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小さな冒険者と息吹の竜

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●グリモアベースにて
「みんな、聞いてちょうだい。アックス&ウィザーズの世界で強力なモンスターの存在を予知したの」
 グリモアベースに集まった猟兵たちにそう告げたのは、エリシャ・パルティエル(暁の星・f03249)。藍色の修道服に身を包んだ彼女は、人間の聖者である。いつもは好奇心にあふれ、輝いている金の瞳は、今はこれから起こりうる事件を予期して少し憂えているようだった。
「息吹の竜グラスアボラス……花畑を縄張りとして生息する、普段は温和でおとなしいドラゴンよ。けれどここ最近は凶暴性が増しているみたいで、このままだと近くの村が巻き込まれかねないわ」
 生命、特に花を成長させる能力に長けたドラゴンは、その能力で縄張りを広げ、遅かれ早かれ付近の集落を巻き込んでしまうだろう。
「ただ、出現は予知できても、詳しい居場所まではわからなかったの」
 ごめんなさいね、とエリシャは呟き、それからと話を続ける。
「グラスアボラスの対処はもちろんお願いしたいんだけど、その前にもうひとつお願いしたいことがあるの」
 猟兵たちの視線を受け止め、エリシャは言葉を紡ぐ。
「ある街の好奇心旺盛な男の子と女の子が、ちょっとした冒険のつもりで近くの森に向かうんだけど、そこは運悪く肉食獣の縄張りだったの。このままだと獣に襲われてただでは済まないわ」
 グラスアボラスの事件を予知したときに、同時に予知したものなので、ドラゴンの居場所からそう遠く離れていないはずだとエリシャは告げた。
「幼い頃の冒険心は抑えられない……あたしにも気持ちはよくわかるわ。だから、できるならその気持ちをくんで、その子たちの冒険を手助けしてあげてほしいの」
 陰からこっそり手助けするのも、先輩冒険者として導いてあげるのもいいだろう。大切なのは彼らの達成感。冒険心を満足させてあげることだ。もちろん、冒険は危険だと教えてあげることも必要かもしれない。
「グラスアボラスの居場所は近くにいけば手掛かりもつかめると思うわ。ひとまずは好奇心旺盛な子供たちを助けてあげてほしいの」
 頼りにしてるわね、とエリシャは集まった猟兵たちににっこりと微笑んだ。


湊ゆうき
 はじめまして、こんにちは。湊ゆうきです。
 第六猟兵では、初のシナリオになります。よろしくお願いいたします。

 事件はオープニングの通りですが、まずは少年少女の手助けをお願いします。
 少年はルイス、少女はユミルという名前で、二人とも10歳です。ルイスは気弱な性格ですが、思いを寄せるユミルの発案で一緒に森に向かいます。ユミルは好奇心旺盛で勝気な性格です。冒険のつもりで木の棒とお菓子だけ持っています。冒険者に憧れを抱いているので、彼らがかっこいいと思えば素直に言うことをききます。
 同行の方がいらっしゃる場合はその旨お書き添えください。
 それでは、皆様のご参加お待ちしております!
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第1章 冒険 『めざせ!いちにんまえのぼうけんしゃ!』

POW   :    体を張って肉食獣を追い払う

SPD   :    肉食獣の居場所を特定し、仲間に伝える

WIZ   :    『宝物』と思える品物を上手く発見させ、二人を満足させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

榎木・葵桜
姫ちゃん(f04489)と

姫ちゃん、覚えてるー?
ほら、私達も昔、ちっちゃかった時、
あの子達みたいに冒険って言って、ご近所さん散策したじゃない?
あれ、すっごく楽しかったよね!
(楽しくなかったわけじゃない、の姫桜の言葉に笑って)
うん!だから冒険の楽しさちょっとでも味わってほしいなぁ♪

WIZ
【影の追跡者】であの子達を追跡するよ
対象わかったところで、姫ちゃんのドラゴンランス2匹にも協力してもらえたらいいな

冒険って、二人でするからわくわくするんじゃないかなって思うんだよね
だから私達はできるだけ隠れて支援ができたらいいなって!

もちろん、危ないとこは他の仲間のフォロー必要だし
その辺含めて連携できたらと思うよ


彩瑠・姫桜
あお(f06218)と

覚えてるわ
あお、変な裏道ばっかり通るから散策大変だったけど
…もちろん、楽しくなかったわけじゃないんだから

…って、今はあの子達でしょう?
うん、冒険の楽しさ、少しでも味わって欲しいわよね

WIZ
あおのユーベルコードと組み合わせて対応するわ
できるなら私のドラゴンランス、【schwarz】(黒猫)と【Weiß】(白蛇)で
冒険のお手伝いしてあげたいわ

危なそうなところは、schwarzでできるだけ避けるようにしてもらって
Weißのところまで誘導してもらうわ
Weißには、小さな宝箱をもたせおくわ

宝箱には小さな鍵2つを忍ばせておくわね
鍵って、次の冒険のキッカケにもなるし、思い出にもなるから


アカネ・リアーブル
冒険心は大切です。
アカネも、たくさん冒険をして魔法学園に行き着きました。
お二人の未来、アカネが必ずお守りします!

お二人の周囲に危険がないかを警戒します。
肉食獣の群れを発見したら、息を潜めて出方を伺います。
もしお二人の方へ行かれるのであれば、薙刀を手に群れの中央へ躍り出ます。
そして茜花乱舞。肉食獣の視界を塞ぐように、無数の茜の花で攻撃します。
肉食獣はオブリビオンではありません。なるべく殺さず、追い払うことに注力します。
彼らの縄張りに入り込んだのは、アカネ達なのですから。

