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エンパイアウォー㊴~残火

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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●焔を背負いて
「遂に来たか、猟兵達よ。
 エンパイアを滅ぼし、渡来人共の「グリードオーシャン」をも侵略する道筋は、これでほぼ絶たれたか。血塗られし彼奴らの神が如何程の物か、確かめてみたかったがな」
 第六天魔王『織田信長』、顕現せしオブリビオンフォーミュラは、自惚れることなく、現在の戦況を正しく理解していた。
「さて、もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……。億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ」
 秘術『魔軍転生』、炎と共に現れた黒い影が、信長の背に憑き従う。
「供をせよ、サル。貴様も博打に興じたい頃合いじゃろう」
 フェンフェン、と淀みなく応える豊臣秀吉と共に、魔王は猟兵達の前に立ち塞がった。


「さあ、最終局面だ。準備は良いかい?」
 グリモアベースに集う猟兵達を前に、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)はそう言って微笑んで見せる。
 長い旅路、そして戦いはついに終着点を迎え、残すはオブリビオンフォーミュラ、織田信長のみという状況だ。
 魔空安土城に存在した信長軍の本隊は、万全の状態で島原に辿り着いた幕府軍が相手をしてくれている。ゆえに、猟兵達は信長との戦いにだけ集中すれば良いだろう。
「魔軍転生、というらしいけど、信長はその秘術で以って、配下の魔軍将を背後霊のように『憑装』させて戦うそうだよ」
 憑装させた配下によって、使ってくる技も変わるようだ。転移したその先では、どの状態の信長が待っているのか――。
「言うまでもないけど、かなり強敵だよ。でもここまで来た君達なら、きと倒せるはずさ」
 それじゃ、がんばっていこう。
 そう声を掛けて、オブシダンは転移のための道を開いた。
 いざ、決戦の地へ。


つじ
 どうも、つじです、オブリビオンフォーミュラとの決戦になります。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●織田信長
 当シナリオでは『豊臣秀吉』を憑装しています。フェンフェン。

 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 それでは、ご参加お待ちしています。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』秀吉装』

POW   :    黒槍殲撃
【秀吉を融合させた鋼鎧から無数の黒槍】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    黒粘剣戟術
【秀吉の黒粘液で全身から刀まで全てを覆い】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
WIZ   :    シャドウクローニング
レベル×5体の、小型の戦闘用【豊臣秀吉(フェンフェンだけで意思疎通可)】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ミスト・ペルメオス
【POW】
あれが、この世界のオブリビオン・フォーミュラ…。
…ミスト・ペルメオス、ブラックバード。行きますッ!

愛機(機械鎧)を駆って参戦。
念動力は最大限に。専用デバイス等を介して機体制御に活かすと共に、敵の動作や狙いの感知も試みる。
先制攻撃に関しては機械鎧ならではの立体的な、フェイントも混ぜた空中機動を行いつつ回避。
被弾はビームシールドで受けることで自身の主兵装の破壊や致命傷を避け、まずは生存を図る。

機会を見出した際の反撃はカウンター気味に【オープンファイア】で試みる。
可変速ビームキャノン・対機動兵器モードの連射。速度と貫通力を高めた一撃で、敵の鋼鎧の破壊を狙う。

※他の方々との共闘等、歓迎です


火神・五劫
エンパイアを滅ぼし、と言ったな
信長にとってはこの世界も、生きる人々も
己の野望の踏み台に過ぎんということか
…討つ理由として、十分過ぎるな!

『オーラ防御』は常に展開

※POW

敵の先制攻撃は
『見切り』で降り注ぐ黒槍の軌道を読み
鉄塊剣による『なぎ払い』と生み出した『衝撃波』で叩き落し対処
落としきれなかった槍は『武器受け』で防御

さあ、俺の攻撃を受けてもらうぞ
無数の槍の雨の中でも【怪力乱神】なら奴に手が届く
念力で信長を宙へと浮かせ
墜として思い切り地に叩きつける!

信長が何を思い描いているのか、俺には分からん
何にせよ、今の奴はオブリビオンでしかない
この世界の未来を食わせぬ為、力を尽くすのみだ

※連携、アドリブOK


プロメテ・アールステット
防御も攻撃も『戦闘知識』を活かして立ち回る
攻撃へは『オーラ防御』を展開
それでも防ぎきれなければ『武器受け』、黒槍を『怪力』で『なぎ払い』
傷を受けても『激痛耐性』で凌ぐ
ここで立ち止まる訳にはいかない

初にお目にかかる第六天魔王
我が名はプロメテ

人々の命を奪い、挙句に博打とは
流石天下人といったところか
――ならばひとつ、賭けてみようか?
私の炎と貴殿、どちらが生き残るか

【ブレイズフレイム】発動
炎を剣に纏わせて攻撃に転じる

『地形の利用』を活かし『殺気』で牽制
『フェイント』で相手に隙を作らせ
炎の『属性攻撃』で『鎧砕き』を狙う

これ以上何も奪わせない
叶わぬ野望と共に、炎に消えるがいい!

