エンパイアウォー㉞~アドオン・タイガー・ジェネラル
「お疲れ様です! いよいよ本丸に乗り込みますよー!」
シーカーは巨大な薄型テレビの形をしたゲートの前で、パタパタと両手を振った。
エンパイアウォーは魔空安土城に戦場を移し、ついに織田信長との直接対決と相成った。信長軍の部隊は、島原に辿り着いた幕府軍が相手をしてくれる今がチャンスだ。
オブリビオンフォーミュラ、第六天魔王『織田信長』は、秘術『魔軍転生』によって、配下の魔軍将を背後霊のように『憑装』させて戦うタイプ。今回は甲斐の虎『武田信玄』を憑装した彼の撃破を目指してもらう。
「織田信長の能力は憑装させた魔軍将によって色々バリエーションがあるようです。今回は、猟兵の攻撃に対して必ず先手を取ってくる形になるようですね」
この状態となった織田信長は、攻撃しようとした猟兵を認識した瞬間、誰よりも早く動き敵を叩き潰しにかかる。速度は神速、まともにやれば攻撃すら出来ずに敗北してしまうだろう。この先制攻撃をどうやって防いで、反撃に繋げるか。それが信長打倒の鍵となる。
「ともあれ一人で戦うのは無謀。みんなで力を合わせて、策を練って、万全の状態で挑まなければ負けてしまいます。相手はオブリビオンフォーミュラ。魔王と謳われた存在ですから」
対抗策を用意せず、闇雲に攻撃しようとしても先制攻撃で粉砕されるのは必至。また、対抗策が不十分であれば、手痛い一撃をもらうことになるだろう。
また、武田信玄をその身に宿した信長は、信玄が生前誇った騎馬兵団を率いている。信長自身は信玄が変身した白虎にまたがっての騎乗戦を主とし、風林火山の戦術論を活かした戦闘を行う。
先制攻撃はもとより、先制攻撃を打ち破った後も油断は出来ない強敵だ。充分注意して臨んでほしい。
「信長さえ倒せば、サムライエンパイアもひとまずは平和になりますね。頑張っていきましょう!」
シーカーがジャンプして前後反転し、巨大テレビに両手をかざす。
白い光に染まった画面は、猟兵たちを壮絶な戦場へ送るゲートと化した。
鹿崎シーカー
ドーモ、鹿崎シーカーです。夏もそろそろ終わりに近づき、エンパイアウォーも終幕が近い。
●第一章(第六天魔王『織田信長』信玄装)
自らの秘術によって武田信玄をその身に宿した織田信長です。相手の攻撃に対して絶対的な優先権を持ち、必ず先制攻撃を仕掛けてきます。まさしく速かること風の如し。これに対して何か対策を打たねば、一方的に攻撃されて敗北してしまいます。
戦法は召喚した武田騎馬軍団を率いての制圧戦。軍の指揮や謀略に長け、的確に集団を動かして数の優位を活かしてきます。
アドリブ・連携を私の裁量に任せるという方は、『一人称・二人称・三人称・名前の呼び方(例:苗字にさん付けする)』等を明記しておいてもらえると助かります。ただし、これは強制ではなく、これの有る無しで判定に補正かけるとかそういうことはありません。
サポート役として、シーカー・ワンダー(ファーフロムホーム・f00478)を使うこともできます。その場合はシーカーのユーベルコードを確認の上、プレイングで指名してください。(指名しなくてもマイナス補正はかかりません)
(ユーベルコードの高まりを感じる……!)
第1章 ボス戦
『第六天魔王『織田信長』信玄装』
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POW : 風林火山
【渦巻く炎の刀】【黒曜石の全身甲冑】【嵐を呼ぶ樹木の翼】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 甲斐の虎
自身の身長の2倍の【白虎状態に変身した武田信玄】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ : 武田騎馬軍団
レベル×5本の【武田軍】属性の【騎馬武者】を放つ。
イラスト:UMEn人
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
須藤・莉亜
先制攻撃は敵さんの殺気を【第六感】で感じ取り、動きを【見切り】回避するのと、奇剣とLadyを持たせた悪魔の見えざる手と一緒に【武器受け】で防御。
悪魔の見えざる手に自分をぶん投げてもらって回避するのもあり。
攻撃を凌げたら、予め口に含んでいた腐蝕竜さんの血を飲み込んで、竜血摂取のUCを発動。
「あー、やっと喋れるし、血も吸える。」
再生能力で傷を回復させ、強化されたスピードで一気に懐に入り込んで、大鎌で攻撃。
悪魔の見えざる手には僕に合わせて攻撃してもらっとく。
もちろん隙が出来れば【吸血】も狙う。鎧でもなんでも噛み砕いて吸血しよう。
【僕・きみ・年上の相手のみ名前+さん、他は名前呼び捨て】
フォーネリアス・スカーレット
【チームSB/私、貴様、名前=サン】
騎馬武者軍団か。平地で戦えば面倒な相手だ。平地で戦えばな。
「策はある。この戦争中、よく使っていた手だ」
両手で印を組み、呟く。
「……サップーケイ!」
迷宮ならば騎馬軍団を一時的にでも無力化させる事は出来る筈だ。その一時で畳みかける。
アシストにUCを使ったので今回は援護役だ。私は自分で殺す事に拘りは無い。結果的に死ねばいい。迷宮に潜み騎馬の脚を焔繋で斬り無力化していく。隙があれば一撃は信長に入れる。
迷宮の構築、維持が今回の私の役割だ。破壊されても極力再構築を重ねていく。
「私は忙しい。とっとと貴様を殺して次のオブリビオンを殺しに行かねばならないからな」
ルルティア・サーゲイト
【チームSB/妾、お主、名前呼び捨て】
迷宮でH&Sならお手の物よ! 騎馬武者は他が何とかする筈なので、迷宮内を縦横無尽に駆け回りながら騎馬武者をすり抜けて信長に一撃叩き込むのじゃよ!