自分の力で目的を達成して、家に帰るまでが冒険です。
戦闘後は周囲を警戒しながら、お二人のことを遠くから護衛します。
どうか良き冒険を



●幼き冒険心
 小さな冒険者たちの初めての冒険を手助けするため、予知にあった場所へテレポートしてきたのは、二人の少女。
「姫ちゃん、覚えてるー?」
 好奇心に満ちた藍色の瞳をキラキラさせ、榎木・葵桜(桜舞・f06218)は、彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)に、にこにこ笑顔で問いかける。
「ほら、私達も昔、ちっちゃかった時、あの子達みたいに冒険って言って、ご近所さん散策したじゃない?」
 葵桜の言葉に姫桜も昔を思い出して頷く。
「覚えてるわ。あお、変な裏道ばっかり通るから散策大変だったけど」
 母親譲りの金髪を肩から払いながらクールに呟く。
「あれ、すっごく楽しかったよね!」
「……もちろん、楽しくなかったわけじゃないんだから」
 楽しかった、とは素直に言えず。感情表現が苦手なところまで母親に似てしまったようだ。
「……って、今はあの子達でしょう?」
 素直じゃない姫桜の言葉に慣れている葵桜は笑いながらも頷く。
「うん! だから冒険の楽しさちょっとでも味わってほしいなぁ♪」
「うん、冒険の楽しさ、少しでも味わって欲しいわよね」
 葵桜は【影の追跡者】でルイスとユミルの居場所を特定し、遠くから見守っていた。
「冒険って、二人でするからわくわくするんじゃないかなって思うんだよね」
 その気持ちをくんで、できるだけ陰から支援する二人。
 姫桜はドラゴンランス【schwarz】と【Weiß】で小さな冒険者を支援する。
 赤い瞳に黒い毛並みの猫のような外見のブラックドラゴンschwarzがルイスとユミルの前に姿を現すと、二人はわあ、と声を上げた。
「ねこちゃんかな? かわいいけど、かっこいい!」
「きれいな毛なみね」
 二人が触れてもおとなしくしていたschwarzは、しばらくすると、二人を見上げてから動き出す。
「ついてきてって言ってるのかな?」
「きっとそうだよ!」
 仕草も猫のようでしなやかな動きを見せる。そうして、schwarzは危険を避けるように二人を誘導する。

 その頃、アカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)も小さな冒険者たちを見守っていた。
「アカネも、たくさん冒険をして魔法学園に行き着きました。お二人の未来、アカネが必ずお守りします!」
 冒険心の大切さを知るからこそ、他人事とは思えない。宿敵に襲われ母を亡くしたアカネなので、危険な目に遭わせたくない気持ちも強い。
 姫桜のドラゴンが二人を安全な方へ誘導しているが、肉食獣がそちらに向かうとも限らない。
 と、アカネの視界の中に肉食獣の群れが映りこむ。二人の元へ向かわないようにと、アカネは愛用の薙刀を握りしめた。
 スカイダンサーらしく、舞うように優雅な所作で肉食獣たちの前に躍り出るアカネ。
「傷つけるつもりはありません。ここから立ち去ってくださいませ」
 彼らの縄張りに入り込んだのは、こちらの方なのだ。
 茜花乱舞――薙刀が無数の茜の花びらに変わり、肉食獣たちの目をくらます。
「あかねさす日の暮れゆけばすべをなみ、千たび嘆きて恋ひつつぞ居る」
 可憐な白い花びらが殺風景な大地に彩りを与える。舞うようにくるりと身体を翻せば、銀髪のツインテールがふわりと揺れる。
 ここは危険だと本能的に悟ったのか、肉食獣たちはうなり声を上げながら走り去っていく。二人とは逆方向に逃げていったのを確認し、アカネは安堵の息を漏らす。
「どうか良き冒険を」
 引き続き辺りを警戒しながらも、アカネは胸に手を当て呟いた。

 schwarzの誘導で森までたどり着いたルイスとユミル。そこで待っていたのは、姫桜のもう一匹のドラゴンランスWeißだ。赤目に白いからだを持つ、蛇のような外見のホワイトドラゴン。
「わ、へびさん? でもとってもきれい……」
「ね、ルイス。このへびさんなにかもってるよ」
 Weißが抱え込むようにして持っているのは小さな宝箱。そっと頭で押して差し出すようにすれば、二人はおそるおそる手を伸ばす。
「わ、宝箱だ!」
「早くあけよう!」
 きらきらと輝く瞳の二人が小さな手で開けると、そこには小さな鍵がふたつ。
「うわあすごい!」
「やっぱり冒険って楽しいわ!」
 二人の様子を物陰から見ていた葵桜と姫桜は顔を見合わせて微笑む。自身の幼い頃を思い出しながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レイカ・ヴァンスタイン
この歳の子に、冒険以上のお宝ってなんだろ?
とりあえずユーベルコードとウチ自身の3体で二人が襲われないように誘導しながら一緒にお宝探しましょう。これならいざって時は鳥兎達で囮に出来ますの
「まいごの迷子の、ぼーけん者さん。あなたはどっちに行きたいの?」
追い払ったりするのは、他の猟兵さんにお願いしときますの。

《第六感、聞き耳、動物と話す、時間稼ぎ、世界知識、情報収集》色んな技能使ってお宝っぽいのを先に見つけておけば誘導もできるだろうし
「ぼーけん者さん、ぼーけん者さん。こっちに何か見えましたの」

この金烏(八咫烏とも言う)と玉兎は別名、太陽と月。この二人の道筋をきっと照らして導くはずですの。


ティアナ・スカルデット
誰とでも絡みはOKです

【POW】
英雄に育てられた経歴があるからわかるけど
冒険に憧れる気持ちはわかるの
私は鍛えてるから大丈夫だけど子供だけだと危険だよ

背が小さく幼い感じだから年下に見える
こう見えても私はお姉ちゃんだよ

ユーベルコードの無敵城塞で身を挺してふたりを庇う
肉食獣を倒してしまうのは簡単だけど
二人を護る事の方が重要
攻撃をしてる間に襲われたら大変だからね
攻撃をしないで護る事を重視する

二人を抱きしめて恐怖を取り除き安心させる

私は大丈夫なの
無事で良かったね
とりあえず、家まで帰ろうか

ルイスとユミルと手をつないで一緒に家に帰る
身長が低いので二人に手をつながれ世話を焼かれている様に見える


クルル・ハンドゥーレ
どうか、はじまりの冒険が楽しく美しくやさしいものでありますように

WIZ
宝物、か
主導権がユミルにありそうやから
女の子が好きそうな綺麗な石とかがええんかなあ
森ゆうたらエルフやろうし
私が「こういうんスゴイんよ」言うたら信憑性あるかな?