※他者との共闘・アドリブ歓迎



●炎
 天空にあるべき安土城は地に落ち、精鋭達も足止めにはならぬ。そんな状況でなお、第六天魔王たる織田信長は堂々たる立ち姿で猟兵達を待ち受けていた。
「あれが、この世界のオブリビオン・フォーミュラ……」
 戦闘鎧越しに見える敵の姿に、ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)が目を細める。彼の故郷で言うならば銀河皇帝と同格。強力な、だが倒すべき敵に向け、彼は念動力を駆使して戦闘鎧を加速させた。
「……ミスト・ペルメオス、ブラックバード。行きますッ!」
 スラスターを吹かせ、半ば廃墟と化した城内を突っ切る。対する敵も、ミストの様子は認識しているはずだが。
「サルよ、どう見る」
「フェン、フェンフェン」
「で、あるか。良かろう、我が鎧に宿る事を許す」
 魔軍転生により顕現した秀吉と何事か取り交わすと、秀吉はその鎧に溶け込むように姿を消した。黒鎧の表面が蠢き始め、やがて迫るミストに向けて、真っ直ぐに黒槍を射出した。
 しかしその程度の射撃で、戦闘軌道に入ったブラックバードを捉える事は出来ない。立体的な、フェイントを利かせた動きでそれを躱したミストは、主兵装の可変速ビームキャノンの砲口を信長へと向ける。
「儂の狙いに合わせよ」
 一方で、信長もまた腕を、ミストの軌道へと向けていた。
「(――攻撃開始)」
「――放て」
 光と、黒の槍が交錯する。光速で走るビームが信長の胴鎧を灼くのからほんの一瞬遅れて、射出された黒槍がブラックバードに喰らい付いた。
「――ッ!」
 機動を読み、なおかつ数に物を言わせたそれを完全には回避しきれず、ミストの展開したビームシールドを貫いた槍が、戦闘鎧に突き刺さる。空中でバランスを崩した機体は、錐揉み回転しながら機動を乱す。
 その間に。
「初にお目にかかる、第六天魔王。我が名はプロメテ」
 プロメテ・アールステット(彷徨う天火・f12927)、そして火神・五劫(送り火・f14941)が敵の前に姿を見せていた。
「人々の命を奪い、挙句に博打とは、流石天下人といったところか」
「身勝手と謗るか? そうしたいならばするが良い」
 されど見果てぬ夢のため、信長は構わず前を見ている。プロメテへの答えから何かを感じ取り、五劫もまた何かを見定めるようんビ相手を見つめた。
「――この世界も、生きる人々も、己の野望の踏み台に過ぎんということか」
「当然よ。目指すに足るが見えた以上、儂はそちらへ進む」
 何を犠牲にしても、そして敗色濃厚であるとしても、だ。その答えはやはり五劫とは相容れぬもの。それならば、とプロメテは口を開いた。
「――ではひとつ、賭けてみようか? 私の炎と貴殿、どちらが生き残るか」
「面白い。ならば、吹き消してくれよう」
 ミストに強力な一撃を加えたのと同じ、鎧から生じる黒槍が、五劫とプロメテの二人に向けて発射される。『無数の』、と称するに足る本数の槍が迫るのを前に、五劫は悟る。およそ全ては見切れまい。ならば。
 迫る槍に向け、鉄塊剣を薙ぎ払う。剣圧は颶風となり、黒槍の群れを吹き散らすが、しかしそれもまた『全て』には程遠い。同様に巨大剣を薙いだプロメテもまた、奇しくも同じ対応を迫られた。
 二人は同時に、鉄塊剣を盾代わりに構える。肩を並べて、極力多くの範囲を守るが、それでカバーし切れなかった箇所に、容赦なく槍が突き立てられた。
 肩を、足を、黒槍が抉り、鮮血が地を濡らす。
「さあ、今度は俺の攻撃を受けてもらうぞ」
 けれどそれにも構わず、五劫は不可視の腕を伸ばす。『怪力乱神』、念力の五指が信長を掴み取り、その身を縛る。その間に、プロメテは負傷を押して眼へと踏み出した。此処で立ち止まるわけにはいかない。
 吹き出す血を炎に変えて、剣に纏わせる。戦旗の如く振りかざしたそれを、彼女は敵へと向けた。
「それが『炎』か。眩く、儚いものよ」
 五劫の、敵を持ち上げようとする念力に、鎧に宿りし秀吉が抵抗する。そのせめぎ合いのさなか、鈍った動きでなお信長は太刀を振るった。
 プロメテの鉄塊剣とそれがぶつかり、炎に刃の跡が刻まれる。地力の差は明白、信長の背負う焔が、プロメテの紅蓮を呑みこまんとするが。
「――援護します」
 槍に貫かれた損傷個所をパージ、主兵装と生身への負傷を避けた甲斐もあり、姿勢制御を取り戻したブラックバードが、その嘴を敵へと向けた。敵へと急接近しながらの、ビームキャノンによる一撃。貫通力を増したそれに、鎧に宿る秀吉が反応する。
「ほう。これは」
 信長の片眉が上がる。その後の展開が見えた、とでも言うように。
「……貴様が何を思い描いているのか、俺には分からん。だが、みすみすこの世界の未来を食わせてやるつもりはない」
 その表情から読み取れるのは、五劫の理解の及ばぬもの。ならば、ただ力を尽くすべきだろう。抵抗の弱まった秀吉の腕を振り切るように、五劫はその一念で信長の身体を引きずり寄せる。体勢を崩し、刃を振りかぶったプロメテの前へと。
「――これ以上何も奪わせない。叶わぬ野望と共に、炎に消えるがいい!」
 鉄塊剣に宿った炎が爆ぜて、信長の胴部分を、鎧ごと削り取った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

祇条・結月
戦いが怖くないことなんて一度だってなかったよ
強くないし、勇敢でもない
……でも、だからこうやって。戦うことはできる、って

摩擦係数を減らす、か
速く動けて、そのくせこっちからの物理攻撃は通りにくい
やりにくいな
【第六感】を信じて信長が仕掛けてくる方向やタイミングを狙って【スナイパー】で目に向かって苦無を【投擲】
幾らなんでもそこは無防備な筈
当たればいいし、当たらなくても万全の斬撃は放てないと踏んで
最初から一撃、斬られる【覚悟】で受けて、【激痛耐性】で耐えて【ロープワーク】で捕捉
……躱されてもこれが【フェイント】
すかさず≪鍵ノ悪魔≫を降ろして反撃
攻撃は透過して躱して秀吉の憑依を切り離して渾身の一撃を返す



