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新春! 殺戮ショー!

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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「貴公よ、『年越し』とはなんぞや」
 尊大に、傲慢に、ヴァンパイアは部下の大男達に向けて問いかける。
「へえ? なんすかいきなり」
「うむ。先刻食した肉が、そのような言葉を発しておった気がしての。聞き慣れぬ言葉故、誰ぞその意味するところを教えてくりゃるか」
「そりゃ、この辺でやってる祭りのことでさ。区切った時期の境目を、年越しっつって記念日にして祝ってるそうですぜ」
 まあ潰してやりましたがね、と大男は自慢げにニヤニヤと笑って見せた。
 大男の返答に、ヴァンパイアは何かを考えるように黙り込む。
「……年越し……としこし……。貴公よ、目下闘奴の数は幾ばくか」
「えー、今朝方潰したとこの分と朝飯の分を合わせっと……」
「七十六ですぜ、頭目」
 もう一人の大男が答える。
「そうか。であれば適当に八人を殺し、残りを全てひとところに集めよ」
「何かやるんですかい?」
「としこし……と、し、こ、し。十、四、五、四」
 さもいい考えが浮かんだと、ヴァンパイアは楽しげに口角を持ち上げる。
「十四人と五十四人の、年越しチーム対抗デスマッチである」
「……あー、と。言いにくいんすけど、年越しってぇのはもう終わっちまってまして」
「ほう、左様であったか。さすれば、何とする」
「新年、ですかねぇ」
 それを聞き、ヴァンパイアは再び高らかに宣言した。
「十四人と五十四人の、新年チーム対抗デスマッチである!」
 もはやどこにも言葉は掛かっていなかったが、彼の表情は自信に満ち溢れていた。


『――といった映像を予知致しました』
 女性型ウォーマシン「星天」は、予知に見た会話を猟兵達に向けて声真似すると、呆れたように溜息の音声を流す。
『場所は【ダークセイヴァー】世界。とある領域を治めるヴァンパイアの館です。
 この館には、地面を掘り下げることで作った円形闘技場が存在致します。ここに捕らえてきた人々を投げ入れ、戦わせ、その様子を見物する。ここの領主であるヴァンパイアは、そんな悪辣極まりない趣向を持つ個体のようです。
 そして今回、ヴァンパイアは大勢の人々を戦い合わせ、「勝ち残った人々を解放する」という宣言を行いました。人数差のあるチームを敢えて組ませ、彼らの葛藤を楽しむつもりのようです』
 星天の発する音声が、苦々しげに低くなる。奴らは人の命を、自分たちが楽しむ為に消費されるものとしか思っていない。
『……この大会を、必ず台無しにしなければなりません。
 しかし闘技場には、人々の逃走を防ぎ、また彼らの戦いを促すため「牢看守」と呼ばれる人型のオブリビオンが多数配置されています。
 この看守が運営に割り振られているからこそ、護衛の薄くなったヴァンパイアを討ち取る好機となるわけですが……人質の周りに敵が蔓延っている現状、軽率な行動を取るわけには参りません。
 ですので皆様には、この闘技大会を強襲し、電撃的にヴァンパイアを討ち取って頂きたいのです。
 大会の始まるを闘技場の外縁に潜み、待ち、開始と共に人々の傷つく前に上空からこれを強襲。速やかに看守を掃討した後に、警護の手薄となったヴァンパイアへと攻撃を仕掛けてください。
 牢看守達が異変に気づき、連携を取り始める前に殲滅できれば最上でございますが、数を減らすことが出来れば、ヴァンパイアの討伐確率も大幅に上昇するものと思われます』
 そうして説明を終えると、星天は猟兵達を見渡し、深く丁寧に頭を下げる。
『この暗い世界の中にあっても、人々の表情には光のあることを切に願います。せめて旧い年の過ぎゆくを、新たな年の幕開けを、再び祝えるよう。皆様のお力を、どうぞお貸し下さいませ』


灰々
 二度目のダークセイヴァーシナリオを考えてみました、灰々(はいばい)と申します。
 本当は年越し前に出したかったのですが、なんだかんだ遅くなってしまいました。コメディ風の内容にしたかったのですが、なってますかね? とりあえずヴァンパイアはちょっとアホになりました。

 第三章には新年を祝う日常パートがありますので、皆様のご参加、お待ちしております。
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第1章 集団戦 『闘奴牢看守』

POW   :    ボディで悶絶させてからボッコボコにしてやるぜ!
【鉄製棍棒どてっ腹フルスイング 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【鉄製棍棒による滅多打ち】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チェーンデスマッチたこのやろう!
【フックと爆弾付きの鎖 】が命中した対象を爆破し、更に互いを【鎖についてるフックを肉に食い込ませること】で繋ぐ。
WIZ   :    嗜虐衝動暴走
【えげつない嗜虐衝動 】に覚醒して【『暴走(バイオレンス)』の化身】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アンジェリカ・クリエムヒルト
戯れに人を殺し合わせる、それも生き残る希望を持たせ同じ人を殺させる・・・。
決して許すことはできませんわ。
ヴァンパイアのこの試み、必ずや台無しに致しましょう。
そのために、まずは牢看守を倒さなくては。
ユーベルコード『ルーンブレイド・ブルーゲイル』を発動し、牢看守を一息に黙らせることにしますわ。
本当は命を奪いたくはないのですが、闘奴の皆さんを助けるためには迅速に牢看守を倒さなければならないので、致し方ありません。
物陰でルーンブレイドを抜き、風の魔力を剣に纏わりつかせ、魔力が漲ったところで牢看守の前に躍り出ます。
牢看守に駆け寄り、「風よ、蒼き疾風よ、我が刃となれ!」と叫んで、一刀両断にしますわ。




 眼下に六十八人の闘奴が集う。
 彼らの目に光はない。一様に、絶望に満ちた表情で下を向く。ここに自由という言葉はない。人間の尊厳さえも奪われて、彼らは唯々諾々と牢看守の声に従い武器を取る。

 アンジェリカ・クリエムヒルトは闘技場の外縁に潜み、風の魔力を剣に纏わせる。その間も、彼女は闘奴達から目を離さなかった。
 決して許すことの出来ない光景が、そこに広がっている。剣の柄を強く握り、アンジェリカはそのときを待った。
「んじゃ始めっぞ。頭目が見てんだ、詰まんねえことしやがったら全員ぶっ殺すからな!」
 乱暴な合図だった。しかしその言葉と同時に、闘奴達も動き出す。力無くよろける足で、一歩前に出る。

「必ずや、台無しにして差し上げますわ!」
 ――アンジェリカが地面を蹴って空中に飛び出した。闇夜に剣を翻し、着地と共に魔力が十分に漲ったことを確認。一息に牢看守の一人へ駆け寄ると、そのまま剣を横薙ぎに払う。
「風よ、蒼き疾風よ、我が刃となれ!」
 切っ先が皮膚に食い込むと同時、纏った魔力が刃と化した。
「なん、だ……てめえ!」
 血飛沫が舞う。胴を半ばまで切断された牢看守が、血走った目でアンジェリカを睨み付ける。
 倒し切れない。気付くと同時、看守の棍棒が目前に迫る。
「そんなもの!」
 アンジェリカは咄嗟に剣の柄で受け止める。だが、看守の膂力は凄まじく、そのまま上に跳ね上げられる。直後、棍棒の乱打ががら空きになったアンジェリカの胴を打った。
 激痛と衝撃。目の前が明滅し、腹の底から何かが込み上げ。
「――戯れに人を殺すような者に、遅れなど取りませんわ!」
 飲み込み、地面を強く踏みしめ、アンジェリカは跳ね上げられた剣をそのまま力任せに振り下ろした。
 血色に閃く剣先が、牢看守の肩口へと吸い込まれ、止まることなく、袈裟懸けに切り払っていた。
「……命を奪いたくはないのですが、致し方ありません」
 二つに崩れ落ちる看守を振り返ることなく、アンジェリカは次の敵へと向かう。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ユト・リーィング
同じ旅団の涼に誘われてきたぜ。スゲェえげつねぇ事すんだな。しっかり阻止してやるぜ、仲間に仇なす敵を倒す剣としてな!!
ボディーでタックルしてくるらしいが俺が【力溜め】した【怪力】も負けちゃいねぇはずだ!
青筋立てながらも止めてやるよ。タックルで倒れてやんねぇからな!!
【野生の勘、第六感】で避けたり、当たっても【激痛体制、カウンター】で耐え切ってみせるぜ!
俺は防御より攻めの方が好きだからよ、早くドンパチ切り刻ませてくれよ!
【串刺し】したら【傷口をえぐる】、【フェイント】で足が緩んだ隙に【殺気】を纏いながら剣をぶっ刺して【生命力吸収】してやるぜ。
一刀両断!!俺の剣は文字通り骨が折れて鎧もぶっ壊すぜ!


