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エンパイアウォー㊴~是非もなし

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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「遂に来たか、猟兵達よ」
 サムライエンパイア、島原に浮かんでいた魔空安土城は、今や首塚の一族のユーベルコードによって地に堕ち、10万を超える徳川の軍勢が織田軍主力部隊を押し込まれている。
 猟兵たちは織田信長の首を狩るべく、まもなくここへ現れるだろう。
「さて、もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……。億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ」
 信長の背後に、隠し将『豊臣秀吉』の姿が浮かび上がる。
「秘術「魔軍転生」。サルよ、儂に憑装せよ……!」
『フェンフェン! フェン!』

「いよいよ、第六天魔王ことオブリビオン・フォーミュラ『織田信長』との直接対決だよっ! ここが天下分け目の大一番っ! しっかり準備してねっ!?」
 グリモア猟兵の蛇塚・レモン(黄金に輝く白き蛇神オロチヒメの愛娘・f05152)が、決戦前に作った手製のカツサンドを集まってくれた猟兵たちに手渡しながらブリーフィングを開始。
「ここまで来たらもう判ってるだろうけど、信長も先制攻撃をしかけてくるから、【如何に攻撃を防いで、反撃に繋げるか】をキチンと講じてほしいなっ!」
 単にユーベルコードで対抗しようとすれば、信長の先制攻撃に押し負けてしまうだろう。
 その反撃に繋げるための手段や策が大切だという事を、今一度、肝に銘じてほしい。

「それと、皆と戦う信長はなんと! 『魔軍転生』って秘術を使って『豊臣秀吉』の力を憑依させて戦うっていう予知を見たよっ! 憑装って言うらしいよっ? 後ろでフェンフェン言ってるけど、ユーベルコードは超強力だよ、見掛けで判断したらダメだからねっ!?」
 レモンの忠告に、猟兵たちの顔が引き締まる。
 ここまでの戦いを乗り越えてきた猟兵たちは、恐らく覚悟が出来ているだろう。
 必ず勝つ。そのためにも、レモンから差し出されたカツサンドを験担ぎに喰らいつく。
「無事に帰ってきたら、いくらでもまた作ってあげるから……。だから、負けないでっ!」
 レモンの激励の言葉を胸に、猟兵たち最終決戦の舞台、魔空安土城の天守閣へ挑む!


七転 十五起
『!!!警告!!!』
 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 七転十五起、なぎてんはねおきです。
 もはや是非もなし。エンパイアウォーのラストダンスを飾らせていただきます。
 さぁ、一緒に最後まで踊り明かしましょう。
 それがどんな未来であろうとも、なぎてんは皆様とお付き合い致しましょう。
 皆様のドラマティックなプレイングを、お待ちしております。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』秀吉装』

POW   :    黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ   :    シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

六代目・松座衛門
「覚悟しろ! 織田信長!!」
戦争のクライマックス! 気合十分に戦闘へ臨む!

「地上にいては、押し切られる!? 演目「黒雨」!」
秀吉装によるUC「シャドウクローニング」で召喚された無数の【豊臣秀吉】へ大型銃「玲瓏」と毒矢を装填した連弩「狂惑」による弾幕を浴びせつつ、UC「演目「黒雨」」を発動。
人形「暁闇」と共に空中へ駆け、強化された武器で、さらに【豊臣秀吉】の大群へ攻撃を加える!【援護射撃】【吹き飛ばし】【毒使い】