●鍵
 戦いが怖くないことなんて、一度だってなかった。彼はこれまでの日々をそう思い返す。特別な強さも、勇敢さも持っているとは言い難い。けれど、だからこそできる戦いがあるはず。それこそが、祇条・結月(キーメイカー・f02067)の在り方なのだから。
「(摩擦係数を減らす、か。やりにくいな)」
 一瞬の瞑目から明らかになった視界には、黒く艶めいた鎧の武将の姿がある。滑るようなその動きは、『足運び』とも評し難い奇怪な挙動を見せている。
 見切れないのならば、あとは勘だ。第六感、自身の計算を越えた直感を信じて、結月は苦無を投げ放った。出鼻を挫くための、眼を狙った一投。だが第六感だけで御し切れるほど敵は甘くない。あっさりとそれを弾いて、急接近した信長がその刃を振り下ろす。
「無駄、であったな」
 平淡な声音。余りに速い先制の一太刀が、結月の身体を深く斬り裂いた。
 戦場に、鮮血の雨が降る。
「――浅い?」
 奇妙な手応えに信長の眉根が寄る。避ける事も受ける事も出来ていなかったはず、だというのにこの軽い感触はどうした事だ。まるで、途中で擦り抜けたような――。
 血の雨の中に混ざる銀の輝き、結月の銀の鍵から伸びた糸が、振り切った姿勢の信長に絡みつく。極限まで摩擦係数の下がったその身にも、絡んだ糸は抵抗を感じさせる事だろう。
「……僕を、見るな」
 そこに居たのは、『鍵ノ悪魔』。境界を統べる力を宿し、その権能による攻撃の透過が、致命傷に至る寸前で間に合った形だ。
 信長が興味深そうに笑う間に、銀の鍵がその繋がりを、鎧と秀吉の結びつきを『開錠』する。
「ふ、フェン!?」
 瞬間、鎧から、そして信長の全身から黒い輝きが消え失せる。
「この一撃で――!」
 そこに放たれた結月の渾身の一撃が、信長の身を捉えた。通常ならば受け流されるそれも、結月の持ち込んだこの状況であれば確実に刺さる。確かにその一撃は鎧を貫いた。
 だが。
「うろたえるな、サルよ」
 倒し切るには、未だ遠い。
「その芸当がいつまで続くか、見ものよな?」
 力の代償に、斬撃によるもの以上の血を失いながら、結月はそれに向き合う。けれどそれでも、可能な限りは。そうして、彼はまた敵に向かって地を蹴った。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

菱川・彌三八
…今までの奴らァ小物がすぎら
気概も存在感も、魔王の名は伊達じゃねェな
怖気づいちゃねェサ
確と焼きつけにゃあ勿体無ェ

戦法は遠距離
近付きてェ奴がいりゃ援護するゼ

先ず無数の影の動き、増え方を凡そは野生の勘や見切りで予測し、兎に角囲まれぬよう距離を取る
先人がいて情報収集で大方分かれば上々
万全とはいかねぇだろうが、吹き飛ばしや咄嗟の一撃で守りつつ、気合と激痛耐性で持ちこたえる

反撃は早業で描く無数の千鳥
衝撃波による範囲攻撃の吹き飛ばしを、二回攻撃の時間差で
一撃で消えるなら誘導弾の様に一群操って塊で消すが理想だが…
氷の属性付けて、ある程度動きの範囲決めれりゃ尚善
数が減りゃ一回を影、二回を魔王にぶち当てる


ジャック・スペード
遂に第六天魔王の登場か
秀吉までついてくるとは
その獣の忠義、敵ながら大したものだ

先ずは秀吉へ対処しなければいけないな
仕掛けられた攻撃は機翼を活かし空へ飛ぶ事で回避
もし追撃してくるのなら、刀で武器受けして防御するか
グラップルと怪力で其の身を捕らえ攻撃を防ごう
損傷は激痛耐性で堪えてみせる

どうにか乗り切ったら広範囲に氷の銃弾を飛ばし
一体でも多くの秀吉を倒したい
秀吉へ射撃しながら、信長本体へ空から急接近を
渾身の力を篭めて鎧を無視するような捨て身の一撃
冷気を纏う刀にて氷属性の斬撃を行うとしよう
お前が背負う其の焔は熱そうだな
――俺が冷ましてやろう

この世界の人々を護るため
お前には此処で退場して貰うぞ、織田信長



●黒い鳥
 野望の殆どを砕かれて、自らも傷付いてなお、魔王に動じた様子は見られない。腕の具合を確かめるように太刀を一振りし、背に負った炎と、黒い猿に目を向けている。
「……今までの奴らァ小物がすぎら。気概も存在感も、魔王の名は伊達じゃねェな」
 コルテスに日野富子、安倍晴明、倒してきた将達を思い返しながら、菱川・彌三八(彌栄・f12195)が言う。当然ながら怖気づいたわけではない。けれどこれは一つ、記憶に焼き付けておかねば勿体ない。
 何しろ魔王のみならず、かの太閤殿もそこに居るというのだから、尚更だ。
「秀吉までついてくるとは……その獣の忠義、敵ながら大したものだ」
 ジャック・スペード(J♠️・f16475)が言うように、死してなおそこに在る秀吉は、この状況でも信長に変わらぬ忠誠を捧げているように見える。
「フェン、フェンフェン」
「殊勝な心掛けよな。ならば任せたぞ、サルよ」
 何やら秀吉からの進言を呑んだらしい信長は、その手を軽く掲げて見せた。
「――かかれ」
 すると柱の後ろ、そして壁の向こう、そういった場所から黒い獣――豊臣秀吉が、次々と姿を現した。
「あぁ、お出でなすった」
「まずはこちらへの対処が必要か」
 彌三八が発生した敵から距離を置くのに合わせて、ジャックは飛行形態への変形を試みる。
「フェン!」
「フェンフェーン!」
 が、ゴムまりのように跳ね回る秀吉達は、瞬く間に周囲に展開、ジャックの頭を押さえるように、頭上から飛び掛かる。
「個々の動きは本体と変わらん、か……!」
 思い出されるのは以前の海戦。だが閉所である分その動きの厄介さは増しているようにも思われる。組み合わされた両腕による一撃、落下の勢いを加えたそれを、ジャックは構えた刀で受ける。衝撃に、踏みしめた足元が軋む。
 同様に襲われた彌三八も、爪による一撃で翳した手甲が斬り裂かれる。だがそれで終わりではないことを、周囲にも目を配っていた二人は悟る。
 遠巻きに位置取った秀吉達の腹部、そのスペードの印章が漆黒を湛える。
「麻痺光線……!」
「当たったら終いってトコかい? タチが悪ぃな!
 グレイズビーム、漆黒の光線が降り注ぐ。拘束しようと腕を伸ばす個体を、彌三八は咄嗟の一撃で消滅させて射線から逃れる。ジャックの側は、目の前の一体を逆に掴み取り、怪力で以って光線への盾とした。
 それでも降り注ぐ光線の一つがジャックを捉え、その動きを止めてしまう。
「えぇい、埒が明かねぇ」
 彌三八の絵筆が宙を踊る。早業と呼ぶべきその筆致で、描き出されるのは無数の千鳥。濁流のように群れを成したそれは、動きの止まったジャックへと飛びかかる秀吉達を呑み込んでいく。
 一羽一羽のダメージは極小、だがこの秀吉の『影』は、一撃与えれば消滅する。列成す鳥達は次々と影達を塗りつぶして行き――。
「魔王の背負ってる炎の影だ!」
「了解した」
 秀吉の影が生まれる場所、その指摘を受けて、身体の自由を取り戻したジャックが拳銃を抜き撃つ。破裂するように銃口からばら撒かれた氷の銃弾は、発生直後の影達を動き出す間もなく消滅させる。そして。
「――あの風すら越えてみせよう」
 『天翔る黒き機翼』。煌めく粒子の尾を引いて、ジャックが第六天魔王へと向けて飛び立った。黒い機翼は千鳥のもう一群、彌三八の生み出したそれに絡み、追い越して、魔王へとその切っ先を向ける。
「お前が背負う其の焔は熱そうだな。――俺が冷ましてやろう」
 その刀は冷気を纏う。冷たく輝く刃の一撃は、しかし信長の携える太刀で以って受けられた。
「その様で、よく吠えるではないか」
 冷気に抗するように、炎が揺らぐ。そこに追いついた千鳥の群れは、彌三八の手によりさらなる冷たい風を呼び込んだ。
「炎に消えるのがてめぇには似合いだが、此度は逆になりそうだなぁ?」
「この世界の人々を護るため、お前には此処で退場して貰うぞ、織田信長」
 千鳥が無数の傷を与える合間に、それを目くらましにしたジャックの一撃が信長を捉える。
 しかし。
「威勢の良い事だが――サルを相手に受けに回ったのが、貴様の運の尽きよ」
 これまでの負傷による影響もあるだろう、浅い。
 そして、太刀筋と共に、未だ消える事を受け入れぬ残り火が渦を巻き、千鳥を、ジャックを、迎え撃った。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

