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エンパイアウォー㊳~共に咲け」

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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「遂に来たか、猟兵達よ」
 最終決戦場『魔空安土城』で、第六天魔王『織田信長』は進軍する猟兵達の前に立つ。
 禍々しい闇色の鎧に、全てを統べる赤眼。そして向かい合った者を押し潰さんとする、その恐ろしいまでの威厳。その姿、まさに『魔王』そのものだ。
 首塚の一族が安土城を地上へ引き摺り降ろす事に成功したので、信長軍の本隊は幕府軍が相手取り奮闘している。よって、猟兵は魔王退治に専念出来るというわけだ。
「さて、もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……。億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ」
 なあ、お前達。誰かに語りかけながら、信長は怪しげに笑う。台詞に反して、易々とやられるつもりは微塵もないと言うように――。
「秘術『魔軍転生』。弥助よ、儂に憑装せよ……!」
 術式が展開され、炎が円を描く。すると信長に呼ばれた魔軍将がひとり『大帝剣、弥助アレキサンダー』が姿を現し、命じられるまま、信長の身体に憑依したのだ。背後霊のように揺らめく弥助から、思念の声が届く。
(嬉しいねぇ、こんな姿になっても、まだ言えるなんてな。『全ては信長様の為に』!)
「共に咲け。この身体が、儂らの魂が散る時まで!」


「さあ、決戦だよーっ」
 決戦の準備で慌ただしいグリモアベースで、ハチマキを巻いて気合を入れたメリー・アールイー(リメイクドール・f00481)も猟兵達に呼びかけていた。
「状況は先に説明した通りだよ。信長はオブリビオン・フォーミュラ……強敵だ」
 織田信長は必ず先制攻撃を行う。その対抗策は必須であり、用意をしなかった場合や不十分だった場合は、苦戦や失敗となる危険性を伴うのだ。
「弥助を憑依させた信長は、炎の闘気と鎖、不気味な鳥への部分変化、そして無数の大帝の剣型の花びらを使ってくるよ。あんた達のユーベルコードの種類に応じて放ってくるからね。よく対策を練るんだよ」
 敵は死ぬまで戦おうと、少しでも猟兵の戦力を削ろうと襲い続けてくるはずだ。でもあんた達は駄目だ。必ず無事に帰って来るように……我儘でも言わせてもらうよ、と。メリーは集まってくれた猟兵達を真っすぐに見つめて、ひとりひとりに念を押すのであった。
「そんな強敵でも……絶対絶対、倒さなきゃならない相手なんだ。世界を、サムライエンパイアを救っておくれ…っ」
 転移門を開くと、メリーは大きく息を吸って、いつもの台詞で猟兵達を送り出した。
「それじゃあ行っといでっ! よろしゅうにーっ」


葉桜
 OPをご覧いただきありがとうございます。葉桜です。
 こちらは戦争依頼、難易度は『やや難』です。
 いつもより厳しい判定になります。

 以下、先制攻撃のルールです。
 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 お連れ様の指定がない場合は、単騎のリプレイになると思います。
 また、今回使用できるユーベルコードは1種類です。
 複数書いてある場合も、判定に使用したユーベルコードのみの描写となります。

 『24日と25日(土・日)』に執筆する予定です。
 大変申し訳ございませんが、いただいたプレイング全てを執筆出来るとは限らないので、予めご了承下さいませ。

 OP公開から募集開始です。
 募集を停止する際には、マスターページにて連絡致します。
 それでは皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』弥助装』

POW   :    闘神の独鈷杵による決闘状態
【炎の闘気】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    逆賊の十字架による肉体変異
自身の身体部位ひとつを【おぞましく肥大化した不気味な鳥】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    大帝の剣の粉砕によるメガリス破壊効果
自身の装備武器を無数の【大帝の剣型】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

天海空・奏楽
■ニノマエ(f17341)と

炎にならちょっぴり耐性あるもんねー…
…強がりだけども!
炎の鎖で繋がれたら、鎖を掴んで離さない。
好き勝手に自分の身体を引きずられないようにってのもあるけど。
掌が焼けようとも鼻歌うたってやるよ。

(すうっと一息吸って吐く。気合いを入れなおし)

怪力と【天地動転】で!
炎の鎖を引っ張りながら、あいつの体勢を崩すから!
足元すくってやっから!
そこを狙ってくれ!
俺が墨屑になる前にだ、頼んだぞ!