大鎌を投擲後、獣化した手足で殴り合いに持ち込んで正面に気を引き、投げた大鎌を呼び戻し(投げた武器は戻ってくるのが常識である)背後から一撃。大鎌を手にしたら一旦距離を開け、旋回力を乗せて一撃離脱の斬撃。
無論、こちらもダメージは低くはあるまいが、獣化で傷は塞げる。ともかく、一か所に止まらない。一つの攻撃法に固執しない。出来る事は何でもやる。格上相手はそういう物である。
「ノブナガァ! ここが貴様の本能寺よ!」
紅月・美亜
【チームSB/私、お前、名前呼び捨て】
さて、集団戦は私の最も得意とする分野だ。迷宮内の構造は即座に精査して頭に入れ、味方へと最適なルートを通知していく。ルルの奴は騎馬武者を避けるルートを、殺戮者は武者の背後を付けるルートを。
武者の正面を抑えるのは私の役目だ。集団には集団をぶつける。
「景気よくパカラってるなぁ……ふっ、それでいい。Operation;EYIL、発令」
何せ、相手が強ければ強い程都合がいい。この悪夢の戦闘機群は怨念の塊のような波動砲を撃ちだす、ハズだ。たぶん。何かもっと酷い事をするかもしれないが私にもコイツらは何をするか分からんのだ。
「これは終わり無き悪夢、覚めない悪夢」
メルティア・サーゲイト
【チームSB/私、お前、名前呼び捨て】
悪いが私はWIZ技が無いんでな。正面から行かせてもらうぜ。それしか能が無い……訳でも無いが。
ルルの奴がそれなりに削る筈だが倒し切れるかは微妙だねェ。
「そういう訳で爆撃ポイントの位置座標よろしくなァ!」
私は迷宮に入らない。上空待機だ。幸い、POWは空を飛ぶ相手を迎撃するUCじゃない。防御力重視? ハハッ、好きにしろよ。
両翼下に巡航ミサイルたっぷり、機首に大型ガトリング。急降下爆撃で迷宮の天井ごとブチ抜いて一瞬で決める短期決戦装備だ。
「一撃じゃないが、一瞬で決めるぜ!」
仕留めきれなかったらそのまま体当たりして全弾ブチ込んで終わりにしてヤんよ。
メンカル・プルモーサ
…信玄の指揮能力を得た信長、か…厄介なことこの上ない…
…武田の騎馬軍団…は確かに驚異だけど…ここは城の中…やりようはある…
遅発連動術式【クロノス】により『踏んだら足を拘束する』印を突撃予測地点に配置…
…騎馬の転倒を狙うよ…転倒により後ろが巻き込まれればなお良し…
…罠を意識して出足が鈍れば騎馬の優位は消える…術式で狙い撃っていくよ…
…そして…騎馬武者が混乱しているうちに時間を稼いで…【縋り弾ける幽か影】を発動……自爆ガジェットを信長へと向かわせる
…自爆ガジェットによる爆発の煙に紛れて心理隠密術式【シュレディンガー】を起動…姿を隠して全力魔法…炎の槍を信長に放つよ…
この世界はお前らには渡さない…
カイム・クローバー
一人称:俺 二人称:あんた 三人称:あいつ 名前:名前呼び捨て
噂に名高き第六天魔王とこうして相見えるってのは、幸運な事だ。
『魔王』を踏み越えて、この戦争に足跡の一つでも残しておくとするか。
単純な斬り合いは不利か。【残像】【第六感】【見切り】で信長の斬撃を躱していく。こっちは銃で牽制しつつ、距離を取る。恐らく、あの翼を駆使されれば一気に距離を詰められるだろう。攻撃力を強化して俺を斬撃で仕留めようとするならば…銃を手放し【フェイント】【早業】で魔剣に武器を持ち換え、その瞬間にUC。リスク有りのワンチャンス。【二回攻撃】黒銀の炎の【属性攻撃】【範囲攻撃】【串刺し】にて甲冑を砕いてその心臓を穿つ。
ショコラ・リング
ボク・貴方・名前+さん
【WIS】
不退転の決意、それは此方とて同じでございます
この世界を救う為にも貴方を討取らせて頂くのです!
