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エンパイアウォー㊳~真‼︎島原の乱 幕府最後の日

#サムライエンパイア #戦争 #エンパイアウォー #オブリビオン・フォーミュラ #織田信長 #魔軍転生

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●熱くなれ
 遂に来たか、猟兵達よ。
 エンパイアを滅ぼし、渡来人共の「グリードオーシャン」の侵略もならず……。
 血塗られし彼奴らの神が如何程の物か、確かめてみたかったがな。

 さて、もはや儂に万にひとつの勝ち目も無かろうが……。
 億にひとつでもあるのならば、賭けてみるのも一興よ。
 秘術「魔軍転生」。サルよ、弥助よ、あと甲斐の虎よ、儂に憑装せよ。
 三つの力が一つでもあれば、億が一でも勝ち目は見えるとも……!

「皆、お疲れ様だニャア」
 グリモアベースの会議室。明滅するスクリーンを背景に、ピコピコと尻尾を振ってバースト・エラー(世界の不具合・f21451)が挨拶した。
「初めましてとかそういうのはいいニャ。作戦の目的は至ってシンプル、オブリビオン・フォーミュラの討伐だニャ」
 後ろのスクリーンのイケオジが敵だニャ。個体名『第六天魔王『織田信長』弥助装』――配下のオブリビオンの力を纏った戦闘形態だ。その力は三つのメガリスという、渡来人と呼ばれる者達の至宝らしい。

「例によって絶対に先制攻撃してくるニャ。はい手元のプリントを見てニャ」
 事前に配布された資料には、ざっくり“以下を注意するニャ”と丸文字で攻撃内容が説明されていた。一見単純そうに見えるが、喰らった後に相互、あるいは信長自身に影響を及ぼすものもある。
 闘神の独鈷杵:炎の闘気が命中した対象を爆破し、更に互いを炎の鎖で繋ぐ。
 逆賊の十字架:身体の一部を変形し、噛みついて生命力を奪い自身を治療する。
 大帝の剣  :自身の装備を無数の大帝の剣型の花びらに変え全周攻撃する。
 これらを耐えるか、あるいは避けるか。先にこちらのユーベルコードは絶対に発動しない――しかしそれさえ凌げれば、危機が勝機に転ずる事もあるだろう。

「まあ詳細は各自。これらをどう対処するかよーく考えるんだニャ」
 喰らえば動きを制限されるか、回復されるか、あるいは猛烈な全周攻撃にどう対処するか――判断を間違えれば、命は簡単に失われる。
「あと、ここで負けたら戦争は終わらない。世界の危機だニャ」
 あっけらかんと宣うエラー。億が一信長が八月三十一日を超えて生き延びる事があろうものなら、これまでの積み重ねの全てが水泡に帰す。最大最強の敵だ、万全を期して挑んでもらいたいニャと付け加えて、最後に本作戦の達成目標が告げられる。
「オーダーは二つ。死ぬな、勝て。以上」
 いつも通り――そうだ。いつも通り、世界を救えばいい。
「それじゃ、グッドラックだニャ」
 グリモアを内蔵した魚型の人形から磯臭いゲートが開かれる。

 どうか無事に、討伐を果たして欲しい。


ブラツ
 ブラツです。
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。1フラグメントで完結し、
 「エンパイアウォー」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●特記事項
 第六天魔王『織田信長』は必ず先制攻撃します。敵は、猟兵が使用するユーベルコードと同じ能力値(POW、SPD、WIZ)のユーベルコードを、猟兵より先に使用してきます。
 彼を攻撃する為には、この先制攻撃を『どうやって防いで、反撃に繋げるか』の作戦や行動が重要となります。
 対抗策を用意せず、自分の攻撃だけを行おうとした場合は、先制攻撃で撃破され、敵にダメージを与える事はできないでしょう。
 対抗策を用意した場合も、それが不十分であれば、苦戦や失敗となる危険性があるので注意してください。

 プレイング募集は公開と同時ですが、判定は公開翌日より、
 一日1~2組(人数制限はありません)前後を想定しています。
 全体の戦況如何で他のシナリオとの作業優先度が変動しますが、
 気兼ねなくご参加頂ければ幸いでございます。
 連携アドリブ希望は文頭に●を、同時参加を希望の方は識別子をお願いします。
 それではご武運を。世界をよろしくお願い致します。
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第1章 ボス戦 『第六天魔王『織田信長』弥助装』

POW   :    闘神の独鈷杵による決闘状態
【炎の闘気】が命中した対象を爆破し、更に互いを【炎の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    逆賊の十字架による肉体変異
自身の身体部位ひとつを【おぞましく肥大化した不気味な鳥】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    大帝の剣の粉砕によるメガリス破壊効果
自身の装備武器を無数の【大帝の剣型】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:UMEn人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その空間は天守閣へ通じる通路の筈だった。
 転移させられた場所は魔空安土城内――その一角。
 無限に広がる三層構造のだだっ広い板張りの間。
 正に魔の空間、物理法則の通じない、有り得ない空間だ。
 その奥、上階へ通じる階段の前に信長はいた。
 背後には弥助アレキサンダーが炎の様な姿になって、
 信長を守る様にその姿を誇示している。
『来たぜ、信長様――やるんだろう』
『ああ、行くぞ弥助――メガリスを開け』
『チェンジメガリス! 全ては信長様の為に!』
 赤く燃ゆる炎が一層の勢いを増して――戦端が開かれた。
荒谷・つかさ
お出ましのようね。『第六天魔王』織田信長!
この世界の命運を賭けた戦いの中……不謹慎かもしれないけれど。
会えて嬉しいわ、とても。
……ええ、寝物語にも聞いた伝説の武将が目の前に居て、しかも戦えるだなんて!
(珍しくとても興奮している)

・対先制攻撃
鬼瓦を装着した両腕で防御して受ける
この際属性攻撃(風)の応用で手甲に高圧縮した空気を纏い、闘気及び爆破に対して解放し返す事でダメージ軽減を図る(爆発反応装甲の原理)
ただし、炎の鎖は受けて繋がれておく

・反撃
繋がれたのを認識したら、先手を取り怪力で鎖を思い切り引っ張る
そのまま肉弾戦に移行、チャンスを見て【鬼神爆炎掌】を発動させる

チェーンデスマッチは得意なのよっ!


メルノ・ネッケル

闘気を防ぐ手段は少ない、ならば傷つき縛られることを念頭に入れるしかない。
【勇気】を出せ……ここで負ける訳にはいかへんのや。
リボルバー一丁を構え……第六天魔王、いざ勝負っ!!

闘気からの爆破を対弾性のある「ハゴロモコート」で遮り少しでも防ぐ!
そこからは炎の鎖に繋がれ、良くて防戦一方。
手が動けば動きを【見切り】、トンファーでの【武器受け】を試みるけど……どうやっても瀕死にはなる。

……けれど、倒れなければ逆転の目はある。瀕死で無ければ打てん一手をここに!
出でよ、この地に眠る『戦場の亡霊』!
奴の後ろに亡霊を呼び出し、意識外からの射撃を!
バレた後も亡霊相手に鎖は通じへん。うちの分まで、暴れてくれ……!!