「隙あり! お命頂戴!」
十分に【豊臣秀吉】を撃退出来たら、多節棍「双爪丸」で4本腕となった人形「暁闇」で織田信長へ反撃する!【傷口をえぐる】【破魔】

アドリブ、連携歓迎



 魔空安土城天守閣。
 下層ではところどころに火の手が上がり、城内は刻一刻と地獄めいた阿鼻叫喚の光景が広がってゆく。
「是非もなし。敵襲と炎……生前の儂の最期を想起させるものよ……」
 第六天魔王『織田信長』は、その背後に配下である異形……『豊臣秀吉』を背後霊めいて憑装して、猟兵たちを待ち構えていた。
 そんな信長が待つ天守閣の大広間に、真っ先に飛び込んできたのは六代目・松座衛門(とある人形操術の亡霊・f02931)であった。
 彼は『鬼猟流 人形操術』にて受け継がれていた操り人形の手板、操作板と呼ばれる十字形のパーツを依代とする男性型のヤドリガミだ。
「見付けたぞ! 覚悟しろ! 織田信長!!」
 このエンパイアウォーのクライマックスということもあり、松座衛門は気合充分に戦闘へ臨む!
「儂のもとへ単身乗り込んでくるとは……その心意気やよし。だが、それももはや此処まで」
『フェンフェン!』
 背後の秀吉の背後霊が突如、信長の前に飛び出してきたかと思えば、それらは500体の小型の戦闘用豊臣秀吉となって、雪崩めいて松座衛門に押し寄せてくる!
 信長の先制攻撃だ!
「地上にいては、押し切られる!?  演目「黒雨」!」
 本体である鬼猟流・操作板「志操」(しそう)から伸びる4本の糸を手繰って操るは、鬼猟流・戦闘用人形「暁闇」(ぎょうあん)、彼の相棒だ。
 人形の内部から飛び出す口径漸減式大型銃「玲瓏」(れいろう)と人形の手首に装着された特殊矢射出用連弩「狂惑」(きょうわく)で弾幕を浴びせて、秀吉たちの大軍勢の一部を押し留めようと試みる。
 そしてそのままユーベルコード『鬼猟流 演目其ノ二「黒雨」』で張り巡らされた操作糸を利用した移動法で時速210kmの高速移動を行わんと試みる。
 だが、此処は室内。かなり高いとはいえ天井にぶつかってしまう。
 更に秀吉たちは身体をゴムマリめいて部屋中を跳ね回ることで天井の上まで大軍勢が攻撃を仕掛けることが可能であった!
 これは……跳弾!
「そんな!? ぅぐッ!?」
 まるで帰還中の銃撃を浴びているかのような衝撃が松座衛門の全身を襲う!
 仮初の身体は削がれ、砕かれ、相棒の人形も一部が破損!
 辛うじて自身の本体を秀吉の弾幕から守り切るのが精一杯だ。
 松座衛門は2つのミスを犯した。
 ひとつは戦闘場所が室内であることを完全に想定していなかったため、秀吉たちの跳弾攻撃を想定できなかったこと。
 もうひとつは、単純に信長とのユーベルコードの相性が最悪だった。
「この……!?」
 毒を宿した銃弾と矢をバラ撒きながら松左衛門は飛翔するも、密閉空間で跳ね回る500体の秀吉たちをかき分ける形になり、一歩動く度に彼は大ダメージを負ってしまう。
 むしろ、個々に動き回る秀吉たち……集団を効率よく倒すのであれば、点ではなく面で制圧すべきだ。いくら強化された銃や矢の点の攻撃でも、これではコストパフォーマンスが明らかに悪い。人形を操る糸で縛り上げるか、投網でも用意するべきであっただろう。
「こうなったら……!」
 伸縮機能付き多節棍「双爪丸」(そうそうまる)を人形にセットさせ、四本腕モードへ。
 松座衛門は決死の覚悟で人形の腕を振るって秀吉たちを払い除けながら特攻!
「信長! お命頂戴ッ!!」
 四本腕のラッシュが信長の顔を掠め、鎧の一部を引き裂き、その傷を更に他の腕が抉る。衝撃は内部まで達して、信長の身体をほんの僅かだが後ろへよろめかせた。
 ――だが、そこまでであった。
「話にならぬ。このうつけめ。猿よ、曲者を天守閣から叩き落とせ」
『フェン!』
 小型秀吉たちが津波のように松座衛門と人形を飲み込んでゆくと、そのまま障子を押し破って外壁を突き破った!
 その衝撃は大型トラックと正面衝突したかの如き一撃で、松座衛門はボロボロの人形を抱えながら、天守閣から地上へと叩き付けられて意識を手放さざるを得なかった。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ゲンジロウ・ヨハンソン
○アドリブ歓迎
○連携ご自由に