まずは馬の身体、騎乗者の高さ、それよりもさらに高い位置で光の弦を張ることで、跳躍による回避を防ぎつつ相手の加速や進路を妨害し、此方は迷彩を利用して相手に狙いを定めさせぬよう動き回り初手の騎馬突撃をいなしましょう
初手を凌いだ後は【摩訶鉢特摩の矢】により、主に地面や壁、天井などの足場になりそうな個所を凍らせて騎馬や白虎の移動阻害を、また相手の炎の刀や翼を凍らせて相手の能力を落としたりなどの援護射撃を行いますです
信長本体の攻撃には鎧無視攻撃を利用して穿っていきますね
魔空安土城、内部の一室。
広大な畳敷きの床と、艶やかな漆が塗られた木製の壁で構成された部屋。その壁のひとつが突如として爆散! 破砕音と共に噴き出す粉塵から後ろ向きに飛び出したのは、須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)とカイム・クローバー(UDCの便利屋・f08018)の二人組だ。
数十メートル吹っ飛んでから着地し制動をかけた彼らの遥か前方、壁の大穴を隠す木塵を突き破って雄々しき白虎が疾駆! 咆哮するその背に乗るのは黒い武者甲冑を着こんだ赤目の武将、第六天魔王『織田信長』である! あとに続くは凄まじい数の騎馬武者の軍勢!
走る白虎の手綱を握った織田信長は、身構える莉亜とカイムに太刀を向けて檄を飛ばす!
「征けぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ! 猟兵共の首を狩るッ!」
『オ――――オオオオオオオオオオオオオ!』
鬨の声を上げて雪崩れ込んで来る騎馬兵団! 足裏を伝う震動を感じつつ、カイムは手に下げた黒い大剣に紫電で包む。
「単純な斬り合いは不利か。とりあえず、牽制しつつ下がるとしようぜ?」
「んん……」
もごもごと返事した莉亜の左右に、白銀の大型狙撃銃と柄だけの刀が浮遊する。同時にカイムの大剣が消え失せ、両手に落雷! 先端に犬の頭部をあしらった黒い二丁拳銃を握ったカイムは、莉亜と一緒に軽く跳躍。畳6枚分の距離を超えた信長が刀を真横に振り抜き、刃に爆炎をまとわせた!
「天魔を名乗って地を下し、三界神仏灰燼と帰せ! 圧切長谷部!」
白虎疾走の勢いを乗せた炎刀フルスイングが爆炎を吐き出した! 火竜のブレスじみた炎の暴威。その時、跳んだ二人を見えざる魔の手が握りしめ、後方へ勢いよく投げ飛ばす。津波の如く迫った炎波に鼻先を撫でられた莉亜は背を逸らし、不愉快そうな顔をした。
「んっ」
莉亜が右手で炎波の奥を指差した瞬間、彼の真横に浮いた白銀の狙撃銃が撃鉄を起こした。BLAMN! 白のマズルフラッシュが爆炎をぶち抜き、織田信長の眉間に飛翔! 信長は刀一閃でこれを断ち、切っ先で猟兵二人を指し示す!
「武田の名の下に蘇りし勇士共! その意を示し、敵軍滅ぼす火炎を示せ! 侵略すること火の如し!」
『ウゥオオオオオオオオオオオオオオオオッ!』
加速した騎馬兵たちが信長を追い越し、畳を焼く炎を踏み荒らして突撃を敢行! 前傾姿勢を取って接近せんとする軍勢に、カイムは二丁拳銃を突き出して引き金を引いた。GRRRRRRRRRRRRR! 銃口が紫電を爆ぜさせ、稲妻をまとった弾丸が騎馬の足元を降り注ぎイグサを散らす。
「下がるぜ莉亜!」
こくんと頷く莉亜と共に、カイムは水切石めいて連続バックジャンプする。後退しつつも銃声やまず、しかして騎馬軍は足場に散る弾丸も電光硝煙も蹴散らして加速した。先頭を走る数人が手にしていた槍を回転させて逆手に持ち替え、引き絞る!
「射殺せェッ!」
「武田の槍を! 受けてみよッ!」
THROW! 射出された槍が緩やかな弧を描き、後退する二人を追跡。細身の体を射抜かんとした槍は、しかし不可視の魔手が振るう柄だけの刀に弾かれ叩き落とされていく。その刃もまた実際無色透明で不可視!