ちょい綺麗な石とか鉱物用意
先回りして森確認し何ヵ所かに設置
探索に来てるエルフ、ゆう体でなるべく設置場所近くで接触
うちの長老に
(接触場所から一番近い場所の特徴を伝承風に解りやすくアレンジ)って場所にエエもんあるって言われて
でも他に用事あって時間切れ、残念!
二人はまだ行くん?代わりに見つかったらええね、と別れる

他の猟兵と協力
他に宝物案でええんあったらそれに乗る
アレンジ歓迎



●森の奥の宝物
「ねえねえ、ルイス。もっと森のおくに行ってみよう!」
「え? でも、もう宝物は手にいれたからかえろうよ……」
 ルイスの言葉にユミルはふるふると首を横に振る。
「だめよ、だってかぎを手にいれたのよ。きっともっとすごい宝物がこの先にあるにちがいないもの!」
「あ、まってよユミル!」
 ルイスは慌てた様子で、無謀とも呼べる勇敢な冒険心を持った少女の背を追った。

「あらあら、困ったことになりましたのね」
 その様子を物陰から見ていたレイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)は可愛らしく小首を傾げる。フェアリーの彼女は透明な羽をはばたかせ、浮遊している。
「これは何か更なる宝物を用意して満足してもらうしかないみたいやな」
 同じく小さな冒険者のはじまりの冒険を見守っていたエルフの戦巫女のクルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)も頷く。
「冒険に憧れる気持ちはわかるけど、子供だけだと危険だって教えてあげないと」
 英雄に育てられた自身の経験から、二人の気持ちを理解しながらも、年長者らしくそう呟くのはドワーフの竜騎士ティアナ・スカルデット(ロンズデーナイト・f11041)。
「この歳の子の、冒険以上のお宝ってなんだろ?」
「宝物、か……あの様子やと、主導権がユミルにありそうやから、女の子が好きそうな綺麗な石とかがええんかな」
 レイカの疑問に、クルルがうーんと考えてから答える。
「確かに、女の子はきっとそういうものが好きだと思う」
 ティアナも同意し、三人で作戦を練り始める。
「森ゆうたらエルフやろうし、私が「こういうんスゴイんよ」言うたら信憑性あるかな?」
「ウチも二人を誘導することができるから、一緒にお宝探ししましょうか? いざとなれば金烏と玉兎で囮にもできますし」
「宝物を手に入れるのも大事だけど、子供だけじゃ危ないってことも伝えてあげないとね」
 二人を見失わないように追いかけながら、三人は素早く作戦を練る。
 小さな冒険者たちのはじめての冒険は、クライマックスを迎えようとしていた。

 勢いよく森の奥に進んでいった二人だが、周りは似たような木ばかりで、どこに進んでいるのかわからない。思い描いていた宝箱も見あたらず、威勢の良かったユミルも少し不安げに辺りを見回す。
「ここ、どこかな? かえりみちわかるかな……」
「来たみちを引きかえせばいいから、だいじょうぶだよ!」
 ルイスも内心不安に思ってはいたが、ユミルを心配させないため、わざと明るく声を上げる。
「まいごの迷子の、ぼーけん者さん。あなたはどっちに行きたいの?」
 突然、二人の前にフェアリーの少女が現れた。銀の髪に藍色の瞳をした可愛らしいフェアリー――レイカは二人に優しく微笑みかける。
「宝物をさがしてたんだけど、かえりみちがわからなくなって……」
「森で迷子になったのかな?」
 そこへドワーフの少女――ティアナも現れる。
「私は鍛えてるから大丈夫だけど子供だけだと危険だよ」
 二人にそう語りかけるが、身長は二人よりも小さいため、幼く見える。ルイスとユミルが何か言いたそうだったので、ティアナは付け足す。
「こう見えても私はお姉ちゃんだよ」
「ぼーけん者さん、宝物を探していますの? そういえばこっちに何か見えましたの」
 レイカが森の奥を指し示すと、ティアナが二人の手を繋ぎ、私もついていくよと優しく囁く。
「そういえば、おねえさんたちは、なにしに森に来たの?」
 ユミルが突然現れた頼もしい冒険者にそうに問いかける。
 二人を助けるため……と言いかけ、ティアナはグリモアベースで聞いた話を思い出す。
「この近くにグラスアボラスっていうドラゴンがいるみたいなの。何か情報知らないかな?」
 ルイスとユミルが顔を見合わせ、ルイスが口を開いた。
「ドラゴン……雑貨屋のマーサおばさんが、どこかで見たって言ってたきがする……」
「じゃあその人に聞けば、何か手がかりが掴めるかな」
 雑貨屋の場所を聞き、名前を書き留める。そうしてしばらく進むと、今度は木の根元を覗き込んでいるエルフの少女の姿を見つける。
「エルフのおねえさん?」
 ルイスの問いかけに、エルフの少女――クルルが振り返る。
「あら、これは小さな冒険者さんかな?」
「何をしてたの?」
 ユミルが首を傾げると、クルルが辺りを見回しながら語り始めた。
「うちの長老に……あ、エルフの長老な。森の奥、獅子の形と鳥の形をした岩の間に煌めく宝物があるであろう……って言われて。なんかエエもんあるって思って探しに来ててんけど……」
 この辺りに間違いないねんけどなーと、呟きながら続ける。
「私は他に用事があって時間切れやねん。残念!」
 ふうとため息をつくと、クルルは二人に向き直る。
「二人はまだ行くん? 代わりに見つかったらええね」
 たぶんスゴイエエもんよ、と微笑みながら去っていくクルル。
「宝物だって……」
「きっとちかくにあるんだよ、さがそう!」
 二人は先ほどまでの不安そうな様子はどこへやら。ぱっと顔を輝かせて走り出す。
 そして森を進むことしばし。
「岩ってこれかな?」
 二つの大きな岩が並ぶ場所にたどり着く。
「ぼーけん者さん、きっとこれですわ」
 岩の形が特別特徴的というわけではないが、獅子と言われれば獅子に見えなくもない。ような気がする。鳥の方も然り。
「確か二つの岩の間だったね」
 ティアナが二人を促すと、きらり、と光るものが草の間から覗く。
「わ! これぴかぴかしてる!」
「きれい! これがすごい宝物なんだね!」
 クルルが用意しておいた鉱物を大切そうに手にする二人。そこまで珍しいものではないが、二人にとっては何よりも貴重なものだ。
「よかったですわね」
 レイカがそう二人に微笑みかけた時だった。突如大きな烏が現れ、こちらを鋭い眼差しで見つめていた。
「きゃあ!」
 ルイスとユミルが烏の存在に気づいたとき、すでに烏は二人に狙いを定めていた。
 とっさにティアナがユーベルコード【無敵城塞】を使い、身を挺して二人を庇う。あらゆる攻撃に対し、無敵となったティアナに烏は何度か攻撃を仕掛けるが、無駄に終わる。ティアナに守られながら、二人はその様子をつぶさに見ていた。
 やがて、諦めた烏が去ると、ルイスとユミルは鉱石を抱きしめたままその場に固まっていた。
「もう大丈夫だよ」
 安心させるように二人を抱きしめるティアナ。
「私は大丈夫なの。無事で良かったね」
 ティアナが二人を慰めている間、レイカは召喚した烏兎――【金烏】と【玉兎】にごくろうさま、と呟く。金烏は見事に二人を襲う悪い烏を演じ、玉兎は本当の危険が迫らないように、辺りを見張っていたのだ。
「うまくいったみたいやね」
 こっそり戻ってきたクルルがレイカに微笑みかける。
 冒険は心躍る反面、危険はつきもの。今回の冒険では、こうして猟兵が二人を守ってあげられるが、いつもそうとは限らない。
 そのことを二人に伝えたかったのだ。
「とりあえず、家まで帰ろうか」
 ティアナが二人の手を繋ぐ。身長が低いため、端から見れば逆にティアナが二人に手を繋がれ、世話を焼かれているように見えてしまう。