●HEATS
「――お出ましのようね。『第六天魔王』織田信長!」
 荒谷・つかさ(風剣と炎拳の羅刹巫女・f02032)が気炎を吐いて、眼前の魔王に啖呵を切る。
『ほう、小娘一人か……儂も見くびられたものだ』
「ウチも忘れてもらっちゃ困るで!」
 ガチャリとリボルバーを構えて、メルノ・ネッケル(火器狐・f09332)が続く。先陣の二人が広間で魔王と対峙した直後、先に動いたのは信長。
『悉く去ね、力不足も甚だしい』
 信長が手も動かさず、背後の弥助を炎に変えて二人に放つ。まるで後光の様に広がった灼熱の闘気は、二人に回避する暇も与えない。空間が、炎に包まれた。

「早速――でもね、それは分かっていた事よ!」
 闘気がつかさに直撃し、爆ぜる。両腕の鬼瓦に風を纏わせてダメージを最小限に――しかしそれだけでは防げない。二重三重に爆発する炎の闘気は風のヴェールを剥がし、その奥の鬼瓦を灼熱で焼き尽くす。
「……クッ!」
 一歩後退、圧倒的な信長の圧はつかさの鉄壁すら物ともしない。だが、この世界の命運を賭けた戦いの中……不謹慎かもしれないけれど。
「会えて嬉しいわ、とても」
『フン、世迷言を』
 ……ええ、寝物語にも聞いた伝説の武将が目の前に居て、しかも戦えるだなんて! 瞳の奥が爛々と燃えて、爆圧を凌ぎ切らんと床下を踏みしめる。一歩、例え後退しても……その倍の数、前に出ればいいだけよ! 豪著な装甲が剥がれ落ち、内側に仕込まれた武骨な骨格が剥き出しになる。決死の白装束が縁からチリチリと燃え上がり、吹き荒ぶ風がそれを鎮めても、幾度となく火の手が上がる。だがその灼熱の中、鬼は己の牙を研ぎ澄ます。来るべき時に必殺の一撃を喰らわす為に。

(流石に避け切れるモンじゃない――けれど)
 ハゴロモコートで身を覆い、度重なる闘気の重爆を耐えるメルノ。けれど、倒れなければ逆転の目はある。
「ハッ! 火付けしか能が無いんか大魔王、おどれのラストと同じやん」
『ここにきて儂を愚弄するとは……いいだろう』
 是非も及ばぬ地獄を見せてくれる。ニヤリと口元を歪めた信長が、初めて動いた。
『弥助、メガリスを』
『おうよ! オープン決闘! 爆炎チェンジ!』
 瞬間、信長の手から灼熱の渦が巻き起こる。その中心には炎の鎖――蛇の様にのたうつそれが、信長とメルノを結び付けた。
『このまま焼き殺されるか、それとも儂と刃を交えるか』
 スラリと太刀を抜いた信長がメルノへと近づく。炎の鎖で繋がれた二人は、どちらかの命が断たれる迄消える事は無い。
「ええやろ。ほな行くで」
 勇気を出せ……ここで負ける訳にはいかへんのや。纏わりつく爆炎を払い、手にしたリボルバーを信長に向けてメルノが進む。
「……第六天魔王、いざ勝負っ!!」
 銃声が響く。その一撃を白刃で払い、信長が駆ける。
『そんな脆弱な鉄砲でどうにか出来るとでも……!』
 一閃、兜割りがメルノの頭を砕かんと放たれる。それをトンファーで受け流し、かろうじで直撃を避ける。だが。
「馬鹿な……これだけで……!?」
 太刀を受けた衝撃がトンファーの柄を破壊して、続く二の太刀が逆袈裟でメルノを襲う。これでは躱しきる事は、難しい。
『焼き尽くされるのは貴様の方だ、妖狐』
 片手で振り上げた一撃が、斜めにメルノを斬り付けた。僅かに間を取った所で既に懐に入られたメルノは全てを躱せず、脇腹から胸下まで赤い跡が線を引く。
「いいや……まだ……」
 ぐらりと倒れるメルノ。その背後で灼熱を纏った鬼が、双眸を怒りで燃やしていた。

「許さん……第六天魔王!」
 鬼が吼える。燃える床を蹴り上げて跳躍――信長の頭上目掛けて鉄拳を解き放つ。
『うつけが、そんなもので』
 儂を叩こうというのか。太刀を持たぬ左腕を上げて、灼熱の渦が巻き起こる。
『あの炎を受けた時点で、貴様らの敗北は決まっていたのだ』
 蛇の様な炎の鎖がじゃらりと纏わりつき、クイッと引かれた腕の動きに合わせてつかさを地面に叩きつけた。
「……痛いわね、でも」
 チェーンデスマッチは得意なのよっ! 地に伏せたまま、その鎖を強引に、豪快に引き寄せて――。
『何!?』
 そんな力が一体どこに。体勢を崩した信長が倒れまいと足腰に力を入れる。その反動を利用してつかさが再び飛び上がり、拳から己の爆熱を解き放った!
「私のこの手が砕いて燃やす!」
 纏わりついた炎が風に飛ばされて、炎の輪の様につかさの背後を熱く照らす。
「悪を滅ぼせと唸りを上げるッ!」
 そしてつかさの胸元を中心に黄金の炎が巻き上がり、その輝きが全身を包み込む!
『させるものかよ、小娘!』
 弥助! 背後の炎の亡霊が腕を組んでつかさの前に立ち塞がる。だが。
「言うたやろ……ウチも忘れてもらっちゃ困るで」
 メルノの声が至近から――否、それは戦場の亡霊。飛び掛かろうとする弥助を背後から羽交い絞めにして、手にしたリボルバーが独鈷杵を撃つ。
「何度も使わせるか阿呆! 今や!」
「ええ! ここねッ!」
 暴れまわる亡霊に視界を塞がれた信長の頭をつかさが掴んで……光が爆ぜた!
「鬼神! 爆炎掌!」
 ボロボロの鬼瓦が赤熱化して、同時に爆ぜる。つかさの掌から放たれたエネルギーの奔流はそのまま、信長を階段前まで吹き飛ばして……空間に静寂が戻った。

「やったか!?」
「いや、まだ……」
 吹き飛ばされた衝撃で崩れた残骸を払い、第六天魔王は再び身を起こす。
『やるな小娘、兜が無ければ即死だったぞ』
 いつの間にか被っていた南蛮兜はバラバラに崩れ落ち――信長は自身の健在を誇示した。戦国武将なら確かに、全身に具足甲冑を身に着けていてもおかしくは無い。
「そんな……」
「いや、独鈷杵も兜も駄目にしたった。ウチらはやったんやで」
 少なくとも力の一端を削ってやったのだ。それもたった二人で。
「引くで――それにまだ大丈夫や」
 仲間がいる。血を吐きながらふらつくメルノをつかさが支えて、つかさは信長を睨みつける。
「これで終わりじゃないわ」
『フン、精々足掻くがいい』
 光が二人を包み込む――転移完了。闘気の炎が焼き尽くした跡を残して、信長は再び一人佇む。
『この第六天魔王、まだ終わりではない』
 億が一でも勝ち目がある限り、ここに立ち続けようぞ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ビードット・ワイワイ

見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり
勝算あらぬ負け試合、戦局読めぬ将ではなかろう
それでもこの場で立つならば、よかろうここで果てるがよい
ここが汝の破滅なり

その体が生命吸収するならば我が重ねし防具、守りを強固にを
防具改造し腕に集約。オーラ防御を纏い序でに毒使い多少は
弱らせよう。あえて腕で受けることでその攻撃を受け止めよう

矮小なりしこの身ではこの程度しか出来ぬものだが
強大なりしこの者の前ではどうなるか
UCにて呼ぶは暴竜怪獣ギガレクス
その強靭なりし牙にて織田信長を穿ち喰らえ
太古の猛威を見せつけよ
最後にその身を犠牲に放つは尖りし尾を使いし
ジェノサイダーテイル
汝の勇姿は電脳に刻もう


ガーネット・グレイローズ

いざ、勝負だ信長! 貴様を倒し、エンパイアを守り抜くぞ!