ジャベリンを防いでもらったカイムは拳銃をガンスピンして高速装填、再びトリガーを引いて牽制射撃を繰り出した! GRRRRRRR! 獣声じみた音を発して撃ち出される稲妻弾幕。だが騎馬たちは強靭な足と走行で雷弾をことごとく跳ね返して速度を上げた。
「効かぬ、効かぬ、効かぬ! 我らが疾走、その程度で止まると思うなァッ!」
「チッ」
舌打ちしたカイムはこめかみから冷や汗を垂らしつつ微苦笑!
「これじゃあ止まらねえか。ショコラ、足止め任せた!」
「はいっ!」
大きく飛び下がったカイムと莉亜の前で、空間の一部が暖簾めいてめくれ上がった。光学迷彩マントをひるがえして現れたショコラ・リング(キマイラのアーチャー・f00670)は、刃で出来た弓を片手に空っぽの右手を振りかぶる!
「不退転の決意、それは此方とて同じでございます。この世界を救う為にも貴方を討取らせて頂くのです!」
ショコラが横薙ぎに腕を振るった瞬間、騎馬の首辺り・騎馬武者の胸辺り・それより高い位置を横切る三本の光線が真横に走った。道行きを塞ぎ跳躍を止める淡い光の馬防柵! しかしそれでも騎馬隊は臆さぬ。彼らの一部が腰に吊った刀を抜いて前に出た!
「剣を抜け! 道を開くぞ!」
「オオオオオオ!」
「その程度の糸、何するものぞォッ!」
最前列に出た武者たちの刀が振り上げられ、SLASH! 光の三重糸が斬り裂かれ、後ろに下がっていた槍持ち騎馬隊が刀持ちを追い越しジャベリン! 投げ放たれた槍ぶすまを目前に、ショコラはマントの端をつかんで回転、迷彩により姿を消した。
STTTTTTTAB! 複数の槍が畳に突き立つ。その後方上空でショコラが姿を現すのと同時、騎馬隊前半の足場にひとつずつ青白い魔法陣が開かれた! 魔法陣を踏んだ馬たちは足を止め、代わりに激しく足踏みしながら暴れはじめる。後半の騎馬隊が衝突事故!
「なんだ一体!」
「わからん! 妖術の類か!?」
「どう、どうッ!」
手綱を握り、嫌がるように暴れる馬たちをなだめにかかる騎馬兵たち。一方畳に着地して滑ったショコラは足元を引っぱたく。そこを中心に展開された陣からタケノコめいて出現したメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の背中に、ショコラが声を張った。
「メンカルさん! 標的捕捉です!」
「……了解。遅発連動術式クロノス起動……」
メンカルが左手の平を差し出し、指先を跳ね上げる。魔法陣に立つ馬たちの足が一瞬にして凍結し氷像と化した! 完全に進軍を止めた騎馬兵たちの頭上を飛び越える巨大な四ツ足の影。白虎にまたがり、背中に樹木の翼を生やした信長がメンカルに襲いかかる!
「焼き潰してくれる! 炎刀・圧切!」
轟と唸る炎が刀を取り巻く! 軽くバックするメンカルに代わって前に出たショコラは片膝立ち姿勢で信長に弓を引いた。弦引く手の平から冷たく輝く光の矢!
「彩りを無に変える、冷酷なる息吹よ!」
「ふぬァァァァァッ!」
炎をまとった落下斬撃に、SHOT! 放たれた光の矢が正面衝突し蒸気を爆発! 真っ白い霧に飲まれた信長を余所に、ショコラは跳躍後方回転から複数本の矢を畳に撃ち出す。雨の如く突き立った矢は緑のイグサに吸い込まれ足場を氷の床にしてのけた。霧を抜け着地した白虎が滑走!
「ぬゥッ!」
信長が手綱を引くも勢い余った滑走は止まらぬ! 蒼氷の地平と化した床を慣性に従って走る白虎の行く手、氷のふちに立ったメンカルは銀の三日月をヘッドに持つ杖を掲げた。彼女の左右に無数の魔法陣が壁めいて展開された!
「……忍び寄る破滅よ、潜め、追え。汝は炸裂、汝は砕破。魔女が望むは寄り添い爆ぜる破の僕」
メンカルが杖を信長へ振ると共に魔法陣が無数の光弾を撃ち出した! 光弾は軌道上で爆ぜ、大量の蜂型ガジェットが姿を現す。殺到した機械蜂が信長を白虎もろとも覆い尽くした。錆色の竜巻をみながら、メンカルは空いた片手をぐっと握り込む。
「……はい、自爆」
錆色の竜巻が橙に輝き、CABOOOOOM! 大爆轟が氷の大地に放射状の亀裂を走らせ、熱い暴風がメンカルと、彼女の隣に降り立ったショコラに吹きつける。炎を遠目に見据える二人の前で、爆発が内側から破裂霧散! 爆心地、刀を振り切った信長は黒曜石の面頬越しにメンカルを睨んだ。
「この程度の炎で止められると思うたか! この、第六天魔王をォッ!」
信長の背中で樹木の翼が雄々しく羽ばたき、背後に嵐を解き放つ! ジェット噴射めいて竜巻を背負った信長は一瞬でメンカルとショコラに肉迫。白虎のヘッドバッドが二人を跳ね飛ばした。
「っぐ……!」
「……ん、まずいかも……」
宙空を舞う二人に、信長は真後ろまで引き絞った燃える刀を一閃させBOOOOOM! 紅蓮の炎がメンカルとショコラを取り込み畳部屋の天井を突き抜ける! 吠え猛る白い虎!