彩花・涼
ユト(f00959)と参加
ふざけたヴァンパイアの好きにはさせない、看守共々全員殲滅させてもらう

奇襲後は敵の棍棒を【見切り】で【残像】が残る速さで回避して黒華・改で【カウンター】を決めにいく
【2回攻撃】と【生命力吸収】で敵の体力を削いで短期決戦で倒していくぞ
回避出来なそうなら、左手の黒爪・改で【武器受け】して【怪力】で押し返し、バランスを崩したところを黒華・改で斬り返す
「この程度の敵に遅れをとるお前ではあるまい」
ユトを【鼓舞】しつつ、自分が対峙していた敵を倒したら周りの戦況を確認して味方の援護をする




「ったく、スゲェえげつねぇことすんだな」
 闘技場に広がる異様な光景を前に、外縁に潜むユト・リーィングは忌々しげに呟いた。
 武器を持たされた人々の心情を慮るに、腹立たしさが込み上げる。
「好きにさせるわけにはいかないな。ふざけたヴァンパイア諸共、全員殲滅させてもらおう」
 共に潜む彩花・涼もまた、同じく睨み付けるように眼下を見た。
 牢看守の罵声と共に大会が開始される。武器を持たされた人々が、重い足取りでゆっくりと歩み寄る。


 ユトと涼は息を合わせ、人々の衝突する前に闘技場へと飛び込んだ。
「よっこらしょ、っと!」
 着地と同時に背後から、ユトは看守に剣を振り下ろす。一瞬でぱっくりと大きく割れた背中から、一拍遅れて鮮血が上がる。
「ぐおおっ、何だ!」
「おいおい、いい筋肉してんじゃねえか!」
 だが剣は筋肉の鎧に邪魔されて、急所までは届かなかった。看守は憤怒の形相で振り返り、ユトを確認すると、仕切り直すべく体をぶつけてきた。
 砲弾のように加速した巨体が迫り、ユトは咄嗟に腰を低く迎え撃つべく力を蓄える。
 激突。根元から骨格を揺らす衝撃が全身を突き抜ける。
「はっ、そんなもんで倒れてやんねぇからな!!」
 ギリギリと肉体がぶつかり、力が拮抗し、額に青筋を浮かべながらユトは叫んだ。


「この程度の敵に遅れをとるお前ではあるまい」
 視界の隅に敵と組み合うユトを見て、涼はそう言い切った。
 涼の奇襲に片腕を失った看守が、大きく棍棒を振り回す。だがその攻撃は大ぶりで、涼の目にはその軌跡が容易に予測できた。
 ほんの少し体を傾けると、頬を鋭い風が掠める。
 その回避は残像すら残し、死角となった看守の脇腹へすり抜けざまに黒華・改を突き刺し、引き抜くと共に背中まで大きく切り裂いた。
「て、てめえら、どこから湧きやがった!」
「答える義理はないな」
 ぐらりと大きく体を傾けながら、しぶとくも武器を構える看守に向かい、涼は両手の武器を構える。
 迫る棍棒を受け流すと膂力を以て押し返し、次いで放たれた前蹴りを下がって躱し流れるように前に出て、軸足を刈り取り引き倒す。バランスを崩した看守に涼が飛びかかると、待ち構えていたかのように、崩れた体勢から力任せに涼の体を棍棒が薙ぐ。
 黒爪の銃身へ猛烈な衝撃が叩きつけられる。
 吹き飛ばされる寸前、涼は地面に剣を突き刺しこれを耐え、衝撃を流すと共に剣を引き抜き、回転するように看守の首を斬り払った。
 半ばまで首を裂かれ、鮮血が地面を染める。そのまま、看守は動かなくなった。


「当たり前だ! 仲間に仇なす敵を倒す剣として、ここを阻止しなきゃなんねえんだからな!」
 涼の言葉に発奮し、ユトは看守の体を押し返す。押し返すと共に剣を手に、ユトは一層前に出る。
 切り結び、打ち合い、野生の勘で躱すと共にカウンターの一撃を叩き込む。幾度も看守の鮮血が舞う。激昂し大きく振り上がった棍棒に、ユトはフェイントを合わせ、
「おらぁっ!!」
 棍棒が地面を叩き足の勇むを隙と見て、ユトは殺気のままに剣先を突き込んだ。胸の中央下部、心臓があるはずの場所を剣が貫くと、流石の看守も口から血の塊を吐き。
 動きを止めた。


「っしゃ、次ぃ!」
「大声を出すな、作戦に触る」
 ユトと涼は一瞬だけ視線を交わし、騒動に沸く闘技場で新たな敵を探す。
「出来るだけ短期決戦だ、素早く数を減らすぞ」
「ああ、一刀両断! 俺の剣で全部ぶっ壊すぜ!」
 周囲の戦況に目を凝らし、涼は味方の援護に向かう。対してユトは、まだ交戦に入っていない看守を見つけ、連携を取られる前にこれを倒さんと駆け出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トネル・トネル
ふワァ。(大きなあくびをして、顔をこすり)
……あれ、ここ何処ダ?
わわっ、なんダ? 鎖とか投げてきてアブナイゾ!
……?
(野生の勘が危険を告げて、スカイステッパーで中空をジャンプで回避し)
わわっ、爆発したゾ!? 
……そう言えば、トネル、ぐりもありょーへーの人に転送してもらうところだったんだっケ? ……居眠りしちゃってたゾ。
とりあえず、こいつらを倒せばいいのカ?
ジグザグステッパーで跳ねまわって敵の攻撃を回避しながら、自慢の鉤爪でメタメタに切り裂いて回るゾ! 跳ねてる途中自分でも早すぎて周りの事、よくわからないけど、トネルは勘がいいから大丈夫ダ!(技能:ダッシュ、ジャンプ、野生の勘、2回攻撃)




「ふワァ」
 口をいっぱいに広げて大きなあくびをしながら、トネル・トネルは目を覚ます。顔を擦って眠気を飛ばし、重い瞼を持ち上げて。
 ゆっくり周囲に目を向けると、そこには見慣れない景色が広がっていた。
「……あれ、ここ何処ダ?」
 何だかとてもうるさい場所だ。なんでこんなところに居るんだろう。
 トネルが不思議に思っていると、彼女の尻尾がピクリと動く。咄嗟に、トネルは大きく跳んでいた。
 元いた場所に鎖の付いたフックが刺さる。その瞬間、仕込まれた爆薬が炸裂し砂煙が舞う。
「わわっ、なんダ? 爆発したゾ!?」
 そのまま一度中空を蹴って距離をとると、トネルは鬼の形相で此方を見る大男に気が付いた。
「……そう言えば」
 トネルは思い出す。
「トネル、ぐりもありょーへーの人に転送してもらうところだったんだっケ? ……居眠りしちゃってたゾ」
 トネルはもう一度顔を強く擦ると、大男――牢看守に目を向けた。とりあえず、これを倒せばいいのだろうか。
「ちっ、何だこいつは」
 看守が再びフックを投げる。猛烈な速度で迫るそれを、トネルはまた跳ねて躱す。
「アブナイゾ!」
 二度三度とフックが飛び、トネルは素早く空を駆ける。
 空を蹴る度に速度が上がる。ジクザグの軌道を描きながら、トネルは勘によってフックを避け続け、また看守へと急接近し彼我の距離は一息に縮まる。
「クソが、ちょこまかと!」
 看守も負けじと鎖の回転半径を縮めて繰り出すが、その悉くをトネルは躱す。
「トネルは勘がいいんだゾ!」
 最早トネルにも、自分が何処にいるのか、何をしているのか分からない。早すぎて。
 しかしトネルには勘がある。野生の勘でこの辺かなと当たりを付けて鉤爪を振り下ろした。
「いってえ!」
 ヒット。
 看守の肩口に幾本もの切り傷が付く。
 しかしトネルは止まらない。そのまま何度も空を蹴り、より早く、より手数を増して鉤爪が躍る。
 切る。切る。切る。無数の爪撃が看守を襲い、舞った血飛沫が霧と化す。
 ――やがて全身をメタメタに切り刻まれて、看守は倒れる。最早彼の体表に、傷のない場所などないような有様だった。
「よし、倒したゾ」
 改めて周りを見れば、他の猟兵達も同じく看守と戦っていた。どうやら、これでよかったらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ガルディエ・ワールレイド
馬鹿領主ってやつか
ヴァンパイアは有能だろうが無能だろうが周りを苦しめるだけだな
だが無能な方が仕留める機会を得られるのも事実か

最初に飛び降りるタイミングは可能な限り他の猟兵と合わせるぜ。同時に仕掛けてぇからな
ただ特別な意図をもってタイミングをずらす猟兵がいるんなら、その判断は尊重するぜ

現場では敵に速攻をしかけつつその場にいる闘奴に下がるよう伝えるぜ
「しばらく離れてな。こいつらは俺達が仕留めるからよ!」

戦闘では周囲と連携しつつ各個撃破を狙う
使うのは【ドラゴニック・エンド】だ
敵の攻撃方法は頭に入れておいて対処を試みるが基本だ
チェーンデスマッチで繋がれたら、もうそのまま思いっきり攻撃してやる