【SPD】で勝負!相手は肉体変異させて食らいついてくるだろう。
しかしこちらにも策はある。<残像>を発生させながら接敵、
肉体変異のタイミングを<第六感>で読みながら、【闇夜の住人】を発動!
共に戦う仲間の傍にテレポート。
<空中戦>でコンビネーションをかけて反撃だ。ブラッドエーテルによる
<生命力吸収>の波動を打ち込み、さらに<念動力>で骨の刀・躯丸を飛ばして
刺し貫き、呪いの力による<マヒ攻撃>を与える。
信長が動きを止めたら妖刀アカツキを抜き、再度【闇夜の住人】を発動。
吸血コウモリと共に斬りかかり、逆に<吸血>で血を吸いつくしてやろう!



●STORM
「見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり」
 フォンフォンと空間に響く異質な音。現れた影は……。
『サル――いや、サメ?』
 信長の眼前に機械仕掛けの巨大な鮫が。それがビードット・ワイワイ(根源的破滅招来者・f02622)、良き終末を齎すべく世界を跨ぐ破滅の徒。
「勝算あらぬ負け試合、戦局読めぬ将ではなかろう」
 淡々と電子音声が響く。謡う様に朗々と。
「それでもこの場で立つならば、よかろうここで果てるがよい」
『笑止、絡繰り風情が出過ぎた真似を』
 信長が立つ。空いた手をビードットにゆらりと向けて。
「――ここが汝の破滅なり」
『道具は道具らしく、人の手に収まれば良いのだ』
 刹那、異形が空間を埋め尽くした。

 十字架の輝きと共に信長の五指が膨れ上がり、五首の怪物めいた超常に――メガリスの力、全てを喰らい尽す暴食の化身。
「その攻撃は予測済み。我より早く、我より脆い」
 守りを強固に――見通す眼が弾き出した結論は、絶対の防御。喰らい付くのならば、喰らい切れなければよいだけの事。生命を蝕む毒と生命を護る気の奔流が装甲を包んで、鋼鉄を啄む嘴を汚していく。しかし。
『それで、貴様は何をする』
「――矮小なりしこの身では、この程度しか出来ぬものだが」
 既に予測済み。我は一人に非ず。瞬間、赤い影が戦場に舞い降りる。
「いざ、勝負だ信長!」
 貴様を倒し、エンパイアを守り抜くぞ! ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が骨身の太刀を振り被り、颯爽と信長へ斬り掛かる。
『笑止、そんな喰い残し如きで、儂をどうにかしようと』
 うつけが。ビードットに向いていた一指がガーネットに迫る。ぶくぶくと膨れ上がった鳥類の頭めいた異形は、槍の様に鋭い嘴をガーネットの眼前へと向かわせて、その頭を喰らわんと大口を開ける。
「!」
 思ったより早い。絶対先制は伊達ではないか――しかしこちらにも策はある。
『ほう、舞を踊るか』
 ならば暫し舞って魅せよ。ガーネットが残像を撒いて回避を試みれば、音速の土竜叩きじみた奇異な挙動で鳥頭が頭上より迫る。いかれた杭打機の様に次々とガーネットを啄む鳥頭。しかし悉く外れ――赤い影が霧散する度、その数を増やしていく。
『見事。ではこれならばどうか?』
 瞬間、ビードットを喰らわんとしていた四つの鳥頭が、一斉にガーネットを襲う。
「全部叩き込んできたか――その時を待っていた!」
「然り、うつけとは汝の事」
 我は識っている。五つの鳥頭がガーネットを喰らおうとした刹那、全ての影が消えた。そしてぐらりと、空間が震えた。

「ロードルーイン、人を脅かす怪しき巨獣」
 呪われし力ある言葉と共に、巨影がビードットの前に姿を現す。
「その巨体は安らぎ奪う」
 ユーベルコードで呼び出されたそれは、床板を踏み抜いて、更に大きく威容を示す。
「それを阻むは更なる力」
 その威容が天井を貫いて、その先の、その先の天井に順々と大穴を開ける。
「超えることは未だ叶わず」
 かくして彼らは滅んだ。では汝は如何する。蹂躙するは完成された個、暴竜怪獣ギガレクス――。
『こいつは凄えぜ! なあ、信長様!』
『落ち着け弥助、流石に儂もたまげた』
 だが、それで何とするのだ? 三層構造の頂上ギリギリに差し掛からんとする巨体は、バリバリと構造物を破壊しながらその巨腕を信長に向けて。
『儂には喰い応えのある獲物にしか見えんよ』
 信長が異形と化したその腕をギガレクスに向けて振るう。五首の鳥頭はその腕に絡みつくように這い寄り、嘴で巨肉を貪り喰らう。
「太古の猛威を見せつけよ」
「って流石にこれは……私も驚いたが」
 然り。いや然りじゃないって。影が消えた刹那、吸血蝙蝠と共にビードットの傍へと転移したガーネットが漏らす。目覚めよ破滅と呼び起こされた仮初の個を一瞥して、再び骨身の太刀を構える。
「だが勝機だ、アレに掛かりきりの今なら」
 奴の首を刎ねるのも容易い。ガーネットが空を駆ける。眷属の吸血蝙蝠を纏って、狙うは信長ただ一人!
『――気づかぬと思ったか? 弥助!』
 応! 背後の亡霊が勇ましく信長の前へ出る。炎の様な闘気を纏い手にした大剣を大きく振るった。その衝撃がガーネットを襲うも、蝙蝠の挺身がそれを食い止める。
「済まない! だがすぐに戻してやる!」
 弥助が蝙蝠に阻まれた瞬間、ガーネットが手にした骨身の太刀を真紅を投げ放ち――その刃が信長の首を狙う。
『ぬるいわ。破れかぶれで儂を倒そうというのか、小娘!』
 しかし投擲された刃は信長の手の太刀に払われて、切先が床板に突き刺さる。だがその瞬間こそがガーネットの狙い。
「矢張りうつけはお前の様だな、信長!」
 ガーネットの二の太刀――真紅の念動波が信長の全身を包み込んで、その生命力を奪う。一瞬脱力したその隙を、続けて念動力で再び飛翔した骨身の太刀が斬り付ける。背後より切りつけたその一撃が、信長の外套を真紅に染める。
『何と、だがそれでこそ戦い甲斐のある相手よ!』
 弥助は蝙蝠が――ガーネットが喰らった生命力で再び息を吹き返した眷属が行く手を阻み、骨身の太刀の呪いが更に信長を蝕む。今や完全に動きを封じられたのだ。
「これで終わりだ、織田信長!」
 飛翔したガーネットが再び姿を消す。そして信長の眼前に――手にした妖刀が鈍く光を反射して、今度こそその首を落とさんと迫る。
『愚かな』
 再び十字架が光を放ち――信長の顔面が異形の鳥と化した。その嘴は妖刀の一撃を文字通り食い止めて、首の一振りがガーネットを地面へと叩き落す。
『二度目を使ったな、貴様』
 故に先んじる。漏れ出た闘気を生命力に置換して、力を取り戻した信長が自らの太刀を大きく振り上げた。狙うはガーネット、眼下の少女にその白刃を投げつけんと、身体を捻ったその時。
「見たり見たり見たり、汝の破滅を見たり」
 ぐらりと信長の視界が揺れる。破滅の巨獣がその腕を大きく振り上げ、絡みついた五首の鳥頭が引っ張られる。喰らい尽せる訳が無い。仮初とは言え破滅の化身、相応の力が無ければ、それを消す事など不可能。
「最後にその身を犠牲に放つは、尖りし尾を使いし」
 ジェノサイダーテイル。殺戮と蹂躙の権化が、信長に破滅を齎した。

「汝の勇姿は電脳に刻もう」
 ジジ、と擦れた様な電子音を響かせてギガレクスが姿を消す。大穴の開いた横に広い空間は何だか滑稽だが――それだけこの戦いの激しさを指し示す。
「これで、終わったか……」
「否、魔王もまた不滅。されど我等の与えし一撃は、その生を破滅へと向かわせた」
 それは紛れも無い事実。ガーネットの陽動がなければギガレクスは現れず、ギガレクスが居なければガーネットもまた、一命を危機に至らせる所だった。
『真に奇怪な機械どもよ……』
 がらりと、崩れた床下より信長が姿を現す。既に元の顔と腕に――しかし背後の弥助が身に着けた十字架は、独鈷杵に続いて無数の細かなひび割れが刻まれていた。
『だが儂はまだ健在ぞ。如何するか?』
 首をこきこきと鳴らし太刀の切先を猟兵達へ向ける信長。十字架に傷を入れた以外、事態は振出しに戻ったに過ぎない。
「――汝の破滅は必定」
 淡々と返答するビードット。モノアイが橙の光を放ち、無言で信長へ圧を掛ける。
「故に、ここは撤退を推奨」
 これ以上の戦いは消耗戦になるだけ。放っておけば滅びる者に拘る必要性は皆無。
『ほう、逃げるのか』
「否、定めは覆せず」
 心せよ。ビードットの電子音が掠れると共に、二人の姿も空間に消えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ナイ・デス
決戦も、ソラ(f05892)と一緒なら……!