「GRRRRAAAAAAAAAARGH!」
「再起せよ、武田騎馬軍! 最強たる所以、この織田信長に示すが良い!」
刀を掲げて叫ぶ信長の後方で氷の大地を踏み砕く音。メンカルの拘束魔法を脱した騎馬兵団たちが口々に吠え、蹂躙疾駆を再開したのだ! だがその一方、天井に開けられた風穴から飛び込む者有り。回転落下から着地を決めた紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)は、顔を上げて信長と騎馬軍団を見た。
「へえ、景気よくパカラってるなぁ……ふっ、それでいい。Operation;EYIL、発令」
両腕を持ち上げた美亜の前に、眼球のついた肉塊が現れた。激しく脈打ち蠢いたそれは一気に膨れ上がって内側から鋼のパーツを浮き上がらせる。肉と機械で出来た一ツ目の戦闘機が突っ込んで来る信長たちを視界に捉えた。
「またぞろカラクリの類か? 舐めるな雑兵共めが!」
「雑兵かどうかは、これを食らってから言ってもらおう! やれッ!」
拡大した戦闘機の瞳孔が濃紫色に輝き、ZQUUUUUUUM! 極太のレーザーが騎馬兵団を薙ぎ払う! 白虎ともども跳躍回避した信長が軍団の断末魔を聞く間、美亜は右耳に手を当てる。
「メルティア、出番だ!」
『あいよォ、お空に居るぜ。そういう訳で爆撃ポイントの位置座標よろしくなァ!』
「もう送ったッ!」
『ああ、来たな。それじゃあ、パーティに飛び入り参加と行かせてもらうぜ?』
通信する美亜を太陽めいた明かりが照らす。信長が振り上げた刀の切っ先に、巨大な業火の球体! 樹木の翼が放つ嵐を吸収して育ったそれは熱風をまき散らし、木製の天井や畳を焦がした。腕で目元を庇った美亜が一言。
「やれやれ、ラスボスが惑星エネルギーを駆使するパターンか?」
「潰れよ! 炎・塊・圧ッ!」
信長が刀を振り下ろすのに従い、小型太陽が美亜を押し潰さんと落下を開始。だが刹那、魔空安土城が激震し、猛烈な爆音が周囲の音を塗り潰す! 流星群めいて降り注いだ巡航ミサイルの雨が信長の小型太陽に次々突っ込み大爆発!
「ち……!」
顔を上げた信長は舌打ちし、樹木の大翼を羽ばたかせた。暴風と共に虎ごとバク宙を決めた所に、無数のミサイルが突入して連鎖爆発を引き起こす! 魔空安土城に突撃してきたのは、鈍色に輝く大型の戦闘機――――否、戦闘機形態に変形したメルティア・サーゲイト(人形と鉄巨人のトリガーハッピー・f03470)だ!
『よお! パーティ会場はここかァ美亜!?』
立ち込める煙から頭を出した美亜が、ススだらけの顔で呆れた表情を作ってメルティアを見上げる。
「お前……私たちまで巻き添えで灰にする気か?」
『ハッ、安置は確保してんだろォ? なら死なねえよ、ミサイルの百や二百ブチ込んだって!』
「もう少し慮ってくれ。協力プレイなんだから」
美亜のぼやきを、バーナー噴射の音が掻き消した。メルティアは爆発から飛び下がった信長にガトリングガンをぶちまけながら特攻! 信長は樹木の翼を折り曲げて突き出すことで鉛弾を防ぎつつ、刀を構えてメルティアへ跳ぶ。炎逆巻く刃をメルティアの機首に叩きつけて拮抗!
「またぞろコレか。全く、よくよく鉄クズを好む集団よな!」
『褒め言葉と受け取っとくよ。返礼はコイツだ。一撃じゃないが、一瞬で決めるぜ! 燃え尽きなァッ!』
メルティアが放つジェット機構の炎が赤から橙、青へと変化! 勢いを増した戦闘機に目を見開いた信長は押し切られ、背中から畳に打ちつけられた。メルティアは零距離からガトリングガンを乱射し、ミサイルをフルバーストする! CABOOOMCABOOOMCABOOOOOM!
『オラオラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァァァァァァッ!』
爆轟すらかき消すボリュームの歓声が響き渡った。拡散した炎と黒煙が広大な部屋を侵食していき、KRA-TOOOOOM! 広間を極大の衝撃が打ち据えた。吹き飛んだ床から階下に落ちた信長はバク宙からドッスン着地。全身から白い煙を上げる彼に、大鎌を引き絞って飛びかかる人影!