信長は最後まで戦うって自己陶酔してっかもしんないけどさ。
猟兵だって傷だらけだし、エンパイアの人達に犠牲だって出てる。
戦争なんてやったって誰も勝ちはいねえ。
苦しいばっかりだ、だから終わらせる!


ニノマエ・アラタ
■奏楽【f13546】と

得物は妖刀だ。

眼は焼かれねェように、かばう。
視界が遮られちまうのはしょうがねえ。
……炎の鎖か。
ゴムじゃねぇなら、信長の方へ走ってけばたるむかコレ?
引っ張られても体勢崩しても、あきらめず攻撃のチャンスを伺う。
苦し紛れに見えるかもしれないが、
信長の防御が難しい、予想しない方向から攻撃になるかもしれねえ。
足の裏で床を踏みしめられるのを確かめられたら、
積極的に一撃を与えに行く。
お互い小傷を増やす事になるだろうけどな。

で、まあ。
必殺の一撃ってのは奏楽と一緒に繰り出すんだけどな!
信長の体勢が揺らいだら、妖刀で一閃するぜ!
弥助ともども、ぶった斬る!
どっちがくたばるかは、そん時しだい。




 魔空安土城の城門前で、織田信長は猟兵達を待ち構えていた。魔軍の部隊は十万を超える徳川の幕府軍を相手取る事で精一杯だ。様々な妨害を仕掛けてあったはずなのに……猟兵という奴らは実にしぶとく、予想外の行動を起こしてくれる、と。考え得る最も不利な状況下に置かれているにも関わらず、魔王は不敵に口元を歪めていた。自身の生死にも関わるその戦いを、楽しんでいるかのように。
「ここまで面白い戦をして魅せたのだ……褒美に、儂も派手にもてなしてやらねばならんだろう」
(おっしゃる通りで。早速二匹ほど迷い込んで来ましたぜ)

 先陣として乗り込んできたのは、天海空・奏楽(道士見習い・f13546)とニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)だ。信長は彼等を確認すると、有無を言わさず炎の闘気で二人を飲み込む。
「よく来たな、猟兵達よ」
 歓迎代わりの眩い炎が二人の眼前に広がった。熱さを感じる前に、激しい爆音が――。

 ――っ。何が、起こった。
 アラタは一瞬意識を飛ばしていた。地面が頭上に見える。眼を焼かれないように腕で庇ったその時、激しい爆発を喰らって吹き飛ばされたのだ。次に感じるのは左手を焼く激痛だ。繋がれた炎の鎖が激しく燃え盛っている。そして、そのまま地面に身体を打ち付けられてしまった。

 敵の初撃は耐え抜く事を選択した二人だったが、そのダメージは予想以上に大きかった。
「はっはーっ、この程度の炎で良かったなぁ。これならまだまだ耐えられそうだぜ」
 それでも、アラタと同じように爆破され同等の深手を負っているはずの奏楽は、鼻歌をうたう。繋がれた左手の鎖をガッシリと、自分の右手で掴む。肉が焼ける音と焦げる臭い……例え掌が焼けようと。敵の好き勝手に引きずり回されないように、どっしりと構える体勢だ。
「炎にならちょっぴり耐性あるもんねー……強がりだけども! 俺は絶対にこの手を離さねえ!」
 だから、大丈夫だ。作戦を決行するぞとアラタに視線を送る。

