光。
 刹那の間に人々が願う、祈りと幸運の象徴(シンボル)――。

「待たせたなー! 幸運の流れ星が到着したぞー!」

 フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は、邪神めがけて突撃を慣行している真っ最中である。彼女の視界の中央には、如何にも禍々しいオブリビオンが鎮座し――しかし、その青の瞳はしっかりと邪神を観察していた。
(弱っているみたいだな! 今がチャンス!!)

「それそれそれー! 当てれるものなら当ててみろー!!」
『オオォォ!』

 溢れる金色の破魔のオーラ。残像を後に残し、空中を滑るように移動する小さな小さな妖精。そこに伸ばされた触手には、その速度に追いつけるほどの力は残されていない。

 縮まる彼我の距離。迫る邪神の顔。

「いける、私ならできる! アイキャンフライ!! って飛んでるんだった!」

 もう一度言おう――それは例えるなら、まるで流れ星のようだった。

「スーパー! 流れ星!! キーーーック!!!」

 めっちゃ凹んだ。

(了)

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年04月03日


挿絵イラスト