朱色の刃を光らせたルルティア・サーゲイト(はかなき凶殲姫・f03155)は、コマめいて回る!
「くははははははは! ノブナガァ! ここが貴様の本能寺よ! せいぜい景気良く燃えぇぇぇいッ!」
「ふん、待ち伏せか。小癪な!」
信長は刀を下から斬り上げルルティアの大鎌を跳ね返す! 彼女がバク宙しながら下がった隙に腰に着けた軍配を取り上げ、高々と振り上げた。
「再び出でよ、武田の騎馬軍!」
信長を中心に渦巻き状の爆炎が畳に広がり、炎の中から騎馬軍団が飛び出した。ジャンプから着地した騎馬兵団がルルティアへ大挙して押し寄せていく。騎馬軍団の後方で号令を放つ魔王信長!
「押し潰せ!」
「そうはいかん! 今じゃフォーネリアス!」
空中で叫んだルルティアに応え、畳の一枚が吹き飛んだ! その下から回転跳躍したのは赤錆色の鎧をまとった戦士、フォーネリアス・スカーレット(復讐の殺戮者・f03411)。殺戮者のエントリーだ!
畳に足をつけたフォーネリアスの両腕に、墨汁めいた黒い筋が螺旋を描く!
「任されたぞ、ルルティア=サン。策はある。この戦争中、よく使っていた手だ」
黒い奔流をまとわせた腕を左右に伸ばしたフォーネリアスの足元が白く変色し、同じく黒の渦が生成された。騎馬兵団は既にタタミ二枚分の距離でカタナを抜いている。アブナイ! しかしフォーネリアスは両目を赤く光らせて叫ぶ!
「……サップーケイ!」
フォーネリアスを中心に、墨絵めいた漆黒の風が四方八方に吹き荒ぶ! 風はやがて周囲の空間を黒く塗りつぶし、騎馬隊とその後ろに控えた信長をも飲み込んだ。両腕で顔面を庇った信長が風が凪ぐのを察して顔を上げると、ナムアミダブツ! 周囲は墨絵の如きモノクロ空間に変化していた。
「これは……結界の類か」
呟いて視線を巡らせる信長。スタジアムの如き広大さを誇る部屋はシュギ・ジキと呼ばれるタタミの部屋だ。四方の壁にはゴリラ、タコ、ドラゴン、イーグルの見事な墨絵。
だが、フォーネリアスと騎馬軍団は? ――――おお、見よ。白黒のタタミに佇む騎士の目と鼻の先でピタリと止まった墨絵の刃を。武田騎馬兵は全て、断末魔を上げる立体的人物画となり果てていた! これこそはキリングフィールド・ジツである!
「小癪な真似をしてくれる。サンシタ風情が!」
黒曜石メンポの奥で柳眉を逆立てた信長はタタミにカタナの刃を這わせ、炎を灯して走り出す。行先には墨絵化した武田の騎馬軍! フォーネリアスもろとも焼き尽くすハラなのだ! だが信長が武田騎馬軍の最後尾に追い付きかけた瞬間、馬と馬の間を突っ切ったルルティア!
「その首、もらい受けるッ!」
ルルティアは手中で回転させた大鎌を信長の喉笛へ投擲! 低姿勢ダッシュで回転刃を潜った信長は両手で刀の柄を握り、火力を上げて振り上げる。BOOOM! 炎の剣閃が身を反らしたルルティアを掠めた。腹から左肩にかけての着物が破けて焼ける。しかしルルティアはニヤリと笑った!
「まだまだッ!」
曲げた背中を戻す勢いでのハンマーパンチを信長は片腕で受ける! 跳ね上げた信長の顎に蹴り上げをかすめさせたルルティアは横回転からのサイドキック! ヒヅメとなった足を片手でつかんだ信長は、ルルティアの首に刀を振りかざした。直後、ルルティアは立てた人差し指を後ろに振るう。
「戻れ!」
「ぬッ!?」
ルルティアの足を押しのけ振り返った信長の目に、ブーメランめいて飛び戻ってくる大鎌が飛び込んで来た。信長は黒曜石の手甲で覆われた腕で裏拳を繰り出す! SLAM! 弾き返された鎌はひとりでに軌道を変えて信長の頭上を通過。突き上げたルルティアの手に収まった。
「フォーネリアス! カバー頼む!」
「逃がさんッ!」
飛び下がるルルティアを追う信長の目前、めくれ上がった畳が彼の行く手に割り込んだ。これを飛び蹴りで破った信長であったが、モノクロームの足場を踏みしめた時には既にルルティアの姿は無かった。あるのは足を斬られて倒れ伏す騎馬兵と、燃える湾刀を下げたフォーネリアス!