 仲間が根性を見せてるのに、寝てばかりじゃいられねえなあ。地面に転がりながら、自分の左手でも燃える鎖をアラタは見つめた。ゴムでないなら、距離を詰めればたるむかもしれない。このまま焼かれ続けていても勝機はない。身体はボロボロだが、痛みには慣れているアラタは無理やり立ち上がり、そして信長へ向かって駆け出したのだ。
 その手に握るは、妖刀『輪廻宿業』。数多の持ち主と共に戦場を渡り歩いた打刀は、今はアラタの相棒だ。相手が例え魔王であっても、打ち負けるつもりはない。
 ガキィン――刃が交わされる高い音が響く。
「自ら決戦の場に足を運んだ事は褒めてやる。だが、儂の魔剣技はそう甘くはないぞ」
「ぐ、ぅ……っ」
 妖刀諸共、アラタを押し潰そうと圧をかけてくる信長の魔剣が、重い。力の入れ過ぎで震えながら、アラタは耐える。その三白眼の目はまだ光を見失ってはいない。諦めずに、攻撃のチャンスを窺っているのだ。

 そんなアラタの攻防を見て、奏楽はすうっと一息吸って、吐いた。
「最後まで戦うって自己陶酔してっかもしんないけどさ。猟兵だって傷だらけだし、エンパイアの人達に犠牲だって出てる」
 戦争なんてやったって誰も勝ちはいねえ。
 奏楽の焼け爛れた手に力が籠る。溢れる怒りを怪力に変えて、更に見えない気流を操る『天地動転』を発動させた。
「苦しいばっかりだ! だから終わらせる!」

 突如、信長と奏楽を繋ぐ炎の鎖が勢いよく引っ張られた。見えない気流が繊細に操作されて、数多の見えない手が鎖を掴んで同方向に力をかけたのだ。
「アラターー!」
(あいつの体勢を崩すから! 足元すくってやっから! そこを狙ってくれ! 俺が墨屑になる前にだ、頼んだぞ!)
「奏楽ーー!」
(お前が掴んでくれた勝機、無駄にはしねえ。体勢が揺らいだら、弥助ともども、信長をぶった斬る!)
 二人の間では、それで十分だった。
 信長が予想外な方向へ繋がっている腕を引かれると、妖刀への重圧が解ける。その一瞬の隙を逃さずに、必殺の一撃『剣刃一閃』が放たれた――。

「ほお、この鎧に傷を付けるか」
 見事な策だ、と。信長は禍々しい鎧に刻まれた新しい傷をなぞる。妖刀は、鎧の胸部を裂くように大きく跡を残したが、身体までは届かなかったようだ。
 もう少しだけ信長の体勢を崩せていれば。
 あと一歩踏み込んだ一撃を放てていれば。
 爆破のダメージが深い二人にはこれが限界だったようだ。追撃も難しい二人は、苦々しく魔王を見上げた。
 しかし、猟兵の覚悟に無駄なものなどないと、信長は最期に知る事となる。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

レフティ・リトルキャット
※詠唱省略やアドリブOK
にゃぅ、信長にゃんは強敵にゃね…僕はどうしようかにゃあ。剣の花びら…キラキラ反射するかにゃ?そんな中で踊れたら楽しそうにゃね。うん…スリルを求めて冒険するにゃ。

僕は呪い(アイテム)によって子猫に変身し、髭感知で動きを見切り、肉球による盾受けや爪による武器受けで攻撃を受け捌き、戦場にミュージックエナジーを鳴り響かせて己を鼓舞し、無数の剣の花びらの中を踊る様にダンス回避。
隙をみて仕上げに、12代目様のUC【スーパースターキャット】を発動。煌めく子猫に変身し、光を剣の花びらにあて乱反射して魅せるにゃ!。
踊りながら爪や肉球によるシールドバッシュで直接攻撃や剣を弾いた一撃を。