雅楽代・真珠
猟兵が居たら協力
僕は宙に浮かぶよ

ふぇんふぇん飛ぶやつは…なんだろう
かわ、いい?
可愛いから使っているのかな
違う?
まあいいや
皐月は鋼糸の範囲を出来るだけ広げて絡め取り首を斬っていき
如月は小刀の投擲や体術で近付く物から破壊

侵略の道以外は無かったの?
きっと僕とお前は相容れない
『人魚の涙』
外つ国へ目を向ける必要はないよ
お前に罪悪感があろうと関係ない
信長、お前は美を愛でるものだろう?
お前が愛した美術品たちを僕は知っている
さあ、僕を見て
目を離さないで

動きを止めたら如月が攻撃
掌底や蹴りの体術を主軸
如月に意識が行ったなら背後から皐月が暗殺
悪い子は首を落としてしまおうね
ちょきん

全てのエンパイアの子等に幸あれかし


九之矢・透
アンタがこの戦いの親玉だな!
……ところでそのふぇんふぇん言ってるの…え、サル?サルなの?

【WIZ】
まずは先制攻撃を凌ぐ事に専念しなきゃな
包囲に気を付け、「野生の勘」を活かし「見切り」躱す
避けられそうにない攻撃は「武器受け」
その際に可能なら「カウンター」で攻撃し
少しでも数を減らすぜ

先制攻撃を凌いだ後も距離を取り「柳」で
「範囲攻撃」「スナイパー」でより複数の秀吉を消滅させる
フェンフェン言ってるヤツは特に注意かな
相談されちゃ困るしな

その間に『狼』発動
標的は勿論、信長だ
ある程度秀吉の数を減らしたらアタシ自身も標的を信長へ、連携だ

さっき受けた先制攻撃……だけじゃないぞ
今この国を生きてる人達の、お返しだ!



●凶祓い
「フェフェン……?」
「よい、申してみよ」
「フェンフェン、フェン」
「何かと思えばそのような……。構うな、元より無傷で済むなどと思っておらん」
 気遣わしげな声を上げる毛むくじゃらのそれに、鼻で笑うような調子で信長が返す。猟兵達にはさっぱり意味が分からないが、どうやら彼等の間では意思疎通は出来ているようだ。
「何だ、あのふぇんふぇん言ってるの……」
「……なんだろうね、『サル』と呼んでいたけれど」
 どうにも感情の向け型の判断がつかないらしく、問い掛ける九之矢・透(赤鼠・f02203)に雅楽代・真珠(水中花・f12752)がそう返す。
「え、あれがサル? サルなの?」
「僕に聞かないでくれるかな。ただ……かわ、いい?」
 どうも一般的な猿とは違う生き物に見える上、中身は忠義に篤い武将だがかわいいものはかわいい。かわいいから重用したのだろうか、などと首を傾げる真珠らの様子を見て取り、魔王は家臣に命を下す。
「サルめが気になるか、童ども。ならば存分に味わうが良い」
 かかれ、と。その合図に応じて秀吉の影が湧き出す。
「あー……近くで見ると結構でかいな?」
「かわいい、とも言ってられないかな。――如月」
 ふわりと人魚が空に浮けば、真珠の移動用腰掛に徹していた人形が素早く鋼糸の陣を張り巡らせる。さらに後ろに侍っていた女性型の人形、皐月も衣服に隠していた小刀を掌に滑らせた。そうして自動人形達が迎撃の構えを取る間に、真珠は透を見下ろす。
「お前は? 逃げ隠れするなら早くした方が良いよ」
「言われなくてもそうするけど! アンタも逃げた方が良くない?」
 そんなやり取りの合間にも、次々と増える秀吉達がゴムまりのように跳ね回り、三次元的な軌道で二人を包囲しようと動いている。如月の展開する糸が、皐月の投げる小刀が、それらを迎え撃っていくが。
「フェーン! フェフェン!」
 愚直な雑兵とはわけが違う。陣の隙間を見出して、攻撃を躱して、秀吉の影はみるみる距離を詰めていた。
「必要ないよ。ただ、少し距離は取ろうか」
「はいはい!」
 透の見立てが、野生の勘が、「ここは危ない」と言っている。信長から距離を取る方に駆け出した彼女に、真珠が続く。一瞬遅れて、二人の居た場所に漆黒の光線、秀吉の放つグレイズビームが着弾、床を焦がしていった。
「ああ、取りこぼしが来るよ」
 皐月の投刃を躱して、頭上から迫る影に真珠が警句を飛ばす。落下してきたそれが衝突する寸前、透は振り向きざまに投げナイフを放る。通常、巨体の落下を止め得るような攻撃ではないが、一撃で消えるこの影ならば話は別だ。
「へえ、上手いね」
「ああ、これくらいだったら――」
 投刃で崩れた体勢を立て直しながら言う透を他所に、真珠は、しかしこれではもたない、と考えを巡らせる。今のがそう何度も続くわけはない。ほどなく予想通りに、透の身体は影の一つによって地に押さえつけられる。
 だから――これを予測していた真珠は、秀吉達の向こう、信長へと目を向けた。