フォーネリアスは傍らに剣を突きたて、両手を合わせてアイサツした。
「ドーモ、織田信長=サン。我々はチームSBです!」
これに対し信長はカタナを収め、両拳を打ちつけて頭を下げる。
「ドーモ、チームSBの皆さん。織田信長です」
読者の皆様の中にはこの状況を不自然に思う方もおられるだろう。先まで彼らは凄惨な殺し合いを続けた間柄であり、それは今も変わりない。容赦無きイクサはこの後も続く。だがイクサにおいて、アイサツは神聖不可侵な行為! 古事記にもそう書かれている。
やがて信長は顔を上げ、カタナを改めて抜いた。
「小汚い茶の間なぞに引き込みおって。ワシをもてなすのであれば、ワビサビの利いた茶室と茶碗を以ってかかるのが礼儀であろうに」
「安心せよ。趣向なぞ気にする必要は無し。それに私は忙しい。とっとと貴様を殺して次のオブリビオンを殺しに行かねばならないからな」
刹那、二人は同時にカラテを構えた!
「死ぬ用意は出来ているか、織田信長=サン! オブリビオン殺すべし!」
「抜かせ小娘! 貴様一人で何が出来る!」
「一人なのは貴様の方だ! イヤーッ!」
フォーネリアスが両腕を振り下ろしたその時である! 信長の左右、ドラゴンとゴリラの墨絵を突き破ってショコラとカイムが飛び出したのだ! それぞれ弓と銃を構える!
「彩りを無に変える、冷酷なる息吹よ!」
「雷に吠えろ、オルトロス!」
弓に番えられた青の矢が放たれ、二丁拳銃から紫雷が噴出。矢は先端を無数に枝分かれさせ、紫雷は二頭の犬の頭をかたどって信長を挟み撃ちにせんとする! 信長は刀を横向きに構えて炎をまとわせ、回転斬撃! BOOOM! 炎の波紋が広がり、青の矢と雷の犬弾を一掃してのけた。
「甘いッ!」
「甘いのは……」
「あんたの方だよ、魔王殿!」
ショコラとカイムが言い放った瞬間、信長足元の畳をぶち破って銀髪の少女がアッパー! 信長の顎を打ち抜いた彼女は実際メルティアの人形体である! よろめく信長の樹木製翼を、弧を描くように走ったショコラが青の矢で射る。命中・そして凍結!
「ぐおッ……!」
「ハッハ! 足元注意だぜ将軍様よォ!」
踊るように跳び下がったメルティアは信長の頭上を指差した。畳を見下ろす麒麟の墨絵を!
「そんで次は頭上注意だ! 莉亜、メシの時間だぜ!?」
左右に開いた天井、その奥から莉亜が頭から垂直落下! ごくんと何かを飲み干した莉亜は口を開いた。
「あー、やっと喋れるし、血も吸える。きみのためにクソ不味い血を飲んだんだ、口直しさせてもらうよ」
そう告げる莉亜の体が黒い泥めいて溶解し、背中から翼を広げる。汚泥を跳ね飛ばし、竜人のゾンビじみた姿に変身した莉亜は信長の右肩口に食らいついた! 黒曜石の鎧を噛み砕く。血の気が失せる感覚に目を覚ました信長は、莉亜の首根っこをつかんで引きはがした。
「ふんッ!」
莉亜を頭から床にたたきつけ、脳天にストンプ! 泥じみて弾ける莉亜の頭部。直後、信長の後方上空に肉と鉄の戦闘機が飛来した。錐揉み上下反転した戦闘機は眼球からビームを発射! 華麗なバク転で回避した信長に、ビーム着弾による爆風が押し寄せる。
「KIIIIIIAAAAAAAAAAAAARGH!」
甲高い奇声をあげて飛び去る戦闘機に、信長は両脚を踏みしめてジャンプした。燃える刀での刺突を繰り出し、戦闘機の後方を刺し貫く。だが、戦闘機の傷口付近の肉がボコボコと泡立ち複数の機械蜂を解放! タコ墨絵の裏に隠れた美亜は隣のメンカルに合図!
「我が策にかかったな。メンカル! 起爆しろッ!」
「……ん」
メンカルが指を鳴らし、ガジェットが大爆発! 黒い煙で覆われた畳空間に突き落とされ、片膝を着いた信長の足を一本の矢が貫き畳にぬい留めた。矢は解けて触手状の枝で足を畳に縛りつける。煙の中からショコラの声が響いた。
「莉亜さん、ルルティアさん! 捕まえました!」
信長前後の煙からそれぞれルルティアと、頭部を再生した莉亜が迫る! ルルティアは大鎌を振りかぶり、莉亜は頭上に透明刃の刀を浮かせる。
「ようやったぞショコラ! 介錯してくれよう!」
「まだ空腹なんだよね。首からひとつ、ドバッと頼むよ」
「次から次へと……!」
苛立たし気に呟いた信長は勢いよく立ち上がった。ピン留めされた片足が千切れるのも構わず、刀を高々と振りかざす! CABOOOM! 天突く紅蓮の火柱が熱波で二人を吹き飛ばした。
「雑兵どもが! この無粋な間ごと焼き払ってくれるわ! いざ仰げ! 神仏をも焼く魔王の炎を――――ッ!」
火柱が膨張し、床に赤熱した亀裂をいくつも走らせる! その衝撃はイーグルの墨絵に潜んだフォーネリアスに及んでいた。橙色に変色した鎧が彼女を高熱で責め苛む!