しっかし変わった能力使うのぅ、ちっと羨ましいわ。
その力ありゃ、わし単体でも超常ともっと渡り合えるんじゃろな。
ま、わしはわしのやれる範囲で頑張るとすっかね。

○先制対応
無数の黒槍が放れてたら【盾受け】で数本激しく弾き【カウンター】で
弾き踊る槍で他の槍を巻き込み、威力を殺そう。
それでも突き抜けて向かってくる槍は、【オーラ防御】でできるだけ威力を殺して受けるぞ。

○攻撃
一先ず、凌いだか…?
なれば後は疾さ勝負!つーか奴の他2つのUCとわし相性悪すぎるんじゃよ!
【早業】で信長の次の一手がくる前に、【選択したUC】を発動させる。
恥ずかしながら、これがわしの放てる最速の攻撃なんじゃよ


アネット・レインフォール
▼心情
第六天魔王、か。
そう言えば以前、蛇塚がこの手の人物をタイプと言っていた気がする。
…報告用に信長の写メでも取っておくか。

▼POW
本来、一介の武人に過ぎない俺が刃を届かせるのは難しい。
考えろ。思考を止めるな。
軍神や大悪災だったらどう戦う?

開戦時は単車で攪乱しつつ回避を優先。
間合いを詰めながら跳躍し
換装用刀剣を念動力で浮かせて足場利用し上空へ。

暗糸や葬剣を網に変えて黒槍を絡め取るが
遠隔操作で単車から武器射出の牽制も行い時間を稼ぐ。

『武器が足りないなら――補えばいい』

【洸将剣】で軍神の毘沙門刀12本を再現。
一斉投射で相殺&攻撃を行いながら
これに乗じて黒刀と白刀による一撃を見舞う。

▼他
アドリブ歓迎


フランチェスカ・ヴァレンタイン
初手がどうにも厄介ですが… それこそ是非もなし、ですわね

まずは外殻装甲を前方へとパージしてデコイとし、黒槍の密度を漸減します
開いた空間を逆噴射なども駆使した空中戦で切り抜け、自身へ向かう黒槍は軌道を見切ってバーニアの推力偏向噴射で直前に衝突コースから軸をずらすことで紙一重での回避を
それでも被弾しそうならば、シールドガントレットのビーム膜で受け流しましょう

先制攻撃を凌げれば空中での機動を遮るものはありません
高機動戦で斧槍と砲撃を叩き込みながら、信長の周囲にUCで不可視のワイヤーアンカーを設置していきます

アイコンタクトで周囲へ退避を促しつつ急上昇でワイヤーを巻き締め、爆導索の起爆と参りましょう…!