 他の猟兵と足並みを合わせ、闘技場に降り立つと共にガルディエ・ワールレイドは牢看守と闘奴の間に割り込んだ。
「しばらく離れてな。こいつらは俺達が仕留めるからよ!」
 背後に闘奴達を背負ってガルディエは、言葉と同時に槍を放つ。此方に気づき振り返ろうとした牢看守の脇腹を穂先が掠め、皮膚を裂いて血が流れた。
 その瞬間、ガルディエの側にドラゴンが出現。ドラゴンは滑るように看守に肉薄すると強烈な一撃を叩き込んだ。
「なん……っ!」
 抗えず、くの字に折れ曲がって看守が吹き飛ぶ。
「……見れば見るほど酷い光景だな。馬鹿領主ってやつか、有能だろうが無能だろうがヴァンパイアは周りを苦しめるだけだな」
 さっと周りに目を向けて、ガルディエは吐き捨てた。怯える闘奴達の姿を見ると、腹立たしさが込み上げる。
 仲間との同時攻撃により、牢看守達の意識は分散し、混乱を招くことに成功している。あとは連携を意識して、敵を各個撃破するだけだ。
 ガルディエは吹き飛んだ看守へと一息に駆け寄ると、大きく槍を振るう。座り込んだままの看守が咄嗟に棍棒を構え、刃が甲高い音を立てて防がれる。しかし構わずガルディエが振り抜くと、看守の巨体が宙に浮いた。
 仲間達の戦闘範囲から距離をとる。敵同士を切り離し、連携の芽を潰すことで確実に討ち取る。
「ちっ、人間共がふざけやがって! 何のつもりだ!」
「決まってんだろ、無能なヴァンパイアを仕留めに来たんだよ」
 ガルディエが飛ぶように一息に距離を詰める。迎え撃たんと、看守が鎖の付いたフックを投げはなった。
 走りながら回転するように槍を薙ぎ、フックを弾き飛ばす。それを見越していたのか看守は鎖を離すと大きく前に出て、攻撃後の隙を突いて棍棒を振りかぶっていた。
 ガルディエは石突きで棍棒を打ち、片腕の弾かれた看守は残った腕でガルディエを殴りつける。
 密着からの攻防は一瞬で終わり、互いに距離をとった。その瞬間、
「終わりだ人間!」
 看守が地面に転がっていた鎖を掴んだ。ガルディエの背後からフックが飛ぶ。肩口に引っかかったフックが、爆薬が炸裂するとその衝撃で深く食い込む。
「そいつは頭に入ってんだよ」
 ガルディエが鎖を掴んだ。躊躇のないその行動は看守にとって予想外で、そのまま思い切り鎖を引けば、体勢を崩して倒れ込み地面に手をついた。
 瞬時、槍の穂先が閃く。倒れた看守の首筋に、刃が過たず吸い込まれ。
 ガルディエの踵を返す背の向こう、召喚されたドラゴンが看守を襲い、盛大な血飛沫が地面を染めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレハリスティード・フレイズ
チーム対抗デスマッチねー。
良い趣味してんなぁ。
何が楽しいのかは分かんねーけど。

えーと、大会が始まるまで待機か。
……あ、もう良い?

はーい、お邪魔しますよ、と。
デスマッチするらしいじゃーん?
オレも混ぜてくれよ、ははは!
お相手はそこの暑苦しい牢看守とやらでオーケー?

攻撃はブラッド・ガイストで。
先制攻撃させて貰うぞー。
ダメージ受けてる場所有ったら傷口をえぐるぜ。

「本命はお前らじゃないんだよなー。とっとと倒れてくんね?」

連携取られたら面倒らしいから、すぐ倒せるようねに弱点狙いてーんだけど。
第六感で分かっかな。

攻撃は、これもまた第六感で気付いて避けたい。

「ざんねーん、当たりませーん!」

さくさく倒すぞー。




「はーい、お邪魔しますよ、と」
 気怠げに大会の開始を待ったクレハリスティード・フレイズは、闘技場に降りると同時、近くにいた牢看守へ向けてブラッド・ガイストで強化した武器を振るった。突如襲った横合いからの強烈な攻撃に、看守は思わずたたらを踏む。
「デスマッチするらしいじゃーん? オレも混ぜてくれよ」
 にやつきながら、クレハリスティードは看守に向けて武器を構える。
「飛び入りオーケーなんて、どっかに書いてあったかよ」
「いやー、こんだけいるんだから、ちょっとくらい増えても変わんないだろ?」
 言うが早いか、強く地面を蹴る。一瞬にして詰まった彼我の距離が攻撃へと上乗せされ、過たず一撃が看守の鼻先へと叩きつけられる。
「とはいえ」
 吹き飛ばされ、地面に転がる看守を見下ろしながら、クレハリスティードは言葉を吐き捨てる。
「本命はお前らじゃないんだよなー。とっとと倒れてくんね?」
 追撃。
 看守の頭部に向けて武器を振り下ろす。轟音。地面が砕け、めくれ上がり、土砂が周囲にまき散らされる。
 ――舞い上がった砂煙の向こうから、鎖の付いたフックが飛んだ。
「おっと」
 第六感が完璧に働いた。
 クレハリスティードが僅かに身を逸らすと、その眼前をフックが掠めて後方へと去って行く。
「ざんねーん、当たりませーん!」
 煽る言葉を投げつけながら、砂煙に突っ込むと、勘に頼って武器を振る。
「がっ……!」
 確かな手応え。骨の砕ける感触が手に伝った。
 看守の気配が遠ざかる。どうやら距離を取ったらしい。そして砂煙が晴れると、看守は少し離れて、地面に膝を突いていた。
「さて、さくさく倒したいんだけどー」
 第六感を働かせ、クレハリスティードが看守を眺める。
「んー? 何だ、もう瀕死じゃん」
 そして深く観察するまでもなく、気付いた。攻撃を数度もまともに食らい、看守は既に息も絶え絶えだった。
 クレハリスティードは武器を手に、看守へと歩み寄る。
「て、めえら……ただじゃ、すまさねえぞ!」
「はいはい、分かった分かった」
 最後のあがきにと振るわれた棍棒を軽く躱すと――その側頭部へ向けて、ユーベルコードを発動した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

小読・灯
新年早々血を流そうなんて縁起の悪いヴァンパイア。
もしかしたら彼らとしてはこの方が縁起が良いのかしら。

【WIZ】
闘技場の影に潜み、開始の合図とともに
マッチをこっそり擦って火を作り、
【属性攻撃】で強化して【バーニングチェイン】を看守に向かって放つわ。
そして炎の鎖で看守の全身を拘束して動きを縛りましょう。口も鎖で縛れば
大声で騒ぎ立てられる心配も減ると思うわ。

せっかくの新年なのよ、過去から来た災厄が今を生きる人々の未来を閉ざすなんてふさわしくないわ。
私の炎で塵に帰りなさい

騒ぎが大きくなって連携を取られるまでは看守を一人ずつ確実に無に帰していきましょう。
連携を取られ始めたら速さ重視で燃やしていくわ。




「新年早々血を流そうなんて、縁起の悪いヴァンパイア」
 闘技場の外縁、小読・灯はマッチを手に合図を待っていた。眼下の闘技場には闘奴が集い、牢看守の雑な指示で位置に付いている。
 闘奴達の足取りは重い。ヴァンパイアや牢看守にとっては、こんな催しが縁起の良いものなのだろうか。
 ――そんなはずがない。
 高らかに響く開始の合図とともに、灯はマッチを擦って火を作る。それを手に、彼女は闘技場へと飛び降りた。
 マッチの火が燃え移るように、灯の全身が燃え上がる。燃え盛り渦を巻く炎は形を変え、鎖となって看守へと襲いかかった。
「逃がさないから」
 看守が気付く間もなく、鎖が彼の体を巻く。口元にまで掛かった鎖は、言葉を発する術さえ奪い取った。
 看守のうなり声は、他の看守へは届かない。必死に暴れるも、実体のない鎖をほどくのは容易ではなかった。
「せっかくの新年なのよ、過去から来た災厄が今を生きる人々の未来を閉ざすなんてふさわしくないわ」
 身動きも取れず、地面に転がった看守を見下ろし、灯は新たな炎を灯す。それは小さな、しかし力強い炎だった。
「私の炎で塵に帰りなさい」
 周囲に察知され、連携の取られぬよう、規模を抑えた炎が看守に放たれる。
 着火し、燃え上がる。確実に、彼らを無に帰すためならば、多少の時間が掛かるのも厭わない。

 ――だがその瞬間、看守の気配が膨れ上がった。
「な、めんじゃ……ねえぞぉっ!」
 炎の鎖が弾け飛び、牢看守が飛び起きる。
 その目は嗜虐衝動に支配されていた。寿命さえ削りかねない力の爆発に、小さな炎は掻き消されてしまう。
「ぶっ殺してやるぅあああっ!!」
 看守の筋肉が爆発的に膨れ上がり、暴走の化身が現れる。
 看守が吠え、灯に飛びかかる。風を切って棍棒が、猛烈な勢いで彼女を打った。
「くぅっ……!」
 反応が僅かに遅れ、膨大な力の切れ端を浴びる。それだけで灯は大きく吹き飛ばされ、激痛が骨格を揺らした。
 咄嗟に身を捻って地面への激突を回避すると、着地と同時にマッチを擦る。
「その程度、燃やし尽くしてあげるわ」
 もはや周りの看守も此方に気づき始めている。時間を掛けている暇はない、速さ重視で燃やしていくべきだろう。
 灯は炎の鎖を放つ。看守はそれを事も無げに弾き飛ばすと、砲弾のような勢いで灯へ肉薄、棍棒を大きく振りかぶった。
 次の瞬間、灯は全身から炎を放っていた。激しく広がる炎は爆炎と化し、近距離で看守を打ち据える。
 看守は堪らずたたらを踏んで、そこに灯が飛びかかる。
「今度こそ、塵に帰りなさい」
 その顔面に取り付くと、灯はゼロ距離から炎を放った。
 口元から飛び込んだ火炎が、内から看守を一息に焼き尽くす。ほんの一瞬も、看守はそれに抗えなかった。
 燃え屑となった看守から飛び降り、灯は憤怒の形相で此方を睨む、次の看守へとマッチを向ける。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ノワール・コルネイユ
阿呆の割に手口が陰惨な連中だな
だが、阿呆だからこそ付け入る隙がある
…何ともありがたいことだな?