「グワーッ!」
血反吐を吐いてくずおれるフォーネリアス。その両目からも血の涙があふれ出す。うなじから脳にかけて灼け付くような痛みが走った!
(ヌゥッ……! なんたる力技! キリングフィールドを打ち破る腹積もりだろうが、そうはさせん)
両手を床に押し当て、床板を握り潰さんばかりの勢いで握る! 彼女の血中カラテが墨汁めいた蒸気となって体から立ち上り、腕を伝ってシュギ・ジキ空間に流れ込んでいく。
「ここが貴様のオブツダンだ、織田信長=サン! イヤーッ!」
広がりかけた高熱のヒビが押し止められ、ほんの少しずつ押し戻されはじめた。火柱の中央、刀を垂直に立てた状態で握った信長は、こめかみに青筋を浮かべて咆哮!
「ぐぬおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
「イイイイイイヤアアアアアアアアアアアア――――――――ッ!」
信長の灼滅の力とフォーネリアスのキリングフィールド維持が拮抗し始める! 否、信長の亀裂が侵食を再開している。フォーネリアスの両目が真っ赤に充血し、血管が破裂寸前に膨張! 血の涙も吐血もおびただしい。内蔵を焼く音が鎧の外にまで届く!
「グ、グワッ……!」
喉奥からあふれかけた血を飲み下して耐えるフォーネリアス! 一方の信長はもうひと押しを察して刀に力をこめた――――直後、熱波が吹き飛ばした煙から杖を逆手に持ったメンカルが、信長の背後に出現! 白い炎が三日月の杖を包み込む!
「この世界は……お前らには渡さない……。世を焼く槍よ、猛ろ、熱せよ。汝は炎、汝は終末。魔女が望むは地の底破る破滅の獄炎……!」
投げ槍のモーションで杖を引き絞り、放つ! BOOOOOOM! 白炎の槍と化した杖は真っ直ぐに信長をめがけて飛翔。彼が振り向くも時既に遅く、KRA-TOOOOOM! 白のビッグバンが紅蓮の炎を消し飛ばし、キリングフィールドの黒もまとめて塗り潰して行く!
「うぐああああああああああああッ!」
火柱をもかき消され、超高熱にさらされた信長が絶叫した。やがて霧散する白い炎。全身から白化した黒曜石の鎧をバラバラと落とす彼に、ひとつ目の肉塊が覆い被さるように襲いかかった! ゲーム機越しに肉塊を見上げる信長を見ながら、美亜が呟いた。
「これは終わり無き悪夢、覚めない悪夢」
「Kysharrrrrrrrrrkkkkk!」
軋むような吠え声を上げた肉塊が信長を食らわんと大口を開く! だが信長は両目を憤怒に開き、焼け焦げた刀に再度炎上させた。
「腐肉がアアアアアッ!」
縦一閃の斬撃が肉塊を眼球ごと寸断し、左右に泣き別れさせる。鏡開きにされた肉塊の奥を見、信長の顔が驚愕に引きつった。そこには二丁拳銃を構えたカイム!
「チェックメイト……いや、あんたには王手って言った方が伝わるか?」
不敵に笑うカイムの銃口に紫電がチャージ! 信長は一本足を踏みしめて跳躍し、彼に肉迫していく! 炎の中で刃こぼれする剣。しかして脳天をかち割る一撃がカイムを一閃した。しかし、カイムの姿は霞のように虚空に溶け消えて消滅! 信長が居た場所に、カイム本人がたたずんでいた。
「あぶねえ、ギリギリだったぜ。……まァ」
その手に二丁拳銃は無く、代わりに禍々しい大剣が握られている。カイムは刃に黒銀色の爆炎を燃やすと、身をひねりながらジャンプした。信長の背中を見下ろし、逆手に握った大剣を振りかぶる!
「賭けには勝った。遠慮はいらねぇ、受け取りな!」
突き下ろされた切っ先が信長の背中を一度撃つ! 再度の一撃が鎧を打ち抜いて心臓を撃ち抜くと同時、カイムは大剣をひねった。信長の目鼻口から黒銀の爆炎が噴き出した!
「がッ、ガアアアアアアアアアアアアアッ!」
断末魔と共に、織田信長は爆発四散! 広範囲に広がった黒銀の炎が、シュギ・ジキ空間を焼き払った。
大成功
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