 仲間の猟兵が落下するさまを目撃してしまったゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)とアネット・レインフォール(剣の教導者・f01254)、そしてフランチェスカ・ヴァレンタイン(九天華めき舞い穿つもの・f04189)の3名。
 天守閣の大広間に辿り着くと、彼らは織田信長を目の当たりにした。
「しっかし、その憑装っていうのか? 変わった能力使うのぅ、ちっと羨ましいわ。その力ありゃ、わし単体でも超常ともっと渡り合えるんじゃろな。ま、わしはわしのやれる範囲で頑張るとすっかね」
 無骨なフルフェイスヘルメットを装着したゲンジロウが超重鋼パイプ柄ロングスコップを担いで肩をすくめる。
「予知によれば、初手がどうにも厄介ですが……。それこそ是非もなし、ですわね」
 フランチェスカは携行用大型機殻斧槍『ヴァルフレイア・ハルバード』を両手で構えた。
「猿よ、儂の元へ戻れ……! 此奴ら、手練れか。面構えが違う」
 2名の猟兵の戦意漲る姿勢に、信長も秀吉を背後へ呼び戻すほど警戒する。
 ……だが、アネットはなぜかスマートフォンを取り出すと、自分と奥に控える信長が収まるようにセルフィーを撮影し始めた。
 カシャッカシャッという撮影音が大広間に響く。
「……何をしている?」
 攻撃ではないことはすぐに信長は見抜いたが、戦う前に何をしているのか?
 純粋な興味で信長はアネットへ尋ねた。
 すると、アネットは数歩前に出ると、撮影された画像を信長へ突き出して見せびらかした。
「よく撮れているだろう? ここに映っているのは信長、お前自身だ」
「なんだと……? 儂の姿が一瞬で絵になっているのか?」
 信長も数歩近付き、目を細めてスマートフォンの画像を食い入るように見詰める。
「ほう……、儂の後ろの猿も鮮明に写っているのか」
「だろう? 実は、お前みたいな威厳のある渋い壮年の男性がタイプっていう奴を知っていてな。そいつへの報告用に撮影させてもらった」
「なるほど、これも異世界の技術……やはり渡来人共の『グリードオーシャン』を侵略し、そのような技術をこの手に収めたかったものだな」
 スマートフォンの画像に映った自分の姿を、己の眼に焼き付けた信長、画像を差し出したアネットへ向けて、なんと軽く笑みを向けた。
「最期に良いものを見せてくれたこと、感謝する。儂直々が褒めて遣わす」
「おいおい……マジか? 随分とフレンドリーなじゃ、信長は?」
 ゲンジロウはこのやり取りを見て呆然としていた。
「確かに意外ですわね。ですがUDCアースの書籍によれば、信長は大変な好奇心旺盛なお方だったそうですわ」
 フランチェスカも、素直に信長が定位置に戻ってゆくのを警戒しながら見守っていた。
「一番驚いているのは、俺だがな……? この画像、何が何でもあのグリモア猟兵に届けなければ……」
 アネットは猟兵たちの元へ戻ると、大穴が空いた真後ろの壁に向けて手をかざした。
 その途端、魔空安土城の城壁を駆け上がってくるアネットの愛車『単車【三頭黒狼】』を遠隔操作で呼び寄せた!
 信長は背後の秀吉に告げる。
「猿よ、我が鋼鎧へ宿れ。黒槍殲撃――!」
 遂に信長が動いた。

 黒槍殲撃は範囲攻撃だ。半径100m以内に存在する指定した対象全員を、信長の鋼鎧から放たれた無数の黒槍で貫くのだ。
 勿論、猟兵たちもやすやすと貫かれたりしない。
「まるでウニかヤマアラシじゃなっ!?」
 ゲンジロウは左腕のDIYシールドガントレットから高圧スチームシールドを展開。噴射される蒸気の勢いで黒槍の穂先が左右ににばらけて弾かれてゆく!
 更にカウンターでスコップを右腕で振り回せば、正面へ突っ込んでくる黒槍を弾き返して後続の黒槍に絡ませることで、即席の空中バリケードを展開させる。
 しかし、それでもなお突き刺さる黒槍は、ゲンジロウの脇腹を掠めて右大腿部を突き刺した。
「クソッ! こんなところで死ぬわけにはいかんのじゃ! 店の……【IZAKAYA:げんちゃん】の常連たちが帰りを待ってるんでなぁ!?」
 ゲンジロウは自身の体に刻まれた破邪の紋様に意識を集中させる。すると、紅く燃え上がるようなオーラ障壁がゲンジロウを包み込む。
「えぇい、邪魔じゃあ!」
 右大腿部に突き刺さった黒槍を引き抜くと、動脈を傷付けたのか血が噴き出す。だが、傷跡から噴出する紫苑色の炎が彼を生かし呪うのだ。焼き塞がった脚の痛みを堪えると、ゲンジロウは一歩、また一歩と信奈へ近付く。
「一先ず、凌いだか……?」
 黒槍の勢いがぱったりと止んだ。

 対して、アネットは大広間を単車で駆け巡り、黒槍をどうにか回避し続けていた。それでも空間に雨霰と放たれる無数の黒槍の前に無傷でいられるほど現実は甘くない。
「流石に盾がないと厳しいか……!」
 単車から射出された換装用武装を念動力で空中固定させると、アネットはそこへ飛び乗った。ウイリーの要領で武装を立たせれば、急造の盾となって黒槍を弾き返した。
 アネットは急ぎ、極黒の暗糸【翠霞喝采】と鋼色モードの葬剣【逢魔ガ刻】を手繰って二重の結界のように周囲へ張り巡らせ、黒槍を弾き返して絡め取り、どうにか身の安全を確保することに成功する。
「だが、これでは近付くことが出来ない……。本来、一介の武人に過ぎない俺が刃を届かせるのは難しい。考えろ。思考を止めるな。軍神や大悪災だったらどう戦う?」
 防戦一方のアネットは、このエンパイアウォーで経験全ての戦闘を思い返していた。