 小さな冒険者のはじめての冒険は、強く優しい猟兵たちによって、一生忘れられない物語となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『店の売り子手伝い』

POW   :    とにかく通りかかる人に声をかける

SPD   :    自分の特技を披露して衆目を集める

WIZ   :    商品の配置や看板などを魅力的なものに改善する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●街の雑貨屋
 ルイスとユミルが教えてくれた、グラスアボラスと思われるドラゴンを見たというのは、街の片隅で雑貨屋を営むマーサという名の四十代ぐらいの女性だった。
 だが、このマーサは商売人らしく、情報をただであげようなどとは思っていなかった。
 マーサの店は長らく雑貨屋として街の片隅に存在していたが、売れているのは熱冷ましの薬や湿布薬などばかり。本来売りたい雑貨はほとんど売れていないという。
 雑貨の多くは、皿やカップなどの食器。木でできたものから陶器でできたものまで様々だ。値段も安いものもあれば少し値の張るものもある。けれど、マーサの目利きは確かで全て良い品ばかりだ。しかしなかなか売れないことから、誰も買わず、それがまた物が売れない負の連鎖となってしまう。
 街の片隅にあるこの雑貨屋を賑わう店にしてくれるのなら、彼女は知っていることを全て猟兵に教えてくれることだろう。
榎木・葵桜
姫ちゃん(f04489)と

可能なら、アカネちゃん(f05355)や他の人とも一緒に
アドリブ大歓迎

WIZ
看板自体が動いてお客さん集めるのも
結構面白いかなって思うんだよねー♪

面白そうなら早速実行!
私が動く看板ならぬ、踊る看板になりまーす!

お店にかける看板とは別に、小さい看板を用意
見やすい位置になるように首から掛けて、ダンスでアピールを行うよ

私のダンスは、日舞仕様な舞にはなるけど
場の雰囲気にあうようにアレンジかけてみるね♪

姫ちゃんのジャグリングとも連携して対応するよ!

アカネちゃんがダンス披露するようだから
可能なら、コラボして踊ってみたいな!
アカネちゃんのダンスがもっと素敵になるように頑張っちゃうね♪


彩瑠・姫桜
あお(f06218)と
他の人との絡み、アドリブ大歓迎

SPD
ジャグリングを披露してお客さんを集めてみるわね

技は3ボールカスケード
今回はあくまでも集客とお店のアピールをする事が目的だから
技ばかりにお客さんの目がいかないように工夫したいところね

あおが、動く看板ならぬ踊る看板としてお店のアピールするようだから
あおの踊りとジャグリングの技をうまく組み合わせてみたいわね
そうするとうまくお店の看板にお客さんの視線を集める事ができると思うし

2匹のドラゴンランス、【schwarz】と【Weiß】もサポートをお願いするわ
もし、ボールが変な方向に飛びそうになったら、うまくキャッチしてもらって
私の方へ戻してもらうわね


アカネ・リアーブル
客寄せ、ですね。アカネにお任せください!

まずは、耳目を集めなければなりません
場所は、マーサ様のお店にほど近い広場が良いですね
もし音楽をなさる方がいらっしゃったら、その方とご一緒に
いらっしゃらなければ、事前に吟遊詩人の方に演奏を依頼いたします
唸りあそばせアカネの貯金……!
まずはひと踊り。十分視線が集まったところで、口上を

「親しい人へのプレゼントに。頑張った自分へのご褒美に。素敵な食器はいかがですか?」

腕を上げて、看板を指し示します
皆様にマーサ様のお店のことを知っていただけたら、せっかくですので皆様で一緒に踊ります
道行く方やご一緒される猟兵の方たち皆を巻き込んで、楽しいひと時を過ごしたいです