場も温まって来た頃だ
無傷のままの奴もあまり居ないだろう
ここは手負いの奴を追撃して
少しでも数を減らしに行くぞ

魔を祓う銀の剣を攻撃回数重視で使って
滅多切りにして【傷口をえぐる】、【恐怖を与える】
刻まれる当人は勿論、見ている周囲の奴らも指揮を下げてやろう
弄ぶ側から弄ばれる側になる気持ちはどうだ?
少なくとも、私は今この時をそれなりに楽しんでいるぞ

乱戦になるなら【第六感】を頼りに視界外からの攻撃に対応する
逃げる者がいれば深追いはしないが
【追跡】で逃げる方向を把握しておこう
その先に親玉も控えていることだろうからな


ユト・リーィング
他に看守が居ないか確認しながら先に進むぜ。
戦っている仲間を見つけたら他手助けしに行くぜ。
さっきは前に出てたからな、今度は怪我をしている仲間の救護を基本的に行おうと思う。
【救護活動】をするが、怪我人または一般人に手を出そうとしたら俺の【存在感】を見せつけて俺に敵意がむくようにするぜ。
そうなったら俺の力を見せつけるしかなさそうだな。
ラゴラ・・・暴れて来いよ・・・
【気絶攻撃】を食らわせてやる。
気絶している間にそいつを引っ張り投げて、仲間や一般人から離れるぜ。
フェアな戦いをしようぜ?
【2回攻撃】でお前の最期に花を咲かせてやるよ・・・血という、赤い紅い花をな!!




 猟兵達の電撃的な攻撃に、牢看守達はたじろぎながらも応戦する。だが彼達の能力では猟兵には遠く及ばず。大きく数を減らしながら、ジリジリと壁際に追い込まれていく。
 彼らは彼らで、逃げられない理由があるのだろう。――その視線はチラチラと、特等席で優雅に厭らしく微笑みながらこちらを見る、ヴァンパイアへと向けられていた。

 ノワール・コルネイユは二本の剣を手に、壁を背にして怯み立ちすくむ看守の懐へと飛び込んだ。
 怒濤の連撃。
 看守は棍棒を手に防がんとするも、すり抜けるように踊る銀の二刀がその体を切り刻む。
 一瞬にして全身を赤に染めた看守が棍棒を振るったが、血で視界の鈍ったのかその狙いは悉く甘く、ノワールは容易に彼から距離を取っていた。
「弄ぶ側から、弄ばれる側になる気分はどうだ?」
 ノワールの言葉に、看守達は悔しげに顔を歪めた。
「少なくとも、私は今この時をそれなりに楽しんでいるぞ」
 彼らは既に、猟兵達にはどうやっても敵わないことを理解している。その顔にはありありと、それが現れていた。
 恐怖。焦り。
 その感情を読み取ると、よりそこにつけ込むべくノワールは追撃。既に付いた傷口を狙って二本の剣が、嵐のように荒れ狂う。
「陰惨な手口を使うんだ。いくら阿呆でも、これくらいのことは覚悟の上だろう?」
 刃が傷を抉る度、周囲の看守達でさえも暗い感情に囚われる。恐らくは知らぬ間に、ジリジリと、後ずさり始めていた。
 しかしその動きは、あくまでノワールを囲むようで。どうやら、こうなっても看守達の戦意は途切れていないらしい。やはりその意識の先には、ヴァンパイアの存在があるようだった。
「そんなに親玉が怖いのか。――ではその恐怖を、塗り替えてやらないとな」
 第六感に感覚を偏らせ、ノワールは看守達の中へと飛び込んでいく。周囲からの攻撃を勘で躱し、返し振るった剣が肉を裂く。
 降り注ぐ血潮を浴びながら、ノワールの剣舞は続く。その周りには次々と、真っ赤な肉塊が転がっていった。


 ユト・リーィングはあらかた目の前の敵を倒しきると、他を手助けするために前線から離脱した。
 猟兵達の中には、大小傷を負っている者も少なくない。闘奴達の中にも、戦いに巻き込まれた者がいる。
 ユトは救護の技術を活かし、彼らの手当をして回った。
 ――だが手負いを黙って放っておく看守ではない。奴らは弱った者ほど積極的に、どうにか状況を打開しようと急ぎ攻め立てた。
「おい」
 尻餅をついて命乞いをする闘奴を前に、棍棒を振りかぶった看守に、ユトが声を掛ける。
 びくりと、筋肉質の肩が跳ねた。
「……クソが」
 看守は脂汗を流してユトを睨むと、自棄になったように棍棒を構えた。
「ラゴラ……暴れて来いよ……」
 ユトの手の中で、黒竜が竜騎士の槍へと形を変える。
 ユトは槍を構えると、すかさず前へと跳んだ。一息に距離が詰まる。慌てたように構えられた棍棒を槍の一振りで弾き飛ばし、そのまま翻ってのもう一振りで、穂先の腹で看守を思い切り殴り飛ばした。
「怪我人挟んでじゃなく、フェアな戦いをしようぜ?」
 ユトは衝撃に意識の飛んだ看守の首元を掴むと引っ張り放り投げて、闘奴達から距離をとる。
 看守は地面に強く激突すると、呻き声を上げながらゆっくりと立ち上がった。
「お前の最期に花を咲かせてやるよ……血という、赤い紅い花をな!!」
「だ、まれええっ!!」
 看守が我を取り戻すのを待って、ユトは砕けんばかりに地面を蹴る。舞い上がった砂煙を置き去りに、目の前の敵へ猛然と、槍を構えて飛びかかる。
 棍棒が振るわれた。槍の穂先と交差する。
 ――甲高い音を立て、鉄の棍棒が大きく弾き飛ばされていた。
 それが決着。いっそ拍子抜けなまでに、ユトの連撃が看守の体を引き裂いた。


 ノワールの視線の先、看守達が後退していく。その先は、あのヴァンパイアの居場所だった。
 追うまでもなく、彼らの向かう先は明らかだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――次の瞬間、空中に無数の剣が現れた。
 天空から雨のように、篝火を照り返し閃く凶刃が降り注ぐ。
 弾けるように血潮が舞った。たったの一瞬で、全ての看守は物言わぬ屍と化した。
「く、ははは! 思わぬ饗宴よな、存分に楽しませてもろうたぞ」
 豪奢な椅子に腰掛けたまま、ヴァンパイアは酷く優美な微笑を浮かべる。まるで看守達のことなど気にも留めていない様子で、興味深げに猟兵達を見つめている。
「新年とは、げに、げに素晴らしきものよな。斯様な催し、何故もそっと早く教えてくれやらんかったか」
 ヴァンパイアは組んでいた足を組み替え、頬杖を突く。その様子は何かを待つようで、猟兵達に動きがないのを見ると小さく首を傾げる。
「して、次に血を流すは誰そや? いざかし、より新年を盛大に祝おうぞ!」
 怖気の走る美声が、闘技場に響き渡った。
ガルディエ・ワールレイド
自分の配下諸共とは酷いな……そんな事がまかり通る血塗れの祝宴もそろそろ終わりだ。
次に血を流すのかが誰かが重要なんじゃねぇ。
重要なのは、この闘技場で最後に血を流すのはテメェだっていう事だぜ。

◆行動
味方がいれば連携を重視
装備は【怪力】【2回攻撃】を活かした長剣とハルバードの二刀流。

【存在証明】を防御重視で使用して、前衛として行動するぜ。
敵の攻撃は【武器受け】で防ぐし、味方に通ってヤバそうな攻撃は【かばう】
武器を受けた時に体勢に余裕があれば他方の手で反撃
被弾しそうな時は【オーラ防御】
攻撃成功時は【生命力吸収】
勝負時と判断すれば【捨て身の一撃】だ


クレハリスティード・フレイズ
本命のご登場ー。
血で盛大に祝いたいって?
じゃー、ご要望にお応えしよう。
もちろん、血を流すのはアンタでよろしく。

とりあえず接近しねーと。
ダッシュで移動だ。

攻撃されても気にしなーい。
ダメージ食らってもテンション上がるだけだし?