 一方、フランチェスカは割と裸に近い軽装で戦闘を行っていた。
「アーマーパージですわ!」
 フランチェスカは己が纏う外殻強化機甲『アルタースキン・ヴァルキュリア』を解除、全面に射出することで囮と面制圧による障壁として展開。槍を弾き飛ばしながら信長との間合いを詰めてゆく。
 だが、パージした外殻もいつまでも持たない。障壁を突き破って無数の黒槍が、無防備のフランチェスカの身体を貫かんと殺到!
「こういう事も、出来ますわよ!?」
 フランチェスカはバーニアを黒槍へ向けて推力偏向噴射、槍の矛先を吹き飛ばして無理矢理に道を作った!
「あと少し……!」
 残りの黒槍をシールドガントレット『プルリアント・レディバード』で起動させたビーム膜を珍しく盾形に展開すると、そのまま大広間を駆け巡りながら信長へ突っ込んでいった。
「建物内の飛行とはいえ、突っ込むだけでしたらご覧の通り。遮るものがなければ……!」
 まずは信長へ、フランチェスカの砲撃とすれ違いざまの斧槍の一閃でダメージを与えた!
 そこへゲンジロウが走り込んでくるやいなや、スコップを振り上げて飛び掛かった!
「どんなに鎧を着込んでいても、頭が無防備じゃ無意味じゃな!」
 ごわぁんっと鉄が響く音と共に信長の脳天にスコップが炸裂!
 よろめく信長の背後に、ゲンジロウは見慣れた人影を見付けた。
「ゲンジロウ、これで貸しひとつだ」
 突如現れた蒼衣を纏う剣士の細剣による一閃が信長の背中を鋼鎧ごと切り裂いた!
 見覚えのある剣士の登場に、ゲンジロウは声を震わせた。
「蒼衣の剣士!? なんでここに……」
「俺は†蒼刻の騎士†だ……刻み付けろ、我が刻剣の冴え。蒼刻と碧刻の剣閃(ブルー・スライス・ブルー)!」
 彼の振るう革命剣《蒼刻のナデル》が放つ時空を歪める光速の連撃は高威力高命中、信長を圧倒していく!
「では、またな、ゲンジロウ。お前の店で、いつかまた飯を食いたいものだな」
 攻撃を終えると、†蒼刻の騎士†は風に溶けるように姿を消していった。
「な、なんだったのだ、今のは!?」
 困惑する信長にゲンジロウがスコップをもう一度炸裂させる!
「恥ずかしながら、これがわしの放てる最速のユーベルコードなんだよ! つーか信長! 他2つのUCとわしの相性悪すぎるんだ!」
 ごわぁんっと音を響かせて信長に大打撃を与えたゲンジロウが退くと、そこへ駆け寄ってくるアネットの姿が!
「武器が足りないなら――補えばいい」
 アネットの全ての手持ちの武装に加え、ユーベルコード『【碌式】洸将剣』で軍神・上杉謙信の毘沙門刀12本を再現!
 信長は黒槍の射出を再びアネットへ行うも、念動力で操られた武装と10本の毘沙門刀で弾かれてしまった。
「――碌式・洸将剣、毘沙門刀が二振り、アンヘルブラック、ディアブロホワイト……!」
 左右の白黒の刀を交差させながらアネットは信長の懐へ潜り込むと、X字に斬り付けて鋼鎧越しの肉体へ更なる刀傷を負わせた。
「お二人共……!」
 フランチェスカのアイコンタクトを受けたゲンジロウとアネットは、信長から距離を置く。
 それを見届けたフランチェスカは、本命のユーベルコードを発動させた。
「先程の交錯の際に仕込ませていただきましたわ。――アンカービット、射出! 『虚空に踊り 繰り爆ぜるもの(ブラスティング・サイコビット)』……起爆!」
 信長の足元で急浮上した念動式ワイヤーアンカーが、その肢体を巻き締めてゆく。
 爆導索が起爆する瞬間、アネットは毘沙門刀12本を全て信長へ射出し、ゲンジロウは愛銃の大口径回転式マグナム拳銃『トラキュレンスライノ』の弾丸をありったけぶっ放した。
 直後、天守閣から火柱が立ち上り、猟兵3名は爆風に吹き飛ばされてその場から強制退避。
 残された信長は、酷い火傷と裂傷・刺傷によって遂に床へ膝を付く。
 決着の時は近い……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ビスマス・テルマール
●POW
○先制対策
『早業』で『属性攻撃(餅)』と『オーラ防御』と『激痛耐性』を重ね掛けてコーティングした耐久力重視の実体のある『残像』を『ダッシュ』でばら蒔き、それで『第六感と見切り』を持って『盾受け』し『武器受け』した黒槍をUCで『早業』で『部位破壊』し『早業と激痛耐性』を用い食べ