終わらせましょう。信長さん、骸の海へかえる時、です

ソラ、全力でサポート、します!

ソラと二人、互いを【かばう】ように
剣型の花びらを【第六感で見切り】黒剣に触れたもの【吹き飛ばす念動力】纏わせ防ぐ
防ぎ切れなくても【オーラ防御】の光で二人を包み軽減
【覚悟と激痛耐性】で耐え
『生まれながらの光』で全身強く発光
二人とも高速で、完全回復
光は信長さんも照らすが、回復はしない
敵からは【生命力吸収】する
鎧や装甲に覆われた人も癒せるように【鎧無視攻撃】光は奪う
【暗殺】眠るように奪い尽くして殺す時のように、奪い尽くして殺すは無理でも、気付かぬうちに、力を奪い

ソラ……!
反撃!


ソラスティベル・グラスラン
……ついに決戦ですね、ナイくん(f05727)

歴史書の偉大な英雄たち…彼らが目の前にいる
本物と出会えた運命への歓喜、そして武者震い

あちらは二人、ですが大丈夫
わたしたちも二人がかりです!
時代を拓いた英雄たちよ、今こそ雌雄を決しましょう!!

大帝の剣を二人で死角を埋め防ぎ【かばう】
炎の如き闘気を、我が胸に燃ゆる【勇気】の炎で貫きます!
【盾受け・オーラ防御】で軽減、【火炎耐性】と【気合】で耐え、
炎の鎖を掴み、―――【怪力】でこちらに引き寄せますッ!

『織田信長』公
時代の開拓者、戦国の世の大英雄

尊敬します、憧れます
ですが『勇者』として討たねばなりません
貴方こそがこの世界を脅かす、『魔王』なのですからッ!!



●DRAGON
『破滅か――フン、億が一とは言ったが』
 それがひたりと迫る様は、何とも背筋に冷たい物を差し込まれる様だ。
『その億が一を引き当ててこそだ、なあ』
 弥助よ。背負いし忠義の亡霊に声を掛ける信長。だが弥助の目は既に、次の相手を見据えていた。
『来たぜ、信長様。童の様だが――』
 油断は禁物。今更言われるまでも無い。太刀を構えて、二つの影と対峙する。

「『織田信長』公。時代の開拓者、戦国の世の大英雄」
 ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は打ち震えていた。歴史書の偉大な英雄たち……彼らが目の前にいる。その事実に、本物と出会えた運命への歓喜、そして武者震い。
「尊敬します、憧れます――ですが」
『ほう、何だ竜の小娘』
 信長には分かっていた。橙の髪をふわりと浮かせた目の前の少女は、紛れも無い戦士。かつて戦場で幾度も見えた戦国の英傑達と同じ、勇気ある者の目をしている。
「ですが『勇者』として討たねばなりません。貴方こそがこの世界を脅かす、『魔王』なのですからッ!!」
『如何にも、儂こそが第六天魔王『織田信長』その人である』
 その目をした者が幾度となく己の覇道を遮り、その度に下してきた。故にやるべき事は一つだ。
『かかってこい勇者とやら、貴様の力を……見せてみよッ!』
 信長が眼前に手を翳すと共に、弥助の大剣――大帝の剣が光を放つ。瞬間、信長の太刀がふわりと空間に溶け込み――無数の花弁と化した。
『行くぞ弥助、戦の嵐を巻き起こせ!』
『応よ! チェンジメガリス! スイッチ!』
 渡来人の言葉でそれは転換――弥助が巻き起こした風に乗り、花弁が巨大な大剣に姿を変える。
「……ついに決戦ですね、ナイくん」
「そうです、ソラ。全力でサポート、します!」
 傍らのナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)がその声に頷く。あちらは二人、しかしわたしたちも二人がかり。数では決して引けを取らない。
「はい。こんなもので! わたしたちの勇気は、負けません!」