「ふ、あはは!いてぇな、くそったれ!」

痛みを感じるのは生きてる証拠だとさ。
オレ今超生きてるー、いえーい。
でも攻撃当たるのはそれなりに腹立つから、
笑いつつも罵っとく。
一応、大怪我しそうな攻撃は第六感で避けるつもり。

ユーベルコードはプワゾン・クリールで。
試しに毒使いましょーかねぇ。
傷口をえぐる感じで狙うわ。
気合いも入れてスピード上げるぞー。

「で、血の宴のご感想はどーですかー?」



 豪奢な剣が中空に浮かぶ。かなりの数だ。磨き上げられた鋭利な切っ先が、全て猟兵達へと向けられていた。
「自分の配下諸共やった技か……」
 長剣とハルバードを両手に構え、飛来する剣を受け流しながらガルディエは大きく前に出る。
 人としての意思、血脈による魔力、そして宿す異端神の力を防御へと注力。背後の味方を守るべく、そしてこの血塗れの祝宴を終わりにするべく、目の前でニヤニヤと笑みを浮かべるヴァンパイアを睨み付けた。
「なるほどなるほど、斯様な余興であったか。よき、よき。それもまた我の好みよ!」
「言ってろ、この闘技場で最後に血を流すのはテメェだぜ」
 ガルディエは、よりヴァンパイアの視界を遮るようにハルバードを振りかざした。――その背後に潜み敵に近づく、クレハリスティードを隠すように。
 歩調を合わせて突撃すると共に、連撃により次々と、浮かぶ剣を受け流し弾き飛ばす。
「ほう、やるではないか!」
 楽しげな声が響く。それと同時に、空中の剣がその数を増した。
「ちっ、防ぎきれねえ!」
 降り注ぐ剣の群れを前に、ガルディエは咄嗟にオーラを放つ。無数の刃が嵐のように吹き荒び、ガルディエの皮膚を裂く。オーラによりダメージは軽減されるも、その衝撃までは殺しきれずに体勢が大きく傾いでいた。

 ヴァンパイアがガルディエの隙を見る。まさにその瞬間が敵の隙となった。
「よっしそろそろかな。悪いね、守って貰っちゃって」
 気合一閃。クレハリスティードがガルディエの背後から飛び出した。その手に波打つ剣を持ち、滑るようにヴァンパイアに肉薄する。
「そこにおったか!」
 瞬時に頭上に剣が現れた。しかし、ガルディエに撃った分で数が減ったのか、それはクレハリスティードの足を止める量ではない。
 襲い来る剣に体を切り裂かれながらより一層速度を増し、
「ふ、あはは! いてぇな、くそったれ!」
 楽しげに、罵りながら口元を歪めた。
 生きている。脊髄を上る痛みはその証左。クレハリスティードは超生きている。いえーい、テンション上がるー。
「ま、アンタはもっと血を流すんだけどねー」
 それは一瞬だった。
 最高に加速したクレハリスティードが自らの流す血の落ちるよりも早く、ヴァンパイアの懐に潜り込む。――そして二刀で挟みねじ切るように、切っ先をその腹部に突き込んだ。
「血で盛大に祝いたかったんでしょ? じゃー、ご要望にお応えしよう」
 ぐりぐりと、楽しげに彼は傷口に剣を捻り入れて行く。そのたびに真っ赤な鮮血が迸り、頬を染めた。
「ほう、我に手傷を負わせるか!」
「しかも、毒入りのね」
「毒! そうか、それは我も未経験であるな!」
 何故か嬉しげに謳いながら、ヴァンパイアはクレハリスティードの体へ剣を振り下ろし――その直前、ピクリと働く直感に任せて後ろに飛んだクレハリスティードの鼻先を掠めるに留まった。

「……今だ!」
 二人の不思議なやりとりに呆然としかけたガルディエが、気を取り直して武器を握る手に力を入れる。
 今の一瞬、ヴァンパイアの攻撃の手が止んだ。逃すわけには行かない。地面が砕けるほどに力を込めて、前に出る。
 気付いたヴァンパイアがこちらを見る。だが関係ない。
「くたばりやがれぇ!」
 捨て身の覚悟でもって、ガルディエは全力で二本の武器を振り下ろした。
 直撃。
 両の肩口を引き裂かれて、ヴァンパイアから鮮血が噴き上がった。


「む、倦怠感が消えおったわ。今の攻撃で、毒が流れてしもうたか」
 二人の猟兵が、ヴァンパイアに大きなダメージを与えた――はずだった。
「よもや、ここまでやるとはおもわなんだ。良きかな、今宵は至上の宴となりえようぞ!」
 大きな傷を負い、滝のような血を流しながらも、ヴァンパイアは猟兵達を睥睨して怪しい笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アンジェリカ・クリエムヒルト
随分と余裕でいらっしゃいますのね。
よろしくてよ、私と1曲、ダンスにお付き合い頂けますかしら?
ルーンブレードを構え、斬撃を披露しますわ。
「aria,whis,plea,desire・・・」
斬撃を浴びせながら呪文を詠唱し、ユーベルコード『ウィザード・ミサイル』を発動させます。
斬撃と魔法を織り交ぜ、多彩な攻撃でヴァンパイアを攻め、ヴァンパイアの攻撃をこちらにひきつけますわ。
できるかぎり多くの闘奴の皆さんを生還させなくては。



「……その傷で、随分と余裕でいらっしゃいますのね」
 空中に浮かぶのは、無数の剣。そしてこのとき、同じく空中に、百にも迫る炎の矢が放たれようとしていた。
「aria,whis,plea,desire……」
 アンジェリカは踊るようにルーンブレードから斬撃を放ち、ヴァンパイアを斬り付けながら口中で呪文を唱える。その度、炎の矢は火勢を増していく。
「ほう、見事な舞であるな」
「あら、お褒めにあずかり光栄ですわ――ですが、本番はこれからでしてよ?」
 アンジェリカの魔法が完成すると同時、炎の矢が周囲を埋め、夜空を真っ赤に染め上げた。
「私と一曲、ダンスにお付き合い頂けますかしら?」
 そして一瞬の間を置いて、全ての矢が、一斉にヴァンパイアへと襲いかかった。
 ――中空の剣と矢がぶつかって、爆炎をあげる。
 アンジェリカは矢と共に、タイミングを合わせて斬撃を放つ。魔法と剣を織り交ぜて、敵の想像を超える多彩な攻撃を次々に叩き込んでいく。
「く、ははは! 焼灼とは、また乱暴な治療であるな!」
「誰が、治療などするものですか!」
 無数の炎に晒されて全身を焼かれながら、ヴァンパイアは高笑いをあげる。その顔にアンジェリカが剣を振り下ろそうとした瞬間、巨大なコウモリが突如目の前に召喚された。
 視界を遮られた。刹那、漆黒の翼を引き裂いて剣が飛ぶ。
「邪魔ですわ!」
 咄嗟に剣の腹でそれを受け止め、弾き飛ばすと、アンジェリカは返す刀でコウモリを切り捨てた。
 ――ヴァンパイアの持つ剣が、迫っていた。
「く、これは……!」
 防ぐと同時、体が大きく弾き飛ばされる。浮かぶ剣とは桁違いの膂力に踏ん張ることさえままならない。
 アンジェリカは体勢を崩しながらも何とか着地、剣を構えると、チラリと背後に意識を向ける。
 ……闘奴達が、闘技場の隅に固まって怯え竦みながらこちらを見ている。
 巻き込まれてしまった、弱き人々。
「生還、させてみせますわ」
 思いを胸に、アンジェリカは正面を向き直る。全身を切り裂かれ、焼かれながらも、ヴァンパイアの気勢に未だ陰りはない。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ユト・リーィング
涼と一緒に行動するぜ。
ホント・・・胸糞わりぃ奴が目の前にいるとぶった斬りたくなるぜ。眉間にシワを寄せながら相手に【殺気】を向けて涼の後ろから続くように斬撃を入れる。 敵の攻撃は【第六感、野生の勘、敵を盾にする】で出来るかぎり致命傷を避けて【激痛耐性、オーラ防御】で受け血を流しても平気な顔をして攻撃の手をやめない。【串刺し】からの【なぎ払い、生命力吸収】で敵がよろめくような【気絶攻撃】をする。【怪力】で飛んできた仲間を受け止めたり、逆にスピードが出るように声掛けをしてぶん投げたりする。
加速装置ユト様だぜ! 隙を作って貰えたら礼を 任せろ!涼!!仲間と共闘して【フェイント】で【鎧砕き】してやる!