「お前の願いが何かは、想像する事しかできないけれど……侵略の道以外は、無かったの?」
 愁いを帯びた真珠の瞳は、濡れたガラス細工を思わせる輝きを湛えている。
「――ああ、きっと、僕とお前は相容れない」
 そいの輝きを撫でて、涙の雫が零れ落ちる。溢れ出たそれはまた、宝石の煌めきを放ち始めた。
「……サルよ」
 それを見た信長が、一声そう呟く。かつての天下人たる織田信長もまた、人生において様々な美術品、芸術品を愛でた人物だ。それゆえに、それを捨て置けなかったのだろう。
 主の命に従い、秀吉の影が振り下ろそうとしていた腕を止める。そこで。
「――痛ってえな」
 透のユーベルコードがその効果を示す。召喚されしは狩人、気配を消す術に長けた狼達だ。透を押さえつけていた個体を噛み千切り、消滅させた群れは、適度にバラけながら魔王へと向かっていく。
「さあ、お返しだ!」
「如月、合わせて」
 透のまとめて放った『柳』が、如月の絡みつかせた鋼糸が、まとめて進路上の影を払う。その道をひた走る狼達は、低く唸りながら信長へと飛び掛かっていった。
「犬猿とはよく言ったものよ。だが走狗に、儂の首が取れるとでも?」
 空中で、先頭の一匹に太刀が浴びせかけられる。続けて走る刃は、足元に群がる狼達を撫で斬りにしていく。
 しかし意識が足元に向いたそこで、ダガーを手にした透が信長の首へと斬りかかった。
「さっき受けた先制攻撃……だけじゃないぞ。今この国を生きてる人達の、お返しだ!」
 鋭い一撃は、しかしすんでのところで信長の太刀に止められる。
 ――けれど、ここで退くわけにはいかない。この男を倒せば、戦争は終わるのだから。喉元に迫る刃の最後の一押しは。
「そうだね、全てのエンパイアの子等に幸あれかし――だ」
 真珠に従う皐月の暗器だった。
 暗殺者の所作で動いた人形が、その刃で喉を裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

泉宮・瑠碧
摩擦抵抗…
動きが速いなら
向こうから当たりに来て貰うか

僕は杖を手に相照加護と属性攻撃
被弾に関しては見切りも併用
攻守に第六感も研ぎ澄まし
念の為、刃の軌道を逸らす様にオーラ防御も張っておく

極限なら風の動きが零では無いな
斬りに来る際は
来る気配の時点で風の精霊の守りで風を纏い
経路を読み
居た地点の刀の間合いよりも後方に跳び退ろう

同時に
地雷式で僕の居た地点を中心に、壁の様に水を吹き上げる
少しでも視界が遮られたり気が取られるなら
その隙に
足首にある水を粘液の周囲ごと凍らせ
足の甲が引っ掛かる形で固める

鎧の無い頭や首の位置を点で狙い
吹き上げた水を錐にして穿ち
錐の中に氷の槍も生成しての二段構え

…もう
ゆっくり眠ると良い



●水の枷、氷の槍
「フェンフェン、フェン!」
 魔王に宿りし霊が、その鎧に溶け込むように姿を消す。広がる黒い粘液状の物質は、魔王の着る鎧を、刀を、そしてその下の肉体に負った傷をも包み込んでいく。
「――是非もなし。我が魔軍将が悉く敗れたるも、頷けるというものよ」
 なおも喉奥から溢れる血を吐き捨てるようにして、信長は太刀を手に次なる相手――泉宮・瑠碧(月白・f04280)へと足を踏み出した。表情を滑るのとはまた違う奇妙な踏み込みで、抵抗する間も与えず斬り捨てようという、一歩。
「動きが速い……それなら」
 杖を手にした彼女は、周囲の精霊達に協力を呼び掛ける。だがその言葉を口にするその直前で、瑠碧は思い切りその身を引いた。敵の動きを読み取る眼が、そして認識外の、経験からくる第六感が、そうしろと叫んでいたのだ。
 それでもなお避け切れず、信長の刃は彼女の両腕を、胴を、薙いでいく。咄嗟に刃を逸らすように張った障壁がなければ、戦闘どころではなくなっていただろう。
「くッ――全てに宿る数多の精霊達、力を貸して」
 『相照加護』、さらに一歩下がりながら、風の精霊と水の精霊に呼び掛ける。
「風を」
 読め、と言葉は短く。空気一つ揺らがせないなんて、幽鬼くらいのものだから、風の精霊は敵の動きを正確に把握できるはず。とはいえ細かい調整をしている時間はない、こちらも半ば勘で、瑠碧は信長の二太刀目からバックステップで大きく距離を取った。
「……ッ!!」
 その鼻先を、刃が通過する。
 一歩間違えば終わっていた、やっていることは綱渡りに近いが、これで相手を懐まで誘導できた。此処まで来たら避けようもあるまい――。
 瑠碧の着地が合図となり、信長の足元から水が思い切り吹き出した。
「動きに追いつけないなら、当たりに来て貰えば良いのだろう」
 吹き上がる水柱、信長が躊躇せずそれを越えに動いたところで、瑠碧は氷の精霊へと呼びかける。水の柱が瞬時に下から凍り付き、自由に形を変える水は、摩擦係数では抜けきれないぴったりとした枷となって、魔王の両足を捉える。
「手の込んだ真似を……!」
 振るわれた大太刀が、背に負った炎が、その枷も瞬時に無効化してしまうが――。
 野望を半ば断たれ、全身に傷を負ってなお、魔王は魔王で在り続ける。
「……もう、ゆっくり眠ると良い」
 刃は既に首元に。冷気によって槍と化した水飛沫が魔王の剥き出しの頭部を狙う。
「ちッ……!」
 研ぎ澄まされた刃は、咄嗟に身をのけぞらせた魔王の右眼を奪う。
「まだ眠るには早いだろう。これが夢であれ、幻であれ、世界に在る限り、儂は覇道を追うまでよ」
 眼窩から血を流しながらも、魔王は瑠碧の追撃を断つように刃を振るった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヨシュカ・グナイゼナウ
【SPD】【エイリアンツアーズ】のお二人と!