●こんなパフォーマンスはいかが?
 街の片隅にある雑貨屋の店主マーサが、店を繁盛させてくれた者に情報を教えてくれると理解した猟兵たちは、それぞれの方法で動き出す。
 小さな冒険者の手助けをした三人の少女は、今度は売れない雑貨屋の手助けに再度集結した。
「まずはお客さん集め、よね」
 街の片隅にある雑貨屋を見て、彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)は第一に人を集めることが必要だと理解する。
「客寄せ、ですね」
 アカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)も雑貨屋の前の人通りの少ない現状を見て大きく頷く。
「看板自体が動いてお客さん集めるのも結構面白いかなって思うんだよねー♪」
 両親が和風喫茶を営んでいる榎木・葵桜(桜舞・f06218)は集客の大切さを理解している。
 まずは三人でお店の存在を知って、興味を持ってもらうため客集めのアピールを行う。場所は人通りがあって、広さもある街の広場。マーサの店からもそう遠くないうってつけの場所だ。
「そうと決まれば、アカネにお任せください!」
 ダンスを披露するつもりのアカネは、音楽もあればより賑わうだろうと、事前に吟遊詩人に演奏を依頼していたのだ。
「唸りあそばせアカネの貯金……!」
 もちろん無料ではないが、これも平和を守るため。学生なので細々と貯めていた貯金を今こそ開放する時なのだ。
 吟遊詩人が手にしたリュートをつま弾くと、アカネが曲に合わせてステップを踏む。
「踊る看板になりまーす!」
 小さな看板を用意し、それを見やすい位置に首から下げた葵桜もアカネとともに踊り始める。陽気な音楽とともに、二人の少女が美しい舞を見せる。葵桜の舞は日本舞踊を基礎としたものであり、指の先まで優雅な所作に、通行人たちが足を止める。アカネも葵桜の舞に合わせ、息を合わせて踊る。
 姫桜は三個のボールを使い、ジャグリングを披露。ボールをそれぞれ上に向かって投げ、両手で器用に色の違う三つのボールを操る。カスケードという技だ。
「うわあ、すごい! お母さん、見てみて!」
 特に子供たちが目を輝かせてジャグリングの技に夢中になっていた。
 技ばかりに注目されるわけにはいかないので、姫桜は衆目の視線が葵桜の首から下げた看板に向かうように、上手く投げる位置を調整する。
「マーサさんのお店の雑貨屋さんはこの先すぐです! ぜひ一度お立ち寄りください♪」
 動く看板となった葵桜が舞いながら店の宣伝を行う。自然と視線は看板に注がれ、葵桜はマーサの店の方を舞いながら指し示す。
「親しい人へのプレゼントに。頑張った自分へのご褒美に。素敵な食器はいかがですか?」
 とても良い品がたくさんありますよ、とアカネが人々に微笑みかけ、看板を指し示す。二人の息の合った踊りに、集まった人々は魅入り、音楽に合わせ手拍子をする者も増えていく。
 姫桜のジャグリングも多くの人の足を止め、視線を釘付けにする。その度、観客の視線を看板に向かうように上手く調整し、宣伝に努める。2匹のドラゴンランス【schwarz】と【Weiß】も姫桜をサポートする。ボールが思わぬ方向へ飛んでしまったときは、それをキャッチし、また姫桜のところへ投げ返す。その仕草も大変好評で、子供からは2匹の方に投げてとリクエストがくるぐらいだ。
 広場に人の輪ができ、それがまた人を呼び寄せる。三人の少女の息の合ったパフォーマンスに人々は時を忘れて見入っていた。
「マーサさんの雑貨屋さんをよろしくお願いします!」
 何度も口に出し、人々の目と耳にしっかり記憶してもらう。
「よろしければ、みなさんご一緒に踊りませんか?」
 アカネがふわりと微笑むと、まずは子供たちが進み出て、音楽に合わせて自由に踊り始める。楽しさは伝播していき、やがては老若男女問わず、ステップを踏み始める。
 姫桜がジャグリングのボールをschwarzに投げると、それをschwarzが子供に投げる。受け取った子供はWeißに投げ、それをまた別の子供が受け取る。きゃっきゃっと喜ぶ笑顔が広場にあふれる。
 楽しい記憶は前向きな感情と結びつく。あの雑貨屋さんにはほとんど行ったことなかったけれど、行ってみようかという気になった者が多かったのだろう。何人かの足は街外れのマーサの店の方へと向かう。
「うまくいったみたいだね」
 人々に興味を持ってもらい、店の知名度をあげることには成功した。あとは、店でもう一工夫が必要だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クルル・ハンドゥーレ
うん、そやね、重要な情報は無料ちゃうよね
マーサさん、わかってはるやん
なら、マーサさんが満足するだけの対価を払わねばなるまい!
頑張る!

WIZ
他の猟兵とも意見を交え
いい案があればそちらにも協力
今のディスプレイ等の問題を洗い出す

マーサさんにお客の層を聞く
湿布薬とかはちょいご年配の方、熱冷ましはお母さんとかかなあ

お客さんの目について欲しいものを
その視線の高さの位置に置く
食器とお盆とかの雑貨組み合わせて食卓風にしてみたり
食器にドライフラワーのお花とか
包みを可愛くしたのど飴を盛って飾ったり

湿布薬の側には渋目の雑貨を
熱冷ましの側にはお洒落だったり子供が喜びそうな明るく可愛い風と差別化



●冒険者的ビフォーアフター
 広場で三人の少女が通行人に向けてアピールを始める少し前。クルル・ハンドゥーレ(逆しまノスタルジア・f04053)は、街外れにあるマーサの店を訪れていた。
 グラスアボラスの情報を得るには、マーサの店を繁盛させなくてはならない。
「うん、そやね、重要な情報は無料ちゃうよね」
 旅人であるクルルには、情報というものの大切さがよくわかっている。ここアックス&ウィザーズの世界では日常的に冒険者が情報を求めてやってくるのだろうから、マーサの行動も理解できるというもの。
「なら、マーサさんが満足するだけの対価を払わねばなるまい!」
 がんばるぞと気合を入れたところで、問題のマーサの店を見せてもらう。
「いらっしゃい……あら、あなたも情報が欲しい冒険者のひとり?」
 旅慣れた様子のクルルを見て、マーサは理解する。先ほども、冒険者らしい少女たちが店の宣伝をしてくると出て行ったところだ。
「うん、ちょっとお店の陳列とかいじらせてもらってええかな?」
「それで物が売れるならかまわないわ」
 マーサの了解を得て、クルルはまずは店内を見渡す。もう長い間売れていないのだろう。食器類は奥の方に固まって置いてあり、よく売れるという薬類が客の手に取りやすいところに置いてある。これなら目的のものを買うだけで、雑貨類に目もいかないだろう。
「マーサさん、お客さんの年齢層とかはどんな感じかな?」
 必要な情報を聞き出し、クルルはふんふんと頷く。
 まずは客に目について欲しいものをその視線の高さの位置に置く。ただ雑然と並べられていた雑貨類を高さのある台に置き、自然と視線が向かうようにする。そして雑貨類のそばに、食器やお盆、テーブルクロスなどを組み合わせ、ドライフラワーを飾り、食卓風にディスプレイする。理想の食卓を目に見える形で提示することで、購買意欲を上げるのだ。
 そして年配の客が多く買うという湿布薬のそばには、その年代が好みそうな渋めの雑貨を。熱冷ましのそばには、子供連れのお母さんを見込んで、おしゃれな食器や子供が使うような可愛らしい雑貨と、場所によりめりはりをつける。
 あっという間に、商品は変わらないのに、がらりと店内の雰囲気が変わった。
「あらまあ、お金もかけずに随分変わったわね」
「物には自信があるんやろ? あとはお客さんさえ来たら間違いなく今までよりは売れるはずやわ」
 自信満々のクルルの言うとおりに。広場で客寄せをした効果がすぐに現れ、小さな店はお客でいっぱいになる。
「おかあさん、このコップほしい~」
「今度の記念日には新しい食器を新調しようかね」
 薬類以外にも雑貨が少しずつ売れていく。マーサが雑貨類の質の良さを説明すると、納得して買っていく客もいる。あまりの忙しさにクルルも店を手伝い、気が付けば今まで売れなかった品物が半分ほどはなくなっていた。
「物がいいこともわかったし、店の認知度も上がったろうから、これからも前以上には売れると思うで」
「本当にありがとう。これでまたいい品を仕入れられるわ」
 クルルの言葉に、マーサは感謝しきり。深く頭を下げた。
「それで、マーサさんが見たっていうグラスアボラスの情報を教えてほしいんやけど……」
 その言葉に、マーサは知っていることをすべて話してくれた。
 数日前、マーサが薬草を取りに出かけた際にドラゴンを見かけたという。その竜のそばには今まで見たことのない花畑ができていて、マーサは不思議に思ったこと。その時にはあまり凶暴そうには感じなかったが、急いで帰ったのだという。
 場所はここから少し離れた渓谷だという。マーサは珍しい薬草をとるためにたまに行くが、普段は人があまり近づくところではないという。
「ありがとう、みんなにも伝えて早速行ってみるわ」
 早速向かおうとしたクルルをマーサが呼び止める。
「あら、そっちじゃないわよ」
「……私、方向音痴やったんや……マーサさん、ごめん、地図も描いといてもらえる?」