彩花・涼
ユト(f00959)と参加
自分の配下を殺す辺り、なんの遠慮もいらないようだな。
敵が息つく暇もないよう、ユトと連携して攻撃する。
【残像】が残る程のスピードで動き、敵を撹乱しながら黒華・改で【2回攻撃】と【生命力吸収】で攻撃する。
此方がターゲットを取っている時は、黒爪・改で【武器受け】で敵の攻撃を受けつつ黒柵で動きを制限させ、その隙にユトに攻撃してもらう。
「ユト、今だ!」
敵の誓約には【見切り、残像】で回避するが、命中した際には簡単なもの以外は無視して戦う。
攻撃を受けた際には【激痛耐性】で構わず【カウンター】で斬り返す。
「貴様の新年は、今年で終了にしてやる」



 自ら殺した配下を背に、血みどろになりながらヴァンパイアは楽しげに笑う。その姿は化け物と呼ぶに相応しく、ユトと涼の二人は武器を振り上げるのに些かの躊躇も持たなかった。
「ホント……胸糞わりぃ奴が目の前にいると、ぶった斬りたくなるぜ」
「全く同感だ。自分の配下を殺す辺り、なんの遠慮もいらないようだな」
 篝火に照らされる闘技場の中、吹き抜ける風に濃い血の臭いが混じる。
 眉をひそめ眼前を睨み付けるユトは、その殺意を隠さない。その隣に立って涼は、両手に黒い剣と銃を携えた。

 涼はその姿が掻き消えんばかりに、爆発的な加速で一息に飛び出す。併せてユトは追うように、真正面から突っ込んだ。
 一瞬にして距離を詰めた涼が、残像を残しながらヴァンパイアの周囲を飛び回り、攪乱すると共に素早く斬撃を放つ。ヴァンパイアの腕が刃を防いだ。浅い感触。しかし表皮が裂けて血飛沫が舞う。
「いい足であるな、我に匹敵するやもしれぬの?」
「よく動く口だ」
 言葉の合間に割り込むように、無数の斬撃が閃いた。ヴァンパイアは避けるそぶりを微塵も見せず、全てを片腕で防いでいく。ズタズタに裂かれた腕が更に裂け、肉や骨までもが露出する。しかし次の瞬間にはその腕で、目の覚めるような一撃を放って見せた。
 大岩で殴られたような衝撃を銃身で何とか流し、涼は、ヴァンパイアの目が完全にこちらを向いたと判断。ユトの位置を瞬時に推測、流れを組み立てると、最大限に残像を残す速度でヴァンパイアの脇をすり抜ける。その狭間、黒柵を展開、無数の鋼糸がヴァンパイアを縛り付けた。
「ユト、今だ!」
「任せろ! 涼!」
 捕縛が完成するとほぼ同時。前掛かりに全体重を乗せて、ユトの槍がその中心を突き抜けた。
 胸の中央、両肺の間に穂先が埋まる。――その瞬間、鋼糸をものともせずにヴァンパイアの両手がそれを掴んだ。ただそれだけで、全ての勢いが止められる。
「はっ、やりおるわ。槍だけにのう!」
「ち、馬鹿力野郎が!」
 槍が動かない。それに気付くが早いかユトは柄から手を離し、刀を抜くと共にヴァンパイアを斬り払っていた。
 肩口を裂き、胸を袈裟に斬り、恐ろしい速度で伸びてきたヴァンパイアの腕を勘に頼って何とか躱す。そうして後ろに下がった瞬間、無数の剣が上空から飛来した。
「効かねえな、そんなもん!」
 瞬時にユトはオーラを纏う。体表のオーラに速度を殺され、鋭利な刃が表皮を滑る。しかし流れる血をものともせずに、ユトはまた大きく一歩を踏み込んだ。
「――はて、そろそろ邪魔であるぞ?」
 そのとき、ヴァンパイアは気付いたように体に巻き付いた鋼糸を纏めて引いた。
「なっ……!」
 突然の行動に、涼の体が僅かに揺らぐ。その瞬間――涼の眼前に、一枚の紙が現れていた。それが何かを理解した瞬間、回避しようとするも、
「『目を開いてはならぬ』」
 額に接触。ヴァンパイアの口が宣言した瞬間、体に猛烈な痛みが走った。
「涼! 目ぇ瞑れ!」
 ユトの叫びに、咄嗟に涼は目を閉じる。その瞬間に痛みは嘘と消え、代わりに、ヴァンパイアが彼女に向けて剣を振り上げる気配が伝わった。
「させるかよ!」
 刹那、ユトの手が涼の腕を掴み、怪力に任せて後ろに投げる。その毛先を狩るように振り下ろされた切っ先が、地面に大きな亀裂を作った。
 ユトはその隙に、ヴァンパイアの胸元に刺さった槍に手を伸ばした。しっかりと掴み、引き抜く。粘ついた糸を引いてずるりと鋒の見えると同時、
「おらぁっ!」
 あらん限りの力を込めて、それを薙ぎ払った。
「ごっ――」
 至近距離で側頭部を殴打され、ヴァンパイアが大きくよろめく。
 涼がユトの背後から駆け寄ったのは、そのときだった。無理矢理に目を開く。分かっていれば、大した痛みではない。
「ユト!」
「おう! 加速装置ユト様だぜ!」
 駆け抜けざま、涼の背中をユトが強力に押し出した。その瞬間、残像すら置き去りに涼の体が紫電のごとく――瞬きすら待たない間に、ヴァンパイアを黒剣が斬り裂いていた。
 速度を乗せた一撃は、それまでの比ではなく。全身を纏めて両断するような威力と昇華し。

「う、むう。良い、一撃であるな」
 それを受けたヴァンパイアは、ぐらつく体を押さえるように、腰に手を当てて笑んで見せた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小読・灯
◆挑発
随分と血生臭い舞台と脚本なのね、ヴァンパイア。それとも即興劇かしら?

部下の看守達とおままごとをしておけば害は無かったのに観客(一般市民)を無理やりに動員して、参加させるなんて統治者としての器が知れるわね

【WIZ】
フランヴェルジュを鞘から抜いて、触媒にして【属性攻撃】付きの【ウィザードミサイル】を展開、ミサイルの一部は闘技場内の柱や物陰に隠して滞空させておくわ

私は闘技場を走り回りながら、ミサイルを打ち込みつつヴァンパイアに対してフランヴェルジュで攻撃

始めは斬りかかってはすぐに離れるヒット&アウェイ戦法で、途中から不利になった不利をして逃げて敵を誘導、隠したミサイルを動かすと同時に反転攻撃よ


ノワール・コルネイユ
素っ頓狂な奴だが吸血鬼としての実力と残虐さは確か、か
煩わせてくれるな…

存外に、一筋縄で行く相手ではないらしい
それなら、私は足止めに回るとしようか

仲間が攻撃する傍から機会を窺い
咎力封じで敵の拘束を狙う
【見切り】で敵の動きを見極め効果的な瞬間を探る
手や足を狙い相手の攻防を削ぐか
気を惹いている間に周囲が攻撃する隙を作る

中々拘束が命中しない場合【2回攻撃】を駆使し
手数を増やしてチャンスを増やす

拘束したら枷が繋がるままに
相手の足を留めたり、振り回して叩きつけたり
自由を奪うことに徹しよう

この期に及んで祭気分とはな
貴様、一周回って大物か?

まぁ、何時までも遊んではいられないんでな
そろそろ決着をつけたいところだ



 小読・灯とノワール・コルネイユは互いに距離を取り、ヴァンパイアを挟み込むように立ち回る。
 灯が炎の矢を放つと、ノワールはその爆炎に隠れるように位置を取り、ヴァンパイアの腕に向けてロープを放つ。ロープに手首を巻かれた事に気付いたヴァンパイアが飛び交う剣でこれを断つと、気を取られた隙を狙って灯が、手にしたフランヴェルジェで斬り掛かっていった。
「随分と血生臭い舞台と脚本なのね、ヴァンパイア。それとも即興劇かしら?」
「予定調和では詰まらなかろう。人生は全て、即興であるが故に!」
 その即興劇に、一体どれだけの人間が巻き込まれていったのか。どれだけの犠牲が、ヴァンパイアを楽しませるためだけに生まれたのか。
 おままごとならば害はない。しかし、観客までも巻き込めば、それはもはや劇とは言えず。
「統治者としての、器が知れるわね」
 切り結び、降り注ぐ剣を払いのけては転がり躱しながら、灯は次々と空中に炎の矢を生み出していく。
「存外に、一筋縄でいく相手ではないらしい」
 殺到する炎が渦巻く中、ノワールは敵の動きを見極める。
 思ったよりも隙がない。攻撃を受けながらも、ヴァンパイアはこちらのことを気にしているそぶりを見せた。
 あるいはそれは、余裕の生む油断かも知れない。しかしこちらを見られていては、咎力封じもそうそう決まるものではないだろう。
 あくまで足止め。灯の攻撃を最大限に叩き込むための、その補助となることだ。
 そのときノワールの目の前で、再び灯がヴァンパイアに斬り掛かった。
「ここだ……!」
 流石に目の前に来られては、ヴァンパイアもそちらを見ざるを得ない。
 手首を狙って枷を放ち、足下にロープを叩きつける。
「む?」
 入った。ヴァンパイアが不思議そうに、それらを見る。
「おお、斯様な道具で縛られるは我も未経験ぞ!」
「この期に及んでその物言いとはな……。貴様、一周回って大物か?」
「く、はは! 当然であろう!」
 どうやら大物に間違いなさそうだった。
 ノワールは封じた手足を枷の繋がるままに、思い切り引き絞る。ヴァンパイアが僅かに体勢を崩した。
 間髪入れず、灯がフランヴェルジェを叩き込む。首を狙った一撃は浮遊する剣に防がれるが、返す刀で腹部を割り、更に脇から肩へ斬り上げる。
 鮮血が噴き出し、ボタボタと地面に水たまりを作っていく。だが、それでも死なないのはこれまでの猟兵が実証済みだ。
 ――それを目の当たりに、灯の表情が、大きく変化した。
「これは、もう……」
 どうやったら倒せるのか。どこまで斬れば殺せるのか。
 灯は表情を暗くして、ゆっくりと大きく後ずさった。――そうすれば、ヴァンパイアが驚いたように目を見開く。
「ん? どうした、童」
「……どうもしないわ」
 言葉の間にも、灯は更に離れていく。その様は最早戦意の喪失したようで、それを見るヴァンパイアはいっそ意外なほどに焦りを見せ、
「待つがよい、宴はまだ終わっておらぬぞ!」
 オモチャを取り上げられた子供、そのものだった。手を伸ばし、失血でふらつく歩調で灯を追う。
 その背に剣を飛ばすことはできただろう。しかし、それをしては宴が呆気なく終わる。それを恐れているようだった。
 ――そして、宴が終わっていないことを、灯は知っている。
 暫く逃げたその先で、いくつもの光が瞬いた。それはヴァンパイアを取り囲むように設置された、魔法の光。炎の矢。
 その瞬間に灯は反転。フランヴェルジェを腰に構える。
「ごめんなさい、役者が過ぎたかしら」
 刹那、膨大な量の矢が四方八方からヴァンパイアに襲いかかった。
「お、おおおお!」
 よく分からない声を上げ、ヴァンパイアが飛び上がろうと腰を屈める。だが、
「させんよ」
 ノワールが、ヴァンパイアのすぐ背後まで迫っていた。
 至近距離から手枷を放ち、ロープを巻き付け、猿轡を口に噛ませる。ほんの一瞬で三つを完遂し、そこでユーベルコードが発動する。
 空中の剣が全て霧散した。ほんの一瞬、ヴァンパイアは完全な無防備となる。
「まぁ、何時までも遊んではいられないんでな」
 ノワールが大きく飛び退くと同時――全ての矢が、ヴァンパイアを直撃し、
「もう、終わりにしましょう」
 灯のフランヴェルジェが、その左胸を貫いた。