 ソラスティベルが蒼空色の大斧を構える。飛来する無数の大剣を払い、砕き、その背はナイが、二振りの黒い短剣で抜け漏れた刃を打ち落とす。二人の周りを大剣だった花弁が埋め尽くし、さながら嵐が過ぎ去った花畑の様に不可思議な光景を見せていた。
『ほう……意外とやる。ではこれはどうだ?』
 信長が右手を開く。瞬間、散り積もった花弁が再び大剣と化し、竜巻の様にその中心へ二人を呑み込んだ。
『さてどうする、動けば断たれる。動かなくとも――いずれ断つ』
 大剣の竜巻は徐々にその半径を狭め、既にその縁が二人を徐々に刻んでいく。
「何と、流石大魔王!」
「天魔王、です、ソラ」
 迂闊に触れれば大斧ごと竜巻に飲み込まれかねない。放っておけば縮む竜巻の半径が二人ともバラバラにしてしまうだろう――これ以上、好きにはさせない。
「ソラ、道を、作ります」
「ナイくん!?」
 ナイの決断、それは起死回生の一撃。光がナイを包み、それに触れたソラスティベルの傷を癒す。しかし己を蝕む光は、いつまでも放てるものでは無い。
「この竜巻が晴れたら、飛び込んで、下さい」
 信長の下へ。ふらつくナイを支えながら、ソラスティベルがそれを察する。決断の時は近い。ナイが心配だ、だからこそ確実に――仕留める。
「……分かりました、ナイくん」
 ナイを支える手を離し、大斧を担ぐソラスティベル。その勇気ある決断を見やり、ナイは二振りの短剣を頭上に掲げ、僅かに見える信長の方へ思い切り振るう。
「覚悟は、出来ています――ソラ」
 頼みましたよ。その衝撃が大剣の竜巻を一時吹き飛ばし、重ねた念動が飛ばした刃を地に深く刺す。それはまるで、剣の道を形作る様に。
「行きますよ、第六天魔王!」
 己の内で燃え上がる勇気の声に従い、ソラスティベルがその道を駆ける!
『うつけが、正面から来るものがあるか!』
 亀裂の入った独鈷杵が燃え上がる。その勢いは嘗てより弱い――されど、超常の力は健在だ。放たれた闘気の炎がソラスティベルを包み込み、その身体を焼き焦がす。
「まだです、わたしの勇気は――そんなもので燃え尽きたりはしない!」
 瞬間、爆発。立ち込める黒煙の中、竜の戦士が吼える。
「時代を拓いた英雄たちよ、今こそ雌雄を決しましょう!!」
 そして炎の縛鎖が二人を結び――それを強引に手繰り寄せたソラスティベルの下へ、信長が引きずり出された。
「これが、勇気ある一撃!」
『流石だ……猛き勇者よ!』
 ブンと鎖を自身へ向けて怪力で引っ張る。宙を舞いソラスティベルの真正面にその姿を晒した信長へ大斧が振るわれようとした時、弥助の亡霊が大剣を手に前へと出る。
『だが、俺を忘れてもらっちゃあ困るぜ!』
 寸前、大帝の剣が大斧を受け止める。だがソラスティベルの生命の火は未だ煌々と燃え盛る――そんな物で止められるほど、柔な一撃ではない。
「忘れてなどいません。むしろ今が好機!」
 反動で再び担ぎ上げた大斧に、煌めく蒼き燐光が集う。
「これぞ我が勇気の証明、来たる戦渦の最前線!」
 その燐光が大斧を更に巨大な光輝く必殺の決戦兵器へと変貌させて。
「今こそ応えて、蒼雷の竜よ!!」
『いかん、戻れ弥助!』
 蒼雷が落ちる。縛鎖が千切れる。そして超常が火花を散らす!
「させません、よ」
 弥助を止める信長がすかさず花弁を斧が太刀へと戻し、その隙をナイが地を這う様に駆け抜けて――信長の懐へ短剣を押し付けた。
「ソラ……! 反撃!」
「光に、還れぇぇぇぇ!!!!!!」
 星すら断ち切る一撃が、弥助と大帝の剣を真っ二つに割る。若き勇者たちの闇を払う強き意志が、魔王の家臣を再び虚無へと誘った。
『弥助ッ!』
 ナイの一撃は信長より生命力を奪う。癒しの輝きで削がれた生命の火を再び灯したナイは、そのまま信長へ致命の一撃を加えんとした。だが。
『小童共、遊びは終わりだッ!』
 信長が拳を振るう。その一撃で吹き飛ばされたナイを追い、振り被った太刀を一閃――しかしそれは、ソラスティベルが漆黒の小盾で受け流し、返し刃をブンと振るう。一歩引いてそれを躱した信長が、鬼の形相でソラスティベルを睨みつけて。
『ここまでやるとはな、見事と言いたい所であるがッ!』
『案ずるな、信長様――俺はまだ、消えちゃいねえよ!』
 正面からかち割られた弥助の亡霊は、多少その姿がおぼろげになりながらも二度死ぬ事は無かった。されど大帝の剣はその刀身を半分失っている。同等の力は最早発揮出来ないだろう。
『……この魔王を怒らせた罪は重いぞ。覚悟は出来ているだろうな!』
 弥助という炎を背負った第六天魔王は太刀を正眼に構え、二人の猟兵と対峙する。
「覚悟――ええ、わたしたちの勇気は未だ燃え尽きてはいません!」
「ソラ、でも、これ以上は危ない」
 三つのメガリスが弱まっていたとしても、こちらも同じ手は二度と使えない。
「ナイくん、ですが」
「引く事も、勇気です、ソラ」
 あの時誓ったのだ。わたしたちの冒険はこれからだ。だからこんな所で終わらせる訳にはいかない。もっと長く生きて、世界を知る為に。
「……そうですね、ナイくん」
 大剣は折り幽霊もボロボロ、見れば他のメガリスも傷だらけだ。だが自分達も手の内は晒され、幾ら回復したと言ってもナイの身体は、癒しの反動で未だ痛めつけられている。続けて同じ事をすれば、今度こそ危ないかもしれない。
『行くぞ猟兵』
 溜めも無く疾駆した信長。太刀を脇に構え、一足飛びに必殺の斬撃を――しかしその一太刀は浴びせられる事は無かった。
「口惜しいですが、信長公――ここまでです」
「ですが、勇者は一人では、ありません」
 ふわりと虚空に勇者達の姿が消える。
『フン――いいだろう』
 誰が来ようと容赦はせぬ。こちらにも奥の手はまだあるのだ。
 戦を望む信長の哄笑が、虚無の広がる空間に響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神埜・常盤


骸の海と云うより、地獄から蘇ってきたみたいだ
太平の世にお前の居場所など無いよ
第六天へと送り返してあげよう!

剣型の花びらとは風情が無いねェ
オーラ纏わせた護符を盾状に展開して防ぐ他
可能なら花弁が落ちる軌道を見切って回避したり
降って来る花弁を影縫で切り裂きたいところ
受けた傷は激痛耐性で凌ぐとしよう

――さて、信長公には僕の奇術をご覧にいれよう!
天鼠へと姿を変え、敵本体へと捨て身の一撃
その鋭い牙で鎧無視攻撃を行おう
序に喪った体力を吸血で取り返そうかなァ
魔王の血が僕の飢えを満たしてくれると良いが

人型へ姿を戻したら、毒を滲ませた影縫にて串刺し攻撃
後に続く仲間が遣り易いように、鎧の一部を部位破壊してくれよう


アリシア・マクリントック
広域攻撃であれば私自身を狙うという性質のものではないはず。こちらに向かってくるもの、急所に当たりそうなものを切り払うことに集中しましょう。

大丈夫ですか、マリア?やはり生身では厳しいですね。こうなったら……変身!
今、エラーと聞こえませんでしたか?

いつものように光の扉をくぐり、剣を構えて……あれ、なんだかいつもと違うような……?
え、小さくなってる!?それに貴女はマリア……ですよね?まるでアニメで見た魔法少女のような……少女、というには大人ですけど。。
よくわかりませんが、きっとこれも可能性の一つ!マリア、貴女に全てを託します!サポートはしますから本能の赴くままに戦ってください!


メイスン・ドットハック

【WIZ】
大帝の剣をそういう風に使うとはのー
織田信長らしい、傾奇者の戦というわけかのー

先制攻撃に対し、電脳魔術によるホログラムデコイや、浮遊機雷によって、こちらに飛んでくる剣花びらを少しでも減らす
空間に【ハッキング】をして、飛んでくる花びらの流れ・軌道を予測し、【情報収集】【視力】【第六感】で回避、できるだけ致命傷を負わないルートを選ぶ

先制攻撃後は、UC「G線上のアーリア」を発動し、重力爆弾を地面に炸裂させ、重力空間を形成
5Gの負荷で、花びらを地面に押しつぶす、もしくは動きを抑制する
そうすることで仲間の攻撃チャンスを作る
自身は織田信長が対処を擂る前に、電脳ミサイルで【一斉発射】【誘導弾】



●今がその時だ
 魔空安土城、戦の間――続けて三人の猟兵が姿を現す。
「骸の海と云うより、地獄から蘇ってきたみたいだ」
 だだっ広い大広間にぶち抜かれた天井、無数の刃が刺さった跡を見やり、神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)が呆れた様に呟いた。そして眼前の信長を見やり、言い放つ。
「太平の世にお前の居場所など無いよ」
『ほざけ、戦乱の世を取り戻しに来たのだ』
 元より太平など幻想――信長が口元を歪めて、背後の弥助が真っ赤に燃える。
『では続きを始めようか――遠慮はいらぬぞ!』
 問答無用、二つに立たれた大帝の剣が再び光を放てば、信長の太刀がふわりと風に溶け込んで、無数の花弁と化す。
「――大帝の剣をそういう風に使うとはのー」
 その状況をメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)が逐一観察する。空間をハッキングして花弁の変異速度や展開位置を予測し、電脳魔術の囮と罠をそこかしこに仕掛けた。
「織田信長らしい、傾奇者の戦というわけかのー」
「ええ。ですが広域攻撃であれば私達自身を狙うという性質のものではないはず」
 傍らでアリシア・マクリントック(旅するお嬢様・f01607)がセイバーギアに手を掛ける。先ず狙いがランダムなら、兎に角自身を狙うものだけ相手すればよい。
「そういう事。にしても、剣型の花びらとは風情が無いねェ――」
 振ってくる花弁は殺し道具で斬り裂けばよいか、先ずは開かれた戦端を突破する。
『行くぞ猟兵、尽く滅びよ』
 そして無数の大帝の剣が、天より降り注いだ。