 グラスアボラスの居場所はわかった。今はまだ何事もないが、これから被害を出さないためにも猟兵はドラゴンのもとへ向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●息吹の竜
 静かな渓谷のほとりに、ドラゴンはいた。
 辺りには花が咲き乱れ、傍目から見れば牧歌的ですらある光景だ。
 しかし、ドラゴンの目は理性を失っていた。本来温厚であるはずのグラスアボラスに何があったのか。
 ドラゴンが行く先に花々が咲き誇る。縄張りを増やし、どんどんとその領域を増やしている。
 その瞳には獰猛な輝きが宿る。彼の縄張りに入ってきた者を決して許さないであろう怪しい輝きが――。
榎木・葵桜
姫ちゃん(f04489)と
他の方との絡み・アドリブ歓迎

本来はおとなしい子…って、エリシャさんは言ってたけど
確かに、こんな綺麗なお花咲かせる子が、悪い子とは思いたくないね

理性を失っているっていうのは、
どこか怪我したり、自分の子供を護るためにとかで気が高ぶってるのかな?

【サモニング・ガイスト】使用
田中さんにはできる限り防御に専念してもらうね

最初は攻撃せずに観察
ドラゴンそのものや、その周囲に原因があるのか気をつけて見るね
敵である以上、仲良くとか倒さずにとかは無理だと思うけど
できるだけ私の中で納得しておきたいもの

倒す場合は【なぎ払い】【衝撃波】を駆使
できる限り苦しまないように、短期での決着を意識するね


彩瑠・姫桜
あお(f06218)と
絡み・アドリブ歓迎

すごく綺麗なドラゴンね
確かに攻撃しそうな子には見えないけれど
倒さなければならないのなら、覚悟を決めるわ

あおが動きを観察してるようだけど
あの調子だとドラゴンの攻撃をそのまま受けてしまいそう
万一あおに攻撃が及ぶようなら、前に出て【かばう】わね

外見だけじゃなくて攻撃も綺麗な子なのね
倒すのがもったいないけれど
そうも言ってられないか

攻撃時には
ドラゴンの動きの隙を見て【咎力封じ】使用
最初に【拘束ロープ】うまくいくなら【手枷】【猿轡】も続けるわ

声掛けてあおの攻撃と連携
【串刺し】でドラゴンの体力を確実に削っていくわね

ごめんなさい、けれどコレでおしまいよ
おやすみなさい…!


アカネ・リアーブル
普段は温和で大人しいドラゴンなのに何故、このように理性を失った目をされるのでしょう?

他の猟兵の方と連携して、戦いを進めます
理由を探るにしても、まずは竜の力を削がねばなりませんから
鎖舞扇を手に、退魔封縛の舞いを舞います
真の姿を解放し、オマモリサマと呼ばれる姫巫女の姿になります
舞扇に描かれた鎖を顕現させ、竜を縛り行動を阻害します
動きを止めることに成功しましたら、グラスアボラスの鼻先を抱きしめます
攻撃されても止めません