すごくぬるぬるしている

主からの最後のオーダーを終えた後に、もう一度訪ねると、そう約束した方がこの世界にいるのです
だからもう一度骸の海へお帰り願います

パウルさまと三条さまがGlanzで大立ち回りを演じている隙に、わたしは別行動を。パウルさまの運転技術をその目に焼き付けておいて下さいね
【地形の利用】をして床下から【忍び足】で接近、音で上の状況を【見切り】三条さまの罠発動に合わせて、【針霜】を発動。【早業】で針霜を網状に展開し上下から逃げ道と動きを封じます

作動後は床下から出て仲間と共に、彼の人が鍛えた【覚悟】の刀『開闢』で。運命だって切り開いて


パウル・ブラフマン
【SPD】
【エイリアンツアーズ】の皆とカチコミ☆安土城!

▼先制対策
やっべ超ヌルヌルしてそう!(ヒトの事言えない)
無策で攻撃しても通じなさそうだし
ココはオレ等エイツアクルーのチームワークの魅せ所だね♪

▼反撃
姿見さん、後部座席へどぞ♪
UC発動―行くよ、Glanz!

日頃鍛えた【運転】テクを駆使して
壁面走行からの大【ジャンプ】で頭上を獲りに行こう。
ヨシュカくんと姿見さんのUCで捕縛サンドにする作戦だよ☆

信長が地面に縫い付けられたら
タイミングを合わせ一斉攻撃。
【踏みつけ】るが如く急降下、Krakeを展開して【零距離射撃】を!

高い処はもう飽きたんじゃない?
宙を仰ぐのも悪くないっしょ☆

※絡み&アドリブ歓迎!


三条・姿見
SPD/【エイリアンツアーズ】にて

…厄介な術もあったものだ。
だが…俺には、この世界で為さねばならない使命がある。
信長を倒し、旅を続ける。目的はそれだけだ

粘液を纏う奴の身体、相応の防御力があるだろう。
打ち合いは避けて好機を見出し、仲間と最大威力を叩き込む戦法を狙う

まずはパウルのバイクに便乗し【地形の利用】を試みる。
【ロープワーク】で編んだ鋼糸、フック付きワイヤー用い、引けば落ちる
網型の罠を作成。【早業】【迷彩】で示し合わせた高所に仕込む。
陽動は撃剣投擲で。誘った敵を上下から罠で挟み込み、敵の隙を生みたい

展開後は【カレイドスコープ】で地へと縫い留め抜刀
【破魔】の刃で断ち切ろう

※二人称:名前呼び捨て



●鋼の顎
 魔王の身に付けた鎧を、太刀を、薄く包み込む黒い輝きを目にして、パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が喜色の混じった声を上げる。タコの要素を持つその身から、通じるものを感じ取ったのかも知れないが。
「やっべ超ヌルヌルしてそ――」
 その黒く濡れた刃が瞬きの間に迫っているのを、言葉の半ばで悟る。「行くよ、Glanz」、そういつものように愛車に呼び掛ける暇もない。強者は機先を制する力を持つからこその強者なのだと。古き日に見た未来視のように、パウルは自分の首が飛ぶのを幻視する。
 結果から言うなら、その幻のようにはならなかった。咄嗟に進路を変えられた彼の運転技術と、何よりも前に挑んでいた猟兵がその片目を潰していたことが功を奏した。
「――行くよ、Glanz!」
 今度こそ、ユーベルコードで宇宙バイクを変形させ、パウルは床から壁へとそのコースを変える。
「……厄介な術もあったものだ。脅威になるのは防御力のみではないらしい」
「ホントだね、死んじゃうとこだった♪」
 後部座席にしがみつく三条・姿見(鏡面仕上げ・f07852)の言葉に、首の浅い切り傷を一度撫でて、パウルは答える。初太刀の不発に苦笑いのような表情を浮かべた信長は、今のところは追ってくる気配はない。さすがに、この宇宙バイクの機動に追いついてくるような事はないだろうが。
 ……ともあれ、生き残ったのならば歯車は動く。
「俺には、この世界で為さねばならない使命がある」
 姿見もまた決意を新たにする。そのためには、この敵を打ち倒さなくては。姿見の空いた片手が、光る糸を紡ぎ出した。

「……何かやっておるな」
 壁から柱へ、柱から天井へ、そこから梁に降りて。高速でそんな軌道を描くバイクを目で追って、信長は太刀を肩に置く。
「フェンフェン?」
「ああ、いくらでも手はあるだろう。しかし……」
 何事か問い掛ける家臣にそう答えて、魔王は唸りを上げるエンジン音に、その指を向けた。
「ほれ、向かってきおるぞ」
 壁面走行からの大ジャンプ、宇宙バイクが独特の軌道を描いて、魔王の頭上を取る。そこで。
「それじゃ、よろしくー☆」
「わかっている」
 空中でバイクから飛び降りた姿見が撃剣――黒い手裏剣を投げつける。
 雨粒を切り払うがごとく、魔王の太刀がそのいくつかを薙ぎ、その他の刃は鎧に当たって逸らされ、弾かれた。
「その程度か?」
 嘲笑うようにしながら、信長の太刀の切っ先が姿見へと向かう。先を取る刃が彼を狙うが。
「これで終わりとは思っていないだろう?」
 姿見が不敵に言う。何しろ、囮のように派手な運転をしているパウルと同行しながら罠を張っていたのだ、信長が気付いていないはずもない。
 それでも、姿見は仕掛けのロープを引く。上空の梁に仕込んだ鋼糸の束、それによって形成された網がその手を広げながら降ってくる。如何に摩擦係数を下げようと、網にかかればその動きは少なからず制限されるだろう。
 ……とはいえ、大上段に振りかぶった信長の太刀からは、嫌な予感しか伝わってこない。斬るのか、鋼の糸で編んだ網を?
「――今、でございますね」
 そのタイミングで足の下――この魔空安土城の床下から、さらなる鋼糸が沸き上がり、槍のように束になって、信長を襲う。現れたのは、味方を囮に、さらに地形を利用することで先制攻撃をやり過ごしたヨシュカ・グナイゼナウ(一つ星・f10678)だ。
「わたし達の連携を見せて差し上げます」
「これなら、どうだ?」
 下から伸びたヨシュカの槍は、信長の鎧に逸らされてしまうが、そのまま上昇し、解け、姿見の放った網に絡みついていく。
 巨大な顎のように、上下から閉じ行く鋼糸が、魔王を捕らえんとする。
「フェン! フェンフェン!」
「儂に縄を打つ腹積もりか。小癪なことよ――」
 振り下ろされ、弧を描いた信長の刃は、上から迫る網を両断してのける。しかし、対処の遅れた足元からのそれは止められず、両足に鋼糸の束が絡みつく。