「変身が――出来ない!?」
 想定外の危機。ドライバーが返す反応はエラー。迫る無数の刃の影を見やり、早々に生身での迎撃を諦めたアリシアは、何度押してもいう事を効かないセイバーギアの反応に焦燥を隠せない。
「んー……普段なら見てやってもいいんだがのー」
 今回の相手はちと厄介、こっちも手一杯じゃー、とメイスンが独り言ちる。出来るだけ致命傷を受けないルートをリアルタイムで把握しつつ、仲間へのダメージを避ける為にデコイの展開と空間の掌握を繰り返す。だがそれ以上に、大帝の剣の浸食速度は速かった。
「確かに、躱すだ耐えるだでどうにかなる量じゃあ無いねェ……!」
 常盤が手にした殺し道具で刃を弾くものの、その倍の数の大帝の剣が地獄の様に迫りくる。
「だが、もう少しじゃー……」
 先ず単純に数が多すぎる。そして想像以上に狙いが正確である――このままでは、受けるどころか耐える事すらままならない。
「分かりました、私の方も何とか……大丈夫ですか、マリア!?」
 アリシアの身を護らんと相棒の狼、マリアがその身を犠牲にして刃を払う。
「せめて、せめてクロスが使えれば……お願い、動いて!」
 ガチャリといつもとは違う音。あれ壊した――訳無いわよね? 立て続けに起こる危機に動揺したアリシア。瞬間、いつもとは違う光が、アリシアとマリアを包む。
 現れた光の扉、ここを潜ればクロスが装着され――ない。あれ?
 代わりにマリアが光に包まれ、何と人型の魔法少女に姿を変える。そして。
「私が小さく……なってる!?」
 これならば大帝の剣も躱せようが、じゃなくて、当たったら即死よ! そんなアリシアをマリアがヒョイと掴んでポケットへ隠す。フリフリのミニスカートからモフモフの尻尾を生やして、ピンと立てた耳が、自身が狼である事を象徴する。
『ワン』
「――よくわかりませんが、きっとこれも可能性の一つ!」
「えらい可能性じゃのー」
 展開した機雷で仲間をカバーするメイスンが、目の前で起こった超常に嘆息する。
「マリア、貴女に全てを託します! サポートはしますから本能の赴くままに戦ってください!」
 マリアが吼える。凛とした声を張り上げ、手にしたハンマーで突風を起こして――迫る刃を強引に弾き返した。
「チャンスじゃのー。それじゃあぶちまわすけー」
 演算に僅かな余裕が出来た。それで充分――超重力の電脳爆弾を地面に設置して、起動。重力渦が無数の刃を強引に集束して――僅かに刃の流れが変わる。
「――それじゃあ、信長公には僕の奇術をご覧にいれよう!」
 だらりと伸びた血の跡を拭って、常盤は超常を――自らを天鼠の群れと化し、刃がそれたその隙に信長へと迫った。

『蝙蝠か、だが』
 それは先の戦で既に見た。血染めの外套をばさりと振って、纏わりつく常盤だった無数の漆黒を払って、背後の弥助に合図を送る。
『だったら纏めて相手してやらあ!』
 信長の生き血を啜らんと迫る群れを、弥助の炎が包み込む。広がるならばこちらも火の手を上げるだけ。そう簡単にやらせはせんと、一つ、また一つと天鼠が火達磨に。
「――流石に、一筋縄じゃあ行かないねェ」
 僅かながらも取り付いた漆黒が牙を突き立てる。だが全快には程遠い。しかし常盤は一人では無いのだ。諦めずに何度も喰らい付き、まるで信長は炎を踊る様な姿を示す。
「待たせたのー。照準補正完了、空間タレット展開――電脳ミサイル、発射じゃけー」
 大帝の剣を重力渦で抑え込み、余ったリソースで反撃を開始するメイスン。
『ワン!』
 瞬間、飛翔したマジカル・マリアが武骨なハンマーを手に信長へ迫る。この隙がいつまでも続くとは限らない、だからこその決死の一撃。
「マリア! 今なら届きます! 信長へ!」
 太刀の無い今なら大きな一撃を躱す事はままならないだろう。だからこその判断――懐にさえ飛び込めば、幾ら大帝の剣でも信長ごと襲う事は適わないだろう。
『三段構えか、成程!』
 天鼠を叩けばミサイルが、ミサイルを防げばハンマーが、何かを犠牲にしなければ、この波状攻撃を躱す事は難しい。だからこそ、解除せざるを得なかった――花弁の刃を。
『信長様!』
『弥助、陣を敷き直せ。戦はまだ終わらん』
 大帝の剣が輝きを増せば、信長の手に太刀が戻る。その一振りで群がる天鼠を払い除けて、殺到するミサイルを弾き返せば、最後のハンマーを鍔迫り合いの要領で受け止める。
『さて、これで振り出しだ――どうする?』
「いいや、これで終わりじゃ」
 瞬間、弾かれたミサイルがその軌道を変えて――弥助のメガリスへ殺到した。
『まさか、最初からこれが狙いで!?』
 爆発。沸き立つ噴煙が視界を隠して――そして、大帝の剣が遂に砕ける。
「そういう事。さァ、第六天へと送り返してあげよう!」
 天鼠が集い、再び人の姿に――常盤が手にした殺し道具が、霊距離で信長の甲冑に押し当てられる。寸勁――炸裂した威力がその鋼鉄を打ち砕いて。
『ワン!』
 マジカル・マリアが光に――その中からは、白銀のクロスを纏ったアリシアが。
「この距離なら、外しません!」
 砕けた甲冑の裂け目に捻じ込むは暁、己が鍛えた業物が、魔王に災いを齎す。
『この、猟兵めが――!』
 ぼたぼたと懐から血を落とし、ミサイルの猛攻を受けた弥助の亡霊が苦しそうな姿を見せる。
『信長様、こうなったら……』
『ああ、仕方あるまい』
 全て、元に戻さざるを得まい。
 砕けたメガリス、大帝の剣が尋常ではない光量を発揮する。それは空間を白く染め上げて、あらゆる視界を塞ぎとおす。
「何じゃと……空間のエネルギー総量、測定不能。大帝の剣が更に変異して――」
 あれは、まさか。

 再び戻った視界に飛び込んできたものは、元に戻った天井と、最初の姿同然の信長、そして沈痛な面持ちの弥助だった。
『これで、大帝の剣は――』
『仕方あるまい。続けることが肝要。それに』
 奴らを見よ。これ以上何が出来るというのだ。血塗れの常盤、機能不全で紫電を纏うアリシア、走査系のエラーで身動きのとれぬメイスン。だが。
『だが、大帝の剣はもう使えない!』
 大帝の剣の最後の力、異常な回復。生命も無機質も時間も空間も元通りにした代償に、弥助の大剣はその姿を失っていた。
『無ければ代わりを探せばよい。さて猟兵』
 如何する。太刀の切先を正面に向けて、信長が吼える。
「ここは、撤退じゃ」
「ええ……あのメガリスはもう使えない」
 あの剣の花弁は二度と使えないのだ。ならば残るは二つ――確実に、猟兵は信長を追い詰めている。
「そうだ、僅かな間でも致命の一撃を与えられた……アレは殺せる相手だ」
 ニヤリと口元を歪ませて、満身創痍の常盤が姿を消す。
「そうですね、マリア」
 行きましょう。続いてアリシアが消えて。
「……お互い想定外ばかりじゃったが」
 可能性を一つ完全に消せた。それだけでも十分じゃのー。メイスンが姿を消す。
 傷も空間も元通りとは言え、メガリスを一つ完全に破壊したのだ。
 残る力はあと二つ、この戦いの終局も近い。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