「どうしてこのようなことをされるのですか? 理由をアカネにお教えくださいませ」

もし竜が何かの原因で凶暴化させられているのでしたら、それを取り除きます
どうか本来の姿にお戻りくださいませ



●花舞
 マーサが教えてくれたグラスアボラスの居場所へ、情報を頼りに猟兵たちは急ぎ向かう。まだ付近の村や街に被害は出ていないようだ。
 ドラゴンが視界に入る場所までやってきた榎木・葵桜(桜舞・f06218)はグリモアベースで聞いた情報を思い出し呟く。
「本来はおとなしい子……って、エリシャさんは言ってたけど」
 辺りはドラゴンがその力で成長させた美しい花々が良い香りを漂わせながら咲いている。 
「確かに、こんな綺麗なお花咲かせる子が、悪い子とは思いたくないね」
「すごく綺麗なドラゴンね」
 若草色の鱗に、桜色の翼をもったグラスアボラスを実際に目で見て、彩瑠・姫桜(冬桜・f04489)はそう感想をもらす。
「確かに攻撃しそうな子には見えないけれど」
 戦わずに済むというのならそうしたい。けれど予知では近くの住民に危険を及ぼすというのだ。どうしても倒さないというのなら――姫桜は覚悟を決める。
「葵桜様と姫桜様のおっしゃる通りです」
 二人の言葉に深く頷きながら、アカネ・リアーブル(とびはねうさぎ・f05355)もドラゴンを観察していた。
「普段は温和で大人しいドラゴンだというのに何故、このように理性を失った目をされるのでしょう?」
「理性を失っているっていうのは、どこか怪我したり、自分の子供を護るためにとかで気が高ぶってるのかな?」
 アカネの疑問に葵桜は考えられうる理由をあげる。
「やはり何か理由があるのかもしれませんね。理由を探るにしても、まずは竜の力をそがねばなりません」
 言うなりアカネは鎖舞扇を手に、前へと歩みを進める。グラスアボラスがその姿を認め、威嚇の声を上げる。やはりその目には獰猛な光が宿っていた。
 葵桜もアカネの動きを見て、【サモニング・ガイスト】で古代の霊を召喚する。現れたのは葵桜が「田中さん」と呼ぶお気に入りのUDCだ。田中さんには防御に専念してもらい、ドラゴンの出方を伺う。その間に、何か原因となるものがないかをしっかりと探っておきたいのだ。
 アカネは真の姿を開放し、オマモリサマと呼ばれる姫巫女に変身する。表情も、可憐な少女から、凛とした戦巫女のそれに変わる。
「君がため惜しからざりし命さへ、ながくもがなと思ひけるかな」
 アカネがたおやかに【退魔封縛の舞】を舞えば、舞扇から無数の鎖が放たれた。攻撃とともに、竜の動きを止めることに成功する。グラスアボラスは咆哮を上げ抵抗するが、そこへ姫桜も【咎力封じ】で動きを阻害しにかかる。見事に命中した拘束具で動きと攻撃を封じられ、グラスアボラスは巨体を震わせることしかできない。
「どうしてこのようなことをされるのですか? 理由をアカネにお教えくださいませ」
 自由を失ったドラゴンの鼻先を抱きしめ、アカネは問う。言葉が通じるかなどはわからない。けれど、アカネたちは好きでグラスアボラスを倒しに来たのではないことを伝えたかった。
「怪我をしている様子や、近くに子供がいる様子もないみたいだね」
 田中さんにも手伝ってもらいながら、葵桜はグラスアボラスを観察して呟く。
 原因がわからない。できることならば本来の姿を取り戻してほしい。けれど。
 ドラゴンを戒めていた鎖と拘束具が地の底から響く咆哮とともに振り払われる。その目に明らかな敵意を浮かべたグラスアボラスが、反撃を始める。
 鋭い牙がのぞく口から吐き出された息吹は、鼻先を抱きしめていたアカネを吹き飛ばし、花畑にたたきつける。アカネは攻撃されるのは覚悟の上。ただ、本来の姿を取り戻せないことに悔しさを噛みしめる。
「戦わないわけにはいかないみたいだね」
 姫桜の言葉に、全員が覚悟を決める。
「せめてできる限り苦しまないように……」
 気持ちを振り払うように、胡蝶楽刀を握りしめた葵桜はグラスアボラスに立ち向かう。繰り出された衝撃波がドラゴンの分厚い鱗を傷つける。
 ひときわ高い咆哮を上げると、無数に出現した竜胆の花びらが三人を襲う。
「外見だけじゃなくて攻撃も綺麗な子なのね」
 葵桜をかばうように前に出た姫桜は、そうも言ってられないわね、と呟く。
 三人は息を合わせ、攻撃に転じる。アカネが舞扇に描かれた鎖を顕現させ動きを止めると、葵桜がその足元をなぎ払い、田中さんが槍で攻撃する。
「姫ちゃん!」
 葵桜の声掛けを聞くまでもなく、姫桜はあうんの呼吸でドラゴンに躍りかかる。常は咎人を裁く得物が、ドラゴンの体躯を串刺しにする。
「ごめんなさい。もうおしまいにするから……」
 苦しませるつもりはない。姫桜はもう一度武器を構える。
 三人の攻撃は確実にドラゴンの傷を深くしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティアナ・スカルデット
異界黙示録で調べる(世界知識)

本来なら温厚なグラスアボラス
一体何があったのでしょう
その原因は追究して見つけないとわかりませんね
後から調べてみましょう

残念だけど
危険極まりありませんから倒さないといけませんね

相手は大きなドラゴン
ティアナは小さいので
アースジャイアントを製作して戦わせる

地面に左手を付けて詠唱

『堅き岩より生まれし存在
 その結ばれし鎖を断ち切り
 今こそその呪縛より解き放たれ
 我が意によりて
 我が成すままに
 我に従い力となれ』

ユーベルコードのアースジャイアント発動

地面が盛り上がり人型に
元々、身長が低いのでそれでも人間大の大きさしかない

息吹攻撃でアースジャイアントが花まみれに


ペンチ・プライヤ
今いろいろ聞いたけど、いい街じゃん。それに、街のちびっ子を守るのは年長者の特権だ!!
お邪魔しまーすっ!!

インスタントステージによる灯体ドローンの複製、steam generatorによりうっすら漂う蒸気

さぁ、ホンニシタガエ

敵の攻撃をsteam statueで創り出す多種多様な彫像で撃ち落とす、受け流す。他の猟兵への攻撃も潰して行きたい。

超高輝度プロジェクターでの目くらまし、shock of soundで動きを止める支援

1番重要な事は、邪魔でないのなら灯体ドローンで他の猟兵を照らし出す。

テンション上げてこーぜ!!