範囲攻撃である時点でこのUCの適応範囲内

秀吉……いや
グレイズモンキーフォームに

『属性攻撃(黒槍)』『属性攻撃(秀吉)』『属性攻撃(ウニ)』を『早業』を組み合わせ生成した秀吉型ウニ黒槍弾を『誘導弾』と『範囲攻撃』と『鎧無視攻撃』を込め『2回攻撃』と『クイックドロウ』併用で『一斉発射』を

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


御堂・茜
秀吉様…渾名が猿と申しますか
本当に猿ではございませんか!
ともあれ三英傑のお二人と手合わせ願えるとは光栄
我が刀にて乱世を断ちます!

信長様の殺気を【野生の勘/第六感】で察知し
【気合い】の【オーラ防御】で全身の守備を固めます
その後すぐUC【絶対正義】を発動
オーラとUCの超耐久力で踏ん張り
全自動で黒槍を破壊する体勢に入ります

刀から放たれる【気合い】の【衝撃波】は
黒槍の軌道の延長線上にいる信長様を絶えず襲う筈…!
仮に攻撃がやんだ所でミドウ・アイは悪を逃しません!
歴史に残る信長様と秀吉様の非情な殺戮
その業を【情報収集】で自動感知し
【怪力】で源泉たる鎧を穿つでしょう!

貴方が天下人ですか?
いいえ…悪ですッッ!