 破裂音が響き渡り、全ての高速が弾け飛ぶ。全身を炭化するほどに焼かれ、心臓を貫かれて尚、ヴァンパイアはゆっくりと立ち上がっていた。
「く……はは……これほどの、傷、未経験である、なぁ」
 目から口から血を流し、ヴァンパイアは口角を上げる。その顔は、笑っているようにも、泣いているようにも見えた。
「我は……どうなるのだ。この先は、知らぬ……ぞ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

琥珀川・れに
その先ー
「僕の父ならその答えを知っている」
UC【血統覚醒】の状態で登場

「悪いね…今回の僕はちょっと苛立ってるかもしれない」
「こんな態度、淑女達には見せられないな」
弱った領主のヴァンパイア、種族や自分自身の過去やら、色んなものが混じって複雑な感情だよ。
気にしないで、ここでは語られない話さ。

技能【恐怖を与える】はどこかで使いたい

【カウンター】で【串刺し】を試みる
「君が吸ったであろう幾千の人の血を大地に帰そう」

最後は【吸血】でとどめを刺したいね。
「嫌だと言っても止めないよ」
(ダイスの結果で)手を滑らせたりしなければ


※運命はどう転がるか分からないから面白い。アドリブ大好き。
省略・アレンジご自由に



 胸中に複雑な思いを抱え、琥珀川・れにはヴァンパイアと対峙する。
「――僕の父なら、その答えを知っている」
 この先、とヴァンパイアは言った。それが示す言葉の意味を、れには脳裏に思い描く。
 弱った領主のヴァンパイア、自らの生まれ、歩んできた過去。真紅に染まった瞳に映るのは、ここでは語られないどこかの話。
「……答え、だと? 許す、我に教えてくれやるか……!」
 ヴァンパイアが縋るように、炭化したその手を伸ばす。れには応えず、ただ剣を握る手に力を込めた。
 そうして駆け出す。血の滲む大地を踏みしめる。篝火に染まった闘技場で、最後の闘いが始まった。

 空中に豪奢な剣が生まれる。――その数はたったの数本。これまでの比ではない。
「そんなもので、僕を止められると思うのかい!」
 飛来する剣を撃ち落とし、躱しながられには、ヴァンパイアへ言葉を投げる。
「お、おおおお!」
 吠えるような呻きと共に、れにの目の前に、何枚もの紙が現れた。
 咄嗟に剣でそれを打ち払うも、同時に空中から急降下した巨大なコウモリに阻まれて、数枚が体を掠めてしまう。
「『その場を、動いてはならぬ』」
 ヴァンパイアの声が耳に届く。その瞬間、強烈な痛みが全身を突き抜けた。
 ――だが、れには止まらない。
「……領主だからと、何でも思い通りにはできないよ」
 気にせず飛び交う剣に向け、れには鋭い一撃を放つ。甲高い音が響き、砕け散った剣がキラキラと輝いた。
「なぜ、止まらぬ……我が、止まれと言うておる……!」
「悪いね……今回の僕はちょっと、苛立ってるかもしれない」
 こんな態度は、淑女達には見せられない。そう思っても、れには止まらなかった。
「来るでない……来るでないぞぉ!」
 ヴァンパイアは後ずさる。なりふり構わず剣を飛ばし、誓約書を書き殴り、コウモリを盾にする。
 その目に満ちるのは、恐怖の色か。ようやく感情を露わにする。
 ヴァンパイアは肉薄したれにに向け、無事な腕で剣を振るう。その力は瀕死の状態でも乱流を起こし――れにの頭上を掠めてその髪を大きく揺らす。
 そして同時に、れにの剣が、ヴァンパイアの体を貫いていた。
「君が吸ったであろう幾千の人の血を、大地に帰そう」
 ぞぶりと切っ先を押し込めば、いくつもの器官が引きちぎれる感触と共に、大量の血液が流れ出す。それは未だにこれだけの血を内包していたのかと、驚くばかりの血溜まりを作ると、やがて、ヴァンパイアの目の光が薄まると共に、その流れを弱くしていった。
「そろそろ、その先が見えるかい?」
 もはや、ヴァンパイアはれににしなだれかかるように、力も出ない様子だった。
 れにはその首筋に牙を剥く。皮膚を貫き、冷たい血が口内に溢れる。
「嫌だと言っても止めないよ」
 最後に残った血液の、その終わりの一滴まで。
「く、はは……新年など、碌なものでは……なかったな」
 れにが吸い尽くすと、ヴァンパイアはもう、動かなくなっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『冬の感謝祭』

POW   :    お祭りの調理は力仕事。パンをこねたり、お餅をつくったり、大鍋でスープを作ったり。

SPD   :    飾りつけは時間と勝負。お祭りの賑わいを、限られた準備期間のなかで、どこまで届けられるかな?

WIZ   :    飾り作りは工夫が必要。外は寒くて暗い町、どんな飾りをつくったら華やかに見えるか?

👑11
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 街には、晴れやかな空気が流れていた。闘奴として連れ去られていた、多くの住人が生きて帰ってきたのだ。
 涙を流し、互いに抱き合う。
 今生の別れを覚悟していたのだから、その喜びもひとしおだった。

「そうだ。今度こそ、新年会をしましょう」

 誰かが言った。そして誰かが、それに賛同した。
 明るい話題は街に広がり、そして大きな流れとなって皆を包む。
 ――失われた命。失われなかった命。その全てを祝福する事が、この世界には必要なのだと。


 新年を祝う準備は、すぐさま始められた。
 各人がありったけの食料を持ち合い、協力して飾りを作る。この日のためにと温室で育てられていた、鮮やかな花々が広場に彩りを加えた。
 しかし。
「……どうしましょう」
 思ったよりも、豪華にならない。
 こんなおめでたい日だ。これまでにないくらいの、盛大なお祭りにしたいのだけど。
 そのやり方を、彼らは知らなかった。ヴァンパイアに隠れ、バレないようにひっそりと、祝うやり方しか知らなかったのだ。

 ――彼らの視線が、猟兵達に向けられる。

 突如として現れ、闘奴達を救った英雄達。彼らなら、いい感じのお祭りを演出してくれるのではないかと、そんな期待をその目に込めて。
ガルディエ・ワールレイド
冬の感謝祭か。
これは気合を入れてやらねぇとな。
戦いなんかよりも、よっぽど重要なことだぜ。

◆行動
【POW】パン生地を大量にこねるなど力が必要な料理の手伝い

意気込んだは良いが……。
大量の、それも祭り用の料理なんて俺も経験は無ぇぞ。
ということで、ある程度は一般人にも手伝ってもらおう
力仕事は俺が主にやりつつ、アドバイスとかを貰うスタイルだな
まぁ他の奴らも勝手がわからねぇかも知れねぇが……そん時は適当にワイワイ言いながらやれば良いだろ
「おう、こんなもんでどうだ?」
「……やべぇ。力を入れすぎたか?」
「最終的には、なんとかなりそうだな」