「ようやく止められたか――鏡像展開」
 『カレイドスコープ』。姿見の手にあった手裏剣が、鏡の間に置かれたようにその数を増やす。彼の意のままに動く刃の群れは、雨となって魔王へと降り注いだ。そして、その後ろからは。
「高い処はもう飽きたんじゃない? 宙を仰ぐのも悪くないっしょ☆」
 砲塔を携えたパウルの宇宙バイクが降ってくる。身体の自由を制限すれば、攻撃を逸らす鎧の効果も不完全になるだろう、体当たり寸前からの零距離射撃を見舞い、白銀のバイクが駆け抜けた。
「主からの最後のオーダーを終えた後に、もう一度訪ねると、そう約束した方がこの世界にいるのです。……だからもう一度、骸の海へお帰り願います」
「お前を倒し、旅を続ける。目的はそれだけだ」
 開闢の名を持つ短刀と、破魔の力を備えた名刀――その写しが、魔王の身に突き立てられた。

苦戦 🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

揺歌語・なびき
魔王だかなんだか知らないが
おこがましいんだよ、お前
所詮海から這いあがった骸だろ、間違いなく罪人だ
魔王だろうと、罰を受けろ

摩擦抵抗を減らした身体は素早いだろう
可能な限り動きを見切る
自分の勘を頼りにするけど、最悪耐え抜いてみせる
【第六感、野生の勘、見切り、激痛耐性】

攻撃を凌いだ直後、懐めがけて接近
棘鞭で敵の動きを封じながらUDCに身体を明け渡す

死にたいのは変わらないけど、此処で死ぬ気はない
だからこいつを迷わず殺してくれ
【目立たない、だまし討ち、串刺し、鎧無視攻撃、傷口をえぐる】

味方との連携も意識して【援護射撃】

拭う血が誰のものだろうと構わない
あの子のふるさとを奪わせない
それだけだ

骸の海に、果てろ


ステラ・クロセ
世界を滅ぼさせはしない、そのために猟兵がいるのだから。
やらせない!

まずは槍をなんとかしないと。
飛び出す槍に対しては、【勇気】をもって真正面から突撃し、当たる寸前で【スライディング】で下を抜ける。
避けきれないようなら刀を使い、槍の口金の部分を炎の【属性攻撃】で斬り落とす。

反撃に転じられるなら、
炎のサイキックエナジーを全力全開、二刀でUC【焔轟熱風剣】をぶつけてやる!
「アンタの野望、アタシの炎で焼き尽くす!アンタの博打、アタシの札でバーストだ!勝ちはないよ!」

※アドリブ・連携など歓迎です!



●鮮血と炎
 どこか気弱な、頼りない雰囲気を感じさせる男が、信長の前へと進み出る。
「ほう、次の相手は貴様か?」
「……えらそうに」
 傷付いた姿を晒しながらも堂々と告げる魔王に、彼――揺歌語・なびき(春怨・f02050)は、暗い怒りと使命感がない交ぜになった瞳を敵へと向けた。
「魔王だかなんだか知らないが、おこがましいんだよ、お前。所詮海から這いあがった骸だろ、間違いなく罪人だ」
 咎人殺しの人狼は、目の前の相手をそう断定し、弾劾する。可笑しそうに、信長は、まだ無事な方の眼を細めた。
「で、あれば、何と?」
「罪人ならば、魔王だろうと、罰を受けろ」
 それへの返事は、黒く濡れた刃で以って。黒の粘液で身を包んだ信長は、滑るように接近し、同時に刃を逆袈裟に斬り上げる。
 それを見切れたかと問うなら、答えは否であろう。完全に見切ることなど到底無理な攻撃だったが、なびきは持ち前の『直感』で致命傷を避けて見せる。
 浅く、ではあるが胸元を抉られた影響で鮮血が飛び散る。しかしそれを堪えて、なびきはさらに前へ踏み出した。
 喉元が戦慄く。怯えている場合ではない。死にたいのは変わらないけれど、此処では死ねない。――ここが彼女の、あの子のふるさとであるのなら。
 それは悪を憎む彼の習性か、それとも親心によるものか。棘鞭よ絡み付けと祈るように右腕を振りながら、なびきは身体を明け渡した。
「――だから、こいつを迷わず殺してくれ」
 『終の道化』。それはまるで、糸で操られる人形のように。UDCがただ敵を殲滅するために動き出す。
 ええ、私が代わりに殺してあげる。そう謳うように。
「憑き物の類いか? ――サルよ」
「フェン!」
 魔王の背負いし獣が力強く応じ、鎧に宿る――。