 爆煙が晴れた天守閣へ2名の猟兵が足を踏み入れる。
「なるほど……。大体分かりました」
 素早く状況判断後、開口一番にビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)は言葉を発した。
「信長は既に手負いの状態。ここで私達が駄目押しすれば、恐らく撃破出来るでしょう」
「いきなり現れて儂を倒すなどと抜かすか。何者だ?」
 信長がビスマスに問えば、彼女は即答した。
「敢えて名乗るなら、通りすがりのご当地ヒーロー兼なめろう猟兵です」
「そして私は御堂です!!!!」
 聞かれてもいないのに、同行していた御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)が信長に告げた。
「……いや、貴様の名は問うていないが?」
「御堂です!!!!! この世界の平和と正義のために戦う猟兵です!!!」
「喧しい!」
「すみません!!! でも倒しますね!!!! 正義のために!!!!」
 信長さんがキレた。御堂はすぐに謝罪後、秒速で宣戦布告した。
 見事な出オチである。
 説明しよう!
 ビスマスはなめろうを始めとするご当地グルメなどの文化を守るクリスタリアン猟兵ヒーローならば、御堂は女ながらに武士道に憧れて民を守る猟兵なったはいいけどUDCアースで『特撮』『スポ根』『勧善懲悪』等の概念に触れた結果やべーほどに正義馬鹿になってサムライエンパイアに帰っていた真の正義の狂信者なのだ。その証拠に、UDCアースで裏ルート経由でサイバネ改造手術を行い、その身をサイボーグにしてしまうほどだ。両手の指の関節と首元から覗くバイオ筋繊維がサイボーグの証だ!
「茜さんがこんな熱血な人だとは思っていませんでした」
 同行していたビスマスも唖然としている。
 それもそのはず、ここまで同行してくるのに御堂はお淑やかな風体だったのだから。
 だが、オブリビオン・フォーミュラを前にして御堂の正義魂がイグニッション!
 台詞の後ろの感嘆符が常に5個ほど付くレベルのやかましさで戦闘に臨むのだ。
 ビスマスが静なら御堂が動という対照的な存在である。
「とにかく、相手は先制攻撃を仕掛けてきます。茜さん、予知の通りなら信長は秀吉と融合した鋼鎧から黒槍を無数に放ってくるはずです!」
「分かりました、対策は万全です、ビスマス様! それにしても秀吉様……渾名が猿と申しますか、本当に猿ではございませんか!! ともあれ!! 三英傑のお二人と手合わせ願えるとは光栄ッ!!! 我が刀にて乱世を断ちます!!!!!」
 御堂は愛刀のジャスティスミドウセイバーを鞘から抜き払い、正眼に構えた。
「……茶番は終わりか? ならば、串刺しにしてくれよう」
『フェンフェン!』
 秀吉が信長の鋼鎧と融合すると、半径100mの花火めいた黒槍の射出が開始!
「来ましたね? わたしの対策はこれです!」
 ビスマスは腰に巻いたディメイション・ローカルドライバーへ、ディメイション・ローカルライドカードデッキからドローしたカードをスラッシュ!
 轟く電子音声!
『Namerou Vent……Omochi!』
 ビスマスは素早くその場で動き回ると、オーラ防御で強化された実体のあるオモチ残像を生み出して周囲へバラ撒く。
 そのまま黒槍はオモチビスマスを容赦なく貫くも、オモチの粘性で貫通せずに捕らわれてしまう。
「思ったとおりですね……。このオモチ残像を盾にして前進です!」
 まるで自分のオモチ分身をトーチカのようにして黒槍をしのぎながら着実に信長との距離を詰めてゆく。
「わぁあっ!!! それ、UDCアースの日曜朝にやってる特撮ヒーローっぽいですね!!」
 御堂はビスマスのベルトのギミックを目の当たりにして目を輝かせる。そして、そのテンションのままオーラ防御と刀から放たれる気合いの衝撃波で辛うじて黒槍を切り払っていた。
 事実、御堂はビスマスよりも猟兵としての経験が浅く、技能も全体的に心許ない。だが、彼女の正義の熱い心と気合は本物だ。ましてや、目の前に憧れの変身ヒーローっぽい猟兵がいるのだから、更に気合は倍増!
 まさか気合だけで信長も黒槍を凌ぐ猟兵がいるとは思ってもいなかっただろう。
「元気と気合があれば何でも出来ます!!! UDCアースの偉大な格闘家様がおっしゃってました!!!」
「茜さんは随分とUDCアースに入れ込んでるようですね? どうです? この戦闘が終わったら、わたしのなめろう料理を食べてみませんか? UDCアースでおすすめのなめろう料理を出すお店もご紹介しましょう」
 オモチ分身を更に生み出しすビスマスの誘いに、御堂は更に目を輝かせた。
「いいのでございすかッ!? はいっ!!! 喜んで!!!」
「随分と余裕のようだな!?」
 ガールズトークに水を差すかのごとく、信長は第二波、第三波の黒槍を放出!