 先陣を切った猟兵達の戦いを、物陰から小さなフェアリーが見つめていた。
「にゃぅ、信長にゃんは強敵にゃね……僕はどうしようかにゃあ」
 猫のような口調の妖精は、迷いながらも決意する。どんな強敵が相手でも、自分だから出来る事、呪われた自分だから出来る技で、立ち向かっていこう。
「うん…スリルを求めて冒険するにゃ」
 レフティは代々受け継がれる呪いにより白い子猫の姿に変身して、戦場へと飛び込んだ。

 周囲を警戒する信長に向かって、白い子猫が駆ける。
「なんだ……猫? そうか、お主も猟兵か」
 動物一匹とて、予想外の脅威になり兼ねん。遠慮なく切り刻んでやるとしよう。
 信長は自身の大剣をレフティに振るうと、その刃を霧散させて、無数の大抵の剣を呼ぶ。花弁のように自由に舞うそれは、キラキラと太陽の光を反射させて輝いた。
「にゃーっ(想像してた通りにゃね。ここで踊れたら楽しそうにゃ)」
 その華美で恐ろしい剣技にも、レフティは臆する事無く猫の目を輝かせていた。
 剣の花が一斉に子猫を狙う。ぴくぴくと、髭が動いた。猫の髭は敏感なのだ。レフティの反応速度なら、このよう剣舞でもスローモーションのように感じられる。剣が飛んでくる方向を見切って避けると、刃の腹に左手の肉球を添えた。彼の盾でも武器でもあるその肉球は、シールドバッシュの要領で激しく刃を弾き飛ばす。
「にゃっにゃーん。にゃにゃっにゃっにゃっにゃーん!」
 ご機嫌に歌えば、見えない妖精達の演奏のような、ミュージックエナジーの音楽も共に鳴り響いた。
 気分が上がれば、動きはなお軽やかに。無数の剣の花びらの中を踊るようにして、刃を受けては余さず弾いていく。
「な、何なんだこの奇怪な動きをする猫は!?」
「ニャー(かつて夢見ていた世界に 喜び、悲しみ、救い、奪い、爪を研ぎ、理を携え、斯くて十二の星は活現す あの日、憧れた煌きと共に)」
 信長が思わず目を丸くすれば、とっておきを見せてやるにゃん、と。レフティは『スーパースターキャット』を発動し、煌めく子猫に変身してみせた。子猫が放つ光は直接信長に照射されるだけでなく、周囲を舞う剣から剣へと乱反射され、辺り一面を真っ白な光で覆ってしまう。
「く……目がっ」
「にゃー!」
 眩し過ぎる光で敵から視界を奪う、その隙に。眼も爪も輝らせたレフティは、渾身の猫引搔きで信長の首元を切り裂いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クシナ・イリオム
【GOATia】
アドリブ歓迎
特に偽徳川軍関係は完全自由

随分と楽しそうに戦争するね。でも、あいにく私は反戦主義者で。
…王将の駒だけで戦争してると思うなよ

まず私は信長に認識され、攻撃対象に指定されないようリダンの服の中に入って突入。
突入後、死路を呼ぶ声で偽武士を大量に召喚。
【群衆偽装】で徳川軍に見せかけてから
7割を突撃させてリダンの撤退援護と破壊効果の空打ちを狙うよ。
「勇士に続けー!」「戦いを終わらせるんだー!!」
…信長から見たら雑兵も鎧袖一触だから戦闘力がなくてもごまかせるはず。