揺歌語・なびき
どうしようもない賭けだなぁ
潰してやるよ、僅かな勝ち目も

攻撃を自分の勘で可能な限り見切る
躱しきれぬダメージは耐える
これ位、なんてことない
【野生の勘、第六感、見切り、激痛耐性、呪詛耐性】

敵の動きをよく観察し射撃
あくまでも敵の目がおれ自身にいかぬよう
多少弱く見えてもいい
【目立たない、援護射撃】

目立たぬまま接近してUC
刀持つ腕を叩き落せれば僥倖
棘鞭で縛りつけて逃がさない

明け渡したUDCは好かないが
使える武器は勿論のこと、手も脚も、すきに使え

【串刺し、だまし討ち、鎧無視攻撃、傷口をえぐる】

痛けりゃ痛いって言えば?
それとも魔王はそんなこと
口が裂けても言えないか

あの子のふるさとを
こんな男に殺させてなるものか



●No Serenity
 力の一端を失った信長はされど、その見返りとしてこれまでの戦の傷から自信を立て直した。だが、これ以上猟兵の好きにさせる訳にはいかない――遂に信長は重い腰を上げ、魔の空間の最上層へと歩を進めた。

「…………」
 揺歌語・なびき(春怨・f02050)は転移先のだだっ広い無人空間をひた歩く。
「……どうしようもない賭けだなぁ」
 わざとらしく、大きな声で。隠れる信長を誘き出す為の一声。
「億が一……塵芥に紛れた砂金を探すよりも、遥かに途方も無い」
 そんな途方も無い賭けを一国の主がするのだとしたら、馬鹿げている。
「こんな先の無い賭けに興じるなどと、愚かだ」
『その愚かな選択、果たして貴様に覆せるか?』
 闇の奥より、第六天魔王の声が響く。
「……ああ、潰してやるよ、僅かな勝ち目も」
 啖呵を切った瞬間、なびきの視界を暗闇が包んだ。
「これが十字架の力……なのか?」
 おかしい。逆賊の十字架は身体変化、視界を闇に覆うなどと言う力は無い筈。
「それに、何だか……これは」
 獣の様な、腐臭の様な、血の様な匂いがそこら中から――違う。
「……そうか、これが」
 ばくりと、嘴がなびきの全身を喰らう。闇では無い、全周を覆う程の巨大な嘴。信長の身体変化で生み出された異形はその首を上層より伸ばして、遥か下層のなびきを頭上より襲ったのだ。
『これが億が一に賭けるとした、我が力の一端よ』
 尽く滅ぼされよ、猟兵――怪鳥の首がニタリと笑った気がした。

(――これが魔王の、オブリビオン・フォーミュラの力か)
 どくどくと脈打つ肉の壁に囲まれて、濁流がなびきを押し流す。痛みを耐える強い意志が無ければ、そのままするりと流されていたかもしれない。
(成程、悍ましい――だからこそ、絶対に)
 ガタンと大きな音が、階段を登ったのだろうか――そしてそのまま、するすると平行に進んで、ぐらりと体勢が傾いた。
(絶対にこんなものを――残す訳にはいかない)
 故に今こそが勝機。勝つ為ならばこの身体、どうなろうと構わない。
 刹那、異形の鳥首が爆ぜ――血飛沫を浴びてなびきが現れる。眼前に織田信長、倒すべき敵を見据えて。
「あの子のふるさとを、お前に殺させてなるものか」
『成程、それが貴様の矜持か』
 僅かながら残る意志が、なびきの言葉を紡ぐ。びたびたとのたうつ鳥首を踏みつけて――その先、信長の異様に伸びた左腕に棘鞭を奔らせる。
「痛けりゃ痛いって言えば?」
『貴様がな、うつけめ』
 不敵に笑む信長――それもその筈、鳥首の超常でなびきの生命力を奪ったのだ。多少のダメージなど気にもならないのは事実。だが。
「――それじゃあ好きなだけ、壊してあげるわ」
 異形が目覚める。怪しげな声色でなびきは――なびきだったモノは、棘鞭で変容した信長の肉体を削岩機の様に抉り取る。
『信長様!』
『案ずるな弥助、どうという事は――』
 だが狙いは異形ではない。異形の発生源、それは弥助の胸元にあるひび割れそうな十字架。元よりそれさえ破壊出来ればよい。例え我が身を犠牲にしても。
『最初から、こっちが狙い……!』
 信長を庇わんと弥助がわずかに前に出た最中、手毬に仕込んだ秘中の暗器が、十字架を絡めてなびきの手元へ運び込む。
「やはりうつけね、あなた達」
 手にした十字架を地に落とし、ぐしゃりと踏みつけて、光が闇に飲み込まれる。
『この、不心得者め!』
「邪神に偽神で喧嘩を売ろうなどと」
 一億年早いのよ。本物が偽物を蹂躙して――しかし棘鞭の乱舞は信長が太刀で受け止める。絡みついた鎖を断つ様に、一息でその楔を断ち切って。
「……ここまでね」
 ふわりと、なびきが姿を消した。元より全身を鳥頭に喰われた多大なダメージが残っていたのだ。とてもじゃないが、これ以上戦える状態では無かった。
『フン、神も仏も無い……そんな事を忘れていたとはな』
 迂闊。三つの内二つの力を失うなどと――だがこれ以上は好きにさせない。
『故に第六天魔王の名の元に、この世界を滅ぼす』
 それが定め、それが本能、しかしそれは猟兵達も同じ事。
 滅びを滅ぼさなければ、明日は来ないのだから。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

御堂・茜


敵はあの信長様…
ですが今日を幕府最後の日には致しません!!
徳川が築きし天下泰平を守るため
御堂茜、これより死地に参ります!

敵の攻撃は炎と爆破
ならば爆破される前に爆発すれば良いのですッ!
燃える【気合い】の【オーラ防御】を爆発させて堂々構え
【勇気】と【覚悟】をもって闘気は真正面から受けます!
熱さに耐える事はわたくしの【気合い】の見せ所…!
受ける事は【捨て身の一撃】の為の布石!

さあ、もっと熱くなりましょうッ!
炎の鎖を掴んで【怪力】でぐいと引き
信長様を此方の射程圏内に引き摺り込みます!
繋がれている故に逃げられませんわ
【控えよ、姫の御前である】!

貴方の時代は終わったのです
葵の御紋叩きつけてやりましょう!


アニー・ピュニシオン
辛い戦争は終わらせなきゃね。
また会いに来たわ、二人共。今度は負けないよ!

先制攻撃は、
床の地面を思いっきり光槍でぶっ壊して『トンネル堀り』!
光槍を盾にしながら上か下の階に行って攻撃を回避だよ!

UCが使える様になったら【Love※Atonement】(POW)を発動!命中率重視!
空いた穴から出てきた2本ぐらいの光剣を信長に飛ばし、
別の場所からも2本ぐらい音を出しながら穴を開けさせて注意を逸らす!
足りないならリボンの蝶も信長に纏わせちゃう!

アニーはその隙に信長達の真下に行って、
残った光剣と光槍で思いっきり『串刺し』にするね。

先制攻撃が避けられず炎の鎖で繋がれた場合、
UCを攻撃重視にして短期決戦だー!