まぁ少しくらい失敗したって良いじゃねぇか
皆が一緒に笑って過ごせるなら



「おう、こんなもんでどうだ? 多少ダマになっちゃいるが」
 腕に付いた生地を取りながら、ガルディエ・ワールレイドはボウルに落としていた視線を上げた。
 穀物の粉と水、それらを大量に混ぜ合わせ、生地を作る。その工程は単純だが、それでもこれだけの量を作った経験は、ガルディエにはない。周りの住人達に声を掛け、混ぜ具合を見て貰う。
「ええ、丁度いい感じです」
 住人達だけでこれほど生地を練るのは、時間を考えれば難しい。そのため当初、彼らは料理の規模を小さく見積もっていた。しかしガルディエの猟兵的腕力によって、その問題は解決。一気に作る量を増やし、街の全員を満足させる事が目標になっていた。
「せっかくやるんだ、派手に行こうぜ。これは戦いなんかよりも、よっぽど重要なことなんだからな」
 意気込むガルディエは言葉の通り、積極的に仕事を請け負い祭りの準備に寄与していく。その働きに感化され、住人達もまた作業に、より気合いを入れ始めた。
 より多く、より美味しく。
 生地作りを終えたガルディエは、カゴ一杯の材料を別の鍋にいれ、火に掛ける。こちらではスープを作るらしく、これまた大量すぎて一般人の細腕には荷が重い。
「おい、もっと大きいおたまないのか? 底まで混ぜらんねえぞ」
「いやー、それが一番大きいんじゃ……」
「俺、ちょっと金物屋で探してくる!」
 わいわいと、お互いに手探りながら調理は進む。徐々に周囲にはいい香りが充満し始め、他の作業に勤しむ住人達が、興味深げに立ち止まるようになっていった。
「ありゃ、ちょっと具材が崩れてきてますね」
「……やべぇ、力を入れすぎたか。まああれだ、味は変わんねえよな」
「そーそー、兄さんの言うとおりだ!」
 その空間は、暗い空の下であっても、暖かな光に包まれているようだった。
「よし、最終的にはなんとかなりそうだな」
 湯気の立つ鍋の前で、ガルディエは満足げに額を拭う。しっかりと火の通ったスープは、芳しい香りを上らせていた。

 丸く平らに焼かれた生地と合わせ、深皿に盛られたスープが並ぶ。多少焦げはしているが、十分な出来映えだ。
「さあ、ガルディエ兄さん! あんたが一番に食べてやってくれよ!」
「いいのか? そんじゃ、遠慮なく」
 戦いが終わり、そして訪れたひとときの平穏。笑い合うことさえ出来なかった住人達の、囚われていた心が、ようやく解放の時を迎えたのだ。
 沢山の笑顔に囲まれて、ガルディエは、勝利の味を噛みしめた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレハリスティード・フレイズ
【SPDで行動】

はいお仕事おーわり。
やることやったしもう帰ろーかと思ってたけど。
んー、新年会の演出?
いーぜー、まだちょっとテンション上がったままで気分良いし。
何かやるぞー。

良い感じのお祭り案についてはよく分かんねーから、
他の連中に任せるわ。
オレは飾り付け手伝おうかね。
【第六感】で程よい場所と飾りを判断しつつ、
【気合い】を入れて【ダッシュ】で移動し【早業】で飾り付けだ。
「はいしつれーい、飾りが通りますよー、と」

移動中、人にぶつからんよう気をつけよ。



「んー、新年会の演出?」
「はい、英雄の皆様に手伝って頂ければ、皆も喜ぶかと……」
「いーぜー、まだちょっとテンション上がったままで気分いいし」
 闘奴達を街まで送り届け、仕事も終わりと踵を返そうとしたクレハリスティード・フレイズだったが、住人達の期待の眼差しに応えることにした。
 戦いの余韻が、まだ体の奥に燻っている。それに突き動かされるように、クレハリスティードは広場に並べられた飾りへと足を向けた。
「んじゃ、オレは飾り付け手伝おうかね」
 祭りの盛り上げといっても、その良し悪しはよく分からない。クレハリスティードは何となく、石畳に広げられた飾りを眺め、
「お、これとこれなんかいんじゃねーの。勘だけど」
 第六感を頼りに、適当な飾りを鷲掴んで走り出した。

「よーし、やるぞー」
 気合いを入れて、クレハリスティードは走りながら街中に目を配る。
 選んだ装飾の、程よい配置を何となくで考えつつ。人混みの中を縫うように、次々と飾り付けていった。
 広場の噴水、家々の扉、ガス灯の支柱。元々が地味であって、しかし大きめの、飾りやすい場所を選んで装飾を巻き付ける。
 ドライフラワーに、鮮やかな布、リボン、紙製のランタン。
 ダッシュしながらも手先は素早く、見栄えのする付け方を勘で編み出し。
 祭りの準備でごった返す人々は、風のように走り抜ける姿に驚きながら、その後に彩られた街に気付いて小さく歓声を上げた。
「はいしつれーい、飾りが通りますよー、と」
 人々にぶつからないように気を付けながら、クレハリスティードはいつの間にか、抱えるほどの飾りを付け終えていた。
「よーし、こんなもんかな」
 感謝に頭を下げる住人に手を振りながら、クレハリスティードは自分の成果を遠く眺める。
 暗い空の下、街は沈鬱な色合いを見せる。それは戦いの終わった後でも同様で、明るく振る舞う術を忘れてしまったようだった。
 しかしその中に、小さな明かりが灯っていく。地味で簡素なその色は、だが確実に、街を華麗に飾り立てていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アンジェリカ・クリエムヒルト
華美でなくとも良いと思うのです。私が今まで見てきた中で、いい感じのお祭りを(WISで)思い出してみます。
飾りは明るく、高い位置で、広く包み込むような感じのものが多かったように思います。と、会場を歩き周りながら、手にとってこんな感じ、と村人たちに実演して周ります。
それと、笑い声の絶えない、賑やかな雰囲気が良いのではないでしょうか。騒々しくない程度に明るい曲やアップテンポの曲を、演奏したり歌ったり。自然と踊りだしたくなる曲はいかがでしょうか。よろしければこの村の踊りを私に教えて頂けませんか? そして皆で明るく歌って踊りましょう。もちろん、私も参加させて頂きますわ。


琥珀川・れに
盛り上がってきたなら皆で歌を歌おう。
僕はダークセイヴァー出身だから皆が知る場に会う曲をチョイスできるよ。

恥ずかしい?なら【存在感】で僕が主体となろう。
「さあ、声を合わせて歌って」
貴族の教養程度で申し訳ないがウチの教育係り仕込みの歌声さ。

希望の歌を、新しい夜明けの歌を。
そして、しんみりと賛美歌で祈りを捧げて今までの犠牲者を弔おう。

※何が起こるか分からない方が好き。アドリブ大好き。省略・追加アレンジご自由に



 アンジェリカ・クリエムヒルトは、過去の記憶に思いを馳せる。楽しい祭り、明るい催しとは、どういったものだったか。
「華美でなくても、良いと思うのです」
 どんな飾り付けがいいのかと問う街の住人達に、アンジェリカは静かに言った。
 記憶の中の風景は、華美なだけでは決してなかった。どんなに素朴であろうとも、工夫次第で如何様にも盛り立てることは出来るはず。
「そこは、こちらのリボンをあしらった方が良いと思います。それを高いところに飾りましょう」
 アンジェリカは広場の中を、飾り作りに勤しむ住民達に、実演しながら歩いて周った。
「うん、このくらいでいいかな。味がある、というやつだね」
 琥珀川・れにもまた、飾り作りに手を貸している。多くの住人に囲まれて、丁寧に素材を編み込んでいった。
 会場を広く包み込むように、明るい、暖かな色を基調にした飾り付け。暗い空の下で、少しでも皆が明るく華やかな気持ちになるようにと。
 住人達の手で、徐々に広場は飾り立てられ、雰囲気を変えていく。

 そうして会場の一つである広場には、多くの住人が集っていった。
「それと、賑やかな雰囲気が良いのではないでしょうか。音楽など、演奏するのは如何でしょう」
 アンジェリカの提案に、なるほどと頷いた住人達は、倉庫の奥に仕舞ってあった、古びた弦楽器を掘り起こしてきた。
「……あのヴァンパイアに目を付けられてから、これを弾いたことはなかったが」
 それでも、澄んだ音色が辺りに響いた。
「より盛り上げるために、皆で歌を歌うのはどうだい?」
「それは良いですわね、皆さんで歌って踊りましょう」
 れにの言葉に、アンジェリカは嬉しげに立ち上がる。しかし、周りの住人達はどうにも動きが鈍かった。
 慣れていない。それが一番の原因だろう。
「恥ずかしい? なら、僕の後について歌ってみて」
 れにが演奏に合わせ、歌い出す。それは、ダークセイヴァーにおいて、皆が知っているであろう歌だった。
 光に満ちた、希望の歌。新しい夜明け。貴族仕込みのれにの歌声は流麗で、誰もがそれに聴き入った。
「さあ、声を合わせて歌って」
 しかしそれでは意味がない。歌うのは彼らだ、彼らのための歌だ。
 そうしてれにの歌う内、少しづつ、住人達も声を上げ始める。希望の歌からテンポを上げて、思わず体の動き出すような、明るい歌を皆が歌う。
「さあ、踊りましょう」
 アンジェリカは住人達の手を取って、演奏の前に飛び出した。
 これもまた、初めは勝手の分からない様子の住人達だったが、それでも徐々に、足はステップを踏み始める。
 歌と踊りが渾然となって、広場は活気に満ちていく。れにの歌声と、アンジェリカの踊り。それが中心となって、暗い街に光が差していくようだった。


 住人達は口々に、猟兵達に感謝を述べる。
 それは闘奴達を解放し、ヴァンパイアを討伐したから、というだけではない。心の解放。この街の全ての住人が、無限の闇から救い出された感謝を胸に抱いていた。
 しんみりとした、れにの賛美歌が街に響く。
 死者へ祈りを。全ての犠牲に弔いを。そして、生者に祝福を。

 新年。
 この街に朝日は差さずとも、住民達の心には新たな光が、間違いなく宿っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月26日


挿絵イラスト