破壊効果が終わったら残り3割の予備戦力と動ける人員と一緒に再突入。
偽徳川軍に気を取られている間に【暗殺】を仕掛けるよ。


リダン・ムグルエギ
【GOATia】
戦争はいいわよ
結構な量の服が売れたものねー特需特需
ま、前線は趣味じゃないけど

事前に防具改造衣装を多数準備
自分と両腕に抱えたマネキンに着せ、残りは風呂敷に包み運ぶわ

準備したのは
着用者が勇ましい人間に見えるような多数の衣装と
影が薄くみえるアタシの衣装
アート技術と催眠模様を活かした服にするの

狙いは攻撃対象に指定されない事だけど
クシナちゃんを対象外にできれば御の字
各種耐性有の布でまずは耐えるわ

さらに偽装群衆にも持ってきた服を着てもらう事で
より脅威に映るよう演出&指定外になる事を狙うわ

アタシのコードは服が媒体
迫る凶刃の発する音や気配だけを…信長の五感では感じ取れなくしようと試みるわ




「戦争はいいわよ。結構な量の服が売れたものねー特需特需」
 ファッションデザイナーのリダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)は戦争ビジネスで儲けを得たらしい。それでも、もういい加減終わらせようかと。独自の作戦の準備を進めていた。前線に参戦しても自分が出ないで済む方法。そんな策を巡らせる為には手間を惜しまないのだ。

 先制攻撃は受けるとしても、戦場に入る前の準備は幾ら時間をかけても構わないはずだ。そして、戦場へ持ち込む道具に制限はない。
 安土城へ着いたリダンの両腕には、着用者が勇ましい本物の人間に見えるような衣装を着たマネキンが抱えられていた。リダン自身は、逆に影が薄く見えるアート技術と催眠模様を活かした衣装を纏っている。暗示使いによる魔性のファッションショーの開幕だ。

「次の相手はお主か。まとめて切り刻んでやるわ」
 今度は油断せぬ、と先ほど一撃を喰らった首元をさする信長だったが。リダンの思惑通り、信長の視線はマネキンに集中していた。信長の持つ魔剣が散り散りとなり、魔力の種から花開くように無数の大帝の剣が咲いていく。回転しながら飛んでくる大帝の剣は、ひとつひとつが巨大な刃の花のよう。その鋭い花はマネキンを微塵にしようと切り裂いてくる。リダン自身は狙われてはいないものの、刃の嵐の巻き添えを喰らいそうになる。しかし、様々な特殊布の束のうち、引っ張り出した防刃の布を被る事で、その攻撃を耐え抜いたのだ。
 結果は上々だろう。一番の目的である、仲間の存在を隠し通し守り抜く事に成功したのだから。

「はっは、一瞬で土へと還ったか。もっと歯ごたえのある相手は来ぬのか」
 一撃で倒れてはつまらんと。次の敵へ期待するように笑う信長に、どこからか冷たい呟きが零された。
「随分と楽しそうに戦争するね。でも、あいにく私は反戦主義者で。……王将の駒だけで戦争してると思うなよ」
 リダンの服の中に隠れていた妖精、クシナ・イリオム(元・イリオム教団9班第4暗殺妖精・f00920)の静かなる反撃が始まる。

「な、なんだあの軍勢はっ。儂の部隊が既にやられたとでもいうのかっ!?」
 信長の眼下に広がったのは、千に近い人の波だ。その姿は、全員徳川軍の武士。信長軍を討ち、城の敷地内まで迫ってきたのかと、思わず驚きの声が漏れる。
「我らが指す道は絶対、これは他の道を封じる者なり」
 それらは、クシナが持つイリオム教団秘術『死路を呼ぶ声』により召喚された偽武士であった。その群衆偽装は、リダンが大量に作成して持ち込んだ防具改造衣装を着せる事によって、より信長の目に脅威に映るように演出されている。
「敵将軍の首まで後少しだー!」
「勇士に続けー!」
「戦いを終わらせるんだー!!」
 己と周囲を奮い立たせる掛け声と共に、刀を持った偽技士の軍勢は信長へ突撃していく。
「ええい、虫がいくら集まろうと虫に過ぎん。全員まとめて黄泉へ送ってやるわ!」
 信長は再び大帝の剣の花を躍らせた。もともと戦闘力のない偽武士達は一撃で地に倒れて行く。だがいくら倒されても、すぐに次なる大群が押し寄せるので、一向に終わりが見えない。
 作られた偽物の殺気に、信長は気付かないものなのか。実は、それにも仕組まれた絡繰りがあったのだ。
「あーあ、面倒臭いわ。見た時点で、戦う前に勝負は決まってるのに」
 信長の目の前の偽武士達が着ている手作り衣装。その衣装に仕込んだ暗示を見た敵は、脳から特殊な信号が放たれ嘘の情報が流し込まれる。『ゴートリック・ファウスト』により、信長の目には偽武士達の迫力が本物のように映り、そして背後に迫る本当の一撃には気付く事が出来ない。