「敵はあの信長様……ですが今日を幕府最後の日には致しません!!」
 女が二人、階段を駆け上がる。
「うん、辛い戦争は終わらせなきゃね!」
 息を切らせて、第六天魔王『織田信長』が待ち受ける決戦の間へ。
「徳川が築きし天下泰平を守るため――」
「また会いに来たわ、二人共――」
 バンと扉を開け放ち、遥か先には燃え盛る炎。そして。
『来たか、猟兵』
 すっくと髭の偉丈夫が太刀を手に立ち上がり、背後には揺らめく炎の亡霊が。
「御堂茜、これより死地に参ります!」
「さあ、今度は負けないよ!」
 瞬間、空間を灼熱が支配した。



●RISING
「早速ですか――最早形振り構わないと!」
 御堂・茜(ジャスティスモンスター・f05315)が春めいた着物の袖を振るい、立ちはだかる火の粉を払う。しかしそれは超常――二、三振った所で決して消える事は無い揺ぎ無い闘志。しかし茜が胸に掲げた正義の炎は、未だ煌々と燃え盛る。
「その闘気が爆ぜる前に――ジャァァァスティィィィィス!!!!!!」
 指を鳴らせばどこからともなく現れるは茜の愛馬、サンセットジャスティス。燃える空間を裂いて鋼鉄のマシンに茜は天下自在符を差し込んだ。
「バトルタァァァァン!!!!!! 参りますッ、第六天魔王!」
 破裂する闘気、爆炎を乗り越えて――その姿を航宙戦闘騎へと変えたサンセットに跨って闘将が空を駆ける。その胸に灼熱の正義を掲げて。

「それは分かっていたんだ――よ!」
 迫る灼熱を躱すべく即座に床板を光槍で穿つアニー・ピュニシオン(小さな不思議の国・f20021)は、即席の塹壕に身を隠す。しかし地面を舐める様に広がった炎は、多少の穴倉程度では全てを躱す事はままならない。
「うわ、思ったより早い――!」
 幸い小柄なアニーは間一髪直撃を躱す事が出来た。だが闘気の炎は隙間から徐々に、火の手を床下の狭い空間まで広げつつあった。
「……これは、逃げれないかも」
 だったらやるべき事は一つ――当てられる前に一撃でも先に当ててやる! 火の手が来る方向――信長の座する場所目指して、アニーは駆けだす。

『フム、御堂と言ったか――サルの家臣の城にそんな名があった様な』
 だとすれば成程、正面から迫る豪胆さにも納得がいく。流石は戦国の世を生き延びた大名の末裔よ。
『だが慈悲など無い。貴様は儂の敵だ――滅びよ』
 手を翳した信長の先、茜が舞う空が爆ぜた。たったの一撃、それだけで姿勢を大きく崩したサンセットが轟音を立てて大地へ落ちる。
「痛た……ハッ! これは!?」
 それは灼熱の炎の縛鎖。結びつけられた者は決して逃れる事は出来ない。どちらかの命が、燃え尽きるまで。
『恐れるか、小娘』
「否、誠に重畳」
 これを待っていた。サイドタンクを蹴り上げ、サンセットが息を吹き返す。双眸の様なライトに光が灯り、結びつけられた首輪の様な炎を――ボディを起こして持ち上げる!
「さあ、もっと熱くなりましょうッ!」
 機関最大、耐熱限界何するものぞ。炎の縛鎖が内なる炎を更に燃やす。瞬間的に跳ね上がったトルクが荒波の様に鎖を震わせ、その衝撃で信長自身が空を舞う。
『成程、尋常ではない馬鹿力!』
『信長様! ここは俺がッ!』
 燃える独鈷杵から鎖を手繰り寄せ、綱引きの要領で対峙する両者。燃える弥助の亡霊が丸太の様な腕っぷしを振るえば、たちまちサンセットの挙動が千鳥に乱れる。
「流石です信長様! の家臣!」
 怪力勝負は互角か、あるいはサンセットの馬力をかけ合わせても太刀打ち出来ないかもしれない。しかし。
「しかし! 御堂も一人ではありません!」
 瞬間、床下から光槍の乱舞が弥助を襲った。

 床下を這う様に迫る炎の中をアニーは駆けていた。不意に左右から爆発の様な、そして頭上の床上では幾度となく破裂音が響いている。
「一体、何が起こってるのよー!?」
 予想だにしない場所から入り乱れる闘気の炎をかろうじで躱しながら、その発生源――信長の下へあと一歩。不意にその位置が大きく変わるまでは。
「あれ、信長動いてる? でも……」
 どうやらアニーの事は気付いてないみたいね。これはチャンス! 光槍を地を這わせるように構えて、巻き上がる炎に気を付けて、徐々にその発生源へと歩みを進める。どうやら頭上の炎は動きを止めた。先程から鳴り響くやかましい爆音も動かない。つまり信長は動けない。
「さあ、もうすぐ届くよ――これで、止めだッ!」
 床下から突き上げる様に何度も、何度も、何度も光槍を振るう。そして最後に一突き――全力を込めた一撃で渾身の串刺しを!
 そして、炎が威力を弱める。床上に空いた穴から見えたのは――炎の亡霊。
「! 信長じゃない!?」
『やるなぁ嬢ちゃん――気付かなかったぜ』
 放たれた最後の闘気が、アニーを炎の縛鎖で縛り付けた。

「ピュニシオン様!」
 弥助の最後の力で引き揚げられたアニーは、全身を炎の鎖で縛られてその場にへたり込む。しかし弥助も、その姿が徐々におぼろげなものに――アニーの必殺の思いを込めた想像力は、弥助の存在そのものを抹消する寸前だった。
『信長、さま……』
『弥助! もう良い、喋るな!』
 掠れ気味に弥助の声に悲鳴のような声を上げる信長。まだだ、この戦が終わればお前を呼び戻す事すら、夢幻の事では無い。
『これ、が……最後の……ご奉、公』
 しかし信長の制止を振り切り、弥助は闘神の独鈷杵を――ひび割れたメガリスを、ぱくりと己の中へと取り込んだ。瞬間、灼熱が再び燃え広がる。空間そのものを地獄の化身へと作り替えた、弥助渾身の大忠義。その代償に弥助の姿は最早、ここには無い。
『……大儀であった、弥助』
 そして炎の化身と化した弥助が、茜とアニーをこれまでとは比べ物にならない数の灼熱の縛鎖で縛りつける。炎と鎖が食い込んで、その猛威が徐々に体を焦がしていく。
『フ……まさか死に際と同じ光景に見えるとはな』
「……そうです、信長様」
 この光景――本能寺の如く燃え盛る魔空安土城の一角、かつてに思いを馳せ静かに目を閉じる信長。死を象徴する炎熱は、今や己の味方だと言わんばかりに。しかし茜はその意に否を突き付ける。
『だが、滅びるのは貴様らだ』
「いいえ、滅ぶのは貴方です!」
 茜の全身が真っ赤に燃える。正に灼熱のサムライサイボーグ――その強き意志に応える様に、サンセットが三度唸り声を上げて、己を縛る炎の全てを引き千切る。更に。
「これが、最後の幻想、だよ……!」
 炎に苛まされるアニーが、炎に縛られる己の周囲に十二振りの光剣を現出させる。そして、放射――佇む信長の動きを遮る様に、四肢を地面に縫い付けた!
『この状況で、まだ動くと!』
 それが猟兵、超常を得た世界の埒外、滅びを滅ぼす災厄への反逆者。
「この紋所が目に入らぬかぁー! でございます!!」
 サンセット、スロットルマキシマム! 音を超えた衝撃が炎を掻き消して、動きを止めた信長へ捨て身の一撃を敢行する!
『是、非も……』
「あるものか! でございますわッ!」
 サンセットの正面に装填された葵の御紋が光を放ち、信長の腹を打ち付けて、そのまま壁へと突き飛ばす! 
「貴方の時代は終わったのです、信長様」
 突き飛ばされた信長がからんと太刀を落とし、そのまま項垂れる。
『ハ、は……見事』
「やっ、た……」
 倒れ込んだ信長を見て、アニーが静かに目を閉じる。死んだわけじゃない。だがこの灼熱地獄、放っておけば本当に死んでしまう。
「信長様、貴方は……」
 恐ろしい――言い伝えの通り、最も恐ろしい武将でした。
 これまでの総勢十二名の力が無ければ、万に一つも勝てなかったかもしれない。
 眠るアニーを抱えて、茜が転移した。

 灼熱に包まれて眠る第六天魔王。その傍らには勇壮な武人の霊が。
 幾度となく繰り返される戦いだとしても、最悪の災厄だとしても。
 せめてこのひと時だけは、安らかであれ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年08月27日


挿絵イラスト