 半ばまで振るわれていた鞭を、そのUDCは力ずくで引いて軌道を変化させる。摩擦係数の低下による最も大きな恩恵は、近接攻撃、打撃や斬撃に対する耐性だ。それは鞭であれ例外ではない。これでダメージを与えることを狙うくらいなら、トゲで、縄で、どこかに引っ掛かり、食い込み、絡みつくのを祈るのが最良だろう。
 幾たび目かの攻撃、逆に信長からの斬撃をぎりぎり死なない程度に収めつつ、振るわれた鞭が鎧の隙間を、その棘で捕らえる。ここぞとばかりに縛り付けるように鞭が踊り、そして。
「骸の海に、果てろ」
 速やかに額をポイント、発砲。だがその弾丸を、浮かび上がった秀吉の腕が受け止めて。
「チッ――」
 それでも止まれない、『攻撃』に動くなびきを、鎧から放たれる黒槍の群れが襲った。

 迫り来る槍を、吹き散らしたのは一筋の炎。赤を纏う斬撃が下方向から振るわれ、なびきに突き刺さるはずの一部を切り払う。それはスライディングからの斬撃、自らの方に飛び来た数本に射抜かれながらも、ステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)は身を起こして、踏み込んだ。
 勇気をもって、真正面から。そのコースからも彼女の胸の思いは明らかだ。
 世界を滅ぼすなどと言う、このオブリビオンフォーミュラを放っておくわけにはいまない。ああ、だって、それが弱者を守る者の氏名で、そのために猟兵が居るのだから。
 炎の剣を携えたこの少女は、少なくともそう信じている。
「やらせない!」
「――!」
 そんな彼女の背を押すように、なびきが続けざまに引き金を引く。小型銃からの弾丸は、仕留めるためでなく仲間の援護のために。一瞬、守勢に回った信長の動きが止まる。
 そして、その目の前で、ステラの二刀――サイキックエナジーの刃が、豪華の如く燃え盛る。
 『焔轟熱風剣』、それは義憤と使命感、そして闘志の証明。
「ほう、これは。我が炎の、上を行くか」
「アンタの野望、アタシの炎で焼き尽くす! アンタの博打、アタシの札でバーストだ! 勝ちはないよ!」
 魔王の背負う炎を上から呑み込むように、同時に振り下ろされた二刀が信長の前で、爆ぜた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

花剣・耀子
賭け。賭けね。
――良いわ。その酔狂に付き合ってあげる。

どこから攻撃が来るかは判っているわ。
向かう先の、おまえが中心。
彼我を結ぶ直線上、致命傷になる軌道の黒槍だけは咄嗟に斬り祓いましょう。
剣が握れて、即死しなければ其れで良い。
足は間合いに踏み込むまで保てば充分。
切り捨てられるものは切り捨てて、身を穿つ痛みは呑み込んで。
視線は真っ直ぐ、おまえに狙いを定めたまま。

酔狂に付き合ってあげると言ったわよ。
いま死んでいないなら、あたしの一勝。
黒槍も、秀吉も、信長も。
目の前にあるすべてを斬り果たしましょう。

万だろうが億だろうが瑣末なこと。
その中にひとつだって未来があるのなら、其れを手繰るのがあたしの仕事なの。



●吹き消す嵐
 爆炎と共に吹き荒ぶ風の中、第六天魔王たる織田信長は、膝を付くこともなくそこに在った。度重なる猟兵達との戦いにより、その姿は随分と、疲弊したものになっていた。
 ただ敗北するのではなく、打ち払い、退け、互角どころではない戦いをしてきたものの……首元に迫り続ける刃は確実に魔王を追い詰めていた。そう、「お前の勝つ目は無い」と、宣言してのける程度には。先ほど言われた言葉を思い出したように、魔王は笑う。
「――そうであろうとも、よ。万に一つ、億に一つでも勝ち目があるのなら、賭けねばなるまい。のう、サル」
「フェン……フェフェン……!」
 恐らくはきっと、篤い忠義からくる言葉を、気遣いを、述べているのだろう。
「賭け。賭けね」
 そしてもう一つ、その言葉に反応した声が、燃え残る炎の中へと踏み込んできた。
「――良いわ。その酔狂に付き合ってあげる」
 巨大なチェーンソーを手にした少女、花剣・耀子(Tempest・f12822)はそう言って、歩みを進める。落下と戦いの影響であちこち砕け、誰のものとも知れぬ血で汚れた床を踏んで、真っ直ぐに。
「不遜な小娘よ。後から悔いようが、もはや遅いと知れ」
 信長の命に応じて、炎と共にその背に宿っていた秀吉が、漆黒の鎧と一つになる。放たれるのは、無数の黒い槍の群れ。
 ――ひとりならば、どこから攻撃が来るか、などと悩む必要はない。その方向へ、ただ前へ、耀子は床を蹴った。
 黒く長い髪が揺れて、黒槍が傾げた首の横を颶風となって通り過ぎる。真正面から中心を狙うもう一本を反射的に刀身で受け、弾き飛ばす。続く三本が腿を、ふくらはぎを、肩口を、抉っていくが、『それはまぁ、別に良いだろう』。
 血肉と共に衣服の裾が千切れ飛ぶ。
 命が残っていれば良い。剣が握れていれば良い。足はもう少し、そう、あと四歩保てば充分か。
 切り捨てられるものは切り捨てよう、それに伴う痛みは呑み込もう。
 吹き飛んだ眼鏡にも構わず、瞬き一つしないまま、彼女は魔王を真っ直ぐに見据える。
「はッ――貴様も『うつけ』か、それとも『いかれ』か」
「さあ? でも、付き合ってあげると言ったわよ」
 斬り祓うために、斬り果たすために、信長の放つ最後の一太刀までも受け入れながら。
「賭けは、あたしの勝ちね」
 最後の一歩と共に振り下ろされた斬撃は、魔王のそれを半ばで断ち切り、上書きする。

 花に嵐、炎に刃。燃え尽きるに至らぬ残り火を、草薙の剣が平らげた。

「――もとより分の悪い賭け、などとは言うまい」
「瑣末なことよ」
 倒れ行くそれを、見下ろす。万だろうが、億だろうが構わないのだと口にする。いつだってそうだ。
「その中にひとつだって未来があるのなら、其れを手繰るのがあたしの仕事なの」
 ああ、きっとその言葉の通り。魔軍将に隠し将、日本各地を襲う仕掛けに陰謀、それら全てを乗り越えて――耀子は、猟兵達は、敵の総大将を刃の下に置いてのけたのだから。
「見事な、ものよ」
 落日。崩壊寸前の安土城に、静寂が下りる。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月27日


挿絵イラスト