 しかし、猟兵たちも黙っているわけではない。
「そろそろ頃合いですね……。ユーベルコードを掴んで食べて、その力を表現する……これがフードファイトの極みですっ! 変身っ!!」
 ビスマスはなんと、オモチ分身ごと信長が放った黒槍をムシャムシャと食べてしまったではないか!
 その瞬間、ベルトから機械音声が大広間に轟いた!
『Ubel Code Armored!』
 ビスマスのユーベルコード『フードユーベルネーション・アーマード』は、戦闘中に食べた物理的及び非物理的の遠距離かつ範囲ユーベルコードの量と質に応じて、全身の鎧装が対象ユーベルコードの持ち主の姿に変わり、戦闘力が増加するのだ!
「これぞ秀吉……いや、敢えて言いましょう。グレイズモンキーフォームです!」
 漆黒の鎧装に覆われたビスマスの姿に、御堂のテンションが遂に振り切れた。
「なんて凛々しいお姿でしょうか!!!! 御堂も本気を出します!!! 信長様、貴方が天下人ですか? いいえ……悪ですッッ! 変身ッ!!!」
 次の瞬間、御堂の首元と身体の関節部分のハッチから高圧蒸気が吹き出して排熱を開始!
 そして御堂は自分の額にジャスティスミドウ・モンドコロ……天下自在符を貼り付けると、彼女のジャスティスミドウ・アイがギラリと輝いた。
「セェェェェェェェェエイィィィィィギィィィィィィィッ!!!!」
 ユーベルコード『絶対正義(ジャスティスモンスター)』発動!!
 理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続けるというデメリットを背負う反面、超攻撃力と超耐久力を得た御堂は今、名実ともに悪っぽいものを全て成敗するバーサーカー……正義の怪物へと変身したのだ。
 過剰な熱暴走を軽減するために、身体のあちこちから高圧蒸気放出による排熱が行われ続けている。あまり長い間発動すると、御堂のサイボーグボディがオーバーロードしかねない!
「セイギッ!! シッコウッ!!!!」
 高速で降り注ぐ黒槍を超耐久力と鈍化した痛覚、そして気合でなぎ払うバーサーカー御堂!
 ジャスティスミドウ・モンドコロの効果で高速移動が可能となったバーサーカー御堂が愛刀を一度振るえば、まるで小さな台風が発生したかのように黒槍を店へと巻き上げ、飛び出す斬撃と化した衝撃波で信長を遠距離からズタズタに切り刻んでゆく!
「が……はっ!?」
 信長は急所を自分の刀の峰で防御するも、それ以外の部分を削ぎ落とされてしまう。
「今です! 3つの属性を1つに……!」
 ビスマスは信長が怯んだ瞬間に必殺の一撃を繰り出すべく、デッキからカードをセレクト、次々とベルトへスキャニングを開始!
『クロヤリ!』『ヒデヨシ!』『ウニ!』
『トリプルベストマッチデェースッ!!』
「合体属性攻撃! 秀吉型ウニ黒槍弾、発射! さぁ、あなたの罪を数えなさい!」
『サイキョーノ! イチゲキッ!』
 左右2門のアームドフォートから発射された秀吉型ウニ黒槍弾は高速で信長へ飛来!
「ヴァァ!?」
 その高速飛来物を理性を失ったバーサーカー御堂が本能で追跡!
 そのまま飛び上がると、なんと両足の裏で秀吉型ウニ黒槍弾を蹴り込むように押し込んだ!
 これは、特撮ヒーローお馴染みの必殺キック!
「セェェェェイギィィィッ!! シッコオォォウッ!!!!」
 吹き上がる排熱蒸気がジェットとなってバーサーカー御堂を加速させる!
 そして秀吉型ウニ黒槍弾とバーサーカー御堂は、信長の心臓を破壊して貫通!
「……是非、も……なし……っ!」
 胸部から腹部にかけて大きな穴が空いた信長は最期に言葉を零すと、盛大に爆炎を撒き散らしながら爆発四散するのだった。

 全身から排熱をし終えた御堂は、自身のボロボロのサイバネボディを眺めて苦笑い。
「ああ……これはまた修理しないといけませんね……あいたたた……」
「茜さん、立てますか?」
 変身を解いたビスマスが手を差し伸べる。
 その手をサイバネハンドが掴んだ。
「そうだ、茜さんの修理先がUDCアースなら、なめろう料理のお店もその時に如何ですか? 勿論、この戦争が終わったらですが」
「はい!!! この御堂、喜んでお供致しますわ!!!!! あっ!! そうですわ!! UDCアースの日本にはアキハバラという場所があって、特撮ヒーローや魔法少女の類の品が揃っているとか!?」
「秋葉原ですか。変わり種のなめろうのヒントがあるかもしれませんね……」
 燃え落ちる魔空安土城から脱出したビスマスと御堂は、戦場に響く徳川軍の勝鬨の声を聞く。
 大部分の戦場で徳川軍と猟兵が織田軍を圧倒している証拠だ。
 エンパイアウォーの勝利を目前に感じながら、彼女たちは一旦、戦場を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月25日


挿絵イラスト