余裕があるなら、steam statueにて作る巨大拳骨で攻撃



●竜と猟兵の戯曲
「今いろいろ聞いたけど、いい街じゃん」
 グリモアベースで情報を聞き、続いて現地に向かったのは、ペンチのヤドリガミ、ペンチ・プライヤ(工具による光と蒸気の空間芸術・f02102)と、一度この世界で小さな冒険者を助けたドワーフの竜騎士、ティアナ・スカルデット(ロンズデーナイト・f11041)。
「この世界を守りたい。ルイスとユミルを不安にさせたくはないからね」
 自身が恋し、憧れた英雄のように――そのためにも目の前の不安を取り除かなければいけない。
「うんうん、街のちびっ子を守るのは年長者の特権だ!!」
 ペンチは【インスタントステージ】により、灯体ドローンを複製すると、十数個の明かりが宙に浮かぶ。これは猟兵の活躍を照らすスポットライトでもあるのだ。その一つが、渓谷のほとりにいる息吹の竜の獰猛な瞳を映し出す。
「本来なら温厚なグラスアボラス……一体何があったのでしょう」
 様々な世界の知識が掲載されている不完全ではあるが魔法の写本【異界黙示録】で調べるティアナ。このような事例は他にもあるが、詳しい原因はわかっていないようだ。けれど、骸の海に捨てられた過去がオブリビオンとなることと何か関係があるのかもしれない。
「その原因は追究して見つけないとわかりませんね。後から調べてみましょう」
 今は目の前の戦いに集中するのみ。愛用の槍を構え、戦闘態勢に入る。こちらも戦いに備えたペンチが持つオイルライター形状のガジェット【steam generator】からうっすらと蒸気が漂っている。
「music start!!」
 すでに他の猟兵たちがグラスアボラスと交戦中。そこへペンチの明るい声が響く。魔導蒸気式小型スピーカーから放たれた指向性の高い音波は、グラスアボラスの脳や聴覚器官に衝撃となって襲い掛かる。その攻撃に、竜の動きが一瞬止まる。その隙に他の猟兵たちも攻撃に転じる。ここぞとばかりにペンチは味方の活躍を灯体ドローンでスポットライトのように照らし出す。
「テンション上げてこーぜ!!」
 花畑が猟兵の活躍する舞台となる。
「相手は大きなドラゴン」
 小さなティアナは、大地の巨人を召喚する。
「堅き岩より生まれし存在、その結ばれし鎖を断ち切り、今こそその呪縛より解き放たれ……」
 地面に左手を付けて詠唱する。
「我が意によりて、我が成すままに、我に従い力となれ」
 地面が盛り上がり、やがて人型となる。召喚者であるティアナの身長が低いため、背が高い人間ほどの大きさしかないが、それでも立派な巨人はティアナの動きをトレースしてドラゴンに立ち向かう。
 動きを封じられていたグラスアボラスも反撃に転じる。ドラゴンから吐き出された息吹が猟兵を襲うと、続けて咲き乱れるフラワーカッターが放たれる。しかしその攻撃はペンチのシナリオ通りだ。
「さぁ、ホンニシタガエ」
 【A part of the scenario】――まるで脚本が用意されているかのように、ペンチはフラワーカッターの軌道を正確に予想し、回避する。
 ティアナが操る大地の巨人が隙をつき、ドラゴンの巨躯に殴り掛かる。重さのある一撃は、確実に体力を奪っていく。
 追い詰められてはいるものの、グラスアボラスは攻撃の手を緩めない。
 咆哮を上げながら息吹を吐き出すと、それがかわされても自身の立つ場所を更なる花畑で埋め尽くし、戦闘能力を高める。息吹によって舞う花びらが大地の巨人に降り注ぐ。戦場でありながら美しい光景にすかさずスポットライトを当てるペンチ。
 花畑を舞台にした猟兵たちが活躍する物語が決着するまで、あと少し。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ロー・オーヴェル
「手向けの花には不自由しない場所だな。いい所を死に場所に選んだもんだぜ」

まぁ花を添える前に
お前の首筋に刃を添えて……それで終わりにする

確実に仕留められるよう相手の急所をよく観察し
その巨体の死角となる位置から一気に間合いを詰めて攻撃
【二回攻撃】や【早業】を駆使して後の憂いなく

オブリビオン相手に情けはない……遠慮なく狩らせてもらう
「これがお前の『運命』だったってことだ」


戦闘後は煙草で一服
無事に終わったのならなによりだ

まぁこのドラゴンが温厚でなくなったのには多少興味はあるが
もう聞くことも尋ねることもできないからな
今は一息ついて体を休めて……それから考えても遅くない



●花葬
 グラスアボラスが自身の力によって生み出した花畑は、戦闘開始時より面積を広めていた。
「手向けの花には不自由しない場所だな。いい所を死に場所に選んだもんだぜ」
 灰色の瞳を眇め、息吹の竜を眺めやりながらロー・オーヴェル(スモーキークォーツ・f04638)が静かに呟く。
 美しい花畑だが、その花々は戦いの激しさを物語るように、一部は踏みにじられ、力なくうなだれている。
 近隣の街の人々も花と同じ。力がなければオブリビオンに屈してしまう。だからこそ、猟兵が必要なのだ。
「まぁ花を添える前に、お前の首筋に刃を添えて……それで終わりにする」
 既に竜は他の猟兵たちの活躍により、満身創痍だ。あと一息。ローはシーフらしい俊敏な動きで、戦いの中に身を投じる。
 ドラゴンから吐き出された息吹を持ち前の身のこなしでひらりとかわし、ローは仲間たちが攻撃している間もしっかりと敵の動きを観察する。
 グラスアボラスは猟兵たちと向かい合って攻撃している。それは当然のように思えるが、背後を取らせないようにも見える。
 つまり、急所は――。
 他の猟兵がグラスアボラスの動きを封じているうちに、ローは一気に竜の背後に回る。その巨体の死角となる位置から鱗に覆われた体躯を駆け上がると、「束縛されぬ者の刃」の名を持つ銀灰色のナイフが閃き、グラスアボラスの首筋を切り裂く。
 それは一瞬のことだった。あまりの早業にナイフが再び急所を抉ったことに当のドラゴンも気づいていただろうか。
「これがお前の『運命』だったってことだ」
 巨体が花畑に力尽きくずおれる前に、ローも花が舞い散る中、ドラゴンの背より飛び降り着地する。
 自身が咲かせた花に埋もれ、息吹の竜は二度と動かなくなった。
「無事に終わったのならなによりだ」
 紫煙をくゆらせ一服しながら、ローは花畑と動かなくなった竜を見つめる。
「まぁこのドラゴンが温厚でなくなったのには多少興味はあるが、もう聞くことも尋ねることもできないからな」
 この情報を持ち帰り、他の事件と照らし合わせることで何かがわかるかもしれない。他の猟兵たちも同じ考えなのだろう。張り詰めた緊張感からの解放と疲労がその表情から見て取れる。今は一息ついて体を休めることが先決だ。それから考えても遅くない。
 本来温厚であったはずのドラゴンがなぜ凶暴化してしまったのか。その答えははっきりとしないが、猟兵たちによって小さな冒険者や街で働く人々が犠牲になることはなかったのだ。
 吹き抜ける風が舞い散る花びらを亡骸に届ける。まるで弔うように、それは優しく竜に降りかかるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月21日


挿絵イラスト