 信長の背後に忍び寄る影。暗殺妖精のクシナが間近に迫っていた。暗器『竜の牙』が急所である頸椎を狙って振り下ろされる――。
(信長様! 後ろだ避けろ!)
 その時。信長に憑いていた弥助の思念の声が響いた。クシナの刃を寸前で避けた信長は、急所は逃れたものの、頬に赤い筋を残された。
 ビキビキビキ――信長の顔や体の表面にヒビが入って血が噴き出す。
「無駄だよ。傷は浅くても、傷から注いだ私の魔力が、内側からあなたの肉体を破壊していく」
「ぬ、おおおおおっ」
 信長は傷口を押さえて、自分の魔の力を注いで中和をしたようだ。肉体の崩壊は止まったが、その呼吸は酷く荒れている。
「弥助……よくぞ気付いた」
(いや、遅くなっちまって面目ねえ)
 あれらも何かの術なのだなと。見せかけの徳川軍もまとめて薙ぎ払われていく。
「ああ、ショーはこれでおしまいね。でもまあ、それなりに楽しんでもらえたかしら」
 その見事な戦術で魔王に深手を負わせた二人は、敵が残りの偽武士を消滅させているうちに、人知れず戦場を後にしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

吉備・狐珀
ルパート(f10937)殿と連携です

ルパート殿のトライクに相乗りさせてもらいます。
トライクに乗る前に信長の火炎や攻撃の激痛に耐える様に、
【祈り】をこめて祝詞を唱え【火炎耐性】と【激痛耐性】の【オーラ】を纏います。

ルパート殿がトライクから飛び降りるタイミングに合わせて、自分も飛び降りる。
信長が体制を崩した隙をついて【高速詠唱】でUC【破邪顕正】を発動します。
【破魔】の効果がある御神矢を間合いを詰めた【零距離】から【全力】で信長に【一斉発射】します。
憑装した弥助諸共、信長を討つ!

※アドリブ等歓迎です


ルパート・ブラックスミス
吉備・狐珀殿(f17210)と連携。

愛機こと専用トライクに二人で【騎乗】し突撃。
敵の攻撃は、剣の花びらは燃える鉛の翼からの熱風で【吹き飛ばし】。
突破された分はニクス(爆槍フェニックス)が迎撃(【誘導弾】【武器落とし】)。
闘気は命中直前に愛機の前輪を浮かせ【武器受け】。
【物を隠す】要領で車体で自分たちの身を【かばう】。

車体に繋がる炎の鎖は【火炎耐性】で凌ぎ、そのままウィリー走行で接敵。
愛機を【ダッシュ】させたまま信長とすれ違い様に飛び降り。

愛機に引っ張られ態勢を崩す隙にUC【炎抱きて白熱せし鋼肢】起動。
渾身の【怪力】をもって【鎧砕き】爆砕する。

魔王よ!その魂、散華する時だ!

【アドリブ歓迎】




 戦場に足を踏み入れれば、魔王の強力な一撃が自分達を必ず襲う。それが分かっていたとしても、自分達猟兵はその死地に自ら飛び込み、勝利の光を掴もうと足掻くのだ。
「命を惜しむことなかれ。命を惜しまざることなかれ……」
 吉備・狐珀(ヤドリガミの人形遣い・f17210)は神に祈りを捧げていた。魔王を滅する為、自分と仲間に加護を頂けるように。狐珀の涼やかな祈りの声に応えるように、優しい霊気が彼女達を包み込む。これで、準備は整った。

「ルパート殿、相乗り失礼します」
「しっかり捕まっていてくれ、狐珀殿。少々荒々しい運転になるだろうからな」
 ルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)の愛機に、二人は跨った。ルパートの鉛によって動き、また操作可能である専用の大型トライク。頼もしい相棒が勢いよく彼等を戦場へと運んで行く。

「今度は……なんだ。あの奇怪な乗り物は。本当に面白いものばかり見せてくれよる……」
 先の猟兵達との戦闘で顔中に流れる出血を拭い、それでも信長は不敵に笑っていた。好敵手は逃さない、と激しい炎の闘気を二人に放つ。
「行くぞ! 受け止めろ我が愛機!」
 炎が彼等を捕らえるその直前、ルパートはトライクの前輪を浮かせて自分達の壁としたのだ。そして轟く爆音――愛機を含めて爆発を受けるが、予め祈りの加護に護られていたルパートと狐珀は、その爆風を温かく感じる程度で済んだようだ。しかし、爆発を直に受けたトライクは炎の鎖に捕らわれてしまう。

「さあ、儂と戦え猟兵!」
 激しく信長に鎖を引かれる。そして、闘神の決闘状態に持ち込まれるはずだった。だが彼等は、それなら寧ろこちらから出向いてやる、と。トライクはウィリー走行のまま激走していく。もともとルパートの燃える鉛と融合しながら動く機体なのだ。そこらの炎に焼かれる心配もない。
「うおおおおっ、今だ狐珀殿!」「はいっ」
「……くっ、小癪な真似をっ」
 愛機をダッシュさせたまま、信長と擦れ違うタイミングで二人は同時に飛び降りる。勢いのまま走り抜けるトライクの重さに耐えきれず、体勢を崩された信長は、慌てて炎の鎖を断ち切った。

「一二三四五六七八九十 布留部 由良由良止 布留部 霊の祓」
 自分達の作り出したチャンスを逃さないように、狐珀は飛び降りると直ぐに祝詞を唱えていた。十種神宝の絶大な霊力を呼び覚ます布瑠の言は、御神矢の破邪の力を増幅させて、悪しき者へと降り注ぐ。
「零距離、全力、一斉発射――。憑装した弥助諸共、信長を、討つ!」
(……ぐ、あああああ信長様ああああ!!)
「くっ、弥助――っ」
 澄み渡る狐珀の眼差しの前で、『破邪顕正』の数多の矢により、憑依装が無理矢理剥がされていく。

「我が鉛鋼の輝きは暗く……されど今は眩く!」
 ルパートも飛び降りた直後から、自身の四肢に炎を溜めて白熱化させていた。
「その胸の鎧傷……他の猟兵が刻んだものだろう」
「蟻の一穴天下の破れ。小さな綻びが大きな亀裂となり。やがて全てを崩す切っ掛けとなるのです」
 狐珀も静かに見守る中、ルパートの『炎抱きて白熱せし鋼肢』の足が地面を蹴り、爆発の勢いで信長に飛び掛かる。

「魔王よ! その魂、散華する時だ!」

 白熱したルパートの拳が、渾身の怪力打撃を放つ。
 信長の鎧に走る胸部の傷を抉るように穿ち、ヒビを広げていく。
 そして、爆ぜるように青い劫火が噴出し――。
「ぐ、があああああああああ!!」
 魔王は、完全に打ち砕かれた。

 地面に仰向けに倒れる禍々しい鎧の風穴から、煙が立ちのぼる。体中から血を流し胸を焼かれた信長は、もう指一本動かす事も出来ないのだろう。
「儂も、散るのか。……是非に及ばず」
 炎と剣の花と。派手に暴れまわった信長は、最期に掠れた声でそう残すと、静かに瞳を閉じたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年08月24日


挿絵イラスト